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抗菌剤
説明

抗菌剤

【課題】抗菌成分を徐放し耐水性・耐熱性が高く、医薬品、医薬部外品及び化粧品などに使用でき、且つゴムや合成樹脂等の材料に配合して成形したり、成形体の表面に被覆したりすることにより、材料または成形体に抗菌性を付与することができる粉体を提供すること。
【解決手段】本発明の抗菌剤は、イオン交換により抗菌性を有する第四級アンモニウムイオンまたは三級アミンイオンを導入したマガディアイトまたはケニヤアイトを含む抗菌性層状珪酸からなる。イオン交換されたマガディアイト及びケニヤアイトは鱗片状の結晶が積層した粒子形状になっていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌成分の徐放が可能な抗菌剤に関するものであり、より詳細には抗菌成分として第四級アンモニウムイオンや三級アミンイオンを含有し、耐水性・耐熱性に優れ、長期に渡り抗菌効果を持続できる抗菌剤に関する。また本発明は、化粧料、樹脂成形製品や塗料製品等への配合に適した抗菌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
第四級アンモニウム塩の多くは殺菌性を有しており、殺菌剤として広く使用されている。ベンザルコニウム類に代表されるこれらの化合物は水に可溶性なことから、これらの化合物を粉体に担持させて粉末形態にしても、液体との接触で溶解してしまい一時的な殺菌作用しか発現できない。従って、これらの化合物の殺菌効果を長期間持続させるためには、その使用法が特殊なものに限定されている。
【0003】
前記の化合物とは別に、銀、銅、亜鉛等の金属のイオンは抗菌性を有することが古くから知られている。これらの抗菌性金属成分を無機物粒子に担持させたもの、特にゼオライトにイオン交換で導入したものが抗菌剤として従来使用されている。
【0004】
種々の抗菌性金属成分のなかでも、銀成分は抗菌作用や人体に対する安全性に優れたものである。しかし公知の銀含有無機系抗菌剤は、変色傾向を有する点で未だ改善すべき余地がある。即ち、経時により或いは光や水の作用により、次第に変色して褐色になる傾向があり、この改善が求められている。また、防カビ性が低いことも欠点である。これに対して、第四級アンモニウム塩は変色がなく、また防カビ性も比較的高いことから、再び見直されており、いくつかの提案がなされている。
【0005】
ところで、ホストである層状結晶の層間に、原子、分子、イオンなどのゲストを挿入することは、従来インタカーレションの技術として良く知られている。ホストとゲストの種類の組み合わせが多様なことから、層間化合物には極めて多種類の物質が知られている。珪酸塩もその一つであり、モンモリロナイトやカオリナイトのような多元素で形成される層状粘土鉱物、マガディアイトやケニヤアイトのようなSiO2のユニットだけで形成される層状珪酸または層状珪酸塩などが知られている。
【0006】
前記の層状化合物は、ゲスト種のインタカーレションによって物性の変化や制御が期待でき、新しい機能発現の可能性を有しており、注目を集めている。特に、マガディアイトやケニヤアイトのような層状珪酸または層状珪酸塩は、その構造がSiO2のユニットだけで構成されており、また層表面にシラノール基(≡Si−O−H)が存在する。これらの点において層状珪酸または層状珪酸塩は層状粘土鉱物とは異なり、本発明者らは以前から注目してきた。例えば本発明者らは先に、マガディアイトやケニヤアイトに第四級アンモニウムイオンをイオン交換させて層間を広げ、広げた層間にシラン化合物を結合させて、アルコール選択吸着性を有する層状珪酸を提案した(特許文献1参照)。
【0007】
本発明者らの提案とは別に、フッ素置換層状珪酸塩に、分子内に1個の第四級アンモニウム基を持つ化合物を担持させてなる抗菌性層状珪酸塩が提案されている(特許文献2参照)。また、層状珪酸塩及び/またはゼオライトに含有されるイオン交換可能な金属の少なくとも一部を、第四級アンモニウム塩等の抗菌抗カビ性化合物で置換してなる抗菌抗カビ性珪酸塩が提案されている(特許文献3参照)。更に、層状珪酸塩に含有されるイオン交換可能な金属の少なくとも一部を、銀、銅、亜鉛の中から選ばれる1種の金属のイオンと有機配位子との配位化合物で置換してなる抗菌性珪酸塩も提案されている(特許文献4参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2000−128521号公報
【特許文献2】特開2004−262700号公報
【特許文献3】特開平4−292410号公報
【特許文献4】特開平3−193707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献2に記載のフッ素置換層状珪酸塩は、その実施例に記載されているように合成フッ素雲母に該当し、粘土鉱物に分類される。また、合成原料に天然タルクが用いられるため、成分に鉄などの不純物が多いという問題がある。更に、酸に弱く、それによって構造がこわれてフッ素が発生するという問題がある。その上、後述する本明細書の比較例1から明らかなように、イオン交換で導入した抗菌性第四級アンモニウムイオンは、水や溶剤に溶出することができないので、粉体表面だけが抗菌力を持っているに過ぎず、十分な抗菌効果を得るためには粉体を大量に使用しなくてはならない。
【0010】
特許文献3に記載の層状珪酸塩は、その詳細な説明の記載や実施例の記載から判断して粘土鉱物に該当すると考えられる。そして当該粘土鉱物は、それが天然品であるか合成品であるかを問わず粒子が微細であり、かつ膨潤性が強いので、その水分散液は1重量%程度の低濃度でもペースト状になってしまい加工時の取り扱いが難しくなるという問題がある。また、特許文献3にはゼオライトについての記載もあるが、ゼオライトはベンザルコニウムのような大きい分子はイオン交換できない。従って、ベンザルコニウムはゼオライトに展着されたと考えられる。
【0011】
特許文献4では、エチレンジアミンやベンゾトリアゾールの銀錯体を粘土鉱物に導入している。粘土鉱物は、先に述べたように、取り扱いが難しくなるという問題がある。
【0012】
従って本発明は、前記したような、銀系ゼオライト抗菌剤の変色問題や、第四級アンモニウム系抗菌剤の耐水性・耐熱性の欠如の問題などの解決を目指し、耐水性・耐熱性に優れ、経時による変色傾向がないか又は少なく、樹脂成形製品や塗料製品等への配合に適した抗菌剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、イオン交換可能なイオンの少なくとも一部が抗菌性を有する第四級アンモニウムイオン及び/または三級アミンイオンであるマガディアイト及び/またはケニヤアイトを含有することを特徴とする抗菌剤を提供することにより前記目的を達成したものである。
【0014】
更に本発明は、前記の抗菌剤を含有する化粧料組成物、樹脂組成物、樹脂組成物、塗料または植物用殺菌剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、耐水性・耐熱性に優れ、経時による変色傾向がないか又は少なく、樹脂成形製品や塗料製品等への配合に適した抗菌剤が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
(1)〔マガディアイト及びケニヤアイト〕
層状珪酸塩には、カネマイト(NaHSi2O3・3H2O)、KHSi25、マカタイト(Na2Si4O9・xH2O)、マガディアイト、ケニヤアイトなどがある。これらのうち本発明においては、製造工程や製品形状の点から、マガディアイト(Magadiite:Na2Si14O29・xH2O)及びケニヤアイト(Kenyaite:Na2Si22O41・xH2O)を用いている。マガディアイト及びケニヤアイトには天然物もあるが、不純物が少ない等の点で合成品が良い。合成方法に関しては、J. Ceramic Society of Japan, Vol.100, No. 3, 326−331(1991)に詳細な記載がある。
【0017】
例えば、SiO2:NaOH:H2O=1:0.23:18.5(モル比)の懸濁液をオートクレーブ中150℃で48時間処理するとマガティアイトが得られる。また、SiO2:NaOH:H2O=1:0.23:18.5(モル比)の懸濁液をオートクレーブ中170℃で48時間処理するとケニヤアイトが得られる。NaOHとK2CO3を用いるとケニヤアイトを合成し易い。
【0018】
前記の方法の他にも合成方法はいくつもあり、合成方法についてはなんら限定はない。合成法によってはナトリウムの代わりにカリウムを使用する。その場合には、合成物の化学式は前記の化学式のNaがKに置き換わったものになる。前記の合成方法で得られるマガディアイトやケニヤアイトは、鱗片状の結晶が花弁状、キャベツ状またはアコーディオン状に集合した球状の形態を有する。ここで言う鱗片状とは、狭義の鱗片状のみならず、板状の形態のものを広く包含する。マガディアイトのSEM像の一例を図1に示す。一枚の板(花弁)の厚さは0.05μm程度であり、面の一辺の大きさが1〜3μmのほぼ方形である。このような板が集合して数ミクロンの凝集粒子になっている。この凝集体は、例えばJ. Ceramic Society of Japan, Vol.100, No. 6, 872−875(1992)に記載されているような化学処理でバラバラにすることができる。また粉砕でも板状にすることができる。
【0019】
前記と別の合成方法として、例えば特開2003−531801号公報に記載の合成方法を用いることもできる。この場合には、凝集していない板状の結晶形状のものが得られる。この公報に記載の合成方法では、コロイダルシリカ懸濁液を加熱する工程において、水酸化ナトリウム/シリカのモル比を0.4〜0.5の範囲とし、且つ水/シリカのモル比を5〜39の範囲としている。加熱温度は140〜170℃である。この方法で合成されたマガディアイトのSEM像の一例を図2に示す。このマガディアイトは、図1に示すものと同様に、その結晶が鱗片状(板状)の形態をしている。しかし、図1に示すものと異なり、鱗片状(板状)の結晶は凝集体を形成しておらず、バラバラな状態になっている。
【0020】
X線回折パターンは、マガディアイトがJCPDS#42−1350に、ケニヤアイトがJCPDS#20−1157にそれぞれ登録がある。
【0021】
本発明においては、マガディアイトまたはケニヤアイトの何れかを用いて抗菌剤を構成することもでき、或いはこれら両者を用いて抗菌剤を構成することもできる。
【0022】
マガディアイトの構造モデルを図3(a)及び(b)に示した。図3(a)は、マガディアイトの構造モデルをc軸方向から見た図であり、図3(b)は横方向から見た図である。図3(a)及び(b)に示すように、マガディアイトにおいては、上向き及び下向きにそれぞれ2個、合計4個のSiO2四面体の基本ユニットから構成される珪酸の単位シートが3枚重なってひとつのシリケート層を構成し、シリケート層とシリケート層の間に水和したナトリウムイオンが存在する。ケニヤアイトでは、単位シートが4枚重なってひとつのシリケート層を構成し、シリケート層とシリケート層の間に水和したナトリウムイオンが存在する。つまりマガディアイト及びケニヤアイトは、その層状構造がSiO2のユニットのみから構成されている層状珪酸又は層状珪酸塩であり、アルミニウム等の金属元素を含有する合成フッ素雲母等の粘土鉱物の範疇には属しないものである。
【0023】
合成されたままのマガディアイトやケニヤアイトでは、イオン交換可能なイオンは図3におけるナトリウムイオンである。合成時にカリウムが使用されたときには図3におけるナトリウムイオンがカリウムイオンに置き換わる。イオン交換容量は、マガディアイトで1.9mmol/g、ケニヤアイトで1.3mmol/gである。粘土鉱物のモンモリロナイトやシリカアルミナゼオライトのような複数金属酸化物によって構成され、構造中の4価/3価、あるいは3価/2価元素置換によって発生する静電場により対イオンを有する化合物とは異なり、マガディアイトやケニヤアイトでは珪酸層がSiO2の単一構造であるためイオン交換可能なイオンの捕捉力は弱く、他種イオンと交換しやすい。同様に、珪酸層と珪酸層の結合も弱く、交換イオン種の大きさに応じて層間の距離を容易に変える性質がある。
【0024】
またマガディアイトやケニヤアイトは、シリカXの名称の層状珪酸とも区別される。シリカXは酸化珪素だけで構成され、イオン交換能を持たない。X線回折パターンは、シリカXがJCPDS#16−380に、シリカX2がJCPDS#31−1234に登録がある。
【0025】
(2)〔抗菌性を有する第四級アンモニウムイオンまたは三級アミンイオン〕
脂肪族第四級アンモニウム塩はカチオン界面活性剤として多量に使用されている。脂肪族第四級アンモニウム塩には、長鎖アルキル基がモノとジのものがある。一般にアルキル鎖長の短いほうが殺菌力が強い。ジアルキルジメチルアンモニウム塩では長鎖アルキル基がデシルのものが殺菌剤で市販されている。ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライドは長鎖アルキル基が炭素数16と18の混合物で殺菌消毒剤である。炭素数12から24の混合物は一般名が塩化ベンザルコニウムで、殺菌消毒剤として日本薬局方に収載されている。塩化ベンゼトニウムは脂肪族第四級アンモニウム塩であり、細菌、カビ類に広く抗菌性をもっており、水溶液は殺菌消毒剤として日本薬局方に収載されている。テトラメチルアンモニウム塩も強い殺菌剤であることが広く知られており、水を含む製品の防腐剤として使用されている。塩化セチルピリジニウム等のピリジニウム類は第四級アンモニウム塩であり、殺菌剤として使用されている。8−キノリノール等のキノリノール類は三級アミンであり殺菌性を有する。チアゾリルベンズイミダゾール等のベンズイミダゾール類も三級アミンであり殺菌性を有する。市販品としては牛脂ジアミンジオレイン酸塩、ヤシジアミンジアジピン酸塩、ヤシアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなどもある。抗菌性を有する第四級アンモニウムイオン及び三級アミンイオンは、これらのうちの何れか1種を用いることもでき、或いは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0026】
第四級アンモニウム塩または三級アミン塩は市販の塩化物、臭化物を水に溶解して使用できる。同時に銀イオンも導入するときには、水酸化物の使用が好ましい。導入量は、マガディアイトやケニヤアイトのイオン交換容量の1/100〜1当量、特に1/2〜1当量に相当するモル数が好ましい。マガディアイトやケニヤアイトの水懸濁液はナトリウムイオンに起因してpH10程度のアルカリ性を示す。イオン交換に先立ってマガディアイトやケニヤアイトを酸で中和してナトリウムイオンの一部ないし全部をプロトンに交換しておくことが好ましい。また、ナトリウムイオンやプロトンの代わりに、カルシウムイオンやマグネシウムイオンなどの2価金属イオン、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルなどの各種金属のイオンとイオン交換しておくことも好ましい。
【0027】
(3)〔亜鉛イオン、銅イオン、銀イオン〕
本発明では、亜鉛イオン、銅イオン、銀イオンなどの抗菌性金属イオンを必要に応じ使用する。これは、(イ)抗菌スペクトルを広げる、(ロ)抗菌性の持続期間を長くする、(ハ)耐候性を改善する、(ニ)耐薬品性を改善するなどの効果がある。第四級アンモニウムイオンや三級アミンイオンと、亜鉛イオン、銅イオン、銀イオンのどれを組み合わせるかは目的に応じて任意に選定でき、複数を組み合わせることもできる。特に亜鉛イオンとの組み合わせでは完全白色化ができ好ましい。イオン交換は、第四級アンモニウムイオンや三級アミンイオンと金属イオンの混合溶液を用いてもよく、或いは1種類の溶液毎に順次用いても良い。また、交換容量の全てを第四級アンモニウムイオンや三級アミンイオン及び抗菌性金属イオンで満たす必要はなく、ナトリウムイオンやプロトンを残存させることもできる。ナトリウムイオンやプロトンでなく、カルシウムイオンやマグネシウムイオンなどの2価金属イオン、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルなどの各種金属のイオンとイオン交換しておくことも好ましい。
【0028】
亜鉛イオンは変色傾向がないため、第四級アンモニウムイオンや三級アミンイオン以外の交換イオンの全てと置換することができるが、置換量を任意に設定することが好ましい。重量で示せば、マガディアイトではZnとして0.2〜6重量%であり、ケニヤアイトではZnとして0.2〜4重量%である。
【0029】
銅イオンは元々着色イオンであるので、色調を配慮して任意に置換量を設定すれば良い。重量で示せば、マガディアイトではCuとして0.2〜6重量%であり、ケニヤアイトではCuとして0.2〜4重量%である。
【0030】
銀イオンは着色傾向が発現しない程度に少量で使用することが好ましい。重量で示せば、マガディアイトではAgとして0.1〜1重量%であり、ケニヤアイトではAgとして0.1〜1重量%である。銀イオンは 亜鉛イオンと組み合わせで使用することが好ましい。
【0031】
前記の各種抗菌性金属イオンは水可溶性塩として用いることが好適であり、当該塩は一般工業薬品や錯体化合物から選ぶことができる。その例としては、亜鉛イオンの場合、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、過塩素酸亜鉛、チオシアン酸亜鉛、酢酸亜鉛等;銅イオンの場合、硝酸銅、過塩素酸銅、酢酸銅、硫酸銅等;銀イオンの場合、硝酸銀、硫酸銀、過塩素酸銀、酢酸銀、ジアンミン銀硝酸塩、アンミン銀硫酸塩、銀チオ硫酸塩等を挙げることができる。
【0032】
(4)〔イオン交換方法〕
前記の合成方法によって得られたマガディアイトやケニヤアイトの水懸濁液を、ろ過、水洗して、余剰のナトリウムを除去し、再び脱イオン水に分散させ、濃度5〜35重量%の水懸濁液とし、均一に分散するまで充分攪拌を行う。水懸濁液はナトリウムイオンに起因してpH10程度のアルカリ性を示す。従って、金属水酸化物の生成を防ぐために、イオン交換に先立って水懸濁液に予め酸を加えて中和を行いpHを7〜4にしておくことが好ましい。中和にはハロゲンを含まない酸である硝酸や硫酸、酢酸などが好ましい。第四級アンモニウム塩または三級アミン塩に水酸化物を使用した場合にも中和が必要となる。
【0033】
イオン交換条件に特に制限はないが、一般に温度は10〜90℃である。カラム式よりはバッチ式が好ましく、バッチ式の場合、一回ないし複数回で行うことができる。この時の塩濃度は一般に0.01〜1モル/Lの範囲が適当である。
【0034】
イオン交換によって、第四級アンモニウムイオンまたは三級アミンイオンがマガディアイトやケニヤアイトに導入される。また、必要に応じ、抗菌性金属イオンである亜鉛イオン、銅イオン、銀イオン等もイオン交換によって導入される。即ち、イオン交換後のマガディアイト及び/またはケニヤアイトにおいては、第四級アンモニウムイオン及び/または三級アミンイオン以外のイオン交換可能なイオンが、ナトリウムイオン、プロトン、亜鉛イオン、銅イオンまたは銀イオンであることが好ましい。或いは、イオン交換後のマガディアイト及び/またはケニヤアイトにおいては、イオン交換可能なナトリウムイオンの全てが第四級アンモニウムイオン及び/または三級アミンイオンで交換されており、実質的に第四級アンモニウムイオン及び/または三級アミンイオンと珪酸のみからなることも好ましい。
【0035】
イオン交換の終了したマガディアイトやケニヤアイトは、必要によりろ過、水洗した後、室温ないし120℃の温度で乾燥して粉末とする。250℃以上の加熱は構造破壊が起こるため好ましくない。
【0036】
第四級アンモニウムイオンまたは三級アミンイオンが導入された後のマガディアイト及びケニヤアイトの粒子形状は、イオン交換前の粒子形状(図1及び図2参照)から大きく変化し、鱗片状(板状)の結晶が積層した形状になっている。イオン交換後のマガディアイトのSEM像の一例を図4及び図5に示す。図4に示すイオン交換後のマガディアイトは、図1に示すマガディアイトを原料とするものである。図5に示すイオン交換後のマガディアイトは、図2に示すマガディアイトを原料とするものである。図4及び図5に示す像から明らかなように、鱗片状の各結晶は、その面が互いに平行になるように緻密積層されている。また、各結晶どうしは強固に固着している。鱗片状(板状)の各結晶どうしの固着は、図5に示すものよりも、図4に示すものの方が強固であるように観察される。このような粒子形状となっていることで、本発明の抗菌剤は、例えば樹脂、塗料、化粧料への分散性が良好なものとなる。なお、亜鉛イオン等の抗菌性金属イオンが導入されたマガディアイト及びケニヤアイトの粒子形状はイオン交換前と変わらず、図1及び図2に示す形状になっている。
【0037】
第四級アンモニウムイオンまたは三級アミンイオンを導入したマガディアイトやケニヤアイトと、抗菌性金属イオンを導入したマガディアイトやケニヤアイトを別々に調製し、両者を混合することもできる。この場合には、混合割合に応じて抗菌性金属イオンの存在率を任意に調節できるという利点がある。また、抗菌性のないマガディアイトやケニヤアイトを更に混合することもできる。鱗片状の結晶が花弁状もしくはキャベツ状に集合した球状の粒子形状からなり、且つ抗菌性金属イオンが導入されたマガディアイトまたはケニヤアイトと、鱗片状の結晶が緻密に積層した球状の粒子形状からなり、且つ第四級アンモニウムイオンまたは三級アミンイオンが導入されたマガディアイトまたはケニヤアイトとを混合することも好ましい。
【0038】
マガディアイトやケニヤアイトに導入した第四級アンモニウムイオンまたは三級アミンイオンは、そのハロゲン塩の分解温度よりも20℃程度高い分解温度になる。この耐熱性は、インターカレーションによって合成した有機無機複合体ではしばしば観察される現象であり、本発明でも有利な特性である。この耐熱性により本発明の抗菌剤は、樹脂への高温練り込み工程、塗料の焼き付け工程などでの耐久性が高まり、より広い用途での使用が可能となる。
【0039】
本発明の抗菌剤は、第四級アンモニウムイオン等を粒子表面へ展着させる従来の方法と異なり、第四級アンモニウムイオンまたは三級アミンイオンが層状珪酸中に弱い結合力ではあるが確実に担持されている。これに起因して本発明の抗菌剤は抗菌成分の徐放機能を有し、抗菌作用が長期にわたって安定に持続される。また、展着法による抗菌剤と異なり、本発明の抗菌剤は、粒子表面の抗菌成分に起因する粒子同士の二次凝集がないため、粉体としての取り扱いが容易で、樹脂等への分散性にも優れている。
【0040】
更に、本発明において抗菌性金属成分として銀成分を導入できることは先に述べた通りであるが、銀成分は第四級アンモニウムイオンまたは三級アミンイオン成分の不足分として導入されるので、銀成分の導入量を、許容される変色に合わせて少量化できる。その結果、本発明の抗菌剤は、銀成分を含有するにもかかわらず、耐変色性に優れたものとなる。
【0041】
本発明の抗菌剤の粒子は、粒子径が1〜500μm、特に1〜50μmであることが、該抗菌剤を、化粧料組成物、樹脂組成物及び樹脂成形品、塗料、植物用殺菌剤などの各種用途に適用した場合に、その分散が均質となる点から好ましい。粒子径は粒子のSEM観察によって測定される。
【0042】
本発明の抗菌剤は、水分が5重量%以下、特に3重量%以下に調整されていることも好ましい。合成されたままのマガディアイトやケニヤアイトでは、イオン交換可能なイオンは図3に示すナトリウムイオンやカリウムイオンであり、これらのイオンは水和イオンとして存在する。その結果、合成されたままのマガディアイトやケニヤアイトは10重量%程度の構造水を有する。一方、第四級アンモニウムイオンまたは三級アミンイオンは水和しないため、合成されたままのマガディアイトやケニヤアイトをこれらのイオンでイオン交換すると、構造水のない結晶からなる抗菌剤が得られる。当該抗菌剤を樹脂に練り込んだり塗料に配合すると、樹脂製品の高温成形時の脱水による発泡や、塗料における塗膜のフクレ現象を防止することができるという利点がある。従って、水分の量の下限値に特に制限はなく、低ければ低いほど好ましい。尤も、水分の量が0.1重量%程度に低ければ、上述の利点が充分に顕著なものとなる。マガディアイトやケニヤアイトにおける水分の量は、加熱減量から測定される。測定条件は、TG/DTAを用いて170℃までの重量減とする。
【0043】
更に、長鎖第四級アンモニウムイオンによって高比率でイオン交換された抗菌剤は、抗菌成分の徐放性能が一層高くなり、且つ撥水性を有する。このような特性は、当該抗菌剤を化粧料や植物用殺菌剤に用いた場合に、汗や雨水による流失が防止されるので、抗菌効果の持続に有利である。
【0044】
以上のように、本発明の抗菌剤は、化粧料組成物、樹脂組成物及び該組成物から成形される樹脂成形品、塗料ならびに植物用殺菌剤などに好適に使用できる。
【0045】
本発明の抗菌剤は、種々の形態で抗菌性を必要とする用途に使用できる。この抗菌剤は、その効果性能を損なわない範囲で、公知の改質剤、例えば分散剤、界面活性剤、カップリング剤、変色防止剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤等で表面処理を行うことができる。
【0046】
マガディアイトやケニヤアイトの粒子表面の水酸基は活性が高く、ヘキサメチルシラザンのようなシリル化剤と水中でも容易に反応するので、当該シリル化剤を用いることでマガディアイトやケニヤアイトの粒子を疎水化粒子とすることができる。乾燥した粒子では、粒子表面の水酸基がカルボン酸やアルコール類のOH基と脱水反応しエステル化が起こる。即ち粒子の表面をエステル化処理することができる。この表面処理のためには、予めナトリウムをプロトンにイオン交換しておくほうが好ましい。長鎖アルキル脂肪酸と反応させて表面処理した粒子も有用である。
【0047】
分散剤としては、特に制限されないが、例えば、以下のワックス類や低融点樹脂類が使用される。
(1)脂肪酸及びその金属塩類:
合成または天然脂肪酸及びそれらのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、亜鉛塩、アルミニウム塩など。例えばステアリン酸、オレイン酸等及びそれらのナトリウム塩やアンモニウム塩等が挙げられる。
(2)アマイド、アミン類:
例えば、エルカ酸アミド、オレイルパルミトアマイド、ステアリルエルカミド、2−ステアロミドエチルステアレート、エチレンビス脂肪酸アマイド、N,N'−オレオイルステアリルエチレンジアミン、N,N'−ビス(2ヒドロキシエチル)アルキル(C12〜C18)アマイド、N,N'−ビス(ヒドロキシエチル)ラウロアマイド、脂肪酸ジエタノールアミン等が挙げられる。
(3)脂肪酸エステル・アルコールエステル類:
例えば、ステアリン酸n−ブチル、水添ロジンメチルエステル、セバチン酸ジブチル(n−ブチル)、セバチン酸ジオクチル(2−エチルヘキシル、n−オクチル共)、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル、ジエチレングリコール脂肪酸酸ジエステル、プロピレングリコール脂肪酸ジエステル等が挙げられる。
(4)ワックス類:
例えば、スパームアセチワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、蜜蝋、木蝋、ラノリン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エポキシ変性ポリエチレンワックス、石油系ワックス等が挙げられる。
(5)低融点樹脂類:
融点或いは軟化点が40〜200℃、特に70〜160℃である各種樹脂、例えば、エポキシ樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン系樹脂、クロマン−インデン樹脂、その他の石油樹脂、アルキッド樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、低融点アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、低融点コポリアミド、低融点コポリエステル等を挙げることができる。
【0048】
一方、界面活性剤としては、(イ)第一級アミン塩、第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、ピリジン誘導体等のカチオン系のもの、(ロ)硫酸化油、石ケン、硫酸化エステル油、硫酸化アミド油、オレフィンの硫酸エステル塩類、脂肪アルコール硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸エチルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、コハク酸エステルスルホン酸塩、リン酸エステル塩等のアニオン系のもの、(ハ)多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノまたは脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、アルキルナフトールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール等の非イオン系のもの、(ニ)カルボン酸誘導体、イミダゾリン誘導体等の両性系のものが一般に使用可能である。
【0049】
カップリング剤としては、例えば次のものが使用可能である。
(1)シラン系カップリング剤:
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、などのアミノ系シラン。γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、などのメタクリロキシ系シラン。
ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、などのビニル系シラン。
β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、などのエポキシ系シラン。γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、などのメルカプト系シラン。γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、などのクロロプロピル系シラン。
(2)チタネート系カップリング剤:
イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルバイロホスフェート)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルバイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルバイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート、ポリジイソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ポリジノルマルブチルチタネート。
【0050】
無機変色防止剤としては、例えばハイドロタルサイト類、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、含アルミニウムフィロケイ酸塩、アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩等が挙げられる。
【0051】
本発明の抗菌剤は、他の無機系抗菌剤と併用できる。例えば、抗菌性金属イオンがイオン交換又は担持されたゼオライト、アパタイト、リン酸ジルコニウム、シリカゲル、ケイ酸カルシウム、ガラス等が挙げられる。
【0052】
本発明の抗菌剤は、他の有機系抗菌剤、殺菌剤、防腐剤と併用できる。例えば、ヒノキチオール等のトロポロン類;キトサン類;パラオキシ安息香酸エステル類;安息香酸、デヒドロ酢酸等の有機酸;これら有機酸の塩類;第四級ホスホニウム塩類等を挙げることができる。
【0053】
具体的には、ヒノキチオール、キトサン、安息香酸、安息香酸塩類、イソプロピルメチルフェノール、ウンデシレン酸モノエタノールアミド、塩化セチルピリジニウム、塩化アルキルアミノエチルグリシン、塩化クロルヘキシジン、クレゾール、クロラミン、クロロキシレノール、クロロクレゾール、クロロブタノール、サリチル酸、サリチル酸塩類、臭化ドミフェン、ソルビン酸及び塩類、チモール、チラム、デヒドロ酢酸及び塩類、トリクロロカルバニリド、p−オキシ安息香酸エステル、p−クロルフェノール、ハロカルバン、フェノール、ヘキサクロロフェン、ラウロイルサルコシンナトリウム、レゾルシン、ポビドンヨード(ポリビニルピロリドン・ヨウ素錯体)及びそのシクロデキストリン包摂体、ヨウ素・アルキルポリエーテルアルコール錯体(G.S.I.)、ポリエトキシポリプロポキシポリエトキシエタノール・ヨウ素錯体(Iocline)、ノニルフェノキシポリエトキシエタノール・ヨウ素錯体、ポリオキシエチレン付加植物油・ヨウ素錯体、ポリオキシエチレン付加脂肪酸・ヨウ素錯体、ポリオキシエチレン付加脂肪アルコール・ヨウ素錯体、脂肪酸アミド・ヨウ素錯体等を挙げることができる。
【0054】
本発明の抗菌剤は、種々の樹脂(重合体)への分散性に優れており、しかも変色傾向も少ないので、各種樹脂(重合体)に配合して、抗菌性を有する樹脂組成物や樹脂成形品、例えば繊維、フィルム、シート、パイプ、パネル、容器、建材、構造材等の分野に用いることができる。また、本発明の抗菌剤を塗料等に配合して、抗菌性塗膜の分野に用いることができる。
【0055】
前記の樹脂としては特に制限はなく広範囲のものを用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリオレフィンの如き塩素系樹脂、ポリアミド、ABS樹脂、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリビニールアルコール、ポリカーボネート、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン、レーヨン、キュプラ、アセテート、トリアセテート、ビニリデン、天然及び合成ゴム等の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂などを挙げることが出来る。なお、これらの樹脂は、共重合体又はグラフトポリマー、または2種以上の混合樹脂であってもよい。特に、前記の樹脂のうち、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂が好ましい。
【0056】
本発明の抗菌剤を塗料に配合する場合、当該塗料の材料としては、例えばボイル油、油ワニス、油性エナメルなどの油性塗料、ニトロセルロースラッカー、アクリルラッカーなどの繊維素誘導体塗料、前記の樹脂材料に記載した熱硬化性樹脂やエラストマー重合体などを塗料タイプにした合成樹脂塗料が挙げられる。
【0057】
樹脂や塗料に配合して使用される材料についても従来から使用されている材料を使用できる。例えば、油脂類、鉱油類、可塑剤、溶剤、無機質充填剤、顔料、体質顔料等を挙げることができる。 無機質充填剤としては微粉末シリカ、活性アルミナ、含アルミニウムフィロケイ酸亜鉛及びそのシリカ質複合体、フィロケイ酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、亜鉛変性ハイドロタルサイト、リチウム・アルミニウム複合水酸化物塩、タルク、クレー、ベントナイト、ドーソナイト、珪藻土、硅砂、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
【0058】
本発明の抗菌剤が配合された樹脂成形品や塗料としては、いかなる形状のものも含まれる。例えば織布、不織布、網布、編布等の布製品、紙、フィルム等のシート製品、散布剤、スプレー剤等の粉製品、刷毛塗り塗料、スプレー塗料、ローラー塗り塗料、接着剤、シーラント等の液体ないしペースト状製品、板、棒、箱、多孔質体などの具形成形品が挙げられる。
【0059】
本発明の抗菌剤が配合された樹脂成形品や塗料としては、例えば鮮度保持フィルムや衛生材料製品、台所浴用製品、トイレタリー、化粧品、水処理用品、医療器具製品、建材製品、魚網等を挙げることができる。またセメントモルタルに添加、あるいはセメントコンクリートの成形体に塗装して抗菌性のセメントコンクリートの製品を造ることができる。その他、抗菌を目的として種々の製品に応用することができる。
【0060】
本発明の抗菌剤が配合された樹脂組成物において、抗菌剤の樹脂への配合量は、該抗菌剤の物性、特に抗菌成分の担持量、合成樹脂の種類やその用途等によって多様に異なる。多くの場合、樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部の範囲であることが好ましい。更に好ましくは0.5〜10重量部である。尤も、マスターバッチとして構成される樹脂組成物にあっては30重量部まで配合することができる。抗菌剤の配合量が0.1重量部未満の場合、樹脂組成物の抗菌作用は実質的に得られない。また配合量の上限値は、多くの場合経済的理由から制限され、実用的範囲として設定される。
【実施例】
【0061】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。実施例中の各測定値はそれぞれ次の方法によって求めた。
(a)組成分析:
ナトリウム及び抗菌性金属はICP(Varian製LIBERTYII型)によって定量した。第四級アンモニウムイオン及び三級アミンイオンは、全有機炭素計(島津製作所製、TOC−5000A)により炭素量を測定し、分子量に換算して定量した。
(b)粒子の形状:
SEM(日立製作所製S−4500型)により観察した。
(c)X線回折パターン(XRD):
X線回折装置(理学製RINT2400型)を用いた。
(d)水分測定
TG/DTA(熱重量示差熱分析;セイコーインスツルメンス製のTG/DTA6300型)を用いて、昇温速度10℃/minで40〜800℃の重量変化を測定し、170℃までの重量減を水分量とした。
【0062】
〔実施例1〕
(1)マガディアイトの合成
J. Ceramic Society of Japan Vol.100, No.3, 326-331(1992)に記載の方法に従った。SiO2:NaOH:H2O=1:0.23:18.5(モル比)の原料組成でマガディアイトを合成した。すなわち、SiO2が30重量%のコロイダルシリカ(日本化学工業(株)製品シリカドール30)200重量部と、試薬のNaOH9.2重量部、水193重量部をオートクレーブに仕込み、150℃で48時間の水熱合成を行った。合成後、固形物を濾過水洗し、120℃で乾燥し、マガディアイト(Na2Si14O29・xH2O) を得た。SEM像は、図1に示すように、板厚0.05μmで一辺が3μmの方形面をした板状結晶が、花弁状に集合した球状の結晶であった。粒子径は7.0μm、Na2Oは5.8重量%、170℃までの加熱減量は13重量%であった。XRDはJCPDS#42−1350に一致し、面間隔d001は15.6Åであった。
【0063】
(2)マガディアイトのイオン交換
合成したマガディアイト100gをNa量の0.5倍当量の塩化ベンザルコニウム(東京化成、テトラデシルベンジルジメチルアンモニウムクロライド)の水溶液1000mlに分散させ、室温で24時間攪拌して、Naとベンザルコニウムをイオン交換させた。分散液から固体をろ過分離し水洗した後、110℃で乾燥し、乳鉢で粉砕して粉末を得た。粉末を一部取り出してSEM観察を行ったところ、図4に示すように、鱗片状(板状)の結晶が積層した粒子形状が観察できた。SEM観察による平均粒子径は7μmであった。また、170℃までの加熱減量は3.1重量%であった。XRDでは元のd001の15.6Åが弱くなり、新たなd001の32.6Åの大きなピークと、そのd002が16.3Åに現れており、マガディアイトの層間にベンザルコニウムが導入されていることが確認できた。また、化学分析より(ベンザルコニウム)1.0・Na1.0・Si1429・xH2Oが得られたことを確認した。
【0064】
〔実施例2〕
実施例1で合成したマガディアイト100gを、Na量の0.5倍当量の塩化ベンザルコニウム(関東化学製、[RN(CH3)2CH2C6H5]Cl、RはC8〜C18)の水溶液1000mlに分散させ、室温で24時間攪拌して、Naとベンザルコニウムをイオン交換させた。分散液から固体をろ過分離し水洗した。このマガディアイトを、再度0.5倍当量の塩化ベンザルコニウムの水溶液1000mlに分散させ、室温で24時間攪拌して、Naとベンザルコニウムをイオン交換させた。分散液から固体をろ過分離し水洗した後、110℃で乾燥し、IKA社製MF-10型卓上粉砕機で粉砕して粉末を得た。粉末を一部取り出してSEM観察を行ったところ、鱗片状の結晶が積層した粒子形状が観察できた。SEM観察による平均粒子径は3μmであった。また、170℃までの加熱減量は1.9重量%であった。XRDでは、もとのd001の15.6Åはなくなり、新たなd001の32.9Åの大きなピークと、そのd002が16.5Åに現れており、マガディアイトの層間にベンザルコニウムが導入されていることが確認できた。また、化学分析より、Naは存在せず、(ベンザルコニウム)2・Si1429・xH2Oが得られたことを確認した。
【0065】
〔実施例3〕
実施例1で合成したマガディアイト100gを、Na量の1.0倍当量の塩化ベンザルコニウム(関東化学製、[RN(CH3)2CH2C6H5]Cl、RはC8〜C18)の水溶液1000mlに分散させ、室温で24時間攪拌して、Naとベンザルコニウムをイオン交換させた。分散液から固体をろ過分離し水洗した後、110℃で乾燥し、乳鉢で粉砕して粉末を得た。粉末を一部取り出してSEM観察を行ったところ、鱗片状の結晶が積層した粒子形状が観察できた。SEM観察による平均粒子径は10μmであった。XRDでは、もとのd001の15.6Åはなくなり、新たなd001の32.9Åの大きなピークと、そのd002が16.5Åに現れており、マガディアイトの層間にベンザルコニウムが導入されていることが確認できた。また、化学分析より、(ベンザルコニウム)1.5・Na0.5・Si1429・xH2O が得られたことを確認した。
【0066】
〔実施例4〕
実施例1で合成したマガディアイト100gを、Na量の0.5倍当量の塩化ベンザルコニウム(関東化学製、[RN(CH3)2CH2C6H5]Cl、RはC8〜C18)の水溶液1000mlに分散させ、室温で24時間攪拌して、Naとベンザルコニウムをイオン交換させた。次いで0.2Nの塩酸を滴下してpHを7とし、0.5倍当量の塩化亜鉛を加え室温で24時間攪拌した。分散液から固体をろ過分離し水洗した後、110℃で乾燥し、乳鉢で粉砕して粉末を得た。粉末を一部取り出してSEM観察を行ったところ、鱗片状の結晶が積層した粒子形状が観察できた。SEM観察による平均粒子径は5μmであった。XRDでは、もとのd001の15.6Åはなくなり、新たなd001の32.9Åの大きなピークと、そのd002が16.5Åに現れており、マガディアイトの層間にベンザルコニウムが導入されていることが確認できた。また、化学分析より、Naは存在せず(ベンザルコニウム)1.0・Zn0.3・H0.2・Si1429・xH2O が得られたことを確認した。
【0067】
〔実施例5〕
実施例1で合成したマガディアイト100gのNa量に対して、0.5倍当量の硝酸亜鉛と0.5倍当量の硝酸銀を純水に溶解した水溶液1000mlを調製した。この水溶液に実施例1で合成したマガディアイト100gを投入し、イオン交換させた。この分散液から固体をろ過分離し水洗し、箱型乾燥機で50℃で乾燥した。得られた粉末は、SEM観察では鱗片状の結晶が花弁状もしくはキャベツ状に集合した球状の粒子形状であって、マイクロトラック(日機装製 HRA型)による平均粒子径(D50)は6.5μmであった。また、化学分析より、Ag0.15・Zn0.91・Na0.03・Si1429・xH2Oが得られたことを確認した。この粉末と、実施例2で製造した、ベンザルコニウムイオンを導入したマガディアイトとを、等量で均一に混合し抗菌性金属とベンザルコニウムを含有するマガディアイト粉末を得た。
【0068】
〔実施例6〕
実施例1で合成したマガディアイト100gを、Na量の1.0倍当量の塩化ベンゼトニウム(試薬:東京化成)の水溶液1000mlに分散させ、室温で24時間攪拌して、Naとベンゼトニウムをイオン交換させた。分散液から固体をろ過分離し水洗した後、110℃で乾燥し、乳鉢で粉砕して粉末を得た。粉末を一部取り出してSEM観察を行ったところ、鱗片状の結晶が積層した粒子形状及び少し壊れた花弁状の粒子形状が観察できた。SEM観察による平均粒子径は10μmであった。XRDでは、もとのd001の15.6Åと、新たなd001の32.7Åのピークが現れており、マガディアイトの層間にベンゼトニウムが導入されていることが確認できた。また、化学分析より、(ベンゼトニウム)0.4・Na1.6・Si1429・xH2Oが得られたことを確認した。
【0069】
〔実施例7〕
実施例1で合成したマガディアイト100gのNa量の1.0倍当量の8−キノリノール(純正化学製、[C9H7NO])を、塩酸酸性水溶液1000ml(pH=1.8)に溶解した。この水溶液に、実施例1で合成したマガディアイト100gを投入し、室温で24時間攪拌して、Naと8−キノリノールをイオン交換させた。分散液から固体をろ過分離し水洗した後、110℃で乾燥し、乳鉢で粉砕して粉末を得た。得られた粉末は黄色であり、粉末を一部取り出してSEM観察を行ったところ、鱗片状の結晶が積層した粒子形状が観察できた。SEM観察による平均粒子径は5μmであった。XRDでは、もとのd001の15.6Åはなくなり、新たなd001の16.6Åの大きなピークが現れており、マガディアイトの層間に8−キノリノールが導入されていることが確認できた。また、化学分析より、(8−キノリノール)1.7・H0.3・Si1429・xH2Oが得られたことを確認した。
【0070】
〔実施例8〕
(1)板状マガディアイトの合成
特開2003−531801号公報に記載の方法に従った。SiO2:NaOH:H2O=1:0.50:18.5(モル比)の原料組成でマガディアイトを合成した。すなわち、SiO2が30重量%のコロイダルシリカ(日本化学工業(株)製品シリカドール30)200重量部と、試薬のNaOH19.6重量部、水203重量部をオートクレーブに仕込み、160℃で24時間の水熱合成を行った。合成後、固形物を濾過水洗し、110℃で乾燥し、マガディアイト(Na2Si14O29・xH2O) を得た。SEM像は、図2に示すように、板厚0.1μmで一辺が平均1.0μmの方形面をした板状(鱗片状)結晶であった。この結晶は凝集していなかった。XRDはJCPDS#42−1350に一致し、面間隔d001は15.5Åであった。
【0071】
(2)板状マガディアイトのイオン交換
合成したマガディアイト100gをNa量の0.5倍当量の塩化ベンザルコニウム(関東化学製、[RN(CH3)2CH2C6H5]Cl、RはC8〜C18)の水溶液1000mlに分散させ、室温で24時間攪拌して、Naとベンザルコニウムをイオン交換させた。分散液から固体をろ過分離し水洗した。このマガディアイトを、再度0.5倍当量の塩化ベンザルコニウムの水溶液1000mlに分散させ、室温で24時間攪拌して、Naとベンザルコニウムをイオン交換させた。分散液から固体をろ過分離し水洗した後、110℃で乾燥し、IKA社製MF-10型卓上粉砕機で粉砕して粉末を得た。粉末を一部取り出してSEM観察を行ったところ、図5に示すように、結晶形態は鱗片状(板状)であり、この結晶が積層した粒子形状が観察できた。SEM観察による平均粒子径は平均1.0μmであった。また、170℃までの加熱減量は2.7重量%であった。XRDでは元のd001の15.5Åが弱くなり、新たなd001の30.9Åの大きなピークと、そのd002が15.5Åに現れており、マガディアイトの層間にベンザルコニウムが導入されていることが確認できた。また、化学分析より(ベンザルコニウム)2.0・Si1429・xH2Oが得られたことを確認した。
【0072】
〔実施例9〕
(1)ケニヤアイトの合成
J. Ceramic Society of Japan Vol. 100, No.3, 326-331(1992)に記載の方法に従った。SiO2:NaOH:K2CO3:H2O=1:0.23:0.16:18.5(モル比)の原料組成でケニヤアイトを合成した。すなわち、SiO2が30重量%のコロイダルシリカ(日本化学工業(株)製品シリカドール30)200重量部と、試薬のNaOH9.2重量部、試薬のK2CO322.1重量部、水193重量部をオートクレーブに仕込み、170℃で24時間の水熱合成を行った。合成後、固形物を濾過水洗し、110℃で乾燥し、ケニヤアイト(Na0.970.72Si22O41・xH2O) を得た。SEM像は、板厚0.05μmで一片が3μmの方形面をした板状結晶が、花弁状に集合した球状の結晶であった。粒子径は7.0μm、Na2Oは1.91重量%、K2Oは2.15重量%、170℃までの加熱減量は6.5重量%であった。XRDではJCPDS#20−1157に一致し、面間隔d001は19.7Åであった。
【0073】
(2)ケニヤアイトのイオン交換
合成したケニヤアイト100gをNa量の0.5倍当量の塩化ベンザルコニウム(東京化成、テトラデシルベンジルジメチルアンモニウムクロライド)の水溶液1000mlに分散させ、室温で24時間攪拌して、Na及びKとベンザルコニウムをイオン交換させた。分散液から固体をろ過分離し水洗した。このケニヤアイトを、再度0.5倍当量の塩化ベンザルコニウムの水溶液1000mlに分散させ、室温で24時間攪拌して、Na及びKとベンザルコニウムをイオン交換させた。分散液から固体をろ過分離し水洗した後、110℃で乾燥し、乳鉢で粉砕して粉末を得た。粉末を一部取り出してSEM観察を行ったところ、鱗片状の結晶が積層した粒子形状が観察できた。SEM観察による平均粒子径は10μmであった。また、170℃までの加熱減量は1.6重量%であった。XRDでは、もとのd001の19.7Åはなくなり、新たなd001の36.6Åの大きなピークと、そのd002が18.3Åに現れており、ケニヤアイトの層間にベンザルコニウムが導入されていることが確認できた。また、化学分析より、NaとKは存在せず、(ベンザルコニウム)1.68・Si2241・xH2Oが得られたことを確認した。
【0074】
〔実施例10〕
本実施例では、イオン交換によって導入された抗菌成分の徐放性の確認を行った。実施例2で得られたベンザルコニウムイオン交換マガディアイト粉末5gを、純水、エタノール及びグリセリンの各45gに投入し24時間攪拌を続けた。その後、ろ過分離して水洗し、110℃で乾燥し、粉末を回収した。粉末を化学分析して溶出したベンザルコニウムの量を算出した。その結果、何れの液に分散させた場合も溶出量は8重量%であった。また、純水への分散は、粉末が撥水性を示したため、均一な分散とはならなかった。
【0075】
〔比較例1〕
本比較例では、膨潤性フッ素置換雲母を使用した抗菌剤を製造した。膨潤性フッ素置換雲母(コープケミカル(株)製のソマシフME−100)50gを、Na量の1.0倍当量の塩化ベンザルコニウム(関東化学製、[RN(CH3)2CH2C6H5]Cl、RはC8〜C18)の水溶液1000mlに分散させ、室温で24時間攪拌して、Naとベンザルコニウムをイオン交換させた。分散液から固体をろ過分離し水洗した後、110℃で乾燥し、乳鉢で粉砕して粉末を得た。化学分析の結果、Naの70重量%がベンザルコニウムに置換されていることを確認した。この粉末について、実施例9と同じくベンザルコニウムの溶出量を測定した。その結果、純水、エタノール及びグリセリンの何れに対しても溶出が認められなかった。
【0076】
〔比較例2〕
本比較例では、モンモリロナイトを使用した抗菌剤を製造した。モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製のクニピアF)50gを、Na量の1.0倍当量の塩化ベンザルコニウム16.25gの水溶液1000mlに添加し、分散を行う操作を開始したところ、10分後には全体がペースト状になり、固体をろ過分離することができず、水洗することもできなくなった。
【0077】
〔比較例3〕
本比較例では、特開2000−128521号公報に記載の方法に従い抗菌剤を製造した。第四級アンモニウムイオンとしてドデシルトリメチルアンモニウムを使用した。実施例1で合成したマガディアイト100gを、Na量の1.0倍当量のドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(試薬:東京化成、以下DTMA−Clと記載)の水溶液1000mlに分散させ、室温で24時間攪拌して、NaとDTMAをイオン交換させた。分散液から固体をろ過分離し水洗した後、110℃で乾燥し、乳鉢で粉砕して粉末を得た。粉末を一部取り出してSEM観察を行ったところ、鱗片状の結晶が積層した粒子形状が観察できた。SEM観察による平均粒子径は10μmであった。XRDでは、もとのd001の15.6Åがなくなり、新たなd001の28.3Åの大きなピークが現れており、マガディアイトの層間にDTMAが導入されていることが確認できた。また、化学分析より、(DTMA)1.8・Na0.2・Si1429・xH2O が得られたことを確認した。
【0078】
〔実施例11〕
実施例1ないし9及び比較例3で得られた抗菌剤について、抗菌性試験を行った。試験結果を以下の表1に示す。試験方法は以下の通りである。
A)試験菌
(1)Escherichia coli NBRC 3301 (大腸菌)
(2)Pseudomonas aeruginosa NBRC 13275 (緑膿菌)
(3)Aspergillus niger IFO 6341 (クロコウジカビ)
(4)Penicillium citrinum IFO 6352 (アオカビ)
B)試験用培地
NA培地:普通寒天培地[栄研化学株式会社]
NB培地:肉エキスを0.2%添加した普通ブイヨン培地[栄研化学株式会社]
PDA培地:ポテトデキストロース寒天培地[栄研化学株式会社]
SDA培地:サブロー寒天培地[栄研化学株式会社]
C)菌液の調製
a)試験菌(1)及び(2)
NA培地で37℃±1℃、24〜48時間培養した試験菌をNB培地に接種し、37℃±1℃、22〜26時間培養した。この培養液をNB培地を用いて1ml当たりの菌数が106〜107となるように調整し、菌液とした。
b)試験菌(3)及び(4)
PDA培地で25℃±1℃、7日間培養後、形成された胞子を0.05%ポリソルベート80添加生理食塩水に懸濁させ、1ml当たりの胞子数が106〜107となるように調整し、菌液とした。
D)試験用平板培地の作成
試験菌(1)及び(2)はNA培地、試験菌(3)及び(4)はSDA培地150mlに菌液10mlをそれぞれ添加、混合し、これらをシャーレに15ml分注して固化させた。さらに、シャーレを室温で30分間放置して培地表面を乾燥させた後、乾熱滅菌(180℃、30分間)した円筒ガラス(直径:12mm)で穴を開け、これを試験用平板培地とした。
E)試験操作
検体を試料とした。試験用平板培地中央の穴全体に試料を充填し、試験菌(1)及び(2)は37℃±1℃、24時間、試験菌(3)及び(4)は25℃±1℃、7日間培養後、試料の周囲のハローの有無を肉眼観察により判定した。なお、菌液の生菌数を試験菌(1)及び(2)はNA培地を用いた混釈平板培養法(37℃±1℃、2日間培養)、試験菌(3)及び(4)はSDA培地を用いた混釈平板培養法(25℃±1℃、7日間培養)により測定し、試験用平板培地1mlあたりの菌濃度に換算した。
【0079】
【表1】

【0080】
〔実施例12及び比較例4〜6〕
本実施例及び比較例では塩化ビニル製シートを製造した。実施例12では、抗菌剤として、実施例1で製造したベンザルコニウムイオン交換マガディアイトを2重量部配合した。比較例4では、抗菌剤は配合しなかった。比較例5では、ブランクとして、実施例1で得られたNaマガディアイトを配合した。比較例6では、市販の抗菌剤である銀イオン交換ゼオライトを配合した。
【0081】
塩化ビニル製シートは次の方法で製造した。以下の表2に示す配合に係る樹脂組成物をポリ袋中で激しく振騰して混合した。得られた組成物を、表面温度150℃に調節した二本ロールで5分間溶融混練後、シート状に成形し、厚さ1mmで5cm角の塩化ビニルシート試験片を製造した。
【0082】
【表2】

【0083】
前記の塩化ビニルシートについて、以下の方法で耐変色性試験及び抗菌性試験を行った。その結果を表3に示す。
【0084】
〔耐変色性試験〕
塩化ビニルシートの試験片を蛍光灯(60W×2本)の直下1mの位置に置き、30日間暴露後の変色度を下記の評点で評価した。
○:変色しない。
△:やや変色した。
×:激しく変色した。
【0085】
〔抗菌性試験〕
抗菌製品の抗菌力評価試験法(抗菌製品技術協議会)で制定された方法に準拠して評価した。
試験方法:フィルム密着法
評価菌種:大腸菌、黄色ブドウ球菌
菌液接種時間:24時間
評価:抗菌剤添加樹脂成形品に菌液を接種して、フィルムでカバーして24時間後の菌数を測定し、以下の基準で評価する。
○:接種菌液からの減少率が1/100以上。
△:接種菌液からの減少率が1/10以上、1/100未満。
×:接種菌液からの減少率が1/10未満。
【0086】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】イオン交換される前の状態のマガディアイトのSEM像である。
【図2】イオン交換される前の状態の別のマガディアイトのSEM像である。
【図3】イオン交換される前の状態のマガディアイトの構造のモデル図である。
【図4】イオン交換された後の状態のマガディアイトのSEM像である。
【図5】イオン交換された後の状態の別のマガディアイトのSEM像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン交換可能なイオンの少なくとも一部が抗菌性を有する第四級アンモニウムイオン及び/または三級アミンイオンであるマガディアイト及び/またはケニヤアイトを含有することを特徴とする抗菌剤。
【請求項2】
マガディアイト及び/またはケニヤアイトはその結晶が鱗片状の形態であることを特徴とする請求項1記載の抗菌剤。
【請求項3】
マガディアイト及び/またはケニヤアイトが、鱗片状の結晶が積層した粒子形状であることを特徴とする請求項2記載の抗菌剤。
【請求項4】
抗菌性を有する第四級アンモニウムイオン及び/または三級アミンイオンが、ベンザルコニウム、ベンゼトニウム、ピリジニウム又は8−キノリノールであることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の抗菌剤。
【請求項5】
マガディアイト及び/またはケニヤアイトのイオン交換可能なナトリウムイオンの全てが第四級アンモニウムイオン及び/または三級アミンイオンで交換されており、実質的に第四級アンモニウムイオン及び/または三級アミンイオンと珪酸のみからなることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の抗菌剤。
【請求項6】
第四級アンモニウムイオン及び/または三級アミンイオン以外のイオン交換可能なイオンが、ナトリウムイオン、プロトン、亜鉛イオン、銅イオンまたは銀イオンであることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の抗菌剤。
【請求項7】
粒子径が1〜500μmであり、水分が5重量%以下に調整されていることを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載の抗菌剤。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れかに記載の抗菌剤を含有する化粧料組成物。
【請求項9】
請求項1ないし7の何れかに記載の抗菌剤を含有する樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1ないし7の何れかに記載の抗菌剤を含有する塗料。
【請求項11】
請求項1ないし7の何れかに記載の抗菌剤を含有する植物用殺菌剤。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−106737(P2007−106737A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−359046(P2005−359046)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【出願人】(000230593)日本化学工業株式会社 (296)
【Fターム(参考)】