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抗菌性製剤の輸液を調製するための医薬組成物、その製造方法
説明

抗菌性製剤の輸液を調製するための医薬組成物、その製造方法

【課題】本発明は、黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌およびカンジダ・アルビカンスによって引き起こされた試験動物の治療し難い敗血症を治療する際に高い効率を有し、さらに、悪性の接触伝染性疾患および炎症性疾患を治療する際に、臨床的に有意に治療可能性を高める作用がある、抗菌性製剤の輸液を調製するための医薬組成物を提供する。
【解決手段】ナノ構造を有するコロイダルシリカの微細分散した粉末と、塩化ナトリウムまたはデキストロースとを特定の質量比で含む組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌性薬剤の注射製剤の溶液を調製するのに適した医薬製剤、それらの調剤技術に属するものであり、これらは、医学および獣医学の分野で様々な病原の接触伝染性疾患および炎症性疾を治療するために使用することもできるし、加えて、薬剤および最終的な剤形を生産するための医薬産業において使用することもできる。
【背景技術】
【0002】
従来、ほとんどの殺菌性(抗菌性および抗真菌性)製剤を静脈注射や輸液用の溶液に調製する臨床作業において数十年もの間、最もよく用いられる成分は注射用水、0.9%塩化ナトリウム溶液、5%デキストロース(グルコース)溶液であり、それよりも低い頻度であるが0.45%塩化ナトリウム溶液、2%デキストロース溶液、10%デキストロース溶液、リンゲル液、乳酸リンゲル液、静脈内注入用の塩化カリウムおよび塩化ナトリウムの溶液なども用いられ、これらの成分はそれ自身で殺菌作用を持つことはなく、抗菌性薬剤の治療効率を高める作用も有さない[非特許文献1]。
【0003】
この事実と、現時点で臨床的に有意な様々な微生物株が多くの抗菌性製剤に対して程度の差はあるが迅速な耐性を獲得することを考慮した結果、現代の実験薬理学および実践的な医療において、接触伝染性疾患および炎症性疾患を治療するのに不可欠な様々な抗菌剤および抗真菌剤の抗菌活性および臨床効率の向上を目的とした新しい独創的なアプローチを開発することが急務である。
【0004】
過去数年にわたり、抗生物質製剤の細胞内濃度の増加、従ってそれらの殺菌性の強化の目的で(これは、大部分がこれらの細胞中における潜伏期が長い微生物、例えばクラミジア属、マイコプラズマ属、マイコバクテリウム属などに対して重要なものである)、加えて、マクロファージの抗菌活性を刺激し、さらに感染組織にそれらを追加補充する目的で、有機体(マクロファージ)を感染から保護するための様々な抗生物質を免疫細胞に直接送達するためのキャリアーとして様々なナノ粒子を使用することが、新しい製薬技術および新しい効率的な抗生物質療法を開発するにあたり極めて有望な方針であることが見出されている[非特許文献2〜9]。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Kucers’ The use of antibiotics// By M.L.Grauson, S.M.Crowe, J.S.McCarthy et al. 6th ed, 2 vols, 3000 pp. London, UK, Hodder Education/ASM Press, 2010
【非特許文献2】Abeylath S.C., Turos E. Drug delivery approaches to overcome bacterial resistance to β-lactam antibiotics // Expert Opinion on Drug Delivery. - 2008. - Vol.5. - P.931-949
【非特許文献3】Bastus N.G., Sanchez-Tillo E., Pujals S. et al. Peptides conjugated to gold nanoparticles induce macrophage activation // Molecular Immunology. - 2009. - Vol.46. - P.743-748
【非特許文献4】Pinto-Alphandary H., Andremont A., Couvreur P. Targeted delivery of antibiotics using liposomes and nanoparticles: research and applications // International Journal of Antimicrobial Agents. - 2000. - Vol.13. - P.155-168
【非特許文献5】Ulbrich W., Lamprech A. Targeted drug-delivery approaches by nanoparticulate carriers in the therapy of inflammatory diseases // Journal Royal Society Interface. - 2010. - Vol.7, Suppl. 1. - P.S55-S66
【非特許文献6】Rosemary M.J., MacLaren I., Pradeep T. Investigation of antibacterial properties of ciprofloxacin@SiO2. // Langmuir. - 2006. - Vol.22. - P.10125-10129
【非特許文献7】Rai A., Prabhune A., Perry C.C. Antibiotic mediated synthesis of gold nanoparticles with potent antimicrobial activity and their application in antimicrobial coatings // Journal of Materials Chemistry. - 2010. - Vol.20. - P.6789-6798
【非特許文献8】Zolnik B.S., Gonzalez-Fernandez A., Sadrieh N., Dobrovolskaia V. Minireview: Nanoparticles and the immune system // Endocrinology. - 2010. - Vol.151. - P.458-465
【非特許文献9】Pinto-Alphandary H., Balland O., Laurent M. et al. Intracellular visualization of ampicillin-loaded nanoparticles in peritoneal macrophages infected in vitro with Salmonella typhimurium // Pharmaceutical Research. - 1994. - Vol.11. - P.38-46
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来の溶媒(本発明における比較例として試験されたものは、注射用水、0.9%塩化ナトリウム溶液、5%デキストロース溶液、リンゲル液などである)と比べて抗菌性および抗真菌性製剤の治療効率に対して増強作用を有する塩化ナトリウム、デキストロースおよびコロイダルシリカの使用に基づいて、注射可能な形態の微粉末状抗菌性製剤から輸液を調製するための医薬組成物およびその製造方法を創作することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の具体化により達成される技術的な成果は、コロイダルシリカのナノ粒子および微粒子の使用により非経口抗菌性および抗真菌性製剤の治療効率を強化することである。コロイダルシリカのナノ粒子および微粒子は、生体適合性、生体内分布、生物分解および低い毒性といった薬理学的に有利な特性において様々な性質を有しており、このようにナノ粒子および微粒子が非経口投与されると、哺乳動物の肺、肝臓、腎臓、脾臓、リンパ節、心臓、皮膚、膀胱およびその他の臓器中の炎症を起こした組織で高濃度で存在するマクロファージに抗生物質を細胞内送達するためのキャリアーとして役立つ可能性があり(すなわち、その細胞内レベルで、さらに体内の感染した組織で抗生物質濃度が顕著に高められる)、さらに、これらの免疫系細胞の抗菌活性を(具体的には酸化窒素の生成の刺激や食細胞活動プロセスの活性化によって)顕著に高めることにより、抗菌剤および抗真菌剤の治療効果を有意に向上させることができる[10、11、12、13、14、15、16、17]。
【0008】
この問題は、本発明に係るグループにより抗菌性および抗真菌性製剤の輸液を調製するための医薬組成物液を形成することで解決される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第一の形態
滅菌注射用水、0.45%塩化ナトリウム溶液、および0.9%塩化ナトリウム溶液に溶解可能な抗菌性製剤の輸液を調製するための医薬組成物であって、本医薬組成物は、粉末形態であり、塩化ナトリウムとコロイダルシリカとをそれぞれ4.5:1〜4.5:5または9:1〜9:5の質量比で含むことを特徴とする。
【0010】
このような医薬組成物の新規の製造方法は、抗菌性製剤の輸液を調製するために創造されたものであり、本方法は、塩化ナトリウムと他の構成要素とを混合すること(ここで、塩化ナトリウム粉末と粉末状のコロイダルシリカとがそれぞれ4.5:1〜4.5:5または9:1〜9:5の質量比で混合されることを特徴とする)、続いて得られた混合物を、衝撃力と摩擦力の作用により、微細に分散された(5マイクロメートルまたはそれ未満の)コロイダルシリカ粒子の質量分率が少なくとも2倍に高められるまで機械処理することを含む。
【0011】
上述の医薬組成物の使用に基づいて輸液を調製するために、処方情報で指定された殺菌製剤の乾燥粉末(注射用水に溶解可能)の単回投与分を10mlの注射用水に溶解させ、続いて得られた溶液の全体積を、上記で定義された医薬組成物の乾燥粉末と共にバイアルに入れ、それを2〜3分激しく振盪し、続いて得られた上記殺菌製剤と医薬組成物との溶液からなる懸濁液をさらに、(組成物の内容物に応じて)50、100または200mlの0.45%または0.9%塩化ナトリウム溶液に溶解させ、これを、殺菌製剤の処方情報で指定された条件に従って、輸液として静脈内に注入する。
【0012】
第二の形態
滅菌注射用水、2%デキストロース溶液、および5%デキストロース溶液に溶解可能な、抗菌性製剤の輸液を調製するための医薬組成物であって、本医薬組成物は、粉末形態であり、さらに、デキストロースとコロイダルシリカとをそれぞれ20:1〜20:5または50:1〜50:5の質量比で含むことを特徴とする。
【0013】
デキストロースを他の構成要素と混合することを含む抗菌性製剤の輸液を調製するための医薬組成物を生産する方法であって、コロイダルシリカに対するデキストロースの質量比がそれぞれ20:1〜20:5または50:1〜50:5となるように粉末デキストロースを粉末状のコロイダルシリカと混合し、得られた混合物を、衝撃力と摩擦力の作用により、微細に分散された(5マイクロメートルまたはそれ未満の)コロイダルシリカ粒子の質量分率が少なくとも2倍に高められるまで機械処理することを特徴とする。
【0014】
上述の医薬組成物の使用に基づいて輸液を調製するために、処方情報で指定された殺菌製剤の乾燥粉末(注射用水に溶解可能)の単回投与分を10mlの注射用水に溶解させ、続いて得られた溶液の全体積を、上記で定義された医薬組成物の乾燥粉末と共にバイアルに入れ、それを2〜3分激しく振盪し、続いて得られた上記殺菌製剤と医薬組成物との溶液からなる懸濁液をさらに、50、100または200mlの2%または5%デキストロース溶液(組成物の内容物に応じて)に溶解させ、これを、殺菌製剤の処方情報で指定された条件に従って、輸液として静脈内に注入する。
【0015】
得られた混合物(塩化ナトリウム+コロイダルシリカまたはデキストロース+コロイダルシリカ)を、衝撃力と摩擦力の作用により、サイズが5μm以下のコロイダルシリカ粒子の含量が少なくとも35%になるように機械処理することによって、本明細書において示される医薬組成物を用いた場合の抗菌性製剤の治療効率は増加する。
【0016】
我々は、医薬組成物を調製するために、抗菌性製剤(アモキシシリン+クラブラン酸塩、アズトレオナム、セフォタキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフォペラゾン+スルバクタム、セフェピム、メロペネム、アミカシンスルフェート、アジスロマイシン、バンコマイシン、カプレオマイシン、ホスホマイシン、および、ボリコナゾール)と共に、ロシアの医薬生産業者である「ABOLmed」LLCによって提供される薬局で扱うことができる塩化ナトリウムの結晶性粉末、および、デキストロースの結晶性粉末を用いた。コロイダルシリカとして、我々は、「エボニック・デグサ社(Evonik Degussa Corporation)」(ドイツ)によって生産された薬局で扱うことができるエアロシル(AEROSIL)200(一般名:コロイダルシリカ)を用いており、これは、サイズ100μm未満の不規則な微粒子に凝集した丸い非多孔質のシリカナノ粒子(平均直径7〜40nm)からなる。
【0017】
組成物の配合は、抗菌性および抗真菌性製剤分子とコロイダルシリカのナノ粒子および微粒子とが相互に吸着する現象、さらにその配合物を塩化ナトリウムの結晶性粉末とデキストロースの結晶性粉末を用いて強い摩擦力により機械的に活性化してコロイダルシリカ微粒子の粒度を小さくすることに基づいて選択される。
【0018】
本明細書において示される組成物に導入されるコロイダルシリカの質量比は、抗菌性製剤の治療効率に対して最大の増強作用を示し、かつ副作用の発生率が最小になるような基準に従って実験用マウスを用いた試験に基づいて定義された。
【0019】
上記で定義されたように塩化ナトリウムまたはグルコースの粉末ブレンドをコロイダルシリカを用いて強い摩擦力で機械的に活性化することによる医薬組成物の製造方法は、その他の既知の方法と比べて、抗菌性製剤の分子を吸着させてマクロファージにより活発に貪食される5μm以下のサイズの微細なコロイダルシリカ粒子の比率を高めることができる[18]。
【0020】
この目的のために、指定された物質(塩化ナトリウム+コロイダルシリカまたはデキストロース+コロイダルシリカ)のブレンドは、コロイダルシリカ微粉末の分画(5μm以下)の質量比が少なくとも2倍に高められるまで強い摩擦力で機械的に活性化される。
【0021】
このようにして得られた粉末医薬組成物は、滅菌注射用水に溶解可能な、様々な抗菌性製剤分子を表面上に可逆的に吸着させたコロイダルシリカ微細粒子からなる輸液の生産に用いられる。
【0022】
このような組成物を得るために、我々は、固形成分のブレンドを激しい機械的作用によって処理することによる機械化学的アプローチを用いており、ここで機械的作用とは、物質に衝撃力と摩擦力の作用を与える様々なグラインダーで特異的に達成される圧力およびせん断力である。固体の粉末状物質(塩化ナトリウム+コロイダルシリカまたはデキストロース+コロイダルシリカ)のブレンドは、ドラムミルで機械的に活性化される。配合物を得るためのこの方法は、単純な成分の混合またはそれらの溶液の蒸発によりブレンドを得る方法と比べて、粉末成分を完全に均一にすることができ、結果として、医薬組成物の高い薬理活性を提供する。
【0023】
最低限必要な機械的作用の量の定量的な基準として、得られた組成物の懸濁液に粒度分布測定法を利用することが便利である。本明細書において5μm以下のコロイダルシリカ粒子の含量が、レーザー光度計測法によって測定した場合に少なくとも2倍増加することが必要である。粉末配合物の機械的処理は、回転式ミル、振動式ミル、または遊星ミルで行われる。粉砕媒体として、ボール、ピボットなどを使用することが可能である。
【0024】
得られた組成物の実験用げっ歯類動物(マウス)への薬理試験から、ここで述べられた方法によって生産された上述の組成物は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、大腸菌(Escherichia coli)および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)により誘発された細菌性敗血症、加えてカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)により誘発された真菌性敗血症を治療する際に殺菌性(抗菌性および抗真菌性)製剤の治療効率に対して、殺菌剤による薬物療法の通常の溶媒と比べて明らかな増強作用を有することが示された。
【0025】
それゆえに、ここで述べられた医薬組成物およびそれらの製造方法の使用により、悪性の接触伝染性疾患および炎症性疾患の抗菌療法の効率および品質の臨床的に有意な向上、死亡率の減少;生態学的な安全性、製薬技術の無駄を少なくし低コスト化されるという利点が提供される。
【0026】
以下に列挙される実施例で本明細書において示される発明を説明する。
【実施例】
【0027】
[実施例1]
固形の組成物(NaCl:コロイダルシリカ)の製造
塩化ナトリウムとコロイダルシリカとの質量比が4.5:1、4.5:2、4.5:5、9:1、9:2および9:5のブレンドをドラム式の回転ミルで1、2または4時間処理した。
【0028】
最初のコロイダルシリカ粒子水懸濁液の粒度分析による含量の解析、加えて様々なNaClを含む組成物のバリエーションを、ロシアの「VAインスタルト(VA Instalt)」製のレーザー粒度解析器マイクロサイザー(Microsizer)−201аを用いて行った。サンプル調製モジュール(液体体積150cm)に試験対象の粉末1g〜5gを、キュベットを通る光透過度70〜75%を達成するのに十分な量で置いた。測定は、凝集を壊すための懸濁処理と同時に1分または2分放置した後、行った。解析器に組み込まれている計算プログラムに従ってデータ処理を行った。結果を粒度ごとの質量分布のヒストグラムの形態で示した。
【0029】
コロイダルシリカ粒子によって吸着された抗菌性製剤の数を定義するために、(活性成分として)抗生物質0.5gを注射用水5cmに溶解した。その後、既知の量の乾燥NaCl:コロイダルシリカ組成物を新しい抗生物質溶液に懸濁し、得られた懸濁液を30分以内で12000rpmの速度で遠心分離し、上清液を慎重に注ぎ出して、残存したコロイダルシリカを同じ量の注射用水に再度懸濁した。水相に脱着した抗生物質の濃度をHPLC法で測定した。その後、沈降させて懸濁する手順を繰り返した。残存したコロイダルシリカから脱着した抗生物質量の測定値の合計から、吸着した抗生物質の量を計算した。
【0030】
表1に、このようにして得られた粒度分析による組成および吸着率のデータを示す。得られたデータから明らかなように、本明細書において示される組成物を製造するために選択された条件を用いれば、コロイダルシリカ微粉末(粒度5μm以下)の分画の比率を少なくとも2倍に高めることができ、さらに、抗菌性製剤分子とコロイダルシリカ粒子との吸着率を少なくとも40%にすることができる。
【0031】
【表1】

【0032】
[実施例2]
固形の組成物(デキストロース:コロイダルシリカ)の製造
デキストロースとコロイダルシリカとの質量比が20:1、20:2、20:5、50:1、50:2および50:5のブレンドをドラム式の回転ミルで1、2または4時間処理した。
【0033】
実施例1で説明した方法に従って粒度分析によるコロイダルシリカ水懸濁液の含量および抗生物質の吸着率の測定を行った。得られたデータを表2に示す。データから明らかなように、本明細書において示された組成物の製造方法によってもまた、コロイダルシリカ微粉末(粒度5μm以下)の分画の比率を少なくとも2倍に高めることができ、さらに、抗菌性製剤分子とコロイダルシリカ粒子との吸着率を少なくとも40%にすることができる。
【0034】
【表2】

【0035】
[実施例3]
本医薬組成物の使用に基づく抗菌性製剤の治療効率の決定(抗菌性製剤の静脈注射用溶液を製造した)
ラクタム系抗生物質(アモキシシリン+クラブラン酸塩、セフォタキシム、セフトリアキソン、セフォペラゾン+スルバクタム、セフタジジム、セフェピム、アズトレオナム、メロペネム)、マクロライド系(アジスロマイシン)、アミノグルコシド系(アミカシンスルフェート)、糖ペプチド(バンコマイシン)、抗真菌剤(ボリコナゾール)、加えてホスホマイシンを調査した。
【0036】
我々は、[19、20]に従って、敗血症の実験モデルと得られた結果の統計処理方法(χ)とを用いて基準としての抗菌剤の治療効率を決定した。
微生物:黄色ブドウ球菌(ATCC番号25923F−49)、大腸菌(АТСС番号25922F−50)、緑膿菌(ATCC番号27853F−51)、カンジダ・アルビカンス(ATCC番号24433)を用いた。
【0037】
動物:「実験動物を使用するための規則」(ソビエト連邦厚生省の指令の付則番号755〜12.08.1977)に従って、ハイブリッドマウス(CBA×C57ブラック/)CBFで実験を行った。。
【0038】
敗血症実験モデル
上記マウスに、緑膿菌の1日培養懸濁液0.8mlを5×10CFU/マウスの用量で、または、黄色ブドウ球菌の1日培養懸濁液を1010CFU/マウスの用量で、または、大腸菌の1日培養懸濁液を8×10CFU/マウスの用量で、または、カンジダ・アルビカンスの1日培養懸濁液を1010CFU/マウスの用量で静脈内注射した。マウスのコントロール群に、0.9%NaCl溶液または5%デキストロース溶液を体積0.8mlで注射した。
【0039】
感染後1日で、試験マウスに、0.9%NaCl溶液または5%デキストロース溶液に溶解した上記で定義された殺菌剤、加えて、医薬組成物の使用に基づき製造されたそれらの溶液(上記で説明した通り)を3日間毎日静脈内注射した。
【0040】
β−ラクタムを0.2mg/マウスの量で、アミカシンスルフェートを1日2mg/マウスの量で、バンコマイシンを1日1mg/マウスの量で、ホスホマイシンを1日2mg/マウスの量で、ボリコナゾールを0.1日1mg/マウスの量で、0.5mlの溶液中に包含させて注射した。同じスキームでコントロール群に、0.9%NaCl溶液または5%デキストロース溶液、加えて医薬組成物の水溶液を体積0.5mlで注射した。
【0041】
抗菌剤療法の効率を感染後7日目における生存マウスの数に基づいて評価した[19、20]。
得られたデータを表3および4に示したが、これらは、3回の独立した実験の結果を反映したものである(それぞれの調製試験ごとに少なくとも30匹の試験動物を用いた)。
【0042】
【表3】

【0043】
【表4】

【0044】
【表5】

【0045】
【表6】

【0046】
表3と表4を見ればわかるように、試験された全てのナノ構造を有する微細分散したコロイダルシリカ粉末を含む抗菌性製剤の注射剤を調製するための上述の医薬組成物はいずれも、黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌およびカンジダ・アルビカンスによって引き起こされた治療し難い敗血症にかかった試験動物を治療する際にそれらの治療効率を向上させたことがはっきりとわかる。
【0047】
従って、得られたデータから、本明細書において示された静脈内注入用の抗菌性および抗真菌性製剤溶液を調製するための医薬組成物(NaCl:コロイダルシリカ、および、デキストロース:コロイダルシリカ)は、悪性の接触伝染性疾患および炎症性疾患の治療において、治療可能性を従来の溶媒(本発明の比較例)と比べて臨床的に有意に高める作用があると結論付けることができる。
【0048】
参考文献
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌注射用水、0.45%塩化ナトリウム溶液、および0.9%塩化ナトリウム溶液に溶解可能な抗菌性製剤の注入用溶液を調製するための医薬組成物であって、粉末形態であり、塩化ナトリウムとコロイダルシリカとをそれぞれ4.5:1〜4.5:5または9:1〜9:5の質量比で含むことを特徴とする、上記組成物。
【請求項2】
滅菌注射用水、2%デキストロース溶液、および5%デキストロース溶液に溶解可能な抗菌性製剤の注入用溶液を調製するための医薬組成物であって、粉末形態であり、デキストロースとコロイダルシリカとをそれぞれ20:1〜20:5または50:1〜50:5の質量比で含むことを特徴とする、上記組成物。
【請求項3】
粉末塩化ナトリウムと粉末状のコロイダルシリカとを、塩化ナトリウムとコロイダルシリカとの質量比がそれぞれ4.5:1〜4.5:5または9:1〜9:5で混合すること、および、得られた混合物を、衝撃力と摩擦力の作用により、微細に分散された(5マイクロメートルまたはそれ未満の)コロイダルシリカ粒子の質量分率が少なくとも2倍に高められるまで機械処理すること、を含む、抗菌性製剤の注入用液を調製するための医薬組成物の製造方法。
【請求項4】
粉末デキストロースと粉末状のコロイダルシリカとを、デキストロースとコロイダルシリカとの質量比がそれぞれ20:1〜20:5または50:1〜50:5で混合すること、および、得られた混合物を、衝撃力と摩擦力の作用により、微細に分散された(5マイクロメートルまたはそれ未満の)コロイダルシリカ粒子の質量分率が少なくとも2倍に高められるまで機械処理すること、を含む、抗菌性製剤の注入用液を調製するための医薬組成物の製造方法。

【公開番号】特開2013−107870(P2013−107870A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−170753(P2012−170753)
【出願日】平成24年8月1日(2012.8.1)
【出願人】(512120753)
【Fターム(参考)】