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抗菌性繊維、抗菌性フィルタおよび製造方法
説明

抗菌性繊維、抗菌性フィルタおよび製造方法

【課題】空中に浮遊するウイルスを不活化する抗菌性繊維類および抗菌性フィルタを簡易な構成とし、簡易に製造する。
【解決手段】水酸化カルシウム1を主成分とし粒子径がほぼ均一な抗ウイルス性の微細粒子を含有する樹脂性塗料や印刷インキを、繊維類を構成する繊維の表面に塗布3あるいは印刷4してなる。繊維類を構成する繊維2は表面に樹脂性塗料を塗布あるいは印刷する構成であるため、構成および製造を簡易化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルスを不活化する抗菌性繊維、抗菌性繊維類を用いた抗菌性フィルタ、およびこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抗ウイルス機能を有する金属成分として、例えば、銀、銅、亜鉛、鉛、錫、ビスマス、カドミウム、クロム、水銀、ニッケル、コバルト等が知られ、人体に対する安全性の観点から銀、銅、亜鉛から選択される抗ウイルス金属成分が好ましいことが知られている(特許文献1、2参照)。
【0003】
抗ウイルス金属成分が皮膚と接触した際にアレルギー症状が引き起こされることが指摘され、金属に代えて二酸化チタンを使用した抗菌性繊維が提案され、二酸化チタンを水酸アパタイトの被膜に担持させるものが提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
また、建材向け用途における塗膜耐久性、塗膜外観等、塗膜の要求物性および塗料として貯蔵安定性、現場塗装作業適性を備え、かつ、抗ウイルス特性を有する塗膜を形成できるとして、抗ウイルス性成分と塗料樹脂成分とを必須成分として含有し、抗ウイルス性成分としてカルシウムおよび/またはマグネシウムの酸化物/または水酸化物を含むものが提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−221304号公報(段落0008)
【特許文献2】特開平11−256472号公報(段落0002、0006)
【特許文献3】特開2007−106876号公報(段落0002―0010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インフルエンザウイルス等のウイルスの空中感染を防止するために、マスクやエアコン等のフィルタによって、空中に浮遊する飛沫や埃を除去する方法が一般に行われている。これらフィルタによる処理は、ウイルスを機械的に捕集するものであって、捕集されたウイルスはフィルタ内に残存し生息したままである。
【0007】
フィルタに抗菌剤を塗布することも行われているが、抗菌効果が低いため大腸菌群等の菌サイズが大きく比較的に弱い細菌に対してはある程度の抗菌効果が得られるが、菌サイズが小さなウイルスに対しては抗菌効果が得にくく、十分な有効性は確認されていない。
【0008】
抗菌効果が得にくい一要因として、菌サイズが小さなウイルスに対して抗菌剤の分布が十分に高い密度でないことが考えられる。
【0009】
前記した特許文献2で提案される抗菌性繊維類は、繊維の表面に水酸アパタイトの核を形成し、その後、繊維を飽和乃至過飽和濃度の水酸アパタイト成分を含む水溶液に浸漬して水酸アパタイトを成長させ、繊維の表面に水酸アパタイトからなす皮膜が形成された水酸アパタイト皮膜付き繊維を得、次いで、該水酸アパタイト皮膜付き繊維を、二酸化チタン粒子の水分散液に浸漬し、該二酸化チタン粒子を皮膜に担持させることによって製造するものである。
【0010】
上記した抗菌性繊維類は、溶液中においてリン酸基と水酸化カルシウムとの反応によって水酸アパタイトを生成する工程等の多段の製造工程を要するため、製造時間が長くなるという問題がある。
【0011】
また、前記した特許文献3で提案される抗ウイルス性塗料組成物は、抗ウイルス性成分と塗料樹脂成分とを必須成分するものであるが、この塗料組成物は天井、壁材、建具、家具、プラスチック部材、階段、床材等の建材向けを用途とし、その目的とするところは、塗膜耐久性、塗膜外観等の、塗膜の要求物性および塗料として貯蔵安定性、現場塗装作業適性であり、空中に浮遊するウイルスを捕集して不活化して空中感染を防止するものではない。
【0012】
そこで、本発明は前記した従来の問題点を解決し、空中に浮遊するウイルスを不活化する抗菌性繊維類および抗菌性フィルタを簡易な構成とし、簡易に製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な抗ウイルス性の微細粒子と樹脂性塗料や印刷インキとを備えることによって、空中に浮遊するウイルスの捕集、不活化を簡易な構成と簡易な製造を実現するものであり、抗菌性繊維類、抗菌性フィルタ、および製造方法の各態様を有する。
【0014】
本発明の抗菌性繊維類は、水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な抗ウイルス性の微細粒子を含有する樹脂性塗料や印刷インキを、繊維類を構成する繊維の表面に塗布あるいは印刷してなる。繊維類を構成する繊維は表面に樹脂性塗料を塗布あるいは印刷する構成であるため、構成および製造を簡易化することができる。
【0015】
繊維類は、織布、不織布、編物、フェルト等の繊維から成る布状体であり、天然繊維あるいは合成繊維の何れとすることもできる。
【0016】
繊維の表面上に塗布される樹脂性塗料の塗布膜又は印刷層の膜厚は、微細粒子の平均粒子径よりも薄くすることで、微細粒子の表面の少なくとも一部を塗布膜又は印刷層から外気側に露出させた構成とすることができ、空中に浮遊するウイルスと接触させ不活化させることができる。
【0017】
樹脂性塗料は、抗ウイルス性の微細粒子との密着性が良好なアクリル樹脂系又は熱硬化性樹脂系の塗料や印刷インキを用いることができる。微細粒子との密着性が高い樹脂性塗料や印刷インキを用いることによって微細粒子の脱落を防ぎ、抗菌剤による皮膚粘膜の炎症障害を防ぐことができる。
【0018】
本発明の抗菌性繊維類の製造方法の一形態は、水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な抗ウイルス性の微細粒子を樹脂性塗料又は印刷インキに攪拌して混在させ、繊維類を構成する繊維の表面に樹脂性塗料を塗布し、あるいは印刷インキを印刷し、樹脂性塗料や印刷インキによって微細粒子を繊維に付着させる。
【0019】
また、本発明の抗菌性繊維類の製造方法の別形態は、水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な抗ウイルス性の微細粒子を樹脂性塗料や印刷インキに攪拌して混在させ、繊維類を構成する繊維を樹脂性塗料や印刷インキに浸漬し、微細粒子を樹脂性塗料によって繊維に付着させる。
【0020】
抗ウイルス性微細粒子の繊維への付着は、樹脂性塗料の塗布や印刷インキの印刷による形態、又は樹脂性塗料や印刷インキへの浸漬による形態とすることができ、何れも簡易に行うことができる形態である。
【0021】
樹脂性塗料又は印刷インキの繊維への付着量を、微細粒子の平均粒子径に基づいて制御する。これによって、微細粒子の表面の少なくとも一部を塗布膜又は印刷層から外気側に露出させることができる。
【0022】
本発明の抗菌性フィルタは、基材と、基材の表面に塗布される樹脂性塗料の塗装膜又は印刷される印刷インキの印刷層と、水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な抗ウイルス性の微細粒子とを備える。抗ウイルス性の微細粒子は、塗布膜中又は印刷層中にほぼ均一に分散して保持され、微細粒子の外表面の少なくとも一部は塗布膜又は印刷層から露出する構成とする。これによって構成および製造を簡易化することができる。
【0023】
抗菌性フィルタが備える基材は、織布、不織布、編物、フェルト、連孔性の発泡体、多孔質フィルム、多孔質中空糸を用いることができる。
【0024】
本発明の抗菌性フィルタの製造方法の一形態は、水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な抗ウイルス性の微細粒子を樹脂性塗料又は印刷インキに攪拌して混在させ、基材の表面に微細粒子を混在させた樹脂性塗料を塗布又は印刷インキを印刷し、この塗布又は印刷によって樹脂性塗料又は印刷インキによって微細粒子を基材に付着させる。
【0025】
また、本発明の抗菌性フィルタの製造方法の別形態は、水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な抗ウイルス性の微細粒子を樹脂性塗料又は印刷インキに攪拌して混在させ、微細粒子を混在させた樹脂性塗料又は印刷インキに基材を浸漬し、樹脂性塗料又は印刷インキによって微細粒子を基材に付着させる。
【0026】
抗ウイルス性微細粒子の基材への付着は、樹脂性塗料の塗布や印刷インキの印刷による形態、又は樹脂性塗料や印刷インキへの浸漬による形態とすることができ、何れも簡易に行うことができる形態である。
【0027】
抗菌性繊維類および抗菌性フィルタの製造において、基材に微細粒子を混在させた印刷インキを印刷することによってウイルス性の微細粒子を付着させる場合には、印刷インキの使用量を低減することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明の抗菌性繊維類および抗菌性フィルタによれば簡易な構成とすることができる。また、本発明の抗菌性繊維類の製造方法および抗菌性フィルタの製造方法によれば簡易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の抗菌性繊維類の一形態を説明するための図である。
【図2】本発明の抗菌性フィルタの一形態を説明するための図である。
【図3】本発明の抗菌性フィルタの別の形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
本発明の抗菌性繊維類および抗菌性フィルタは、抗菌剤として、水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な抗ウイルス性の微細粒子を含有し、この抗ウイルス性の微細粒子を樹脂性塗料又は印刷インキを塗布又は印刷することによって簡易に繊維類およびフィルタを構成することができる。
【0031】
[抗菌性繊維類の態様]
はじめに、本発明の抗菌性繊維類の形態について図1を用いて説明する。図1は本発明の抗菌性繊維類の一形態を説明するための図である。
【0032】
抗菌性繊維類11は複数の繊維2から構成され、この繊維2の外表面に塗布膜3又は印刷層4が施され、さらに、この塗布膜3又は印刷層4は抗ウイルス性の微細粒子1を保持する。抗ウイルス性の微細粒子1は、水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な微細粒子である。粒子径は例えば、10μm程度である。
【0033】
繊維類は、織布、不織布、編物、フェルト等の繊維から成る布状体であり、天然繊維あるいは合成繊維の何れとすることもできる。図1は抗菌性繊維類11を構成する繊維2の一部を示している。
【0034】
繊維2の外表面には、樹脂性塗料を塗布して成る塗布膜3、あるいは印刷インキを印刷して成る印刷層4が形成され、この塗布膜3又は印刷層4には抗ウイルス性の微細粒子1が保持されている。抗ウイルス性の微細粒子1はほぼ均一な粒子径を有し、塗布膜3又は印刷層4上に分散して設けられる。抗ウイルス性の微細粒子1は、外表面の少なくとも一部が外部に露出するように構成される。塗布膜3又は印刷層4の厚さを、抗ウイルス性の微細粒子1の粒子径より薄くすることによって、抗ウイルス性の微細粒子1の外表面の少なくとも一部を露出させることができる。
【0035】
したがって、塗布膜3又は印刷層4の厚さは抗ウイルス性の微細粒子1の粒子径に基づいて定めることができる。ここで、塗布膜3又は印刷層4の厚さを定める抗ウイルス性の微細粒子1の粒子径は、平均粒子径を用いる他に、使用される微細粒子の最小粒子径を用いることができる。
【0036】
なお、抗ウイルス性微細粒子1の最小粒子径に基づいて塗布膜3又は印刷層4の厚さを定める場合には、抗ウイルス性微細粒子を保持する保持力が低下するおそれがあるため、最小の厚さは最小限必要な保持力を得るために必要となる塗布膜3又は印刷層4の厚さよりも厚く設定する必要がある。
【0037】
繊維2の表面上に塗布される塗布膜3又は印刷層4の膜厚は、微細粒子1の粒子径よりも薄くすることで、微細粒子1の表面の少なくとも一部を塗布膜3又は印刷層4から外気側に露出させることができ、これによって、空中に浮遊するウイルスと接触させ不活化させることができる。
【0038】
次に、本発明の抗菌性繊維類を製造する態様について説明する。
抗菌性繊維類の製造方法の一形態は、水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な抗ウイルス性の微細粒子を樹脂性塗料あるいは印刷インキに攪拌して混在させ、繊維類を構成する繊維の表面に樹脂性塗料を塗布する他、印刷インキを印刷する。この塗布あるいは印刷によって、繊維の外表面に樹脂性塗料あるいは印刷インキが施される。樹脂性塗料あるいは印刷インキには抗ウイルス性の微細粒子が混在しているため、抗ウイルス性の微細粒子は樹脂性塗料や印刷インキを介在して繊維に付着する。
【0039】
また、本発明の抗菌性繊維類の製造方法の別形態は、水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な抗ウイルス性の微細粒子を樹脂性塗料や印刷インキに攪拌して混在させ、繊維類を構成する繊維を樹脂性塗料や印刷インキに浸漬する。この浸漬によって、繊維の外表面に樹脂性塗料あるいは印刷インキが施される。樹脂性塗料あるいは印刷インキには抗ウイルス性の微細粒子が混在しているため、抗ウイルス性の微細粒子は樹脂性塗料や印刷インキを介在して繊維に付着する。
【0040】
上記した本発明の抗菌性繊維類の製造方法の各形態において、塗布膜や印刷層の厚さを抗ウイルス性の微細粒子の径よりも薄くすることによって、抗ウイルス性の微細粒子の外表面の少なくとも一部は外部に露出させることができる。
【0041】
したがって、樹脂性塗料を塗布して塗布膜を形成する際、あるいは印刷インキを印刷して印刷層を形成する際に、塗布膜や印刷層の厚さを抗ウイルス性の微細粒子の径に応じて制御することによって、抗ウイルス性の微細粒子の外表面の少なくとも一部を塗布膜や印刷層露出させることができる。
【0042】
また、抗ウイルス性の微細粒子が塗布膜や印刷層内で分散される密度は任意とすることができるが、高密度で分散させることによって抗ウイルス性の効果を高めることができる。
【0043】
[抗菌性フィルタの態様]
次に、本発明の抗菌性フィルタの形態について図2,3を用いて説明する。図2は本発明の抗菌性フィルタの一形態を説明するための図であり、図3は本発明の抗菌性フィルタの別の形態を説明するための図である。
【0044】
抗菌性フィルタ12,13は基材5を備え、この基材5の外表面に塗布膜3又は印刷層4が施され、さらに、この塗布膜3又は印刷層4は抗ウイルス性の微細粒子1を保持する。抗ウイルス性の微細粒子1は、水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な微細粒子である。粒子径は例えば、10μm程度である。
【0045】
微細粒子1は、塗布膜3中又は印刷層4中にほぼ均一に分散して保持され、この微細粒子1の外表面の少なくとも一部が塗布膜3又は印刷層4から露出する。
【0046】
基材5は、織布、不織布、編物、フェルト、連孔性の発泡体、フィルム、多孔質フィルム、多孔質中空糸等を用いることができる。
【0047】
図2は基材5が多孔質フィルム等の平面状の部材である例を示し、図3は基材5が多孔質中空糸等の筒状の部材である例を示している。
【0048】
基材5は、表裏の間で連通箇所を有する構成であり、この連通箇所を通して気体あるいは液体を流通させ、基材5の表面に付着した抗ウイルス性の微細粒子1によってウイルスを捕獲し不活化する。
【0049】
基材5の表面には、樹脂性塗料を塗布して成る塗布膜3、あるいは印刷インキを印刷して成る印刷層4が形成され、この塗布膜3又は印刷層4には抗ウイルス性の微細粒子1が保持されている。抗ウイルス性の微細粒子1は、抗菌性繊維類の例と同様に、ほぼ均一な粒子径を有し、塗布膜3又は印刷層4上に分散して設けられる。抗ウイルス性の微細粒子1は、外表面の少なくとも一部が外部に露出するように構成される。塗布膜3又は印刷層4の厚さを、抗ウイルス性の微細粒子1の粒子径より薄くすることによって、抗ウイルス性の微細粒子1の外表面の少なくとも一部を露出させることができる。
【0050】
したがって、塗布膜3又は印刷層4の厚さは抗ウイルス性の微細粒子1の粒子径に基づいて定めることができる。ここで、塗布膜3又は印刷層4の厚さを定める抗ウイルス性の微細粒子1の粒子径は、平均粒子径を用いる他に、使用される微細粒子の最小粒子径を用いることができる。
【0051】
なお、抗ウイルス性微細粒子1の最小粒子径に基づいて塗布膜3又は印刷層4の厚さを定める場合には、抗ウイルス性微細粒子を保持する保持力が低下するおそれがあるため、最小の厚さは最小限必要な保持力を得るために必要となる塗布膜3又は印刷層4の厚さよりも厚く設定する必要がある。
【0052】
基材5の表面上に塗布される塗布膜3又は印刷層4の膜厚は、微細粒子1の粒子径よりも薄くすることで、微細粒子1の表面の少なくとも一部を塗布膜3又は印刷層4から外気側に露出させることができ、これによって、空中に浮遊するウイルスと接触させ不活化させることができる。
【0053】
次に、本発明の抗菌性フィルタを製造する態様について説明する。
抗菌性フィルタの製造方法の一形態は、水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な抗ウイルス性の微細粒子を樹脂性塗料あるいは印刷インキに攪拌して混在させ、基材の表面に樹脂性塗料を塗布する他、印刷インキを印刷する。この塗布あるいは印刷によって、基材の表面に樹脂性塗料あるいは印刷インキが施される。樹脂性塗料あるいは印刷インキには抗ウイルス性の微細粒子が混在しているため、抗ウイルス性の微細粒子は樹脂性塗料や印刷インキを介在して基材に付着する。
【0054】
また、本発明の抗菌性フィルタの製造方法の別形態は、水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な抗ウイルス性の微細粒子を樹脂性塗料や印刷インキに攪拌して混在させ、基材を樹脂性塗料や印刷インキに浸漬する。この浸漬によって、基材の表面に樹脂性塗料あるいは印刷インキが施される。樹脂性塗料あるいは印刷インキには抗ウイルス性の微細粒子が混在しているため、抗ウイルス性の微細粒子は樹脂性塗料や印刷インキを介在して基材に付着する。
【0055】
上記した本発明の抗菌性フィルタの製造方法の各形態において、塗布膜や印刷層の厚さを抗ウイルス性の微細粒子の径よりも薄くすることによって、抗ウイルス性の微細粒子の外表面の少なくとも一部は外部に露出させることができる。
【0056】
したがって、樹脂性塗料を塗布して塗布膜を形成する際、あるいは印刷インキを印刷して印刷層を形成する際に、塗布膜や印刷層の厚さを抗ウイルス性の微細粒子の径に応じて制御することによって、抗ウイルス性の微細粒子の表面の少なくとも一部を塗布膜や印刷層から露出させることができる。
【0057】
また、抗ウイルス性の微細粒子が塗布膜や印刷層内で分散される密度は任意とすることができるが、高密度で分散させることによって抗ウイルス性の効果を高めることができる。
【0058】
[抗ウイルス性の微細粒子]
以下、本発明の抗菌性繊維類および抗菌性フィルタに用いる抗ウイルス性の微細粒子の一例について説明する。
【0059】
本発明に用いる抗ウイルス性の微細粒子は水酸化カルシウムを主成分するものである。水酸化カルシウムは、当業者に既知の方法によって得ることができる。例えば、炭酸カルシウムを焼成して酸化カルシウムとした後、水和させることによって得ることができる。
【0060】
炭酸カルシウム源は、動物性由来のカルシウムを使用することができ、例えば、ホタテ貝殻、アワビ貝殻、サザエ貝殻、ホッキ貝殻、ウニ貝殻の天然あるいは養殖の貝類の他、珊瑚殻等を原料に使用することができる。これらの内、貝殻組成が均一である点および供給量が多いなどの点から、ホタテ貝殻を使用することが好適である。
【0061】
これらの貝殻は、粉砕して殻等を原料に使用することができる。これらのうち、貝殻組成が均一である点及び供給量が多いなどの点から、ホタテ貝殻を使用することが好ましい。
【0062】
これらの貝殻は、粉砕して貝殻粉末(あるいは粒状物)とし、800℃〜1500℃で、より好ましくは850℃〜1200℃で、例えば炭酸ガスを導入しながら焼成する。焼成は空気中で行ってもよいし、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行なってもよい。焼成時間は一焼成温度等によって適宜設定されるが、通常、雰囲気温度が所定の焼成温度に到達した後、10〜120分、好ましくは15〜90分である。こうした焼成処理により、不要な有機物を熱分解によって除去する。
【0063】
焼成後、水和させて水酸化カルシウム主体の微細粒子を得る。焼成又は水和の過程で、必要に応じてさらに粉砕を行い、最終的には平均粒径0.1〜500μm、より好ましくは0.5〜100μmの微粉末とする。
【0064】
本発明に使用する樹脂性塗料や印刷インキに対する抗ウイルス性の微細粒子の配合量は、樹脂性塗料または印刷インキ100質量部に対して0.1〜25質量部であり、0.5〜3質量部がより好ましい。0.1質量部未満であると所望の抗菌効果が得られず、また25質量部を超えて配合することは、それ以上の量を配合しなくとも十分な抗菌効果を得られるので経済的でない。
【実施例1】
【0065】
以下、本発明の抗菌性繊維類によるウイルスの不活化試験について示す。この試験の概要は、検体である本発明の抗菌性繊維類にインフルエンザウイルスを浮遊液を滴下し、室温で6時間および24時間保存した後、ウイルス感染価を測定するものであり、検体による細胞変性効果を検討するものである。なお、あらかじめ予備試験を行って、検体による細胞変性効果について検討した。
【0066】
試験方法は以下の通りである。
(1) 試験ウイルス
インフルエンザウイルスA型(H1N1)
(2) 使用細胞
MDCK(NBL-2)細胞ATCC CCL-34株[大日本製薬株式会社]
(3) 使用培地
細胞増殖培地
イーグルMEM培地「ニッスイ」[日水製薬株式会社]に牛胎仔血清10%を加えたものを使用した。
細胞維持培地
以下の組成の培地を使用した。
イーグルMEM培地「ニッスイ」 1,000ml
10%NaHCO3 14ml
L-グルタミン(30g/l) 9.8 ml
100×MEM用ビタミン液 30ml
10%アルブミン 20ml
0.25%トリプシン 20ml
(4)ウイルス浮遊液の調整
細胞の培養
細胞増殖培地を用い、使用細胞を組織培養用フラスコ内に単層培養した。
ウイルスの接種
単層培養後にフラスコ内から細胞増殖培地を除き、試験ウイルスを接種した。次に、細胞維持培地を加え37℃±1℃の炭酸ガスインキュベータ(CO2濃度:5%)内で1〜5日間培養した。
ウイルス浮遊液の調整
培養後、倒立位相差顕微鏡を用いて細胞の形態を観察し、細胞に形態変化(細胞変性効果)が起こっていることを確認した。次に、培養液に遠心分離(3,000r/min,10分間)し、得られた上澄み液をウイルス浮遊液とした。
(5)試料の調整
約3cm×3cmの大きさに切断した検体を試料とした。
(6)試験操作
試料の依頼者指定面にウイルス浮遊液0.2mlを滴下し、室温にて保存した。
(7)ウイルスの洗い出し
保存6および24時間後、試料のウイルス浮遊液を細胞維持培地2mlで洗い出した。
(8)ウイルス感染価の測定
細胞増殖培地を用い、使用細胞を組織培養用マイクロプレート(96穴)内で単層培養した後、細胞増殖培地を除き細胞維持培地を0.1mlずつ加えた。次に、試料洗い出し液およびその希釈液0.1mlを4穴ずつ接種し、37℃±1℃の炭酸ガスインキュベータ(CO2濃度:5%)内で4〜7日間培養した。培養後、倒立位相差顕微鏡を用いて細胞に形態変化(細胞変性効果)の有無を観察し、Reed-Muench法により50%組織培養感染量(TCID50)を算出して洗い出し液1ml当たりのウイルス感染価を換算した。
【0067】
試験結果を、以下の表1に示す。
【表1】

【0068】
なお、試料の洗い出し液そのものについて、検体による細胞変性効果が認められないことを予備試験により確認した。
【0069】
上記試験は、財団法人日本食品分析センターによる試験報告 第208101516-001号(2008年(平成20年)11月14日)によるものである。
【0070】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨に基づいて種々変形することが可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の抗菌性繊維、抗菌性フィルタは、マスクやエアコンのフィルタに適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 抗ウイルス性微細粒子
2 繊維
3 塗布膜
4 印刷層
5 基材
11 抗菌性繊維類
12,13 抗菌性フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な抗ウイルス性の微細粒子を含有する樹脂性塗料又は印刷インキを、繊維類を構成する繊維の表面に塗布又は印刷してなることを特徴とする、抗菌性繊維類。
【請求項2】
前記繊維の表面上に塗布される前記樹脂性塗料の塗布膜あるいは印刷インキの印刷層の膜厚は、前記微細粒子の平均粒子径よりも薄いことを特徴とする、請求項1に記載の抗菌性繊維類。
【請求項3】
前記樹脂性塗料又は印刷インキは、アクリル樹脂系又は熱硬化性樹脂系の塗料又は印刷インキであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の抗菌性繊維類。
【請求項4】
水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な抗ウイルス性の微細粒子を樹脂性塗料又は印刷インキに攪拌して混在させ、
繊維類を構成する繊維の表面に前記樹脂性塗料を塗布又は印刷インキを印刷し、
前記樹脂性塗料又は印刷インキによって前記微細粒子を前記繊維に付着させて抗菌性繊維類を製造することを特徴とする抗菌性繊維類の製造方法。
【請求項5】
水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な抗ウイルス性の微細粒子を樹脂性塗料又は印刷インキに攪拌して混在させ、
前記微細粒子を混在させた前記樹脂性塗料又は印刷インキに前記繊維類を構成する繊維を浸漬し、
前記樹脂性塗料又は印刷インキによって前記微細粒子を前記繊維に付着させて抗菌性繊維類を製造することを特徴とする抗菌性繊維類の製造方法。
【請求項6】
前記樹脂性塗料又は前記印刷インキの繊維への付着量を、前記微細粒子の平均粒子径に基づいて制御することを特徴とする、請求項4又は5に記載の抗菌性繊維類の製造方法。
【請求項7】
基材と、
前記基材の表面に塗布される樹脂性塗料の塗装膜又は印刷される印刷インキの印刷層と、
水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な抗ウイルス性の微細粒子とを備え、
前記微細粒子は、前記塗布膜中又は印刷層中にほぼ均一に分散して保持され、当該微細粒子の表面の少なくとも一部が塗布膜又は印刷層から露出することを特徴とする、抗菌性フィルタ。
【請求項8】
前記基材は、織布、不織布、編物、フェルト、発泡体、多孔質フィルム、多孔質中空糸の何れか一つであることを特徴とする、抗菌性フィルタ。
【請求項9】
水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な抗ウイルス性の微細粒子を樹脂性塗料又は印刷インキに攪拌して混在させ、
基材の表面に前記微細粒子を混在させた樹脂性塗料を塗布又は印刷インキを印刷し、
前記樹脂性塗料又は印刷インキによって前記微細粒子を前記基材に付着させて抗菌性フィルタを製造することを特徴とする抗菌性フィルタの製造方法。
【請求項10】
水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な抗ウイルス性の微細粒子を樹脂性塗料又は印刷インキに攪拌して混在させ、
前記微細粒子を混在させた樹脂性塗料又は印刷インキに基材を浸漬し、
前記樹脂性塗料又は印刷インキによって前記微細粒子を前記基材に付着させて抗菌性フィルタを製造することを特徴とする抗菌性フィルタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−209490(P2010−209490A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56505(P2009−56505)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年11月20日 インターネットアドレス「http://clear‐office.com」に発表
【出願人】(509069973)クリア・オフィス株式会社 (6)
【出願人】(508245035)
【Fターム(参考)】