説明

抗菌剤として有用なペプチド化合物

本発明は、抗菌剤として使用することができるペプチド化合物に関し、これらの化合物は式(I)を有す:式中、Rは分岐(C−C11)アルキル、CH−(CH−、CH−O−(CHCHO)CH−またはフェニル−(CH−であり;m=6〜10;x=1〜3;R、R、R、RおよびRは、式GF−(CH−(ここで、n=1〜4;GF=−NHまたは−NH−C(=NH)−NHである)から独立に選択され;Rは、−CH(CH)(OH)、−CH(CH、−CHNHまたは−CHOHであり;RおよびRは、H、直鎖または分岐−(C−C)アルキル、−(CH)−R10、−CH−CH−S−CHおよび−CH−(CH)−OHから独立に選択され;Rは、CONH、−CH(CH)(OH)またはCONHR11であり;R10は、フェニル、3−インドリル、4−イミダゾリル、4−ヒドロキシフェニル、αもしくはβ−ナフチル、または2−、3−もしくは4−ピリジルであり;R11は、特定のペプチド配列であり;uは、CHまたはSであり;vは、NHまたはSであり;wはCHまたはCOであり、ただし、RがCONHの場合、(a)RまたはRは−CH(CH)(OH)であるか、または(b)RおよびRはHであるか;または(c)Rと結合したCの配置はS型であるか、または(d)Rと結合したCの配置はR型であり;また、Rが−CH(CH)OHである場合、RはGF(CH(ここで、nは3であり、GFは−NH−C(=NH)−NHである)であり、かつ、RはGF(CH(ここで、nは2であり、GFはNHである)である。これらの化合物は、細菌感染の処置に有用であることが分かった。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラム陽性および一部のグラム陰性菌に対して活性を有する新規化合物、その製造プロセス、それらを含む医薬組成物、および抗菌剤としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
抗生物質を用いる薬物療法に対して耐性を持つようになった病原性微生物が、深刻化する公衆衛生問題となっている。その問題の一部は、ある種の細菌および他の感染性微生物が、抗生物質に対する耐性を発現できる著しい能力を持つことである。その問題のもう一つの原因は、ヒトおよび動物用医薬品、ならびに農業における抗生物質の乱用である。
【0003】
多剤耐性細菌、例えばメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、バンコマイシン耐性腸球菌(Enterococci)、ならびに特定のグラム陰性菌、例えば、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)アシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumanii)および肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)などにより引き起こされる感染の有病率の増大が世界的規模の重大な懸念となっている。このような感染は管理が極めて困難であり、疾患および死亡の一般的な原因である。従来の抗生物質は一般に、1以上の特定の標的タンパク質または標的受容体と相互作用し、遺伝的耐性は、多くの因子、例えばタンパク質または標的受容体の数などによって決まる割合で出現する。
【0004】
従来の抗生物質に対して耐性を有する細菌株の絶え間ない出現が、細菌の細胞膜を標的とする新規薬物、例えば抗菌性ペプチド(AMP:antimicrobial pepitide)などの開発を目的とする集中的な取り組みにつながった。AMPは主として細胞膜の脂質成分に作用するため、細菌が遺伝的耐性を発現することができない新種の治療薬を提供する。これらの化合物のうち、臨床で承認されている抗生物質ポリミキシンB(PxB:polymyxin B)は、新しい治療学的関連性を獲得し(adquiring)、多剤耐性細菌に対する抗生物質種に属する代表であると考えられるようになってきている。
【0005】
ポリミキシン類、および特にポリミキシン(Polymixin)Bは、1947年に発見され、グラム陰性菌に対し顕著な活性を有する抗生物質種である。ポリミキシンBは、バチルス・ポリミキサ(Bacillus polymyxa)から単離されたリポペプチド抗生物質である。その基本構造は、ポリカチオン性ペプチド環および脂肪酸テールを有するトリペプチド側鎖からなる。ポリミキシンBは近年、医療現場において再興してきており、乾燥抗生物質開発パイプライン、および多剤耐性(MDR:multidrug-resistant)グラム陰性菌により引き起こされる院内感染の有病率の世界的増加により、その使用は増加を続ける可能性が高い。ポリミキシンBおよびポリミキシンファミリーのその他のメンバーは、多剤耐性細菌により引き起こされる感染治療の最後の手段の薬物であり、また、時には唯一の利用可能な有効な抗生物質である。加えて、ポリミキシンに対する耐性はまれであり、一般に適応的であり、従って可逆的である。ポリミキシンBはまた、リピドA部分への高親和性結合を介して、細菌リポ多糖類(LPS:lipopolysaccharide)の生物学的活性を阻害する能力を有し、LPS誘発敗血性ショックの治療に最適な薬剤である。残念ながら、ポリミキシンBはグラム陽性および嫌気性菌に対する活性は持たない。さらに、ポリミキシンは多少の腎毒性(nefrotoxicity)および神経毒性を示すために、その使用は限定されている。
【0006】
従って、グラム陰性菌のみならずグラム陽性細菌に対する活性も有する新規の有効な抗菌剤を発見する必要が依然として存在する。
【発明の概要】
【0007】
発明者らは、細菌膜の脂質成分レベルで機能を果たし、グラム陽性およびグラム陰性菌の両方に対して活性を有する、抗生物質活性を有するいくつかのペプチド化合物を発見した。これらの化合物は、天然ポリミキシンの構造に基づいている。しかしながら、ポリミキシンとは異なり、これらの化合物は、マイクロモルの範囲でグラム陰性菌に対して活性を有するのみならず、グラム陽性菌に対しても活性を有する。このことは、どちらのタイプの細菌により引き起こされる感染に応答して働くことができるため、有利である。
【0008】
よって、本発明の一態様は、式(I):
【化1】

[式中、Rは、(C−C11)−分岐アルキル、CH−(CH−、CH−O−(CHCHO)CH−、および
【化2】

からなる群から選択される基であり;
mは6〜10の整数であり;xは1〜3の整数であり;
、R、R、RおよびRは次式:GF−(CH−(ここで、nは1〜4の整数であり;GFは−NHおよび−NH−C(=NH)−NHからなる群から選択される基である)を有する、独立に選択される基であり;
は、−CH(CH)(OH)、−CH(CH、−CHNHおよび−CHOHからなる群から選択される基であり;
およびRは、H、直鎖または分岐(C−C)−アルキル、−(CH)−R10、−CH−CH−S−CHおよび−CH(CH)(OH)からなる群から独立に選択される基であり;
は、CONH、−CH(CH)(OH)およびCONHR11からなる群から選択され;
10は、フェニル、3−インドリル、4−イミダゾリル、4−ヒドロキシフェニル、αまたはβ−ナフチル、および2−、3−または4−ピリジルからなる群から選択される基であり;
11は、Ala−Leu−Arg、Ala−Leu−Arg−Ala−Leu−Arg、Gly−Arg−Val−Glu−Val−Leu−Tyr−Arg−Gly−Ser−Trp、Lys−Val−Leu、Lys−Val−Leu−Lys−Val−Leu、Leu−Met−Trp−Trp−Met−Leu、Orn−Orn−Orn、Gln−Arg−Gly−Arg−Ala−Glu−Glu−Val−Tyr−Tyr−Ser−Gly−Thr、およびGlu−(γ−スペルミド)−Arg−Gly−Arg−Ala−Glu−Glu−Val−Tyr−Tyr−Ser−Gly−Thrからなる群から選択されるペプチド配列であり;
uは、CHまたはSであり;
vは、NHまたはSであり;
wは、CHまたはCOであり、
ただし、RがCONHである場合、以下の条件の1つが当てはまる:(a)RまたはRは−CH(CH)(OH)である、(b)RおよびRはHである;(c)Rと結合したC原子の配置はS型である(D−システインの側鎖)または(d)Rと結合したC原子の配置はR型である;また、Rが−CH(CH)OH(トレオニンの側鎖)である場合、RはGF(CH(ここで、nは3であり、GFは−NH−C(=NH)−NHであり、かつ、RはGF(CH(ここで、nは2であり、GFはNHである)である]
の化合物を提供することである。
【0009】
好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、Rが−CH(CH)(OH)である前記のものである。
【0010】
別の好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、uがCHであり、vがNHであり、wがCOであり、Rが−CH(CH)(OH)であり、かつ、Rと結合したC原子の配置がS型であるものである。これらの化合物は式(Ia)を有する。
【化3】

【0011】
より好ましい実施形態では、式(Ia)の化合物は、ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(4−10)[Dab−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Thr](Ia)である。
【0012】
シクロ(4−10)とは、10位のトレオニンの末端カルボキシ基が4位のDabの側鎖とアミド結合によって結合して大環を形成していることを意味する。
【0013】
D−アミノ酸の配置はDで示されている。配置に関する記載がない場合には、そのアミノ酸の配置はL型であると理解される。
【0014】
別の好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、uがSであり、vがSであり、かつ、wがCHであるものであり、式(Ib)を有する。
【化4】

【0015】
別の好ましい実施形態では、式(Ib)の化合物は、RがCONHR11であり、かつ、R11がAla−Leu−Arg、Ala−Leu−Arg−Ala−Leu−Arg、Gly−Arg−Val−Glu−Val−Leu−Tyr−Arg−Gly−Ser−Trp、Lys−Val−Leu、Lys−Val−Leu−Lys−Val−Leu、Leu−Met−Trp−Trp−Met−Leu、Orn−Orn−Orn、Gln−Arg−Gly−Arg−Ala−Glu−Glu−Val−Tyr−Tyr−Ser−Gly−Thr、Glu(γ−スペルミド)−Arg−Gly−Arg−Ala−Glu−Glu−Val−Tyr−Tyr−Ser−Gly−Thr、およびGlu(Arg−Gly−Arg−Ala−Glu−Glu−Val−Tyr−Tyr−Ser−Gly−Thr)−γ−スペルミドからなる群から選択されるペプチド配列であるものである。
【0016】
別のいっそうより好ましい実施形態では、式(Ib)の化合物は以下の一覧から選択される:
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys]−Ala−Leu−Arg(Ib);
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys]−Ala−Leu−Arg−Ala−Leu−Arg(Ib);
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys]−Gly−Arg−Val−Glu−Val−Leu−Tyr−Arg−Gly−Ser−Trp](Ib);
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys]−Lys−Val−Leu(Ib);
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys]−Lys−Val−Leu−Lys−Val−Leu(Ib);
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys]−Leu−Met−Trp−Trp−Met−Leu(Ib);
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys]−Orn−Orn−Orn(Ib);
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Dab−Arg−Cys]−Gln−Arg−Gly−Arg−Ala−Glu−Glu−Val−Tyr−Tyr−Ser−Gly−Thr(Ib);および
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(ciclo)(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Dab−Arg−Cys]−Glu−(γ−スペルミド)−Arg−Gly−Arg−Ala−Glu−Glu−Val−Tyr−Tyr−Ser−Gly−Thr(Ib)。
【0017】
シクロ(S−S)」とは、大環が両システイン間のジスルフィド結合により形成されていることを意味する。
【0018】
別の好ましい実施形態では、式(Ib)の化合物は、以下の一覧から選択される:
ノナノイル−Arg−Thr−Arg−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys](Ib10);
ノナノイル−Arg−Thr−Arg−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys](Ib11);
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys](Ib12);および
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys](Ib13)。
【0019】
特に良好な結果が、10位に−システインを含むペプチドで得られた。別のより好ましい実施形態では、式(Ib)の化合物は、ノナノイル−Arg−Thr−Arg−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys](Ib11);およびノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys](Ib13)から選択される。別のより好ましい実施形態では、式(Ib)の化合物はノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys](Ib13)である。
【0020】
別の好ましい実施形態では、式(Ib)の化合物は、Rが−(CH)(CH)(OH)であるものである。
【0021】
別の好ましい実施形態では、式(Ib)の化合物は、以下の一覧から選択される:
ノナノイル−Arg−Thr−Arg−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Thr−Arg−Dab−Cys](Ib14);
ノナノイル−Arg−Thr−Arg−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Thr−Arg−Dab−Cys](Ib15);
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Thr−Arg−Dab−Cys](Ib16);
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Thr−Arg−Dab−Cys](Ib17);
ノナノイル−Arg−Thr−Arg−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Trp−Thr−Arg−Dab−Cys](Ib18);
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Trp−Thr−Arg−Dab−Cys](Ib19);
ノナノイル−Arg−Thr−Arg−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Leu−Thr−Arg−Dab−Cys](Ib20);
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Leu−Thr−Arg−Dab−Cys](Ib21);
デカノイル−Arg−Thr−Arg−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Trp−Thr−Dab−Dab−Cys](Ib22);
デカノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Leu−Thr−Arg−Dab−Cys](Ib23);
デカノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Trp−Thr−Arg−Dab−Cys](Ib24);および
ドデカノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Thr−Arg−Dab−Cys](Ib25)。
【0022】
別の好ましい実施形態では、式(Ib)の化合物は、RまたはRが水素であるものである。
【0023】
別の好ましい実施形態では、式(Ib)の化合物は、以下の一覧から選択される:
ノナノイル−Arg−Thr−Arg−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Gly−Gly−Arg−Dab−Cys](Ib26);
ノナノイル−Arg−Thr−Arg−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Gly−Leu−Arg−Dab−Cys](Ib27);
ノナノイル−Arg−Thr−Arg−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Gly−Arg−Dab−Cys](Ib28);
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Gly−Arg−Dab−Cys](Ib29);および
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Gly−Leu−Arg−Dab−Cys](Ib30)。
【0024】
別の好ましい実施形態では、式(Ib)の化合物は、以下の一覧から選択される:
オクタノイル−Arg−Thr−Arg−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys](Ib31);
(S)−6−メチルヘプタノイル−Arg−Thr−Arg−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys](Ib32);
(S)−6−メチルオクタノイル−Arg−Thr−Arg−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys]、(Ib33);
オクタノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys](Ib34);
(S)−6−メチルヘプタノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys](Ib35);および
(S)−6−メチルオクタノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys](Ib36)。
【0025】
より好ましい式(I)の化合物は以下の一覧のものである:
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(4−10)[Dab−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Thr](Ia);
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys]−Gly−Arg−Val−Glu−Val−Leu−Tyr−Arg−Gly−Ser−Trp](Ib);
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys]−Leu−Met−Trp−Trp−Met−Leu(Ib);および
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys](Ib13)。
【0026】
本発明の化合物は、固相Fmoc/tBu合成法により製造することができる。各アミノ酸の合成プロトコールは、以下に示すステップからなる:(i)N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で数回、樹脂を洗浄;ii)20%ピペリジン/DMFで処理;iii)DMFで数回洗浄;iv)DMF中、Fmoc保護アミノ酸および2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート/ジイソプロピルエチルアミン(HBTU/DIEA)でアシル化;v)DMFで数回、ジクロロメタン(CHCl)で数回洗浄;vi)DMFで数回洗浄。
【0027】
前述のプロセスにより得られたペプチドは、分取HPLCにより精製することができる。本法により90%を上回る最終純度を得ることができるが、95%より高いことが好ましい。
【0028】
本発明の化合物は、記載された方法に従って化学的合成により容易に製造されるのに対して、市販のポリミキシンは発酵プロセスにより得られる。
【0029】
本発明のもう一つの態様は、グラム陽性菌に対する抗菌剤としての使用のための式(I)の化合物である。医療目的に関連するグラム陽性菌では、例えば、バチルス(Bacillus)リステリア(Listeria)ブドウ球菌(Staphylococcus)マイクロコッカス(Micrococcus)連鎖球菌(Streptococcus)腸球菌(Enterococcus)クロストリジウム(Clostridium)マイコプラズマ(Mycoplasma)および放線菌(Actinobacteria)などのいくつかの属が周知である。
【0030】
好ましい実施形態では、グラム陽性菌は、マイコバクテリウム・フレイ(Micobacterium phlei)黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、およびマイクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)から選択される。特定の実施形態では、グラム陽性菌はマイコバクテリウム・フレイATCC41423、黄色ブドウ球菌ATCC6538、およびマイクロコッカス・ルテウスATCC9341から選択される。
【0031】
本発明のこの態様はまた、ヒトを含む哺乳類においてグラム陽性菌により引き起こされる細菌感染の処置を目的とする薬剤の製造のための、例えば上記に定義される化合物の使用として処方されうる。
【0032】
本発明はまた、グラム陽性菌により引き起こされる細菌感染、特に、前述の感染のうちの一つに罹患している、または感受性のある、ヒトを含む哺乳類の処置および/または予防の方法に関し、前記方法は前記患者に本発明の化合物の治療上有効な量を薬学上許容される賦形剤または担体とともに投与することを含む。
【0033】
グラム陰性菌に対する抗菌剤としての使用のための、上記に定義される式(I)の化合物もまた、本発明の一部である。医学的に関連のあるグラム陰性菌としては、大腸菌(Escherichia coli)サルモネラ(Salmonella)腸内細菌科(Enterobacteriaceae)シュードモナス(Pseudomonas)モラクセラ(Moraxella)ヘリコバクター(Helocobacter)レジオネラ(Legionella)ヘモフィルス・インフルエンザ(Hemophilus influenza)肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacea)セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、およびアシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)などが挙げられる。
【0034】
好ましい実施形態では、グラム陰性菌は、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、緑膿菌大腸菌、およびアシネトバクター種(Acinetobacter sp.)から選択される。特定の実施形態では、グラム陰性菌はネズミチフス菌14028緑膿菌9027大腸菌8739、およびアシネトバクター種ATCC5798から選択される。本発明のこの態様はまた、ヒトを含む哺乳類においてグラム陰性菌により引き起こされる細菌感染の処置を目的とする薬剤の製造のための、上記に定義される式(I)の化合物の使用として処方され得る。
【0035】
本発明はまた、グラム陰性菌により引き起こされる細菌感染、特に、前述の感染のうちの一つに罹患している、または感受性のある、ヒトを含む哺乳類の処置および/または予防の方法に関し、前記方法は、前記患者に上記に定義される式(I)の化合物の治療上有効な量を薬学上許容される賦形剤または担体とともに投与することを含んでなる。
【0036】
本発明の化合物は、他の公知の抗菌剤と同じ方法で使用することができる。それらは単独で、または他の好適な生物活性化合物と組み合わせて用いられてよい。特定の実施形態では、式(I)の化合物は、グラム陰性菌またはグラム陽性菌による感染後の菌血症および/または敗血症の処置において使用され、単独で、または従来の抗生物質と組み合わせて投与される。好ましい実施形態では、本発明の式(I)の化合物は、手術前の消化管の汚染除去(descontamination)のために、局所的または経口で用いられる。
【0037】
前述のようにこれらの化合物は、広い細菌スペクトルに対し活性を有し、従ってそれらはおそらく膜レベルで作用するために、抗生物質に対する耐性を前にして、特定の受容体または酵素に作用する他の抗生物質よりもいっそう効果的であり得るため、有利である。
【0038】
本発明のさらなる態様は、治療上有効な量の式(I)の化合物を、適当量の医薬品賦形剤または担体とともに含んでなる医薬組成物に関する。
【0039】
該医薬組成物は、以下の、標準的な医薬上の慣習に従って、本発明の式(I)の化合物と固体または液体の薬学上許容される賦形剤または担体とを組み合わせることにより製造されてもよい。
【0040】
本発明の医薬組成物は、処置が望ましい病状のための標準的な方法、例えば、経口、非経口、吸入、直腸、経皮または局所的投与により投与されてよい。患者、例えば細菌感染と診断され得るヒトおよび他の動物における、細菌感染を処置または細菌感染と対抗するための治療上の使用において、該化合物またはその医薬組成物は、好ましくは、処置を受ける患者における有効成分の量または血液レベルが抗菌効果を示す濃度が得られ、かつ維持するための用量で投与される。一般に、有効成分のこのような抗菌効果を示す用量は、体重/日において約0.1〜約100mg/Kg、より好ましくは、約3.0〜約50mg/Kgの範囲である。用量は、患者に必要な量、処置される細菌感染の重篤度、および使用される特定の化合物により異なる場合があると理解すべきである。
【0041】
明細書および請求項を通して、「含んでなる」という単語およびその単語の変形形態は、他の技術的特徴、添加剤、成分、またはステップを除外することを意図するものではない。本発明のさらなる目的、利点および特徴は、明細書を精読すれば当業者には明らかになるであろうし、また、本発明を実施することで習得することもできる。以下に示す実施例および図は例示として提供され、それらは本発明を制限することを意図するものではない。加えて、本発明は本明細書で示された特定の、かつ好ましい、可能なすべての組合せを対象とする。
【実施例】
【0042】
略号:Boc、tert−ブトキシカルボニル;Dab:2,4−ジアミノ酪酸;DIEA、N,N−ジイソプロピルエチルアミン;Dde、N−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘクス−1−イリデン)エチル];DIPCDI、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド;DMF、N,N−ジメチルホルムアミド;ES、エレクトロスプレー;Fmoc、9−フルオレニルメトキシカルボニル;HATU、2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;HBTU、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;HOBt、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;HPLC、高速液体クロマトグラフィー;MALDI−TOF、マトリックス支援レーザー脱離イオン化タイム・オブ・フライト;MS、質量分析;MIC、最小阻害濃度;MW、分子量;Pbf、2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホニル;TFA、トリフルオロ酢酸;Trt、トリチル
【0043】
一般法
実施例の化合物を製造するために、固相Fmoc/tBu合成法の一般的なプロトコールを用いた。
【0044】
各合成サイクルのFmoc/tBu合成プロトコールは、以下に示すステップからなる:(i)DMFで樹脂を洗浄(5×30秒);(ii)20%ピペリジン/DMFで処理(1×1分+2×10分、Fmoc除去);(iii)DMFで洗浄(5×30秒);(iv)DMF最小容量中、Fmoc−保護アミノ酸(3倍過剰量)、活性化試薬HBTU/DIEA(それぞれ3倍および6倍過剰量)でアシル化;(v)DMF(5×30秒)およびCHCl(5×30秒)で洗浄;(vi)Kaiserテスト(ペプチド−樹脂サンプルを用いる);(vii)DMFで洗浄(5×30秒)。
【0045】
ペプチドの一般的な切断および完全な脱保護は、反応槽中でTFA/チオアニソール/1,2−エタンジチオール/トリイソプロピルシラン/水(70:10:10:1:3.5;3時間)を用いて処理することにより行った。TFA溶液を濾過により除去した。樹脂は追加の0.5mLのTFA混合物で2回洗い流し、その洗液を合わせた。得られた切断溶液を冷エーテル(TFA混合物:エーテル1:20の割合)に加え、ペプチドを沈殿させた。さらに、粗ペプチドをエーテルを用いて洗浄し(3回)、エーテルをデカンテーションし、固形物を風乾させた。
【0046】
次に粗ペプチドを1mM濃度または分子内ジスルフィド結合形成にはわずかに低い濃度で水中10%DMSO溶液に溶解させた。この溶液を開放系で12〜36時間撹拌した。空気酸化により環化反応が起こり、HPLCおよびMSによりモニターリングした。
【0047】
精製は、分取HPLCにより行った。実施例において、自己充填型(self-packed)Varian Load&LockC18カラム(250×2.5mm,10μm)を備えたVarian Pro−star 200 prep−systemで、HO−アセトニトリル−0.1%TFA勾配混合物を用いて溶出させ、UV検出は220nmで行った。
【0048】
ペプチドは、PerSeptive Biosystems、Voyager−DEを用いてMALDI−TOF質量分析により特性決定した。
【0049】
精製ペプチドの均質性は、MerckまたはKromasil C18逆相カラム(4×250mm、粒子径5μmおよび細孔径120Å)を用いる分析用HPLCにより評価した。溶出は、HO−0.1%TFAおよびMeCN−0.1%TFAの混合物を用いて流速1ml/分で行い、UV検出は220nmで行った。
【0050】
例1:ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−DPhe−Leu−Arg−Dab−Cys]−Gly−Arg−Val−Glu−Val−Leu−Tyr−Arg−Gly−Ser−Trp](Ib)、(R=CH(CH)7−、R=−CHCHCHNHC(=NH)−NH(Argの側鎖)、R=−CH(CH)OH(Thrの側鎖)、R=CHCHNH(Dabの側鎖)、R=−CHCHNH(Dabの側鎖)、R=−CHPh(DPheの側鎖)、R=−CHCH(CH(Leuの側鎖)、R=−CHCHCHNHC(=NH)−NH(Argの側鎖)、およびR=−CHCHNH(Dabの側鎖)、R=Gly−Arg−Val−Glu−Val−Leu−Tyr−Arg−Gly−Ser−Trpである式(Ib)の化合物)の製造
保護アミノ酸:Fmoc−Cys(Trt)−OH、Fmoc−Dab(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−DPhe−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Val−OH、Fmoc−Glu(tBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)−OH、Fmoc−Ser(tBu)−OH、Fmoc−Trp(Boc)−OH。
【0051】
手動ペプチド合成は、ポリエチレンディスクを装着したポリプロピレンシリンジ中で標準的Fmoc/tBu法に従って行った。Fmoc−Rink樹脂(600mg、0.282ミリモル、f=0.47ミリモル/g樹脂)を用いた。配列のアミノ酸は、上記のように、Fmoc/tBu固相合成プロトコールに従って加えた。全配列をアセンブルした時点で、最小量のDMF中でノナン酸(134μl、0.846ミリモル、3倍過剰量)をHBTU/DIEA(それぞれ3および6倍過剰量)とカップリングさせた。反応完了後、樹脂をDMF(5×30秒)およびCHCl(5×30秒)で洗浄した。
【0052】
切断およびジスルフィド結合形成後の粗ペプチド重量は300mg(収率90%)であった。HPLCによる精製では30mgの純粋なペプチドが得られた(収率10%)。
【0053】
精製ペプチドの特徴:均質性(HPLC出力の面積積分による)>95%;ESI:m/z528.95([M+5H5+)、660.90([M+4H4+)、440.95([M+6H6+)、881.00([M+3H3+)。MW:実測値2639.75(理論値2639.39)。
【0054】
例2:ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−DPhe−Leu−Arg−Dab−Cys]−Leu−Met−Trp−Trp−Met−Leu(Ib)、(R=CH(CH−、R=−CHCHCHNHC(=NH)−NH(Argの側鎖)、R=−CH(CH)OH(Thrの側鎖)、R=−CHCHNH(Dabの側鎖)、R=−CHCHNH(Dabの側鎖)、R=−CHPh(DPheの側鎖)、R=−CHCH(CH(Leuの側鎖)、R=−CHCHCHNHC(=NH)−NH(Argの側鎖)、およびR=−CHCHNH(Dabの側鎖)、R=Leu−Met−Trp−Trp−Met−Leuである式(Ib)の化合物)の製造
保護アミノ酸:Fmoc−Cys(Trt)−OH、Fmoc−Dab(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−DPhe−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Met−OH、Fmoc−Trp(Boc)−OH。
【0055】
手動ペプチド合成は、上記の例1に記載したFmoc−Rink樹脂上での標準的Fmoc/tBu法に従って行った。
【0056】
精製ペプチドの特徴:均質性(HPLC出力の面積積分による)>95%;ESI:m/z550.15([M+4H4+)、440.15([M+5H5+)、733.35.00([M+3H3+)。MW:実測値2196.6(理論値2197.04)。
【0057】
例3:ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−DPhe−Leu−Arg−Dab−DCys](Ib13)、(R=CH(CH−、R=−CHCHCHNHC(=NH)−NH(Argの側鎖)、R=−CH(CH)OH(Thrの側鎖)、R=CHCHNH(Dabの側鎖)、R=−CHCHNH(Dab側鎖)、R=−CHPh(DPhe側鎖)、R=−CHCH(CH(Leuの側鎖)、R=−CHCHCHNHC(=NH)−NH(Argの側鎖)かつR=−CHCHNH(Dabの側鎖)、R=CONHR11かつR11=Hである式(Ib)の化合物)の製造
保護アミノ酸:Fmoc−Cys(Trt)−OH、Fmoc−Dab(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−DPhe−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−DCys(Trt)−OH。
【0058】
手動ペプチド合成は、上記の例1に記載したFmoc−Rink樹脂上での標準的Fmoc/tBu法に従って行った。
【0059】
精製ペプチドの特徴:均質性(HPLC出力の面積積分による)>95%;MALDI−TOF:m/z1336.68([M+H],100%)、1359.49([M+Na],17%)。
【0060】
例4:ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−DPhe−Thr−Arg−Dab−Cys](Ib16)、(R=CH(CH−、R=−CHCHCHNHC(=NH)−NH(Argの側鎖)、R=−CH(CH)OH(Thrの側鎖)、R=−CHCHNH(Dabの側鎖)、R=−CHCHNH(Dabの側鎖)、R=−CHPh(DPheの側鎖)、R=−CH(CH)(OH)(Thrの側鎖)、R=−CHCHCHNHC(=NH)−NH(Argの側鎖)、かつR=−CHCHNH(Dabの側鎖)、R=CONHR11、R11=Hである式(Ib)の化合物)の製造
保護アミノ酸:Fmoc−Cys(Trt)−OH、Fmoc−Dab(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−DPhe−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH。
【0061】
手動ペプチド合成は、上記の例1に記載したFmoc−Rink樹脂上での標準的Fmoc/tBu法に従って行った。
【0062】
精製ペプチドの特徴:均質性(HPLC出力の面積積分による)>95%;MALDI−TOF:m/z1324.24([M+H],100%)、1347.45([M+Na],16%)。
【0063】
例5:ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−DPhe−Gly−Arg−Dab−Cys](Ib29)、R=CH(CH−、R=−CHCHCHNHC(=NH)−NH(Argの側鎖)、R=−CH(CH)OH(Thrの側鎖)、R=−CHCHNH(Dabの側鎖)、R=−CHCHNH(Dabの側鎖)、R=−CHPh(DPheの側鎖)、R=−H(Glyの側鎖)、R=−CHCHCHNHC(=NH)−NH(Argの側鎖)、かつR=−CHCHNH(Dabの側鎖)、R=CONHR11かつR11=Hである式(Ib)の化合物)の製造
保護アミノ酸:Fmoc−Cys(Trt)−OH、Fmoc−Dab(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−DPhe−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Gly−OH。
【0064】
手動ペプチド合成は、上記の例1に記載したFmoc−Rink樹脂上での標準的Fmoc/tBu法に従って行った。
【0065】
精製ペプチドの特徴:均質性(HPLC出力の面積積分による)>95%;MALDI−TOF:m/z1280.59([M+H],100%)、1284.45([M+Na],18%)。
【0066】
例6:ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(4−10)[Dab−Dab−DPhe−Leu−Arg−Dab−Thr](Ia)、R=CH(CH−、R=−CHCHCHNHC(=NH)−NH(Argの側鎖)、R=−CH(CH)OH(Thrの側鎖)、R=−CHCHNH(Dabの側鎖)、R=−CHCHNH(Dabの側鎖)、R=−CHPh(DPheの側鎖)、R=−CHCH(CH(Leuの側鎖)、R=−CHCHCHNHC(=NH)−NH(Argの側鎖)、かつR=−CHCHNH(Dabの側鎖)である式(Ia)の化合物)の製造
保護アミノ酸:Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Dab(Boc)−OH、Fmoc−Dab(Dde)−OH、Fmoc−DPhe−OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH。
【0067】
手動ペプチド合成は、ポリエチレンディスクを装着したポリプロピレンシリンジ中で標準的Fmoc/tBu法に従って行った。クロロトリチルクロリド樹脂(800mg,0.48ミリモル、f=0.6ミリモル/g樹脂)を用いた。配列のアミノ酸は、上記のように、Fmoc/tBu固相合成プロトコールに従って加えた。架橋Dabは、Fmoc−Dab(Dde)−OHとして導入した。全配列をアセンブルした時点で、最小量のDMF中でノナン酸(228μl、1.44ミリモル、3倍過剰量)をHBTU/DIEA(それぞれ3および6倍過剰量)とカップリングさせた。反応完了後、樹脂をDMF(5×30秒)およびCHCl(5×30秒)で洗浄した。
【0068】
保護ペプチド樹脂は、ヒドラジン(DMF中1%)で処理してDde保護基を除去した。次にペプチドを穏やかなTFA処理(CHCl中1%)により樹脂から切り離し、このようにして残りの側鎖保護基を保持した(tBu−タイプおよびPbf基)。DabおよびC末端Thr10の間の環化を、DMF:CHCl=1:1溶液(ペプチド濃度0.3M)中でHATU:HOBt:DIEA(1.1:1.1:2.2当量)を用いて室温にて48時間行った。保護された環状粗ペプチドは、残りの側鎖保護基を除去するための最終TFA切断前に、シリカカラムで精製した。
【0069】
粗ペプチド重量は130mg(収率21%)であった。HPLCによる精製では11mgが得られた(収率8.5%)。
【0070】
精製ペプチドの特徴:均質性(HPLC出力の面積積分による)>91.8%;MALDI−TOF:m/z1316.89([M+H]、100%)、1297.98([M+H−HO],68%)、1339.65([M+Na],19%)。
【0071】
例7:ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys](Ib12);R=CH(CH−、R=−CHCHCHNHC(=NH)−NH(Argの側鎖)、R=−CH(CH)OH(Thrの側鎖)、R=−CHCHNH(Dabの側鎖)、R=−CHCHNH(Dabの側鎖)、R=−CHPh(Pheの側鎖)、R=−CHCH(CH(Leuの側鎖)、R=−CHCHCHNHC(=NH)−NH(Argの側鎖)、R=−CHCHNH(Dabの側鎖)、R=CONHR11かつR11=Hである式(Ib)の化合物の製造
保護アミノ酸:Fmoc−Cys(Trt)−OH、Fmoc−Dab(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Phe−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Cys(Trt)−OH。
【0072】
手動ペプチド合成は、上記の例1に記載したFmoc−Rink樹脂上での標準的Fmoc/tBu法に従って行った。
【0073】
精製ペプチドの特徴:均質性(HPLC出力の面積積分による)>95%;MALDI−TOF:m/z1336.30([M+H],100%)、1358.40([M+Na],15%)。
【0074】
例8:ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Gly−Leu−Arg−Dab−Cys](Ib30)、R=CH(CH−、R=−CHCHCHNHC(=NH)−NH(Argの側鎖)、R=−CH(CH)OH(Thrの側鎖)、R=−CHCHNH(Dabの側鎖)、R=−CHCHNH(Dabの側鎖)、R=H(Glyの側鎖)、R=−CHCH(CH(Leuの側鎖)、R=−CHCHCHNHC(=NH)−NH(Argの側鎖)、R=−CHCHNH(Dabの側鎖)、R=CONHR11かつR11=Hである式(Ib)の化合物の製造
保護アミノ酸:Fmoc−Cys(Trt)−OH、Fmoc−Dab(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Cys(Trt)−OH。
【0075】
手動ペプチド合成は、上記の例1に記載したFmoc−Rink樹脂上での標準的Fmoc/tBu法に従って行った。
【0076】
精製ペプチドの特徴:均質性(HPLC出力の面積積分による)>95%;MALDI−TOF:m/z1246’03([M+H],100%)。
【0077】
例9:ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−DLeu−Thr−Arg−Dab−Cys](Ib21)、R=CH(CH−、R=−CHCHCHNHC(=NH)−NH(Argの側鎖)、R=−CH(CH)OH(Thrの側鎖)、R=−CHCHNH(Dabの側鎖)、R=−CHCHNH(Dabの側鎖)、R=CHCH(CH(DLeuの側鎖)、R=−CH(CH)OH(Thrの側鎖)、R=−CHCHCHNHC(=NH)−NH(Argの側鎖)、R=−CHCHNH(Dabの側鎖)、R=CONHR11かつR11=Hである式(Ib)の化合物の製造
保護アミノ酸:Fmoc−Cys(Trt)−OH、Fmoc−Dab(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−DLeu−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Cys(Trt)−OH。
【0078】
手動ペプチド合成は、上記の例1に記載したFmoc−Rink樹脂上での標準的Fmoc/tBu法に従って行った。
【0079】
精製ペプチドの特徴:均質性(HPLC出力の面積積分による)>95%;MALDI−TOF:m/z1291.70([M+H],100%)、1312.76([M+Na],16%)。
【0080】
例10:抗菌性試験
リポペプチドの抗菌活性は、滅菌96ウェルプレート(Corning Costar 3598マイクロタイタープレート)中で測定した。最終容量200μLのサンプルは以下のように調製した:pH7.4に調整された培養培地中(MH、Muller Hinton培養液、Difco、USA)に細菌を濃度10コロニー形成単位/mLで含む懸濁液のアリコート(100μL)を、水中でペプチド1mg/mLの保存溶液を、pH7.4に調整されたMH培養液中で、連続2倍希釈して調製されたペプチドを含有する100μLの溶液に加えた(JorgensenおよびTurnide、2003)。
【0081】
細菌増殖の阻害は、24〜48時間、37℃にてインキュベーション後に、吸光マイクロプレートリーダーELx800(Bio−tek Instruments)を用いて492nmにて吸光度を測定することにより測定した。抗菌活性は24〜48時間のインキュベーション後に増殖が観察されない濃度であるMICとして表した。
【0082】
微生物はトリプチケース(Tryptycase)ソイ培養液(Pronadisa、Barcelona)で培養し、細菌増殖が観察されるまで37℃でインキュベートした。次に、一白金耳量をトリプチケースソイ寒天に画線塗布し(Pronadisa、Barcelona)、コロニー形成がおこるまで37℃でインキュベートした。微生物は、cryobilles中で(EAS laboratoire、France)−20℃で保存した。
【0083】
抗菌性試験に使用した細菌株は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC、Rockville、MD、USA)から入手した:
大腸菌 ATCC 8739
緑膿菌 ATCC 9027
ネズミチフス菌 ATCC 14028
アシネトバクター種 ATCC 5798

黄色ブドウ球菌 ATCC 6538
マイコバクテリウム・フレイ ATCC 41423
マイクロコッカス・ルテウス ATCC 9341
【0084】
結果を表1および表2に示す。
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】

【0087】
対照(ポリミキシンB):(S)−6−メチルオクタノイル−Dab−Thr−Dab−シクロ(4−10)[Dab−Dab−DPhe−Leu−Dab−Dab−Thr]。
【0088】
本発明の化合物の分子量は、ポリミキシンBの分子量よりも大きい。この事実は、μg/mlの代わりにマイクロモル単位で表される活性もまた高いことを意味する。
【0089】
従って、結果をさらによく比較するために、上記の活性の結果をマイクロモル単位で表した表を以下に示す。
【0090】
【表3】

【0091】
【表4】

【0092】
さらに、治療活性を有するモデルを用いて最良の結果が得られていることは言及する価値がある。従って、アシネトバクター種ATCC5798は、院内感染において最も問題のある細菌の一つであるアシネトバクター・バウマニーのモデルである。黄色ブドウ球菌は抗生物質に対する耐性に関して最も重要な細菌の一つであり、マイコバクテリウム・フレイは結核の病原体である結核菌の非病原性モデルである。
【0093】
これらの結果は、新規化合物(I)がグラム陽性菌およびグラム陰性菌の両方において(後者の場合、天然ポリミキシンのMICよりもわずかに高いが、天然ポリミキシンはグラム陽性菌に対して活性を示さない)マイクロモルレベルで抗菌活性を示すことを表している。従って、市場で入手可能な抗生物質(天然ポリミキシンおよびダプトマイシン(daptomicin)は、それぞれグラム陰性またはグラム陽性どちらか一方のみに対し活性を有するため、新規化合物はより広い活性スペクトルを有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

[式中、
は、(C−C11)−分岐アルキル、CH−(CH−、CH−O−(CHCHO)CH−および
【化2】

からなる群から選択される基であり;
mは6〜10の整数であり;
xは1〜3の整数であり;
、R、R、RおよびRは、下式:
GF−(CH
(ここで、nは1〜4の整数であり;かつ、GFは−NHおよび−NH−C(=NH)−NHからなる群から選択される基である)
を有する、独立に選択される基であり;
は、−CH(CH)(OH)、−CH(CH、−CHNHおよび−CHOHからなる群から選択される基であり;
およびRは、H、−(C−C)−直鎖または分岐アルキル、−(CH)−R10、−CH−CH−S−CHおよび−CH(CH)(OH)からなる群から独立に選択される基であり;
は、CONH、−CH(CH)(OH)およびCONHR11からなる群から選択され;
10は、フェニル、3−インドリル、4−イミダゾリル、4−ヒドロキシフェニル、αまたはβ−ナフチル、および2−、3−または4−ピリジルからなる群から選択される基であり;
11は、Ala−Leu−Arg、Ala−Leu−Arg−Ala−Leu−Arg、Gly−Arg−Val−Glu−Val−Leu−Tyr−Arg−Gly−Ser−Trp、Lys−Val−Leu、Lys−Val−Leu−Lys−Val−Leu、Leu−Met−Trp−Trp−Met−Leu、Orn−Orn−Orn、Gln−Arg−Gly−Arg−Ala−Glu−Glu−Val−Tyr−Tyr−Ser−Gly−ThrおよびGlu−(γ−スペルミド)−Arg−Gly−Arg−Ala−Glu−Glu−Val−Tyr−Tyr−Ser−Gly−Thr;ならびにGlu(Arg−Gly−Arg−Ala−Glu−Glu−Val−Tyr−Tyr−Ser−Gly−Thr)−γ−スペルミドからなる群から選択されるペプチド配列であり;
uはCHまたはSであり;
vはNHまたはSであり;
wはCHまたはCOであり、
ただし、RがCONHである場合、
(a)RまたはRは−CH(CH)(OH)であるか、または
(b)RおよびRはHであるか;または
(c)Rと結合したC原子の配置がS型であるか、または
(d)Rと結合したC原子の配置がR型である;
また、Rが−CH(CH)OHである場合、RはGF(CH(ここで、nは3であり、GFは−NH−C(=NH)−NHである)であり、かつ、RはGF(CH(ここで、nは2であり、GFはNHである)である]。
【請求項2】
uがCHであり、vがNHであり、ZがCOであり、Rが−CH(CH)(OH)であり、かつ、Rと結合したC原子の配置がS型であり、式(Ia)
【化3】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(4−10)[Dab−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Thr]である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
uがSであり、vがSであり、wがCHであり、式(Ib)
【化4】

を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
11が、Ala−Leu−Arg、Ala−Leu−Arg−Ala−Leu−Arg、Gly−Arg−Val−Glu−Val−Leu−Tyr−Arg−Gly−Ser−Trp、Lys−Val−Leu、Lys−Val−Leu−Lys−Val−Leu、Leu−Met−Trp−Trp−Met−Leu、Orn−Orn−Orn、Gln−Arg−Gly−Arg−Ala−Glu−Glu−Val−Tyr−Tyr−Ser−Gly−Thr、Glu(γ−スペルミド)−Arg−Gly−Arg−Ala−Glu−Glu−Val−Tyr−Tyr−Ser−Gly−Thr、およびGlu(Arg−Gly−Arg−Ala−Glu−Glu−Val−Tyr−Tyr−Ser−Gly−Thr)−γ−スペルミドからなる群から選択されるペプチド配列である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys]−Ala−Leu−Arg;
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys]−Ala−Leu−Arg−Ala−Leu−Arg;
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys]−Gly−Arg−Val−Glu−Val−Leu−Tyr−Arg−Gly−Ser−Trp];
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys]−Lys−Val−Leu;
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys]−Lys−Val−Leu−Lys−Val−Leu;
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys]−Leu−Met−Trp−Trp−Met−Leu;
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys]−Orn−Orn−Orn;
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Dab−Arg−Cys]−Gln−Arg−Gly−Arg−Ala−Glu−Glu−Val−Tyr−Tyr−Ser−Gly−Thr;および
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Dab−Arg−Cys]−Glu−(γ−スペルミド)−Arg−Gly−Arg−Ala−Glu−Glu−Val−Tyr−Tyr−Ser−Gly−Thr
から選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
ノナノイル−Arg−Thr−Arg−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys];
ノナノイル−Arg−Thr−Arg−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys];
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys];および
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−DPhe−Leu−Arg−Dab−Cys]
から選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
ノナノイル−Arg−Thr−Arg−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys];および
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys]
から選択される、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
ノナノイル−Arg−Thr−Arg−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Thr−Arg−Dab−Cys];
ノナノイル−Arg−Thr−Arg−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Thr−Arg−Dab−Cys];
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Thr−Arg−Dab−Cys];
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Thr−Arg−Dab−Cys];
ノナノイル−Arg−Thr−Arg−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Trp−Thr−Arg−Dab−Cys];
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Trp−Thr−Arg−Dab−Cys];
ノナノイル−Arg−Thr−Arg−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Leu−Thr−Arg−Dab−Cys];
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Leu−Thr−Arg−Dab−Cys];
デカノイル−Arg−Thr−Arg−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Trp−Thr−Dab−Dab−Cys];
デカノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Leu−Thr−Arg−Dab−Cys];
デカノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Trp−Thr−Arg−Dab−Cys];および
ドデカノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Thr−Arg−Dab−Cys]
から選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項10】
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(4−10)[Dab−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Thr];
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys]−Gly−Arg−Val−Glu−Val−Leu−Tyr−Arg−Gly−Ser−Trp];
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys]−Leu−Met−Trp−Trp−Met−Leu;および
ノナノイル−Arg−Thr−Dab−シクロ(S−S)[Cys−Dab−Phe−Leu−Arg−Dab−Cys]
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
ヒトを含む哺乳類においてグラム陽性菌により引き起こされる細菌感染の処置を目的とする薬剤の製造のための、請求項1〜10のいずれか一項に定義される化合物の使用。
【請求項12】
グラム陽性菌が、マイコバクテリウム・フレイ黄色ブドウ球菌およびマイクロコッカス・ルテウスからなる群から選択される、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
ヒトを含む哺乳類においてグラム陰性菌により引き起こされる細菌感染の処置を目的とする薬剤の製造のための、請求項1〜10のいずれか一項に定義される化合物の使用。
【請求項14】
グラム陰性菌が、ネズミチフス菌緑膿菌大腸菌およびアシネトバクター種からなる群から選択される、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
治療上有効な量の請求項1〜10のいずれか一項に定義される化合物を薬学上許容される賦形剤または担体とともに含んでなる、医薬組成物。

【公表番号】特表2013−521330(P2013−521330A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556552(P2012−556552)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【国際出願番号】PCT/ES2011/070153
【国際公開番号】WO2011/110716
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(507005012)ウニベルシダッド・デ・バルセロナ (3)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSIDAD DE BARCELONA
【Fターム(参考)】