説明

抗菌剤

【課題】生活環境において生じるピンク汚れの除去に有用な抗菌剤の提供。
【解決手段】次の成分(A)で表される第4級アンモニウム塩及び(B)で表される有機溶剤を組み合わせてなる抗菌剤。
(A)ジアルキルジメチルアンモニウム塩及びアルキルベンジルジメチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上の第4級アンモニウム塩。
(B)芳香族アルコール、芳香族アルデヒド、下記式(1)及び(2)〔式中、Rは、炭素数5〜10のアルキル基若しくはアルケニル基、又はベンジル基を示し、Aは、炭素数1〜10のアルキレン基を示し、nは0〜5の数を示し、n個のAは同一でも異なってもよい。〕で表わされる化合物から選ばれる1種以上の有機溶剤。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生活環境において生じるピンク汚れの付着防止及び除去に有用な抗菌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭や職場、公共施設などの生活環境をより清潔に保つことへの要求が高まっている。しかし一方で、近年の建物、特に都市部のオフィスビルやマンションは、密閉性が高く湿気が溜まり易い傾向にあるため、細菌やカビなどの微生物が繁殖し易い環境下にある。特に、トイレ、浴室、洗面所、キッチン等のいわゆる水回りにおいては、水分や湿気、又は温度等の条件に起因して、微生物がより繁殖し易い。
【0003】
水回り等の生活環境において目立つ汚れの1つが、紅色やピンク色等の赤みを帯びた色を呈する付着物やヌメリに代表されるピンク汚れである。ピンク汚れは、排水口、パッキン、喫水栓部、浴室の床、洗面桶やシャンプーボトル等の容器の底部などの部位において特に顕著である。ピンク汚れはまた、清掃してもすぐに再発生するため、清掃者にとって厄介な汚れである。またピンク汚れは、除去が困難なだけでなく、ヌメリ感及び見た目からくる異様さによって、水回りの使用者に不快感を与える。ピンク汚れを効果的に除去し、水回りを清潔に保つ方法の開発が望まれる。
【0004】
ピンク汚れから分離された菌として、Rhodotorula属酵母、Methylobacterium属細菌、Brevundimonas属細菌、Microbacterium属細菌等が報告されている(特許文献1、非特許文献1)。このうちRhodotorula属酵母は、他の菌種と比べて増殖速度が速いことから、ピンク汚れの主原因菌として知られていた(特許文献1)。そして、Rhodotorula属酵母に対して抗菌活性が高く、ヌメリの抑制に有効である成分として、銀系、亜鉛系、チタン系、銅系の抗菌性金属等の無機系抗菌剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、イミダゾリニウム塩等の界面活性剤系抗菌剤等が報告されている(特許文献1)。
【0005】
しかしながら、ピンク汚れに関し、Methylobacterium属細菌に着目し、当該細菌の生育を抑制する観点からピンク汚れの除去を検討した報告はこれまでに存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願2006-151908号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】洗濯の科学、2007年、52巻4号16〜22頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、生活環境、特にトイレ、浴室、台所まわりなどの硬質表面に生じるピンク汚れの付着防止及び除去に有用な抗菌剤組成物を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、走査型電子顕微鏡(SEM)や共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)を用いて実際のピンク汚れを解析し、その結果、ピンク汚れの主原因菌が、従来知られていたRhodotorula属酵母よりもむしろMethylobacterium属細菌であることを見出した。そして、Methylobacterium属細菌の生育を効果的に抑制又は阻止できる成分について検討したところ、特定の第4級アンモニウム塩と有機溶剤を組み合わせて用いた場合に、Methylobacterium属細菌に対して優れた抗菌活性を発揮し、ピンク汚れの除去に有用であることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、以下に係るものである。
1)次の成分(A)で表される第4級アンモニウム塩及び(B)で表される有機溶剤を組み合わせてなる抗菌剤。
(A)ジアルキルジメチルアンモニウム塩及びアルキルベンジルジメチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上の第4級アンモニウム塩。
(B)芳香族アルコール、芳香族アルデヒド、下記式(1)及び(2)で表わされる化合物から選ばれる1種以上の有機溶剤。
【0011】
【化1】

【0012】
〔式中、Rは、炭素数5〜10のアルキル基若しくはアルケニル基、又はベンジル基を示し、Aは、炭素数1〜10のアルキレン基を示し、nは0〜5の数を示し、n個のAは同一でも異なってもよい。〕
2)成分(B)の有機溶剤が、式(1)及び(2)に示される化合物のうち、Aが炭素数1〜3のアルキレン基であり、nが0〜2の数である化合物から選ばれる1種以上の有機溶剤である上記1)の抗菌剤。
3)成分(B)の有機溶剤が、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエ−テル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、2−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)エトキシ]エタノール、2−ベンジルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、ベンズアルデヒド、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ペンタノール及び1-フェノキシ-2-プロパノールから選ばれる1種以上である上記1)の抗菌剤。
4)成分(B)の有機溶剤が、ベンジルアルコールである上記1)の抗菌剤。
5)成分(A)の第4級アンモニウム塩が、オクチルベンジルジメチルアンモニウム塩、ドデシルベンジルジメチルアンモニウム塩及びジデシルジメチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上である上記1)〜4)の抗菌剤。
6)アンモニウム塩が、塩化物イオンとの塩である上記5)の抗菌剤。
7)上記1)〜6)の抗菌剤を含有する抗菌剤組成物。
8)組成物中に成分(A)を0.1〜100,000ppm、成分(B)を100ppm〜100,000ppm含有する上記7)の抗菌剤組成物。
9)上記1)〜6)の抗菌剤又は上記7)若しくは8)の抗菌剤組成物を、微生物汚染が生じやすい場所に施用することを特徴とするピンク汚れの付着防止又は除去方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の抗菌剤によれば、生活環境、特に台所や浴室、トイレ、洗面台などの、壁や床、器具・機器といった硬質表面に使用した際に、当該硬質表面の殺菌及び防汚、具体的にはピンク汚れの付着防止、及び付着したピンク汚れを容易に除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ピンク汚れのSEM像。
【図2】ピンク汚れのFISHを用いた共焦点レーザー顕微鏡像。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明において、成分(A)の第4級アンモニウム塩である、ジアルキルジメチルアンモニウム塩及びアルキルベンジルジメチルアンモニウム塩は、抗菌性のカチオン界面活性剤として公知の化合物である。
本発明において、ジアルキルジメチルアンモニウム塩及びアルキルジメチルアンモニウム塩としては、好ましくは、それぞれ、ジアルキル(C8-18)ジメチルアンモニウム塩、アルキル(C8-18)ジメチルアンモニウム塩が挙げられる。
ここで、アルキル基としては、炭素数8〜18の直鎖アルキル、例えば、オクチル、デシル、ドデシル(ラウリル)、テトラデシル(ミリスチル)、ヘキサデシル(セチル)、ヘプタデシル、オクタデシル(ステアリル)が挙げられ、好ましくはオクチル、デシル、ドデシルである。
好適なジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、ジデシルジメチルアンモニウム塩が挙げられ、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩としては、オクチルベンジルジメチルアンモニウム塩、ドデシルベンジルジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0016】
アンモニウム塩は、F-、Cl-、Br-、I-等のハロゲン化物イオン、NO-、及びSO42-等との塩が挙げられるが、ハロゲン化物イオンとの塩が好ましく、塩化物イオンとの塩がより好ましい。
【0017】
より好適な第四級アンモニウム塩として、オクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ドデシルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド等を挙げることができる。
【0018】
上記本発明の成分(A)の第四級アンモニウム塩は、公知の方法を用いて製造することができ、市販品を用いることも可能である。例えば、ジアルキルジメチルアンモニウム塩としてコータミンD10(花王(株)製)、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩として、サニゾール08、サニゾールC(花王(株)製)等を購入して用いることができる。
【0019】
本発明の第四級アンモニウム塩は、一般に、単独で、細菌等に対して優れた抗菌力を示すことが知られている。しかし、後記実施例に示すとおり、Methylobacterium属細菌に対しては、E. coliS. aureusP. aeruginosaに対して十分な抗菌力を示す濃度では抗菌活性を示さず、10倍以上の濃度で30分以上の接触時間で用いなければ有意な菌数減少が認められない。すなわち、Methylobacterium属細菌は、当該第四級アンモニウム塩に対しては耐性が非常に高いことが判明した。
斯かる場合において、当該第四級アンモニウム塩を、成分(B)の有機溶剤と組み合わせて用いることによりその抗菌力が格段に向上することが見い出された。従って、上記成分(A)の第四級アンモニウム塩の1種以上と成分(B)の有機溶剤の1種以上を組み合わせてなる抗菌剤は、Methylobacterium属細菌を含む微生物の生育を抑制(静菌)又は阻止(殺菌)する抗菌剤、或いは生活環境におけるピンク汚れの付着防止又は除去するための抗菌剤として用いることができる。
【0020】
ここで、「生活環境」とは、家庭、職場、学校、公共施設等の、生きているヒトや動物が存在し得る環境全てを含むが、好ましくは、特に湿気の多い環境及びピンク汚れの発生しやすい環境、例えば、浴室、洗面所、洗濯室、トイレ又は台所等のいわゆる水回り、水飲み場、プール、洗浄設備、ならびにその他水道設備周辺が挙げられ、さらに具体的には、台所や浴室、トイレ、洗面台などの、壁面や床面、洗面桶の底部、シャンプーなどのボトル底部、排水口、水栓回り、トイレの便器内の喫水線部等の硬質表面が挙げられる。
【0021】
また、「ピンク汚れ」とは、付着物やヌメリに代表される赤みを帯びた色を少しでも呈する微生物由来の汚れを指す。ここで、赤みを帯びた色とは紅色、ピンク色、又はこれらの中間色を含む。例えば、490nm付近に最大吸収波長を有する色でも良い(「浴室などの住環境に発生するスライム」:防菌防微 vol.24, No.11, p.723-728, 1996)。
【0022】
成分(B)の有機溶剤のうち、芳香族アルコールとしては、好ましくはベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、フェノキシエタノール、1-フェノキシ-2-プロパノール等が挙げられ、このうちベンジルアルコールがより好ましい。
【0023】
芳香族アルデヒドとしては、好ましくはベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、2−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられ、このうちベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒドがより好ましい。
【0024】
式(1)で示されるヒドロキシ化合物、式(2)で示されるアルデヒド化合物において、Aで示される炭素数1〜10のアルキレン基としては、炭素数2又は3のアルキレン基が好ましい。
【0025】
Rで示される炭素数5〜10のアルキル基又はアルケニル基としては、直鎖又は分岐鎖の何れでも良いが、炭素数5〜8のアルキル基が好ましく、例えばn−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
【0026】
nは0〜3の数であるが、1〜3が好ましく、1又は2が更に好ましい。
尚、n個のAは同一でも異なってもよい。
【0027】
成分(B)の有機溶剤の好適な具体例としては、例えばベンジルアルコール、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、2−(2−エチルヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエ−テル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、2−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)エトキシ]エタノール、2−ベンジルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、2−フェニルプロピオンアルデヒド、ヘキサナール、2-エチルブチルアルデヒド、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ペンタノール、1-フェノキシ-2-プロパノール等が挙げられる。
【0028】
したがって、成分(A)と成分(B)の好適な組み合わせとしては、成分(A)がオクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ドデシルベンジルジメチルアンモニウムクロライド及びジデシルジメチルアンモニウムクロライドから選ばれる1種以上であり、成分(B)がベンジルアルコール、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、2−(2−エチルヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエ−テル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、2−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)エトキシ]エタノール、2−ベンジルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、2−フェニルプロピオンアルデヒド、ヘキサナール、2-エチルブチルアルデヒド、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ペンタノール及び1-フェノキシ-2-プロパノールから選ばれる1種以上である場合;
成分(A)がオクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ドデシルベンジルジメチルアンモニウムクロライド及びジデシルジメチルアンモニウムクロライドから選ばれる1種以上であり、成分(B)がベンジルアルコール、エチレングリコールモノヘキシルエーテル及びジエチレングリコールモノ−n−ブチルエ−テルから選ばれる1種以上である場合;
成分(A)がオクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライドであり、成分(B)がベンジルアルコールである場合、が挙げられる。
【0029】
本発明の抗菌剤において、成分(A)と(B)の質量比は、(A)/(B)が200/1〜1/200、更に10/1〜1/10が好ましい。
【0030】
本発明の抗菌剤は、成分(A)と(B)のみであってもよく、或いは必要に応じて、抗菌効果の更なる向上や効果の持続性等を図るために、他の成分、例えば、キレート剤、水溶性溶剤、その他のカチオン性界面活性剤、香料、pH調整剤等を含むものであってもよい。また、上記の各種生活環境、或いは生活環境に使用される製品や製剤(例えば、洗濯乾燥機洗浄剤、排水口洗浄剤、蛇口ケア剤、風呂用洗剤、トイレ用洗剤等)に抗菌性を付与するための素材として使用するものであってもよい。
【0031】
ここで、キレート剤としては(1)トリポリリン酸、ピロリン酸、オルソリン酸、ヘキサメタリン酸及びこれらのアルカリ金属塩、(2)エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシイミノ二酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸及びこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、(3)アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸のN−オキサイド及びこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、(4)アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるモノマーの単一重合体又は共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリα−ヒドロキアクリル酸及びそのアルカリ金属塩、(5)クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸から選ばれる多価カルボン酸及びそれらのアルカリ金属塩から選ばれる1種以上、(6)アルキルグリシン−N,N−ジ酢酸、アスパラギン酸−N,N−ジ酢酸、セリン−N,N−ジ酢酸、グルタミン酸二酢酸、エチレンジアミンジコハク酸又はこれらの塩等が挙げられる。
【0032】
また、本発明の抗菌剤に、必要に応じて、例えば、油分、高級脂肪酸、シリコーン類、pH調整剤、増粘剤、懸濁剤、粉末成分、天然抽出物、色素、香料等の添加剤を適宜配合し、撹拌混合して分散又は溶解させ、本発明の抗菌剤組成物を製造することができる。
【0033】
ここで、pH調整剤としては塩酸や硫酸など無機酸や、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸などの有機酸などの酸剤や、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニアやその誘導体、モノエタノールアミンやジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン塩など、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を、単独もしくは複合して用いても構わない。また、これらの酸剤とアルカリ剤を組み合わせて緩衝剤系として用いても構わない。
上記本発明の抗菌剤組成物は、上記のpH調整剤により、20℃におけるpHが2〜12になるように調整することが好ましく、特にpH4〜11になるようにすることが抗菌性の点から好ましい。
【0034】
本発明の抗菌剤組成物中の成分(A)の含有量は、抗菌活性の観点から、0.1〜100,000ppmが好ましく、10〜10,000ppmがより好ましい。
また、成分(B)の含有量は、100ppm〜100,000ppmが好ましく、100ppm〜50,000ppmがより好ましく、2,000ppm〜20,000ppmが更に好ましい。
成分(A)及び(B)の含有量は、更に具体的には、成分(A)としてオクチルベンジルジメチルアンモニウム塩、ドデシルベンジルジメチルアンモニウム塩又はジデシルジメチルアンモニウム塩を用いる場合であって、成分(B)としてベンジルアルコールを用いる場合は、例えば、成分(A)が2,000〜6,000ppm、成分(B)が5,000ppm〜20,000ppm;成分(A)が2,400〜6,000ppm、成分(B)が5,000ppm;成分(A)が25〜400ppm、成分(B)が2,000〜5,000ppm等が例示できる。
また、成分(A)として、オクチルベンジルジメチルアンモニウム塩、ドデシルベンジルジメチルアンモニウム塩又はジデシルジメチルアンモニウム塩を用いる場合であって、成分(B)としてベンジルアルコール、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエ−テル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、2−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)エトキシ]エタノール、2−ベンジルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、ベンズアルデヒド、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ペンタノール又は1-フェノキシ-2-プロパノールを用いる場合は、例えば、成分(A)が10〜10,000ppm、成分(B)が4,000ppm〜760,000ppm等が例示できる。
また、成分(A)として、オクチルベンジルジメチルアンモニウム塩、ドデシルベンジルジメチルアンモニウム塩又はジデシルジメチルアンモニウム塩を用いる場合であって、成分(B)としてジエチレングリコールモノ−n−ブチルエ−テル又はエチレングリコールモノヘキシルエーテルを用いる場合は、例えば、成分(A)が10,000〜100,000ppm、成分(B)が100ppm〜100,000ppm等が例示できる。
【0035】
また、本発明の抗菌剤は、上記の如く、成分(A)と(B)のみで、或いは他の成分と共に、或いは各種生活環境に使用される製品や製剤に配合して使用することができるが、何れの場合においても、微生物に接触する際の成分(A)と(B)の濃度が上記の範囲となるように使用されるのが好ましい。従って、本発明の抗菌剤組成物は、実使用場面で上記の範囲になるよう希釈されることを想定したようなさらに濃縮された組成物であっても構わない。
【0036】
本発明の抗菌剤又はこれを含有する抗菌剤組成物を、微生物汚染が生じやすい場所に施用することによりピンク汚れの付着防止又は除去することができる。
すなわち、本発明の抗菌剤又はこれを含有する抗菌剤組成物は、生活環境,特に温度や湿度が高くなりやすい居住空間(浴室、キッチン、洗面所、トイレなど)等における微生物汚染を生じやすい場所の硬質表面、例えば、台所や浴室、トイレ、洗面台などの、壁面や床面、洗面桶の底部、シャンプーなどのボトル底部、排水口、水栓回り、トイレの便器内の喫水線部等に対して、ピンク汚れが発生する前、或いは発生した後に、塗布することにより用いることができる。ここで、塗布は、特に限定するものではなく、組成物を対象面へ直接かけること、トリガーやエアゾール等の噴霧装置に充填し噴霧することなどが挙げられる。
【実施例】
【0037】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明する。
参考例1 ピンク汚れの原因菌の解析
(1)SEM観察によるピンク汚れの原因菌の解析
14家庭の浴室より39サンプルの浴室のピンク汚れを爪楊枝で擦り、2.5%グルタルアルデヒド溶液に懸濁して固定した後、pH7.6の100 mM リン酸緩衝液で洗い、エタノール上昇系で脱水した。さらに凍結乾燥して表面を白金・バナジウム蒸着した後、走査型電子顕微鏡(SEM)(S4300SE/N, Hitachi)を用いて7〜15kVにて観察した。SEM観察結果の一例を図1に示す。
全てのサンプルにおいて、ほとんどの菌が3μm以下の大きさであり、5μm以上の菌は確認されなかった。すなわち、全てのサンプルにおいて、細菌の大きさ及び形状を有する菌が優勢に存在し、酵母の大きさの菌は優勢に存在していなかった。従って、ピンク汚れの主要原因菌は酵母であるRhodotorula属ではないことが示された。
【0038】
(2)FISHによる共焦点レーザー顕微鏡観察を用いたピンク汚れの解析
13家庭の浴室よりピンク汚れの付着した容器17サンプルを回収し、その容器上のピンク汚れとピンク汚れが付着していた部分とを同時に削り取り、3%(v/v)パラホルムアルデヒド水溶液(シグマアルドリッチジャパン(株))にて2時間固定した。余分な水分をペーパータオルで除いた後、ポリアクリルアミドゲルに包埋した。当該包埋サンプルを、Methylobacterium属細菌を検出する為の蛍光プローブ(AGCGCCGTCGGGTAAGA(配列番号1、Pirttila, A., M., Laukkanen, H., Pospiech, H., Myllyla, R., and Hohtola, Anja. (2000) "Detection of intracellular bacteria in the buds of Scotch pine (Pinus sylvestris L.) by in situ hybridization." Appl. Envion. Microbiol. vol.66(7): 3073-3077.)に対して、5’末端側にrhodamine Xを修飾したもの)によりハイブリダイゼーション処理し、次いで多くの細菌を検出することができる蛍光プローブ(GCTGCCTCCCGTAGGAGT(配列番号2、Amann, R., I., Krumholz, L., and Stahl, D., A. (1990) "Fluorescent-oligonucleotide probing of whole cells for determinative, phylogenetic, and environmental studies in microbiology." J Bacteriol. vol.172(2): 762-770.)に対して、5’末端側にfluorescein isothiocyanateを修飾したもの)によりハイブリダイゼーション処理した後、特に真菌に多く含まれる多糖を染色する為の蛍光試薬であるCalcofluor white(BD)を用いて染色し、これを共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)(Carl Zeiss LSM META)で観察した。尚、蛍光プローブのハイブリダイゼーション処理では、Methylobacterium属細菌検出用のプローブの特異性と蛍光強度を向上させる目的で補助プローブを用いた。プローブは蛍光色素を修飾していないオリゴヌクレオチドである、AGCGCCGTCTGGTAAGA(配列番号3)及びCCAACTCCCATGGTGTGACGG(配列番号4)を設計して使用した。補助プローブは、プローブの結合配列と似た配列に結合することでプローブの結合配列に対する特異性を向上させたり、プローブの結合領域付近のDNAに結合することでDNAの3次元構造を変化させ、プローブが結合配列に結合しやすくする働きがある。補助プローブはどちらもプローブと同じモル数になるように、プローブと同時に添加した。CLSM像の一例を図2に示す。赤色はMethylobacterium属細菌、黄緑色はその他の細菌、水色はカビと多糖を示す。
観察した17サンプル全てにおいて、Methylobacterium属細菌が優勢に存在していることが示唆された。このことから、ピンク汚れの主原因菌はMethylobacterium属細菌であることが示唆された。
【0039】
(3)菌の分離によるピンク汚れの解析
13家庭の浴室より採取した17サンプルのピンク汚れ(サンプルA〜Q)を、Poteto Dextrose Agar (PDA) (Difco)、PDA+Chloramphenicol (50 μg/ ml)、Nutrient Agar (NA) (Difco)、又はR2A Agar(Difco)を培地として用い、3日間以内、室温にて培養した。この状態では、寒天培地上で様々な菌が重なってコロニーを形成している為、白金耳で各々のコロニーを突き、新たな培地に接種して、R2Aについては25℃、その他の培地については30℃にて3〜7日間培養する操作を何度も繰り返すことで、菌を単離した。APIテスト(bioMerieux)を用いた生化学的性状の解析からMethylobacterium属細菌と想定された菌については、その16SrRNA領域のDNAの塩基配列を決定し、そのホモロジー検索及び塩基配列を基にした系統解析により、菌種の同定を行った。
【0040】
形態観察から判断されたRhodotorula属酵母に加えて、Methylobacterium属細菌も多く分離された。
サンプルA〜Qの解析結果を表1に示す。ピンク汚れ中には細菌も酵母も存在したが、存在する菌のほとんどはMethylobacterium属細菌によって占められていることが示された。
【0041】
【表1】

【0042】
参考例2 Methylobacterium属細菌の抗菌剤耐性
参考例1(3)に記載の浴室ピンク汚れサンプルFから単離・同定したM. mesophilicum FP4の菌体をPDA平板培地(Difco)を用いて30℃で一夜培養し、培地上のM. mesophilicum FP4の菌体を一白金耳掻き取り、別のPoteto Dextrose Broth(PDB)に懸濁して30℃で3日間振盪培養した。これを遠心分離(7000g×5min.)して上清を除去した後、等量の生理食塩水で懸濁した。その後もう一度遠心分離し(7000g×5min.)、生理食塩水でOD0.8の菌液を調製した。この菌液10μlに対して、滅菌水で希釈したオクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド溶液(サニゾール08、花王(株))1mlを添加し、5分間接触させた。そして、LP(Lecithin Polysorbate)希釈液(和光純薬工業)に対して10分の1量添加することでオクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライドを希釈、不活性化し、寒天塗沫法により生残菌数を求めた。同様の手順でE. coli NBRC3972、S. aureus NBRC13276、及びP. aeruginosa NBRC13275(いずれもNBRC(独立行政法人製品評価技術基盤機構 生物遺伝資源部門)から購入)の菌液を調製し、オクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド溶液添加後の生残菌数を求めた。
【0043】
表2に示すように、E. coliS. aureusP. aeruginosaでは、240〜480ppmの濃度のオクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド溶液に5分間接触させることによって、log2以上の菌数減少が観察されたのに対して、M. mesophilicumでは6000ppmの濃度のオクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド溶液と60分間接触させた場合にのみ有意な菌数減少が観察された。これらの結果より、Methylobacterium属細菌は抗菌剤に対する耐性が非常に高いことが示された。
この結果からも、生存能力が高いMethylobacterium属細菌がピンク汚れの主原因菌であることが示唆された。
【0044】
【表2】

【0045】
実施例1 Methylobacterium属細菌に対する抗菌力の評価(1)
参考例2と同様の手順でM. mesophilicum FP4菌液を調製した。また参考例2と同様の手順でオクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド溶液(2400〜6000 ppm)を調製し、これにベンジルアルコール(BA)を5000ppmになるように添加した。このオクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド+BA溶液(1ml)をM. mesophilicum FP4菌液(10μl)に添加して菌と5分間接触させた。結果を表3に示す。
【0046】
表3より、単独且つ5分間の接触時間では抗菌性を有さないオクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド濃度2400〜6000 ppmにおいて、BA5000ppmの添加で、極めて高い併用効果が得られた。
【0047】
【表3】

【0048】
実施例2 Methylobacterium属細菌に対する抗菌力の評価(2)
参考例2と同様の手順で表4に示す種々のMethylobacterium属細菌菌液を調製した。尚、M. fujisawaense GP1及びM. radiotolerans AP2はM. mesophilicum FP4と同様にして浴室から分離して得た。残りの菌株は独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンターから入手した。また参考例2と同様の手順でドデシルベンジルジメチルアンモニウムクロライド溶液(39〜313ppm)を調製し、これにベンジルアルコール(BA)を2000〜5000ppmになるように添加した。このドデシルベンジルジメチルアンモニウムクロライド+BA溶液(1ml)を各細菌菌液(10μl)に添加して菌と5分間接触させた。結果を表4に示す。表中、+++>++>+の順で旺盛な増殖が確認されたことを示す。また、−は増殖が確認されなかったことを示す。従って、->+>++>+++の順で抗菌性が高いことを意味する。
【0049】
表4より、全ての株についてドデシルベンジルジメチルアンモニウムクロライドにBAを添加することで抗菌性の向上が確認された。
【0050】
【表4】

【0051】
実施例3 Methylobacterium属細菌に対する抗菌力の評価(3)
参考例2と同様の手順でM. mesophilicum FP4菌液を調製した。また参考例2と同様の手順でオクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド溶液(10〜10000ppm)を調製し、これに表5に示す各種有機溶剤を表5に記載の濃度となるように添加した。このオクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド+有機溶剤溶液(1ml)をM. mesophilicum FP4菌液(10μl)に添加して菌と5分間接触させた。結果を表5に示す。
【0052】
表5より、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、2-[2-(2-エチルヘキシルオキシ)エトキシ]エタノール、2-ベンジルオキシエタノール、2-フェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ペンタノール、1-フェノキシ-2-プロパノール、ベンズアルデヒド、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルについて、溶剤単独、オクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド単独では抗菌性を有さない濃度において、オクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライドとの併用効果が確認された。
【0053】
【表5】

【0054】
実施例4 Methylobacterium属細菌に対する抗菌力の評価(4)
参考例2と同様の手順でM. mesophilicum FP4菌液を調製した。また参考例2と同様の手順でオクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド溶液(10000〜100000ppm)を調製し、これに表6に示す各種有機溶剤を記載濃度となるように添加した。このオクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド+有機溶剤溶液(1ml)をM.mesophilicum FP4菌液(10μl)に添加して1分間接触させた。結果を表6に示す。
【0055】
表6より、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテルについて、溶剤単独、オクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド単独では抗菌性を示さない濃度及び接触時間で、オクチルベンジルアンモニウムクロライドとの併用効果が確認された。
【0056】
【表6】

【0057】
実施例5 Methylobacterium属細菌に対する抗菌力の評価(5)
参考例2と同様の手順でM. mesophilicum FP4菌液を調製した。また参考例2と同様の手順で表7に示す第4級アンモニウム塩溶液(25ppm又は400ppm)を調製し、これにベンジルアルコールを5000ppmになるように添加した。この第4級アンモニウム塩+ベンジルアルコール溶液(1ml)をM. mesophilicum FP4菌液(10μl)に添加して菌と5分間接触させた。結果を表7に示す。
【0058】
表7より、オクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライドに加えて、ドデシルベンジルジメチルアンモニウムクロライドやジデシルジメチルアンモニウムクロライドおいても高い併用効果が確認された。
【0059】
【表7】

【0060】
実施例6 モデルピンク汚れに対する洗浄性能評価
参考例2と同様の手順でM. mesophilicum FP4の菌液(OD0.8)を調製した。次に、10×10×2(mm)のFRP(Fiber Reinforced Plastics)切片をエタノールに浸漬後UV照射して滅菌し、マイクロタイターディッシュにそのFRP切片を入れ、菌液を1mL添加した。これを30℃で6日間静置培養し、新たな24穴プレートにFRP切片のみを移し、30℃で一晩乾燥することでモデルピンク汚れを作製した。
オクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド(10000ppm)溶液、又はオクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド(10000ppm)+BA(5000ppm)溶液にモデル汚れの付着したFRP切片を浸漬し、5分間静置した後、LP希釈液1mLを分注した試験管に切片を移し、ボルテックスミキサーで激しく攪拌することで菌を剥離、分散させ、剥離、分散させた菌の菌数を測定した。また菌を剥離、分散させた後のFRP切片を再度マイクロタイターディッシュに入れ、30℃で静置培養し、菌が再増殖するまでの時間を測定した。結果を表8及び9に示す。
【0061】
Methylobacterium属細菌に対して高い除菌能を有するオクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライドにBA溶液を添加した溶液に浸漬させたFRP切片においては、菌数が大きく減少していた。また切片に菌が再増殖するまでに時間がかかった。一方、オクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド溶液に浸漬させたFRP切片においては、菌数は減少せず、また速やかな菌の再増殖が見られた。
【0062】
【表8】

【0063】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)で表される第4級アンモニウム塩及び(B)で表される有機溶剤を組み合わせてなる抗菌剤。
(A)ジアルキルジメチルアンモニウム塩及びアルキルベンジルジメチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上の第4級アンモニウム塩。
(B)芳香族アルコール、芳香族アルデヒド、下記式(1)及び(2)で表わされる化合物から選ばれる1種以上の有機溶剤。
【化1】

〔式中、Rは、炭素数5〜10のアルキル基若しくはアルケニル基、又はベンジル基を示し、Aは、炭素数1〜10のアルキレン基を示し、nは0〜5の数を示し、n個のAは同一でも異なってもよい。〕
【請求項2】
成分(B)の有機溶剤が、式(1)及び(2)で示される化合物のうち、Aが炭素数1〜3のアルキレン基であり、nが0〜2の数である化合物から選ばれる1種以上の有機溶剤である請求項1記載の抗菌剤。
【請求項3】
成分(B)の有機溶剤が、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエ−テル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、2−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)エトキシ]エタノール、2−ベンジルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、ベンズアルデヒド、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ペンタノール及び1-フェノキシ-2-プロパノールから選ばれる1種以上である請求項1記載の抗菌剤。
【請求項4】
成分(B)の有機溶剤が、ベンジルアルコールである請求項1記載の抗菌剤。
【請求項5】
成分(A)の第4級アンモニウム塩が、オクチルベンジルジメチルアンモニウム塩、ドデシルベンジルジメチルアンモニウム塩及びジデシルジメチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上である請求項1〜4の何れか1項記載の抗菌剤。
【請求項6】
アンモニウム塩が、塩化物イオンとの塩である請求項5記載の抗菌剤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の抗菌剤を含有する抗菌剤組成物。
【請求項8】
組成物中に成分(A)を0.1〜100,000ppm、成分(B)を100ppm〜100,000ppm含有する請求項7記載の抗菌剤組成物。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項記載の抗菌剤又は請求項7若しくは8記載の抗菌剤組成物を、微生物汚染が生じやすい場所に施用することを特徴とするピンク汚れの付着防止又は除去方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−36179(P2012−36179A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154876(P2011−154876)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】