説明

抗菌性ゲル製剤

水膨潤性ポリマー中に分散されたN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン化合物を含む製剤であって、該化合物は約25℃で少なくとも30日間90%安定である、製剤が開示される。バクテリア活性、微生物活性、胞子活性、真菌活性またはウイルス活性によって引き起こされる感染を該製剤を用いて治療または予防する方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、米国仮出願第61/088,302号(2008年8月12日)、および米国仮出願第号61/229,624(2009年7月29日出願)の利益を主張する。米国出願第61/088,302号および第61/229,624号の両内容は、それらの全てを参照することにより、本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本発明は、1またはそれ以上の水膨潤性ポリマー中に分散された1またはそれ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン化合物を含む安定な抗菌性製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
特定の塩素化アミン化合物(例えば塩素化タウリン誘導体)は、高い抗菌活性と低い細胞傷害性を持ち、およびバクテリア、ウイルス、真菌および他の感染病原体を殺すのに有効であることが示されている。例えば、米国特許第7,462,361号(M. Bassiri et al.)を参照。しかしながらそれらの反応性が原因で、これらの化合物は、さまざまな適用で使用するために製剤化することは困難かもしれない。
【0004】
特性(例えば皮膚または粘膜への接着、および該組織上に十分に滞在する時間(residency times)を得るために、ポリマー中の該化合物(例えばゲル)を製剤化することが好ましいが、特定の製剤の剤の存在下では安定でなく、およびそれと反応し、または分解する化合物もある。
【発明の概要】
【0005】
概要
本願の開示は、水膨潤性ポリマー中に分散されたN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン化合物を含む安定な抗菌性製剤を記載し、ここで、該化合物は、約25℃で少なくとも30日間90%安定である。
【0006】
特定の実施態様において、該N−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン化合物は、式(I):
A−C(R)R(CHC(R)−Y−Z(I)
[式中、
Aは、水素、HalNH−またはHalN−であり、ここでHalはクロロ、ブロモおよびヨードからなる群から選択されるハロゲンであり;
は、水素または適宜置換された、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキル、および−COOHからなる群から選択される基であり;
は、水素または適宜置換された、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルからなる群から選択される基であるか、
またはR’およびRはそれらが結合している炭素原子と一緒になって適宜置換されたシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基を形成し;
Rは、炭素−炭素一重結合または3〜6個の炭素原子を有する二価のシクロアルキレンラジカルであり;
nは、0または1〜13の整数であり;
およびRは、各々独立して、水素、フルオロ、−NH、−NHHal、NHal、ならびに適宜置換された、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキル基からなる群から選択される基からなる群から選択され;
Yは、一重結合、−O−、−CF−、−CHF−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NR−、−NRC(=O)−、P(=O)(OR)O−、−OP(=O)(OR)−、−P(=O)(OR)NR−、−NRP(=O)(OR)−、−S(=O)、−S(=O)O−、−OS(=O)−、−S(=O)NR−、−NRS(=O)−、またはヘテロアリーレン(ここでR、R、RおよびRは各々独立して、水素、ならびに適宜置換された、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルからなる群から選択される);1または2個のメチレン基はモノまたはジ置換されたメチレン基で任意に置き換えられている二価の(C1−18)アルキレン基;および二価の(C1−18)ヘテロアルキレン基〔ここで該二価の(C1−18)ヘテロアルキレン基は1または2個のメチレン基が1または2個の−NR’−、−O−、−S−、−S(=O)−、>C=O、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−C(=O)NR’−、−NR’C(=O)−、−S(=O)−、−S(=O)NR’−、−S(=O)NH−、−NR’S(=O)−または−NHS(=O)−基で任意に置き換えられた二価の(C1−18)アルキレン基であり、ここで、R’は水素、Cl、Br、ならびに適宜置換された、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルコキシC(=O)−、RNC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−10)アリールC(−O)−および(C6−10)アリール(C1−4)アルキルC(=O)−からなる群から選択され、さらにここで、RおよびRは各々独立して、水素、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、4〜10個の環原子を含み、環中に少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含むヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキル(C1−4)アルキル(該ヘテロシクロアルキル基は2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含有する)である〕からなる群から選択され;
Zは、水素、−COH、−CONH、−SOH、−SONH、−P(=O)(OH)、−B(OH)、−[X(R)(R)R]Q、−S(=O)NR、−S(=O)NHC(=O)R、S(=O)OC(=O)NR、−S(=O)NRC(=O)NRおよび−S(=O)(N=)C(OH)NRからなる群から選択され、ここで、RおよびRは各々独立して、水素であるか、または(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−10)アリールC(=O)−、(C6−10)アリール(C1−4)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、4〜10個の環原子を含み、環中に少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含むヘテロアリール、および2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキルからなる群から独立して選択され、およびRは水素であるか、または(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、4〜10個の環原子を含み、環中に少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含むヘテロアリール、および2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキルからなる群から選択され;またはその塩、そのアミンオキシド、またはその誘導体またはバイオアイソスターまたはプロドラッグ;
Xは、N、P、およびSからなる群から選択され;
Qは、対イオンであるかまたは存在せず;
およびRは、各々独立して、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、それらは各々適宜置換されていてもよく;またはRとRはそれらが結合しているX原子と一緒になってヘテロシクロアルキル基を形成し、それは適宜置換されていてもよく;および
は、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、それらは各々適宜置換されていてもよく、またさらに、XがNのときはOであってもよく、ただしXがSのとき、Rは存在せず;
ただし、Rが二価のシクロアルキレンラジカルのとき、nは整数11を超えない]
の化合物またはその誘導体でありうる。
【0007】
実施態様において、水膨潤性ポリマーはポリ(エチレンオキシド)またはポリ(アクリル酸)である。
【0008】
実施態様において、該製剤は約2℃〜約40℃の範囲の温度において少なくとも35日間、95%安定である。別の実施態様において、該製剤は約2℃〜約40℃の範囲の温度において少なくとも70日間、92%安定である。さらに別の実施態様において、該製剤は約2℃〜約25℃の範囲の温度において少なくとも180日間、95%安定である。
【0009】
実施態様において、該製剤はポリマー不含N−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン化合物製剤を超える、増強された抗菌活性を有する。
【0010】
本願開示はN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン化合物および1またはそれ以上の香料を含む、安定な製剤を記載する。本願開示はまた、水膨潤性ポリマー中に分散されたN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン化合物、および香料を含む、安定な製剤を記載する。実施態様において、該香料はシネオールまたは3−オクタノンである。
【0011】
本願開示はまた、該安定な製剤を使用する方法を記載し、これには
バクテリア活性、微生物活性、胞子活性、真菌活性またはウイルス活性によって引き起こされる感染を予防または治療する方法、有効量の製剤を投与することを含む該方法が含まれる。1つの方法において、本明細書に記載される抗菌性製剤の有効量を対象の皮膚、毛、爪、または粘膜に投与する。実施態様において、感染はバクテリア感染であり得、例えば皮膚のバクテリア感染である。
【0012】
本明細書に記載される該製剤の利点の1つは、それらの安定性であり、様々な適用でそれらの有用性を増加させる。
【0013】
1またはそれ以上の実施態様の詳細は、添付の図面および下記の説明により説明される。他の特徴、目的および利点は、明細書および図面、ならびに特許請求の範囲から明かとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、2−8℃および40℃の両方で、35日間までのさまざまな期間で保存された後の、1%Noveon(登録商標)AA−1ポリカルボフィル中に1%N,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリン(「NVC−422」)である製剤の安定性を示すグラフであり、ゼロ日目に対する、測定日でのNVC−422の相対濃度によって測定された。
【図2】図2は、図1と同様の、1%Noveon(登録商標)AA−1ポリカルボフィル中に2%NVC−422である製剤の安定性を示すグラフである。
【図3】図3は、図1と同様の、2−8℃、25℃および40℃で、188日間保存後の1%Noveon(登録商標)AA−1ポリカルボフィル中に1%NVC−422である製剤の安定性を示すグラフである。
【図4】図4は、図1と同様の、1%Polyox(登録商標)205中に0.3%NVC−422である製剤の安定性を示すグラフである。
【図5】図5は、図1と同様の、0.5%シネオールの水性処方物中に2%NVC−422である製剤の安定性を示すグラフである。
【図6】図6は、0.6%NVC−422単独の溶液、ならびに0.75%AA−1中である製剤(左プレート)および3%Polyox(登録商標)205中である製剤(右プレート)の、抗菌活性を示す放射状の拡散アッセイの結果を示す;該ポリマー単独の活性を対照用に示す(各プレートの左)。サンプルは2重である。
【図7】図7は、図8と同様の、1%NVC−422単独、およびシネオール含有パヒューム処方物中製剤での放射状の拡散アッセイの結果を示す。
【図8】図8は、図9と同様の、カンファーまたは3−オクタノンのパヒューム処方物中に1%NVC−422である製剤の放射状の拡散アッセイの結果をしめす。
【図9】図9は、0.3%NVC−422単独の水性溶液および1%Polyox(登録商標)中製剤のS.アウレウスに対する時間−殺結果を示すグラフである。NVC−422不含Polyox(登録商標)の結果を対照用に示す。
【図10】図10は、0.6%NVC−422単独の水性溶液、および1%Polyox(登録商標)中製剤のS.アウレウスに対する時間−殺結果を示すグラフである。NVC−422不含Polyox(登録商標)の結果を対照用に示す。
【図11】図11は、NVC−422不含ポリマーと比べた、0.6%NVC−422水性溶液、および0.75%AA−1中製剤中での最小バイオフィルム除去濃度(MBEC)アッセイを示し;水を対照として使用した。
【図12】図12は、図8と同様だが、3%Polyox(登録商標)205中である製剤のMBECアッセイの結果を示す。
【0015】
詳細な説明
本願開示に従って使用されるとおり、下記の用語は、特に断らない限り、下記の意味を持つと理解される:
【0016】
「アルキル」は、親アルカンの単一の炭素原子から1つの水素原子が除去されることによって得られた、飽和した分岐鎖または直鎖の一価の炭化水素ラジカルを意味する。アルキル基には、これらに限定されないが例えば、メチル;エチル;プロピル類(例えばプロパン−1−イル、プロパン−2−イル(イソ−プロピル)、シクロプロパン−1−イル等;ブチル類(例えばブタン−1−イル、ブタン−2−イル(sec−ブチル)、2−メチル−プロパン−1−イル(イソ−ブチル)、2−メチル−プロパン−2−イル(t−ブチル)、シクロブタン−1−イル;ペンチル類;ヘキシル類;オクチル類;ドデシル類;およびオクタデシル類等が挙げられる。アルキル基には、1〜約22個の炭素原子、例えば、1〜22個の炭素原子、例えば1〜12個の炭素原子、または、例えば、1〜6個の炭素原子が含まれる。二価の基(例えば二価の「アルキル」基、二価の「アリール」基等)は、「アルキレン」基または「アルキレニル」基、「アリーレン」基または「アリーレニル」基とそれぞれ称されうる。
【0017】
「アルキルシクロアルキル」は、明細書に記載のとおり、シクロアルキルラジカルに結合したアルキルラジカル(上記で定義される)を意味する。アルキルシクロアルキル基には、これらに限定されないが例えば、メチルシクロペンチル、メチルシクロブチル、およびエチルシクロヘキシル等が含まれる。アルキルシクロアルキル基は、4〜約32個の炭素原子を含み、すなわち該アルキル基は1〜約22個の炭素原子を含み得、該シクロアルキル基は3〜約10個の炭素原子を含みうる。
【0018】
「活性薬剤」は、医薬的に活性な化合物を意味し、例えば抗真菌性化合物、抗菌性化合物または抗ウイルス性化合物が挙げられる。活性薬剤には、式I、IA、IB、IC、ID、II、およびIIIの化合物(その塩および誘導体を含む)が含まれる。
【0019】
「アシル」は、ラジカル−C(=O)Rを意味し、ここで、Rは、本明細書に記載される、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、それらは、本明細書に記載のように、各々適宜置換されていてもよい。代表例として、これらに限定されないが例えば、ホルミル、アセチル、シクロ(cylco)ヘキシルカルボニル、シクロヘキシルメチルカルボニル、ベンゾイル、およびベンジルカルボニル等が挙げられる。
【0020】
「アシルアミノ」(あるいは「アシルアミド」)は、ラジカル−NR’C(=O)Rを意味し、ここでR’およびRは、各々独立して、本明細書に記載される、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、それらは、本明細書に記載のように、各々適宜置換されていてもよい。代表例として、これらに限定されないが例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ(すなわち、アセトアミド)、シクロヘキシルカルボニルアミノ、シクロヘキシルメチル−カルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ(すなわち、ベンズアミド)、およびベンジルカルボニルアミノ等が挙げられる。
【0021】
「アシルオキシ」は、ラジカル−OC(=O)Rを意味し、ここで、Rは、本明細書に記載される、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、それらは各々、本明細書に記載のように、適宜置換されていてもよい。代表例として、これらに限定されないが例えば、アセチルオキシ(またはアセトキシ)、ブタノイルオキシ、およびベンゾイルオキシ等が挙げられる。
【0022】
「アルコキシ」は、ラジカル−ORを意味し、ここでRは、本明細書に記載される、アルキルまたはシクロアルキル基を表し、それらは各々、本明細書に記載のように、適宜置換されていてもよい。代表例として、これらに限定されないが例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、およびシクロヘキシルオキシ等が挙げられる。
【0023】
「アルコキシカルボニル」は、ラジカル−C(=O)−アルコキシを意味し、ここで、アルコキシは本明細書に記載のとおりである。
【0024】
「アルキルスルホニル」は、ラジカル−S(=O)Rを意味し、ここでRは、本明細書に記載される、アルキルまたはシクロアルキル基であり、それらは各々、本明細書に記載のように、適宜置換されていてもよい。代表例として、これらに限定されないが例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、およびブチルスルホニル等が挙げられる。
【0025】
「アリール」は、芳香族炭化水素基を意味し、それは、芳香族単環、または一緒になって縮合した、共有結合した、または共通の基(例えばメチレン基またはエチレン基)と連結した芳香族多環であり得る。アリール基には、これらに限定されないが例えば、アセナフチレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、ビフェニル、クリセン、シクロペンタジエン、ジフェニルメチル、フルオランテン、フルオレン、インダン、インデン、ナフタレン、ペンタレン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピレン、およびトリフェニレン等から生じる基が挙げられる。アリール基は6〜約20個の炭素原子、例えば、6〜20個の炭素原子、例えば6〜10個の炭素原子を含む。
【0026】
「アリールアルキル」は、炭素原子に結合する水素原子の1つがアリール基で置き換えられているアルキル基を意味する。アリールアルキル基には、これらに限定されないが例えば、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−フェニルエテン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、2−ナフチルエテン−1−イル、ナフトベンジル、および2−ナフトフェニルエタン−1−イル等が挙げられる。特定のアルキル基が意図される場合、命名法のアリールアルカニル(alkanyl)、アリールアルケニルおよび/またはアリールアルキニルが使用されうる。アリールアルキル基は、7〜約42個の炭素原子を含み、例えば該アルキル基は1〜約22個の炭素原子を含み、該アリール基が6〜約20個の炭素原子を含み得る。
【0027】
「カルボキシレート」は、基RCO−を意味し、ここでRは、本明細書に記載される水素、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり得、それらは各々、本明細書に記載のように、適宜置換されていてもよい。
【0028】
「カルバモイル」は、ラジカル−C(=O)N(R)を意味し、ここで各R基は、独立して、本明細書に記載される、水素、アルキル、シクロアルキルまたはアリールであり、それは本明細書に記載のように適宜置換されていてもよい。
【0029】
「シクロアルキル」は、飽和環式アルキルラジカルを意味する。代表的なシクロアルキル基には、これらに限定されないが例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、およびシクロヘキサン等から得られる基が挙げられる。シクロアルキル基は、3〜約10個の炭素原子、例えば3〜10個の炭素原子、または例えば3〜6個の炭素原子を含む。
【0030】
「電子求引性基」は、共鳴効果または誘起効果を介して電気陰性である原子または官能基を意味する。該原子および官能基の例には、これらに限定されないが例えば、−CO、−NO、−SO、−P000、シアノ、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、およびハロアルキルが挙げられ、ここで、RおよびR00は独立して、本明細書に記載される、H、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、またはシクロヘテロアルキル基であり、それらは各々適宜置換されていてもよい。
【0031】
「ハライド」は、負電荷を持つハロゲンを意味し、例えばフルオリド、クロリド、ブロミド、およびヨージドが挙げられる。
【0032】
「ハロ」は、ハロゲンを意味し、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードが挙げられる。
【0033】
「ヘテロアルキル」とは、炭素原子の1またはそれ以上(および結合する水素原子)が、各々独立して、同一または異なったヘテロ原子団で置き換えられているアルキルラジカルを意味し、ヘテロ原子団には、これらに限定されないが例えば、−NR−、−O−、−S−、−PH−、−P(O)−、−S(O)−、および−S(O)−等が挙げられ、ここでRは上記で定義されるとおりである。ヘテロアルキル基には、これらに限定されないが例えば、−O−CH、−CH−O−CH、−S−CH、−CH、−S−CH、−NR−CH、−CH、および−NR00−CH等が挙がられ、ここでRおよびR00は上記に定義される。ヘテロアルキル基は、1〜約22個の炭素およびヘテロ原子、例えば1〜22個の炭素およびヘテロ原子、例えば1〜12個の炭素およびヘテロ原子、例えば1〜6個の炭素およびヘテロ原子を含み得る。
【0034】
「ヘテロアリール」は、炭素原子の1またはそれ以上(および結合している水素原子)が、各々独立して、同一または異なったヘテロ原子で置き換えられている、アリール基を意味する。代表的なヘテロ原子団には、これらに限定されないが例えば、−N−、−O−、−S−および−NR−が挙げられ、ここでRは上記に定義されるとおりである。代表的なヘテロアリール基には、これらに限定されないが例えば、アクリジン、カルバゾール、カルボリン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、およびキサンテン等から生じる基が挙げられる。ヘテロアリール基は5〜約20個の原子、例えば5〜20個の原子、例えば5〜10個の原子を含む。
【0035】
「ヘテロシクロアルキル」は、炭素原子の1またはそれ以上(および結合する水素原子)が独立して同一または異なったヘテロ原子で置き換えられている不飽和シクロアルキルラジカルを意味する。炭素原子を置き換えるための代表的なヘテロ原子には、これらに限定されないが例えば、N、P、O、S等が挙げられる。代表的なヘテロシクロアルキル基には、これらに限定されないが例えば、エポキシド類、イミダゾリジン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピラゾリジン、ピロリジン、およびキヌクリジン等から生じる基が挙げられる。ヘテロシクロアルキル基は3〜10個の炭素原子を含む。
【0036】
「ヒドロキシ」は、基OHを意味する。
【0037】
「低級」とは、1〜6個の炭素原子を含有する残基(residue)、例えばアルキル残基(residue)を意味しする。
【0038】
「ホスフェート」は、基(R)PO(3−n)−を意味し、ここでnは0、1または2であり、かつ、Rは、本明細書に定義される、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキルまたはヘテロアリールであり得、それらは各々適宜置換されていてもよい。
【0039】
「医薬的に許容される」とは、一般に安全であり、非毒性であり、および生物学的にも他の場合にも好ましくないものではない、医薬組成物を調製するのに有用であることを意味し、獣医ならびにヒト医薬的使用にふさわしいことを含む。
【0040】
感染を「予防する」、「予防すること」および「予防」とは、患者のリスクを感染の進行から減少させること、または患者の感染の頻度または重症度を減少させることを意味する。
【0041】
「塩」は、溶液中でまたは固体として、アニオンまたはカチオンと結合した、カチオンまたはアニオン(例えば式I、IA、IB、IC、ID、II、およびIIIのカチオン性またはアニオン性化合物)を意味する。塩には、医薬的に許容される塩ならびに該同一塩の溶媒付加形態(溶媒和物)が含まれる。反応スキームで明記されない限り、本明細書に記載されるある化合物が特定の塩(例えばクロリド)として名付けられ、または、記載されている場合、他の全ての塩形態も本開示の範囲に含まれる。本明細書に記載される組成物および製剤に適する塩の例が、下記に記載される。
【0042】
「安定な」または「安定性」は、一定温度または温度範囲にて一定時間にわたって、N−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン化合物の最小濃度を保有する、所定の製剤の能力を意味する。例えば、特定の製剤形は約25℃で保存されたとき、少なくとも90日間、90%の安定性有し得、それらの条件下で、それは、N−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン化合物の初期濃度の少なくとも約90%を保つことを意味する。
【0043】
「スルフェート」は、基−OSOHまたはSO2−を意味する。
【0044】
「スルホネート」は、基−OSORを意味し、ここで、Rはアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキルまたはヘテロアリールであり得る。
【0045】
「対象」は、動物を意味し、哺乳類(例えばヒト)が含まれる。
【0046】
「置換」基は、1またはそれ以上の(例えば1〜5個、例えば1〜3個)水素が、置換基(例えばアシル、アルコキシ、アルキル、アルコキシカルボニル、アルキルスルホニル”アミノ、アシルオキシ、アリール、カルボキシル、カルバモイル、シクロアルキル、ハロ、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、シクロヘテロアリール、オキソ、ヒドロキシ、アシルアミノ、電子求引性基、またはその組み合わせ)で置き換えられた基を意味する。特定の態様において、置換基として、これらに限定されないが例えば、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、フルオロ、トリフルオロメチル、メトキシ、フェニルおよびカルボキシルが挙げられる。
【0047】
本開示の態様は、式(I):
A−C(R)R(CHC(R)−Y−Z(I)
[式中、
Aは、水素、HalNH−またはHalN−であり、ここでHalはクロロ、ブロモおよびヨードからなる群から選択されるハロゲンであり;
は、水素または適宜置換された、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキル、および−COOHからなる群から選択される基であり;
は、水素または適宜置換された、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルからなる群から選択される基であるか、
またはR’およびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、適宜置換されたシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基を形成し;
Rは、炭素−炭素一重結合または3〜6個の炭素原子を有する二価のシクロアルキレンラジカルであり,
nは、0または1〜13の整数であり;
およびRは、各々独立して、水素、フルオロ、−NH、−NHHal、NHal、ならびに適宜置換された、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキル基からなる群から選択される基からなる群から選択され;
Yは、一重結合、−O−、−CF−、−CHF−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NR−、−NRC(=O)−、P(=O)(OR)O−、−OP(=O)(OR)−、−P(=O)(OR)NR−、−NRP(=O)(OR)−、−S(=O)、−S(=O)O−、−OS(=O)−、−S(=O)NR−、−NRS(=O)−、またはヘテロアリーレン(ここでR、R、RおよびRは各々独立して、水素、ならびに適宜置換された、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルからなる群から選択される);1または2個のメチレン基はモノまたはジ置換されたメチレン基で任意に置き換えられている二価の(C1−18)アルキレン基;および二価の(C1−18)ヘテロアルキレン基〔ここで該二価の(C1−18)ヘテロアルキレン基は1または2個のメチレン基が1または2個の−NR’−、−O−、−S−、−S(=O)−、>C=O、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−C(=O)NR’−、−NR’C(=O)−、−S(=O)−、−S(=O)NR’−、−S(=O)NH−、−NR’S(=O)−または−NHS(=O)−基で任意に置き換えられた二価の(C1−18)アルキレン基であり、ここで、R’は、水素、Cl、Br、および適宜置換された、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルコキシC(=O)−、RNC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−10)アリールC(−O)−および(C6−10)アリール(C1−4)アルキルC(=O)−からなる群から選択され、さらにここでRおよびRは各々独立して、水素、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、4〜10個の環原子を含み、環中に少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含むヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキル(C1−4)アルキル(該ヘテロシクロアルキル基は2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含有する)である〕
からなる群から選択され;
Zは水素、−COH、−CONH、−SOH、−SONH、−P(=O)(OH)、−B(OH)、−[X(R)(R)R]Q、−S(=O)NR、−S(=O)NHC(=O)R、S(=O)OC(=O)NR、−S(=O)NRC(=O)NRおよび−S(=O)(N=)C(OH)NRからなる群から選択され、ここで、RおよびRは各々独立して、水素であるか、または(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−10)アリールC(=O)−、(C6−10)アリール(C1−4)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、4〜10個の環原子を含み、環中に少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含むヘテロアリール、および2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキルからなる群から独立して選択され、およびRは水素であるか、または、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、4〜10個の環原子を含み、環中に少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含むヘテロアリール、および2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキルからなる群から選択され;またはその塩、そのアミンオキシド、またはその誘導体またはバイオアイソスターまたはプロドラッグ;
Xは、N、P、およびSからなる群から選択され;
Qは、対イオンであるかまたは存在せず;
およびRは各々独立して、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、それらは各々適宜置換されていてもよく;またはRとRはそれらが結合しているX原子と一緒になってヘテロシクロアルキル基を形成し、それは適宜置換されていてもよく;および
はアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、それらは各々適宜置換されていてもよく、またさらに、XがNのときはOであってもよく、ただしXがSのとき、Rは存在せず;
ただし、Rが二価のシクロアルキレンラジカルのとき、nは整数11を超えない]
のN−ハロゲン化化合物およびN,N−ジハロゲン化化合物またはその誘導体を含む活性薬剤に関する。
【0048】
1つの態様において、本明細書で示された該アミド類はスルホン酸、カルボン酸およびリン酸の−NRpRqアミド類であり、ここでRpおよびRqは独立して水素、(C1−6)アルキルおよびアリールからなる群から選択される。
【0049】
特定の式(I)の化合物において、AがHalNH−である。別の式(I)の化合物において、AがHalN−である。
【0050】
特定の式(I)の化合物において、Rが適宜置換された、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルからなる群から選択される基であるか、またはRおよびRがそれらが結合している炭素原子と一緒になって、適宜置換されたシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基を形成する。例えば、RおよびRがそれらが結合している炭素原子と一緒になってシクロペンチル基を形成することができる。
【0051】
特定の式(I)の化合物において、RおよびRが各々独立して、適宜置換されたアルキルである。例えば、RおよびRは共にメチルであり得る。別の例として、Rがメチルであって、かつ、Rがエチルであり得る。別の例として、Rがメチルであって、Rが2−メチルプロピルであり得る。
【0052】
特定の式(I)の化合物において、Rは炭素−炭素一重結合である。特定の式(I)の化合物において、nが1〜3の整数である。
【0053】
特定の式(I)の化合物において、RおよびRが共に水素である。
【0054】
特定の式(I)の化合物において、Yが一重結合である。別の式(I)の化合物において、Yが二価の(C1−18)ヘテロアルキレン基であり、ここで、該二価の(C1−18)ヘテロアルキレン基は、1または2個のメチレン基が1または2個の−NR’−、−O−、−S−、−S(=O)−、>C=O、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−C(=O)NR’−、−NR’C(=O)−、−S(O)−、−S(=O)NR’−、−S(=O)NH−、NR’S(=O)−または−NHS(=O)−で任意に置き換えられている二価の(C1−18)アルキレン基であり、ここで、R’は水素、Cl、Br、ならびに適宜置換された、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルコキシC(=O)−、RNC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−10)アリールC(=O)−および(C6−10)アリール(C1−4)アルキルC(=O)−からなる群から選択され、さらにここでRおよびRは各々独立して、水素、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、4〜10個の環原子を含み、環中に少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含むヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキル(C1−4)アルキル(該ヘテロシクロアルキル基は2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含有する)である。例えば、Yは−CH−S(=O)−(CH−であり得る。別の例において、Yは−CH−C(=O)N(CH)−(CH−であり得る。
【0055】
特定の式(I)の化合物において、Zは−SOHである。別の式(I)の化合物において、Zは−[X(R)(R)R]Qであり、ここでXはN、S、またはPであり;R、R、およびRは、独立して、適宜置換されたアルキルであり;および、Qは対イオンである。例えば、Zは−S(CHであり得、および、QはClであり得る。別の例において、Zは−N(CH(CH−CFであり得、およびQはClであり得る。
【0056】
式(I)のバリエイション1つにおいて、Aが水素またはHalN−であり、ここでHalはクロロ、ブロモおよびヨードからなる群から選択されるハロゲンである。別のバリエイションにおいて、Zが水素、−COOH、−CONH、−SOH、−SONH、−P(=O)(OH)または−B(OH)である。別のバリエイションにおいて、Rが水素、C1−6アルキルまたは基−COOHであり;およびRが水素またはC1−6アルキルであるか、または、RおよびRがそれらが結合している炭素原子と一緒になって、(C−C)シクロアルキル環を形成する。別のバリエイションにおいて、Rが水素、C1−6アルキルまたは−NHまたは−NHalであり;および、Rが水素またはC1−6アルキルである。1つのバリエイションにおいて、該二価のシクロアルキレンラジカルにおいて、または、該二価のラジカル−(CH−において、1つの水素が−NHalで置換されていてもよい。
【0057】
式(I)の1つのバリエイションにおいて、Aが水素、HalN−またはHalHNであり、ここでHalがクロロ、ブロモおよびヨードからなる群から選択されるハロゲンであり;Rが水素、(C1−6)アルキルまたは基−COOHであり;Rが水素または(C1−6)アルキルであるか、またはRおよびRがそれらが結合している炭素原子と一緒になって、(C3−6)シクロアルキル環を形成し;Rが炭素−炭素一重結合または3〜6個の炭素原子を有する二価のシクロアルキレンラジカルであり;nが0または1〜13の整数であり;Rが水素、(C1−6)アルキル、−NHHal、または−NHalであり;Rが水素または(C1−6)アルキルであり;Yが一重結合であり;およびZが水素、−SOH、−SONH、−P(=O)(OH)および−B(OH)からなる群から選択される。この態様の範囲内において、Rが二価のシクロアルキレンラジカルであるとき、nは整数11を超えない。該二価のシクロアルキレンラジカルにおいて、または、該二価のラジカル−(CH−において、1つの水素は−NHalで置換されていてもよい。
【0058】
式(I)の化合物は計3個以下の−NHal基またはNHHal基、例えば、1または2個の−NHal基または−NHHal基を有しうる。特定の態様において、式(I)の化合物は1個の−NHal基を有し、これは、酸性のR(Rが−COOHのとき)またはZ基のアルファ−、ベータ−、ガンマ−、デルタ−、イプシロ−またはオメガ−位置にあり得る。
【0059】
本願開示の別の態様は、式(IA):
A−C(R)R(CH−C(R)−X’(IA)
[式中、
Aは、水素、HalNH−またはHalN−であり、ここで、Halは、クロロ、ブロモおよびヨードからなる群から選択されるハロゲンであり;
は、水素、C1−6アルキルまたは基−COOHであり;
は、水素またはC1−6アルキルであるか;または、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、(C−C)シクロアルキル環を形成し;
Rは、炭素−炭素一重結合または3〜6個の炭素原子を有する二価のシクロアルキレンラジカルであり;
nは、0または1〜13の整数であり;
は、水素、C1−6アルキル、−NHまたは−NHalであり;
は、水素またはC1−6アルキルであり;および
X’は、水素、−COOH、−CONH、−SOH、−SONH、−P(=O)(OH)または−B(OH)であり;
ただし、Rが二価のシクロアルキレンラジカルであるとき、nは整数11を超えない]
の化合物またはその誘導体に関する。
【0060】
該二価のシクロアルキレンラジカルにおいて、または、該二価のラジカル−(CH−において、1つの水素は−NHHalまたは−NHalで置換され得る。
【0061】
本願開示の別の態様は、N−ハロゲン化およびNN−ジハロゲン化された式(IB):
A−C(R)−C(R)−Y−Z (IB)
[式中、
Aは、水素、HalN−、およびHalHNからなる群から選択され、ここで、Halは、クロロおよびブロモからなる群から選択されるハロゲンであり;
およびRは、各々独立して、(C1−5)アルキル、ヘテロアルキル、ハロ(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキル、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、(C6−14)アリール、ヘテロアリール、および(C10)ヘテロシクロアルキルからなる群から選択されるか、
またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、(C3−12)シクロアルキルまたは(C3−12)ヘテロシクロアルキルを形成し;
およびRは、各々独立して、水素、フルオロ、(C1−5)アルキル、ヘテロアルキル、ハロ(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキル、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、(C6−14)アリール、ヘテロアリールおよび(C3−10)ヘテロシクロアルキルからなる群から選択されるか、
またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、(C3−12)シクロアルキルまたは(C3−12)ヘテロシクロアルキルを形成し;
Yは、一重結合、−O−、1または2個のメチレン基がモノまたはジ置換されたメチレン基で任意に置き換えられている二価の(C1−18)アルキレン基、および(C1−18)ヘテロアルキレン基からなる群から選択され;および
Zは、−SOH、−SONHおよび−P(−O)(OH)からなる群から選択され;
ただし、Rが(C1−5)アルキルであるとき、または、RおよびRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって(C3−6)シクロアルキルを形成するとき、Yは−O−または1または2個のメチレン基が置換メチレン基で置き換えられている二価の(C1−18)アルキレン基でなければならず、または、Yは二価の(C1−18)ヘテロアルキレン基でなければならず、ここで該(C1−18)ヘテロアルキレン基は、1または2個のメチレン基が−NR’−、−O−、−S−、−S(=O)−または−S(=O)−で置き換えられいる(C1−18)アルキレン基であり、ここで、R’は水素であるか、または、Cl、Br、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルコキシC(=O)−、RNC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−10)アリールC(−O)−、(C6−10)アリール(C1−4)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、4〜10個の環原子を含み、環中に少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含むヘテロアリール、および2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、さらにここでRおよびRは、各々独立して、水素、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、4〜10個の環原子を含み、環中に少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含むヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキル(C1−4)アルキル(該ヘテロシクロアルキル基は2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含有する)である]
の化合物またはその誘導体に関する。
【0062】
本願開示の別の態様は、式中、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、4〜7個の炭素環員を有する環系を形成する(ここで、任意に、1または2個の環員は窒素である)、式(IB)の化合物に関する。
【0063】
本願開示の別の態様は、式(IC):
A−C(R)(CHY(CH−Z (IC)
[式中、
Aは、HalHN−またはHalN−であり、ここで、Halは、クロロおよびブロモからなる群から選択されるハロゲンであり;
およびRは、各々独立して、(C1−6)アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキル(それらは各々適宜置換されていてもよい)からなる群から選択されるか;
またはRおよびRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基(それらは各々適宜置換されていてもよい)を形成し;
Yは、一重結合、−O−、−CF−、−CHF−、−C(=O)−−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NR−、−NRC(=O)−、−P(=O)(OR)O−、−OP(=O)(OR)−、−P(=O)(OR)NR−、−NRP(=O)(OR)−、−S(=O)、−S(=O)O−、−OS(=O)−、−S(=O)NR−、−NRS(=O)−またはヘテロアリーレンからなる群から選択され、ここでR、R、RおよびRは各々独立して、水素、ならびに適宜置換された、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルからなる群から選択され;
Zは、−[X(R)(R)R]Qであり、ここでX、Q、R、R、およびRは上記式(I)で定義されるとおりであり;
nは、0であるがまたは1〜12の整数であり;および
mは、1〜12の整数である]
のN−ハロゲン化化合物およびN,N−ジハロゲン化化合物またはその誘導体に関する。
【0064】
本願開示の別の態様は、下記、式(ID):
A−C(R)(CHC(R)−Z(ID)
[式中、
Aは、水素、HalNH−またはHalN−であり、ここで、Halはクロロ、ブロモおよびヨードからなる群から選択されるハロゲンであり;
およびRは各々独立して、適宜置換された、(C1−6)アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルからなる群から選択される基から選択されるか、またはRおよびRはそれらが結合している炭素原子と一緒になって(C3−6)シクロアルキル環を形成し;
nは、0または1〜13の整数であり;
およびRは、独立して、水素、フルオロ、ならびに適宜置換された、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキル基からなる群から選択される基からなる群から選択され;
Zは、−SOH、−SONH、−P(=O)(OH)、−B(OH)および−[X(R)(R)R]Qからなる群から選択され、ここで、X、Q、R、RおよびRは上記式(I)で定義されるとおりである]
のN−ハロゲン化化合物およびN,N−ジハロゲン化化合物またはその誘導体に関する。
【0065】
本願開示の別の態様は、式(II)
【化1】

[式中、
は、クロロまたはブロモであり;
は、水素であるか、または、クロロ、ブロモ、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C1−3)アルキルおよびハロ(C1−5)アルキルからなる群から選択され;
およびRは、各々独立して、(C1−5)アルキル、ハロ(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキル、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、(C6−14)アリールおよび2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキルからなる群から選択されるか、
またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、(C3−12)炭素環、または、環中にN、O、またはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有する(C3−12)ヘテロシクリルを形成し;
およびR00は、各々独立して水素、フルオロであるか、またはRおよびRと同様であり;または
およびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、4〜7個の炭素環員を有する環を形成し、ここで、任意に、1または2個の環員は窒素であり、および、任意に、R00およびRは、それらが結合している2つの炭素原子と一緒になって二重結合を形成し;または
がクロロまたはブロモであるとき、XはRと一緒に、1〜4個の炭素原子を有するアルキレニル基を形成し、該アルキレニル基は、−NX−およびRおよびR基を有する該炭素原子、ならびに該R00および該−Y−Z基を有する該炭素原子と一緒になって、1または2個のメチレン基が置換されたメチレン基(該置換基はフルオロ、クロロまたは(C1−5)アルキル)で置き換えられていてもよいか、または1または2個のメチレン基が−NR’−または>C=Oで置き換えられていてもよい(ここでR’は下記に定義されるとおりである)飽和ヘテロ環を形成し;
Yは、一重結合、−O−、および1または2個のメチレン基が、モノまたはジ置換されたメチレン基で任意に置き換えられるか、または任意に1または2個のメチレン基が、1または2個の−NR’−、−O−、−S−、−S(=O)−、>C=O、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−C(=O)NR’−、−NR’C(=O)−、−S(=O)−、−S(=O)NR’−、−S(=O)NH−または−NR’S(=O)−で置き換えられた二価の(C1−18)アルキレニル基〔ここでR’は水素であるか、または、Cl、Br、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C6−10)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルコキシC(=O)−、RNC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−10)アリールC(=O)−、(C6−10)アリール(C1−4)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、4〜10個の環原子を含み、環中に少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含むヘテロアリール、および2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含有するヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、さらにここでRおよびRは、各々独立して、水素、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキルまたは4〜10個の環原子を含み、環中に少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含むヘテロアリール、またはヘテロシクリル(C1−4)アルキル(該ヘテロシクロアルキル基は2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含有する)である〕からなる群から選択され;
が(C1−5)アルキルであるとき、または、RおよびRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって(C3−6)シクロアルキルを形成するとき、Xは(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C3−6)シクロアルキル−(C1−3)アルキル、またはハロ(C1−5)アルキルでなければならず;または
が(C1−5)アルキルであるとき、Rは、ハロ(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキルまたは(C3−6)シクロアルキル−(C1−3)アルキルでなければならず;または
が(C1−5)アルキルであるとき、または、RおよびRがそれらが結合している炭素原子と一緒になって、(C3−6)シクロアルキルを形成するとき、Yは−O−であるか、または、1または2個のメチレン基が、置換メチレン基によって、または、−NR’−、−O−、−S−、−S(=O)−または−S(=O)−によって置き換えられた二価の(C1−18)アルキレニル基〔ここでR’は水素であるか、または、Cl、Br、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C6−10)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルコキシC(=O)−、RNC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−10)アリールC(=O)−、(C6−10)アリール(C1−4)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、4〜10個の環原子を含み、環中に少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含むヘテロアリール、および2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含有するヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、さらにここでRおよびRは各々独立して、水素、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、4〜10個の環原子を含み、環中に少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含むヘテロアリール、またはヘテロシクリル(C1−4)アルキル(該ヘテロシクロアルキル基は2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含有する)である〕でなければならず;
Zは、−SOH、−PO、その塩またはエステル、および−C(=O)OHではない、その酸アイソスターからなる群から選択されるか;または−S(=O)NR、−S(=O)NHC(=O)R、S(=O)OC(=O)NR、−S(=O)NRC(=O)NRおよび−S(=O)(N=)C(OH)NRからなる群から選択され、ここでRおよびRは、各々独立して、水素であるか、または独立して(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−10)アリールC(=O)−、(C6−10)アリール(C1−4)C(=O)−、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、4〜10個の環原子を含み、環中に少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含むヘテロアリール、および2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含有するヘテロシクリルからなる群から選択され、およびRは水素であるか、または(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C6−14)アリール,(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、4〜10個の環原子を含み、環中に少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含むヘテロアリール、および2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含有するヘテロシクリルからなる群から選択される]
のN−ハロゲン化化合物およびN,N−ジハロゲン化化合物またはその塩、アミンオキシド、またはその誘導体またはバイオアイソスターまたはプロドラッグに関する。
【0066】
本願開示の別の態様は、下記の式(III):
【化2】

[式中、
は、クロロまたはブロモであり;
は水素であるか、または、クロロ、ブロモ、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキルおよびハロ(C1−5)アルキルからなる群から選択され;
mおよびnは、各々独立して、0、1、2、3、4または5の整数であり、およびmとnは合わせて2、3、4または5であり;
Wは、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−、−NR−、−CR−、>C=CR、−N[C(=O)NHR]−、−N[S(=O)]−、−N[S(=O)NHR]−、−N[C(=O)R10]−、−NRC(=O)−、>C=Oおよび−N[C(=O)OR10]−からなる群から選択され;
Yは一重結合、−O−、および1または2個のメチレン基が、モノまたはジ置換されたメチレン基で任意に置き換えられるか、または任意に1または2個のメチレン基が、1または2個の−NR’−、−O−、−S−、−S(=O)−、>C=O、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−C(=O)NR’−、−NR’C(=O)−、−S(=O)−、−S(=O)NR’−、−S(=O)NH−、−NR’S(=O)−または−NHS(=O)−で置き換えられた二価の(C1−18)アルキレニル基〔ここでR’は水素であるか、または、Cl、Br、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C6−10)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルコキシC(=O)−、RNC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−10)アリールC(=O)−、(C6−10)アリール(C1−4)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、4〜10個の環原子を含み、環中に少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含むヘテロアリール、および2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含有するヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、さらにここでRおよびRは、各々独立して、水素、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、4〜10個の環原子を含み、環中に少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含むヘテロアリール、またはヘテロシクリル(C1−4)アルキル(該ヘテロシクロアルキル基は2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含有する)である〕から選択され;
Zは、−SOH、−PO、−S(=O)NR、−S(=O)NHC(=O)R、−S(=O)NRC(=O)NR、−S(=O)OC(=O)NRおよび−S(=O)(N=)C(OH)NRからなる群から選択され、ここで、RおよびRは、各々独立して、水素であるか、または、(C1−5)アルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C3−6)シクロアルキル、6〜14個の環原子を含有するアリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、4〜10個の環原子を含み、環中に少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含むヘテロアリール、および2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、およびRは水素であるか、または、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、4〜10個の環原子を含み、環中に少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含むヘテロアリール、および2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含有するヘテロシクリルからなる群から選択され;
は、各々独立して、水素、(C1−5)アルキル、(C3−7)シクロアルキル、(C3−6)シクロアルキル−(C1−3)アルキル、(C5−6)カルボシクリル〔1、2または3個の炭素環員は−NR’−、−O−、−S−、−S(=O)−または−S(=O)−によって任意に置き換えられ、ここでR’は、水素であるか、または、Cl、Br、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C6−10)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルコキシC(=O)−、RNC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−10)アリールC(=O)−、(C6−10)アリール(C1−4)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、4〜10個の環原子を含み、環中に少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含むヘテロアリール、および2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含有するヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、さらにここでRおよびRは各々独立して、水素、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、4〜10個の環原子を含み、環中に少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含むヘテロアリール、またはヘテロシクリル(C1−4)アルキル(該ヘテロシクロアルキル基は2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含有する)である〕からなる群から選択され、;
は、(C1−5)アルキル、(C3−7)シクロアルキル、(C3−6)シクロアルキル−(C1−3)アルキル、(C6−12)アリールおよび(C5−6)カルボシクロアルキル〔1、2、または3個の炭素環員は−NR’−、−O−、−S−、−S(=O)−または−S(=O)−によって置き換えられ、ここでR’は、水素であるか、または、(C1−5)アルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C3−6)シクロアルキル、2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキル、(C6−12)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、(C6−12)ヘテロアリール、(C1−6)アルキルアリール、(C6−12)アリール(C1−6)アルキル、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C1−5)アルコキシC(=O)−、および−S(=O)NH(C1−5)アルキルからなる群から選択される〕からなる群から選択され;
10は、(C1−5)アルキル、(C1−5)アルコキシ、(C3−7)シクロアルキル、(C3−6)シクロアルキル−(C1−3)アルキル、(C6−10)アリール、(C6−10)アリールオキシ、(C7−12)アリールアルキル、(C7−12)アルキルアリールおよび(C7−12)アリールアルコキシからなる群から選択される]
のN−ハロゲン化化合物およびN,N−ジハロゲン化化合物またはその誘導体に関する。
【0067】
式(III)の特定の化合物において、Wが、−O−、−S(=O)−、−NR−、−CR−、>C=CR、−N[C(=O)NHR]−、−N[S(=O)]−、−N[S(=O)NHR]−、−N[C(=O)R10]−、および−N[C(=O)OR10]−からなる群から選択され;R、RおよびR10が、上記で定義されたとおりであり;Yが一重結合であるか、または二価の(C1−5)アルキレニル基であり;Zが−SOHまたは−POである;またはその塩。
【0068】
本明細書に記載される化合物の誘導体には、医薬的に許容される塩、カルボキシレート類、スルホネート類およびホスホネート類のC1−6アルキルエステル、および−NH基のモノおよびジC1−6アルキルアミド類が含まれる。
【0069】
上記の組成物には、以下の化合物(またはその誘導体、本明細書に記載のとおり)が挙げられる:
N,N−ジクロロタウリン;
N,N−ジクロロ−2−メチルタウリン;
N,N−ジクロロ−2,2,3,3−テトラメチル−β−アラニン;
N,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリン;
N,N ジクロロ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;
N,N−ジブロモ−2,2−ジメチルタウリン;
N,N−ジブロモ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;
N,N−ジヨードタウリン;
N,N−ジクロロ−3,3−ジメチルホモタウリン;
N,N−ジクロロ−2−メチル−2−アミノエタンスルホン酸;
N,N−ジクロロ−1−メチル−エタンスルホン酸;
N,N−ジクロロ アミノ−トリメチレン ホスホン酸;
N,N−ジブロモ−2−アミノ−5−ホスホノペンタン酸(phosphonopantanoic acid);
N,N−ジクロロアミノ−エチルホスホン酸 ジメチルエステル;
N,N−ジクロロアミノ−エチルホスホン酸 ジエチルエステル;
N,N−ジクロロ−1−アミノ−1−メチルエタン ホスホン酸;
N,N−ジクロロ−1−アミノ−2−メチルエタン ホスホン酸;
N,N−ジクロロ−1−アミノ−2−メチルプロパン ホスホン酸;
N,N−ジクロロ−ロイシン ホスホン酸;
N,N−ジクロロ−4−アミノ−4−ホスホノ酪酸;
(±)N,N−ジクロロ−2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸;
N,N−ジクロロ−(+)2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸;
N,N−ジクロロ d,l−2−アミノ−3−ホスホノプロピオン酸;
N,N−ジクロロ−2−アミノ−8−ホスホノオクタン酸;
N,N−ジクロロ−ロイシン ボロン酸;
N,N−ジクロロ−β−アラニン ボロン酸;
N−クロロタウリン;
N−クロロ−2−メチルタウリン;
N−クロロ−2,2,3,3−テトラメチル−β−アラニン;
N−クロロ−2,2−ジメチルタウリン;
N−クロロ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;
N−ブロモ−2,2−ジメチルタウリン;
N−ブロモ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;
N−ヨードタウリン;
N−クロロ−3,3−ジメチルホモタウリン;
N−クロロ−2−メチル−2−アミノ−エタンスルホン酸;および
N−クロロ−1−メチル−エタンスルホン酸;
N−クロロアミノ−トリメチレン ホスホン酸;
N−ブロモ−2−アミノ−5−ホスホノペンタン酸(phosphonopantanoic acid);
N−クロロアミノ−エチルホスホン酸 ジメチルエステル;
N−クロロアミノ−エチルホスホン酸 ジエチルエステル;
N−クロロ−1−アミノ−1−メチルエタン ホスホン酸;
N−クロロ−1−アミノ−2−メチルエタン ホスホン酸;
N−クロロ−1−アミノ−2−メチルプロパン ホスホン酸;
N−クロロ−ロイシン ホスホン酸;
N−クロロ−4−アミノ−4−ホスホノ酪酸;
(±)N−クロロ−2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸;
N−クロロ−(+)2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸;
N−クロロ d,l−2−アミノ−3−ホスホノプロピオン酸;
N−クロロ−2−アミノ−8−ホスホノオクタン酸;
N−クロロ−ロイシン ボロン酸;
N−クロロ−β−アラニン ボロン酸;
(1−(ジクロロアミノ)シクロヘキシルメタンスルホン酸;
(1−(クロロアミノ)シクロヘキシル)メタンスルホン酸;
2−(クロロアミノ)−N,N,N−2−テトラメチルプロパン−1−アンモニウム クロリド;
2−(ジクロロアミノ)−N,N,N−2−テトラメチルプロパン−l−アンモニウム クロリド;
3−(クロロアミノ)−N,N,N−3−テトラメチルブタン−1−アンモニウム クロリド;
3−(ジクロロアミノ)−N,N,N−3−テトラメチルブタン−1−アンモニウム(ammononium)クロリド;
1−(2−(ジクロロアミノ)−2−メチルプロピル)−1−メチルピペリジニウム クロリド;
1−(2−(クロロアミノ)−2−メチルプロピル)−1−メチルピペリジニウム クロリド;
(2−(ジクロロアミノ)−2−メチルプロピル)ジメチルスルホニウム クロリド;
(2−(クロロアミノ)−2−メチルプロピル)ジメチルスルホニウム クロリド;
(4−(ジクロロアミノ)−4−メチルペンチル)トリメチルホスホニウム クロリド;
(4−(クロロアミノ)−4−メチルペンチル)トリメチルホスホニウム クロリド;
3−(3−(ジクロロアミノ)−3−メチルブチルスルホニル)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム クロリド;
3−(3−(クロロアミノ)−3−メチルブチルスルホニル)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム クロリド;
2−(3−(ジクロロアミノ)−3−メチルブチルスルホニル)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウム
クロリド;および
2−(3−(クロロアミノ)−3−メチルブチルスルホニル)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウム クロリド。
【0070】
一般名「タウリン」は、「2−アミノエタンスルホン酸」を意味し、「タウリン」を含有して称される化合物は、この化学モチーフを含むと理解される。例えば、「N,N−ジクロロタウリン」は「2−(ジクロロアミノ)−エタンスルホン酸」と呼ばれ得、および「N,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリン」はまた、「2−(ジクロロアミノ)−2−メチルプロパンスルホン酸」と呼ばれ得る。
【0071】
上記のN−ハロゲン化化合物またはN,N−ジハロゲン化化合物は、中性、カチオン性、または塩形態であり得る。化合物は、それらの化学構造および/または化学名によって特定されうる。化学構造および化学名が矛盾する場合、該化学構造が化合物の同一性を決定する。該化合物は、1またはそれ以上のキラル中心および/または二重結合を含み得、それ故、立体異性体(例えば二重結合異性体(すなわち、幾何20異性体)、エナンチオマーまたはジアステレオマーとして存在しうる。従って、キラル中心での立体化学が規定されていないとき、本明細書に示された化学構造は、それらのキラル中心での全ての可能な配置を包含し、立体異性的に純粋な形態(例えば、幾何的に純粋、鏡像異性的に純粋またはジアステレオマー的に純粋)およびエナンチオマーおよび立体異性混合物を含む。エナンチオマーのおよび立体異性の混合物は、当業者によく知られた分割手法またはキラル合成技術を用いて、それらの構成エナンチオマーまたは立体異性体に分割することができる。該化合物は、エノール型、ケト型およびその混合物を含む、いくつかの互変異性型で存在しうる。従って、本明細書に示される化学構造は、示された化合物の全ての可能な互変異性型を包含する。化合物は、非溶媒和体ならびに溶媒和体で存在し得、水和物の形が含まれ、N−オキサイドとして存在しうる。
【0072】
適当な塩には、下記のものが挙げられる:
(1)無機酸(例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、およびリン酸等)と形成される;または有機酸(例えば酢酸、酪酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、吉草酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸(glucoheptonic acid)、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、およびムコン酸等)と形成される、従来の化学的手法によって作られた酸付加塩
;または(2)従来の化学的手法によって作られる、該親化合物中にある酸性のプロトンが、金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、またはアルミニウムイオン)によって置き換えられたときか;または有機塩基(例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、およびN−メチルグルカミン等)を配位させているとき、形成される塩形態。
【0073】
酸付加塩の例には、これらに限定されないが例えば、置換アミド類などの塩基性残基(例えば、−C(=O)NH−が存在するとき)の無機塩または有機酸塩、または酸性残基(例えば、−OP(=O)(OH)が存在するとき)のアルカリ塩または有機塩が挙げられる。医薬的に許容される塩には、これらに限定されないが例えば、ヒドロハライド類、スルフェート類、メトスルフェート類(四級アンモニウムスルフェート類)、メタンスルホネート類、トルエンスルホネート類、ニトレート類、ホスフェート類、マレエート類、アセテート類、ラクテート類、オキサレート類、フマレート類(fumerates)、およびスクシネート類等が挙げられる。医薬的に許容される酸付加塩には、さらに、塩酸、スルホン酸、リン酸、硝酸、酢酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸、シュウ酸、コハク酸、フマル酸(fumeric acid)および他の酸との塩が含まれる。
【0074】
適当な塩のリストは、例えば、S.M. Berge et al., J. Pharma Sci., 66(1), 1-19 (1977), および Remington: The Science and Practice of Pharmacy, R. Hendrickson, ed., 21st edition, Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, PA, (2005), at p. 732, Table 38-5(これらは参照することにより本明細書に含まれる)にある。
【0075】
本明細書に記載されるN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン化合物は、水膨潤性ポリマー、すなわち、水中で水和して粘稠な溶液または懸濁液を形成するポリマーを含む安定な製剤中にある。
【0076】
水膨潤性ポリマーの例には、ポリ(アクリル酸)ポリマー(例えばCarbopol(登録商標)、Lubrizolコーポレイションから入手可能)およびポリ(エチレンオキシド)ポリマー(例えばPolyox(登録商標)、ダウケミカルカンパニーから入手可能)が挙げられる。Carbopol(登録商標)ホモポリマーは、アリル スクロースまたはアリル ペンタエリトリトールと架橋したアクリル酸のポリマーである。Carbopol(登録商標)コポリマーは、アクリル酸およびアリル ペンタエリトリトールと架橋したC10−C30アルキル アクリレートのポリマーである。Carbopol(登録商標)共重合体は、カルボマーホモポリマーまたはポリエチレングリコールのブロックコポリマーおよび長鎖アルキル酸エステルを含有するコポリマーである。Carbopolの適当なグレードには、これらに限定されないが、例えば、Carbopol(登録商標)ホモポリマー、Carbopol(登録商標)コポリマー、Carbopol(登録商標)共重合体、Noveon(登録商標)AA−1ポリカルボフィル(「AA−1」)、Noveon(登録商標)CA−1ポリカルボフィル(中和されたカルシウム)、Noveon(登録商標)CA−2ポリカルボフィル(中和されたカルシウム)および他のCarbopol(登録商標)およびポリカルボフィルの市販のグレードが挙げられる。Polyox(登録商標)の適当なグレードには、これらに限定されないが、WSR N-10、WSR N-80、WSR N-750、WSR N-3000、WSR-205(特定の図(figure)における「Polyox」の「Polyox(登録商標)205」)、WSR-1105、WSR N-12K、WSR N-60K、WSR-301、WSR Coagulant、WSR-308 UCARFLOCポリマー300、UCARFLOCポリマー302、UCARFLOCポリマー304およびUCARFLOCポリマー309(ダウケミカルカンパニーから入手可能)が挙げられる。ポリ(1−ビニル−2−ピロリジノン)(ポビドン)もまた使用され得る。
【0077】
該製剤は、該N−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン化合物と該ポリマーとを水を用いて混合することによって製造されうる。水/オイルエマルション、水和剤(hydrating agent)、湿潤剤、および界面活性剤等もまた使用されうる。N−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン化合物の濃度は約0.01%〜約5.0%(重量で)の範囲であり得る。ポリマーの濃度は水中で約0.01%〜約10%(重量で)であり得る。例えば、特定の実施態様において、N−ハロゲン化化合物またはN,N−ジハロゲン化化合物の濃度は約0.1%〜約2.0%(重量で)の範囲であり得る。高濃度のポリマーが、高濃度のN−ハロゲン化アミン化合物またはN,N−ジハロゲン化アミン化合物を製剤化するためにが必要とされうる。例えば、1%AA−1製剤は、N,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリンを約2%まで有し得、対して、2%AA−1製剤は、該化合物を約3.5%まで有し得る。種々ポリマーおよびN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン化合物が所定の製剤中で合わされるとき、これらの割合は異なり得る。
【0078】
本明細書に記載される製剤は概して下記のように調製された。ポリマーを精製水中で一般的な医薬賦形剤(例えば塩化ナトリウム、塩およびバッファー)と共にまたは無しにゆっくりと水和した。N−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン化合物(例えばN,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリン、または「NVC−422」)を、次いで加えた。次いで、該溶液を混合し、適当な酸または塩基、例えばNaOHおよびHClを用いてpHを約3.0および約9.0の間に調整した。
【0079】
本明細書に記載される安定な製剤は、少なくとも30日間、約25℃で少なくとも90%安定である。特定の実施態様において、安定な製剤はより高い安定性を有しうる。所定の製剤の安定性は、概して、該製剤で使用される特定のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン化合物およびポリマーに依存する。安定性はまた、本明細書に記載されるとおり、概して、保存期間および温度(temperate)に応じる。
【0080】
図1に関して、1%AA−1ポリマー中に1%N,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリン(NVC−422)である製剤は、温度約2℃〜約8℃、および約40℃で保存したとき、N,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリンの初期濃度の少なくとも95%を少なくとも35日間の期間保持する(UV/VisまたはHPLCで測定)。従って、約2℃〜約40℃で保存したとき少なくとも35日間、該製剤は95%安定である(または95%安定性を有する)と記載される。この図および他の安定性の図において、塩素化アミン化合物の相対濃度は、例えば、該製剤からの水の蒸発に起因して100%を超えてわずかに増加しうるということに留意される。
【0081】
図2に関して、1%AA−1中に2%NVC−422である製剤は、約2℃〜約40℃で保存されたとき、少なくとも35日間で95%安定性を有する。
【0082】
図3に関して、1%AA−1ポリマー中に1%NVC−422である製剤は、温度約2℃〜約25℃で保存されたとき、少なくとも188日間、95%安定性を有し、および約40℃で保存されたとき、少なくとも188日間、85%安定性を有する。
【0083】
図4に関して、1%Polyox(登録商標)205中に0.3%NVC−422である製剤は、約2℃〜約40℃で保存されたとき、少なくとも70日間、92%安定性を有する。
【0084】
全ての水膨潤性ポリマーが、本明細書に記載されるN−ハロゲン化化合物またはN,N−ジハロゲン化アミン化合物の安定な製剤を形成するために使用され得るとは限らない。例えば、HClでpH4.0に調整した、2.5%Carbopol(登録商標)Aqua-CC中に1%NVC−422である製剤は、サンプルを調製し、安定性分析を行うのに要する時間の間に、NVC−422の初期濃度の約41%に分解し(UV/VisまたはHPLCによって測定した)、約25℃での第2日までに初期濃度の約23%に分解したことが認められた。従って、この製剤は、安定でないと見なされた。さらに、Carbopol(登録商標)R-1 NF中、またはCarbopol(登録商標)Ultrez 10 NF中のNVC−422の製剤もまた不安定であった。それらのサンプルの安定性を測定することは不可能であった。なぜなら、該製剤は、調製された後、直ちに濁るかまたは変色したからである。
【0085】
本明細書に記載される安定な製剤または組成物は、1またはそれ以上の他の成分、例えば、溶媒、共溶媒、ゲル化剤、湿潤剤、塗膜形成剤、担体、浸透促進剤、可塑剤、または他の不活性成分、およびその組み合わせを含みうる。
【0086】
適当な溶媒および共溶媒には、水、アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール等)、およびN−ハロゲン化化合物および/または N,N−ジハロゲン化アミン化合物および香料が溶解できる他の溶媒が挙げられる。
【0087】
安定な製剤は、適当な酸および塩基、例えばHC1およびNaOHで変えられ得る。さまざまな実施態様において、該製剤は、pHが約3.0〜9.0、例えば約3.0〜約7.0、例えば約3.0〜約6.0、および例えば約3.5〜約4.5であり得る。
【0088】
安定な製剤は塩およびバッファーを含み得る。例えば、食塩溶液(例えばNaC1)が使用されうる。適当なバッファーには、これらに限定されないが例えば、ClarkおよびLubs溶液、pH2.2−4.0(Bower and Bates, J. Res Natn. Bur. Stand. 55, 197 (1955));ベータ,ベータ−ジメチルグルタル酸−NaOHバッファー溶液、pH3.2−7.0(Stafford, Watson, and Rand, BBA 18, 318 (1955));酢酸ナトリウム−酢酸バッファー溶液、pH3.7−5.6;コハク酸−NaOHバッファー溶液、pH3.8−6.0(Gomeri, Meth. Enzymol. 1, 141 (1955));カコジル酸ナトリウム−HC1バッファー溶液、pH5.0−7.0(Pumel, Bull. Soc. Chim. Biol. 30, 129 (1948));NaHPO−NaHPOバッファー溶液、pH5.8−7.0(Gomeri and Sorensons, Meth. Enzmol. 1, 143 (1955));カリウム ビフタレート/HC1、pH3.0〜3.8;カリウム ビフタレート/NaOH pH4.0−6;KHPO/NaOH、pH6.0−7.0;および一カリウムリン酸/NaOH、pH6.0〜pH8.0またはNaOH/ホウ酸、pH7.8〜pH8.0(化学を試験するためのOECDガイドライン“Hydrolysis as a Function of pH,” Adopted 12 May 1981, 111, pp. 10-11を参照)が挙げられる。
【0089】
安定な製剤はまた、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, R. Hendrickson, ed., 21st edition, Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, PA, (2005) at pages 317-318(これは参照することによりその全ては本明細書に組み込まれる)に認められる医薬的に許容される賦形剤を含みうる。
【0090】
安定な製剤は、さまざまな製剤型であり得、例えば、懸濁液、エマルション、軟膏、クリーム、ゲル、ローション、およびペースト等、ならびに粉末、粉末等、エマルション、懸濁液ならびに溶液および等の混合物、およびガス状製剤(例えばエアロゾール)が挙げられる。
【0091】
特定の適用について、N−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン化合物を含む溶液に良いにおいを与える、またはその不快な臭いをマスクすることが望ましい可能性がある。従って、別の態様において、安定な製剤は、1またはそれ以上の本明細書に記載されるN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン化合物および1またはそれ以上の香料(すなわちフレグランス、コロン、またはパヒューム)を含み得る。N−ハロゲン化およびN,N−ジハロゲン化アミン化合物と混合可能である香料のいずれのタイプも使用されうる。該安定な香料は、概して、水性溶媒(例えば水(酸、塩基、バッファー等と共にまたは無しに))中に存在しうるが、本明細書に記載される他の溶媒、共溶媒、賦形剤等を使用しても製剤化されうる。適当な香料には、パヒュームおよびフレグランス中で、または、これらとして使用されるアルコール類、アルデヒド類、ケトン類、ニトリル類、およびエステル類が挙げられる。適当な香料の例には、これらに限定されないが、例えば、メントール、アネトール、カルボン、オイゲノール、リモネン、オシメン、n−デシルアルコール、シトロネロール、a−テルピネオール、サリチル酸メチル、酢酸メチル、酢酸シトロネリル、シネオール(例えば1,8−シネオール、またオイカリプトールとして知られる)、カンファー、リナロール、エチルリナロール、バニリン、チモール、イソアミルフェニルエーテル、イソボルネオール、イソボルネオールメチルエーテル、2,2−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−カルボン酸メチルエステル、2−三級ペンチル シクロヘキサニル アセテート、7−オクテン−2−オール−2,6−ジメチル アセテート、1−メチル−4−イソプロピル シクロヘキサン−8−イル アセテート、テトラヒドロゲラニオール、2,6−ジメチルヘプタン−2−オール、ジフェニルメタン、酸化ジフェニル、アルファ−フェンチル アセテート、1,3−ジオキサン−2,4,6−トリメチル−4−フェニル、4−メチル−2−(2−メチルプロピル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オール、エチル トリシクロ[5.2.1.0.2,6]デカン−2−カルボキシレート、2−メチルデカノニトリル、2−ブチル−4,4,6−トリメチル−1,3−ジオキサン、2−ブチル−4,4,6−トリメチル−1,3−ジオキサン、リメトール、3,12−トリデカジエン ニトリル、メチルラベンダーケトン、オクタナール(octanal)ジメチル アセタール、オレンジフラワーエーテル(すなわち4−(1−メトキシ−l−メチルエチル)−1−メチルシクロヘキセン)、p−三級ブチル シクロヘキサノール、ベンゼン ペンタノール、3−オクタノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、2,6−ジメチル−2−オクタノール、2−オクタノン、3−オクタノン、チミルメチルエーテル、オルト−三級ブチル シクロヘキサニル アセテート、ベンゼン、[2−(1−エトキシエトキシ)エチル−1−エトキシ−1−(2−フェニルエトキシ)エタン、シクロヘキシルフェニルエチルエーテル、1−(4−イソプロピルシクロヘキシル)エタノール、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−エチル−5−メトキシトリシクロ[2.2.1.0.2.6]ヘプタン、およびビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−エチル−6−メトキシトリシクロ[2.2.1.0.2.6]ヘプタンが挙げられる。。パヒュームおよびフレグランスに使用される植物のエッセンシャルオイル(およびその成分)、(例えばスペアミントオイル、ペパーミントオイル、レモンオイル、オレンジオイル、セージオイル、ローズマリーオイル、シナモンオイル、ピメントオイル、桂皮オイル、エゴマオイル、ウィンターグリーンオイル、クローブオイル、およびユーカリオイル)もまた使用されうる。
【0092】
香料のいずれの適当な濃度がパヒューム製剤に使用されうる。特定の実施態様において、香料は約0.01%〜約10%、例えば約0.02%〜約1%、または例えば約0.05%〜約0.5%の濃度で存在しうる。1またはそれ以上の香料が所定のパヒューム製剤で使用されうる。
【0093】
安定な製剤はまた、N−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン化合物、水膨潤性ポリマー、および香料を含み得る。限定を意図しない例として、安定な製剤は1%AA−1および0.1%シネオールにおいて1%N,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリンを含み得る。別の例において、製剤は、1%Polyox(登録商標)205および0.2%3−オクタノン中に0.3%N,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリンを含み得る。別の例は下記の実施例2〜5に示される。
【0094】
図5に関して、0.5%シネオール中に2%NVC−422である水性製剤は、約25℃にて少なくとも155日間、95%安定性を有する。0.1%、0.2%、0.3%および0.4%の濃度のシネオールを使用する製剤もまた、この安定性プロファイルに適合した。各々、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、および0.5%の3−オクタノン中に2%NVC−422である水性製剤は、約25℃にて少なくとも132日間、90%安定性を有した。
【0095】
本明細書に記載される製剤の抗菌活性もまた、放射状の拡散アッセイによって示されうる。図6は、0.6%NVC−422単独および0.75%AA−1処方物中(左プレート)および3%Polyox(登録商標)205処方物中(右プレート)での製剤の放射状の拡散アッセイの結果を示す;ポリマー単独の活性を、対照用に示す(各プレートの左)。図7および8はいくつかのNVC−422のパヒューム製剤の同様の結果を示す。更なる詳細は実施例7−8を参照。
【0096】
特定のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン化合物のポリマー製剤は、N−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン化合物単独を含む溶液と比較して、増強した抗菌性(例えば抗菌性、抗ウイルス性、抗真菌性等)活性を有しうる。例えば、図9は、1%Polyox(登録商標)WSR−205(特定の図(figure)において「Polyox205」、または「Polyox」)中に0.3%NVC−422である製剤は、0.3%NVC−422を単独で使用したときよりもより急速にS.アウレウス(aureous)を殺すことを示す。しかしながら、ポリマーに対するN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン化合物の割合の全てが、該増強した活性を示すとは限らない。図10は3%Polyox(登録商標)205中に0.6%NVC−422である製剤は、0.6%NVC−422溶液(ポリマー不含)とほぼ同じ割合でS.アウレウスを殺すことを示す。
【0097】
図11に関して、0.75%AA−1中に0.6%NVC−422である製剤に曝されたときに、0.6%NVC−422(水性溶液中)または0.75%AA−1単独溶液に曝されたときと比較して、より多くの量のS.アウレウスが殺された。実施例9も参照。図12は、3%Polyox(登録商標)205中に0.6%NVC−422である製剤の増強した活性を示す。これらの増強した製剤例におけるS.アウレウスを殺す度合いは、該製剤の個々の成分の単なる相加作用より、より大きいことが明らかに認められる。
【0098】
本明細書に記載される製剤は対象へ適用するための抗菌性製剤として使用され得、およびバクテリア活性、微生物活性、胞子活性、真菌活性またはウイルス活性によって引き起こされる感染を予防または治療する方法、有効量の製剤を投与することを含む該方法において有用であり得る。該製剤は、該ポリマーを含まない該抗菌剤の適用と比較して、改良された接着、活性、該抗菌剤の持続放出、および他の特性を提供しうる。これらの製剤は、対象の外部領域(例えば皮膚、毛、および爪)に、粘膜(例えば、頬粘膜、食道粘膜、胃粘膜、腸粘膜、嗅粘膜、口腔粘膜、気管支粘膜、子宮内膜)、および体の他の領域(例えば目、尿道、直腸および腟)に適用されうる。例えば、1%AA−1中に1.5%NVC−422である製剤は、バクテリアの皮膚感染(例えば座瘡、蜂巣炎、膿瘡、毛包炎(folliculitus)、フルンケル症、および膿痂疹)を治療するための方法に使用され得、該方法は、目的の領域に有効量の該製剤を投与することを含む。
【0099】
本明細書に記載される製剤はまた、パーソナルケア用または化粧用物品(例えば手用殺菌剤、抗菌性洗剤またはワイプ、抗菌性制汗剤または脱臭剤、局所皮膚または創傷殺菌剤、洗顔料、ボディソープ、座瘡治療または抗座瘡リンス、女性衛生用品、シャンプー、およびデンタルリンス(例えばマウスウォッシュ))として、またはそれらの一部として使用されうる。
【0100】
本明細書に記載される製剤はまた、他の適用、例えば溶液中または表面の微生物の増殖を制御または減らすことに有用であり得(例えばコンタクトレンズクレンザーとして)、バクテリアの不活性化、眼科用、一般的な外科的準備(preparation)(例えば、腫瘍学)、手術器具消毒、医療装置および機器消毒、歯科用機器消毒および表面領域の消毒を含む食品衛生での適用に有用であり得る。
【0101】
該本明細書に記載される製剤はまた、真菌の感染、例えば急性または慢性鼻副鼻腔炎または他の真菌の感染(例えば耳炎、皮膚炎、気管支炎(Bronchititis)、肺炎(例えばニューモシスティス・カリニ)、生殖器の真菌の感染(例えば膣炎、子宮内膜炎、亀頭炎(Balnitis))、消化管の真菌の感染(例えば口内炎、食道炎、腸炎)、または尿道の真菌の感染(例えば腎盂腎炎(Pyelonephrititis)、尿管炎、膀胱炎、または尿道炎)の治療用として有用であり得る。さらに、該本明細書に記載される製剤は、多くの他の微生物、例えば、エシェリキア・コリ、リステリア・モノサイトゲネス、スタフィロコッカス・アウレウス、メチシリン耐性S.アウレウス(MRSA)、シュードモナス・エルジノーサ、乳酸菌、イースト、バンコマイシン耐性腸球菌、カビ、および胞子(炭疽菌の胞子およびアカントアメーバの嚢胞を含む)に対する抗菌活性を有しうる。特に、本発明の製剤は、炭疽菌のいくつかの異なる株の治療に有用であり得る。バンコマイシン耐性バクテリア、MRSA、および他のものは、本発明の組成物によって容易に破壊される。歯周病に関わり、本発明の化合物によって破壊されるバクテリアの例には、Bacteriodes gingivalis、B. intermedius、Actinomyces actinomycetemcomitansおよびB. forsythusが挙げられる。乳腺炎(ウシ乳房感染)に関わり、および該化合物によって殺されるバクテリアの例には、ストレプトコッカス・アガラクチアおよびストレプトコッカス・インファンタリウスが挙げられる。他の適用も想定されうる。
【実施例】
【0102】
実施例1:AA−1ゲル製剤
1%AA−1中に1%N,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリンである製剤を下記のように調製した。Noveon(登録商標)AA−1ポリカルボフィルの1.5%(w/v)溶液を、該ゲル化剤を、該ゲル化剤が凝集するのを防ぐために攪拌しながら、ゆっくりと水に加えることによって調製した。N,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリン(w/v)の4%溶液を別に調製した。該2つの溶液量を、ついで、混合して、1%N,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリン/1%AA−1溶液を得た。溶液のpHを、約5.0に、HCl(および必要であればNaOH)を用いて調整した。
【0103】
実施例2:シネオール製剤
0.2%シネオール中に1%N,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリン(「NVC−422」)である溶液を、1%NVC−422(w/v)をの0.9%食塩溶液(NaCl)(100ml)に混合し、続いて、0.2%1,8−シネオール(v/v)を添加することによって調製した。生じた溶液は、澄明で無色であり、およびスパイシーな、ユーカリ様のにおいを有した。
【0104】
実施例3:3−オクタノン製剤
0.5%3−オクタノン中に1%NVC−422である溶液を、1%NVC−422(w/v)を0.9%食塩(NaCl)溶液(100ml)に混合し、続いて、0.5%3−オクタノン(v/v)を添加することによって調製した。生じた溶液は澄明で無色であり、および強くて、甘い、花のにおいがした。
【0105】
実施例4:カンファー製剤
0.1%カンファー中に1%NVC−422である溶液を、1%NVC−422(w/v)を0.9%食塩(NaCl)溶液(100ml)に混合し、続いて、0.1%カンファー(w/v)を添加することによって、調製した。生じた溶液は澄明で無色であり、および木のような、バニラまたはユーカリ様のにおいを有した。
【0106】
実施例5:皮膚適用のためのゲル
手用衛生剤、座瘡リンス、または他の皮膚適用のためのゲルを下記のように調製した。1%NVC−422/1%AA−1溶液を実施例1に従って調製した。ついで、約0.1%シネオール(v/v)を加え、生じた製剤をよく混合した。
【0107】
実施例6:抗菌性ゲル製剤の時間−殺アッセイ
単離したS.アウレウスコロニーを、5mLのTryptic Soy ブロス(TSB)に入れ、37℃で4−6時間増殖させた。ストックタイター(Stock titer)をドロッププレート(drop plate)法によって決定した。該培養液を1.5x10コロニー形成単位(CFU)/mL(pH4.0滅菌食塩水)の最終接種菌液に希釈することによって、S.アウレウスの研究用ストック(working stock)を調製した。各試験された製剤(900μL)を滅菌ガラス管に入れた。1.5x10CFU/mLを含有するS.アウレウス懸濁液のアリコート(0.1mL)をテスト試料容器に接種し、1.5x10CFU/mLの最終接種菌液を得た。接種された製剤を、ボルテックスを用いて接種の後直ちに3秒間混合し、室温温度でインキュベートした。接種されたサンプルに関し、下記のように、接種後0、5、15、30および60分後にプレートカウントを行った:
接種された抗菌性テスト薬剤(0.1mL)をD/E中和ブロス(0.9mL)に入れた。
D/Eブロス中の各サンプルのアリコート(0.1mL)を適当にラベル付けされた寒天皿にドロッププレート(drop plate)した。
【0108】
全てのプレートを、バクテリアの増殖評価のために、37℃で24時間インキュベートした。該培養時間の終わりに、プレート上に存在するコロニーの数を数えた。得られたCFUカウントに該希釈係数を掛けることによって各時点での生存の総数を計算した。
【0109】
図3にグラフ形状で示された結果は、0.3%NVC−422/1%Polyox(登録商標)での処理は、30分で完全な殺菌をもたらし、一方、0.3%NVC−422単独での処理は、1時間で完全な殺菌をもたらしたことを示す。1%Polyox(登録商標)単独(プラセボ)は、抗菌性活性を示さなかった。
【0110】
図4にグラフ形状で示された結果は、0.6%NVC−422/3%Polyox(登録商標)および0.6%NVC−422単独での処理は、15分で完全な殺菌をもたらしたことを示す。1%Polyox(登録商標)単独(プラセボ)は、抗菌性活性を示さなかった。
【0111】
実施例7:抗菌性ゲル製剤の放射状の拡散アッセイ
0.6%NVC−422(薬物コントロール)、液体、pH=5.0;3%Polyox(登録商標)WSR205(プラセボ)液体、R.T.pH=5.0;0.6%NVC−422/3%Polyox(登録商標)WSR205、液体、R.T.、pH=5.0;0.75%AA−1(プラセボ)、0.6%NVC−422/0.75%AA−1および0.23%AA−1(別のプラセボ)を含有するバイアルを調製した。最初の3個の被験物質は澄明な液体として現れ、一方、最後の3個は、ゲルとして現れた。該サンプルを、S.アウレウス29213に対する放射状の拡散アッセイで試験した。各製剤(100μl)を、各々2つのプレートで、2重に、試験した(n=4トータル)。
【0112】
結果は図6に示される。これらの結果は下記のように要約されうる:
0.6%NVC−422、pH5は、15.3mmのクリアリングゾーン(clearing zone)を生じた(テーブル1)。
3%Polyox(登録商標)および0.75%AA−1(NVC−422無し)(プラセボ)は、クリアリングゾーンを生じなかった。
テスト製剤(0.6%NVC−422/3%Polyox(登録商標)および0.6%NVC−422/0.75%AA−1)は、各々、12.5mmのクリアリングゾーンを生じ、製剤中のNVC−422の活性は、食塩水中のNVC−422と比較して幾分減少しうることを示した。
【表1】

【0113】
実施例8:抗菌性パヒューム製剤の放射状の拡散アッセイ
N,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリン(「NVC−422」)の抗菌活性を示す放射状の拡散アッセイを下記のように行った。製剤サンプルを、S.アウレウス(ATCC6538)に対する放射状の拡散アッセイにおいて試験した。S.アウレウスの標準培養物を、トリプシン大豆ブロス(TSB)中で4〜6時間増殖させた。該培養物を、600nmでの吸光度測定によって、1×10CFU/mLに調節した。各トリプシン大豆寒天(TSA)プレートを滅菌綿棒を用いて接種し、インキュベーター中、35℃で2時間乾燥した。プレート毎に計6ウェル(8mm生検パンチを用いて)を作り、製剤(100μl)を各ウェルにピペットで入れた。該TSAプレートを35℃で終夜インキュベートした。クリアリングゾーンの平均直径を、翌日測定した。各製剤を2つのウェルに適用した。図7−8に関して、左の列は、NVC−422単独の活性を示し、中央の列は、パヒューム製剤中のNVC−422の活性を示し、右の列は、香料単独(負の対照)の活性を示す。これらの結果は、NVC−422は試験されたパヒューム製剤中で抗菌性活性を有することを示す。
【0114】
実施例9:カルガリーバイオフィルムデバイス(MBEC商標)アッセイ
方法:
生存細胞カウント
下記の方法を用いる処置の前に、S.アウレウス6538バイオフィルムを、「最小バイオフィルム除去濃度」(「MBEC」)プレート中、TSB中、35℃で、24時間増殖させた:
貯蔵用(stock)寒天プレートから、十分に単離したコロニーを、各生物体についてATCC製品仕様書(product specification sheet)に指定された適当なブロス培地(4〜5ml)に移すことによって、標準接種菌液(standard inoculum)を調製する。振盪機で37℃にて4〜6時間インキュベートする。
標準接種菌液(〜2ml)をブロス培地(20ml)を含有する50mlの円錐管に加える。接種菌液濃度を吸光度測定0.04〜0.05(600nm)になるように調製する。管をゆっくり振盪し、滅菌溶液ボウル(basin)に移す。希釈された接種菌液(150μl)を該カルガリーバイオフィルムデバイスプレートの各ウェルにピペットで入れる。プレートを振盪機上に置き、プレートを37℃でインキュベートする。該振盪機を100〜150回転/分(RPM)にセットする。
希釈された標準接種菌液について、連続希釈法の寒天プレーティング、または他の方法(例えば濁度基準との比較)によって、実際のバクテリアのタイターを決定する。希釈された接種菌液は約10CFU/mlとすべきである。
PBS(200μL)、D/E中和ブロス(200μL)、D/E中和ブロス(270μl)を黒色Costarプレートの各ウェルにピペットで入れる。
24時間後、リッド(lid)を外し、200μLのPBSプレート中で1分間リンスし、浮遊細胞をゆすぎ落とす。該リッド(lid)をD/E中和ブロス(200μL)を含有する別のプレートに入れ、水浴中で15分間超音波処理する。超音波処理の後、該分散させたバイオフィルムから30μLを取り出し、D/E中和ブロス(270μl)を含有するプレートに連続希釈する。
【0115】
計60分間製剤を含有するプレートで処置する前に、バイオフィルムでコーティングされたペグ(peg)を含有するMBECリッド(lid)を、まず、各ウェルにPBS(200μl)を含有するプレート中で1分間リンスした。該リッド(lid)を、各ウェルにD/E中和ブロス(200μl)を含有するプレート中で中和し、直ちに15分間超音波処理した。連続希釈を行って、生存細胞カウントを計算した。
【0116】
吸光度測定
上述の方法を用いる処置の前に、S.アウレウス6538バイオフィルムを、MBECプレート中で、24時間、35℃にて、24時間、TSB中にて増殖させた。計60分間、製剤を含有するプレートで処置する前に、バイオフィルムでコーティングされているペグ(peg)を含有するMBECリッド(lid)を、まず、各ウェルにPBS(200μl)を含有するプレート中で、1分間リンスした。リッド(lid)を、各ウェルにTSB(150μl)を含有するプレートに該リッドを移す前に、各ウェル中にD/E中和ブロス(200μl)を含有するプレート中で1分間中和した。プレートを35℃で終夜インキュベートした。吸光度を翌日に650nmにて測定した。
【0117】
結果:
0.6%NVC−422(PH0811/37−1)0.23%AA−1(PH0811/36−2)0.75%AA−1(PH0811/36−3)、0.6%NVC−422/0.75%AA−1(PH0811/36−4)、3%Polyox(登録商標)WSR205(PH0811/36−5)、0.6%NVC−422/3%Polyox(登録商標)WSR205(PH0811/36−6)を含有するバイアルを調製した。全ての溶液は、pH5.0であった。全てのサンプルを、S.アウレウス6538に対するMBEC96ウェルアッセイで同時に試験した。
【0118】
生存細胞カウント結果(2つの独立した実験の平均、nウェル≦8)が図8および図9中に示される。図8に関して、0.75%AA−1中に0.6%NVC−422である製剤での処置は、水と比較して、平均約5log10の減少ををもたらした。0.6%NVC−422単独、および0.23%または0.75%AA−1単独での処置は、水と比較して、おおよそ1.5log10の減少をもたらした。図9に関して、3%Polyox(登録商標)中に0.6%NVC−422である製剤での処置は、水と比較して平均約5log10の減少をもたらした。0.6%NVC−422単独および3%Polyox(登録商標)単独での処置は、水と比較して、約1.5log10の減少をもたらした。
【0119】
テーブル2は吸光度測定(650nm)を示す。0.1より大きい吸光度値は、不完全なバイオフィルム根絶と示される。
【表2】

【0120】
要約すれば、0.6%NVC−422/3%Polyox(登録商標)または0.6%NVC−422/0.75%AA−1での処置は、4log10の減少をもたらした。0.6%NVC−422単独での処置は、水と比較して1log10の減少をもたらした。3%Polyox(登録商標)、0.23%AA−1または0.75%AA−1単独での処置は、わずかな抗菌性活性またはゲルの粘性に起因するペグ(peg)からの生物量(biomass)の機会的除去のいずれかを有した。吸光度測定は、0.6%NVC−422/3%Polyox(登録商標)または0.6%NVC−422/0.75%AA−1による完全なバイオフィルム根絶があったという生存細胞カウント結果と一致した。
【0121】
多くの本発明の実施態様が記載された。それにもかかわらず、さまざまな変更が本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされうることが理解されるであろう。従って、他の実施態様が特許請求の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
A−C(R)R(CHC(R)−Y−Z(I)
[式中、
Aは、水素、HalNH−またはHalN−であり、ここでHalはクロロ、ブロモおよびヨードからなる群から選択されるハロゲンであり;
は、水素または適宜置換された、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルおよび−COOHからなる群から選択される基であり;
は、水素または適宜置換された、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルからなる群から選択される基であるか、
またはR’およびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって適宜置換されたシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基を形成し;
Rは、炭素−炭素一重結合または3〜6個の炭素原子を有する二価のシクロアルキレンラジカルであり,
nは、0または1〜13の整数であり;
およびRは各々独立して、水素、フルオロ、−NH、−NHHal、NHal、ならびに適宜置換された、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキル基からなる群から選択される基からなる群から選択され;
Yは、一重結合、−O−、−CF−、−CHF−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NR−、−NRC(=O)−、P(=O)(OR)O−、−OP(=O)(OR)−、−P(=O)(OR)NR−、−NRP(=O)(OR)−、−S(=O)、−S(=O)O−、−OS(=O)−、−S(=O)NR−、−NRS(=O)−、またはヘテロアリーレン(ここでR、R、RおよびRは、各々独立して、水素、ならびに適宜置換された、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルからなる群から選択される);1または2個のメチレン基はモノまたはジ置換されたメチレン基で任意に置き換えられている二価の(C1−18)アルキレン基;および二価の(C1−18)ヘテロアルキレン基〔ここで該二価の(C1−18)ヘテロアルキレン基は1または2個のメチレン基が1または2個の−NR’−、−O−、−S−、−S(=O)−、>C=O、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−C(=O)NR’−、−NR’C(=O)−、−S(=O)−、−S(=O)NR’−、−S(=O)NH−、−NR’S(=O)−または−NHS(=O)−基で任意に置き換えられた二価の(C1−18)アルキレン基であり、ここで、R’は、水素、Cl、Br、ならびに適宜置換された、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルコキシC(=O)−、RNC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−10)アリールC(−O)−および(C6−10)アリール(C1−4)アルキルC(=O)−からなる群から選択され、さらにここでRおよびRは各々独立して、水素、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、4〜10個の環原子を含み、環中に少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含むヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキル(C1−4)アルキル(該ヘテロシクロアルキル基は2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含有する)である〕からなる群から選択され;
Zは水素、−COH、−CONH、−SOH、−SONH、−P(=O)(OH)、−B(OH)、−[X(R)(R)R]Q、−S(=O)NR、−S(=O)NHC(=O)R、S(=O)OC(=O)NR、−S(=O)NRC(=O)NRおよび−S(=O)(N=)C(OH)NRからなる群から選択され、ここで、RおよびRは各々独立して、水素であるか、または(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−10)アリールC(=O)−、(C6−10)アリール(C1−4)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、4〜10個の環原子を含み、環中に少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含むヘテロアリール、および2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキルからなる群から独立して選択され、およびRは水素であるか、または(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、4〜10個の環原子を含み、環中に少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含むヘテロアリール、および2〜10個の炭素原子および1〜4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキルからなる群から選択され;または塩、そのアミンオキシド、またはその誘導体またはバイオアイソスターまたはプロドラッグ;
Xは、N、P、およびSからなる群から選択され;
Qは、対イオンであるかまたは存在せず;
およびRは各々独立して、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、それらは各々適宜置換されていてもよく;またはRとRはそれらが結合しているX原子と一緒になってヘテロシクロアルキル基を形成し、それは適宜置換されていてもよく;および
はアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、それらは各々適宜置換されていてもよく、またさらに、XがNのときはOであってもよく、ただしXがSのとき、Rは存在せず;
ただし、Rが二価のシクロアルキレンラジカルのとき、nは整数11を超えない;]
の化合物またはその誘導体を含む製剤であって、
該化合物は、水膨潤性ポリマー中に分散され;および
該化合物は、約25℃で少なくとも30日間90%安定である、製剤。
【請求項2】
該式(I)の化合物が、式(IA):
A−C(R)R(CH−C(R)−X’(IA)
[式中、
Aは、水素、HalNH−またはHalN−であり、ここでHalは、クロロ、ブロモおよびヨードからなる群から選択されるハロゲンであり;
は、水素、C1−6アルキルまたは基−COOHであり;
は、水素またはC1−6アルキルであるか;
またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、(C−C)シクロアルキル環を形成し;
Rは、炭素−炭素一重結合または3〜6個の炭素原子を有する二価のシクロアルキレンラジカルであり;
nは、0または1〜13の整数であり;
は、水素、C1−6アルキル、−NHまたは−NHalであり;
は、水素またはC1−6アルキルであり;および
X’は、水素、−COOH、−CONH、−SOH、−SONH、−P(=O)(OH)または−B(OH)であり;
ただし、Rが、二価のシクロアルキレンラジカルであるとき、nは整数11を超えない]
の化合物またはその誘導体である、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
AがHalNH−またはHalN−であり;
およびRが各々独立して、適宜置換されたアルキルであり;
Rが炭素−炭素一重結合であり;
nが1〜3の整数であり;
およびRが共に水素であり;
Yが一重結合であり;
Zが−SOHまたは−[X(R)(R)R]Qであって、ここでXがN、SまたはPであり;R、R、およびRが独立して適宜置換されたアルキルであり;およびQが対イオンであるかまたは存在しない、
請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
該式(I)の化合物が、
N,N−ジクロロタウリン;
N,N−ジクロロ−2−メチルタウリン;
N,N−ジクロロ−2,2,3,3−テトラメチル−β−アラニン;
N,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリン;
N,N−ジクロロ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;
N,N−ジブロモ−2,2−ジメチルタウリン;
N,N−ジブロモ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;
N,N−ジヨードタウリン;
N,N−ジクロロ−3,3−ジメチルホモタウリン;
N,N−ジクロロ−2−メチル−2−アミノ−エタンスルホン酸;
N,N−ジクロロ−1−メチル−エタンスルホン酸;
N,N−ジクロロ アミノ−トリメチレン ホスホン酸;
N,N−ジブロモ−2−アミノ−5−ホスホノペンタン酸(phosphonopantanoic acid);
N,N−ジクロロ アミノ−エチルホスホン酸 ジメチルエステル;
N,N−ジクロロ アミノ−エチルホスホン酸 ジエチルエステル;
N,N−ジクロロ−1−アミノ−1−メチルエタン ホスホン酸;
N,N−ジクロロ−1−アミノ−2−メチルエタン ホスホン酸;
N,N−ジクロロ−1−アミノ−2−メチルプロパン ホスホン酸;
N,N−ジクロロ−ロイシン ホスホン酸;
N,N−ジクロロ−4−アミノ−4−ホスホノ酪酸;
(±)N,N−ジクロロ−2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸;
N,N−ジクロロ−(+)2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸;
N,N−ジクロロ d,l−2−アミノ−3−ホスホノプロピオン酸;
N,N−ジクロロ−2−アミノ−8−ホスホノオクタン酸;
N,N−ジクロロ−ロイシン ボロン酸;
N,N−ジクロロ−β−アラニン ボロン酸;
N−クロロタウリン;
N−クロロ−2−メチルタウリン;
N−クロロ−2,2,3,3−テトラメチル−β−アラニン;
N−クロロ−2,2−ジメチルタウリン;
N−クロロ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;
N−ブロモ−2,2−ジメチルタウリン;
N−ブロモ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;
N−ヨードタウリン;
N−クロロ−3,3−ジメチルホモタウリン;
N−クロロ−2−メチル−2−アミノ−エタンスルホン酸;および
N−クロロ−1−メチル−エタンスルホン酸;
N−クロロ アミノ−トリメチレン ホスホン酸;
N−ブロモ−2−アミノ−5−ホスホノペンタン酸(phosphonopantanoic acid);
N−クロロ アミノ−エチルホスホン酸(ethylphosponic acid)ジメチルエステル;
N−クロロ アミノ−エチルホスホン酸(ethylphosponic acid)ジエチルエステル;
N−クロロ−1−アミノ−1−メチルエタン ホスホン酸;
N−クロロ−1−アミノ−2−メチルエタン ホスホン酸;
N−クロロ−1−アミノ−2−メチルプロパン ホスホン酸;
N−クロロ−ロイシン ホスホン酸;
N−クロロ−4−アミノ−4−ホスホノ酪酸;
(±)N−クロロ−2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸;
N−クロロ−(+)2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸;
N−クロロ d,l−2−アミノ−3−ホスホノプロピオン酸;
N−クロロ−2−アミノ−8−ホスホノオクタン酸;
N−クロロ−ロイシン ボロン酸;
N−クロロ−β−アラニン ボロン酸;
(1−(ジクロロアミノ)シクロヘキシル)メタンスルホン酸;
(1−(クロロアミノ)シクロヘキシル)メタンスルホン酸;
2−(クロロアミノ)−N,N,N−2−テトラメチルプロパン−1−アンモニウム クロリド;
2−(ジクロロアミノ)−N,N,N−2−テトラメチルプロパン−1−アンモニウム クロリド;
3−(クロロアミノ)−N,N,N−3−テトラメチルブタン−1−アンモニウム クロリド;
3−(ジクロロアミノ)−N,N,N−3−テトラメチルブタン−1−アンモニウム クロリド;
1−(2−(ジクロロアミノ)−2−メチルプロピル)−1−メチルピペリジニウム クロリド;
1−(2−(クロロアミノ)−2−メチルプロピル)−1−メチルピペリジニウム クロリド;
(2−(ジクロロアミノ)−2−メチルプロピル)ジメチルスルホニウム クロリド;
(2−(クロロアミノ)−2−メチルプロピル)ジメチルスルホニウム クロリド;
(4−(ジクロロアミノ)−4−メチルペンチル)トリメチルホスホニウム クロリド;
(4−(クロロアミノ)−4−メチルペンチル)トリメチルホスホニウム クロリド;
3−(3−(ジクロロアミノ)−3−メチルブチルスルホニル)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム クロリド;
3−(3−(クロロアミノ)−3−メチルブチルスルホニル)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム クロリド;
2−(3−(ジクロロアミノ)−3−メチルブチルスルホニル)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウム クロリド;および
2−(3−(クロロアミノ)−3−メチルブチルスルホニル)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウム クロリド
から群から選択される、請求項1に記載の製剤。
【請求項5】
該水膨潤性ポリマーが、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アクリル酸)、またはその組み合わせを含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項6】
該化合物の濃度が約0.01%〜約5.0重量%であり、該ポリマーの濃度が約0.01%〜約10.0%重量であり、pHが約3.0〜約9.0である、請求項1に記載の製剤。
【請求項7】
クリーム、ゲル、ローション、軟膏、ペーストまたはエアロゾールの製剤形である請求項1に記載の製剤。
【請求項8】
請求項1の式(I)の化合物;および
香料
を含む製剤であって、
該化合物は約25℃で少なくとも30日間90%安定である、製剤。
【請求項9】
該香料が、メントール、アネトール、カルボン、オイゲノール、リモネン、オシメン、n−デシルアルコール、シトロネロール、a−テルピネオール、サリチル酸メチル、酢酸メチル、酢酸シトロネリル、シネオール(例えば1,8−シネオール、またオイカリプトールとして知られる)、カンファー、リナロール、エチルリナロール、バニリン、チモール、イソアミルフェニルエーテル、イソボルネオール、イソボルネオールメチルエーテル、2,2−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−カルボン酸メチルエステル、2−三級ペンチル シクロヘキサニル アセテート、7−オクテン−2−オール−2,6−ジメチル アセテート、1−メチル−4−イソプロピル シクロヘキサン−8−イル アセテート、テトラヒドロゲラニオール、2,6−ジメチルヘプタン−2−オール、ジフェニルメタン、酸化ジフェニル、アルファ−フェンチル アセテート、1,3−ジオキサン−2,4,6−トリメチル−4−フェニル、4−メチル−2−(2−メチルプロピル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オール、エチル トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボキシレート、2−メチルデカノニトリル、2−ブチル−4,4,6−トリメチル−1,3−ジオキサン、2−ブチル−4,4,6−トリメチル−1,3−ジオキサン、リメトール、3,12−トリデカジエン ニトリル、メチルラベンダーケトン、オクタナールジメチル アセタール、オレンジフラワーエーテル(すなわち4−(1−メトキシ−1−メチルエチル)−1−メチルシクロヘキセン)、p−三級ブチル シクロヘキサノール、ベンゼン ペンタノール、ガンマ−ベチル(bethyl)、3−オクタノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、2,6−ジメチル−2−オクタノール、2−オクタノン、3−オクタノン、チミルメチルエーテル、オルト−三級ブチル シクロヘキサニル アセテート、ベンゼン、[2−(1−エトキシエトキシ)エチル−1−エトキシ−1−(2−フェニルエトキシ)エタン、シクロヘキシルフェニルエチルエーテル、1−(4−イソプロピルシクロヘキシル)エタノール、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−エチル−5−メトキシトリシクロ[2.2.1.0.2.6]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−エチル−6−メトキシトリシクロ[2.2.1.0.2.6]ヘプタン、スペアミントオイル、ペパーミントオイル、レモンオイル、オレンジオイル、セージオイル、ローズマリーオイル、シナモンオイル、ピメントオイル、桂皮オイル、エゴマオイル、ウィンターグリーンオイル、クローブオイルおよびユーカリオイルからなる群から選択される、請求項8に記載の製剤。
【請求項10】
シネオールおよび3−オクタノンからなる群から選択される香料をさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項11】
該式(I)の化合物が、N,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリン、N−クロロ−2,2−ジメチルタウリン;2−(3−(ジクロロアミノ)−3−メチルブチルスルホニル)エタンスルホン酸;2−(4−(ジクロロアミノ)−4−メチルペンチルスルホニル)エタンスルホン酸;3−(ジクロロアミノ)−N,N,N,3−テトラメチルブタン−1−アミニウム クロリド;1−(2−(ジクロロアミノ)−2−メチルプロピル)−1−メチルピペリジニウム クロリド;3−(ジクロロアミノ)−N,N−ジエチル−N,3−ジメチルブタン−1−アミニウム クロリド;および3−(ジクロロアミノ)−N,N,N−トリエチル−3−メチルブタン−1−アミニウム クロリドからなる群から選択され;および
該ポリマーが、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アクリル酸)、またはその組み合わせである、請求項1に記載の製剤。
【請求項12】
シネオールおよび3−オクタノンからなる群から選択される香料をさらに含む、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
請求項1に記載の製剤を含有することを特徴とする、手用滅菌剤、抗菌性洗剤またはワイプ、局所皮膚または創傷滅菌剤、洗顔料、ボディソープ、座瘡治療または抗座瘡リンス、女性衛生用品、シャンプー、およびデンタルリンスを含む群から選択されるパーソナルケア用または化粧用物品。
【請求項14】
バクテリア活性、微生物活性、胞子活性、真菌活性またはウイルス活性によって引き起こされる感染を治療するための方法であって、請求項1に記載の製剤を投与することを含む、治療方法。
【請求項15】
該感染がバクテリアの皮膚感染である、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−500209(P2012−500209A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523153(P2011−523153)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/053625
【国際公開番号】WO2010/019723
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(302058613)ノバベイ・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】NOVABAY PHARMACEUTICALS,INC.
【Fターム(参考)】