説明

抗菌剤の製造方法

ポリ2-プロペナルの水性懸濁液を形成し、過酸化水素、過酸、およびその混合物からなる群から選ばれる過酸化物酸化剤と混合することにより該懸濁液を酸化することを含む、ポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2-プロペナルのポリマー、例えばポリ-2-プロペナルからの抗菌剤の製造方法、および該方法から得られるポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)ポリマー抗菌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ2-プロペナルのポリマーの製造方法およびその殺生物剤としての使用はUS 5290894(Melrose(I))に記載されている。胃腸病の治療における該ポリマーの使用は、US6723336(Melrose(II))に記載されている。Melrose(II)は、さらに実施例1bに、ポリ2-プロペナルをイオンイニシエーション(ionic initiation)により製造し、カルボキシル基を、充分な空気で80℃〜85℃の温度に注意深く加熱することにより乾燥ポリマーに導入する方法を記載している。得られたポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)は、十二指腸のpHで水性媒質に可溶性であると報告されている。
【0003】
空気を用いる固体ポリ2-プロペナルの加熱は、胃腸適用の効果の改善をもたらす有効な方法であるが、本発明者らは、この方法が抗菌剤の大規模製造および広範囲の使用(例えば、化粧品中の保存料、医薬製剤、および農薬)では問題があることをみいだした。
【0004】
本発明者らは、特に加熱によるポリ2-プロペナルの酸化は、該ポリマーを使用するために溶解したときに著しく着色し、黄色〜褐色の溶液となる傾向があることをみいだした。この着色は、消費財には望ましくないものであり、着色源の同定および除去において問題となる。
【0005】
本発明者らは、酸化剤、例えば過酸化物の存在下でポリ2-プロペナルの有機溶液を加熱することによりその問題の克服を試みたが、酸化は、無効かまたはほんのわずかな効果しかなく、該生成物を分解させずに回収するには問題がある。
【0006】
資料、法令、物質、装置、文献などの考察は、本発明の背景を提供するためだけに本明細書に含めている。いかなるまたはすべてのこれらの事項は、先行技術の基礎の部分を形成するか、または本願優先日前に存在する本発明に関連する分野の技術常識であることを示唆するか示すものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(要約)
本発明は、ポリ2-プロペナルの水性懸濁液を形成し、過酸化水素、過酸、およびその混合物からなる群から選ばれる過酸化物酸化剤と混合することにより該懸濁液を酸化することを含むポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)の製造方法を提供する。
【0008】
さらなる局面において、本発明は、好ましくは上記方法に従って製造される無色のポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)組成物を提供する。
【0009】
さらなる局面において、生理活性物質および保存的有効量の上記ポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)を含む組成物を提供する。活性物質は、化粧品、医薬品、動物用医薬品などでありうる。
【0010】
ある局面において、有効量のポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)を含むヘアケアまたはスキンケア用の化粧品組成物を提供する。
【0011】
本明細書および特許請求の範囲を通して、用語「含む(comprise)」およびその変形(例えば「comprising」および「comprises」)は、他の添加物、成分、整数、または工程を排除することを意図しない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(詳細な説明)
ポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)の製造方法は、ポリ2-プロペナルの水性懸濁液を形成することを含む。水性懸濁液は、ポリ2-プロペナルを水性液(aqueous liquor)に分散させることにより製造することができる。ポリ2-プロペナルを水に分散させ、ポリ2-プロペナルの固体と水性液を混合することにより懸濁液を形成させることができる。固体ポリ2-プロペナルは、乾燥していても、溶媒を含む混合物であっても良いが、液体溶液に該組成物を添加すると、ポリ2-プロペナルの懸濁液の形成をもたらす。例えば、ある態様において、該懸濁液は、水混和性溶媒中のポリ2-プロペナルの組成物を水性液と混合することにより形成される。ポリ2-プロペナルは、溶媒に可溶性でも不溶性でもよく、水性溶液に加えると、該組成物はポリ2-プロペナルの懸濁液をもたらす。ポリ2-プロペナルが可溶性である溶媒の使用は、酸化前のポリ2-プロペナルの貯蔵または操作、および/または液体との混合時の好都合な操作を促進しうるが、該溶媒の性質および割合は、水性溶液に加えるとポリ2-プロペナルの懸濁液が得られるものである。
【0013】
本発明のある態様において、ポリ2-プロペナルは、2-プロペナルの重合により製造され、得られたポリ2-プロペナルは反応混合物から濾過され、濾過した生成物をさらに処理することなく酸化工程に用いることがある。あるいはまた、濾過した物質を乾燥させてよいが、高い乾燥温度を用いるとおそらく分解の結果、生成物が着色することがわかったので、乾燥条件は60℃を超える温度を用いないことが好ましく、50℃を超える温度を用いないことがより好ましい。
【0014】
本発明の特徴は、過酸化水素、過酸、およびその混合物からなる群から選ばれる過酸化物酸化剤を水性組成物と混合するとポリ2-プロペナルが水性組成物中の懸濁液として存在することである。水性懸濁液としてのポリ2-プロペナルの酸化は、効率的な酸化をもたらし、ポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)の無色の安定な組成物をもたらすが、非揮発性溶媒(例えばエチレングリコール)または揮発性溶媒(例えばエタノール)中のポリ2-プロペナルの溶液について酸化を試みる対応する工程は、認識できる変化をもたらさないか、またはアルカリへの該生成物の溶解性を改善するのにほとんど有効でない変化をもたらす。
【0015】
該工程から生じるポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)生成物は、水性液を濾過することにより単離することができる。生成物の回収は、ある場合には、pHを、ポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)の酸基が生成物を可溶化しないように低いかまたは中性のpHとなるように修飾することにより改善することができる。あるいはもしくはさらに、該生成物は適切な水混和性媒質中に抽出することができる。
【0016】
本発明は、もちろん、溶解するより懸濁液として存在する水性組成物中の種々の濃度のポリ2-プロペナルを用いて実施することができる。好ましくは、該濃度は、水性組成物の総重量に基づいて0.1重量%〜80重量%(好ましくは1%〜60%、より好ましくは5%〜50%、最も好ましくは8%〜20%)の範囲である。
【0017】
該方法は、水性液中の懸濁液を、過酸化水素および過酸からなる群から選ばれる過酸化物酸化剤と混合することによりポリ2-プロペナルの懸濁液を酸化することを含む。
【0018】
過酸はパーオキシド基(-O-OH)を含む酸である。過酸は、有機または無機であってよく、好ましい過酸は過カルボン酸である。過カルボン酸は、親酸(RCOOH、ここで、Rは、水素、アルカリ、例えば1またはそれ以上の水素で置換されていることがあるC1-C4アルカリ、例えばパーフルオロ酢酸、およびハロで置換されていることがあるアリール酢酸でありうる)を、高反応性過酸を形成する過酸化水素と反応させることにより製造することができる。好ましい過酸は、過ギ酸および過酢酸およびメタ−クロロ過安息香酸である。
【0019】
酸化の程度、すなわち、ポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)中の酸基の割合は、酸化に用いる過酸化物の2-プロペナルに対する比、および酸化を行う時間と条件により調節することができる。一般的には、望ましい酸化の程度は、アルカリ溶液(例えば炭酸ナトリウム)中のポリマーの可溶性により決定することができる。
【0020】
過酸化物酸化剤は、好ましくは過酸化物:ポリ2-プロペナルの重量比0.5:1〜2:1、より好ましくは0.5:1〜1.1:1でポリ2-プロペナルの水性懸濁液と混合する。
【0021】
酸化を行う時間は、過酸化物/過酸の性質と反応性、用いる条件、および最終産物中の望ましい溶解度に依存するだろう。ある態様において、酸化は、10分間〜10時間、好ましくは30分間〜5時間、最も好ましくは30分間〜3時間行われる。
【0022】
酸化は、所望により、特定の過酸および用いる濃度に応じて上昇した温度で行うことができ、反応混合物は反応手順中、著しく発熱するかもしれない。好ましくは、反応温度は、60℃以下、好ましくは50℃以下(例えば、45℃以下、40℃以下、35℃以下、および30℃以下)に維持される。反応媒質は、少なくとも5℃、好ましくは少なくとも10℃の温度でありうる。ある態様において、該温度を約25℃に維持する。
【0023】
本発明の方法に用いるポリ2-プロペナルは、好ましくはアニオン重合、最も好ましくは塩基触媒重合により形成される。一般的には、例えば過酸化物開始剤を用いる2-プロペナルのラジカル開始重合は、得られる生成物が典型的には特に保存料として有用ではない扱いにくい高度に架橋した固体になる傾向があるので避けるのが最良である。2-プロペナルの塩基触媒重合は、頭部から尾部への炭素鎖の伸長に加えて酸素-炭素鎖伸長によって生じる種々のモノマー単位をもたらす。該モノマー単位の種類の例はUS 6723336に記載されている。
【0024】
ポリ2-プロペナルは、塩基(好ましくはアルカリ金属水酸化物、例えば、NaOHまたはKOH)触媒作用により水性溶液中で製造することができ、好ましくは温度を60℃以下、好ましくは50℃以下、最も好ましくは40℃以下に維持する。得られるポリ2-プロペナルは、水に再懸濁することにより酸化方法に用いる水性混合物から濾過することができる。一般的に、塩基触媒重合により形成されるポリ2-プロペナルは、所望により粒子サイズ減少法、例えば粉砕により、ポリマーの塊や凝集を崩壊させることができるが、粒子サイズを減少させずに酸化工程に用いることができる微粒子固体として2-プロペナルを反応させる水性溶液から沈殿させる。濾過したポリマーを乾燥させることができるが、先に記載したように、該ポリマーは好ましくは60℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは40℃以上の温度を受けない。
【0025】
ポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)は、保存料として化粧品、医薬品、もしくは動物薬に処方することができる。あるいはまた、該生成物は、US6723336の開示に従って胃腸疾患の治療に用いることができる。該生成物は、US 5290894の一般的記載に従って防腐剤、殺菌剤、および抗真菌剤の処方にも有用である。
【0026】
本発明のある態様において、ポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)は、WO2005/044874、WO/2001/060874、WO/2000/003723、WO2002/026211、およびPCT/Au2008/001032の1またはそれ以上に開示の方法に従って水性媒質中の抗菌剤の活性および溶解性を改善するためにさらに処理を受ける。
【0027】
例えば、ある態様において、ポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)は、アルコール溶液、特にポリアルキレングリコールおよび/またはアルカリ性水性組成物、例えば、炭酸ナトリウムもしくは炭酸カリウム水性溶液に溶解する。別の態様において、ポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)は、PCT/Au2008/001032に記載のごとくナノ粒子組成物の形で提供される。
【0028】
本発明に従って製造されるポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)は、本発明者らの先の特許出願に記載のごとく抗菌剤として種々の用途がある。胃腸病は、例えば大腸菌群、サルモネラ、P. aeruginosa、ヘリコバクター、プロテウス、腸内細菌、酵母、原虫、クロストリジウム、シゲラ、およびコクシジウム14からなる群から選ばれる1またはそれ以上の微生物から生じうる。ポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)と有機化合物(アルカノール、フェノール、ポリオール、およびその混合物から選ばれるヒドロキシル基を含む)の反応により形成された保護カルボニル基を形成させたポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)の誘導体を含む、治療的有効量のポリマーの胃腸への投与を含む、ヘリコバクター感染症により生じた胃腸疾患の治療または予防方法。例えば、ポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)は、胃腸疾患、例えば、ブタの大腸菌症(collibacilosis)、家禽のコクシジウム症を治療するために動物に投与することができる。したがって、ある態様において、有効量の上記抗菌剤を必要とする動物に投与することを含む胃腸疾患の治療方法を提供する。
【0029】
さらに、胃腸投与用の担体が、水、制御放出ポリマー、オリーブ油、ピーナッツ油、ゴマ油、ヒマワリ油、落花生油、ココナッツ油、液体パラフィン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセロール、脂肪アルコール、トリグリセリド、ポリビニルアルコール、特に加水分解ポリビニルアセテート、およびそれらの混合物からなる群から選ばれる胃腸疾患を治療または予防するための抗菌剤を提供する。
【0030】
ある態様において、0.1〜70重量%の抗菌剤を含む食品添加物または飲料水添加物の形の抗菌剤組成物を提供する。ある態様において、動物用餌組成物中の抗菌剤は、総餌または水組成物の0.001〜25重量%の量で存在する。
【0031】
該抗菌剤を表面洗浄抗菌製剤または化粧製剤に用い、処置する表面に抗菌効果をもたらすか、または該組成物自身に防腐効果をもたらすことができる。該抗菌剤は、典型的には、該使用において0.001〜25重量%の範囲の濃度で存在する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明を以下の実施例を参照して説明する。実施例は、本発明の例示であって本発明の範囲を限定するものではないと理解すべきである。
【実施例1】
【0033】
ポリ2-プロペナルの製造
新鮮蒸留アクロレイン(56g; 70mL)を約20℃の脱イオン水(649.6g)に溶解した。この勢いよく撹拌している溶液に、0.2M水酸化ナトリウム溶液(22.4g)を一度にすべて加えた。温度を30℃以下に保つよう調節した。
【0034】
約20秒後、ポリマーが形成され溶液ではなくなった。約20分間後、ポリマーが懸濁液中に保たれるように十分撹拌を減少させ、約2時間撹拌し続けた。
【0035】
懸濁液を濾過した(Buchner漏斗)。残渣を水洗し(ケーキの容量の2倍)、さらに2回反復した。
【0036】
ケーキを濾紙から除去し、層として(約10mm)広げ、周囲温度でドラフトチャンバー(fume cupboard)中で乾燥した。
【実施例2】
【0037】
ポリ2-プロペナルの過酸化物酸化
研究規模
実施例1に従って製造したポリ2-プロペナル(2g)を、炭酸ナトリウム(2g)を含む脱イオン水(20mL)に懸濁した。過酸化水素(0.606g; 2.36gの30%溶液)を加え、懸濁液を2時間撹拌した。
【0038】
混合物を水性HClで約pH2に酸性化した。塩化ナトリウム(5g)を加え、懸濁液をテトラヒドロフラン(THF 3 x 15mL)で抽出した。混合THF抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、次いでTHFを蒸発させた。
【0039】
注:上記条件下では、THFは水から分離された相である。
【0040】
白色粘性残渣を空気乾燥し、残る溶媒を除去した(収率100%)。
【0041】
白色酸化生成物は炭酸ナトリウム溶液に可溶性であり、FTIRはカルボン酸基含有生成物と一致した。
【実施例3】
【0042】
スケールアップ
実施例1に従って製造したポリ2-プロペナル(100g)を炭酸ナトリウム(100g)含有脱イオン水(1000g)に懸濁した。過酸化水素 30%w/w(118g)を、温度が30℃より上昇しないように滴下し、過酸化物を完全に添加した後、懸濁液を2時間撹拌した。
【0043】
懸濁液を5Lビーカーに移し、約5℃に冷却した。混合物を、HClで約pH2に注意深く酸性化した(約140mLの35%w/w HCl)。塩化ナトリウム(239g)を加え、懸濁液を約30分間撹拌した。
a. 白色固体を真空濾過して回収し、ケーキを氷冷脱イオン水(100mL)で洗浄した。該ケーキを室温で空気乾燥して一定重量とした。
b. 残った濾液を酢酸エチル(6 x 200mL)で抽出した。混合抽出物をブライン(2 x 20mL)で洗浄した。濾液を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、次いで蒸発させて酢酸エチルを除去した。残渣を乾燥して一定重量の無色粘性油状物を得た。
c. 固体分画および油分画を混合し、混合物を、微細白色粉末が得られるまで(収率約70%)一緒にすりつぶしてホモゲナイズした。
【0044】
白色酸化生成物は、炭酸ナトリウム溶液に可溶性であり、FTIRはカルボン酸基含有生成物と一致した。
【0045】
注:
・残存物質(約30%)が酢酸エチル抽出後に水性相に保持された。
・白色固体は、より高分子量のポリマーであり、酢酸エチル抽出物は、中間の範囲の分子量物質であり、抽出不能物質はより極性でより低分子の種である。
・理想的なワークアップは、THFを用いる1回抽出である。しかしながら、これはTHFを蒸発させる際に残存過酸化物が増大する可能性があるため、スケールアップするには非実用的と考えられた。
【0046】
白色酸化生成物は、炭酸ナトリウム溶液に可溶性であり、FTIRはUS 6723336の実施例1bにおいて製造されるポリ2-プロペナル(参考試料)の熱風酸化により生成される生成物に一致した。
【0047】
E. coli ATCC 8739に対する最小阻止濃度および最小殺滅濃度を実施例3の白色酸化生成物および熱風酸化ポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)について測定した。
【表1】

【実施例4】
【0048】
実施例2の方法を表1に記載の種々の条件(接触時間、過酸化物溶液の量、および温度)を用いて繰り返した。
【0049】
得られた生成物のFTIRスペクトルを、US 6,723,336の実施例1bに記載の固体ポリ(2-プロペナル)の熱風酸化により製造した生成物のスペクトルおよび化合物の1726 cm-1におけるカルボン酸シグナルの強度と比較した。
【表2】

【0050】
各場合において、ポリ2-プロペナル(2g)は、2gの炭酸ナトリウムおよび示した量の過酸化水素溶液を含む水(20mL)に懸濁した。
【0051】
FTIRコード:熱風酸化により製造したポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)との比較:
1: 1726cm-1で低カルボン酸強度
2: 1726cm-1で同様のカルボン酸強度
3: 1726cm-1で高カルボン酸強度
【実施例5】
【0052】
(比較実施例)
実施例1に従って製造したポリ2-プロペナル(2g)をメタノール(10mol)に溶解した。過酸化水素30%w/w(4.72g)を該溶液に加え、70℃で4時間加熱した。
【0053】
次に、該溶液をHClで約pH2に酸化した。メタノールを減圧下で蒸発させた。残渣を水(33mL)で希釈して粘性固体を得、これを水性溶液から分離して空気乾燥した。FTIRは、残渣が無変化ポリ2-プロペナルと一致したことを示した。
【0054】
塩化ナトリウムを水性溶液に加え、THF(2 x 15mL)で抽出した。混合THF抽出物を乾燥し(硫酸マグネシウム)、濾過し、次いで蒸発させて無色粘性ゲルを得た。この生成物のFTIRも無変化ポリ(2-プロペナル)と一致した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ2-プロペナルの水性懸濁液を形成し、過酸化水素、過酸、およびその混合物からなる群から選ばれる過酸化物酸化剤と混合することにより該懸濁液を酸化することを含むポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)の製造方法。
【請求項2】
該水性懸濁液を、ポリ2-プロペナルを水性液に分散させることにより製造する請求項1記載の方法。
【請求項3】
水混和性溶媒中のポリ2-プロペナルの溶液を水性組成物に分散させて、ポリ2-プロペナルの水性懸濁液を形成させる請求項1記載の方法。
【請求項4】
ポリ2-プロペナルの濃度が、水性組成物の総重量に基づいて0.1重量%〜80重量%(好ましくは1%〜60%、より好ましくは5%〜50%、最も好ましくは8%〜20%)の範囲である先の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
過酸化物酸化剤が、過酸化水素、有機または無機過酸、および過カルボン酸、ならびにその混合物、好ましくは、過酸化水素、式R(CO)OOHの過カルボン酸(ここで、Rは水素、アルカリ、例えば、1またはそれ以上のハロゲンで置換されていることがあるC1-C4アルカリ、例えばパーフルオロ酢酸、およびハロで置換されていることがあるアリールでありうる)、ならびにその混合物、より好ましくは過酸化水素、過ギ酸、過酢酸、およびパーメタクロロ安息香酸、からなる群から選ばれる先の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
反応温度が、60℃以下、好ましくは50℃以下(例えば、45℃以下、40℃以下、35℃以下、30℃以下)に維持される先の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
過酸化物酸化剤を、過酸化物:ポリ2-プロペナルの重量比0.5:1〜2:1、より好ましくは0.5:1〜1.1:1でポリ2-プロペナルの水性懸濁液と混合する先の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
酸化を行う時間が、10分間〜10時間、好ましくは30分間〜5時間、最も好ましくは30分間〜3時間である先の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
ポリ2-プロペナルを塩基(好ましくはアルカリ金属水酸化物、例えば、NaOHまたはKOH) 触媒作用により水性溶液中で調製し、好ましくは該温度を60℃以下、好ましくは50℃以下、最も好ましくは40℃以下に維持する、先の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
得られるポリ2-プロペナルを、酸化法に用いた水性混合物から、それを水に再懸濁して濾過する請求項9記載の方法。
【請求項11】
組成物の総重量に基づいて、0.001〜75重量%、好ましくは0.01〜25%、より好ましくは0.01〜10重量%の範囲のポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)を含む、保存料として用いるためのポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)抗菌剤もしくは溶液または誘導体を含む組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の方法により製造したアクロレインポリマーの抗菌剤としての使用。
【請求項13】
胃腸微生物感染症を治療または予防するために動物に投与する請求項12に記載の使用。
【請求項14】
胃腸感染症の治療または予防において動物に経口投与するための医薬を製造するための請求項1記載の方法により製造したアクロレインポリマーの使用。
【請求項15】
上記方法に従って製造した、無色のポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)組成物。
【請求項16】
防腐的有効量の、請求項1〜11のいずれかに記載の方法に従って製造したポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)、および生理活性物質または化粧品を含む組成物。
【請求項17】
有効量の、請求項1〜11のいずれかに記載の方法に従って製造したポリ(2-プロペナル, 2-プロペン酸)を含むヘアケアまたはスキンケアのための化粧品組成物。

【公表番号】特表2012−512955(P2012−512955A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542626(P2011−542626)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【国際出願番号】PCT/AU2009/001674
【国際公開番号】WO2010/071925
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(501022262)ケメック・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】