説明

抗菌性を有するメラミン−ホルムアルデヒドフォーム

【課題】本発明は、少なくとも一種の抗菌活性剤を含むフォームを製造する方法であって、前記抗菌活性剤がそれらのフォーム中に均等分布することを特徴とするフォームを提供することを目的とする。
【解決手段】上記目的は、少なくとも一種の抗菌活性剤を有するフォームの製造方法により達成される。前記フォームの製造方法は、以下の工程:
(1)製造されるフォームの少なくとも一種の予備縮合物と、少なくとも一種の抗菌活性剤とを含む溶液又は分散液を製造する工程、
(2)少なくとも一種の抗菌活性剤を有するフォームを得る為に、工程(1)の溶液又は分散液を加熱することにより前記予備縮合物を発泡させる工程、及び
(3)工程(2)で得られたフォームを120〜300℃の温度範囲で加熱処理する工程、
を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一種の抗菌剤を含むフォームの製造方法、そうして製造されたフォーム、本発明のフォームを含む成形品、及び断熱及び防音のための、包装材としての、洗浄用スポンジとしての、衛生分野での、及び例えば空調装置のためのろ過材としてのこのフォームの使用方法、に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックを含む抗菌活性剤が付与された素材は、すでに先行技術から公知である。
【0003】
US2005/0154361 A1は樹脂基体中にキトサン−金属錯体からなる抗菌活性試薬を含む硬質表面素材を開示している。その素材は抗菌活性試薬を樹脂成分に添加し、これらをさらなる材料と混合し、そして重合させることにより製造される。US2005/0154361 A1は、例えば床又は壁を被覆するための素材としての硬質表面素材を開示している。この文献は抗菌活性試薬を含む可撓性フォームを開示していない。
【0004】
DE1 180 486は抗菌活性試薬を含むさまざまなプラスチックを開示している。適切なプラスチックはポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル樹脂、天然及び合成ゴム、ポリウレタン、またセルロース、及び例えば、紙、酢酸セルロース、及び酢酸酪酸セルロースのセルロースの変換産物である。この文献によると、抗菌活性化合物は製造の間に、例えば、重縮合の間に添加することができる。DE1 180 486は抗菌物質を含むプラスチック、及び、フィルム、断面材、及びシートに加工されたプラスチックが開示されている。その前述の文献は抗菌活性剤が付与されたフォームを全く開示していない。
【0005】
WO2005/054566 A1は、非天然繊維上での微生物の生長を抑制するための、少なくとも一種の自己架橋性樹脂、少なくとも一種の触媒、樹脂と共に反応する少なくとも一種の抗菌活性試薬、及び水を含む組成を開示している。この文献の非天然繊維は、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリウレタン、及び酢酸セルロースに基づく繊維である。抗菌活性試薬は、繊維と試薬の間に存在するイオン結合又は共有結合をすることなしに自己架橋性樹脂を介して非天然繊維に施される。WO2005/054566 A1は抗菌活性剤を含むフォームを開示していない。
【0006】
US6,375,964 B1には抗菌活性成分を含む発泡気泡構造を有する、表面を洗浄するための洗浄素材が開示されている。発泡基材はポリウレタンフォーム及び銀イオン源を含む抗菌成分である。US6,375,964 B1のポリウレタンフォームは、ジイソシアネート及びポリオールの理論混合物からのポリウレタンフォームを発泡させ、そして抗菌活性成分をそれらの中に組み込むことにより製造される。US6,375,964 B1は少なくとも一種の抗菌活性剤、すなわちその活性剤がフォーム予備縮合物の溶液又は分散液に添加され、その後発泡することを特徴とする少なくとも一種の抗菌活性剤を含むフォームの製造方法を開示していない。前述の文献には、少なくとも一種の抗菌活性剤を含むメラミン−ホルムアルデヒド縮合生成物に基づくフォームであって、前記抗菌活性剤がフォーム中に均等分布したものであることが全く記述されていない。
【0007】
US2005/0241480 A1は動力付き乗物から排出された気体から炭化水素を抜き出すための多孔質ろ過材を開示する。多孔質ろ過材は抗菌活性物質で被覆されたメラミン−ホルムアルデヒド縮合生成物に基づくフォームである。前記フォームが製造された後で抗菌活性剤がフォームに施されるので、その抗菌活性剤はほとんどそのフォームの表面に配置される。さらに、そのような被覆されたフォームの製造は、さらなる工程、すなわちそのフォームの被覆工程を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US2005/0154361 A1
【特許文献2】DE1 180 486
【特許文献3】WO2005/054566 A1
【特許文献4】US6,375,964 B1
【特許文献5】US2005/0241480 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、少なくとも一種の抗菌活性剤を含むフォームを製造する方法であって、前記抗菌活性剤がそれらのフォーム中に均等分布することを特徴とするフォームを提供することを目的とする。本発明の方法は、最後のフォームに抗菌活性剤を施す追加の工程を必要としないものとする。さらに本発明は、フォーム中での抗菌活性剤の分布により、フォーム基体素材からその活性を段階的に放出するフォームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
我々はこれらの目的が、少なくとも一種の抗菌活性剤を有するフォームの製造方法により達成されることを発見した。前記フォームの製造方法は、以下の工程:
(1)製造されるフォームの少なくとも一種の予備縮合物と、少なくとも一種の抗菌活性剤とを含む溶液又は分散液を製造する工程、
(2)少なくとも一種の抗菌活性剤を有するフォームを得るために、工程(1)の溶液又は分散液を加熱することにより前記予備縮合物を発泡させる工程、及び
(3)工程(2)で得られたフォームを120〜300℃の温度範囲で加熱処理する工程、
を含む。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)〜(3)のそれぞれの工程を、以下により詳しく記述する。
工程(1):
本発明の方法の工程(1)は、製造されるフォームの少なくとも一種の予備縮合物と、少なくとも一種の抗菌活性剤とを含む溶液又は分散液の製造を含む。
【0012】
予備縮合物としては、メラミン−ホルムアルデヒド予備縮合物が出発材料として使用されることが好ましい。従って好ましい実施形態では、そのフォームはメラミン−ホルムアルデヒド縮合生成物に基づくフォームである。
【0013】
メラミン−ホルムアルデヒド縮合生成物は、共縮合したフォーム中に、メラミンと同様、他の熱硬化性二次成形体の最大50質量%まで、好ましくは最大20質量%まで含んで良く、そしてホルムアルデヒドと同様、他のアルデヒドの最大50質量%まで、好ましくは最大20質量%まで含んで良い。未変性のメラミン−ホルムアルデヒド縮合生成物が特に好ましい。有用な熱硬化性二次成形体は、例えば、アルキル及びアリル置換メラミン、尿素、ウレタン、カルボキサミド、ジシアンジアミド、グアニジン、スルフリルアミド、スルホンアミド、脂肪族アミン、グリコール、フェノール、及びその誘導体を含む。
【0014】
有用なアルデヒドは、例えば、アセトアルデヒド、トリメチロールアセトアルデヒド、アクロレイン、ベンズアルデヒド、フルフラール、グリオキサール、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、及びテレフタルアルデヒドを含む。メラミン−ホルムアルデヒド縮合生成物に関するさらなる詳細は、“Houben−Weyl, Methoden der organischen Chemie, 14/2巻, 1963, 319−402ページ”に記載されている。
【0015】
予備縮合物中のメラミン−ホルムアルデヒドのモル比は、通常1:1〜1:5である。特に低ホルムアルデヒドのフォームを製造するために、例えばWO01/94436に記載されているように、そのモル比が1:1.3〜1:1.8で選択され、且つ亜硫酸基の無い予備縮合物が使用される。
【0016】
例えば樹脂の縮合中に、共縮合した亜硫酸基を亜硫酸水素ナトリウムの1〜20質量%で添加することにより成し遂げられるように、メラミン樹脂は共縮合した亜硫酸基を含んで良い。好ましい実施形態では、本発明の目的のための有用なメラミン樹脂の予備縮合物は、亜硫酸基を含まない、即ち、亜硫酸基の含量が1%より低く、好ましくは0.1%より低く、そしてより好ましくは0%とするものとする。
【0017】
製造されるフォームの少なくとも一種の予備縮合物と、少なくとも一種の抗菌活性剤とを含む溶液又は分散液は、従来の方式で得られる。好ましい実施形態では、問題のその予備縮合物は水中で製造される。部分的に、又は完全にエーテル化された縮合物を得るために、その予備縮合物は、例えば、メタノール、エタノール、又はブタノールのようなアルコール類の存在下で製造されても良い。その反応が終了した後で、少なくとも一種の抗菌活性剤が適切な量添加される。エーテル基の形成は、予備縮合物の溶解性、及び完全に硬化された素材の機械的特性に影響をもたらす。
【0018】
本発明の方法の工程(1)で製造された溶液又は分散液中に存在する少なくとも一種の抗菌活性剤は好ましくは銀塩、銅塩、亜鉛塩、有機殺菌剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0019】
適切な銀塩は硝酸銀、酢酸銀、及びそれらの混合物からなる群から選択される。適切な銅塩は硫酸銅、酢酸銅、硝酸銅、塩化銅(I)、塩化銅(II)、及びそれらの混合物からなる群から選択される。適切な亜鉛塩は硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、及びそれらの混合物からなる群から選択される。硝酸銀、及び/又は酢酸銀を抗菌活性剤として使用することが特に好ましい。
【0020】
また、上述の金属のコロイド分散液を使用することもできる。例えば、銀塩の添加に由来する変色の可能性は、金属銀のコロイド分散液の使用により避けることができる。
【0021】
抗菌効果を有する上述の無機活性剤の代わりに、又は加えて、有機殺菌剤を使用することができる。これらの物質の例は、クロロイソシアヌレート、四級アンモニウム化合物(quats)、ヒダントイン、クロロメチルイソチアゾリノン、パラベン、トリクロサン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、フェノキシエタノール、又はヘキサヒドロトリアジンが挙げられる。好ましい実施形態では、有機殺菌剤が抗菌活性剤として使用される。
【0022】
抗菌活性剤は、溶液中又は分散液中に、予備縮合物に対して好ましくは0.0001〜10質量%、より好ましくは0.001〜1質量%の範囲で存在する。
【0023】
さらなる好ましい実施形態では、溶液又は分散液は、さらに少なくとも一種の乳化剤、及び/又は少なくとも一種の硬化剤を含む。
【0024】
前記使用される乳化剤は、陰イオン、陽イオン、及び非イオン界面活性剤、及びそれらの混合物を使用することができる。
【0025】
有用な陰イオン界面活性剤はジフェニレンオキシドスルホン酸、アルカン及びアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、オレフィンスルホン酸、アルキルエーテルスルホン酸、脂肪アルコール硫酸、エーテル硫酸、α−スルホ脂肪酸エステル、アシルアミノアルカンスルホネート、アシルイセチオネート、アルキルエーテルカルボキシレート、N−アシルサルコシネート、アルキル及びアルキルエーテルホスフェートである。
【0026】
有用な非イオン界面活性剤はアルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、EO−POブロック共重合体、アミノオキシド、グリセリル脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、及びアルキルポリグリコシドを含む。
【0027】
有用なカチオン性乳化剤はアルキルトリアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、及びアルキルピリジニウム塩を含む。
【0028】
前記乳化剤は、前記予備濃縮物に対して好ましくは0.2〜5質量%の量で使用される。
【0029】
有用な硬化剤は、メラミン樹脂のさらなる縮合に触媒作用を及ぼす酸性化合物を含む。これらの硬化剤の量は、予備縮合物に対して0.01〜20質量%であり、好ましくは0.05〜5質量%である。
【0030】
好適な酸性化合物は、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、トルエンスルホン酸、アミドスルホン酸、酸無水物、及びそれらの混合物からなる群から選択される、無機及び有機酸を含む。
【0031】
予備縮合物の選択次第で、その溶液又は分散液は発泡剤を含む。溶液又は分散液中の発泡剤の量は、そのフォームに求められる密度に依存する。原則として、本発明の方法は物理的発泡剤だけでなく、化学的発泡剤も使用可能である。有用な物理的発泡剤は、例えば、炭化水素、例えば、ペンタン、ヘキサン、ハロゲン化されたものを含み、より好ましくは、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、クロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロクロロカーボン(HCFCs)のような塩素化、及び/又はフッ素化された炭化水素、例えば、メタノール、エタノール、又はプロパノールの異性体のようなアルコール、エーテル、ケトン、及び例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、又は酢酸エチルのようなエステルを、液体又は気体の形態で含み、及び二酸化炭素をガスとして含む。有用な化学的発泡剤は、例えば、効果的な発泡剤として二酸化炭素を放出する、水と混合されるイソシアネートを含む。また、適切なものは、酸との混合物中の炭酸塩及び重炭酸塩(同様に二酸化炭素を発生させる)、及びまたアゾジカーボンアミドのようなアゾ化合物である。
【0032】
本発明の方法が、ポリウレタンに基くフォームを使用する場合、イソシアネート基とアルコール基との間の重縮合反応が発泡剤として作用する二酸化炭素を生産するので、付加的な発泡剤を添加する必要はない。
【0033】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の方法の工程(1)の溶液又は分散液はさらに少なくとも一種の発泡剤を含む。
【0034】
この発泡剤は、溶液又は分散液中で、予備縮合物に対して好ましくは1〜40質量%の量で存在する。0〜80℃の間の沸点を有する物理的発泡剤を添加することが好ましい。ペンタンが発泡剤として好ましく使用される場合、その時は、予備縮合物に対して5〜15質量%のペンタンが使用されることが特に好ましい。
【0035】
さらなる好ましい実施形態では、工程(1)で製造される溶液又は分散液は、少なくとも一種の製造されるフォームの予備縮合物、少なくとも一種の抗菌活性剤、少なくとも一種の乳化剤、少なくとも一種の硬化剤、もし適切であれば、及び少なくとも一種の発泡剤を別としては、さらなる追加の素材を含まない。しかしながら、予備縮合物に対して最高20質量%まで、好ましくは10質量%より低くすることが都合がよい素材であって、染料、難燃剤、UV安定剤、燃焼ガスの毒性減少剤、又は炭化促進剤のような慣用的に添加される素材には、多くの目的がある。本発明の方法により製造されたフォームは通常連続気泡であって、水を吸収することができるので、例えば断熱又は防音の、いくつかのアプリケーションでは、縮合は好ましくは0.2〜5質量%の量で疎水化剤を添加しがちである。有用な疎水化剤は、例えば、シリコン、パラフィン、シリコン界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ステアリン酸アルミニウム、ヒドロホビン、又はフッ素樹脂を含む。
【0036】
さらなる好ましい実施形態では、本発明の方法の工程(1)で製造された溶液又は分散液中の予備縮合物の濃度は、55〜85質量%であり、好ましくは63〜80質量%である。予備縮合物の製造される溶液又は分散液は、好ましくは1〜3000dPasの、より好ましくは5〜2000dPasの粘度を有する。
【0037】
溶液又は分散液中に、少なくとも一種の抗菌活性剤、及び、もし適切であれば、さらに添加される素材は、好ましくは均質的に、予備縮合物の溶液又は分散液に混合される。またこの時、もし適切であれば存在する発泡剤を、加圧下で導入することができる。しかしながらまた、それは固体の、例えば噴霧乾燥の予備縮合物から開始することができ、そしてその予備縮合物を、好ましくは抗菌活性剤の水溶液と混合することができ、及びもし適切であれば、さらなる追加の素材と混合することができる。その成分の混合は、従来通りに、例えば押出成形機で実施することができる。好ましい実施形態では、溶液又は分散液は押出型を通して排出され、そしてその後直ちに工程(2)で加熱され、そして加熱の工程中で膨張する。
工程(2):
本発明の方法の工程(2)は、少なくとも一種の抗菌活性剤を含むフォームを得るために、工程(1)からの溶液又は分散液を加熱することによる予備縮合物を発泡を含む。
【0038】
工程(1)で製造される溶液又は分散液の加熱は、好ましい実施形態では、EP−B 17671に記載されているように、高温ガス又は高周波放射線を介して実施されても良い。EP−B 37470の記載のように、極超短波放射線の使用により必要な加熱がなされることが特に好ましい。この誘電放射は0.2〜100GHzの周波数範囲のマイクロ波を使用する。0.915、2.45、及び5.8GHzの周波数が特に好ましく、とりわけ、2.45GHzの周波数を持つ放射線を使用することが好ましい。複数のマグネトロンを全く同じ時に使用することができるけれども、誘電放射源はマグネトロン一種である。不均一な加熱とそれによる不均一な発泡を避けるための放射が非常に均質な分布で実施されることを保証するために、注意しなければならない。溶液又は分散液全量の1kgあたりの、溶液又は分散液により消費されるその電力が5〜200kW、好ましくは9〜120kWであるように、前記放射は実施されることが好ましい。もし電力の消費がより少ないと、発泡は起こらず、そして混合物はほとんど硬化しない。好ましい領域の範囲内では、混合物の発泡率は電力消費に連れて増加する。溶液又は分散液1kgあたり約200kWを超えると、発泡率は大きくは増加しない。
【0039】
膨張する混合物は、好ましくは、発泡の押出型から現れると直ちに放射される。温度上昇、及びもし適切であれば存在する発泡剤の気化の結果として発泡するその工程の混合物は、前記フォームを対応する成形品に成形するための矩形ダクトを形成する循環ベルトに施される。
【0040】
工程(3):
本発明の方法の工程(2)で得られたフォームが、本発明の方法の工程(3)で、120〜300℃の温度範囲で加熱処理される。
【0041】
フォームから溶媒、発泡剤、及びホルムアルデヒドを実質的に除去するために、工程(3)では、製造されたフォームは1〜180分、より好ましくは5〜60分、120〜300℃、より好ましくは150〜250℃の温度範囲で加熱される。
【0042】
実際には、本発明のフォームの加熱は220℃で30分で十分である。EU標準のEN ISO 14184−1により測定されるホルムアルデヒド含量は、フォーム1kgあたり40mgより低く、好ましくは30mgより低く、そしてより好ましくは20mgより低い。上記試験方法では、フォームのサンプルは40℃の温水中で1時間抽出され、そして抽出されたホルムアルデヒドは解析的に決定される。
【0043】
本発明により製造される弾力性のあるフォームは、3〜50g/lの範囲の密度を有する。
【0044】
本発明により製造されるフォームは、以下の利点を有する:
−抗菌活性試薬はフォームの特性、例えば、構造、機械的特性、摩損性に悪影響を示さず、
−本発明により製造されるフォームは一般に生理学的に安全とみなされており、
−本発明により製造されるフォームは耐久性があり、抗菌活性剤が長期間活性を維持し、
−本発明により製造されるフォームは、もし無機化合物が抗菌活性剤として使用されれば、200℃の高い持続的使用温度の加熱の後でも活性を維持し、
−使用される抗菌活性剤が無機物である時、その元素金属の量は非常に少なく、及び/又はその粒子が非常に小さいので、本発明により製造されるフォームは、極超短波中で使用される時でも干渉しない。
【0045】
従って、本発明はまた、本発明の方法により得られるフォームを提供する。本発明はさらに、好ましくはメラミン−ホルムアルデヒド縮合生成物に基くフォームであって、それらの中に均等分布した少なくとも一種の抗菌活性剤を含むフォームを提供する。
【0046】
これらのフォームは有限の、又は高さが最高で2mまでの連続シートとして製造することができ、又は数mmの厚さのフォームフィルムへと加工することができる。
【0047】
本発明は、さらに本発明によるフォームを含む成形品を提供する。そのような成形品の例は、食品又は衛生用品のためのワンピース(one-piece)の、又は粒子性(particulate)の包装材料である。さらなる例は、他のフォームと組み合わせた薄いフォームのフリースの取り付け、フリース、及び/又はろ過のための多孔質素材である。そのようなろ過材は、例えばその殺菌効果が、例えばレジオネラ菌等の伝染病の拡散を抑制することができる場所である病院で、例えば換気/空調装置に使用することができる。
【0048】
また本発明は、建物及び建物の一部の断熱及び防音のための、特に、屋根、壁面、ドア、及び床の区画のための断熱及び防音のためだけでなく、また陸、空、及び海用の乗り物の内装の断熱及び防音のための、そしてまた例えば冷蔵倉庫、油槽、及び液化ガス容器の低温断熱のための本発明のフォームの使用方法を提供する。さらなるアプリケーションは壁の外装の絶縁として、包装材料の絶縁及び衝撃吸収としての使用方法である。架橋メラミン樹脂の実質的な硬さのために、そのフォームはわずかに研磨する洗浄、グラインディング(grinding)、及び研磨スポンジのために使用することができる。そのフォームの連続気泡構造により、付加的に適切な洗浄、グラインディング、及び研磨媒体がフォームの内部に吸収され及び蓄えられることが可能となっている。さらに言えば、明確な洗浄の職務のために、スポンジに疎水性の、及び疎油性の仕上げを施すことができる。極端に少ないホルムアルデヒドの排出と、少なくとも一種の抗菌活性剤の存在とによって、また本発明のフォームは衛生用品分野で、例えば、創傷包帯として、又は幼児用おむつ及び失禁用製品の構成要素として、薄いフリースの形状で有用である。本発明のフォームはさらにろ過材として使用することができる。
【0049】
抗菌特性をフォーム形成中に付与する変性メラミン樹脂フォームは、以下のようにして製造する:
【実施例1】
【0050】
70質量%の噴霧乾燥したメラミン樹脂(モル比1:1.6)を30質量%の水に溶解した。この樹脂溶液に、樹脂に対して、3質量%のエトキシル化脂肪族アルコール(20エチレンオキシド単位より大きい)から形成した乳化剤、及びまた3質量%のギ酸、及び10質量%のペンタンを混合した。この吹き付け可能なメラミン−ホルムアルデヒド予備縮合物に、予備縮合物に対して0.001質量%、0.01質量%、又は0.1質量%の硝酸銀を添加した。その混合物を力強く撹拌し、その後ポリプロピレンのフォーム型中で、2.54GHzの極超短波エネルギーを放射することにより膨張させた。得られたそのフォームに180℃で60分間の後処理を施した。
【実施例2】
【0051】
抗菌活性剤として酢酸銀を同量添加したことを除いては、実施例1を繰り返した。
【0052】
銀塩が添加されないフォームと比較して、製造された素材はそれらの機械的特性又はフォーム構造に関して障害を示さない。それらの構造に障害がないので、十分な吸収性能及び研磨洗浄効果がどちらも損なわれない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種の抗菌活性剤を含むフォームの製造方法であって、
以下の工程:
(4)製造されるフォームの少なくとも一種の予備縮合物と少なくとも一種の抗菌活性剤とを含む溶液又は分散液を製造する工程、
(5)少なくとも一種の抗菌活性剤を含むフォームを得る為に、工程(1)の溶液又は分散液の加熱により前記予備縮合物を発泡させる工程、及び
(6)工程(2)で得られたフォームを120〜300℃の温度で加熱処理する工程、
を含むことを特徴とする、フォームの製造方法。
【請求項2】
工程(1)の溶液が、さらに少なくとも一種の乳化剤、及び/又は少なくとも一種の硬化剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フォームが、メラミン−ホルムアルデヒド縮合生成物に基くフォームであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(1)の溶液又は分散液が、さらに少なくとも一種の発泡剤を含むことを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記加熱が、高温ガス又は高周波放射線を介して行われることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも一種の抗菌活性剤が、銀塩、銅塩、亜鉛塩、有機殺菌剤、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも一種の抗菌活性剤が、前記予備縮合物に対して0.0001〜10質量%の範囲の量で溶液又は分散液中に存在することを特徴とする、請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に基く方法により得られるフォーム。
【請求項9】
フォーム中に均等分布した少なくとも一種の抗菌活性剤を含むフォーム。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のフォームを含む成形品。
【請求項11】
建物及びその一部の断熱及び防音のため、陸、空、及び海の乗り物の内部の断熱及び防音のため、低温断熱のため、外壁被覆材の絶縁材として、包装材料の絶縁材及び衝撃吸収材として、研磨による洗浄、グラインディング、及び研磨スポンジとして、衛生分野で、及びろ過材として、の請求項8又は9に記載のフォームの使用方法。

【公表番号】特表2010−520946(P2010−520946A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553104(P2009−553104)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【国際出願番号】PCT/EP2008/052560
【国際公開番号】WO2008/110475
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】