説明

抗菌剤としての尿素誘導体



本発明は、LpxCによって媒介される疾患または状態の治療に有用な、式(I)の化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、エステルもしくは異性体に関する。本発明は、また、その多くの実施形態において、LpxCの阻害剤としての新しい種類の化合物、かかる化合物の調製方法、1つまたは複数のかかる化合物を含む医薬組成物、1つまたは複数のかかる化合物を含む医薬製剤の調製方法、およびかかる化合物または医薬組成物を使用してLpxCに関連する1つまたは複数の疾患を治療、予防、阻害または緩和する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、UDP−3−O−(R−3−ヒドロキシミリストイル)−N−アセチルグルコサミン脱アセチル化酵素(LpxC)を阻害することができ、その結果抗菌活性を有する複素環に関する。
【背景技術】
【0002】
脂質Aは、リポ多糖(LPS)の疎水性アンカーであり、グラム陰性菌の外膜の外側単層の主な脂質成分を形成する。脂質Aは細菌増殖に必要とされるものであり、その生合成の阻害は、細菌にとって致死的である。さらに、脂質Aの生合成を妨害することによって、他の抗生物質に対する細菌の感受性が増大する。
【0003】
細菌脂質Aの生合成の重要な酵素の1つがLpxCである。LpxCは、UDP−3−O−(R−3−ヒドロキシミリストイル)−N−アセチルグルコサミンのN−アセチル基の除去を触媒する。LpxC酵素は、グラム陰性菌において脂質Aの生合成にとって必須であり、哺乳動物のゲノムには著しく欠如しているものである。LpxCは、脂質Aの生合成に必須であり、脂質Aの生合成の阻害は細菌にとって致死的であることから、LpxCの阻害剤は、抗生物質としての有用性を有する。さらに、LpxCが哺乳動物のゲノムに欠如していることにより、哺乳動物におけるLpxC阻害剤の潜在的な毒性は低減される。したがって、LpxCは、抗菌剤の発見にとって魅力的な標的である。
【0004】
特許文献1は、特定の複素環式ヒドロキサメート化合物、特にオキサゾリン化合物が、LpxCを阻害する能力を有することを教示している。
【0005】
特許文献2は、LpxC阻害活性を有し、したがって抗菌活性を有するN−ヒドロキシアミド誘導体に言及している。
【0006】
特許文献3も、LpxCの小分子阻害剤に言及している。
【0007】
特許文献4は、LpxC阻害活性を有し、したがって抗菌活性を有するN−ヒドロキシアミド誘導体に言及している。
【0008】
特許文献5も、LpxCの小分子阻害剤に言及している。
【0009】
特許文献6は、金属酵素(ペプチド脱ホルミル酵素)阻害活性を有し、したがって抗菌剤および抗生物質の活性を有する尿素誘導体に言及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,925,659号明細書
【特許文献2】国際公開第2004/00744号
【特許文献3】国際公開第2004/062601号
【特許文献4】国際公開第2007/064732号
【特許文献5】国際公開第2008/027466号
【特許文献6】国際公開第2001/144178号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
当技術分野では、潜在的に可能な抗菌剤としてのLpxCの小分子阻害剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、その多くの実施形態において、LpxCの阻害剤としての新しい種類の化合物、かかる化合物の調製方法、1つまたは複数のかかる化合物を含む医薬組成物、1つまたは複数のかかる化合物を含む医薬製剤の調製方法、およびかかる化合物または医薬組成物を使用してLpxCに関連する1つまたは複数の疾患を治療、予防、阻害または緩和する方法を提供する。
【0013】
一実施形態では、本願は、式(I)に示した一般構造を有する化合物、または前記化合物の薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはエステルを開示する。
【0014】
【化1】

式中、
(i)Tは、H、アルキル、アルケニルおよびアルキニルからなる群から選択され、前記アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、非置換であってよく、またはアリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、シクロアルケニルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロシクレニルアルキル、−OH、アルコキシル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、−O−アリール、−O−アラルキル、−SH、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、−S−アリール、−S−アラルキル、−NR、−アルキル−NRおよび−アルケニル−NRからなる群から選択される1つもしくは複数の部分で任意選択により独立に置換されていてもよく、
およびRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、アラルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルからなる群から独立に選択され、あるいは
およびRは、それぞれが結合するN原子と一緒になって、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニルまたはヘテロアリールを形成し、あるいは
TおよびHは、それぞれが結合するC原子と一緒になって、スピロシクロアルキルまたはスピロヘテロシクリルを形成し、前記スピロシクロアルキルおよびスピロヘテロシクリルのそれぞれは、非置換であってよく、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、アラルキル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロおよびハロアルキルからなる群から選択される1つもしくは複数の部分で任意選択により独立に置換されていてもよく、
(ii)Xは、O、SまたはNHであり、
(iii)RおよびRは、水素または(C〜C)アルキルからなる群から独立に選択され、前記(C〜C)アルキルはアリールで置換されており、前記アリールは、非置換であってよく、またはアルキニル、ハロ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクレニルもしくはヘテロシクリルからなる群から選択される1つもしくは複数の部分で任意選択により独立に置換されていてもよく、前記アルキニル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニルまたはヘテロシクリルは、非置換であってよく、またはさらなるアリールで置換されていてもよく、あるいは
およびRは、それぞれが結合するN原子と一緒になって、ヘテロシクリルまたはヘテロシクレニルを形成し、前記ヘテロシクリルおよびヘテロシクレニルのそれぞれは、Aで置換されており、あるいは
およびRは、それぞれが結合するN原子と一緒になって、構造
【0015】
【化2】

によって表される複素環構造を形成し、
式中、Y、Q、ZまたはVは、C(O)、C(S)、C(NH)、S(O)、S(O)およびC(R)からなる群からそれぞれ独立に選択され、qは0〜1であり、RおよびRのそれぞれは、H、アルキルおよびアルケニルからなる群から独立に選択され、前記アルキルまたはアルケニルのそれぞれは、非置換であってよく、またはH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、アラルキル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロおよびハロアルキルからなる群から選択される1つもしくは複数の部分で任意選択により独立に置換されていてもよく、
さらに、Mは、NまたはCRであり、Rは、H、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、シクロアルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、OH、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アリール、−O−アラルキル、−O−シクロアルケニル、−O−シクロアルキル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクレニル、−O−ヘテロシクリル、−SH、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、−S−アリール、−S−アラルキル、−S−シクロアルケニル、−S−シクロアルキル、−S−ヘテロアリール、−S−ヘテロシクレニルまたは−S−ヘテロシクリルであり、
Aは、−アリール−アルキニル−アリール、−アリール−C(O)アラルキル、−アリール、−ビアリール、−アルキニル−アリール、−アリール−ヘテロアリールおよび−アリール−アルキニル−ヘテロアリールからなる群から選択され、前記−アリール−アルキニル−アリール、−アリール−C(O)アラルキル、−アリール、−ビアリール、−アルキニル−アリール、−アリール−ヘテロアリールおよび−アリール−アルキニル−ヘテロアリールは、非置換であってよく、またはハロ、ハロアルキル、−N(R)(R)、ハロアルコキシル、−アルキル−CN、ヒドロキシアルキル、−OH、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、アルキル、アルケニル、ジアルキルアミノアルコキシルおよびヘテロシクリルアルコキシルからなる群から選択される1つもしくは複数の部分で任意選択により独立に置換されていてもよい。
【0016】
式(I)の化合物は阻害剤として有用であり、LpxCに関連する疾患の治療および予防に有用となり得る。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、LpxCの新しい種類の阻害剤、本化合物の1つまたは複数を含有する医薬組成物、1つまたは複数のかかる化合物を含む医薬製剤の調製方法、および微生物感染症を治療、予防または緩和する方法を提供する。
【0018】
一実施形態では、本発明は、先の構造式(I)によって表される化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、エステルもしくは異性体を提供し、その様々な部分は前述の通りである。
【0019】
別の実施形態では、式(I)において、Tはヒドロキシアルキルである。
【0020】
別の実施形態では、式(I)において、XはOである。
【0021】
別の実施形態では、式(I)において、前記RおよびRのそれぞれは、独立に、水素または(C〜C)アルキルであり、前記(C〜C)アルキルはアリールで置換されており、前記アリールは、非置換であってよく、またはアルキニル、ハロもしくはヘテロアリールで任意選択により独立に置換されていてもよく、前記アルキニルは、さらなるアリールで置換されている。
【0022】
別の実施形態では、式(I)において、前記(C〜C)アルキルは、直鎖アルキルまたは分枝鎖アルキルであってよい。
【0023】
別の実施形態では、式(I)において、前記アルキルは、メチル、エチルまたは分枝鎖エチルである。
【0024】
別の実施形態では、式(I)において、前記アルキニルはエチニルである。
【0025】
別の実施形態では、式(I)において、前記ハロは、ブロモ、クロロまたはフルオロ(fluro)である。
【0026】
別の実施形態では、式(I)において、前記ヘテロアリールはN−ピラゾールである。
【0027】
別の実施形態では、式(I)において、前記RおよびRは、それぞれが結合するN原子と一緒になって、Aで置換されているヘテロシクリルを形成する。
【0028】
別の実施形態では、式(I)において、前記ヘテロシクリルは、ピペラジニル、ピペリジニルまたはピロリジニルである。
【0029】
別の実施形態では、式(I)において、Aは、フェニル−エチニル−フェニル、エチニル−フェニル、フェニル−C(O)−ベンジル、フェニル、ビフェニル、フェニル−ヘテロアリール、フェニル−ヘテロアリール−ヘテロシクリルまたはフェニル−エチニル−ヘテロアリールであり、
前記フェニルは、非置換であってよく、またはクロロ、ブロモ、−NH、ジアルキルアミノ、ハロアルキル、ハロアルコキシルおよびシアノアルキルからなる群から選択される1つもしくは複数の部分で任意選択により独立に置換されていてもよく、
前記ビフェニルは、非置換であってよく、またはプロピル、フルオロ、ヘテロシクリル、ジメチルアミノエトキシルおよびヘテロシクリルアルコキシルからなる群から選択される1つもしくは複数の部分で任意選択により独立に置換されていてもよく、
前記ヘテロアリールは、ピリミジニル、ピリジニル、チオフェニル、チアゾリル、ピラジニルおよびピラゾリルからなる群から選択され、さらに前記ヘテロアリールは、非置換であってよく、またはハロ、アルキル、−NHおよびヘテロシクリルからなる群から選択される1つもしくは複数の部分で任意選択により独立に置換されていてもよく、
前記ヘテロシクリルは、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルおよびピロリジニルからなる群から選択される。
【0030】
別の実施形態では、式(I)において、前記ヘテロアリールは、5−ピリミジニル、4−ピリジニル、3−チオフェニル、5−チアゾリル、2−ピラジニルおよび5−ピラゾリルからなる群から選択される。
【0031】
別の実施形態では、式(I)において、前記ヘテロシクリルは、4−モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルおよびピロリジニルからなる群から選択される。
【0032】
別の実施形態では、式(I)において、前記ビフェニルは、4−モルホリニルエトキシルで置換されている。
【0033】
別の実施形態では、式(II)の化合物
【0034】
【化3】

または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルが提供され、式中、
は(C〜C)アルキルであり、前記(C〜C)アルキルはフェニルで置換されており、前記フェニルは、非置換であってよく、またはエチニル、ブロモもしくはピラゾリルで任意選択により独立に置換されていてもよく、前記エチニルは、さらなるアリールで置換されている。
【0035】
別の実施形態では、式(III)の化合物
【0036】
【化4】

または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルが提供され、
式中、Aはフェニル−エチニル−フェニルである。
【0037】
別の実施形態では、式(IVA)の化合物
【0038】
【化5】

または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルが提供され、
式中、Aはフェニルであり、前記フェニルは、非置換であってよく、またはクロロ、ブロモ、プロピル、フェニル−エチニル−フェニル、フェニル−C(O)ベンジル、エチニル−フェニル、ビフェニルからなる群から選択される1つもしくは複数の部分で任意選択により独立に置換されていてもよく、前記ビフェニルは、非置換であってよく、またはプロピルで置換されていてもよい。
【0039】
別の実施形態では、式(IVB)の化合物
【0040】
【化6】

または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルが提供され、式中、Aは、クロロで置換されているフェニルである。
【0041】
別の実施形態では、式(VA)の化合物
【0042】
【化7】

または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルが提供され、式中、Aは、フェニル−エチニル−フェニルまたはビフェニルであり、前記フェニル−エチニル−フェニルまたはビフェニルは、非置換であってよく、またはフルオロ、クロロ、−NH、−N(Me)、−N(Et)、CF、OCF、−CH−CN、−CHOH、モルホリニルメチル、−OH、ピペラジニル、モルホリニル、ジメチルアミノエトキシルおよびモルホリニルエトキシルからなる群から選択される1つもしくは複数の部分で任意選択により独立に置換されていてもよい。
【0043】
別の実施形態では、式(VB)の化合物
【0044】
【化8】

または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルが提供され、
式中、Aは、フェニル−エチニルまたはフェニルであり、前記フェニル−エチニルまたはフェニルの前記フェニルは、ヘテロアリールで置換されており、前記ヘテロアリールは、
【0045】
【化9】

からなる群から選択される。
【0046】
別の実施形態では、式(VI)の化合物
【0047】
【化10】

または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルが提供され、
式中、Aは、ビフェニルまたはフェニル−エチニル−フェニルであり、前記ビフェニルおよびフェニル−エチニル−フェニルのそれぞれは、非置換であってよく、またはピペラジニルで置換されていてもよい。
【0048】
別の実施形態では、式(VII)の化合物
【0049】
【化11】

または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルが提供され、
式中、Aは、フェニル−エチニル−フェニルまたはビフェニルであり、前記フェニル−エチニル−フェニルおよびビフェニルのそれぞれは、非置換であってよく、またはモルホリニルもしくはピペラジニルで任意選択により独立に置換されていてもよい。
【0050】
別の実施形態では、式(VIII)の化合物
【0051】
【化12】

または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルが提供され、
式中、Aはビフェニルである。
【0052】
別の実施形態では、式(IX)の化合物
【0053】
【化13】

または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルが提供され、
式中、Aはフェニル−エチニル−フェニルである。
【0054】
別の実施形態では、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルは、
【0055】
【化14】

【0056】
【化15】

【0057】
【化16】

【0058】
【化17】

からなる群から選択される。
【0059】
先に使用した通り、また本開示を通して別段の指定がない限り、以下の用語は以下の意味を有すると理解すべきである。
【0060】
「患者/被験体」は、ヒトおよび動物の両方を含む。
【0061】
「哺乳動物」は、ヒトおよび他の哺乳動物を意味する。
【0062】
「アルキル」は、直鎖または分枝鎖であってよく、かつ鎖中に約1〜約20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキル基は、鎖中に約1〜約12個の炭素原子を含有する。より好ましいアルキル基は、鎖中に約1〜約6個の炭素原子を含有する。分枝鎖とは、メチル、エチルまたはプロピルなどの1つまたは複数の低級アルキル基が、直鎖アルキル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキル」は、鎖中に約1〜約6個の炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖であってよい基を意味する。「置換アルキル」という用語は、そのアルキル基が、同じでも異なっていてもよい1つまたは複数の置換基によって置換されていてもよいことを意味し、各置換基は、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシおよび−C(O)O−アルキルからなる群から独立に選択される。適切なアルキル基の非限定的な例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびt−ブチルが含まれる。「フルオロアルキル」という用語は、アルキルが先に記載の通りであり、1つまたは複数の水素がフッ素原子で置き換えられているアルキル基を意味する。
【0063】
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有し、かつ直鎖または分枝鎖であってよく、かつ鎖中に約2〜約15個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルケニル基は、鎖中に約2〜約12個の炭素原子を有し、より好ましくは鎖中に約2〜約6個の炭素原子を有する。分枝鎖とは、メチル、エチルまたはプロピルなどの1つまたは複数の低級アルキル基が、直鎖アルケニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルケニル」は、直鎖または分枝鎖であってよい鎖中の約2〜約6個の炭素原子を意味する。適切なアルケニル基の非限定的な例には、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、3−メチルブタ−2−エニル、n−ペンテニル、オクテニルおよびデセニルが含まれる。
【0064】
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有し、かつ直鎖または分枝鎖であってよく、かつ鎖中に約2〜約15個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキニル基は、鎖中に約2〜約12個の炭素原子を有し、より好ましくは鎖中に約2〜約4個の炭素原子を有する。分枝鎖とは、メチル、エチルまたはプロピルなどの1つまたは複数の低級アルキル基が、直鎖アルキニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキニル」は、直鎖または分枝鎖であってよい鎖中の約2〜約6個の炭素原子を意味する。適切なアルキニル基の非限定的な例には、エチニル、プロピニル、2−ブチニルおよび3−メチルブチニルが含まれる。「置換アルキニル」という用語は、そのアルキニル基が、同じでも異なっていてもよい1つまたは複数の置換基によって置換されていてもよいことを意味し、各置換基は、アルキル、アリールおよびシクロアルキルからなる群から独立に選択される。
【0065】
「アリール」は、約6〜約14個の炭素原子、好ましくは約6〜約10個の炭素原子を含む芳香族単環式または多環式環系を意味する。アリール基は、同じでも異なっていてもよく、かつ本明細書に定義の通りの1つまたは複数の「環系置換基」で任意選択により置換されていてもよい。適切なアリール基の非限定的な例には、フェニルおよびナフチルが含まれる。
【0066】
「ヘテロアリール」は、約5〜約14個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を含み、かつその環原子の1つまたは複数が、炭素以外の元素、例えば窒素、酸素または硫黄単独またはその組合せである芳香族単環式または多環式環系を意味する。好ましいヘテロアリールは、約5〜約6個の環原子を含有する。「ヘテロアリール」は、同じでも異なっていてもよく、かつ本明細書で定義の通りの1つまたは複数の「環系置換基」によって任意選択で置換されていてもよい。ヘテロアリール基名の前の接頭辞のアザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも窒素、酸素または硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素原子は、対応するN−オキシドに任意選択で酸化することができる。適切なヘテロアリールの非限定的な例には、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、ピリドン(N−置換ピリドンを含む)、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、オキシインドリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリル等が含まれる。「ヘテロアリール」という用語は、例えば、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリルなどの部分的に飽和のヘテロアリール部分も指す。
【0067】
「アラルキル」または「アリールアルキル」は、そのアリールおよびアルキルが先に記載の通りのアリール−アルキル基を意味する。好ましいアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例には、ベンジル、2−フェネチルおよびナフタレニルメチルが含まれる。親部分との結合は、アルキルを介する。
【0068】
「アルキルアリール」は、そのアルキルおよびアリールが先に記載の通りのアルキル−アリール基を意味する。好ましいアルキルアリールは、低級アルキル基を含む。適切なアルキルアリール基の非限定的な例は、トリルである。親部分との結合は、アリールを介する。
【0069】
「シクロアルキル」は、約3〜約10個の炭素原子、好ましくは約5〜約10個の炭素原子を含む非芳香族単環式または多環式環系を意味する。好ましいシクロアルキル環は、約5〜約7個の環原子を含有する。シクロアルキルは、同じでも異なっていてもよく、かつ先に定義の通りの1つまたは複数の「環系置換基」で任意選択により置換されていてもよい。適切な単環式シクロアルキルの非限定的な例には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル等が含まれる。適切な多環式シクロアルキルの非限定的な例には、1−デカリニル、ノルボルニル、アダマンチル等、ならびに例えば、インダニル、テトラヒドロナフチルなどの部分的に飽和の種等が含まれる。
【0070】
「シクロアルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有する、約3〜約10個の炭素原子、好ましくは約5〜約10個の炭素原子を含む非芳香族単環式または多環式環系を意味する。好ましいシクロアルケニル環は、約5〜約7個の環原子を含有する。シクロアルケニルは、同じでも異なっていてもよく、かつ先に定義の通りの1つまたは複数の「環系置換基」で任意選択により置換されていてもよい。適切な単環式シクロアルケニルの非限定的な例には、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプタ−1,3−ジエニル等が含まれる。適切な多環式シクロアルケニルの非限定的な例は、ノルボルニレニルである。
【0071】
「ハロアルキル」は、アルキル上の1つまたは複数の水素原子が先に定義のハロ基によって置き換えられている、先に定義のアルキルを意味する。非限定的な例には、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−クロロプロピル等が含まれる。
【0072】
「ハロアルコキシ」は、アルコキシ上の1つまたは複数の水素原子が先に定義のハロ/ハロゲン基によって置き換えられている、先に定義のアルコキシ基を意味する。非限定的な例には、トリフルオロメトキシ(CFO−)、ジフルオロメトキシ(CHFO−)、2,2,2−トリフルオロエトキシ(CFCHO−)、2−クロロプロポキシ(CHCH(Cl)CHO−)等が含まれる。
【0073】
「ハロゲン」または「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。好ましいのは、フッ素、塩素および臭素である。
【0074】
「環系置換基」は、例えば、環系上の利用可能な水素を置き換えている、芳香族または非芳香族環系に結合している置換基を意味する。環系置換基は、同じでも異なっていてもよく、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、−C(=N−CN)−NH、−C(=NH)−NH、−C(=NH)−NH(アルキル)、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−、YNSO−および−SONYからなる群からそれぞれ独立に選択され、YおよびYは、同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルおよびアラルキルからなる群から独立に選択される。「環系置換基」はまた、環系上の2個の隣接する炭素原子上の2個の利用可能な水素(各炭素上に1個のH)を同時に置き換えている単一部分を意味することがある。かかる部分の例は、例えば
【0075】
【化18】

などの部分を形成するメチレンジオキシ、エチレンジオキシ、−C(CH−等である。
【0076】
「ヘテロシクリル」は、環系の原子の1つまたは複数が、炭素以外の元素、例えば窒素、酸素または硫黄単独またはその組合せである、約3〜約10個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を含む非芳香族の飽和単環式または多環式環系を意味する。環系には隣接する酸素および/または硫黄原子は存在しない。好ましいヘテロシクリルは、約5〜約6個の環原子を含有する。ヘテロシクリル基名の前の接頭辞のアザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも窒素、酸素または硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロシクリル環の任意の−NHは、例えば、−N(Boc)、−N(CBz)、−N(Tos)基などとして保護されて存在することができ、かかる保護も、本発明の一部とみなされる。ヘテロシクリルは、同じでも異なっていてもよく、かつ本明細書で定義の通りの1つまたは複数の「環系置換基」によって任意選択で置換されていてもよい。ヘテロシクリルの窒素または硫黄原子は、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドに任意選択で酸化することができる。適切な単環式ヘテロシクリル環の非限定的な例には、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ラクタム、ラクトン等が含まれる。
【0077】
「ヘテロシクレニル」は、環原子の1つまたは複数が、炭素以外の元素、例えば窒素、酸素または硫黄単独またはその組合せである、約5〜約14個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を含む部分的に不飽和の単環式または部分的に不飽和の多環式環系を意味する。好ましいヘテロシクレニルは、約5〜約6個の環原子および1〜3個の二重結合を含有する。好ましいヘテロシクレニルはまた、環の一部として少なくとも1つの−C=Nを含有する。「ヘテロシクレニル」は、同じでも異なっていてもよく、かつ本明細書で定義の通りの1つまたは複数の「環系置換基」によって任意選択で置換されていてもよい。ヘテロシクレニル基名の前の接頭辞のアザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも窒素、酸素または硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素または硫黄原子は、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドに任意選択で酸化することができる。適切なヘテロシクレニルの非限定的な例には、ジヒドロイミダゾール、ジヒドロオキサゾール、ジヒドロオキサジアゾール、ジヒドロチアゾール等が含まれる。
【0078】
ヘテロ原子を含有する本発明の環系では、N、OまたはSに隣接している炭素原子上にヒドロキシル基は存在せず、別のヘテロ原子に隣接している炭素上にNまたはS基は存在しないことに留意されたい。したがって、例えば環
【0079】
【化19】

において、2および5と印した炭素に直接結合している−OHは存在しない。
【0080】
例えば、部分
【0081】
【化20】

などの互変異性体形態は、本発明の特定の実施形態では等価とみなされることにも留意されたい。
【0082】
「アルキニルアルキル」は、アルキニルおよびアルキルが先に記載の通りのアルキニル−アルキル基を意味する。好ましいアルキニルアルキルは、低級アルキニルおよび低級アルキル基を含有する。親部分への結合は、アルキルを介する。適切なアルキニルアルキル基の非限定的な例には、プロパルギルメチルが含まれる。
【0083】
「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリールおよびアルキルが先に記載の通りのヘテロアリール−アルキル基を意味する。好ましいヘテロアラルキルは、低級アルキル基を含有する。適切なアラルキル基の非限定的な例には、ピリジルメチルおよびキノリン−3−イルメチルが含まれる。親部分との結合は、アルキルを介する。
【0084】
「ヒドロキシアルキル」は、アルキルが先に記載の通りのHO−アルキル基を意味する。好ましいヒドロキシアルキルは、低級アルキルを含有する。適切なヒドロキシアルキル基の非限定的な例には、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチルが含まれる。
【0085】
「アシル」は、様々な基が先に記載の通りのH−C(O)−、アルキル−C(O)−またはシクロアルキル−C(O)−基を意味する。親部分との結合は、カルボニルを介する。好ましいアシルは、低級アルキルを含有する。適切なアシル基の非限定的な例には、ホルミル、アセチルおよびプロパノイルが含まれる。
【0086】
「アロイル」は、アリール基が先に記載の通りのアリール−C(O)−基を意味する。親部分との結合は、カルボニルを介する。適切な基の非限定的な例には、ベンゾイルおよび1−ナフトイルが含まれる。
【0087】
「アルコキシ」は、アルキル基が先に記載の通りのアルキル−O−基を意味する。適切なアルコキシ基の非限定的な例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびn−ブトキシが含まれる。親部分との結合は、エーテル酸素を介する。
【0088】
「アリールオキシ」は、アリール基が先に記載の通りのアリール−O−基を意味する。適切なアリールオキシ基の非限定的な例には、フェノキシおよびナフトキシが含まれる。親部分との結合は、エーテル酸素を介する。
【0089】
「アラルキルオキシ」は、アラルキル基が先に記載の通りのアラルキル−O−基を意味する。適切なアラルキルオキシ基の非限定的な例には、ベンジルオキシおよび1−または2−ナフタレンメトキシが含まれる。親部分との結合は、エーテル酸素を介する。
【0090】
「アルキルチオ」は、アルキル基が先に記載の通りのアルキル−S−基を意味する。適切なアルキルチオ基の非限定的な例には、メチルチオおよびエチルチオが含まれる。親部分との結合は、硫黄を介する。
【0091】
「アリールチオ」は、アリール基が先に記載の通りのアリール−S−基を意味する。適切なアリールチオ基の非限定的な例には、フェニルチオおよびナフチルチオが含まれる。親部分との結合は、硫黄を介する。
【0092】
「アラルキルチオ」は、アラルキル基が先に記載の通りのアラルキル−S−基を意味する。適切なアラルキルチオ基の非限定的な例は、ベンジルチオである。親部分との結合は、硫黄を介する。
【0093】
「アルコキシカルボニル」は、アルキル−O−CO−基を意味する。適切なアルコキシカルボニル基の非限定的な例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが含まれる。親部分との結合は、カルボニルを介する。
【0094】
「アリールオキシカルボニル」は、アリール−O−C(O)−基を意味する。適切なアリールオキシカルボニル基の非限定的な例には、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルが含まれる。親部分との結合は、カルボニルを介する。
【0095】
「アラルコキシカルボニル」は、アラルキル−O−C(O)−基を意味する。適切なアラルコキシカルボニル基の非限定的な例は、ベンジルオキシカルボニルである。親部分との結合は、カルボニルを介する。
【0096】
「アルキルスルホニル」は、アルキル−S(O)−基を意味する。好ましい基は、アルキル基が低級アルキルである基である。親部分との結合は、スルホニルを介する。
【0097】
「アリールスルホニル」は、アリール−S(O)−基を意味する。親部分との結合は、スルホニルを介する。
【0098】
「置換されている」という用語は、指定された原子上の1つまたは複数の水素が、指示された群から選択されたもので置き換えられていることを意味し、ただし存在する状況では指定された原子の通常の価数を超えず、その置換が安定な化合物をもたらすものとする。置換基および/または変数の組合せは、かかる組合せが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。「安定な化合物」または「安定な構造」とは、反応混合物からの有用な純度での単離に耐え、有効な治療剤への製剤化に耐えるのに十分強い化合物を意味する。
【0099】
「任意選択で置換されている」という用語は、特定の基、ラジカルまたは部分による任意選択の置換を意味する。
【0100】
化合物に関して「単離された」または「単離形態」という用語は、合成法または天然源あるいはその組合せから単離された後の前記化合物の物理的状態を指す。化合物に関して「精製された」または「精製形態」という用語は、本明細書に記載の、または当業者に周知の1つもしくは複数の精製方法から、本明細書に記載の、または当業者に周知の標準の分析技術によって特徴付けられるのに十分な純度で得られた後の、前記化合物の物理的状態を指す。
【0101】
本明細書の本文、スキーム、実施例および表における未充足の価数を有する任意の炭素ならびにヘテロ原子は、その価数を満たすのに十分な数の水素原子(複数可)を有すると想定されることにも留意されたい。
【0102】
化合物の官能基が「保護」されていると呼ばれる場合、これはその化合物を反応に付した場合に、その基が被保護部位における望ましくない副反応を妨害するための改変形態で存在することを意味する。適切な保護基は、当業者によって、ならびに例えばT. W. Greeneら、Protective Groups in organic Synthesis(1991年)、Wiley、New Yorkなどの標準の文献を参照することによって認識されよう。
【0103】
任意の変数(例えば、アリール、複素環、R等)が、任意の構成要素または式(I)において2回以上存在する場合、各存在のその定義は、他のすべての存在におけるその定義とは独立である。
【0104】
本明細書で使用される場合「組成物」という用語は、特定の量の特定の成分を含む生成物、ならびに特定の量の特定の成分の組合せから直接または間接的に得られる任意の生成物を包含するものとする。
【0105】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物も、本明細書において企図される。「プロドラッグ」という用語は、本明細書で使用される場合、被験体に投与されると、代謝過程または化学的過程による化学変換を受けて、式Iの化合物あるいはその塩および/または溶媒和物を生成する薬物前駆体である化合物を示す。プロドラッグについての議論は、T. HiguchiおよびV. Stella、A.C.S. Symposium SeriesのPro−drugs as Novel Delivery Systems(1987年)14巻、ならびにBioreversible Carriers in Drug Design(1987年)Edward B. Roche編集、American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressに提示されており、その両方を参照によって本明細書に組み込む。
【0106】
「溶媒和物」は、本発明の化合物と1つまたは複数の溶媒分子の物理的会合を意味する。この物理的結合は、水素結合を含む様々な度合いのイオン結合および共有結合を含む。場合によっては、例えば1つまたは複数の溶媒分子が結晶固体の結晶格子に組み込まれる場合、溶媒和物を単離することができよう。「溶媒和物」は、液相溶媒和物および分離可能な溶媒和物の両方を包含する。適切な溶媒和物の非限定的な例には、エタノール和物、メタノール和物等が含まれる。「水和物」は、溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0107】
「有効量」または「治療有効量」は、CDK(複数可)を阻害し、したがって所望の治療、緩和、阻害または予防効果をもたらすのに有効な本発明の化合物または組成物の量を説明することを意味する。
【0108】
式Iの化合物は塩を形成することができ、それも本発明の範囲に含まれる。本明細書における式Iの化合物への言及は、別段指定されない限り、それらの塩への言及を含むと理解される。「塩(複数可)」という用語は、本明細書で使用される場合、無機酸および/または有機酸を用いて形成される酸性塩、ならびに無機塩基および/または有機塩基を用いて形成される塩基性塩を示す。さらに式Iの化合物が、それに限定されるものではないがピリジンまたはイミダゾールなどの塩基性部分と、それに限定されるものではないがカルボン酸などの酸性部分の両方を含有する場合、双性イオン(「内塩」)を形成することができ、それらも本明細書で使用される「塩(複数可)」という用語に含まれる。薬学的に許容される(すなわち、非毒性の生理的に許容される)塩が好ましいが、他の塩も有用である。式Iの化合物の塩は、例えば、その塩が沈殿するような媒体または水性媒体中で、式Iの化合物を、当量などの量の酸または塩基と反応させた後、凍結乾燥することによって形成し得る。
【0109】
例示的な酸付加塩には、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩としても公知)等が含まれる。さらに、塩基性医薬化合物から有用な医薬用塩を形成するのに適していると一般にみなされる酸は、例えばP. Stahlら、Camille G.(編)Handbook of Pharmaceutical Salts. Properties、Selection and Use.(2002年)Zurich:Wiley−VCH、S. Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977年)66巻(1号)、1〜19頁:P. Gould、International J.of Pharmaceutics(1986年)33巻、201〜217頁、Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry(1996年)、Academic Press、New York、およびThe Orange Book(Food & Drug Administration、Washington、D.C.、そのウェブサイト上)に論じられている。これらの開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0110】
例示的な塩基性塩には、アンモニウム塩、ナトリウム、リチウムおよびカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウムおよびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルアミンなどの有機塩基(例えば有機アミン)との塩、ならびにアルギニン、リジンなどのアミノ酸との塩等が含まれる。塩基性の窒素含有基は、低級アルキルハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチルおよびブチル)、ジアルキル硫酸塩(例えば、ジメチル、ジエチルおよびジブチル硫酸塩)、長鎖ハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリルおよびステアリル)、アラルキルハロゲン化物(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)などの試剤で四級化することができる。
【0111】
かかるすべての酸性塩および塩基性塩は、本発明の範囲に含まれる薬学的に許容される塩であるとされ、すべての酸性および塩基性塩は、本発明の目的のために、対応する化合物の遊離形態に等しいとみなされる。
【0112】
本化合物の薬学的に許容されるエステルには、以下の群、(1)エステル基のカルボン酸部分の非カルボニル部分が、直鎖または分枝鎖アルキル(例えば、アセチル、n−プロピル、t−ブチルまたはn−ブチル)、アルコキシアルキル(例えば、メトキシメチル)、アラルキル(例えば、ベンジル)、アリールオキシアルキル(例えば、フェノキシメチル)、アリール(例えば、ハロゲン、C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルコキシ、またはアミノで任意選択により置換されている、例えばフェニル)から選択される、ヒドロキシ基のエステル化によって得られるカルボン酸エステル、(2)アルキル−またはアラルキルスルホニルなどのスルホン酸エステル(例えば、メタンスルホニル)、(3)アミノ酸エステル(例えば、L−バリルまたはL−イソロイシル)、(4)ホスホン酸エステル、ならびに(5)一、二または三リン酸エステルが含まれる。リン酸エステルはさらに、例えばC1〜20アルコールまたはその反応性誘導体によって、または2,3−ジ(C6〜24)アシルグリセロールによってエステル化することができる。
【0113】
式Iの化合物、ならびにその塩、溶媒和物およびプロドラッグは、それらの互変異性型で(例えば、アミドまたはイミノエーテルとして)存在することができる。かかるすべての互変異性体形態は、本明細書では本発明の一部として企図される。
【0114】
様々な置換基上の不斉炭素により存在することができるもの、例えば鏡像異性体(不斉炭素なしであっても存在することができる)、回転異性体、アトロプ異性体、およびジアステレオマー形態などの、本化合物(本化合物の塩、本化合物の溶媒和物およびプロドラッグ、ならびにそのプロドラッグの塩および溶媒和物を含む)のすべての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体等)と同様に、位置異性体(例えば、4−ピリジルおよび3−ピリジル)として本発明の範囲に含まれることを企図する。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば他の異性体を実質的に含まなくてもよく、あるいは例えばラセミ体として、または他のすべてのもしくは他の選択された立体異性体と混合することもできる。本発明のキラル中心は、IUPAC1974年の推奨によって定義の通り、SまたはR配置を有することができる。「塩」、「溶媒和物」、「プロドラッグ」等の用語の使用は、本発明の化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ体またはプロドラッグの塩、溶媒和物およびプロドラッグに等しく適用されるものとする。
【0115】
式Iの化合物およびその塩の多形体、式Iの化合物の溶媒和物およびプロドラッグは、本発明に含まれるものとする。
【0116】
本発明の化合物は、薬理学的特性を有し、特に式Iの化合物は、LpxCの阻害剤である。
【0117】
一態様では、本発明は、式(I)の少なくとも1つの化合物を活性成分として含む医薬組成物を提供する。
【0118】
別の態様では、本発明は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体をさらに含む、式(I)の医薬組成物を提供する。
【0119】
別の態様では、本発明は、LpxCに関連する障害を治療する方法を提供し、前記方法は、かかる治療を必要としている患者に、治療有効量の式(I)の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物を投与するステップを含む。
【0120】
別の態様では、本発明は、LpxCに関連する障害を治療する医薬品の製造のための、式(I)の化合物の使用を提供する。
【0121】
式Iの化合物は、抗菌活性を有し、グラム陰性およびグラム陽性感染症を含む微生物感染症の治療に有用となり得る。
【0122】
別の態様では、本発明は、LpxCに関連する障害を治療するための医薬組成物を調製する方法を提供し、前記方法は、式Iの少なくとも1つの化合物と少なくとも1つの薬学的に許容される担体を緊密に接触させるステップを含む。
【0123】
別の態様では、本発明は、対象のLpxCに関連する障害を治療するための医薬組成物を提供し、その治療は、かかる治療を必要としている被験体に、治療有効量の式Iの化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、エステルもしくは異性体を投与するステップを含む。
【0124】
別の態様では、本発明は、純粋な形態の式Iの化合物を提供する。
【0125】
別の態様では、本発明は、被験体におけるLpxCによって媒介される状態または疾患(微生物感染症など)を治療する方法を提供し、該方法は、かかる治療を必要としている被験体に、治療有効量の式Iの少なくとも1つの化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくは異性体を投与するステップを含む。
【0126】
別の態様では、本発明は、哺乳動物における微生物感染症を治療する方法を提供し、該方法は、前記哺乳動物に、治療有効量の式Iの化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルを投与するステップを含む。一実施形態では、感染症を引き起こす微生物は細菌であり、別の実施形態では真菌である。一実施形態では、微生物感染症は、グラム陰性感染症であり、別の実施形態ではグラム陰性感染症である。
【0127】
別の態様では、本発明は、哺乳動物における微生物感染症を治療する方法を提供し、該方法は、前記哺乳動物に、治療有効量の式Iの化合物を、1つまたは複数の追加の抗菌または抗真菌剤と組み合わせて投与するステップを含む。一実施形態では、前記追加の抗菌剤は、グラム陰性菌に対して活性である。別の実施形態では、前記追加の抗菌剤は、グラム陽性菌に対して活性である。
【0128】
一実施形態では、式(I)の化合物は、グラム陰性菌感染症を治療するために被験体に投与することができる。それらの化合物は、グラム陰性抗菌活性を達成または強化するために、マクロライドなどの他の抗生物質、例えばエリスロマイシン、リファンピシンおよびアジスロマイシンと一緒に投与することもでき、あるいはグラム陰性有機体に対する特定の抗菌剤の範囲または効力を達成または強化するために、他の非マクロライド抗生物質と一緒に投与することもできる。
【0129】
同様に、式Iの化合物は、抗菌剤との併用においてそれ自体有用な他の薬剤と共に使用することができる。例えば、細菌細胞壁透過剤を含むことができる。かかる化合物の代表例には、EDTA、ポリミキシンBノナペプチド、ポリ−L−リジンおよびネオマイシンが含まれる。当業者に公知の他の透過強化剤も同様に、本明細書に含まれ得る。
【0130】
別の実施形態では、本発明の化合物によって治療できる微生物感染症は、
【0131】
【数1】

からなる群から選択される少なくとも1つの生物体によって引き起こされる。
【0132】
別の実施形態では、微生物感染症は、
【0133】
【数2】

からなる群から選択される少なくとも1つの生物体によって引き起こされる。
【0134】
標準のLpxCアッセイは、アッセイバッファーおよび2%DMSO中、0.2nMのLpxC酵素、1.0μMのUDP−3−O−(R−3−ヒドロキシミリストイル)−N−アセチルグルコサミン、および試験化合物からなる。アッセイバッファーは、25mMのHEPES、pH7.3、150mMのNaCl、2.0mMのDTTおよび0.01%BSAから構成される。酵素反応は、96ウェルアッセイプレート中、最終体積102μLで実施される。試験化合物の溶液を、100%DMSO中で調製する。反応添加剤は、順に(1)化合物溶液2.0μL、(2)アッセイバッファー80μL、(3)10μMのUDP−3−O−(R−3−ヒドロキシミリストイル)−N−アセチルグルコサミン10μL(アッセイバッファー中)、および(4)反応を開始するためのLpxC酵素10μL(アッセイバッファー中20nM)とする。陽性対照反応では、添加剤(1)は100%DMSO2.0μLを有し(化合物なし)、これらの反応物を総シグナル(TBS)値として使用する。反応物を、室温で60分間インキュベートし、1NのHCl10μLを添加して反応を停止させる。プレートを10秒間手動で振盪して、確実に完全にクエンチする。アッセイプレートをホイルテープで封止し、−80℃で24〜48時間保存した後に分析する。
【0135】
反応混合物中の基質および生成物の濃度を、BioTrove専売のRapidFire(商標)ハイスループット質量分析(HTMS)で決定する。アッセイ混合物を逆相クロマトグラフィーで部分的に精製するが、ここでアッセイ混合物を、5mMギ酸アンモニウムを含有する水で洗浄し、80%アセトニトリル、20%水および5mMギ酸アンモニウム中、質量分析計上に溶出する。基質および生成物の質量分析ピーク領域を測定して、これらの分析物の濃度を決定する。アッセイシグナルは、生成物に変換される基質の百分率とする。試験サンプルの阻害パーセント(%I)を、以下の等式から決定する。
【0136】
【数3】

この方法を使用して、式(I)の選択した化合物について、以下のE.coliのIC50(nM)データを得た。
【0137】
化合物32、33、38、42、50、51、62、62、66、69、71、82、84〜90、92〜97、103、105〜109、111〜114、124〜126、141〜143および151は、約50nM未満のIC50値を有していた。
【0138】
化合物35、39、41、43、44、52、57、59、61、68、70、72、83、102、104、110、127、132および144は、50nMおよび500nMの間のIC50値を有していた。
【0139】
化合物34、36、37、45、53、64、65および73は、500nMおよび5,000nMの間のIC50値を有していた。
【0140】
化合物40、46および58は、5,000nMおよび10,000nMの間のIC50値を有していた。
【0141】
化合物60、63、67および91は、10,000nMを超えるIC50値を有していた。
【0142】
活性成分を含有する医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ剤、水性または油性懸濁剤、分散性散剤または顆粒剤、乳剤、硬質または軟質カプセル剤、あるいはシロップ剤またはエリキシル剤として経口使用に適した形態であってよい。経口使用を企図した組成物は、医薬組成物の製造技術分野で公知の任意の方法に従って調製することができ、かかる組成物は、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤からなる群から選択される1つまたは複数の薬剤を含有して、薬学的に適した口当たりの良い調製物を提供することができる。錠剤は、活性成分を、錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容される賦形剤と混合して含有する。これらの賦形剤は、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;例えばトウモロコシデンプンまたはアルギン酸などの造粒剤および崩壊剤;結合剤、例えばデンプン、ゼラチンまたはアカシア、ならびに滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクであってよい。錠剤は、コーティングされていなくてもよく、または胃腸管での崩壊および吸収を遅延し、それによってより長期にわたって持続作用をもたらすために、公知の技術によってコーティングすることもできる。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を使用することができる。これらは、制御放出用の浸透圧性治療錠剤を形成するために、米国特許第4,256,108号、同第4,166,452号および同第4,265,874号に記載の技術によってコーティングすることもできる。
【0143】
経口使用のための製剤は、活性成分を、不活性な固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合した硬質ゼラチンカプセルとして、あるいは活性成分を、水または油性媒体、例えばピーナッツ油、液体パラフィンもしくはオリーブ油と混合した軟質ゼラチンカプセルとして提供することもできる。
【0144】
水性懸濁剤は、活性材料を、水性懸濁剤の製造に適した賦形剤と混合して含有する。かかる賦形剤は、懸濁化剤、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアカシアガムであり、分散剤または湿潤剤は、天然に生じるリン脂質、例えばレシチン、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレン−オキシセタノール(oxycetanol)、またはモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールなどの、エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール由来の部分エステルとの縮合生成物、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物由来の部分エステルとの縮合生成物、例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタンであってよい。水性懸濁剤は、1つまたは複数の保存剤、例えばp−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル、1つまたは複数の着色剤、1つまたは複数の香味剤、およびショ糖、サッカリンまたはアスパルテームなどの1つまたは複数の甘味剤を含有することもできる。
【0145】
油性懸濁剤は、活性成分を、植物油、例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油またはココナッツ油、あるいは液体パラフィンなどの鉱油に懸濁することによって製剤化することができる。油性懸濁剤は、増粘剤、例えば蜜蝋、硬質パラフィンまたはセチルアルコールを含有することができる。先に記載のものなどの甘味剤および香味剤を添加して、口当たりの良い経口調製物を提供することができる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤を添加することによって保存できる。
【0146】
水を添加することによって水性懸濁剤を調製するのに適した分散性散剤および顆粒剤は、活性成分を、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤および1つまたは複数の保存剤と混合して提供する。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤は、すでに前述したものによって例示される。追加の賦形剤、例えば、甘味剤、香味剤および着色剤が存在してもよい。
【0147】
本発明の医薬組成物は、水中油乳剤の形態であってもよい。油相は、植物油、例えばオリーブ油またはラッカセイ油、あるいは鉱油、例えば液体パラフィン、あるいはこれらの混合物であってよい。適切な乳化剤は、天然に生じるリン脂質、例えば大豆、レシチン、ならびに脂肪酸およびヘキシトール無水物由来のエステルまたは部分エステル、例えばモノオレイン酸ソルビタン、ならびに前記部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンであってよい。乳剤は、甘味剤および香味剤を含有することもできる。
【0148】
シロップ剤またはエリキシル剤は、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはショ糖と共に製剤化することができる。かかる製剤は、粘滑薬、保存剤、ならびに香味剤および着色剤を含有することもできる。
【0149】
医薬組成物は、注入可能な滅菌水性または油性懸濁剤の形態であってよい。この懸濁剤は、前述の適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、公知の技術に従って製剤化することができる。注入可能な滅菌調製物は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の注入可能な滅菌溶剤または懸濁剤であってよく、例えば1,3−ブタンジオール中溶液として存在することもできる。使用できる許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに滅菌固定油は、溶媒または懸濁化媒体として従来使用されている。この目的では、合成モノまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性の固定油を使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が、注入可能な調製物に使用される。
【0150】
本発明の化合物は、薬物の直腸投与のために坐剤の形態で投与することもできる。組成物は、常温では固体だが直腸温度では液体となり、したがって直腸内で溶融して薬物を放出する、適切な非刺激性の賦形剤と薬物を混合することによって調製できる。かかる材料は、カカオバターおよびポリエチレングリコールである。
【0151】
局所使用に関しては、本発明の化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、液剤または懸濁剤などが使用される(この適用の目的では、局所適用には、洗口剤および含嗽剤が含まれるはずである)。
【0152】
本発明の化合物は、適切な鼻腔内ビヒクルの局所使用により、または当業者に周知の経皮皮膚パッチの形態を使用して経皮経路を介して鼻腔内形態で投与することができる。経皮送達系の形態で投与するために、用量の投与は、当然のことながら投与レジメンを通して間欠的ではなく連続的に行われよう。本発明の化合物は、カカオバター、グリセリンゼラチン、水素化植物油、様々な分子量のポリエチレングリコールの混合物、ならびにポリエチレングリコールの脂肪酸エステルなどの基剤を使用して、坐剤として送達することもできる。
【0153】
本発明の化合物を使用する投与レジメンは、患者の種類、種、体重、性別および病状、治療を受ける状態の重症度、投与経路、患者の腎臓および肝臓の機能、ならびに使用される特定のその化合物を含む様々な因子に従って選択される。通常の医師または獣医は、状態の進行を防止し、それに対抗し、阻止し、または逆行させるのに必要な薬物の有効量を容易に決定し、処方することができる。毒性なしに有効性をもたらす範囲内の薬物濃度を達成するための最適精度には、標的部位に対する薬物利用能の動態に基づく計画が必要である。これには、薬物の分布、平衡および排出を考慮することが含まれる。好ましくは、本発明の方法において有用な式Iの化合物の用量は、1日当たり0.01〜1000mgの範囲である。より好ましくは、用量は0.1〜1000mg/日の範囲である。最も好ましくは、用量は0.1〜500mg/日の範囲である。経口投与に関して組成物は、治療を受ける患者への用量を症候により調節するために、好ましくは活性成分を0.01〜1000ミリグラム、特に活性成分を0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100および500ミリグラム含有する錠剤の形態で提供される。薬物の有効量は、通常、1日につき体重1kg当たり約0.0002mg〜約50mgの用量レベルで供給される。この範囲は、より具体的には1日につき体重1kg当たり約0.001mg〜1mgである。
【0154】
有利には、本発明の活性剤は1日当たりの単回用量で投与することができ、または1日当たりの総用量を、1日当たり2、3または4回の分割用量で投与することができる。
【0155】
担体材料と組み合わせて単一剤形を生成することができる活性成分の量は、治療を受ける宿主および特定の投与方法に応じて変わることになる。
【0156】
しかし、任意の特定の患者に関する特定の用量レベルは、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与の時間、投与経路、排出率、薬物の組合せ、および治療を受ける特定の疾患の重症度を含む様々な因子に応じて変わることを理解されよう。
【0157】
本発明の化合物は、当業者に公知の方法、ならびに以下の反応スキームおよび以下に記載の調製例および実施例に示した方法によって生成することができる。
【実施例】
【0158】
手順およびスキームでは、以下の略語を使用する。
Anh. 無水
Aq 水性
BOC tert−ブトキシカルボニル
BSA ウシ血清アルブミン
℃ 摂氏
DCM ジクロロメタン
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DTT ジチオスレイトール
EtOAc 酢酸エチル
g グラム
h. 時間
H プロトン
HEPES 4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸
HPLC 高圧液体クロマトグラフィー
LC−MS 液体クロマトグラフィー−質量分析
M モル
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
min 分
mg ミリグラム
MHz メガヘルツ
ml ミリリットル
MS 質量分析
RT 室温
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
保持時間
UV 紫外線
X−Phos ジシクロヘキシル−[2−[2,4,6−トリ(プロパン−2−イル)フェニル]フェニル]ホスファン
NMRスペクトルを、Mercuryplus 400MHzのNMR分光計(Varian)で、CDCl3またはDMSO−d6を溶媒として使用して得た。LC−MSデータを、Agilent 1100シリーズLC/MSD(四重極、API−ES(大気圧インターフェースエレクトロスプレー))を使用して、キャピラリー電圧を3500Vに設定し、ポジティブモードで操作して得た。報告された分析的HPLC(LC/MS)保持時間は、C18(150×4.6mm)逆相カラムを使用して、水〜95:5アセトニトリル:水中0.1%トリフルオロ酢酸の5分または10分の勾配を用いて、流速3mL/分で溶出して得た。
【0159】
逆相クロマトグラフィーによる精製は、C18逆相カラムを使用して、水〜95:5アセトニトリル:水中0.1%トリフルオロ酢酸の勾配を用いて、流速20mL/分で達成した。サンプルを、UV(Gilson、254nm)またはマススペクトル(Agilent 1100シリーズLC/MSDモデルSL)シグナルを使用して収集した。
【0160】
Biotage装置による順相シリカゲルクロマトグラフィーは、Quad UVシステム(P/N07052)を用いて、フラッシュカートリッジ12+Mまたは25+Mを備えたKP−SIL32〜63umカラム、60Åを利用して達成した。
【0161】
式(I)の化合物は、当業者に公知の方法、ならびに以下の反応スキームおよび以下に記載の調製例および実施例に示した方法によって生成することができる。これらの調製例および実施例は、本開示の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。代替の機構経路および類似の構造は、当業者には明らかとなり得る。化合物のあらゆる種類の異性体が、本発明の範囲に含まれるとみなされる。
【0162】
(実施例1)
(実施例1A)
【0163】
【化21】

パートA
0℃の4−(4−ブロモフェニル)ピペリジン(1)(960mg、4.0mmol)およびジ−tert−ブチルジカーボネート(960mg、4.4mmol)のDCM(10mL)中混合物を室温に温め、3時間撹拌した。LC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。ジクロロメタン(10mL)を添加し、溶液を1NのHCl(10mL)で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーによってヘキサン/酢酸エチルの勾配溶離(0〜100%)で精製して、化合物2を白色固体として得た(1.36g、収率100%)。HPLC−MS t=2.50分(UV254nm);式C1622BrNOの質量の計算値339.1、LCMSによる実測値m/z284.1(M+H−Bu)。
【0164】
パートB
化合物2(600mg、1.76mmol)のアセトニトリル(5mL)中溶液を、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)(4.6mg、17.6μmol)、X−Phos(25mg、52.9μmol)および炭酸セシウム(1.5g、4.59mmol)を入れたシュレンク管に移し、反応混合物を、不活性雰囲気下の室温で25分間撹拌した。フェニルアセチレン(360mg、3.52mmol)を含有するアセトニトリル(2mL)溶液100μLを添加し、反応混合物を90℃で15分間加熱した。フェニルアセチレン溶液(100μL)を、15分毎に添加し、反応混合物を90℃で合計2.5時間加熱した。LC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。水(6mL)を添加し、粗生成物を酢酸エチル(10mL)に抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーによってヘキサン/酢酸エチルの勾配溶離(0〜100%)で精製して、BOCで保護された化合物3を黄色固体として得た(546mg、収率86%)。HPLC−MS t=2.70分(UV254nm);式C2427NOの質量の計算値361.2、LCMSによる実測値m/z306.2(M+H−Bu)。
【0165】
BOC保護基を、トリフルオロ酢酸(5mL)を添加することによって加水分解し、得られた混合物を室温で1分間撹拌した。LC−MS分析によって、加水分解が完了したことが示された。揮発性物質を真空中で除去し、得られた残渣を1:1のMeCN/水混合物(10mL)に再溶解し、18時間凍結乾燥させて、粗化合物3を得た。HPLC−MS t=1.22分(UV254nm);式C1919Nの質量の計算値261.2、LCMSによる実測値m/z262.2(M+H)。
【0166】
(実施例1B)
【0167】
【化22】

化合物6を、実施例1A、パートAおよびパートBに記載の条件を使用して、1−(4−ブロモフェニル)ピペラジン(4)から調製した。HPLC−MS t=1.19分(UV254nm);式C1818の質量の計算値262.2、LCMSによる実測値m/z263.1(M+H)。
【0168】
(実施例1C)
【0169】
【化23】

パートA
化合物8を、実施例1A、パートAに記載の条件を使用して、4−ヨードベンジルアミン(7)から調製した。HPLC−MS t=2.15分(UV254nm);式C1114INOの質量の計算値333.10、LCMSによる実測値m/z278.1(M+H−Bu)。
【0170】
パートB
化合物8(333mg、1.0mmol)、ヨウ化銅(3.8mg、0.02mmol)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(7.0mg、0.01mmol)のTHF(5mL)中混合物に、フェニルアセチレン(122mg、1.2mmol)およびトリエチルアミン(298μL、2mmol)を添加した。反応容器をアルゴンでフラッシュし、反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応物のLC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。酢酸エチル(5mL)を添加し、反応混合物を飽和NaHCOで洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーによってヘキサン/酢酸エチルの勾配溶離(0〜100%)で精製して、BOCで保護された化合物9を黄色固体として得た(258mg、収率84%)。HPLC−MS t=2.23分(UV254nm);式C2021NOの質量の計算値307.2、LCMSによる実測値m/z330.1(M+Na)。
【0171】
BOC保護基を、トリフルオロ酢酸(5mL)を添加することによって加水分解し、得られた混合物を室温で1分間撹拌した。LC−MS分析によって、加水分解が完了したことが示された。揮発性物質を真空中で除去し、得られた残渣を1:1のMeCN/水混合物(10mL)に再溶解し、18時間凍結乾燥させて、粗化合物9を得た。HPLC−MS t=1.11分(UV254nm);式C1513Nの質量の計算値207.2、LCMSによる実測値m/z208.2(M+H)。
【0172】
(実施例1D)
【0173】
【化24】

化合物12を、実施例1C、パートAおよびパートBに記載の条件を使用して、3−ヨードベンジルアミン(10)から調製した。HPLC−MS t=1.03分(UV254nm);式C1513Nの質量の計算値207.2、LCMSによる実測値m/z208.2(M+H)。
【0174】
(実施例1E)
【0175】
【化25】

化合物15を、実施例1A、パートAおよびパートBに記載の条件を使用して、3−ブロモフェネチルアミン(13)から調製した。HPLC−MS t=1.18分(UV254nm);式C1615Nの質量の計算値221.1、LCMSによる実測値m/z222.1(M+H)。
【0176】
(実施例1F)
【0177】
【化26】

化合物18を、実施例1A、パートAおよびパートBに記載の条件を使用して、3−(4−クロロフェニル)ピロリジン(16)から調製した。HPLC−MS t=1.27分(UV254nm);式C1817Nの質量の計算値247.1、LCMSによる実測値m/z248.1(M+H)。
【0178】
(実施例1G)
【0179】
【化27】

化合物21を、実施例1A、パートAおよびパートBに記載の条件を使用して、3−(4−クロロフェニル)ピペリジン(19)から調製した。HPLC−MS t=1.28分(UV254nm);式C1919Nの質量の計算値261.2、LCMSによる実測値m/z262.2(M+H)。
【0180】
(実施例1H)
【0181】
【化28】

化合物24を、実施例1A、パートAおよびパートBに記載の条件を使用して、3−(3−クロロフェニル)ピロリジン(22)から調製した。HPLC−MS t=1.20分(UV254nm);式C1817Nの質量の計算値247.1、LCMSによる実測値m/z248.1(M+H)。
【0182】
(実施例1I)
【0183】
【化29】

パートA
化合物26を、参考文献J. Med. Chem.(2004年)、47巻、12、3111頁に従って、1−N−boc−4−ホルミルピペリジン(25)から調製した。
【0184】
パートB
化合物27を、実施例1C、パートBに記載の薗頭カップリング条件を使用して、化合物26およびヨードベンゼンから調製した。HPLC−MS t=0.85分(UV254nm);式C1315Nの質量の計算値185.1、LCMSによる実測値m/z186.1(M+H)。
【0185】
(実施例2)
【0186】
【化30】

パートA
4−ニトロフェニルクロロホルメート(665mg、3.3mmol)およびDIEA(1.6mL、9mmol)のTHF(10mL)中氷冷溶液に、O−tert−ブチル−L−トレオニンtert−ブチルエステル塩酸塩(28)(803mg、3mmol)のTHF(5mL)中溶液を20分かけてゆっくり添加した。反応混合物を室温に温め、18時間撹拌した。LC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。反応を、飽和NaHCOを添加することによってクエンチし、EtOAcで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して、化合物29を得、それをフラッシュシリカクロマトグラフィーでヘキサン/酢酸エチルの勾配溶離(0〜100%)に付した(917mg、77%)。HPLC−MS t=2.22分(UV254nm);式C1928の質量の計算値396.2、LCMSによる実測値m/z397.1(M+H)。
【0187】
パートB
化合物29(291mg、0.72mmol)およびDIEA(0.21mL、1.2mmol)のTHF(5mL)中溶液に、アミンビルディングブロック(164mg、0.6mmol)を添加し、反応混合物を80℃で2時間加熱した。反応を、1NのHClを添加することによってクエンチし、EtOAcで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して、化合物30を得、それをフラッシュシリカクロマトグラフィーでヘキサン/酢酸エチルの勾配溶離(0〜100%)に付した(300mg、92%)。HPLC−MS t=2.82分(UV254nm);式C3242の質量の計算値518.3、LCMSによる実測値m/z519.2(M+H)。
【0188】
パートC
トリフルオロ酢酸(5mL)を化合物30に添加し、得られた混合物を室温で1時間撹拌した。LC−MS分析によって、加水分解が完了したことが示された。揮発性物質を真空中で除去し、得られた残渣を1:1のMeCN/水混合物(10mL)に再溶解し、18時間凍結乾燥させて、粗化合物31を得た。HPLC−MS t=1.94分(UV254nm);式C2426の質量の計算値406.2、LCMSによる実測値m/z407.1(M+H)。
【0189】
パートD
化合物31(15mg、0.037mmol)およびHATU(17mg、0.044mmol)のDMF(2mL)中溶液に、DIEA(19μL、0.11mmol)およびO−(tert−ブチルジメチルシリル)ヒドロキシルアミン(6.5mg、0.044mmol)を添加した。反応混合物を室温で18時間撹拌した。LC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。揮発性物質を真空中で除去し、得られた残渣を分取HPLCによって精製して、化合物32(9.2mg、60%)をオフホワイト色固体として得た。
【0190】
化合物32〜46(表−1)を、実施例2に記載の手順を使用して合成した。
【0191】
【表1−1】

【0192】
【表1−2】

【0193】
【表1−3】

(実施例3)
【0194】
【化31】

パートA
化合物47(280mg、68%)を、実施例2、パートBに記載の条件を使用して、化合物29(363mg、0.92mmol)と1−(4−ブロモフェニル)ピペリジンの反応から調製した。HPLC−MS t=2.32分(UV254nm);式C2437BrNの質量の計算値496.2、LCMSによる実測値m/z497.2(M+H)。
【0195】
パートB
化合物47(71mg、0.14mmol)、リン酸カリウム(91mg、0.43mmol)およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(10.5mg、0.014mmol)のジオキサン(2mL)中混合物に、フェニルボロン酸(34mg、0.28mmol)を添加した。反応容器をアルゴンでフラッシュし、反応混合物を80℃で18時間加熱した。反応物のLC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。酢酸エチル(5mL)を添加し、沈殿物を、セライトプラグを通過させることによって除去した。濾液を濃縮し、粗残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィーによってヘキサン/酢酸エチルの勾配溶離(0〜100%)で精製して、化合物48を白色固体として得た(61mg、収率86%)。HPLC−MS t=2.38分(UV254nm);式C3042の質量の計算値494.3、LCMSによる実測値m/z495.2(M+H)。
【0196】
パートC
化合物49を、実施例2、パートCに記載の加水分解条件を使用して、化合物48から調製した。HPLC−MS t=1.55分(UV254nm);式C2125の質量の計算値383.2、LCMSによる実測値m/z384.2(M+H)。
【0197】
パートD
化合物50を、実施例2、パートDに記載のペプチドカップリング条件を使用して、化合物49から調製した。
【0198】
化合物50〜53(表−2)を、実施例3に記載の手順を使用して合成した。
【0199】
【表2】

(実施例4)
【0200】
【化32】

パートA
化合物54(130mg、95%)を、実施例2、パートBに記載の条件を使用して、化合物29(100mg、0.25mmol)と1−(4−ヨードフェニル)ピペリジンの反応から調製した。HPLC−MS t=2.50分(UV254nm);式C2437INの質量の計算値544.2、LCMSによる実測値m/z545.2(M+H)。
【0201】
パートB
化合物55(40mg、85%)を、実施例3、パートBに記載の条件を使用して、化合物54(50mg、0.092mmol)と3−フルオロフェニルボロン酸の反応から調製した。HPLC−MS t=2.43分(UV254nm);式C2940FNの質量の計算値513.3、LCMSによる実測値m/z514.3(M+H)。
【0202】
パートC
化合物56を、実施例2、パートCに記載の加水分解条件を使用して、化合物55から調製した。HPLC−MS t=1.60分(UV254nm);式C2124FNの質量の計算値401.2、LCMSによる実測値m/z402.2(M+H)。
【0203】
パートD
化合物57を、実施例2、パートDに記載のペプチドカップリング条件を使用して、化合物56から調製した。
【0204】
化合物57〜73(表−3)を、実施例4の手順に例示の通り合成した。
【0205】
【表3−1】

【0206】
【表3−2】

【0207】
【表3−3】

(実施例5)
【0208】
【化33】

パートA
L−トレオニンメチルエステル塩酸塩(74)(1.7g、10mmol)およびDIEA(3.83mL、22mmol)のTHF(20mL)中氷冷溶液に、ベンジルクロロホルメート(1.55mL、11mmol)のTHF(10mL)中溶液を5分かけてゆっくり添加した。反応混合物を室温に温め、2時間撹拌した。LC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。反応を、1NのHClを添加することによってクエンチし、EtOAcで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して、粗化合物75を白色固体として得た(2.67g、100%)。HPLC−MS t=1.31分(UV254nm);式C1317NOの質量の計算値267.1、LCMSによる実測値m/z268.1(M+H)。
【0209】
パートB
化合物75(561mg、2.1mmol)、イミダゾール(172mg、2.5mmol)およびtert−ブチルジメチルシリル塩化物(348mg、2.3mmol)のDMF(5mL)中溶液を、室温で18時間撹拌した。LC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。反応を水でクエンチし、EtOAcで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して、粗化合物76を無色油として得た(759mg、95%)。HPLC−MS t=2.70分(UV254nm);式C1931NOSiの質量の計算値381.2、LCMSによる実測値m/z382.1(M+H)。
【0210】
パートC
化合物76(759mg、2mmol)およびパラジウム/C(10%)のEtOAc(10mL)中溶液を、18時間水素化した。LC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。反応混合物を、セライトを通過させて濾過し、蒸発させて、粗化合物77を無色油として得た(400mg、81%)。HPLC−MS t=1.15分(UV254nm);式C1125NOSiの質量の計算値247.2、LCMSによる実測値m/z248.1(M+H)。
【0211】
パートD
化合物78(505mg、76%)を、実施例2、パートAに記載の条件を使用して、化合物77(400mg、1.62mmol)から調製した。HPLC−MS t=2.65分(UV254nm);式C1828Siの質量の計算値412.2、LCMSによる実測値m/z413.2(M+H)。
【0212】
パートE
化合物79(542mg、79%)を、実施例2、パートBに記載の条件を使用して、化合物78(505mg、1.23mmol)と1−(4−ヨードフェニル)ピペラジン塩酸塩との反応から調製した。HPLC−MS t=2.80分(UV254nm);式C2236INSiの質量の計算値561.2、LCMSによる実測値m/z562.2(M+H)。
【0213】
パートF
化合物79(550mg、0.98mmol)および水酸化リチウム(1M、1.2mL、1.2mmol)を含有するTHF(10mL)および水(5mL)溶液を、55℃で2時間加熱した。LC−MS分析によって、加水分解が完了したことが示された。反応混合物を、1NのHClでpH4.0の酸性にし、粗生成物をEtOAc(2×10mL)に抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して、化合物80を黄色固体として得た(506mg、94%)。HPLC−MS t=2.60分(UV254nm);式C2134INSiの質量の計算値547.1、LCMSによる実測値m/z548.1(M+H)。
【0214】
パートG
化合物81(400mg、63%)を、実施例2、パートDに記載のペプチドカップリング条件を使用して、化合物80(506mg、0.93mmol)とO−トリチルヒドロキシルアミンの反応から調製した。O−tert−ブチルジメチルシリル保護基を、やはりこれらの条件下で加水分解した。HPLC−MS t=2.29分(UV254nm);式C3435INの質量の計算値690.2、LCMSによる実測値m/z691.1(M+H)。
【0215】
パートH
化合物81(30mg、0.043mmol)、ヨウ化銅(0.57mg、0.003mmol)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(1.06mg、0.0015mmol)のTHF(2mL)中混合物に、2−エチニルピリジン(6.73mg、0.065mmol)およびトリエチルアミン(14μL、0.1mmol)を添加した。反応容器をアルゴンでフラッシュし、反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応物のLC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。酢酸エチル(5mL)を添加し、沈殿物を、セライトプラグを通過させて除去した。濾液を濃縮し、DCM(3mL)中5%トリフルオロ酢酸を使用して、粗残渣を室温で5分間、酸加水分解した。完全な加水分解が、LC−MS分析によって確認された。揮発性物質を真空中で除去し、得られた残渣を分取HPLCによって精製して、化合物82をオフホワイト色固体として得た。
【0216】
82〜97の化合物(表−4)を、実施例5に記載の手順を利用して合成した。
【0217】
【表4−1】

【0218】
【表4−2】

【0219】
【表4−3】

(実施例6)
【0220】
【化34】

パートA
化合物98(345mg、66%)を、実施例5、パートHに記載の薗頭カップリング条件を使用して、化合物29(550mg、0.98mmol)とトリメチルシリルアセチレン(177μL、1.27mmol)の反応から調製した。HPLC−MS t=3.05分(UV254nm);式C2745Siの質量の計算値531.3、LCMSによる実測値m/z532.3(M+H)。
【0221】
パートB
化合物98(345mg、0.65mmol)およびフッ化テトラブチルアンモニウム(1M、1.36mL、1.36mmol)を含有するTHF(10mL)溶液を、室温で1時間撹拌した。LC−MS分析によって、加水分解が完了したことが示された。反応混合物を、飽和NHClを添加することによってクエンチし、EtOAc(2×10mL)で抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して、粗化合物99を得、それをフラッシュシリカクロマトグラフィーでヘキサン/酢酸エチルの勾配溶離(0〜100%)に付した(218mg、97%)。HPLC−MS t=1.65分(UV254nm);式C1823の質量の計算値345.2、LCMSによる実測値m/z346.3(M+H)。
【0222】
パートC
化合物100(15mg、41%)を、実施例5、パートHに記載の薗頭カップリング条件を使用して、化合物99(30mg、0.09mmol)とヨードピラジン(13μL、0.13mmol)の反応から調製した。HPLC−MS t=1.35分(UV254nm);式C2225の質量の計算値423.2、LCMSによる実測値m/z424.1(M+H)。
【0223】
パートD
化合物101(14mg、100%)を、実施例5、パートFに記載の鹸化条件を使用して、化合物100(15mg、0.035mmol)から調製した。HPLC−MS t=1.40分(UV254nm);式C2123の質量の計算値409.2、LCMSによる実測値m/z410.1(M+H)。
【0224】
パートE
化合物102(6.0mg、43%)を、実施例2、パートDに記載のペプチドカップリング条件を使用して、化合物101(14mg、0.035mmol)から調製した。分取HPLCによって精製して、化合物102をオフホワイト色固体として得た。
【0225】
化合物102〜114(表−5)を、実施例6に記載の手順を使用して合成した。
【0226】
【表5−1】

【0227】
【表5−2】

【0228】
【表5−3】

(実施例7)
【0229】
【化35】

パートA
0℃の(S)−(+)−2−アミノ−3−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸(115)(1.05g、7.90mmol)の2MのNaOH(8mL)中溶液に、ベンジルクロロホルメート(1.11mL、7.90mmol)のジオキサン(13mL)中溶液を添加した。反応混合物を室温に温め、18時間撹拌した。反応混合物を、1NのHClを用いてpH4.0の酸性にし、EtOAc(3×100mL)で抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して、粗化合物116を無色油として得た(1.81g、86%)。HPLC−MS t=1.20分(UV254nm);式C1317NOの質量の計算値267.1、LCMSによる実測値m/z268.1(M+H)。
【0230】
パートB
化合物116(956mg、3.58mmol)のMeCN(10mL)およびMeOH(10mL)中溶液に、トリメチルシリルジアゾメタン(trimethylsilydiazomethane)(1.8mL、3.58mmol)を添加した。反応混合物を室温で20分間撹拌し、濃縮して、粗化合物117を黄色油として得た(1.05g、100%)。HPLC−MS t=1.43分(UV254nm);式C1419NOの質量の計算値281.1、LCMSによる実測値m/z282.1(M+H)。
【0231】
パートC
0℃の化合物117(500mg、1.78mmol)のDCM(5mL)中溶液に、DIEA(372μL、1.78mmol)および2−(クロロメトキシ)エチルトリメチルシラン(312μL、1.78mmol)を添加した。反応混合物を室温に温め、次いで60℃で3.5時間加熱した。濃縮し、フラッシュシリカクロマトグラフィーによってヘキサン/酢酸エチルの勾配溶離(0〜100%)で精製して、化合物118を無色油として得た(383mg、52%)。HPLC−MS t=2.48分(UV254nm);式C2033NOSiの質量の計算値411.2、LCMSによる実測値m/z434.1(M+Na)。
【0232】
パートD
化合物119(200mg、83%)を、実施例5、パートCに記載の水素化条件を使用して、化合物118から調製した。HPLC−MS t=1.24分(UV254nm);式C1227NOSiの質量の計算値277.2、LCMSによる実測値m/z278.2(M+H)。
【0233】
パートE
化合物120(167mg、58%)を、実施例2、パートAに記載の条件を使用して、化合物119から調製した。
【0234】
パートF
化合物121(40mg、67%)を、実施例2、パートBに記載の条件を使用して、化合物120(50mg、1.12mmol)と1−ビフェニル−4−イル−ピペラジンの反応から調製した。HPLC−MS t=2.57分(UV254nm);式C2943Siの質量の計算値541.3、LCMSによる実測値m/z542.2(M+H)。
【0235】
パートG
化合物121(40mg、0.074mmol)およびジオキサン中4NのHCl(2mL)の混合物を、50℃で2時間加熱した。反応混合物を濃縮して、粗化合物122を白色固体として得た(30mg、100%)。HPLC−MS t=1.93分(UV254nm);式C2329の質量の計算値411.3、LCMSによる実測値m/z412.3(M+H)。
【0236】
パートH
化合物123(34mg、100%)を、実施例5、パートFに記載の鹸化条件を使用して、化合物122から調製した。HPLC−MS t=1.93分(UV254nm);式C2227の質量の計算値397.2、LCMSによる実測値m/z398.3(M+H)。
【0237】
パートI
化合物124(6mg、19%)を、実施例2、パートDに記載のペプチドカップリング条件を使用して、化合物123(34mg、0.078mmol)から調製した。分取HPLCによって精製して、化合物124をオフホワイト色固体として得た。
【0238】
以下の化合物124〜127(表−6)を、実施例7に記載の通り合成した。
【0239】
【表6】

(実施例8)
【0240】
【化36】

パートA
化合物129(101mg、23%)を、実施例2、パートAに記載の条件を使用して、化合物128から調製した。
【0241】
パートB
化合物130(21mg、81%)を、実施例2、パートBに記載の条件を使用して、化合物129(20mg、0.052mmol)と化合物3の反応から調製した。HPLC−MS t=2.23分(UV254nm);式C2935の質量の計算値505.3、LCMSによる実測値m/z506.3(M+H)。
【0242】
パートC
化合物131(20mg、100%)を、実施例5、パートFに記載の鹸化条件を使用して、化合物130から調製した。HPLC−MS t=2.10分(UV254nm);式C2833の質量の計算値491.2、LCMSによる実測値m/z492.2(M+H)。
【0243】
パートD
化合物132(5mg、24%)を、実施例2、パートDに記載のペプチドカップリング条件を使用して、化合物131(20mg、0.042mmol)から調製した。BOC保護基を、トリフルオロ酢酸(2mL)を用いて室温で1分間撹拌することによって加水分解した。揮発性物質を真空中で除去し、粗残渣を分取HPLCによって精製して、化合物132をオフホワイト色固体として得た。
【0244】
以下の化合物132(表−7)を、実施例8に記載の手順を使用して合成した。
【0245】
【表7】

(実施例9)
【0246】
【化37】

パートA
トリチルブロミド(1.59g、4.92mmol)のクロロホルム(20mL)中溶液を、H−allo−トレオニンメチルエステル塩酸塩(1.0g、5.89mmol)およびDIEA(2.57mL、17.67mmol)のクロロホルム(30mL)中撹拌混合物に、室温でゆっくり添加した。反応混合物を18時間撹拌した。LC−MS分析によって、反応が完了したことを確認した。揮発性物質を真空中で除去し、残渣をEtOAcに再溶解し、0.1NのHClで洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して、粗化合物134を得、それをフラッシュシリカクロマトグラフィーでヘキサン/酢酸エチルの勾配溶離(0〜100%)に付した(1.54g、70%)。HPLC−MS t=2.11分(UV254nm);式C2425NOの質量の計算値375.2、LCMSによる実測値m/z378.2(M+Na)。
【0247】
パートB
化合物134(1.54g、4.1mmol)およびトリフェニルホスフィン(1.08g、4.1mmol)のTHF(15mL)中氷冷溶液に、THF(3mL)中ジエチルアゾジカルボキシレート(1.08mL.6.6mmol)をアルゴン雰囲気下で添加した。反応混合物を0℃で10分間撹拌した。ジフェニルホスホリルアジド(2.4mL、11.1mmol)のTHF(2mL)中溶液を添加し、反応混合物を室温に温め、さらに18時間撹拌した。揮発性物質を真空中で除去し、得られた残渣を、フラッシュシリカクロマトグラフィーでヘキサン/酢酸エチルの勾配溶離(0〜100%)にかけて、化合物135を黄色油として得た(1.30g、80%)。
【0248】
パートC
化合物135(518mg、1.3mmol)、トリフェニルホスフィン(680mg、2.6mmol)および水(100μL)のTHF(5mL)中混合物を、60℃で18時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、飽和NaHCOを添加してクエンチした。EtOAc(2×10mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して、粗化合物136を遊離アミンとして得た。この残渣を、DCM(5mL)に再溶解し、DIEA(677μL、3.9mmol)およびジ−tert−ブチルカーボネート(339mg、1.56mmol)を添加し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。LC−MS分析によって、反応が完了したことを確認した。反応混合物を0.1NのHClで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して、粗化合物136を得、それをフラッシュシリカクロマトグラフィーでヘキサン/酢酸エチルの勾配溶離(0〜100%)に付した(450mg、73%)。HPLC−MS t=2.55分(UV254nm);式C2934の質量の計算値474.3、LCMSによる実測値m/z497.2(M+Na)。
【0249】
パートD
化合物136(507mg、1.07mmol)および水酸化パラジウム/C(20%)のEtOAc(10mL)およびMeOH(10mL)混合物中溶液を、45psiで18時間、水素化した。LC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。反応混合物を、セライトを通過させることによって濾過し、蒸発させて、粗化合物137を無色油として得た(248mg、100%)。HPLC−MS t=0.85分(UV254nm);式C1020の質量の計算値232.1、LCMSによる実測値m/z233.1(M+H)。
【0250】
パートE
化合物138(101mg、20%)を、実施例2、パートAに記載の条件を使用して、化合物137から調製した。HPLC−MS t=1.81分(UV254nm);式C1723の質量の計算値397.1、LCMSによる実測値m/z398.1(M+H)。
【0251】
パートF
化合物139(20mg、38%)を、実施例2、パートBに記載の条件を使用して、化合物139(40mg、0.1mmol)と化合物6の反応から調製した。HPLC−MS t=2.26分(UV254nm);式C2936の質量の計算値520.3、LCMSによる実測値m/z521.3(M+H)。
【0252】
パートG
化合物140(19mg、100%)を、実施例5、パートFに記載の鹸化条件を使用して、化合物139から調製した。HPLC−MS t=2.10分(UV254nm);式C2834の質量の計算値506.3、LCMSによる実測値m/z507.3(M+H)。
【0253】
パートH
化合物141(9.1mg、57%)を、実施例2、パートDに記載のペプチドカップリング条件を使用して、化合物140(19mg、0.038mmol)から調製した。BOC保護基を、トリフルオロ酢酸(2mL)を用いて室温で1分間撹拌することによって加水分解した。揮発性物質を真空中で除去し、粗残渣を分取HPLCによって精製して、化合物141をオフホワイト色固体として得た。
【0254】
化合物141〜144(表−8)を、実施例9に記載の手順を使用して合成した。
【0255】
【表8】

(実施例10)
【0256】
【化38】

化合物145を、参考文献J. Chem. Perkin. Trans.1(1999年)、2659頁に従って合成した。
【0257】
パートA
化合物145(1.1g、5.54mmol)のMeOH(10mL)中溶液に、濃HSO(4mL)を添加した。反応混合物を18時間還流し、次いで室温に冷却し、濃縮した。得られた残渣を水で希釈し、飽和NaHCOで塩基性にし、EtOAcで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して、粗化合物146を無色油として得た(800mg、82%)。HPLC−MS t=1.0分(UV254nm);式C12の質量の計算値176.1、LCMSによる実測値m/z177.1(M+H)。
【0258】
パートB
化合物147(500mg、20%)を、実施例2、パートAに記載の条件を使用して化合物146から調製した。
【0259】
パートC
化合物148(85mg、14%)を、実施例2、パートBに記載の条件を使用して、化合物147(450mg、1.32mmol)と1−ビフェニル−4−イル−ピペラジンの反応から調製した。HPLC−MS t=2.25分(UV254nm);式C2328の質量の計算値440.2、LCMSによる実測値m/z442.2(M+2H)。
【0260】
パートD
化合物148(30mg、0.068mmol)およびラネーニッケルのEtOH(10mL)中混合物を、1気圧で18時間、水素化した。反応混合物を、セライトを通過させて濾過し、濃縮し、分取HPLCによって精製して、化合物149を白色固体として得た(5mg、18%)。HPLC−MS t=3.41分(UV254nm);式C2330の質量の計算値410.2、LCMSによる実測値m/z412.2(M+2H)。
【0261】
パートE
化合物149(30mg、0.073mmol)およびDIEA(38μL、0.219mmol)のDCM(3mL)中氷冷溶液に、ベンジルクロロホルメート(10μL、0.177mmol)を添加した。反応混合物を60℃で18時間加熱し、室温に冷却し、DCMで希釈し、1NのHClで洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して、粗化合物150を無色油として得た(35mg、88%)。HPLC−MS t=2.32分(UV254nm);式C3136の質量の計算値544.3、LCMSによる実測値m/z546.2(M+2H)。
【0262】
パートF
化合物151(33mg、100%)を、実施例5、パートFに記載の鹸化条件を使用して、化合物150から調製した。HPLC−MS t=2.14分(UV254nm);式C3034の質量の計算値530.3、LCMSによる実測値m/z532.3(M+2H)。
【0263】
パートG
化合物152(20mg、25%)を、実施例2、パートDに記載のペプチドカップリング条件を使用して、化合物151(67mg、0.126mmol)とO−ベンジルヒドロキシルアミンの反応から調製した。HPLC−MS t=2.31分(UV254nm);式C3741の質量の計算値635.3、LCMSによる実測値m/z637.3(M+2H)。
【0264】
パートH
化合物153(19mg、15%)を、実施例9、パートDに記載の水素化条件を使用して、化合物152から調製した。粗残渣を分取HPLCによって精製して、化合物151をオフホワイト色固体として得た。
【0265】
以下の化合物151(表−9)を、実施例10に記載の手順を使用して合成した。
【0266】
【表9】

当業者は、本発明の広範な概念から逸脱せずに、先に記載の実施形態に変更を加え得ることを理解されよう。したがって本発明は、開示の特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によって定義される通り、本発明の精神および範囲に含まれる改変形態を包含することを企図すると理解される。
【0267】
本特許出願で参照したそれぞれすべての文書は、あらゆる目的のためにその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)によって表される化合物
【化39】

または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステル[式中、
(i)Tは、H、アルキル、アルケニルおよびアルキニルからなる群から選択され、前記アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、非置換であってよく、またはアリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、シクロアルケニルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロシクレニルアルキル、−OH、アルコキシル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、−O−アリール、−O−アラルキル、−SH、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、−S−アリール、−S−アラルキル、−NR、−アルキル−NRおよび−アルケニル−NRからなる群から選択される1つもしくは複数の部分で任意選択により独立に置換されていてもよく、
およびRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、アラルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルからなる群から独立に選択され、あるいは
およびRは、それぞれが結合するN原子と一緒になって、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニルまたはヘテロアリールを形成し、あるいは
TおよびHは、それぞれが結合するC原子と一緒になって、スピロシクロアルキルまたはスピロヘテロシクリルを形成し、前記スピロシクロアルキルおよびスピロヘテロシクリルのそれぞれは、非置換であってよく、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、アラルキル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロおよびハロアルキルからなる群から選択される1つもしくは複数の部分で任意選択により独立に置換されていてもよく、
(ii)Xは、O、SまたはNHであり、
(iii)RおよびRは、水素または(C〜C)アルキルからなる群から独立に選択され、前記(C〜C)アルキルはアリールで置換されており、前記アリールは、非置換であってよく、またはアルキニル、ハロ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクレニルもしくはヘテロシクリルで任意選択により独立に置換されていてもよく、前記アルキニル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニルまたはヘテロシクリルは、非置換であってよく、またはさらなるアリールで置換されていてもよく、あるいは
およびRは、それぞれが結合するN原子と一緒になって、ヘテロシクリルまたはヘテロシクレニルを形成し、前記ヘテロシクリルおよびヘテロシクレニルのそれぞれは、Aで置換されており、あるいは
およびRは、それぞれが結合するN原子と一緒になって、構造
【化40】

によって表される複素環構造を形成し、
式中、Y、Q、ZまたはVは、C(O)、C(S)、C(NH)、S(O)、S(O)およびC(R)からなる群からそれぞれ独立に選択され、qは0〜1であり、RおよびRのそれぞれは、H、アルキルおよびアルケニルからなる群から独立に選択され、前記アルキルまたはアルケニルのそれぞれは、非置換であってよく、またはH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、アラルキル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロおよびハロアルキルからなる群から選択される1つもしくは複数の部分で任意選択により独立に置換されていてもよく、
さらに、Mは、NまたはCRであり、Rは、H、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、シクロアルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、OH、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アリール、−O−アラルキル、−O−シクロアルケニル、−O−シクロアルキル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクレニル、−O−ヘテロシクリル、−SH、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、−S−アリール、−S−アラルキル、−S−シクロアルケニル、−S−シクロアルキル、−S−ヘテロアリール、−S−ヘテロシクレニルまたは−S−ヘテロシクリルであり、
Aは、−アリール−アルキニル−アリール、−アリール−C(O)アラルキル、−アリール、−ビアリール、−アルキニル−アリール、−アリール−ヘテロアリールおよび−アリール−アルキニル−ヘテロアリールからなる群から選択され、前記−アリール−アルキニル−アリール、−アリール−C(O)アラルキル、−アリール、−ビアリール、−アルキニル−アリール、−アリール−ヘテロアリールおよび−アリール−アルキニル−ヘテロアリールは、非置換であってよく、またはハロ、ハロアルキル、−N(R)(R)、ハロアルコキシル、−アルキル−CN、ヒドロキシアルキル、−OH、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、アルキル、アルケニル、ジアルキルアミノアルコキシルおよびヘテロシクリルアルコキシルからなる群から選択される1つもしくは複数の部分で任意選択により独立に置換されていてもよい]。
【請求項2】
Tがヒドロキシアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
XがOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記RおよびRのそれぞれが、独立に、水素または(C〜C)アルキルであり、前記(C〜C)アルキルがアリールで置換されており、前記アリールが、非置換であってよく、またはアルキニル、ハロもしくはヘテロアリールで任意選択により独立に置換されていてもよく、前記アルキニルが、さらなるアリールで置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記(C〜C)アルキルが、直鎖アルキルまたは分枝鎖アルキルであってよい、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
前記アルキルが、メチル、エチルまたは分枝鎖エチルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
前記アルキニルがエチニルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
前記ハロがブロモである、請求項4に記載の化合物。
【請求項9】
前記ヘテロアリールがN−ピラゾールである、請求項4に記載の化合物。
【請求項10】
前記RおよびRが、それぞれが結合するN原子と一緒になって、Aで置換されているヘテロシクリルを形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
前記ヘテロシクリルが、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
Aが、フェニル−エチニル−フェニル、エチニル−フェニル、フェニル−C(O)−ベンジル、フェニル、ビフェニル、フェニル−ヘテロアリール、フェニル−ヘテロアリール−ヘテロシクリルまたはフェニル−エチニル−ヘテロアリールであり、
前記フェニルが、非置換であってよく、またはクロロ、ブロモ、−NH、ジアルキルアミノ、トリハロアルキル、−O−トリハロアルキルおよびシアノアルキルからなる群から選択される1つもしくは複数の部分で任意選択により独立に置換されていてもよく、
前記ビフェニルが、非置換であってよく、またはプロピル、フルオロ、ヘテロシクリル、ジメチルアミノエトキシルおよびヘテロシクリルアルコキシルからなる群から選択される1つもしくは複数の部分で任意選択により独立に置換されていてもよく、
前記ヘテロアリールが、ピリミジニル、ピリジニル、チオフェニル、チアゾリル、ピラジニルおよびピラゾリルからなる群から選択され、さらに前記ヘテロアリールが、非置換であってよく、またはハロ、アルキル、−NHおよびヘテロシクリルからなる群から選択される1つもしくは複数の部分で任意選択により独立に置換されていてもよく、
前記ヘテロシクリルが、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルおよびピロリジニルからなる群から選択される、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
前記ヘテロアリールが、5−ピリミジニル、4−ピリジニル、3−チオフェニル、5−チアゾリル、2−ピラジニルおよび5−ピラゾリルからなる群から選択される、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
前記ヘテロシクリルが、4−モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルおよびピロリジニルからなる群から選択される、請求項12に記載の化合物。
【請求項15】
前記ビフェニルが、4−モルホリニルエトキシルで置換されている、請求項12に記載の化合物。
【請求項16】
【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

からなる群から選択される化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステル。
【請求項17】
純粋な形態の、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
請求項1に記載の少なくとも1つの化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルを、少なくとも1つの薬学的に許容される担体と組み合わせて含む、医薬組成物。
【請求項19】
少なくとも1つの追加の薬剤、薬物、医薬品、抗体および/または阻害剤をさらに含む、UDP−3−O−(R−3−ヒドロキシミリストイル)−N−アセチルグルコサミン脱アセチル化酵素(LpxC)受容体媒介性疾患を治療するための、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
UDP−3−O−(R−3−ヒドロキシミリストイル)−N−アセチルグルコサミン脱アセチル化酵素(LpxC)に関連する障害を治療する方法であって、かかる治療を必要としている患者に請求項18に記載の医薬組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項21】
前記障害が微生物感染症である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記微生物感染症が細菌または真菌感染症である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記微生物感染症がグラム陰性感染症である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記微生物感染症がグラム陽性感染症である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
1つまたは複数の追加の抗菌剤を投与するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記追加の抗菌剤がグラム陰性菌に対して活性である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記追加の抗菌剤がグラム陽性菌に対して活性である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記微生物感染症が、
【数4】

からなる群から選択される少なくとも1つの生物体によって引き起こされる、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記微生物感染症が、
【数5】

からなる群から選択される、請求項22に記載の方法。

【公表番号】特表2011−529964(P2011−529964A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522114(P2011−522114)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/051898
【国際公開番号】WO2010/017060
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】