説明

抗菌剤としてのダプトマイシンアナログ

【課題】新規のリポペプチド化合物を提供する。
【解決手段】抗菌作用を有する新規なリポペプチド化合物。及びこれらの化合物の薬学的組成物およびこれらの化合物を抗菌化合物として使用する方法。また、該リポペプチド化合物を生成する方法およびこれらの化合物を生成する際に使用する中間体。およびグラム陽性細菌などによって引き起こされる細菌感染の処置の必要のある被験体に該リポペプチド化合物を含む組成物投与する工程を包含する、被験体における細菌感染を処置する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のリポペプチド化合物に関連する。本発明はまた、これら化合物の薬学的組成物および抗菌性化合物としてのこれらの化合物の使用方法に関連する。本発明はまた、これらの新規リポペプチド化合物およびこれらの化合物の生成に使用する中間体を生成する方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
グラム陽性感染症の発生率の急速な増加(耐性菌により引き起こされるものを含む)は、新規クラスの抗生物質の開発への興味を新たに起こさせた。A−21978Cリポペプチドを含む有用な抗生物質としての能力を示してきた化合物のクラスは、例えば、米国特許RE32,233号;同RE32,455号;同RE32,311号;同RE32,310号;同4,482,487号;同4,537,717号;および同5,912,226号に記載された。ダプトマイシン(daptomycin)(このクラスのメンバー)は、重篤な疾患および生命を脅かす疾患を引き起こす臨床的に関連のあるグラム陽性細菌に対してインビトロおよびインビボで抗菌活性能力を有する。これらの細菌として、耐性病原体(例えば、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)、グリコペプチド中間体感受性Staphylococcus aureus(GISA)、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)、およびペニシリン耐性Streptococcus pneumoniae(PRSA))が挙げられ、これらに対する治療的代替物はほとんどない(例えば、Tallyら、1999、Exp.Opin.Invest.Drugs 8:1223−1238を参照のこと)。
【0003】
ダプトマイシンような抗菌剤が提供する所見にも関わらず、新規抗生物質に対する必要性が存続する。多くの病原体は、一般的に使用される抗生物質に繰り返し曝されてきた。この曝露は、広範なスペクトルの抗生物質に対して耐性の変異体抗菌性種の選択をもたらした。抗生物質の能力および有効性の損失が、抗生物質の無効性を与える耐性メカニズムにより引き起こされ、続いて、実質的に治療不可能な生命を脅かす感染を引き起こし得る。新しい抗生物質が市場に参入すると、病原体はこれらの新しい薬物に対して耐性または中間の耐性を生じ得るので、これらの新生種と戦うための新しい抗菌剤の流れに対する要求を効率的に作り出す。さらに抗菌活性を示す化合物は、現在の静菌性(bacteriastatic)化合物を超える利点を提供する。従って、新規の合成抗菌剤は、「野生」病原体だけでなく、中間の薬物耐性病原体および薬物耐性病原体を処置するのにも有用であることが期待される。なぜなら、病原体は、新規の抗菌剤に曝露されていないからである。さらに、新しい抗菌剤は、異なる型の病原体に対して異なる効果を示し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許RE32,233号
【特許文献2】米国特許RE32,455号
【特許文献3】米国特許RE32,311号
【特許文献4】米国特許RE32,310号
【特許文献5】米国特許第4,482,487号明細書
【特許文献6】米国特許第4,537,717号明細書
【特許文献7】米国特許第5,912,226号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Tallyら、1999、Exp.Opin.Invest.Drugs 8:1223−1238
【発明の概要】
【0006】
本発明は、薬物耐性細菌を含む広範なスペクトルの細菌に対して抗菌活性を有する新規のリポペプチド化合物によってこの問題に取り組む。さらに、本発明の化合物は,抗菌活性を示す。
【0007】
本発明は、1つの局面において、式Iの抗菌性化合物:
【0008】
【化1】

およびこれらの塩を含み、ここでRは:
【0009】
【化2】

ここで、XおよびX”は、独立してC=O、C=S、C=NH、C=NR、S=OまたはSOから選択され;
ここで、nは、0または1であり;
ここで、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシ、または、カルボアルコキシから選択され;
ここで、Bは、X”R、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;そして
ここで、Rは、ヒドリド、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヒドロキシルから選択される。
【0010】
1つの局面において、Aは、H、NH、NHR、NR、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;
ここで、RおよびRは、独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはカルボアルコキシから選択され;
ここで、nが0の場合には、Aがさらに、
【0011】
【化3】

から選択され:ここで各R50〜R53は独立して(C〜C15)アルキルから選択され;
ただし、BがH、そしてXがC=Oである場合には、Aが、
(a)1つの置換基NHC(O)Rで置換されたピリジニル環
(b)1つの置換基NHC(O)Rで置換された(C〜C)飽和シクロアルキル環(ここでRが(C〜C17)非置換アルキルまたは(C〜C17)非置換アルケニル)以外であり;そして
BがH、そしてnが0である場合、Aは、Hではない。
【0012】
別の局面において、Aがアリールであり;
ただし、BがHであり、そしてXがC=Oである場合、Aが以下のいずれかで置換されたフェニル環以外であり:
(a)−O−((C〜C15)非置換アルキル)、ここで前記フェニル環が、ハロ、ニトロ、(C〜C)アルキル、ヒドロキシル、(C〜C)アルコキシまたは(C〜C)アルキルチオから選択された1つの置換基と必要に応じてさらに置換され得;または
(b)−NHC(O)R、ここでフェニル環が、アミノ、ニトロ、(C〜C)アルキル、ヒドロキシル、(C〜C)アルコキシ、ハロ、メルカプト、(C〜C)アルキルチオ、カルバミルまたは(C〜C)アルキルカルバミルから独立して選択された1〜2の置換基で必要に応じてさらに置換され得;ここでRは、前記に規定されたようである。
【0013】
本発明の第3の局面において、Aがアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはアリールオキシであり;
ただし、BがHであり、そしてXがC=Oである場合に、Aが以下、
(a)−(C〜C16非置換アルキル)−NH
(b)−(C〜C10非置換アルキル)−NHC(O)R、ここでRが、前記に規定されたようであり;
(c)−(C〜C18)アルキル、必要に応じて最大1つのヒドロキシル、カルボキシル、またはC〜Cアルコキシ、または1〜3のハロ置換基で置換され;
(d)−(C〜C18)非置換アルケニル;
【0014】
【化4】

以外であり;
ここで、R54は、C〜C17非置換アルキルまたはC〜C17非置換アルケニルから選択され;ここでR55は、ハロ、ニトロ、C〜C非置換アルキル、ヒドロキシ、C〜C非置換アルコキシ、C〜C非置換アルキルチオ、カルバミル、またはC〜C非置換アルキルカルバミルから選択される基で必要に応じて置換されたヒドロキシエチル、ヒドロキシメチル、メルカプトメチル、メルカプトエチル、メチルチオエチル、2−チエニル、3−インドールメチル、フェニルから選択され;またはハロ、ニトロ、C〜C非置換アルキル、ヒドロキシ、C〜C非置換アルコキシ、C〜C非置換アルキルチオ、カルバミル、またはC〜C非置換アルキルカルバミルから選択される基で必要に応じて置換されたベンジルであり;ここでtが0または1、およびここでuが1〜3の整数であり;そして
BがHであり、そしてXがC=Oである場合に、Aと共にXが、カルバミン酸アミノ保護基を形成せず;そして
BがHであり、そしてnが0である場合に、AがC〜C14の置換されたアルキル以外である。
【0015】
第4の局面において、BおよびAが共に5〜7員のヘテロサイクリックまたはヘテロアリール環を形成する。
【0016】
ここでRが、
【0017】
【化5】

であり;
ここで、X’およびX’’’がC=O、C=S、C=NH、C=NRX’、S=OまたはSOから独立して選択され;
ここでmが0または1であり;
ここでRX’がアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシまたはカルボアルコキシから選択され;
ここでB’が、X’’’RY’、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり;
ここで、RY’が、ヒドリド、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヒドロキシルから選択され;
ここで、A’が、H、NH、NHRA’、NRA’B’、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;
ここで、RA’およびRB’がアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはカルボアルコキシから独立して選択され;
ここで、mが0である場合、A’がさらに、
【0018】
【化6】

から選択され:
ここで各R50〜R53は独立して(C〜C15)アルキルから選択され;
あるいは、B’およびA’が、一緒に5〜7員の複素環式環またはヘテロアリール環を形成する。
【0019】
ここで、Rは、
【0020】
【化7】

であり;
ここで、KおよびK’は、一緒に、C〜Cシクロアルキル環またはヘテロシクリル環あるいはC〜C10アリール環またはヘテロアリール環を形成し;
ここで、Jは、ヒドリド、アミノ、NHR、NR、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキルアミノ、ヒドロキシル、チオ、アルキルチオ、アルケニルチオ、スルフィニル、スルホニル、アジド、シアノ、ハロ、
【0021】
【化8】

からなる群より選択され;
ここで、R24、R25、およびR26のそれぞれは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より独立して選択されるか;またはR24およびR25が一緒に5〜8員のヘテロシクリル環を形成し;
ここで、RおよびRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルから独立して選択されるか;
あるいは、Jは、R17と一緒に、5〜8員のヘテロシクリル環またはシクロアルキル環を形成するか;
あるいは、Jは、R17およびR18の両方と一緒に、5〜8員のアリール環、シクロアルキル環、ヘテロシクリル環またはヘテロアリール環を形成し;そして ここで各R17およびR18がヒドリド、ヒドロキシル、ハロ、アルコキシ、アミノ、チオ、スルフィニル、スルホニルおよび
【0022】
【化9】

からなる群より独立して選択され;または
ここで、R17およびR18は、一緒になって、ケタール、チオケタール、
【0023】
【化10】

からなる基を形成し得、ここで、各R22およびR23がヒドリドおよびアルキルからなる群より独立して選択される。
【0024】
別の実施形態において、本発明はまた、式Iの化合物を含む薬学的組成物およびその使用方法を提供する。
【0025】
さらなる実施形態において、本発明は、式Iの化合物およびそれらの薬学的組成物を製造する方法を提供する。
【0026】
なおさらなる実施形態において、本発明は、式Iの化合物調製のための中間体として有用な化合物を提供する。
【0027】
なおさらなる実施形態において、本発明は、式Iの化合物を使用してヒトにおける細菌感染を処置する方法を提供する。
【0028】
(発明の詳細な説明)
(定義)
分子という用語は、本出願中で使用される場合、他に明記しない限り、それらの一般的な意味を有する。
【0029】
用語「ヒドリド」は、単一の水素原子(H)を示す。
【0030】
用語「アシル」は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、またはヘテロアリール基に結合されたカルボニルラジカルとして規定され、例えば、限定しないが、アセチルおよびベンゾイルのようなラジカルが挙げられる。
【0031】
用語「アミノ」は、ヒドリド、アルキル、シクロアルキル、カルボアルコキシ、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、およびスルホニルからなる群より独立して選択される2つの置換基を含む窒素ラジカルを示す。用語アミノのサブセットは、(1)NHラジカルを示す、用語「非置換アミノ」、(2)ヒドリド基およびアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールから選択される置換基を含む窒素ラジカルとして規定される、用語「一置換アミノ」、および(3)アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから独立して選択される2つの置換基を含む窒素ラジカルとして規定される、用語「二置換アミノ」である。好ましい一置換アミノラジカルは、「低級一置換アミノ」ラジカルであり、置換基は、低級アルキル基である。好ましい二置換アミノラジカルは、「低級二置換アミノ」ラジカルであり、置換基は、低級アルキルである。
【0032】
用語「アシルオキシ」は、アシル基に隣接した酸素ラジカルを示す。
【0033】
用語「アシルアミノ」は、アシル基に隣接した窒素ラジカルを示す。
【0034】
用語「カルボアルコキシ」は、アルコキシ基またはアリールオキシ基に隣接したカルボニルラジカルとして規定される。
【0035】
用語「カルボキシアミド」は、アミノ基に隣接したカルボニルラジカルを示す。
【0036】
用語「ハロ」は、ブロモラジカル、クロロラジカル、フルオロラジカル、またはヨードラジカルとして規定される。
【0037】
用語「チオ」は、二価の硫黄原子に結合したヒドリド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択される置換基を含むラジカル(例えば、メチルチオおよびフェニルチオ)を示す。
【0038】
用語「アルキル」は、他に明示しない限り、1個〜約20個の炭素原子を有する直鎖または分子鎖の飽和ラジカルとして規定される。好ましいアルキルラジカルは、1個〜約5個の炭素原子を有する「低級アルキル」ラジカルである。1つ以上の水素原子はまた、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、オキソ、グアニジノ、ホルミル、およびアミノ酸側鎖から選択される置換基によって置換され得る。アルキル基の例としては、限定しないが、メチル、tert−ブチル、イソプロピル、およびメトキシメチルが挙げられる。用語アルキルのサブセットは、(1)置換基を有さないアルキル基として定義される「非置換アルキル」、(2)(a)1つ以上の水素原子が、アシル、アシルオキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、N−スルホニルカルボキシアミド、N−アシルアミノスルホニルから選択される置換基によって置換されるか、または(b)2つ以上の水素原子が、それぞれ、ヒドロキシル、カルボキシ、C〜Cアルコキシ、アミノ、アシルアミノ、オキソまたはグアニジノから独立して選択される置換基によって置換されるアルキルラジカルを示す、「置換アルキル」;ならびに(3)(a)1つのプロトンがヒドロキシル、カルボキシC〜Cアルコキシ、非置換アミノ、アシルアミノ、またはアシルアミノフェニルから選択される基によって置換されるか、または(b)1つから3つのプロトンがハロ置換基によって置換されるアルキルラジカルを示す、用語「選択置換アルキル」である。
【0039】
用語「アルケニル」は、2個〜約20個の炭素原子、好ましくは、3個〜約10個の炭素原子を有し、そして少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む直鎖または分枝鎖のラジカルとして規定される。1つ以上の水素原子がまた、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、ホルミル、オキソおよびグアニジノから選択される置換基によって置換され得る。不飽和炭化水素鎖の二重結合部分は、シスまたはトランスの配置のいずれかであり得る。アルケニル基の例としては、限定しないが、エチレニルまたはフェニルエチレニルが挙げられる。
【0040】
用語「アルキニル」は、2個〜約10個の炭素原子を有し、そして少なくとも1つの炭素−炭素3重結合を含む直鎖または分枝鎖のラジカルを示す。1つ以上の水素原子がまた、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、ホルミル、オキソおよびグアニジノから選択される置換基によって置換され得る。アルキニル基の例としては、限定しないが、プロピニルが挙げられる。
【0041】
用語「アリール」または「アリール環」は、5個〜14個の環員を有する単一または縮合した炭素環式環系の芳香族ラジカルを示す。好ましい実施形態において、環系は、6個〜10個の環員を有する。1つ以上の水素原子がまた、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、アジド、アルキルチオ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、およびホルミルから選択される置換基によって置換され得る。アリール基の例としては、限定しないが、フェニル、ナフチル、ビフェニル、テルフェニルが挙げられる。用語アリールのサブセットは、(1)式:
【0042】
【化11】

の化合物を示す、用語「フェニル」、
(2)1つ以上のプロトンがアシル、アミノ、アシルオキシ、アジド、アルキルチオ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、N−スルホニルカルボキシアミド、およびN−アシルアミノスルホニルから選択される置換基によって置換されるフェニルラジカルとして規定される、用語「置換フェニル」、
(3)1つの水素原子がアシルアミノ基で置換されるフェニルラジカルを示す、用語「アシルアミノフェニル」である。1つ以上のさらなる水素原子がまた、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、アジド、アルキルチオ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、N−スルホニルカルボキシアミド、およびN−アシルアミノスルホニルから選択される置換基によって置換され得る。
【0043】
「ヘテロアリール」または「ヘテロアリール環」は、5個〜15個の環員を有する、単一または縮合した複素環式環系に、O、N、S、
【0044】
【化12】

から選択される1個〜4個の、ヘテロ原子またはヘテロ基を含む芳香族ラジカルを示す。好ましい実施形態において、ヘテロアリール環系は、6個〜10個の環員を有する。1つ以上の水素原子がまた、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、チオカルボニル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、およびホルミルから選択される置換基によって置換され得る。ヘテロアリール基の例としては、限定しないが、ピリジニル基、チアゾリル基、チアジアゾイル基、イソキノリニル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾイル基、トリアゾリル基、およびピロリル基が挙げられる。用語ヘテロアリールのサブセットは、(1)式:
【0045】
【化13】

の化合物を示す、用語「ピリジニル」、
(2)1つ以上のプロトンが、アシル、アミノ、アシルオキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、N−スルホニルカルボキシアミド、およびN−アシルアミノスルホニルから選択される置換基によって置換されるピリジニルラジカルとして規定される、用語「置換ピリジニル」および
(3)1つの水素原子がアシルアミノ基によって置換されるピリジニルラジカルを示す、用語「アシルアミノピリジニル」であり、さらに、1つ以上のさらなる水素原子が、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、チオカルボニル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、N−スルホニルカルボキシアミド、およびN−アシルアミノスルホニルから選択される置換基によって置換され得る。
【0046】
用語「シクロアルキル」または「シクロアルキル環」は、3個〜12個の環員を有する単一または縮合した炭素環式環系の飽和または部分不飽和炭素環式環として規定される。好ましい実施形態において、シクロアルキルは、3個〜7個の環員を有する環系である。1つ以上の水素原子がまた、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニルおよびホルミルから選択される置換基によって置換され得る。シクロアルキル基の例としては、限定しないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルが挙げられる。
【0047】
用語「ヘテロシクリル」、「複素環式」または「ヘテロシクリル環」は、3個〜12個の環員を有する単一または縮合した複素環式環系に、O、N、NH、
【0048】
【化14】

(ここで、Rが、Rについて規定された通りであるか、
【0049】
【化15】

である)から選択される、1個〜4個のヘテロ原子またはヘテロ基を含む、飽和、または部分不飽和環として規定される。好ましい実施形態において、ヘテロシクリルは、3個〜7個の環員を有する環系である。1つ以上の水素原子がまた、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、オキソ、チオカルボニル、イミノ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニルおよびホルミルから選択される置換基によって置換され得る。ヘテロシクリル基の例としては、限定しないが、モルホリニル、ピペリジニル、およびピロリジニルが挙げられる。
【0050】
用語「アルコキシ」は、アルキル基、シクロアルキル基、またはヘテロシクリル基で置換された酸素含有ラジカルを示す。例としては、限定しないが、メトキシ、tert−ブトキシ、ベンジルオキシ、およびシクロヘキシルオキシが挙げられる。
【0051】
用語「アリールオキシ」は、アリールまたはヘテロアリール基で置換された酸素含有ラジカルを示す。例としては、限定しないが、フェノキシが挙げられる。
【0052】
用語「アミノ酸側鎖」は、天然または非天然のアミノ酸由来の任意の側鎖(R基)を示す。
【0053】
用語「スルフィニル」は、オキソ置換基およびアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、またはヘテロアリール基からなる群より選択される第2置換基で置換された4価の硫黄ラジカルとして規定される。
【0054】
用語「スルホニル」は、2つのオキソ置換基およびアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、またはヘテロアリール基から選択される第3置換基で置換された6価の硫黄ラジカルとして規定される。
【0055】
用語「カルバメートアミノ保護基」は、アミノ基に結合した場合、カルバメートを形成する認識されたアミノ保護基として規定される。カルバメートアミノ保護基の例としては、Theodora W.Greeneによる、「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley and Sons、New York、1981に見出され得る。カルバメートアミノ保護基の例としては、ベンジルオキカルボニル、t−ブトキシカルボニル、t−アミルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、クロロベンジルオキシカルボニル、ニトロベンジルオキシカルボニルなどが挙げられる。
【0056】
本発明の化合物(好ましくは、式Iの化合物)の塩は、酸付加塩および塩基付加塩を含む。好ましい実施形態において、塩は、式Iの化合物の薬学的に受容可能な塩である。用語「薬学的に受容可能な塩」は、アルカリ金属塩を形成するためおよび遊離酸または遊離塩基の付加塩を形成するために通常使用される塩を包含する。塩の性質は、重要ではないが、ただし、塩は薬学的に受容可能である。本発明の化合物(好ましくは、式Iの化合物)の適切な薬学的に受容可能な酸付加塩は、無機酸または有機酸から調製され得る。このような無機酸の例としては、限定しないが、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸およびリン酸が挙げられる。適切な有機酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、アリール脂肪族(arylaliphatic)、複素環式、カルボキシルおよびスルホンのクラスの有機酸から選択され得、この例としては、限定しないが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、マレイン酸、エンボン酸(embonic)(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、パントテン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルファニル酸、メシル(mesylic)酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルゲン(algenic)酸、β−ヒドロキシ酪酸、マロン酸、ガラクチン(galactic)酸、およびガラクツロン酸が挙げられる。本発明の化合物(好ましくは、式Iの化合物)の適切な薬学的に受容可能な塩基付加塩としては、限定しないが、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛から作製される金属塩またはN,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、リジンおよびプロカインから作製される有機塩が挙げられる。これらの塩の全てが、例えば、本発明の化合物(好ましくは、式Iの化合物)を適切な酸または塩基で処理することによって、本発明の対応する化合物(好ましくは、式Iの化合物)から従来の手段によって調製され得る。
【0057】
本発明の化合物(好ましくは、式Iの化合物)は、1つ以上の不斉炭素原子を有し得、従って、光学異性体の形態ならびにそのラセミまたは非ラセミ混合物の形態で存在し得る。本発明の化合物(好ましくは、式Iの化合物)は、単一の異性体としてまたは立体化学異性体形態の混合物として本発明で使用され得る。ジアステレオマー(すなわち、重ね合わせ不可能な立体化学異性体)は、クロマトグラフィー、蒸留、結晶化または昇華のような従来の手段によって分離され得る。光学異性体は、例えば、光学活性な酸または塩基での処理によるジアステレオマーの塩の形成によって、従来のプロセスに従ってラセミ混合物の分割により得られ得る。適切な酸の例としては、限定しないが、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸およびショウノウスルホン酸が挙げられる。ジアステレオマーの混合物は、結晶化、続いてこれらの塩からの光学活性塩基の遊離によって分離され得る。光学活性異性体の分離のための代替のプロセスとしては、エナンチオマーの分離を最大化するために最適に選択されたキラルカラムクロマトグラフィーの使用が挙げられる。なお別の利用可能な方法としては、活性化された形態または光学的に純粋なイソシアネート中で、本発明の化合物(好ましくは、式Iの化合物)を光学的に純粋な酸と反応させることによる、共有結合ジアステレオマー分子の合成を含む。合成されたジアステレオマーは、クロマトグラフィー、蒸留、結晶化または昇華のような従来の手段によって分離され得、次いで、加水分解されてエナンチオマー的に純粋な化合物が得られ得る。本発明の光学的に活性な化合物(好ましくは、式Iの化合物)は、光学的に活性な開始物質を使用することによって、同様に得られ得る。これらの異性体は、遊離酸、遊離塩基、エステルまたは塩の形態であり得る。
【0058】
本発明はまた、単離された化合物を包含する。単離された化合物とは、混合物中に存在する、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも50%、そして最も好ましくは少なくとも80%の化合物を表す化合物をいう。好ましい実施形態において、化合物、その薬学的に受容可能な塩、またはこの化合物を含む薬学的組成物は、本明細書に記載されるような従来の生物学的アッセイで試験した場合、検出可能な(すなわち、統計的に有意な)抗菌活性を示す。
【0059】
(リポペプチド化合物)
本発明は、式(I)の化合物:
【0060】
【化16】

およびその塩を提供し、 ここで、Rは:
【0061】
【化17】

であり、ここで、XおよびX”は、独立して、C=O、C=S、C=NH、C=NR、S=OまたはSOから選択され;
ここで、nは0または1であり;
ここで、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシまたはカルボアルコキシから選択され;
ここで、Bは、X”R、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;そしてここで、Rは、ヒドリド、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヒドロキシルから選択される。
【0062】
1つの局面において、Aは、H、NH、NHR、NR、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;
ここで、RおよびRは、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはカルボアルコキシから選択され;
ここで、nが0である場合には、Aは、さらに以下:
【0063】
【化18】

からなる群から選択され、ここで、R50〜R53の各々は、独立して、C〜C15アルキルから選択され;
但し、BがHであり、そしてXがC=Oである場合には、Aは、以下:
(a)1つのNHC(O)R置換基で置換されたピリジニル環;
(b)1つのNHC(O)R置換基で置換された(C〜C)の飽和シクロアルキル環であって、ここで、Rは、(C〜C17)の非置換アルキルまたは(C〜C17)の非置換アルケニルである、(C〜C)の飽和シクロアルキル環、以外であり;そして
BがHであり、そしてnが0である場合、AはHではない。
【0064】
別の局面において、Aは、アリールであり;
但し、BがHであり、そしてXがC=Oである場合には、Aは、以下:
(a)−O−((C〜C15)非置換アルキル)であって、ここで、このフェニル環が、ハロ、ニトロ、(C〜C)アルキル、ヒドロキシル、(C〜C)アルコキシ、または(C〜C)アルキルチオから選択される1つの置換基でさらに必要に応じて置換され得る、−O−((C〜C15)非置換アルキル);または
(b)−NHC(O)Rであって、ここで、このフェニル環が、アミノ、ニトロ、(C〜C)アルキル、ヒドロキシル、(C〜C)アルコキシ、ハロ、メルカプト、(C〜C)アルキルチオ、カルバミルまたは(C〜C)アルキルカルバミルから独立して選択される1〜2個の置換基でさらに必要に応じて置換され得る、−NHC(O)R、のいずれかで置換されたフェニル環以外である。
【0065】
本発明の第3の局面において、Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはアリールオキシであり;
但し、BがHであり、そしてXがC=Oである場合には、Aは、以下:
(a)−(C〜C16非置換アルキル)−NH
(b)−(C〜C10非置換アルキル)−NHC(O)R、ここで、Rは、先に定義された通りであり;
(c)1つまでのヒドロキシル、カルボキシルもしくはC〜Cアルコキシ、または1〜3個のハロ置換基で必要に応じて置換された、−(C〜C18)アルキル;
(d)−C〜C18の非置換アルケニル;
【0066】
【化19】

以外であり、ここで、R54は、C〜C17−非置換アルキルまたはC〜C17非置換アルケニルから選択され;R55は、ヒドロキシエチル、ヒドロキシメチル、メルカプトメチル、メルカプトエチル、メチルチオエチル、2−チエニル、3−インドールメチル、フェニル(ハロ、ニトロ、C〜C−非置換アルキル、ヒドロキシ、C〜C非置換アルコキシ、C〜C−非置換アルキルチオ、カルバミルもしくはC〜C−非置換アルキルカルバミルから選択される基で必要に応じて置換される)であるか;またはハロ、ニトロ、C〜C−非置換アルキル、ヒドロキシ、C〜C−非置換アルコキシ、C〜C−非置換アルキルチオ、カルバミルまたはC〜C−非置換アルキルカルバミルから選択される基で必要に応じて置換される、ベンジルから選択され、;ここで、tは、0または1であり;そしてここで、uは、1〜3の整数であり;そして
BがHであり、そしてXがC=Oである場合には、Xは、Aと一緒になって、カルバメートアミノ保護基を形成せず;そして
BがHであり、そしてn=0である場合には、Aは、C〜C14の非置換アルキルでない。
【0067】
第4の局面において、BおよびAは、一緒に、5〜7員の複素環式環またはヘテロアリール環を形成する。
【0068】
ここで、Rは、
【0069】
【化20】

であり、ここで、X’およびX”’は、独立して、C=O、C=S、C=NH、C=NRX’、S=OまたはSOから選択され;
ここで、mは0または1であり;
ここで、Rx’は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシまたはカルボアルコキシから選択され;
ここで、B’は、X”’RY’、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;
ここで、RY’は、ヒドリド、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヒドロキシルから選択され;
ここで、A’は、H、NH、NHRA’、NRA’B’、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;
ここで、RA’およびRB’は、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはカルボアルコキシから選択され;
ここで、mが0である場合には、A’は、さらに以下:
【0070】
【化21】

から選択され、ここで、R50〜R53の各々は、独立して、C〜C15アルキルから選択され;
あるいは、ここで、B’およびA’は、一緒になって、5〜7員の複素環式環またはヘテロアリール環を形成する。
【0071】
ここで、Rは、
【0072】
【化22】

であり、ここで、KおよびK’は、一緒になって、C〜Cシクロアルキル環またはヘテロシクリル環あるいはC〜C10アリール環またはヘテロアリール環を形成し;
ここで、Jは、ヒドリド、アミノ、NHR、NR、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキルアミノ、ヒドロキシ、チオ、アルキルチオ、アルケニルチオ、スルフィニル、スルホニル、アジド、シアノ、ハロ、
【0073】
【化23】

からなる群より選択され、
ここで、R24、R25、およびR26の各々は、独立して、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択されるか;またはR24およびR25が一緒になって、5〜8員のヘテロシクリル環を形成し;
ここで、RおよびRは、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルから選択されるか;
あるいは、ここで、Jは、R17と一緒になって、5〜8員のヘテロシクリル環またはシクロアルキル環を形成するか;
あるいは、ここで、Jは、R17とR18との両方と一緒になって、5〜8員のアリール環、シクロアルキル環、ヘテロシクリル環またはヘテロアリール環を形成し;そして ここで、R17およびR18の各々は、独立して、ヒドリド、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、チオ、スルフィニル、スルホニルおよび
【0074】
【化24】

からなる群より選択されるか;または
ここで、Rl7およびRl8が一緒になって、ケタール、チオケタール、
【0075】
【化25】

からなる群より選択され、
ここで、R22およびR23の各々は、独立して、ヒドリドおよびアルキルからなる群より選択される。
【0076】
本発明の好ましい実施形態において、Rは、
【0077】
【化26】

から選択され、ここで、R、R、R、およびRの各々は、独立して、ヒドリド、アルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールからなる群より選択され、そしてここで、R44は、アルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールからなる群より選択される。
【0078】
本発明のより好ましい実施形態において、Rは、
【0079】
【化27】

から選択され、ここで、R4’は、アルキル、アリール置換アルキル、置換フェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、必要に応じて置換される(C〜C14)−直鎖アルキルおよび
【0080】
【化28】

からなる群より選択され;ここで、Rがアルキル基である。
【0081】
本発明のなおさらに好ましい実施形態において、Rは、
【0082】
【化29】

であり、ここで、Xは、クロロまたはトリフルオロメチルであり、そしてここで、qが0または1である。
【0083】
本発明の好ましい実施形態において、Rは、
【0084】
【化30】

の群より選択され、Rは、アミノ酸側鎖から選択され、ここで、このアミノ酸側鎖は、天然のアミノ酸側鎖または天然には存在しないアミノ酸側鎖であり得;ここで、R、R10およびR11の各々は、ヒドリド、アルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールから選択され;ここで、R12は、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、およびアルキルからなる群より選択され、そしてここで、R13は、(C〜C−アルキル)およびアリールから選択される。
【0085】
本発明のより好ましい実施形態において、Rは、
【0086】
【化31】

からなる群より選択され、ここで、ここで、Rは、トリプトファン側鎖およびリジン側鎖から選択され;ここで、R10およびR11の各々は、独立して、ヒドリドおよびアルキルから選択され;ここで、R12は、イミダゾリル、N−メチルイミダゾリル、インドリル、キノリニル、ベンジルオキシベンジル、およびベンジルピペリデニルベンジルから選択され;そしてここで、Xは、フルオロ、およびトリフルオロメチルから選択される。
【0087】
の好ましい実施形態において、Jは、ヒドリド、アミノ、アジド、および
【0088】
【化32】

からなる群から選択され、ここでR17およびR18は、一緒に、ケタール、
【0089】
【化33】

からなる群から選択される基を形成し、
あるいは、R18がヒドリドの場合、R17はヒドロキシルである。あるいは、Jは、R17と一緒に、ヘテロシクリル環を形成する。
【0090】
本発明のより好ましい実施形態において、Rは、以下:
【0091】
【化34】

から選択され、ここでR17およびR18は、一緒に以下:
【0092】
【化35】

から選択される基を形成し、ここでR22は、Hおよびアルキルからなる群から選択され;ここでR19は、ヒドリド、アミノ、アジドおよび
【0093】
【化36】

からなる群から選択される。
【0094】
本発明のなおより好ましい実施形態において、Rは、以下:
【0095】
【化37】

である。
【0096】
表Iは、式Iの例示的な化合物を提供する。
【0097】
【表1】





【0098】
式Iの好ましい化合物は、化合物2、化合物3、化合物18、化合物48、化合物89、化合物116、化合物118および化合物120である。
【0099】
他の好ましい化合物には、式(I’)の化合物、
【0100】
【化38】

が含まれ、ここで、R100、R101、R102は、表II:
【0101】
【表2】


において定義される。
【0102】
好ましい実施形態に従って、本発明は、式(I)の化合物およびその塩の、1つ以上の結晶形態を提供する。
【0103】
(リポペプチド中間体)
本発明はまた、式Iの化合物の調製のための中間体として特に有用な化合物を提供する。これらの化合物はまた、上記のような抗菌特性を有し得る。本発明の1つの局面において、式IIの化合物が提供される:
【0104】
【化39】

ここで、R14は、以下:
【0105】
【化40】

からなる群から選択され、ここでR56は、必要に応じて置換された直鎖C〜C14アルキル基であり、そしてここで、q’は0〜3である。
【0106】
化合物1、2、18、48、116、118および120は、抗菌性化合物としてならびに本発明の化合物の合成における中間体としての両方に有用である。
【0107】
化合物72、73および74、ならびに表IIIにおける式(II)化合物は、抗菌性化合物としてならびに本発明の化合物の合成における中間体として有用である他の好ましい化合物である。
【0108】
【表3】

【0109】
表IVは、本発明の化合物の合成における中間体として有用である、式(III)の化合物を提供する。
【0110】
【表4】

【0111】
本発明の別の局面において、式Iの化合物の調製のための有用な中間体として、および/または抗菌性化合物として、式IIIの化合物が提供される:
【0112】
【化41】

ここでR15は、ヒドリドおよびカルバメートアミノ保護基(好ましくはtert−ブトキシカルボニル基)から選択され;ここでR16は、以下:
【0113】
【化42】

からなる群から選択され、ここでR57は、ハロまたはハロ置換アルキル基(好ましくはフルオロまたはトリフルオロメチル基)であり;ここでR20は、アミノ酸側鎖(好ましくは、リジンまたはトリプトファン側鎖)である。
【0114】
(リポペプチド化合物薬学的組成物およびその使用方法)
本発明の別の目的は、リポペプチド化合物またはその塩、ならびにリポペプチド化合物またはその塩を含む薬学的組成物または薬学的処方物を提供することである。
【0115】
リポペプチド化合物、またはその薬学的に受容可能な塩は、疾患(特に、細菌感染)の治療的または予防的な処置のために、経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与または非経口的投与のために処方され得る。経口投与または非経口的投与について、本発明のリポペプチド化合物は、従来の薬学的キャリアおよび賦形剤と混合されて、錠剤、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハなどの形態で使用され得る。本発明の化合物を含む組成物は、約0.1〜約99重量%、およびより一般的には約10〜約30%の活性化合物を含む。
【0116】
本明細書中で開示される薬学的調製物は、標準的な手順に従って調製され、そして感染を減少、予防、または除去するために選択される投薬量で投与される(ヒトの治療のための種々の抗菌剤の投与方法の一般的な記載として、例えば、RemingtonのPharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,PAならびにGoodmanおよびGilmanのThe Pharceutical Basis of Therapeutics,Pergamon Press,New York,NY(これらの内容は、本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)。本発明の組成物(好ましくは式Iの化合物)は、制御された(例えば、カプセル)かまたは徐放性の送達系(例えば、生物腐食性(bioerodable)マトリックス)を使用して送達され得る。本発明の組成物(好ましくは、式Iの組成物)の投与に適切な、薬物送達のための例示的な遅延放出送達系は、米国特許第4,452,775号(Kentに対して発行)、同第5,239,660号(Leonardに対して発行)、同第3,854,480号(Zaffaroniに対して発行)に記載される。
【0117】
本発明の薬学的に受容可能な組成物は、1つ以上の無毒性の薬学的的に受容可能なキャリアおよび/または希釈剤および/またはアジュバントおよび/または賦形剤(本明細書中では、集合的に「キャリア」材料といわれる)、ならびに所望の場合には他の活性成分と関連して、本発明の1つ以上の化合物(好ましくは、式Iの化合物)を含む。この組成物は、通常のキャリアおよび賦形剤(例えば、コーンスターチまたはゼラチン、ラクトース、ショ糖、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、リン酸二カルシウム、塩化ナトリウムおよびアルギン酸)を含み得る。この組成物は、クロスカルメロース(croscarmellose)ナトリウム、微結晶性セルロース、コーンスターチ、グリコール酸デンプンナトリウムおよびアルギン酸を含み得る。
【0118】
含まれ得る錠剤結合剤は、アカシア、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン(Povidone)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ショ糖、デンプンおよびエチルセルロースである。
【0119】
使用され得る滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウムまたは他の金属ステアリン酸塩、ステアリン酸、シリコーン流体、滑石、蝋、油およびコロイド状シリカが挙げられる。
【0120】
矯味矯臭剤(例えば、ペパーミント、冬緑樹の油、チェリーの味付けなど)もまた、使用され得る。剤形の外観をより美しくするため、または製品の同定を助けるために、着色剤を添加することもまた所望され得る。
【0121】
経口使用について、固体処方物(例えば、錠剤およびカプセル剤)は、特に有用である。徐放性または腸溶性の調製物もまた、所望され得る。小児科および老人性の適用について、懸濁液、シロップおよび噛むことができる錠剤が特に適切である。経口投与について、この薬学的組成物は、例えば、錠剤、カプセル、懸濁液または液体の形態である。この薬学的組成物は、好ましくは治療有効量の活性成分を含む投薬量単位の形態で作製される。このような投薬量単位の例は、錠剤およびカプセルである。治療目的について、この錠剤およびカプセルは、活性成分に加えて、以下のような従来のキャリアを含み得る:例えば、結合剤(例えば、アカシアゴム、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ソルビトール、またはトラガント);充填剤(例えば、リン酸カルシウム、グリシン、ラクトース、トウモロコシのデンプン、ソルビトール、またはショ糖);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、シリカ、または滑石);崩壊剤(例えば、ジャガイモのデンプン)、矯味矯臭剤または着色剤、あるいは受容可能な湿潤剤。一般に水性または油性の溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップまたはエリキシルの形態である経口液体調製物は、従来の添加剤(例えば、懸濁剤、乳化剤、非水性薬剤(non−aqueous agent)、保存剤、着色剤および矯味矯臭剤)を含み得る。液体調製物のための添加剤の例としては、アカシア、アーモンド油、エチルアルコール、分画されたやし油、ゼラチン、グルコースシロップ、グリセリン、硬化食用脂、レシチン、メチルセルロース、メチルまたはプロピルpara−ヒドロキシベンゾエート、プロピレングリコール、ソルビトール、またはソルビン酸が挙げられる。
【0122】
静脈内(IV)使用について、本発明に従うリポペプチド化合物は、通常使用される静脈内流体のいずれかに溶解または懸濁され得、そして注入によって投与され得る。静脈内流体としては、生理学的な生理食塩水またはリンガー溶液が挙げられるがこれらに限定されない。静脈内投与は、限定しないが、シリンジ、ミニポンプまたは静脈内ラインを使用することによって達成され得る。
【0123】
非経口的投与のための処方物は、水性または非水性の等張性滅菌注入溶液または懸濁液の形態であり得る。これらの溶液または懸濁液は、経口投与のための処方物における使用のために言及したキャリアのうちの1つ以上を有する滅菌された粉末または顆粒から調製され得る。この化合物は、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、コーン油、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、および/または種々の緩衝液中に溶解され得る。
【0124】
筋肉内調製物について、リポペプチド化合物の滅菌処方物またはこの化合物の適切な溶解性塩形態(例えば、塩酸塩)は、薬学的希釈剤(例えば、注入のための水(WFI)、生理学的生理食塩水または5%グルコース)中に溶解され、そして投与され得る。この化合物の適切な不溶性形態は、水性ベースまたは薬学的に受容可能な油ベースの懸濁液(例えば、オレイン酸エチルのような長鎖脂肪酸のエステル)として調製され、そして投与され得る。
【0125】
リポペプチド化合物の静脈内処方物、筋肉内処方物または非経口(parental)処方物の用量は、ボーラスとしてかまたはゆっくりとした注入によって投与され得る。ボーラスは、30分未満で投与される用量である。好ましい実施形態において、ボーラスは、15分未満または10分未満で投与される。より好ましい実施形態において、ボーラスは、5分未満で投与される。なおより好ましい実施形態において、ボーラスは1分以下で投与される。注入は、30分以上の速度で投与される用量である。好ましい実施形態において、この注入は、1時間またはそれ以上である。別の実施形態において、注入は実質的に一定である。
【0126】
局所使用について、本発明の化合物はまた、皮膚、または鼻および咽喉の粘膜への適用に適切な形態で調製され得、そして、クリーム、軟膏、液体スプレーまたは吸入剤、ロゼンジ、あるいは咽喉塗布剤の形態を取り得る。このような局所処方物は、この活性成分の表面浸透を促進するために、ジメチルスルホキシド(DMSO)のような化合物をさらに含み得る。
【0127】
眼または耳への適用について、本発明の化合物は、軟膏、クリーム、ローション、塗布剤または粉末として、疎水性または親水性の基剤中に処方された液体または半液体の形態で存在し得る。
【0128】
直腸投与について、本発明の化合物は、カカオ脂、蝋または他のグリセリドのような従来のキャリアと混合された坐剤の形態で投与され得る。
【0129】
あるいは、本発明の化合物は、送達の時点で、薬学的に受容可能な適切なキャリア中で再形成するための粉末の形態であり得る。別の実施形態において、この化合物の単位剤形は、滅菌された密封シールされたアンプルまたは滅菌のシリンジ中の、適切な希釈剤中のこの化合物、または好ましくはその塩の溶液であり得る。単位投与量におけるこの化合物の濃度は、使用される化合物およびその溶解性、ならびに医師によって所望される用量に依存して、例えば約1パーセント〜約50パーセントで変化し得る。この組成物が投薬量単位を含む場合、各投薬量単位は、好ましくは1〜500mgの活性物質を含む。成体ヒトの処置について、用いられる投薬量は、投与の経路および頻度に依存して、好ましくは1日当たり5mg〜10gにわたる。
【0130】
別の局面において、本発明は、微生物(好ましくは、細菌)の増殖を阻害するための方法を提供し、この方法は、本発明の化合物(好ましくは、式Iの化合物)のこの生物への侵入およびこの微生物への侵入を可能にする条件下で、この生物体をこの化合物と接触させる工程を包含する。このような条件は、当業者に公知であり、そして実施例において例示される。この方法は、インビボまたはインビトロで、微生物細胞を治療有効量の本発明の化合物(好ましくは式Iの化合物)と接触させる工程を包含する。
【0131】
本発明のこの局面に従って、本明細書中に開示される新規な組成物は、薬学的に受容可能なキャリア中に置かれ、そして薬物送達の公知の方法に従って、レシピエント被験体(好ましくはヒト)に送達される。一般に、インビボで本発明の組成物を送達するための本発明の方法は、当該分野で認識されたプロトコルの薬物を本発明の化合物(好ましくは、式Iの化合物)に置換しただけの実質的な手順改変を用いて、薬剤を送達するための当該分野で認識されたプロトコルを利用する。同様に、培養物中の細胞を処置するため(例えば、細胞培養物の細菌混入のレベルを除去または減少させるため)の、特許請求した組成物を使用するための方法は、当該分野で認識されたプロトコルで使用される薬剤を本発明の化合物(好ましくは、式Iの化合物)に置換しただけの実質的な手順改変を用いて、抗菌剤で細胞培養物を処置するための当該分野で認識されたプロトコルを用いる。
【0132】
1つの実施形態において、本発明は、被験体における感染(特に、グラム陽性細菌によって引き起こされる感染)を、治療有効量の式Iに従うリポペプチド化合物で処置するための方法を提供する。抗菌剤を送達するための例示的な手順は、Rogersに発行された米国特許第5,041,567号、およびPCT特許出願EP94/02552(公開番号WO 95/05384)に記載される(これらの文書の内容全体は、その全体において本明細書中で参考として援用される)。本明細書中で使用される場合、句「治療有効量」は、発症を予防するか、症状を緩和するか、または細菌感染の進行を停止させる、本発明の化合物の量を意味する。用語「処置」は、感染の発生の予防および感染の制御または除去の両方のために、被験体に、本発明の化合物(好ましくは、式Iの化合物)の治療有効量を投与することとして定義される。用語「被験体」は、本明細書中で使用される場合、哺乳動物、植物、または細胞培養物として定義される。好ましい実施形態において、被験体は、リポペプチド化合物の処置を必要とするヒト患者または他の動物患者である。
【0133】
この方法は、被験体に本発明の化合物の有効な用量を投与する工程を包含する。有効な用量は、一般に、式Iのリポペプチド化合物またはその薬学的に受容可能な塩の、約0.1mg/kgと100mg/kgとの間である。好ましい用量は、式Iのリポペプチド化合物またはその薬学的に受容可能な塩の、約0.1〜約50mg/kgである。より好ましい用量は、式Iのリポペプチド化合物またはその薬学的に受容可能な塩の、約1〜25mg/kgである。細胞培養物についての有効な用量は、通常は0.1μg/mLと1000μg/mLとの間、より好ましくは0.1μg/mLと200μg/mLとの間である。
【0134】
式Iの化合物は、1日1回の用量または1日当たり複数の用量で投与され得る。処置レジメンは、長期(例えば、数日または2〜4週間)にわたる投与を必要とし得る。投与される用量当たりの量または投与される総量は、感染の性質および重症度、患者の年齢および全身的健康、この化合物および感染に関与する微生物に対する患者の耐性などの要因に依存する。患者へのダプトマイシン(リポペプチド化合物クラスの別のメンバー)の投与方法は、1998年9月25日出願の米国仮出願番号60/101,828および1999年3月24日出願の60/125,750に対して利益を主張する、1999年9月24日出願の米国出願番号09/406,568に開示される。
【0135】
本発明に従うリポペプチド化合物はまた、患者または動物の食餌または飼料において投与され得る。総食事摂取の一部として投与される場合、使用される化合物の量は、食餌の1重量%未満であり得、そして好ましくは0.5重量%以下であり得る。動物のための食餌は、通常の食品であり得、これにこの化合物が添加され得るか、またはこの化合物は、プレミックスに添加され得る。
【0136】
本発明の方法は、必要とする被験体に、式Iのリポペプチド化合物またはその薬学的組成物を、細菌感染を減少または除去するのに有効な量で投与する工程を包含する。この化合物は、経口的に、非経口的に、吸入によって、局所的に、直腸的に、経鼻的に、舌下的に、膣内に、あるいは移植されたレザバ、外部ポンプ、またはカテーテルによって投与され得る。この化合物は、眼(opthalmic)の使用またはエアロゾル化した使用のために調製され得る。本発明の化合物は、肺炎または他の肺に基づく感染の処置のためのエアロゾルとして投与され得る。好ましいエアロゾル送達ビヒクルは、無水または乾燥した粉末吸入器である。式Iのリポペプチド化合物またはその薬学的組成物はまた、膿瘍、室または関節に直接注入または投与され得る。非経口的投与としては、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、槽、鞘内、肝臓内、病変内および頭蓋内の注射または注入が挙げられる。好ましい実施形態において、リポペプチド化合物は、静脈内、皮下的、または経口的に投与される。式Iに従うリポペプチド化合物を細胞培養物に投与するための好ましい実施形態において、この化合物は、栄養培地中に投与され得る。
【0137】
本発明の方法は、任意の型の細菌(特にグラム陽性細菌)によって引き起こされるかまたは悪化された細菌感染を有する被験体を処置するために使用され得る。1つの実施形態において、リポペプチド化合物またはその薬学的組成物は、本発明の方法に従って患者に投与される。好ましい実施形態において、細菌感染は、グラム陽性細菌によって引き起こされるかまたは悪化され得る。これらのグラム陽性細菌としては、メチシリン感受性およびメチシリン耐性のブドウ球菌(Staphylococcus aureus,S.epidermidis,S.haemolyticus,S.hominis,S.saprophyticus,コアグラーゼ陰性ブドウ球菌を含む)、グリコペプチド媒介感受性S.aureus(GISA)、ペニシリン感受性およびペニシリン耐性の連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae,S.pyogenes,S.agalactiae,S.avium,S.bovis,S.lactis,S.sangiusならびにStreptococci C群,Streptococci G群およびviridans streptococciを含む)、腸球菌(Enterococcus faecalisおよびE.faeciumのようなバンコマイシン感受性およびバンコマイシン耐性の菌株を含む)、Clostridium difficile,C.clostridiiforme,C.innocuum,C.perfringens,C.ramosum,Haemophilus influenzae,Listeria monocytogenes,Corynebacterium jeikeium,Bifidobacterium spp,Eubacterium aerofaciens,E.lentum,Lactobacillus acidophilus, L.casei,L.plantarum,Lactococcus spp.,Leuconostoc spp.,Pediococcus,Peptostreptococcus anaerobius,P.asaccarolyticus,P.magnus,P.micros,P.prevotii,P.productus,Propionibacterium acnes,Actinomyces spp.,Moraxella spp.(M.catarrhalisを含む)およびEscherichia spp.(E.coliを含む)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0138】
好ましい実施形態において、古典的な「耐性」菌株に対する式Iのリポペプチド化合物の抗菌活性は、インビトロ実験において、古典的な「感受性」菌株に対する活性に匹敵する。別の好ましい実施形態において、感受性菌株に対する、本発明に従うリポペプチド化合物の最小阻止濃度(MIC)値は、代表的にはバンコマイシンの値と同様またはそれよりも低い。従って、好ましい実施形態において、本発明のリポペプチド化合物またはその薬学的組成物は、本発明の方法に従って、他の化合物(バンコマイシンまたはダプトマイシンを含む)に耐性である細菌感染を示す患者に投与される。さらに、グリコペプチド抗生物質とは異なり、リポペプチド化合物は、グラム陽性生物に対して、迅速な濃度依存性殺菌活性を示す。従って、好ましい実施形態において、本発明に従うリポペプチド化合物またはその薬学的組成物は、本発明の方法に従って、迅速に作用する抗生物質治療を必要とする患者に投与される。
【0139】
本発明の方法は、身体における任意の器官または組織の任意の細菌感染について使用され得る。好ましい実施形態において、細菌感染は、グラム陽性の細菌によって引き起こされる。これらの器官または組織としては、骨格筋、皮膚、血流、腎臓、心臓、肺および骨が挙げられるがこれらに限定されない。本発明の方法は、これらに限定されないが、皮膚および軟部組織の感染、菌血症および尿路感染症を処置するために使用され得る。本発明の方法は、地域(community)後天性呼吸器感染(中耳炎、静脈洞炎、慢性の気管支炎および肺炎(薬物耐性のS.pneumoniaeまたはH.influenzaeによって引き起こされる肺炎を含む)が挙げられるがこれらに限定されない)を処置するために使用され得る。本発明の方法はまた、異なる型のグラム陽性細菌を含むか、またはグラム陽性およびグラム陰性の細菌両方を含む、混合感染を処置するために使用され得る。これらの型の感染としては、腹腔内感染および産科/婦人科の感染が挙げられる。本発明の方法はまた、心内膜炎、腎炎、敗血症性関節炎、腹腔内敗血症、骨感染および関節感染、ならびに骨髄炎が挙げられるがこれらに限定されない感染を処置するために使用され得る。好ましい実施形態において、上記の疾患の任意は、本発明に従うリポペプチド化合物またはその薬学的組成物を使用して処置され得る。
【0140】
本発明の方法はまた、1つ以上の他の抗菌(antimicrobial)剤(例えば、抗菌(antibacterial)剤(抗生物質))または抗真菌剤の投与と同時に実施され得る。1つの局面において、この方法は、本発明に従う1より多くのリポペプチド化合物を投与することによって実施され得る。別の実施形態において、この方法は、本発明に従うリポペプチド化合物を、ダプトマイシンのような別のリポペプチド化合物と共に投与することによって実施され得る。
【0141】
本発明の化合物と同時投与され得る抗菌剤およびそれらのクラスとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ペニシリンおよび関連の薬物、カルバペネム(carbapenem)、セファロスポリンおよび関連の薬物、アミノグリコシド、バシトラシン、グラミシジン、ムピロシン、クロラムフェニコール、チアンフェニコール、フシジン酸ナトリウム、リンコマイシン、クリンダマイシン、マクロライド、ノボビシン、ポリミキシン、リファマイシン、スペクチノマイシン、テトラサイクリン、バンコマイシン、テイコプラニン、ストレプトグラミン(streptogramin)、葉酸代謝拮抗薬(スルホンアミド、トリメトプリムおよびその組み合わせ、およびピリメタミンを含む)、合成抗菌剤(ニトロフラン、メタンアミンマンデル酸塩およびメタンアミン馬尿酸塩を含む)、ニトロイミダゾール、キノロン、フルオロキノロン、イソニアジド、エタンブトール、ピラジナミド、パラ−アミノサリチル酸(PAS)、サイクロセリン、カプレオマイシン、エチオナミド、プロチオンアミド、チアセタゾン、バイオマイシン、エベルニノマイシン(everninomicin)、グリコペプチド、グリシルサイクリン、ケトリド、オキサゾリジノン、イミペネム、アミカシン、ネチルマイシン、ホスホマイシン、ゲンタマイシン、セフトリアキソン、Ziracin、LY 333328、CL 331002、HMR 3647、Linezolid、Synercid、AztreonamおよびMetronidazole、Epiroprim、OCA−983、GV−143253、Sanfetrinemナトリウム、CS−834、Biapenem、A−99058.1、A−165600、A−179796、KA 159、Dynemicin A、DX8739、DU6681;Cefluprenam、ER 35786、Cefoselis、Sanfetrinem celexetil、HGP−31、Cefpirome、HMR−3647、RU−59863、Mersacidin、KP 736、Rifalazil;Kosan、AM 1732、MEN 10700、Lenapenem、BO 2502A、NE−1530、PR 39、K130、OPC 20000、OPC 2045、Veneprim、PD 138312、PD 140248、CP 111905、Sulopenem、リチペナムアコキシル(ritipenam acoxyl)、RO−65−5788、Cyclothialidine、Sch−40832、SEP−132613、ミカコシジン(micacocidin)A、SB−275833、SR−15402、SUN A0026,TOC 39、カルモナム、Cefozopran、Cefetamet PivoxilおよびT3811。
【0142】
好ましい実施形態において、本発明に従う化合物と共に同時投与され得る抗菌剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:イミペネン、アミカシン、ネチルマイシン、ホスホマイシン、ゲンタマイシン、セフトリアキソン、テイコプラニン、Ziracin、LY 333328、CL 331002、HMR 3647、Linezolid、Synercid、AztreonamおよびMetronidazole。
【0143】
本発明に従う化合物と同時投与され得る抗真菌剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Caspofungen、Voriconazole、Sertaconazole、IB−367、FK−463、LY−303366、Sch−56592、Sitafloxacin、DB−289ポリエン(例えば、Amphotericin、Nystatin、Primaricin);アゾール(例えば、Fluconazole、ItraconazoleおよびKetoconazole);アリルアミン(例えば、NaftifineおよびTerbinafine);ならびに代謝拮抗剤(例えば、Flucytosine)。他の抗真菌剤としては、Fostelら、Drug Discovery Today 5:25−32(2000)(本明細書中で参考として援用される)に開示される抗真菌剤が挙げられるが、これに限定されない。Fostelらは、Corynecandin、Mer−WF3010、Fusacandins、Artrichitin/LL 15G256γ、Sordarins、Cispentacin、Azoxybacillin、AureobasidinおよびKhafrefunginを含む抗真菌化合物を開示する。
【0144】
リポペプチド化合物は、細菌感染が根絶されるかまたは減少されるまで、この方法に従って投与され得る。一実施形態において、リポペプチド化合物は、3日から6ヶ月の期間投与される。好ましい実施形態において、リポペプチド化合物は、7日から56日間投与される。より好ましい実施形態において、リポペプチド化合物は、7日から28日間投与される。さらに好ましい実施形態において、リポペプチド化合物は、7日から14日間投与される。リポペプチド化合物は、このように所望される場合、より長いかまたは短い期間投与され得る。
【0145】
(リポペプチド化合物の合成のための一般的な手順)
式Iのリポペプチド化合物を、以下のように生成し得る。本発明のリポペプチド化合物は、ダプトマイシンを出発点として使用して半合成的に生成し得るか、または全合成アプローチによって生成し得る。
【0146】
本発明に従う半合成アプローチについて、ダプトマイシンは、当該分野で公知の任意の方法によって調製され得る。例えば、米国特許第4,885,243号および同第4,874,843号を参照のこと。ダプトマイシンは、そのアシル化状態で使用され得るか、またはダプトマイシンは、本明細書中で記載されるように、その使用の前に脱アシル化され得る。ダプトマイシンは、米国特許第4,482,487号に記載されるようなActinoplanes utahensisを使用して脱アシル化され得る。あるいは、ダプトマイシンは、以下のように脱アシル化され得る。
【0147】
ダプトマイシン(5.0g)を水(25ml)に溶解し、そして5M水酸化ナトリウムを用いてpHを9に調整した。ジ−tert−ブチルジカルボネート(1.5g)を添加し、そしてこの混合物を、反応が完了するまで(4時間)5M水酸化ナトリウムを用いてpH9に維持した。このpHを7に調整し、そしてこの混合物をBondesilの40μ C8樹脂カラムに充填した。このカラムを水で洗浄し、そして生成物をこのカラムからエタノールで溶離した。メタノールをエバポレートして、Boc保護ダプトマイシンを黄色の粉末として得た。
【0148】
デアシラーゼ酵素の調製は、組換えStreptomyces lividans(これは、Actinoplanes utahensisデアシラーゼ酵素を発現する)から生成した。エチレングリコール(400μl)中のこの酵素を、水(100ml)中のBOC−保護ダプトマイシン(1g)(pH7〜8)に添加した。72時間インキュベーションした後、この混合物を、Bondesilの40μ C8樹脂カラムに充填した。このカラムを水で洗浄し、そして生成物をこのカラムから水中10%アセトニトリルで溶離した。この生成物をエバポレートして、脱アシル化BOC保護ダプトマイシンを黄色の粉末として得た。
【0149】
(キヌレニン誘導体)
(スキーム1)
【0150】
【化43】

【0151】
ダプトマイシンは、芳香族アミノ基を、亜硝酸ナトリウム/塩酸またはイソアミルニトリルのような試薬を用いてジアゾニウム塩化合物Iに変換することによって、R2位で修飾を有するアナログに変換され得る。当業者に公知の化学を使用しそして開示の教示に従って、このジアゾニウム基は、次いで、アジ化ナトリウム、エチルキサントゲン酸カリウムまたは塩化銅のような試薬によって置換されて、誘導体の化合物II(ここで、R19は、上記で定義されたとおりである)を生成する。
(スキーム2)
【0152】
【化44】

【0153】
さらに、化合物Iは、アジド源(典型的には、アジ化ナトリウム)との反応によって、アジド化合物IIIに変換され得る。次いで、当業者に公知の化学(例えば、還元オキシム形成、脱離基へのケタール化変換、および置換)を使用してケトン基への修飾が行われて、式IVの化合物(ここで、R17およびR18は上記で定義された通りである)が得られ得る。
(スキーム3)
【0154】
【化45】

【0155】
化合物IVはまた、当業者に公知の化学を使用し、そして開示の教示に従って(例えば、トリフェニルホスフィンおよび水、または臭化水素ナトリウムのような還元試薬との反応)、アジド基をアミンに還元することによって、化合物Vに変換され得、ここで、R17およびR18は上記で定義された通りである。
(スキーム4)
【0156】
【化46】

【0157】
さらに、化合物Iは、次亜リン酸で還元することによって、化合物VIに変換され得る。次いで、スキーム2で使用される化学と類似の当業者に公知の化学を使用して、ケトン基への修飾が行われ得、ここで、R17およびR18は上記で定義された通りである。
【0158】
(オルニチン誘導体)
(スキーム1)
【0159】
【化47】

【0160】
ダプトマイシンは、試薬(例えば、イソシアネート、イソチオシアネート、活性化エステル、酸クロリド、スルホニルクロリドまたは活性化スルホンアミド、容易に置換可能な基を有する複素環、イミデート、ラクトン)でオルニチンの芳香族アミノ基を処理することによって、またはアルデヒドで還元的に処理することによって、R位で修飾を有するアナログに変換されて、化合物VIII(ここで、Rは上記で定義された通りである)が得られ得る。
【0161】
(トリプトファンアミン誘導体)
(スキーム1)
【0162】
【化48】

【0163】
ダプトマイシンは、当業者に公知の適切なアミノ保護基(P)でオルニチンのアミンをまず保護することによって、そして開示の教示に従って、化合物IXに変換され得る。次いで、トリプトファンのデシル側鎖は、ダプトマイシンを脱アシル化し得る酵素(例えば、上記のような酵素)を使用して除去される。
(スキーム2)
【0164】
【化49】

【0165】
化合物IXは、試薬(例えば、イソシアネート、イソチオシアネート、活性化エステル、酸クロリド、スルホニルクロリドまたは活性化スルホンアミド、容易に置換可能な基を有する複素環、イミデート、ラクトン)を用いて、トリプトファンのアミンにおいて修飾され得るか、またはアルデヒドで還元的に修飾されて、化合物Xが得られ得る。化合物Xは、本発明の開示に従う当業者に公知の手順に従って、脱保護されて、化合物XIが生成され得、ここで、Rは上記で定義された通りである。
【0166】
オルニチンアミンR、トリプトファンアミンRまたはキヌレニン側鎖Rへの上記の修飾は、独立して組み合わされて、3つ全てまでの部位で修飾されたさらなる化合物を生じ得る。これらの修飾を達成するために、この分子中の特定の官能基を保護する必要があり得る。これらの官能基の保護は、本発明の開示に従って、当業者の技能の範囲内であるべきである。例えば、Greene(前出)を参照のこと。
【0167】
(リポペプチド化合物の固体支持体合成)
本発明の代替の実施形態において、式Iのリポペプチド化合物は、以下に概説するように固体支持体上で合成され得る。工程1において、適切なN−保護βMeGlu(OH)−Oアリルエステルを、適切な樹脂に結合して、化合物XIIを得る。化合物XIIのアミノ基を脱保護し、続いてこのアミノ基を適切に保護されたセリル誘導体(A1)と結合して化合物XIIIを得、ここで、Pは適切な保護基である。このペプチドカップリングプロセス(すなわち、αアミノ基の脱保護)、続く適切に保護されたアミノ酸とのカップリングを、所望の数のアミノ酸が樹脂に結合されるまで繰り返す。以下に示されるスキームにおいて、11個のアミノ酸を結合して、化合物XIVを得た。追加の活性化R基、Rを化合物XIVに付加して、化合物XVを得る。工程4において、化合物XVを環化して、化合物XVIを得る。続いて、工程5において、化合物XVIを樹脂から除去して、リポペプチド化合物XVIIを得る。
【0168】
(リポペプチド化合物の全合成についての合成スキーム)
【0169】
【化50】

ここで、Aは、適切に保護されたセリン誘導体であり、R31は、下記のような適切な切断可能なヒドロキシル保護基である。
【0170】
【化51】

ここで、AおよびAは、下記のような適切に保護されたグリシン誘導体である。
【0171】
【化52】

ここで、A、AおよびAは、下記のような適切に保護されたアスパラギン酸誘導体であり、ここで、28R、29Rおよび30Rは、切断可能な保護基、好ましくは、t−ブチル基である。
【0172】
【化53】

ここで、Aは、下記のような適切に保護されたアラニン誘導体である。
【0173】
【化54】

ここで、Aは、下記のような適切に保護されたオルニチン誘導体、または誘導体化されたオルニチンであり、ここでは、前記のRであるか、あるいは続く脱保護の際にRを生成する保護された形態のRである。
【0174】
【化55】

ここで、Aは、下記のような適切に保護されたデプシペプチドであり、Yは、他の保護基をインタクトなままにする条件下で切断可能な保護基(すなわち、Alloc)であり;そしてここで、は、前記のようなRであるか、あるいは続く脱保護の際にRを生成する保護された形態のRである。好ましくは、は、キヌレニン、または置換キヌレニン側鎖、最も好ましくは
【0175】
【化56】

である。
【0176】
【化57】

であり、ここで、A10は、下記のような適切に保護されたアスパラギン誘導体である。
【0177】
【化58】

ここで、A11は、下記のような適切に保護されたトリプトファン誘導体であり、ここで、R*37は、ヒドリドまたは適切な保護基であり、好ましくは、t−ブトキシカルボニルである。
【0178】
アミノ官能基および側鎖官能基の両方を、それらを成長ペプチド鎖に結合する前に適切に保護しなければならないことが当業者に理解される。適切な保護基は、ペプチド合成において有用であることが公知の任意の基であり得る。保護基のこのような組み合わせは周知である。例えば、「Synthesis Notes」、Novabiochem Catalog and Peptide Synthesis Handbook(1999)、S1〜S93頁、およびその中で引用される参考文献を参照のこと、本願の開示に従って、保護基の選択およびそれらを使用する方法は、当業者に公知である。
【0179】
側鎖官能基上の保護基の選択は、ペプチドの樹脂からの最後の除去と同時に切断される保護基を生じるかまたは生じず、これはそれぞれ、天然のアミノ酸官能基またはそれらの保護された誘導体を与える。
【0180】
以下の一般的な手順は、式Iの化合物の固体支持体合成を例示するために役立つ。
【0181】
(工程1:適切なN保護βMeGlu(OH)−Oアリルエステルの樹脂へのカップリング)
樹脂に対してそれぞれ5モル当量の、適切なN保護βMeGlu(OH)−Oアリルエステル、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)および1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)を、ジメチルホルムアミド(DMF;5ml/g樹脂)中で30分間撹拌する。適切に官能化された樹脂または固体支持体(Wang、Safety Catch、Rink、Knorr、PALまたはPAM樹脂が挙げられるが、これらに限定されない)を添加し、この得られた懸濁液を16時間撹拌する。次いで、樹脂−N保護βMeGlu(OH)−Oアリルエステルを濾過し、乾燥し、そしてカップリングを繰り返す。次いで、N保護基を、以下のカップリング工程で示される適切な条件を使用して除去する。
【0182】
(工程2:(A)アミノ酸とN−9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)保護基との一般的なカップリングサイクル)
樹脂−AA(ここで、樹脂−AAは、成長アミノ酸鎖に結合した樹脂として定義される)に対して、それぞれ5モル当量の、適切に保護されたFmocアミノ酸、DICおよびHOAt(DMF中0.5M溶液)を、樹脂−AAに、十分なDMFと共に添加して、規定容量を得る。この混合物を1時間振盪し、濾過し、そしてカップリングを繰り返す。第2のカップリングの後、樹脂をDMFで2回、メタノールで2回、再びDMFで2回洗浄する。N−メチルピロリジン中20%ピペリジンの溶液の1規定容量中で、5分間この樹脂生成物を撹拌し、樹脂を濾過し、そしてこの樹脂を再びN−メチルピロリジン中20%ピペリジン中で20分間撹拌することによって、新たにカップリングされたアミノ酸A1−11のFmoc基を脱保護する。この樹脂を、DMFで2回、メタノールで2回、再びDMFで2回洗浄する。
【0183】
(工程2(B):N−tert−ブトキシ−カルボニル(N−Boc)保護基とアミノ酸の一般的なカップリングサイクル)
樹脂−AAに対して、それぞれ5モル当量の、適切に保護されたN−Bocアミノ酸、DICおよびHOAt(DMF中0.5M溶液)を、樹脂−AAに、十分なDMFと共に添加して、規定容量を得る。この混合物を1時間振盪し、濾過し、そしてカップリングを繰り返す。反復カップリングの後、この樹脂を、DMFで2回、メタノールで2回、再びDMFで2回洗浄する。次いで、CHCl:トリフルオロ酢酸(TFA)(1:1)の1規定容量中で15分間樹脂を撹拌し、濾過し、そしてCHCl:TFA(1:1)の1規定容量中でさらに15分間撹拌することによって、新たにカップリングされたアミノ酸A1−11のBoc基を脱保護する。この樹脂を、CHCl中過剰のジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)で洗浄し、次いで、DMFで2回洗浄し、メタノールで2回洗浄し、再びDMFで2回洗浄することによって中和する。
【0184】
(工程3:末端アミンキャップ反応)
1規定容量のDMF中の、樹脂XVに対して10モル当量の、Rを含む適切な試薬(例えば、活性化エステル、イソシアネート、チオイソシアネート、無水物、酸クロリド、クロロホルメート、またはそれらの反応性塩)を、樹脂XIVに添加し、そして25時間撹拌する。この得られた樹脂XVを、DMFで2回、メタノールで2回、再びDMFで2回洗浄する。
【0185】
(工程4:環化)
乾燥樹脂XVを、アルゴン雰囲気下に置き、そして、CHCl:酢酸:N−メチルモルホリン(40:2:1)1ml/0.1mmolペプチド基質中Pd(PPh125mg/0.1mmolペプチド基質の溶液で処理する。この混合物を周囲温度で3時間撹拌し、濾過し、DMFで2回、メタノールで2回、再びDMFで2回洗浄する。樹脂に対してそれぞれ5モル当量の、DICおよびHOAt(DMF中0.5M)を、十分なDMFと共にこの樹脂に添加して、規定容量を得る。この反応物を17時間振盪し、濾過し、そしてDMFで2回、メタノールで2回、再びDMFで2回洗浄して、樹脂XVIを得る。
【0186】
(工程5:リポペプチドの切断および単離)
所望のリポペプチドを、樹脂XVIから切断し、そして単離して化合物を得、ここで、R27はOHまたはNHである。Fmoc化学を使用する場合、乾燥樹脂をCHCl:TFA:エタンジオール(EDT):トリイソプロピルシラン(TIS)(16:22:1:1)の1ml/0.1mmolペプチド基質中に懸濁し、そして周囲温度で6〜8時間撹拌する。この樹脂を濾過し、1当量の冷却TFAで洗浄し、そして合わせた濾液を減圧下でエバポレートする。次いで、ジエチルエーテルを添加することによって、粗生成物XVIIを沈殿させ、そして遠心分離によって単離する。この生成物を、分取用逆相HPLCによってさらに精製し得る。
【0187】
N−Boc化学を使用する場合、乾燥樹脂を、フッ化水素(HF):アニソール:ジメチルスルフィド(DMS)(10:1:1)に懸濁し、そして0℃で2時間撹拌する。揮発物を窒素流下でエバポレートする。次いで、この樹脂をTFAで抽出し、濾過し、そしてTFAで2回洗浄し、そして合わせた濾液を減圧下でエバポレートする。次いで、ジエチルエーテルを添加することによって、粗生成物を沈殿させ、そして遠心分離によって単離する。この生成物を、分取用逆相HPLCによってさらに精製し得る。
【0188】
樹脂がSafety Catch樹脂である場合、R27=ORまたはNRHである。乾燥樹脂XVIをN−メチルプロリジン(NMP)またはジメチルスルホキシド(DMSO)(8ml/g樹脂)に懸濁し、5当量のDIPEA(樹脂置換に対して)および24当量のヨードアセトニトリルまたはブロモアセトニトリル(樹脂置換に対して)を添加する。この懸濁液を、不活性雰囲気下、周囲温度で24時間撹拌する。この樹脂を濾過し、テトラヒドロフラン(THF)およびDMSOで洗浄する。エステルの場合、次いで、この樹脂を、THF中のアルコール、ヒドロキシドまたはアルコキシド(樹脂置換に対して20当量)で20時間処理する。この樹脂を濾過し、THFおよび水で洗浄し、そして合わせた濾液を減圧下でエバポレートする。ジエチルエーテルを添加することによって、粗生成物を沈殿させ、そして遠心分離によって単離する。この生成物を、分取用逆相HPLCによってさらに精製し得る。アミドについて、次いで、この樹脂を、THF中の第1級アミンまたは第2級アミン(樹脂置換に対して20当量)で12〜40時間、不活性雰囲気下、穏やかに還流しながら処理する。この樹脂を濾過し、THFおよび水で洗浄し、そして合わせた濾液を減圧下でエバポレートする。次いで、ジエチルエーテルを添加することによって粗生成物を沈殿させ、そして遠心分離によって単離する。この生成物を、分取用逆相HPLCによってさらに精製し得る。
【実施例】
【0189】
本発明をより十分に理解し得るために、以下の実施例を記載する。これらの実施例は、例示のみの目的のためであり、いずれの方法でも本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではない。
【0190】
(実施例1−化合物1、19、40〜44、49、72〜74、100、115〜116および123〜125の調製)
ダプトマイシン(5.0g)を、水(25ml)に溶解し、そして5Mの水酸化ナトリウムを使用して、pH9に調整した。ジ−tert−ブチルジカーボネート(1.5g)を添加し、そしてこの混合物を、5M水酸化ナトリウムで、反応が完了するまで(4時間)pH9を維持するように調整した。pHを7に調整し、そしてこの混合物をBondesil 40μl C8樹脂カラムに充填した。このカラムを水で洗浄し、そして生成物をこのカラムからメタノールで溶出した。メタノールをエバポレートして、BOC保護されたダプトマイシンを黄色粉末として得た(5.08g)。
【0191】
デアシラーゼ酵素の調製物を、組換えStreptomyces lividans(これは、Actinoplanes utahensisデアシラーゼ酵素を発現する)から生成した。エチレングリコール(400μl)中のこの酵素を、水(100ml)中のBOC保護ダプトマイシン(1g)(pH7〜8)に添加した。72時間インキュベーションした後、この混合物を、Bondesilの40μ C8樹脂カラムに充填した。このカラムを水で洗浄し、そして生成物をこのカラムから水中10%アセトニトリルで溶離した。この生成物をエバポレートして、脱アシル化BOC保護ダプトマイシン(440mg)を黄色の粉末として得た。
【0192】
脱アシル化BOC保護ダプトマイシン(100mg)およびオクチルイソシアネート(20μl)を、乾燥ジメチルホルムアミド(5ml)中、室温で24時間撹拌した。溶媒をエバポレートして、黄色粉末の残渣を得、これをトリフルオロ酢酸/ジクロロメタン/トリイソプロピルシラン/エタンジチオール(11/8/0.5/0.5)(2ml)の混合物中で2時間撹拌した。エバポレーションによって黄色残渣を得、これをIBSIL−C8 5μ 250×20.2mmカラムでの分取用HPLCで精製した。このカラムを、5mMリン酸アンモニウム緩衝液中36%アセトニトリルで、20ml/分で溶離した。収集した画分を凍結乾燥した。この凍結乾燥した残渣を、水(5ml)に溶解し、Bondesil 40μ C8樹脂カラムに適用した。このカラムを水で洗浄し、そしてメタノールで溶離した。メタノールをエバポレートして、化合物1を淡黄色の固体として得た(30mg)。
【0193】
類似の様式で、化合物19、40〜44、49、72〜74、100、115〜116および123〜125を、開示の教示に従い、試薬の適切な交換によって、上記の実施例に詳述されるようにして、当業者が調製し得る。
【0194】
(実施例1a−化合物18、37〜39、45〜47の調製)
脱アシル化BOC保護ダプトマイシン(100mg)および4−クロロ−4−ビフェニル酢酸ペンタフルオロフェニルエステル(32mg)を、乾燥ジメチルホルムアミド(3ml)中、室温で2日間にわたって攪拌した。この混合物をIBSIL−C8 5μ 250×20.2mmカラムにローディング充填し、そして5mMリン酸アンモニウム緩衝液中の37%アセトニトリルで20ml/分で溶出させた。所望の化合物を含む画分を収集し、そして凍結乾燥した。凍結乾燥させた残渣を水(5ml)に溶解し、そしてBondesil 40μ C8樹脂カラムに適用し、水で洗浄し、そしてメタノールで溶出させた。メタノールのエバポレーションによって、Boc保護中間体を淡黄色固体(41mg)として得た。
【0195】
Boc保護中間体(40mg)をトリフルオロ酢酸(2ml)およびアニソール(0.1ml)中で室温で2時間にわたって攪拌した。減圧下での溶媒の除去によって残渣を得て、これをIBSIL−C8 5μ 250×20.2mmカラムにローディング充填し、そして5mMリン酸アンモニウム緩衝液中の37%アセトニトリルを20ml/分で使用して溶出させた。所望の化合物を含む画分を収集し、そして凍結乾燥した。凍結乾燥した残渣を水(5ml)に溶解し、そしてBondesil 40μ C8樹脂カラムに適用し、水で洗浄し、そしてメタノールで溶出させた。メタノールのエバポレーションによって、化合物18を淡黄色固体(10mg)として得た。
【0196】
類似の様式で、化合物37〜39および45〜47は、試薬の適切な置換によって、上記の実施例において詳述した開示の教示に従って当業者によって調製され得る。
【0197】
(実施例1b−化合物110、112、109および111の調製)
Boc保護ダプトマイシンα,β−トリデセノイルアミド(化合物110)を、脱アシル化Boc保護ダプトマイシンα,β−トリデセノイルペンタフルオロフェノールエステルから、実施例1および1aに従って調製した。乾燥ジクロロメタン(8ml)、トリフルオロ酢酸(11ml)およびエタンジチオール(0.25ml)中の化合物110(0.21g)を、室温で3時間にわたって攪拌した。減圧下での濃縮によって淡褐色オイルを得て、これをIBSIL−C8 5μ 250×20.2mmカラムで精製し、そして40分間かけた5mMリン酸アンモニウム中の30〜60%アセトニトリル勾配を用いて25ml/分で溶出した。所望の化合物を含む画分を収集し、そして凍結乾燥した。凍結乾燥した残渣を水(5ml)に溶解し、そしてBondesil 40μ C8樹脂カラムに適用し、水で洗浄し、そしてメタノールで溶出させた。メタノールのエバポレーションによって、化合物112(53.8mg)を淡黄色固体として得た。
【0198】
類似の様式で、化合物109および111は、試薬の適切な置換によって、上記の実施例において詳述した開示の教示に従って当業者によって調製され得る。
【0199】
(実施例2−化合物2の調製)
乾燥ジメチルホルムアミド(3ml)中のドデシルイソシアネート(0.507g)を、乾燥ジメチルホルムアミド(30ml)中の脱アシル化Boc保護ダプトマイシン(3.14g)に添加した。この混合物を、室温で、窒素下で攪拌した。7時間後、この混合物を、10%アセトニトリル−水、続いて50%アセトニトリル−水を用いてBondesil 40μ C8樹脂カラムで精製した。所望の画分を凍結乾燥して、Boc保護ダプトマイシンドデシルウレア(3.38g)を淡黄色綿毛状固体として得た。
【0200】
乾燥ジクロロメタン(20ml)、トリフルオロ酢酸(22ml)およびエタンジチオール(0.5ml)中のBoc保護ダプトマイシンドデシルウレア(2.42g)を、4時間にわたって室温で攪拌した。この混合物を淡褐色オイルになるまで濃縮し、次いでメタノールおよびジエチルエーテルで粉砕した。混合物を遠心分離した後、黄色の残渣をIBSIL−C8 5μ 250×20.2mmカラムにローディング充填し、そして40分間かけた5mMリン酸アンモニウム中の30〜60%アセトニトリルの勾配で25ml/分で溶出した。所望の化合物を含む画分を収集し、そして凍結乾燥した。凍結乾燥した残渣を水(5ml)に溶解し、そしてBondesil 40μ C8樹脂カラムに適用し、水で洗浄し、そしてメタノールで溶出させた。メタノールのエバポレーションによって、化合物2(2.53g)を淡黄色固体として得た。
【0201】
(実施例2a−化合物48の調製)
乾燥ジメチルホルムアミド(1ml)中のウンデシルイソシアネート(0.197g)を、乾燥ジメチルホルムアミド(20ml)中の脱アシル化Boc保護ダプトマイシン(1.62g)に添加した。この混合物を、室温で、窒素下で7時間にわたって攪拌した。次いで、この混合物を、10%アセトニトリル−水、続いて50%アセトニトリル−水を用いてBondesil 40μ C8樹脂カラムで精製した。所望の画分を凍結乾燥して、Boc保護ダプトマイシンウンデシルウレア(1.58g)を淡黄色綿毛状の固体として得た。
【0202】
乾燥ジクロロメタン(20ml)、トリフルオロ酢酸(22ml)および5%アニソール中のBoc保護ダプトマイシンウンデシルウレア(1.58g)を4時間にわたって攪拌した後、乾燥するまでエバポレートした。残渣をIBSIL−C8 5μ 250×20.2mmカラムにローディング充填し、そして40分間かけた5mMリン酸アンモニウム中の30〜60%アセトニトリル勾配を用いて25ml/分で溶出した。所望の化合物を含む画分を収集し、そして凍結乾燥した。凍結乾燥した残渣を水(5ml)に溶解し、そしてBondesil 40μ C8樹脂カラムに適用し、水で洗浄し、そしてメタノールで溶出した。メタノールのエバポレーションによって、化合物48(136.5mg)を淡黄色固体として得た。
【0203】
(実施例2b−化合物117および118の調製)
乾燥ジメチルホルムアミド(0.2ml)中のノニルイソシアネート(40.6mg)を、乾燥ジメチルホルムアミド(2ml)中の脱アシル化Boc保護ダプトマイシン(313.2mg)に添加した。この混合物を、室温で窒素下で攪拌した。7時間後、この混合物をIBSIL−C8 5μ 250×20.2mmカラムで精製し、そして40分間かけた5mMリン酸アンモニウム中の30〜60%アセトニトリル勾配を用いて25ml/分で溶出させた。所望の化合物を含む画分を21分に収集し、そして凍結乾燥した。凍結乾燥した残渣を水(5ml)に溶解し、そしてBondesil 40μ C8樹脂カラムに適用し、水で洗浄し、そしてメタノールで溶出させた。メタノールのエバポレーションによって、化合物117(158.8mg)を淡黄色固体として得た。
【0204】
乾燥ジクロロメタン(5ml)、トリフルオロ酢酸(2ml)およびエタンジチオール(0.05ml)中の化合物117(58.9mg)。この混合物を2時間にわたって室温で攪拌し、その後、乾燥するまでエバポレートした。残渣をIBSIL C8 5μ 250×20.2mmカラムにローディング充填し、そして40分間かけた5mMリン酸アンモニウム中の30〜60%アセトニトリル勾配を用いて25ml/分で溶出させた。所望の化合物を含む画分を収集し、そして凍結乾燥した。凍結乾燥した残渣を水(5ml)に溶解し、そしてBondesil 40μ C8樹脂カラムに適用し、水で洗浄し、そしてメタノールで溶出させた。メタノールのエバポレーションによって、化合物118(11.2mg)を淡黄色固体として得た。
【0205】
(実施例2c−化合物119および120の調製)
乾燥ジメチルホルムアミド(0.2ml)中のデシルイソシアネート(0.44g)を、乾燥ジメチルホルムアミド(20ml)中の脱アシル化Boc保護ダプトマイシン(3.13g)に添加した。この混合物を室温で窒素下で攪拌した。7時間後、この混合物を、10%アセトニトリル−水、続いて50%アセトニトリル−水を用いたBondesil 40μC8樹脂カラムで精製した。所望の画分を凍結乾燥して、化合物119(1.73g)を淡黄色固体として得た。
【0206】
乾燥ジクロロメタン(20ml)、トリフルオロ酢酸(22ml)およびエタンジチオール(0.5ml)中の化合物119(1.73g)を、4時間にわたって室温で攪拌し、その後、乾燥するまでエバポレートした。残渣をメタノールおよびジエチルエーテルで粉砕し、次いでIBSIL−C8 5μ 250×20.2mmカラムにローディング充填し、そして40分間かけた5mMリン酸アンモニウム中の30〜60%アセトニトリル勾配を用いて25ml/分で溶出させた。所望の化合物を含む画分を収集し、そして凍結乾燥させた。凍結乾燥した残渣を水(5ml)に溶解し、そしてBondesil 40 μ C8樹脂カラムに適用し、水で洗浄し、そしてメタノールで溶出させた。メタノールのエバポレーションによって、化合物120(359.8mg)を淡黄色固体として得た。
【0207】
(実施例3−化合物3、5〜6、8〜13、20〜24、34〜36、50、71および75の調製)
ダプトマイシン(250mg)およびN−tBoc−L−トリプトファン−p−ニトロフェニルエステル(144mg)を、乾燥ジメチルホルムアミド(3ml)中、室温で2日間撹拌した。この混合物をIBSIL−C8 5μ 250×20.2mmカラムに充填し、そして5mMリン酸アンモニウム緩衝液中37%アセトニトリルで、20ml/分で溶離した。所望の化合物を含む画分を収集し、そして凍結乾燥した。この凍結乾燥した残渣を、水(5ml)に溶解し、Bondesil 40μ C8樹脂カラムに適用し、水で洗浄し、そしてメタノールで溶離した。メタノールをエバポレートして、N−Bocトリプトファンダプトマイシンを淡黄色の固体(130mg)として得た。
【0208】
デアシラーゼ酵素の調製物を、組換えStreptomyces lividans(これは、Actinoplanes utahensisデアシラーゼ酵素を発現する)から生成した。エチレングリコール(400μl)中のこの酵素を、HPLC等級の水(20ml)中のN−Bocトリプトファンダプトマイシン(100mg)の溶液に添加した。水酸化ナトリウム(1M)を用いて、この溶液をpH8.5に調整した。この混合物を24時間撹拌した。この混合物を、C8樹脂プラグカラムに適用し、水で洗浄し、そしてメタノールで溶離した。メタノールをエバポレートして、残渣を得、この残渣を、IBSIL−C8 5μ 250×20.2mmカラムに充填し、そして5mMリン酸アンモニウム緩衝液中37%アセトニトリルで、20ml/分で溶離した。所望の化合物を含む画分を収集し、そして凍結乾燥した。この凍結乾燥した残渣を、水(5ml)に溶解し、Bondesil 40μ C8樹脂カラムに適用し、水で洗浄し、そしてメタノールで溶離した。メタノールをエバポレートして、脱アシル化N−Bocトリプトファンダプトマイシンを淡黄色の固体(42mg)として得た。
【0209】
脱アシル化N−Bocトリプトファンダプトマイシン(20mg)を、乾燥ジメチルホルムアミド(2ml)中、室温で撹拌した。ウンデシルイソシアネート(2.25mg)を、この溶液に添加した。周囲温度で24時間撹拌した後に、この混合物を水(10ml)で希釈し、そしてBondesil 40μ C8樹脂カラムに適用し、水で洗浄し、そしてメタノールで溶離した。メタノールをエバポレートして、N−Bocトリプトファンダプトマイシンのウンデシウルウレアを淡黄色の固体(21mg)として得た。
【0210】
N−Bocトリプトファンダプトマイシンウンデシルウレア(21mg)を、トリフルオロ酢酸(2ml)およびアニソール(0.1ml)中、室温で2時間撹拌した。減圧下で溶媒を除去して残渣を得、この残渣をIBSIL−C8 5μ 250×20.2mmカラムに充填し、そして5mMリン酸アンモニウム緩衝液中37%アセトニトリルで、20ml/分で溶離した。所望の化合物を含む画分を収集し、そして凍結乾燥した。この凍結乾燥した残渣を、水(5ml)に溶解し、Bondesil 40μ C8樹脂カラムに適用し、水で洗浄し、そしてメタノールで溶離した。メタノールをエバポレートして、化合物3を淡黄色の固体として得た(0.8mg)。
【0211】
類似の様式で、化合物5〜6、8〜13、20〜24、34〜36、50、71および75を、開示の教示に従い、試薬の適切な交換によって、上記の実施例に詳述されるようにして、当業者が調製し得る。
【0212】
(実施例3a−化合物7の調製)
脱アシル化N−Bocトリプトファンダプトマイシン(50mg)およびノンアルデヒド(nonaldehyde)(4.1mg)を、乾燥ジメチルホルムアミド(2ml)中、室温で撹拌した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(3.6mg)をこの溶液に添加した。この混合物を24時間撹拌し、次いでIBSIL−C8 5μ 250×20.2mmカラムに充填し、そして5mMリン酸アンモニウム緩衝液中37%アセトニトリルで、20ml/分で溶離した。所望の化合物を含む画分を収集し、そして凍結乾燥した。この凍結乾燥した残渣を、水(5ml)に溶解し、そしてBondesil 40μ C8樹脂カラムに適用し、水で洗浄し、そしてメタノールで溶離した。メタノールをエバポレートして、ノニルアミノN−Bocトリプトファンダプトマイシンを淡黄色の固体として得た(14mg)。
【0213】
ノニルアミノN−Bocトリプトファンダプトマイシン(14mg)を、トリフルオロ酢酸(2ml)およびアニソール(0.1ml)中、室温で2時間撹拌した。減圧下で溶媒を除去して残渣を得、この残渣をIBSIL−C8 5μ 250×20.2mmカラムに充填し、そして5mMリン酸アンモニウム緩衝液中37%アセトニトリルで、20ml/分で溶離した。所望の化合物を含む画分を収集し、そして凍結乾燥した。この凍結乾燥した残渣を、水(5ml)に溶解し、Bondesil 40μ C8樹脂カラムに適用し、水で洗浄し、そしてメタノールで溶離した。メタノールをエバポレートして、化合物7を淡黄色の固体として得た(5mg)。
【0214】
(実施例3b−化合物17の調製)
脱アシル化N−Bocトリプトファンダプトマイシン(50mg)を、乾燥ジメチルホルムアミド(2ml)中、室温で撹拌した。ドデシルイソシアネート(6.0mg)をこの溶液に添加した。この混合物を24時間撹拌した。この混合物をIBSIL−C8 5μ 250×20.2mmカラムに充填し、そして5mMリン酸アンモニウム緩衝液中37%アセトニトリルで、20ml/分で溶離した。所望の化合物を含む画分を収集し、そして凍結乾燥した。この凍結乾燥した残渣を、水(5ml)に溶解し、Bondesil 40μ C8樹脂カラムに適用し、水で洗浄し、そしてメタノールで溶離した。メタノールをエバポレートして、N−Bocトリプトファンダプトマイシンのドデシルウレアを淡黄色の固体として得た(27mg)。
【0215】
N−Bocトリプトファンダプトマイシンドデシルウレア(25mg)を、トリフルオロ酢酸(2ml)およびアニソール(0.1ml)中、室温で2時間撹拌した。減圧下で溶媒を除去して残渣を得、この残渣をIBSIL−C8 5μ 250×20.2mmカラムに充填し、そして5mMリン酸アンモニウム緩衝液中37%アセトニトリルで、20ml/分で溶離した。所望の化合物を含む画分を収集し、そして凍結乾燥した。この凍結乾燥した残渣を、水(5ml)に溶解し、Bondesil 40μ C8樹脂カラムに適用し、水で洗浄し、そしてメタノールで溶離した。メタノールをエバポレートして、化合物17を淡黄色の固体として得た(4.3mg)。
【0216】
(実施例4−化合物69、25、56〜58、62〜64、70、106および108の調製)
実施例1および1aに従いオクチルイソシアネートを使用することによって脱アシル化Boc保護ダプトマイシン(daptomycin)から合成されたダプトマイシンオクチル尿素(60mg)、およびN−tBoc−L−トリプトファン−p−ニトロフェニルエステル(31mg)を、乾燥ジメチルホルムアミド(2ml)中で、室温で2日間攪拌した。この混合物を、IBSIL−C8 5μ 250×20.2mmカラム上にロードし、そして5mM リン酸アンモニウム緩衝液中の37%アセトニトリルを用いて、20ml/分で溶出した。所望の化合物を含む分画を収集し、そして凍結乾燥した。この凍結乾燥した残渣を、水(5ml)に溶解し、そしてBondesil 40μ C8樹脂カラムに適用し、水で洗浄し、そしてメタノールを用いて溶出した。メタノールの蒸発によって、淡黄色の固体(29mg)としてアシル化中間体を得た。
【0217】
アシル化中間体(25mg)を、トリフルオロ酢酸(2ml)およびアニソール(0.1ml)中、室温で2時間攪拌した。減圧下での蒸発によって残渣を得、これを、IBSIL−C8 5μ 250×20.2mmカラム上にロードし、5mM リン酸アンモニウム緩衝液中の37%アセトニトリルを用いて20ml/分で溶出した。所望の化合物を含む分画を収集し、そして凍結乾燥した。この凍結乾燥した残渣を、水(5ml)に溶解し、そしてBondesil 40μ C8樹脂カラムに適用し、水で洗浄し、そしてメタノールを用いて溶出した。メタノールの蒸発によって、淡黄色の固体(5mg)として化合物69を得た。
【0218】
類似の様式で、化合物25、56〜58、62〜64、70、106および108は、適切な試薬の置換によって上記実施例に詳述されるように、当業者によって調製され得る。
【0219】
(実施例4a−化合物89、76〜78、87〜88および113の調製)
実施例1および1aに従いドデシルイソシアネートを使用することによって脱アシル化Boc保護ダプトマイシンから合成されたダプトマイシンドデシル尿素(200mg)、および乾燥ジメチルホルムアミド(1.0ml)中の2−イミダゾールカルボキシアルデヒド(2−imidazolecarboxaldehyde)(21mg)を、トリアセトキシホウ化水素ナトリウム(152mg)に添加した。この混合物を、調製HPLCによる精製前に、室温で24時間攪拌した。この混合物を、IBSIL−C8 5μ 250×20.2mmカラム上にロードし、そして5mM リン酸アンモニウム緩衝液中の30〜60%アセトニトリル勾配を用いて、25ml/分で30分かけて溶出した。所望の画分を21分に収集し、そして凍結乾燥した。この凍結乾燥した残渣を、水(3ml)に溶解し、そしてBondesil 40μ C8樹脂(500mg)のプラグに適用した。Bondesil樹脂を水(10ml)で洗浄し、次いで、その生成物をメタノール(10ml)を用いて溶出した。メタノールの蒸発によって、淡黄色の固体(15mg)として化合物89を得た。
【0220】
類似の様式で、化合物76〜78、87〜88および113は、適切な試薬の置換によって上記実施例に詳述されるような開示の教示に従って、当業者によって調製され得る。
【0221】
(実施例4b−化合物114の調製)
実施例1および1aに従いウンデシルイソシアネートを使用することによって脱アシル化Boc保護ダプトマイシンから合成されたダプトマイシンウンデシル尿素(100mg)、および乾燥ジメチルホルムアミド(0.6ml)中の5−メトキシインドール−3−カルボキシアルデヒド(5−methoxyindole−3−carboxaldehyde)(11mg)を、トリアセトキシホウ化水素ナトリウム(76mg)に添加した。この混合物を、調製HPLCによる精製前に、室温で24時間攪拌した。この混合物を、IBSIL−C8 5μ 250×20.2mmカラム上にロードし、そして5mM リン酸アンモニウム緩衝液中の30〜60%アセトニトリル勾配を用いて、25ml/分で30分かけて溶出した。所望の画分を21分に収集し、そして凍結乾燥した。この凍結乾燥した残渣を、水(2ml)に溶解し、そしてBondesil 40μ C8樹脂(500mg)のプラグに適用した。Bondesil樹脂を水(10ml)で洗浄し、次いで、その生成物をメタノール(10ml)を用いて溶出した。メタノールの蒸発によって、淡黄色の固体(10mg)として化合物114を得た。
【0222】
(実施例5)
式Iに従う化合物を、全ての試験を37℃で実施した以外は臨床実験室標準全国委員会(National Committee for Clinical Laboratory Standards)(NCCLS文書、M7−A5、Vol.20,No.2、2000)によって記載された標準的な手順に従って、生物のパネルに対して抗菌性活性に関して試験した。化合物を、100%ジメチルスルホキシドに溶解し、そして細菌増殖培地中、最終反応濃度(0.1μg/mL〜100μg/mL)まで希釈した。全ての場合において、細胞と共にインキュベートされたジメチルスルホキシドの終濃度は、1%以下である。最小阻害濃度(MIC)計算に関して、2倍希釈の化合物を、100μLの培地(50mg/L Ca2+補充されたMueller−Hinton Broth)の最終容積で、5×10細菌細胞を含むマイクロタイタープレートのウェルに添加した。細菌細胞の光学濃度(OD)(これは、細菌細胞の成長および増殖を測定する)を、市販のプレートリーダーを用いて測定した。MIC値を、試験生物の増殖を阻害する最も低い化合物濃度として規定する。本発明の代表的な化合物のMIC(μg/ml)値を、表VIに列挙する。
【0223】
(実施例6)
化合物2のインビボ抗菌性活性(表IVを参照のこと)を、19〜23gの体重の雌CD−1マウス(Charles River Lab,MA)を、メチシリン耐性S.aureus(MRSA)接種原を腹腔内感染することによって確立した。この接種原を、メチシリン耐性S.aureus(ATCC43300)から調製した。MRSA接種原を、Mueller−Hinton(MH)培地中、37℃で18時間培養した。600nmでの光学濃度(OD600)を、一晩培養した培養物の1:10希釈から決定した。細菌(8×10cfu)を、6% ブタの胃のムチン(Sigma M−2378)を含む20mlのリン酸緩衝化生理食塩水(Sigma P−0261)に添加した。群1〜5の動物を、0.5mlの接種原(2×10cfu/マウスに等しい)を用いて注射し、これは、処置無しでは約100%の動物の死を引き起こす用量である。群6の動物は、接種原を受けなかった。
【0224】
試験化合物(10mg)を、10.0mlの50mM リン酸緩衝液に溶解し、1mg/ml(pH=7.0)の溶液を得た。この溶液を、4倍(1.5ml〜6ml)でビヒクルを用いて連続希釈し、0.25、0.063、および0.016mg/mlの溶液を得た。全ての溶液を、0.2μm Nalgeneシリンジフィルターを用いてフィルターにかけた。細菌接種のすぐ後、群1の動物は、緩衝液(試験化合物なし)を用いて皮下注射(sc)され、そして群2〜5は、試験化合物を、それぞれ10、2.5、0.63、および0.16mg/mlで皮下注射によって与えられた。群6の動物は、化合物2 10mg/kgのみを皮下注射された。これらの注射を、それぞれの群に対して、接種後4時間に1回反復した。各回での注射容量は、10ml/kg体重であった。インビボ効果試験の結果を、表IVに要約し、これは、化合物2に関し得られる結果の代表的な例を提供する。50% 有効用量(ED50)を、接種後7日間生存しているマウスの数に基づいて計算する。本発明の他の代表的な化合物のml/kgでのED50を、表Vに列挙する。
【0225】
【表5】

化合物2のED50は、0.43mg/kgであると計算される。
【0226】
ED50を、類似の様式で本発明の他の化合物に関して決定した。
【0227】
【表6】




ここで、「+++」は、化合物が1μg/ml未満のMIC(μg/ml)または1mg/kg未満のED50を有することを示し;
「++」は、化合物が、それぞれ、1μg/mlより大きいMIC(μg/ml)または1mg/kgより大きいED50(mg/kg)を有するが、それぞれ、10μg/ml未満または10mg/kg未満であることを示し;
「+」は、化合物が、10μg/mlより大きいMIC(μg/ml)または10mg/kgより大きいED50を有することを示し;そして ここで、空欄は、MICまたはED50が決定されなかったことを示す。
【0228】
本明細書中に引用される全ての刊行物および特許出願は、各個々の刊行物または特許出願が参考として援用されることが詳細かつ個々に示されるかのように、本明細書中に参考として援用される。上記の本発明は、明確な理解を目的として例示および実施例によっていくらか詳細に記載しているが、特定の変更および改変が添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく本発明に対してなされ得ることは、本発明の教示を考慮して当業者に容易に明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)を有する化合物:
【化1】

およびその塩、
式中、Rは、
【化2】

であり、XおよびX”は、独立してC=O、C=S、C=NH、C=NR、S=OまたはSOから選択され;
nは、0または1であり;
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシ、またはカルボアルコキシから選択され;
Bは、X”R、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;そして
は、ヒドリド、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヒドロキシルから選択され;
Aは、H、NH、NHR、NR、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;
およびRは、独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはカルボアルコキシから選択され;
nが0の場合には、Aがさらに、
【化3】

から選択され、式中、各R50〜R53は独立して(C〜C15)アルキルから選択される;
ただし、BがH、且つXがC=Oである場合には、Aが、
(a)1つの置換基NHC(O)Rで置換されたピリジニル環、または
(b)1つの置換基NHC(O)Rで置換された(C〜C)飽和シクロアルキル環であり、ここで、Rは、(C〜C17)非置換アルキルまたは(C〜C17)非置換アルケニルである
以外であり;そして
BがH、且つnが0である場合、Aは、Hではない;
式中、Rは、
【化4】

であり;
X’およびX’’’がC=O、C=S、C=NH、C=NRX’、S=OまたはSOから独立して選択され;
mが0または1であり;
X’がアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシまたはカルボアルコキシから選択され;
B’が、X’’’RY’、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり;
Y’が、ヒドリド、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヒドロキシルから選択され;
A’が、H、NH、NHRA’、NRA’B’、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;
A’およびRB’がアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはカルボアルコキシから独立して選択され;
mが0である場合、A’がさらに、
【化5】

から選択され:
各R50〜R53は独立して(C〜C15)アルキルから選択されるか;
あるいは、B’およびA’が、一緒に5〜7員の複素環式環またはヘテロアリール環を形成する;
式中、Rは、
【化6】

であり;
KおよびK’は、一緒に、C〜Cシクロアルキル環、若しくはヘテロシクリル環またはC〜C10アリール環若しくはヘテロアリール環を形成し;
Jは、ヒドリド、アミノ、NHR、NR、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキルアミノ、ヒドロキシル、チオ、アルキルチオ、アルケニルチオ、スルフィニル、スルホニル、アジド、シアノ、ハロ、
【化7】

からなる群より選択され;
24、R25、およびR26のそれぞれは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より独立して選択されるか;またはR24およびR25が一緒に5〜8員のヘテロシクリル環を形成し;
およびRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルから独立して選択されるか;
あるいは、Jは、R17と一緒に、5〜8員のヘテロシクリル環またはシクロアルキル環を形成するか;
あるいは、Jは、R17およびR18の両方と一緒に、5〜8員のアリール環、シクロアルキル環、ヘテロシクリル環またはヘテロアリール環を形成し;そして
各R17およびR18がヒドリド、ヒドロキシル、ハロ、アルコキシ、アミノ、チオ、スルフィニル、スルホニルおよび
【化8】

からなる群より独立して選択されるか;または
17およびR18は、一緒になって、ケタール、チオケタール、
【化9】

各R22およびR23がヒドリドおよびアルキルからなる群より独立して選択される、
からなる基を形成し得る。
【請求項2】
式(I)を有する化合物:
【化10】

およびその塩、
式中、Rは、
【化11】

であり、
XおよびX”は、独立して、C=O、C=S、C=NH、C=NR、S=OまたはSOから選択され;
nは0または1であり;
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシまたはカルボアルコキシから選択され;
Bは、X”R、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;そして
は、ヒドリド、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヒドロキシルから選択され;
Aは、アリールであり;
但し、BがHであり、且つXがC=Oである場合には、Aは、以下のいずれかで置換されたフェニル環以外である:
(a)−O−((C〜C15)非置換アルキル)であって、前記フェニル環は、ハロ、ニトロ、(C〜C)アルキル、ヒドロキシル、(C〜C)アルコキシ、または(C〜C)アルキルチオから選択される1つの置換基でさらに必要に応じて置換され得るもの;または
(b)−NHC(O)Rであって、前記フェニル環が、アミノ、ニトロ、(C〜C)アルキル、ヒドロキシル、(C〜C)アルコキシ、ハロ、メルカプト、(C〜C)アルキルチオ、カルバミルまたは(C〜C)アルキルカルバミルから独立して選択される1〜2個の置換基でさらに必要に応じて置換され得るもの、ここで、Rは、(C〜C17)非置換アルキルまたは(C〜C17)非置換アルケニルである;
式中、Rは、
【化12】

であり;
X’およびX’’’がC=O、C=S、C=NH、C=NRX’、S=OまたはSOから独立して選択され;
mが0または1であり;
X’がアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシまたはカルボアルコキシから選択され;
B’が、X’’’RY’、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり;
Y’が、ヒドリド、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヒドロキシルから選択され;
A’が、H、NH、NHRA’、NRA’B’、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;
A’およびRB’がアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはカルボアルコキシから独立して選択され;
mが0である場合、A’がさらに、
【化13】

から選択され:
各R50〜R53は独立して(C〜C15)アルキルから選択されるか;
あるいは、B’およびA’が、一緒に5〜7員の複素環式環またはヘテロアリール環を形成する;
式中、Rは、
【化14】

であり;
KおよびK’は、一緒に、C〜Cシクロアルキル環、若しくはヘテロシクリル環またはC〜C10アリール環若しくはヘテロアリール環を形成し;
Jは、ヒドリド、アミノ、NHR、NR、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキルアミノ、ヒドロキシル、チオ、アルキルチオ、アルケニルチオ、スルフィニル、スルホニル、アジド、シアノ、ハロ、
【化15】

からなる群より選択され;
24、R25、およびR26のそれぞれは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より独立して選択されるか;またはR24およびR25が一緒に5〜8員のヘテロシクリル環を形成し;
およびRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルから独立して選択されるか;
あるいは、Jは、R17と一緒に、5〜8員のヘテロシクリル環またはシクロアルキル環を形成するか;
あるいは、Jは、R17およびR18の両方と一緒に、5〜8員のアリール環、シクロアルキル環、ヘテロシクリル環またはヘテロアリール環を形成し;そして
各R17およびR18がヒドリド、ヒドロキシル、ハロ、アルコキシ、アミノ、チオ、スルフィニル、スルホニルおよび
【化16】

からなる群より独立して選択されるか;または
17およびR18は、一緒になって、ケタール、チオケタール、
【化17】

各R22およびR23がヒドリドおよびアルキルからなる群より独立して選択される、
からなる基を形成し得る。
【請求項3】
式(I)を有する化合物:
【化18】

およびその塩、
式中、Rは、
【化19】

であり、
XおよびX”は、独立して、C=O、C=S、C=NH、C=NR、S=OまたはSOから選択され;
nは0または1であり;
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシまたはカルボアルコキシから選択され;
Bは、X”R、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;そして
は、ヒドリド、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヒドロキシルから選択され;
Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはアリールオキシであり;
但し、BがHであり、且つXがC=Oである場合には、Aは、以下:
(a)−(C〜C16非置換アルキル)−NH
(b)−(C〜C10非置換アルキル)−NHC(O)R、ここで、Rは、(C〜C17)の非置換アルキルまたは(C〜C17)の非置換アルケニルである、;
(c)1つまでのヒドロキシル、カルボキシルもしくはC〜Cアルコキシ、または1〜3個のハロ置換基で必要に応じて置換された、−(C〜C18)アルキル;
(d)−C〜C18の非置換アルケニル;
【化20】

以外であり、ここで、R54は、C〜C17−非置換アルキルまたはC〜C17非置換アルケニルから選択され;R55は、ヒドロキシエチル、ヒドロキシメチル、メルカプトメチル、メルカプトエチル、メチルチオエチル、2−チエニル、3−インドールメチル、フェニル(ハロ、ニトロ、C〜C−非置換アルキル、ヒドロキシ、C〜C非置換アルコキシ、C〜C−非置換アルキルチオ、カルバミルもしくはC〜C−非置換アルキルカルバミルから選択される基で必要に応じて置換される)であるか;またはハロ、ニトロ、C〜C−非置換アルキル、ヒドロキシ、C〜C−非置換アルコキシ、C〜C−非置換アルキルチオ、カルバミルまたはC〜C−非置換アルキルカルバミルから選択される基で必要に応じて置換される、ベンジルから選択され;
tは、0または1であり;uは、1〜3の整数であり;そして
BがHであり、且つXがC=Oである場合には、Xは、Aと一緒になって、カルバメートアミノ保護基を形成せず;そして
BがHであり、且つn=0である場合には、Aは、C〜C14の非置換アルキルでない;
式中、Rは、
【化21】

であり;
X’およびX’’’がC=O、C=S、C=NH、C=NRX’、S=OまたはSOから独立して選択され;
mが0または1であり;
X’がアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシまたはカルボアルコキシから選択され;
B’が、X’’’RY’、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり;
Y’が、ヒドリド、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヒドロキシルから選択され;
A’が、H、NH、NHRA’、NRA’B’、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;
A’およびRB’がアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはカルボアルコキシから独立して選択され;
mが0である場合、A’がさらに、
【化22】

から選択され:
各R50〜R53は独立して(C〜C15)アルキルから選択されるか;
あるいは、B’およびA’が、一緒に5〜7員の複素環式環またはヘテロアリール環を形成する;
式中、Rは、
【化23】

であり;
KおよびK’は、一緒に、C〜Cシクロアルキル環、若しくはヘテロシクリル環またはC〜C10アリール環若しくはヘテロアリール環を形成し;
Jは、ヒドリド、アミノ、NHR、NR、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキルアミノ、ヒドロキシル、チオ、アルキルチオ、アルケニルチオ、スルフィニル、スルホニル、アジド、シアノ、ハロ、
【化24】

からなる群より選択され;
24、R25、およびR26のそれぞれは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より独立して選択されるか;またはR24およびR25が一緒に5〜8員のヘテロシクリル環を形成し;
およびRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルから独立して選択されるか;
あるいは、Jは、R17と一緒に、5〜8員のヘテロシクリル環またはシクロアルキル環を形成するか;
あるいは、Jは、R17およびR18の両方と一緒に、5〜8員のアリール環、シクロアルキル環、ヘテロシクリル環またはヘテロアリール環を形成し;そして
各R17およびR18がヒドリド、ヒドロキシル、ハロ、アルコキシ、アミノ、チオ、スルフィニル、スルホニルおよび
【化25】

からなる群より独立して選択されるか;または
17およびR18は、一緒になって、ケタール、チオケタール、
【化26】

各R22およびR23がヒドリドおよびアルキルからなる群より独立して選択される、
からなる基を形成し得る。
【請求項4】
式(I)を有する化合物:
【化27】

およびその塩、
式中、Rは、
【化28】

であり、
XおよびX”は、独立して、C=O、C=S、C=NH、C=NR、S=OまたはSOから選択され;
nは0または1であり;
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシまたはカルボアルコキシから選択され;
Bは、X”R、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;そして
は、ヒドリド、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヒドロキシルから選択され;
BおよびAは、一緒に、5〜7員の複素環式環またはヘテロアリール環を形成する;
式中、Rは、
【化21】

であり;
X’およびX’’’がC=O、C=S、C=NH、C=NRX’、S=OまたはSOから独立して選択され;
mが0または1であり;
X’がアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシまたはカルボアルコキシから選択され;
B’が、X’’’RY’、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルであり;
Y’が、ヒドリド、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヒドロキシルから選択され;
A’が、H、NH、NHRA’、NRA’B’、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;
A’およびRB’がアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはカルボアルコキシから独立して選択され;
mが0である場合、A’がさらに、
【化30】

から選択され:
各R50〜R53は独立して(C〜C15)アルキルから選択されるか;
あるいは、B’およびA’が、一緒に5〜7員の複素環式環またはヘテロアリール環を形成し、
式中、Rは、
【化31】

であり;
KおよびK’は、一緒に、C〜Cシクロアルキル環、若しくはヘテロシクリル環またはC〜C10アリール環若しくはヘテロアリール環を形成し;
Jは、ヒドリド、アミノ、NHR、NR、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキルアミノ、ヒドロキシル、チオ、アルキルチオ、アルケニルチオ、スルフィニル、スルホニル、アジド、シアノ、ハロ、
【化32】

からなる群より選択され;
24、R25、およびR26のそれぞれは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より独立して選択されるか;またはR24およびR25が一緒に5〜8員のヘテロシクリル環を形成し;
およびRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルから独立して選択されるか;
あるいは、Jは、R17と一緒に、5〜8員のヘテロシクリル環またはシクロアルキル環を形成するか;
あるいは、Jは、R17およびR18の両方と一緒に、5〜8員のアリール環、シクロアルキル環、ヘテロシクリル環またはヘテロアリール環を形成し;そして
各R17およびR18がヒドリド、ヒドロキシル、ハロ、アルコキシ、アミノ、チオ、スルフィニル、スルホニルおよび
【化33】

からなる群より独立して選択されるか;または
17およびR18は、一緒になって、ケタール、チオケタール、
【化33】

各R22およびR23がヒドリドおよびアルキルからなる群より独立して選択される、
からなる基を形成し得る。
【請求項5】
Rが以下:
【化35】

からなる群より選択され、ここで、R、R、R、およびRの各々は、独立して、ヒドリド、アルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールからなる群より選択され、そしてR44は、アルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールからなる群より選択される、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
Rが以下:
【化36】

からなる群より選択され、ここで、R4’は、アルキル、アリール−置換アルキル、置換フェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、必要に応じて置換される(C〜C14)−直鎖アルキルおよび
【化37】

からなる群より選択され;ここで、Rがアルキル基である、
請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Rが以下:
【化38】

からなる群より選択され、ここで、Xは、クロロまたはトリフルオロメチルであり、そして、qが0または1である、
請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
が、以下:
【化39】

からなる群より選択され、
は、天然のアミノ酸側鎖または天然には存在しないアミノ酸側鎖から選択され;
、R10およびR11の各々は、ヒドリド、アルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールから選択され;
12は、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、およびアルキルからなる群より選択され、そして
13は、(C〜C−アルキル)およびアリールからなる群より選択される、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
が、以下:
【化40】

からなる群より選択され、
は、トリプトファン側鎖およびリジン側鎖からなる群より選択され;
10およびR11の各々は、独立して、ヒドリドおよびアルキルからなる群より選択され;
12は、イミダゾリル、N−メチルイミダゾリル、インドリル、キノリニル、ベンジルオキシベンジル、およびベンジルピペリデニルベンジルからなる群より選択され;そして
Xは、フルオロ、およびトリフルオロメチルから選択される、
請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
Jが、ヒドリド、アミノ、アジド、および
【化41】

からなる群より選択され;
17およびR18は、一緒になって、ケタール、
【化42】

を形成するか;
またはR18がヒドリドである場合には、R17はヒドロキシルであるか;
またはJは、R17と一緒になって、ヘテロシクリル環を形成する、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
が、以下:
【化43】

からなる群より選択され、
17およびR18が一緒になって、
【化44】

から選択される基を形成し、
22は、Hおよびアルキルからなる群より選択され;そして、R19は、ヒドリド、アミノ、アジドおよび
【化45】

からなる群より選択される、
請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が以下:
【化46】

である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
前記化合物が、以下から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物:
【表1】





【請求項14】
以下からなる群より選択される、請求項13に記載の化合物:
【表2】


【請求項15】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
【請求項16】
被験体における細菌感染を処置または予防する方法であって、治療有効量の請求項15に記載の薬学的組成物を、該処置または予防の必要のある被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項17】
前記被験体が、ヒト、動物、細胞培養物および植物からなる群より選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記細菌感染が、グラム陽性細菌によって引き起こされる、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記細菌が抗生物質耐性細菌である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記抗生物質耐性細菌が、バンコマイシン、メチシリン、糖ペプチド抗生物質、ペニシリンおよびダプトマイシンからなる群より選択される抗生物質に対して耐性である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
1種よりも多くの式(I)の化合物を、前記処置または予防を必要とする被験体に同時投与する工程をさらに包含する、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
式(I)の化合物以外の抗菌剤を、前記処置または予防を必要とする被験体に同時投与する工程をさらに包含する、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記抗菌剤が、ペニシリンおよび関連薬物、カルバペネム、セファロスポリンおよび関連薬物、アミノグリコシド、バシトラシン、グラミシジン、ムピロシン、クロラムフェニコール、チアンフェニコール、フシジン酸ナトリウム、リンコマイシン、クリンダマイシン、マクロライド、ノボビオシン、ポリミキシン、リファマイシン、スペクチノマイシン、テトラサイクリン、バンコマイシン、テイコプラニン、ストレプトグラミン;スルホンアミド、トリメトプリムおよびその組み合わせならびにピリメタミンを含む葉酸代謝拮抗薬;ニトロフラン、メテナミン、マンデレートおよび馬尿酸メテナミンを含む合成抗菌剤、ニトロイミダゾール、キノロン、フルオロキノロン、イソニアジド、エタンブトール、ピラジンアミド、パラ−アミノサリチル酸(PAS)、シクロセリン、カプレオマイシン、エチオナミド、プロチオンアミド、チアセタゾン、バイオマイシン、エベルニノマイシン、グリコペプチド、グリシルシルクリン、ケトリド、オキサゾリジノン;イミペネム、アミカシン、ネチルマイシン、ホスホマイシン、ゲンタマイシン、セフトリアキソン、Ziracin、LY 333328、CL 331002、HMR 3647、Linezolid、Synercid、Aztreonam、およびMetronidazole、Epiroprim、OCA−983、GV−143253、Sanfetrinemナトリウム、CS−834、Biapenem、A−99058.1、A−165600、A−179796、KA 159、Dynemicin A、DX8739、DU 6681、Cefluprenam、ER 35786、Cefoselis、Sanfetrinem celexetil、HGP−31、Cefpirome、HMR−3647、RU−59863、Mersacidin、KP 736、Rifalazil;Kosan、AM 1732、MEN 10700、Lenapenem、BO 2502A、NE−1530、PR 39、K130、OPC 20000、OPC 2045、Veneprim、PD 138312、PD 140248、CP 111905、Sulopenem、リチペナムアコキシル、RO−65−5788、Cyclothialidine、Sch−40832、SEP−132613、ミカコシジンA、SB−275833、SR−15402、SUN A0026、TOC 39、carumonam、Cefozopran、Cefetamet pivoxil、およびT 3811からなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記抗菌剤が、イミペネム、アミカシン、ネチルマイシン、ホスホマイシン、ゲンタマイシン、セフトリアキソン、テイコプラニン、Ziracin、LY333328、CL331022、HMR3647、Linezolid、Synercid、AztreonamおよびMetronidazoleからなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記被験体が、ヒトおよび動物からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記被験体がヒトである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
式(II)を有する化合物:
【化47】

式中、R14は、以下:
【化48】

からなる群より選択され、
56は、必要に応じて置換された直鎖C−C14アルキル基であり、そしてq’は、0〜3である。
【請求項28】
以下から選択される、請求項27に記載の化合物:
【表3】

【請求項29】
式(I’)を有する化合物およびその塩:
【化49】

ここで、R100、R101およびR102は、以下から選択される。
【表4】

【請求項30】
請求項27〜29のいずれか1項に記載される式(II)の化合物を使用して、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物を作製するための方法。

【公開番号】特開2012−140432(P2012−140432A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−15294(P2012−15294)
【出願日】平成24年1月27日(2012.1.27)
【分割の表示】特願2001−544761(P2001−544761)の分割
【原出願日】平成12年12月15日(2000.12.15)
【出願人】(501120775)キュービスト ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】