説明

抗菌性かつ抗ウイルス性ポリマーマスターバッチ、該マスターバッチから、ポリマー材料を製造する方法及び製造された製品

抗菌性かつ抗真菌性かつ抗ウイルス性のポリマー材料の調製するためのポリマーマスターバッチであって、ポリマーマスターバッチは、熱可塑性樹脂のスラリー、イオン性酸化銅の水不溶性粒子から本質的になる抗菌性剤かつ抗真菌性剤かつ抗ウイルス性薬剤、ポリマーワックス及びイオン性酸化銅の荷電を占めるための薬剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌性かつ抗ウイルス性のポリマーマスターバッチ、それから抗菌性かつ抗ウイルス性のポリマー材料を製造するための方法、並びにそれから製造された製品に関する。より詳しくは、本発明は、多数の用途を有する抗菌性かつ抗ウイルス性のポリマー材料の製造のために改良された方法並びにマスターバッチに関する。
【背景技術】
【0002】
US2004/0247653において、本発明者によって記載されているように、すべての食品の輸出業者が直面している問題は、輸送中の微生物による収穫後の農産物に対する攻撃である。運搬が数時間というより、数日、数週間、又は数か月単位では、特にあてはまる。微生物は農産物に対して深刻な損害を引き起こすことが知られ、その結果、消費者に転嫁されるコストが増える。一つの例としてイスラエルでのイチゴの収穫がある。毎年収穫の約50%は微生物の攻撃により運搬中に損失している。今までに、廃棄率を効果的に減少することができる有効なシステムは開発されていない。
【0003】
食品の輸送に用いられる包装材料は、麻袋から、強度、柔軟性、通気性などの特質を示しかつ廉価である高機能のポリマー包装まで、数多くある。しかしながら、今日まで、包装された農産物中で繁殖する微生物の増殖を制御できるものはない。
【0004】
本明細書中に記載された発明により、包装材料を形成するために少ない割合のCu++を水不溶性酸化銅粒子の形態で、ポリマーのスラリーに添加することで、そのパッケージは抗菌性、抗ウイルス性かつ抗真菌性が付与されることを発見した。従って、このようなポリマーフィルムは、食品産業、野菜用袋、花用袋、防カビ種子用袋及び遺体袋の1つの層としても使用しうる。
【0005】
さらに、本明細書中で記載されているように、驚くべきことに、粒子形態の酸化銅を、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどのポリマー及び類似する熱可塑性ポリマー材料のポリマースラリーへ加えることによって、多様な用途を有する、抗菌性、抗真菌性及び抗ウイルス性の性質を有する、繊維、糸又はシートに押出すことが可能である。前記の抗菌性かつ抗ウイルス性のポリマー材料の考えられる用途の中には、
カーペットの裏地への用途。カビ、においを増殖させず、また、その上に定着しているウイルスを不活性化するので、病院環境にも使用しうる;
成形された不織布製品(例えば、病院又は飛行機におけるエアフィルター又はマスク)の1成分としての用途。それらは空気透過性又は液体透過性を成し、また、それを通じて移動する流動体をろ過し、かつ、流動体中に見られるバクテリア及びウイルスを不活性化するために使用しうる;
連続的で、平らで、きめのある又は伸縮性のある形状への形成の用途。疎水性のポリマー繊維又は糸を組み込んだ衣料品(例えば、ストッキング、靴下、シャツ又は任意の衣料品など)において使用しうる;
短ステープル繊維の形成の用途。短ステープル繊維はそのままで使用又は綿のような他の繊維と混紡しえ、混紡糸は多様な編み物及び織物製品(例えば、靴下、シーツなど)の製造に使用しうる;及び
2成分の糸の形状で製造される、ポリマー材料の用途。コアは1つの化合物であり、コアの周りのシーズは水不溶性の酸化銅粒子を含むポリマーである。ポリマー製の不織布素材又は織物へ押出された連続的で、平らで、きめのある、伸縮性の形状、又は短ステープルとして多数の最終用途を有する糸を作る、
などの用途がある。
後者の用途の例として、裁断又は引裂きに対する抵抗性が向上した、同時に抗菌性抗ウイルス性いずれもであり、かつ食品製造産業において挙げられる多数の用途を有する糸を形成するために前記水不溶性酸化銅が取り込まれているポリマーシーズを具備するポリエチレンコアの用途がある。さらに、親水性ポリマー繊維の糸又は材料はこのために利用可能な商業用成分(例えば、Burlington Industries Inc. Nano−Tech仕上げ剤など)のいずれかひとつを使用している疎水性の材料から製造しうる。
【0006】
WO98/06508及びWO98/06509では、直接かつしっかりとその繊維に結合した、全部又は部分的な金属又は金属酸化物のめっきを有するテキスタイルの様々な特徴が教示され、テキスタイル中の金属及び金属酸化物は銅を含み、前記繊維に結合している。
【0007】
より詳しくは、WO98/06509では、
(a)金属被覆されたテキスタイル(該金属被覆テキスタイルは
(i)天然繊維、合成セルロース繊維、再生繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ビニル繊維、及びそれらの混紡からなる群から選択される繊維を含むテキスタイル及び
(ii)金属及び金属酸化物からなる群から選択される材料を含むめっき
を含み、該金属被覆テキスタイルはめっきが直接繊維に結合されているという特徴を有する)を提供する工程と、
(b)金属被覆テキスタイルを製品へ組み込む工程を包含する方法が提供される。
【0008】
前記発明において、「テキスタイル」という用語は、繊維、その繊維から紡糸した天然糸(例えば、綿、絹、毛及び亜麻など)または合成の糸いずれでも、及びそれらの糸で作られた、織物、編物及び不織布を包含する。前記発明の範囲には、すべての天然繊維、及びテキスタイルの適用に用いられるすべての合成繊維が含まれるが、合成繊維は、合成セルロース繊維(すなわち、レーヨンなどの再生セルロース繊維及びアセテート繊維などのセルロース誘導体繊維)、再生タンパク繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維及びビニル繊維が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ただしナイロン及びポリエステル繊維、並びにそれらの混紡糸は除かれる。
【0009】
前記発明は、金属を用いたプラスチック製板を適応した製品への適用を含んでいた。例えば、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering(編者Jacqueline I. Kroschwitz)、Wiley and sons, 1987, volIX, pp580-598を参照。テキスタイルに適用する場合、この方法は2つの工程を含む。第一の工程はテキスタイル上に触媒貴金属の核形成部位を沈殿させることによるテキスタイルの活性化であった。これはまず低酸化状態還元カチオンの溶液中にテキスタイルを浸漬し、次に貴金属カチオンの溶液、好ましくはPd++カチオンの溶液、最も好ましくは酸性PdClの溶液中にテキスタイルを浸漬することによって行われた。低酸化状態のカチオンは、より高い酸化状態に酸化されながら、貴金属カチオンを貴金属自体に還元する。好ましくは、還元剤カチオンは、最初の低酸化状態及び最後の高酸化状態の両方で溶解しうるものである(例えば、Sn++++へ酸化されるSn++、又はTi++++へ酸化されるTi+++)。
【0010】
第2の工程は活性化テキスタイルの非常に近くにおける金属カチオンの還元であり、金属カチオンの還元は貴金属によって触媒される。カチオンを還元するのに使用した還元剤は、典型的には、分子種(例えば、Cu++の場合、ホルムアルデヒド)である。還元剤が酸化されたので、本明細書中で金属カチオンを「酸化剤カチオン」と称する。このようにして製造された金属被覆テキスタイルは、その金属めっきがテキスタイル繊維に直接結合しているのが特徴であった。
【0011】
WO98/06508において、
(a)天然繊維、合成セルロース繊維、再生タンパク繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ビニル繊維及びそれらの混紡からなる群から選択される繊維を含むテキスタイル及び、
(b)金属及び金属酸化物からなる群から選択される材料を含むめっき
を含有する組成物が記載され、特許請求されている。該組成物は該めっきが該繊維に直接結合していることを特徴とする。
【0012】
前記公報はまた、
(a)天然繊維、合成セルロース繊維、再生タンパク繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ビニル繊維及びそれらの混紡からなる群から選択される繊維を含むテキスタイル及び、
(b)複数の核形成部位であって、各形成部は少なくとも1つの貴金属を有している核形成部位
を含む組成物を特許請求している。該組成物は、少なくとも1つの金属カチオン種の還元金属への還元を触媒し、それによって該繊維に該貴金属をめっきすることを特徴とする。
【0013】
加えて、前記公報は前記製品を製造するための方法を教示し、特許請求している。
【0014】
前記公報によると、金属被覆テキスタイルの製造のための好ましい方法は、
(a)糸及び織物からなる群から選択される形状のテキスタイルを選択する工程であって、該テキスタイルが天然繊維、合成セルロース繊維、再生タンパク繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維、ポリオレフィン繊維、ビニル繊維及びその混紡からなる群から選択される繊維を含む工程;
(b)少なくとも2つの正の酸化状態を有する少なくとも1つの還元剤カチオン種を含む溶液中に前記テキスタイルを浸漬する工程(少なくとも1つのカチオン種は、少なくとも2つの正の酸化状態のうちのより低い状態である);
(c)少なくとも1つの貴金属カチオン種を含む溶液中に前記テキスタイルを浸漬している工程(これにより活性化テキスタイルを製造する);及び
(d)前記活性化テキスタイルに接触している媒体中の少なくとも1つの酸化剤カチオン種を還元する工程(これにより金属被覆テキスタイルを製造する)
を含む。
【0015】
しかしながら、前記公報は被覆された繊維及び前記方法により製造されたテキスタイルに限られ、本明細書に記載及び例示されるような、イオン性銅カチオンの微細な粒子を取り込み、イオン性銅カチオンが突出し、抗菌性、抗真菌性かつ抗ウイルス性ポリマー特性を持つフィルム及び繊維を製造することによって、銅カチオンを熱可塑性ポリマーのポリマースラリーへ取り込む可能性について教示も示唆もしていない。
【0016】
US2004/024763においては、抗菌性かつ抗ウイルス性ポリマー材料を製造するための方法を記載し、特許請求している。該方法は、
上記で定義された抗菌性かつ抗ウイルス性のポリマー材料を調製する工程、ポリアミド、ポリエステル、アクリル及びポリアルキレン、並びにそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーのスラリーを調製する工程、水不溶性カチオン性酸化銅から本質的になる粉末を導入し、その粉末を前記スラリー中に分散する工程、次に前記スラリーをポリマー材料を形成するために押し出す工程を含み、ポリマー材料中にはCu++を放出する水不溶性酸化銅粒子が封入され、該粒子の一部は該材料の表面から露呈し突出している。
【0017】
前記の公開された出願の関連する教示、及び特にCu++を放出する水不溶性酸化銅粒子を取り込んでいるポリマー材料の抗菌性及び抗ウイルス性特性は本明細書中に包含される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
前記方法は、本出願で定義及び特許請求された製品の小規模な製造に効果的であるが、産業上のスケールアップにおいて直面する問題があることが見出された。
【0019】
より詳しくは、Cu++を放出する水不溶性酸化銅粒子は非常に反応性に富み、それゆえ金属反応装置の壁並びに押出し機の金属上に銅が被覆し集積することが見出された。
【0020】
したがって本発明は前記方法の改善及び変更を開示している。
【0021】
さらに、本発明の目的はマスターバッチへの添加剤を提供することにあり、該添加剤は、繊維の押出し、成形製品の注入、フィルム又はプラスティックシートの押出しを強化することを可能にし、容易に製造でき、先行技術と比較して高い効率を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
酸化銅及びこれらの添加剤を取り込んでいる適切な熱可塑性樹脂としては、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリスチレンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン ターポリマー、ポリアミド(例えば、ナイロン6又はナイロン6.6、ポリ塩化ビニル及びエチレンのコポリマーなど)が挙げられる。
【0023】
改良される熱可塑性樹脂及びマスターバッチのキャリアーポリマーは、同一であり得るが、同一でなくても良い。
【0024】
より詳しくは、本発明において第一の局面は、
熱可塑性樹脂のスラリー、本質的に水不溶性イオン性酸化銅の粒子からなる抗菌性(antimicrobal)かつ抗真菌性かつ抗ウイルス性の薬剤、ポリマーワックス並びに前記イオン性酸化銅の荷電を占める為の薬剤を含む、抗菌性(antimicrobal)かつ抗真菌性かつ抗ウイルス性のポリマー材料を製造するための、ポリマーマスターバッチに関する。
【0025】
本発明に従い、マスターバッチ中にポリマーワックスを含有させることが、酸化物を湿潤させ、ワックス中で同一の可動性を保ち、凝集を阻害するので、酸化銅の分離した(discreet)粒子の形成に寄与する、さらに前記イオン性酸化銅の荷電を占めるための薬剤が、生産プロセス中に金属表面上に銅が被覆することを防ぐことを見出した。
【0026】
本発明の好ましい実施態様においては、約4%と83%との間の熱可塑性樹脂、約10重量%〜60重量%のイオン性酸化銅の水不溶性粒子、約1%と30%との間のポリマーワックス、かつ、約1%と6%との間の前記イオン性酸化銅の電荷を占める為の薬剤を含むポリマーマスターバッチを提供する。
【0027】
無機酸化金属の粒子のサイズは、本製品を製造できる際の要因ではない。ナノ−粒子(nano-particles)は古典的にとても小さく(例えば、200−300ナノメーターでのサイズが非常に一般的である)、ナノ−粒子は同じ効果を得るのに使用しうることを意味する。それはより小さい粒子であっても使用され得るが、コスト効果が低くなることがあり得る。押出機中またはナイフコーター(knife coater)下で、溶解したマスターバッチが紡糸口金の穴を通って流れることが難しくなるため、限定ファクターは単純であり、粒子のサイズがどのくらい大きいかにある。
【0028】
添加剤凝集のような使いやすさのための重要な要件は、ワックス成分の正しい選択である。ワックス成分はそれ自身は着色されていないが、添加剤凝集のパフォーマンスに影響する。より詳しい情報に関して、例えば、BASF AG.からのポリエチレンワックスについての製品パンフレット“Luwaxe. RTM. Anwendung in Pigmentkonzentraten”を作るために、参考資料は作成されうる。
【0029】
銅ベースの系は、塊を形成する可能性を持った乾燥粉末であり、該塊は凝集を防ぐためにワックスによって十分に湿潤されてなければならない。少量の比較的大きい添加剤の塊は、より多量のより小さい添加剤の塊よりは考慮すべき材料の添加剤能力に寄与がより少ない。
【0030】
それゆえ、形成工程の間に大きな添加剤の塊が形成されないようにすることが1つの目的である。さらに、前に形成されたいずれの凝集添加剤が分離され、かつ、初期の粒子へ分割されることが望ましい。最終的に、初期の粒子は形成工程の後分離されたままであるべきであり、かつ冷却の間再凝集されないべきである。
【0031】
これを達成するために、ワックスは多数の要件を満たさなくてはならない。これらの要件のうちの1つは溶解物の粘度に関係している。形成の間、溶解されたワックスは直ちに添加剤の塊内の空洞に浸透することができるように溶解物の粘度はできる限り低くされるべきである。たいていこれはワックスの融点より上の温度で混合されることによって実行される。この手段に適応されるせん断力は結果として、塊はより直ちに初期の粒子へ分割された。
【0032】
湿潤しているワックスの能力もまた良好であるべきである。
【0033】
様々な製造工程によって基本的に極性基がワックスに導入しうる。
【0034】
1つの方法はポリエチレンワックスと無水マレイン酸のコポリマーを含む異なるタイプのワックスを取り込む方法である。これらはまた低分子量ワックスのアイオノマーとともに使用することができる。
【0035】
本発明の好ましい実施態様において、前記薬剤はキレート剤及び金属不活性化剤からなる群から選択される。
【0036】
好ましくは前記薬剤は、金属不活性化リン酸(phosphyte)、フェノール系抗酸化剤、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、3級鎖伸長剤及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0037】
特に好ましい実施態様において、前記薬剤は金属不活性化剤である。
【0038】
他の好ましい実施態様において、前記薬剤はフェノール系抗酸化剤である。
【0039】
本発明で使用しうる薬剤の中には、
Irganox(登録商標)MD1024という名でCIBAによって市販されている2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド;
CIBAによって市販されているIrganox(登録商標)E201という名のビタミンE(アルファ−トコフェノール)(高分子量フェノール系抗酸化剤);
CIBAによって市販されているIrganox(登録商標)B1171(ヒンダードフェノール系抗酸化剤及び亜リン酸塩の混合であり、化学式
【0040】
【化1】

【0041】
を有する);
CIBAによって市販されているIrganox(登録商標)B501W(ホスホン酸、[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]−モノエチルエステル、カルシウム塩の混合物;
ポリエチレンワックス及びフェノール、2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−ホスフェイト;
CIBAによって市販されているIrganox(登録商標)1098(化学名N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス(3−(3,5ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド))を有する立体障害(sterically hindered)フェノール系抗酸化剤;
CIBAによって市販されているIrganox(登録商標)245(化学名エチレンビス(オキシエチレン)ビス−(3−(5−tert−ブチル−4ヒドロキシ−m−トリル)−プロピオネートを有する立体障害(stericallyhindered)フェノール系抗酸化剤;
1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン(Cyanox(登録商標)1790としてCYTEC Industriesによって市販されている抗酸化剤);
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−ベンゼン(Ethanox(登録商標)330としてAMBEMARLE Corp.によって市販されている抗酸化剤);
1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン(ritazine)−2,4,6(1h,3h,5h)−トリオン(Ethanox(登録商標)314としてAMBEMARLE Corp.によって市販されているフェノール系抗酸化剤);
ペントエリストール テルラクス(telraks)(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート)(Ethanox(登録商標)310としてAMBEMARLE Corp.によって市販されている抗酸化剤);
オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(Ethanox(登録商標)376としてAMBEMARLE Corp.によって市販されている抗酸化剤);
4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−ターシャリー−ブチルフェノール)(Ethanox(登録商標)702としてAMBEMARLE Corp.によって市販されている抗酸化剤);
2,6−ジ−ターシャリー−ブチル−n,n−ジメチルアミノ−p−クレゾール(crescl)(Ethanox(登録商標)703としてAMBEMARLE Corp.によって市販されている抗酸化剤);
トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(Ethaphos(登録商標)368としてAMBEMARLE Corp.によって市販されているホスファイト抗酸化剤)が挙げられる。
【0042】
本発明において使用しうるキレート剤は、
ジエチレントリアミンペンタ酢酸 (dtpa)
エチレンジニトリロテトラ酢酸 (edta)
ニトリロトリ酢酸 (nta)
エチレンジアミン (eta)
ジエチルトリアミン(diethyltriamene) (deta)
トリエチレンテトラアミン (teta)
テトラエチレンペンタミン−UHP (tepa−UHP)
ペンタエチレンヘキサミン (peha)
ピペラジン
及びその混合物などの化合物が挙げられる。
【0043】
好ましくは、前記熱可塑性樹脂は、ポリエステル、ポリオレフィン、ナイロン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリブチレン、ポリ乳酸、PTT,シリコーン及びその混合物からなる群から選択される。
【0044】
好ましい実施態様において、前記ポリマーワックスは、ホモポリマー、酸化型ホモポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン及びアイオノマーワックスの高密度ホモポリマー又はコポリマー、微粒ポリオレフィンワックス及びそれらの混合物、並びにエチレン−アクリル酸及びエチレン−ビニルアセテートのコポリマー、からなる群から選択される。
【0045】
特に好ましいのは、Licowax PP 230としてClariantによって市販されているポリプロピレン、Licowax PED 521としてClariantによって市販されている酸化型ポリエチレンワックス、Licowax PED 121としてClariantによって市販されている酸化型ポリエチレンワックス、及びLuwax(登録商標)としてBASFによって市販されているエチレンホモポリマーワックスからなる群から選択されるワックスである。
【0046】
本発明の別の局面において、
抗菌性、抗真菌性かつ抗ウイルス性のポリマー材料を製造する方法であって、熱可塑性樹脂のスラリーを調製する工程、水不溶性カチオン性酸化銅から本質的になる粉末を導入する工程及びポリマーワックス及び前記イオン性酸化銅の電荷を占めるための薬剤と組み合わせた前記スラリー中に粉末を分散する工程、次に前記スラリーポリマー材料を成形するための前記スラリーを押出す工程を含み、Cu++を放出する分離した(discreet)水不溶性酸化銅が形成され組み込まれ、前記材料の表面から前記粒子の一部が露呈し突出している方法を提供する。
【0047】
好ましくは前記の原料の組み合わせは、約5〜15分の時間及び120℃と180℃との間で強力に混合することにより実施される。
【0048】
特に本発明の好ましい実施態様において、前記方法は、約4%と83%との間の熱可塑性樹脂、約10重量%〜60重量%の水不溶性イオン性酸化銅粒子、約1%と30%との間のポリマーワックス及び約1%と6%との間の前記イオン性酸化銅の荷電を占めるための薬剤の組み合わせる工程を含む。
【0049】
前記方法の好ましい態様において前記薬剤はキレート剤及び金属不活性化剤からなるグループから選択される。
【0050】
好ましくは、前記薬剤は金属不活性化亜リン酸(Phosphyte)、フェノール系抗酸化剤、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、3級鎖伸長剤及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0051】
特に好ましい実施態様において、前記薬剤は金属不活性化剤である。
【0052】
特に好ましい実施態様において、前記薬剤はフェノール系抗酸化剤である。
【0053】
好ましくは前記方法において、前記熱可塑性樹脂は、ポリエステル、ポリオレフィン、ナイロン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリブチレン、ポリ乳酸、PTT、シリコーン及びその混合物からなる群から選択される。
【0054】
前記方法において、前記ポリマーワックスは好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン及びアイオノマーワックスのホモポリマー及びコポリマー、並びにその混合物からなる群から選択される。
【0055】
さらなる本発明の局面は、本明細書で定義され、特許請求されている方法に従って製造した抗菌性、抗真菌性かつ抗ウイルス性のポリマー材料を提供できることである。前記材料は繊維、糸またはシートの形態であり、かつ、前記材料中に組み込まれたCu++を放出する分離した(discreet)水不溶性イオン性酸化銅粒子から本質的になる、抗菌性剤、抗真菌性剤かつ抗ウイルス性薬剤を含み、前記粒子の一部は、前記材料の表面から露呈し突出している。
【0056】
好ましくは、前記抗菌性及び抗ウイルス性のポリマー材料において、イオン性銅はCuO及びCuOの混合物を含む。
【0057】
本発明の特に好ましい実施態様において、前記粒子は0.2ミクロンから20ミクロンの間のサイズである。
【0058】
好ましくは、前記粒子は、ポリマー重量の0.25%と5%との間の量がで存在する。
【0059】
本発明のいくつかの好ましい実施態様において、前記熱可塑性樹脂はシングルポリマー成分である。
【0060】
本発明のいくつかの実施態様において、前記ポリマー材料は短ステープル繊維の形状で製造される。
【0061】
本発明はまた、本発明の方法に従って製造された繊維を取り込んだ混紡糸を提供する。
【0062】
また、二成分の糸であって、少なくとも1つの成分は本発明の方法に従って製造された抗菌性かつ抗ウイルス性のポリマー材料である二成分の糸を提供する。
【0063】
本発明はまた、本発明の方法に従って製造された抗菌性かつ抗ウイルス性のポリマー材料を含む糸を組み込んだ衣料品を提供する。
【0064】
また、本発明は、本発明の方法に従って製造された抗菌性ポリマー材料を含む包装材料を提供する。
【0065】
本発明の別の好ましい実施態様においては、本発明の方法に従って製造された抗菌性及び抗ウイルス性のポリマー材料を裏地に取り込んだカーペットを提供する。
【0066】
本発明はまた、本発明の方法に従って製造された抗菌性かつ抗ウイルス性のポリマー材料を取り込んだ不織布成形製品を提供する。
【0067】
好ましくは前記不織布成形製品は、空気透過性があり、かつ完成した不織布素材の後処理によって疎水性又は親水性となり得る。
【0068】
別の好ましい実施態様において、前記不織布成形製品は液体透過性である。
【0069】
米国特許第6482424号においては、医療施設での院内感染に効果のあるテキスタイル織物が記載及び特許請求されていて、前記織物は入院患者の接触及び介護に使用する銅のカチオン型Cu++で被覆した繊維を取り込んでいて、前記テキスタイル織物は、メチシリン耐性ブドウ球菌及びバンコマイシン耐性腸球菌又は世界で出現しているより新たな抗生物質菌株(ウイルスが原因となる病気(例えば、SARS(Severe Acute Respiratory Syndrome)又はより最近の鳥ウイルス(Avian Viruses)など)が挙げられる)に有効である。
【0070】
本発明のポリマー材料はまた、院内感染に対して同じ活性を示すことが今日見出されたので、前記特許の関連する教示は本明細書に取り込まれている。
【0071】
従って、本発明の別の局面においては、医療施設での院内感染に効果のあるテキスタイル織物であって、繊維、糸又はシートが取り込まれ、Cu++を放出する分離した(discreet)水不溶性酸化銅粒子から本質的に成る、抗菌性かつ抗ウイルス性の薬剤を含有し、本発明の方法により製造された前記粒子の一部は、前記織物に組み込まれ織物の表面から露呈し、突出しているテキスタイルの織物を提供する。
【0072】
本発明はまた本明細書中で定義及び特許請求されるように、HIV−1の増殖の阻害のための、マスターバッチから製造されたポリマー材料の使用も開示している。
【0073】
本発明はまた本明細書中で定義及び特許請求されるように、伝染性ウイルスを中和するための、マスターバッチから製造されたポリマー材料の使用も開示している。
【0074】
本発明の他の局面においては、本発明のマスターバッチから製造された、コンドーム、カテーテル、フィルター及びグローブを提供する。
【0075】
また、本発明は、熱可塑性樹脂、イオン性酸化銅の水不溶性粒子、ポリマーワックス及び前記イオン性酸化銅の荷電を占めるための薬剤を含むマスターバッチから製造された不織布織物を提供する。
【0076】
また本発明は、上記で定義したような不織布織物を取り込んでいる使い捨ておむつを提供する。
【0077】
特に本発明の好ましい実施態様において、ウイルス感染に効果のある使い捨ての病院及び手術室製品であって、上記で定義したようなマスターバッチから製造された繊維を取り込み、該繊維はウイルス及びウイルスに接触した流動体の不活性化に有効である該製品を提供する。
【0078】
好ましくは前記製品は使い捨ての手術着、障壁、衣類、マスク、靴カバー及びキャップからなる群から選択される。
【0079】
本発明の好ましい実施態様において、前記繊維は不織布テキスタイル中に不規則に散乱した繊維として前記製品中に配置される。
【0080】
本発明はまた、流動体の通路を画定するハウジングを含む、ウイルスの不活性化のためのデバイスであって、前記通路は、ろ過材料を備えており、このろ過材料は、前記材料中に組み込まれた、Cu++を放出する分離した(discreet)水不溶性イオン性酸化銅粒子から本質的になる抗菌性、抗真菌性及び抗ウイルス性の薬剤を含むポリマー繊維を含んでおり、前記粒子の一部は、前記材料の表面から露呈し突出しており、前記繊維は本発明のマスターバッチから製造される、デバイスを提供する。
【0081】
前記デバイスの好ましい実施態様において、前記流動体は呼気の水蒸気に含まれる液体又は空気のいずれかである。
【0082】
前記デバイスの好ましい実施態様において、前記分離した(discreet)イオン性水不溶性銅粒子は、不織布織物中繊維の中に取り込まれている。
【0083】
本発明の特に好ましい実施態様において、体液中の細胞に見出されるウイルスの不活性化のためのデバイスであって、該デバイスは抗菌性、抗真菌性かつ抗ウイルス性の薬剤を有するポリマー繊維を含むろ過材料を有し、該薬剤は材料中に組み込まれたCu++を放出する分離した(discreet)水不溶性イオン性酸化銅粒子から本質的になり、前記粒子の一部は該材料の表面から露呈し突出しており、該繊維は本発明のマスターバッチから製造されるデバイスを提供する。
【0084】
本発明のポリマー材料は、フィルム、繊維又は糸の形状でありえ、前記フィルムは、それ自体で例えば包装及び製品(例えば、グローブ、コンドーム、血液保存バッグ、カテーテル及び他のチューブの形など)の成形に使用しうる、もしくは、前記フィルムを細かいストリップに切り、カーペットパイルに素材を打ち込むことによって素材に織り込み、カーペットの裏地を成形することができる。該繊維及び糸は農産物のための梱包材料又は不織布成形製品(例えば、不織布マスク、病院又は飛行機用のエアーフィルター、もしくはガーゼなど)に形成しうる。同様に本発明のポリマー材料は他の繊維又は材料と混合し、婦人衛生製品、おしめ、靴のライニング材、衣料品、シーツ、枕ケース、障壁織物などの製造に使用しうる。
【0085】
同様に前述した様に前記ポリマーは連続的で、平らで、きめがあり又は伸縮性のある形状であって、衣料品等で使用しうる。
【0086】
前記材料はほとんどの熱可塑性ポリマーから作ることができ、熱可塑性ポリマーは、カチオン性酸化銅粒子を液体スラリー状態に導入するだろう。いくつかの材料の例として、ポリエステル、ポリオレフィン、ナイロン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリブチレン、ポリ乳酸、PTT,シリコーン及びそれらの混合物がある。酸化銅ダストが微粉末へ細かくすりつぶされる(例えば、0.2と20ミクロンの間のサイズで少量で(例えば、ポリマー重量の0.25%と5%との間の量)スラリーへ導入される場合)、このスラリーから製造された製品は抗菌性かつ抗ウイルス性の両性質を呈することが見出された。また製法中で含有物のためのナノサイズ粒子のような小さな粒子を含むことによって粒子の表面積を増加させることが可能である。
【0087】
前述したように、本発明の更に好ましい実施態様において、前記ポリマー材料は短ステープル繊維の形状で製造され、また本発明は、繊維などに組み込まれた混紡糸を開示している。
【0088】
さらに本発明の別の好ましい実施態様において、二成分の糸であって、少なくとも1つの成分が本発明のマスターバッチから製造される抗菌性かつ抗ウイルス性のポリマー材料である二成分の糸を提供する。
【0089】
本発明は、本発明のマスターバッチから製造される抗菌性かつ抗ウイルス性のポリマー材料を含む糸を組み込んだ衣料品も提供する。
【0090】
本発明のさらに好ましい実施態様において、塗料を形成するために顔料を本明細書中で定義したマスターバッチに添加しうる。該塗料は、それ自体公知である抗真菌性かつ抗菌性が加わり、それゆえ医療環境に有効であり、またすべての環境においてカビ形成を防ぐ。
【0091】
本発明の他の好ましい実施態様において、本明細書で定義したマスターバッチから製造したポリマー材料は、ポリマー材料を徐放コーティングにより封入などの自体公知の方法により、治療及び化粧品用の局所クリーム、ローション及び軟膏へ組み込むことができる。
【0092】
カプセル封入技術は市場においてたくさんある。封入物の徐放又は圧力放出、もしくは溶解放出によって引き起こされる制御された、遅延放出性の封入を調製する方法は、食品/医療及び化粧品産業において一般的である。これらの封入はたいてい水不溶性マトリックスから作られ、マトリックスは粉末向きの細かくした固体塩基に適用され、液体形状の水不溶性マトリックスの導入はマトリックスに被覆している塩基粉末に露呈している。このコーティングは、ハンドクリームの場合手の中でこすられ破裂、もしくは医薬品の場合は噛み砕かれるまで、塩基粉末の溶出を防ぎ、油又はハンドクリーム又は食品添加剤の加水分解条件下で溶解されないだろう。これらの技術のタイプは、化学的な徐放のための多くの産業において一般的であり、又当業者に周知である。
【0093】
繊維が外側に被覆されている、例えばWO98/06508及びWO98/06509に記載の繊維とは違って、本発明の製品において、ポリマーはポリマーに取り込んだカチオン性酸化銅の微細な水不溶性粒子を有し、前記粒子の一部はポリマーの表面から露呈し、突出している。ポリマー材料の表面から突出しているこれらの露呈した粒子は活発であることを示している。
【0094】
WO94/15463においては、抗菌性を備えた第1の被覆及び保護機能を備えた第2の被覆を有する、無機粒子を含む抗菌性組成物が記載され、前記第1の被覆は銀又は銅、又は銀、銅及び亜鉛の化合物でありえ、好ましくは銀及び酸化銅(II)を含む化合物である。しかしながら、前記特許は複雑で高価な方法に基づいており、前記方法は、シリカ、ケイ酸塩、ホウ酸ケイ酸塩、ケイ酸アルミニウム、アルミナ、リン酸アルミニウム又はそれらの混合物から選択される第2の保護被覆をもつ金属組成の被覆を含み、実際はすべての請求項はシリカ、含水アルミナ及びアゼライン酸ジオクチルを含む連続的な被覆をもつ組成物を開示している。
【0095】
対して、本発明はポリマー材料の使用及び調製を開示している。該ポリマー材料は、ポリマー材料に取り込まれCu++を放出する粉末状の微細なカチオン性酸化銅の分離した(discreet)水不溶性粒子を有し、該粒子の一部が前記材料の表面から露呈し突出しており、該ポリマー材料は、前記公報に教示も示唆もされていない。ポリマー材料から突出し露呈されたCu++を放出する水不溶性粒子が、HIV−1活性の阻害にも有効であることが判明しているという利点を有する。
【0096】
EP427858において、無機微細粒子は抗菌性の金属及び/又は抗菌性の金属化合物で被覆されていることを特徴とする抗菌性の組成物の記載がある、前記特許は、ポリマーに封入され、Cu++を放出する分離した(discreet)微細な粉末状の水不溶性カチオン性酸化銅粒子を取り込んだポリマーであって、該粒子の一部が、該ポリマーの表面から露呈し突出しているポリマーを教示も示唆もしていない。
【0097】
DE4403016において、イオン性Cu++とは反対に、銅を使用した殺菌性及び抗真菌性の組成物を記載している。また前記特許はポリマーに封入されたCu++を放出する分離した(discreet)微細な粉末状の水不溶性カチオン性酸化銅粒子を取り込んだポリマーであって、前記粒子の一部が、前記ポリマーの表面から露呈し突出しているポリマーを教示も示唆もしていない。
【0098】
JP−01 046465において、金属が殺菌及び殺精子効果をもつ銅、銀、水銀及びそれらの合金から選択される金属を使用した殺菌イオンを放出するコンドームの記載があって、金属は好ましくは精細に粉末にされた銅であることが記載されている。銅塩(例えば、塩化銅、硫酸銅及び硝酸銅など)が言及され公知であるが、これらはそれらが導入されるポリマー中で溶解及び分解する水溶性の塩である。同様に、亜酸化銅は具体的に言及されているが、Cuのイオン型であり、Cu++型ではない。
【0099】
Cuのイオン型とCu++のイオン型との間の区別は明確である。さらに、出願人により実施された実験において、CuO粉末(Cuを放出する)は大腸菌又は黄色ブドウ球菌に対する抗菌性の薬剤として有効ではなかった一方で、驚くべきことにCuO(Cu++を放出する)は有効であり、かつ驚くべきことにCuO及びCuOの組み合わせが、CuO自体より有効であった。本実験はATCC試験法47を使用し、半湿潤の寒天上で約1グラムのサンプルの周りに創出された阻害の範囲を測定した。OyamadaはCuO(Cu++を放出する)の分離した(discreet)粒子の使用も、CuO及びCuOの組み合わせの使用も記載しておらず、本発明をそのまま直ちに特許請求し、予想することはできない。
【0100】
前記特許の実施例1における表1中でさらに指摘されている、酸化銅の記載はあるが記載された酸化銅の本質は明確でない。反論のために本実施例が酸化銅の使用に言及していることを推測したとしても、本実施例中において酸化銅か有機ポリシロキサンとともに提供されることに注目し、当業者であれば該銅がポリマー鎖に架橋し遊離している、分離した(discreet)粒子として存在しないことを理解する。
【0101】
それゆえ認識されるように、前記特許はまた、露呈し分離した(discreet)Cu++を放出する水不溶性粒子であって、前記粒子はポリマー材料から突出し、かつ口内細菌の減少に有効であることが証明されている水不溶性粒子の使用を教示も示唆もしていない。
【0102】
JP−01 246204において、抗菌性の成形品の記載があり、該抗菌性の成形品において、粉末の銅化合物及び有機ポリシロキサンの混合物を、衣服、靴下などの製造のために熱可塑性成形品へ分散している。該特許は具体的に、金属イオンはそれ自身によってポリマー分子へ導入されることができないことを記載及び教示している。また繊維表面へ銅イオンの放出のために接続している経路を提供することを目的とする、有機ポリシロキサンを含めることを要求している。
【0103】
さらに、本特許においては、銅粉末は有機ポリシオキサンと一緒に同時に導入され、ポリマー材料中で銅が架橋されポリマー材料から突出し、Cu++を放出する酸化銅の分離した(discreet)遊離水溶性粒子として存在しないという結果をもたらす。さらに、Oyamadaは、ポリマーワックス及びマスターバッチ中の酸化銅の荷電を占めるための薬剤の使用、及び本明細書特有の有利な点を記載も教示もしていない。
【0104】
JP−03 113011において、良好な抗真菌性および衛生的な作用を有する繊維の記載があり、前記合成繊維は銅もしくはゲルマニウムを組み合わせた銅化合物又はそれらの化合物を含むが、前記特許は、明細書中で開示されたゲルマニウム及び銅化合物の大部分の存在は、好ましくは金属銅、一価のCu化合物であるヨウ化第一銅及び水溶性銅塩であることを教示し、要求している。このようにして、前記特許は、ポリマー材料から突出し露呈されたCu++を放出する水不溶性酸化銅粒子の使用を教示も示唆もしていない。またはマスターバッチ中のポリマーワックス及び酸化銅の荷電を占める為の薬剤の使用及び本明細書中特有の有利な点を教示していない。
【0105】
EP116865において、ゼオライト粒子を含むポリマー製品であって、少なくともその一部は少なくとも1つの細菌性の性質を有する金属イオンを保持することが記載され特許請求されているが、該特許は、露呈しCu++を放出する水不溶性酸化銅粒子であって、該粒子はポリマー材料から突出し、それ自身によるゼオライト非存在下での、該粒子の使用を教示も示唆もしていない。またマスターバッチ中のポリマーワックス及び酸化銅の電荷を占めるための薬剤の使用や本明細書における有利な点を教示も示唆もしていない。
【0106】
EP253653において、有機ポリマー及び非結晶アルミノケイ酸固体粒子を含む非結晶のアルミノケイ酸粒子又は被覆剤で処理した非結晶アルミノケイ酸固体粒子、殺菌性作用を有する金属イオンを保持している前記非結晶アルミノケイ酸固体粒子の少なくともいくつかを含む非結晶アルミノケイ酸を含むポリマーの記載及び特許請求がある。該特許は、露呈しCu++を放出する水不溶性酸化銅粒子であって、該粒子はポリマー材料から突出し、それ自身による非結晶アルミノケイ酸非存在下での、該粒子の使用を教示も示唆もしていない。もしくはマスターバッチ中のポリマーワックス及び酸化銅の電荷を占めるための薬剤の使用や本明細書における有利な点を教示している。
【0107】
米国特許第5180402号において、銀置換ゼオライト及び銅化合物を含む染色した合成繊維並びにその製造方法の記載及び特許請求があり、前記特許は抗菌性かつ抗真菌性の性質を有する染色した合成ポリアミド繊維を特許請求していて、前記合成繊維は、繊維の重量を基にして、抗菌性かつ抗真菌性の作用を示す銀置換ゼオライトを0.01重量%〜20重量%及び実質的には水不溶性の銅化合物を0.001重量%〜1重量%含む。
【0108】
しかしながら、前記特許は表1において染色している間に銀置換ゼオライトの抗菌性の作用の減少を阻害するために水不溶性銅の取り込みを具体的に教示している。前記特許は、銀置換ゼオライトが取り込まれていない織物において、銅のみを含む繊維は抗菌性を示さなかったことを教示している。
【0109】
このように、前記特許は本発明の教示から離れた特定の教示を構成する。
【0110】
Dunnの米国特許第5,736,591号においては、細菌性の増殖に抵抗性のあるラテックスについての記載及び特許請求があって、一連の金属を含む周期表中のIB群に属する金属、並びに銀、銅及び金を含む酸化金属のイオンをラテックス中に取り込むことを特徴とする、ラテックス中の細菌の増殖阻害方法を含む。しかしながら該特許自身は銀の使用を支持する試験データ伴う、銀に関してのみ特許請求されている。試験データについての疑問はなく、かつラテックスへ銀を付加するための該特許で使用する方法は効果的であり、化学的に正しい。しかしながら、これはラテックス化合物中での銅化合物の適用ではない。ラテックスの化学分野の当業者はラテックスの弾性及び強度は亜鉛の架橋結合に由来することは知っている。銀はラテックス中で銅と同様の還元能力を有さず、それゆえリンケージ上でより少ない効果を示すだろう。とにかく酸化銅の出現は亜鉛を還元し結合を弱めることは公知である。この還元はラテックスを弱める効果を有し、ラテックスを通常の商業用途のために使用するには弱すぎる状態をもたらす。もし発明者が、議論された製法で銀の代わりに銅又は酸化銅を使えば、彼はラテックス製品の不成功の創造を見出しただろう。該製品は単に弾性及び強度を有しない。今までにだれもラテックスへ銅化合物を付加できず、まだ添加剤を有しないときと同様の品質にとどまっている。それゆえ、該特許は本明細書で定義されるポリマーバッチを教示も提案もしていない。
【0111】
Krallらの米国特許第5976562号は、殺菌性、抗真菌性(bactericidal/fungicidal)のプラスチック体製造のための方法に関する。前記特許において、プラスチック上の薄いフィルムの形状に関する検討があり、このフィルムは金属酸化物を含み、該金属酸化物は成形するプラスチック部分へ注入して抗菌性性質を与える。この特許において、プラスチックを鋳型へ注入する場合、金属酸化物は物体の外側の層に取り込まれるので、被覆は、鋳型の内側を覆うために使用される実際の金属酸化物である。本願においては、銅金属酸化物は封入され、実際のポリマーへ取り込まれ、この参考文献によって教示及び示唆されているようにただ外側を被覆するだけではない。
【0112】
Sakumaらの米国特許出願2004/0259973は、熱可塑性ポリマー基材及びリン酸塩化合物を含む、抗菌性の合成粒子及び抗菌性樹脂の組成物を記載及び特許請求している。前記特許において、好ましい実施態様は、リン酸塩化合物キャリアー上に抗菌性金属を有するリン酸塩化合物キャリアーを含み、前記抗菌性金属は、銀、銅及び亜鉛から選択される。前記特許において、金属酸化物を使用する場合は、金属酸化物をマスターバッチ中に含有させるために金属酸化物をセラミック化合物に接着させる。無機粒子は無機セラミックキャリアー上で金属イオンを保持することによって形成される。前記特許出願はセラミックキャリアーの使用及びリン酸塩の必要な含有の教示に限られており、かつ本発明は同じものを使用していないので、前記公報は本明細書において記載及び教示されているものより完全に異なる技術に関連するものである。
【0113】
Sasakiらの米国特許出願2005/0065231は、無機抗菌剤、無機抗菌剤を使用した抗菌性成形樹脂製品及びそれらの製造方法を開示する。前記特許において、無機抗菌性粒子は、好ましくは金属及び無機キャリアーを含み、銀、銅、亜鉛、金、プラチナ及びニッケルから選択される金属が挙げられている。好ましい実施態様において、無機抗菌性粒子は銀及び亜鉛から選択される少なくとも1つの金属を保持するリン酸カルシウムを含む。しかしながら、金属は金属元素であり、金属酸化物ではないことに注目すべきである。加えて、セラミック化合物はセラミック化合物に接着しキャリアーとして働く。これとは対照的に、本発明は、金属元素を使用しない、また、マスターバッチ中で活性化合物の生産のためにセラミックキャリアーの使用も含んでいない。
【0114】
Burtonらの米国特許出願2005/0124724において、生物活性剤を有するポリマー組成物、医薬品及び方法、生物活性剤は銀化合物、銅化合物、亜鉛化合物及びそれらの組み合わせからなる群から選択されることが記載され特許請求されている。この特許は、キャリアーとして第2級有機ポリマーを使う親水性のポリマーについて言及している。第2級ポリマーはまた親水性ポリマーと無機金属酸化物との間の結合剤として働く。これとは対照的に、本出願においては、酸化銅は主成分の熱可塑性樹脂に直接作用し、それゆえ前記文献も本発明の主題を教示も示唆もしていない。さらに、この出願において、すべてのポリマーの基本は、親水性であることである。この場合、各ポリマーの濃度は化合物中の水の量によって制御される。本願中で言及したポリマーの場合、水はポリマーの結合能力を破壊するので禁止要素である。このように、前記米国出願は本発明とは完全に異なる主題を開示している。
【0115】
Hagiwaraらの米国特許第4,911,899号は殺菌性を有するゼオライト粒子について検討している。別に、前記特許は同様に銀、銅及び亜鉛について言及している。しかしながら、本発明ではゼオライトの使用は挙げられていないし、ゼオライトを利用する前記特許で教示されているメカニズムは本発明では利用していない。それゆえ、この特許は本願が特許請求している主題を教示も示唆もしていない。
【0116】
Jacobsonらによる米国特許第5,503,840号は本質的に被覆されたコア粒子からなる抗菌性の組成物を開示していて、コア粒子はチタニア、硫酸バリウム及び酸化亜鉛からなる群から選択される少なくとも2つの要素の混合物から本質的になり、前記コア粒子は継続的な銀の被覆、そしてさらなる亜鉛及び/又は銅の化合物の被覆(例えば、酸化亜鉛、酸化銅及び一連の他の被覆など)を連続して伴う。これとは対照的に、本発明は、唯一の活性原料として機能する独立型の化合物として水不溶性カチオン性酸化銅から本質的になる粉末の使用を開示していて、ポリマー中で異なる抗菌剤の組み合わせに結合する被覆は挙げられていない。このように前記特許は本発明の主題とかなり異なり、その主題を教示も示唆もしていない。
【0117】
Herbstらの米国特許第6585989B2号は、ポリマー中の有機物抗菌剤の使用を検討しているので、前記特許は本発明の主題を教示も提案もしていない。
【0118】
Jacobsonらの米国特許第5,180,585号は、金属又は金属化合物を有する第一の表面の被覆及びシリカ及びアルミナ又はアルミナ自体のような機能の保護を提供する第二の被覆を有する無機粒子を有する抗菌性の粉末組成物を開示する。このようにして、前記特許は、抗菌性を提供する第一の被覆及び機能の保護を提供する第二の被覆を有する無機粒子を開示し、抗菌性粒子とポリマーマトリックスとの間の障壁としての第二の被覆機能はポリマーとの相互作用を最小にするために取り込まれうる。これとは対照的に、本発明はイオン性酸化銅の水不溶性粒子を開示しており、前記粒子はいずれの保護被覆またはコア要素なしに直接ポリマーマスターバッチ中に取り込まれる。
【0119】
Eramiの米国特許第5,478,563号は、銀、銅及び亜鉛イオンの組み合わせを使用したポリアセタール樹脂について言及しており、それゆえこの公報も本発明の主題について教示も示唆もしていない。
【0120】
本発明を、その局面がより完全に理解され評価されうるように、以下の実施例において特定の好ましい実施態様と絡めてここに記載するが、本発明をこれらの特定の実施態様に制限することは意図しない。反対に、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲内に含まれうるようなすべての改変物、修飾物及び等価物包含することが意図される。従って、好ましい実施態様を含む以下の実施例は、本発明の実施を例示の目的及び概念的局面の記載が最も有用かつ容易に理解されると考えられるものを提供する過程で提示されることが理解される。
【実施例】
【0121】
A.一般的な手順
1.スラリーは任意のポリマーから調製し、主な原料は、好ましくは、ポリアミド、ポリアルキレン、ポリウレタン及びポリエステルから選択される。それらが親和性がある、または親和性を調節しうる場合、上記の材料の1つ以上を組み合わせて使用しうる。ポリマー原料はたいていビーズ状であって、本来、単一成分、二成分、又は、多成分でありうる。ビーズは、好ましくは、約80度から150度の範囲の温度において加熱し溶解させる。
【0122】
2.熱混合段階(押出成形前)において、カチオン型酸化銅の水不溶性の粉末をスラリーに加え、加熱されたスラリーを通じて分散させた。微粒子サイズは好ましくは0.2から20ミクロンの間である、しかしながらフィルム厚又は繊維厚がより大きい粒子と適合できる場合は微粒子サイズはより大きくなり得る。
【0123】
3.液体スラリーは次に紡糸口金(spinneret)と呼ばれる円形に成形された一連の金属プレートへ圧力で押し出される。スラリーは密集している細かい穴を通じて押し出されるので、それらは単一の繊維を形成する、もしくは、お互いが接触したままの場合、それらはフィルム又はシーズを形成する。熱液体繊維、又は、熱液体フィルムは、連続的な一連の繊維、または、円形のシートを形成しながら冷たい空気と一緒に上方へ押し出される。繊維又はシートの厚みは、穴のサイズ及びスピードによってコントロールされ、スピードはスラリーが穴を通過して押し出され、冷たい空気の流れによって上方へ押し出されるスピードである。
【0124】
4.カチオン型酸化銅ダストの5重量%までの混合比率においては、完成品のポリマースラリー中での物理的性質の劣化がないことを証明された。
【0125】
(比較例1)
上記の方法を利用して、次の構成が組み合わされ、処理された:
1.酸化銅 10〜60重量%
2.ポリエチレン、ポリプロピレン
及びアイオノマーワックス、
並びにその混合物のホモポリマー及びコポリマーからなる
ポリマーワックスタイプ材料 1〜30%
3.熱可塑性樹脂 10〜89%
【0126】
上記の成分は80度から150度の温度で2分間から10分間強力に混合し、次にツインスクリュー押し出し機を通じて押し出された。
【0127】
金属の表面上に銅のめっき(plating out)、及び、本システム内での圧力において高上昇が観察された。
【0128】
(実施例2)
実施例1の手順は以下の成分で繰り返した:
1.酸化銅 10〜60重量%
2.ポリエチレン、ポリプロピレン
及びアイオノマーワックス、
並びにその混合物のホモポリマー及びコポリマーからなる
ポリマーワックスタイプ材料 1〜30%
3.熱可塑性樹脂 4〜83%
4.Irgafoss3114(フェノール系酸化防止剤)
1〜6%
【0129】
上記の成分を80度から150度の温度で2分間から10分間強力に混合し、次にツインスクリュー押し出し機を通じて押し出した。
【0130】
これらの原料を一緒にすると、スクリーン上、又は、機器上にめっきはなく、圧力上昇は有意に減少した。
【0131】
(実施例3 マスターバッチからの糸及び繊維の製造)
A1.マスターバッチは酸化銅粉末を加えた、所望の糸と同じベースマテリアルを使用している実施例2に従って製造される。ほとんどのテキスタイル最終製品(textile end uses)に関して、マスターバッチは、好ましくはマスターバッチ中に10%〜60%び酸化銅粉末の濃度を有する。完成品の糸の中に約0.25%〜5%の材料が含まれるように、このマスターバッチは、押し出され、希釈されたポリマーに加える。一定量の該銅はポリマー繊維の表面に現れ、電子顕微鏡画像で観察しうる。
【0132】
A2.繊維がフィラメント繊維の場合、A1において見られるような紡糸口金(spinaret)を通じて複数の繊維から製造された押出されたフィラメントである糸の形成を含む多様な用途に適用することができる。
【0133】
A3.ステープル繊維の製造のために:
同じ基本の工程に従い上記の形成によりステープルフィラメント繊維(短い、又は、長い、非連続的な)製造のために使われた。しかしながら、多様な繊維は連続的な繊維よりもステープル繊維を形成するために作成しうる。多様な物理的特性を有するステープル繊維の形成は任意の厚さに押出され、任意の長さに切断されうる。これらの繊維の製造は、綿に見られるような短いステープルであろうと、ウールに見られる長いステープルであろうと、任意の割合で所望の異なる繊維を含むその他の混紡であろうと、処理した繊維を紡績糸製品に混紡するのを促進するだろう。
【0134】
このようにして、通常のポリマー製品の製造工程で製造されているポリマー製品と本発明の工程との違いは、ポリエチレンワックス存在下、及び、酸銅(cupric oxide)の電荷を占めるための薬剤の存在下において、ポリマー原料中に微小のCu++を放出する水不溶性粒子を添加することであることは明らかである。
【0135】
本発明が前述の例示的な実施例の詳細に限定されないこと、及び、本発明がその本質的な特徴から逸脱することなく他の特定の形態で具体化され得ることは当業者に明らかであろう。そして、それゆえ本明細書の実施態様、及び、実施例はすべての面において例示であって限定するものではないと考えられ、参照は先行する明細書ではなく添付の請求の範囲に対してなされるので、それゆえ、請求の範囲と同等の意味、及び、範囲内でのすべての改変はその中に包含されると意図されることが望まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌性(antimicrobal)かつ抗真菌性かつ抗ウイルス性のポリマー材料を製造するためのポリマーマスターバッチであって、
熱可塑性樹脂のスラリー、イオン性酸化銅の水不溶性粒子から本質的になる抗菌性(antimicrobal)かつ抗真菌性かつ抗ウイルス性薬剤、ポリマーワックス、並びに、イオン性酸化銅の電荷を占めるための薬剤を含む、ポリマーマスターバッチ。
【請求項2】
約4%と83%との間の熱可塑性樹脂、約10重量%〜60重量%のイオン性酸化銅の水不溶性粒子、約1%と30%との間のポリマーワックス、及び約1%と6%との間の該イオン性酸化銅の電荷を占めるための薬剤を含む、請求項1に記載のポリマーマスターバッチ。
【請求項3】
前記薬剤が、キレート剤及び金属不活性化剤からなる群から選択される、請求項1に記載のポリマーマスターバッチ。
【請求項4】
前記薬剤が、金属不活性化亜リン酸塩、フェノール系酸化防止剤、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、3級鎖伸長剤及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のポリマーマスターバッチ。
【請求項5】
前記薬剤が金属不活性化剤である、請求項1に記載のポリマーマスターバッチ。
【請求項6】
前記薬剤がフェノール系酸化防止剤である、請求項1に記載のポリマーマスターバッチ。
【請求項7】
前記熱可塑性樹脂が、ポリエステル、ポリオレフィン、ナイロン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリブチレン、ポリ乳酸、PTT、シリコーン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のポリマーマスターバッチ。
【請求項8】
前記ポリマーワックスが、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、アイオノマーワックス、無水マレイン酸ワックス(malaeic anhydride wax)、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のポリマーマスターバッチ。
【請求項9】
抗菌性、抗真菌性かつ抗ウイルス性ポリマー材料の製造のための方法であって、熱可塑性樹脂のスラリーを調整し、本質的に水不溶性カチオン性酸化銅からなる粉末を導入し、ポリマーワックス及び前記イオン性酸化銅の電荷を占めるための薬剤と組み合わせて前記粉末をスラリー中に分散させ、次にポリマー材料を形成するための前記スラリーを押出すことを含み、Cu++を放出する分離した(discreet)水不溶性酸化銅粒子が前記材料中に形成されて組み込まれ、前記粒子の一部が前記材料の表面から露呈し突出している方法。
【請求項10】
前記成分の組み合わせは、2〜10分間の時間、80℃と150℃との間の温度での強力な混合により実施される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
約4%と83%との間の熱可塑性樹脂、約10重量%〜60重量%のイオン性酸化銅の水不溶性粒子、約1%と30%との間のポリマーワックス、及び約1%と6%との間の前記イオン性酸化銅の電荷を占めるための薬剤を組み合わせることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記薬剤がキレート剤である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記の薬剤は、金属不活性化亜リン酸塩(Phosphyte)、フェノール系酸化防止剤、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、3級鎖伸長剤及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記薬剤が金属不活性化剤である、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記薬剤がフェノール系酸化防止剤である、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記熱可塑性樹脂が、ポリエステル、ポリオレフィン、ナイロン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリブチレン、ポリ乳酸、PTT、シリコーン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリマーワックスが、ポリエチレン、ポリプロピレン及びアイオノマーワックスのホモポリマー及びコポリマー、並びにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
請求項9に記載の方法によって製造される抗菌性、抗真菌性かつ抗ウイルス性のポリマー材料であって、前記材料は、繊維、糸又はシートの形態であり、かつ前記材料中に組み込まれた、Cu++を放出する分離した(discreet)水不溶性イオン性酸化銅粒子から本質的になる抗菌性、抗真菌性かつ抗ウイルス性薬剤を含み、前記粒子の一部は、前記材料の表面から露呈し突出している、ポリマー材料。
【請求項19】
イオン性銅が、CuO及びCuOの混合物を含む、請求項18に記載の抗菌性かつ抗ウイルス性のポリマー材料。
【請求項20】
前記粒子が、1ミクロンと10ミクロンとの間のサイズである、請求項18に記載の抗菌性かつ抗ウイルス性のポリマー材料。
【請求項21】
前記粒子が、ポリマー重量の0.25%と5%との間の量で存在する、請求項18に記載の抗菌性かつ抗ウイルス性のポリマー材料。
【請求項22】
前記熱可塑性樹脂が単一のポリマー成分である、請求項18に記載の抗菌性かつ抗ウイルス性のポリマー材料。
【請求項23】
前記ポリマー材料が短ステープル繊維の形状で製造された、請求項18に記載の抗菌性及び抗ウイルス性のポリマー材料。
【請求項24】
請求項18の方法により製造された繊維を取り込んだ混紡糸。
【請求項25】
二成分の糸であって、少なくとも一つの成分が請求項18の方法により製造された抗菌性及び抗ウイルス性のポリマー材料である、二成分の糸。
【請求項26】
請求項18の方法により製造された抗菌性かつ抗ウイルス性のポリマー材料を含む糸を組み込んでいる衣料品。
【請求項27】
請求項18の方法により製造された抗菌性ポリマー材料を含む包装材料。
【請求項28】
請求項18の方法により製造された抗菌性かつ抗ウイルス性のポリマー材料を裏地に取り込んだカーペット。
【請求項29】
請求項18の方法により製造された抗菌性かつ抗ウイルス性のポリマー材料を取り込んだ不織布成形製品。
【請求項30】
前記製品が空気透過性である、請求項29に記載の不織布成形製品。
【請求項31】
前記製品が液体透過性である、請求項29に記載の不織布成形製品。
【請求項32】
請求項18に記載の方法によって製造される、医療施設での院内感染に効果のあるテキスタイルファブリックであって、前記ファブリックは、繊維、糸、又はシートを取り込んでいて、かつ前記材料中に組み込まれた、Cu++を放出する分離した(discreet)水不溶性酸化銅粒子から本質的になる抗菌性かつ抗ウイルス性薬剤を含み、前記粒子の一部は、前記材料の表面から露呈し突出している、テキスタイルファブリック。
【請求項33】
HIV−1の増殖の阻害のための、請求項1に記載のマスターバッチから製造されたポリマー材料の使用。
【請求項34】
伝染性ウイルスを中和するための、請求項1に記載のマスターバッチから製造されたポリマー材料の使用。
【請求項35】
請求項1に記載のマスターバッチから製造されたコンドーム。
【請求項36】
請求項1に記載のマスターバッチから製造されたカテーテル。
【請求項37】
請求項1に記載のマスターバッチから製造されたグローブ。
【請求項38】
請求項1に記載のマスターバッチから製造された不織布。
【請求項39】
請求項39に記載の不織布を取り込んでいる使い捨てのおむつ。
【請求項40】
ウイルス感染に効果のある使い捨ての病院及び手術室製品であって、請求項1に記載のマスターバッチから製造された繊維を取り込んでおり、前記繊維は、ウイルス及び前記ウイルスに接触した流動体の不活性化のために有効である、製品。
【請求項41】
前記製品が、使い捨ての手術着、障壁、衣類、マスク、靴カバー、及び、キャップからなる群から選択される、請求項41に記載の使い捨ての病院及び手術室製品。
【請求項42】
前記繊維が、不織布中に不規則に散乱した繊維として前記製品中に配置される、請求項41に記載の使い捨ての病院及び手術室製品。
【請求項43】
一種又はそれ以上の顔料をさらに含む、請求項1に記載のマスターバッチ。
【請求項44】
流動体の通路を画定するハウジングを含む、ウイルスの不活性のためのデバイスであって、前記通路は、ろ過材料を備えており、このろ過材料は、前記材料中に組み込まれた、Cu++を放出する分離した(discreet)水不溶性イオン性酸化銅粒子から本質的になる抗菌、抗真菌性かつ抗ウイルス性薬剤を含むポリマー繊維を含んでおり、前記粒子の一部は、前記材料の表面から露呈し突出しており、前記繊維は、請求項1に記載のマスターバッチから製造される、デバイス。
【請求項45】
前記分離した(discreet)水不溶性イオン性酸化銅の粒子が不織布中の繊維中に取り込まれている、請求項45に記載のデバイス。
【請求項46】
体液中の細胞中に見出されるウイルスの不活性化のための、請求項45に記載のデバイス。

【公表番号】特表2008−534708(P2008−534708A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502554(P2008−502554)
【出願日】平成18年3月12日(2006.3.12)
【国際出願番号】PCT/IL2006/000320
【国際公開番号】WO2006/100665
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(507145226)ザ カプロン コーポレイション (7)
【Fターム(参考)】