説明

抗菌性組成物およびその使用

薬学的に許容される有機酸及び薬学的に許容される界面活性剤を含む、抗菌性組成物が提供される。この相乗的な組み合わせは、5分の接触で3log以上の細菌カウントの減少に効果的である一方、生鮮食品を含む処理した食品の官能特性を保存する、組成物の低濃度での形成を可能にする。図1Cに示すように、6つの異なる組成物の効果(A.3%レブリン酸+2% SDS、B.2%レブリン酸+1% SDS、C.0.5%レブリン酸+0.05% SDS、D.3%レブリン酸、E.2% SDS、及びF.水)を、45分間接触後の炭素菌胞子を殺菌する効果について試験した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、本明細書中に参照として含まれる、合衆国法典第35巻(35U.S.C.)第119条(e)に基づく、2008年5月22日に出願された米国仮出願第61/055,299号、2008年7月31日に出願された米国仮出願第61/085,050号、及び2009年2月10日に出願された米国仮出願61/151,377号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
大腸菌O157:H7及びサルモネラ菌は、米国での重度の食品媒介疾患の主な原因であり、引き続き公衆衛生上重要である。サルモネラ菌は、世界的に、最も頻度の高い食中毒の原因の一つである。米国では、サルモネラ菌はおよそ140万人に健康被害をもたらし、およそ20000人が入院し、そして毎年500人以上が死亡している(Mead等、1999年)。食中毒についてのFoodNetの監視データは、サルモネラ症の全発生率は1996〜1998年から2004年にかけて8%しか減少しておらず、かつサルモネラ腸炎菌(Salmonella Enteritidis)感染の発生率は、ほぼ同じ程度に留まっていることを明らかにした。米国では、鶏肉の摂食は散発性症例のサルモネラ腸炎菌感染の主な原因である(Kimura等 2004年)。
【0003】
より強力な大腸菌とサルモネラ菌と、例えば、クレベシエラ属、プロテウス・ハウゼリ(Proteus hauseri)、赤痢菌属、エルシニア・ペスティス(Yersinia pestis)、及び炭素菌(B.anthracis)、並びに原虫などの他の感染源との組み合わせは、食糧供給の安全性を脅かす食品媒介病原菌または水媒介病原菌の広範囲のスペクトルを含み、そして現在国土安全との関連性の問題と考えられている。したがって、優れた、多能性の、広い範囲に応用でき、かつ容易に生産できる対抗手段の開発が、大変望まれている。
【0004】
安全食品認定(GRAS)された化合物を含む天然の抗菌剤と、他の食品保存系とを組み合わせ等の、家禽食品の微生物学的安全性を改善する、新規の抗菌剤処理法の開発に関心が高まりつつある。本願明細書に開示されているように、薬学的に許容される化学成分は、考案され、かつ処理した食物の官能特性に検出可能な影響を生じることなく、鶏皮上及び鶏肉処理水中のサルモネラ菌、並びに生鮮食品上のサルモネラ菌及び大腸菌O157:H7の大部分を殺菌する効果が立証されていた。該組成物は、広いスペクトルの食品媒介病原菌に大変効果的であり、しばしば7対数(log)以上の病原菌量の減少を導くことも示されていた。このような病原菌の除去レベルに必要な時間は、数秒〜約2分の範囲である。いくつかの態様において、病原体量の減少は、本発明の組成物の投与から約1分後に、検出限界以下に達する。
【0005】
本発明の組成物は、病原体が通常接触する食品製造設備および食品加工設備の表面に形成される病原体のバイオフィルムの処理において、高い効果があることが示されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
要約
本出願人等は、いくつかの界面活性剤と、複数の酸との組み合わせが、個々の化合物の抗菌有効性に関して、相乗効果を生じる事を発見した。従って、この驚くべき相乗効果は、活性物質(酸及び界面活性剤を含む)が、処理した食物の官能特性を変化させずに、食物の表面上の細菌数を10〜10倍の間で減らすのに有効な濃度で存在する、組成物の処方を可能にする。一態様において、活性物質は米国食品医薬品局(FDA)が認可した食品添加物である酸および界面活性剤を含み、処理された食品は家禽、卵、魚、海産物、肉または生鮮食品から選択される。
【0007】
一態様に従って、薬学的に許容される酸及び薬学的に許容され界面活性剤を含む新規組成物が提供され、組成物中に存在する酸の最大濃度は、水の体積あたりの重量で約0.3〜約3%(3〜30g/L)であり、組成物中に存在する界面活性剤の最大濃度は、水の体積あたりの重量で約0.5〜約1%(5〜10g/L)である。一態様において 薬学的に許容される酸は、米国農務省によって安全認定食品(GRAS)に分類された酸であり、レブリン酸、カプリル酸、カプロン酸、クエン酸、オイゲノール、アジピン酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、リン酸、塩酸、コハク酸、リンゴ酸、及びソルビン酸を含むが、これらに限定されない。
【0008】
薬学的に許容される界面活性剤は、ヒトへの使用に適合する任意のイオン性(カチオン性またはアニオン性)、または非イオン性界面活性剤から選択することができる。一態様に従って、界面活性剤は2〜20個の炭素原子の炭化水素鎖を有する、官能基を有する有機酸であり、官能基はヒドロキシル基、アミノ基、カルボニル基、スルホニル基、リン酸基、及びチオール基からなる群より選択される。このような界面活性剤は、食品工業の当業者に周知であり、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS;またはラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES))、塩化セチルピリジニウム(CPC)、コカミドMEA(MEA),コカミドDEA(DEA)、塩化ベンザルコニウム、並びにエチレンジアミン四酢酸(HEDTA)及びNaEDTA、NaEDTAなどのその塩を含む。使用される前記界面活性剤は、一態様において、炭化水素骨格に結合した側鎖置換基も含む。このような置換基は、HPO、C〜Cヒドロキシアルキル、及びC〜Cアリールヒドロキシルから選択することができる。一態様において、前記界面活性剤は、モノ、ジ、トリ及びテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩からなる群より選択され、前記アルキルアンモニウムハロゲン化物の少なくとも一つのアルキル置換基は、少なくとも10個以上の炭素原子、より一般的には10〜25個の炭素原子を含む。
【0009】
一態様において、本発明に使用するために選択される前記酸は、化学式Iの一般構造を有する。
【化1】

ここで、nは1〜10または1〜6から選択される整数である。一態様において、前記酸は化学式Iの構造を含み、nは1〜3から選択される整数であり、別の態様において、nは1、2または3である。一態様において、前記酸はレブリン酸である。レブリン酸は、低濃度(例えば、0.05〜2.0%w/v)の界面活性剤と併せて使用する場合、生存能力のある微生物の濃度を、5分間の曝露で2logを超えて減少させる能力に関して、他の有機酸と比較して高性能であることが見出された。さらに、本発明の組成物の抗菌活性は、処理した食品の官能特性に(自発的なヒトの感覚で)検出可能な影響を生じることなく、達成される。
【0010】
一態様に従って、本明細書中に開示される組成物は、2またはそれ以上の異なる酸、または2またはそれ以上の界面活性剤を、組成物中に存在する酸の全濃度が、水の体積あたりの重量で約0.3〜約3%(3〜30g/L)に、及び組成物中に存在する界面活性剤の全濃度が、水の体積あたりの重量で約0.5〜約2%(5〜20g/L)に調製して含んでも良い。一態様において、組成物中の界面活性剤の全濃度は、水の体積あたりの重量で約0.5〜約1%(5〜10g/L)である。一態様に従って、抗菌性組成物は、レブリン酸及び界面活性剤を含んで調製され、該組成物中の酸の全濃度は、約0.5〜約2.0%(w/v)であり、該組成物中の界面活性剤の全濃度は、約0.05〜1%(w/v)である。一態様において、前記界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS;またはラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES))、塩化セチルピリジニウム(CPC)、コカミドMEA(MEA)、コカミドDEA(DEA)、塩化ベンザルコニウム、並びにエチレンジアミン四酢酸(HEDTA)からなる群より選択される。一態様において、界面活性剤は、SDS、塩化ベンザルコニウム、及び、塩化セチルピリジニウムからなる群より選択される。
【0011】
特定の一態様において、界面活性物質はSDSである。
【0012】
一態様において、抗菌性組成物は、レブリン酸及び界面活性剤を含んで調製され、前記レブリン酸の濃度は約0.5〜2.5%未満(w/v)であり、前記界面活性剤の濃度は約0.05〜1%(w/v)である。例えば、レブリン酸とSDSを含む、この組み合わせは、処理した食品の官能特性を顕著に保存する、特に有効な抗菌性組成物として見出された。この特異的な組み合わせは、他の酸/界面活性剤の組み合わせよりも、特異的及び/または迅速に病原体を殺菌する能力が桁違いであることを示していた。一態様において、界面活性剤はSDSである。他の態様において、抗菌性組成物は、レブリン酸とカチオン性第4級アンモニウム化合物を含んで調製され、前記レブリン酸の濃度は約0.5〜3%であり、前記カチオン性第4級アンモニウム化合物の濃度は約0.05〜1%(w/v)である。一態様において、カチオン性第4級アンモニウム化合物は、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルピリジニウム、及び塩化セチルピリジニウムからなる群より選択される。本明細書で開示される抗菌性組成物は、例えば2.5〜3.5の範囲のpH、より一般的には3.0〜3.2のpHを含む、酸性pHで処方される。
【0013】
薬学的に許容される酸及び界面活性剤は、相乗的な高い抗菌活性を示すように見出されたため、接触時に大量の微生物の迅速な殺菌を得るための、低濃度の活性物質の使用を可能にする。従って、本明細書に開示されている低濃度の組成物は、食品の官能特性に影響を与えずに、食品の表面上の微生物数の減少(接触時においていくつかの対数値で)において、驚くべき活性を有する。一態様に従って、食品を処理して、残留微生物数、及び/または細菌数を減少させる方法が提供される。前記方法は、食品の表面に、薬学的に許容される酸及び薬学的に許容される界面活性剤を含む組成物を接触させ、ここで前記組成物中に存在する酸全体の最大濃度が、水の体積あたりの重量で約0.3〜約3%(3〜30g/L)に、及び前記組成物中に存在する酸全体の最大濃度が、水の体積あたりの重量で約0.01〜約1%(0.1〜10g/L)である、ステップを含む。一態様に従って、本明細書に開示される抗菌性組成物は、泡沫で形成され、前記表面は発泡組成物と接触して処理される。一態様に従って、前記方法は、大腸菌(E.coli)、サルモネラ菌(Salmonella)、リステリア菌(Listeria)、クロストリジウム・ボツリヌム(C.botulinium)、ウェルシュ菌(C.perfringens)、カンピロバクター・ジェジュニ(C.jejuni)、 ランブル鞭毛虫(Giardia lamblia)、クリプトススポリジウム・パルバム(C.parvum)、 黄色ブドウ球菌(Staphyllococcus aureus)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、 炭素菌(B.anthracis)、 バチルス・セレウス(B.cereus) 及びペスト菌(Y.pestis)を含むがこれらに限定されない、食品媒介病原菌を減少させるのに使用される。
【0014】
別の態様において、種子を除染および処理するための方法が提供される。前記方法は、前記種子を、レブリン酸及び界面活性剤を含む組成物に接触させるステップを含む。特異的な一態様において、本発明のレブリン酸組成物は、例えばウリ科(例えば、スイカ)並びにいくつかの穀物(例えば、ダイズ)を含む種子を処理(予防的処理を含む)して、アシドボラックス(acidovorax)を除去するために使用される。さらなる態様において、種子発芽の間における微生物の生育を阻害する方法が提供される。この方法において、種子は、種子発芽前及び種子発芽中に、レブリン酸及び界面活性剤を含む組成物と接触する。驚くべきことに、約0.3〜約3.0%のレブリン酸、及び0.01〜約1%の界面活性剤を含む組成物は、実質的に種子の生存性及び発芽率に影響を与えない、効果的な抗菌性組成物として見出された。
【0015】
ここで開示される酸/界面活性剤組成物は、バイオフィルム中に存在する細菌を処理及び不活性化するのにも使用できる。一態様において、前記方法は、バイオフィルムを、随意で泡沫形状の、本明細書中で開示される抗菌性組成物と接触させる。一態様において、前記抗菌性組成物は、レブリン酸及び界面活性剤を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1A〜1Eは、単独で、または組み合わせでのレブリン酸及びSDSの炭素菌(Bacillus anthracis Sterne)の胞子を殺す効果を示す棒グラフである。胞子は、対照と比較した胞子の生存能力を試験する前に、6つの異なる溶液のうちの一つに、様々な時間(0分、図1A;10分、図1B;45分、図1C;90分、図1D;180分、図1E)で曝露された。 A:3%レブリン酸+2%SDS B:2%レブリン酸+1%SDS C:0.5%レブリン酸+0.05%SDS D:3%レブリン酸 E:2%SDS F:水(対照としての役割) 平均プレートカウントは、3つのプレートの計測に基づく。誤差は+/−の片方の標準偏差を示す。
【図2】図2A〜2Eは、単独で、または組み合わせでのレブリン酸及びSDSの炭素菌(Bacillus anthracis Sterne)の胞子を殺す効果を示す棒グラフである。胞子は、対照と比較した胞子の生存能力を試験する前に、図1に示す6つの異なる溶液のうちの一つに、様々な時間(0分、図2A;1時間、図2B;2時間、図2C;3時間、図2D;4時間、図2E)で曝露された。CFUが栄養細胞由来または胞子由来かを区別するために、それぞれの時点でのサンプルを、同量のアリコットに分割した。一方のアリコットを、残部の熱耐性胞子を数える前に熱処理(65℃)して、栄養細胞を殺菌した。 他方のアリコットは、室温(RT)で蒔いた。平均プレートカウントは、3つのプレートの計測に基づく。誤差は+/−の片方の標準偏差を示す。
【図3】図3A〜3Eは、単独で、または組み合わせでのレブリン酸及びSDSの炭素菌(Bacillus anthracis Sterne)の胞子を殺す効果を示す棒グラフである。胞子は、対照と比較した胞子の生存能力を試験する前に、図1に示す6つの異なる溶液のうちの一つに、様々な時間(0分、図3A;1時間、図3B;2時間、図3C;3時間、図3D;4時間、図3E)で曝露された。CFUが栄養細胞由来または胞子由来かを区別するために、それぞれの時点でのサンプルを、同量のアリコットに分割した。一方のアリコットを、残部の熱耐性胞子を数える前に熱処理(65℃)して、栄養細胞を殺菌した。他方のアリコットは室温(RT)で蒔いた。平均プレートカウントは、3つのプレートの計測に基づく。誤差は+/−の片方の標準偏差を示す。
【発明のを実施するための形態】
【0017】
定義
本発明の記載及び主張において、以下で説明する定義に従って、以下の専門用語が使用される。
【0018】
本明細書において、用語「微生物(microorganismまたはmicrobe)」は、生きた細胞有機体であり、長さが5mm以下の単細胞及び多細胞であり、細菌、菌類、古細菌、原生生物、緑藻類、プランクトン、プラナリア、アメーバ及び酵母、またはこれらによって形成された胞子を含むがこれらに限定されないものを意図する。
【0019】
本明細書において、用語「抗菌性」は、化合物に、微生物を殺菌、破壊、不活性化、または中和を可能にさせ、または化合物に微生物の生育、生存能力、若しくは増殖能を、阻害若しくは減少させることを可能にする、殺菌特性または静菌(microbiostatic)特性を示す組成物である。
【0020】
本明細書において、用語「酸」は、水中に溶解させた場合、溶液に純粋以上の水素イオン、すなわち7.0未満のpHを与える、任意の化合物に言及する。「有機酸」とは、酸特性を有する、炭素含有化合物(炭酸を除く)である。
【0021】
一塩基性酸は、イオン化において、一分子あたり一個のプロトンを供給する酸である。
【0022】
本明細書において用いられる用語「約」は、値の多少、または表示した値の1/10の範囲での値の範囲を意味するが、この広範な定義によって、任意の値または値の範囲の限定を意図するものではない。例えば、濃度値の約30%は、27〜30%の間の濃度を意味する。用語「約」が先に来るそれぞれの値または値の範囲は、記載した絶対値または値の範囲の態様も包含することを意図する。
【0023】
本明細書において、用語「薬学的に許容される」は、ヒトを含む温血脊椎動物に安全に投与することができる、任意の化合物を包含することを意図する。薬学的に許容される酸および界面活性剤は、米国食品医薬品局(FDA)によって安全認定食品(GRAS)に分類された酸および界面活性剤であり、かつに米国連邦政府の監督官庁よって認可された、またはヒトを含む動物用の米国薬局方に列挙された、任意の薬剤を包含する。
【0024】
本明細書において、用語「薬学的に許容される塩」は、親化合物の生物学的な活性を維持し、かつ生物学的ではなく、または望ましくなくはない、化合物の塩に言及する。本明細書に開示される多くの化合物は、アミノ基及び/若しくはカルボキシル基、またはこれらと類似の官能基により、酸及び/または塩基の塩を形成することができる。
第4級アンモニウムカチオンは、一般構造が
【化2】

の化合物であり、ここでR、R、R、及びRは、独立してC〜C20アルキルまたはこれらの塩からなる群より選択される。
【0025】
本明細書において、用語「塩化ベンザルコニウム」は、一般構造
【化3】

である1級アルキルベンジルジメチルアンモニウムに言及し(ここでnは6、8、10、12、14、16、18及び20からなる群より選択される整数である)、またはこれらの化合物の2以上の混合物である。
【0026】
本明細書において、用語「効果的な」量、または抗菌性組成物の「治療有効量」は、所望の効果、すなわち食品の官能特性を損なうことなく、食品の表面微生物数の対数次(log order)での減少を提供する、活性物質の濃度に言及する。
【0027】
本明細書において、用語「発芽」は、苗の樹立の完了後の、種子中に含まれる胚性植物の初期の生育に言及し、ここで前記苗は種子中に貯蔵されている栄養分を消耗する。
【0028】
本明細書において、用語「官能特性」は、機械または分析装置では検知できないが、ヒトまたは動物の感性(味覚、視覚、嗅覚、触覚)で検知することができる特性に関連する。
【0029】
本明細書において、用語「食品」は、例えばヒトを含む哺乳動物が食べることができる、任意の物質に関連する。
【0030】
本明細書において、用語「シリンダー発泡試験」は、組成物の発泡性及び発泡状態の持続性の両方の試験に言及することを意図する。一般的に、テストは、試験組成物を栓つき目盛りつきシリンダーに入れ、組成物はシリンダーの所定の高さまで充填する(例えば、栓つき目盛りつきシリンダーの約1/3〜約1/2の高さ)。栓つき目盛りつきシリンダーはその後10回上下反転させて、泡を発生させる。泡の高さは、組成物の発泡度の指標として、上下反転のステップ後直ちに測定される。発泡した組成物はその後静置して泡沫の半減期(泡沫が目盛りつきシリンダー内でその高さの半分を失うのに要する時間)を特定する。シリンダー発泡試験は室温、1標準気圧下(すなわち、101.3kPa(約760.01mmHg)または29.92inHg)で実施する。
【0031】
態様
本明細書の抗菌性組成物は、薬学的に許容される酸及び薬学的に許容される界面活性剤を含む。驚くべきことに、本明細書で開示される組成物は、単独で使用した場合に効果がない濃度での酸と界面活性剤との組み合わせで、食品の表面上の残留微生物数を、10倍を超えて(10倍〜10倍を含む)減少させることができる。本発明の組成物の個々の活性成分(すなわち、薬学的に許容される酸及び界面活性剤)は、たとえ組み合わせで用いる効果的な濃度の2倍または5倍の活性物質をそれぞれ用いても、微生物数の減少において、10倍を超える効果がない。一態様において、抗菌性組成物中の薬学的に許容される酸の濃度は、水の体積あたりの重量で、約0.03%〜約3%、または約0.05%〜約2%、または約0.05%〜約1%、または約0.1%〜約3%、または約0.3%〜約3%、または約0.3%〜約2%、または約0.5%〜約3%、または約0.5%〜約2%、または約0.5%〜約1%の範囲である。一態様において、抗菌性組成物中の薬学的に許容される界面活性剤の濃度は、水の体積あたりの重量で、約0.005%〜約1%、または約0.01%〜約1%、または約0.05%〜約1%、または約0.1%〜約1%、または約0.05%〜約2%、または約0.5%〜約2%の範囲である。
【0032】
一態様に従って、抗菌性組成物は、直鎖一塩基性有機酸及びイオン性長鎖(C〜C30)界面活性剤を含んで提供される。一態様において、前記有機酸は、4〜10または4〜6の炭素の炭素骨格を有する直鎖一塩基性有機酸である。一態様において 抗菌性組成物は、薬学的に許容される酸及び界面活性剤を含んで提供され、前記酸の一般構造はCH(CHCOOH(ここでmは2〜8から選択される整数である)であり、かつ前記界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS;またはラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES))、塩化セチルピリジニウム(CPC)、及び塩化ベンザルコニウムからなる群より選択される。一態様において、前記組成物は、一般構造がCH(CHCOOH(ここでmは2〜8または4〜8から選択される整数である)である酸であって、かつ前記界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及びラウリル硫酸ナトリウム(SLS;またはラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES))からなる群より選択される。別の態様において、前記組成物は、一般構造がCH(CHCOOH(ここで、mは2〜8または4〜8から選択される整数である)、または
【化4】

(ここでnは1〜10または1〜6から選択される整数である)である酸であり、かつ前記界面活性剤は、一般構造が
【化5】

であるカチオンであり、ここでR、R、R、及びRは、独立してC〜C20アルキルまたはこれらの塩からなる群より選択される。一態様において、RはC〜C20アルキルであり、並びにR、R、及びRは、独立してC〜Cからなる群より選択される。
【0033】
一態様に従って、前記有機酸はオイゲノール、ヘキサン酸、レブリン酸、及びコハク酸からなる群より選択される。一態様において、前記抗菌性組成物の前記酸成分は、下記化学式I
【化6】

からなる一般構造を有する酸からなり、ここでnは1〜10または1〜6から選択される整数である。一態様において、前記酸は化学式Iの構造を含み、ここでnは1〜3から選択される整数であり、かつ別の態様においては、nは1、2または3である。一態様において、前記界面活性剤は、ハロゲン化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルピリジニウム、及びSDSからなる群より選択される。一態様において、前記組成物は、下記の組み合わせのうちの一つを含む。
1)0.05%〜2.0%(w/v)オイゲノール+0.05%〜1.0%(w/v)SDS;
2)0.05%〜2.0%(w/v)ヘキサン酸+0.05%〜1.0%(w/v)SDS;
3)0.05%〜2.0%(w/v)レブリン酸+0.05%〜1.0%(w/v)塩化ベンザルコニウム;
4)0.05%〜 2.0%(w/v)レブリン酸+0.05%〜1.0%(w/v)塩化セチルピリジニウム;
5)0.05%〜1.0%(w/v)コハク酸+0.05%〜 1.0%(w/v)SDS。
一態様において、前記組成物は、0.5%オイゲノール+0.05%SDS(pH 3.2)、0.5%ヘキサン酸+0.05%SDS(pH 3.2)、0.5%レブリン酸+0.05塩化ベンザルコニウム(pH 3.1)、0.5%レブリン酸+0.05塩化セチルピリジニウム(pH 3.1)、もしくは0.5%コハク酸+0.05%SDS(pH 2.9)、またはこれらの組み合わせを含む。
【0034】
従来の研究は、異なる有機酸の組み合わせが、これらの大腸菌O157:H7及びカンピロバクターへの殺菌効果を基にして、抗菌剤として使用できることを明らかにした(Zhao等、2006年)。レブリン酸は、再生可能原料よりコスト効率よく生産することができ、かつ高収率である有機酸である(Bozell等、2000年;Fang及び Hanna、2002年)。レブリン酸のヒトに対する安全性は広範囲にわたって試験され、FDAは、レブリン酸には、着香料または添加物としての、食物への直接添加についてのGRASステータス(21 CFR,172.515)を与えた。レブリン酸は、緑化における光誘導葉緑体発育を捕獲することができ、かつ葉を洗浄することによって除去して、発育工程を戻することができるため、生鮮食品へのレブリン酸の添加は、保存期間を延長する(Jilani,et al.Physiol.Plantarum(1996)96:139‐145)。
【0035】
本明細書で開示されているように、1重量%のレブリン酸のみの殺菌効果は、30分以内で1logCFUサルモネラ菌/ml以上を殺菌するのには不十分で、かつその殺菌効果は、レブリン酸濃度が3重量%に増えたときは、30分以内で3.4 logCFU/mlしか増えなかった(表1〜3を参照)。ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)もまた、マシュマロで使用されているゼラチン中の泡立剤として、ゼラチンの0.5重量%で、及び溶液および凍結卵白中では0.0125%で、GRASステータス(21 CFR, 172.210)を有する。SDSは広範囲にわたって研究され、かつ、歯磨き粉、シャンプー、髭剃りクリーム、及び気泡剤などの家庭用品中の界面活性剤として使用されている。SDS分子は、硫酸基に結合した12個の炭素原子の尾部を有し、これが分子に界面活性剤として必要な両親媒特性を与えている。本明細書において、SDSそれ自体の使用は、大変弱い殺菌効果を有する(表1〜3を参照)。
【0036】
本明細書で述べているように、薬学的に許容される界面活性剤と、薬学的に許容される酸との組み合わせは、界面活性剤及び酸のそれぞれの抗菌活性を相乗的に高める。一態様に従って、薬学的に許容される酸は、レブリン酸、カプリル酸、カプロン酸、クエン酸、オイゲノール、アジピン酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、リン酸、コハク酸、リンゴ酸、及びソルビン酸を含むが、これらに限定されない。一態様における薬学的に許容される界面活性剤は、ヒトへの使用に適合するイオン性またはアニオン性)界面活性剤または非イオン性界面活性剤からなる群より選択される。このような界面活性剤は、食品工業の当業者には周知であり、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸ナトリウム、塩化セチルピリジニウム(CPC)、コカミドMEA(MEA)、コカミドDEA(DEA)、塩化ベンザルコニウム、並びにエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む。一態様に従って、前記界面活性剤はSDSなどのアニオン性界面活性剤であり、前記酸はカプリル酸、レブリン酸、乳酸及び酢酸からなる群より選択される有機酸である。SDSが有機酸と混合された場合、有機酸処理による殺菌効果は増強した。レブリン酸及びSDSの組み合わせの、大腸菌O157:H7及びサルモネラ菌への実質的な殺菌効果は、生鮮食品、家禽手羽肉、鶏皮、及び異なるレベルで鶏糞または鶏羽を含む水で立証した(実施例1、表4〜7を参照)。さらに、この化合物の組み合わせの殺菌活性は、糞便または羽を含む、有機物に富む環境においても効果的に残っていた。
【0037】
一態様に従って、抗菌性組成物が提供される。前記組成物は、薬学的に許容される界面活性剤と、薬学的に許容される有機酸とを含み、前記有機酸の濃度は重量/体積で0.5%以下であり、前記界面活性剤の濃度は重量/体積で0.05%以下である。一態様において、前記薬学的に許容される界面活性剤は、アニオン性界面活性剤である。本明細書において、用語「有機酸」は、炭化水素鎖及び炭化水素鎖に結合した酸性基を含む化合物に言及する。前記炭化水素鎖は、任意の長さであることができ、かつ直鎖状または分枝状であることができる。最も一般的な有機酸はカルボン酸であり、その酸性度はカルボキシ基‐COOHによる。しかしながら、カルボキシ基を欠くさらなる化合物も、化合物が水溶液中でイオン化して水素イオンを生じるならば、本発明に従って酸として機能する。したがって、水酸基置換基上のフェノール環の電子吸引特性により、本発明の中では、オイゲノールも酸としてみなされる。−OSOH基を有するスルホン酸は、別の型の、しかし比較的強い有機酸のグループである。一態様に従って、前記有機酸は、最大2〜10個の炭素原子を有するカルボン酸である。本発明で使用される有機酸は、炭化水素鎖から延びたさらなる官能基を含んでもよい。一態様において、前記有機酸の炭素鎖は、ヒドロキシル基、カルボニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、スルホニル基、またはチオール基によって官能性を有する。
【0038】
本発明の開示の組成物中に使用される界面活性剤は、イオン性(カチオン性またはアニオン性)及び非イオン性の界面活性剤、またはその混合物を含む、任意の周知の有機界面活性剤(すなわち、疎水性基及び親水性基の両方を含む、両親和性の有機化合物)から選択してもよい。一態様において、前記界面活性剤はイオン性界面活性剤であり、より一般的には、アニオン性界面活性剤である。一態様において、前記界面活性剤は、疎水性頭部基に結合した10〜20の長さの炭素鎖を含む、アニオン性界面活性剤である。一態様において、前記界面活性剤は有機リン酸または硫酸であり、該有機リン酸または硫酸の炭素鎖は、12個の炭素原子を含む。一態様において、界面活性剤はSDSである。一態様に従って、前記組成物は、乳酸、酢酸、及びレブリン酸からなる群より選択される1またはそれ以上の有機酸を、重量%で最大濃度0.3〜3%、並びに重量%で最大濃度0.05〜2%のSDSを含む。一態様において、前記組成物は重量%で0.3〜3%のレブリン酸と、重量%で0.05〜1%のSDSとを含む。
【0039】
本明細書で開示される抗菌性組成物は、食物を含む対象上の望ましくない微生物の数を減らすのに使用することができる。本特許出願の目的で、微生物の数が少なくとも2log減少する場合、微生物数の減少が首尾よく達成される。一態様に従って、前記方法は対象をレブリン酸及び薬学的に許容される界面活性剤を含む組成物と接触させることを含む。
一態様において、前記組成物は発泡組成物である。発泡組成物は、卓上泡立て器、または吸引型壁取り付け型泡立て器などの、当業者に周知の任意のさまざまな発泡装置を用いて、投与/接触ステップの一部として発泡することができる。
【0040】
一態様に従って、抗菌性組成物は食品加工面の処理に使用される。ここで、用語「食品加工面」は、食品の加工、調製、または保存活動に用いられる、道具の表面、機械、設備、構造、建築物などに言及する。食品加工面の例としては、食品加工装置または食品調製装置(例えば、水路を含むスライシング装置、缶詰装置、または輸送設備)の表面、食品加工商品(例えば、器具、食卓用食器類、洗浄用品、及び棒ガラス)の表面、及び食品加工が行われる床、壁、または構造物の固定具の表面が挙げられる。食品加工面は、抗腐敗空気循環システム、無菌包装殺菌剤、食品の冷蔵及び冷却器洗浄剤、並び殺菌剤、器具洗浄、ブランチャー(brancher)洗浄、食品包装材、切断板、飲料冷却器及び保温器、精肉冷蔵または熱湯消毒装置、冷却塔、食品加工衣類領域(排水管を含む)に見られ、かつ使用されている。有利なことに、本発明の組成物は、たとえ糞便物または羽毛を含む有機物に富む環境においても、効果的であり続けることが見いだされている。したがって、前記組成物は、病原菌などの物体を含み得る表面を、単独で処理する洗浄処理剤として使用できる。
【0041】
一態様に従って、レブリン酸及び界面活性剤を含む抗菌性組成物が提供され、前記組成物は、食品の表面上の残留微生物数を減らすのに効果的である。一態様において、10〜10 CFU/mlの大腸菌O157:H7で汚染された食物は、前記大腸菌O157:H7の増殖に好ましい環境下においても、本明細書で開示されている抗菌性組成物で、存在する生存可能な細菌を、該組成物で曝露してから5分後で、10倍以上(10、10、10 及び 10またはそれ上以の減少を含む)処理することができる。一態様において 前記レブリン酸及び界面活性剤の濃度は、それぞれを単独で使用した場合、該微生物数を減少させるのに不十分な濃度である。一態様において、前記レブリン酸及び界面活性剤成分の濃度は、大腸菌O157:H7において、それぞれの成分(すなわち、レブリン酸または界面活性剤)を単独で使用した場合に顕著な効果を示すのに必要とされる濃度の、0.5倍、0.25倍、0.1倍、または0.1倍未満である。一態様において 本発明の前記組成物中のレブリン酸は、わずか3%、2.5%、2.0%、1.5%、1.0%、0.5%または0.25%(w/v)である。一態様において、前記レブリン酸の濃度は2.5%(w/v)未満、または2.0%(w/v)未満であり、およびさらなる態様において、前記レブリン酸の濃度は、約0.5%(w/v)である。2%未満の濃度の薬学的に許容される界面活性剤との組み合わせでの、これらのレブリン酸の濃度は、農産物を含む、食物の官能特性を維持することが見出された。一態様における、本組成物の前記界面活性剤の濃度は、わずか約0.01%〜約1%、または約0.01%〜約0.1%であり、より一般的には、約0.05%(w/v)である。
【0042】
一態様において、前記組成物は硫酸アニオン、スルホン酸アニオン、またはカルボン酸アニオンであり、別の態様では、前記界面活性剤は第四級アンモニウムカチオンである。一態様において、前記第四級アンモニウムカチオンは、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルピリジニウム、または塩化セチルピリジニウムである。
【0043】
他の態様において、微生物種の迅速な殺菌方法が提供される。前記方法は、細菌を界面活性剤及び有機酸を含む組成物と接触させることを含み、前記有機酸の濃度は3.0%、2.0%、1.0%または0.5%(w/v)以下であり、前記界面活性剤の濃度は1%、0.5%、0.1%または0.05%(w/v)未満である。一態様において、前記有機酸は、乳酸、酢酸、及びレブリン酸からなる群より選択され、かつ前記界面活性剤は、例えばSDSを含む、アニオン性界面活性剤である。一態様に従って、前記組成物はレブリン酸及びSDSを含み、かつさらなる態様において、前記組成物は重量で最大濃度0.3〜3%のレブリン酸と、重量で最大濃度0.05〜1%のSDSとを含む。一態様において 本明細書で開示される有機酸/SDS組成物は、サルモネラ菌及び大腸菌の病原性株を含む細菌種を不活性化するのに使用される。前記処理は、20〜25℃または20〜22℃の温度を含む、生鮮食品の所望の特性を維持するのに好ましい温度で実施することができる。
【0044】
一態様に従って、前記処理される表面は、噴霧、洗浄、浸漬、すすぎ洗浄、浸漬(拡販の有り無しで)及び当業者に周知の類似の方法を含む、任意の標準技術によって、レブリン酸含有溶液と接触される。有利なことに、本出願人は、比較的低圧下で本発明の組成物を吹き付けると、前記組成物は発泡形態で適用されることを見出した。例えば、2%のSDSを含む組成物と、単純な雑草吹き付け機の場合、前記組成物は、機器及び加工設備の環境表面に発泡剤が殺菌剤を投与する必要がある場合、相性がよい発泡形態で適用される。前記泡沫は、静置状態で少なくとも20分持続する。一態様において、3%レブリン酸+2%SDSの安定な形態を生産するための気圧は、15〜35psiである。活性物質の濃度は、2%レブリン酸及び1%SDSまで希釈することができ、かつ安定な形態の形成は、類似の気圧を用いて得ることができる。発泡形態の組成物の使用は、処理表面上へのよりよい活性物質の浸透を許容する限り、有利である。
【0045】
本発明の組成物が泡沫形態で提供される場合、前記組成物は、泡沫状の外観の前記組成物を提供する、いくつかの気泡の層を有することによって特徴付けられる、気泡構造を有する。前記泡沫の特徴は、単に数個以上の気泡の存在に言及していると理解されるべきであり、一態様において、前記泡沫は、攪拌中断後のシリンダー発泡テストにおけるその最大高さの20、30、40、50、60または70%以上を維持する。一態様において、本明細書に開示の発泡した抗菌性組成物は、攪拌中断後のシリンダー発泡試験におけるその最大高さの少なくとも20%以上を維持する。
【0046】
シリンダー発泡試験は、試験組成物の発泡度を評価するために、界面活性剤工業において使用されている。一般的に、シリンダー発泡試験は、試験組成物を栓つき目盛りつきシリンダーに入れることで、組成物はシリンダーの所定の高さまで充填する(例えば、栓つき目盛りつきシリンダーの約1/3〜約1/2の高さ)。栓つき目盛りつきシリンダーは、10回上下反転させて、発生した泡を測定する。泡の残留度は、さらなる攪拌なしでの、目盛りつきシリンダー内の発泡した組成物の経時的な高さを測定することで測定される。前記試験は、一般的に標準大気条件下での室温下で行われる。
【0047】
一般的に、本明細書で開示される前記抗菌性組成物は、当業者に周知の、空気と混和して、組成物の泡沫組成物を生産する機能を有する単純な機械的泡沫頭部を用いて、泡沫の形態として形成することができる。しかしながら、周知の化学気泡産生機序の使用もまた、本発明に従って泡沫を形成するのに適している。化学発泡において、前記抗菌性組成物は、組成物中の他の成分と共に、または適用される環境に存在する物質のいずれかにおいて、化学的相互作用の結果として泡沫を生産する成分を含むことができる。これらの成分は、発泡が必要とされる場合に混合することができる2成分系として提供することができる。
【0048】
発泡は、例えば、タンク発泡機、または例えばトリガースプレー機に取り付けた発泡ノズルである、吸気された壁掛け式発泡機などの発泡圧着装置を用いて達成することができる。例えば、発泡は、組成物を、混合プロペラを有する15ガロン容量のステンレス鋼圧力器などの、15ガロンの発泡散布圧力器に設置することによって達成される。前記発泡組成物は、その後発泡トリガースプレー器によって調剤される。壁掛け式発泡機は、泡沫をタンクまたはラインから放出するのに、空気を用いることができる。
【0049】
本明細書で開示される抗菌性組成物は、食品または食品加工面に泡沫の形態で随意に投与することができる。前記泡沫は、発泡圧着装置の使用を通じて、空気と前記抗菌性組成物とを混合することにより調製することができる。泡発生を提供するための本発明に従って使用することができる機械的な発泡ヘッドは、空気と発泡組成物とを混合して、発泡した組成物を生産するこれらのヘッドを含む。すなわち、機械的な発泡ヘッドは、空気と発泡組成物とを混合チャンバー内で混合し、その後開放部(opening)を通じて泡沫の形成を発生させる。
【0050】
本発明に従って使用することができる適切な機械的な発泡ヘッドは、Airspray International社(Pompano Beach, FIa)及びCrown Cork &Seal 社の一部門であるZeller Plastikから購入可能なものを含む。本発明に従って使用することができる適切な機械的な発泡ヘッドは、米国特許第D‐452,822号、米国特許第D‐452,653号、米国特許第D‐456,260号、及び米国特許第6,053,364号に開示されている。本発明に従って使用することができる適切な機械的な発泡ヘッドは、発泡組成物と空気とを混合して泡沫の発生を引き起こす、指圧の引き金への適用によって作動するまたは作動することを意図したこれらのヘッドを含む。すなわち、作業者の指圧は引き金を押し下げて、発泡組成物及び空気をヘッドに出して、発泡組成物と空気とを混合して泡沫を発生させることを引き起こす。
【0051】
一態様に従って、形成された泡沫の発泡性及び/または持続性のいずれかを増強する追加の発泡増強剤を抗菌性組成物に添加される。一態様に従って 本明細書に開示される前記抗菌性組成物は、グリコール、グリコールエーテル、グリコールエーテルの誘導体、及びこれらの混合物からなる群より選択される発泡増強剤をさらに含む。好ましいグリコールは、ヘキシレングリコールなどの、少なくとも4個の炭素原子を有する。
【0052】
一態様において、食物または食品加工環境中の物質は前記抗菌性組成物によって処理することができる。一態様に従って、抗菌品質を有する加工食品を提供するための方法が提供される。食品は、例えば噴霧、浸漬、すすぎ洗浄、含浸、投与、洗浄などを含む標準技術を用いて、本明細書で開示される抗菌性組成物と混合される。随意に、攪拌、破砕、微粉砕、軟化、または他の周知の技術を用いて、食品と抗菌性組成物との混合物を生産するために、食品はより厳密に前記抗菌性組成物と混合される。 一態様に従って、抗菌性組成物は、一般構造
【化7】

を有し、ここでnは1〜6から選択される整数である有機酸と、第四級アンモニウムカチオン、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及び塩化セチルピリジニウムからなる群より選択される界面活性剤とを含む。このような抗菌性組成物は、混合物を形成するために、食品の原材料成分と混合される。前記混合物は、随意に、前記加工食品を形成するためのさらなる加工に供される。一態様において、前記抗菌性組成物成分は、レブリン酸及びSDSを含む。さらなる態様において、前記方法は、前記抗菌性組成物と未加工の肉とを混合後、混合した成分を粉砕することを含む。別の態様において、前記食品はシェルブドナッツ(shelved nut)を含み、前記ナッツと前記抗菌性組成物とを組み合わせた後、混合した組成物はその後ナッツバターの調製のため粉砕する。魚及び海産物を含む他の食品は、本明細書に開示されている抗菌性組成物と同様に混合することができる。さらなる態様において、本明細書に開示されている前記抗菌性組成物は、食品と包装される溶液の添加物として使用できる。
【0053】
一態様に従って、有機酸及びアニオン性界面活性剤を含む抗菌性組成物が提供され、前記組成物中の前記酸の最大濃度は、水の体積あたりの重量で約0.3%〜約3%(3〜30g/L)であり、前記界面活性剤の全量の最大濃度は、水の体積あたりの重量で約0.01%〜約1%(0.1〜10g/L)である。一態様において、前記有機酸はレブリン酸であり、かつ前記界面活性剤はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。一態様に従って、レブリン酸及びカチオンを含む抗菌性組成物が提供され、前記組成物中の前記酸の最大濃度は、水の体積あたりの重量で約0.3%〜約3%(3〜30g/L)であり、前記界面活性剤の全量の最大濃度は、水の体積あたりの重量で約0.01%〜約1%(0.1〜10g/L)である。一態様において、前記組成物はさらに当技術分野で周知の抗菌剤を含む。例えば、前記組成物は、抗生物質、過酸化水素、及びアルコールからなる群より選択される、1またはそれ以上の抗菌剤さらに含んでも良い。
【0054】
本明細書に開示されているように、乳酸、酢酸及びレブリン酸を含む有機酸の群は、個々にまたはドデシル硫酸ナトリウムと組み合わせて、サルモネラ菌の殺菌について評価された。結果は、有機酸は重量で0.5%、またはSDSは重量で0.05%で、これらの化合物を個々に使用した場合、21℃で20分では、2logCFU/ml以下で不活性化したことを反映している。重量で0.5%の任意のこれらの有機酸と、重量で0.05%のSDSとを混合すると、10秒間で7logCFU/mlを超えるサルモネラ菌は不活性化したという驚くべき結果が得られた。したがって、本明細書に開示されているように、有害な微生物(10CFU/ mlでのサルモネラ菌及び大腸菌O157:H7)は、レブリン酸+SDSで迅速に殺菌することができる。異なる濃度のレブリン酸(水中の重量で0.3〜3%)+SDS(水中の重量で0.05〜1%)の組み合わせは、レタス及びホウレン草上での大腸菌O157:H7及びサルモネラ菌の殺菌に評価した。結果は、レタスまたはホウレン草またはトマト上の大腸菌O157:H7またはサルモネラ菌の数は、21℃で5分間、この処理を受けた後、4logCFU/gを超えて減少したことを示す。
【0055】
サルモネラ菌に汚染された鶏皮、及び鶏羽または鶏糞に接触させた水について、さらなる試験を行った。結果は、鶏皮上のサルモネラ菌数は重量にしてたった0.5%のレブリン酸+重量にして0.05%のSDSで5分間、家禽羽毛上のサルモネラ菌数は重量にして3%のレブリン酸+重量にして2%のSDSで、及び鶏羽または鶏糞に接触させた水中のサルモネラ菌数は重量にして1%のレブリン酸+重量にして0.1%のSDSで5logCFU/cm以上減少したことを反映している。洗浄溶液としてのレブリン酸とSDSとの組み合わせの使用は、驚くべき食品媒介性病原菌の殺菌効果、低価格、及び環境に優しい性質のため、大変好ましい。
【0056】
農産物(及び他の食品を加工する)を洗浄する加工設備は市販されており、そして出願人は、本発明のレブリン酸組成物(例えば、最大3%の濃度のレブリン酸を有する組成物)がこのような設備を腐食させないことを見出した。特に出願人は、種子供給者によって提供される大きなステンレス鋼種子洗浄ユニットの使用は、レブリン酸処理が、代表的な大腸菌O157:H7の殺菌剤である20000ppmの次亜塩素酸カルシウムと同等の殺菌効果であるが、設備を腐食させず、かつユニット内の鎖上の錆も除去することを見出した。したがって、レブリン酸組成物は、塩素などの多くの殺菌剤に関連する設備上への望まれない腐食効果なしに、洗剤のようにユニットを清潔にする役割をする。従って、本発明の一態様は、設備及び硬表面に、本発明のレブリン酸組成物を接触させることによって、設備及び硬表面の除染をする方法に向けたものである。一態様に従って 発泡組成物は、0.5%〜3.0%(w/v)のレブリン酸及び1.0〜3.0%(w/v)のSDSを含んで提供される。一態様において、前記発泡組成物は、0.5%〜3.0%(w/v)のレブリン酸及び2.0%(w/v)のSDSを含む。さらに、3%レブリン酸+1%SDSを含む組成物は、他の酸が原因の炎症を起こすことなく、皮膚と接触することができる。
【0057】
さらなる態様において、糞便、及び/または動物の体液(例えば、尿または唾液)または動物性物質(例えば、羽、毛髪)に汚染された、液体中または表面上に存在する微生物種を迅速に殺菌する方法も提供される。前記方法は、液体または表面を、乳酸、酢酸、レブリン酸からなる群より選択される有機酸と、SDSとを含む組成物と接触させることを含み、前記組成物は重量で最大3%のレブリン酸と、重量で2%のSDSとを含む。一態様において 使用される組成物はレブリン酸及び界面活性剤を含む。
【0058】
本明細書に開示されている組成物の使用の結果による、サルモネラ菌及び大腸菌O157:H7を含む病原体の減少は、対数的な減少(1分以内に5log/mlを超える)であって、先行技術の有機酸の形態で報告及び認可しているように、百分率的な減少ではない。有機酸の殺菌効果は、既に立証されていた。しかしながら、これらの先行技術の剤形は、米国農務省に認可されていない。主な理由は、生産ラインに適用した場合に疑わしい殺菌結果であること、処理産物の感覚的な変化または表面の色の変化、短い保存期間、原価管理、及び維持または実施の困難性を含む。例えば、クエン酸を使用して得られた減少などの、先行技術の形態で得られた単なる百分率的な減少は、単純に少なすぎであり、したがってこのような組成物は、効果的または信用に足る、食品を保護する手段を提供することに失敗している。本発明の組成物は、サルモネラ菌を家禽生産物より除去し、かつ精肉及び生鮮食品より大腸菌O157:H7を除去する、第1の信用に足る方法を現す。
【0059】
一態様に従って、食品の表面上の残留微生物数を減少させる方法が提供される。一態様において、処理される食品は、農産物、精肉、卵、海産物及び魚からなる群より選択される。前記方法は、食品または食品加工面に、レブリン酸及び界面活性剤を含む組成物を接触させるステップを含み、前記レブリン酸及び界面活性剤のそれぞれの濃度は、個別に使用した場合に、大腸菌O157:H7の顕著な減少(例えば、5分以内に1対数を超える減少)を得るのに必要とされる濃度の0.5倍、0.25倍、0.1倍、または0.1倍未満の濃度である。
【0060】
一態様において、食品の表面は、レブリン酸/界面活性剤接触溶液と、1,2,3,4,5または10分間を含む、所定の時間の間接触される。出願人は、このような曝露時間は、食品の官能特性に負の影響を与えることなく、使用することができることを確立した。このような時間間隔は、生存可能な細胞カウントの少なくとも3桁の減少に効果的であるであることが見出された。より特異的には、出願人は、3%(w/v)以下の濃度のレブリン酸と、界面活性剤(SDS等)を組み合わせて含む組成物は、生存可能な微生物細胞のカウントを、微生物の生育に好適な環境下であっても、接触から1〜5分以内で5〜7を超える対数倍以上減少させることを示した。
【0061】
一態様において、本明細書に開示される抗菌剤の形態は、重量/体積で0.5%〜3%の濃度のレブリン酸+重量/体積で0.05%〜2%の濃度の四級アンモニウムカチオンまたはSDSを含む。一態様において、発泡した抗菌剤の形態は、重量/体積で0.5%〜3%の濃度のレブリン酸+重量/体積で0.05%〜3%の薬学的に許容される界面活性剤を含んで提供される。一方に対して異なる濃度でのレブリン酸及び界面活性剤(例えばSDS)の追加的な組み合わせは、所望の様式に基づき調製される。例えば、3つの特異的な組み合わせが、異なる産物の処理に対して展開される。低濃度(0.5重量%のレブリン酸+0.05重量%のSDS)は、ホウレン草、レタス、トマト及び芽などの脆弱な農産物の処理に選択される。中濃度(2重量%のレブリン酸+1重量%のSDS)は、野菜及び果物などの処理に選択される。比較的高濃度(3重量%のレブリン酸+2〜3重量%のSDS)は、精肉、食品加工面、及びケージ、交通圏、及び運搬用車両などの環境試料の処理に選択される。魚及び海産物は、任意の上記の3種類のレブリン酸及びSDSの濃度で処理することができる。一態様において、魚または海産物は、中濃度(2重量%のレブリン酸+1重量%のSDS)の抗菌性組成物で処理される。前記組成物は、すべての精肉用の洗浄、海産物用の洗浄、魚用の洗浄、野菜用の洗浄、果物用の洗浄、及び環境試料用の洗浄などの、異なる洗浄溶液としても調剤される。
【0062】
レブリン酸を基礎にした形態は安価で、簡単に生産され、悪臭を放たず、環境への放出にも優しく、かつヒトの健康の領域(レブリン酸はニコチンの減少のために広くタバコに添加されている)において研究が行われている。レブリン酸及びSDSの両方共にFDAによって食品への使用が認可されている。
【0063】
一態様に従って、本発明の抗菌性組成物は、例えば食品加工面を含む硬表面より、バイオフィルムを除去するのに使用することができる。前記方法は、バイオフィルムを、随意に発泡組成物の形態で、抗菌性組成物と接触させることを含む。一態様において、前記バイオフィルムは、水中で0.5〜3重量/体積%の有機酸と、水中で0.05〜2重量/体積%のイオン性界面活性剤とを含む水溶性組成物と接触される。一態様において、前記有機酸は、4〜10または4〜6個の炭素原子の炭素骨格を含む一塩基性有機酸である。より特異的には、一態様において、前記有機酸は、一般構造
【化8】

を有し、ここでnは1〜10または1〜6から選択される整数である。一態様において、前記酸は化学式Iの構造を含み、ここでnは1〜3から選択される整数であり、かつ別の態様において、nは1、2、または3である。一態様において、前記界面活性剤は、ハロゲン化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルピリジニウム、及びSDSからなる群より選択される。一態様に従って、前記抗菌性組成物は、レブリン酸、及びドデシル硫酸ナトリウム及び/またはラウリル硫酸ナトリウムを含む。一態様において、前記レブリン酸の濃度は、3%、2.5%、2.0%、1.5%、1.0%、0.5%または0.25%(w/v)未満の組成物水溶液であり、かつ前記ドデシル硫酸ナトリウム及び/またはラウリル硫酸ナトリウムの濃度は、2.0、1.5、1.0、0.5、0.1または0.05%(w/v)未満の組成物水溶液である。
【0064】
本発明の抗菌性組成物は、一態様に従って、種子を処理して、種子から病原性微生物を除去する方法に使用することができる。前記方法は、種子を、随意に発泡組成物の形態で、抗菌性組成物と接触させることを含む。一態様において、前記バイオフィルムは、水の体積あたりの重量で0.5〜3%の有機酸と、水の体積あたりの重量で0.05〜2%のイオン性界面活性剤とを含む水溶性組成物と接触される。一態様において、前記有機酸は、4〜10または4〜6個の炭素原子の炭素骨格を含む一塩基性有機酸である。より特異的には、一態様において、前記有機酸は、一般構造
【化9】

を有し、ここでnは1〜10または1〜6から選択される整数である。一態様において、前記酸は化学式Iの構造を含み、ここでnは1〜3から選択される整数であり、かつ別の態様において、nは1、2、または3である。一態様において、前記界面活性剤は、ハロゲン化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルピリジニウム、及びSDSからなる群より選択される。一態様に従って、前記抗菌性組成物は、レブリン酸、及びドデシル硫酸ナトリウム及び/またはラウリル硫酸ナトリウムを含む。
【0065】
一態様に従って、種子をレブリン酸及び界面活性剤を含む組成物に接触させるステップを含む、種子を汚染除去する方法が提供され、前記レブリン酸及び界面活性剤のそれぞれの濃度は、個別に使用した場合に、大腸菌O157:H7の顕著な減少(例えば、50%を超える減少)を得るのに必要とされる濃度の0.5倍、0.25倍、0.1倍、または0.1倍未満の濃度である。一態様において、前記レブリン酸の濃度は、3%、2.5%、2.0%、1.5%、1.0%、0.5%または0.25%(w/v)未満の組成物水溶液である。一態様において、前記レブリン酸の濃度は2.5% (w/v)未満であり、かつさらなる態様においては、前記レブリン酸の濃度は0.5% (w/v)未満である。さらに、前記界面活性剤の濃度は、約0.01〜約2%(w/v)、または約0.01〜約0.1%(w/v)、およびより一般的には、約0.05%(w/v)である。この処理は、大腸菌O157:H7、サルモネラ菌、炭素菌(Bacillus anthracis)、バチルス・セレウス(B.cereus)及びアシドボラクス・アベナエ(Acidovorax avenae)などの病原菌の種子からの除去に使用することができ、かつこのような生物の胞子の効果的な殺菌を示した。
【0066】
一態様において、レブリン酸及びSDS等の界面活性剤を含む溶液は、挽肉、ペースト及びバターなどの食品に、該食品を製造する工程の間に添加することができ、従って食品と本発明の抗菌剤との密接な混合物を提供し、従ってこれらの生産物の安全性及び保存期間を増大させる。
【0067】
レブリン酸組成物は、種子の発芽時に使用した水にも添加することができ、そして結果は、レブリン酸組成物は発芽に悪影響を与えないことを示す。従って、種子の処理に加えて、本発明のレブリン酸組成物が、20000ppmの次亜塩素酸カルシウムまたは本発明のレブリン酸組成物のいずれかの一次処理で生存した、任意の残留病原性微生物(大腸菌O157:H7及びサルモネラ菌など)の除去に使用することができる。これは一次種子処理で生存した病原体の可能性に対してさらに保護し、かつ発芽培地中での病原性生物の発育を妨げる。一態様に従って、種子の発芽の時期に微生物の生育を阻害する方法が提供され、前記方法は、レブリン酸及び界面活性剤を含む組成物と、種子の発芽前に、および種子の発芽中に接触させることを含む。一態様において、前記組成物は3%未満のレブリン酸及び1%未満の界面活性剤を含む。
【実施例1】
【0068】
有機酸/SDS組成物の殺菌効果
【0069】
材料及び方法
【0070】
株:932(ヒト分離株)、E009(牛肉分離株)、E0018(ウシ分離株)、E0122(ウシ分離株)、E0139(シカ干し肉分離株)を含む、大腸菌O157:H7の5種の分離株と、3種のウシ分離株及び2種の牛肉分離株を含むネズミチフス菌DT104の5種の分離株と、564−88(食品分離株)、193−88(ヒト分離株)、E39(卵分離株)、460−88(卵分離株)、及び457−88(家禽分離株)を含む腸炎菌の5種の分離株と、LMIOI(血清型4b、サラミ分離株)、LM 112(血清型4b、サラミ分離株)、LMI 13(血清型4b、ペパロニ分離株)、LM9666(血清型I/2c、ヒト分離株)、及びLM5779(血清型1/2c、チーズ分離株)を含むリステリア・モノサイトゲネス(L. monocytogenes)の5種の分離株と、1種類のペスト菌(Yersinia pestis)(AI 122)を使用した。サルモネラ菌及び大腸菌O157:H7はそれぞれ、37℃で18時間、トリプシン大豆ブロス(TSB)中で生育後、リン酸緩衝食塩水(pH7.2)で洗浄した。ほぼ同じ細胞数の各5種類を混合して、実験計画に従って細胞数を調整した5種混合物として使用した。 細菌細胞数は、0.1%ペプトン中での段階希釈(1:10)により決定し、その後希釈管から0.1mlの体積をトリプシン大豆アガー(TSA)、XLDアガー、及びソルビトール・マッコンキーアガー(SMA)上に蒔き、37℃で24時間培養後に、コロニーを数えた。
【0071】
化合物及び化学的処理
酢酸、カプリル酸、乳酸、レブリン酸、及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を、鶏糞、または鶏糞で汚染された鶏羽とそうでない鶏羽で汚染された水中の、及び鶏糞で汚染された鶏皮とそうでない鶏皮の、大腸炎菌、ネズミチフス菌、及び大腸菌O157:H7について、異なる濃度及び温度(8℃または21℃)で、単独でまたは組み合わせて試験した。
【0072】
生鮮食品
ロメイン・レタス、トマト、及びホウレン草は現地の小売店より購入した。各実験の前に、産物はサルモネラ菌について試験した。10mlの滅菌水と10gのレタスまたはホウレン草を、Whirl‐Pak(登録商標)バッグに添加した。試料バッグは、150rpmで1分間、ストマッカーブレンダー中で粉砕した。液体は連続的に(1:10)0.1%ペプトンで希釈され、各希釈管より0.1mlを2枚のXLDプレート上に蒔き、これらの試料がサルモネラ菌で汚染されているかどうかを特定した。サルモネラ菌陰性のレタス、トマト及びホウレン草のみを使用した。
【0073】
鶏羽、皮、家禽手羽肉及び糞
家禽農場由来の糞は5羽の異なる鶏から採取され、混合物として使用した。羽毛は、食肉処理場より入手した。鶏手羽肉及び家禽手羽肉は、食肉工場または現地の小売店より購入し、皮は使用直前に分離した。サルモネラ菌陰性の鶏糞、羽、皮、または家禽手羽肉試料のみ、実験に使用した。10mlの滅菌水と1.0gの糞もしくは羽、または皮片(5×5cm)を、Whirl‐Pak(登録商標)バッグに添加した。糞、羽、または皮の各試料バッグは、150rpmで1分間、ストマッカーブレンダー中で粉砕した。家禽手羽肉のバッグは、1分間手もみした。液体は連続的に(1:10)0.1%ペプトンで希釈され、各希釈管より0.1mlを2枚のXLDプレート上に蒔き、これらの試料がサルモネラ菌類で汚染されているかどうかを特定した。サルモネラ菌陰性の鶏糞、羽、皮、または家禽手羽肉試料のみ、実験に使用した。
【0074】
腸炎菌の計数
ネズミチフス菌DT104及び大腸菌O157:H7:各サンプリング時間において、1.0mlの処理した細菌懸濁液を、9.0mlの中和緩衝液またはPBS(pHに依存)と混合した。溶液は、0.1%ペプトン中で段階的(1:10)に希釈し、その後0.1mlの希釈液を、2枚のTSA及びXLDアガープレート、またはアンピシリン(32μg/ml)、テトラサイクリン(16μg/ml)及びストレプトマイシン(64μg/ml)を含むTSA及びXLD(TSA+、XLD+)アガープレート、またはTSA及びソルビトール・マッコンキーアガープレート上に、蒔いた。プレートは、37℃で48時間培養した。サルモネラ菌または大腸菌O157:H7の典型的なコロニーは、生化学的検査によるサルモネラ菌または大腸菌の確認のため、およびラテックス凝集反応による血清型決定の確認のため、最大希釈のプレートより無作為に採取した。サルモネラ菌または大腸菌O157:H7は直接プレーティング法で検出されなかった場合、一般的な前集積ブロス(UPB)中での選択的な集積を、処理懸濁液25mlを、225mlUPBを含む500mlフラスコ中で、37℃で24時間培養することにより、行った。前集積後、1mlを、10mlの亜セレン酸シスチンブロスに移して、37℃で24時間培養した。培養後、ブロス管より10μlの白金耳量を、2枚のXLDプレート上に蒔き、37℃で24時間培養した。典型的なサルモネラ菌種の形態のコロニーを選択し、その後再度XLDプレート上に移し、37℃で24時間培養した。全ての推定サルモネラ菌分離株は、サルモネララテックス凝集反応で試験した。ララテックス凝集反応でサルモネラ菌陽性であった分離株は、サルモネラ菌の同定のため、生化学的特性用のAPI 20Eアッセイで試験された。全ての化学的処理の実験は、2回または3回行われ、試料あたり2つの複製物が蒔かれ、結果は平均値で報告した。
【0075】
レタスまたはホウレン草上でのサルモネラ菌及び大腸菌O157:H7の不活性化の特定
試料の25gロメイン・レタスは、層流フード内で、約5cm長に切断された。ホールトマト(150g±10g)を使用した。試料は、大腸菌O157:H7またはサルモネラ菌懸濁液(10〜10CFU/ml)に60秒間浸された後、レタスとホウレン草については20分間風乾し、トマトについては層流フード内で60分間風乾した。試料はその後500mlの化合物溶液を含む1000mlのガラスビーカー、または200mlの化合物溶液を含み、21℃で磁気攪拌子により100rpmで攪拌している500mlのガラスビーカーに含浸した。処理後、試料は10mlのPBSを含むストマッカーバッグ中に入れ、150rpmで1分間、ストマッカーまたはミキサー中で粉砕した。溶液は、細菌の計数のため、0.1%ペプトン中で段階的(1:10)に希釈し、その後0.1mlの希釈液を、腸炎菌については2枚のTSA及びXLDアガープレート、ネズミチフス菌DT104については2枚のTSA及びXLD、大腸菌O157:H7についてはTSAおよびSMA上に、蒔いた。
【0076】
鶏羽または鶏糞で汚染された水中でのサルモネラ菌不活性化の特定
使用したプロトコールは、以前に記載された(Zhao等、2006年)ものに多少の修正を加えたものである。鶏羽または鶏糞は秤量後、特定される化合物を異なる量比(w/v)で含むガラスビーカー中に添加し、磁気攪拌子により150rpmで攪拌しながら混合した。5種類の腸炎菌混合物を添加した。1mlの試料を採取後、PBSで段階的に(1:10)希釈した。好気性細菌及びサルモネラ菌のカウントが、上記に記載の手順により特定された。
【0077】
家禽手羽肉中のサルモネラ菌の不活性化の特定
鶏手羽肉(それぞれ長さ約12cm、幅約7cm、及び約85〜90g)は、500mlの腸炎菌(約10CFU/ml)を含むガラスビーカー中で、60秒間含浸させた。接種された手羽肉は層流フード内で20分間風乾後、個別に200mlの化合物溶液を含むWhirl‐Pak(登録商標)バッグ中に、0、1、2、5、10、20、30、及び60分間入れた。バッグは、断続的に手もみしながら、150rpmで、垂直攪拌器で攪拌した。化学的処理後、各鶏手羽肉は、0.1M PBSを50ml含むWhirl‐Pak(登録商標)バッグ中に入れた。バッグは、断続的に手もみしながら、150rpmで、垂直攪拌器で攪拌した。細胞懸濁液(1ml)は9mlの0.1%ペプトン中に断続的に(1:10)希釈後、各希釈液の0.1mlを、2枚のXLD及びTSAプレート上に蒔いた。プレートは、細菌数を計数するため、37℃で24〜48時間培養した。
【0078】
鶏皮上でのサルモネラ菌の不活性化の測定
鶏皮は分離後、試験直前に試料あたり5×5cm平方に切断した。10〜10CFUの腸炎菌を含むか、または含まない鶏糞を、皮上に接種し、層流フード内で20分間風乾した。接種した皮を、抗菌剤溶液が入ったストマッカーバッグ(各皮試料当たり200mlの溶液)中に入れて、断続的(30秒毎)に手もみしながら、またはストマッカーで150rpmで粉砕しながら、21℃で0、1、3、5、10、及び20分間の接触させた。試料は、それぞれ9mlのPBSを含むWhirl‐Pak(登録商標)バッグに入れた後、150rpmで1分間、ストマッカーブレンダー中で粉砕した。サルモネラ菌は上記の手順に従って、計上した。
【0079】
結果
0.1〜2.0重量%のレブリン酸を含む水中でのサルモネラ菌の不活性化の測定は、約1log CFU/mlの減少を明らかにした。レブリン酸濃度が3.0重量%に増加すると、殺菌効果は増加し、30分間の接触で3.4logサルモネラ菌/mlの減少が得られた(表1)。0.5重量%の酢酸、及び0.5重量%の乳酸の30分間での処理は、サルモネラ菌細胞数はそれぞれ0.7log CFU/ml、及び 2.0log CFU/mlに減少した。0.05重量%のSDSの30分間の処理では、サルモネラ菌細胞数は減少しなかった(表1)。
【0080】
5〜10秒の接触時間で、サルモネラ菌数は迅速に10CFU/mlから検出外(集積陰性)まで減少したことから、0.03〜0.05重量%のSDSとの組み合わせで評価した全ての有機酸の組み合わせは、サルモネラ菌の殺菌において、異なる程度で効果的であった。
【0081】
個別に投与した場合、0.5重量%のレブリン酸、または0.05重量%のSDSのいずれも、大腸菌O157:H7またはネズミチフス菌DT104に顕著な殺菌効果を提供しなかったが、これらの濃度でのレブリン酸及びSDSの組み合わせは、大腸菌O157及びネズミチフス菌の細菌数を1分以内に7logCFU/mlまで減少させた(表2及び3を参照)。
【0082】
生鮮食品及び鶏皮上のサルモネラ菌に対する、レブリン酸及びSDSの抗菌活性が測定された。結果は、0.3重量%のレブリン酸+0.05重量%のSDSで1分間処理したレタス上の腸炎菌の細菌数は、約4logCFU/gに、かつ0.5重量%のレブリン酸及び0.05重量%のSDSで1分間処理したレタスまたはホウレン草上のネズミチフス菌の細菌数は、約4logCFU/gにそれぞれ減少したことを明らかにした。0.5重量%のレブリン酸及び0.05重量%のSDSで1分間処理したレタス上の大腸菌O157:H7は、約4logCFU/gに減少した(表4を参照)。レブリン酸の濃度が3重量%に、及びSDSの濃度が1重量%に増大した場合、これらのレタス上への抗菌活性も増大する。全ての接種した大腸菌O157:H7及びネズミチフス菌は、1分以内のこれらの処理により、検出限界レベルにまで不活性化された(表4)。
【0083】
鶏皮の研究は、0.5重量%のレブリン酸及び0.05重量%のSDSで5分間処理した場合、腸炎菌は6.3logCFU/gに減少することを明らかにした。
【0084】
化合物溶液を生鮮食品または鶏皮上への処理に使用後、サルモネラ菌及び大腸菌O157:H7の両方とも、化合物溶液における直接プレート法では検出できなかった(表4)。
【0085】
腸炎菌を殺菌するためのレブリン酸及びSDS処理は、さらに鶏羽または鶏糞に接触した水についてさらに試験した。結果は、羽毛の混入は、この処理の殺菌効果を弱めず、一方鶏糞の存在は、殺菌効果を弱めることを明らかにした。2分間の曝露後、腸炎菌は鶏糞混入水中で、7.6logCFU/mlから1.2logCFU/mlに減少したが、5分後には検出されなかった(7.6logCFU/ml減少)(P<0.05、表5)。より高いレブリン酸及びSDSの濃度は、鶏糞で重度に汚染した水中(鶏糞1重量部:水20重量部;wt/v)において、サルモネラ菌の殺菌により効果的である(表5)。
【0086】
手羽肉上の腸炎菌の研究は、3重量%のレブリン酸及び2重量%のSDSでの処理は、全ての接種したサルモネラ菌を1分以内で不活性化することを明らかにした(6logCFU/mlを超える減少)。同時に、この処理により、全細菌数も7logCFU/ml未満に減少した(表7)。
【0087】
1:100(w/v)の比率で鶏糞が混入した水中の好気性細菌カウントは、1重量%のレブリン酸及び0.1重量%のSDSで2分間処理後、4.0logCFU/mlを超えて減少した。化合物の濃度を、3重量%のレブリン酸+2重量%のSDSに増加して2分間処理した場合、抗菌効果は、1:20(w/v)の比率で鶏糞が混入した水中で、約5.5logCFU/mlの減少に増加した(表6)。
【0088】
本明細書で開示しているように、有機酸(FDAによって安全食品認定に格付けされた、乳酸、酢酸、レブリン酸、カプリル酸等を含む)及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS、アニオン性界面活性化合物)を含む、2つの化合物の組み合わせは、食物及び/または食品加工面上に存在する有害な細菌を殺菌するのに使用することができる。一態様において、前記化合物の組み合わせは、ペスト菌、腸炎菌、ネズミチフス菌DT104、リステリア・モノサイトゲネス、及び大腸菌O157:H7を含む病原菌を最大7桁で迅速に殺菌することができる、45 mMのレブリン酸及び1.73mM のSDSを含む。レブリン酸(45 mM)+SDS(1.73 mM)は、生鮮食品(レタス及びホウレン草)中の腸炎菌、ネズミチフス菌DT104、及び大腸菌O157:H7を、15秒以内の速さで、5logに減少させた。この化合物の組み合わせは、室温で安定であり、かつ環境に優しい。この化合物溶液で最大60分間処理した生鮮食品と、水で処理した、あるいは未処理の生鮮食品との間には、明らかな官能特性の違いはなかった。この型の産物の使用者は、生鮮食品及び家禽加工業者、ならびにサルモネラ菌及び大腸菌O157:H7を減少させる個人世帯である。
【0089】
【表1】

【0090】
【表2】

【0091】
【表3】

【0092】
【表4】

【0093】
【表5】

【0094】
【表6】

【0095】
【表7】

【0096】
【表8】

【0097】
【表9】


【実施例2】
【0098】
リステリア・モノサイトゲネスに対する有機酸/SDSの効果
本明細書に開示されている抗菌性組成物のリステリア・モノサイトゲネスに対する効果を、実施例1で開示されているアッセイ及び手法を用いて、試験した。結果を表10に示す。
【0099】
【表10】

【実施例3】
【0100】
21℃における異なる化合物の組み合わせでの微生物の減少
薬学的に許容される酸と、様々な薬学的に許容される界面活性剤との組み合わせの、異なる組み合わせを、抗菌特性について試験した。
【0101】
実施例1に開示しているアッセイ及び手法を用いて、微生物は、試験組成物に接触させた。異なる界面活性剤/酸の組み合わせの試験組成物に、微生物を接触させて得られた結果を、表9〜13に示す。レブリン酸+SDS処理した完熟トマト上の腸炎菌及び好気性菌のプレートカウントの減少を、表12に示す。以下のデータに示すように、特に表12及び13では、全ての有機酸/界面活性剤の組み合わせが、抗菌剤としての効果に関して同等に作用しなかった。
【0102】
【表11】

【0103】
【表12】

【0104】
【表13】

【0105】
【表14】

【0106】
表10〜12に示す結果は、これらが任意の酸/界面活性剤の組み合わせが、他の組み合わせよりも優位性を示す特別な関連性である。より特異的には、表10〜12は、異なる酸が同じ濃度で使用されている場合、酸の選択は、異なる抗菌活性を導くことを示す。これらの表は、直鎖状の一塩基性酸の代わりにHEDTA(四塩基酸)、クエン酸(三塩基酸)、またはフマル酸(二塩基酸)を使用した場合、異なる活性が測定されたことが示すように、所定の酸中のプロトン性水素原子は、溶液の殺菌活性には関連していないことも示している。これは、分子内及び分子間の水素結合による、一塩基性酸に対して、小さな複塩基性酸の小さな酸性によるものであり、かつ、HEDTAの場合、カルボキシル基からアミノ基の窒素への、2つのHの分子内移動によるものであろう。
【0107】
これを元に、表10〜12に記載の結果は、活性時間と微生物効果の強度が考慮されている場合、全ての酸/界面活性剤の組み合わせが、最適の抗菌活性を示さないことを明確に示している。これらの表は、直鎖状で、長鎖(4炭素原子を超える)の一塩基性酸は、他のものと比べて好ましく、かつ、イオン性で、長鎖の界面活性剤(SDS、塩化ベンザルコニウム、及び塩化セチルピリジニウム)が、非イオン性界面活性剤(例えば、コカミドMEA)よりも好ましいことを示している。
【0108】
鎖長は、独立の長鎖が細胞壁を破壊するのにより好ましいことにも関連する。複塩基性酸の場合、分子内の水素結合は、少なくとも部分的に、これらの鎖を固定した配置に抑えるため、細胞壁内の脂質層を破壊しにくい可能性がある。これは、複塩基性酸は、直鎖状一塩基性酸と比較した場合、測定可能な効果を得るのにより長い時間が必要であることによって部分的に裏付けられている。
【実施例4】
【0109】
汚染した種子の処理に対する組成物の効果
1994年以来、国内及び国外の両方で、生の芽が大腸菌O157:H7及びサルモネラ菌感染の媒体であるとされていた。大部分の感染はアルファルファの芽に関連していたが、クレス(cress)、ヤエナリ、およびクローバーの芽も関連していた。熱処理、及び化学的処理(例えば、NaOCl、Ca(OCl)、酸性NaClO、LiOCl、洗剤、酸性ClO、NaPO、酸性硫酸カルシウム、及びH)を含む多くの処理が、アルファルファ種子上の大腸菌O157:H7汚染を減少する能力について評価されてきた。しかしながら、これらの処理のいずれも、確実に病原体を除去できず、かつ種子に許容される発芽率を提供できない。したがって、出願人は、一塩基性酸/界面活性剤組成物の、種子から大腸菌O157:H7及びサルモネラ菌を除去する一方、許容される発芽率を維持するための洗浄溶液としての能力を調査した。
【0110】
10CFU/gの大腸菌O157:H7またはネズミチフス菌の5種混合物を、アルファルファの種子上に接種した。種子は21℃で最大72時間乾燥させた。21℃における0.5%レブリン酸及び0.05%SDSでの5分間の処理は、大腸菌O157:H7及びネズミチフス菌の細菌数を検出できないレベル(5CFU/g未満)まで減少させたが、いくつかの処理した種子が、選択集積培養で病原体陽性であった。
【0111】
材料及び方法
【0112】
細菌株
大腸菌O157:H7の計数を容易にするため、ナリジスク酸(50μg/ml)耐性株を使用した。
大腸菌O157:H7 サルモネラ菌
932(ヒト分離株)、E009(牛肉分離株)、E0018(ウシ分離株)、E0122(ウシ分離株)、E0139(シカ干し肉分離株)を含む、大腸菌O157:H7の5種の分離株、またはH2662 (ウシ分離株)、11942A(ウシ分離株)、13068A (ウシ分離株)152N17‐1(乳製品分離株)、及びH3279(ヒト分離株)を含むネズミチフス菌DT104の5種の分離株を、5種混合物として使用した。
【0113】
化合物及び化学的処理
0.5%レブリン酸及び0.05%SDSを、組み合わせて、21±2℃で、アルファルファ種子上の大腸菌O157:H7及びネズミチフス菌の洗浄処理としての殺菌効果を試験した。次亜塩素酸カルシウム[20000μg/ml(ppm)]を陽性対照と、脱イオン水を陰性対照として使用した。
【0114】

脱イオンした水、脱塩素化した水(0.2μm再生セルロースフィルターで、フィルター滅菌)、水道水、及び加圧滅菌した水道水を使用した。
【0115】
アルファルファ種子への播種
アルファルファの種子はCaudill Seeds社(Louisville,Ky)より入手し、約91%の発芽率を有していた。乾燥種子(50g)を滅菌したガラスビーカー(1L)中に入れ、5mlの大腸菌O157:H7またはネズミチフス菌DT104の5種混合物(10〜10CFU/mlまたは10〜10CFU/ml)を種子の表面上に播種した後、層流フード内で1、4、24、48、及び72時間乾燥した。
【0116】
アルファルファ種子上のサルモネラ菌及び大腸菌O157:H7不活性化の測定
播種及び乾燥したアルファルファ種子(50g試料)を、200mlのレブリン酸+SDSを含む1000mlガラスビーカー中に入れた後、21℃で0、1、2、5、10、20、30及び60分間、磁気撹拌子で150rpmで撹拌した。処理後、試料(1または25/gまたはml)を9mlまたは25mlの0.1Mリン酸緩衝液または中和緩衝液を含むストマッカーバッグに入れ、ストマッカーブレンダーで150rpmで1分間粉砕した。溶液は、0.1%ペプトン中で段階的(1:10)に希釈し、その後0.1mlの希釈液を、大腸菌O157:H7については、それぞれ50μgナリジスク酸/mlを含むTSA及びソルビトール・マッコンキーアガープレート(TSA-NA及びSMA-NA)上に、並びにネズミチフス菌DT104については、2枚のアンピシリン(32μg/ml)、テトラサイクリン(16μg/ml)及びストレプトマイシン(64μg/ml)を含むTSA及びXLD(TSA+及びXLD+)アガープレート上に、蒔いた。すべてのプレートは、37℃で48時間培養した。
【0117】
種子発芽率の測定
種子発芽率を測定するために、処理した種子及び対照種子(複製あたり5g)を、プラスチックトレーの表面上に静置した。200mlの滅菌イオン交換水を含む2番目のトレーは、種子の入ったトレーと共に静置し、下部のトレーに水を滴下して一定した湿度を維持した。種子は約22℃で72時間培養した。
【0118】
結果及び考察
結果は、10CFUの大腸菌O157:H7/アルファルファ種子gの生存数が、4時間の乾燥後において存在することを明らかにした(表15)。20000ppmの次亜塩素酸カルシウムまたは0.5%レブリン酸+0.05%SDSで最大60分間の処理は、大腸菌O157:H7数をそれぞれ6logCFU/g、及び5logCFU/gを超えて減少させた。
【0119】
大腸菌O157:H7数は、24時間の乾燥後、3log/CFUまで減少した。次亜塩素酸カルシウムまたは0.5%レブリン酸+0.05%SDSで5分間の処理は、大腸菌O157:H7数を集積培地でのみ検出可能なレベルまで減少させた。類似の結果は、48時間及び72時間乾燥した種子でも測定された(表15)。
【0120】
結果は、10〜10CFUネズミチフス菌DT104/アルファルファgの生存可能な細菌数が、4時間の乾燥後に存在していることを明らかにした。20000ppmの次亜塩素酸カルシウムまたは0.5%レブリン酸+0.05%SDSで5分以内の処理は、集積培養を含む、全てのサルモネラ菌を不活性化した(表16)。
【0121】
種子の24、48、または72時間の乾燥は、サルモネラ菌数を約4logCFU/gに減少させた。20000ppmの次亜塩素酸カルシウムまたは0.5%レブリン酸+0.05%SDSで5分以内の処理は、サルモネラ菌のレベルを直接プレーティング法では検出不可能にまで減少させたが、集積培養では検出可能であった(表16)。
【0122】
【表15】

【0123】
【表16】

【0124】
汚染された種子の以下の処理では、両方の化合物処理溶液は、大腸菌O157:H7またはサルモネラ菌に陰性であった。10分間処理した種子は、ストマッカーバッグに移された後、200rpmで10分間粉砕した。結果は、20000ppmの次亜塩素酸カルシウムまたは0.5%レブリン酸+0.05%SDSで処理した5つ全ての試料は、直接プレート法において大腸菌O157:H7およびサルモネラ菌陰性である一方、0.5%レブリン酸+0.05%SDSで処理した(2つの試料)は、集積培養において陰性であることを明らかにした。
【0125】
21℃で1時間、0.5%レブリン酸+0.05%SDSで処理したアルファルファ種子の発芽率は80%、水道水処理したものは71%、及び20000ppmの次亜塩素酸カルシウムで処理したものは47.3%であった。
【0126】
結論
20000ppmの次亜塩素酸カルシウム(pH11.4)処理、または0.5%レブリン酸+0.05%SDS(pH3.2)処理について、アルファルファ種子上の大腸菌O157:H7およびサルモネラ菌の不活性化について、同等の結果が得られた。アルファルファ種子の発芽率は、レブリン酸+SDSで処理した場合、次亜塩素酸カルシウムを使用した場合と比較して、大幅に上昇した。
【実施例5】
【0127】
処理したレタスの保存期間の測定
ホールロメイン・レタス(各バッグに3個)を、5Lの0.5%レブリン酸+0.05%SDS(pH3.2)が入ったプラスチック容器に、21℃で15分または30分含浸後、同量の水道水で3回すすぎ洗浄した。処理したレタス(葉の内部及び外部)の試料は、ペーパータオルの層に保存し、その後余分な水分を除去するため、層流フード内で30分間乾燥させた。その後、レタスは元のバッグに、5℃で保存した。水道水のみで処理したレタスを、陰性対照とした。
【0128】
結果は、0.5%レブリン酸+0.05%SDSで15分または30分処理したレタスの色、形、及び脆さは、水道水のみで処理したレタスと比較して、20日間同じであったことを示した。30日目において、細菌による腐食及び/または菌類が誘導した腐食がレタスの表面に見られた、水道水で処理したレタスと比較した場合、色、形、及び脆さを含むこれらの特性は、良好であった。
【実施例6】
【0129】
牛挽肉中の大腸菌O157:H7及びサルモネラ菌の減少
この実験の目標は、牛挽肉中の大腸菌O157:H7及びサルモネラ菌を除去/減少するための実用的な処理を開発及び立証することである。実施例1で開示しているように、0.5%レブリン酸及び0.05%SDSの組み合わせは、大腸菌O157:H7、腸炎菌、及びネズミチフス菌DT104を、純粋培地で試験した場合、10秒以内(処理時間)で不活性化する(10CFU/mlを超える)。20秒未満の3%レブリン酸+1%SDS(pH2.7)の組み合わせでのレタスの処理は、サルモネラ菌及び大腸菌O157:H7の両方の細菌数を6.7logCFU/gを超えて減少させた。鶏手羽肉上のサルモネラ菌及び好気性細菌の細胞数は、1分間の3%レブリン酸+2%SDS(pH2.7)の処理により、5logCFU/gを超えて減少した。しかしながら、0.5%レブリン酸及び0.05%SDSは、個別に使用した場合、比較的弱い殺菌活性を有する。
【0130】
実験の第1段階は、牛肉の切り落とし片上の大腸菌O157:H7またはサルモネラ菌の5℃での不活性化における、異なる化合物濃度と、すすぎ洗浄の曝露時間との関係を特定する。ネズミチフス菌DT104を含む大腸菌O157:H7またはサルモネラ菌の5種混合物を使用する。牛肉の切り落とし片は、約2立方インチに切る。2つの播種レベル(高播種は10CFU/g、及び低播種は10CFU/g)を使用する。播種後、病原体接触及び純化のため、肉片(各群45個)を5℃で1、2、4、24時間保持する。3つの処理方法(レブリン酸+SDS、酸性化亜塩素酸ナトリウム、および水のみ)が、抗菌活性について比較される。レブリン酸の濃度は0.5〜3.0%の範囲であり、SDSの濃度は0.05〜2.0%の範囲であり、かつ処理は5℃で1、2、3、4、及び5分で行われる。各肉片はストマッカーバッグ内で処理後、0.1Mリン酸緩衝液または中和緩衝液を含む別のバッグに移されて、追加の化学活性を停止する。全ての処理溶液及び洗浄溶液は、大腸菌O157:H7またはサルモネラ菌のいずれかについて、及び好気性プレートカウント(APC)について、分析される。
【0131】
実験の第2段階は、大腸菌O157:H7またはサルモネラ菌が、レブリン酸+SDSで処理後、最大6ヶ月間凍結保存された牛肉片より調製された牛挽肉から回収できるかどうかについて評価する。使用されるレブリン酸+SDSの濃度、及び5℃での曝露時間は、第1段階の研究で得られたデータに基づく。第1段階の研究で記載された、3つの方法で処理された牛肉片を挽いて、パティに整形し、包装して、最大6ヶ月間、−20℃で凍結保存する。牛肉パティは、大腸菌O157:H7またはサルモネラ菌、及びAPCについて毎月解析する。
【0132】
実験の第3段階は、最適なレブリン酸及びSDSの濃度、及び処理した牛肉片の曝露時間を確認し、かつ保存条件下における、処理した牛肉片より作成した牛挽肉中の大腸菌O157:H7及びサルモネラ菌の不活性化を確定する。牛肉は、2インチ立方に切られた後、表面に、10000CFUの大腸菌O157:H7またはネズミチフス菌DT104を含む1.0mlの細菌溶液を接種する。牛肉の角片は混合して5℃で3時間保持された後、第1段階及び第2段階で特定したレブリン酸及びSDSの濃度、及び曝露時間で処理される。処理後、牛肉の角片は混合物として挽かれる。挽肉は、包装、冷凍、−20℃で最大3ヶ月保存された後、定期的に大腸菌O157:H7またはサルモネラ菌、及びAPCについて解析する。
【0133】
精肉及び家禽産業における、多くの病原体の介入の減少は、酸処理または抗菌剤化学的処理の使用を含むが、これらの介入の多くは、大腸菌O157:H7またはサルモネラ菌汚染をたった10倍〜100倍減少させる。2007年において、大腸菌O157:H7に汚染した牛挽肉について22回のリコールがあったことは、食肉産業において、より効果的な抗菌剤の介入の機会があることを示す。本明細書に開示するレブリン酸+SDS処理は、農産物および家禽の大腸菌O157:H7及びサルモネラ菌汚染を5logCFU/gを超えて減少させることができ、かつ牛肉に対しても有効であり得る。加えて、処理した精肉の保存期間は、腐敗性細菌の減少により、延長し得る。レブリン酸は、再生可能原料より低コストかつ高収率で生産されるため、この研究において最初の目的として選択された。呼吸吸収(resporitary absorbtion)を通じたレブリン酸のヒトへの適用は、広範囲にわたって試験された結果、好適な物質または添加物としての食品への直接添加に対するGRAS状態を有する(24,FDA 2008,21CFR,172.515)。多目的添加剤用として、ドデシル硫酸ナトリウムはGRAS状態を有する(25,FDA 2007,21CFR,172.822)。SDSは、卵白、果物ジュース、食用油、及びホイップ用または湿潤剤としてのゼラチンを含む、様々な食品への使用が認可されている。
【実施例7】
【0134】
酸及び界面活性剤を含む組成物によるバイオフィルムの処理
【0135】
材料及び方法
【0136】
ステンレス鋼片の調製
ステンレス鋼、塩化ポリビニル、ニトリルゴム、ガラス、超高分子量ポリエチレンを含む、異なる材料からなる切片(4cmx2.5cm)を、1000mlの2%RBS35洗剤濃縮溶液(50℃の水道水1L当たり20mlのRBS35、Pierce社(Rockford,IL))中で攪拌(150rpm)しながら10分間の浸漬で洗浄した後、1000mlの水道水(50℃から)中で攪拌(150rpm)しながら25分間の浸漬ですすぎ洗浄した。室温で1000mlの蒸留水中で攪拌(150rpm)しながら1分間の浸漬を、さらに5回おこなった。切片を乾燥させた。その後切片は個別に包装して、121℃で30分間加圧滅菌した。
【0137】
切片上の腸炎菌のバイオフィルムの形成
切片の表面上に腸炎菌の良好なバイオフィルムを形成する目的のため、100mlのトリプシン大豆ブロス(TSB)、及び1mlの約10CFUの5種腸炎菌混合物がてんかされた接種菌液を含む250mlのフラスコに、切片を個別に入れた。フラスコは37℃で24時間培養した。その後切片は個別に除去され、表面上の余分な液体を吸収するため、ペーパータオルの層上に静置した。
【0138】
形成されたバイオフィルムを有する切片は、0、1、2、5、10、及び20分間の処理のため、その後個別に30mlの処理用の化合物溶液が入ったプレートに移した。処理後、各切片は、9.0mlのPBS及び30個のガラスビーズ(5mm)が入った50mlの遠心チューブ中に入れた。チューブはボルテックスで2分間攪拌して、接着細菌を懸濁した。懸濁した細菌は、腸炎菌の計数のため、0.1%ペプトンで段階的に希釈(1:10)された後、2枚のTSA及びXLDアガープレート上に蒔いた。プレートは37℃で48時間培養され、その後細菌コロニーをカウントした。
【0139】
結果
切片の表面に接着した腸炎菌の研究は、3%レブリン酸+2%SDSを含む処理溶液によって、病原菌は1分以内に除去されたことを明らかにした(表16&17)。
【0140】
さらに、3%レブリン酸+2%SDSの濃度を用いた研究は、これらの溶液を切片の表面に噴霧した場合、バイオフィルムに対する本発明の活性及び効果を延長する、持続性(静置の場合、20分を超える)の抗菌性泡沫の発生を導くことを示した。該泡沫は、処理した表面から、浮力によって、粒子性の物質の除去も助ける。
【0141】
【表17】

【0142】
【表18】

【0143】
【表19】

【0144】
果物の共焦点レーザー走査顕微鏡解析を用いたWang等による研究(Wang, H., H. Liang, Y. Luo, and V. Malyarchuk, 2009. “Effect of surface roughness on retention and removal of Escherichia coli O157:H7 on surfaces of selected fruits”, J. Food Sciences, 74:E8‐E15)は、果物の表面粗さ(Ra)が、表面の溝への細菌の接着を可能にするため、このような細菌を除去することはより難しいことを実証した。Wangらによって試験されたゴールデンデリシャスアップル、ネーブルオレンジ、アボカド、及びカンタロープメロンの4つの果物の間で、ゴールデンデリシャスアップルが最も滑らかな表面を有していた一方で、カンタロープメロンは最も高いRa値を有していた。粗くかつ一様ではない果物の表面は、食品媒介病原菌に避難地(safe harbor)を提供するだけではなく、このような果物は、ペルオキシ酢酸、酸性電解水、または脱イオン水で処理した場合、却ってこれらの粗い表面上への大腸菌の接着率の増加が見られた。本出願人は、本発明のレブリン酸を含む組成物が、バイオフィルムに対して効果を示し、前記組成物は、粗表面の食品より病原体を除去する同時に、食品の官能特性を維持する能力が独自のものであるとも予想する。確かに、多様な粗さを有する葉菜、並びに牛挽肉及び家禽肉(空洞及び溝を提供する全ての生息環境は、細菌の生育の助長に適している)に関する本出願人の前述の結果は、病原体を除去するための、表面が粗い果物の処理用の、本明細書中で開示された抗菌性組成物のこのような予測された効果を支持する。
【実施例8】
【0145】
組成物の炭素菌(Bacillus anthracis Sterne)の胞子の殺菌効率
【0146】
方法
全ての実験群において、等量の炭素菌(Bacillus anthracis Sterne)(34F2)の胞子懸濁液を、250mlフラスコ中の、25mlの試薬A,B,C,D,E及びFに添加した。
試薬の組成物は以下の通りである。
A.3%レブリン酸+2% SDS
B.2%レブリン酸+1% SDS
C.0.5%レブリン酸+0.05% SDS
D.3%レブリン酸
E.2% SDS
F.水(対照としての役割)
【0147】
フラスコはシェーカー中(200rpm)で、37℃で培養した。各時点において、100μlの試料を900μlの水に移した後、ボルテックッスし、その後希釈液の100μlをブレインハートインフュージョンアガープレート上に蒔いた。プレートは37度で一晩培養された後、翌朝(約16時間後)コロニー数をカウントした
【0148】
実験A3:
250μlの胞子懸濁液(5x10の胞子)を、25mlの試薬に添加した。サンプリング時点は、t0(胞子を添加して、試薬と混合後、100μlの懸濁液を計数のため除去した)、t10分、t45分、t90分、及びt180分であった。平均プレートカウント(図18A〜18E)は、3枚のプレートの計数に基づく。エラーバーは、+/−の標準偏差を示す。
【0149】
実験A4、A5:
実験A4において、250μlの胞子懸濁液(5x10個の胞子)を、25mlの試薬に添加した。実験A5において、625μlの胞子懸濁液(1.25x10個の胞子)を、25mlの試薬に添加した。サンプリング時点は、t0分、t1時間、t2時間、t3時間、t4時間、t5時間であった。CFUが植物性の細胞由来か、または胞子由来かを識別するために、各時点でのサンプルは2つの等量のアリコットに分割した。残存する熱耐性胞子の計数の前に、一方のアリコットを熱処理(65℃、30分)して植物性の細胞を殺菌した。もう一方のアリコットは、室温(RT)で蒔いた。平均プレートカウント(それぞれ図2A〜2Eおよび図2A〜2E)は、3枚のプレートの計数に基づく。エラーバーは、+/−の標準偏差を示す。
【0150】
結果
実験A3:
t45分において、フラスコA及びBからのCFUの回復は、対照フラスコFと比較した場合、それぞれ9%(1.7CFU)及び43%(8CFU)であった。t90分およびt180分において、フラスコA及びBから0個のコロニー形成単位(CFU)が回復した。フラスコC及びDの回収物は、時間に渡って減少したが、t180分において16%(試薬C)及び39%(試薬D)を下回らなかった。試薬Eからの回復レベルは減少しなかった(表20)。
【0151】
【表20】

【0152】
実験A4、A5
両方の実験において、熱処理を受けた試料のコロニーカウントは0であったため、0分および1時間におけるフラスコA及びBのCFU回収は、熱感受性細胞が起源である。t2時間、t3時間、及びt4時間のフラスコA及びBからは、CFUは回復しなかった(図2および3)。試薬C及びDの両方の回復%は、時間にわたって減少したが、とりわけ試験試薬A及びBが、最も効果的に殺菌した(表2a、2b、3a、3b)。試薬Eは、対照である水Fよりも効率が良くなかった(図2および3)
【0153】
【表21】

【0154】
【表22】

【0155】
【表23】

【0156】
【表24】

【0157】
結論:
4時間の期間の試薬C及びDが、胞子の生存に負の効果を有する一方で、これらの試薬のうちの1つも、試薬A及びBと同等の胞子殺菌効果がなかった。試薬Eは、対照である水Fと何ら変わりがなかった。
【0158】
生存細胞カウントは、胞子休眠期に強制的に誘導することを示唆するt0分時点において試薬A及びBは熱感受性胞子に極めて迅速に作用することを実証した。毒性でなく、かつ胞子の殺菌耐性を減少させることができる化学殺菌剤は、大きな利点がある可能性がある。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】

【図1E】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図2D】

【図2E】

【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図3D】

【図3E】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的に許容される界面活性剤と、4〜10個の炭素原子の炭素骨格を含む一塩基性有機酸とを含む抗菌性組成物であって、
前記抗菌性組成物中の前記界面活性剤の全濃度は、水の体積あたりの重量で0.05〜3%であり、
前記抗菌性組成物中の前記酸の全濃度が、水の体積あたりの重量で0.3〜3%
である、抗菌性組成物。
【請求項2】
前記一塩基性有機酸は、
【化1】

の一般構造を有し、前記nは、1〜6から選択される整数である、請求項1に記載の抗菌性組成物。
【請求項3】
前記界面活性剤はアニオン性界面活性剤である、請求項2に記載の抗菌性組成物。
【請求項4】
前記界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、塩化セチルピリジニウム、及び塩化ベンザルコニウムからなる群より選択される、請求項2に記載の抗菌性組成物。
【請求項5】
前記界面活性剤は、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルピリジニウム、及び塩化セチルピリジニウムからなる群より選択されるカチオン性第4級アンモニウム化合物である、請求項1に記載の抗菌性組成物。
【請求項6】
シリンダー発泡試験で少なくとも10分の半減期を有する泡沫を形成する、請求項1に記載の抗菌性組成物。
【請求項7】
前記界面活性剤はイオン性界面活性剤であり、かつnは2である、請求項2に記載の抗菌性組成物。
【請求項8】
前記界面活性剤はSDSである、請求項7に記載の抗菌性組成物。
【請求項9】
前記組成物は、実質的に、水の体積あたりの重量で0.05〜1%のSDSと、水の体積あたりの重量で0.3〜3%のレブリン酸とからなる、請求項8に記載の抗菌性組成物。
【請求項10】
前記組成物は、実質的に、水の体積あたりの重量で0.05〜0.5%のSDSと、水の体積あたりの重量で0.3〜2%のレブリン酸とからなる、請求項8に記載の抗菌性組成物。
【請求項11】
細菌に請求項1に記載の組成物を接触させることを含む、細菌を不活性化する方法。
【請求項12】
細菌、動物の体液、排泄物、または動物の組織で汚染された表面を処理する方法であって、前記方法は、前記表面を、水の体積あたりの重量で0.5〜3%の有機酸と、水の体積あたりの重量で0.05%〜2%のイオン性界面活性剤とを含む水性組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項13】
前記有機酸は、4〜10個の炭素原子の炭素骨格を含む一塩基性有機酸である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記有機酸は、下記の一般構造
【化2】

を有し(ここでnは1〜6から選択される整数である)、かつ、前記界面活性剤は、四級アンモニウムカチオン、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム及び塩化セチルピリジニウムからなる群より選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記酸がレブリン酸であり、かつ前記界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムまたはラウリル硫酸ナトリウムである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
産物を処理する方法であって、前記方法は、前記産物を、一般構造
【化3】

を有する有機酸(ここでnは1〜6から選択される整数である)と、アニオン性界面活性剤とを含む組成物と接触させることを含み、前記組成物中に存在する前記酸の全濃度は、水の体積あたりの重量で0.3〜1%であり、前記組成物中に存在する前記界面活性剤の全濃度は、水の体積あたりの重量で0.05%〜0.5%である、方法。
【請求項17】
前記酸はレブリン酸であり、かつ前記界面活性剤はSDSである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記産物に、前記組成物が噴霧される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記農産物が、前記組成物中に1〜5分間浸漬される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
卵を処理する方法であって、前記方法は、前記卵を、水の体積あたりの重量で0.5〜3%の有機酸と、水の体積あたりの重量で0.05%〜2%のイオン性界面活性剤とを含む水性組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項21】
前記卵に、前記組成物が噴霧される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記卵が、前記組成物中に1〜5分間浸漬される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
固体表面上のバイオフィルムを除去する方法であって、前記方法は、前記バイオフィルムを、
4〜10個の炭素原子の炭素骨格を含む一塩基性有機酸を水の体積あたりの重量で0.5〜3%、及び
イオン性界面活性剤を水の体積あたりの重量で0.05%〜2%含む
水性組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項24】
前記有機酸が、下記の一般構造
【化4】

を有し(ここでnは1〜6から選択される整数である)、かつ前記界面活性剤は、第4級アンモニウムカチオン、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及び塩化セチルピリジニウムからなる群より選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記酸はレブリン酸であり、かつ前記界面活性剤はドデシル硫酸ナトリウムまたはラウリル硫酸ナトリウムである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
種子を除染する方法であって、前記方法は、前記種子を、4〜10個の炭素原子の炭素骨格を含む一塩基性有機酸を水の体積あたりの重量で0.5〜3%、及びイオン性界面活性剤を水の体積あたりの重量で0.05%〜2%含む水性組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項27】
前記有機酸が、下記の一般構造
【化5】

を有し(ここでnは1〜6から選択される整数である)、かつ前記界面活性剤は、第4級アンモニウムカチオン、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム及び塩化セチルピリジニウムからなる群より選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記酸がレブリン酸であり、かつ前記界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムまたはラウリル硫酸ナトリウムである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
抗菌性品質の加工食品を提供する方法であって、前記方法は、請求項7の組成物と、生の食品原料とを混合して混合物を形成することを含み、その後前記混合物を加工して前記加工食品を形成することを含む、方法。
【請求項30】
前記請求項7に記載の組成物は、未加工の食肉と混合し、その後前記混合物を挽くことを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記請求項27に記載の組成物を、シェルブドナッツ(shelved nut)と混合して混合物を形成し、その後前記混合物を、ナッツバターの調製のために粉砕することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記請求項7に記載の組成物は、食品と共に包装された溶液の添加物として使用される、請求項29に記載の方法。

【公表番号】特表2011−524341(P2011−524341A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510699(P2011−510699)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/044815
【国際公開番号】WO2009/151912
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(500182460)ユニバーシティ・オブ・ジョージア・リサーチ・ファウンデイション・インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】