説明

抗菌性酸及びそれらの塩

【課題】抗菌性酸及びそれらの塩を提供すること。
【解決手段】本発明は、新規な酸性シロキサン誘導体、特に物品及び/又は材料の保護のための抗菌、防腐及び/又は抗付着効果をもたらすためのこの種のシロキサン誘導体の使用、使用の方法又は使用するプロセス、及び新規な化合物の製造プロセスに関する。
前記シロキサン酸(塩形態でもあり得る)は、式I
【化1】


式II
【化2】


及び/又は式III
【化3】


(式中、記号は明細書において与えられる意味を有する。)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の要約
本発明は、物品及び/又は材料の保護のための抗菌、防腐及び/又は微生物付着阻害剤としての特定のシロキサン酸化合物の使用(又は使用の方法又は使用するプロセス)、並びに新規なシロキサン酸、それらの製造プロセス及びそれらを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
材料上もしくは物体上又は材料中もしくは物体中の微生物の成長を避け又は阻害するために、様々な方法が用いられてきた。例えば、例えば銀又はTiO2をベースとしたナノ
粒子を配合することによって、そのような効果をもたらそうとしてきた:例えば、有機樹脂又はセラミックへのナノ粒子の配合が提案されてきた。その他にも、コーティングへのナノ粒子の析出などを用いてプラズマ真空中での析出が提案されてきた。さらに、特定の界面活性剤が工業製品又は消費物品のような、品物の表面を洗浄及びさらに時には殺菌する手段として有用であることは原則として既知である。
多種多様な表面上及び様々な材料中の微生物によるコロニー形成は、汚い外観、臭い並びにさらに深刻な衛生及び健康問題のような現象を引き起こし得る。従って、殺菌活性を与え及び少なくともある程度まで、洗浄又はさらに自己洗浄しやすい衛生材料及び表面の開発にかなりの関心が払われている。
【0003】
特許文献1及び特許文献2は、日本出願では排水系コーティングの原料に、米国出願では歯及び他の口腔表面のケアにおける投与のために使用し得る、特定のカルボキシル基を有するオルガノシロキサンに言及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−226486号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0211051号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、耐性の発達を含む様々な逆境に適応する微生物の能力も考慮して望まれることは、新規な表面、材料及び/又は製品誘導体化方法及び材料、例えば材料上もしくは物体上又は材料中もしくは物体中の微生物の成長を阻害し又はさらに広範囲な微生物、例えばバクテリア、真菌類、酵母菌及び藻類から選択される1種以上の微生物に対して殺菌活性を示し、及び/又はさらに藻類、苔類又はシダ類のような多細胞生物の定着に悪影響を与える化合物であり、従って天然及び/又は合成材料を用いた、プラスチックにおける、コーティングにおける、織物における、紙における、化粧品における、医薬品配合物における又は対応する容器、ホーム又はパーソナルケア用途などにおける添加剤としての、とりわけ保存における用途、及び他の対応する使用に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
酸性基で置換されたシロキサン類に属する化合物が前記物品及び/又は材料の保護のための抗菌、防腐及び/又は微生物付着阻害効果、特に(直接的)抗菌効果をもたらし得る技術的又は機能的特性を示すために、これらの化合物は上記の点で有利な性質を示すことが今や驚くべきことに見出された。
【発明を実施するための形態】
【0007】
発明の詳細な説明
本発明は、物品及び/又は材料中又はその表面上における保護のための抗菌、防腐及び/又は微生物付着阻害効果をもたらすプロセス又は方法であって、
式I
【化1】

(式中、
R1=低級アルキル基、特にメチル基、
Qは、COOH、P(O)(OH)2及びS(O)2(OH)からなる群から独立して選択された1個ないし3個の官能基で置換された線状の又は枝分かれした炭素原子数1ないし10のアルキル部分を表し、前記官能基は前記アルキル部分にC原子を介して結合しており、
mは1ないし約20の整数を表し、
oは0ないし15の整数を表す。)で表される酸であり、そして
好ましくは約3までの多分散性及び600ないし約3000の質量平均分子量を有するもの;一般式II
【化2】

(式中、
R1=メチル基、
QはCOOH、P(O)(OH)2及びS(O)2(OH)からなる群から独立して選択された1個ないし3個の官能基で置換された線状の又は枝分かれした炭素原子数1ないし10のアルキル部分を表し、前記官能基は前記アルキル部分にC原子を介して結合しており、及び
nは0ないし15の整数を表す。)で表される酸、及び/又は式III
【化3】

(式中、
R1=メチル基、
QはCOOH、P(O)(OH)2及びS(O)2(OH)からなる群から独立して選択された1個ないし3個の官能基で置換された線状の又は枝分かれした炭素原子数1ないし10のアルキル部分を表し、前記官能基は前記アルキル部分にC原子を介して結合しており、
pは1ないし約20の整数を表し、
qは1ないし約20の整数を表し、
rは0ないし15の整数を表す。)で表される酸であり、そして
好ましくは約3までの多分散性及び600ないし約3000の質量平均分子量を有するものを含む酸化合物を適用することを含み、
特に、但し、使用する酸化合物が、1種以上の式III(式中、Qは、2官能COOH基で置換された線状の又は枝分かれした炭素原子数1ないし10のアルキル部分からもっぱら選択され、該COOH基は前記アルキル部分にC原子を介して結合している。)で表される酸のみを含むものである場合、
その使用は抗菌及び/又は防腐効果をもたらすための使用に制限されるか、或いはその使用が微生物付着阻害効果をもたらすためのものである場合、その使用は合成ポリマー又はポリマー前駆物質又はモノマー化合物を含む(特に、それらからなる)材料の、又はそのような材料から作られた物品のコーティング又は含浸、又は材料もしくは物品へのバルク添加に制限され;或いは(これらの使用、又は上記を含むその他の使用のために)1種以上の式IIIで表される酸に加えて、上記で定義された式Iで表される酸、上記で定義された式IIで表される酸を含む少なくとももう1種の酸化合物;及び/又は上記の式III(式中、少なくとも1個の部分Qが存在し、該部分は1個ないし3個のCOOH、P(O)(OH)2及び/又はS(O)2(OH)基で置換された線状の又は枝分かれした炭素原子数1ないし10のアルキル部分である。)で表される付加的な異なる酸を含む少なくとも1種の酸化合物、但し式IIIで表される化合物においては、前記Qは2個のCOOH基のみを有するものではない、が付加的に適用され;
ここで、式I、II及び/又はIIIで表される酸は塩として存在し得る(ここで、式I、II及び/又はIIIで表される酸において、上記のCOOH、P(O)(OH)2
び/又はS(O)2(OH)基の一部又は全部が、実質的な電荷中和をもたらす対イオン
としてのカチオンを有する負に帯電した(部分的に又はほぼ完全に脱プロトン化した)形態で存在し得る(例えば、酸塩基平衡)。)、ところのプロセス又は方法に関し、
並びに、上記の但し書き付きでの前記化合物又はその塩、それらを含む混合物及び/又はそれらを含む組成物の使用であって、物品及び/又は材料の保護のための抗菌、防腐及び/又は微生物付着阻害効果をもたらすために(前記効果をもたらす目的で、かつそれをもたらす機能的特性をもって)該物品及び/又は材料にこれらの化合物及び/又はその塩、それらの混合物又はそれらを含む組成物の少なくとも1種を適用することを含む使用に関する。
【0008】
本発明はまた、COOH、P(O)(OH)2及びS(O)2(OH)からなる群から独立して選択される1個ないし3個の官能基で置換された線状の又は枝分かれした炭素原子
数1ないし10のアルキル部分を表すQであって、該官能基は前記アルキル部分にC原子を介して結合している少なくとも1つのQを含む少なくとも1種の酸を含む新規な酸化合物、化合物混合物又は組成物に関し、前記少なくとも1種の酸が、
式I
【化4】

(式中、
R1=低級アルキル基、特にメチル基、
Qは定義された通りであり、
mは1ないし約20の整数を表し、
oは0ないし15の整数を表す。)で表される1種以上の酸であり、そして
好ましくは約3までの多分散性及び600ないし約3000の質量平均分子量を有するもの;
一般式II
【化5】

(式中、
R1=メチル基、
Qは定義された通りであり、及び
nは0ないし約15の整数を表す。)で表される1種以上の酸、
及び/又は
式III
【化6】

(式中、
R1=メチル基、
Qは定義された通りであり、
pは1ないし約20の整数を表し、
qは1ないし約20の整数を表し、
rは0ないし15の整数を表す。)で表される1種以上の酸であり、そして
好ましくは約3までの多分散性及び600ないし約3000の質量平均分子量を有するもの、
及び/又はそれらの塩
からなる群からの1種以上の酸から選択され、
但し、式IIIで表される(1種以上の)酸だけが、与えられた化合物、化合物混合物又は組成物中に存在する場合、少なくとも式IIIで表される分子の一部において、部分Qの1つは、P(O)(OH)2及びS(O)2(OH)から選択された1個ないし3個の官能基で又は1個又は3個のCOOH基で置換された線状の又は枝分かれした炭素原子数1ないし10のアルキル基部分である。
【0009】
本発明はさらに、前の段落にて言及した1種以上の酸化合物又は酸(これら2つの言い回しが本明細書では同意語として使用される)を含む組成物(以下では“本発明の組成物”とも称され、また本発明に従うそのような組成物の使用をも意味する。)に関するものであって、該組成物は材料及び物品への適用、例えば材料又は物品を被覆するために、例えばそれらの製造の間に材料に混合することによる材料又は物品への添加のために、及び/又は材料又は物品を含浸させるために特に適し、前記組成物は本発明の化合物を含み得、及び付加的にバインダ、溶媒、緩衝液などのような他の添加剤又はキャリア材料を含み得る。
【0010】
興味深い組成物のうち、特に抗菌性組成物、防汚組成物、コーティング組成物又は材料(コーティング)、コーティング系、化粧品配合物(口腔製剤を含む)、ホームケア組成物、医薬品組成物(口腔製剤を含む)、抗菌性製剤、洗濯用洗剤及び/又は布地(fabric)ケア組成物を言及し得、その各々は、互いに独立して好ましい態様を形成し、そして好ましくは以下のように定義される。特に本発明の新規な酸化合物を有する組成物が興味深い。
【0011】
更なる態様において、本発明は物品及び/又は材料の保護のための抗菌、防腐及び/又は微生物付着阻害効果をもたらすために上記又は好ましくは下記で定義される本発明に従う1種以上の酸化合物又は組成物の使用、特に前記物品及び/又は材料に1種以上の前記酸化合物又は1種以上の前記酸化合物を含む組成物を添加することを含む前記使用、特に抗菌剤としての使用に関する。前記添加は、材料に組み込むことによって(物品又は材料のような製品の製造の間に混合することによって)、物品又は材料の含浸によって及び/又は例えば物品又は材料の表面への適用によって行われ得る。
【0012】
さらに本発明の更なる態様は、上記又は下記に定義される本発明の1種以上の新規な酸化合物の製造プロセス、及び/又は本発明に従う1種以上の酸を含む新規な組成物の製造プロセスに関する。
【0013】
本発明による酸は、本発明の酸化合物についてのものではないがそれ自体が先行技術において既知である方法に類似の方法、従ってこれらに関するプロセスは新規でありそして本発明の一部である方法に、より製造され得、すなわち、
下記式IV、IV*及びIV**で表される出発材料のいずれにおいても、官能基COOH
、P(O)(OH)2及びS(O)2(OH)は保護された形態で存在することを条件に、(a)式Iで表される酸、及び/又はその塩の製造のために、式IA
【化7】

(式中、R1及びmは前記式Iで表される酸に対して定義された通りである。)
で表される化合物と、式IV
【化8】

(式中、Q及びoは前記式Iで表される酸に対して定義された通りである。)で表されるビニル化合物とをヒドロシリル化(hydrosilylation)条件下で反応させること、又は
(b)式IIで表される酸、及び/又はその塩の製造のために、式IIA
【化9】

(式中、R1は前記式IIで表される酸に対して定義された通りである。)
で表される化合物と、式IV*
【化10】

(式中、Q及びnは前記式IIで表される酸に対して定義された通りである。)で表されるビニル化合物とをヒドロシリル化条件下で反応させること、又は
(c)式IIIで表される酸の製造のために、式IIIA
【化11】

(式中、R1、p及びqは前記式IIIで表される酸に対して定義された通りである。)で表される化合物と、式IV**
【化12】

(式中、Q及びrは前記式IIIで表される酸に対して定義された通りである。)で表されるビニル化合物とをヒドロシリル化条件下で反応させること、
又は式I、II及び/又はIIIで表される酸を有する酸化合物の混合物を直接得るために、(a)、(b)及び(c)による反応の2つ以上及びその後の保護基の除去を並行して行うこと、
官能基が保護された形態で存在する(平行して脱保護が行われない場合であり得るような)場合、その後官能基から保護基を除去すること、により製造され得、
そして必要に応じて、a)、b)及び/又はc)並びに脱保護に従うプロセスに従い得ることができる遊離酸は塩に変換されるか、又はa)、b)及び/又はc)に従うプロセスに従い得ることができる酸化合物の塩は異なるカチオンを有する異なる塩に変換される。
【0014】
プロセス(a)、(b)又は(c)のいずれか1つ、又はそれらの任意の組み合わせに従うヒドロシリル化は、遷移金属錯体、例えばロジウム、イリジウム、コバルト又はより具体的には鉄、コバルト、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、マンガン及び/又はクロミウム由来のカルボニル化合物からの錯体、最も好ましくは特にカールシュテト(karstedt)触媒(ジ−プラチナム−トリス(ジビニルテトラメチルジシロキサン))触媒のような白金又はヘキサクロロ白金酸(H2PtCl6)由来の錯体の触媒量の存在下、トルエンのような不活性有機溶媒又は溶媒混合物中、好ましくは高温、例えば50℃ないし反応混合物の還流温度例えば90℃で好ましくは行われる。好ましくは、化学量論は式IA、IIA及びIIIAで表される化合物における全てのシリシウム(silicium)結合水素原子が、それぞれ式IV、IV*及びIV**で表される化合物と反応するよう
に選ばれる。
【0015】
官能基COOH、P(O)(OH)2及び/又はS(O)2(OH)の保護された形態は、好ましくは例えば低級アルキルアルコールを有するエステル、又は例えば隣接COOH、P(O)(OH)2及び/又はS(O)2(OH)の間で形成されるもしくは更なる酸例えば酢酸との混合無水物としての、無水物である。保護基の除去は、好ましくは、(特に炭酸エステルの場合)例えばトルエン及び水のような水性溶媒の存在下、高温例えば40℃ないし反応混合物の還流温度で;又は(特にホスホン酸エステルの場合)乾燥アセトニトリルのような適した溶媒中、ブロモトリメチルシランのようなハロシランの存在下、例えば0ないし50℃の温度で、加水分解によって行われ、続いてメタノールを用いて、高温例えば50℃ないし反応混合物の還流温度で処理される。
【0016】
保護基の組み込みは、技術的に既知である、例えばT.W.Greene及び P.G
.Wuts,“Protective Groups in Organic Synthesis”,第3版,John Wiley & Sons,Inc.,ニューヨーク,1999において言及されるような、標準的な手順に従う。
【0017】
本発明の酸化合物は、慣用の方法に従いカチオンをそこに添加するか、又はその中のカチオンを(他の)カチオンで置き換えることによって、例えば望ましいカチオンを有する金属もしくはアンモニウム塩の存在下での沈殿によって又はカチオン交換体を用いて塩に又はそれらの塩を異なる塩に変換し得る。
【0018】
本発明に従う組成物の製造は、1種以上の酸化合物、又はそれらの塩と、1種以上の添加剤例えば以下に言及されるものとを混合することを含む。
【0019】
前述及び後述に使用される一般的な用語は、好ましくは、特に他の指示がない限り、本開示の文脈において、下記の意味/定義を有する:
“低級”は好ましくは、対応する部分が7つを含む7つまでの炭素原子、より好ましくは4つを含む4つまでの炭素原子を有し、また線状の又は1度以上枝分かれし得ることを意味する。例えば、低級アルキル基は好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基又はヘプチル基を表す。
【0020】
線状の又は枝分かれした炭素原子数1ないし10のアルキル基部分は、線状であるか又は1度以上枝分かれし得る。そのような部分Q(ここで、独立して、COOH、P(O)(OH)2及び/又はS(O)2(OH)からなる群から選択された1個ないし3個の官能基は、該部分にC原子を介して結合している。)は、好ましくは、それらの官能基のうち3個以上、又はより好ましくは2個、より好ましくは同一の基だけを有する。好ましくは官能基は、特に優れた抗菌活性をもたらすP(O)(OH)2及び/又はS(O)2(OH)からなる群から選択される。
【0021】
酸化合物、酸化合物混合物又はそのような酸化合物もしくは混合物(特に好ましいものとして記載されたもの)を含む組成物は、以下で“抗菌剤”としても言及される。
【0022】
本開示において本発明に従う酸、すなわち式I、II及び/又はIIIで表される酸(=酸の種類)、を含む又はそれらからなる酸(化合物)が言及される場合、これは、それぞれ式I、II及び/又はIIIで表される“酸”の定義に該当する1つ以上のそのような酸(酸の種類)が存在する場合を含むことを意図し−事実、しばしば(対応する出発材料のせいで)1つ以上のそのような酸(例えば、式I又はIIIにおける異なる数の繰り返し単位、又は異なる数の置換基Qを有するもの)の混合物が存在し、そのため、事実上“式・・・で表される酸(化合物)”は通常対応する式に該当する酸の混合物であり得、従って、“酸(化合物)”は事実上酸(化合物)の混合物であることを意味する。同じことが前駆物質及び出発材料に対して及び実施例においてもまた当てはまる。1つより多くの酸が言及される場合、これは酸の1つの種類又は1つより多くの種類(例えば酸の混合物又は酸の純粋な1つの種類)を指し得る。複数の(“酸”、“酸化合物”、“カチオン”、“前駆物質”、“出発材料”など)形態が使用される場合、これはまたそれぞれ1種の酸、酸化合物、カチオン、前駆物質、出発材料などを含み、また反対に、当業者の知識に従い特に排除されるか又は可能性がない場合は、これらを含まない。
【0023】
式I、II及び/又はIIIで表される酸又は酸化合物が言及される場合、これは、それらのカチオンを有する塩及び/又はそのような遊離酸及びそれらの塩の(例えば平衡な)混合物を含み、そこではCOOH、P(O)(OH)2及び/又はS(O)2(OH)基の少なくとも一部が脱プロトン化形態で存在する。
【0024】
式I、II及び/又はIIIで表される1種以上のいずれかの酸(化合物)の塩が言及される場合、これらは、Q内に部分的に又は完全に脱プロトン化されたCOOH、P(=O)(OH)2及び/又はS(O)2(OH)基、すなわちCOOH、P(O)(OH)(OH)、P(O)(OH)2及び/又はS(O)2(OH)、及び更に対応する塩を実質的に中和するための1種以上のカチオンを含む。
【0025】
カチオン又は複数のカチオン(電荷中和をもたらす対イオン(複数の対イオン))は、式I、II及びIIIで表される1種以上のいずれかの酸の対応する実質的な中性塩を形成するために存在する−これは好ましくは本発明に従う酸において又は本発明に従い使用される塩において、脱プロトン化形態にある式I、II及び/又はIIIで表される酸毎に、実質的な電荷中和をもたらす数のカチオンが存在することを意味する。
【0026】
しかしながら、例えば表面上で、正味電荷が一時的とはいえ生じ得るように対イオンを剥ぎ取ることも可能であり得る−これは例えば用語“実質的な電荷中和をもたらす”により意味することを意図する。
【0027】
考えられるカチオンの例として、下記のものが言及される:未置換又は置換された線状の又は円形状アンモニウムカチオン、例えばモノ−ないしテトラ(例えば独立して選択された低級アルキル基及び/又はフェニル−低級アルキル基)−置換アンモニウム、対応するジ−アンモニウムカチオン、ジメチルピペリジニウム、アルカノールアンモニウム(例えばモノ−、ジ−又はトリ−エタノールアンモニウム)、又は好ましくはアルカリ金属カチオンのような金属カチオン、好ましくはナトリウム、カリウムもしくはリチウムカチオン、又はカルシウムもしくはバリウムカチオンのようなアルカリ土類金属塩。他のカチオンもまた考えられる、例えば1つより多くの正に帯電した基を有するもの、又は負の電荷に対して過剰の正の電荷を有する正に帯電した及び負に帯電した基を有するもの。また正に帯電した染料カチオン又は正に帯電した金属錯体イオンのような、他の帯電した有機又は無機カチオンも考えられる。
【0028】
用語“含む”が使用される場合、これは、その後に記載され又は列挙される成分、複数の成分、特性又は複数の特性が単一で満たし得るばかりでなく、具体的に言及されたものに加えて1つ以上の他の成分及び/又は特性(例えば他の添加剤、他の作用)が存在し得ることを意味することを意図している。これは、そのような語句の後に具体的に言及されたもの以外の他の成分又は特性は含まないことを意味し及び、従って、全ての特性及び/又は成分の列挙/表現を示す用語“含有する”又は“から成る”とは対照的である。“含む”が使用されているところはどこでも、これは、可能であって及び好都合である場合、狭義の用語“から成る”又は(プロセス又は方法の場合は)“工程を含有する”に置き換えられ得、その結果本発明の特定の及び好ましい態様をもたらす。
【0029】
式I又は式IIIで表される酸の好ましい分子量は、約600ないし約3000の範囲にある。
【0030】
前記酸の好ましい多分散性(質量平均と数平均分子量の比)は、約3までの範囲にある。
【0031】
本発明の開示においてどこに使用されても“約”は、当業者に明らかであるように、数値からの一定の偏差が存在し得、またその対応する値が絶対的な境界を意味することを意図しないことを意味し;それは好ましくは各数値の“±20%”、より好ましくは“±10%”、更に好ましくはその“±5%”を意味し、また最も好ましくは各数値だけが前置きの“約”無しで残るように削除され得る。
【0032】
抗菌活性は、少なくとも部分的に微生物を不活性化する(生存能力に影響を及ぼす)こと、特に、特にバクテリア細胞、原虫細胞、真菌細胞及び/又は藻類細胞のような微生物、或いは多細胞微生物、に対する直接的な部分的又は完全な阻害効果、特に実施例にて言及した微生物に対する、特に抗バクテリア又は抗真菌性をもたらす、或いは広い意味で、ウィルス又はファージに対する阻害効果をもたらす、抗生又は殺菌(微生物阻害、又は特に殺害)活性を、意味する。該効果は特に微生物の代謝、構造又は増殖(例えば細胞分裂又はそれに先行する工程)への弊害、例えば毒性効果に基づく。
【0033】
防腐活性は、特に物品(あらゆる形態にある品物)及び/又は材料が、物品又は材料の構造成分に対する微生物の攻撃に起因する、特にその構造成分の1つ以上の分解による、分解活性に対して保護されることを意味する。例えば、医薬品組成物又は食品保存活性の場合、特に有効(active)薬品構成要素又はビタミンのような重要な食品成分が微生物による分解に対して保護されることを意味する。
【0034】
微生物付着阻害活性は、特に物品又は材料の微生物によるコロニー形成が、微生物又は微生物の定着を可能にする他の材料の結合を阻害する表面構造をもたらすことのような主に単なる構造上の効果に起因して減らされ、又は完全に壊滅されることを意味する。このように、その原理は微生物の生存能力に対する効果ではなく、材料又は物品の上又は中に物理的に定着するための微生物の能力に対する効果である。
【0035】
適用、適用すること、添加又は添加することなどは特にコートすること、含浸すること又は混合することを意味する。
【0036】
バルク添加は特に、既に製造された材料又は物品への適用に相当するコーティング又は含浸とは対照的に、物品の材料又は材料に、(例えば出発材料、例えば顆粒、粉末、溶液などに混合することによって)その製造の間に1種以上の式I、II及び/又はIIIで表される酸を含む酸化合物、酸化合物混合物、又は酸化合物又は酸化合物混合物を含む組成物を混合することによる材料への添加を指す。それはまた医薬品のための材料のような粉末への添加をも含む。
【0037】
原則として、式I、II及び/又はIIIで表される酸等は、均一な組み込み又は混合、不均一な組み込み又は混合、完全な又は部分的な含浸及び/又は完全な又は部分的なコーティングを含む、組み込み、混合、含浸、含浸すること及び/又はコーティングによって適用し得る。
【0038】
後述で抗菌性組成物と称し得る本発明に従う組成物は、唯一の成分としてもまた存在し得る式I、II及び/又はIIIで表される酸化合物に加えて、バインダ、溶媒などのような1種以上の他の添加剤を含み得る。本発明はまた、本発明に従う酸化合物又はそのような組成物、特に新規な酸化合物、そのような酸化合物の混合物(特に1種以上の酸化合物を含むもの)又はそれらを含む組成物の使用を含む。
【0039】
本発明はまた、抗菌(特に好ましい)、防腐及び/又は微生物付着阻害効果をもたらすための、上述の但し書き付きで、有機キャリア材料(成分(A))及び本発明に従う酸化合物又は酸化合物混合物(成分(B))を含む、抗菌性組成物又はそれらの使用に関する。
【0040】
好ましい有機キャリア材料は以下に与えられるようなポリマー、特に合成ポリマー、例えば熱可塑性ポリマーである。ポリアミド、ポリウレタン及びポリオレフィンが特に好ましい。好ましいポリオレフィンの例は、ポリプロピレン又はポリエチレンである。
【0041】
特に興味深いのはまた、組成物がコーティング組成物であり及び成分(a)が有機フィルム形成バインダであるところの組成物である。
【0042】
特に興味深いのは、硬化後に透明なコーティングをもたらす透明なコーティング組成物である。
【0043】
組成物、例えばコーティングは、溶媒を有する(solvent borne)か又は水性であり得る。水性組成物は、概してより環境に優しいと考えられる。本発明に従うコーティング又は他の組成物は、例えば本発明に従う酸化合物とバインダの水性分散液又は水をベースとしたコーティング又はペイントである、コーティング組成物は、好ましくはコーティング材料又はペイント、特に水性コーティング材料又は水性ペイントである。
【0044】
本発明の抗菌性組成物は、例えば生物蓄積に好都合な条件にさらされる表面に適用されるコーティングとして使用される。
【0045】
本発明の抗菌性組成物は、海洋ゲル−コート(marine gel−coat)、シェラック、ワニス、ラッカー又はペイントのような完全なコーティング又はペイント配合物の不可欠な要素であり得、又は該抗菌性組成物は本発明の酸化合物(又は混合物)とバインダのみ、又は本発明の酸化合物(又は混合物)、バインダ及び1種以上の添加剤を含み得る。そのようなコーティング配合物又は用途において見られる他の添加剤が、本発明の用途においても任意に使用されるであろうことが予想される。
【0046】
コーティング材料の例は、ラッカー、ペイント又はワニスである。それらは他の、所望による成分に加えて有機フィルム形成バインダを常に含有する。
【0047】
好ましい有機フィルム形成バインダは、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アミノ樹脂、アクリル樹脂、アクリルコポリマー樹脂、ポリビニル樹脂、フェノール樹脂、スチレン/ブタジエンコポリマー樹脂、ビニル/アクリルコポリマー樹脂、ポリエステル樹脂、UV硬化性樹脂又はアルキド樹脂、又はこれら樹脂の2種以上の混合物、又はこれらの樹脂もしくはこれらの樹脂の混合物の水性塩基性又は酸性分散液、又はこれらの樹脂もしくはこれらの樹脂の混合物の水性エマルジョンである。
【0048】
ポリ[アルコキシアルカノエート−コ−3−ヒドロキシアルケノエート(PHAE)ポ
リエステル(例えば、Geiger等,Polymer Bulletin 52, 65−70(2004)参照。)のような生体適合性コーティングポリマーもまた、本発明においてバインダとしての役目を果たし得る。
【0049】
特に興味深いのは、水性コーティング組成物のための有機フィルム形成バインダ、例えばアルキド樹脂;及び例えばエポキシアクリレートをベースとしたハイブリッド系である。
【0050】
より具体的には、アルキド樹脂は、所望により水で希釈し得る(water−dilutable)メラミン樹脂と組み合せて、空気乾燥形態又は焼付け系の形態で用いられ得る水で希釈し得るアルキド樹脂系であり得;該系は所望によりアクリル樹脂又はそのビニルアセテートなどとのコポリマーをベースとする水性分散液と組み合わせて用いられる酸化により乾燥する系、空気乾燥系又は焼付け系であり得る。
【0051】
アクリル樹脂は、純アクリル樹脂、エポキシアクリレートハイブリッド系、アクリル酸又はアクリルエステルコポリマー、ビニル樹脂との組み合わせ、又はビニルアセテート、
スチレン又はブタジエンのようなビニルモノマーとのコポリマーであり得る。
【0052】
好ましいエポキシ樹脂は、芳香族ポリオールをベースとするもの、特にビスフェノールをベースとするものである。エポキシ樹脂は、架橋剤と組み合わせて用いられる。後者は特にアミノ−又はヒドロキシ官能化合物、酸、酸無水物又はルイス酸であり得る。
【0053】
ポリウレタン樹脂は、一方では末端ヒドロキシル基を有するポリエーテル、ポリエステル及びポリブタジエンから、及び他方では脂肪族又は芳香族ポリイソシアネレートから得られる。
【0054】
好ましくは、ポリウレタンは一方では末端ヒドロキシル基を有するポリエーテル、ポリエステル及びポリブタジエンから、及び他方では脂肪族又は芳香族ポリイソシアヌレートからその場で製造される。
【0055】
適するポリビニル樹脂の例は、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート又はそのコポリマーである。
【0056】
適するフェノール樹脂は、その作成の際、フェノールが主成分である合成樹脂、すなわち特にフェノール−、クレゾール−、キシレノール−及びレゾルシノールフォルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノール樹脂、及びフェノールとアセトアルデヒド、フルフロール、アクロレイン又は他のアルデヒドとの縮合生成物である。変性フェノール樹脂もまた興味深い。
【0057】
UV−(紫外線)硬化性樹脂は、1つ以上のオレフィン二重結合を含有し得る。それらは低い(モノマーの)又は比較的高い(オリゴマーの)分子量であり得る。二重結合を含有するモノマーの例は、アルキルもしくはヒドロキシアルキルアクリレート又はメタクリレートである。
【0058】
2つ以上の二重結合を含有するモノマーの例は、エチレングリコランド(glycoland)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートである。
【0059】
比較的高分子量(オリゴマー状)ポリ不飽和化合物の例は、アクリル化エポキシ樹脂及びアクリル化又はビニルエーテル−もしくはエポキシ−官能ポリエステル、ポリウレタン及びポリエーテルである。特に適するのは、国際公開第90/01512号パンフレットに記載される、ビニルエーテル基を有するポリマーとオリゴマーの組み合わせである。
【0060】
同様に適するのは、1つ以上のフリーラジカルにより(free−radically)重合可能な二重結合を含有する化合物である。これらの化合物において、前記フリーラジカルにより重合可能な二重結合は好ましくは(メタ)アクリロイル基の形態である。(メタ)アクリロイル基及び(メタ)アクリル基の各々は、ここで及び以下で、それぞれアクリロイル基及び/又はメタアクリロイル基、及びアクリル系及び/又はメタクリル系を意味する。好ましくは、少なくとも2つの重合可能な二重結合が(メタ)アクリロイル基の形態にある分子中に存在する。問題になっている化合物は、例えばポリ(メタ)アクリレートの(メタ)アクリロイル−官能性オリゴマー及び/又はポリマー化合物であり得る。
【0061】
官能化アクリレートもまた適する。そのような官能化アクリレート及びメタクリレートポリマーの主鎖を形成するために通常使用される適するモノマーの例は、アクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート等である。その上、適当量の官能性モノマーが官能性ポリマーを与えるために重合の間に共重合される。
【0062】
特に適する化合物は、例えば、エチレン性不飽和単官能又は多官能カルボン酸及びポリオール又はポリエポキシド、並びに鎖又は側鎖にエチレン性不飽和基を含有するポリマーである。
適する単官能又は多官能不飽和カルボン酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸である。
【0063】
しかしながら、不飽和カルボン酸との混合物において飽和ジカルボン酸又はポリカルボン酸を使用することも可能である。
【0064】
適するポリオールは、芳香族及び特に脂肪族及び脂環式ポリオールを含む。芳香族ポリオールの好ましい例は、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、並びにまたノボラック及びレゾールである。
【0065】
脂肪族及び脂環式ポリオールの例は、好ましくは、エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロパンジオールのような、2ないし12個の炭素原子を有するアルキレンジオールである。
【0066】
ポリオールは、1つ以上の異なる不飽和カルボン酸で部分的に又は完全にエステル化されていて良く、部分的エステルの遊離ヒドロキシ基は場合により変性されており、例えば他のカルボン酸でエーテル化又はエステル化されている。
【0067】
適するUV硬化性樹脂は、同一又は異なる不飽和カルボン酸と、好ましくは2個ないし6個、特に2個ないし4個のアミノ基を有する芳香族、脂環式及び脂肪族ポリアミンとのアミドを含む。そのようなポリアミンの例は、エチレンジアミン、1,2−又は1,3−プロピレンジアミンである。更に適するポリアミンは、場合により側鎖に付加的なアミノ基を含有するポリマー及びコポリマー、並びにアミノ末端基を有するオリゴアミドである。
【0068】
適する不飽和ポリエステル及びポリアミドは、例えば、マレイン酸及びジオール又はジアミンに由来する。前記マレイン酸は、他のジカルボン酸によって一部置き換えられていて良い。それらはエチレン性不飽和コモノマー、例えばスチレンと一緒に使用される。前記ポリエステル及びポリアミドはまた、ジカルボン酸及びエチレン性不飽和ジオール又はジアミン、特に例えば6ないし20個の炭素原子を有する比較的長い鎖のものに由来し得る。
【0069】
ポリブタジエン及びポリイソプレン並びにそれらのコポリマーは既知である。適するコモノマーの例は、エチレン、プロペン、ブテン、ヘキセン、(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、スチレン又は塩化ビニルのようなオレフィンである。側鎖に(メタ)アクリレート基を含有するポリマーも同様に既知である。それらは、例えばノボラックベースのエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物を含み得る。
【0070】
UV硬化性樹脂は、単独で又はあらゆる所望の混合物において使用し得る。ポリオール(メタ)アクリレートの混合物を使用することが好ましい。
【0071】
本発明の組成物にバインダを添加することも可能であり、それは光重合性化合物が液体又は粘性の物質である場合、特に適する
【0072】
不飽和化合物はまた、グリコール、オイル、ワックス及び/又は界面活性剤のような、光重合性ではない(non−photopolymerizable)フィルム形成成分との混合物において使用し得る。これらは、例えば、物理的に乾燥するポリマー又はニト
ロセルロール又はセルロースアセトブチレートのような、有機溶媒におけるそれらの溶液であり得る。しかしながら、それらはまた例えばポリイソシアヌレート、ポリエポキシド又はメラミン樹脂のような、化学的及び/又は熱硬化性樹脂でもあり得る。メラミン樹脂に関しては、メラミン(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン)の縮合物だけでなく、メラミン誘導体の縮合物も意味する。一般に、成分は熱可塑性又は熱硬化性樹脂、主に熱硬化性樹脂をベースとしたフィルム形成バインダを含む。
【0073】
成分(A)は、例えば、(A1)1つ以上のフリーラジカルにより重合可能な二重結合を含有し及びさらに付加反応及び/又は縮合反応(例は上記で与えられている)に関して反応性である少なくとも1つの他の官能基を含有する化合物、(A2)1つ以上のフリーラジカルにより重合可能な二重結合を含有し及びさらに付加反応及び/又は縮合反応に関して反応性である少なくとも1つの他の官能基を含有し、付加的な反応性官能基は成分(A1)の付加的な反応性官能基を補う又はそれに対して反応性であるところの化合物、(A3)必要に応じて、フリーラジカルにより重合可能な二重結合に加えて存在する成分(A1)又は成分(A2)からの官能基に対し、付加反応及び/又は縮合反応に関して反応性である少なくとも1つの官能基を含有する少なくとも1種のモノマー、オリゴマー及び/又はポリマー化合物を含み得る。
【0074】
成分(A2)は、いずれの場合にも成分(A1)に対し反応性である又は該成分を補う基を有する。これに関連して、いずれの場合においても、1つの成分に異なる種類の官能基が存在し得る。成分(A3)において、付加反応及び/又は縮合反応に関して反応性であり及びフリーラジカルにより重合可能な二重結合に加えて存在する(A1)又は(A2)の官能基と反応し得る官能基を含有する、利用可能な更なる成分がある。成分(A3)は、フリーラジカルにより重合可能な二重結合を含有しない。(A1)、(A2)、(A3)のそのような組み合わせの例は、国際公開第99/55785号パンフレットにおいて見出し得る。
【0075】
好ましくは、成分(B)は、有機材料の質量に対して、0.01ないし20%、特に0.01ないし10%、例えば0.01ないし5%の量で有機材料に添加される。
【0076】
コーティング系は、海洋コーティング、木材コーティング、金属のための他のコーティング並びにプラスチック及びセラミックを覆うコーティングを含む。海洋コーティングの例は、不飽和ポリエステル、スチレン及び触媒を含むゲルコートである。
【0077】
コーティングは、例えばハウスペイント、又は他の装飾的もしくは保護的なペイントである。それは、セメント、コンクリート又は他の石作り(masonry)物品に塗布されるペイント又は他のコーティングであり得る。該コーティングは基礎又は土台に関して防水剤であり得る。
【0078】
抗菌性組成物は海洋用途及びプールエリアの近くでの使用を意図しているので、該組成物は階段、道及び手すりのためのコーティングを含む滑り止めコーティングに必要不可欠な要素であり得る。
【0079】
コーティング組成物は、スピンコーティング、浸漬コーティング、吹付けコーティング、ドローダウン(draw down)を含む、又はブラシ、ローラーもしくは他の塗布具による、いずれかの従来の手段によって表面に塗布される。乾燥又は硬化時間は典型的に必要とされる。含浸については、圧力含浸又は圧力適用無しの含浸を使用することも可能である。
【0080】
抗菌性組成物は、家具の艶出し剤のような艶出し剤、又はグリコールもしくは鉱油分散
液のような分散剤又は界面活性剤配合物又は例えば木材保護、紙又は厚紙(cardboard)の保護などに使用されるような他の配合物に必要不可欠の要素であり得る。
【0081】
有用な界面活性剤の例は、これらに限定されないが、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオエート(PST)、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレエート(PSH)、ポリオキシエチレン6トリデシルエーテル、ポリオキシエチレン12トリデシルエーテル、ポリオキシエチレン18トリデシルエーテル、トゥイーン(登録商標:Tween)界面活性剤、トリトン(登録商標:Triton)界面活性剤を含む、ポリオキシエチレンベースの界面活性物質、及びプルロニック(登録商標:Pluronic)及びポロキサマー(登録商標:Poloxamer)製品シリーズ(BASF社製)のようなポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーを含む。他の基質(matrix)形成成分は、デキストラン、線状PEG分子(MW500ないし5,000,000)、星形PEG分子、くし形及びデンドリマー状(dendrimeric)、ハイパーブランチPEG分子、並びに類似の線状、星、及びデンドリマーポリアミンポリマー、及び様々な炭酸、ペルフルオロ化(例えばデュポン社製、ゾニール(登録商標:Zonyl)フルオロ界面活性剤)及びシリコーン化(例えば、ジメチルシロキサン−酸化エチレンブロックコポリマー)界面活性剤(本発明のもの以外)を含む。
【0082】
本発明の抗菌性組成物の幅広い適用を考慮すると、該組成物は下記の材料のような、酸化防止剤、UV吸収剤、ベンゾフラノ−2−オン、ポリアミド安定剤、金属ステアレート、核剤、充填材、強化剤、潤滑剤、乳化剤、染料、顔料、分散剤、蛍光増白剤、流れ調整剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤、チキソトロープ剤、定着剤、光安定剤、硬化触媒、促進剤、阻害剤などのような1種以上の他の添加剤、又はそれらの混合物を含有し得る。
【0083】
1.酸化防止剤
1.1.アルキル化モノフェノール、
例えば2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノール
1.2.アルキルチオメチルフェノール、
例えば、2,4−ジオクチルチオメチル−6−第三−ブチルフェノール
1.3.ヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノン、
例えば、2,6−ジ−第三−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−第三−ブチルヒドロキノン、
1.4.トコフェロール、
例えば、α−トコフェロール
1.5.ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、
例えば、2,2’−チオビス(6−第三−ブチル−4−メチルフェノール)、
1.6.アルキリデンビスフェノール、
例えば、2,2’−メチレンビス(6−第三−ブチル−4−メチルフェノール)、
1.7.O−、N−及びS−ベンジル化合物
例えば、3,5,3’,5’−テトラ−第三−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル
1.8.ヒドロキシベンジル化マロネート
例えば、ジオクタデシル−2,2−ビス(3,5−ジ−第三−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロネート、
1.9.芳香族ヒドロキシベンジル化合物
例えば、1,3,5−トリス(3,5−ジ−第三−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、
1.10.トリアジン化合物
例えば、2,4−ビス(オクチルメルカプト)−6−(3,5−ジ−第三−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、
1.11.ベンジルホスホネート
例えば、ジメチル−2,5−ジ−第三−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、1.12.アシルアミノフェノール
例えば、4−ヒドロキシラウラニリド、
1.13.β−(3,5−ジ−第三−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステル、
1.14.β−(5−第三−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステル、
1.15.β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステル、
1.16.3,5−ジ−第三−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸と一価又は多価アルコールとのエステル、
1.17.β−(3,5−ジ−第三−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、例えば、N,N’−ビス(3,5−ジ−第三−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド
1.18.アスコルビン酸(ビタミンC)
1.19.アミン系酸化防止剤
例えば、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン
2.UV吸収剤及び光安定剤
2.1.2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール
例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2.2.2−ヒドロキシベンゾフェノン
例えば、4−ヒドロキシ誘導体、
2.3.置換された及び未置換の安息香酸のエステル
例えば、4−第三−ブチル−フェニルサリチレート、
2.4.アクリレート、
例えばエチルα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、
2.5.ニッケル化合物、
例えば2,2’−チオビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]のニッケル錯体
2.6.立体障害性アミン、
例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、
2.7.オキサミド、
例えば4,4'−ジオクチルオキシオキサニリド
2.8.2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
例えば2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン
3.金属奪活剤、
例えばN,N'−ジフェニルオキサミド、
4.ホスフィット及びホスホナイト
例えばトリフェニルホスフィット、
5.ヒドロキシルアミン、
例えばN,N−ジベンジルヒドロキシルアミン、
6.ニトロン
例えばN−ベンジル−アルファ−フェニルニトロン、
7.チオ相乗剤、
例えばジラウリルチオジプロピオネート、
8.過酸化物捕捉剤、
例えばβ−チオジプロピオン酸のエステル
9.ポリアミド安定剤、
例えば、沃化物及び/又は燐化合物と組み合わせた銅塩及び二価マンガン塩。
10.塩基性補助安定剤
例えばメラミン
11.核剤、
例えば滑石、金属酸化物のような無機物質、
12.充填材及び強化剤、
例えば炭酸カルシウム、珪酸塩
13.その他の添加剤、
例えば可塑剤、潤滑剤、乳化剤、顔料、レオロジー添加剤、触媒、流れ調整剤、蛍光増白剤、防炎加工剤、帯電防止剤及び発泡剤。
14.ベンゾフラノン及びインドリノン、
例えば米国特許第4,325,863号明細書;米国特許第4,338,244号明細書;米国特許第5,175,312号明細書;米国特許第5,216,052号明細書;米国特許第5,252,643号明細書;ドイツ国特許出願公開第4316611号明細書;ドイツ国特許出願公開第4316622号明細書;ドイツ国特許出願公開第4316876号明細書;欧州特許出願公開第0589839号明細書;欧州特許出願公開第0591102号;欧州特許出願公開第1291384号明細書に開示されたもの。
【0084】
付加的な添加剤は、例えば材料又は物品の総質量に関して、0.01ないし10%の濃度で添加される。
【0085】
成分(B)及び、必要に応じて、更なる添加剤の“バルク”ポリマー状有機材料への配合は、既知の方法によって、例えば成形前又は成形中にあるいは溶解した又は分散した化合物をポリマー状有機ポリマーに適用することによって、適切な場合、その後の溶媒の遅い蒸発を伴って行われる。成分(B)はまた、材料に、例えば5ないし50質量%の成分(B)を含有するマスターバッチもしくはコロイド状ゾル又はオルガノゾルの形態で添加し得る。
成分(B)はまた、重合前もしくは重合中に又は架橋前に添加し得る。
成分(B)は、それだけを材料中に配合する又はワックス、オイルもしくはポリマー中に封入し得る。
成分(B)はまた、材料上に粉末として吹付け又は適用し得る。
【0086】
上述のように処理された材料は、様々な形態で、例えばフィルム、繊維、リボン、成形材料、異形材(profile)、コーティングとして、又はペイント、接着剤もしくはセメントのためのバインダとして使用し得る。
【0087】
本発明の抗菌性(例えば、防汚)組成物は、コーティング又はフィルム、材料に混合するための組成物、及び/又は材料及び/又は製品を含浸するための組成物であり得る。抗菌性組成物が例えば接着剤の使用によって又はカレンダー加工及び同時押出を含む溶融塗布によって、表面に塗布される熱可塑性フィルムである場合、バインダはフィルムの製造に使用される熱可塑性ポリマー基質である。
【0088】
抗菌性組成物が例えばコーティングである場合、それは溶液又は懸濁液、ペースト、ゲル、オイルとして塗布し得、又はコーティング組成物は固体、例えば熱、UV光又は他の方法によってその後に硬化される粉末コーティングであり得る。本発明の抗菌性組成物はコーティング又はフィルムであり得るので、バインダはコーティング配合物又はフィルム製剤において使用されるあらゆるポリマーからなり得る。
【0089】
酸化合物又は酸化合物の混合物又はそのような酸もしくは混合物を含む組成物がコーティングとして又はバルクで適用し得るところの材料の例は、特に有機材料、好ましくは熱
可塑性、エラストマー性、本質的に(inherently)架橋されたもしくは架橋されたポリマーのようなポリマー(該ポリマーはそれらを含む又は特にそれらから成る物品の成形においても使用し得る)から作られた合成材料、又はそれらの前駆物質(モノマーのような)の混合物、特に下記に記載されるものからの合成材料であり、用語“合成ポリマー又はポリマー前駆物質を含む(特に合成ポリマー又はポリマー前駆物質から成る)材料”は特にアスタリスクの印のついた態様に関する。
【0090】
1.* モノオレフィン及びジオレフィンのポリマー、例えばポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリイソプレン又はポリブタジエン、並びにシクロオレフィンのポリマー、例えばシクロペンテン又はノルボルネンのポリマー;及びまたポリエチレン(所望により架橋され得る)、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度且つ高分子量ポリエチレン(HDPE−HMW)、高密度且つ超高分子量ポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、及び線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(VLDPE)及び(ULDPE)。
そのようなポリオレフィン、即ち、本段落の前記に例示したモノオレフィンのポリマー、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンは、異なる方法、例えば好ましくは下記の方法により製造することができる:
(i)ラジカル重合(通常、高圧及び高められた温度の下);又は
(ii)通常、周期律表の族Ivbm Vb、Vib又はVIIの1種以上の金属を含有する触媒を使用する触媒重合。これらの金属は、しばしば1種以上の配位子を有する。
2.* 1)で記述したポリマーの混合物、
3.*モノオレフィンとジオレフィンとの互いの又はその他のビニルモノマーとのコポリ
マー、例えばエチレン/プロピレンコポリマー。
4.* その水素化変性体(例えば粘着付与剤)を含む炭化水素樹脂(例えば炭素原子数5ないし9)及びポリアルキレンと澱粉との混合物。
*前記1.ないし4.からのホモポリマー及びコポリマーは、シンジオタクチック、ア
イソタクチック、ヘミ−アイソタクチック又はアタクチックを含むどのような立体構造を有していてもよく、アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーも含まれる。)
5.* ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)。
6.*スチレンを含むビニル芳香族モノマーから誘導された芳香族ホモポリマー又はコポ
リマー。ステレオブロックポリマーもまた含まれる。
6a.* 前述のビニル芳香族モノマー及びコモノマーを包むコポリマー
6b.*6)において記載したポリマーの水素添加から誘導された水素添加された芳香族
ポリマー
6c.*6a)において記載したポリマーの水素添加から誘導された水素添加された芳香
族ポリマー。
*ホモポリマー及びコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミ−ア
イソタクチック又はアタクチックを含む如何なる立体構造をも有していてよい;アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーもまた含まれる。)
7.*スチレン又はα−メチルスチレンのようなビニル芳香族モノマーのグラフトコポリ
マー、例えばポリブタジエンに対するスチレン、並びにそれらの6)において記載したコポリマーとの混合物
8.*ハロゲン含有ポリマー例えばポリクロロプレン、特にハロゲン含有ビニル化合物の
ポリマー、例えばポリ塩化ビニル、並びにそれらのコポリマー、例えば塩化ビニル/塩化ビニルデン、塩化ビニル/酢酸ビニル又は塩化ビニリデン/酢酸ビニルコポリマー。
9.*α,β−不飽和酸及びその誘導体から誘導されたポリマー例えばポリアクリレート
及びポリメタクリレート。
10.*9)において記載したモノマーの互いの又はその他の不飽和モノマーとのコポリ
マー、例えばアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー。
11.*不飽和アルコール及びアミン又はそのアシル誘導体又はそのアセタールから誘導
されたポリマー、例えばポリビニルアルコール;並びに上記1)において記載したオレフィンとのそれらのコポリマー。
12.*環状エーテルのホモポリマー及びコポリマー、例えばポリアルキレングリコール
、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド又はそれらのビスグリシジルエーテルとのコポリマー。
13.*ポリアセタール、例えばポリオキシメチレン及びコモノマーとしてエチレンオキ
シドを含有するポリオキシメチレン;熱可塑性ポリウレタン、アクリレート又はMBSを用いて変性されたポリアセタール。
14.*ポリフェニレンオキシド及びスルフィド、並びにポリフェニレンオキシドとスチ
レンポリマー又はポリアミドとの混合物。
15.*一成分としてのヒドロキシル基で末端閉鎖されたポリエーテル、ポリエステル又
はポリブタジエンと、他成分としての脂肪族又は芳香族ポリイソシアネートとから誘導されたポリウレタン、並びにその先駆物質。
16.*ジアミン及びジカルボン酸から、及び/又はアミノカルボン酸又は対応するラク
タムから誘導されたポリアミド及びコポリアミド、例えばポリアミド4、ポリアミド6、及びまた、前記ポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、イオノマー又は化学的に結合された若しくはグラフトされたエラストマーとのコポリマー;又はポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコールとのコポリマー;並びにEPDM又はABSを用いて変性されたポリアミド又はコポリアミド;及び加工中に縮合されたポリアミド(RIM−ポリアミド系)。
17.*ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリエーテルイミド、ポリエステ
ルイミド、ポリヒダントイン及びポリベンズイミダゾール。
18.*ジカルボン酸及びジオールから、及び/又はヒドロキシカルボン酸又は対応する
ラクトンから誘導されたポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、並びにヒドロキシル基により末端閉鎖されたポリエーテルから誘導されたブロックコポリエーテルエステル;及びまたポリカーボネート又はMBSを用いて変性されたポリエステル。
19.*ポリカーボネート及びポリエステルカーボネート。
20.*ポリケトン。
21.*ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルケトン。
22.*一成分としてのアルデヒドと他成分としてのフェノール、尿素及びメラミンとか
ら誘導された架橋ポリマー、例えばフェノール/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂及びメラミン/ホルムアルデヒド樹脂。
23.*乾性及び非乾性アルキド樹脂。
24.*飽和及び不飽和ジカルボン酸と多価アルコールと架橋剤としてのビニル化合物と
からのコポリエステルから誘導された不飽和ポリエステル樹脂、及びまた低燃性のそのハロゲン含有変性体。
25.*置換アクリレート、例えばエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート又はポ
リエステルアクリレートから誘導された架橋性アクリル樹脂。
26.*メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネ
ート又はエポキシ樹脂を用いて架橋されたアルキド樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリレート樹脂。
27.*脂肪族、脂環式、複素環式又は芳香族グリシジル化合物から誘導された架橋エポ
キシ樹脂。
28.*天然ポリマー、例えばセルロース(天然に存在しないそして紙以外の分離又は精
製形態にある、例えば織編用糸又は織物の形態にある場合を除き、合成ポリマーから作られた材料又は物品のコーティング又は含浸だけが言及される場合は除かれる)、又はゴム、ゼラチン及び化学的に変性されたそれらの同種の誘導体。
29.*2種以上の上述のポリマーのブレンド(ポリブレンド)。
30.*2種以上の上述のポリマーのブレンドのプレポリマー状モノマーもしくはオリゴ
マー。
31.*天然ゴム及び/又は好ましくは*合成ゴムの水性エマルジョン、例えば天然ラテックス又は好ましくはカルボキシル化スチレン/ブタジエンコポリマーのラテックス。
【0091】
他の材料は以下のものである。
32.純モノマー化合物又はそのような化合物の混合物である天然の及び合成*有機材料

33. 希釈剤、反応性(例えば、架橋)希釈剤における又は重合可能なもしくは架橋モ
ノマーにおける、又はそれらすべての混合物における、コロイド状ナノ粒子の安定な液体懸濁液としての、ゾル、特に有機ゾル。
【0092】
“他のモノマー化合物”は、例えば、薬剤(キャリア材料を伴う又は伴わないで)もしくは他のより小さな、例えば2000まで、好ましくは1000以下の相対分子量を有する非ポリマー化学材料の粉末、分散液又は溶液のような、非ポリマー材料を言及し得る。
【0093】
コート(積層化を含む)される及び/又は含浸された表面は、生物付着条件にさらされるいずれかの基材(本明細書中で用いられた材料又は製品についての他の用語)の表面である。該基材は、例えば金属又は合金をベースとした、無機又は有機基材;上述されたような熱可塑性、エラストマー状、本質的に架橋された又は架橋されたポリマー;木材又はゴムのような天然ポリマー;セラミック材料;ガラス;糸;不織布材料(例えばPP不織布のような、おむつ用のものなど);紙;皮又は他の織物(textile)(例えば綿、ウール、ラテックス及び又は合成繊維からの、例えば衣料用、工業用途用、キャンバス用など)であり得る。
【0094】
式IIIで表される1種以上の酸を有する組成物は、好ましくは布地(fabric)又は紙以外の材料に適用される。
【0095】
基材は、例えば、シリカ、二酸化シリコン、酸化チタニウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、炭素、シリコン、様々なシリケート及びゾル−ゲル、石材(masonry)のような非金属無機表面、並びにガラス繊維及びプラスチック用材(ポリマー及びかんな屑、木粉又は他の木材粒子のブレンド)のような複合材料であり得る。
【0096】
無機又は有機基材は、例えば、金属又は合金、熱可塑性ポリマー、エラストマー状ポリマー、本質的に架橋された又は架橋されたポリマー、セラミック材料又はガラスである。
【0097】
基材は、それぞれの層において同一又は異なる成分から構成された多層物品であり得る。コートされた、積層された及び/又は含浸された表面は、既に適用されたコーティング又は積層体の露出した表面であり得る。
【0098】
コートされた(この用語は積層されることを含む)及び/又は含浸された無機又は有機基材は、あらゆる固体形態であり得る。
【0099】
例えば、ポリマー基材はフィルム、射出成形物品、押出加工物、繊維、フェルト、不織布又は織布の形態にあるプラスチックであり得る。
【0100】
例えば羽目板、看板(fascia)及びメールボックスのような耐久財の作成又は製造において使用される成形又は押出ポリマー物品は全て、安定剤補充のための本発明の方法により益を得る。
【0101】
本発明に従う使用又は方法により益を得るプラスチックは、これらに限定されないが、屋外用家具、ボート、羽目板、屋根材、窓ガラス(glazing)、保護フィルム、デカルコマニア、シーリング材、プラスチック用材及び繊維強化複合材のような複合材、ディスプレイに使用されるフィルムを含む機能性フィルム並びに
ほろのような合成繊維から作られる物品、キャンバス又は帆に使用されるような布地及び屋外用マットのようなゴム物品及びこの開示に引用される他の使用を含む耐久財又は機械部品の作成又は製造に使用されるプラスチックである。そのようなプラスチックの例は、ポリプロピレン、ポリエチレン、PVC、POM、ポリスルホン類、スチレン類、ポリアミド類、ウレタン類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、アクリル類、ブタジエン、熱可塑性ポリオレフィン類、アイオノマー類、不飽和ポリエステル並びにABS、SAN及びPC/ABSを含むポリマー樹脂のブレンドである。
【0102】
本発明はまた、本発明に従う酸化合物がコーティング配合物又はフィルムに配合され、該配合物又はフィルムは続いて物品の表面に適用されるところの、表面及び/又は材料の生物付着を防ぐ方法を提供する。
【0103】
本発明の抗菌性組成物の用途の例は、損傷を受け易い(vulnerable)表面、例えば船殻、船渠表面又は循環又は通過水システムにおける配管内部、雨水に曝される壁、シャワーの壁、屋根、樋、プールエリア、サウナ、浴室又はガレージのような湿潤環境に曝される床及び壁、道具箱(housing of tools)及び屋外用家具、に適用される、表面コーティング、保護ペイント、含浸組成物、他のコーティング及び積層材である。
【0104】
例えば、本発明の抗菌性組成物は、中でも、艇殻、船渠、ブイ、ドリリングプラットホーム、ヴァラストウォータータンク、機械、機械部品、レクリエーション用品、空気調和装置システム、イオン交換装置、プロセス水システム、他の工業用水システム、太陽電池装置、熱交換器、排水ポンプ、排水システム、屋根材、地下室(basement)、壁、壁面、温室、納屋(shed)、保管場所、ほろ、庭用柵材、木材保護、テント屋根材、布地、屋外用家具、ドアマット、公衆トイレ、浴室、シャワー、水泳プール、サウナ、接合材、シーリング化合物、公的輸送機関、ロッカールームなどの表面上及び/又はそれらの材料中において見出される。
【0105】
プロセス水は、閉じた又は開いた循環システムにおける加熱又は冷却目的で使用されるあらゆるプロセス水流を含む。
【0106】
微生物及び生物によるコロニー形成に対して作用するために、本発明に従う酸化合物又は抗菌性微生物は、もう一つの方法として又はコーティングに及び/又は含浸に使用することに加えて、製品又は物品を形成するために使用される材料又は中間製品に、例えばオリゴマー−及び又はプレポリマー混合物又は溶融物(押出又は成形のための)に又は天然もしくは特に合成材料から物品を形成するために使用される成分に、又は例えばプレスボード又は擬プレスボードの製造において木材又は他のチップを接着するために使用されるにかわ又は他の接着材料に、接着剤、セメント又は他のモルタルもしくはコンクリート成分に、モルタルに、樹脂に、溶液などに混合され得る。
【0107】
以上の記載で、酸、酸化合物、酸化合物混合物、組成物などが言及される場合、特に式I又はIIで表される酸化合物を含むそのような組成物又は試剤の対応する使用、方法又は使用のプロセスも含まれる。
【0108】
本発明に従う抗菌剤は、特にそれらの抗菌又は防腐効果を利用するために、さらにまたそれらの抗付着効果が理由で、抗菌性製剤として以下にまとめて記載される、化粧品配合
物、ホームケア組成物又は医薬品組成物における抗菌剤としてもまた適する。例えば、硬表面の洗浄及び消毒並びに液体洗剤及び柔軟剤のような布地ケア用途のためのホームケア用途における、又は化粧品配合物もしくは医薬品組成物における、消臭剤、皮膚、毛髪及び口腔ケア製品並びに洗い流す製品のような抗菌剤化粧用パーソナルケア用途。いずれの場合にも、抗菌性製剤は、本発明に従う抗菌剤に加えて、1種以上の更なる抗菌剤を含み得る。
【0109】
抗菌性製剤は、慣用の方法を使用して抗菌剤と補助剤とを物理的に混合することによって、例えば個々の成分を一緒に単に攪拌することによって、特に既知の抗菌剤の溶解性を利用することによって製造され得る。
【0110】
抗菌性製剤、特に化粧品配合物又は医薬品組成物は、通常、本発明に従う酸化合物又は酸化合物混合物0.01ないし40質量%を含有する。極めて好ましいのは、0.01ないし5質量%の量である。
【0111】
本発明において付加的に使用し得る更なる抗菌剤は、当業者に既知である。
【0112】
キレート剤との組み合わせもまた、本発明の抗菌剤の抗菌活性を改善し得る。
【0113】
本発明の抗菌性製剤は、さらに約0.05質量%ないし約10質量%のアニオン性界面活性剤を含み得る。
【0114】
本発明の組成物に有用なアニオン性泡立て(lathering)界面活性剤の限定的では無い例は、The Manufacturing Confectioner Publishing Co.刊行,北米版(1990),McCutcheon’s,Detergents and Emulsifiers
;北米版(1992),McCutcheon’s,Functional M
aterials;及び1957年12月30日に発行されたLaughlin等の米国特許第3,929,678号明細書において開示され、それらの全ては参照することによって組み込まれる。
【0115】
本発明の抗菌性製剤は、更に非イオン性界面活性剤を含み得る。典型的な非イオン性界面活性剤は、酸化エチレンと、それに対し反応性の、長い疎水性鎖を有する様々な反応性水素含有化合物との縮合生成物である。
【0116】
本発明の抗菌性製剤はまた、プロトン供与剤、最も好ましくは約1質量%ないし約5質量%、を含み得る。
【0117】
本発明の抗菌性製剤に要求される低刺激性(mildness)をもたらすために、皮膚に対する低刺激性を高めるための所望による原料が使用され得る。これらの原料は、カチオン性及び非イオン性ポリマー、補助界面活性剤(co−surfactant)、保湿剤並びにこれらの混合物を含む。
【0118】
他の低刺激性エンハンサー類は、親油性皮膚保湿剤が使用者の皮膚に塗られた場合、使用者に保湿のメリットを与える脂質皮膚保湿剤である。抗菌性パーソナル洗浄組成物に親油性皮膚保湿剤が使用される場合、それらは最も好ましくは組成物の約0.5質量%ないし約5質量%のレベルで用いられる。
【0119】
多種多様な脂質系材料及び材料の混合物が、本発明の抗菌性製剤における使用に適する。好ましくは、親油性皮膚調整剤は炭化水素油又はワックス、シリコーン、脂肪酸誘導体
、コレステロール、コレステロール誘導体、ジ−及びトリ−グリセリド、植物油、植物油誘導体、1971年8月17日に発行されたマットソンの米国特許第3,600,186号明細書、並びに1977年1月25日に発行されたジャンダセック(Jandacek)等の米国特許第4,005,195号明細書及び第4,005,196号明細書に記載されるもの(前記文献の全てが参照することによって本明細書に組み込まれる。)のような液体非消化性油(liquid nondigestible oil)、又は1989年1月10日に発行されたジャンダセック(Jandacek)の米国特許第4,797,300号明細書;1994年4月26日に発行されたレトン(Letton)の米国特許第5,306,514号明細書、第5,306,516号明細書及び第5,306,515号明細書に記載されるもの(前記文献の全てが参照することによって本明細書に組み込まれる。)のような液体消化性又は非消化性油と固体ポリオールポリエステルとのブレンド、及びアセトグリセリドエステル、アルキルエステル、アルケニルエステル、ラノリン及びその誘導体、牛乳のトリグリセリド(milk tori−glyceride)、ワックスエステル、蜜ろう誘導体、ステロール、リン脂質及びこれらの混合物からなる群から選択される。脂肪酸、脂肪酸石けん及び水溶性ポリオールは、特に親油性皮膚保湿剤の我々の定義から除外される。
【0120】
親油性皮膚保湿剤が、本明細書の抗菌性製剤において低刺激性エンハンサーとして用いられる場合、好ましくは抗菌性製剤の約0.1質量%ないし約5質量%のレベルで安定剤も含まれ得る。本明細書で使用される安定剤は界面活性剤ではない。安定剤は、改善した貯蔵及び応力安定性をもたらす。
【0121】
本発明の抗菌性製剤は、広範囲の所望な原料を含み得る。本明細書中に参照することにより援用されるCTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary、第6版、1995年は、本発明の抗菌性製剤における使用に適する、スキンケア産業において通常使用される多種多様な限定的ではない化粧品及び医薬品原料を記載する。機能性の種類の成分の非限定的な例は、この文献の537頁に記載されている。
【0122】
これらの機能性の種類のものの例は、研磨剤、抗アクネ剤(anti−acne agent)、凝結防止剤、酸化防止剤、バインダ、生物添加剤(biological additive)、増量剤、キレート剤、化学添加剤、着色材、化粧品用収斂剤(cosmetic astringent)、化粧品用殺生剤(cosmetic biocides)、変性剤(denaturant)、薬用収斂剤(drug astringent)、乳化剤、外用鎮痛薬、塗膜形成剤、芳香成分(fragrance component)、湿潤剤、乳白剤、可塑剤、防腐剤、液体発泡剤、還元剤、皮膚漂白剤(skin bleaching agent)、皮膚調整剤(皮膚軟化剤、湿潤剤、その他、及び閉鎖剤(occlusive))、皮膚保護剤、溶媒、気泡増進剤(foam booster)、ヒドロトロープ、可溶化剤、沈殿防止剤(非界面活性剤)、日焼け防止剤、紫外線吸収剤、及び粘度増加剤(水性及び非水性)を含む。当業者によく知られている、ここで有用な他の機能性の種類の材料の例は、可溶化剤、金属イオン封鎖剤、及び角質溶解剤などを含む。
【0123】
本発明の抗菌剤は、原料として多種多様な化粧品製剤に使用し得る。例えば、特に1種以上の下記製剤が考えられる:スキンケア製剤、浴用製剤(bath preparation)、化粧用パーソナルケア製剤、フットケア製剤;光保護製剤、スキンタンニング製剤(skin−tanning preparation)、脱色製剤(depigmenting preparation)、防虫剤(insect−repellent)、消臭剤、制汗剤、傷ついた(blemished)皮膚のための洗浄及びケア用調製剤、化学形態にある脱毛製剤(脱毛)、シェービング製剤、芳香製剤又は化粧用ヘアトリ
ートメント製剤など。
【0124】
最終配合物は、多種多様な存在形態で、例えばW/O、O/W、O/W/O、 W/O/W又はPITエマルジョン及び全ての種類のミクロエマルジョンのような液体製剤の形態で、ゲル、オイル、クリーム、ミルクもしくはローション、粉末、ラッカー、タブレットもしくはメーキャップ、スティック、スプレーもしくはエアゾール、泡、又はペーストの形態で存在し得る。
【0125】
本発明の抗菌剤(特に本明細書において新規であると記載されるもの又は定義された但し書き付きでのそれらの使用(の方法)に関して)は、また口腔細菌に対して、及び歯垢防止効果、歯肉炎防止作用を改善するために、及び歯周炎(paradontitis)を減らす助けをするために使用し得る。
【0126】
活性は、2,4,4’トリクロロ2’−ヒドロキシジフェニルエーテルのような例えばクロルヘキシジン又はフェノール系物質のような他の抗菌作用剤又は歯垢防止及び歯肉炎防止作用剤との組み合わせによって改善し得る。
【0127】
単独で又は1種以上の上記抗菌剤及び歯垢防止剤と組み合わせた本発明の抗菌剤を含有する典型的な口腔製剤は、例えばマウスリンス(mouthrinse)、歯磨き粉又はゲル歯磨き剤のような半固体、チューインガム又は固体ロゼンジなどである。
【0128】
さらに、口腔組成物は、艶出剤、湿潤剤、水、天然又は合成増粘剤又はゲル化剤、エタノール又はイソプロパノールのようなアルコール、カチオン系、アニオン系又は非イオン系であり得る有機界面活性剤、香料剤、甘味剤、歯覚過敏(teeth sensitivity)を軽減するために使用される薬剤、過酸化尿素及び過酸化水素のような白色剤、安息香酸ナトリウムのような防腐剤、虫歯に対して保護するためのフッ化物イオンを放出する物質、及び/又はクロロフィル化合物及び/又はウレア、リン酸二アンモニウム及びそれらの混合物のようなアンモニアと化合した化合物のような他の薬剤を含み得る。
【0129】
抗細菌促進剤(antibacterial enhancing agent)が、口腔組成物に含まれ得る。
好ましくは、抗細菌促進剤は、繰り返し単位を鎖又は主鎖中に含有する非イオン性ポリマーであって、該繰り返し単位の各々が、好ましくは、少なくとも1つの炭素原子と、前記鎖中の原子、好ましくは炭素原子に二重に、隣接して、又は余り好ましくないその他の状態で結合した、好ましくは少なくとも1つの直接的に或いは間接的に垂れ下がった一価のデリバリー増強基(delivery−enhancing group)及び好ましくは少なくとも1つの直接的に或いは間接的に垂れ下がった一価のリテンション増強基(retention−enhancing group)とを含有する、非イオン性ポリマーであり得る。
【0130】
本発明の抗菌剤は、また特にこれらの使用に関する但し書きを考慮のもと洗濯洗剤及び/又は布地ケア組成物を添加剤として使用し得る。本発明の洗濯洗剤及び/又は布地ケア組成物は、好ましくは更にカチオン系、アニオン系及び/又は非イオン系界面活性剤、及び/又は漂白剤から選択される洗剤原料を含む。
【0131】
本発明に従う抗菌性洗濯洗剤及び/又は布地ケア組成物は、液体、ペースト、ゲル、棒(bar)、タブレット、スプレー、泡、粉末又は顆粒形態であり得る。顆粒状組成物は、また“圧縮”形態であり得、液体組成物はまた“濃縮”形態であり得る。
【0132】
本発明の組成物は、例えば、手及び機械洗濯洗剤組成物として調合し得る。
【0133】
洗濯機洗浄方法における使用に適する組成物として調合される場合、本発明の洗濯洗剤及び/又は布地ケア組成物は、好ましくは界面活性剤及びビルダー(builder)化合物の両方並びに付加的に好ましくは有機ポリマー化合物、漂白剤、付加的な酵素、泡抑制剤(suds suppressors)、分散剤、ライム石鹸(lime−soap)分散剤、土壌懸濁液及び再付着防止剤及び腐食防止剤から選択される1種以上の洗剤成分を含む。洗濯組成物は、また付加的な洗剤成分として柔軟剤も含有し得る。
【0134】
本発明の洗濯洗剤及び/又は布地ケア組成物は、また通常使用され、ジ−長鎖アルキル塩化アンモニウム又は硫酸メチルを有する、不水溶性第四級アンモニウム布地柔軟作用剤又は対応するアミン前駆物質を含むカチオン系布地柔軟成分を含有し得る。
【0135】
本発明の洗濯洗剤及び/又は布地ケア組成物は、また両性、両性イオン性、及び半極性界面活性剤を含有し得る。
【0136】
洗濯洗剤及び/又は布地ケア組成物は、さらに洗浄性能、布地ケア及び/又は衛生化の利益をもたらす1種以上の酵素を含み得る。本発明に従う抗菌性洗濯洗剤組成物は、更にビルダー系を含み得る。あらゆる従来の原材料系が本明細書での使用に適する。本明細書での抗菌性洗濯洗剤及び/又は布地ケア組成物は、また所望により1種以上の鉄及び/又はマンガンキレート剤を含有し得る。
【0137】
ここでの抗菌性洗濯洗剤組成物は、また水溶性メチルグリシン二酢酸(MGDA)塩(又は酸形態)を、例えばゼオライト、層状シリケートなどのような不溶性ビルダーとともに有用なキレート剤又はコビルダーとして含有し得る。
【0138】
他の所望による原料は、シリコーン及びシリカ−シリコーン混合物により例示される泡抑制剤である。
【0139】
土壌懸濁剤、汚れ剥離剤(soil−release agent)、蛍光増白剤、研磨剤、殺菌剤、曇り防止剤、着色剤、及び/又はカプセル化もしくは非カプセル化香料が用いられ得る。
【0140】
本発明の洗濯洗剤及び/又は布地ケア組成物はまた、分散剤を含有し得る:適する水溶性有機塩は、ポリカルボン酸が2個以下の炭素原子によって互いに分かれた少なくとも2個のカルボキシル基を含むところの、ホモ−もしくはコ−ポリマー酸又はそれらの塩である。
【0141】
本発明の洗濯洗剤及び/又は布地ケア組成物は、また着色された布地を含む布地洗濯操作の間に直面する可溶化及び懸濁された染料の一方の布地から他方への染料移動を抑止するための化合物を含む。
【0142】
本発明に従う抗菌剤はまた織物に適用され得、適用処理は織物の染色前、染色の間又は染色後(後処理として)に行われ得る。抗菌剤の適用は、例えば、吸尽(exhaustion)プロセス、パジング、吹付けによって、及び泡適用によって行い得る。
【0143】
本発明に従う抗菌剤は、水性配合物として希釈、可溶化、乳化又は分散形態で塗布され得る。
【0144】
そのような水性配合物は、付加的に少量の有機溶媒、界面活性剤、分散剤、及び/又は乳化剤を含み得る。
【0145】
パジングは、従来のパジングプロセスに従い行われ得る。例えば、織物材料は抗菌剤を含む水溶液に通され、該織物材料は規定の液体ピックアップ率まで絞られそして次に固定工程、好ましくは熱処理が行われる。
【0146】
水性液(パディング液)における本発明に従う抗菌剤の量は、通常0.001質量%ないし10質量%であり、0.01質量%ないし5質量%の抗菌剤の量
が好ましい。
【0147】
固定工程は、通常熱処理によって、例えば60ないし150℃、特に90ないし150℃の温度で行われる。
【0148】
パジングプロセスは、通常、織物材料が連続的に抗菌剤を含有する水性液に通される連続プロセスとして行われる。
【0149】
吸尽プロセスに従う抗菌剤の適用は、通常、2ないし9、4ないし7のpH値、並びに50ないし100℃及び特に80ないし100℃の温度で水性液から行われる。選択される液比は、広い範囲内、例えば1:5ないし1:50、好ましくは1:5ないし1:30で変わり得る。
【0150】
抗菌剤が染浴に使用されるところの量は、広い制限内で変わり得る;処理されるべきものに基づき、0.01ないし10質量%、特に0.01ないし5質量%の量が一般的に有利であると分かった。
【0151】
吹付けは、従来の吹付けプロセスに従い行われ得る。これらのプロセスによれば、本発明に従う抗菌剤を含む水性液が織物材料上に吹付けられる。水性液中の抗菌剤の量は、通常、水性液の質量に基づき、0.001質量%ないし10質量%、特に0.01質量%ないし10質量%である。0.1質量%ないし10質量%の抗菌剤の量が好ましい。そのような吹付けプロセスは、特に抗菌剤をカーペットのような織物材料に適用するのに適する。そのような好ましいプロセスによれば、複数の吹付けノズルが、例えばカーペットの、動く方向に対して横向きの吹付け線に配列される。抗菌剤は、吹付けノズルによって、例えば圧力によって水性液として適用される。
【0152】
吹付け後、通常、固定工程が、パジングプロセスための上述のような熱処理によって行われる。
【0153】
吹付けはまた、ソファ又は靴のような、革を含む織物材料の表面に水溶液の形態で抗菌剤を適用するために使用され得る。
【0154】
本発明に従う抗菌剤はまた、泡適用によって織物材料に適用され得る。この適用に関しては、吹付けプロセスのための上記条件及び上記に与えられた選好の全てがあてはまる。しかしながら、本発明に従う抗菌剤は、通常、付加的に泡安定剤を含有し及び他の慣用の添加剤を含み得る水性泡の形態で適用される。そのようなプロセスはまた、特にカーペットを処理するために適する。
【0155】
吸尽、パジング、吹付け又は泡適用は、染料と一緒に織物材料に抗菌剤を適用することによって(例えば染色プロセスにおいて)又は仕上げ工程のような、他の織物に関するプロセスにおいて行われ得る。染料の存在下、抗菌剤を用いた処理を行うことが好ましい。
【0156】
これらのプロセスが染料の存在無しで行われる場合、仕上げ工程で抗菌剤を適用するこ
とが好ましい。
【0157】
織物産業で通常使用される一部のポリマー状及びオリゴマー状物質の使用は、望ましい抗菌効果の持続性を更に改善するための助けとなり得る。そのような物質は、これらに限定されないが、様々な織物材料に簡単なケア及び/又は他の特性をもたらす樹脂仕上げ剤、柔軟剤、コーティング材料、固定剤及び/又は親水性及び疎水性の薬剤、難燃剤等のような他の仕上げ剤を含む。経済性及び加工利便性の観点から、抗菌処理が織物産業に見出される多くの他の異なるタイプの処理と一緒に行われることは言うまでもない。
【0158】
本発明に従う抗菌剤の適用はまた、染色プロセスにおいて行われ得る。そのようなプロセスに対して、上記条件及び選好があてはまる。適する染料は、分散染料、塩基性染料、酸性染料、直接染料又は反応性染料である。反応性染料は、特に天然ポリアミド−又はセルロース−含有織物材料に適する。直接染料は、特にセルロース−含有織物材料に適する。前記染料は、アクリドン、アゾ、アントラキノン、クマリン、ホルマザン(formazane)、メチン、ペリノン、ナフトキノン−イミン、キノフタロン、スチリル又はニトロ染料を含む、異なる染料類に属し得る。
【0159】
染色プロセスにおいて抗菌剤を使用する場合、織物材料がそれらの化合物で初めに処理されそして次に染色が行われる又は、好ましくは織物材料が抗菌剤と染料で同時に処理されるという手順であり得る。しかしながら、抗菌剤の適用はまた、前もって準備された染色に引き続いてなされ得る。
【0160】
本発明に従う抗菌剤の適用を含む染色プロセスの後、織物材料は上記の熱処理のような固定工程を受けさせられ得る。
【0161】
抗菌剤で処理され得る織物材料は、例えば、天然又は合成ポリアミド(羊毛、絹、ナイロンのような)、ポリウレタン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル及び全ての種類のセルロース含有織物材料、例えば綿、リネン、ジュート及び麻のような天然セルロース繊維、及びまたビスコースステープル繊維及び再生セルロース;又はポリアクリロニトリル/ポリエステル、ポリアミド/ポリエステル、ポリエステル/綿、ポリエステル/ビスコース及びポリエステル/羊毛のような上記繊維材料のブレンドを含む材料である。
【0162】
好ましい織物材料は、羊毛、合成ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びセルロース含有織物材料、好ましくは綿又は羊毛及び特に綿を含むものである。
【0163】
織物材料は、織物もしくは編物のような又は反物例えばニットグッズ(knitgoods)、不織布(nonwoven textile)、カーペット、糸及びステープルファイバーのような、異なる提示形態であり得る。
【0164】
処理された布地又は処理された材料から作られる製品について、多数の最終使用物品の名を挙げ得る。例は、カーペット及びラグ、ピロケース、ベッドの裏地、ベッドのシーツ、マットレス(matrices)及びマットレス表がわ(matrices ticking)、カーテン、羽毛布団及び羽毛布団ケース、椅子張り、靴下及び被服を含むがこれらに限定されるものではない。
【0165】
本発明の酸化合物の抗菌性及び(特に生物、特に微生物によるコロニー形成に関して)抗付着性は、標準的な手順に従い、例えば実施例において言及される方法によって測定し得る。そのような試験は、本発明に従う酸化合物の優れたないし非常に優れた抗菌活性を
示す。
【0166】
本発明の好ましい態様:
本発明は、好ましくは1つ以上のより一般的な定義又は記号が上記又は下記に与えられるより具体的な定義によって置き換えられるところの態様に関する。
【0167】
好ましくは、本発明は式IIIで表される酸化合物又は式IIIで表される複数の酸化合物のみが抗菌効果(すなわち、抗菌剤)をもたらすために存在するところの本明細書で言及されている使用、方法又はプロセスに関する。
【0168】
同様に好ましくは、式IIIで表される酸だけを有する酸化合物の場合、その使用は医薬品への添加に限定される。
【0169】
式IIで表される酸だけを有する酸化合物の場合、そのプロセス、方法又は使用は、好ましくは抗菌及び/又は防腐効果をもたらすために、より好ましくは抗菌効果をもたらすために制限され得る。
【0170】
式IIIで表される酸は、好ましくは皮、皮膚、毛髪、歯、布地及び紙、コーティング、無機材料、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂及び化粧品に適用されない。式IIで表される酸は、コーティング、無機材料、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂及び化粧品に適用されない。
【0171】
Q官能基の一部としてP(O)(OH)2を有する酸、並びに対応する酸及びそれらを
含む組成物が、特に好ましい。
【0172】
本発明はまた好ましくは、本発明に従う式I、II及び/又はIIIで表される酸の好ましい態様に該当するそのような酸、好ましくは1種以上の他の添加剤、を含む組成物、好ましくは上述の組成物に関する。
【0173】
本発明はまた、特に好ましい実施態様或いは(特に従属の)請求項において抗菌剤として記載の本発明の好ましい酸化合物を含む本発明に従う組成物に、及び/又は、本発明に従う組成物又は酸化合物を材料或いは製品又は物品に適用することを含む、特に本明細書或いは(特に従属の)請求項に記載の本発明の好ましい酸化合物の、又は特に本明細書或いは(特に従属の)請求項に抗菌剤として記載の本発明の好ましい酸化合物を含む組成物の、本発明に従う使用(又は使用方法)に関する。必要であれば、続いて成形、硬化などの更なる工程を行い得る。適用は、適用すること以外は完成された製品の、中間製品及び/又は材料の含浸によっても行い得る。
【0174】
本発明は、参照することによって本明細書に組み込まれるところの、特に請求項において、特に従属請求項において与えられるプロセス、方法、使用、酸化合物及び組成物、及び/又は実施例において与えられる新規なプロセス、方法、使用、酸化合物及び組成物に言及する。
【実施例】
【0175】
下記の実施例は、範囲を制限することなく本発明を説明する:
パーセンテージが与えられる場合は、質量パーセントを指す。
【0176】
【表1】

【表2】

【0177】
実施例の化合物は、下記のように製造される:
実施例1:
【化13】

トルエン10mL中テトラメチルシクロテトラシロキサン3.12g(13mmol)の溶液を、80℃でトルエン10mL中アリルコハク酸無水物8.74g(62mmol)及び一滴のカールシュテット(Karstedt)触媒(ジ−プラチナム−トリス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)触媒)溶液にゆっくり滴下した。次に反応混合物を12時間90℃に保持した。溶媒の蒸発後、少なくとも12時
間80℃/10−2mbarで混合物を加熱することによって過剰の無水物を除去した。
その後の反応生成物の加水分解のために、結果として生じた粘性の油をトルエン10mL中に溶解し、そして水5mLで12時間還流した。共弗蒸留後、反応生成物(化合物実施例1)を高い粘性の油として得た。
実施例1の生成物性状:1H−NMR(DMSO−d6[ppm]):0.20(s,3H,SiCH3),0.50(m,2H,SiCH2),1.20−1.65(m,4H,CH2CH2),2.30−2.70(m,3H,COCHCH2CO),11.9(s,
2H,COOH);LC/ESMS m/z[M−1]=872
【0178】
実施例2:
【化14】

トルエン5mL中テトラメチルシクロテトラシロキサン2.41g(10mmol)溶液を、トルエン10mL中アリルホスホン酸ジエチルエステル7.13g(40mmol)及び3滴のカールシュテット触媒溶液に90℃でゆっくり滴下添加した。反応混合物を次に16時間90℃に保持した。溶媒の蒸発後、更に手を加えることなく残留物を次の反応に使用した。
エステル開裂のために、先に得られたエステル4.77g(5mmol)を乾燥アセトニトリル5mL中に溶解し、ブロモトリメチルシラン7.66g(50mmol)を添加し、そして混合物を室温で24時間攪拌した。揮発性物の除去後、残留物をメタノール中で1時間還流し、溶媒の除去後ライトブラウン粉末として生成物を得た。
実施例2の生成物性状:1H−NMR(アセトン−d6,[ppm]):0−0.2(
m,3H,CH3),0.5−0.7(m,2H,SiCH2),1.45−1.85(m,4H,CH2),10.4(s,2H,POH)
【0179】
実施例3:
実施例3の化合物を、テトラメチルシクロテトラシロキサンとメチルペンテン酸エチルエステルとの加水分解によって及びその後の希塩酸とのエステル加水分解によって実施例1と同様に製造した。
実施例3の生成物性状:1H−NMR(アセトン−d6[ppm]):−0.05−0.05(m,3H,SiCH3),0.45(m,2H,SiCH2),1.00(d,3H,CH3),1.35/1,60(m,4H,CH2CH2),2.30(m,1H,CH)
【0180】
実施例4及び5の化合物を前述の実施例において記載された方法と同じように又は本明細書に記載される方法によって製造した。
【0181】
化合物の抗菌活性:
実施例6:殺菌剤の使用及び活性:
カルボキシル基を有する異なるアニオン性シロキサンの殺菌活性を、欧州標準EN1040に従い試験した。約107cfu/mL(cfuはコロニー形成単位の略である。)
の細胞計数を有する細菌懸濁液を、適当な濃度の特定の物質に接触させ、そして残存細胞計数を連続攪拌のもと室温で5分及び30分の培養時間後に測定した。黄色ブドウ球菌(ATCC 5638,アメリカン タイプ カルチャー コレクション(American Type Culture Collection),マナサス,米国)をグラム+(グラム陽性)として及び大腸菌(ATCC 10535,アメリカン タイプ カルチャー コレクション)をグラム−生物として試験した。その結果を、下記表(a)及び(b)においてそれぞれの培養時間における対数減少を水対照との比較において与える。
【表3】

一般に、エタノール原液を水の原液の代わりに使用した場合、活性はより高くなる(表(b))。しかしながら、化合物はエタノール溶液でより長時間にわたって安定ではないため、早い使用が好まれる。
【表4】

ホスホン酸末端基を有するアニオン性シロキサンを同じ方法で試験し、そして下記に殺菌活性を示した(表(c)):
【表5】

【0182】
実施例7:殺真菌剤の使用及び活性
殺真菌活性を欧州標準EN12175に従い試験した。約106cfu/mLの胞子細
胞計数を有する真菌胞子懸濁液を、適当な濃度の以下の表に記載される特定の物質(実施例)に接触させ、そして残存胞子細胞計数を連続攪拌のもと室温で30分及び60分の培養時間後に測定した。ペニシリウム フェニキュローザム(Penicillium funiculosum)(DSM1960)、黒色アスペルギルス(Aspergillus niger)(DSM1957/ATCC6275)及びオウレオバシディウム プルランス(Aureobasidium pullulans)(DSM2404)を重要な菌株として試験した。DSMは、DSMZ(ドイチェ ザンルング フォン ミクロオルガニズメン ウント ツェルクルツレン ゲーエムベーハー,ブラウンシュヴァイク,独国)で与えられる番号のもと得られる微生物を言及する。ATCC番号は、アメリカン タイプ カルチャー コレクションから得られる生物を言及する(実施例6参照)
。その結果を表(d)においてそれぞれの培養時間における対数減少として水の対照との比較において与える。
【表6】

【0183】
実施例8:抗付着剤の使用及び効果:
エタノール中0.5%の溶液における試験片の培養によってPMMA試験片に様々な化合物を一時的に接着させた後に抗付着効果(微生物の付着阻止)を試験した。次に、被覆された試験片を乾燥し、そしてその後、振動下30℃で1時間、黄色ブドウ球菌の懸濁液中で培養した。数回の洗浄工程後、接着した細胞を一次抗体の結合によって及び−夜の培養と再び洗浄工程後−アルカリ性フォスファターゼが接着した二次抗体の結合によって検出した。次に付着を、100%の付着を示すと計算される未処理のPMMA試験片との比較において比色分析において測定した。結果については、表(e)参照。
【表7】

【0184】
実施例9:ポリプロピレン不織布への使用及び有効性
溶媒(テトラヒドロフラン及び/又はアセトン)中実施例1の溶液を、1又は2%の濃度の実施例1の化合物で製造した。この溶液を1分間超音波処理し、試験酸化合物の完全な溶解を確実にした。次にポリプロピレン不織布(10×10cm)を溶液(100mL)に浸漬し、そして1時間の音波処理のもと放置した。前記不織布を溶液から取り出し、そして数時間室温で空気により乾燥した。この不職布を次に下記のように微生物試験に使用した。

実施例1の有効性をポリプロピレン不織布材料に塗布した後、織物の抗菌活性を評価するための改良AATCC−100基準に従い試験した。1晩培養した2つの試験バクテリアを、材料の表面上に希釈した懸濁液をピペット操作することによって、処理した不職布と接触させた。次に不織布を37℃で24時間培養し、そして次に細胞計数を中和媒質への材料の溶出、一連の希釈及びプレート計数法(plate count technique)によって測定した。殺菌活性のための基礎試験の場合(実施例6)と同様に、黄色ブドウ球菌をグラム+として及び大腸菌をグラム−生物として使用する。
結果を、未処理のポリプロピレン不織布との比較において接種直後及び24時間の培養時間直後の細胞計数を表(f)及び(g)に空欄として(as the blank)与える。
【表8】

【表9】

空欄は、培養時間での両方の生物の完全な成長を示し、1%の実施例1で処理した不織布は、黄色ブドウ球菌に対して既にいくらかの、しかしながら一貫性のない作用を示し、それは恐らく処理手順に起因し、また大腸菌に対しては作用を示さない。2%で適用した場合、化合物は黄色ブドウ球菌に対して完全な活性を、また大腸菌に対して高い活性を示す
【0185】
実施例10:本発明の抗細菌製剤の例(X=好ましい組み合わせ)
A.パーソナルケア組成物
【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

B.ホーム及び布地ケア配合物
【表14】

【表15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品及び/又は材料中又はその表面上における保護のための抗菌、防腐及び/又は微生物付着阻害効果をもたらすプロセス又は方法であって、
物品及び/又は材料の保護のための抗菌、防腐及び/又は微生物付着阻害効果をもたらすために、前記物品及び/又は材料に式I
【化1】

(式中、
R1=低級アルキル基、特にメチル基、
Qは、COOH、P(O)(OH)2及びS(O)2(OH)からなる群から独立して選択された1個ないし3個の官能基で置換された線状の又は枝分かれした炭素原子数1ないし10のアルキル部分を表し、前記官能基は前記アルキル部分にC原子を介して結合しており、
mは1ないし約20の整数を表し、
oは0ないし15の整数を表す。)で表される酸であり、そして
好ましくは約3までの多分散性及び600ないし約3000の質量平均分子量を有するもの;一般式II
【化2】

(式中、
R1=メチル基、
Qは、COOH、P(O)(OH)2及びS(O)2(OH)からなる群から独立して選択された1個ないし3個の官能基で置換された線状の又は枝分かれした炭素原子数1ないし10のアルキル部分を表し、前記官能基は前記アルキル部分にC原子を介して結合しており、及び
nは0ないし15の整数を表す。)で表される酸、及び/又は式III
【化3】

(式中、
R1=メチル基、
Qは、COOH、P(O)(OH)2及びS(O)2(OH)からなる群から独立して選択された1個ないし3個の官能基で置換された線状の又は枝分かれした炭素原子数1ないし10のアルキル部分を表し、前記官能基は前記アルキル部分にC原子を介して結合しており、
pは1ないし約20の整数を表し、
qは1ないし約20の整数を表し、
rは0ないし15の整数を表す。)で表される酸であり、そして
好ましくは約3までの多分散性及び600ないし約3000の質量平均分子量を有するもの、
を含む酸化合物を適用することを含み、
但し、使用する酸化合物が、1種以上の式III(式中、Qは、2官能COOH基で置換された線状の又は枝分かれした炭素原子数1ないし10のアルキル部分からもっぱら選択され、該COOH基は前記アルキル部分にC原子を介して結合している。)で表される酸のみを含むものである場合、
その使用は抗菌及び/又は防腐効果をもたらすための使用に制限されるか、或いはその使用が微生物付着阻害効果をもたらすためのものである場合、その使用は合成ポリマー又はポリマー前駆物質又はモノマー化合物を含む(特に、それらからなる)材料の、又はそのような材料から作られた物品のコーティング又は含浸、又は材料もしくは物品へのバルク添加に制限され;或いは1種以上の式IIIで表される酸に加えて、上記で定義された式Iで表される酸、上記で定義された式IIで表される酸を含む少なくとももう1種の酸化合物;及び/又は上記の式III(式中、少なくとも1個の部分Qが存在し、該部分は1個ないし3個のCOOH、P(O)(OH)2及び/又はS(O)2(OH)基で置換された線状の又は枝分かれした炭素原子数1ないし10のアルキル部分である。)で表される付加的な異なる酸を含む少なくとも1種の酸化合物、但し式IIIで表される化合物においては、前記Qは2個のCOOH基のみを有するものではない、が付加的に適用され;
ここで、好ましくは、式I、II及び/又はIIIで表される酸において、上記のCOOH、P(O)(OH)2及び/又はS(O)2(OH)基は、負に帯電した形態で部分的に又は完全に存在し得、それにより該式I、II及び/又はIIIで表される酸は部分的に又は完全に塩として存在し得る、ところのプロセス又は方法。
【請求項2】
好ましくは式II及びIIIで表される酸の不在下に、式Iで表される酸を有する少なく
とも1種の酸化合物を含む酸化合物、酸化合物混合物又は組成物が使用される、請求項1に記載の方法又はプロセス。
【請求項3】
好ましくは抗菌及び/又は防腐効果をもたらすために、好ましくは式I及びIIIで表される酸の不在下に、式IIで表される酸、及び/又はいずれの場合もその塩、を有する少
なくとも1種の酸化合物を含む酸化合物、酸化合物混合物又は組成物が使用される、請求項1に記載の方法又はプロセス。
【請求項4】
各々、好ましくは式I及びIIで表される酸の不在下に、式IIIで表される酸、及び/
又はいずれの場合もその塩、を有する少なくとも1種の酸化合物を含む酸化合物、酸化合物混合物又は組成物が使用され、ここでQがP(O)(OH)2及び/又はS(O)2(OH)からなる群から独立して選択される1個ないし3個の官能基、より好ましくはこれらの官能基のうち1個ないし2個で置換された線状の又は枝分かれした炭素原子数1ないし10のアルキル部分を表す、請求項1に記載の方法又はプロセス。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載された式I、II又はIIIで表されるいずれか1つの酸を有する少なくとも1種の酸化合物を含む酸化合物、酸化合物混合物又は組成物が使用され、ここでQが1ないし3個の、好ましくは1個又は2個のP(O)(OH)2及びS(O)2(OH)基で置換された線状の又は枝分かれした炭素原子数1ないし10のアルキル基部分を表す、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の方法又はプロセス。
【請求項6】
酸化合物として、下記表において与えられた式を有する酸から成る群から選択された1つ以上の酸、及び/又はその塩を有する1つ以上の酸化合物が使用される、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の方法又はプロセス。
【表1】

【表2】

【請求項7】
抗菌効果をもたらすための、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の方法又はプロセス。
【請求項8】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の1種以上の酸化合物、及び/又はその塩を含む組成物を使用することを含み、ここで該酸化合物が0.01ないし50質量%、好ましくは0.01ないし10質量%で存在する、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の方法又はプロセス。
【請求項9】
特に使用される酸化合物がCOOHで置換された線状の又は枝分かれした炭素原子数1ないし10のアルキル部分からなる群から選択されるQを含むものであり、材料が合成ポリマーもしくはポリマー前駆物質又はモノマー化合物を含み(特に合成ポリマーもしくはポリマー前駆物質又はモノマー化合物から成り)、そして前記物品がそのような材料から作られた物品である、物品及び/又は材料中又はその表面上における保護のための、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の方法又はプロセス。
【請求項10】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に与えられた但し書き付きで、請求項1ないし請求項4のいずれか1項において与えられた、酸化合物、2種以上の前記酸化合物を含む混合物、及び/又は前記酸化合物もしくは混合物を含む組成物、及び/又はその塩、の使用であって、物品及び/又は材料の保護のための抗菌、防腐及び/又は微生物付着阻害効果をもたらすために前記物品及び/又は材料に前記酸化合物、混合物、組成物及び/又はその塩を適用することを含む使用。
【請求項11】
抗菌及び/又は防腐効果をもたらすための請求項10に記載の使用。
【請求項12】
少なくとも1つの部分Qを含む少なくとも1種の酸を含む酸化合物、化合物混合物又は組
成物であって、前記部分QはCOOH、P(O)(OH)2及びS(O)2(OH)からなる群から独立して選択された1個ないし3個の官能基で置換された線状の又は枝分かれした炭素原子数1ないし10のアルキル部分を表し、前記官能基は前記アルキル部分にC原子を介して結合しており、ここで前記少なくとも1種の酸は、遊離形態にあるか及び/又は塩として、式I
【化4】

(式中、
R1=低級アルキル基、特にメチル基、
Qは定義された通りであり、
mは1ないし約20の整数を表し、
oは0ないし15の整数を表す。)で表される1つ以上の酸であって、そして
好ましくは約3までの多分散性及び600ないし約3000の質量平均分子量を有するもの;
一般式II
【化5】

(式中、
R1=メチル基、
Qは定義された通りであり、及び
nは0ないし15の整数を表す。)で表される1つ以上の酸、
及び/又は
式III
【化6】

(式中、
R1=メチル基、
Qは定義された通りであり、
pは1ないし約20の整数を表し、
qは1ないし約20の整数を表し、
rは0ないし15の整数を表す。)で表される1つ以上の酸であって、そして
好ましくは約3までの多分散性及び600ないし約3000の質量平均分子量を有するもの;
からなる群からの1つ以上の酸から選択され、
但し、式IIIで表される酸だけが、与えられた化合物、化合物混合物又は組成物中に存在する場合、少なくとも式IIIで表される分子の一部において、好ましくは全てにおいて、部分Qの1つがP(O)(OH)2及びS(O)2(OH)から選択された1個ないし3個の官能基で、又は1個又は3個のCOOH基で置換された線状の又は枝分かれした炭素原子数1ないし10のアルキル部分である、酸化合物、化合物混合物又は組成物。
【請求項13】
一種又は複数の前記酸が式I及び/又は式IIで表される、好ましくは式Iで表されるものから選択される、請求項12に記載の酸化合物、化合物混合物又は組成物。
【請求項14】
一種又は複数の前記酸が、QがP(O)(OH)2及びS(O)2(OH)からなる群から独立して選択された1個ないし3個、好ましくは1個又は2個の官能基で置換された線状の又は枝分かれした炭素原子数1ないし10の部分を表す式IIIで表される酸から選択される、請求項12に記載の酸化合物、化合物混合物又は組成物。
【請求項15】
一種又は複数の前記酸が、QがP(O)(OH)2及びS(O)2(OH)からなる群から独立して選択された1個ないし3個、好ましくは1個又は2個の官能基で置換された線状の又は枝分かれした炭素原子数1ないし10の部分を表すところの酸から選択される、請求項12に記載の酸化合物、化合物混合物又は組成物。
【請求項16】
下記表に与えられる化合物の群から選択された酸、及び/又はその塩を含む請求項12に記載の酸化合物、化合物混合物又は組成物。
【表3】

【請求項17】
請求項12ないし請求項16のいずれか1項に記載の酸を有する酸化合物の製造プロセスであって、
下記式IV、IV*及びIV**で表される出発材料のいずれにおいても、官能基COOH
、P(O)(OH)2及びS(O)2(OH)は保護された形態で存在することを条件に、(a)式Iで表される塩の製造のために、式IA
【化7】

(式中、R1及びmは前記式Iで表される酸に対して定義された通りである。)
で表される化合物と、式IV
【化8】

(式中、Q及びoは式Iで表される酸に対して定義された通りである。)で表されるビニル化合物とをヒドロシリル化(hydrosilylation)条件下で反応させること、又は
(b)式IIで表される酸の製造のために、式IIA
【化9】

(式中、R1は前記式IIで表される酸に対して定義された通りである。)
で表される化合物と、式IV*
【化10】

(式中、Q及びnは式IIで表される酸に対して定義された通りである。)で表されるビニル化合物とをヒドロシリル化条件下で反応させる、又は
(c)式IIIで表される酸の製造のために、式IIIA
【化11】

(式中、R1、p及びqは前記式IIIで表される酸に対して定義された通りである。)で表される化合物と、式IV**
【化12】

(式中、Q及びrは前記式IIIで表される酸に対して定義された通りである。)で表されるビニル化合物とをヒドロシリル化条件下で反応させること、
そしてその後官能基から保護基を除去すること、
又は式I、II及び/又はIIIで表される酸を有する酸化合物の混合物を直接得るために、(a)、(b)及び(c)による反応の2つ以上及びその後の保護基の除去を並行して行うことを含み、
そして、必要に応じて、a)、b)及び/又はc)並びに脱保護に従うプロセスに従い得ることができる遊離酸が塩に変換されるか、又はa)、b)及び/又はc)に従うプロセスに従い得ることができる酸化合物の塩が異なるカチオンを有する異なる塩に変換されるところのプロセス。


【公表番号】特表2009−538953(P2009−538953A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512624(P2009−512624)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055466
【国際公開番号】WO2007/141239
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】