説明

抗菌性プラスチック製品およびその製造方法

【課題】抗菌性プラスチック製品およびその製造方法の提供。
【解決手段】本発明は、抗菌活性成分として、オルトリン酸銀、または部分還元オルトリン酸銀の粒子を含む抗菌性プラスチック製品に関する。前記プラスチック製品は、非常に良好な抗菌効力を有する。その製造法は、前記プラスチック製品が、オルトリン酸銀または部分還元オルトリン酸銀の含量にも関わらず、光の作用下で変色しないという効果を実現する。本発明の第1の実施形態によれば、本発明の目的は、本発明に記載の段階を含む、抗菌作用のあるプラスチック製品を製造するための方法により実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌性プラスチック製品およびその製造方法に関する。前記製品は、特に、例えばカテーテルなどの医療品に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック表面は、微生物、特に細菌によるコロニー形成を容易に受ける。微生物は、プラスチック表面に付着し、繁殖できる結果、そのプラスチック品目は微生物のフィルムに覆われる。表面が細菌によるコロニー形成を受けたプラスチック品目と接触することにより、感染を引き起こす恐れがある。これは、一般に望ましくないが、特に、医療分野でプラスチック製品を使用する場合、不都合である。
【0003】
例えば、中央静脈カテーテル、創傷カテーテル、脳室カテーテル、腰部カテーテル、腹腔内カテーテルまたは尿道カテーテルなどのカテーテルは、一般にプラスチックから作製される。他方で、微生物で汚染されたカテーテルの使用を介して、感染をしばしば引き起こす恐れがあることが知られている。
【0004】
感染の危険性を減少させるために、プラスチックは、抗菌性を普通備えている。抗菌作用を有する金属、特に銀が、この目的に使用される。
【0005】
特許文献1には、ポリウレタンフィルムに金属銀を蒸着した、プラスチック物体の製造法が記載されている。次いで、1層の銀で被覆したそのフィルムは、裁断される。こうして得られた材料は溶融され、特に医療用のプラスチック物体に成形される。
【0006】
特許文献2は、中間製品からの抗菌性プラスチック物体の製造法を開示している。この方法では、中間製品の少なくとも1つの成分が、金属コロイドで処理される。次いで、プラスチック物体が成形される。金属コロイドは、好ましくはコロイド銀である。
【0007】
特許文献3には、中間製品からの抗菌性プラスチック物体の製造法が記載されている。この方法では、中間製品が、抗菌性金属コロイドで先ず処理される。次いで、抗菌性金属の可溶塩または難溶塩が添加される。次いで、プラスチック製品が成形される。硫酸銀およびリン酸銀が、使用できる金属塩として挙げられている。
【0008】
非特許文献1には、「Silberphosphat」(リン酸銀)の見出し語の下に以下のように述べられている:
「AgPO、分子量418.63、黄色無臭粉末、密度6.37、MP849°、希酸に可溶、オルトリン酸塩および硝酸銀の水溶液から帯黄色沈殿として形成される、明所で次第に暗色化する。」
非特許文献2には、リン酸銀について以下のように述べられている:
「AgPOは、オルトリン酸塩溶液から硝酸銀の添加により、水に難溶であるが、希酸に易溶な帯黄色沈殿として形成される・・・この化合物は、明所で次第に暗色化する。」
手引および教科書からの上掲の文章が示す一般的専門知識によれば、リン酸銀は、光安定ではないと一般に見なされている。光に偶然曝されたときの分解は、リン酸銀だけでなく、塩化銀、臭化銀およびヨウ化銀などの他の銀化合物にも関しており、写真法の開発の出発点であった。
【0009】
特許文献4は、医療品目を被覆または含浸できる抗菌性組成物を開示している。前記抗菌性組成物は、生理的に許容される、表面積の大きな粒子状の合成酸化物材料の支持体上に、塩化銀などの抗菌性銀化合物を含有する。特許文献4では、抗菌性組成物中の銀化合物は、イオン型で存在するその銀が、光または他の放射線の存在下で不安定であり、その結果、金属銀に還元されるという欠点を有すると説明されている。金属銀の還元は、色の変化を伴う。銀化合物を含有する抗菌性組成物で被覆または含浸された品目が、光に曝された場合、その品目はより暗色化する恐れがあり、大きな美観上の欠点となる。体内に導入することを意図した医療品目では、白色または実質的に白色の外観が好ましいことが多い。美観上の理由から、そのような品目が使用中に暗色化するならば、許容できない。特許文献4の教示に従えば、塩化銀の光安定性は、生理的に不活性な、表面積の大きい粒子状の合成酸化物支持体材料上に、それを被覆することにより改善することができる。
【0010】
特許文献4の教示に従えば、酸化チタン上の塩化銀が特に適切であることが分かった。更に、特許文献4では、支持体の使用により、リン酸銀の光不安定性は、塩化銀のようには抑制できないと明言されている。
【0011】
既知の銀含有プラスチック製品の抗菌効力は、表面上での銀陽イオンの放出に基づくと憶測されている。既知の抗菌性プラスチック製品が金属銀を含有するならば、この場合には、金属銀を酸化によって銀イオンに変換することが先ず必要である。この場合、銀イオンの放出が、周囲条件に左右されるという欠点がある。銀の酸化は、例えば、プラスチック製品の還元性成分で阻害することができる。例えば、ポリオールなどの比較的弱い有機還元剤が、このためにもはや十分である。
【0012】
既知のプラスチック製品が、イオン性銀化合物を含有する場合は、その銀が既に陽イオン型で存在している。しかし、こうした既知のプラスチック製品は、光に曝されると変色するという欠点を有している。仮に特許文献4の教示に従って、表面積の大きい粒子状の酸化物支持体材料にその銀化合物を適用することにより、光安定性を改善することを試みるならば、その改善は、多様な欠点を犠牲にすることになる。第1に、支持体材料自体が、銀イオンの放出を遅らせる恐れがある。第2に、プラスチック製品の組成が、各用途に適合していなければならない。この点では、光安定性を改善するために、粒子状の合成酸化物支持体材料の存在が必須であるならば、それは大きな制約となる。最後に、支持体の使用によって、リン酸銀の光不安定性は、特許文献4に言明されているように、塩化銀のようには抑制することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第95/20878号パンフレット
【特許文献2】国際公開第01/09229号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2004/024205号パンフレット
【特許文献4】欧州特許出願公開第0 251 783A2号明細書
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Rompp Chemielexikon、Stuttgart、1992年の第9版、5巻、4159頁
【非特許文献2】H. Remy、Lehrbuch der anorganischen Chemie、Akademische Verlagsgesellschaft Geest & Portig k.−G.、Leipzig 1959年、2巻、481頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、抗菌作用のあるプラスチック製品を製造するための改良法を提案することである。この目的には、上掲の欠点を有していない新規なプラスチック製品の創製も含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の実施形態によれば、この目的は、以下の段階を含む、抗菌作用のあるプラスチック製品を製造するための方法により実現される。
(a)アンモニア水中の銀塩溶液を得る段階、
(b)懸濁液中に維持される固体としてのオルトリン酸銀の沈殿形成を伴いながら、前記懸濁液のpHが6.0〜8.0の間に入るまで、リン酸を添加する段階、
(c)前記固体を分離する段階、
(d)前記固体から分離した後の洗浄水の比導電率が、50μS/cm未満の値を取るまで、小分けした脱イオン水で前記固体を繰返し洗浄する段階、
(e)前記固体を乾燥する段階、
(f)コロイド金属で処理していない、または同金属を含有していないプラスチック中間製品中に、前記固体を組み入れる段階、および
(g)プラスチック製品を成形する段階。
【0017】
本発明の第2の実施形態によれば、この目的は、以下の段階を含む、抗菌作用のあるプラスチック製品を製造するための方法により実現される。
(a)アンモニア水中の銀塩溶液を得る段階、
(b)懸濁液中に含有される固体としてのオルトリン酸銀の沈殿形成を伴いながら、前記懸濁液のpHが6.0〜8.0の間に入るまで、リン酸を添加する段階、
(c)前記固体を分離する段階、
(d)前記固体を脱イオン水中に懸濁する段階、
(e)前記懸濁液にアンモニア水を添加し、その混合物を40〜90℃の範囲の温度に加熱する段階であって、アンモニアの量が、40〜90℃の範囲の選定温度で、1wt%〜80wt%の銀イオンが溶解するような量である段階、
(f)40〜90℃の範囲の選定温度で、溶液中の銀イオンを金属銀に還元するのに十分な量で、還元剤を添加する段階であって、その結果、部分還元オルトリン酸銀が懸濁固体として形成される段階、
(g)前記固体を分離する段階、
(h)前記固体から分離した後の洗浄水の最終試料の比導電率が、20μS/cm未満の値を取るまで、小分けした脱イオン水で前記固体を繰返し洗浄する段階、
(i)前記固体を乾燥する段階、
(k)コロイド金属で処理していない、または同金属を含有していないプラスチック中間製品中に、前記固体を組み入れる段階、および
(l)プラスチック製品を成形する段階。
【0018】
本発明の第3の実施形態によれば、この目的は、以下の段階を含む、抗菌作用のあるプラスチック製品を製造するための方法により実現される。
(a)アンモニア水中の銀塩溶液を得る段階、
(b)懸濁液中に含有される固体としてのオルトリン酸銀の沈殿形成を伴いながら、前記懸濁液のpHが6.0〜8.0の間に入るまで、リン酸を添加する段階、
(c)前記固体を分離する段階、
(d)前記固体を脱イオン水中に懸濁する段階、
(e)40〜90℃の範囲の選定温度で、前記固体の懸濁液中に含有されるオルトリン酸銀の1wt%〜65wt%を金属銀に還元するのに十分な量で、還元剤を添加する段階であって、その結果、部分還元オルトリン酸銀が懸濁固体として形成される段階、
(f)前記固体を分離する段階、
(g)前記固体から分離した後、洗浄水の最終分の25℃における比導電率が、20μS/cm未満の値を取るまで、小分けした脱イオン水で前記固体を繰返し洗浄する段階、
(h)前記固体を乾燥する段階、
(i)コロイド金属で処理していない、または同金属を含有していないプラスチック中間製品中に、前記固体を組み入れる段階、および
(k)プラスチック製品を成形する段階。
【0019】
本発明の第4の実施形態によれば、この目的は、以下の段階を含む、抗菌作用のあるプラスチック製品を製造するための方法により実現される。
(a)アンモニア水中の銀塩溶液を得る段階、
(b)懸濁液中に維持される固体としてのオルトリン酸銀の沈殿形成を伴いながら、前記懸濁液のpHが6.0〜8.0の間に入るまで、リン酸を添加する段階、
(c)前記固体を分離する段階、
(d)前記固体から分離した後の洗浄水の比導電率が、50μS/cm未満の値を取るまで、小分けした脱イオン水で前記固体を繰返し洗浄する段階、
(e)前記固体を脱イオン水中に懸濁する段階、
(f)前記懸濁液にアンモニア水を添加し、その混合物を40〜90℃の範囲の温度に加熱する段階であって、アンモニアの量が、40〜90℃の範囲の選定温度で、1wt%〜80wt%の銀イオンが溶解するような量である段階、
(g)40〜90℃の範囲の選定温度で、溶液中の銀イオンを金属銀に還元するのに十分な量で、還元剤を添加する段階であって、その結果、部分還元オルトリン酸銀が固体として形成される段階、
(h)前記固体を分離する段階、
(i)前記固体から分離した後の洗浄水の最終試料の比導電率が、20μS/cm未満の値を取るまで、小分けした脱イオン水で前記固体を繰返し洗浄する段階、
(k)前記固体を乾燥する段階、
(l)コロイド金属で処理していない、または同金属を含有していないプラスチック中間製品中に、前記固体を組み入れる段階、および
(m)プラスチック製品を成形する段階。
【0020】
本発明の第5の実施形態によれば、この目的は、以下の段階を含む、抗菌作用のあるプラスチック製品を製造するための方法により実現される。
(a)アンモニア水中の銀塩溶液を得る段階、
(b)懸濁液中に維持される固体としてのオルトリン酸銀の沈殿形成を伴いながら、前記懸濁液のpHが6.0〜8.0の間に入るまで、リン酸を添加する段階、
(c)前記固体を分離する段階、
(d)前記固体から分離した後、洗浄水の最終分の25℃における比導電率が、50μS/cm未満の値を取るまで、小分けした脱イオン水で前記固体を繰返し洗浄する段階、
(e)前記固体を脱イオン水中に懸濁する段階、
(f)40〜90℃の範囲の選定温度で、前記固体の懸濁液中に含有されるオルトリン酸銀の1wt%〜65wt%を金属銀に還元するのに十分な量で、還元剤を添加する段階であって、その結果、部分還元オルトリン酸銀が懸濁固体として形成される段階、
(g)前記固体を分離する段階、
(h)前記固体から分離した後、洗浄水の最終分の25℃における比導電率が、20μS/cm未満の値を取るまで、小分けした脱イオン水で前記固体を繰返し洗浄する段階、
(i)前記固体を乾燥する段階、
(k)コロイド金属で処理していない、または同金属を含有していないプラスチック中間製品中に、前記固体を組み入れる段階、および
(l)プラスチック製品を成形する段階。
【0021】
本発明の第6の実施形態によれば、この目的は、以下の段階を含む、抗菌作用のあるプラスチック製品を製造するための方法により実現される。
(a)アンモニア水溶液中の銀塩溶液を得る段階、
(b)懸濁液中に含有される固体としてのオルトリン酸銀の沈殿形成を伴いながら、前記懸濁液のpHが6.0〜8.0の間に入るまで、リン酸を添加する段階、
(c)前記固体を分離する段階、
(d)前記固体から分離した後、洗浄水の最終分の25℃における比導電率が、50μS/cm未満、好ましくは20μs/cm未満の値を取るまで、小分けした脱イオン水で分離した前記固体を繰返し洗浄する段階、
(e)前記固体を乾燥する段階、
(f)場合により前記乾燥固体を粉砕する段階、
(g)前記固体を脱イオン水中に懸濁し、その懸濁液を70℃〜100℃の範囲の温度に加熱する段階、
(h)クエン酸塩、好ましくはクエン酸三ナトリウムを脱イオン水中に溶解し、その水溶液を70℃〜100℃の範囲の温度に加熱する段階であって、クエン酸塩の量が、前記粉砕固体の懸濁液中に含有されるオルトリン酸銀の1wt%〜65wt%を、金属銀に還元するのに十分であるような量である段階、
(i)前記クエン酸塩水溶液を前記懸濁液へ1度に添加し、前記懸濁液を70℃〜100℃の範囲の温度で撹拌し、それにより部分還元オルトリン酸銀の固体としての形成を伴う段階であって、前記温度が、熱を加えることにより上掲の範囲に維持される段階、
(k)熱を加えることを終了し、更に、前記懸濁液が室温に冷却するまで、それを撹拌する段階、
(l)前記固体を分離する段階、
(m)前記固体を分離した後、洗浄水の最終分の25℃における比導電率が、20μS/cm未満の値を取るまで、小分けした脱イオン水で前記固体を繰返し洗浄する段階、
(n)前記固体を乾燥する段階、
(o)コロイド金属で処理していない、または同金属を含有していないプラスチック中間製品中に、前記固体を組み入れる段階、および
(p)プラスチック製品を成形する段階。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
抗菌作用のあるプラスチック製品を製造する方法であって、
(a)アンモニア水中の銀塩溶液を得る段階、
(b)懸濁液中に維持される固体としてのオルトリン酸銀の沈殿形成を伴いながら、前記懸濁液のpHが6.0〜8.0の間に入るまで、リン酸を添加する段階、
(c)前記固体を分離する段階、
(d)前記固体を分離した後、洗浄水の最終分の25℃における比導電率が、50μS/cm未満の値を取るまで、小分けした脱イオン水で前記固体を繰返し洗浄する段階、
(e)前記固体を乾燥する段階、
(f)コロイド金属で処理していない、または同金属を含有していないプラスチック中間製品中に、前記固体を組み入れる段階、および
(g)プラスチック製品を成形する段階
を含む方法。
(項目2)
抗菌作用のあるプラスチック製品を製造する方法であって、
(a)アンモニア水中の銀塩溶液を得る段階、
(b)懸濁液中に含有される固体としてのオルトリン酸銀の沈殿形成を伴いながら、前記懸濁液のpHが6.0〜8.0の間に入るまで、リン酸を添加する段階、
(c)前記固体を分離する段階、
(d)前記固体を脱イオン水中に懸濁する段階、
(e)前記懸濁液にアンモニア水を添加し、その混合物を40〜90℃の範囲の温度に加熱する段階であって、アンモニアの量が、40〜90℃の範囲の選定温度で、1wt%〜80wt%の銀イオンが溶解するような量である段階、
(f)40〜90℃の範囲の選定温度で、溶液中の銀イオンを金属銀に還元するのに十分な量で、還元剤を添加する段階であって、その結果、部分還元オルトリン酸銀が懸濁固体として形成される段階、
(g)前記固体を分離する段階、
(h)前記固体を分離した後、洗浄水の最終分の25℃における比導電率が、20μS/cm未満の値を取るまで、小分けした脱イオン水で前記固体を繰返し洗浄する段階、
(i)前記固体を乾燥する段階、
(k)コロイド金属で処理していない、または同金属を含有していないプラスチック中間製品中に、前記固体を組み入れる段階、および
(l)プラスチック製品を成形する段階
を含む方法。
(項目3)
抗菌作用のあるプラスチック製品を製造する方法であって、
(a)アンモニア水中の銀塩溶液を得る段階、
(b)懸濁液中に含有される固体としてのオルトリン酸銀の沈殿形成を伴いながら、前記懸濁液のpHが6.0〜8.0の間に入るまで、リン酸を添加する段階、
(c)前記固体を分離する段階、
(d)前記固体を脱イオン水中に懸濁する段階、
(e)40〜90℃の範囲の選定温度で、前記固体の懸濁液中に含有されるオルトリン酸銀の1wt%〜65wt%を金属銀に還元するのに十分な量で、還元剤を添加する段階であって、その結果、部分還元オルトリン酸銀が固体として形成される段階、
(f)前記固体を分離する段階、
(g)前記固体を分離した後、洗浄水の最終分の25℃における比導電率が、20μS/cm未満の値を取るまで、小分けした脱イオン水で前記固体を繰返し洗浄する段階、
(h)前記固体を乾燥する段階、
(i)コロイド金属で処理していない、または同金属を含有していないプラスチック中間製品中に、前記固体を組み入れる段階、および
(k)プラスチック製品を成形する段階
を含む方法。
(項目4)
抗菌作用のあるプラスチック製品を製造する方法であって、
(a)アンモニア水中の銀塩溶液を得る段階、
(b)懸濁液中に維持される固体としてのオルトリン酸銀の沈殿形成を伴いながら、前記懸濁液のpHが6.0〜8.0の間に入るまで、リン酸を添加する段階、
(c)前記固体を分離する段階、
(d)前記固体を分離した後、洗浄水の最終分の25℃における比導電率が、50μS/cm未満の値を取るまで、小分けした脱イオン水で前記固体を繰返し洗浄する段階、
(e)前記固体を脱イオン水中に懸濁する段階、
(f)前記懸濁液にアンモニア水を添加し、その混合物を40〜90℃の範囲の温度に加熱する段階であって、アンモニアの量が、40〜90℃の範囲の選定温度で、1wt%〜80wt%の銀イオンが溶解するような量である段階、
(g)40〜90℃の範囲の選定温度で、溶液中の銀イオンを金属銀に還元するのに十分な量で、還元剤を添加する段階であって、その結果、部分還元オルトリン酸銀が固体として形成される段階、
(h)前記固体を分離する段階、
(i)前記固体を分離した後、洗浄水の最終分の25℃における比導電率が、20μS/cm未満の値を取るまで、小分けした脱イオン水で前記固体を繰返し洗浄する段階、
(k)前記固体を乾燥する段階、
(l)コロイド金属で処理していない、または同金属を含有していないプラスチック中間製品中に、前記固体を組み入れる段階、および
(m)プラスチック製品を成形する段階
を含む方法。
(項目5)
抗菌作用のあるプラスチック製品を製造する方法であって、
(a)アンモニア水中の銀塩溶液を得る段階、
(b)懸濁液中に維持される固体としてのオルトリン酸銀の沈殿形成を伴いながら、前記懸濁液のpHが6.0〜8.0の間に入るまで、リン酸を添加する段階、
(c)前記固体を分離する段階、
(d)前記固体を分離した後、洗浄水の最終分の25℃における比導電率が、50μS/cm未満の値を取るまで、小分けした脱イオン水で前記固体を繰返し洗浄する段階、
(e)前記固体を脱イオン水中に懸濁する段階、
(f)40〜90℃の範囲の選定温度で、前記固体の懸濁液中に含有されるオルトリン酸銀の1wt%〜65wt%を金属銀に還元するのに十分な量で、還元剤を添加する段階であって、その結果、部分還元オルトリン酸銀が懸濁固体として形成される段階、
(g)前記固体を分離する段階、
(h)前記固体を分離した後、洗浄水の最終分の25℃における比導電率が、20μS/cm未満の値を取るまで、小分けした脱イオン水で前記固体を繰返し洗浄する段階、
(i)前記固体を乾燥する段階、
(k)コロイド金属で処理していない、または同金属を含有していないプラスチック中間製品中に、前記固体を組み入れる段階、および
(l)プラスチック製品を成形する段階
を含む方法。
(項目6)
前記還元剤が、糖類、アルデヒド、ハイドロキノン、酒石酸、クエン酸の塩およびヒドラジンから選択されることを特徴とする、項目2から5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記還元剤が、グルコースであることを特徴とする、項目6に記載の方法。
(項目8)
リン酸を、部分還元オルトリン酸銀の懸濁液に、その固体の分離前に添加することにより、pHを6.0〜8.0の範囲に設定することを特徴とする、項目2から7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
抗菌作用のあるプラスチック製品を製造する方法であって、
(a)アンモニア水溶液中の銀塩溶液を得る段階、
(b)懸濁液中に含有される固体としてのオルトリン酸銀の沈殿形成を伴いながら、前記懸濁液のpHが6.0〜8.0の間に入るまで、リン酸を添加する段階、
(c)前記固体を分離する段階、
(d)前記固体から分離した後、洗浄水の最終分の25℃における比導電率が、50μS/cm未満、好ましくは20μs/cm未満の値を取るまで、小分けした脱イオン水で分離した前記固体を繰返し洗浄する段階、
(e)前記固体を乾燥する段階、
(f)場合により前記乾燥固体を粉砕する段階、
(g)前記固体を脱イオン水中に懸濁し、その懸濁液を70℃〜100℃の範囲の温度に加熱する段階、
(h)クエン酸塩、好ましくはクエン酸三ナトリウムを脱イオン水中に溶解し、その水溶液を70℃〜100℃の範囲の温度に加熱する段階であって、クエン酸塩の量が、前記粉砕固体の懸濁液中に含有されるオルトリン酸銀の1wt%〜65wt%を、金属銀に還元するのに十分であるような量である段階、
(i)前記クエン酸塩水溶液を前記懸濁液へ1度に添加し、前記懸濁液を70℃〜100℃の範囲の温度で撹拌し、それにより部分還元オルトリン酸銀の固体としての形成を伴う段階であって、前記温度が、熱を加えることにより上掲の範囲に維持される段階、
(k)熱を加えることを終了し、更に、前記懸濁液が室温に冷却するまで、それを撹拌する段階、
(l)前記固体を分離する段階、
(m)前記固体を分離した後、洗浄水の最終分の25℃における比導電率が、20μS/cm未満の値を取るまで、小分けした脱イオン水で前記固体を繰返し洗浄する段階、
(n)前記固体を乾燥する段階、
(o)コロイド金属で処理していない、または同金属を含有していないプラスチック中間製品中に、前記固体を組み入れる段階、および
(p)プラスチック製品を成形する段階
を含む方法。
(項目10)
段階(i)における前記懸濁液を70℃〜100℃の温度で20分間から3時間撹拌し、それにより部分還元リン酸銀の形成を伴うことを特徴とする、項目9に記載の方法。
(項目11)
段階(g)、(h)および(i)における温度が、90℃〜100℃であることを特徴とする、項目8または9に記載の方法。
(項目12)
超純水のみを使用することを特徴とする、項目1から11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記固体を遠心により分離することを特徴とする、項目1から12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記固体を、洗浄のために超純水中に分散し、次いで遠心により分離することを特徴とする、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記乾燥固体を、前記プラスチック中間製品中に、前記プラスチック製品の全重量に対して0.1wt%〜10wt%の量で組み入れることを特徴とする、項目1から14のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記乾燥固体を、前記プラスチック中間製品中に、0.5wt%〜5wt%の量で組み入れることを特徴とする、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記乾燥固体を、前記プラスチック中間製品中に、1wt%〜3wt%の量で組み入れることを特徴とする、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記プラスチック中間製品が、ポリウレタン、ポリカーボネート、シリコーン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレンまたはポリアミドを含むことを特徴とする、項目1から17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
最初に、無機支持体材料もしくは無機充填剤に適用しておくことなく、またはそのようなものと混合しておくことなく、前記固体を、乾燥後に前記プラスチック中間製品中に組み入れることを特徴とする、項目1から18のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記固体を、乾燥後に最初に無機充填剤と混合し、その混合物を前記プラスチック製品中に組み入れることを特徴とする、項目1から19のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
水に難溶であり、二酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、フッ化カルシウム、炭酸カルシウム、アルミノケイ酸塩、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、および各種形態の炭素から選択される、少なくとも1種の更なる材料を、追加として、前記プラスチック中間製品中に組み入れることを特徴とする、項目1から20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記充填剤が、項目21に記載の水に難溶な材料から選択されることを特徴とする、項目20に記載の方法。
(項目23)
前記固体、または前記固体および水に難溶な少なくとも1種の更なる材料を、ミキサー、撹拌機、混練機、ロールミルまたは押出機の補助で、前記プラスチック中間製品中に組み入れることを特徴とする、項目1から22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記プラスチック中間製品を、押出成形、射出成形、加圧成形またはホットプレスにより成形することを特徴とする、項目1から23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記プラスチック中間製品を、前記固体を組み入れた後、医療用カテーテルに成形することを特徴とする、項目1から24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
前記プラスチック中間製品を、異なる材料で作製された支持体に被膜として適用することを特徴とする、項目1から23のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記固体を、無機支持体材料に適用しないことを特徴とする、項目1から26のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記固体を、チタン、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、セリウム、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブもしくはタンタルの酸化物、またはヒドロキシアパタイトカルシウムもしくは硫酸バリウム、あるいはこれらの混合物に適用しないことを特徴とする、請求項27に記載の方法。
(項目29)
前記固体を、二酸化チタンに適用しないことを特徴とする、項目28に記載の方法。
(項目30)
項目1から29のいずれか一項に記載の方法に従って得られる、プラスチック製品。
(項目31)
項目1から23のいずれか一項に従って得られる、抗菌作用のあるプラスチックからなることを特徴とする、項目30に記載のプラスチック製品。
(項目32)
前記プラスチック製品の少なくとも一部が、項目1から23のいずれか一項に記載の方法に従って得られる、抗菌作用のあるプラスチックからなり、前記プラスチック製品の少なくとも更なる一部が、異なる材料からなることを特徴とする、項目30に記載のプラスチック製品。
(項目33)
前記別の材料が、金属、ガラス、セラミックおよびプラスチックから選択されることを特徴とする、項目32に記載のプラスチック製品。
(項目34)
その表面が、少なくとも部分的に前記抗菌作用のあるプラスチックから、および少なくとも部分的に異なる材料からなることを特徴とする、項目32または33に記載のプラスチック製品。
(項目35)
前記抗菌作用のあるプラスチックが、前記別の材料を内包し、その結果、前記製品の表面が、前記抗菌作用のあるプラスチックのみからなることを特徴とする、項目32または33に記載のプラスチック製品。
(項目36)
カテーテルである、項目30に記載のプラスチック製品。
(項目37)
前記固体のために無機支持体材料を含んでいないことを特徴とする、項目30から36のいずれか一項に記載のプラスチック製品。
(項目38)
前記固体のための支持体材料として、チタン、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、セリウム、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブもしくはタンタルの酸化物、またはヒドロキシアパタイトカルシウムもしくは硫酸バリウムを含有していないことを特徴とする、項目37に記載のプラスチック製品。
(項目39)
前記固体のための支持体材料として、二酸化チタンを含有していないことを特徴とする、項目38に記載のプラスチック製品。
(項目40)
プラスチックと、その中に分布しており、金属銀に部分的に還元されたオルトリン酸銀粒子からなる部分還元オルトリン酸銀とを含有し、その結果、前記粒子中でオルトリン酸銀と金属銀とが直接接触しており、前記粒子の表面が、部分的にリン酸銀および部分的に金属銀からなることを特徴とする、プラスチック製品。
(項目41)
部分還元オルトリン酸銀が、オルトリン酸銀の銀イオンと金属銀の銀原子との比率を、95:5から55:45の範囲に有することを特徴とする、項目40に記載のプラスチック製品。
(項目42)
前記粒子は、レーザー回折で測定した場合、前記粒子の95wt%、好ましくは98wt%、とりわけ99wt%が、0.5〜50μmの範囲のサイズとなるような粒径を有することを特徴とする、項目40または41に記載のプラスチック製品。
(項目43)
粒径分布が1つの最大値を取り、前記最大値が、2〜20μmの範囲、好ましくは3〜12μmの範囲、とりわけ4〜10μmの範囲にあることを特徴とする、項目42に記載のプラスチック製品。
(項目44)
前記プラスチックが、ポリウレタン、ポリカーボネート、シリコーン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレンまたはポリアミドを含むことを特徴とする、項目40から43のいずれか一項に記載のプラスチック製品。
(項目45)
部分還元オルトリン酸銀がその中に分布しているプラスチックからなることを特徴とする、項目40から44のいずれか一項に記載のプラスチック製品。
(項目46)
前記プラスチック製品の少なくとも一部は、部分還元オルトリン酸銀がその中に分布しているプラスチックからなり、前記プラスチック製品の少なくとも他の一部は、異なる材料からなることを特徴とする、項目40から44のいずれか一項に記載のプラスチック製品。
(項目47)
前記別の材料が、金属、ガラス、セラミックおよびプラスチックから選択されることを特徴とする、項目46に記載のプラスチック製品。
(項目48)
その表面が、少なくとも部分的に、部分還元オルトリン酸銀がその中に分布しているプラスチックから、および少なくとも部分的に異なる材料からなることを特徴とする、項目46または47に記載のプラスチック製品。
(項目49)
部分還元オルトリン酸銀がその中に分布している前記プラスチックが、前記別の材料を内包し、その結果、前記製品の表面が、このプラスチックのみからなることを特徴とする、項目46または47に記載のプラスチック製品。
(項目50)
カテーテルである、項目40から49のいずれか一項に記載のプラスチック製品。
(項目51)
プラスチックと、その中に分布しており、金属銀に部分的に還元されたオルトリン酸銀粒子からなる部分還元オルトリン酸銀とを含有し、その結果、前記粒子中でオルトリン酸銀と金属銀とが直接接触しており、前記粒子の表面が、部分的にリン酸銀および部分的に金属銀からなることを特徴とする、プラスチック中間製品。
(項目52)
部分還元オルトリン酸銀が、オルトリン酸銀の銀イオンと金属銀の銀原子との比率を、95:5から55:45の範囲に有することを特徴とする、項目51に記載のプラスチック中間製品。
(項目53)
前記粒子は、レーザー回折で測定した場合、前記粒子の95wt%、好ましくは98wt%、とりわけ99wt%が、0.5〜50μmの範囲のサイズとなるような粒径を有することを特徴とする、項目51または52に記載のプラスチック中間製品。
(項目54)
粒径分布が1つの最大値を取り、前記最大値が、2〜20μmの範囲、好ましくは3〜12μmの範囲、とりわけ4〜10μmの範囲にあることを特徴とする、項目53に記載のプラスチック中間製品。
(項目55)
前記プラスチックが、ポリウレタン、ポリカーボネート、シリコーン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレンまたはポリアミドを含むことを特徴とする、項目51から54のいずれか一項に記載のプラスチック中間製
品。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、得られた固体である純粋な結晶性のオルトリン酸銀のX線回折写真を示す。
【図2】図2は、部分還元オルトリン酸銀のX線スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
第1の実施形態によるプラスチック製品は、オルトリン酸銀を含有する。第2、第3、第4、第5および第6の実施形態によるプラスチック製品は、部分還元されたオルトリン酸銀を含有する。
【0024】
第2および第4の実施形態は、第4の実施形態では、オルトリン酸銀が、部分還元前の反復洗浄により精製される点だけが異なる。この早期の精製によって、更なるプロセスステップ、特に、部分還元オルトリン酸銀の最終精製が簡易化される。第5および第3の実施形態も、同様にして異なっている。
【0025】
第2および第4の実施形態では、リン酸銀が、還元前に部分的に溶解される。第3、第5および第6の実施形態では、還元剤が、オルトリン酸銀の水性懸濁液に直接添加される。この最後の操作は、特に有利であることが分かった。
【0026】
本発明の枠組内では、「固体」という用語は、オルトリン酸銀および部分還元オルトリン酸銀を表現するための総称として使用される。本発明によるプラスチック製品の更なる構成要素となり得る他の固体材料については、他の用語、例えば「充填剤」が使用される。したがって、用語「固体」は、別途明記しない限り、このような更なる構成要素または添加剤に関するものではない。
【0027】
本発明による方法に従って得られるプラスチック製品は、本発明による効果に必要な濃度の銀イオンを十分な期間に亘って放出する。銀イオン濃度は、抗菌効力が信頼性をもって発揮されるのに十分に高い。しかし、その濃度は、細胞傷害作用が起こり得るほど大きなものではない。
【0028】
第2から第6までの実施形態に従った本発明によるプラスチック製品、特に第3、第5および第6の実施形態の製品、格別には第6の実施形態の製品は、特に有利なように銀イオンを放出する。同じ活性成分濃度、即ち、特に全酸化数に亘った(したがって、金属銀として、およびリン酸銀中での)同じ銀含有率に対して、本発明によるこうしたプラスチック製品は、特許文献3によるプラスチック製品より遥かに高い抗菌効力を示す。現状技術と比較して有意に高いこの抗菌効力は、本発明の本質的な利点である。
【0029】
特許文献3は、例えばリン酸銀の添加による、コロイド銀の活性化を開示している。これに対して、本発明の第2から第6までの実施形態は、リン酸銀から始め、次いでそれを金属銀で活性化する。
【0030】
一方では、特許文献3による(特に、その実施例7および8による)コロイド銀とリン酸銀との組合せ、他方では、本発明による部分還元リン酸銀との間には、構造的に相当な差異がある。本発明では、金属銀を表面上に配置させたリン酸銀粒子の創製が可能であり、そこではリン酸銀および金属銀が、直接接触して見出される。このような粒子は、特許文献3の教示に従っても得られない。上掲の構造上の差異は、異なる手順から生じる。
【0031】
国際公開第2004/025204号の実施例7では、金属銀は、充填剤の硫酸バリウム上に沈殿される。次いで、オルトリン酸銀が沈殿される。このようにして、金属銀および遊離のオルトリン酸銀で被覆した硫酸バリウムが生成する。
【0032】
本発明による部分還元オルトリン酸銀の生成では、先ず、オルトリン酸銀が沈殿される。この沈殿形成の際には、充填剤が存在しない。次の還元で、リン酸銀−銀の直接接触、およびそれによる微視的な電気化学的半要素が生み出される。この特定構造の結果、抗菌活性が著しく改善される。
【0033】
本発明による部分還元リン酸銀を含有するプラスチック製品では、銀放出の驚くほど高い初期速度も観察される。これは、特に臨床用途では、埋植中に取り込まれる細菌を迅速に絶滅させるために、望ましい。特許文献3によるプラスチック製品と比較して、埋植中の感染率は、相当程度に減少させることができる。特許文献3によるプラスチック製品を用いて、銀放出の同程度の初期速度、およびそれによる抗菌効力の同程度に迅速な開始を実現することを、仮に欲するとすれば、銀濃度は、細胞傷害性に関する状況がもはや許容できなくなるまで、増加させなければならないであろう。
【0034】
本発明によるプラスチック製品は、良好な光安定性を有する。これは、特許文献4の教示によれば、リン酸銀の光安定性は、塩化銀ほどには改善できないと言明されている同文書の開示から見ると、とりわけ驚くべきことである。
【0035】
本発明による方法では、リン酸銀の光安定性を実現するために、リン酸銀を無機支持体材料に適用する必要がないことが、本質的な利点である。それどころか、本発明によれば、リン酸銀または部分還元リン酸銀は、無機支持体材料に適用しない、特に、二酸化チタン、もしくはより一般的にはチタン、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、セリウム、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブおよびタンタルの酸化物などの生理的に不活性な無機酸化物材料、またはヒドロキシアパタイトカルシウムもしくは硫酸バリウムに適用しないことが、とりわけ好ましい。したがって、本発明によるプラスチック製品は、リン酸銀または部分還元リン酸銀のために、無機支持体材料を含んでいない、特に、上掲の支持体材料を含んでいないことが好ましい。一実施形態によれば、本発明による方法では、上掲の支持体材料は、全く使用されない、即ち、支持体材料としても、例えば充填剤などの添加剤としも使用されない。この例では、本発明によるプラスチック製品は、チタン、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、セリウム、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブおよびタンタルの酸化物、ならびにヒドロキシアパタイトカルシウムおよび硫酸バリウムを含んでいない。
【0036】
本発明に従って実現される光安定性の改善は、オルトリン酸銀または部分還元オルトリン酸銀の繰返し洗浄を、最終的な洗浄水試料の比導電率が、固体の分離後、オルトリン酸銀の場合には50μS/cm未満の値、または部分還元オルトリン酸銀の場合には20μS/cm未満の値になるまで、行うことによって実現される。十分な光安定性が、このように制御した洗浄工程の補助を受けて実現できることは、驚くべきことである。
【0037】
本発明の枠組内では、「プラスチック製品」という用語は、その表面が、本発明によるプラスチックから少なくとも部分的になる、半製品および即時使用できる製品に関するように使用される。プラスチック製品全体も、本発明によるプラスチックからなることができる。しかし、本発明は、このようなプラスチック製品に限定されない。
【0038】
本発明の全ての実施形態によれば、最初に、アンモニア水中の銀塩溶液が生成される。このために、水溶性が十分な任意の銀塩を使用することができる。好ましい銀塩は、硝酸銀である。
【0039】
オルトリン酸銀は、リン酸の添加によりこの溶液から沈殿される。この沈殿形成は、当業者に公知の方法で、オルトリン酸銀が懸濁液中に維持されるように実施される。オルトリン酸銀の懸濁固体粒子は、本発明に従って望ましい小粒径を有する。銀イオンは、プラスチック中でその小粒子から、特に良好に放出することができる。リン酸は、オルトリン酸銀を沈殿させるために、懸濁液のpHが6.0〜8.0の間に入るまで添加される。
【0040】
次いで、オルトリン酸銀を懸濁液から分離する。分離は、好ましくは遠心により行われる。
【0041】
本発明の第1の実施形態によれば、オルトリン酸銀は、次いで、小分けした脱イオン水で繰返し洗浄する。このために、オルトリン酸銀を、洗浄毎に超純水中に先ず分散させ、次いで再び遠心により分離するのが好ましい。洗浄は、固体を分離した後の洗浄水の比導電率が、50μS/cm未満の値になるのに必要な回数まで繰り返される。
【0042】
比電気伝導率は、比抵抗の逆数である。その単位は、(Ωcm)−1またはS/cmである。ここで、S=1/Ωは、電気抵抗の逆数と定義されるコンダクタンスの単位、ジーメンスの短縮形である。電気伝導率は、温度に依存しており、イオン導電体の場合、濃度、解離度および溶媒に依存する。本発明のために、電気伝導率は、25℃の基準温度を基準とする。
【0043】
導電率測定装置は、導電率計とも呼ばれている。本発明に従って適切な導電率計は、Sartorius PP−20およびSartorius PP−50の名称で商業的に入手できる。この製造業者は、Sartorius AG, Weender Landstrasse 94−108, Gottingen、ドイツである。これらの導電率計用にSartorius AGが販売しているPY−CO1〜PY−CO3測定セルは、白金電極を有する四極測定セルである。導電率の測定は、こうした導電率計を用いて、交流電圧または交流電流を印加しながら実施される。最も汎用的な周波数は50Hzである。
【0044】
反復洗浄で十分に精製されたオルトリン酸銀は、次いで乾燥される。乾燥は、任意の方法で、例えば乾燥オーブン中で行うことができる。こうして得られる乾燥オルトリン酸銀は、次いでプラスチック中間製品中に組み入れるのに適切である。
【0045】
「プラスチック中間製品」という用語は、本発明の枠組内で、予備成形プラスチック部品または「プラスチック製品」を、成形によりそれから作製できる材料を表現する。プラスチック中間製品は、例えば、顆粒もしくはペレットの形態で、または粉体として存在することができる。プラスチック中間製品は、単一成分系でもよく、その場合1つの成分を成形により予備成形プラスチック部品に変換することができる。しかし、プラスチック中間製品は、多成分系でもよく、その場合成形直前に、先ず各成分を一緒に混合することができ、成形中または成形後にプラスチックの硬化を行う。充填剤または添加剤は、本発明の意味におけるプラスチック中間製品ではない。
【0046】
プラスチック中間製品の必須な構成要素は、ポリマー化合物、特に、医療分野で通常使用されるものである。
【0047】
好ましいポリマーは、ポリウレタン、ポリカーボネート、シリコーン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレンおよびポリアミドである。ポリエチレン、ポリプロピレン、架橋ポリシロキサン、(メタ)アクリレート系ポリマー、セルロースおよびセルロース誘導体、ABS、テトラフルオロエチレンポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ならびに対応するコポリマーを、ポリマー化合物として使用することができる。本発明に従って適切なコポリマーの例には、スチレン−アクリロニトリルコポリマーならびにエチレンおよび高級α−オレフィンのコポリマーが挙げられる。
【0048】
1種または複数のポリマー材料以外に、前記中間製品は、添加剤を含むことができる。添加剤は、例えば、無機または有機物質でもよい。中間製品は、特に、不活性で医療に許容可能である、全ての無機および有機の物質も含むことができる。こうした物質には、特に、二酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、フッ化カルシウム、炭酸カルシウム、アルミノケイ酸塩、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、および各種形態の炭素などの水に難溶な材料が挙げられる。このような物質は、市販のプラスチック中間製品中に充填剤として既に含有させることができ、そうでない場合には、本発明の枠組内において市販のプラスチック中間製品に更なる成分として添加し、そのプラスチック中間製品中に組み入れることができる。
【0049】
プラスチック中間製品は、例えば、そのポリマーのための色素、酸化防止剤、可塑剤、光安定剤などの更なる添加剤も含有することができる。
【0050】
本発明の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、先ず、オルトリン酸銀の懸濁液が生成される。次いで、オルトリン酸銀を分離し、脱イオン水中に再び懸濁させる。次いで、アンモニア水を懸濁液に添加する。その混合物を40〜90℃の範囲の温度へ加熱する。アンモニアの量は、40〜90℃の範囲の選定温度で、混合物中に存在する銀または混合物中に存在する銀イオンの1wt%〜80wt%の量が、溶解するような量である。
【0051】
溶液中への移行により、銀イオンは、次の還元ステップのためにより多量に利用可能にすることができる。一方では、溶解銀イオンが、還元のために利用できる。他方では、懸濁粒子の表面上でも、還元を当然行うことができる。
【0052】
還元剤は、40〜90℃の範囲の選定温度で、溶液中の銀イオンを金属銀に少なくとも還元するのに十分な量で添加される。当然ながら、ある一定の過剰量の還元剤を使用することができる。還元剤の量は、溶液中に見出される銀イオン、および懸濁粒子の表面上に見出される銀イオンも共に還元するのに十分に多量であることが好ましい。
【0053】
生成する金属銀の量は、アンモニアおよび還元剤の使用を介して制御することができる。したがって、生成固体の色も同時に設定される。
【0054】
本発明の第2および第4の実施形態による方法では、金属銀の粒子が、リン酸銀上に析出すると憶測されている。より一般的には、第2〜第6の実施形態による方法では、一部がオルトリン酸銀および一部が金属銀からなる粒子が、形成される。それにより、多くの微視的な電気化学的半要素Ag/AgPOが形成され、そのポテンシャルは、周囲の水層中のリン酸イオン濃度だけに依存する。そのため、反応Ag→Ag+eに対する自由エンタルピーは、負の範囲内に移動し、したがって銀イオンの銀への還元が、一層困難になる。
【0055】
還元の生成物は、部分還元オルトリン酸銀と呼ばれる。図2は、このような部分還元オルトリン酸銀のX線スペクトルを示す。オルトリン酸銀のピークおよび金属銀のバンドの双方を、X線スペクトル中に見ることができる。
【0056】
様々な還元剤が、還元ステップのために使用することができる。好ましい還元剤は、多様な糖類、アルデヒド、ハイドロキノン、酒石酸、クエン酸の塩(クエン酸塩)およびヒドラジンである。特に好ましい還元剤は、グルコースである。
【0057】
既に述べたように、本発明の第2および第4の実施形態間には小さな差異しかない。第4の実施形態によれば、オルトリン酸銀は、部分還元の前に、第1の実施形態による純度規準が満足されるまで、即ち、導電率が50μS/cm未満になるまで洗浄される。
【0058】
既に考察したように、還元剤の量は、溶液中に見出される銀イオンが、金属銀に還元されるような量にすべきである。しかし、ある種の状況下では、少量の銀イオンが溶液中に残り得るため、部分還元オルトリン酸銀の分離前に、リン酸を懸濁液に添加することにより、pHを6.0〜8.0の範囲に設定することが好ましい。溶液中に見出される任意の銀イオンは、それにより、オルトリン酸銀に変換され、懸濁した溶液から析出される。
【0059】
部分還元オルトリン酸銀は、純粋なオルトリン酸銀の精製と全く同様にして反復洗浄により精製される。しかし、本発明によれば、部分還元オルトリン酸銀の場合、最後の洗浄水の導電率は、20μS/cm未満であることが条件とされている。
【0060】
第3および第5の実施形態では、部分還元は、アンモニアの補助によりある程度のオルトリン酸銀を予め溶解することなく、実施される。この場合、還元は不均一のみである、即ち、溶液中の還元剤は、懸濁固体として存在するオルトリン酸銀と反応する。還元剤の量は、この方法では、懸濁したオルトリン酸銀の量に対して、存在するオルトリン酸銀の一部が金属銀に還元されるように選定される。還元の化学量論量に従って、懸濁したオルトリン酸銀の1wt%〜65wt%を金属銀に還元するのに適している、還元剤の量が使用される。還元剤の量がこの範囲にあれば、一般に、オルトリン酸銀の銀イオンの過剰量が、金属銀の銀原子を覆い、各場合に銀イオン1個当たり1個以下の銀原子を有する、部分還元オルトリン酸銀が創製される。
【0061】
第6の実施形態による方法は、第5の実施形態の方法と類似しており、特に好ましい手順に関する。この場合、クエン酸塩、即ちクエン酸の塩、好ましくはクエン酸三ナトリウムが、懸濁固体の分散剤としても作用する還元剤として使用され、その結果、この手順のその他の特徴と相俟って、特に有利な性質を有する生成物が創製される。還元は、70℃〜100℃、好ましくは90℃〜100℃の温度で実施される。この方法の第1段階で形成されたオルトリン酸銀は、特に、乾燥中に形成された恐れのある凝集体を個々の小粒子に戻すために、還元前に場合により粉砕される。
【0062】
本発明による方法では、超純水のみを使用するのが好ましい。超純水は、例えば、多段トレイカラム上での蒸留により得ることができる。しかし、超純水は、脱イオン化によっても得ることができる。超純水の導電率は、非常に低く、各場合に5μS/cm未満にある。
【0063】
リン酸銀は、プラスチックに抗菌性を付与し、そのように付与されたプラスチックが、光不安定性の問題を被らない手段として、本発明により利用可能になる。特に、そのオルトリン酸銀は、プラスチック中間製品中に組み入れる前に、支持体に適用することが必要でない。本発明に従って好ましい手順によれば、オルトリン酸銀または部分還元オルトリン酸銀は、前もって、無機支持体材料もしくは無機充填剤に適用しておくことなく、またはそうしたものと混合しておくことなく、プラスチック中間製品に直接添加される。
【0064】
しかし他方では、本発明は、充填剤非含有プラスチック製品に限定されることもない。市販されている多くのプラスチック中間製品は、充填剤、および例えば、酸化防止剤、色素、可塑剤などの更なる添加剤を既に含有している。本発明は、無機充填剤を既に含有しているプラスチック中間製品を使用する方法も包含する。
【0065】
本発明によれば、乾燥したオルトリン酸銀または乾燥した部分還元オルトリン酸銀を、無機充填剤と先ず混合した後に、その混合物をプラスチック中間製品中に組み入れることも可能である。これは、例えば、オルトリン酸銀または部分還元オルトリン酸銀を、更に加工する前に長期間保存する予定の場合、凝集体の形成防止に好都合となり得る。
【0066】
本発明は、水に難溶な少なくとも1種の更なる材料を、プラスチック中間製品中に追加として組み入れる方法も包含する。更なる材料は、例えば、二酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、フッ化カルシウム、炭酸カルシウム、アルミノケイ酸塩、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、または各種形態のいずれかの炭素、例えば黒鉛でもよい。考え得る手順は、先ず、オルトリン酸銀または部分還元オルトリン酸銀を、プラスチック中間製品中に組み入れ、次いで、更なる材料をプラスチック中間製品中に組み入れることである。しかし、先ず、オルトリン酸銀または部分還元オルトリン酸銀をその難溶な材料と混合し、次いで、この混合物をプラスチック中間製品中に組み入れることも可能である。
【0067】
プラスチック中間製品が二成分系であれば、先ず、オルトリン酸銀または部分還元オルトリン酸銀を1つの成分中に混合し、その後第2の成分を添加することができる。
【0068】
多様な方法が、オルトリン酸銀、部分還元オルトリン酸銀、および場合により水に難溶な更なる材料を組み入れるために、当業者に利用可能である。組入れは、好ましくは、ミキサー、撹拌機、混練機、ロールミルまたは押出機の補助で行われる。
【0069】
オルトリン酸銀または部分還元オルトリン酸銀は、プラスチック中間製品中に、好ましくは、プラスチック製品の全重量に対して0.1wt%〜10wt%、特に0.5wt%〜5wt%、最も好ましくは1wt%〜3wt%の量で組み入れられる。
【0070】
所望の成分を全てプラスチック中間製品中に組み入れたとき、このものからプラスチック製品が成形される。この成形は、好ましくは押出成形、射出成形、加圧成形またはホットプレスにより行われる。
【0071】
押出成形は、一方では、固体をプラスチック中間製品中に組み入れるため、他方では、プラスチック製品を成形するために使用できるので、特殊な例である。したがって、適切な押出機の選択により、固体のプラスチック中間製品中への組入れ、およびプラスチック製品の成形が、この同じ装置の助けで実施することができる。
【0072】
本発明によるプラスチック製品は、その組成および光安定性のために新規なものである。極めて多様な製品を形成することができる。
【0073】
医療製品の例としては、静脈カテーテル、末梢静脈カテーテル、シェルドンカテーテル、ヒックマン型カテーテル、少なくともポートチャンバーが本発明に従って製造された材料からなり、好都合にも同カテーテルの全ての更なる構成要素もそのようになっているポートカテーテル、脳室カテーテル、腰部カテーテル、腹腔内カテーテル、膀胱カテーテル、腎瘻カテーテル、尿道ステント、胸部ドレナージシステムおよび接続吸引システム、気管内チューブ、歯ブラシ(毛および柄)、外科用縫合材料、抗菌性布地製造用の繊維材料、例えば呼吸用チューブの抗菌被膜材料、抗菌性創傷カバー、および火傷用包帯がある。
【0074】
しかし、本発明は、医療用途に限定されない。抗菌性は、様々な人たちが触るプラスチック製品においても望ましい。このような製品の例は、受話器、ドアの取っ手、またはコンピュータのキーボードである。
【0075】
本発明によるプラスチック製品は、本発明による方法の様々な実施形態に従って得ることができる。
【0076】
本発明によるプラスチック製品は、オルトリン酸銀を含有し、コロイド金属を含んでいない、または部分還元オルトリン酸銀を含有し、コロイド金属を含んでいないのいずれかである。
【0077】
後者の実施形態によれば、本発明によるプラスチック製品は、プラスチックと、その中に分布しており、金属銀に部分的に還元されたオルトリン酸銀粒子からなる部分還元オルトリン酸銀とを含有する。オルトリン酸銀と金属銀とは、粒子中で直接接触している。粒子の表面は、一部はオルトリン酸銀、および一部は金属銀からなる。
【0078】
部分還元オルトリン酸銀では、オルトリン酸銀の銀イオンと金属銀の銀原子との比率が、好ましくは95:5から55:45の範囲内にある、即ち、銀イオンは、銀原子と比較して過剰にある。
【0079】
部分還元リン酸銀の粒子のサイズは、例えば、レーザー回折により測定することができる。この測定は、DIN ISO13320−1:1999−11に従って行うことができる。粒径が、以下および特許請求の範囲に指定されている場合、その粒径は、レーザー回折により、特にDIN ISO133320−1:1999−11に従って測定した際の粒径であると理解されたい。適切な測定装置は、例えば、「SYMPATEC HELOS (H2023) & SUCELL」の名称で市販されている。
【0080】
好ましくは粒子の95wt%、特に98wt%、最も好ましくは99wt%が、0.5〜50μmの範囲にサイズを有する。これは、粒子の絶対サイズに対する範囲である(平均値の範囲ではない)。
【0081】
様々な形態の粒径分布が、当業者に知られている。粒径分布は、単峰性、双峰性または多峰性でもよい、即ち、1つの最大値または幾つかの最大値を取ることができる。好ましくは、粒径分布は、1つの最大値を取る正規分布(ガウス分布)、または正規分布にほぼ対応する分布である。最大値は、好ましくは2〜20μm、特に3〜12μm、最も好ましくは4〜10μmの範囲にある。
【0082】
本発明は、プラスチックと、その中に分布しており、金属銀に部分的に還元されたオルトリン酸銀粒子からなる部分還元オルトリン酸銀とを含有する、プラスチック中間製品であって、結果的に、オルトリン酸銀と金属銀とは、粒子中で直接接触しており、粒子の表面が、一部はリン酸銀、および一部は金属銀からなる、プラスチック中間製品にも関する。プラスチック製品は、このプラスチック中間製品から成形により製造することができる。プラスチック製品中に含まれるオルトリン酸銀に関する上記の説明は、プラスチック中間製品中に含まれるオルトリン酸銀にも当てはまる。
【0083】
プラスチック製品およびプラスチック中間製品の双方において、プラスチックは、好ましくは、ポリウレタン、ポリカーボネート、シリコーン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレンまたはポリアミドを含む。
【0084】
本発明によるプラスチック製品は、本発明による方法に従って取得できるような抗菌性を備えたプラスチックだけ、特に、プラスチックと、その中に分布した部分還元オルトリン酸銀とを含有する、抗菌性を備えたプラスチックだけからなることができる。
【0085】
しかし、前記プラスチック製品は、同品の少なくとも一部が、抗菌性を備えたプラスチックからなり、同品の少なくとも別の部分が、別の材料からなるように構成することもできる。そのもう一方の材料は、金属、ガラス、セラミックスおよびプラスチックから選択することができる。
【0086】
前記プラスチック製品は、その表面が、少なくとも一部は、抗菌性を備えたプラスチックからなり、少なくとも一部は、他の材料からなるように構成することができる。あるいは、前記プラスチック製品は、抗菌性を備えたプラスチックが他の材料を内包し、その結果、製品の表面が、本プラスチックだけからなるように構成することもできる。
【0087】
本発明を、実施例に関して以下に詳細に説明する。
【実施例】
【0088】
(実施例1)
オルトリン酸銀の製造
ガラス撹拌棒を備えた三口フラスコを水浴中で使用した。超純水(脱イオン水)700mlをフラスコ中に導入し、AgNO121.7gをその中に溶解した。25%アンモニア溶液120mlをその溶液に添加した。初期の褐色沈殿は、再び完全に溶解した。
【0089】
フラスコの内容物を60℃に加熱した。最終温度に達した後、4モルHPO溶液200mlの滴下による添加を滴下ロートから開始した。始めは再び溶解したが、pHが低下するにつれ安定に残った帯黄色沈殿が、滴下点に形成された。
【0090】
リン酸の添加を終了した後、pHを測定した。pHは6.0〜6.8の範囲内にあった。透明なろ過液にリン酸1滴を添加することにより、沈殿形成が完了していることが示された。
【0091】
冷却後、既に出来ている懸濁液から遠心により、固体を分離した。次いで、固体を多量の脱イオン水中に再び分散させた。この水性懸濁液から、再び固体を分離した。この洗浄工程を数回繰り返した。最後の洗浄ろ過液は、50μS/cm未満の電気伝導率を示した。
【0092】
次いで、洗浄済み固体を空気循環式乾燥オーブン中、80〜90℃で乾燥した。
【0093】
得られた固体のX線回折写真を図1に示す。固体は、純粋な結晶性のオルトリン酸銀である。
【0094】
(実施例2)
耐光性の試験
実施例1に従って製造したオルトリン酸銀を、乾燥形態、およびガラス容器またはPE容器に入れた普通水道水の懸濁液の両方で、5ヶ月に亘り戸外の日光に曝した。色の変化は全く認められなかった。
【0095】
純粋なオルトリン酸銀の試料、および硫酸バリウム上10%オルトリン酸銀の試料であって、光に曝したものおよび曝してないものを比較した。このために、試料の全銀含量およびイオン性銀含量を分析的に測定した。光に曝した試料は、8週に亘り戸外の日光に曝しておいた。その結果を表1に再現する。
【0096】
【表1】

表中に示す誤差範囲は、反復測定値から計算される。AgPO中の銀含量理論値は、77.31wt%である。
【0097】
グルコースを、オルトリン酸銀を懸濁させる水道水に還元剤として添加すれば、光にほんの2時間曝した後、表面域の予想される還元を色の緑色移行で観察することができる。還元性物質を含有するプラスチック製品のこのような驚くべき色変化を防止する1つの可能性は、本発明の第2および第3の実施形態に従った、純粋なオルトリン酸銀の部分還元に見出された。
【0098】
(実施例3)
AgPOの部分還元
AgPO5gを超純水150ml中に懸濁させた。AgPOは、実施例1による方法に従って製造しておいた乾燥物質であった。25%NH溶液1.7mlを添加した後、懸濁液を60℃に加熱した。グルコース一水和物1.1gを超純水150ml中に溶解し、滴下ロート中に移し、温度60℃に達した後、懸濁液に滴下で徐々に添加した。滴下時間は、1.5〜2時間の間であった。
【0099】
還元が終了した後、青灰色懸濁液が形成された。pHは8〜9の間であった。還元中にアンモニアの放出が明らかに認められた。
【0100】
pHを6〜6.8の範囲の値に設定するために、リン酸を懸濁液に添加した。色は、青灰色から緑褐色へ変化した。
【0101】
固体を液から分離し、再び超純水中に分散し、再び分離した。固体は、遠心により分離した。洗浄工程は、4回繰り返した。最終ろ過液(洗浄水)の電気伝導率は、<20μS/cmであった。次いで固体を乾燥した。
【0102】
以下の値は、組成物の化学分析で確認された。
【0103】
Ag含量:58.02wt%
Ag含量:19.68wt%
この生成物のX線回折写真は、図2に示す。オルトリン酸銀のピーク以外に、金属銀のバンドも見ることができる。
【0104】
(実施例4)
様々なpH値におけるオルトリン酸銀からの銀放出
超純水40mlを3個の三角フラスコ各々に導入した。下記の表2に示す開始pH値のpHは、設定した。次いで、オルトリン酸銀1gを各例において添加した。三角フラスコは、密閉し、室温で3時間振とうした。次いで、最終pHおよび銀濃度を透明なろ過液で測定した。
【0105】
【表2】

3.77の開始pHを用いると、溶解度の増加が認められる。(加水分解作用がなければ、濃度が5mg/mlになるはずである。)
この状況は、本発明によるプラスチック製品を酸性環境中で用いる際に、念頭に置くべきことである。リン酸銀が緩衝作用を示すことも、念頭に置くべきことである。本発明によるプラスチック製品からの銀イオンの放出は、当然ながら、この実施例における銀放出より遥かに低くなろう。
【0106】
(実施例5)
シリコーンプラスチックからの銀イオンの放出
実施例1に従って製造した純粋なオルトリン酸銀を、市販のシリコーンプラスチック中間製品の中に組み入れた。シリコーンプラスチック中間製品は、そのとき0.77wt%の銀に相当する1wt%のリン酸銀を取り入れた。その中間製品をフィルムに成形した。フィルムを小さな細片に切断した。
【0107】
これらの小細片5.02gを、密閉ガラス容器中の脱イオン水50mlの中で振とうした(オーバーヘッドシェーカー)。下記表3に示す溶出時間の後、銀を定量するために、各例の容器から10mlを採取し、次の振とう期間の前に、取り出した容量分を新鮮な脱イオン水に交換した。
【0108】
【表3】

初期に銀イオンが急速に放出された(表面領域からの放出)後、放出が遅くなる次の段階が観察された。72時間後、プラスチック中に存在する全銀量のおよそ0.07wt%しか、溶出されなかった。したがって、抗菌作用は、非常に長時間持続すると推測することができる。
【0109】
(実施例6)
熱可塑性ポリウレタンからの銀の放出
実施例1に従って製造したオルトリン酸銀を、先ず硫酸バリウムと混合した。こうして得られた混合物を、熱可塑性ポリウレタンで作製したプラスチック中間製品の中に組み入れた。組み入れた後、ポリウレタン中間製品は、20wt%の硫酸バリウムおよび6wt%のオルトリン酸銀を含有していた。
【0110】
対応するプラスチック中間製品を、実施例3に従って製造した部分還元オルトリン酸銀を用いて製造した。このプラスチック中間製品は、20wt%の硫酸バリウム、および実施例3による部分還元オルトリン酸銀を6wt%含有していた。
【0111】
2種の中間製品を各々押出成形して、幅3.5cmおよび厚さ0.5mmの細片を製造した。
【0112】
各例において、数片に切断した細片7.7g(表面積280cm)を、オーバーヘッドシェーカー内の密閉容器中で、超純水100mlの中で振とうした。特定の時間後、その液を全て分離し、液中の銀含量を定量した。プラスチック試料は、ある量の新鮮水中で改めて再び振とうした。
【0113】
放出銀の総量は、溶出時間に対する銀の分析含量から計算した。その結果を図3に図示する。
【0114】
銀の放出速度、即ち単位時間当たりの銀放出量も計算した。その結果を図4に図示する。
【0115】
流通過程を特徴とする開放系は、この方法の補助でシミュレートされるはずである。
【0116】
予想した通り、銀の放出は時間と共に減少する。部分還元オルトリン酸銀を有するポリウレタンが、初期段階で、純粋なオルトリン酸銀を有するポリウレタンより高い放出を示すことは、特筆すべきことである。ある一定の時間後、2種の比較試料の銀放出速度は接近する。
【0117】
(実施例7)
シリコーンで作製したカテーテルチューブ材料の抗菌効力
実施例1に従って製造したオルトリン酸銀6重量部を、硫酸バリウム94重量部と混合した。この混合物は、4.6wt%のAgを含有していた。混合物をシリコーンプラスチック中間製品の中に組み入れた。プラスチック中間製品は、そのとき硫酸バリウムとオルトリン酸銀との混合物を20wt%含有していた。カテーテルチューブ材料を成形した。これを以下では材料1と呼ぶ。これは、本発明によるプラスチック製品である。
【0118】
部分還元オルトリン酸銀をシリコーンプラスチック中間製品の中に組み入れた。部分還元オルトリン酸銀は、67.3wt%のAgおよび10.4wt%のAgを含有していた。プラスチック製品は、部分還元オルトリン酸銀を2wt%含有していた。カテーテルチューブ材料を成形した。これを以下では材料2と呼ぶ。これは、本発明によるプラスチック製品である。
【0119】
材料3は、本発明によるものではなく、比較のために使用される。それは、硫酸バリウム、添加剤に対して5wt%のAgおよび5wt%のオルトリン酸銀(5wt%のAgおよび3.85wt%のAg)を含む添加剤を20wt%含有していた、カテーテルチューブ材料である。添加剤を製造する際、硫酸バリウムを先ずコロイド銀で処理し、次いでオルトリン酸銀と混合した。
【0120】
材料4は、本発明による材料ではないが、比較のために使用されるゼロ試料である。材料4は、銀含有添加剤を全く含まない、シリコーンを含んだカテーテルチューブ材料である。
【0121】
これらの異なる4種のカテーテルチューブ材料の抗菌効力を、下記の表4に示す。
【0122】
【表4】

表中の数字は、以下の意味を有している。
【0123】
5+ 広げた表面に過剰増殖
4+ 広げた表面に強い増殖
3+ 広げた表面に増殖
2+ 広げた表面に弱い増殖
1+ 広げた表面に隔離増殖
(1+) 1個のコロニーだけ
0 広げた表面に増殖なし
材料1および2は、本発明によるプラスチック製品である。カテーテルチューブ材料に対して、銀含量は、材料1で0.92wt%であり、材料2で1.55wt%であった。
【0124】
材料3は、特許文献3による活性化ナノサイズ銀を有し、全銀含量が1.77wt%の比較製品である。
【0125】
(実施例8)
クエン酸三ナトリウム二水和物による部分還元
乾燥中に形成される凝集体を全て粉砕するために、実施例1によるオルトリン酸銀を乳鉢中で破砕した。このAgPO20gを脱イオン水中に懸濁させ、懸濁液を98℃に加熱した。それとは別に、クエン酸三ナトリウム二水和物12.3gは、脱イオン水60ml中に溶解せず、その98℃溶液を98℃懸濁液に一気に添加した。その混合物を98℃で60分間撹拌した。およそ10分後、最初の変色が起こった(黄土色/褐色)。反応時間が増すにつれ、固体の暗色が増した。60分が経過した後、反応容器の加熱を停止し、室温に冷却するまで撹拌を続けた。
【0126】
固体を遠心により分離した。pHおよび電気伝導率を清浄水中で測定したところ、pH=7.9およびa=8.21mS/cmであった。固体を脱イオン水500ml中に溶解
し、洗浄し、再び分離した。この工程を3回繰り返した。最後の洗浄水の電気伝導率は、10μS/cm未満であり、pHは8.0であった。
【0127】
分離した固体を、空気循環型乾燥オーブン中で数時間、およそ90℃で乾燥した。
【0128】
化学分析:Ag(総量):77.1%、Ag:72.8%、Ag:4.3%
(実施例9)および(比較例1)
本発明および現状技術それぞれによる、抗菌性を備えたプラスチック
添加剤1:特許文献3の実施例7に記載の方法に従って、硫酸バリウム上に銀を吸着させ、次いで発生期のリン酸銀を生成した。特許文献3の実施例7の生成物は、91.4wt%の硫酸バリウム、3.6wt%の銀、および5wt%のリン酸銀から構成されていた。本比較例1では、生成物の組成がやや異なっていた。比較例1では、添加剤1は、90wt%の硫酸バリウム、5wt%の銀、および5wt%のオルトリン酸銀から構成されていた。
【0129】
添加剤2:実施例8に従って、クエン酸三ナトリウム二水和物による還元で生成した部分還元オルトリン酸銀を、本発明による実施例9で使用した。98wt%の硫酸バリウムおよび2wt%の部分還元オルトリン酸銀の混合物を、添加剤2として生成した。
【0130】
添加剤1および添加剤2をシリコーンゴム中に組み入れた。シリコーンゴムには、Nusil Technology, Irvine, CaliforniaからMED 4065の名称で市販されているものを用いた。20wt%の添加剤1または2、および80wt%のシリコーンゴムからなる製品が、製造されるように量を選定した。
【0131】
組入れのために、2本ロールを使用し、v=141mm/s、ニップ幅:2mm、各30パスにおける室温での滑り率=20%とした。こうして得られた材料を直径2.5mmのストランドに圧縮成形した。これらのストランドを150℃で4時間硬化させた後、デシケーター中で24時間乾燥した。
【0132】
ドープ入りプラスチックは、以下の組成を有していた。
【0133】
比較例1:80wt%のMED 4065、および20wt%の添加剤1、即ち、ドープ入りプラスチック組成物に対して2wt%の銀/リン酸銀。
【0134】
実施例9:80wt%のMED 4065、および20wt%の添加剤2、即ち、ドープ入りプラスチック組成物に対して0.4wt%の部分還元リン酸銀。
【0135】
各例において、こうして得られた試料容器内のストランドの各長さ1cmの28片に、超純水5mlを添加した。合わせると、28片で表面積が25cmであった(1片の表面積:r=0.125cm、h=1cm 2πr+2πrh=0.884cm)。こうして、試料の全表面積と水容量との比率25cm/5mlが得られた。試料容器を38℃の加熱用戸棚中で恒温保持した。1日後、2日後、その後4、5、6、9、10、15および16日後、水を排出し、分析用に収集し、各例において、超純水5mlを新たに注ぎ入れた。
【0136】
排出水は、銀含量について試験した。このために、誘導結合プラズマ質量分析を用いた。
【0137】
銀濃度が平坦化した後、試験を停止した。
【0138】
下記の表5は、各例において測定したng/cm/d単位での銀濃度、即ち、試料の表面積1平方センチメートル当たり、ナノグラム単位での1日当たり放出された銀量(銀陽イオン)を示す。
【0139】
【表5】

試験9の本発明によるプラスチックは、0.4wt%の活性成分(部分還元リン酸銀)を含有していたが、それに対し比較例1の現状技術によるプラスチックは、2wt%の活性成分含量(銀およびリン酸銀)を有していた。この比較から、本発明によるプラスチックは、1/5の活性成分濃度で銀陽イオンのより高い初期放出量をもたらしたことが示される。その後、十分な平坦状態への低下は、より速やかであった。
【0140】
したがって、本発明によるプラスチックは、医薬品における使用に特に有利な性質を有する。例えば、埋植中に取り込まれる細菌を速やかに絶滅させるために、高い初期放出量は、医療分野では望ましい。十分ではあるが、低い放出平坦状態は、毒作用を回避しようとすれば、この場合放出される総銀量が、耐用期間中に高くなり過ぎてはならないので、特に、長期のインプラントでは有利である。
【0141】
長期のインプラントに特に有利な銀放出能は、クエン酸塩で部分還元されたオルトリン酸銀により実現されることが、驚くべきことに判明した。更に、本発明に従えば、抗細菌性作用に十分な銀放出量が、クエン酸塩で部分還元されたオルトリン酸銀により、遥かに少ない活性成分を用いて実現できることが、比較により示されているが、このことは、特に消費者製品にとって重要である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−76079(P2013−76079A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−253119(P2012−253119)
【出願日】平成24年11月19日(2012.11.19)
【分割の表示】特願2010−517328(P2010−517328)の分割
【原出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(510023436)スピーゲルベルク (ゲーエムベーハー ウント コンパニー) カーゲー (2)
【Fターム(参考)】