説明

抗菌性塗料組成物、物品表面のガラス化抗菌処理方法、ガラス化抗菌処理物

【課題】本発明の目的は、特に繊維製品、皮革製品等の柔軟な物品の表面を、本来の風合いを損なうことなく、効果的に保護するのと同時に、抗菌化することが可能な手段を提供することにある。
【解決手段】シリコーン樹脂系塗料と、特定のケイ素含有化合物とを含む抗菌性塗料組成物、該抗菌性塗料組成物を用いた物品表面のガラス化抗菌処理方法、物品表面にシリコーン樹脂系塗料を塗布した後、特定のケイ素含有化合物を含む抗菌剤を塗布することを特徴とする物品表面のガラス化抗菌処理方法、及びこれらのガラス化抗菌処理方法を用いて処理されたガラス化抗菌処理物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌性塗料組成物、物品表面のガラス化抗菌処理方法、ガラス化抗菌処理物に関し、特に優れた抗菌性と抗菌持続性を付与するのと同時に物品表面をガラス化することが可能な抗菌性塗料組成物、物品表面のガラス化抗菌処理方法、該処理方法によって処理されたガラス化抗菌処理物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、生活環境への衛生志向が向上し、食器、メガネ、流し、台所まわり、便器、トイレ周り、浴槽、浴室周り、洗面ボウル、洗面所周り、繊維製品または被服といった日常品や生活において使用する設備への衛生志向、抗菌志向が高まっており、これらの日常品や設備を抗菌化し、長期に渡って抗菌性能を維持することが可能な技術の開発が望まれている。
【0003】
このような要求に応えるべく、特許文献1には、日常品や生活設備の洗浄剤として、抗菌性能、洗浄性能およびその持続性への要求に応えることのできる洗浄剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−146134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載の洗浄剤組成物は、日常品の中でも、被服、カーペット等の繊維製品やバッグ、靴、コート等の皮革製品といった柔軟なものの表面を、本来の風合いを損なうことなく、効果的に抗菌化するために向けられたものではない。また、これらの繊維製品や皮革製品においては、その本来の風合いを維持し、耐久性を付与するために、風合いを損なうことなく表面を保護し、撥水撥油性、防染性、耐薬品性、耐候性等を表面に付与することが求められているが、表面の保護とともに抗菌化することが可能な技術はこれまでに開発されていない。
【0006】
したがって、本発明の目的は、特に繊維製品、皮革製品等の柔軟な物品の表面を、本来の風合いを損なうことなく、効果的に保護するのと同時に、抗菌化することが可能な手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、物品表面のガラス化コーティングに用いられるシリコーン樹脂系塗料と、特定の抗菌性物質とを混合して得られた塗料組成物によって、特に繊維製品、皮革製品等の柔軟な物品の表面を、本来の風合いを損なうことなく効果的に保護し、撥水撥油性、防染性、耐薬品性、耐候性等を物品表面に付与するのと同時に、優れた抗菌性及び抗菌持続性を付与することが可能であることを見出した。また、特に繊維製品、皮革製品等の柔軟な物品の表面に上記シリコーン樹脂系塗料を塗布した後、特定の抗菌性物質を含む抗菌剤を塗布することでも、これらの物品の表面を効果的に保護し、抗菌化することが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明の抗菌性塗料組成物は、シリコーン樹脂系塗料と、
下記一般式(1)
【化1】

(式中、R1は炭素原子数6以上の炭化水素基を示し、R2およびR3は同一または異なっていてもよい低級炭化水素基を示し、R4は二価の低級炭化水素基を示し、R5、R6およびR7は同一または異なっていてもよい低級アルキル基または低級アルコシ基を示し、Xはハロゲンイオンまたは有機カルボキニルオキシイオンを示す)で表されるケイ素含有化合物とを含むことを特徴とする。ここで、前記一般式(1)で表されるケイ素含有化合物のR1は炭素原子数10〜25のアルキル基を示し、R2およびR3は同一または異なっていてもよい炭素原子数1ないし6の低級アルキル基を示し、R4は炭素原子数1ないし6の低級アルキレン基を示し、R5、R6およびR7は同一または異なっていてもよい炭素原子数1ないし6の低級アルキル基またはアルコシ基を示し、Xはハロゲンイオンまたは有機カルボキニルオキシイオンであることが好ましく、前記一般式(1)で表されるケイ素含有化合物が、オクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニムクロライド、オクタデシルジエチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(2−トリメチルシリルエチル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジプロピル(4−トリメトキシシリルブチル)アンモニムアセテート、オクタデシルジメチル(3−トリエトキシシリルプロビル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(3−トリイソプロポキシシリルプロビル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(3−トリエチルシシリルプロビル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(3−トリイソプロピルシシリルプロビル)アンモニウムクロライド、ヘプタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘプタデシルジイソプロピル(2−トリエトキシシリルエチル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニムクロライド、ヘキサデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニムアセテートおよびペンタサデシルジメチル(3−トリエトキシシリルプロピル)アンモニムクロライドからなる群から選ばれた少なくとも1種のケイ素含有化合物であることが好ましい。
【0009】
本発明の抗菌性塗料組成物は、さらに、陽イオン界面活性剤(ただし、前記ケイ素化合物を除く)、非イオン界面活性剤および両イオン界面活性剤からなる群から選ばれた少なくとも1種の界面活性剤を含むことが好ましい。
【0010】
ここで、前記陽イオン界面活性剤が、下記一般式(2)
【化2】

(式中、R11は炭素原子数6以上の炭化水素基を示し、R12、R13およびR14は同一でも異なってもよい低級炭化水素基を示し、Yはハロゲンイオンまたは有機カルボニルオキシイオンを示す)で表される陽イオン界面活性剤であることが好ましく、前記一般式(2)で表される前記陽イオン界面活性剤のR11は炭素原子数10〜25のアルキル基を示し、R12、R13およびR14は同一または異なっていてもよい炭素原子数1ないし6の低級アルキル基を示し、Yがハロゲンイオンまたは有機カルボニルオキシイオンであることが好ましく、前記陽イオン界面活性剤がデシルトリメチルアンモニウムクロライド、デシルトリエチルアンモニウムアセテート、ドデシルトリメチルアンモニウムアセテート、ドデシルトリイソプロピルアンモニウムブロマイド、トリデシルトリエチルアンモニウムプロマイド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリ−n−プロピルアンモニウムクロライド、ペンタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ペンタデシルトリエチルアンモニウムクロライド、ペンタデシルトリ−n−プロピルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリエチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリ−n−プロピルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライドおよびオクタデシルトリエチルアンモニウムクロライドおよびオクタデシルトリ−n−プロピルアンモニウムクロライドからなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましく、前記陽イオン界面活性剤が、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドであることが好ましい。また、前記陽イオン界面活性剤が、セチルピリジニウムクロライドであることが好ましく、前記陽イオン界面活性剤が、N−ココイル−アルギニンエチルエステルピリドンカルボン酸塩であることが好ましい。
【0011】
さらに、前記非イオン界面活性剤が、ポリオキシエチレン単位および/またはポリオキシプロピレン単位を含有するポリオキシアルキレングリコールのアルキルエーテルまたは脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、脂肪酸アミド、アルキルエーテル、アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1種の非イオン系界面活性剤であることが好ましく、前記非イオン界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートであることが好ましい。
【0012】
また、前記両イオン界面活性剤が、ベタイン系およびアミンオキサイド系からなる群から選択されることが好ましく、前記両イオン界面活性剤が、ラウリルジメチルアミンオキサイド及びラウロイルアミドプロピルジメチルアミンオキサイドからなる群より選択されることが好ましい。
【0013】
また、本発明の物品表面のガラス化抗菌処理方法は、物品表面をガラス化し、かつ抗菌化するための処理方法であって、上記抗菌性塗料組成物を用いたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の物品表面のガラス化抗菌処理方法は、物品表面をガラス化し、かつ抗菌化するための処理方法であって、シリコーン樹脂系塗料を物品表面に塗布した後、下記一般式(1)
【化3】

(式中、R1は炭素原子数6以上の炭化水素基を示し、R2およびR3は同一または異なっていてもよい低級炭化水素基を示し、R4は二価の低級炭化水素基を示し、R5、R6およびR7は同一または異なっていてもよい低級アルキル基または低級アルコシ基を示し、Xはハロゲンイオンまたは有機カルボキニルオキシイオンを示す)で表されるケイ素含有化合物を含む抗菌剤を塗布することを特徴とする。
【0015】
本発明の物品表面のガラス化抗菌処理方法の好適例において、前記抗菌剤が、さらに、陽イオン界面活性剤(ただし、前記ケイ素化合物を除く)、非イオン界面活性剤および両イオン界面活性剤からなる群から選ばれた少なくとも1種の界面活性剤を含む。
【0016】
また、本発明のガラス化抗菌処理物は、上記ガラス化抗菌処理方法で処理され、表面がガラス化され、かつ抗菌化されていることを特徴とする。ここで、前記ガラス化抗菌処理物が繊維製品又は皮革製品であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、特に繊維製品、皮革製品等の柔軟な物品の表面を、本来の風合いを損なうことなく効果的に保護し、撥水撥油性、防染性、耐薬品性、耐候性等の特性を物品表面に付与するのと同時に、優れた抗菌性及び抗菌持続性を付与することが可能であり、優れた撥水撥油性、防染性、耐薬品性、耐候性等の特性に加えて優れた抗菌性及び抗菌持続性を有するガラス化抗菌処理物を提供できるという有利な効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。本発明の抗菌性塗料組成物は、シリコーン樹脂系塗料と、
下記一般式(1)
【化4】

(式中、R1は炭素原子数6以上の炭化水素基を示し、R2およびR3は同一または異なっていてもよい低級炭化水素基を示し、R4は二価の低級炭化水素基を示し、R5、R6およびR7は同一または異なっていてもよい低級アルキル基または低級アルコシ基を示し、Xはハロゲンイオンまたは有機カルボキニルオキシイオンを示す)で表されるケイ素含有化合物とを含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の抗菌性塗料組成物は、物品表面をコーティングし、ガラス化することが可能なシリコーン樹脂系塗料と抗菌成分として上記一般式(1)で表されるケイ素含有化合物を含む。これらの成分によって、物品、中でも繊維製品や皮革製品といった柔軟なものの表面を、風合いを損なうことなく、防染・防水し、かつ抗菌化することができ、これらの物品に優れた耐汚染性、耐水性、抗菌性及び抗菌持続性を付与することができる。また、本発明の抗菌性塗料組成物は安価に製造することができる。ここで、本発明において、「物品表面のガラス化」とは、物品表面にガラス質の被膜を形成することを意味する。
【0020】
次に、本発明の抗菌性塗料組成物の構成成分について、以下に詳細に説明する。本発明の抗菌性塗料組成物に含まれる抗菌成分であるケイ素含有化合物は上記一般式(1)で表されるケイ素含有化合物である。本発明の抗菌性塗料組成物は、上記一般式(1)で表されるケイ素含有化合物を一種又は複数種含んでもよい。
【0021】
さらに、上記一般式(1)で表されるケイ素含有化合物のうちで、好ましい態様は、上記一般式(1)のR1は炭素原子数10ないし25のアルキル基を示し、R2およびR3は同一または異なっていてもよい炭素原子数1ないし6の低級アルキル基を示し、R4は炭素原子数1ないし6の低級アルキレン基を示し、R5、R6およびR7は同一または異なっていてもよい炭素原子数1ないし6の低級アルキル基または低級アルコシ基を示し、Xはハロゲンイオンまたは有機カルボニルオキシイオン(有機カルボン酸イオン)であるケイ素含有化合物である。
【0022】
R1の炭素原子数6以上の炭化水素基としては、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ウンエイコシル基、ドエイコシル基、トリエイコシル基、テトラエイコシル基、ペンタエイコシル基などが例示できる。
【0023】
R2およびR3の同一または異なっていてもよい低級炭化水素基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、シクロヘクシル基、フェニル基、トリル基などを例示することができる。
【0024】
R4の低級アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基などを例示できる。
【0025】
R5、R6およびR7は同一または異なっていてもよい低級アルキル基または低級アルコシ基であり、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、へキシルオキシ基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基などを例示できる。
【0026】
Xとしては塩素イオン、臭素イオンなどのハロゲンイオン、メチルカルボニルオキシイオン(アセテートイオン)、エチルカルボニルオキシイオン(プロピオネートイオン)、フェニルカルボニルオキシイオン(ベンゾエートイオン)などの有機カルボニルオキシイオン(有機カルボン酸イオン)を例示することができる。
【0027】
ケイ素含有化合物として具体的には、次の化合物を例示することができる。オクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニムクロライド、オクタデシルジエチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(2−トリメチルシリルエチル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジプロピル(4−トリメトキシシリルブチル)アンモニムアセテート、オクタデシルジメチル(3−トリエトキシシリルプロビル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(3−トリイソプロポキシシリルプロビル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(3−トリエチルシシリルプロビル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(3−トリイソプロピルシシリルプロビル)アンモニウムクロライド、ヘプタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘプタデシルジイソプロピル(2−トリエトキシシリルエチル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニムクロライド、ヘキサデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニムアセテート、ペンタサデシルジメチル(3−トリエトキシシリルプロピル)アンモニムクロライド。
【0028】
ここで、本発明の抗菌性塗料組成物は、上記ケイ素含有化合物の溶液中での安定性を高める観点から、さらに、陽イオン界面活性剤(ただし、前記ケイ素化合物を除く)、非イオン界面活性剤および両イオン界面活性剤からなる群から選ばれた少なくとも1種の界面活性剤を含むことが好ましい。
陽イオン界面活性剤としては、例えば、下記一般式(2)
【化5】

(式中、R11は炭素原子数6以上の炭化水素基を示し、R12、R13およびR14は同一でも異なってもよい低級炭化水素基を示し、Yはハロゲンイオンまたは有機カルボニルオキシイオンを示す)で表される陽イオン界面活性剤(ただし、上記ケイ素含有化合物を除く)、セチルピリジニウムクロライド、N−ココイル−アルギニンエチルエステルピリドンカルボン酸塩等が挙げられる。
【0029】
上記一般式(2)で表される陽イオン界面活性剤のうちでは、R11は炭素原子数10ないし25のアルキル基を示し、R12、R13およびR14は同一または異なっていてもよい炭素原子数1ないし6の低級アルキル基を示し、Yがハロゲンイオンまたは有機カルボニルオキシイオン(有機カルボン酸イオン)であることが好ましい。
【0030】
上記一般式(2)で表される陽イオン界面活性剤の炭素原子数6以上の炭化水素基R11としては、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ウンエイコシル基、ドエイコシル基、トリエイコシル基、テトラエイコシル基、ペンタエイコシル基などが例示できる。
【0031】
上記一般式(2)で表される陽イオン界面活性剤のR12、R13およびR14としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、シクロヘクシル基、フェニル基、トリル基などを例示することができる。
【0032】
上記一般式(2)で表される陽イオン界面活性剤として具体的には、次の化合物を例示することができる。すなわち、デシルトリメチルアンモニウムクロライド、デシルトリエチルアンモニウムアセテート、ドデシルトリメチルアンモニウムアセテート、ドデシルトリイソプロピルアンモニウムブロマイド、トリデシルトリエチルアンモニウムプロマイド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリ−n−プロピルアンモニウムクロライド、ペンタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ペンタデシルトリエチルアンモニウムクロライド、ペンタデシルトリ−n−プロピルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリエチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリ−n−プロピルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリエチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリ−n−プロピルアンモニウムクロライドなどを挙げることができ、とりわけヘキサデシルトリメチルアンモニウムは最も好適である。
【0033】
上記陽イオン界面活性剤の中でも、抗菌性および安定性をより高めることができることから、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、セチルピリジニウムクロライドが特に好ましい。
【0034】
上記非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン単位または/ポリオキシプロピレン単位を含有するポリオキシアルキレングリコールのアルキルエーテルまたは脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸アルカノールアミド、脂肪酸アミド、アルキルエーテル、アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1種の非イオン系界面活性剤が挙げられる。具体的には、ポリエチレングリコールのモノアルキルエーテル、ポリオキシエチレン単位とポリオキシプロピレン単位の両方を含有するポリアルキレングリコールのモノアルキルエーテル、ソルビタンラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、脂肪酸アミド、アルキルエーテル、アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1種の非イオン系界面活性剤を例示できる。
【0035】
より詳細には、非イオン性界面活性剤としては、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンセスキイソステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル;グリセリンモノオレート、グリセリンモノイソステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル;ジグリセリルモノオレート、デカグリセリルジイソステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビットモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビットテトラオレート等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリルモノオレート、ポリオキシエチレングリセリルモノオレート等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンモノイソステアレート、ポリオキシエチレンモノオレート等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンジイソステアレート、ポリオキシエチレンジイソステアレート等のポリエチレングリコールジ脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(10E.O.)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等が挙げられる。これらの中でもとりわけポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートは最も好適である。
【0036】
上記両イオン界面活性剤としては、ベタイン系およびアミンオキサイド系からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。中でも、抗菌成分の更なる安定化の観点から、アミンオキサイド系の両イオン界面活性剤が好ましい。
【0037】
ベタイン系の両イオン界面活性剤としては、例えば、ココ脂肪酸アミドプロピルカルボキシベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、イミダゾリウムベタインなどが挙げられる。これらの中でも、溶液中の抗菌成分である上記ケイ素含有化合物の安定性の観点から、ココ脂肪酸アミドプロピルカルボキシベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインが好ましい。
【0038】
アミンオキサイド系両イオン界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウロイルアミドプロピルジメチルアミンオキサイドなどが挙げられる。これらの中でも、抗菌成分である上記ケイ素含有化合物の溶液中での長期間の安定性の観点から、ラウロイルアミドプロピルジメチルアミンオキサイドが好ましい。
【0039】
上記ケイ素含有化合物は通常溶液状態でシリコーン樹脂系塗料と混合することができる。上記ケイ素含有化合物は、通常、メタノール、エタノール等のアルコールの溶液の状態で製造されるが、希釈する溶媒として水を用いる場合、ケイ素含有化合物の安定性の観点から、上記ケイ素含有化合物の溶液に、上記界面活性剤を混合することが好ましい。なお、上記ケイ素含有化合物の溶液として水溶液を採用した場合、上記ケイ素含有化合物、上記界面活性剤が溶解する限り、水とメタノール、エタノール、プロパノール、アセトンなどの有機溶媒との混合溶媒を使用することができる。
【0040】
上記ケイ素含有化合物の溶液に界面活性剤を混合する場合、混合溶液中のケイ素含有化合物の含有量は通常0.01〜40容量%、好ましくは0.1〜10容量%であり、界面活性剤の含有量は通常0.007〜20容量%であり、好ましくは0.05〜10容量%であり、抗菌作用およびその持続性を充分に発揮するにはこの範囲にあることが好ましい。
【0041】
本発明の抗菌性塗料組成物に含まれるシリコーン樹脂系塗料としては、物品表面をガラス化することが可能なことが公知の水性及び油性のシリコーン樹脂系塗料を用いることができる。例えば、このようなシリコーン樹脂系塗料として、下記一般式(3)
【化6】

(式中、R21〜24は、同一でも異なっていてもよく、アルキル基であり、nは1以上の整数である)で示される有機基を主骨格とする分子量1万程度のシリコーン樹脂を含む主剤と、金属化合物を含む硬化剤とからなる2液タイプのものを挙げることができる。硬化剤に含まれる金属化合物中の金属としては、スズ、チタン等を挙げることができる。金属化合物は、シリコーン樹脂及び空気中の水分と反応してガラス質膜を形成することができる限り、無機金属化合物及び有機金属化合物のいずれの形態であってもよい。この2液タイプのシリコーン樹脂系塗料は、硬化剤中の金属化合物が空気中の水分と反応することによって生じた生成物が主剤中のシリコーン樹脂と反応して、ガラス質の被膜を形成するという性質を有する。このような2液タイプのシリコーン樹脂系塗料は、HLGシステム(登録商標)の商品名で(株)コスモテクノロジーから入手可能である。
【0042】
上記ケイ素含有化合物とシリコーン樹脂系塗料との混合は、例えば以下のようにして行うことができる。シリコーン樹脂系塗料が水性である場合、シリコーン樹脂系塗料と、上記ケイ素含有化合物の水溶液又はアルコール等の有機溶媒と水との混合溶液とを混合することによって、ケイ素含有化合物とシリコーン樹脂系塗料との混合を行うことができる。シリコーン樹脂系塗料が油性である場合、シリコーン樹脂系塗料と、ケイ素化合物の有機溶媒溶液とを直接混合するか、予めケイ素含有化合物の水溶液又はアルコール等の有機溶媒と水との混合溶液を適宜選択した有機溶媒で希釈するなどして溶液における有機溶媒の比率を高めた後、シリコーン樹脂系塗料と混合することによって、ケイ素含有化合物とシリコーン樹脂系塗料との混合を行うことができる。ケイ素含有化合物の水溶液又はアルコール等の有機溶媒と水との混合溶液を希釈する有機溶媒として、一般に塗料において用いられるシンナー等の希釈剤を使用することが、シリコーン樹脂系塗料との相溶性、抗菌性塗料組成物の塗布工程の簡略化の観点から好ましい。なお、上記ケイ素含有化合物の溶液中での安定性を確保する観点から、混合するケイ素含有化合物の溶液に上述した界面活性剤の少なくとも1種を添加することが好ましい。
【0043】
なお、本発明の抗菌性塗料組成物におけるシリコーン樹脂系塗料とケイ素含有化合物との混合割合は、ガラス化抗菌処理を行う物品によって、適宜選択することができ、ケイ素含有化合物による抗菌効果が充分に発揮されるものであれば特に限定されない。
【0044】
また、本発明の物品表面のガラス化抗菌処理方法は、物品表面をガラス化し、かつ抗菌化するための処理方法であって、上記抗菌性塗料組成物を用いたことを特徴とする。本発明の物品表面のガラス化抗菌処理方法よれば、物品、特に繊維製品や皮革製品といった柔軟なもの表面を、本来の風合いを損なうことなく保護し、撥水撥油性、防染性、耐薬品性、耐候性等を物品表面に付与するのと同時に、優れた抗菌性及び抗菌持続性を付与することができる。
【0045】
上記抗菌性塗料組成物を用いた物品表面のガラス化抗菌処理は、一般の塗料と同様に、抗菌性塗料組成物を物品表面に塗布することによって行うことができる。なお、塗料塗布に通常用いられるシンナー等の希釈剤によって、上記抗菌性塗料組成物を希釈して塗布を行ってもよい。また、物品が、繊維製品、皮革製品といった液体が内部まで浸透しやすい素材からなるものである場合、上記抗菌性塗料組成物による処理前に、塗装において一般に用いられている下塗り剤を物品表面に予め塗布して、不必要な内部への浸透を防ぐことが好ましい。
【0046】
また、本発明の物品表面のガラス化抗菌処理方法の他の態様は、物品表面をガラス化し、かつ抗菌化するための処理方法であって、シリコーン樹脂系塗料を物品表面に塗布した後、上記一般式(1)で表されるケイ素含有化合物を含む抗菌剤を塗布することを特徴とする。抗菌成分であるケイ素含有化合物は、シリコーン樹脂系塗料を塗布することによって物品表面に形成されたガラス質膜と容易に反応することができ、このような本発明の物品表面のガラス化抗菌処理方法によっても、物品表面を、物品本来の風合いを損なうことなく保護し、撥水撥油性、防染性、耐薬品性、耐候性等を物品表面に付与するのと同時に、優れた抗菌性及び抗菌持続性を付与することができる。
【0047】
本発明のこの態様の物品表面のガラス化抗菌処理方法において、シリコーン樹脂系塗料、及び抗菌剤に含まれるケイ素含有化合物は、それぞれ上記で説明した本発明の抗菌性塗料組成物に含まれるものと同様のものを使用できる。また、前記抗菌剤は、上記で説明した本発明の抗菌性塗料組成物と同様に、溶液中でのケイ素含有化合物の安定性を確保する観点から、上述したような、陽イオン界面活性剤(ただし、前記ケイ素化合物を除く)、非イオン界面活性剤および両イオン界面活性剤からなる群から選ばれた少なくとも1種の界面活性剤を含むことができる。なお、シリコーン樹脂系塗料及び抗菌剤の塗布は常法により行うことができるが、物品が、繊維製品、皮革製品といった液体が内部まで浸透しやすい素材からなるものである場合、シリコーン樹脂系塗料の塗布前に、塗装において一般に用いられている下塗り剤を物品表面に予め塗布して、不必要な内部への浸透を防ぐことが好ましい。
【0048】
また、本発明のガラス化抗菌処理物は、上記ガラス化抗菌処理方法で処理され、表面がガラス化され、かつ抗菌化されていることを特徴とする。本発明のガラス化抗菌処理物の表面は、ガラス化抗菌処理前と同様の物品本来の風合いを維持し、さらに、ガラス化されていることによって、優れた撥水撥油性、防染性、耐薬品性、耐候性等の特性を有するのと同時に、上記ケイ素含有化合物によって抗菌化されており、優れた抗菌性及び抗菌持続性を有する。ここで、前記ガラス化抗菌処理物が繊維製品又は皮革製品であることが好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン樹脂系塗料と、
下記一般式(1)
【化1】

(式中、R1は炭素原子数6以上の炭化水素基を示し、R2およびR3は同一または異なっていてもよい低級炭化水素基を示し、R4は二価の低級炭化水素基を示し、R5、R6およびR7は同一または異なっていてもよい低級アルキル基または低級アルコシ基を示し、Xはハロゲンイオンまたは有機カルボキニルオキシイオンを示す)で表されるケイ素含有化合物とを含むことを特徴とする抗菌性塗料組成物。
【請求項2】
前記一般式(1)で表されるケイ素含有化合物のR1は炭素原子数10〜25のアルキル基を示し、R2およびR3は同一または異なっていてもよい炭素原子数1ないし6の低級アルキル基を示し、R4は炭素原子数1ないし6の低級アルキレン基を示し、R5、R6およびR7は同一または異なっていてもよい炭素原子数1ないし6の低級アルキル基またはアルコシ基を示し、Xはハロゲンイオンまたは有機カルボキニルオキシイオンであることを特徴とする請求項1記載の抗菌性塗料組成物。
【請求項3】
前記一般式(1)で表されるケイ素含有化合物が、オクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニムクロライド、オクタデシルジエチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(2−トリメチルシリルエチル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジプロピル(4−トリメトキシシリルブチル)アンモニムアセテート、オクタデシルジメチル(3−トリエトキシシリルプロビル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(3−トリイソプロポキシシリルプロビル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(3−トリエチルシシリルプロビル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(3−トリイソプロピルシシリルプロビル)アンモニウムクロライド、ヘプタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘプタデシルジイソプロピル(2−トリエトキシシリルエチル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニムクロライド、ヘキサデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニムアセテートおよびペンタサデシルジメチル(3−トリエトキシシリルプロピル)アンモニムクロライドからなる群から選ばれた少なくとも1種のケイ素含有化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の抗菌性塗料組成物。
【請求項4】
さらに、陽イオン界面活性剤(ただし、前記ケイ素化合物を除く)、非イオン界面活性剤および両イオン界面活性剤からなる群から選ばれた少なくとも1種の界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1〜3項のいずれか1項に記載の抗菌性塗料組成物。
【請求項5】
前記陽イオン界面活性剤が、下記一般式(2)
【化2】

(式中、R11は炭素原子数6以上の炭化水素基を示し、R12、R13およびR14は同一でも異なってもよい低級炭化水素基を示し、Yはハロゲンイオンまたは有機カルボニルオキシイオンを示す)で表される陽イオン界面活性剤であることを特徴とする請求項4記載の抗菌性塗料組成物。
【請求項6】
前記一般式(2)で表される前記陽イオン界面活性剤のR11は炭素原子数10〜25のアルキル基を示し、R12、R13およびR14は同一または異なっていてもよい炭素原子数1ないし6の低級アルキル基を示し、Yがハロゲンイオンまたは有機カルボニルオキシイオンであることを特徴とする請求項5記載の抗菌性塗料組成物。
【請求項7】
前記陽イオン界面活性剤がデシルトリメチルアンモニウムクロライド、デシルトリエチルアンモニウムアセテート、ドデシルトリメチルアンモニウムアセテート、ドデシルトリイソプロピルアンモニウムブロマイド、トリデシルトリエチルアンモニウムプロマイド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリ−n−プロピルアンモニウムクロライド、ペンタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ペンタデシルトリエチルアンモニウムクロライド、ペンタデシルトリ−n−プロピルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリエチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリ−n−プロピルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライドおよびオクタデシルトリエチルアンモニウムクロライドおよびオクタデシルトリ−n−プロピルアンモニウムクロライドからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項5又は6記載の抗菌性塗料組成物。
【請求項8】
前記陽イオン界面活性剤が、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の抗菌性塗料組成物。
【請求項9】
前記陽イオン界面活性剤が、セチルピリジニウムクロライドであることを特徴とする請求項4記載の抗菌性塗料組成物。
【請求項10】
前記陽イオン界面活性剤が、N−ココイル−アルギニンエチルエステルピリドンカルボン酸塩であることを特徴とする請求項4記載の抗菌性塗料組成物。
【請求項11】
前記非イオン界面活性剤が、ポリオキシエチレン単位および/またはポリオキシプロピレン単位を含有するポリオキシアルキレングリコールのアルキルエーテルまたは脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、脂肪酸アミド、アルキルエーテル、アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1種の非イオン系界面活性剤であることを特徴とする請求項4記載の抗菌性塗料組成物。
【請求項12】
前記非イオン界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートであることを特徴とする請求項11記載の抗菌性塗料組成物。
【請求項13】
前記両イオン界面活性剤が、ベタイン系およびアミンオキサイド系からなる群から選択されることを特徴とする請求項4記載の抗菌性塗料組成物。
【請求項14】
前記両イオン界面活性剤が、ラウリルジメチルアミンオキサイド及びラウロイルアミドプロピルジメチルアミンオキサイドからなる群より選択されることを特徴とする請求項13記載の抗菌性塗料組成物。
【請求項15】
物品表面をガラス化し、かつ抗菌化するための処理方法であって、請求項1〜14のいずれか1項に記載の抗菌性塗料組成物を用いたことを特徴とする物品表面のガラス化抗菌処理方法。
【請求項16】
物品表面をガラス化し、かつ抗菌化するための処理方法であって、シリコーン樹脂系塗料を物品表面に塗布した後、下記一般式(1)
【化3】

(式中、R1は炭素原子数6以上の炭化水素基を示し、R2およびR3は同一または異なっていてもよい低級炭化水素基を示し、R4は二価の低級炭化水素基を示し、R5、R6およびR7は同一または異なっていてもよい低級アルキル基または低級アルコシ基を示し、Xはハロゲンイオンまたは有機カルボキニルオキシイオンを示す)で表されるケイ素含有化合物を含む抗菌剤を塗布することを特徴とする物品表面のガラス化抗菌処理方法。
【請求項17】
前記抗菌剤が、さらに、陽イオン界面活性剤(ただし、前記ケイ素化合物を除く)、非イオン界面活性剤および両イオン界面活性剤からなる群から選ばれた少なくとも1種の界面活性剤を含むことを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
請求項15〜16のいずれか1項に記載の方法で処理され、表面がガラス化され、かつ抗菌化されていることを特徴とするガラス化抗菌処理物。
【請求項19】
ガラス化抗菌処理物が繊維製品又は皮革製品である請求項18記載のガラス化抗菌処理物。

【公開番号】特開2010−174168(P2010−174168A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19700(P2009−19700)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【出願人】(508295421)中国鉄管継手株式会社 (2)
【Fターム(参考)】