説明

抗菌性ポリマーおよびその組成物

【課題】アクロレインに由来する、所望される特性を有する新規ポリマーの提供など。
【解決手段】水および/または水溶性媒体中で実質的に可溶性である、アクロレインモノマーから直接的に誘導されるポリマー、およびそれを調製するための方法、ならびに抗菌剤、抗癌剤、抗炎症剤および/または抗凝固剤としての使用のために、このようなものを含有する組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、抗菌性ポリマーおよびその組成物に関する。このポリマーは、必要に応じて、アスコルビン酸および/または抗酸化剤ならびに/あるいはアルカノールの存在下において、アクロレインおよび/またはヒドロキシアルカン酸とのそのアセタールを、水溶性の塩基触媒より重合することから誘導される。本発明は、部分的には、これらの化合物の製造、およびそれから誘導される組成物のインビトロまたはインビボでの使用、特に、ヒトまたは動物の胃腸管内における抗菌剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
「純粋」なポリマーは、本質的に、異なる分子の混合物である。これらの分子は、異なる分子量を有し、そしてしばしば、ポリマーがそのモノマーから形成される重合条件に依存して、異なる立体配置を有する。その結果、モノマーの重合の様式は、ポリマーの化学構造、それ故、全ての特性を決定する。1つのモノマー由来の全てのポリマーが同じであるか、または同じ様式で反応するかのいずれかであると推定することは根拠がなく、そしてしばしば誤りである。特に、アクロレイン(2−プロペン−1−ナール)は、代替の反応部位を有し、あらゆる「ポリアクロレイン」は同じではない。
【0003】
本発明では、異なり、かつ所望される物理的、化学的および抗菌的特性の別個のポリマーを提供するために、アクロレインおよび/またはそのアセタールとヒドロキシアルカン酸との新規かつ有用な種々のポリマーを生成する重合が記載される。
【0004】
アクロレインの重合は、1843年に最初に報告された(非特許文献1)。これは、全ての一般的な溶媒に不溶性であり、かつ何ら意義ある用途がない固形物を提供した。
【0005】
かなり後の1987年に、Melroseら(特許文献1)は、ポリマーと化学的滅菌剤であるグルタルアルデヒド(ペンタン−1,5−ジアール)との間の構造類似性(カルボニルがポリマーにおける抗菌部位として付与されていること)を実証することにより、抗菌剤としてのアクロレインの種々のポリマーの製造、組成物および用途を最初に記載した。水は、ほぼ全ての微生物の増殖圏であり、水溶解性または少なくとも分散能力は、これらの微生物に対する抗菌活性のために必須である;したがって、通常、ポリマーはまた、ポリマーを水により溶解させるために、親水性共モノマーを含有していた。しかし依然として、ポリマーの抗菌活性は、親水性にのみ貢献する共モノマーのその高い含量に起因して低いままであった。
【0006】
水におけるこの制限的な不溶性を避ける試みにおいて、その後の技術(特許文献2−6)は、第1に、不溶性ポリアクロレインを生成する、アクロレインモノマーのみの陰イオン性同種重合を常に必要とする。その結果、5.5よりも上のpHのみ(特許文献3)ではあるが水溶性を達成するために、これに続いて、第2に、得られた水不溶性ポリマーを濾過し、次いで、第3に、数日にわたって空気または酸素中で加熱することによりポリマーの自動酸化を延長して、0.1〜5モルの(親水性)カルボキシ/Kgポリマーの含量を有するアクロレインポリマー、ポリ(2−プロペナール,2−プロペン酸)を生成する。第4に、自動酸化されたポリマーは、弱塩基条件、次いで弱酸条件の双方を含む範囲に対してポリエチレングリコール(PEG)で処理され得、向上した親水性、およびポリエチレングリコールとの反応から誘導されるアセタール基を有するアクロレインポリマーを生成する。しかしながら、この逐次合成は実質的に制限される。これは、その自動酸化工程が非常に延長されるという点、およびアクロレインポリマーが濾過の間、特に過熱の際に不溶性ゴムに戻る周知の傾向〔100年以上にわたってその用途を抑止した特性(非特許文献2)〕に起因して、内容に乏しいという点による。これらの不利益の直接的な結果として、このプロセスは、習慣的に首尾よく繰り返されていない。
【0007】
したがって、本発明の1つ(第1)の目的は、実用的な合成経路によって、アクロレインの新規な抗菌性の水溶性ポリマーを提供すること、特に、そのようにすることで、ポリマーの自動酸化工程を介した進行の必要性を回避することである。
【0008】
ヒトの胃腸管内において、細菌ヘリコバクター・ピロリ(非特許文献3)は、歯垢中に巣食い得る;また、保護的な天然ポリマーによって囲まれており、それは、世界中の人々の約50%の胃の中に見出される。ヒトでは、それは、胃および十二指腸の潰瘍および癌に明らかに関連しており、注目すべきことに、この細菌は、酸性pHの胃内で繁殖する。感染した患者についての治療は、必然的に、種々の異なる抗生物質のレジメを含む。なぜなら、それは、既知の抗生物質に耐性であるH.ピロリの株により、ますます無効化されているからである。動物では、あまり確かではないが、他のヘリコバクターもまた、胃腸疾患に関連している。
【0009】
常に、アクロレインの可溶性ポリマーは、抗生物質耐性病原菌に対してさえも、並外れて広範な抗菌活性を示しており、これは、全ての微生物の外膜中の常在タンパク質と破壊的かつ無差別的に反応するカルボニル基のポリマー内容物により説明される。特に、Melroseら(特許文献6)は、pH4またはpH7でのインビトロにおいて、H.ピロリに対するアクロレインポリマー、ポリ(2−プロペナール,2−プロペン酸)の抗菌活性を報告した。しかし、このポリマーの水溶解性および抗菌活性は、胃内容物に関連するより低いpH(すなわち、pH4未満)で大きく低下する。
【0010】
実際、試験した場合、水溶性溶媒に可溶性である全てのアクロレインポリマーは、抗菌活性を実証した。しかしながら、全てのアクロレインポリマーのこの潜在的な抗菌特性に対して手腕を問われる妥協が常に存在していたことが、本発明の中心的理念である:それは溶解性である。特に、溶解性の欠如は、水における低いpH範囲に対してポリマーが実質的かつ広い抗菌特性を発現することを損なう。
【0011】
したがって、本発明の第2の目的は、アクロレイン由来の新規ポリマーであって、ポリマーがヒトの胃内に見出される低いpH範囲に対して可溶性であり、かつ特に、H.ピロリの増殖に関連するものを提供することである。
【0012】
アクロレインは、ヒトまたは動物に対する極度の刺激の供給源であり得ることが周知である(特許文献2〜7)。800未満の分子量を有する任意の分子が天然の膜(皮膚または腸)を介して合理的に自由に通過することが一般的に認識されている;したがって、刺激性のアクロレインモノマー、アクロレインの低分子量オリゴマーまたはそのアセタールは、ヒトまたは動物において保護膜を貫通する傾向があり、そしてそれ故、血管系に進入し、刺激を引き起こす。
【0013】
したがって、本発明の第3の目的は、アクロレイン由来のポリマーであって、新規であり、全てのpHで水溶性であり、かつ抗菌性であり、また、膜を横切る移動性がより低い構造を有するものを提供することである。
【0014】
特許文献8の明細書は、可溶性であり、微生物学的に活性であり、かつ安定なアクロレインポリマーと呼ばれるものの製造のための方法を記載している。重要なことに、記載されるポリマーは、アクロレインから直接的に誘導されず、誘導されるアクロレインの初期の濾過に関連する既知の課題に供され、そして結果的に、乳液およびゴムの形成により制限される。これらの事項は、先行技術(特許文献3)において強調されている。この方法により作製されるポリマーは、抗菌性が顕著ではなく、明細書中に開示される最小殺菌濃度(MKC)は、24時間の暴露時間に関するものであることが知られている。記載される製造方法は、すぐ上で留意した制約に加えて、多くの制約を含む。これらとしては、自動酸化/65℃以上での過酷な加熱条件(これらは、必須なものとして記載されている)、酸性条件における誘導体化、その後にポリマーを塩基で処理して安定性を達成するための要件、その茶色により証明されるようなポリマーの実質的な分解が挙げられ、この様式において誘導体化されたポリマーは、さらにポリアセタールであり、そして、カルボキシルの中和の結果としてpH8をもっぱら生じる、炭酸ナトリウム溶液(通常約pH11)中におけるその溶解から明らかであるように、かなりのカルボキシルを含有する。
【0015】
発明の背景の考察は、本発明の理解を容易にするためのものであることが単に意図される。この考察は、言及した任意の材料が、本出願の優先日当時における一般的な技術常識の一部であること、または一部であったことを認めるものでも承認するものでもない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】J.Redtenbacher,Ann.,47,113(1843)
【非特許文献2】R.F.Fischer − C.W.Smith,‘‘Acrolein’’,John Wiley and Sons,Inc.,1962,第14章,第225頁
【非特許文献3】C.LiuおよびJ.M.Crawford − V.Kumar,A.K.AbbasおよびN.Fausto,‘‘Robbins and Cotran Pathologic Bases of Disease’’,Elsevier Inc.第7編(国際),2005,第17章,第8頁
【特許文献1】国際公開第88/04671号
【特許文献2】国際公開第96/38186号
【特許文献3】国際公開第00/03723号
【特許文献4】国際公開第01/60874号
【特許文献5】国際公開第02/26211号
【特許文献6】国際公開第03/061672号
【特許文献7】米国特許第6,060,571号
【特許文献8】国際公開第2005/044874号
【発明の概要】
【0017】
本明細書中では:
(a)具体的に指定しない限り、常に、「アルカノール(alkanol)」は、1以上のヒドロキシル基を有する任意の化合物を記載するものとし、アルカン、アルケン、アルキン、芳香族、複素環、糖、天然または合成ポリマーのヒドロキシ誘導体が挙げられるものとする;
(b)具体的に指定しない限り、常に、「ヒドロキシアルカン酸(hydroxy−alkanoic acid)」または「カルボキシル基を含有するアルカノール」としては、アルカン、アルケン、アルキン、芳香族、複素環、糖、天然または合成ポリマーに関連するヒドロキシカルボン酸アナログが挙げられるものとし、ならびにこれらの官能基の1つまたは双方のいずれかにおける単官能性化合物をいい、また、1個よりも多いヒドロキシル基、および/または1個よりも多いカルボキシル基、ならびに/あるいはヒドロキシルまたはカルボキシル基のいずれかの官能基と実質的に干渉しない他の基を含有するこのような化合物を含んでいてもよい;
(c)具体的に指定しない限り、常に、「アセタール」とは、モノアセタールおよび/またはジアセタールを記載していてもよいものとする;
(d)具体的に指定しない限り、常に、「重合」とは、同種(homo)重合および/または共重合を記載していてもよいものとする;
(e)具体的に指定しない限り、常に、「カルボキシル基を含有するオレフィン性モノマー」とは、任意のイオン化状態において重合可能であり、かつ1以上のカルボキシル基を含有するオレフィンモノマーを記載するものとする;
(f)具体的に指定しない限り、常に、「アクロレイン」とは、遊離アクロレインモノマーのみならず、同じ文脈において、ポリマー内のアクロレイン残基もまた記載していてもよいものとし、および/または含んでいてもよいものとする。
(g)H.ピロリは、本明細書中で特に考察されているものの、本発明は、他のヘリコバクターまたは他の微生物、特にとりわけ、細菌、真菌、酵母、ウイルスおよび/原虫に適用可能である;
(h)本発明は、アクロレインに関して記載されているものの、それに限定されるものとして理解されるべきはなく、アクロレインの誘導体(例えば、メタアクロレイン)を含む。
【0018】
本明細書および特許請求の範囲を通じて、文脈がそれ以外を要求していない限り、用語「含む(comprise)」、あるいは、「含む(comprises)」または「含む(comprising)」等の活用形は、言及された整数または整数の群を内包することを示すものであり、如何なる他の整数または整数の群も除外しないことが理解される。
【0019】
発明の開示
本発明によれば、水および/または水溶性媒体に実質的に可溶性である、アクロレインモノマーから直接的に誘導されるポリマーが提供される。
【0020】
好ましくは、本発明のポリマーは、約4未満のpHで可溶性である。
【0021】
なお好ましくは、如何なる中間の自動酸化工程も、本発明のポリマーの調製に使用されない。
【0022】
なおさらに好ましくは、本発明のポリマーは、実質的に抗菌性である。
【0023】
またなおさらに好ましくは、本発明のポリマーは、約1000ダルトンよりも大きい平均分子量を有する。ポリマーは、アセタール基としてポリマーに結合したヒドロキシアルカン酸内、またはポリマー中のモノマー残基内のいずれかに含まれるカルボキシル基に起因する高レベルの極性および/または親水性を有する結果として、膜を介する移動性がより低くなるように調製されてもよい。それにより、1000ダルトンよりも大きい平均分子量のこれらのポリマーは、分子量1000ダルトンまでの全ての分子に対して透過性であるように設計されている膜を介して通過することが実質的に抑制される。
【0024】
本発明のポリマーは、追加的に、またはさらに、アルカノール(および/またはそのイオン)と、ポリマー内のアクロレイン残基中のカルボニルに対する近接炭素との間の反応から生じる構造を、ポリマー内に有する結果として、膜を介する移動性がより低くなるように調製されてもよい。それにより、1000ダルトンよりも大きい平均分子量のこれらのポリマーは、分子量1000ダルトンまでの全ての分子量に対して透過性であるように設計されている膜を介して通過することが実質的に抑制される。
【0025】
本発明のポリマーは、好ましくは、約0.1モル/Kgポリマーと25モル/Kgポリマーとの間のカルボキシル内容物を有する。
【0026】
本発明によれば、本明細書中の先に規定されるようなポリマーを少なくとも部分的に含む、溶液、ゲル、乳液または懸濁液である組成物がさらに提供される。
【0027】
本発明によれば、本明細書中の先に規定されるようなポリマーを少なくとも部分的に含むインビトロおよび/またはインビボ抗菌性組成物がなおさらに提供される。
【0028】
本発明によれば、本明細書中の先に規定されるようなポリマーの合成のための方法がまたなおさらに提供される。このポリマーは、アクロレイン(モノマーまたは残基)とヒドロキシアルカン酸(および/またはそのイオン)との間の反応から生じるアセタール構造を組み込むように、あるいはアルカノール(および/またはそのイオン)と、ポリマー内のアクロレイン残基中のカルボニルに対する近接炭素との間の反応から生じる構造を、ポリマー内に組み込むように調製されている。
【0029】
この方法はさらに、塩基性触媒の存在下における塩基性水溶液中で、アクロレインを、ならびに/あるいはアクロレインとアルカノールおよび/または他の有機求核剤とを、ならびに/あるいはヒドロキシアルカン酸とのアクロレインのアセタールを重合すること、必要に応じて、他のモノマー、ならびに/あるいはアスコルビン酸(および/またはそのイオン)および/または他の抗酸化剤ならびに/あるいは他の酸を含む溶液中で、重合することを含んでいてもよい。
【0030】
塩基性水溶性媒体は、好ましくは、約9〜14の間のpH、さらに好ましくは、pH10〜13の間の水溶性水酸化ナトリウムである。
【0031】
ヒドロキシアルカン酸は、好ましくは、酒石酸および/またはアスコルビン酸である。アセタールは、好ましくは、酸触媒作用により、さらに好ましくは、希硫酸を使用して形成される。アルカノールは、好ましくは、ポリアルキレングリコールである。ポリアルキレングリコールは、好ましくは、ポリエチレングリコールである。
【0032】
ポリエチレングリコールは、好ましくは、約200〜10,000ダルトンの平均分子量を有する。ポリエチレングリコール:アクロレインまたはそのアセタールとして組み込まれているアクロレインの比率は、好ましくは、1:1(v/v)よりも大きく、好ましくは、4:1(v/v)よりも大きい。
【0033】
好ましくは、モノマーは、アクリル酸であり、さらに好ましくは、アクリル酸:アクロレインまたはそのアセタールとして組み込まれているアクロレインの比率は、約0.05〜0.10:1(w/w)の範囲である。有機求核剤は、好ましくは、カルボン酸である。アスコルビン酸:アクロレインまたはそのアセタールとして組み込まれているアクロレインの比率は、好ましくは、約0.01〜10:1.00(w/w)の範囲である。なお好ましくは、アスコルビン酸:アクロレインまたはそのアセタールとして組み込まれているアクロレインの比率は、約0.1〜2.0:1.0(w/w)、好ましくは、約0.6:1.0(w/w)の範囲である。
【0034】
本発明によれば、癌、凝固(coagulation)障害、および/または炎症障害の治療のための方法がなおさらに提供される。各方法は、薬学的に受容可能な量の本明細書中の先に規定されたようなポリマー、またはこのようなものを含有する組成物を、被験体に投与することを含む。
【0035】
本発明によれば、癌、凝固障害、および/または炎症障害もしくは状態のうちの1以上の治療のための医薬の調製における、本明細書中の先に規定されるようなポリマーの使用がまたなおさらに提供される。
【0036】
アクロレインモノマーの先行技術による重合3−7から生じるポリマーのおなじみの完全な不溶性は、1つの方法、または2つまたは3つの方法の組合せのいずれかにより抑制または妨げられ得る(そして抗菌特性が発現される)と本明細書中では仮定される;第1に、不溶性の全体性は、ポリマー内の分子内架橋にのみ一致すると仮定される:
【0037】
方法1:この架橋は、アルカリ性pHで生じていたので、迅速に形成する架橋は、アセタールではあり得ないと結論付けられた。なぜならば、これらは、酸性条件下でのみ形成するからである11:それ故、不溶性を引き起こすこの架橋は、ラジカルを起源とするようであり、(水溶性抗酸化剤、および同様に酸の特性を有する)アスコルビン酸により重合の間または後において抑制され得た。
【0038】
したがって、本発明の目的の1つおよび2つによれば、アスコルビン酸および/またはそのイオンを用いる、この第1の方法(本明細書中の後の実施例5(a)を参照)は、新規であり、抗菌性であり、かつ全てのpHで水溶性であるポリマーを提供するために、自動酸化工程を伴うことなく、首尾よく使用された。
【0039】
先行技術から誘導される3つの「ポリアクロレイン」の全て(本明細書中の後の実施例1を参照)およびアスコルビン酸の存在下におけるアクロレインの上記重合由来のポリマー(実施例5(a)を参照)が、非常に異なることに留意することが重要である:明らかに、いずれかの合成由来の最終ポリマーは、異なる前駆体から誘導される。先行技術のポリマーは、第2の中間体ポリマーから誘導される(実施例1)。本発明のポリマーは、モノマーから直接的に誘導される(実施例5(a));さらに、先行技術のポリマーは、pH4未満で不溶性であり、380%のカルボニル内容物を有し、かつ濃く着色している。このことは、分子内で実質的に共役していることを示す。一方、本発明のポリマーは、pH4未満の全てのpHで可溶性であり、40%のみのカルボニル内容物を有し、かつ顕著に着色していない(すなわち、恐らく共役していない)。先行技術の第1の中間体ポリマーは、全体的に不溶性であり、明らかに、異なる「ポリアクロレイン」である。第2の中間体ポリマーと呼ばれる、(かつ第1の中間体ポリマーの自動酸化から誘導されている)先行技術の「ポリアクロレイン」は、実質的に、抗菌性である(微生物の増殖の抑制のために、少量のみが必要とされる)。この発明由来のポリマーは、当初、抗菌性が8倍も低い;塩基およびポリエチレングリコールによる、先行技術由来のこの第2の中間体ポリマーの処理は、抑制に必要とされるポリマーの量を2倍に増加させた(実施例1)。本発明由来のポリアクロレインの同様の処理は、反対の効果を奏するものであり、抑制に必要とされるポリマーの量を40倍減少させた(実施例5);さらに、この第2の中間体ポリマーはまた、pH5.5未満で可溶性ではないという点で、本明細書中の完全に可溶性のポリマーと明らかに異なる。
【0040】
方法2:塩基性有機求核剤によるイオン性重合の間において、特にアルカノールが含まれる場合、ポリマーの不溶性を引き起こす分子内結合の形成は、下記の結果として、別の分子間の立体障害により抑制され得ると仮定される:ポリマー中のカルボニル基に対して近接する活性(結合した水素を失う能動的な傾向の意味)炭素に対する、ミカエル型反応11Aによるアルカノールまたはそのイオン性結合−それによる架橋および不溶性を抑制する、別のポリマー分子中のかさ高い側鎖の形成。
【0041】
したがって、本発明の目的の1つおよび2つによる、アルカノールを用いる、第2の方法(本明細書中の後の実施例6および7を参照)は、新規であり、抗菌性であり、かつ全てのpHで水溶性であるポリマーを提供するために、自動酸化工程を伴うことなく、首尾よく使用された。
【0042】
本明細書中(実施例6および7)のこの様式における、架橋の首尾のよい妨害、およびその結果生じるアクロレインポリマーの不溶性は、アクロレインとアルカノールとの間の重合が以前に不溶性ポリマーを常に生成していたという理由のために、当初は予想外であった。さらに、先行技術におけるポリマーの沈殿の即時性を考慮すると、重合の間においてアルカノールによりもたらされる本明細書中の反応が、任意の沈殿または混濁さえも防ぐのに充分な速さであるということもまた、予想外である。
【0043】
本明細書中(実施例7)のこの様式で誘導されるポリマーと、先行技術(実施例1)におけるポリマー(アルカノールでも処理される)との間の差異は明白である:第1に、本発明のポリマー(前者)は、アクロレインモノマーから直接的に合成されている。先行技術のポリマー(後者)は、ポリ(2−プロペナール,2−プロペン酸)から合成されている:第2に、塩基性条件下で完全に調製された、前者は、アセタール構造を有し得ない11B。一方、酸処理を含む条件下で調製された後者は、アルカノールを有するアセタール構造を付与されている;第3に、前者は、pH4未満で可溶性である。後者は、そうではない;第4に、前者は、無色である。後者は、深赤色であり、このことは、分子内のかなりの不飽和度を示す;第5に、前者は、20%のカルボニル内容物を有する。後者は、380%を有する;第6に、前者は、何倍も抗菌的に活性であり、100ppmで混合微生物を抑制し、かつ3分で10 E.coliを死滅させる。一方、後者については、これらのパラメータは、それぞれ、500ppmおよび3時間であった。
【0044】
さらに、本発明のポリマー(実施例6)は、先行技術のポリマー(実施例1)に対して同様の差異を有する。
【0045】
要約すると、先行技術の「超活性化(super−activated)」ポリマーよりも何倍も抗微生物的であるのは勿論のこと、本発明のポリマーは、広範なpHに対して水溶性であるのに対し、先行技術のポリマーは、そうではない。
【0046】
方法3:重合の前に、少なくとも一部のアクロレインが、ヒドロキシアルカン酸とのそのアセタール誘導体に変換される場合、不溶性を引き起こす分子内結合の形成は、本発明のポリマー分子内のイオン化カルボキシル間での分子内反発の結果として、特に塩基性条件下で抑制され得ると仮定される。
【0047】
したがって、本発明の目的の1つおよび2つによれば、第3の方法が提供される。この方法は、自動酸化工程を伴うことがない。この方法は、アクロレイン、その誘導体および/またはヒドロキシアルカン酸とのそのアセタール(本明細書中の後の実施例3を参照)の重合から誘導される、新規であり、抗菌性であり、かつ全てのpHで水溶性であるポリマーの調製のためのものである。この方法は、必要に応じて、アスコルビン酸の存在下においてさらに行われる。この方法はまた、全てのpHで水溶性であり、かつ抗菌性であるポリマーを、十分な収率で生じる(本明細書中の後の実施例4を参照)。
【0048】
さらに、3つの方法の全てにより提供されるアクロレインの新規な抗菌性ポリマーは、シミュレートされた胃内のpHおよび滞留時間の下で実用的なレベルの安定性を有する。
【0049】
本明細書中の設計による、ヒトロキシアルカン酸とのアセタールを形成する際の別の重要な利点は、それがポリマーをより親水性にし、それにより、インビボにおいて生物学的な膜を横切るポリマーの移動性がより低くなることが引き起こされることである;親水性の増加が移動を遅延させることは当該分野において周知である。
【0050】
したがって、本発明の第3の目的によれば、新規であり、抗菌性であり、全てのpHで可溶性であり、かつ生物学的な膜を横切る移動性が低下した、アクロレインのポリマーが提供される。
【0051】
本発明によれば、アセタールの共重合から誘導されるポリマーは、約0.1〜15モル/Kgポリマー、好ましくは、約5〜10モル・カルボキシル/Kgポリマーのカルボニル内容物を有する。すなわち、通常、新規ポリマーは、先行技術のものよりも高いカルボニル内容物を有し、生物学的な膜を横切る移動性が低下する。
【0052】
透析の間において、これらのポリマーは、10,000ダルトンまでの全ての分子に対して透過性であるように設計されている膜を介した動行が抑制された。
【0053】
本明細書中では、抗菌活性の評価について、乳中の微生物の増殖の抑制のアッセイを選択した。なぜならば、乳は、広範な異なる微生物を含有し、かつ通常、アクロレインポリマーと容易に結合し、かつそれを脱活性化するタンパク質様材料を含有するからである。本明細書中の後に提供される実施例は、本発明がこれらの厳しい条件において実質的な抗菌性ポリマーを提供することを示す。また、ポリマーを、下痢を引き起こす細菌である大腸菌(Escherichia coli)に対して評価した。
【0054】
本明細書中の後の実施例4および7のポリマーは、本発明の好ましい2つのポリマーである。双方は、自動酸化工程を伴うことなく調製され、全てのpHで可溶性であり、そして先行技術のアクロレインポリマーのものに比べて、膜を横切る移動が最小になるように設計された構造を有する。さらに、これらのポリマー、および最良の先行技術のポリマー(実施例1)についてのこれらの評価からの結果の概要は、先行技術の任意のアクロレインポリマーよりもかなり抗菌性であるポリマーが本明細書中で提供されることを示す:
【0055】
【表1】

【発明を実施するための形態】
【0056】
(発明を実施するための最良の形態)
番号の順番において、本発明の方法は、以下の概略工程を含む:
1.必要に応じて、酸触媒を用いて、アクロレインモノマーを、ヒドロキシアルカン酸とのそのアセタール誘導体に部分的に変換すること;
2.塩基性水溶液中において、かつ塩基性触媒を提供して、アクロレインを、ならびに/あるいはアクロレインとアルカノールおよび/または他の有機求核剤(および/またはそのイオン)とを、ならびに/あるいは上記工程1由来の生成物を、必要に応じて、他のモノマー、ならびに/あるいはアスコルビン酸(および/またはそのイオン)および/または他の抗酸化剤ならびに/あるいは他の酸を含む溶液中において、重合すること;ならびに
3.得られた溶液を、酸でpH7に調整すること。
【0057】
さらに、工程3の始めに(pH7への調整前に)、本発明の全ての調製物が、水に対する透析に適用できることは明らかである;特に、これは、インビボで膜を貫通し得る任意の低分子量の画分を完全に排除する。しかしながら、この技術をポリマー(本明細書中の後の実施例4を参照)に対して適用した場合、抗菌活性の幾らかの消失が、観察される;あるいは、これは、pH6に調整された、酒石酸ナトリウム溶液に対する透析により防ぐことができる。カルボニル内容物の減少は、この代替手段および抗菌活性の回復に付随しており、そしてこのアセタールポリマーがカルボニル以外に抗菌活性を引き起こす異なる部位を有することを示唆する。
【0058】
本明細書中の後で考察される、実施例8の範囲内の(本明細書中の後の実施例4および7の)方法の組合せは、本発明のさらなる好ましい方法論を表するものであり、そして実質的な抗菌活性のポリマーを生成する。しかしながら、実施例4および6の方法の類似の組合せは、有意でない抗菌活性のみのポリマーを生成する(本明細書中の後の実施例9を参照)。実施例8および9の共通要素は、双方のポリマーのカルボニルがアセタール形成により妨害されるということである(実施例4のアセタール形成の共通方法を含めることによる);それらの差異についての理由は、実施例7のポリマーにおける抗菌活性の部位が、PEGが反応する、その残存する活性炭素原子であると結論付けられる場合に明らかである。一方、実施例6のポリマーでは、全ての活性炭素がPEGと反応し、カルボニル基が抗菌活性の唯一の部位として専ら残存する。(実施例4で誘導されるポリマーの代替的な透析条件の後、得られるより抗菌活性のポリマーは、より低いカルボニル内容物を有する;これはまた、カルボニル基に対して代替的な活性部位を示す。)したがって、本発明の方法は、それぞれ、2つの異なる抗菌部位を有するポリマー、例えば、それぞれ、実施例4または7、あるいは実施例6のポリマーを提供するというさらなる利点を有することが明らかである。特に、これは、抗菌耐性に関与する病原菌に対する代替的な防御を提示する。工程1では、通常、ヒドロキシアルカン酸に対して化学量論的に過剰なアクロレインが使用され、その結果、工程2では、アクロレインのアセタールと、残存する過剰なアクロレインとの間で共重合が生じる。
【0059】
工程1では、ヒドロキシアルカン酸は、例えば、酒石酸、乳酸、グリセリン酸、グリコール酸、クエン酸または2−ヒドロキシブタン酸であるか、あるいはジオール、アルカンジオール、ポリオール、ポリ(オキシアルケン)、糖または複数のヒドロキシルを含有する他の分子(例、エタン−1,2−ジオール、グリセロールまたはポリエチレングリコール)の選択的な酸化に概念的に誘導される他のヒドロキシカルボン酸である。ヒドロキシアルカン酸のチオールアナログ(例えば、グルタチオン)もまた使用されてもよい。
【0060】
工程1では、本明細書中の他の証拠の中でも、アセタール形成は、アセタールを有しないポリマー(実施例1および5(a))の特性を、アセタールを含有するポリマー(それぞれ、実施例3および4)と対比することにより、確認される。
【0061】
それらは、それらの平衡形成反応13において(鎖状アセタールよりも)より所望される、アクロレインとの環状アセタールを形成するので、好ましいヒドロキシアルカン酸は、酒石酸またはアスコルビン酸、特に前者である。実用的な制約の範囲内では、ポリマーにおいて、酒石酸のアセタールは、pH2にて37℃で4時間(胃における内容物の滞留期間と関連する条件)安定であった。
【0062】
工程2では、好ましい塩基は、10と13との間のpHを有する、水溶性水酸化ナトリウム溶液である。
【0063】
工程2では、好ましい有機求核剤は、アルカノールであるが、カルボン酸を使用してもよい;より好ましいアルカノールは、ポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコールである;ポリエチレングリコールの好ましい分子量は、200〜2000ダルトンの範囲である。アルカノールに対するアクロレインの所定の重量比については、より高分子量のアルカノールが、より立体障害性を与え、膜を介する移動性がより低いポリマーを生じる;逆に、標的病原菌を覆う天然ポリマーをアクロレインポリマーが貫通するためには、より低分子量のアルカノールが好まれ得る。ポリエチレングリコール:アクロレイン(またはそのアセタール)の好ましい比率は、1:1(w/w)よりも大きく、より好ましくは4:1(w/w)よりも大きい。
【0064】
工程2では、本明細書中の先の考察と一致して、ポリエチレングリコールに関して相対的に低い化学量論的比率のヒドロキシル基(高分子量および/または低濃度のポリエチレングリコールによってもたらされる)は、得られるポリマー内に未反応の活性炭素を残し、ポリマー中のこの部位に抗菌活性を付与する;その逆は、ポリマー内のカルボニル基に抗菌活性を付与する。
【0065】
工程2では、酒石酸およびポリエチレングリコールが使用される場合、MW2000の後者(加熱なし)が、はるかに好ましい(本明細書の後の実施例8を参照)。
【0066】
工程2では、アスコルビン酸(および/またはイオン)が好ましい;当該分野で既知の水溶性抗酸化剤以外の水溶性抗酸化剤を使用してもよい。(アセタールの形成を防ぐために塩基で中和された)アスコルビン酸は、不溶性を防ぐ手段としてアルカノールを添加することなく使用される場合、アクロレインまたはそのアセタールとして組み込まれたアクロレインの各1.00部に対して約0.15重量部よりも多く使用されるべきである。アスコルビン酸は、ポリマー間の架橋を抑制するために、抗酸化剤として、アルカノールまたはカルボン酸に寄与し得る。
【0067】
工程2では、任意的な共モノマー(使用される場合)は、通常、アクロレインまたはそのアセタールとして組み込まれているアクロレインの各1.00部に対して約0.05〜0.10重量部の、カルボキシル基を含有するオレフィン性モノマー、好ましくは、アクリル酸である。また、共モノマーは、1個よりも多いカルボキシル基(例、マレイン酸)を含有していてもよい。モノマーを含める通常の目的は、重合の間における分子(またはそのイオン)間の反発、および/または生成ポリマーにおける親水性のいずれかを提供することである。
【0068】
本発明のポリマーは、その水溶液として(実施例2、5、8を参照)、または透析後に、乾燥液体ポリマーとして単離されて(実施例4、6、7を参照)、提供されている。
【0069】
本発明のポリマーは、物理的および抗菌的な安定性を有し、これにより、本発明のポリマーは、その意図された用途に対して、特に、胃における滞留時間をシミュレートする条件(pH2/37℃/4時間)下で、実用的になる。
【0070】
先行技術とは対照的に、自動酸化工程を延長しない、水溶性かつ実質的な抗菌性のポリマーの合成が、ここで提供される。この合成は、(先行技術で必要とされるバッチ式製造に対して)大いに改善された経済学の連続流式製造に適用できる。
【0071】
本明細書中の実施例が実験室的な方法を含むことは明らかである;産業的に、それらは、当業者に容易に明らかであり、かつ本発明の精神および範囲内に留まる様式において、相当に変更される。
【0072】
本発明の記述を通じて、全ての方法において、溶媒は、水溶性であるか、または完全に水であるかのいずれかである。しかしながら、調製物は、乳化、分散化または懸濁化技術を含む異種の技術に適用できる。
【0073】
遊離アクロレインモノマーおよび/またはその誘導体との、特にヒドロキシアルカン酸との、本明細書中に記載される反応が、ポリマー内の固定アクロレイン残基と同じ反応に適合できることもまた明らかである。
【0074】
本発明のポリマーが、徐放性組成物中に処方されてもよいこと、ならびに/あるいは、ヒトまたは動物の健康管理における使用、特に胃腸管内における使用のために適切な組成物中に、固体、溶液、乳液、懸濁液またはゲルとして、他の材料とともに処方されてもよいことは、当業者に明らかである。
【実施例】
【0075】
実施例1;先行技術;ポリ(2−プロペナール,2−プロペン酸)
番号の順番において、室温での攪拌を継続しつつ:
1.新たに蒸留された、インヒビターを含まないアクロレイン(15g)を、水(180g)に添加した;
2.水溶性水酸化ナトリウム(約5ml;0.8%(w/w))の添加により、pHを10.5に調整した。
【0076】
30分後、(最初の数分以内に形成した)最初の中間体ポリマーの不溶性沈殿を濾過し、次いで、先ず室温で1日間風乾し(乾燥重量7.62g;重合収率50%;およそ80℃で軟化する)、次いで連続して75℃まで上昇させて2日間加熱し、続いて85℃で1日間加熱した。得られたこの第2の中間体ポリマーを、塩基性の水溶性溶媒中に溶解して、深赤色溶液を得たが、6未満のpHで沈殿した;微生物学的アッセイは、250ppmのポリマーで抑制を最小限に示した。
【0077】
この自動酸化された第2の中間体ポリマー(5g)のサンプルを、ポリエチレングリコール(60g;MW約200)、次いで、水溶性炭酸水素ナトリウム(30g;1%(w/w))中で攪拌し、かつ65℃で加熱することにより部分的に溶解させた。得られた深赤色溶液(pH8)を100℃で4時間加熱して、必要とされる(第3の)アクロレインポリマー、即ち、ポリ(2−プロペナール,2−プロペン酸)の溶液(最終pH6)を得た。
【0078】
微生物学的アッセイ(以下の全ての方法論を参照)は、500ppmのポリマーで抑制を最小限に示し、180分後にE.coliの死滅を最小限に示した;酸化生成物は、ポリマー内の380%のカルボニルアッセイ結果により示された;ポリマーは、pH4未満で溶液から沈殿した。
【0079】
本発明は、以下の実施例により説示されるが、これは、発明の範囲を制限するものとして考慮されるべきではない。
【0080】
抗菌活性の評価
(a)微生物学的アッセイ:微生物の抑制:50%希釈系列の2連のサンプルを、水溶液(5ml)において作製し、各々を添加して、スクロース(3g)が溶解した低温殺菌全乳(20ml)を含有するストッパー付の試験管に分けた。試験管中の得られた各サンプルを、水浴中に32〜38℃で20〜24時間置いた;「陽性」試験管を用意した。これは、サンプル溶液(5ml)の代わりに水(5ml)を含有していた。各々の含有物のpHを、これらのプロトコルの前後に測定した。試験および「陽性」の含有物の間で0.5よりも大きいpHの差異がある場合、「抑制」に注意した;結果を、ポリマーのppm(w/w)(重合が100%の収率で進行したものと仮定)として報告する。
【0081】
本質的には、このアッセイは、広い範囲の微生物を抑制する抗菌能力を測定し、そして食物成分の存在下における体温での抗菌性の状況に関連するように設計されている。アッセイの精度は、1希釈以内であると考えられる。
【0082】
(b)大腸菌(Escherichia coli)の死滅:2連において、サンプルを1%水溶性炭酸水素ナトリウム中に溶解して、ポリマー溶液(0.125%(w/w)のポリマー。重合100%と仮定)が得られるようにした。この溶液のサンプル(20ml)を、0.1mlの10×E6溶血性E.coliの生菌(血清型O149,K88)と混合した。0、3、10、30および180分の時間間隔で、アリコート(2連)を、血液アガープレート上に蒔き、数を半定量的に評価した。
【0083】
カルボニルの評価
この評価は、Smithにより確立された方法14に基づく。水溶性サンプル(1g)を0.01gの精度で秤量した。水(9g)を添加し、次いで、0.01M塩酸または0.01M水溶性水酸化ナトリウムのいずれかを適切に添加することにより、サンプルの溶液をpH6.00にした。
【0084】
塩酸ヒドロキシルアミンの1%溶液(50ml)を、0.01M水溶性水酸化ナトリウムでpH6.00にした。
【0085】
上記のサンプル溶液および試薬溶液を混合し、室温で30分間静置した;反応物を0.01M水溶性水酸化ナトリウム(Vml)で滴定して、pH6.00に戻した。
【0086】
次いで、元のサンプル(Wg)のw/w%カルボニル含有量を、アクロレインとして評価した。方程式:(V×0.10×5.6)/(W×f)〔fは、水溶性サンプル内のポリマーの重量分率(少数として表す)である〕(60%の重合収率と推定する。この収率は、本明細書中で現実的に見出されているものであり、そして先行技術に匹敵し、かつ先行技術と同様である、ポリマーにおけるカルボニル含量の結果を与える)。2連の測定の結果を平均化した。
【0087】
透析によるポリマー溶液の定量的解析
2連において、ポリマー(1.00g)の水溶液を、磁気的に攪拌した片面の微小透析チャンバー(SIGMA−ALDRICH)において、水(1L)に対して4〜5時間透析した。1,000ダルトンまたは10,000ダルトンのいずれかの分子量の上限透過性の低結合性酢酸セルロース膜(SIGMA−ALDRICH)を規定通りに用いた。透析液を一定重量まで室温で乾燥させて、ポリマー画分を回収した。
【0088】
胃に固有の酸性条件でのインビトロ・シミュレーション
2連において、水溶性サンプル(1.00g)を、水(9g)中に溶解し、次いで、10%塩酸の添加によりpH2にした;また、2連において、ブランクとして、サンプルを同様に処理した(塩酸を同容量の水と交換したことを除く)。
【0089】
全てを37℃/4時間で加熱し、次いで、それらの物理的、化学的または微生物学的特性の解析前に、ph6.00に調整した。
【0090】
実施例2;
番号の順番において、室温での攪拌を継続しつつ:
1.新たに蒸留されたアクロレイン(5g;0.1(w/w)ヒドロキノンで抑制される)を、1%硫酸(0.25ml)を含有する水(33g)中のアスコルビン酸(8.25g)の水溶液にゆっくりと添加した;
2.2時間後、10%水溶性水酸化ナトリウムの増量的な添加により約11のpHに維持された水(100ml)に、この溶液をゆっくりと30分かけて添加した;
3.さらに30分後、10%塩酸を用いて、ポリマーの清澄な溶液のpHを7に調整した。
微生物学的アッセイは、250ppmのポリマーで抑制を最小限に示した。
【0091】
実施例3;
番号の順番において、室温での攪拌を継続しつつ:
1.新たに蒸留されたアクロレイン(5g;0.1(w/w)ヒドロキノンで抑制される)を、1%硫酸(0.25ml)を含有する水(33g)中の酒石酸(7g)の水溶液にゆっくりと添加した;
2.2時間後、10%水溶性水酸化ナトリウムの増量的な添加により約11のpHに維持された水(100ml)に、この溶液をゆっくりと30分かけて添加した;
3.さらに30分後、10%塩酸を用いて、pHを7に調整し、ポリマーの僅かな沈殿を濾過し、少量の水で洗浄し、乾燥させた(1.75g;このポリマーは、125℃未満で軟化しなかった)。殆どのポリマーは、溶液中に残存した;その最小抑制量は、250ppmのポリマーであった。
【0092】
実施例4;
番号の順番において、室温での攪拌を継続しつつ:
1.新たに蒸留されたアクロレイン(5g;0.1(w/w)ヒドロキノンで抑制される)を、1%硫酸(0.25ml)を含有する水(33g)中の酒石酸(7g)の水溶液にゆっくりと添加した;
2.2時間後、10%水溶性水酸化ナトリウムの増量的な添加により約11のpHに設定され、次いで維持された水(30ml)中のアスコルビン酸(5g)に、この溶液をゆっくりと30分かけて添加した;
3.さらに30分後、10%塩酸を用いてpHを調整して、pH7.5のほぼ無色の清澄な溶液を得た。
【0093】
pH1に低下させて試験した場合、ポリマーは可溶性のままであった。微生物学的アッセイは、250ppmのポリマーで抑制を最小限に示した(これは、7℃/6ヶ月での保存後でも変化しなかった)。全てのE.coliは、180分後に死滅した(上記の方法を参照)。ポリマー溶液を、1,000ダルトンまたは10,000ダルトン膜のいずれかを用いて透析して、乾燥液体ポリマー(重合収率60%)を単離した。このポリマーは、500rpmで抑制した。あるいは、このサンプルは、pH2/37℃/4時間での胃に固有の条件のシミュレーションに曝された後に、500ppm−1000ppmで抑制した。
【0094】
ポリマー内のカルボニル含量は、25%であった(pH2/37℃/4時間での胃に固有の条件のシミュレーションに曝された前後の双方)。ポリマーのカルボニル含量は、55%であり、それは、水(pH6)に対する透析後では、2000ppmで最小限に抑制した;ポリマーのカルボニル含量は、水溶性酒石酸ナトリウム溶液(16%(w/w);pH6)に対する透析後では、5%であり、そして、微生物学的アッセイは、500ppmのポリマーで抑制を最小限に示した。
【0095】
実施例5
番号の順番において、攪拌を継続しつつ:
(a)新たに蒸留されたアクロレイン(5g;0.1(w/w)ヒドロキノンで抑制される)を、1%硫酸(0.25ml)を含有する、水(19ml)および10%水溶性水酸化ナトリウム(12ml)中のアスコルビン酸(5g)のpH11水溶液にゆっくりと添加した;水酸化ナトリウム溶液(1ml)の追加のアリコートを添加して、添加の間においてpHを11に維持した。微生物学的アッセイにおいて試験した場合、僅かに黄金色であるこの清澄な溶液の少量のアリコートは、2000ppmまでのポリマーで、抑制しなかった。
(b)15分後、ポリエチレングリコール200(60ml)を添加し、次いで、この清澄な溶液を、50〜60℃で1時間にわたって加熱した。次いで、10%塩酸を用いてpHを8に調整した。
【0096】
少量のこの清澄な溶液は、pH1に低下させても、沈殿/混濁しなかった;微生物学的アッセイは、50ppmのポリマーで抑制を最小限に示した;ポリマー内のカルボニル含量は、40%であった。
【0097】
実施例6
番号の順番において、室温での攪拌を継続しつつ:
1.新たに蒸留されたアクロレイン(5g;89mモル(mMole);0.1(w/w)ヒドロキノンで抑制される)を、10%水溶性水酸化ナトリウムの添加(2滴)によりpH12〜13に設定された、水(20ml)およびポリエチレングリコール(60ml;330mモル;MW200)にゆっくりと添加した;
2.30分後、水(10ml)を、清澄な無色溶液に添加し、数滴の10%塩酸を用いてpHを7に調整した。
【0098】
pH1に低下させて試験した場合、ポリマーは可溶性のままであった。微生物学的アッセイは、50ppmのポリマーで抑制を最小限に示した。1,000ダルトン膜を用いた、ポリマー溶液の透析後の乾燥液体残渣の回収は、PEG:アクロレイン残基の比率が1:1であることを示す重量を生じた。
【0099】
実施例7
番号の順番において、室温での攪拌を継続しつつ:
1.新たに蒸留されたアクロレイン(5g;89mモル;0.1(w/w)ヒドロキノンで抑制される)を、10%水溶性水酸化ナトリウムの添加(2滴)によりpH12〜13に設定された、水(30ml)およびポリエチレングリコール(30g;15mモル;MW2000)にゆっくりと添加した;
2.60分後、数滴の10%塩酸を用いて、この清澄な溶液のpHを7に調整した。
【0100】
pH1に低下させて試験した場合、ポリマーは可溶性のままであった。微生物学的アッセイは、100ppmのポリマーで抑制を最小限に示し、これは、7℃/6ヶ月での保存後でも再現性があった。全てのE.coliは、3分後に死滅した(上記の方法を参照)。ポリマーの抑制は、pH2/37℃/4時間でのシミュレーション(上記を参照)における処理後に、250ppmであった。10,000ダルトン膜を用いたポリマー溶液の透析、次いで回収は、60%重合収率およびポリマー内におけるPEG:アクロレインの比率がおよそ1:6であることを示す重量の乾燥液体ポリマーを生じた。ポリマーの透析残渣は、250ppmで微生物学的抑制を呈した;カルボニル含量は、20%として決定された。
【0101】
実施例8
番号の順番において、室温での攪拌を継続しつつ:
1.新たに蒸留されたアクロレイン(5g;89mモル;0.1(w/w)ヒドロキノンで抑制される)を、1%硫酸(0.25ml)を含有する水(25ml)中の酒石酸(2.5g)の水溶液にゆっくりと添加した;
2.2時間後、上記溶液を、pH12に予め設定された、水(30ml)中のアスコルビン酸(1g)およびポリエチレングリコール(30g;15mモル;MW2000)に、ゆっくりと15分かけて添加し、次いで、添加の間において、反応をpH12〜13に維持した(10%水溶性水酸化ナトリウム溶液のさらなる増量による);
3.30分後、10%塩酸を用いて、ポリマーの清澄な淡黄金色溶液のpHを7に調整した。
微生物学的アッセイ(上記を参照)は、250ppmのポリマーで最小抑制量を示した。このポリマーは、pH1の希塩酸中では可溶性のままであった。水(pH2)に対するポリマー溶液の透析により、500ppmのポリマーの最小抑制量を有する溶液が生じた;乾燥ポリマーの回収は、ポリマー内におけるPEG:アクロレインが1:11の比率であることを示す重量を生じた。
【0102】
実施例9
番号の順番において、室温での攪拌を継続しつつ:
1.新たに蒸留されたアクロレイン(5g;89mモル;0.1(w/w)ヒドロキノンで抑制される)を、1%硫酸(0.25ml)を含有する水(25ml)中の酒石酸(2.5g)の水溶液にゆっくりと添加した;
2.2時間後、上記溶液を、pH12に予め設定された、水(30ml)中のアスコルビン酸(1g)およびポリエチレングリコール(30g;300mモル;MW200)に、ゆっくりと15分かけて添加し、次いで、添加の間において、反応をpH12〜13に維持した(10%水溶性水酸化ナトリウム溶液のさらなる増量による);
3.30分後、10%塩酸を用いて、ポリマーの清澄な黄金色溶液のpHを7に調整した。
【0103】
微生物学的アッセイ(上記を参照)は、2000ppmのポリマーで最小抑制量を示さなかった。このポリマーは、pH1の希塩酸中では可溶性のままであった。ポリマーの回収、続いて水(pH7)に対する透析は、PEG:アクロレインの比率が1:3であることを示す重量を生じた。
【0104】
本発明のポリマーは、上記より明らかであるその特性の直接的な結果として、癌、凝固障害および炎症の治療における有効性を証明すると考えられる。同様に、本発明のポリマーは、薬学的に受容可能な量において抗癌、抗凝固および抗炎症組成物で用いられる場合の有用性および有効性を証明すると考えられる。
【0105】
当業者に明らかであるような改変および変更は、その範囲内にあるとみなされる。
【0106】
参考文献
1.J.Redtenbacher,Ann.,47,113(1843)
【0107】
2.G.J.H.Melrose,C.M.Kleppe,J.W.Langley,J.M.StewartおよびJ.Van Dyk,国際公開第88/04671号
【0108】
3.G.J.H.Melrose,国際公開第96/38186号
【0109】
4.G.J.H.MelroseおよびA.J.Huxham,国際公開第00/03723号
【0110】
5.G.J.H.Melrose,G.DalyおよびA.J.Huxham,国際公開第01/60874号 A1
【0111】
6.J.A.StatonおよびG.J.H.Melrose,国際公開第02/26211号 A1
【0112】
7.G.J.H.Melrose,A.J.Huxham,D.M.G.TilbrookおよびV.L.Wycoco,国際公開第03/061672号 A1
【0113】
8.R.F.Fischer − C.W.Smith,‘‘Acrolein’’,John Wiley and Sons,Inc.,1962,第14章,第225頁
【0114】
9.P.Werle,H.P.Krimmer,M.TrageserおよびF.R.Kunz,米国特許第6,060,571号
【0115】
10.C.LiuおよびJ.M.Crawford − V.Kumar,A.K.AbbasおよびN.Fausto,‘‘Robbins and Cotran Pathologic Bases of Disease’’,Elsevier Inc.第7編(国際),2005,第17章,第8頁
【0116】
11.M.B.SmithおよびJ. March,‘‘March’s Advanced Organic Chemistry,Reactions,Mechanisms, and Structure’’ John Wiley and Sons,Inc.,第5版,2001.A:第15章,第975頁;B:第16章,第1180頁
【0117】
12.G.Odian,‘‘Principles of Polymerisation’’,John Wiley and Sons,Inc.,第2版,1981,第5章,第460頁
【0118】
13.R.C.Morris − 参考文献8,第7章,第110頁
【0119】
14.E.D.Peters − 参考文献8,第16章,第256頁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水および/または水溶性媒体に実質的に可溶性である、アクロレインモノマーから直接的に誘導されるポリマー。
【請求項2】
ポリマーが約4未満のpHで可溶性である、請求項1記載のポリマー。
【請求項3】
その調製において、如何なる中間的な自動酸化工程も使用されない、請求項1または2記載のポリマー。
【請求項4】
ポリマーが実質的に抗菌性である、前記請求項のいずれか一項記載のポリマー。
【請求項5】
ポリマーが約1000ダルトンよりも大きい平均分子量を有する、前記請求項のいずれか一項記載のポリマー。
【請求項6】
ポリマーが、アセタール基としてポリマーに結合したヒドロキシアルカン酸内、またはポリマー中のモノマー残基内のいずれかに含まれるカルボキシル基に起因する高レベルの極性および/または親水性を有する結果として、膜を介する移動性が低い、前記請求項のいずれか一項記載のポリマー。
【請求項7】
ポリマーが、1000ダルトンよりも大きい平均分子量であり、かつ分子量1000ダルトンまでの全ての分子に対して透過性であるように設計されている膜を介して通過することを実質的に抑制する、請求項6記載のポリマー。
【請求項8】
ポリマーが、アルカノール(および/またはそのイオン)と、ポリマー内のアクロレイン残基中のカルボニルに対する近接炭素との間の反応から生じる構造を、ポリマー内に有する結果として、膜を介する移動性が低い、請求項1〜5のいずれか一項記載のポリマー。
【請求項9】
ポリマーが、1000ダルトンよりも大きい平均分子量であり、かつ分子量1000ダルトンまでの全ての分子量に対して透過性であるように設計されている膜を介して通過することを実質的に抑制する、請求項8記載のポリマー。
【請求項10】
ポリマーが、約0.1モル/Kgポリマーと25モル/Kgポリマーとの間のカルボキシル内容物を有する、前記請求項のいずれか一項記載のポリマー。
【請求項11】
前記請求項のいずれか一項記載のポリマーを少なくとも部分的に含む組成物であって、組成物が、溶液、ゲル、乳液または懸濁液である、組成物。
【請求項12】
前記請求項のいずれか一項記載のポリマーを少なくとも部分的に含むインビトロおよび/またはインビボ抗菌性組成物。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか一項記載のポリマーの合成のための方法であって、ポリマーが、アクロレイン(モノマーまたは残基)とヒドロキシアルカン酸(および/またはそのイオン)との間の反応から生じるアセタール構造を組み込むように、あるいはアルカノール(および/またはそのイオン)と、ポリマー内のアクロレイン残基中のカルボニルに対する近接炭素との間の反応から生じる構造を、ポリマー内に組み込むように調製される、方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法であって、該方法が、塩基性触媒の存在下における塩基性水溶液中で、アクロレインを、ならびに/あるいはアクロレインとアルカノールおよび/または他の有機求核剤とを、ならびに/あるいはヒドロキシアルカン酸とのアクロレインのアセタールを重合すること、必要に応じて、他のモノマー、ならびに/あるいはアスコルビン酸(および/またはそのイオン)および/ならびに他の抗酸化剤ならびに/あるいは他の酸を含む溶液中で、重合することをさらに含む、方法。
【請求項15】
塩基性水溶液が、好ましくは、約9〜14の間のpH、さらに好ましくは、pH10〜13の間の水溶性水酸化ナトリウムである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
ヒドロキシアルカン酸が酒石酸および/またはアスコルビン酸である、請求項14または15記載の方法。
【請求項17】
アセタールが酸触媒作用により形成される、請求項14〜16のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
酸触媒作用が希硫酸を使用する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
アルカノールがポリアルキレングリコールである、請求項14〜18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールである、請求項19記載の方法。
【請求項21】
ポリエチレングリコールが、約200〜10,000ダルトンの平均分子量を有する、請求項20記載の方法。
【請求項22】
ポリエチレングリコール:アクロレインまたはそのアセタールとして組み込まれているアクロレインの比率が1:1(w/w)よりも大きい、請求項20または21記載の方法。
【請求項23】
ポリエチレングリコール:アクロレインまたはそのアセタールとして組み込まれているアクロレインの比率が4:1(w/w)よりも大きい、請求項20、21または22記載の方法。
【請求項24】
モノマーがアクリル酸である、請求項13〜23のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
アクリル酸:アクロレインまたはそのアセタールとして組み込まれているアクロレインの比率が、約0.05〜0.10:1(w/w)の範囲である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
有機求核剤がカルボン酸である、請求項14〜25のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
アスコルビン酸:アクロレインまたはそのアセタールとして組み込まれているアクロレインの比率が、約0.01〜10:1.00(w/w)の範囲である、請求項14〜26のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
アスコルビン酸:アクロレインまたはそのアセタールとして組み込まれているアクロレインの比率が、約0.1〜2.0:1.0(w/w)である、請求項14〜27のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
アスコルビン酸:アクロレインまたはそのアセタールとして組み込まれているアクロレインの比率が、約0.6:1.0(w/w)の範囲である、請求項14〜28のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
薬学的に受容可能な量の請求項1〜10のいずれか一項記載のポリマー、またはこれを含有する組成物を、被験体に投与することを含む、癌の治療のための方法。
【請求項31】
薬学的に受容可能な量の請求項1〜10のいずれか一項記載のポリマー、またはこれを含有する組成物を、被験体に投与することを含む、凝固障害の治療のための方法。
【請求項32】
薬学的に受容可能な量の請求項1〜10のいずれか一項記載のポリマー、またはこれを含有する組成物を、被験体に投与することを含む、炎症障害の治療のための方法。
【請求項33】
癌の治療のための医薬の調製における、請求項1〜10のいずれか一項記載のポリマーの使用。
【請求項34】
凝固障害の治療のための医薬の調製における、請求項1〜10のいずれか一項記載のポリマーの使用。
【請求項35】
炎症障害または状態の治療のための医薬の調製における、請求項1〜10のいずれか一項記載のポリマーの使用。
【請求項36】
実施例6または7に関して本願書面の先に実質的に記載されるポリマー。
【請求項37】
実施例6または7に関して本願書面の先に実質的に記載されるポリマーの合成のための方法。

【公表番号】特表2011−503263(P2011−503263A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532375(P2010−532375)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001140
【国際公開番号】WO2009/059350
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(510124294)レッキ プロプライアタリー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】