抗菌組成物及び関連使用方法
ヒトが消費しても安全であると一般に認識される一つ以上の化合物成分を含む抗菌組成物、及び関連使用方法。このような組成物及び方法は、農業、産業、建設、医薬及び/又はパーソナルケア製品及び用途の広範囲において採用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその開示全体を本明細書に援用する、2009年4月27日に出願された出願番号第61/214、752号、2009年11月2日に出願された出願番号第61/257、319号、及び2010年3月19日に出願された出願番号第61/315、611号からの優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
種々のカビ、植物の病気等を制御するための殺生物剤の選別及び開発が大いに進められてきた。しかし、使用されているほとんどの市販の殺生物剤又は殺虫剤は、発癌物質と分類される化合物であるか、又は野生生物及び他の対象外の種子に対して有毒である。例えば、臭化メチルが、土壌燻蒸剤として、また、細菌感染の収穫後処理において広く使用されている。臭化メチルやその他の種々の合成殺生物剤/殺虫剤の使用は、ヒトへの毒性及び環境への悪影響のため、最終的には中止される予定である。結果として、近年の努力は、同等の抗菌又は殺虫効果を示す天然又は生体模倣(biomimetic)組成物の選別及び開発に向けられてきた。
【0003】
このようなアプローチの一つとして、内部寄生菌及び関連する揮発性副生成物に関するものがある。内部寄生菌は、当該分野では生きている植物の組織の間質腔に存在する微生物と定義されるが、一般には、寄生性とは見なされない。特に、熱帯雨林植物と関連して見られる内部寄生菌は、それらの揮発性副生物の抗生特性のため、多大な関心を集めている。数種のムスコドル(Muscodor)種[すなわち、M.アルブス(M.albus)、M.ロセウス(M.roseus)及びM.ビチゲナス(M.vitigenus)]が、抗生特性又は殺虫特性を示す揮発性副生物を生成することが示されてきた。しかし、各々の種の各副生成物は、種々のナフタレン及び/又はアズレン誘導体を含んでいる。このような化合物は、その他の副生成物成分と共に、有毒であるか、もしくは健康に害がある可能性があり、対応する混合物は、種々の最終用途目的には許容不可であると考えられている。このため、当該分野では、天然組成物を選別し、上記のような化合物を含まず、ヒトが使用しても安全であり、効果的な抗菌性を示す生体模倣組成物を開発するための探索が進行中である。
【発明の概要】
【0004】
前記に鑑み、本発明の課題は、抗菌組成物を有する香味料、及び/又はその使用方法を提供することであり、それによって上に概説したものを含む、先行技術の種々の不具合及び欠点を克服することである。本発明の一つ以上の態様は、特定の目的を満たし得、一方で一つ以上のその他の態様は、特定のその他の目的を満たし得ることは、当業者には理解されるであろう。各目的は、全てのその面において、本発明のあらゆる態様に同等に適用されない可能性がある。そのため、以下の目的対象を、本発明の任意の一つの局面に関する代用物と見なすことができる。
【0005】
本発明の課題は、細菌感染の予防、阻害及び/又は根絶の方法と関連して、ナフタレン及びアズレン(非GRAS化合物)関連化合物を含まないムスコドル種及びその揮発性副生成物を提供することであってもよい。
【0006】
本発明のその他の課題としては、細菌感染に対して使用するための非在来の媒体又は基質に関して、このような種子又は株、及び関連する揮発制副生物を含む系を提供することであってもよい。
【0007】
本発明のその他の課題としては、ヒト及び動物用食品、農産物、植物、植物の各部、種子、農作物及び他の有機材料、包装、建築材料、繊維、布、衣料品、及び医薬用途及び/又は医療用途を含むが、これらに制限されない用途において使用するこのような系及び/又は関連する方法を提供することであってもよい。
【0008】
本発明のその他の課題は、このようなムスコドル種と同等の抗菌活性を示す、一連の生体模倣人工組成物を、このようなムスコドル種の代替として、またはこのようなムスコドル種に関連して、提供することであってもよい。
【0009】
本発明の課題は、食用、もしくはヒトが使用及び消費しても安全な成分のこのような組成物を一つ以上提供することであってもよい。
【0010】
本発明のその他の課題としては、細菌感染の予防、阻害及び/又は根絶のための媒体又は基質と関連して、このような非天然の生体模倣組成物を含む系、複合物又は物品を提供することであってもよい。本発明のその他の課題としては、上記した種類、又は本明細書中のいずれかの箇所において説明する種類において使用するこのような系、複合物及び/又は物品を提供することであってもよい。
【0011】
また、本発明の課題は、媒体、担体又は基質が限定されない、このような組成物を含む抗菌及び/又は殺虫処理のための方法を提供することであってもよい。
【0012】
本発明のその他の目的、特徴、利益及び利点は、特定の実施形態のこの概要及び以下の記載から明らかになるであろう。また、種々の抗菌組成物及び関連処理の知識を有する当業者に容易に明白となるであろう。このような目的、特徴、利益及び利点は、単独で、又は本明細書に援用する参考文献を考慮することによって、付随する実施例、データ、図及びそれらから引き出される全ての合理的な推論と関連付けて、上記のものから明らかとなるであろう。
【0013】
一部分において、本発明は、株M.クリスパンス(M.crispans)、その揮発性副生成物またはこのような揮発性副生成物の蒸気、及び非在来の媒体又は基質のうちの少なくとも一つを含む系を対象としてもよい。このような媒体又は基質は、本明細書中で記載するものか、又は当業者によって理解されるものであってもよい。いずれにしても、このような株は、生物学的に純粋培養の形態において提供でき、任意には、揮発性副生成物を生成するために十分に生存可能な、このような培養培地と基質の接触又は最終用途目的に適した担体成分と関連して提供できる。本発明によると、M.クリスパンスの副生成物又は副生成物の改変物、又はそれに対応する蒸気は、組成としては本明細書中の他の箇所で説明する通りである。
【0014】
このため、本発明は、また、抗菌効果を提供するためのこのような系及び/又はその揮発性の真菌性副生物の使用を対象としてもよい。このような方法は、微生物の活性又は増殖を支持できる非固有の基質又は媒体を提供すること;及びこのような基質又は媒体を、M.クリスパンスの株の培養、その揮発性副生成物及び/又はこのような副生物からの蒸気と接触させることを含んでいてもよい。ある実施形態においては、このような接触は、このような媒体又は基質の上、周辺、又は近くへの接触を含む。その他のある実施形態においては、M.クリスパンスの揮発性の副生成物ならびに副生成物の改変物、又は対応する蒸気は、このような媒体又は基質に注入又は接触できる。
【0015】
このような系又は方法に制限されず、このような基質は食品又はその他の傷みやすい物品、繊維、衣服又は衣料品、建築部材又は建設部材、植物、植物表面、土壌、ゴミ又は廃棄物に対する食品又は農産物品、包装部材から選択してもよい。このような接触は、微生物の存在及び/又は予防薬に関して生体活性であってもよい。
【0016】
一部分において、本発明は、天然に存在しない抗菌組成物を対象としてもよい。この天然に存在しない抗菌組成物は、その成分が、天然由来であるか、化学合成されたものであるか、又はそれらの組み合わせのいずれかである。このような組成物は、生体模倣性ムスコドル種の副生成物組成物の、アルコール、アルデヒド、ケトン、酸及び/又は酸エステル成分から選択される化合物を含んでいてもよい。このような組成物は、アブセント(absent)溶融芳香族化合物、置換溶融芳香族化合物及びこれらの化合物のハイドロ誘導体であってもよい。ある限定されない実施形態において、このような組成物は、酢酸、イソ酪酸、プロピオン酸及びそれらの組合せから選択される酸成分を含んでいてもよい。
【0017】
ある実施形態においては、本発明は、C2〜約C5の酸成分を含む天然に存在する抗菌組成物;C2〜約C5のエステル成分;及びムスコドル・クリスパンスの単離された培養の揮発性副生成物から単離可能な少なくとも2個のC2〜約C5の成分を対象としてもよい。このような組成物は、単離され、培養されたムスコドル種の揮発性副生成物及び/又はこのような揮発性副生成物の合成混合物の病原体活性プロフィールとは異なる病原体活性プロフィールを有できる。このような酸成分は、イソ酪酸、プロピオン酸及びそれらの組合せから選択できる。独立して、このようなエステル成分は、C4の酢酸エステル、C5のエステルアセテート及びそれらの組合せから選択できる。
【0018】
限定はしないが、ある実施形態においては、このような組成物は、M.クリスパンスの揮発性副生成物から他の単離可能な約8〜約10個の成分を含んでいても良い。あるこのような実施形態において、このような組成物の各成分は、このような揮発性副生成物から単離可能であってもよい。このような組成物は、天然由来のものであるため、このような成分の各々は、発酵製品であり得、発酵は、細菌発酵、酵母発酵及び/又は真菌発酵から選択できる。いずれにしても、このような組成物のこのような成分の各々は、米国連邦規制の連邦法規類集の第21章、及びその対応する条項及び/又は規定において、ヒトが消費しても安全であると一般に認識できる。
【0019】
いずれにしても、ある限定されない実施形態において、このような単離可能な成分は、イソ酪酸であってもよい。あるこのような実施形態において、プロピオン酸は、少なくとも部分的にイソ酪酸で置換できる。このような又はその他の限定されない実施形態において、このような単離可能な成分は、2−ブタノンであってもよい。あるこのような実施形態において、酢酸、プロピオン酸又はそれらの組合せは、少なくとも部分的に2−ブタノンで置換できる。このような、又はさらに他の限定されない実施形態において、このような単離可能な成分は、エタノールであってもよい。あるこのような実施形態において、酢酸は、エタノールで少なくとも部分的に置換できる。このような酸成分の同一性又は量に関わらず、エステル成分及び/又は単離可能な成分、このような天然由来の組成物は、界面活性剤成分を含んでいても良い。あるこのような実施形態において、生物系界面活性剤を共に導入できる。限定はしないが、生物系界面活性剤は、モノラムノリピド、ジラムノリピド及びそれらの組合せから選択されるラムノリピド成分であってもよい。
【0020】
もしくは、本発明は、合成の、非天然由来の抗菌組成を対象としてもよい。このような組成物は、C2〜約C5の酸成分;C2〜約C5のエステル成分;及びムスコドル・クリスパンスの単離された培養の揮発性副生成物から単離可能な少なくとも2個のC2〜約C5の成分であって、単離され、培養されたムスコドル種又はその揮発性副生成物の病原体活性プロフィールとは異なる病原体活性プロフィールを有できるような組成物を含んでいても良い。このような酸、エステル及び/又は単離可能な成分は、上記したもの又は本明細書中のいずれかの箇所において説明するものであってもよい。いずれにしても、このような抗菌組成物は、界面活性剤成分を含んでいても良い。あるこのような限定されない実施形態において、このような界面活性剤は、モノラムノリピド、ジラムノリピド及びそれらの組合せから選択されるラムノリピド成分であってもよい。
【0021】
一部分において、本発明は、C2〜約C5のアルコール、アルデヒド、ケトン、酸及び酸エステル及びそれらの組合せ及び副次的組合せから選択される化合物の液体混合物を含む生体模倣性の抗菌組成物を対象としてもよい。このような組成物は、ムスコドル種から単離されないものである。本明細書中の他の箇所で論じるように、このような液体混合物は、室温及び/又は常温において揮発性であってもよい。このようなその組成物及び化合物に関して、「約」とは、当業者には理解されるとおり、得られた組成物の一つ以上のその他の成分、化合物及び少なくとも部分室温/常温での揮発性の組合せによってのみ限定される対応する分子量及び/又は構造異性を有する炭素及び/又はメチレン同族体を意味する。ある限定されない実施形態に関して、このような組成物は、以下に記載する種類の生体模倣性M.クリスパンスの副生成物組成の成分から選択されるアルコール、アルデヒド、ケトン、酸及び酸エステル化合物を含んでいても良い。このような組成物は、化学合成された化合物、細菌性の発酵物から単離された化合物、及びこのような化合物の組合せを含んでいても良い。あるこのような実施形態において、このような組成物は、酢酸、イソ酪酸、プロピオン酸及びそれらの組合せから選択される酸成分を含んでいても良い。
【0022】
一部分において、本発明は、C2〜約C5のアルコール、アルデヒド、ケトン、酸及び酸エステル及びこのような化合物の組合せ及び副次的組合せから選択される化合物を含む、天然に存在しない、天然由来及び/又は化学合成された抗菌組成物も対象としてもよい。このような選択される化合物は、ヒトが消費しても安全である(「GRAS」)と一般に認識されるものである。このような指定は、米国連邦規制及び対応する条項及び/又はその規定の連邦法規類集の第21章に規定されるものである。ある限定されない実施形態において、このような化合物は、生体模倣性M.クリスパンス副生成組成物のアルコール、ケトン、酸及び/又は酸エステル成分から選択できる。ある実施形態においては、その微生物活性/死滅率のプロフィールは、M.クリスパンス又はM.アルブス、その揮発性副生成物及び/又はその対応する合成副生成物組成物のいずれかと異なる。いずれにしても、あるこのような実施形態において、このような組成物は、酢酸、イソ酪酸、プロピオン酸及びそれらの組合せから選択される酸成分を含んでいても良い。
【0023】
一部分において、本発明は、本発明の組成物を含む組成物;及び界面活性剤成分を含んでいても良い。このような界面活性剤成分は、単独でもよく、又は担体成分内に導入してもよい。ある実施形態においては、このような界面活性剤は、生物系界面活性剤であってもよい。このような生物系界面活性剤は、モノラムノリピド、ジラムノリピド及びそれらの組合せから選択されるラムノリピド成分であってもよい。
【0024】
一部分において、本発明は、発明の組成物及び基質又は媒体成分を含む系又は複合物をも対象としてもよい。このような組成物は、上記したもの又は本明細書中のいずれかの箇所において説明するものであってもよい。限定はしないが、基質は、食品又は農産物品、食品又はその他の傷みやすい物品用の包装部材(例えば、フィルム又は包装材)、繊維、布又は衣料品、建築物又は建設部材、ヒト組織、植物、植物表面、土壌、及びゴミ又は廃棄物から選択できる。ある実施形態においては、このような組成は、液体又気体のいずれであっても、このような媒体、基質又は基質表面と導入又は接触できる。
【0025】
このため、本発明は微生物又は昆虫の処理、予防、抑制、根絶の方法、及び/又は微生物又は昆虫活性に影響を与えることをも対象としてもよい。このような方法は、本明細書中で説明する種類のうち一つ以上の組成物を含むが、それらに限定されない、本発明の組成物を提供すること;及び微生物又は昆虫活性を支持できる微生物又は昆虫又は物品/基質を、微生物又は昆虫活性に影響を与えるのに少なくとも部分的に十分な量のこのような組成物と接触させることを含んでいても良い。このような微生物(例えば、真菌、細菌又はウィルス)又は昆虫は、媒体の中、基質の表面上又は上記した種類のものの表面の周辺に存在できる。このため、このような接触は、直接及び/又はこのような組成物の蒸発時であってもよい。いずれにしても、このような処理は微生物又は昆虫の存在及び/又は予防薬に関して活性であってもよい。本明細書中の他の箇所において説明するように、処理は、微生物の又は昆虫の死滅及び/又は成長又は活性の抑制の文脈において考え得る。
【0026】
本発明のある実施の形態によると、ある食品及び香料化合物(FFC)を含む組成物は、農業的、医学的、又は商業的又は工業的な懸念のある病原性真菌、細菌及び他の微生物に特に抑制性及び/又は致死性である。このような組成物は、生物学的に誘導された化合物を含有する混合物に対して区別できる:例えば、本組成物は、ナフタレン又はアズレン(非GRAS化合物)誘導物質を含有しない。逆に、このような組成物は、有機化合物の混合物を含んでいても良い。それら有機化合物の各々は、他の場合は食品又は香味料物質(例えば、GRAS)と見なされるものである。
【0027】
本発明は、それらの完全性を保存するため、及び種々の真菌(カビ及び他の微生物)による破壊を防ぐためのこのような組成物、その製剤及び種々の品目への適用(例えば、限定はしないが、食品、繊維、器具及び建設表面)の性質を示す。このような組成物は、建築構造物、植物の一部及び衣料品まで、その保存のため適用できる。更に、以下に示すとおり、このような組成物は、ヒト型結核菌に不利に影響できる。ヒト型結核菌は、他の状態では薬剤抵抗性である少なくとも3種類の株を含む、結核を引き起こす微生物である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】2日間の曝露後の薬剤抵抗性ヒト型結核菌の臨床培養物に対する、FFCの死滅効果を示す写真。
【図2】FFCを採用した数種類の方法によるチーズにおける真菌の増殖(カビ)の予防を示す一連の写真。
【図3】FFC組成物0.2mlの存在下で2日間保管したヤマノイモに対するFFCの防護効果。ヤマノイモは、その後10日後に撮影された。(試験物質が左、対照が右。)
【図4】10日間30℃に保持されたゴミの腐敗に対するFFCの防護効果。
【図5】トマトの腐敗/萎れに対する効果を示す。左は、トマトかいよう病(C michiganense)の対照のプレートであり、右が本発明のFFC組成物20マイクロリットルで処理されたプレートである。
【図6】皮膚クリーム製品に導入された本発明のFFC組成物の効果を示す。
【図7A】本発明のある限定されない実施形態にこのような数種類の限定されないかつ代表的なモノラムノリピド及びジラムノリピド化合物の構造を示す。
【図7B】本発明のある限定されない実施形態にこのような数種類の限定されないかつ代表的なモノラムノリピド及びジラムノリピド化合物の構造を示す。
【図8】本発明のある限定されない実施形態にこのような数種類の限定されないかつ代表的なモノラムノリピド及びジラムノリピド化合物の構造を示す。
【図9】本発明のある限定されない実施形態にこのような以下の実施例のうちいくつかに記載するものうち単独で又は互いに組み合わせて使用できるモノ−及びジラムノリピド構造のそれぞれに対するラムノリピド成分、指定されたR1及びR2の2種類の実施形態を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
いくつかの限定されない実施形態によって説明するように、本発明は、種々の媒体に導入、表面に塗布、又は大気、空間又は体積に導入した場合に、植物真菌及び結核の病原を含む、本来目障りかつ有害で、及び/又は病原となる微生物の、所望の表面媒体又は体積の汚染除去を行う、ムスコドル及び/又はその揮発性副生成物の新しい種の用途、及び非天然の、実験室で調製した、共通の食品及び香料化合物を含む生体模倣組成物の開発に関する。本発明は、近代農業、ヒトの医療、食品科学、及び産業への非常に重要な意味及び応用性を持つ。本発明の組成物は、その原料の各々が、そのうち、又はそれ自体、生物学的に活性なものが一つもないことから、抗菌性を有することが自明ではない。成分原料の相乗的な組み合わせによって、抗菌活性がフルに発揮される。
【0030】
このようなムスコドル種、その揮発性副生成物又はFFCを含む天然に存在しない生体模倣性組成物の使用に関して、接触は、直接であってもよく、また生体模倣性組成物の副生成物である、このような種と関連する蒸気への曝露によるものでもよい。以下に説明するように、ある実施形態の文脈において、蒸気曝露が増殖を抑制する一方、細菌又は真菌を死滅されるには、微生物を直接接触させることが必要である可能性がある。
【0031】
接触の方法に関わらず、本発明の組成物は、化学合成された成分、天然由来の成分、又はこのような合成及び天然の成分の組み合わせを含めて、実験室において調製できる。いずれにしても、このような組成物は、特定の細菌又は真菌種に対するムスコドル副生成物の効果に関して生体模倣性であってもよい。もしくは、このような組成物は、その一つ以上のFFC成分の相対濃度又は選択によって、ムスコドル真菌副生物と比較して、変化した又は増強した抗菌活性を示できる。
【0032】
あるこのような実施形態において、このような組成物は、微生物増殖を支持する可能性があるか、支持する能力があるか、実際に支持するタンパク質成分又はセルロース成分を含む、基質又は媒体上にあってもよく、又は塗布されてもよい。限定はしないが、ある実施形態は、植物、植物の各部(例えば、根、茎、葉又は群葉、農産物等)及び基となる苗条又は種を含んでいても良い。特に、限定はしないが、このような組成物は、果実、野菜、塊茎、花、種又はナッツのいずれと名付けられていてもよく、また収穫前か後でもよく、植物作物であってもよい。それらのこのような特定の植物及び/又は農産物は、農作物として、単独もしくは集合的に、当該分野において認識されている。このため、ある実施形態においては、本発明の組成物は、このような作物上にあるか、又は開発中、収穫前及び/又は収穫後のどの時期に塗布されても良い。同様に、本発明の組成物は、微生物の増殖を支持する可能性があるか、支持する能力があるか、もしくは実際に支持する飲料、食品(例えば、ヒト、ペット及び/又は動物)製品又は物品に塗布又は導入できる。
【0033】
本発明のその他のある実施形態では、このような組成物は、微生物(例えば、酵母及び/又は真菌及び/又はウィルス)の増殖を支持する、又は支持的な基質の上にあるか、又は表面に塗布しても良い。このため、このような基質又は表面は、微生物の増殖を支持する可能性があるか、支持する能力があるか、もしくは実際に支持する素材を含んでいても良い。このような基質は、木、セラミックス、磁器、石、石膏、石壁、セメント、布地、皮革、プラスチック等を含むが、それらに限定されるものではない。
【0034】
その他のある実施形態においては、種々の本発明の組成物は、微生物の増殖又は感染の処理又は予防用の医薬品又はパーソナルケア又は衛生製剤の文脈において、爪、毛髪、歯又は口、皮膚及び他の細胞材料を含むが、それらに限定されない哺乳動物又はヒトの組織を含む基質又は表面上にあるか、接触しているか、又は塗布又は投与されてもよい。代表的な組成物を、一つ以上のその他の実施形態に、少なくとも部分的に該当する点で以下に記載する。
【0035】
ある内生菌が、ボリビアのアマゾンに自生する野生のパインアップルの株[アナナス・アナナスソイデス(Ananas ananassoides)]の組織の内部から採取された。最終的に、抗菌活性を有する揮発性化合物の混合物を生成することが判明した。分子技術によって、この真菌はムスコドル属の菌に配列が類似することが発見された。これらの真菌は、ヒト及び植物病原体の双方に対して効果的である抗菌剤として作用できる揮発性の有機化合物を生成することが知られている。ムスコドル種の菌は、18S rDNA plus ITS5.8S rDNA配列分析を採用した系統的キャラクターマッピング(Phylogenetic Character mapping)などの方法を利用して同定されている。本真菌及び他のムスコドル種に見られる配列を、ジェンバンク(GenBank)においてBLAST検索し、その他の真菌と比較した(Brunsら、1991;Reynolds and Taylor 1993;Mitchellら、 1995;Guarroら、1999;Taylorら、1999)。最終的に、これらの単離物は、キシラリア(Xylaria)に関連すると決定された(Worapongら、2001a&b)。ムスコドルに属する全ての単離された分類群は、成長が比較的遅い、フェルトのような菌糸体を有する、生物学的に活性な揮発性の化合物を生成する、及び在来の植物に害を生じないなどの同様の特質を有する。最終的に、それらは各々非常に似通ったrDNA配列を共有する(Ezraら、2004)。
【0036】
本件の真菌は、上記の同じ共通の特徴を全て共有していたが、全てのその他のムスコドル種及び単離物からそれを区別した分類群に多数の異なる態様が存在した。以下の実施例においてより詳細に説明するように、これらの独自の特性により、本件の真菌が新しい種として創設されることが示唆される。この新規な内生菌に対して提案される名称は、ムスコドル・クリスパンスである。
【0037】
GC/MSによって分析されたように、単離された真菌は、ポテトデキストロース寒天培地(PDA)において増殖させた場合、気相中でアルコール、エステル及び低分子量の酸を生成した。下記の表1に示すように、このような化合物は、プロピオン酸、2−メチル;1−ブタノール、3−メチル、アセテート;1−ブタノール、及びエタノールを含む。PDA上で増殖させた場合、ナフタレン又はアズレン誘導体(非GRAS化合物)のいずれも、この生物体によって生成されず、これまで研究されてきたどのムスコドル種とも区別された。真菌によって生成された匂いは、約1週間後顕著になり、少なくとも3週間にわたり、時間と共に増大すると思われる。以下に説明するように、この真菌の揮発物質は、標準生物検定法(standard bioassay technique)を用いた植物及びヒトの病原体多数に対する抑制性及び致死性の生物活性を有する(Strobelら,2001)。
(表1)
【0038】
上で論じたように、本発明は、非在来の媒体、基質及び/又は抗菌効果に対する体積と関連してM.クリスパンス及び/又はその揮発性副生成物の使用を含む。このような使用及び/又は用途は、本明細書中で記載するものか、又は当業者によって理解されるものであり得、参照することによってその全体を援用する、米国特許第6、911、338号に記載の種類の使用及び用途を含むが、それらに限定されない。
【0039】
もしくは、広範囲の天然及び合成生体模倣組成物を、同等の又はより高い効果をもって使用でき、また、一つ以上の実施形態によって証明されるように、真菌又はその揮発性副生成物のいずれかの使用によって従来得られなかった結果を提供できる。M.クリスパンスの従来技術及び副生成物からの脱却として、このような抗菌組成物は、ヒトが使用及び消費しても安全であると一般に認識されている食品及び香料化合物を含んでいても良い。代表的なものとして、いくつかの限定されない生体模倣組成物を以下の表2〜7に示す。種々のその他の組成物は、表2〜7のうち一つ以上から選択される化合物の組合せを含んでいても良い。もしくは、このような組成物は、揮発性を高めるため、又はその他の最終用途又は性能特性を改変するため、名前を挙げた化合物に加えて又は代えて、成分化合物を含んでいても良い。このような特定の組成物において、このような代替又は追加化合物としては、GRAS指定されているもの、及び/又は、利用されるレベルで指定されているものとすることができる。このような組成物は、M.クリスパンスの揮発性副生成物に存在する成分、及び/又はその他のムスコドル種の揮発性副生成物に存在しない成分を含むことができるか、もしくは、含んでいる。
【0040】
このような化合物は、各々効果的な濃度又はパーセンテージの範囲内で供給されることができ、市販されているか、当業者によって調製可能であるかのいずれかである。後者に関しては、発酵技術を使用して、このような化合物を自然に調製し、単離できる。もしくは、このような化合物は化学合成できる。本発明のいくつかの限定されない実施形態に関して、表2〜7の各化合物は、発酵製品として得られる。このような製品及び対応する組成物は、米国ウィスコンシン州ソークビルJeneil Biotech,Inc.社のFlavorzon商標において入手可能である。
(表2)
(表3)
(表4)
(表5)
(表6)
(表7)
【0041】
本発明のFFC組成物に関して、表1〜7及び10中の成分及びその構造異性体及び/又は炭素及びメチレン同族体(但しそれらに限定されない)等の、本明細書中で記載、参照、又は推論された化合物成分を含むその化合物成分は、その他の組成成分とは独立及び離れた量又は範囲で存在できると考察される。このため、限定はしないが、このような化合物成分は、各々以下の量又は範囲で存在できる:約0.1重量%、(又はそれ未満)約0.2重量%、約0.3重量%、又は約0.4重量%…もしくは/最高で、約1.0重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、又は約1.4重量%…もしくは/最高で、約2.0重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、又は約2.4重量%…もしくは/最高で、約3.0重量%、約3.1重量%、約3.2重量%、約3.3重量%、又は約3.4重量%…もしくは/最高で、約4.0重量%、約4.1重量%、約4.2重量%、約4.3重量%、又は約4.4重量%…もしくは/最高で、5.0重量%、約5.1重量%、約5.2重量%、約5.3重量%、又は約5.4重量%…もしくは/最高で、約6.0重量%、約6.1重量%、約6.2重量%、約6.3重量%、又は約6.4重量%…もしくは/最高で、約7.0重量%、約7.1重量%、約7.2重量%、約7.3重量%、又は約7.4重量%…もしくは/最高で、約8.0重量%、約8.1重量%、約8.2重量%、約8.3重量%、又は約8.4重量%…もしくは/最高で、約9.0重量%、約9.1重量%、約9.2重量%、約9.3重量%、又は約9.4重量%…もしくは/最高で、約10.0重量%;及びもしくは/最高で約10.1重量%…もしくは/最高で約20.0重量%、このような増分変化に従う;もしくは/最高で約20.1重量%…もしくは/最高で約30.0重量%、このような増分変化に従う;もしくは/最高で約30.1重量%…もしくは/最高で約40.0重量%、このような増分変化に従う;もしくは/最高で約40.1重量%…もしくは/最高で約50.0重量%、このような増分変化に従う;もしくは/最高で約50.1重量%…もしくは/最高で約60.0重量%、このような増分変化に従う;もしくは/最高で約60.1重量%…もしくは/最高で約70.0重量%、このような増分変化に従う;もしくは/最高で約70.1重量%…もしくは/最高で約80.0重量%、このような増分変化に従う;もしくは/最高で約80.1重量%…もしくは/最高で約90.0重量%、このような増分変化に従う;もしくは/最高で約90.1重量%…もしくは/最高で約99.9重量%(又はそれより多い)、このような増分変化に従う。同様に、限定はしないが、本発明の組成物は、特定の化合物成分又は組合せの同一性又は量に関わらず、導入された組成物又は媒体(例えば、約0.1重量%〜約1.0重量%、約2.0重量%、約4.0重量%又は〜約10.0重量%の範囲内)、又は適用された物品又は基質の、上記したような、0.1重量%〜99.9重量%の量(重量%)、又は増分変化する重量%の範囲で存在できる。
【0042】
特に指定しない限り、本明細書及び請求の範囲で用いる、成分又は原料の量、濃度又は数量、分子量、反応条件等の性質を表す全ての数字は、全ての例において「約」という語によって修飾されると理解すべきものである。このため、特に指定しない限り、この明細書及び添付された請求の範囲中で記載された数値的パラメータは、本発明によって得ようとする所望の特性によって異なり得る近似値である。少なくとも、及び請求の範囲への均等論の適用を限定する試みとしてではなく、各数値的パラメータは、報告された有意的な桁数の数に照らして、また通常の切り上げ方法を適用することによって、少なくとも解釈すべきである。
【0043】
本発明の広い範囲を定める数値的範囲及びパラメータは近似であるが、記載される数値及び実施例は、可能な限り正確に報告される。しかし数値は、各試験測定に見られる標準偏差から生じる一定の誤差を元々含んでいる可能性がある。
【0044】
この発明の組成物及び方法では、ここに記載され、参照され、又は推論された、いかなる化合物成分又はそれらの量もしくは濃度は、適宜に、含まれている(comprise)か、それらから構成されている(consist of)か、それらから本質的に構成され(consist essentially of)ていても良い。化合物成分としては表1−7及び10中のものが含まれるが、それらに限定されない。そして、それらの化合物成分は、それらのいかなる構造異性体、アルコール成分、アルデヒド成分、ケトン成分、酸成分及び/又はエステル成分の、炭素及び/又はメチレン基の同族体と共に含まれる。それらが酸由来及び/又はアルコール由来の部分であるか否かには関わらない。量/濃度に関係なく、このような化合物成分又は部分/置換基は、それぞれ、組成的に区別でき、特性的に対比できる。そして、別のそのような成分の量/濃度、または別の化合物成分(もしくは部分/置換基)もしくは量/濃度から独立して又は離れて、本発明の組成物及び方法と併用して使用できる。従って、本明細書中で具体的に開示する本発明の組成物及び/又は方法は、いかなる一つの成分化合物(又はその一部分及び/又は置換基)が欠如していても、量又は濃度を変更して実施又は使用できることは理解されたい。このような化合物(又はその部分/置換基)又はその量/濃度は、本明細書中で具体的に開示、言及又は推論されていても良く、されていなくても良く、その変更又は不在は、本明細書中で具体的に開示、言及又は推論されていても良く、されていなくても良い。
【0045】
好ましい実施形態において、このようなFFC(液状混合物として調製されたもの)の生物学的に効果的な組成物は、常温で容易に気化し、閉じられた空間いっぱいに拡散して、このような有害微生物を除去することが望まれる表面上の不要な汚染真菌(カビ)を有効に抑制及び/死滅させる。混合物は、スプレー(例えば、加圧原料を含んだ缶)として塗布、または単に容器に収容し、密閉容器又は閉止した袋内で蒸発させることができる。
【0046】
いずれにしても、本発明のFFC組成物は、用途によってのみ限定される、種々の最終使用組成物に導入できる。このような組成物は、ヒト/動物用の食品又は栄養、個人衛生、健康管理、農業、産業、住宅、医療及び消費者向けの用途を対象としたものを含むが、それらに限定されない。ある限定されない実施形態において、そのFFC組成物及び/又は成分は、ある最終用途組成物の約0.1重量%又はそれより少ない量から、約99.9重量%又はそれより多い量で存在できる。このようなレベルでの導入は、所望の抗菌効果及び/又は配合に対する考慮によってのみ限定される。
【0047】
本FFC組成物は、効果的な用量のレベルでは、多くの植物病原体、食品損傷を引き起こしうる真菌、主要なヒトの疾病を引き起こしうる微生物、及び調理台、家屋及び他の建物を汚染しうる微生物の死滅に効果的である。このような用途の包括的なリストは、以下の通りである:
1.チーズの塊の表面の目障りなカビ汚染、ひいては腐敗を制御するための保管中又は調製中のチーズの処理用。
2.食品調製のため、又は定植及び再植生又は農業的な目的に最終的に使用されうる根、塊茎、茎、種及びその他の器官を含む保管中の種々の植物の各部の処理用。
3.カビの生えた表面を有していてもよい、又はカビの問題が発展できる程度にまではびこられている建物を除染するための使用。
4.最終的にエネルギー関連製品へと発酵させるため、ある港から別の港への長期の海上輸送にわたる出荷中にゴミを保存するための使用。
5.植物病原体となる可能性がある微生物の温床となり得る土壌の汚染除去のため。
6.結核及び他の放射菌に感染した患者の治療用。
7.経鼻感染を制御するため、及び鼻道のつまりを治すための治療用。
8.食品、繊維及び他の品目を含む材料の包装に使用でき、そのためそれらを長期間安全に保管できる、特別に設計されたポリマーと組み合わせるため。
【0048】
より一般には、本発明の組成物は、真菌、細菌、微生物及び一連のその他の微生物又は害虫から成る群から選択される生物体の増殖を抑制、又は死滅させるために使用できる。当業者にとって周知の方法を使用して、このような組成物を、生物体を死滅させるか、又は増殖を抑制するのに少なくとも部分的に効果的な量で、生物体と接触させる。もしくは、例えば、汚水又は固体物管理又は処理の成分として、ヒト又は動物の廃物の処理に使用できる。またこのような組成物は、ヒト及び動物の廃物の除染、例えば、細菌性及び真菌性の汚染減少又は除去に有益である。更に、このような組成物は、建物、建築材料、又は建築材料間の空間を、効果的な量の組成物又はその組成物からの蒸気と接触させることによって、建築材料及び建物内におけるカビの処理又は防止に使用できる。説明目的のみであるが、効果的な量のこのような組成物は、単独で、又は活性剤又はその他の燻蒸剤と組み合わせて、部屋内で、もしくは建築物全体の燻蒸中に使用できる。
【0049】
農業用途に使用する場合は、本発明は、効果的な量の、本明細書中に記載の種類の一つ以上の組成物と微生物が接触することによる、真菌又は細菌等の生物体による侵襲に対する、果実、種、植物又は植物を取り巻く土壌の処理又は保護方法を提供する。
【0050】
以上で論じたように、本発明は、細菌性、真菌性、ウィルス性及び/又はその他の細菌感染を防止、処理、抑制及び死滅させる方法を提供する。このような方法は、このような感染又は増殖を有するか、このような感染又は増殖を促進できる物品、動物/ほ乳類又は植物基質に、効果的な量の発明の組成物を、単独で、又は組成物又は製剤に導入して、投与することを含んでいても良い。このため、本発明は、医療用、個人用(例えば、化粧品)、工業用及び/又は農業用に使用するための一つ以上の組成物を提供する。
【0051】
微生物処理は、細菌、真菌、ウィルス及び/又はその他の微生物を、効果的な量の発明の組成物と接触させることによって達成できる。接触は、インビトロ又はインビボで行うことができる。「接触」とは、このような本発明の組成物及びこのような微生物が、微生物の感染及び/又は増殖を、防止、抑制、及び/又は除去するのに十分なように一緒にされることを意味する。このような処理に効果的なこのような組成物の量は、実験的に決定することができ、このような決定を行うことは、当該分野における技術の範囲内である。抑制は、微生物の増殖/活性の減少及び除去の双方を含む。
【0052】
本発明の組成物は、粉末、顆粒、液体、スプレー、軟膏、ローション又はクリームとして、経口又は経鼻(例えば、医療用又はパーソナルケア用途)、及び局所を含むが、それらに限定されない適宜の経路によって、ヒト、動物又は植物、又は物品基質表面に投与又は接触できる。このため、発明の組成物は、一つ以上の許容可能な担体と混合した状態で、また必要に応じて、一つ以上のその他の化合物又はその他の材料と混合した状態で、各成分化合物を含んでいても良い。このような担体は、製剤のその他の成分/原料と適合性があり、所望の効果又は用途に対して有害ではないという意味で「許容可能」であるべきである。
【0053】
選択された送達、治療又は投与の経路に関わらず、発明の組成物は、当業者にとって従来公知の方法によって許容可能な濃度又は剤形を提供するため配合できる。このような組成物又はその成分の量又は濃度は、担体があってもなくても、処理される標的微生物/基質/物品、投与/送達及びの特定の方法、及び上記したその他全ての因子によって異なる。担体材料と組み合わせる量は、一般に、所望の抗菌効果の発生に効果的な最低又は最小限の濃度をもたらすような組成物の量である。
【0054】
本発明の組成物中のFFC組成物及びその他の任意の成分の相対的な量又は濃度は、以下の実施例において示すように、有効な範囲内で大幅に異なり得る。使用濃度及び/又は用量は、好ましくは、単独で別の従来技術の成分に対して活性の増大又は上昇を達成するよう、及び/又は有効最小限の成分濃度において組成物の活性を最大限にするよう選択される。このため、このような活性の増大を生じる重量比及び/又はパーセント濃度は、使用する特有のFCC組成物のみに依存するものではなく、気候、土壌組成、基質の性質、物品及び/又は処理すべき微生物の宿主及び/又は特定の微生物への曝露の可能性を含むが、それらに限定されない、組成物の特有の最終用途にも依存する。
【0055】
製剤又は組成物を調製する方法は、本発明の組成物、又は一つ以上の成分化合物を、担体と、又必要に応じて、一つ以上の副原料と、関連付ける工程を含む。通常は、製剤は、このような組成物/成分と担体(例えば、液状又は微細に砕かれた固体担体)とを関連付けること、及び、必要ならば、その製品を形成することによって調製される。
【0056】
本発明に関する製剤は、本発明の組成物であっても、もしくはこのような組成物を導入した製造物品であっても、カプセル、オブラートの薬包(cachets)、丸剤、錠剤、粉末、顆粒、ペースト剤の形態、又は水性又は非水性液中の溶液又は懸濁剤として、又は水中油又は油中水液状エマルジョンとして、又はエリキシル剤又はシロップ剤として、又は香錠(ゼラチン及びグリセリン、又はショ糖及びアラビアゴム(acacia)等の不活性基剤を用いたもの)として及び/又は各々所定の量の発明の組成物又はその成分を含有する洗浄剤(例えば、ミスト、スプレー又は口)等、として、であってもよい。
【0057】
その他のこのような固体製剤(例えば、カプセル、錠剤、丸剤、糖衣錠(dragees)、粉末、顆粒等)では、本発明の組成物は、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウム等の、一つ以上のその他の活性原料及び/又は許容可能な担体、及び/又は以下のものと混合できる:(1)デンプン、ラクトース、ショ糖、ブトウ糖、マンニトール、及び/又はケイ酸等の充填剤又は増量剤;(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸類、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖及び/又はアラビアゴム等の結合材;(3)グリセロール等の保水剤;(4)寒天、炭酸カルシウム、馬鈴薯デンプン又はタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩類、及び炭酸ナトリウム等の崩壊剤;(5)パラフィン等の溶解遅延剤;(6)4級アンモニウム化合物等の吸収促進剤;(7)例えば、セチルアルコール及びグリセロールモノステアレート等の湿潤剤;(8)カオリン及びベントナイト粘土等の吸収剤;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、硫酸ラウリルナトリウム、及びそれらの混合物等の潤滑剤;及び(10)着色剤。また組成物は、カプセル、錠剤及び丸剤の場合は、緩衝剤を含んでいても良い。また同様の種類の固体組成物を、高分子量ポリエチレングリコール等と同様ラクトース又は乳糖等の賦形剤を用いた軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル中に増量剤として採用できる。
【0058】
錠剤は、任意に一つ以上の原料を用いて、圧縮又は成形によって作成できる。圧縮錠剤は、結着剤(例えば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム又は架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、界面活性剤又は分散剤を用いて調製できる。成形した錠剤は、不活性な液状希釈剤で湿らせた粉状の活性原料の混合物を適当な機械において成形することによって作成できる。
【0059】
糖衣錠、カプセル、丸剤及び顆粒等のこのような組成物を導入したこのような組成物又は物品の錠剤、及び他の固体形態は、任意には、配合技術において周知の腸溶性の被膜及び他の被膜等の被膜及びシェルで刻みを入れ(scored)たり、調製できる。またそれらは、所望の放出プロフィール、その他のポリマー母材、リポソーム及び/又は小球体を提供するため、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースを異なる割合で用い、それらの中の活性原料が除放性または制御放出性をもつよう配合できる。またこれらの組成物は、任意には不透明剤を含有し得、活性原料のみを放出する、又は優先的には、消化管のある部分において、必要であれば、遅延して放出する組成物のものであってもよい。使用できる包埋組成物の例としては、高分子物質及びロウが含まれる。また活性原料は、マイクロカプセル形態であってもよい。
【0060】
本発明を使用又は投与するための液体形態は、医薬品として許容可能、又は他の許容可能なエマルジョン、混合物、ミクロエマルジョン、溶液(蒸留水又は精製水中の溶液を含む)、懸濁液、ミスト、シロップ剤及びエリキシル剤を含む。発明の組成物又はその化合物成分に加えて、液体形態としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、プロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール、油類(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、及びその混合物等の水又はその他の溶剤、可溶化剤及び乳化剤等の、例えば、当該分野において一般に使用される不活性又はその他の希釈剤を含んでいても良い。
【0061】
不活性希釈剤の他に、このような組成物及び/又は関連物品は、例えば、それらに限定はされないが、湿潤剤、乳化及び懸濁化剤[例えば、農業用途のスチッカー(sticker)及び拡張剤(spreader agents)]、着色剤、芳香剤及び一つ以上のその他の防腐剤補助剤を含んでいても良い。懸濁液は、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビット及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム(aluminum metahydroxide)、ベントナイト、寒天及びトラガカント、及びそれらの混合物等の、懸濁化剤を含んでいても良い。
【0062】
本発明の基質又は局所(例えば、パーソナルケア又は衛生製品の文脈において)投与/送達用のこのような発明の組成物を導入した本発明の組成物及び/又は物品又は製品の製剤は、粉末、スプレー、軟膏、糊状剤、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ剤及び吸入薬を含む。このような軟膏、糊状剤、クリーム及びゲルは、本発明の発明組成物に加えて、動物性及び植物性脂肪、油類、ロウ、パラフィン、デンプン、トラガント及び他のガム、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク及び酸化亜鉛、又はそれらの混合物等の賦形剤を含んでいても良い。同様に、粉末及びスプレーは、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミド粉末、又はこれらの物質の混合物等の賦形剤を含んでいても良い。スプレーは、その他にも、ブタン及びプロパン等の揮発性の非置換炭化水素等の通常の噴射剤を含んでいても良く、又は正の空気圧下に運ばれても良い。
【0063】
発明の組成物に採用できる適宜の水性及び非水性のキャリアーの例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、及びそれらの適宜の混合物、オリーブ油等の植物油、及びオレイン酸エチル等の有機エステルが含まれる。例えば、分散体の場合は、必要とされる粒径にされたレシチン等の被膜材料の使用によって、及び界面活性剤の使用によって、適切な流動性を維持できる。
【0064】
本発明の組成物を導入した物品又は製品の徐放性製剤(depot)の形態は、ポリラクチド−ポリグリコリド等の生分解性重合体中の活性原料のマイクロカプセル剤マトリックスを形成することによって作成できる。採用する活性原料と重合体の比率、及び特定のポリマーの性質によって、活性原料の放出率を制御できる。その他の生分解性重合体の例は、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)を含む。また徐放性製剤の注射可能な製剤は、身体組織と相溶性のあるリポソーム又はミクロエマルジョン内に活性原料を封入することによって調製される。
【0065】
更に、このような組成物を導入した本発明の組成物及び/又は物品又は製品は、当業者にとって公知となるような、同様及び/又は異なる作用態様を有する、化学物質及び/又は生物学的薬剤、多部位及び/又は単一部位用の抗かび(antimycotic)剤又は抗真菌(antifungal)剤、抗菌(antibacterial)剤及び抗微生物(antimicrobial)剤を追加して含んでいても良い。このような添加剤は、重炭酸カリウム、シリカ、銅又はイオウ系化合物及び/又は植物油(例えば、ニーム油)を含んでいても良いが、これらに制限されない。更に、このような添加剤は、以下のものを含んでいても良いが、これらに限定されない。アゾール類;アンホテリシンB及びナイスタチン等のポリエン類;フルシトシン等のプリン又はピリミジンヌクレオチド阻害剤;ニッコーマイシン等のポリオキシン;又はソルダリン及びそれらの類似体等のその他のキチン阻害剤、伸長因子阻害剤;ミトコンドリア呼吸の阻害剤、植物、その他の基質、動物及び/又はヒトの酵母又は真菌性、細菌性、ウィルス性及び/又はその他の細菌感染の治療又は予防に適した、当業者には公知のステロール生合成及び/又はその他の殺真菌性の又は殺菌性の組成物の阻害剤、又は製品に見られるもの。
【0066】
ある実施形態においては、本発明の組成物を導入した物品又は製品は、以下の当該分野における公知の一つ以上の防腐剤成分をも含んでいても良いが、それらに限定されない。ソルビン酸又は安息香酸;安息香酸、ソルビン酸、ヒドロキシメチルグルコン酸、及びプロピオン酸のナトリウム、カリウム、カルシウム及びアンモニウム塩;及びメチル、エチル、プロピル及びブチルパラベン及びそれらの組合せ。
【0067】
本発明の組成物は、酸性又は塩基性官能基を含む化合物を含み得、そのために、薬学的に許容可能な酸及び塩基、又はその他の許容可能な酸及び塩基で、薬学的に許容可能な塩又はその他の許容可能な塩を形成することが可能である。「薬学的に許容可能な塩」という語は、このような化合物の比較的無毒な、無機及び有機酸及び塩基付加塩を指す。いずれにしても、このような塩は、このような化合物を適当な酸又は塩基と反応させることによって調製できる。適宜の塩基は、このような許容可能な金属カチオン、アンモニア、又はこのような許容可能な有機第一級、第二級又は第三級アミンの水酸化物、カーボネート又は重炭酸塩を含む。代表的なアルカリ又はアルカリ土類塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及びアルミニウム塩等を含む。塩基付加塩の形成に有用な他の代表的な有機アミンには、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、およびピペラジンが含まれる。代表的な酸付加塩としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシラート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、洒石酸塩、ナフタル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、及びラウリル硫酸塩等が含まれる。
【0068】
本発明の組成物は、水性分散体又はエマルジョンとして使用することができ、使用前に(例えば、水又はその他の流体成分で)希釈できる、FFC(又は界面活性剤)組成物を高い割合で含有する濃縮物の形態で利用可能である。乳剤又はエマルジョンは、湿潤(wetting)剤又は乳化剤を任意に含有する溶媒中に、その他の所望の活性原料と共に、本発明の組成物を溶解させ、その後同じく湿潤剤又は乳化剤を含有できる水に混合物を加えることによって調製できる。適宜の有機溶剤は、アルコール及びグリコールを含む。これらの濃縮物は、好ましくは、長期保管に耐え得るべきであり、このような保管後は、従来のスプレー器具によって塗布出来るよう十分な時間にわたり均一な状態を保つ水性調製品を形成するため、水で希釈することが出来ねばならない。
【0069】
最終使用目的の種類によっては、本発明の組成物を導入した物品または製品は、以下のその他の必要な成分をも含んでいても良いが、それらに制限されない。塗布を容易にするための固体又は液状担体、生物系界面活性剤を含む界面活性剤、保護コロイド、接着剤、増粘剤、チキソトロープ剤、浸透剤、安定化剤、捕捉剤、テクスチャー剤(texturing agents)、着香料(例えば、収穫後又は加工食品/飲料用)、ロウ類、着色剤等、当業者には公知となるもの。
【0070】
例えば、このような組成物及び/又は関連物品又は製品は、農業目的に使用し得、このような担体又は希釈剤と共に配合できる。該組成物は、植物の葉、種子、または植物が成長しているかまたは植えられている他の媒体に、製剤されるか、または製剤されずに直接適用できる。それらはクリームまたはペースト製剤としてスプレーされるか、散布されるかまたは適用できるか、あるいはそれらは蒸気としてまたは徐放顆粒として適用できる。葉、幹、枝または根を含む植物の任意の部分に、または根の周囲の土に、果実又は野菜(収穫前又は収穫後)、または植えられる前の種子に、または土全般に、灌漑用水に、または水耕栽培システムに適用できる。本発明の化合物は、また、植物に注入されるか、または低体積及び定圧で、電気力学スプレー技術もしくは当該技術又は産業において知られている他の処理方法を用いて、草木(果実及び野菜を含む)にスプレーできる。
【0071】
ある実施形態においては、農業的処理であるか関連食品処理かどうかに関わらず、本発明の組成物を導入した組成物及び/又は物品または製品は、活性成分(本発明化合物)および固体希釈剤または担体、例えば、増量剤(動物用の砂、猫砂等)、カオリン、ベントナイト、珪藻土(kieselguhr)、ドロマイト、炭酸カルシウム、タルク、粉末マグネシウム、フラー土、石膏、珪藻土(diatomaceous earth)および陶土を含んでなる散布可能な粉末または顆粒の形態であってもよい。このような顆粒は、さらなる処理なしに、適用に適した予備成形顆粒であってもよい。これらの顆粒は、増量剤のペレットを発明組成物又は別の活性原料で浸漬することにより、または活性成分および粉末増量剤の混合物をペレット化することにより製造できる。例えば、種を処理するための組成物は、種への組成物の付着を助けるための剤(例えば鉱物油)を含み得;代わって、活性成分は、有機溶媒を用いて、種を処理する目的で製剤化できる。該組成物は、また、液体中での分散を容易にするための湿潤剤または分散剤を含んでなる、湿潤可能な粉末または水中分散可能な顆粒の形態であってもよい。該粉末および顆粒は、また、増量剤および懸濁化剤を含有できる。もしくは、該組成物は、マイクロカプセル化された形態で使用できる。それらは、また、活性物質のゆっくりとした、制御された放出を得るために、生物分解性のポリマー製剤に製剤化されてもよい。
【0072】
いずれにしても、このような発明の組成物を含むこのような固体製剤は、円筒形、棒状、ブロック状、カプセル、錠剤、丸剤、ペレット(例えば、ペット食品としても)、帯状、スパイク状(spikes)等を含むが、それらに限定されない多様な形態、形状又は成形で、一連の製品又は物品中に提供できる。もしくは、顆粒状又は粉末状の材料は、圧力によって錠剤に打錠するか、一連のカプセル又はシェルに充填して使用できる。以上で論じたように、本発明のこのような組成物は、製剤されていても製剤されていなくても、単独で、基質に適用して、又は医療用、個人用、工業用及び農業用組成物及び関連する使用方法を含むが、それらに限定されない広範囲の最終使用目的で、製品(product)又は製造品(article of manufacture)に導入して使用できる。
【0073】
発明の実施例
以下の実施例及びデータは、限定的なものではなく、本明細書中に記載の種々の成分化合物を含む抗菌組成物の調製及び用途を含む、本発明の組成物及び/又は方法に関する種々の態様及び特徴を説明するものである。先行技術と比較すると、本組成物及び方法は、驚くべき、予想外かつ反対の結果及びデータを提供する。本発明の実用性を使用できるいくつかの組成物及び成分化合物の使用によって説明するが、本発明の範囲に相当する種々の他の組成物及び成分化合物によって同等の結果が得られることは、当業者には理解されるであろう。
【0074】
実施例1a
真菌の単離:ボリビアのアマゾン地域に産する植物から、Ananas anassoidesの数本の小さな茎を2007年3月に採取した。それらは、南緯12°40’07”及び東経68°41’58”の多雨林と隣接するサバンナ地域で採取し、分析のため直ちに輸送した。茎から取ったいくつかの小さな(2〜5インチ)切片を、切断し、ラミナーフローフード下で30秒間70%エタノール中に入れた。一本の滅菌ピンセットを使用して、それらの茎を別々に炎にかざして、余分なアルコールを除去した。その後、 内部組織(樹皮の下)の小片を切除し、中央ウェルが取り除かれたプレートの片側に、活発に増殖しているM.アルブスの単離株620と共にポテトデキストロース寒天培地(PDA)上に置いた。この技術は、ムスコドルのその他の単離物の選択に効果的に使用できる(Worapongら,2001a&b)。2週間の培養期間中、真菌が増殖しているか定期的にペトリ皿を調べた。菌糸が観察された時点で、寒天培地から菌糸の先端を無菌的に切り取り、新鮮なPDA上に置いた。単離物を、このように発見した。いくつかのペトリ皿(PDA)を使用して、真菌が揮発性の抗生物質を生成したかどうかを調べた。この手順としては、プレートの中心から寒天培地の1インチの区域を取り除き、その片側に単離物のプラグを置き、数日間増殖させ、その後試験生物体を隙間の反対側に蒔いた。
【0075】
実施例1b
真菌の分類:自然界において真菌は、A.アナナスソイデスに関係付けられ、無胞子不完全菌目(mycelia sterilia)に属する不完全菌類である。直射日光に当てずに放置した場合では、全ての培地上の白っぽい真菌のコロニーをテストした。直射日光に当てた場合では、全ての培地上のピンクがかった真菌のコロニーをテストした。胞子又はその他の子実体は、どのような条件下でも観察されなかった。菌糸(0.6〜2.7μm)は一般に枝分かれして成長し、時に完全なコイル(約40μm)を形成し、それらに関連するカリフラワー状体(3.5〜14μm)を有する。新たに発生する菌糸は、全ての条件下で試験培地の全てで観察した場合、波状のパターンで増殖する。PDA上の菌糸体は、3〜4週間でプレートを覆い、果実のような匂いを生成する。
【0076】
正基準標本:A.アナナスソイデスに存在する内部寄生菌。採集は、ヒース川流域ボリビアのアマゾンで行った。正基準標本は、ヒース川地方で採取された1本のA.アナナスソイデスの茎から取られたものである。生培養物は、採取番号2347として、モンタナ州立大学の菌学コレクションにムスコドル・クリスパンスとして預けられている(2008年2月29日)。M.クリスパンス(B23)の18S rDNAおよびITSシーケンスの両方を、割り当てられたシリアル番号EU195297を用いてジェンバンクに提出した。
【0077】
テレオモルフ: この真菌のテレオモルフは、M.クリスパンスとジェンバンクデータベース中のクロサイワイタケ科(Xylariaceae)の間の18S rDNA遺伝子配列データの類似点に基づいて、クロサイワイタケ科で見つかる可能性がある。(Brunsら,1991;Reynolds and Taylor 1993;Mitchellら,1995;Guarroら,1999;Taylorら、1999)。M.クリスパンスの18S rDNA遺伝子配列からの分子データは、M.アルブス単離物620と100%の相同性を示す。
【0078】
語源の説明: 属名ムスコドルは、「カビの生えた(musty)」という意味のラテン語を由来とする。これは、この属の最初の3つの分離物によって生成された匂いの質と一致する。種名クリスパンスは、「カールした(curly)、波状の(wavy)」という意味のラテン語である。菌糸は規則的な波状のパターンで成長する。
【0079】
実施例2a
走査型電子顕微鏡観察:Castilloら(2005)によって記載された手順の後に、実施例1の単離物で走査型電子顕微鏡観察を行った。菌による増殖を支持する寒天培地の切片および寄主植物の切片を、濾紙パケット中に入れ、湿潤剤としてのTriton X100を含有する0.1Mのカコジル酸ナトリウム緩衝液(pH7.2〜7.4)中の2%グルテルアルデヒド中に入れ、5分間吸引し、一晩放置した。翌日、切片を15分間ずつ6回、水−緩衝液1:1で洗浄し、次いで15分間10%エタノールで1回、15分間30%エタノールで1回、15分間50%エタノールで1回、15分間ずつ70%エタノールで5回洗浄し、その後一晩以上70%エタノール中に放置した。次いで切片を、95%エタノールで15分間ずつ6回すすぎ、100%エタノールで15分間ずつ3回すすぎ、続いて15分間ずつ3回アセトンで洗浄した。微生物材料を臨界点乾燥し、金スパッタコーティングし、画像をエバーハート・ソーンリー検出器を使用して、高真空モードでXL30 ESEM FEGで記録した。菌糸はオンラインで利用可能なイメージJソフトウェアを使用して測定した。
【0080】
実施例2b
真菌の生態:真菌は、水性培地に白い菌糸体を生成した。いかなる種類の結果構造又は胞子も実験室条件下では見られなかった。菌糸は、絡み合ってコイルを形成する傾向がある。ムスコドルのその他の種にもこの傾向がある(Worapongら,2001a)。新たに発生する菌糸は、典型的な直線的パターンではなく波状に増殖し、通常ロープのような構造で絡み合う傾向がある。この生育相は、生体内の接種研究においてこの有機体を同定する際に診断ツールとして有用であると判明する可能性がある。真菌は、さらに小さな鎖によって菌糸に接続されるように見える、カリフラワーのような構造を生む。これらはどんな条件の下でも発芽せず、そのため、胞子でないよう見える。この観察は、ムスコドル種にとって独特であると思われ、一般に他のいかなる真菌種においても存在は気付かれてこなかった。
【0081】
実施例3a
真菌の増殖及び保管:数片のカーネーションの葉を、その胞子生産を促進するために、活発に増殖している分離物の上に置いた場合、分離物が胞子あるいは他のいかなる子実体も生産しなかったことが判明した。また、23℃で1週間の培養した後にもそのような構造体は観察されなかった。また、胞子生産を示すかどうか調べるために、真菌をセルロース寒天培地(CA)、麦芽寒天培地(MA)およびコーンミール寒天培地(CMA)を含むいくつかの異なる培地上に蒔いた。培地のうちのいくつかでは増殖速度が遅かったことを例外として、真菌の他の特性に異なる点はないようであり、また、子実体または胞子は観察されなかった。
【0082】
濾紙技術を含むいくつかの方法を使用して、純粋培養でとして分離された真菌を保管した。真菌をPDAの上で増殖させ、小さな正方形にカットし、15%グリセロールが入ったバイアル瓶に入れ、−70℃で保管した。また真菌を、グリセロールではなく蒸留水を使用して、同様の方法によって4℃で保存した。しかしながら、最も有効な貯蔵方法は、−70℃の繁殖した無菌の大麦の種子上であった。
【0083】
実施例3b
他に、単離されたM.クリスパンスのより古典的な特徴も調べ、M.アルブスと比較した。直射日光に当てなかった場合、ムスコドル・クリスパンスは増殖の遅い、密な、白色の菌糸体を試験した全培地上で産生した。直射日光に当てた場合、菌糸体は明るいピンク色を発色した。これは、試験した全対応試験培地および条件において白っぽい菌糸体を産生するM.アルブスとは対照的である(Worapongら,2001a)。若い菌糸は、さらにM.アルブスで一般に観察されるような特有の直線のケーブルのような方法ではなく波状に増殖した。(Strobelら,2001)。寄主植物材料またはカーネーションの葉を含んでいるものを含む培地上では、胞子は形成されなかった。菌糸はそれぞれ直径が異なり(0.8〜3.6μm)、多くが絡み合っており、より複雑な構造や、ひいてはコイル状の菌糸を成していた(図1〜3)。これらの菌糸は、全般的にM.アルブスのものより大きかった。(Worapongら、2001a)。
【0084】
実施例4
揮発物の定性分析:ペトリ皿の中で成長させた日齢10日の菌糸体の培養株の上の空間のガスを分析するために使用した方法は、M.アルブス株のオリジナルの単離物に用いる方法、−620と同様であった(Strobelら、2001)。最初に、安定したフレックス・ファイバー上のポリジメチルシロキサン上の50/30のジビニルベンゼン/カルブレン(carburen)から成る、焼かれた「固体相マイクロ抽出」注射器(Supelco)を、真菌の増殖を支持するペトリ皿の横に空けられた小さな穴を通して挿入した。繊維を真菌の蒸気相に45分間暴露した。次に、注射器を、0.50mmの膜厚を備えた30m×0.25mm I.D.ZB Wax毛細管カラムを収容するHewlett Packard 6890ガスクロマトグラフのスプリットレス(splitless)注入口に挿入した。カラム温度を以下のようにプログラムした:30(Cで2分間、次いで220(Cまで5(C/分。キャリヤーガスは超高純度ヘリウム(現地販売業者)であり、初期のカラムヘッドの圧力は50kPaであった。揮発物を補足する前に、繊維を240℃で20分間、ヘリウムガス流下で条件付けた。30秒の注入時間を用いて、GCへサンプル繊維を導入した。ガスクロマトグラフは、単位解像度で動作する、Hewlett Packard 5973 質量選択検出器(質量分析計)に接続した。データ収集とデータ処理は、Hewlett Packard ChemStationソフトウェアシステムで行なった。真菌によって生成された揮発性の混合物中の化合物の初期同定は、NISTデータベースを使用して、ライブラリーを比較することによって行った。
【0085】
実施例5a
真菌DNA単離およびITS−5.8S rDNA配列情報の取得:PDAの上で増殖させた、本真菌の日齢10日の培養株を、25℃での培養期間の後に、Rapid Homogenization: Plant leaf DNA Amplification Kit(米国ワシントン州Cartagen社)を用いるDNAの抽出元として使用した:使用される技術のうちのいくつかは、オーストラリア由来の他のM.アルブス単離物を特徴付けるために使用されるものと同様であった(Ezraら、2004)。1週齢の培養物から、培養された菌糸を正方形(0.5cm2)に切り出した。寒天培地をできるだけ取り除くために、切片の底から寒天培地をこすり落とした。該切片を1.5mlのエッペンドルフバイアル瓶に入れ、−80℃で約10分間培養した。その後、DNAをキット製造者の指示に従って抽出した。抽出したDNAを、二重蒸留滅菌水で希釈(1:9)し、各1μlのサンプルをPCR増幅に使用した。ITS1、5.8S ITS2 rDNA配列を、プライマーITS1(TCCGTAGGTGAACCTGCGGG)およびITS4(TCCTCCGCTTATTGATATGC)を使用して、ポリメラーゼ連鎖反応によって増幅した。真菌培養物(1:9希釈)から抽出したDNA 1μl,プライマーITS1 0.5μl及びプライマーITS4 0.5μl,MgCl2 1.5mMを含むRedMixTM plus PCRミックス7μl(GeneChoice,Inc.,米国メリーランド州)及びddH2O PCRグレード(Fisher Scientific、オーストラリア国、西オーストラリア州ウェンブリー)5μlを含有する反応ミックス14μlにおいて、PCR処理を行った。Biometraパーソナルサイクラーにおいて、以下のようにPCR増幅を行った(ドイツ国ゲッティンゲン)。96℃で5分間、次いで95℃で45秒を35サイクル、50oCで45秒間、及び72oCで45秒間,次いで72oCで5分間を1サイクル。ゲル電気泳動を用いて、1.3%アガロースゲル、30分間、100V、TAE緩衝液で、PCR生成物を調べた(Labnet International,Inc.社(米国ニュージャージー州ウッドブリッジ)のGelXLUltra V2、もしくはWealtec Inc.社(米国ジョージア州)のWealtec GES cell system)。1−臭化エチジウム液0.5μg mlにゲルを5分間浸漬し、次いで蒸留水で5分間洗浄した。Bio−Imaging System(型名202D、DNR−Imaging Systems社、イスラエル国キリヤット・アナヴィム)でUV光でゲル撮影を行った。UltraClean PCR Clean Up DNA精製キット(MO BIO Laboratories,Inc.社、米国カリフォルニア州)を用いて、〜500bpのPCR生成物を精製した。精製した生成物を、直接PCR配列決定に送った。ITS1及びITS4プライマーを用いて、PCR生成物の両鎖で配列決定を行った。MegaBACETM1000解析システム(Danyel Biotech Ltd.社、イスラエル国レホボット)上のDYEnamic ET terminatorsを用いて、配列決定を行った。配列を、NCBIウェブサイトのジェンバンクに提出した。この研究で得た配列を、NCBIウェブサイトのBLASTソフトウェアを用いてジェンバンクのデータベースと比較した。
【0086】
実施例5b
ムスコドル・クリスパンスの分子生物学:18S rDNA、ITS1、5.8SおよびITS2の部分配列は、高度に保存されたDNAの部位であることが実証されており、したがって、生物の分類に非常に有用である(Mitchellら、1995)。M.クリスパンスのこれらの分子的に区別する部分配列を得、ジェンバンクのデータと比較した。18S rDNA配列を検索した後、M.クリスパンスの525を高度なBLAST検索にかけた。結果として、M.アルブス(AF324337)の525と100%の同一性が示された。部分的なITS1、2とM.クリスパンスの5.8S rDNA配列を比較分析したところ、M.アルブス(AF324336)、M.ロセウス(AY034664)、X.エンテロレウカ(Xenteroleuca CBS651.89(AF163033)、X.arbuscula CBS452.63(AF163029)、及びHypoxylon fragiform(HFR246218)のITS1および2と、それぞれ95、95、90、90および91%の相同性でヒットした。
【0087】
実施例5c
本発明は一部分、単離された新規な菌類との関連において記載されているが、このような真菌(当技術分野で理解されるもの)の変種および突然変異体もまた、本発明の文脈において予期されることは理解されるだろう。「変種」及び「突然変異体」という用語は、米国特許第6,911,338号に記載のように定義できる。該特許の全体を、参照によってここに援用する。従って、本発明は、M.クリスパンスの変種又は突然変異株、及び対応する組成物を対象としてもよい。
【0088】
実施例6a
植物病原菌に対するM.クリスパンスの生物検定:過去に文献(Strobelら、2001)に記載されているように、M.クリスパンスの揮発性副生成物の蒸気を、その微生物抑制活性について、比較的簡易な検査を用いて試験した。標準PDAペトリ皿中から、寒天培地を帯状に(幅2cm)取り除き、M.クリスパンスを接種し、プレートの片側で約1週間増殖させた。その後、試験する真菌又は細菌を、真菌には寒天培地の小さなプラグを使用して、ペトリ皿の反対側に接種した。細菌と酵母は、寒天培地(長さ1.5cm)上に画線した。その後、プレートをパラフィルム(Parafilm)1枚で包み、48時間23℃で培養した。試験細菌の増殖に対するM.クリスパンスの影響を、まず接種を行った場所での増殖の有無を確認することによって調べた。増殖が観察された場合、真菌の菌糸の直径を2カ所で測定した。細菌及び酵母に対する蒸気の生物活性を、それらの増殖が影響された程度を、対照プレート上の増殖率として推定することによって評価した。増殖が観察されなかった場合、試験細菌を、試験プレートから無菌的に取り除き、試験細菌の生存率を確認するために、蒸気に曝露した後のある時点で新鮮なPDAプレート上に接種した。
【0089】
前記の方法を利用して、M.クリスパンスを23℃でPDA上で7〜10日間増殖させた場合、真菌の揮発性副生成物は、数種類の真菌および細菌には致死性であると判明した。主な分類の酵母及び真菌と同様、グラム陰性およびグラム陽性菌も、試験細菌として利用した。試験細菌の多くは100%抑制され、M.クリスパンスの副生成物へ2日間曝露した後に死滅した。(を参照。)試験細菌のうちのいくつかは、M.クリスパンスの揮発物に2日間曝露した後も死滅しなかったが、増殖は揮発性副生成物によって大幅に抑制され、4日間曝露した後に死滅した。このような生物としては、ペニシリウム・ロキエフォルチ(Penicillium roquefortii),バイポラリス・ソロキニアナ(Bipolaris sorokiniana),スタグノポスラ種(Stagonospora sp.),及びフサリウム・オキスポラム(Fusarium oxysporum)などが挙げられる。
(表8)
M.クリスパンスの揮発性副生成物の、植物の多くの真菌病原体及び数種類の細菌に対する影響:未処理の対照試験生物と比較して、抑制値は増殖阻害の%として計算した。その試験は、少なくとも3回の試行で同様の結果であった。試験細菌の抑制は、真菌および揮発性の真菌副生成物の蒸気へ48時間曝露した後に記録した。
* これらの生物を試験プレート上に画線し、最終的にコロニーが発生した場合、増殖したことを示す。M.クリスパンスの揮発性副生成物へ適切に曝露させた後、画線した領域を対照プレート上の増殖と比較し、抑制率を評価した。最終的に、生存率を試験するため、各生物を再度PDAプレート上へ画線した。
【0090】
実施例6b
表8を参照すると、ボトリティス属に対するM.クリスパンスの揮発性副生成物の蒸気の影響は、全く顕著であり、特に、様々な植物の灰色カビ病の原因である貴腐菌に顕著である。さらに、抑制及び死滅効果は、玉ねぎの灰色カビ病や腐敗病を引き起こすボトリチス・アリにも適用可能である。限定はしないが、このような結果は、本発明が、農産物の表面、又はカビや関連する問題を防ぐための収穫後の保存の大気を変化させるために効果的に使用できることを示唆している。同様に、このような結果は、真菌の増殖を予防、又は制御するためタマネギ(例えば、ビダリア(Vidalia)タマネギ)、シャロット及びニンニク農産物を処理する本発明のFFC組成物の使用を裏付ける。
【0091】
実施例6c
M.クリスパンスの揮発物からの蒸気は、穀物における腐敗及び真菌の増殖を起こす真菌の多くに対して同様に効果的であり(例えば、トウモロコシ、小麦粉、オオムギ、米等)、本発明は、馬鈴薯、ビーツ、にんじん、サツマイモ等の種々の果実及び野菜と関連して使用できる。このような穀物、果実又は野菜は、収穫前又は収穫後、保管中の又は出荷中のものでもよい。このため、本発明の組成物及び方法は、農業及び食品加工分野における主要な真菌に関連する問題のいくつかに適用でき、アルテルナリア属、クラドスポリウム属,アスペルギルス属、ペニシリウム属,ジプロディア属(Diplodia),フサリウム属、及びギベレラ属(Gibberella)等の標的生物体に使用できるが、これらに限定されない。(例えば、表8を参照。)
【0092】
実施例6d
M.クリスパンスの副生成物からの蒸気はマイコスフェレラ・フィジエンシス真菌に対して有効であった。(表8を参照。)従って、本発明は、バナナやプランテイン(plantains)の真菌に関連する黒シガトカ(Black Sigatoka)病のための処理として使用できる。
【0093】
実施例6e
柑橘類の潰瘍病は、米国の柑橘類産業の存在そのものを脅かす。表8に示されるように、M.クリスパンスの副生成物からの蒸気は潰瘍を引き起こす病原体キサントモナス・アキソニポディスp.v.シトリを効果的に殺す。このような結果は、FFC組成物および関連方法を使用して、種子、実生苗、果樹園、装置あるいは器具(例えば、作業者用装置や衣服を含む)及び/又は収穫した果実を有効に処理し得、潰瘍疾病を予防、抑制、又は制御できることを示唆する。
【0094】
実施例7
実施例6の試験および結果を補うため、M.クリスパンスの揮発性副生成物の蒸気を用いた生物検定試験を、様々な他の植物およびヒトの病原菌および細菌に対して実行した(下記の表9を参照)。PDAを含むXプレート上の一つの四分円で真菌を増殖させて、一つ以上の試験成分を接種する前に、3〜5日間室温で培養した。対照プレートを接種と同時に作成し、各試験生物に最適な同じ培地上で増殖させた。黄色ブドウ球菌6538,サルモネラ・コレラサス(Salmonella cholerasuis)10708、大腸菌11229,黄色ブドウ球菌ATCC 43300 (MRSA),及びコレラ菌ATCC 14035の試験生物を、大豆寒天培養基(TSA)上で、Xのプレートの残り3つの四分円内で増殖させた。各生物体の3枚のプレートを、適切な対照と共に、真菌の副生成物の蒸気に、約2、4及び6日間室温で曝露した。試験微生物の生存率を確認するため、その後真菌を物理的に取り除き、対照プレート及び試験プレートを、最短で3〜4日間35±1℃の恒温器内に入れた、但し、マイコバクテリウム種(Mycobacterium spp.)はさらに約1ヶ月培養した。これは、副生成物の蒸気が試験生物を抑制又は死滅させるかどうかを確認するため行い、及び生物体の生存率を評価した。この同じ手順を、ペスト菌及び炭疽菌に対して行った。但し、曝露時間を3及び5日間に変更し、ペスト菌は、真菌に曝露した後に、28±1℃及び5%のCO2中で培養した。マイコバクテリウム・マリナム(Mycobacterium marinum)ATCC 927を、7H11寒天(Difco Co社)上で、残りの3つの四分円内で先に述べた手続きを用いて増殖させ、33±1℃で培養した。各生物を用いた試験における3つの複製は、全て同一の挙動を示した。
【0095】
全てのヒト型結核菌株については、同じく7H11上で増殖させたが、寒天培地の一部分をプレートから取り除き、B−23菌(PDA上)を挿入した。次にプレートを肉汁培養から培養した。真菌が存在しない対照プレートもまた培養した。指定した時間間隔の各々において、寒天培地の一部分をプレートから取り除き、別の空のプレートに移し、微生物の生存率を調べるため35±1℃の恒温器内に入れた。乾燥を防ぐため、プレートを湿らせた紙タオルと共にプラスチック袋内に入れた。
【0096】
緑膿菌15442及びバークホルデリア・タイランデンシス(Burkholderia thailandensis)70038を、両方ともTSA寒天培地上で増殖させた。それらをその生物に最適な増殖時間だけ室温で放置し、次に35±1℃の恒温器に移し、観察した。なお、ヒトの病原体を使用した試験は全て、厳格かつ連邦政府に承認された生物安全性条件下でを行った。ヒトの病原体の試験は全て、少なくとも2度繰り返された。
(表9)
様々なグラム陽性およびグラム陰性細菌種に対するM.クリスパンスの揮発性副生成物の影響。曝露時間は特定の対象生物によって変えられ、試験細菌の生存率はその期間の後に決定された(増殖ありまたは増殖なしとして挙げる)。
【0097】
表9に示すように、全4種類の抗酸性細菌(ヒト型結核菌株)は、活発に増殖しているM.クリスパンス(日齢6〜10の培養物)へ曝露された2、4、7、及び14日後に死滅した。M.クリスパンスに曝露された少なくとも2日後に死滅したその他の細菌は、以下のものである:黄色ブドウ球菌6538、マイコバクテリウム・マリナム、ペスト菌、及びサルモネラ・コレラサス。M.クリスパンスへの曝露による影響が比較的少なかったか、皆無であったものは、以下の通りである:緑膿菌、バークホルデリア・タイランデンシス、黄色ブドウ球菌(MRSA)、大腸菌、コレラ菌、及び炭疽菌。しかし、黄色ブドウ球菌(MRSA)の増殖は、はっきりしたコロニーではなくぬるぬるしたフィルムのみであり、そのため、M.クリスパンスのVOCによって影響を受けた。また、炭疽菌のプレートは、曝露プレートに残った数個のコロニーのみを有していたが、M.クリスパンスを取り除き、続いて培養した後に、さらに多くのコロニーが成長した。したがって、副生成物のM.クリスパンスの蒸気は、炭疽菌の栄養細胞のみには効果的であるが、胞子に対しては効果的でないと考えられる。最後の観察期間(14日間)から一ヶ月後、真菌に曝露されたプレート上の増殖は観察されず、全ての対照プレート上で増殖が観察された。
【0098】
以下の実施例の実験は、発明組成物の様々な実施例、及びその有用性を示す。代表的なある組成物を、構成物質の量、濃度又は比率に関して制限なく、表10に提供する。ある実施例では、一定量のイソ酪酸を、同じレベル又はほぼ同じレベルのプロピオン酸に置換得る。特定のこのようなその他の実施形態において、エタノールは、酢酸で置換し得、及び/又は2−ブタノンは、酢酸又はプロピオン酸のいずれかで置換できる。また、種々のエステルは、挙げられたエステルの異性体又は同族体(例えば、制限なく、3−メチルブチルエステル、プロピオン酸、2−メチルブチルエステルに対して)で置換できる。以下の実施例で観察された結果は、表10に挙げた化合物の組成物で得られた。同様に、種々の他の組成物を、同等の効果で使用できる。
(表10)
*これらの化合物の各々は、常温で液体として存在し、共に使用すると、室温、又は揮発が可能な温度及び圧力で容易に揮発する液体組成物を提供できる。
【0099】
植物病害制御に使用されるFFC組成物
実施例8a
試験生物体を抑制及び死滅させるFFCの相対的能力を測定した。表10に示した相対的割合でバイアル瓶に化合物を入れることによって、試験溶液を調製した。試験混合物(20マイクロリットル)を、事前に滅菌したマイクロカップ(microcup、4×6mm)内に入れ、PDAを含有するペトリ皿の中央においた。使用していないときには、混合物を0(Cで保管した。少なくとも3個の寒天ブロック(試験真菌辺り3mm3の寒天のブロック)上で新たに増殖中し切除した試験生物体(表9に記載)を、マイクロカップから2〜3cm入れ、皿を2層のパラフィルムで包んだ。一定の期間経過後の寒天ブロックの縁からの菌糸の成長の測定を行った。しかし、ゲオトリクム・キャンディダムの場合は、画線し、接種された寒天プレートの元の領域から再び画線することによって、新しい目に見える成長及び生存率を確認した。また適切な対照を、試験溶液をマイクロカップに入れないで作成した。FFC混合物20(lにおける試験を、同様に結果で少なくとも2回行った。
【0100】
実施例8b
無菌的に小さな寒天培地ブロックを取り除き、PDAプレートにそれを置くことによって、1〜3日後の増殖を観察、又は新鮮なPDAプレート上にゲオトリクム・キャンディダムを再び画線することによって、試験微生物の生存率を作成した。このように、微生物の生存率を評価することが出来た。表11aに示す結果は、以下に挙げる生物が、特定のFFC組成物によって全て抑制され、ほとんどの場合、それらへの曝露によって死滅したことを示す。これらの生物としては、バーティシリウム・ダーリエ、フィチウム・ウルチナム、フィトフトラ・パルミボラ、マイコスフェレラ・フィジエンシス、T 紋枯病菌、アスペルギルス・フミガーツス、ゲオトリクム・キャンディダム、トリコデルマ・ビリデ、ガノダーマ種、クルブラリア種、及びボトリチス・アリが挙げられる。よって、適切に適用すれば、FFC組成物は、これらの病原微生物を制御する能力を有する。このような結果は、この混合物によって他の多くの病原性微生物を抑制又は死滅させ得ることを示す。
(表11a)
【0101】
実施例8c
表11aのデータを参照すると、使用されるFFC組成物の活性プロフィールは、いくつかの例において、M.クリスパンス及びその揮発性副生成物の蒸気と比較して、異なる及び/又は増強した抗菌効果を示す。
【0102】
実施例8d
前記の実施例を参照し、同等の技術及び手順を用い、同じ病原体をプロピオン酸の蒸気で処理した。同等の結果を、列A及びBに再現された表11aのデータとともに、以下の表11bに示し、及び列C(抑制%)に提供したプロピオン酸単独での効果観察した。20μlでは、プロピオン酸の量は、本発明のある実施形態におけるプロピオン酸のレベルと同等である。プロピオン酸は、ある抗菌効果を有することが知られている従来技術の種々の単独の化合物の代表的なものである。しかし、表11bの比較データによって示されるように、本組成物は、本発明の文脈外の単独の従来の技術成分とは独立して予想されものに対して、及びを超えた新しく、相乗的な結果を提供する。そこに示されるように、従来の技術は、単に抑制効果があるだけであるが、発明組成物は、試験された多くの病原体を取り除く(つまり、死滅させる)。同様の結果が、その他のこのような単独の従来技術化合物/組成物との対比によって得られる。
(表11b)
*抑制100%だが、生存率は不明(ND)。
結核および他のヒト病原体を処理するためのFFC組成物の使用
【0103】
実施例9a
ヒト型結核菌単離物(5901867、50001106、59501228及び3081)の4つの臨床薬剤抵抗性株を、FFC組成物に曝露した。4つの単離物の各々に、培養物10μLを、7H11寒天培地プレートの中央に入れ、滅菌プラスチック製の白金耳でプレートの全表面上で次に平らに広げた。0.65mlの微量遠心機チューブ(マイクロキャップ)から、蓋を切り落とし、ねじ式の蓋を有するオートクレーブ可能なチューブ内で121℃で15分間オートクレーブで殺菌した。滅菌鉗子を使用して、接種したプレートの中央に入れたマイクロキャップを取り出した。対照プレート(各単離物に対して1枚)には、マイクロキャップを入れなかった。各単離物に対して3枚のプレートを作成し、5、10、又は20μLのFFCを各プレートの3個のマイクロキャップの各々に入れた。次にプレートを湿った紙タオルと共にジップロック(ziplock)密封プラスチック袋内に入れた、36℃±1℃で約28日間培養した。約48時間曝露した後、マイクロキャップを取り除き、処分し、プレートを恒温器に戻した。紙タオルを頻繁に調べ、培地の乾燥を防ぐため再度湿らせた。対照プレートの全てが増殖した。5及び10μLの揮発物に曝露したプレートの全てが増殖した。20μLの揮発性物に曝露された(50001106)一つの単離物のみが増殖した。なお、ヒト型結核菌の各単離物は、この生物体の臨床薬剤抵抗性株である。全ての実験は、米国政府承認生物安全性実験条件(US Government Approved Biosafety Laboratory Conditions)で行った。
【0104】
5及び10μLの揮発物に曝露された対照プレート及びプレートを、2008年4月14日に蒔いた。揮発物20μLに曝露されたプレートを、2008年4月22日に蒔いた。全てのプレートを複数回調べた。2008年5月19日に最終確認を行い、死滅したそれらの生物体を表12に「−−」と示す。
(表12)
【0105】
TBの別の株に対する本発明のFFC組成物の実際の影響を、図1「ヒト型結核菌株(110107)に対するFFCの死滅効果」に示す。左側のプレートは、FFC 20マイクロリットルで48時間処理されなかった対照プレートである。右側上のプレートは、48時間処理された。その後、両方のプレートを36℃で28日培養した。FFCがヒト型結核菌の耐薬性の単離物の3/4を殺すことができたことはこれらの実験から明白である。これは、結核の治療においてこのようなFFC組成物を用いた動物及びひいてはヒトでの治験に対しても期待できるものである。
【0106】
実施例9b
先の実施例のデータと一致しているので、本発明のより広い様相を実証できる。生存可能な培養物および適切な培地を、当業者に周知に材料および技術を使用して調製する。例えば、本発明のFFC組成物(例えば液体組成物やその蒸気への直接接触)に曝露することによって、以下の大腸菌型細菌(グラム染色と形態学)の増殖阻害あるいは死滅に帰着する場合がある:大腸菌(グラム陰性菌、桿状体)、サルモネラ腸炎菌(グラム陰性菌、桿状体)、緑膿菌(グラム陰性菌、桿状体)、黄色ブドウ球菌(グラム陽性菌、球菌)およびリステリア菌(グラム陽性菌、桿状体)。
【0107】
同様に、このような結果もセレウス菌(グラム陽性、桿菌)及びボツリヌス菌(グラム陰性、桿菌)を含むが、これらに限定されないその他多数のグラム陰性菌及び/又はグラム陽性菌で得ることができ、実証できる。
【0108】
実施例10
M.クリスパンスの揮発性副生成物を模倣する人工組成物に対して試験された試験生物体にいくつかについてIC50を計算した(表1を参照)。表12を参照すると、人工混合物15μLの使用で全ての試験生物体が100%抑制され、それらのうちのいくつかがたったの10μLで死滅した。バーティシリウム・ダーリエ、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea),及びアスペルギルス・フミガーツスは、最高体積の混合物(30μL)によっても死滅しなかったが、3種類全てが、試験混合物10又は15μLで100%抑制された。最も感受性の高かった生物体は、フィチウム・ウルチウムであって、 10μLで死滅し、2.5μLで100%抑制された。よって、IC50値は、フィチウム・ウルチウム及びボトリチス・シネレアは両方とも実質的に同じIC50を有するが、一方は死滅し、他方は死滅しなかったことから、揮発物の死滅能力を必ずしも反映していないと言える(表13)。
(表13)
様々な植物病原菌に対するM.クリスパンスの揮発性副生成物の成分の人工混合物のIC50s 1μLから30μLまでの量の混合物を、試験プレートの中心の滅菌プラスチックウェルに入れた。また、病原性生物をプレートの縁の周辺に置いた。生存率を48時間後に評価し、混合物を加えていないが、滅菌ウェルを定位置にした対照プレートと比較した。その期間後に増殖を示さなかった生物体を、100%抑制されたと決め、48時間後に増殖を示さず、48時間の評価後すぐにPDA上に単離された後に増殖を示さなかったものを、死滅したものとした。IC50の計算は、50%の抑制(μL)を起こすのに必要な人工混合物の量を、ペトリ皿(50mL)の全空域で割って求めた。
【0109】
微生物腐食を制御するごみ処理のためのFFC組成物の使用
実施例11
通常はゴミと見なされる品目の人工混合物を、2つの薬莢用紙箱(ammo cartridge box)に入れた。これらの品目は、廃棄穀物品、花の各部、肉の廃棄物、新聞紙の繊維、及び様々な他の廃棄物から成る。前述のFFC組成物0.2mlを含有する小さなビーカーを一つの箱に入れた。他方の箱には、FFCを入れなかった。これらの箱は、両方とも10日間80°Fで培養した。その期間の最後に、これらの箱を開けて調べた。FFCを含む箱では腐敗が起こらなかったことは明らかであった。一方、対照の箱は、完全に大量の腐敗物となった。ゴミ処理に対するFFC組成物の使用は、世界中でゴミを発酵させてメタン等のエネルギー関連製品にする施設に輸送される間の、損傷のないゴミを腐敗から守る機会である。図4は、この実験の条件においてFFC組成物が微生物腐敗からゴミを保護したことを示す。
【0110】
真菌による腐食を制御するチーズの処理のためのFFC組成物の使用
実施例12
前述のFFC組成物10mlを含有するバイアル瓶を、10×10インチの一片の透明なプラスチックのサランRラップに導入、又はバイアル瓶にラップを導入、及び/又はバイアル瓶を使用してサランラップを浸漬した。プラスチックラップをFFC組成物に6日間浸漬し、干して乾燥させ、次いでチーズの青カビ種の株を十分に接種した一切れのチーズにかぶせる包装材として使用した。別の実験では、該一切れのチーズに真菌を接種し、次いで普通のサランRラップで包み、次いでFFC10マイクロリットルを注入した。青カビ種単独、包装材での処理のみのもの、FFC単独及び対照(未処理)と共に、上方の図の上に適切な対照を示す。実験のチーズの切片を1週間常温で培養し、次いで各チーズ品目の一部を研究員が食べて試験した。なお、冷蔵庫に保管しておいた、新たに切った新鮮なチーズと比較した場合、この方法での保管したことによるチーズの味の悪用と悪影響はなかった。完全に真菌に覆われたチーズの切片は食べなかった。ラップの下にFFC組成物を使用したことで、もしくは処理したラップを用いたことで、チーズの切片が腐敗から実質的に完全に保護され、青カビ種によるチーズのコロニー形成が防がれたことは図2から明らかである。このことは、処理された包装材、及び通常のサランラップで覆われたチーズ単独にFFC10マイクロリットルを注入した場合にも当てはまる。
【0111】
食品及び植物の各部(例えば、農産物)の真菌性腐敗を防ぐ処理のためのFFC組成物使用
実施例13a
数本のヤムイモをこれらの実験のために入手した。最終的に腐敗を引き起こす、表面を汚染する微生物が、接種材料に十分な数存在すると考えられた。よって二切れのヤマノイモを、FFC0.2mlを含有する小さなビーカーの存在下で密閉された蓋付きのプラスチック箱に入れた。対照の箱には、FFCを含有しないビーカーを入れた。次いで密閉した箱を常温で10日間保持し、その後調べた。処理されたヤマノイモの切片の表面及び内部の汚染が起こらなかったことは明らかであったが、対照のヤマノイモには、図3に示すような表面の傷み及び初期腐敗(insipient decay)が複数箇所発生した:未処理のヤマノイモを左に示す。右に示すものは、FFC処理されたものである。左側のヤマノイモの上端の真菌による腐敗の面積の大きさに注目されたい。
【0112】
実施例13b
関連する最終使用目的として、FFC組成物及び/又はその成分を、天然のロウ質の被膜又は保護被膜の除去を補うため、収穫された果実又は野菜の農産物に塗布できる。例えば、収穫されたカボチャ(squash)やその他の農産物を、茎を切り落としてから、FFC組成物(例えば、スプレー塗布によって)で処理すると、微生物の増殖を制御/抑制し、市場性を改善し、及び消費期限を延長できる。
【0113】
実施例14
表2〜7及び10に記載の種類の組成物に従う、本発明の合成FFC組成物は、フィチウム・ウルチナム、紋枯病菌AG2−2及びアファノミセス・コクリオイデス(Aphanomyces cochlioides)によって起こるサトウダイコンのサトウダイコンL(Beta vulgaris L)、並びに根こぶ線虫(root knot nematode)、メロイドジネ・インコグニタ(Meloidogyne incognita)によるトマトのリコペルシコン・エスカレンタム(Lycopersicon esculentum)に見られるの実生苗の病気の制御において、生きたM.アルブスの使用と好ましく同等であった。合成組成物は、全ての3種類のサトウダイコン病原体に対して生きた真菌のデンプンをベースとした製剤と同程度に、苗立枯れ病を制御することを可能にし、及びトマトの根の根こぶ瘤(root knot galls)の数を著しく減少させた。使用したFFC組成物での比率研究では、土壌担体/媒体成分の2(l/cm3及び0.75(l/cm3の濃度で、各々、サトウダイコンのリゾクトニア菌(Rhizoctonia)及びピチウム菌(Pythium)の苗立枯れ病が良好に制御されたことが示された。5(l/cm3の濃度の砂によって、M.インコグニタに対して24時間で100%の死滅率が得られた。比較すると、インビトロ研究において同じ割合の生物合理的物質を使用した場合、5g/lの砂を適用したM.アルブスに感染した割麦配合物と比較して、根こぶ瘤が少なかった。
【0114】
実施例15
トマトかいよう病は組織凋枯症および腐敗によってトマトに重大な損失を引き起こす。この細菌の真性基準培養を栄養培地上に画線し、小さなキャップをプレートの真中に置いた。本発明の人工の、実験室で作成されたFFC組成物20マイクロリットルをキャップ内に入れた。対照プレートはFFC組成物を含んでいなかった。プレートは24時間培養され、その後検査された。FFCで処理したプレート上に細菌の増殖はなかった。(図5参照。)そのため、本発明のFFC組成物はトマトの種子、あるいは株、あるいは作物を処理するため使用できるが、それらに制限されない。あるいは、FFC組成物は前床土用の液(pre−bed soil drench)として水と混合できる。
【0115】
実施例16
先述の実施例を参照して、又先述の実施例のいくつかと一致して、本発明の一連のFFC組成物は、予防的に、もしくは活発な疾患状態の治療のいずれかに使用できる。このような疾患は、サトウダイコン、トマト、タマネギ、穀物、バナナ及びプランテイン、及び柑橘類作物等に影響を与える疾病を含むが、それらに制限されない。
【0116】
一般に、本組成物及び方法は、予防的に、又は真菌性又は細菌性の微生物の存在下において、ライフサイクル段階(例えば、遊走子等)、発達、成長又は感染の程度に関わらず、種子、株、作物及び/又は関連する食品製品の処理及び生存率の向上を対象としてもよい。このため、当業者には理解できるように、このような組成物は、形態(例えば、粉末、顆粒、液体、ミスト、懸濁液、蒸気、糊状剤、ゲル、被膜等)に関わらず、種、実生苗又は株(例えば、根、茎、葉等)、もしくはそれらの作目(例えば、収穫前もしくは収穫後)の表面上に、もしくはそれらと接触して、含んでいても良い、又は適用できる。
【0117】
実施例17
FFC組成物及び/又はその成分は、単独で、あるいは、他の様々な組成物に導入して、鶏肉、農産物及び関連加工産業における多様な最終使用目的で採用できる。このような非制限的目的のうちのいくつかを、以下の実施例において提供する。
【0118】
実施例17a
表2〜7及び10に記載の種類の組成物に従う本発明のFFC組成物が、広範囲の卵製品の処理に使用される。このような広範囲の卵製品としては、限定されないが、全卵、液状全卵、強化全卵、及び液状強化全卵、塩全卵、及び液状塩全卵、砂糖全卵、及び液状砂糖全卵、及びこのような製品、及び、これらと、液体であっても液体でなくても良い、砂糖、固体シロップ、シロップ剤、ブドウ糖及びデキストリン及び/又はガム及び増粘剤などとの混合物が挙げられ、さらにはスクランブルエッグミックス及び液状スクランブルエッグミックス、コレステロール低減卵製品、及び、それらの液状製品ならびに混合物、そして、卵の中身(egg solids)、卵殻ならびに、それには限られないが、脱コレステロール卵黄を含む卵成分を約10%未満含有する関連製品が挙げられる。このような用語は、当業者によって理解され、容認された産業的かつ規制的な使用に従った標準的な意味を有するものである。
【0119】
実施例17b
同様に、本発明の種々のFFC組成物は、少なくとも一部をイソ酪酸に代えてプロピオン酸を使用したものを含むが、それらに限定されないものであるが、全卵、スクランブルミックス、卵黄及び液体卵白製品を含むが、それらに限定されない、品質保持期間延長(extended shelf life、ESL)液状卵製品の調製及び/又は包装に使用できる。
【0120】
実施例17c
同様に、本発明の様々なFFC組成物は、割った後の空の卵殻の処理に使用できる。当該技術において理解できるように、利用可能な技術及び加工設備を用い、FFC組成物及び/又はその成分は、単独で、もしくは別の組成物の一部として導入して、空の卵殻に、例えば、栄養補助製品に更に加工する前に、(例えば、スプレーして)適用できる。同様に、一つ以上の本発明の組成物は、当分野で公知の装置及び技術を用い、家禽の屠殺体、肉又は関連肉製品の処理に適用、導入、又は使用できる。拡大すると、本発明は、以下の実施例のうち一つ以上に示すように、動物屠殺体、肉、加工肉製品及び全ての他の形態の動物の肉(例えば、ほ乳類、鳥類、魚類、巻貝類、二枚貝類、甲殻類、海産食品及び他の食用種)、その他の種類のと共に使用できることは、当業者には理解されるであろう。
【0121】
実施例17d
先述の実施例の拡張として、このようなFFC組成物は、細菌/真菌の増殖を抑制するためにこのような加工栄養補助製品(例えば、ハーブやスパイスのカプセル又は錠剤)に導入できる。
【0122】
実施例17e
先述の例は様々な下流処理用途を示しているが、本発明は、卵および鶏肉生産の文脈においてより広く利用することができる。限定はしないが、本発明のFFC組成物あるいは関連する成分は、鶏肉または鶏卵生産の設備に導入し、及び/又はそれらに関連する装置あるいは機械類に適用することができる。例えば、鶏小屋又は飼育/産卵設備の空気の処理又は表面処理は、風媒性及び表面に付着した汚染物質、及びその後の、表面における微生物の増殖を、制御、減少及び/又は抑制できる。
【0123】
実施例18
FFC組成物又は一つ以上のその成分を、水分活性を有する、或いは微生物の増殖を支持する食品製品を含むその他多数の加工食品製品に導入できる。例えば、このような組成物又は成分は、フムス(humus)、ピーナッツバター及び他のこのようなスプレッド、ディップ及び混合物に導入できる。ピーナッツ生産産業及び加工産業については、本発明の組成物及び関連成分は、殻を割る前及び後のピーナッツ、最初のピーナッツの洗浄の後、関連加工製品(例えば、ピーナッツバター)に、及び/又は包装装置及び包装材料において適用できる。
【0124】
実施例19
同様に、本発明のFFC組成物/成分は、(例えば、上記の表2〜7及び10の組成物のうちの一つ以上、又はそれらに記載の種類の変種)は、製剤形態に関わらず、種々のスキンケア又はトリートメント製品として使用又は導入できる(例えば、ローション、軟膏、クリーム等)。
【0125】
実施例19a
例えば、一般にざ瘡は、皮膚小胞に侵入する一つ以上の種類の細菌によって引き起こされる。本発明の更なる使用を示すと、本発明のプロピオン酸置換FFC組成物の水性製剤を調製し、年齢に関連したざ瘡を呈する青年期の男性被験者の処置に使用した。3週間にわたり、3日間毎に1回塗布することによって、ざ瘡の病斑の数及び強度が、目視の観察において著しく減少した。
【0126】
実施例19b
消費者及び/又は健康管理製品の文脈における本発明の別の使用を示すと、本発明のFFC組成物を、代表的な店頭で購入可能なスキンクリーム製剤に導入した(約2重量%)。図6を参照すると、PDAプレートを調製し、対照クリーム(FFC成分又は組成物なし)(左上);細菌細胞で汚染された対照クリーム(右上);FFC組成物を含む「処理」クリーム(左下);及び細菌による汚染を含む処理クリーム(右下)と共に1日間培養した。図に示すように、このようなスキンクリーム製品における細菌の増殖は、中程度の濃度の本発明のFFC組成物を導入することによって防がれた。
【0127】
実施例20
同様に、本発明は、一連の口腔衛生、管理及び治療製品と関連して使用できる。限定はしないが、以下の実施例は、上記した種類のプロピオン酸置換FFC組成物のこのような使用を示す。もしくは、その他多数のFFC組成物は、上記の表2〜7及び10の組成物に、又は本明細書中の他の箇所で説明するようなそれらの変種に従って使用できる。
【0128】
実施例20a
例えば、あるこのような口腔管理/衛生製品を説明すると、口内洗浄液/リンス液製品を、このようなFFC組成物約1%を使用して製剤した。このような製品を、市販の一般口内洗浄液/リンス液製品中にこのようなFFC組成物を導入することによって調製した。FFC本発明の組成物は、濃度又は用量レベルに関わらず、歯磨き粉/ゲル又は関連する歯茎、口内、口腔又は歯の管理製品にも導入できる。
【0129】
実施例20b
扁平苔癬(LP)は、口内で、あるいは他の粘膜上で生じることがある皮膚の自己免疫疾患である。膜が不安定になるため、細菌又は真菌がこれらの領域で生息し得、組織の痛み、発赤、感染、出血及び膨張を引き起こできる。この疾病における菌の外来性の関与の原因を減少させるために、このようなFFC組成物の1%水溶液を含有する口内洗浄液製品を調製した。患者の口内を、毎日2〜3回、少なくとも3〜4分間すすぎ、その後吐き出した。治療を適用する前と3週間の治療後に、写真を撮影した。3週間後に、結果として、歯茎の発赤がほぼ完全になくなり、併せて、口内及び歯茎の痛みがほぼ完全になくなり、歯茎及び他の粘膜の色もほぼ正常に回復した。患者は、痛み/出血がほぼ完全になくなったこと、並びに過去の経験と比較してLPが最大に軽減したことを報告した。
【0130】
実施例20c
歯垢を減少させるため、また口内の問題と関連する菌から発生するその他の問題を治療するため、既成の口内リンス液中に前述のFFC組成物の1%溶液を使用した。毎日、1日辺り3〜4回、2ヶ月にわたって口内リンス液を使用したところ、歯垢の蓄積がほとんどなくなったか、全くなくなった。当初は、赤色を呈し、腫れがあり、出血しやすいと記録された歯茎(実際に歯科医によって記録されたメモより)が、色が正常になり、「探針」器具で触診しても出血しなくなった。
【0131】
実施例20d
このようなFFC組成物の有効性を確認するため、先述の例から生じる口内の唾液を、栄養素寒天プレートの片方に載せ、非FFCの市販の口内リンス液を使用した際の唾液を同じプレートの反対側に載せ、リンス液を使用しなかった際の唾液を別のプレートに載せた。唾液を2日間培養した。比較によると、リンス液を使用しなかった際の唾液は、細菌量が高かった。非FFCのリンス液を使用した際の唾液は、予想通り、細菌量が減少していた。しかし、FFCリンス液を使用した際の唾液は、検出可能な細菌が存在しなかった。
【0132】
実施例20e
別の例においては、口腔外科医が、口腔の手術に先立ってFFC組成物(例えば、市販のリンス/洗浄製品の1%として)を試験した。患者は非処理の唾液を寒天プレート(栄養寒天培地)に載せ、FFCリンス液ですすぎ、その唾液を別の寒天プレートに載せた。2〜3日間培養した後で、FCCリンス処理されたプレートの上に細菌のコロニーは存在しなかった。これは、口腔内の手術の前及び後に使用すると、歯やその他の口内感染が治療又は抑制されることを示す。
【0133】
実施例21
乳牛における乳腺炎は、乳房と関連する菌の複合体によって発生する。本発明の種々の限定されない実施形態によると、以下に記載の種類のFFC組成物又はラムノリピド変性FFC組成物は、牛乳製品の細菌感染及び汚染の見込みを減少させるために、搾乳の際のアターに適用できる。
【0134】
実施例22
本発明の様々なFFC組成物は、産業上/医学的に重要なバイオフィルム上の微生物不可を軽減するために使用できる。後者に関しては、入歯から人工関節に及ぶ物品を、外科的移植の前に本発明のFFC組成物で処理できる。
【0135】
実施例23
本発明のFFC組成物は、衣料品の真菌及び細菌による損傷、特に、湿気の多い環境に曝露されるもの(すなわち、皮革、靴、ブーツ、ストラップ、ネクタイ、ベルト)の損傷を制御するために使用できる。例えば、上記した種類の1%FFC組成物0.2mlを、完全に濡れてはいなかったブーツに入れた。発生する蒸気を数時間保つため、ブーツを封入し、次いで乾燥した空気に曝露した。結果として、腐敗は見られず、ブーツが乾いた後もカビのにおいは残らなかった。
【0136】
実施例24
本発明の組成物は様々なFFC成分を含み得、本発明を知るに至った当業者によって理解されるような方法で製剤化できる。限定はしないが、最終使用目的あるいは処理にかかわらず、本FFC成分及び/又は関連する組成物の一つ以上を、様々な抗細菌性又は抗真菌性組成物に導入できる。限定はしないが、このような組成物は、単独で、又は当該技術で既知の種類の抗細菌性及び/又は抗真菌性成分と組み合わせて、ラムノリピド界面活性剤成分を含んでいても良い。後者に関しては、このような組成物は、シリンゴマイシン及び/又はスードマイシン(pseudomycin)成分を含んでいても良い。
【0137】
具体的には、当業者によって理解できるように、ラムノリピド成分は、米国特許第5,455,232号および第5,767,090号に記載の種類の一つ以上の化合物を含んでいても良い。その各々の全体は、参照によって本明細書に組み入れられる。このようなラムノリピド化合物は、当該技術で現在公知であるか、今後単離及び/又は特定されるものであるかに関わらず、当業者によって理解されるような、それら特許で開示された、又は変更された構造であってもよい。例えば、限定はしないが、酸の形態の及び/又は対応する酸塩として、合成的に誘導された、又は天然に存在する(例えば、スードモナス(Pseudomonas)種又はその株から)かに関わらず、このような化合物は、糖ヒドロキシ位置の一つ以上におけるアルキル置換及び/又はアシル置換(例えば、それぞれメチル及び/又はアセチル、及びそのより高級な同族体)できる。同様に、モノ−及び/又はジラムノの形態であるかに関わらず、このような化合物は疎水性部分によって変わり得る。限定されない例としては、図7A及び7Bを参照すると、m及びnは、このような部分が飽和、単不飽和又は多不飽和、疎水性部分がプロトン化して、対イオンとの共役塩基として存在するか、又は誘導体化していているに限らず、無関係に、約4〜約20の範囲であってもよい。本発明のより広い態様と同様、このような組成物において有用なラムノリピドは、本発明のFFC組成物と関連した、得られる界面活性機能日及び/又は抗菌効果によってのみ構造的に限定される。このため、国際公報WO99/43334に記載の種類の構造的な変種もまた、本発明の文脈において見なされ、このような公報を参照することにより、その全体を本明細書に援用する。図8〜9の限定されないラムノリピド成分/構造も参照されたい。
【0138】
抗菌又はラムノリピド同一性に関わらず、本発明の組成物の担体成分は、水、アルコール、油、気体及びそれらの組合せから選択されるが、それらに制限されない流体を含んでいても良い。例えば、このような組成物は、抗菌又はラムノリピド数の量又は濃度(例えば、重量%)に関して無制限である一方、水及び/又はアルコールを含む担体は、所望の製剤化、出荷、保管及び/又は適用特性や、効果的な濃度及び得られる活性を容易にするために使用できる。
【0139】
このようなラムノリピド界面活性剤成分、抗真菌成分及び/又は関連組成物は、同時継続中の米国特許出願番号第11/351、572号、特にその実施例9〜15に記載のものを含むが、それらに限定されるものではない。2006年2月10日に出願されたこのような出願を、参照することによってその全体を本明細書に援用する。このようなラムノリピド界面活性剤成分、抗真菌成分及び/又は関連組成物は、本発明の一つ以上のFFC成分及び/又はFFC組成物と関連して導入又は使用できる。このような抗菌性及び/又は抗真菌成分は、当業者に公知のものであり、市販されている。種々のラムノリピド成分及び関連界面活性剤組成物は、Zonixの商標においてJeneil Biosurfactant,LLCから入手可能である。
【0140】
実施例25
例えば、このようなラムノリピド関連変種を示すと、一連の組成物は、広範囲の果実及び野菜の収穫後の洗浄又は処理として又は関連して使用するための本発明の一つ以上のラムノリピド成分及び一つ以上のFFC組成物(及び/又は一つ以上のそのFFC成分)で調製できる。限定はしないが、このような組成物においては、ラムノリピド成分(例えば、前述の’572号出願に記載のもの)は、約0.1重量%〜約99.9重量%までの量で存在し得、及びFFC組成物/成分(例えば、上記表2〜7及び10の組成物)は、約99.9重量%〜約0.1重量%の量で存在できる。該当するEPA規制を参照すると、前述のZonixラムノリピド界面活性剤に対する許容限界はない。同様に、本発明のFFC組成物/成分に対する許容限界はない。このため、このようなラムノリピド/FFC組成物で処理された食品は、更に洗浄せずに消費できる。
【0141】
実施例25a
以上のように、ラムノリピド/FFC組成物は柑橘果実を洗うために使用できる。一つのこのような洗浄/浴組成物は、8.5%ラムノリピド溶液(水中)および5%FFC溶液(例えば、表10の水中組成物)を使用して調製された。1ガロンの95:5(体積/体積)混合物を425ガロンまで希釈した。当該産業において公知、又は該当する状態又は米国連邦規制で求められる手続き手順を用い、組成物を、柑橘類の皮を洗浄及び浸透するために有効に使用した。表面及び内部の菌及び真菌の両方を死滅させた。柑橘類の果実では効果的な結果が得られたが、このラムノリピド/FFC組成物及び関連ラムノリピド/FFC組成物は、果実又は野菜の収穫後の洗浄又は処理と関連して同等に使用できる。(例えば、限定はしないが、ブルーベリー、トマト、ブドウ、タマネギ、サトウダイコン、サツマイモ、リンゴ、ナシ、パイナップル及び、ノニ及びアサイ果実等を含むが、それらに制限されないその他多数の熱帯の農産物)。この実施例のFFC組成物で洗浄又は処理された果実/野菜は、ヒトの消費に対して安全かつ衛生的と認識される。
【0142】
実施例25b
導入したラムノリピド成分を有するかどうかに関わらず、種々のFFC本発明の組成物は、細菌/真菌量を減少させるために、包装前又は包装時に、又は缶に詰める前又は缶に詰める際に、種々の果実及び野菜(例えば、ナシ、モモ、リンゴ、トマト、アンズ、マンゴー等)の処理に使用できる。
【0143】
実施例26
FFC成分化合物の入手源。本発明の組成物に使用するための成分化合物は、市販のものを入手するか、又は周知の種類の合成技術、又は文献に記載の種類の合成技術を用い調製できる。(例えば、米国特許番号6,911,338号を参照。参照することによって、その全体を本明細書に援用する。)
【0144】
もしくは、動物及びヒト用の食品及び飲料品目、パーソナルケア及び化粧品製品及び関連処理及び製造技術を含むが、それらに限定されない、ある実施の形態と関連して好適であってもよいように、本発明のGRAS成分化合物及び関連FFC組成物は、発酵技術によって天然から得ることができ、またFlavorzonの商標でJeneil Biotech,Inc.社(米国ウィスコンシン州ソークビル)から入手可能である。このため、種々の本発明の組成物は、最終使用又は用途によって、細菌発酵由来の化合物、化学合成された化合物、及び発酵由来及び合成由来の化合物の種々の混合物を含んでいても良い。
【0145】
先述の記載を参照すると、以下の実施例は、一つ以上の本発明の組成物の限定されない用途又は導入を示す。このような用途又は導入は、本発明を知るに至った当業者には理解できるものであり、及びいくつかの先行特許の文脈において記載されたものである。それらの各々を参照することによって、本発明のこのような用途又は導入が当業者には理解できることを示す目的のために本明細書に援用する。
【0146】
実施例27
その他の実施の形態を示すと、種々の本発明の組成物は、援用する米国特許第6,566,349号に記載のもの等の果実飲料用の添加剤として使用するため配合できる。例えば、本発明の組成物は、フラボノイド化合物及び/又は抗酸化剤と組み合わせて、又は代替物として果汁に加え得、又は製品の保存寿命を延ばすため、加工の前に果実及び野菜に事前に適用できる得る。当業者には理解されるとおり、’349号特許のこのような組成物は、過度の実験作業を行うことなしに直接的な方法で、最終使用目的を決定できる量で本発明の一つ以上の組成物を含むよう変更できる。
【0147】
実施例28
本発明の組成物は、援用する米国特許第5,866,182号に記載のもの等の茶及び茶/果実混合物飲料の保存に使用するためにも配合できる。例えば、本発明の組成物は、ソルビン酸カリウム及び/安息香酸ナトリウム、アスコルビン酸、及び二炭酸ジメチルと組み合わせて、又はそれらの代替として使用できる。当業者には理解できるように、’182号特許(例えば、その実施例1)のこのような飲料は、本発明の一つ以上の組成物を含むよう変更できる。その量は、過度の実験を行うことなしに直接的な方法で決定できる。
【0148】
実施例29
本発明の組成物はまた、援用する米国特許第5,176,903号に記載のもの等の制汗剤及び脱臭剤の抗菌効果を保存及び/又は向上させるための使用に配合できる。例えば、本発明の組成物は、パラベン、イミダゾリジニル尿素、クオタニウム−15、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、及びその他多数の適宜の防腐剤(例えば、該特許の実施例1〜3に記載のもの)と組み合わせて、又はそれらの代替として使用し得、また分解から保護し、保存寿命を延ばすため、及び/又は有効性を向上させるため、このような制汗剤/脱臭剤に加え得る。一つ以上のこのような組成物の量は、当業者が過度の実験を行うことなしに、直接的な方法で決定できる。
【0149】
実施例30
また、本発明の組成物は、援用する米国特許第4,548,808号に記載のもの等の制汗剤に使用するためにも配合できる。例えば、一つ以上の本発明の組成物は、保存寿命を延ばし、抗菌効果を高めるために、当業者が過度の実験を行うことなしに容易に決定される効果的な量で、’808号特許(例えば、その実施例1〜6)に記載の実質的に無水の非アルコール性の制汗剤製品に加え得る。
【0150】
実施例31
また本発明の組成物は、例えば、援用する米国特許第3,119,691号に記載のイヌ用食品等の動物/ペット食品に使用するためにも配合できる。当業者であれば、 本組成物の一つ以上は、’691号特許に開示された製品の保存寿命を延ばすために、低水分ドッグフード、高水分ドッグフード、及び再水和可能なドッグフード(例えば、本明細書に記載の製品配合物)に加え得ることを認識するであろう。このような組成物の量は、過度の実験を行うことなしに容易に決定できる。
【0151】
実施例32
また、本発明の組成物は、援用する米国特許第5,060,598号及び第4,721,059号に記載のもの等の猫砂(cat litter)に使用するために配合できる。例えば、粘土、アルファルファ、木材チップ、及びおがくずを含む、種々の吸収剤材料、及び粘土状の充填材(’059号特許)及び泥炭(’598号特許)を含む高吸収材料を用いて、尿の匂い及び対照の匂いを吸収する。一つ以上の本発明の組成物は、微生物の活性を減少又は取り除くため、及び砂の使用後の匂いを制御するため、これらの材料(例えば、スプレーして塗布する、もしくは導入する)と関連して使用できる。このような組成物の量は、過度の実験を行うことなしに容易に決定できる。
【0152】
実施例33
本発明の組成物は、同様に、援用する米国特許第6,250,511号に記載のもの等に使用するためのスプレー殺菌剤用途に配合できる。’511号特許には、少なくとも1種類のグリコール化合物を約25%〜約75%、抗菌成分を0.2%〜60%、界面活性剤を約5%〜45%、及び任意に、効果的な量の香料、染料及び他の添加剤(該特許中第3欄)を含む、スプレー瓶に入れた処理溶液が記載されている。例えば、一つ以上の本発明の組成物は、抗菌成分の代替として、又はそれに加える添加剤として、’511号特許の殺菌剤と関連して使用できる。このような組成物の量は、当業者によって過度の実験を行うことなしに容易に決定できる。
【0153】
実施例34
本発明の組成物は、同様に、援用する米国特許第RE40,050号に記載のもの等の、食品及び飲料加工装置を洗浄及び/又は殺菌するために配合できる。’050号再発行出願は二酸化ハロゲン組成物を教示しているが、このような配合物は、本発明の一つ以上の組成物を置換して当業者によって変更できる。このような組成物量は、その量が過度の実験を行うことなしに容易に決定し得、’050号再発行出願に記載の種類の装置及び技術を用いて、このような加工装置に接触又は適用できる(例えば、該再発行出願の第3〜4欄に記載)。
【0154】
実施例35
本発明の組成物は、同様に、援用する米国特許第4,988,576号に記載のもの(及び援用する米国特許第7,449,130号に記載のリグノセルロース系複合物)等の木を保存するために使用するために配合できる。’576号特許は、リグニンスルホン酸塩、ヒドロキシルベンジルアルコールのグラフト共重合体、及び金属塩又は金属塩の混合物を含む防腐剤組成物の溶液、又はリグニンスルホン酸塩のグラフト共重合体の少なくとも1種の金属塩を含む防腐剤組成物の溶液で木を含浸することを教示している。該コポリマーは、リグニンスルホン酸塩及びアクリル単量体の反応生成物である。例えば、一つ以上の本発明の組成物は、木を含浸及び保存するために、単独で、又は’576号特許(又は’130号特許)の実施例1〜4及び1〜2において該特許に教示の防腐剤と組み合わせて、それぞれ記載のように使用できる。このような組成物は、その量を、過度の実験を行うことなしに当業者によって容易に決定できる。
【0155】
実施例36
本発明の組成物は、同様に、援用する米国特許第4,575,891号に記載のもの等の拭き取り布の衛生化及び/又は殺菌用途に配合できる。該特許は、殺菌剤で部分的に飽和されたパッドを教示する。(例えば、第2欄)。’891号特許には、アルコール性溶液、及び他の消毒液等の適宜の殺菌剤が記載されている。例えば、一つ以上の本発明の組成物は、単独で、又はこのような殺菌剤と組み合わせて、及びこのような拭き取り布材料に導入して使用できる。このような組成物は、過度の実験を行うことなしに、当業者によって量を容易に決定し、また導入できる。
【0156】
実施例37
本発明の組成物は、同様に、援用する米国特許第6,187,327号に記載のもの等の手の衛生化ローションに使用するために配合できる。例えば、一つ以上の本発明の組成物は、’327号特許のローションに加えて、及び該ローションと関連して加工して、又は抗菌効果を改良するためローションの活性原料に代えて配合できる。また’327号特許は、その他多数の公知の手指清浄剤(例えば、両性カチオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、湿潤剤、及び非イオン性退行剤(regressing agent)を開示する。いずれにしても、本発明の組成物は、このような手指清浄剤における活性原料の代替として、又はこのような手指清浄剤における活性原料と関連した使用に導入できる。このような組成物は、過度の実験を行うことなしに量を容易に決定できる。
【0157】
実施例38
本発明の組成物は、同様に、援用する米国特許第4,581,238号に記載のもの等の食用種子又は作物種子を処理に使用するために配合できる。該特許は、種子と分散したソルビン酸塩を有する蒸気との接触を教示する(例えば、第2〜5欄)。例えば、該特許に開示された技術及び装置を用いて、一つ以上の本発明の組成物は、揮発し得、又はこのような種子に適用できる。このような組成物は、その量を、過度の実験を行うことなしに当業者によって容易に決定できる。
【0158】
実施例39
本発明の組成物は、同様に、援用する米国特許第4,356,204号に記載のもの等の腐敗生物体の増殖の防止又は抑制に使用するために配合できる。該特許は、食品と効果的な増殖抑制量のケトヘキサン酸とを接触させることを教示する(例えば、第2〜3欄)。一つ以上の本発明の組成物は、単独で、又は腐敗生物体を更に抑制及び/又は死滅させるためにこのようなケトヘキサン酸と共に使用できる。同様に、援用する米国特許第2,711,976号は、カスタード食品の腐敗生物体及びブドウ球菌種への耐性を高めるためのアミノ酸の使用を示唆している。さらに、一つ以上の本発明の組成物は、単独で、又はこのようなアミノ酸と組み合わせて、又はこのようなアミノ酸の代替物として使用できる。同様に、援用する米国特許第2,866,819号は、食品における防腐剤としてのソルビン酸の使用を示唆する。さらに、一つ以上の本発明の組成物は、単独で、又はソルビン酸と組み合わせて、又はソルビン酸の代替物として使用できる。同様に、援用する米国特許第2,910,368号は、野菜の保存寿命を高めるためのEDTAのソルビン酸との使用を開示する。さらに、一つ以上の本発明の組成物は、単独で、又はEDTA及び/又はソルビン酸と組み合わせて使用できる。各例において、このような本発明の組成物は、過度の実験を行うことなしに当業者によって容易に決定される量で使用できる。
【0159】
実施例40
本発明の組成物は、同様に、援用する米国特許第5,273,769号に記載のもの等の果実、種子、穀物、及びマメ科植物を処理するに使用するために配合できる。該特許は、処理すべき品目を容器に入れ、次いで炭酸ガス及びアンモニアを導入することを教示する。例えば、該特許記載の装置及び技術を用いれば(例えば、実施例1〜4)、一つ以上の本発明の組成物を、過度の実験を行うことなしに、当該技術において理解できるように有効に使用できる。
【0160】
実施例41
本発明の組成物は、歯科及び医療用物品/装置及び移植片の処理に使用するために配合できる。後者は、援用する米国特許第6,812,217号に具体的に記載されている。該特許は、移植可能な医療用装置の外表面に適用される抗菌ポリマーフィルムを教示する。例えば、該特許に記載の種類の技術を用いて、また一つ以上の本発明の組成物は、抗菌効果を提供するための装置又は物品(医療用又は歯科用)、又はそれらの上のポリマーフィルム(例えば、第5〜6欄に記載)に付着又は導入できる。このような組成物は、過度の実験を行うことなしに当業者によって量を容易に決定できる。
【0161】
実施例42
本発明の組成物は、援用する米国特許第5,968,207号等の織物の処理に使用するために配合できる。該特許は、拡散又は含浸によって織物繊維又は布地へのトリクロサンエステルの適用を教示する。例えば、一つ以上の本発明の組成物は、単独で、又は人工、天然、又は混合物に関わらず織物又はその繊維の抗菌剤特性を改良するような化合物と組み合わせての使用に配合できる(例えば、’207号特許の第2〜3欄に記載)。このような組成物は、過度の実験を行うことなしに当業者によって量を容易に決定できる。
【0162】
実施例43
本発明の組成物は、援用する米国特許第7,575,744号に記載のもの等の食品加工設備、関連装置及び食料品の表面の処理に配合できる。例えば、該特許に記載の種類の技術及び装置を用い、一つ以上の本発明の組成物は、微生物の活性を減少又は除去させるような広範囲の食品加工施設における装置及び食品素材表面に配合、及び付着できる。このような設備/装置は、軽食、鶏肉、柑橘類、ピーナッツ及び関連食品の加工設備/装置を含むが、それらに限定されない(例えば、第20欄を参照)。このような組成物は、過度の実験を行うことなしに当業者によって容易に決定される量で採用できる。
【0163】
実施例44
本発明の組成物は、同様に、家畜(farm animals)及び獣畜(livestock)における微生物関連の疾病(つまり、乳腺炎、蹄、口等)の治療に使用するため、及び援用する米国特許第7,192,575号に記載のもの等の作物、植物、穀物、及び他の食料品における微生物の増殖を抑制するために配合できる。該特許は、クローブ花蕾油(clove bud oil)、ユーカリ油、イングリッシュラベンダー油、ティートリー及びオレンジ油を含む組成物の適用を教示する。例えば、一つ以上の本発明の組成物は、単独で、又は’575号特許のもの(例えば、実施例1〜2)と組み合わせて使用に配合できる。このような組成物は、過度の実験を行うことなしに当業者によって量を容易に決定できる。
【0164】
実施例45
本発明の組成物は、同様に、援用する米国特許第6,156,362号に記載のもの等の、ドレッシング、ソース、マリネード、調味料、スプレッド、バター、マーガリン、酪農系食品等の食料品を微生物腐敗から保護するための使用に配合できる。該特許は、抗菌成分の組み合わせを教示する。一つ以上の本発明の組成物は、単独で、又は’362号特許の成分のうち一つ以上と組み合わせての使用に配合できる(例えば、実施例1〜4)。このような組成物又は過度の実験を行うことなしに当業者によって量を容易に決定できる。
【0165】
実施例46
本発明の組成物は、援用する米国特許第7,659,326号に記載のものや、該特許に引用された典拠(例えば、Kirk−Othmer−Paint;pp.10461049,Vol.17;1996,Arthur A.Leman、その開示もまた参照することによって、その全体を本明細書に援用する)等の広範囲の水系及び有機系塗料、染色剤(stains)及び関連表面被膜と共に導入のため配合できる。例えば、一つ以上の本発明の組成物は、単独で、又は’326号特許の詳細な説明及び実施例1及び3に記載の別の抗菌成分と組み合わせての使用に配合できる。このような組成物は、その量を、過度の実験を行うことなしに当業者によって容易に決定される。
【0166】
実施例47
本発明の組成物は、同様に、援用する米国特許第6,231,845号に記載のもの等のひげ剃り後用の製品への使用又は導入に配合できる。例えば、一つ以上の本発明の組成物は、先行技術の、ひげ剃り後用の製品に抗菌効果を提供するための’845号特許の実施例1〜6に記載の種類の成分と関連して使用できる。このような組成物は、過度の実験を行うことなしに当業者によって容易に決定される量で存在できる。
【0167】
実施例48
本発明の組成物は、同様に、援用する米国特許第7,507,429号に記載のもの等の屠殺体、肉又は肉製品(例えば、ほ乳類、鳥類、魚類、二枚貝類、甲殻類及び/又はその他の海産食品、及び他の食用種の形態のもの)の処置用の製品への使用又は導入に配合できる。例えば、一つ以上の本発明の組成物単独で、又は別の抗菌成分と組み合わせて、’429号特許に記載の種類の製品に導入して使用するため配合できる。このような組成物は、過度の実験を行うことなしに当業者によって容易に決定される量で存在できる。また、対応する製品は、’429号特許に記載の技術及び装置を用いて、又は本発明を知るに至った当業者によって理解できるように適用又は使用できる。(例えば、’429号特許の詳細な説明の肉加工、スプレー、浸漬及び処理、及び組成物及び成分の項目を参照)
【0168】
実施例49
本発明の組成物は、食品製品用の材料(例えば、被膜又はその他の賦形(incorporation)用の材料)への使用又は導入にも配合できる。このような製品は、軽食食品、シリアル食品及び他の食品成分を含むが、それらに限定されない。このような軽食及びシリアル食品及び材料は、援用する米国特許第7,163,708号に記載の種類のものである。このような材料が適用できる方法について、限定はしないが、一つ以上の本発明の組成物は、単独で、又は’708特許の食品製品及び被膜材料の詳細な説明に記載の材料の抗菌又は防腐剤成分の一つ以上と関連して使用できる。このため、当業者には理解できるように、このような組成物は、過度の実験を行うことなしに容易に決定される量で存在できる。
【0169】
実施例50
本発明の組成物は、援用する米国特許第7,498,050号に記載のもの等の、ピーナッツバター組成物を含むが、それらに限定されない、種々の食用スプレッド組成物に導入するため配合できる。例えば、当業者には理解できるように、一つ以上の本発明の組成物は、’050号特許の実施例1〜2に記載されるような、抗菌効果を提供又は高める食用スプレッド製品と関連して使用できる。このような組成物は、過度の実験を行うことなしに容易に決定される量で存在できる。
【0170】
実施例51
本発明の組成物は、援用する米国特許第6,720,450号に記載のもの等の広範囲の害虫防除組成物に導入するため配合できる(例えば、詳細な説明の項目2〜3)。例えば、一つ以上の本発明の組成物は、単独で、又は’450号特許に記載のもの等の、別の抗殺虫成分(antipesticidal component)と組み合わせて使用するため配合できる。同様に、一つ以上の本発明の組成物は、種々の種類の蚊、及び農作物の害虫を含むが、それらに限定されない、種々の吸血昆虫に対して使用するため、適宜の担体成分に、該特許に記載のように配合できる。本組成物は、該特許に記載のように、幼虫、さなぎ及び/又は成体形を含む、蚊の直接接触、阻害及び/又は除去のために使用できる。もしくは、本組成物は、忌避作用のために使用及び/又は配合できる。いずれにしても、このような組成物は、過度の実験を行うことなしに当業者によって容易に決定される量で存在し得、また任意に界面活性剤成分を含んでいても良い。このような界面活性剤は、生物系界面活性剤であってもよい。限定はしないが、このような生物系界面活性剤は、モノラムノリピド、ジラムノリピド及びそれらの組合せから選択できる。
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその開示全体を本明細書に援用する、2009年4月27日に出願された出願番号第61/214、752号、2009年11月2日に出願された出願番号第61/257、319号、及び2010年3月19日に出願された出願番号第61/315、611号からの優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
種々のカビ、植物の病気等を制御するための殺生物剤の選別及び開発が大いに進められてきた。しかし、使用されているほとんどの市販の殺生物剤又は殺虫剤は、発癌物質と分類される化合物であるか、又は野生生物及び他の対象外の種子に対して有毒である。例えば、臭化メチルが、土壌燻蒸剤として、また、細菌感染の収穫後処理において広く使用されている。臭化メチルやその他の種々の合成殺生物剤/殺虫剤の使用は、ヒトへの毒性及び環境への悪影響のため、最終的には中止される予定である。結果として、近年の努力は、同等の抗菌又は殺虫効果を示す天然又は生体模倣(biomimetic)組成物の選別及び開発に向けられてきた。
【0003】
このようなアプローチの一つとして、内部寄生菌及び関連する揮発性副生成物に関するものがある。内部寄生菌は、当該分野では生きている植物の組織の間質腔に存在する微生物と定義されるが、一般には、寄生性とは見なされない。特に、熱帯雨林植物と関連して見られる内部寄生菌は、それらの揮発性副生物の抗生特性のため、多大な関心を集めている。数種のムスコドル(Muscodor)種[すなわち、M.アルブス(M.albus)、M.ロセウス(M.roseus)及びM.ビチゲナス(M.vitigenus)]が、抗生特性又は殺虫特性を示す揮発性副生物を生成することが示されてきた。しかし、各々の種の各副生成物は、種々のナフタレン及び/又はアズレン誘導体を含んでいる。このような化合物は、その他の副生成物成分と共に、有毒であるか、もしくは健康に害がある可能性があり、対応する混合物は、種々の最終用途目的には許容不可であると考えられている。このため、当該分野では、天然組成物を選別し、上記のような化合物を含まず、ヒトが使用しても安全であり、効果的な抗菌性を示す生体模倣組成物を開発するための探索が進行中である。
【発明の概要】
【0004】
前記に鑑み、本発明の課題は、抗菌組成物を有する香味料、及び/又はその使用方法を提供することであり、それによって上に概説したものを含む、先行技術の種々の不具合及び欠点を克服することである。本発明の一つ以上の態様は、特定の目的を満たし得、一方で一つ以上のその他の態様は、特定のその他の目的を満たし得ることは、当業者には理解されるであろう。各目的は、全てのその面において、本発明のあらゆる態様に同等に適用されない可能性がある。そのため、以下の目的対象を、本発明の任意の一つの局面に関する代用物と見なすことができる。
【0005】
本発明の課題は、細菌感染の予防、阻害及び/又は根絶の方法と関連して、ナフタレン及びアズレン(非GRAS化合物)関連化合物を含まないムスコドル種及びその揮発性副生成物を提供することであってもよい。
【0006】
本発明のその他の課題としては、細菌感染に対して使用するための非在来の媒体又は基質に関して、このような種子又は株、及び関連する揮発制副生物を含む系を提供することであってもよい。
【0007】
本発明のその他の課題としては、ヒト及び動物用食品、農産物、植物、植物の各部、種子、農作物及び他の有機材料、包装、建築材料、繊維、布、衣料品、及び医薬用途及び/又は医療用途を含むが、これらに制限されない用途において使用するこのような系及び/又は関連する方法を提供することであってもよい。
【0008】
本発明のその他の課題は、このようなムスコドル種と同等の抗菌活性を示す、一連の生体模倣人工組成物を、このようなムスコドル種の代替として、またはこのようなムスコドル種に関連して、提供することであってもよい。
【0009】
本発明の課題は、食用、もしくはヒトが使用及び消費しても安全な成分のこのような組成物を一つ以上提供することであってもよい。
【0010】
本発明のその他の課題としては、細菌感染の予防、阻害及び/又は根絶のための媒体又は基質と関連して、このような非天然の生体模倣組成物を含む系、複合物又は物品を提供することであってもよい。本発明のその他の課題としては、上記した種類、又は本明細書中のいずれかの箇所において説明する種類において使用するこのような系、複合物及び/又は物品を提供することであってもよい。
【0011】
また、本発明の課題は、媒体、担体又は基質が限定されない、このような組成物を含む抗菌及び/又は殺虫処理のための方法を提供することであってもよい。
【0012】
本発明のその他の目的、特徴、利益及び利点は、特定の実施形態のこの概要及び以下の記載から明らかになるであろう。また、種々の抗菌組成物及び関連処理の知識を有する当業者に容易に明白となるであろう。このような目的、特徴、利益及び利点は、単独で、又は本明細書に援用する参考文献を考慮することによって、付随する実施例、データ、図及びそれらから引き出される全ての合理的な推論と関連付けて、上記のものから明らかとなるであろう。
【0013】
一部分において、本発明は、株M.クリスパンス(M.crispans)、その揮発性副生成物またはこのような揮発性副生成物の蒸気、及び非在来の媒体又は基質のうちの少なくとも一つを含む系を対象としてもよい。このような媒体又は基質は、本明細書中で記載するものか、又は当業者によって理解されるものであってもよい。いずれにしても、このような株は、生物学的に純粋培養の形態において提供でき、任意には、揮発性副生成物を生成するために十分に生存可能な、このような培養培地と基質の接触又は最終用途目的に適した担体成分と関連して提供できる。本発明によると、M.クリスパンスの副生成物又は副生成物の改変物、又はそれに対応する蒸気は、組成としては本明細書中の他の箇所で説明する通りである。
【0014】
このため、本発明は、また、抗菌効果を提供するためのこのような系及び/又はその揮発性の真菌性副生物の使用を対象としてもよい。このような方法は、微生物の活性又は増殖を支持できる非固有の基質又は媒体を提供すること;及びこのような基質又は媒体を、M.クリスパンスの株の培養、その揮発性副生成物及び/又はこのような副生物からの蒸気と接触させることを含んでいてもよい。ある実施形態においては、このような接触は、このような媒体又は基質の上、周辺、又は近くへの接触を含む。その他のある実施形態においては、M.クリスパンスの揮発性の副生成物ならびに副生成物の改変物、又は対応する蒸気は、このような媒体又は基質に注入又は接触できる。
【0015】
このような系又は方法に制限されず、このような基質は食品又はその他の傷みやすい物品、繊維、衣服又は衣料品、建築部材又は建設部材、植物、植物表面、土壌、ゴミ又は廃棄物に対する食品又は農産物品、包装部材から選択してもよい。このような接触は、微生物の存在及び/又は予防薬に関して生体活性であってもよい。
【0016】
一部分において、本発明は、天然に存在しない抗菌組成物を対象としてもよい。この天然に存在しない抗菌組成物は、その成分が、天然由来であるか、化学合成されたものであるか、又はそれらの組み合わせのいずれかである。このような組成物は、生体模倣性ムスコドル種の副生成物組成物の、アルコール、アルデヒド、ケトン、酸及び/又は酸エステル成分から選択される化合物を含んでいてもよい。このような組成物は、アブセント(absent)溶融芳香族化合物、置換溶融芳香族化合物及びこれらの化合物のハイドロ誘導体であってもよい。ある限定されない実施形態において、このような組成物は、酢酸、イソ酪酸、プロピオン酸及びそれらの組合せから選択される酸成分を含んでいてもよい。
【0017】
ある実施形態においては、本発明は、C2〜約C5の酸成分を含む天然に存在する抗菌組成物;C2〜約C5のエステル成分;及びムスコドル・クリスパンスの単離された培養の揮発性副生成物から単離可能な少なくとも2個のC2〜約C5の成分を対象としてもよい。このような組成物は、単離され、培養されたムスコドル種の揮発性副生成物及び/又はこのような揮発性副生成物の合成混合物の病原体活性プロフィールとは異なる病原体活性プロフィールを有できる。このような酸成分は、イソ酪酸、プロピオン酸及びそれらの組合せから選択できる。独立して、このようなエステル成分は、C4の酢酸エステル、C5のエステルアセテート及びそれらの組合せから選択できる。
【0018】
限定はしないが、ある実施形態においては、このような組成物は、M.クリスパンスの揮発性副生成物から他の単離可能な約8〜約10個の成分を含んでいても良い。あるこのような実施形態において、このような組成物の各成分は、このような揮発性副生成物から単離可能であってもよい。このような組成物は、天然由来のものであるため、このような成分の各々は、発酵製品であり得、発酵は、細菌発酵、酵母発酵及び/又は真菌発酵から選択できる。いずれにしても、このような組成物のこのような成分の各々は、米国連邦規制の連邦法規類集の第21章、及びその対応する条項及び/又は規定において、ヒトが消費しても安全であると一般に認識できる。
【0019】
いずれにしても、ある限定されない実施形態において、このような単離可能な成分は、イソ酪酸であってもよい。あるこのような実施形態において、プロピオン酸は、少なくとも部分的にイソ酪酸で置換できる。このような又はその他の限定されない実施形態において、このような単離可能な成分は、2−ブタノンであってもよい。あるこのような実施形態において、酢酸、プロピオン酸又はそれらの組合せは、少なくとも部分的に2−ブタノンで置換できる。このような、又はさらに他の限定されない実施形態において、このような単離可能な成分は、エタノールであってもよい。あるこのような実施形態において、酢酸は、エタノールで少なくとも部分的に置換できる。このような酸成分の同一性又は量に関わらず、エステル成分及び/又は単離可能な成分、このような天然由来の組成物は、界面活性剤成分を含んでいても良い。あるこのような実施形態において、生物系界面活性剤を共に導入できる。限定はしないが、生物系界面活性剤は、モノラムノリピド、ジラムノリピド及びそれらの組合せから選択されるラムノリピド成分であってもよい。
【0020】
もしくは、本発明は、合成の、非天然由来の抗菌組成を対象としてもよい。このような組成物は、C2〜約C5の酸成分;C2〜約C5のエステル成分;及びムスコドル・クリスパンスの単離された培養の揮発性副生成物から単離可能な少なくとも2個のC2〜約C5の成分であって、単離され、培養されたムスコドル種又はその揮発性副生成物の病原体活性プロフィールとは異なる病原体活性プロフィールを有できるような組成物を含んでいても良い。このような酸、エステル及び/又は単離可能な成分は、上記したもの又は本明細書中のいずれかの箇所において説明するものであってもよい。いずれにしても、このような抗菌組成物は、界面活性剤成分を含んでいても良い。あるこのような限定されない実施形態において、このような界面活性剤は、モノラムノリピド、ジラムノリピド及びそれらの組合せから選択されるラムノリピド成分であってもよい。
【0021】
一部分において、本発明は、C2〜約C5のアルコール、アルデヒド、ケトン、酸及び酸エステル及びそれらの組合せ及び副次的組合せから選択される化合物の液体混合物を含む生体模倣性の抗菌組成物を対象としてもよい。このような組成物は、ムスコドル種から単離されないものである。本明細書中の他の箇所で論じるように、このような液体混合物は、室温及び/又は常温において揮発性であってもよい。このようなその組成物及び化合物に関して、「約」とは、当業者には理解されるとおり、得られた組成物の一つ以上のその他の成分、化合物及び少なくとも部分室温/常温での揮発性の組合せによってのみ限定される対応する分子量及び/又は構造異性を有する炭素及び/又はメチレン同族体を意味する。ある限定されない実施形態に関して、このような組成物は、以下に記載する種類の生体模倣性M.クリスパンスの副生成物組成の成分から選択されるアルコール、アルデヒド、ケトン、酸及び酸エステル化合物を含んでいても良い。このような組成物は、化学合成された化合物、細菌性の発酵物から単離された化合物、及びこのような化合物の組合せを含んでいても良い。あるこのような実施形態において、このような組成物は、酢酸、イソ酪酸、プロピオン酸及びそれらの組合せから選択される酸成分を含んでいても良い。
【0022】
一部分において、本発明は、C2〜約C5のアルコール、アルデヒド、ケトン、酸及び酸エステル及びこのような化合物の組合せ及び副次的組合せから選択される化合物を含む、天然に存在しない、天然由来及び/又は化学合成された抗菌組成物も対象としてもよい。このような選択される化合物は、ヒトが消費しても安全である(「GRAS」)と一般に認識されるものである。このような指定は、米国連邦規制及び対応する条項及び/又はその規定の連邦法規類集の第21章に規定されるものである。ある限定されない実施形態において、このような化合物は、生体模倣性M.クリスパンス副生成組成物のアルコール、ケトン、酸及び/又は酸エステル成分から選択できる。ある実施形態においては、その微生物活性/死滅率のプロフィールは、M.クリスパンス又はM.アルブス、その揮発性副生成物及び/又はその対応する合成副生成物組成物のいずれかと異なる。いずれにしても、あるこのような実施形態において、このような組成物は、酢酸、イソ酪酸、プロピオン酸及びそれらの組合せから選択される酸成分を含んでいても良い。
【0023】
一部分において、本発明は、本発明の組成物を含む組成物;及び界面活性剤成分を含んでいても良い。このような界面活性剤成分は、単独でもよく、又は担体成分内に導入してもよい。ある実施形態においては、このような界面活性剤は、生物系界面活性剤であってもよい。このような生物系界面活性剤は、モノラムノリピド、ジラムノリピド及びそれらの組合せから選択されるラムノリピド成分であってもよい。
【0024】
一部分において、本発明は、発明の組成物及び基質又は媒体成分を含む系又は複合物をも対象としてもよい。このような組成物は、上記したもの又は本明細書中のいずれかの箇所において説明するものであってもよい。限定はしないが、基質は、食品又は農産物品、食品又はその他の傷みやすい物品用の包装部材(例えば、フィルム又は包装材)、繊維、布又は衣料品、建築物又は建設部材、ヒト組織、植物、植物表面、土壌、及びゴミ又は廃棄物から選択できる。ある実施形態においては、このような組成は、液体又気体のいずれであっても、このような媒体、基質又は基質表面と導入又は接触できる。
【0025】
このため、本発明は微生物又は昆虫の処理、予防、抑制、根絶の方法、及び/又は微生物又は昆虫活性に影響を与えることをも対象としてもよい。このような方法は、本明細書中で説明する種類のうち一つ以上の組成物を含むが、それらに限定されない、本発明の組成物を提供すること;及び微生物又は昆虫活性を支持できる微生物又は昆虫又は物品/基質を、微生物又は昆虫活性に影響を与えるのに少なくとも部分的に十分な量のこのような組成物と接触させることを含んでいても良い。このような微生物(例えば、真菌、細菌又はウィルス)又は昆虫は、媒体の中、基質の表面上又は上記した種類のものの表面の周辺に存在できる。このため、このような接触は、直接及び/又はこのような組成物の蒸発時であってもよい。いずれにしても、このような処理は微生物又は昆虫の存在及び/又は予防薬に関して活性であってもよい。本明細書中の他の箇所において説明するように、処理は、微生物の又は昆虫の死滅及び/又は成長又は活性の抑制の文脈において考え得る。
【0026】
本発明のある実施の形態によると、ある食品及び香料化合物(FFC)を含む組成物は、農業的、医学的、又は商業的又は工業的な懸念のある病原性真菌、細菌及び他の微生物に特に抑制性及び/又は致死性である。このような組成物は、生物学的に誘導された化合物を含有する混合物に対して区別できる:例えば、本組成物は、ナフタレン又はアズレン(非GRAS化合物)誘導物質を含有しない。逆に、このような組成物は、有機化合物の混合物を含んでいても良い。それら有機化合物の各々は、他の場合は食品又は香味料物質(例えば、GRAS)と見なされるものである。
【0027】
本発明は、それらの完全性を保存するため、及び種々の真菌(カビ及び他の微生物)による破壊を防ぐためのこのような組成物、その製剤及び種々の品目への適用(例えば、限定はしないが、食品、繊維、器具及び建設表面)の性質を示す。このような組成物は、建築構造物、植物の一部及び衣料品まで、その保存のため適用できる。更に、以下に示すとおり、このような組成物は、ヒト型結核菌に不利に影響できる。ヒト型結核菌は、他の状態では薬剤抵抗性である少なくとも3種類の株を含む、結核を引き起こす微生物である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】2日間の曝露後の薬剤抵抗性ヒト型結核菌の臨床培養物に対する、FFCの死滅効果を示す写真。
【図2】FFCを採用した数種類の方法によるチーズにおける真菌の増殖(カビ)の予防を示す一連の写真。
【図3】FFC組成物0.2mlの存在下で2日間保管したヤマノイモに対するFFCの防護効果。ヤマノイモは、その後10日後に撮影された。(試験物質が左、対照が右。)
【図4】10日間30℃に保持されたゴミの腐敗に対するFFCの防護効果。
【図5】トマトの腐敗/萎れに対する効果を示す。左は、トマトかいよう病(C michiganense)の対照のプレートであり、右が本発明のFFC組成物20マイクロリットルで処理されたプレートである。
【図6】皮膚クリーム製品に導入された本発明のFFC組成物の効果を示す。
【図7A】本発明のある限定されない実施形態にこのような数種類の限定されないかつ代表的なモノラムノリピド及びジラムノリピド化合物の構造を示す。
【図7B】本発明のある限定されない実施形態にこのような数種類の限定されないかつ代表的なモノラムノリピド及びジラムノリピド化合物の構造を示す。
【図8】本発明のある限定されない実施形態にこのような数種類の限定されないかつ代表的なモノラムノリピド及びジラムノリピド化合物の構造を示す。
【図9】本発明のある限定されない実施形態にこのような以下の実施例のうちいくつかに記載するものうち単独で又は互いに組み合わせて使用できるモノ−及びジラムノリピド構造のそれぞれに対するラムノリピド成分、指定されたR1及びR2の2種類の実施形態を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
いくつかの限定されない実施形態によって説明するように、本発明は、種々の媒体に導入、表面に塗布、又は大気、空間又は体積に導入した場合に、植物真菌及び結核の病原を含む、本来目障りかつ有害で、及び/又は病原となる微生物の、所望の表面媒体又は体積の汚染除去を行う、ムスコドル及び/又はその揮発性副生成物の新しい種の用途、及び非天然の、実験室で調製した、共通の食品及び香料化合物を含む生体模倣組成物の開発に関する。本発明は、近代農業、ヒトの医療、食品科学、及び産業への非常に重要な意味及び応用性を持つ。本発明の組成物は、その原料の各々が、そのうち、又はそれ自体、生物学的に活性なものが一つもないことから、抗菌性を有することが自明ではない。成分原料の相乗的な組み合わせによって、抗菌活性がフルに発揮される。
【0030】
このようなムスコドル種、その揮発性副生成物又はFFCを含む天然に存在しない生体模倣性組成物の使用に関して、接触は、直接であってもよく、また生体模倣性組成物の副生成物である、このような種と関連する蒸気への曝露によるものでもよい。以下に説明するように、ある実施形態の文脈において、蒸気曝露が増殖を抑制する一方、細菌又は真菌を死滅されるには、微生物を直接接触させることが必要である可能性がある。
【0031】
接触の方法に関わらず、本発明の組成物は、化学合成された成分、天然由来の成分、又はこのような合成及び天然の成分の組み合わせを含めて、実験室において調製できる。いずれにしても、このような組成物は、特定の細菌又は真菌種に対するムスコドル副生成物の効果に関して生体模倣性であってもよい。もしくは、このような組成物は、その一つ以上のFFC成分の相対濃度又は選択によって、ムスコドル真菌副生物と比較して、変化した又は増強した抗菌活性を示できる。
【0032】
あるこのような実施形態において、このような組成物は、微生物増殖を支持する可能性があるか、支持する能力があるか、実際に支持するタンパク質成分又はセルロース成分を含む、基質又は媒体上にあってもよく、又は塗布されてもよい。限定はしないが、ある実施形態は、植物、植物の各部(例えば、根、茎、葉又は群葉、農産物等)及び基となる苗条又は種を含んでいても良い。特に、限定はしないが、このような組成物は、果実、野菜、塊茎、花、種又はナッツのいずれと名付けられていてもよく、また収穫前か後でもよく、植物作物であってもよい。それらのこのような特定の植物及び/又は農産物は、農作物として、単独もしくは集合的に、当該分野において認識されている。このため、ある実施形態においては、本発明の組成物は、このような作物上にあるか、又は開発中、収穫前及び/又は収穫後のどの時期に塗布されても良い。同様に、本発明の組成物は、微生物の増殖を支持する可能性があるか、支持する能力があるか、もしくは実際に支持する飲料、食品(例えば、ヒト、ペット及び/又は動物)製品又は物品に塗布又は導入できる。
【0033】
本発明のその他のある実施形態では、このような組成物は、微生物(例えば、酵母及び/又は真菌及び/又はウィルス)の増殖を支持する、又は支持的な基質の上にあるか、又は表面に塗布しても良い。このため、このような基質又は表面は、微生物の増殖を支持する可能性があるか、支持する能力があるか、もしくは実際に支持する素材を含んでいても良い。このような基質は、木、セラミックス、磁器、石、石膏、石壁、セメント、布地、皮革、プラスチック等を含むが、それらに限定されるものではない。
【0034】
その他のある実施形態においては、種々の本発明の組成物は、微生物の増殖又は感染の処理又は予防用の医薬品又はパーソナルケア又は衛生製剤の文脈において、爪、毛髪、歯又は口、皮膚及び他の細胞材料を含むが、それらに限定されない哺乳動物又はヒトの組織を含む基質又は表面上にあるか、接触しているか、又は塗布又は投与されてもよい。代表的な組成物を、一つ以上のその他の実施形態に、少なくとも部分的に該当する点で以下に記載する。
【0035】
ある内生菌が、ボリビアのアマゾンに自生する野生のパインアップルの株[アナナス・アナナスソイデス(Ananas ananassoides)]の組織の内部から採取された。最終的に、抗菌活性を有する揮発性化合物の混合物を生成することが判明した。分子技術によって、この真菌はムスコドル属の菌に配列が類似することが発見された。これらの真菌は、ヒト及び植物病原体の双方に対して効果的である抗菌剤として作用できる揮発性の有機化合物を生成することが知られている。ムスコドル種の菌は、18S rDNA plus ITS5.8S rDNA配列分析を採用した系統的キャラクターマッピング(Phylogenetic Character mapping)などの方法を利用して同定されている。本真菌及び他のムスコドル種に見られる配列を、ジェンバンク(GenBank)においてBLAST検索し、その他の真菌と比較した(Brunsら、1991;Reynolds and Taylor 1993;Mitchellら、 1995;Guarroら、1999;Taylorら、1999)。最終的に、これらの単離物は、キシラリア(Xylaria)に関連すると決定された(Worapongら、2001a&b)。ムスコドルに属する全ての単離された分類群は、成長が比較的遅い、フェルトのような菌糸体を有する、生物学的に活性な揮発性の化合物を生成する、及び在来の植物に害を生じないなどの同様の特質を有する。最終的に、それらは各々非常に似通ったrDNA配列を共有する(Ezraら、2004)。
【0036】
本件の真菌は、上記の同じ共通の特徴を全て共有していたが、全てのその他のムスコドル種及び単離物からそれを区別した分類群に多数の異なる態様が存在した。以下の実施例においてより詳細に説明するように、これらの独自の特性により、本件の真菌が新しい種として創設されることが示唆される。この新規な内生菌に対して提案される名称は、ムスコドル・クリスパンスである。
【0037】
GC/MSによって分析されたように、単離された真菌は、ポテトデキストロース寒天培地(PDA)において増殖させた場合、気相中でアルコール、エステル及び低分子量の酸を生成した。下記の表1に示すように、このような化合物は、プロピオン酸、2−メチル;1−ブタノール、3−メチル、アセテート;1−ブタノール、及びエタノールを含む。PDA上で増殖させた場合、ナフタレン又はアズレン誘導体(非GRAS化合物)のいずれも、この生物体によって生成されず、これまで研究されてきたどのムスコドル種とも区別された。真菌によって生成された匂いは、約1週間後顕著になり、少なくとも3週間にわたり、時間と共に増大すると思われる。以下に説明するように、この真菌の揮発物質は、標準生物検定法(standard bioassay technique)を用いた植物及びヒトの病原体多数に対する抑制性及び致死性の生物活性を有する(Strobelら,2001)。
(表1)
【0038】
上で論じたように、本発明は、非在来の媒体、基質及び/又は抗菌効果に対する体積と関連してM.クリスパンス及び/又はその揮発性副生成物の使用を含む。このような使用及び/又は用途は、本明細書中で記載するものか、又は当業者によって理解されるものであり得、参照することによってその全体を援用する、米国特許第6、911、338号に記載の種類の使用及び用途を含むが、それらに限定されない。
【0039】
もしくは、広範囲の天然及び合成生体模倣組成物を、同等の又はより高い効果をもって使用でき、また、一つ以上の実施形態によって証明されるように、真菌又はその揮発性副生成物のいずれかの使用によって従来得られなかった結果を提供できる。M.クリスパンスの従来技術及び副生成物からの脱却として、このような抗菌組成物は、ヒトが使用及び消費しても安全であると一般に認識されている食品及び香料化合物を含んでいても良い。代表的なものとして、いくつかの限定されない生体模倣組成物を以下の表2〜7に示す。種々のその他の組成物は、表2〜7のうち一つ以上から選択される化合物の組合せを含んでいても良い。もしくは、このような組成物は、揮発性を高めるため、又はその他の最終用途又は性能特性を改変するため、名前を挙げた化合物に加えて又は代えて、成分化合物を含んでいても良い。このような特定の組成物において、このような代替又は追加化合物としては、GRAS指定されているもの、及び/又は、利用されるレベルで指定されているものとすることができる。このような組成物は、M.クリスパンスの揮発性副生成物に存在する成分、及び/又はその他のムスコドル種の揮発性副生成物に存在しない成分を含むことができるか、もしくは、含んでいる。
【0040】
このような化合物は、各々効果的な濃度又はパーセンテージの範囲内で供給されることができ、市販されているか、当業者によって調製可能であるかのいずれかである。後者に関しては、発酵技術を使用して、このような化合物を自然に調製し、単離できる。もしくは、このような化合物は化学合成できる。本発明のいくつかの限定されない実施形態に関して、表2〜7の各化合物は、発酵製品として得られる。このような製品及び対応する組成物は、米国ウィスコンシン州ソークビルJeneil Biotech,Inc.社のFlavorzon商標において入手可能である。
(表2)
(表3)
(表4)
(表5)
(表6)
(表7)
【0041】
本発明のFFC組成物に関して、表1〜7及び10中の成分及びその構造異性体及び/又は炭素及びメチレン同族体(但しそれらに限定されない)等の、本明細書中で記載、参照、又は推論された化合物成分を含むその化合物成分は、その他の組成成分とは独立及び離れた量又は範囲で存在できると考察される。このため、限定はしないが、このような化合物成分は、各々以下の量又は範囲で存在できる:約0.1重量%、(又はそれ未満)約0.2重量%、約0.3重量%、又は約0.4重量%…もしくは/最高で、約1.0重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、又は約1.4重量%…もしくは/最高で、約2.0重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、又は約2.4重量%…もしくは/最高で、約3.0重量%、約3.1重量%、約3.2重量%、約3.3重量%、又は約3.4重量%…もしくは/最高で、約4.0重量%、約4.1重量%、約4.2重量%、約4.3重量%、又は約4.4重量%…もしくは/最高で、5.0重量%、約5.1重量%、約5.2重量%、約5.3重量%、又は約5.4重量%…もしくは/最高で、約6.0重量%、約6.1重量%、約6.2重量%、約6.3重量%、又は約6.4重量%…もしくは/最高で、約7.0重量%、約7.1重量%、約7.2重量%、約7.3重量%、又は約7.4重量%…もしくは/最高で、約8.0重量%、約8.1重量%、約8.2重量%、約8.3重量%、又は約8.4重量%…もしくは/最高で、約9.0重量%、約9.1重量%、約9.2重量%、約9.3重量%、又は約9.4重量%…もしくは/最高で、約10.0重量%;及びもしくは/最高で約10.1重量%…もしくは/最高で約20.0重量%、このような増分変化に従う;もしくは/最高で約20.1重量%…もしくは/最高で約30.0重量%、このような増分変化に従う;もしくは/最高で約30.1重量%…もしくは/最高で約40.0重量%、このような増分変化に従う;もしくは/最高で約40.1重量%…もしくは/最高で約50.0重量%、このような増分変化に従う;もしくは/最高で約50.1重量%…もしくは/最高で約60.0重量%、このような増分変化に従う;もしくは/最高で約60.1重量%…もしくは/最高で約70.0重量%、このような増分変化に従う;もしくは/最高で約70.1重量%…もしくは/最高で約80.0重量%、このような増分変化に従う;もしくは/最高で約80.1重量%…もしくは/最高で約90.0重量%、このような増分変化に従う;もしくは/最高で約90.1重量%…もしくは/最高で約99.9重量%(又はそれより多い)、このような増分変化に従う。同様に、限定はしないが、本発明の組成物は、特定の化合物成分又は組合せの同一性又は量に関わらず、導入された組成物又は媒体(例えば、約0.1重量%〜約1.0重量%、約2.0重量%、約4.0重量%又は〜約10.0重量%の範囲内)、又は適用された物品又は基質の、上記したような、0.1重量%〜99.9重量%の量(重量%)、又は増分変化する重量%の範囲で存在できる。
【0042】
特に指定しない限り、本明細書及び請求の範囲で用いる、成分又は原料の量、濃度又は数量、分子量、反応条件等の性質を表す全ての数字は、全ての例において「約」という語によって修飾されると理解すべきものである。このため、特に指定しない限り、この明細書及び添付された請求の範囲中で記載された数値的パラメータは、本発明によって得ようとする所望の特性によって異なり得る近似値である。少なくとも、及び請求の範囲への均等論の適用を限定する試みとしてではなく、各数値的パラメータは、報告された有意的な桁数の数に照らして、また通常の切り上げ方法を適用することによって、少なくとも解釈すべきである。
【0043】
本発明の広い範囲を定める数値的範囲及びパラメータは近似であるが、記載される数値及び実施例は、可能な限り正確に報告される。しかし数値は、各試験測定に見られる標準偏差から生じる一定の誤差を元々含んでいる可能性がある。
【0044】
この発明の組成物及び方法では、ここに記載され、参照され、又は推論された、いかなる化合物成分又はそれらの量もしくは濃度は、適宜に、含まれている(comprise)か、それらから構成されている(consist of)か、それらから本質的に構成され(consist essentially of)ていても良い。化合物成分としては表1−7及び10中のものが含まれるが、それらに限定されない。そして、それらの化合物成分は、それらのいかなる構造異性体、アルコール成分、アルデヒド成分、ケトン成分、酸成分及び/又はエステル成分の、炭素及び/又はメチレン基の同族体と共に含まれる。それらが酸由来及び/又はアルコール由来の部分であるか否かには関わらない。量/濃度に関係なく、このような化合物成分又は部分/置換基は、それぞれ、組成的に区別でき、特性的に対比できる。そして、別のそのような成分の量/濃度、または別の化合物成分(もしくは部分/置換基)もしくは量/濃度から独立して又は離れて、本発明の組成物及び方法と併用して使用できる。従って、本明細書中で具体的に開示する本発明の組成物及び/又は方法は、いかなる一つの成分化合物(又はその一部分及び/又は置換基)が欠如していても、量又は濃度を変更して実施又は使用できることは理解されたい。このような化合物(又はその部分/置換基)又はその量/濃度は、本明細書中で具体的に開示、言及又は推論されていても良く、されていなくても良く、その変更又は不在は、本明細書中で具体的に開示、言及又は推論されていても良く、されていなくても良い。
【0045】
好ましい実施形態において、このようなFFC(液状混合物として調製されたもの)の生物学的に効果的な組成物は、常温で容易に気化し、閉じられた空間いっぱいに拡散して、このような有害微生物を除去することが望まれる表面上の不要な汚染真菌(カビ)を有効に抑制及び/死滅させる。混合物は、スプレー(例えば、加圧原料を含んだ缶)として塗布、または単に容器に収容し、密閉容器又は閉止した袋内で蒸発させることができる。
【0046】
いずれにしても、本発明のFFC組成物は、用途によってのみ限定される、種々の最終使用組成物に導入できる。このような組成物は、ヒト/動物用の食品又は栄養、個人衛生、健康管理、農業、産業、住宅、医療及び消費者向けの用途を対象としたものを含むが、それらに限定されない。ある限定されない実施形態において、そのFFC組成物及び/又は成分は、ある最終用途組成物の約0.1重量%又はそれより少ない量から、約99.9重量%又はそれより多い量で存在できる。このようなレベルでの導入は、所望の抗菌効果及び/又は配合に対する考慮によってのみ限定される。
【0047】
本FFC組成物は、効果的な用量のレベルでは、多くの植物病原体、食品損傷を引き起こしうる真菌、主要なヒトの疾病を引き起こしうる微生物、及び調理台、家屋及び他の建物を汚染しうる微生物の死滅に効果的である。このような用途の包括的なリストは、以下の通りである:
1.チーズの塊の表面の目障りなカビ汚染、ひいては腐敗を制御するための保管中又は調製中のチーズの処理用。
2.食品調製のため、又は定植及び再植生又は農業的な目的に最終的に使用されうる根、塊茎、茎、種及びその他の器官を含む保管中の種々の植物の各部の処理用。
3.カビの生えた表面を有していてもよい、又はカビの問題が発展できる程度にまではびこられている建物を除染するための使用。
4.最終的にエネルギー関連製品へと発酵させるため、ある港から別の港への長期の海上輸送にわたる出荷中にゴミを保存するための使用。
5.植物病原体となる可能性がある微生物の温床となり得る土壌の汚染除去のため。
6.結核及び他の放射菌に感染した患者の治療用。
7.経鼻感染を制御するため、及び鼻道のつまりを治すための治療用。
8.食品、繊維及び他の品目を含む材料の包装に使用でき、そのためそれらを長期間安全に保管できる、特別に設計されたポリマーと組み合わせるため。
【0048】
より一般には、本発明の組成物は、真菌、細菌、微生物及び一連のその他の微生物又は害虫から成る群から選択される生物体の増殖を抑制、又は死滅させるために使用できる。当業者にとって周知の方法を使用して、このような組成物を、生物体を死滅させるか、又は増殖を抑制するのに少なくとも部分的に効果的な量で、生物体と接触させる。もしくは、例えば、汚水又は固体物管理又は処理の成分として、ヒト又は動物の廃物の処理に使用できる。またこのような組成物は、ヒト及び動物の廃物の除染、例えば、細菌性及び真菌性の汚染減少又は除去に有益である。更に、このような組成物は、建物、建築材料、又は建築材料間の空間を、効果的な量の組成物又はその組成物からの蒸気と接触させることによって、建築材料及び建物内におけるカビの処理又は防止に使用できる。説明目的のみであるが、効果的な量のこのような組成物は、単独で、又は活性剤又はその他の燻蒸剤と組み合わせて、部屋内で、もしくは建築物全体の燻蒸中に使用できる。
【0049】
農業用途に使用する場合は、本発明は、効果的な量の、本明細書中に記載の種類の一つ以上の組成物と微生物が接触することによる、真菌又は細菌等の生物体による侵襲に対する、果実、種、植物又は植物を取り巻く土壌の処理又は保護方法を提供する。
【0050】
以上で論じたように、本発明は、細菌性、真菌性、ウィルス性及び/又はその他の細菌感染を防止、処理、抑制及び死滅させる方法を提供する。このような方法は、このような感染又は増殖を有するか、このような感染又は増殖を促進できる物品、動物/ほ乳類又は植物基質に、効果的な量の発明の組成物を、単独で、又は組成物又は製剤に導入して、投与することを含んでいても良い。このため、本発明は、医療用、個人用(例えば、化粧品)、工業用及び/又は農業用に使用するための一つ以上の組成物を提供する。
【0051】
微生物処理は、細菌、真菌、ウィルス及び/又はその他の微生物を、効果的な量の発明の組成物と接触させることによって達成できる。接触は、インビトロ又はインビボで行うことができる。「接触」とは、このような本発明の組成物及びこのような微生物が、微生物の感染及び/又は増殖を、防止、抑制、及び/又は除去するのに十分なように一緒にされることを意味する。このような処理に効果的なこのような組成物の量は、実験的に決定することができ、このような決定を行うことは、当該分野における技術の範囲内である。抑制は、微生物の増殖/活性の減少及び除去の双方を含む。
【0052】
本発明の組成物は、粉末、顆粒、液体、スプレー、軟膏、ローション又はクリームとして、経口又は経鼻(例えば、医療用又はパーソナルケア用途)、及び局所を含むが、それらに限定されない適宜の経路によって、ヒト、動物又は植物、又は物品基質表面に投与又は接触できる。このため、発明の組成物は、一つ以上の許容可能な担体と混合した状態で、また必要に応じて、一つ以上のその他の化合物又はその他の材料と混合した状態で、各成分化合物を含んでいても良い。このような担体は、製剤のその他の成分/原料と適合性があり、所望の効果又は用途に対して有害ではないという意味で「許容可能」であるべきである。
【0053】
選択された送達、治療又は投与の経路に関わらず、発明の組成物は、当業者にとって従来公知の方法によって許容可能な濃度又は剤形を提供するため配合できる。このような組成物又はその成分の量又は濃度は、担体があってもなくても、処理される標的微生物/基質/物品、投与/送達及びの特定の方法、及び上記したその他全ての因子によって異なる。担体材料と組み合わせる量は、一般に、所望の抗菌効果の発生に効果的な最低又は最小限の濃度をもたらすような組成物の量である。
【0054】
本発明の組成物中のFFC組成物及びその他の任意の成分の相対的な量又は濃度は、以下の実施例において示すように、有効な範囲内で大幅に異なり得る。使用濃度及び/又は用量は、好ましくは、単独で別の従来技術の成分に対して活性の増大又は上昇を達成するよう、及び/又は有効最小限の成分濃度において組成物の活性を最大限にするよう選択される。このため、このような活性の増大を生じる重量比及び/又はパーセント濃度は、使用する特有のFCC組成物のみに依存するものではなく、気候、土壌組成、基質の性質、物品及び/又は処理すべき微生物の宿主及び/又は特定の微生物への曝露の可能性を含むが、それらに限定されない、組成物の特有の最終用途にも依存する。
【0055】
製剤又は組成物を調製する方法は、本発明の組成物、又は一つ以上の成分化合物を、担体と、又必要に応じて、一つ以上の副原料と、関連付ける工程を含む。通常は、製剤は、このような組成物/成分と担体(例えば、液状又は微細に砕かれた固体担体)とを関連付けること、及び、必要ならば、その製品を形成することによって調製される。
【0056】
本発明に関する製剤は、本発明の組成物であっても、もしくはこのような組成物を導入した製造物品であっても、カプセル、オブラートの薬包(cachets)、丸剤、錠剤、粉末、顆粒、ペースト剤の形態、又は水性又は非水性液中の溶液又は懸濁剤として、又は水中油又は油中水液状エマルジョンとして、又はエリキシル剤又はシロップ剤として、又は香錠(ゼラチン及びグリセリン、又はショ糖及びアラビアゴム(acacia)等の不活性基剤を用いたもの)として及び/又は各々所定の量の発明の組成物又はその成分を含有する洗浄剤(例えば、ミスト、スプレー又は口)等、として、であってもよい。
【0057】
その他のこのような固体製剤(例えば、カプセル、錠剤、丸剤、糖衣錠(dragees)、粉末、顆粒等)では、本発明の組成物は、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウム等の、一つ以上のその他の活性原料及び/又は許容可能な担体、及び/又は以下のものと混合できる:(1)デンプン、ラクトース、ショ糖、ブトウ糖、マンニトール、及び/又はケイ酸等の充填剤又は増量剤;(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸類、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖及び/又はアラビアゴム等の結合材;(3)グリセロール等の保水剤;(4)寒天、炭酸カルシウム、馬鈴薯デンプン又はタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩類、及び炭酸ナトリウム等の崩壊剤;(5)パラフィン等の溶解遅延剤;(6)4級アンモニウム化合物等の吸収促進剤;(7)例えば、セチルアルコール及びグリセロールモノステアレート等の湿潤剤;(8)カオリン及びベントナイト粘土等の吸収剤;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、硫酸ラウリルナトリウム、及びそれらの混合物等の潤滑剤;及び(10)着色剤。また組成物は、カプセル、錠剤及び丸剤の場合は、緩衝剤を含んでいても良い。また同様の種類の固体組成物を、高分子量ポリエチレングリコール等と同様ラクトース又は乳糖等の賦形剤を用いた軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル中に増量剤として採用できる。
【0058】
錠剤は、任意に一つ以上の原料を用いて、圧縮又は成形によって作成できる。圧縮錠剤は、結着剤(例えば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム又は架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、界面活性剤又は分散剤を用いて調製できる。成形した錠剤は、不活性な液状希釈剤で湿らせた粉状の活性原料の混合物を適当な機械において成形することによって作成できる。
【0059】
糖衣錠、カプセル、丸剤及び顆粒等のこのような組成物を導入したこのような組成物又は物品の錠剤、及び他の固体形態は、任意には、配合技術において周知の腸溶性の被膜及び他の被膜等の被膜及びシェルで刻みを入れ(scored)たり、調製できる。またそれらは、所望の放出プロフィール、その他のポリマー母材、リポソーム及び/又は小球体を提供するため、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースを異なる割合で用い、それらの中の活性原料が除放性または制御放出性をもつよう配合できる。またこれらの組成物は、任意には不透明剤を含有し得、活性原料のみを放出する、又は優先的には、消化管のある部分において、必要であれば、遅延して放出する組成物のものであってもよい。使用できる包埋組成物の例としては、高分子物質及びロウが含まれる。また活性原料は、マイクロカプセル形態であってもよい。
【0060】
本発明を使用又は投与するための液体形態は、医薬品として許容可能、又は他の許容可能なエマルジョン、混合物、ミクロエマルジョン、溶液(蒸留水又は精製水中の溶液を含む)、懸濁液、ミスト、シロップ剤及びエリキシル剤を含む。発明の組成物又はその化合物成分に加えて、液体形態としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、プロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール、油類(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、及びその混合物等の水又はその他の溶剤、可溶化剤及び乳化剤等の、例えば、当該分野において一般に使用される不活性又はその他の希釈剤を含んでいても良い。
【0061】
不活性希釈剤の他に、このような組成物及び/又は関連物品は、例えば、それらに限定はされないが、湿潤剤、乳化及び懸濁化剤[例えば、農業用途のスチッカー(sticker)及び拡張剤(spreader agents)]、着色剤、芳香剤及び一つ以上のその他の防腐剤補助剤を含んでいても良い。懸濁液は、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビット及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム(aluminum metahydroxide)、ベントナイト、寒天及びトラガカント、及びそれらの混合物等の、懸濁化剤を含んでいても良い。
【0062】
本発明の基質又は局所(例えば、パーソナルケア又は衛生製品の文脈において)投与/送達用のこのような発明の組成物を導入した本発明の組成物及び/又は物品又は製品の製剤は、粉末、スプレー、軟膏、糊状剤、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ剤及び吸入薬を含む。このような軟膏、糊状剤、クリーム及びゲルは、本発明の発明組成物に加えて、動物性及び植物性脂肪、油類、ロウ、パラフィン、デンプン、トラガント及び他のガム、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク及び酸化亜鉛、又はそれらの混合物等の賦形剤を含んでいても良い。同様に、粉末及びスプレーは、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミド粉末、又はこれらの物質の混合物等の賦形剤を含んでいても良い。スプレーは、その他にも、ブタン及びプロパン等の揮発性の非置換炭化水素等の通常の噴射剤を含んでいても良く、又は正の空気圧下に運ばれても良い。
【0063】
発明の組成物に採用できる適宜の水性及び非水性のキャリアーの例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、及びそれらの適宜の混合物、オリーブ油等の植物油、及びオレイン酸エチル等の有機エステルが含まれる。例えば、分散体の場合は、必要とされる粒径にされたレシチン等の被膜材料の使用によって、及び界面活性剤の使用によって、適切な流動性を維持できる。
【0064】
本発明の組成物を導入した物品又は製品の徐放性製剤(depot)の形態は、ポリラクチド−ポリグリコリド等の生分解性重合体中の活性原料のマイクロカプセル剤マトリックスを形成することによって作成できる。採用する活性原料と重合体の比率、及び特定のポリマーの性質によって、活性原料の放出率を制御できる。その他の生分解性重合体の例は、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)を含む。また徐放性製剤の注射可能な製剤は、身体組織と相溶性のあるリポソーム又はミクロエマルジョン内に活性原料を封入することによって調製される。
【0065】
更に、このような組成物を導入した本発明の組成物及び/又は物品又は製品は、当業者にとって公知となるような、同様及び/又は異なる作用態様を有する、化学物質及び/又は生物学的薬剤、多部位及び/又は単一部位用の抗かび(antimycotic)剤又は抗真菌(antifungal)剤、抗菌(antibacterial)剤及び抗微生物(antimicrobial)剤を追加して含んでいても良い。このような添加剤は、重炭酸カリウム、シリカ、銅又はイオウ系化合物及び/又は植物油(例えば、ニーム油)を含んでいても良いが、これらに制限されない。更に、このような添加剤は、以下のものを含んでいても良いが、これらに限定されない。アゾール類;アンホテリシンB及びナイスタチン等のポリエン類;フルシトシン等のプリン又はピリミジンヌクレオチド阻害剤;ニッコーマイシン等のポリオキシン;又はソルダリン及びそれらの類似体等のその他のキチン阻害剤、伸長因子阻害剤;ミトコンドリア呼吸の阻害剤、植物、その他の基質、動物及び/又はヒトの酵母又は真菌性、細菌性、ウィルス性及び/又はその他の細菌感染の治療又は予防に適した、当業者には公知のステロール生合成及び/又はその他の殺真菌性の又は殺菌性の組成物の阻害剤、又は製品に見られるもの。
【0066】
ある実施形態においては、本発明の組成物を導入した物品又は製品は、以下の当該分野における公知の一つ以上の防腐剤成分をも含んでいても良いが、それらに限定されない。ソルビン酸又は安息香酸;安息香酸、ソルビン酸、ヒドロキシメチルグルコン酸、及びプロピオン酸のナトリウム、カリウム、カルシウム及びアンモニウム塩;及びメチル、エチル、プロピル及びブチルパラベン及びそれらの組合せ。
【0067】
本発明の組成物は、酸性又は塩基性官能基を含む化合物を含み得、そのために、薬学的に許容可能な酸及び塩基、又はその他の許容可能な酸及び塩基で、薬学的に許容可能な塩又はその他の許容可能な塩を形成することが可能である。「薬学的に許容可能な塩」という語は、このような化合物の比較的無毒な、無機及び有機酸及び塩基付加塩を指す。いずれにしても、このような塩は、このような化合物を適当な酸又は塩基と反応させることによって調製できる。適宜の塩基は、このような許容可能な金属カチオン、アンモニア、又はこのような許容可能な有機第一級、第二級又は第三級アミンの水酸化物、カーボネート又は重炭酸塩を含む。代表的なアルカリ又はアルカリ土類塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及びアルミニウム塩等を含む。塩基付加塩の形成に有用な他の代表的な有機アミンには、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、およびピペラジンが含まれる。代表的な酸付加塩としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシラート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、洒石酸塩、ナフタル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、及びラウリル硫酸塩等が含まれる。
【0068】
本発明の組成物は、水性分散体又はエマルジョンとして使用することができ、使用前に(例えば、水又はその他の流体成分で)希釈できる、FFC(又は界面活性剤)組成物を高い割合で含有する濃縮物の形態で利用可能である。乳剤又はエマルジョンは、湿潤(wetting)剤又は乳化剤を任意に含有する溶媒中に、その他の所望の活性原料と共に、本発明の組成物を溶解させ、その後同じく湿潤剤又は乳化剤を含有できる水に混合物を加えることによって調製できる。適宜の有機溶剤は、アルコール及びグリコールを含む。これらの濃縮物は、好ましくは、長期保管に耐え得るべきであり、このような保管後は、従来のスプレー器具によって塗布出来るよう十分な時間にわたり均一な状態を保つ水性調製品を形成するため、水で希釈することが出来ねばならない。
【0069】
最終使用目的の種類によっては、本発明の組成物を導入した物品または製品は、以下のその他の必要な成分をも含んでいても良いが、それらに制限されない。塗布を容易にするための固体又は液状担体、生物系界面活性剤を含む界面活性剤、保護コロイド、接着剤、増粘剤、チキソトロープ剤、浸透剤、安定化剤、捕捉剤、テクスチャー剤(texturing agents)、着香料(例えば、収穫後又は加工食品/飲料用)、ロウ類、着色剤等、当業者には公知となるもの。
【0070】
例えば、このような組成物及び/又は関連物品又は製品は、農業目的に使用し得、このような担体又は希釈剤と共に配合できる。該組成物は、植物の葉、種子、または植物が成長しているかまたは植えられている他の媒体に、製剤されるか、または製剤されずに直接適用できる。それらはクリームまたはペースト製剤としてスプレーされるか、散布されるかまたは適用できるか、あるいはそれらは蒸気としてまたは徐放顆粒として適用できる。葉、幹、枝または根を含む植物の任意の部分に、または根の周囲の土に、果実又は野菜(収穫前又は収穫後)、または植えられる前の種子に、または土全般に、灌漑用水に、または水耕栽培システムに適用できる。本発明の化合物は、また、植物に注入されるか、または低体積及び定圧で、電気力学スプレー技術もしくは当該技術又は産業において知られている他の処理方法を用いて、草木(果実及び野菜を含む)にスプレーできる。
【0071】
ある実施形態においては、農業的処理であるか関連食品処理かどうかに関わらず、本発明の組成物を導入した組成物及び/又は物品または製品は、活性成分(本発明化合物)および固体希釈剤または担体、例えば、増量剤(動物用の砂、猫砂等)、カオリン、ベントナイト、珪藻土(kieselguhr)、ドロマイト、炭酸カルシウム、タルク、粉末マグネシウム、フラー土、石膏、珪藻土(diatomaceous earth)および陶土を含んでなる散布可能な粉末または顆粒の形態であってもよい。このような顆粒は、さらなる処理なしに、適用に適した予備成形顆粒であってもよい。これらの顆粒は、増量剤のペレットを発明組成物又は別の活性原料で浸漬することにより、または活性成分および粉末増量剤の混合物をペレット化することにより製造できる。例えば、種を処理するための組成物は、種への組成物の付着を助けるための剤(例えば鉱物油)を含み得;代わって、活性成分は、有機溶媒を用いて、種を処理する目的で製剤化できる。該組成物は、また、液体中での分散を容易にするための湿潤剤または分散剤を含んでなる、湿潤可能な粉末または水中分散可能な顆粒の形態であってもよい。該粉末および顆粒は、また、増量剤および懸濁化剤を含有できる。もしくは、該組成物は、マイクロカプセル化された形態で使用できる。それらは、また、活性物質のゆっくりとした、制御された放出を得るために、生物分解性のポリマー製剤に製剤化されてもよい。
【0072】
いずれにしても、このような発明の組成物を含むこのような固体製剤は、円筒形、棒状、ブロック状、カプセル、錠剤、丸剤、ペレット(例えば、ペット食品としても)、帯状、スパイク状(spikes)等を含むが、それらに限定されない多様な形態、形状又は成形で、一連の製品又は物品中に提供できる。もしくは、顆粒状又は粉末状の材料は、圧力によって錠剤に打錠するか、一連のカプセル又はシェルに充填して使用できる。以上で論じたように、本発明のこのような組成物は、製剤されていても製剤されていなくても、単独で、基質に適用して、又は医療用、個人用、工業用及び農業用組成物及び関連する使用方法を含むが、それらに限定されない広範囲の最終使用目的で、製品(product)又は製造品(article of manufacture)に導入して使用できる。
【0073】
発明の実施例
以下の実施例及びデータは、限定的なものではなく、本明細書中に記載の種々の成分化合物を含む抗菌組成物の調製及び用途を含む、本発明の組成物及び/又は方法に関する種々の態様及び特徴を説明するものである。先行技術と比較すると、本組成物及び方法は、驚くべき、予想外かつ反対の結果及びデータを提供する。本発明の実用性を使用できるいくつかの組成物及び成分化合物の使用によって説明するが、本発明の範囲に相当する種々の他の組成物及び成分化合物によって同等の結果が得られることは、当業者には理解されるであろう。
【0074】
実施例1a
真菌の単離:ボリビアのアマゾン地域に産する植物から、Ananas anassoidesの数本の小さな茎を2007年3月に採取した。それらは、南緯12°40’07”及び東経68°41’58”の多雨林と隣接するサバンナ地域で採取し、分析のため直ちに輸送した。茎から取ったいくつかの小さな(2〜5インチ)切片を、切断し、ラミナーフローフード下で30秒間70%エタノール中に入れた。一本の滅菌ピンセットを使用して、それらの茎を別々に炎にかざして、余分なアルコールを除去した。その後、 内部組織(樹皮の下)の小片を切除し、中央ウェルが取り除かれたプレートの片側に、活発に増殖しているM.アルブスの単離株620と共にポテトデキストロース寒天培地(PDA)上に置いた。この技術は、ムスコドルのその他の単離物の選択に効果的に使用できる(Worapongら,2001a&b)。2週間の培養期間中、真菌が増殖しているか定期的にペトリ皿を調べた。菌糸が観察された時点で、寒天培地から菌糸の先端を無菌的に切り取り、新鮮なPDA上に置いた。単離物を、このように発見した。いくつかのペトリ皿(PDA)を使用して、真菌が揮発性の抗生物質を生成したかどうかを調べた。この手順としては、プレートの中心から寒天培地の1インチの区域を取り除き、その片側に単離物のプラグを置き、数日間増殖させ、その後試験生物体を隙間の反対側に蒔いた。
【0075】
実施例1b
真菌の分類:自然界において真菌は、A.アナナスソイデスに関係付けられ、無胞子不完全菌目(mycelia sterilia)に属する不完全菌類である。直射日光に当てずに放置した場合では、全ての培地上の白っぽい真菌のコロニーをテストした。直射日光に当てた場合では、全ての培地上のピンクがかった真菌のコロニーをテストした。胞子又はその他の子実体は、どのような条件下でも観察されなかった。菌糸(0.6〜2.7μm)は一般に枝分かれして成長し、時に完全なコイル(約40μm)を形成し、それらに関連するカリフラワー状体(3.5〜14μm)を有する。新たに発生する菌糸は、全ての条件下で試験培地の全てで観察した場合、波状のパターンで増殖する。PDA上の菌糸体は、3〜4週間でプレートを覆い、果実のような匂いを生成する。
【0076】
正基準標本:A.アナナスソイデスに存在する内部寄生菌。採集は、ヒース川流域ボリビアのアマゾンで行った。正基準標本は、ヒース川地方で採取された1本のA.アナナスソイデスの茎から取られたものである。生培養物は、採取番号2347として、モンタナ州立大学の菌学コレクションにムスコドル・クリスパンスとして預けられている(2008年2月29日)。M.クリスパンス(B23)の18S rDNAおよびITSシーケンスの両方を、割り当てられたシリアル番号EU195297を用いてジェンバンクに提出した。
【0077】
テレオモルフ: この真菌のテレオモルフは、M.クリスパンスとジェンバンクデータベース中のクロサイワイタケ科(Xylariaceae)の間の18S rDNA遺伝子配列データの類似点に基づいて、クロサイワイタケ科で見つかる可能性がある。(Brunsら,1991;Reynolds and Taylor 1993;Mitchellら,1995;Guarroら,1999;Taylorら、1999)。M.クリスパンスの18S rDNA遺伝子配列からの分子データは、M.アルブス単離物620と100%の相同性を示す。
【0078】
語源の説明: 属名ムスコドルは、「カビの生えた(musty)」という意味のラテン語を由来とする。これは、この属の最初の3つの分離物によって生成された匂いの質と一致する。種名クリスパンスは、「カールした(curly)、波状の(wavy)」という意味のラテン語である。菌糸は規則的な波状のパターンで成長する。
【0079】
実施例2a
走査型電子顕微鏡観察:Castilloら(2005)によって記載された手順の後に、実施例1の単離物で走査型電子顕微鏡観察を行った。菌による増殖を支持する寒天培地の切片および寄主植物の切片を、濾紙パケット中に入れ、湿潤剤としてのTriton X100を含有する0.1Mのカコジル酸ナトリウム緩衝液(pH7.2〜7.4)中の2%グルテルアルデヒド中に入れ、5分間吸引し、一晩放置した。翌日、切片を15分間ずつ6回、水−緩衝液1:1で洗浄し、次いで15分間10%エタノールで1回、15分間30%エタノールで1回、15分間50%エタノールで1回、15分間ずつ70%エタノールで5回洗浄し、その後一晩以上70%エタノール中に放置した。次いで切片を、95%エタノールで15分間ずつ6回すすぎ、100%エタノールで15分間ずつ3回すすぎ、続いて15分間ずつ3回アセトンで洗浄した。微生物材料を臨界点乾燥し、金スパッタコーティングし、画像をエバーハート・ソーンリー検出器を使用して、高真空モードでXL30 ESEM FEGで記録した。菌糸はオンラインで利用可能なイメージJソフトウェアを使用して測定した。
【0080】
実施例2b
真菌の生態:真菌は、水性培地に白い菌糸体を生成した。いかなる種類の結果構造又は胞子も実験室条件下では見られなかった。菌糸は、絡み合ってコイルを形成する傾向がある。ムスコドルのその他の種にもこの傾向がある(Worapongら,2001a)。新たに発生する菌糸は、典型的な直線的パターンではなく波状に増殖し、通常ロープのような構造で絡み合う傾向がある。この生育相は、生体内の接種研究においてこの有機体を同定する際に診断ツールとして有用であると判明する可能性がある。真菌は、さらに小さな鎖によって菌糸に接続されるように見える、カリフラワーのような構造を生む。これらはどんな条件の下でも発芽せず、そのため、胞子でないよう見える。この観察は、ムスコドル種にとって独特であると思われ、一般に他のいかなる真菌種においても存在は気付かれてこなかった。
【0081】
実施例3a
真菌の増殖及び保管:数片のカーネーションの葉を、その胞子生産を促進するために、活発に増殖している分離物の上に置いた場合、分離物が胞子あるいは他のいかなる子実体も生産しなかったことが判明した。また、23℃で1週間の培養した後にもそのような構造体は観察されなかった。また、胞子生産を示すかどうか調べるために、真菌をセルロース寒天培地(CA)、麦芽寒天培地(MA)およびコーンミール寒天培地(CMA)を含むいくつかの異なる培地上に蒔いた。培地のうちのいくつかでは増殖速度が遅かったことを例外として、真菌の他の特性に異なる点はないようであり、また、子実体または胞子は観察されなかった。
【0082】
濾紙技術を含むいくつかの方法を使用して、純粋培養でとして分離された真菌を保管した。真菌をPDAの上で増殖させ、小さな正方形にカットし、15%グリセロールが入ったバイアル瓶に入れ、−70℃で保管した。また真菌を、グリセロールではなく蒸留水を使用して、同様の方法によって4℃で保存した。しかしながら、最も有効な貯蔵方法は、−70℃の繁殖した無菌の大麦の種子上であった。
【0083】
実施例3b
他に、単離されたM.クリスパンスのより古典的な特徴も調べ、M.アルブスと比較した。直射日光に当てなかった場合、ムスコドル・クリスパンスは増殖の遅い、密な、白色の菌糸体を試験した全培地上で産生した。直射日光に当てた場合、菌糸体は明るいピンク色を発色した。これは、試験した全対応試験培地および条件において白っぽい菌糸体を産生するM.アルブスとは対照的である(Worapongら,2001a)。若い菌糸は、さらにM.アルブスで一般に観察されるような特有の直線のケーブルのような方法ではなく波状に増殖した。(Strobelら,2001)。寄主植物材料またはカーネーションの葉を含んでいるものを含む培地上では、胞子は形成されなかった。菌糸はそれぞれ直径が異なり(0.8〜3.6μm)、多くが絡み合っており、より複雑な構造や、ひいてはコイル状の菌糸を成していた(図1〜3)。これらの菌糸は、全般的にM.アルブスのものより大きかった。(Worapongら、2001a)。
【0084】
実施例4
揮発物の定性分析:ペトリ皿の中で成長させた日齢10日の菌糸体の培養株の上の空間のガスを分析するために使用した方法は、M.アルブス株のオリジナルの単離物に用いる方法、−620と同様であった(Strobelら、2001)。最初に、安定したフレックス・ファイバー上のポリジメチルシロキサン上の50/30のジビニルベンゼン/カルブレン(carburen)から成る、焼かれた「固体相マイクロ抽出」注射器(Supelco)を、真菌の増殖を支持するペトリ皿の横に空けられた小さな穴を通して挿入した。繊維を真菌の蒸気相に45分間暴露した。次に、注射器を、0.50mmの膜厚を備えた30m×0.25mm I.D.ZB Wax毛細管カラムを収容するHewlett Packard 6890ガスクロマトグラフのスプリットレス(splitless)注入口に挿入した。カラム温度を以下のようにプログラムした:30(Cで2分間、次いで220(Cまで5(C/分。キャリヤーガスは超高純度ヘリウム(現地販売業者)であり、初期のカラムヘッドの圧力は50kPaであった。揮発物を補足する前に、繊維を240℃で20分間、ヘリウムガス流下で条件付けた。30秒の注入時間を用いて、GCへサンプル繊維を導入した。ガスクロマトグラフは、単位解像度で動作する、Hewlett Packard 5973 質量選択検出器(質量分析計)に接続した。データ収集とデータ処理は、Hewlett Packard ChemStationソフトウェアシステムで行なった。真菌によって生成された揮発性の混合物中の化合物の初期同定は、NISTデータベースを使用して、ライブラリーを比較することによって行った。
【0085】
実施例5a
真菌DNA単離およびITS−5.8S rDNA配列情報の取得:PDAの上で増殖させた、本真菌の日齢10日の培養株を、25℃での培養期間の後に、Rapid Homogenization: Plant leaf DNA Amplification Kit(米国ワシントン州Cartagen社)を用いるDNAの抽出元として使用した:使用される技術のうちのいくつかは、オーストラリア由来の他のM.アルブス単離物を特徴付けるために使用されるものと同様であった(Ezraら、2004)。1週齢の培養物から、培養された菌糸を正方形(0.5cm2)に切り出した。寒天培地をできるだけ取り除くために、切片の底から寒天培地をこすり落とした。該切片を1.5mlのエッペンドルフバイアル瓶に入れ、−80℃で約10分間培養した。その後、DNAをキット製造者の指示に従って抽出した。抽出したDNAを、二重蒸留滅菌水で希釈(1:9)し、各1μlのサンプルをPCR増幅に使用した。ITS1、5.8S ITS2 rDNA配列を、プライマーITS1(TCCGTAGGTGAACCTGCGGG)およびITS4(TCCTCCGCTTATTGATATGC)を使用して、ポリメラーゼ連鎖反応によって増幅した。真菌培養物(1:9希釈)から抽出したDNA 1μl,プライマーITS1 0.5μl及びプライマーITS4 0.5μl,MgCl2 1.5mMを含むRedMixTM plus PCRミックス7μl(GeneChoice,Inc.,米国メリーランド州)及びddH2O PCRグレード(Fisher Scientific、オーストラリア国、西オーストラリア州ウェンブリー)5μlを含有する反応ミックス14μlにおいて、PCR処理を行った。Biometraパーソナルサイクラーにおいて、以下のようにPCR増幅を行った(ドイツ国ゲッティンゲン)。96℃で5分間、次いで95℃で45秒を35サイクル、50oCで45秒間、及び72oCで45秒間,次いで72oCで5分間を1サイクル。ゲル電気泳動を用いて、1.3%アガロースゲル、30分間、100V、TAE緩衝液で、PCR生成物を調べた(Labnet International,Inc.社(米国ニュージャージー州ウッドブリッジ)のGelXLUltra V2、もしくはWealtec Inc.社(米国ジョージア州)のWealtec GES cell system)。1−臭化エチジウム液0.5μg mlにゲルを5分間浸漬し、次いで蒸留水で5分間洗浄した。Bio−Imaging System(型名202D、DNR−Imaging Systems社、イスラエル国キリヤット・アナヴィム)でUV光でゲル撮影を行った。UltraClean PCR Clean Up DNA精製キット(MO BIO Laboratories,Inc.社、米国カリフォルニア州)を用いて、〜500bpのPCR生成物を精製した。精製した生成物を、直接PCR配列決定に送った。ITS1及びITS4プライマーを用いて、PCR生成物の両鎖で配列決定を行った。MegaBACETM1000解析システム(Danyel Biotech Ltd.社、イスラエル国レホボット)上のDYEnamic ET terminatorsを用いて、配列決定を行った。配列を、NCBIウェブサイトのジェンバンクに提出した。この研究で得た配列を、NCBIウェブサイトのBLASTソフトウェアを用いてジェンバンクのデータベースと比較した。
【0086】
実施例5b
ムスコドル・クリスパンスの分子生物学:18S rDNA、ITS1、5.8SおよびITS2の部分配列は、高度に保存されたDNAの部位であることが実証されており、したがって、生物の分類に非常に有用である(Mitchellら、1995)。M.クリスパンスのこれらの分子的に区別する部分配列を得、ジェンバンクのデータと比較した。18S rDNA配列を検索した後、M.クリスパンスの525を高度なBLAST検索にかけた。結果として、M.アルブス(AF324337)の525と100%の同一性が示された。部分的なITS1、2とM.クリスパンスの5.8S rDNA配列を比較分析したところ、M.アルブス(AF324336)、M.ロセウス(AY034664)、X.エンテロレウカ(Xenteroleuca CBS651.89(AF163033)、X.arbuscula CBS452.63(AF163029)、及びHypoxylon fragiform(HFR246218)のITS1および2と、それぞれ95、95、90、90および91%の相同性でヒットした。
【0087】
実施例5c
本発明は一部分、単離された新規な菌類との関連において記載されているが、このような真菌(当技術分野で理解されるもの)の変種および突然変異体もまた、本発明の文脈において予期されることは理解されるだろう。「変種」及び「突然変異体」という用語は、米国特許第6,911,338号に記載のように定義できる。該特許の全体を、参照によってここに援用する。従って、本発明は、M.クリスパンスの変種又は突然変異株、及び対応する組成物を対象としてもよい。
【0088】
実施例6a
植物病原菌に対するM.クリスパンスの生物検定:過去に文献(Strobelら、2001)に記載されているように、M.クリスパンスの揮発性副生成物の蒸気を、その微生物抑制活性について、比較的簡易な検査を用いて試験した。標準PDAペトリ皿中から、寒天培地を帯状に(幅2cm)取り除き、M.クリスパンスを接種し、プレートの片側で約1週間増殖させた。その後、試験する真菌又は細菌を、真菌には寒天培地の小さなプラグを使用して、ペトリ皿の反対側に接種した。細菌と酵母は、寒天培地(長さ1.5cm)上に画線した。その後、プレートをパラフィルム(Parafilm)1枚で包み、48時間23℃で培養した。試験細菌の増殖に対するM.クリスパンスの影響を、まず接種を行った場所での増殖の有無を確認することによって調べた。増殖が観察された場合、真菌の菌糸の直径を2カ所で測定した。細菌及び酵母に対する蒸気の生物活性を、それらの増殖が影響された程度を、対照プレート上の増殖率として推定することによって評価した。増殖が観察されなかった場合、試験細菌を、試験プレートから無菌的に取り除き、試験細菌の生存率を確認するために、蒸気に曝露した後のある時点で新鮮なPDAプレート上に接種した。
【0089】
前記の方法を利用して、M.クリスパンスを23℃でPDA上で7〜10日間増殖させた場合、真菌の揮発性副生成物は、数種類の真菌および細菌には致死性であると判明した。主な分類の酵母及び真菌と同様、グラム陰性およびグラム陽性菌も、試験細菌として利用した。試験細菌の多くは100%抑制され、M.クリスパンスの副生成物へ2日間曝露した後に死滅した。(を参照。)試験細菌のうちのいくつかは、M.クリスパンスの揮発物に2日間曝露した後も死滅しなかったが、増殖は揮発性副生成物によって大幅に抑制され、4日間曝露した後に死滅した。このような生物としては、ペニシリウム・ロキエフォルチ(Penicillium roquefortii),バイポラリス・ソロキニアナ(Bipolaris sorokiniana),スタグノポスラ種(Stagonospora sp.),及びフサリウム・オキスポラム(Fusarium oxysporum)などが挙げられる。
(表8)
M.クリスパンスの揮発性副生成物の、植物の多くの真菌病原体及び数種類の細菌に対する影響:未処理の対照試験生物と比較して、抑制値は増殖阻害の%として計算した。その試験は、少なくとも3回の試行で同様の結果であった。試験細菌の抑制は、真菌および揮発性の真菌副生成物の蒸気へ48時間曝露した後に記録した。
* これらの生物を試験プレート上に画線し、最終的にコロニーが発生した場合、増殖したことを示す。M.クリスパンスの揮発性副生成物へ適切に曝露させた後、画線した領域を対照プレート上の増殖と比較し、抑制率を評価した。最終的に、生存率を試験するため、各生物を再度PDAプレート上へ画線した。
【0090】
実施例6b
表8を参照すると、ボトリティス属に対するM.クリスパンスの揮発性副生成物の蒸気の影響は、全く顕著であり、特に、様々な植物の灰色カビ病の原因である貴腐菌に顕著である。さらに、抑制及び死滅効果は、玉ねぎの灰色カビ病や腐敗病を引き起こすボトリチス・アリにも適用可能である。限定はしないが、このような結果は、本発明が、農産物の表面、又はカビや関連する問題を防ぐための収穫後の保存の大気を変化させるために効果的に使用できることを示唆している。同様に、このような結果は、真菌の増殖を予防、又は制御するためタマネギ(例えば、ビダリア(Vidalia)タマネギ)、シャロット及びニンニク農産物を処理する本発明のFFC組成物の使用を裏付ける。
【0091】
実施例6c
M.クリスパンスの揮発物からの蒸気は、穀物における腐敗及び真菌の増殖を起こす真菌の多くに対して同様に効果的であり(例えば、トウモロコシ、小麦粉、オオムギ、米等)、本発明は、馬鈴薯、ビーツ、にんじん、サツマイモ等の種々の果実及び野菜と関連して使用できる。このような穀物、果実又は野菜は、収穫前又は収穫後、保管中の又は出荷中のものでもよい。このため、本発明の組成物及び方法は、農業及び食品加工分野における主要な真菌に関連する問題のいくつかに適用でき、アルテルナリア属、クラドスポリウム属,アスペルギルス属、ペニシリウム属,ジプロディア属(Diplodia),フサリウム属、及びギベレラ属(Gibberella)等の標的生物体に使用できるが、これらに限定されない。(例えば、表8を参照。)
【0092】
実施例6d
M.クリスパンスの副生成物からの蒸気はマイコスフェレラ・フィジエンシス真菌に対して有効であった。(表8を参照。)従って、本発明は、バナナやプランテイン(plantains)の真菌に関連する黒シガトカ(Black Sigatoka)病のための処理として使用できる。
【0093】
実施例6e
柑橘類の潰瘍病は、米国の柑橘類産業の存在そのものを脅かす。表8に示されるように、M.クリスパンスの副生成物からの蒸気は潰瘍を引き起こす病原体キサントモナス・アキソニポディスp.v.シトリを効果的に殺す。このような結果は、FFC組成物および関連方法を使用して、種子、実生苗、果樹園、装置あるいは器具(例えば、作業者用装置や衣服を含む)及び/又は収穫した果実を有効に処理し得、潰瘍疾病を予防、抑制、又は制御できることを示唆する。
【0094】
実施例7
実施例6の試験および結果を補うため、M.クリスパンスの揮発性副生成物の蒸気を用いた生物検定試験を、様々な他の植物およびヒトの病原菌および細菌に対して実行した(下記の表9を参照)。PDAを含むXプレート上の一つの四分円で真菌を増殖させて、一つ以上の試験成分を接種する前に、3〜5日間室温で培養した。対照プレートを接種と同時に作成し、各試験生物に最適な同じ培地上で増殖させた。黄色ブドウ球菌6538,サルモネラ・コレラサス(Salmonella cholerasuis)10708、大腸菌11229,黄色ブドウ球菌ATCC 43300 (MRSA),及びコレラ菌ATCC 14035の試験生物を、大豆寒天培養基(TSA)上で、Xのプレートの残り3つの四分円内で増殖させた。各生物体の3枚のプレートを、適切な対照と共に、真菌の副生成物の蒸気に、約2、4及び6日間室温で曝露した。試験微生物の生存率を確認するため、その後真菌を物理的に取り除き、対照プレート及び試験プレートを、最短で3〜4日間35±1℃の恒温器内に入れた、但し、マイコバクテリウム種(Mycobacterium spp.)はさらに約1ヶ月培養した。これは、副生成物の蒸気が試験生物を抑制又は死滅させるかどうかを確認するため行い、及び生物体の生存率を評価した。この同じ手順を、ペスト菌及び炭疽菌に対して行った。但し、曝露時間を3及び5日間に変更し、ペスト菌は、真菌に曝露した後に、28±1℃及び5%のCO2中で培養した。マイコバクテリウム・マリナム(Mycobacterium marinum)ATCC 927を、7H11寒天(Difco Co社)上で、残りの3つの四分円内で先に述べた手続きを用いて増殖させ、33±1℃で培養した。各生物を用いた試験における3つの複製は、全て同一の挙動を示した。
【0095】
全てのヒト型結核菌株については、同じく7H11上で増殖させたが、寒天培地の一部分をプレートから取り除き、B−23菌(PDA上)を挿入した。次にプレートを肉汁培養から培養した。真菌が存在しない対照プレートもまた培養した。指定した時間間隔の各々において、寒天培地の一部分をプレートから取り除き、別の空のプレートに移し、微生物の生存率を調べるため35±1℃の恒温器内に入れた。乾燥を防ぐため、プレートを湿らせた紙タオルと共にプラスチック袋内に入れた。
【0096】
緑膿菌15442及びバークホルデリア・タイランデンシス(Burkholderia thailandensis)70038を、両方ともTSA寒天培地上で増殖させた。それらをその生物に最適な増殖時間だけ室温で放置し、次に35±1℃の恒温器に移し、観察した。なお、ヒトの病原体を使用した試験は全て、厳格かつ連邦政府に承認された生物安全性条件下でを行った。ヒトの病原体の試験は全て、少なくとも2度繰り返された。
(表9)
様々なグラム陽性およびグラム陰性細菌種に対するM.クリスパンスの揮発性副生成物の影響。曝露時間は特定の対象生物によって変えられ、試験細菌の生存率はその期間の後に決定された(増殖ありまたは増殖なしとして挙げる)。
【0097】
表9に示すように、全4種類の抗酸性細菌(ヒト型結核菌株)は、活発に増殖しているM.クリスパンス(日齢6〜10の培養物)へ曝露された2、4、7、及び14日後に死滅した。M.クリスパンスに曝露された少なくとも2日後に死滅したその他の細菌は、以下のものである:黄色ブドウ球菌6538、マイコバクテリウム・マリナム、ペスト菌、及びサルモネラ・コレラサス。M.クリスパンスへの曝露による影響が比較的少なかったか、皆無であったものは、以下の通りである:緑膿菌、バークホルデリア・タイランデンシス、黄色ブドウ球菌(MRSA)、大腸菌、コレラ菌、及び炭疽菌。しかし、黄色ブドウ球菌(MRSA)の増殖は、はっきりしたコロニーではなくぬるぬるしたフィルムのみであり、そのため、M.クリスパンスのVOCによって影響を受けた。また、炭疽菌のプレートは、曝露プレートに残った数個のコロニーのみを有していたが、M.クリスパンスを取り除き、続いて培養した後に、さらに多くのコロニーが成長した。したがって、副生成物のM.クリスパンスの蒸気は、炭疽菌の栄養細胞のみには効果的であるが、胞子に対しては効果的でないと考えられる。最後の観察期間(14日間)から一ヶ月後、真菌に曝露されたプレート上の増殖は観察されず、全ての対照プレート上で増殖が観察された。
【0098】
以下の実施例の実験は、発明組成物の様々な実施例、及びその有用性を示す。代表的なある組成物を、構成物質の量、濃度又は比率に関して制限なく、表10に提供する。ある実施例では、一定量のイソ酪酸を、同じレベル又はほぼ同じレベルのプロピオン酸に置換得る。特定のこのようなその他の実施形態において、エタノールは、酢酸で置換し得、及び/又は2−ブタノンは、酢酸又はプロピオン酸のいずれかで置換できる。また、種々のエステルは、挙げられたエステルの異性体又は同族体(例えば、制限なく、3−メチルブチルエステル、プロピオン酸、2−メチルブチルエステルに対して)で置換できる。以下の実施例で観察された結果は、表10に挙げた化合物の組成物で得られた。同様に、種々の他の組成物を、同等の効果で使用できる。
(表10)
*これらの化合物の各々は、常温で液体として存在し、共に使用すると、室温、又は揮発が可能な温度及び圧力で容易に揮発する液体組成物を提供できる。
【0099】
植物病害制御に使用されるFFC組成物
実施例8a
試験生物体を抑制及び死滅させるFFCの相対的能力を測定した。表10に示した相対的割合でバイアル瓶に化合物を入れることによって、試験溶液を調製した。試験混合物(20マイクロリットル)を、事前に滅菌したマイクロカップ(microcup、4×6mm)内に入れ、PDAを含有するペトリ皿の中央においた。使用していないときには、混合物を0(Cで保管した。少なくとも3個の寒天ブロック(試験真菌辺り3mm3の寒天のブロック)上で新たに増殖中し切除した試験生物体(表9に記載)を、マイクロカップから2〜3cm入れ、皿を2層のパラフィルムで包んだ。一定の期間経過後の寒天ブロックの縁からの菌糸の成長の測定を行った。しかし、ゲオトリクム・キャンディダムの場合は、画線し、接種された寒天プレートの元の領域から再び画線することによって、新しい目に見える成長及び生存率を確認した。また適切な対照を、試験溶液をマイクロカップに入れないで作成した。FFC混合物20(lにおける試験を、同様に結果で少なくとも2回行った。
【0100】
実施例8b
無菌的に小さな寒天培地ブロックを取り除き、PDAプレートにそれを置くことによって、1〜3日後の増殖を観察、又は新鮮なPDAプレート上にゲオトリクム・キャンディダムを再び画線することによって、試験微生物の生存率を作成した。このように、微生物の生存率を評価することが出来た。表11aに示す結果は、以下に挙げる生物が、特定のFFC組成物によって全て抑制され、ほとんどの場合、それらへの曝露によって死滅したことを示す。これらの生物としては、バーティシリウム・ダーリエ、フィチウム・ウルチナム、フィトフトラ・パルミボラ、マイコスフェレラ・フィジエンシス、T 紋枯病菌、アスペルギルス・フミガーツス、ゲオトリクム・キャンディダム、トリコデルマ・ビリデ、ガノダーマ種、クルブラリア種、及びボトリチス・アリが挙げられる。よって、適切に適用すれば、FFC組成物は、これらの病原微生物を制御する能力を有する。このような結果は、この混合物によって他の多くの病原性微生物を抑制又は死滅させ得ることを示す。
(表11a)
【0101】
実施例8c
表11aのデータを参照すると、使用されるFFC組成物の活性プロフィールは、いくつかの例において、M.クリスパンス及びその揮発性副生成物の蒸気と比較して、異なる及び/又は増強した抗菌効果を示す。
【0102】
実施例8d
前記の実施例を参照し、同等の技術及び手順を用い、同じ病原体をプロピオン酸の蒸気で処理した。同等の結果を、列A及びBに再現された表11aのデータとともに、以下の表11bに示し、及び列C(抑制%)に提供したプロピオン酸単独での効果観察した。20μlでは、プロピオン酸の量は、本発明のある実施形態におけるプロピオン酸のレベルと同等である。プロピオン酸は、ある抗菌効果を有することが知られている従来技術の種々の単独の化合物の代表的なものである。しかし、表11bの比較データによって示されるように、本組成物は、本発明の文脈外の単独の従来の技術成分とは独立して予想されものに対して、及びを超えた新しく、相乗的な結果を提供する。そこに示されるように、従来の技術は、単に抑制効果があるだけであるが、発明組成物は、試験された多くの病原体を取り除く(つまり、死滅させる)。同様の結果が、その他のこのような単独の従来技術化合物/組成物との対比によって得られる。
(表11b)
*抑制100%だが、生存率は不明(ND)。
結核および他のヒト病原体を処理するためのFFC組成物の使用
【0103】
実施例9a
ヒト型結核菌単離物(5901867、50001106、59501228及び3081)の4つの臨床薬剤抵抗性株を、FFC組成物に曝露した。4つの単離物の各々に、培養物10μLを、7H11寒天培地プレートの中央に入れ、滅菌プラスチック製の白金耳でプレートの全表面上で次に平らに広げた。0.65mlの微量遠心機チューブ(マイクロキャップ)から、蓋を切り落とし、ねじ式の蓋を有するオートクレーブ可能なチューブ内で121℃で15分間オートクレーブで殺菌した。滅菌鉗子を使用して、接種したプレートの中央に入れたマイクロキャップを取り出した。対照プレート(各単離物に対して1枚)には、マイクロキャップを入れなかった。各単離物に対して3枚のプレートを作成し、5、10、又は20μLのFFCを各プレートの3個のマイクロキャップの各々に入れた。次にプレートを湿った紙タオルと共にジップロック(ziplock)密封プラスチック袋内に入れた、36℃±1℃で約28日間培養した。約48時間曝露した後、マイクロキャップを取り除き、処分し、プレートを恒温器に戻した。紙タオルを頻繁に調べ、培地の乾燥を防ぐため再度湿らせた。対照プレートの全てが増殖した。5及び10μLの揮発物に曝露したプレートの全てが増殖した。20μLの揮発性物に曝露された(50001106)一つの単離物のみが増殖した。なお、ヒト型結核菌の各単離物は、この生物体の臨床薬剤抵抗性株である。全ての実験は、米国政府承認生物安全性実験条件(US Government Approved Biosafety Laboratory Conditions)で行った。
【0104】
5及び10μLの揮発物に曝露された対照プレート及びプレートを、2008年4月14日に蒔いた。揮発物20μLに曝露されたプレートを、2008年4月22日に蒔いた。全てのプレートを複数回調べた。2008年5月19日に最終確認を行い、死滅したそれらの生物体を表12に「−−」と示す。
(表12)
【0105】
TBの別の株に対する本発明のFFC組成物の実際の影響を、図1「ヒト型結核菌株(110107)に対するFFCの死滅効果」に示す。左側のプレートは、FFC 20マイクロリットルで48時間処理されなかった対照プレートである。右側上のプレートは、48時間処理された。その後、両方のプレートを36℃で28日培養した。FFCがヒト型結核菌の耐薬性の単離物の3/4を殺すことができたことはこれらの実験から明白である。これは、結核の治療においてこのようなFFC組成物を用いた動物及びひいてはヒトでの治験に対しても期待できるものである。
【0106】
実施例9b
先の実施例のデータと一致しているので、本発明のより広い様相を実証できる。生存可能な培養物および適切な培地を、当業者に周知に材料および技術を使用して調製する。例えば、本発明のFFC組成物(例えば液体組成物やその蒸気への直接接触)に曝露することによって、以下の大腸菌型細菌(グラム染色と形態学)の増殖阻害あるいは死滅に帰着する場合がある:大腸菌(グラム陰性菌、桿状体)、サルモネラ腸炎菌(グラム陰性菌、桿状体)、緑膿菌(グラム陰性菌、桿状体)、黄色ブドウ球菌(グラム陽性菌、球菌)およびリステリア菌(グラム陽性菌、桿状体)。
【0107】
同様に、このような結果もセレウス菌(グラム陽性、桿菌)及びボツリヌス菌(グラム陰性、桿菌)を含むが、これらに限定されないその他多数のグラム陰性菌及び/又はグラム陽性菌で得ることができ、実証できる。
【0108】
実施例10
M.クリスパンスの揮発性副生成物を模倣する人工組成物に対して試験された試験生物体にいくつかについてIC50を計算した(表1を参照)。表12を参照すると、人工混合物15μLの使用で全ての試験生物体が100%抑制され、それらのうちのいくつかがたったの10μLで死滅した。バーティシリウム・ダーリエ、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea),及びアスペルギルス・フミガーツスは、最高体積の混合物(30μL)によっても死滅しなかったが、3種類全てが、試験混合物10又は15μLで100%抑制された。最も感受性の高かった生物体は、フィチウム・ウルチウムであって、 10μLで死滅し、2.5μLで100%抑制された。よって、IC50値は、フィチウム・ウルチウム及びボトリチス・シネレアは両方とも実質的に同じIC50を有するが、一方は死滅し、他方は死滅しなかったことから、揮発物の死滅能力を必ずしも反映していないと言える(表13)。
(表13)
様々な植物病原菌に対するM.クリスパンスの揮発性副生成物の成分の人工混合物のIC50s 1μLから30μLまでの量の混合物を、試験プレートの中心の滅菌プラスチックウェルに入れた。また、病原性生物をプレートの縁の周辺に置いた。生存率を48時間後に評価し、混合物を加えていないが、滅菌ウェルを定位置にした対照プレートと比較した。その期間後に増殖を示さなかった生物体を、100%抑制されたと決め、48時間後に増殖を示さず、48時間の評価後すぐにPDA上に単離された後に増殖を示さなかったものを、死滅したものとした。IC50の計算は、50%の抑制(μL)を起こすのに必要な人工混合物の量を、ペトリ皿(50mL)の全空域で割って求めた。
【0109】
微生物腐食を制御するごみ処理のためのFFC組成物の使用
実施例11
通常はゴミと見なされる品目の人工混合物を、2つの薬莢用紙箱(ammo cartridge box)に入れた。これらの品目は、廃棄穀物品、花の各部、肉の廃棄物、新聞紙の繊維、及び様々な他の廃棄物から成る。前述のFFC組成物0.2mlを含有する小さなビーカーを一つの箱に入れた。他方の箱には、FFCを入れなかった。これらの箱は、両方とも10日間80°Fで培養した。その期間の最後に、これらの箱を開けて調べた。FFCを含む箱では腐敗が起こらなかったことは明らかであった。一方、対照の箱は、完全に大量の腐敗物となった。ゴミ処理に対するFFC組成物の使用は、世界中でゴミを発酵させてメタン等のエネルギー関連製品にする施設に輸送される間の、損傷のないゴミを腐敗から守る機会である。図4は、この実験の条件においてFFC組成物が微生物腐敗からゴミを保護したことを示す。
【0110】
真菌による腐食を制御するチーズの処理のためのFFC組成物の使用
実施例12
前述のFFC組成物10mlを含有するバイアル瓶を、10×10インチの一片の透明なプラスチックのサランRラップに導入、又はバイアル瓶にラップを導入、及び/又はバイアル瓶を使用してサランラップを浸漬した。プラスチックラップをFFC組成物に6日間浸漬し、干して乾燥させ、次いでチーズの青カビ種の株を十分に接種した一切れのチーズにかぶせる包装材として使用した。別の実験では、該一切れのチーズに真菌を接種し、次いで普通のサランRラップで包み、次いでFFC10マイクロリットルを注入した。青カビ種単独、包装材での処理のみのもの、FFC単独及び対照(未処理)と共に、上方の図の上に適切な対照を示す。実験のチーズの切片を1週間常温で培養し、次いで各チーズ品目の一部を研究員が食べて試験した。なお、冷蔵庫に保管しておいた、新たに切った新鮮なチーズと比較した場合、この方法での保管したことによるチーズの味の悪用と悪影響はなかった。完全に真菌に覆われたチーズの切片は食べなかった。ラップの下にFFC組成物を使用したことで、もしくは処理したラップを用いたことで、チーズの切片が腐敗から実質的に完全に保護され、青カビ種によるチーズのコロニー形成が防がれたことは図2から明らかである。このことは、処理された包装材、及び通常のサランラップで覆われたチーズ単独にFFC10マイクロリットルを注入した場合にも当てはまる。
【0111】
食品及び植物の各部(例えば、農産物)の真菌性腐敗を防ぐ処理のためのFFC組成物使用
実施例13a
数本のヤムイモをこれらの実験のために入手した。最終的に腐敗を引き起こす、表面を汚染する微生物が、接種材料に十分な数存在すると考えられた。よって二切れのヤマノイモを、FFC0.2mlを含有する小さなビーカーの存在下で密閉された蓋付きのプラスチック箱に入れた。対照の箱には、FFCを含有しないビーカーを入れた。次いで密閉した箱を常温で10日間保持し、その後調べた。処理されたヤマノイモの切片の表面及び内部の汚染が起こらなかったことは明らかであったが、対照のヤマノイモには、図3に示すような表面の傷み及び初期腐敗(insipient decay)が複数箇所発生した:未処理のヤマノイモを左に示す。右に示すものは、FFC処理されたものである。左側のヤマノイモの上端の真菌による腐敗の面積の大きさに注目されたい。
【0112】
実施例13b
関連する最終使用目的として、FFC組成物及び/又はその成分を、天然のロウ質の被膜又は保護被膜の除去を補うため、収穫された果実又は野菜の農産物に塗布できる。例えば、収穫されたカボチャ(squash)やその他の農産物を、茎を切り落としてから、FFC組成物(例えば、スプレー塗布によって)で処理すると、微生物の増殖を制御/抑制し、市場性を改善し、及び消費期限を延長できる。
【0113】
実施例14
表2〜7及び10に記載の種類の組成物に従う、本発明の合成FFC組成物は、フィチウム・ウルチナム、紋枯病菌AG2−2及びアファノミセス・コクリオイデス(Aphanomyces cochlioides)によって起こるサトウダイコンのサトウダイコンL(Beta vulgaris L)、並びに根こぶ線虫(root knot nematode)、メロイドジネ・インコグニタ(Meloidogyne incognita)によるトマトのリコペルシコン・エスカレンタム(Lycopersicon esculentum)に見られるの実生苗の病気の制御において、生きたM.アルブスの使用と好ましく同等であった。合成組成物は、全ての3種類のサトウダイコン病原体に対して生きた真菌のデンプンをベースとした製剤と同程度に、苗立枯れ病を制御することを可能にし、及びトマトの根の根こぶ瘤(root knot galls)の数を著しく減少させた。使用したFFC組成物での比率研究では、土壌担体/媒体成分の2(l/cm3及び0.75(l/cm3の濃度で、各々、サトウダイコンのリゾクトニア菌(Rhizoctonia)及びピチウム菌(Pythium)の苗立枯れ病が良好に制御されたことが示された。5(l/cm3の濃度の砂によって、M.インコグニタに対して24時間で100%の死滅率が得られた。比較すると、インビトロ研究において同じ割合の生物合理的物質を使用した場合、5g/lの砂を適用したM.アルブスに感染した割麦配合物と比較して、根こぶ瘤が少なかった。
【0114】
実施例15
トマトかいよう病は組織凋枯症および腐敗によってトマトに重大な損失を引き起こす。この細菌の真性基準培養を栄養培地上に画線し、小さなキャップをプレートの真中に置いた。本発明の人工の、実験室で作成されたFFC組成物20マイクロリットルをキャップ内に入れた。対照プレートはFFC組成物を含んでいなかった。プレートは24時間培養され、その後検査された。FFCで処理したプレート上に細菌の増殖はなかった。(図5参照。)そのため、本発明のFFC組成物はトマトの種子、あるいは株、あるいは作物を処理するため使用できるが、それらに制限されない。あるいは、FFC組成物は前床土用の液(pre−bed soil drench)として水と混合できる。
【0115】
実施例16
先述の実施例を参照して、又先述の実施例のいくつかと一致して、本発明の一連のFFC組成物は、予防的に、もしくは活発な疾患状態の治療のいずれかに使用できる。このような疾患は、サトウダイコン、トマト、タマネギ、穀物、バナナ及びプランテイン、及び柑橘類作物等に影響を与える疾病を含むが、それらに制限されない。
【0116】
一般に、本組成物及び方法は、予防的に、又は真菌性又は細菌性の微生物の存在下において、ライフサイクル段階(例えば、遊走子等)、発達、成長又は感染の程度に関わらず、種子、株、作物及び/又は関連する食品製品の処理及び生存率の向上を対象としてもよい。このため、当業者には理解できるように、このような組成物は、形態(例えば、粉末、顆粒、液体、ミスト、懸濁液、蒸気、糊状剤、ゲル、被膜等)に関わらず、種、実生苗又は株(例えば、根、茎、葉等)、もしくはそれらの作目(例えば、収穫前もしくは収穫後)の表面上に、もしくはそれらと接触して、含んでいても良い、又は適用できる。
【0117】
実施例17
FFC組成物及び/又はその成分は、単独で、あるいは、他の様々な組成物に導入して、鶏肉、農産物及び関連加工産業における多様な最終使用目的で採用できる。このような非制限的目的のうちのいくつかを、以下の実施例において提供する。
【0118】
実施例17a
表2〜7及び10に記載の種類の組成物に従う本発明のFFC組成物が、広範囲の卵製品の処理に使用される。このような広範囲の卵製品としては、限定されないが、全卵、液状全卵、強化全卵、及び液状強化全卵、塩全卵、及び液状塩全卵、砂糖全卵、及び液状砂糖全卵、及びこのような製品、及び、これらと、液体であっても液体でなくても良い、砂糖、固体シロップ、シロップ剤、ブドウ糖及びデキストリン及び/又はガム及び増粘剤などとの混合物が挙げられ、さらにはスクランブルエッグミックス及び液状スクランブルエッグミックス、コレステロール低減卵製品、及び、それらの液状製品ならびに混合物、そして、卵の中身(egg solids)、卵殻ならびに、それには限られないが、脱コレステロール卵黄を含む卵成分を約10%未満含有する関連製品が挙げられる。このような用語は、当業者によって理解され、容認された産業的かつ規制的な使用に従った標準的な意味を有するものである。
【0119】
実施例17b
同様に、本発明の種々のFFC組成物は、少なくとも一部をイソ酪酸に代えてプロピオン酸を使用したものを含むが、それらに限定されないものであるが、全卵、スクランブルミックス、卵黄及び液体卵白製品を含むが、それらに限定されない、品質保持期間延長(extended shelf life、ESL)液状卵製品の調製及び/又は包装に使用できる。
【0120】
実施例17c
同様に、本発明の様々なFFC組成物は、割った後の空の卵殻の処理に使用できる。当該技術において理解できるように、利用可能な技術及び加工設備を用い、FFC組成物及び/又はその成分は、単独で、もしくは別の組成物の一部として導入して、空の卵殻に、例えば、栄養補助製品に更に加工する前に、(例えば、スプレーして)適用できる。同様に、一つ以上の本発明の組成物は、当分野で公知の装置及び技術を用い、家禽の屠殺体、肉又は関連肉製品の処理に適用、導入、又は使用できる。拡大すると、本発明は、以下の実施例のうち一つ以上に示すように、動物屠殺体、肉、加工肉製品及び全ての他の形態の動物の肉(例えば、ほ乳類、鳥類、魚類、巻貝類、二枚貝類、甲殻類、海産食品及び他の食用種)、その他の種類のと共に使用できることは、当業者には理解されるであろう。
【0121】
実施例17d
先述の実施例の拡張として、このようなFFC組成物は、細菌/真菌の増殖を抑制するためにこのような加工栄養補助製品(例えば、ハーブやスパイスのカプセル又は錠剤)に導入できる。
【0122】
実施例17e
先述の例は様々な下流処理用途を示しているが、本発明は、卵および鶏肉生産の文脈においてより広く利用することができる。限定はしないが、本発明のFFC組成物あるいは関連する成分は、鶏肉または鶏卵生産の設備に導入し、及び/又はそれらに関連する装置あるいは機械類に適用することができる。例えば、鶏小屋又は飼育/産卵設備の空気の処理又は表面処理は、風媒性及び表面に付着した汚染物質、及びその後の、表面における微生物の増殖を、制御、減少及び/又は抑制できる。
【0123】
実施例18
FFC組成物又は一つ以上のその成分を、水分活性を有する、或いは微生物の増殖を支持する食品製品を含むその他多数の加工食品製品に導入できる。例えば、このような組成物又は成分は、フムス(humus)、ピーナッツバター及び他のこのようなスプレッド、ディップ及び混合物に導入できる。ピーナッツ生産産業及び加工産業については、本発明の組成物及び関連成分は、殻を割る前及び後のピーナッツ、最初のピーナッツの洗浄の後、関連加工製品(例えば、ピーナッツバター)に、及び/又は包装装置及び包装材料において適用できる。
【0124】
実施例19
同様に、本発明のFFC組成物/成分は、(例えば、上記の表2〜7及び10の組成物のうちの一つ以上、又はそれらに記載の種類の変種)は、製剤形態に関わらず、種々のスキンケア又はトリートメント製品として使用又は導入できる(例えば、ローション、軟膏、クリーム等)。
【0125】
実施例19a
例えば、一般にざ瘡は、皮膚小胞に侵入する一つ以上の種類の細菌によって引き起こされる。本発明の更なる使用を示すと、本発明のプロピオン酸置換FFC組成物の水性製剤を調製し、年齢に関連したざ瘡を呈する青年期の男性被験者の処置に使用した。3週間にわたり、3日間毎に1回塗布することによって、ざ瘡の病斑の数及び強度が、目視の観察において著しく減少した。
【0126】
実施例19b
消費者及び/又は健康管理製品の文脈における本発明の別の使用を示すと、本発明のFFC組成物を、代表的な店頭で購入可能なスキンクリーム製剤に導入した(約2重量%)。図6を参照すると、PDAプレートを調製し、対照クリーム(FFC成分又は組成物なし)(左上);細菌細胞で汚染された対照クリーム(右上);FFC組成物を含む「処理」クリーム(左下);及び細菌による汚染を含む処理クリーム(右下)と共に1日間培養した。図に示すように、このようなスキンクリーム製品における細菌の増殖は、中程度の濃度の本発明のFFC組成物を導入することによって防がれた。
【0127】
実施例20
同様に、本発明は、一連の口腔衛生、管理及び治療製品と関連して使用できる。限定はしないが、以下の実施例は、上記した種類のプロピオン酸置換FFC組成物のこのような使用を示す。もしくは、その他多数のFFC組成物は、上記の表2〜7及び10の組成物に、又は本明細書中の他の箇所で説明するようなそれらの変種に従って使用できる。
【0128】
実施例20a
例えば、あるこのような口腔管理/衛生製品を説明すると、口内洗浄液/リンス液製品を、このようなFFC組成物約1%を使用して製剤した。このような製品を、市販の一般口内洗浄液/リンス液製品中にこのようなFFC組成物を導入することによって調製した。FFC本発明の組成物は、濃度又は用量レベルに関わらず、歯磨き粉/ゲル又は関連する歯茎、口内、口腔又は歯の管理製品にも導入できる。
【0129】
実施例20b
扁平苔癬(LP)は、口内で、あるいは他の粘膜上で生じることがある皮膚の自己免疫疾患である。膜が不安定になるため、細菌又は真菌がこれらの領域で生息し得、組織の痛み、発赤、感染、出血及び膨張を引き起こできる。この疾病における菌の外来性の関与の原因を減少させるために、このようなFFC組成物の1%水溶液を含有する口内洗浄液製品を調製した。患者の口内を、毎日2〜3回、少なくとも3〜4分間すすぎ、その後吐き出した。治療を適用する前と3週間の治療後に、写真を撮影した。3週間後に、結果として、歯茎の発赤がほぼ完全になくなり、併せて、口内及び歯茎の痛みがほぼ完全になくなり、歯茎及び他の粘膜の色もほぼ正常に回復した。患者は、痛み/出血がほぼ完全になくなったこと、並びに過去の経験と比較してLPが最大に軽減したことを報告した。
【0130】
実施例20c
歯垢を減少させるため、また口内の問題と関連する菌から発生するその他の問題を治療するため、既成の口内リンス液中に前述のFFC組成物の1%溶液を使用した。毎日、1日辺り3〜4回、2ヶ月にわたって口内リンス液を使用したところ、歯垢の蓄積がほとんどなくなったか、全くなくなった。当初は、赤色を呈し、腫れがあり、出血しやすいと記録された歯茎(実際に歯科医によって記録されたメモより)が、色が正常になり、「探針」器具で触診しても出血しなくなった。
【0131】
実施例20d
このようなFFC組成物の有効性を確認するため、先述の例から生じる口内の唾液を、栄養素寒天プレートの片方に載せ、非FFCの市販の口内リンス液を使用した際の唾液を同じプレートの反対側に載せ、リンス液を使用しなかった際の唾液を別のプレートに載せた。唾液を2日間培養した。比較によると、リンス液を使用しなかった際の唾液は、細菌量が高かった。非FFCのリンス液を使用した際の唾液は、予想通り、細菌量が減少していた。しかし、FFCリンス液を使用した際の唾液は、検出可能な細菌が存在しなかった。
【0132】
実施例20e
別の例においては、口腔外科医が、口腔の手術に先立ってFFC組成物(例えば、市販のリンス/洗浄製品の1%として)を試験した。患者は非処理の唾液を寒天プレート(栄養寒天培地)に載せ、FFCリンス液ですすぎ、その唾液を別の寒天プレートに載せた。2〜3日間培養した後で、FCCリンス処理されたプレートの上に細菌のコロニーは存在しなかった。これは、口腔内の手術の前及び後に使用すると、歯やその他の口内感染が治療又は抑制されることを示す。
【0133】
実施例21
乳牛における乳腺炎は、乳房と関連する菌の複合体によって発生する。本発明の種々の限定されない実施形態によると、以下に記載の種類のFFC組成物又はラムノリピド変性FFC組成物は、牛乳製品の細菌感染及び汚染の見込みを減少させるために、搾乳の際のアターに適用できる。
【0134】
実施例22
本発明の様々なFFC組成物は、産業上/医学的に重要なバイオフィルム上の微生物不可を軽減するために使用できる。後者に関しては、入歯から人工関節に及ぶ物品を、外科的移植の前に本発明のFFC組成物で処理できる。
【0135】
実施例23
本発明のFFC組成物は、衣料品の真菌及び細菌による損傷、特に、湿気の多い環境に曝露されるもの(すなわち、皮革、靴、ブーツ、ストラップ、ネクタイ、ベルト)の損傷を制御するために使用できる。例えば、上記した種類の1%FFC組成物0.2mlを、完全に濡れてはいなかったブーツに入れた。発生する蒸気を数時間保つため、ブーツを封入し、次いで乾燥した空気に曝露した。結果として、腐敗は見られず、ブーツが乾いた後もカビのにおいは残らなかった。
【0136】
実施例24
本発明の組成物は様々なFFC成分を含み得、本発明を知るに至った当業者によって理解されるような方法で製剤化できる。限定はしないが、最終使用目的あるいは処理にかかわらず、本FFC成分及び/又は関連する組成物の一つ以上を、様々な抗細菌性又は抗真菌性組成物に導入できる。限定はしないが、このような組成物は、単独で、又は当該技術で既知の種類の抗細菌性及び/又は抗真菌性成分と組み合わせて、ラムノリピド界面活性剤成分を含んでいても良い。後者に関しては、このような組成物は、シリンゴマイシン及び/又はスードマイシン(pseudomycin)成分を含んでいても良い。
【0137】
具体的には、当業者によって理解できるように、ラムノリピド成分は、米国特許第5,455,232号および第5,767,090号に記載の種類の一つ以上の化合物を含んでいても良い。その各々の全体は、参照によって本明細書に組み入れられる。このようなラムノリピド化合物は、当該技術で現在公知であるか、今後単離及び/又は特定されるものであるかに関わらず、当業者によって理解されるような、それら特許で開示された、又は変更された構造であってもよい。例えば、限定はしないが、酸の形態の及び/又は対応する酸塩として、合成的に誘導された、又は天然に存在する(例えば、スードモナス(Pseudomonas)種又はその株から)かに関わらず、このような化合物は、糖ヒドロキシ位置の一つ以上におけるアルキル置換及び/又はアシル置換(例えば、それぞれメチル及び/又はアセチル、及びそのより高級な同族体)できる。同様に、モノ−及び/又はジラムノの形態であるかに関わらず、このような化合物は疎水性部分によって変わり得る。限定されない例としては、図7A及び7Bを参照すると、m及びnは、このような部分が飽和、単不飽和又は多不飽和、疎水性部分がプロトン化して、対イオンとの共役塩基として存在するか、又は誘導体化していているに限らず、無関係に、約4〜約20の範囲であってもよい。本発明のより広い態様と同様、このような組成物において有用なラムノリピドは、本発明のFFC組成物と関連した、得られる界面活性機能日及び/又は抗菌効果によってのみ構造的に限定される。このため、国際公報WO99/43334に記載の種類の構造的な変種もまた、本発明の文脈において見なされ、このような公報を参照することにより、その全体を本明細書に援用する。図8〜9の限定されないラムノリピド成分/構造も参照されたい。
【0138】
抗菌又はラムノリピド同一性に関わらず、本発明の組成物の担体成分は、水、アルコール、油、気体及びそれらの組合せから選択されるが、それらに制限されない流体を含んでいても良い。例えば、このような組成物は、抗菌又はラムノリピド数の量又は濃度(例えば、重量%)に関して無制限である一方、水及び/又はアルコールを含む担体は、所望の製剤化、出荷、保管及び/又は適用特性や、効果的な濃度及び得られる活性を容易にするために使用できる。
【0139】
このようなラムノリピド界面活性剤成分、抗真菌成分及び/又は関連組成物は、同時継続中の米国特許出願番号第11/351、572号、特にその実施例9〜15に記載のものを含むが、それらに限定されるものではない。2006年2月10日に出願されたこのような出願を、参照することによってその全体を本明細書に援用する。このようなラムノリピド界面活性剤成分、抗真菌成分及び/又は関連組成物は、本発明の一つ以上のFFC成分及び/又はFFC組成物と関連して導入又は使用できる。このような抗菌性及び/又は抗真菌成分は、当業者に公知のものであり、市販されている。種々のラムノリピド成分及び関連界面活性剤組成物は、Zonixの商標においてJeneil Biosurfactant,LLCから入手可能である。
【0140】
実施例25
例えば、このようなラムノリピド関連変種を示すと、一連の組成物は、広範囲の果実及び野菜の収穫後の洗浄又は処理として又は関連して使用するための本発明の一つ以上のラムノリピド成分及び一つ以上のFFC組成物(及び/又は一つ以上のそのFFC成分)で調製できる。限定はしないが、このような組成物においては、ラムノリピド成分(例えば、前述の’572号出願に記載のもの)は、約0.1重量%〜約99.9重量%までの量で存在し得、及びFFC組成物/成分(例えば、上記表2〜7及び10の組成物)は、約99.9重量%〜約0.1重量%の量で存在できる。該当するEPA規制を参照すると、前述のZonixラムノリピド界面活性剤に対する許容限界はない。同様に、本発明のFFC組成物/成分に対する許容限界はない。このため、このようなラムノリピド/FFC組成物で処理された食品は、更に洗浄せずに消費できる。
【0141】
実施例25a
以上のように、ラムノリピド/FFC組成物は柑橘果実を洗うために使用できる。一つのこのような洗浄/浴組成物は、8.5%ラムノリピド溶液(水中)および5%FFC溶液(例えば、表10の水中組成物)を使用して調製された。1ガロンの95:5(体積/体積)混合物を425ガロンまで希釈した。当該産業において公知、又は該当する状態又は米国連邦規制で求められる手続き手順を用い、組成物を、柑橘類の皮を洗浄及び浸透するために有効に使用した。表面及び内部の菌及び真菌の両方を死滅させた。柑橘類の果実では効果的な結果が得られたが、このラムノリピド/FFC組成物及び関連ラムノリピド/FFC組成物は、果実又は野菜の収穫後の洗浄又は処理と関連して同等に使用できる。(例えば、限定はしないが、ブルーベリー、トマト、ブドウ、タマネギ、サトウダイコン、サツマイモ、リンゴ、ナシ、パイナップル及び、ノニ及びアサイ果実等を含むが、それらに制限されないその他多数の熱帯の農産物)。この実施例のFFC組成物で洗浄又は処理された果実/野菜は、ヒトの消費に対して安全かつ衛生的と認識される。
【0142】
実施例25b
導入したラムノリピド成分を有するかどうかに関わらず、種々のFFC本発明の組成物は、細菌/真菌量を減少させるために、包装前又は包装時に、又は缶に詰める前又は缶に詰める際に、種々の果実及び野菜(例えば、ナシ、モモ、リンゴ、トマト、アンズ、マンゴー等)の処理に使用できる。
【0143】
実施例26
FFC成分化合物の入手源。本発明の組成物に使用するための成分化合物は、市販のものを入手するか、又は周知の種類の合成技術、又は文献に記載の種類の合成技術を用い調製できる。(例えば、米国特許番号6,911,338号を参照。参照することによって、その全体を本明細書に援用する。)
【0144】
もしくは、動物及びヒト用の食品及び飲料品目、パーソナルケア及び化粧品製品及び関連処理及び製造技術を含むが、それらに限定されない、ある実施の形態と関連して好適であってもよいように、本発明のGRAS成分化合物及び関連FFC組成物は、発酵技術によって天然から得ることができ、またFlavorzonの商標でJeneil Biotech,Inc.社(米国ウィスコンシン州ソークビル)から入手可能である。このため、種々の本発明の組成物は、最終使用又は用途によって、細菌発酵由来の化合物、化学合成された化合物、及び発酵由来及び合成由来の化合物の種々の混合物を含んでいても良い。
【0145】
先述の記載を参照すると、以下の実施例は、一つ以上の本発明の組成物の限定されない用途又は導入を示す。このような用途又は導入は、本発明を知るに至った当業者には理解できるものであり、及びいくつかの先行特許の文脈において記載されたものである。それらの各々を参照することによって、本発明のこのような用途又は導入が当業者には理解できることを示す目的のために本明細書に援用する。
【0146】
実施例27
その他の実施の形態を示すと、種々の本発明の組成物は、援用する米国特許第6,566,349号に記載のもの等の果実飲料用の添加剤として使用するため配合できる。例えば、本発明の組成物は、フラボノイド化合物及び/又は抗酸化剤と組み合わせて、又は代替物として果汁に加え得、又は製品の保存寿命を延ばすため、加工の前に果実及び野菜に事前に適用できる得る。当業者には理解されるとおり、’349号特許のこのような組成物は、過度の実験作業を行うことなしに直接的な方法で、最終使用目的を決定できる量で本発明の一つ以上の組成物を含むよう変更できる。
【0147】
実施例28
本発明の組成物は、援用する米国特許第5,866,182号に記載のもの等の茶及び茶/果実混合物飲料の保存に使用するためにも配合できる。例えば、本発明の組成物は、ソルビン酸カリウム及び/安息香酸ナトリウム、アスコルビン酸、及び二炭酸ジメチルと組み合わせて、又はそれらの代替として使用できる。当業者には理解できるように、’182号特許(例えば、その実施例1)のこのような飲料は、本発明の一つ以上の組成物を含むよう変更できる。その量は、過度の実験を行うことなしに直接的な方法で決定できる。
【0148】
実施例29
本発明の組成物はまた、援用する米国特許第5,176,903号に記載のもの等の制汗剤及び脱臭剤の抗菌効果を保存及び/又は向上させるための使用に配合できる。例えば、本発明の組成物は、パラベン、イミダゾリジニル尿素、クオタニウム−15、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、及びその他多数の適宜の防腐剤(例えば、該特許の実施例1〜3に記載のもの)と組み合わせて、又はそれらの代替として使用し得、また分解から保護し、保存寿命を延ばすため、及び/又は有効性を向上させるため、このような制汗剤/脱臭剤に加え得る。一つ以上のこのような組成物の量は、当業者が過度の実験を行うことなしに、直接的な方法で決定できる。
【0149】
実施例30
また、本発明の組成物は、援用する米国特許第4,548,808号に記載のもの等の制汗剤に使用するためにも配合できる。例えば、一つ以上の本発明の組成物は、保存寿命を延ばし、抗菌効果を高めるために、当業者が過度の実験を行うことなしに容易に決定される効果的な量で、’808号特許(例えば、その実施例1〜6)に記載の実質的に無水の非アルコール性の制汗剤製品に加え得る。
【0150】
実施例31
また本発明の組成物は、例えば、援用する米国特許第3,119,691号に記載のイヌ用食品等の動物/ペット食品に使用するためにも配合できる。当業者であれば、 本組成物の一つ以上は、’691号特許に開示された製品の保存寿命を延ばすために、低水分ドッグフード、高水分ドッグフード、及び再水和可能なドッグフード(例えば、本明細書に記載の製品配合物)に加え得ることを認識するであろう。このような組成物の量は、過度の実験を行うことなしに容易に決定できる。
【0151】
実施例32
また、本発明の組成物は、援用する米国特許第5,060,598号及び第4,721,059号に記載のもの等の猫砂(cat litter)に使用するために配合できる。例えば、粘土、アルファルファ、木材チップ、及びおがくずを含む、種々の吸収剤材料、及び粘土状の充填材(’059号特許)及び泥炭(’598号特許)を含む高吸収材料を用いて、尿の匂い及び対照の匂いを吸収する。一つ以上の本発明の組成物は、微生物の活性を減少又は取り除くため、及び砂の使用後の匂いを制御するため、これらの材料(例えば、スプレーして塗布する、もしくは導入する)と関連して使用できる。このような組成物の量は、過度の実験を行うことなしに容易に決定できる。
【0152】
実施例33
本発明の組成物は、同様に、援用する米国特許第6,250,511号に記載のもの等に使用するためのスプレー殺菌剤用途に配合できる。’511号特許には、少なくとも1種類のグリコール化合物を約25%〜約75%、抗菌成分を0.2%〜60%、界面活性剤を約5%〜45%、及び任意に、効果的な量の香料、染料及び他の添加剤(該特許中第3欄)を含む、スプレー瓶に入れた処理溶液が記載されている。例えば、一つ以上の本発明の組成物は、抗菌成分の代替として、又はそれに加える添加剤として、’511号特許の殺菌剤と関連して使用できる。このような組成物の量は、当業者によって過度の実験を行うことなしに容易に決定できる。
【0153】
実施例34
本発明の組成物は、同様に、援用する米国特許第RE40,050号に記載のもの等の、食品及び飲料加工装置を洗浄及び/又は殺菌するために配合できる。’050号再発行出願は二酸化ハロゲン組成物を教示しているが、このような配合物は、本発明の一つ以上の組成物を置換して当業者によって変更できる。このような組成物量は、その量が過度の実験を行うことなしに容易に決定し得、’050号再発行出願に記載の種類の装置及び技術を用いて、このような加工装置に接触又は適用できる(例えば、該再発行出願の第3〜4欄に記載)。
【0154】
実施例35
本発明の組成物は、同様に、援用する米国特許第4,988,576号に記載のもの(及び援用する米国特許第7,449,130号に記載のリグノセルロース系複合物)等の木を保存するために使用するために配合できる。’576号特許は、リグニンスルホン酸塩、ヒドロキシルベンジルアルコールのグラフト共重合体、及び金属塩又は金属塩の混合物を含む防腐剤組成物の溶液、又はリグニンスルホン酸塩のグラフト共重合体の少なくとも1種の金属塩を含む防腐剤組成物の溶液で木を含浸することを教示している。該コポリマーは、リグニンスルホン酸塩及びアクリル単量体の反応生成物である。例えば、一つ以上の本発明の組成物は、木を含浸及び保存するために、単独で、又は’576号特許(又は’130号特許)の実施例1〜4及び1〜2において該特許に教示の防腐剤と組み合わせて、それぞれ記載のように使用できる。このような組成物は、その量を、過度の実験を行うことなしに当業者によって容易に決定できる。
【0155】
実施例36
本発明の組成物は、同様に、援用する米国特許第4,575,891号に記載のもの等の拭き取り布の衛生化及び/又は殺菌用途に配合できる。該特許は、殺菌剤で部分的に飽和されたパッドを教示する。(例えば、第2欄)。’891号特許には、アルコール性溶液、及び他の消毒液等の適宜の殺菌剤が記載されている。例えば、一つ以上の本発明の組成物は、単独で、又はこのような殺菌剤と組み合わせて、及びこのような拭き取り布材料に導入して使用できる。このような組成物は、過度の実験を行うことなしに、当業者によって量を容易に決定し、また導入できる。
【0156】
実施例37
本発明の組成物は、同様に、援用する米国特許第6,187,327号に記載のもの等の手の衛生化ローションに使用するために配合できる。例えば、一つ以上の本発明の組成物は、’327号特許のローションに加えて、及び該ローションと関連して加工して、又は抗菌効果を改良するためローションの活性原料に代えて配合できる。また’327号特許は、その他多数の公知の手指清浄剤(例えば、両性カチオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、湿潤剤、及び非イオン性退行剤(regressing agent)を開示する。いずれにしても、本発明の組成物は、このような手指清浄剤における活性原料の代替として、又はこのような手指清浄剤における活性原料と関連した使用に導入できる。このような組成物は、過度の実験を行うことなしに量を容易に決定できる。
【0157】
実施例38
本発明の組成物は、同様に、援用する米国特許第4,581,238号に記載のもの等の食用種子又は作物種子を処理に使用するために配合できる。該特許は、種子と分散したソルビン酸塩を有する蒸気との接触を教示する(例えば、第2〜5欄)。例えば、該特許に開示された技術及び装置を用いて、一つ以上の本発明の組成物は、揮発し得、又はこのような種子に適用できる。このような組成物は、その量を、過度の実験を行うことなしに当業者によって容易に決定できる。
【0158】
実施例39
本発明の組成物は、同様に、援用する米国特許第4,356,204号に記載のもの等の腐敗生物体の増殖の防止又は抑制に使用するために配合できる。該特許は、食品と効果的な増殖抑制量のケトヘキサン酸とを接触させることを教示する(例えば、第2〜3欄)。一つ以上の本発明の組成物は、単独で、又は腐敗生物体を更に抑制及び/又は死滅させるためにこのようなケトヘキサン酸と共に使用できる。同様に、援用する米国特許第2,711,976号は、カスタード食品の腐敗生物体及びブドウ球菌種への耐性を高めるためのアミノ酸の使用を示唆している。さらに、一つ以上の本発明の組成物は、単独で、又はこのようなアミノ酸と組み合わせて、又はこのようなアミノ酸の代替物として使用できる。同様に、援用する米国特許第2,866,819号は、食品における防腐剤としてのソルビン酸の使用を示唆する。さらに、一つ以上の本発明の組成物は、単独で、又はソルビン酸と組み合わせて、又はソルビン酸の代替物として使用できる。同様に、援用する米国特許第2,910,368号は、野菜の保存寿命を高めるためのEDTAのソルビン酸との使用を開示する。さらに、一つ以上の本発明の組成物は、単独で、又はEDTA及び/又はソルビン酸と組み合わせて使用できる。各例において、このような本発明の組成物は、過度の実験を行うことなしに当業者によって容易に決定される量で使用できる。
【0159】
実施例40
本発明の組成物は、同様に、援用する米国特許第5,273,769号に記載のもの等の果実、種子、穀物、及びマメ科植物を処理するに使用するために配合できる。該特許は、処理すべき品目を容器に入れ、次いで炭酸ガス及びアンモニアを導入することを教示する。例えば、該特許記載の装置及び技術を用いれば(例えば、実施例1〜4)、一つ以上の本発明の組成物を、過度の実験を行うことなしに、当該技術において理解できるように有効に使用できる。
【0160】
実施例41
本発明の組成物は、歯科及び医療用物品/装置及び移植片の処理に使用するために配合できる。後者は、援用する米国特許第6,812,217号に具体的に記載されている。該特許は、移植可能な医療用装置の外表面に適用される抗菌ポリマーフィルムを教示する。例えば、該特許に記載の種類の技術を用いて、また一つ以上の本発明の組成物は、抗菌効果を提供するための装置又は物品(医療用又は歯科用)、又はそれらの上のポリマーフィルム(例えば、第5〜6欄に記載)に付着又は導入できる。このような組成物は、過度の実験を行うことなしに当業者によって量を容易に決定できる。
【0161】
実施例42
本発明の組成物は、援用する米国特許第5,968,207号等の織物の処理に使用するために配合できる。該特許は、拡散又は含浸によって織物繊維又は布地へのトリクロサンエステルの適用を教示する。例えば、一つ以上の本発明の組成物は、単独で、又は人工、天然、又は混合物に関わらず織物又はその繊維の抗菌剤特性を改良するような化合物と組み合わせての使用に配合できる(例えば、’207号特許の第2〜3欄に記載)。このような組成物は、過度の実験を行うことなしに当業者によって量を容易に決定できる。
【0162】
実施例43
本発明の組成物は、援用する米国特許第7,575,744号に記載のもの等の食品加工設備、関連装置及び食料品の表面の処理に配合できる。例えば、該特許に記載の種類の技術及び装置を用い、一つ以上の本発明の組成物は、微生物の活性を減少又は除去させるような広範囲の食品加工施設における装置及び食品素材表面に配合、及び付着できる。このような設備/装置は、軽食、鶏肉、柑橘類、ピーナッツ及び関連食品の加工設備/装置を含むが、それらに限定されない(例えば、第20欄を参照)。このような組成物は、過度の実験を行うことなしに当業者によって容易に決定される量で採用できる。
【0163】
実施例44
本発明の組成物は、同様に、家畜(farm animals)及び獣畜(livestock)における微生物関連の疾病(つまり、乳腺炎、蹄、口等)の治療に使用するため、及び援用する米国特許第7,192,575号に記載のもの等の作物、植物、穀物、及び他の食料品における微生物の増殖を抑制するために配合できる。該特許は、クローブ花蕾油(clove bud oil)、ユーカリ油、イングリッシュラベンダー油、ティートリー及びオレンジ油を含む組成物の適用を教示する。例えば、一つ以上の本発明の組成物は、単独で、又は’575号特許のもの(例えば、実施例1〜2)と組み合わせて使用に配合できる。このような組成物は、過度の実験を行うことなしに当業者によって量を容易に決定できる。
【0164】
実施例45
本発明の組成物は、同様に、援用する米国特許第6,156,362号に記載のもの等の、ドレッシング、ソース、マリネード、調味料、スプレッド、バター、マーガリン、酪農系食品等の食料品を微生物腐敗から保護するための使用に配合できる。該特許は、抗菌成分の組み合わせを教示する。一つ以上の本発明の組成物は、単独で、又は’362号特許の成分のうち一つ以上と組み合わせての使用に配合できる(例えば、実施例1〜4)。このような組成物又は過度の実験を行うことなしに当業者によって量を容易に決定できる。
【0165】
実施例46
本発明の組成物は、援用する米国特許第7,659,326号に記載のものや、該特許に引用された典拠(例えば、Kirk−Othmer−Paint;pp.10461049,Vol.17;1996,Arthur A.Leman、その開示もまた参照することによって、その全体を本明細書に援用する)等の広範囲の水系及び有機系塗料、染色剤(stains)及び関連表面被膜と共に導入のため配合できる。例えば、一つ以上の本発明の組成物は、単独で、又は’326号特許の詳細な説明及び実施例1及び3に記載の別の抗菌成分と組み合わせての使用に配合できる。このような組成物は、その量を、過度の実験を行うことなしに当業者によって容易に決定される。
【0166】
実施例47
本発明の組成物は、同様に、援用する米国特許第6,231,845号に記載のもの等のひげ剃り後用の製品への使用又は導入に配合できる。例えば、一つ以上の本発明の組成物は、先行技術の、ひげ剃り後用の製品に抗菌効果を提供するための’845号特許の実施例1〜6に記載の種類の成分と関連して使用できる。このような組成物は、過度の実験を行うことなしに当業者によって容易に決定される量で存在できる。
【0167】
実施例48
本発明の組成物は、同様に、援用する米国特許第7,507,429号に記載のもの等の屠殺体、肉又は肉製品(例えば、ほ乳類、鳥類、魚類、二枚貝類、甲殻類及び/又はその他の海産食品、及び他の食用種の形態のもの)の処置用の製品への使用又は導入に配合できる。例えば、一つ以上の本発明の組成物単独で、又は別の抗菌成分と組み合わせて、’429号特許に記載の種類の製品に導入して使用するため配合できる。このような組成物は、過度の実験を行うことなしに当業者によって容易に決定される量で存在できる。また、対応する製品は、’429号特許に記載の技術及び装置を用いて、又は本発明を知るに至った当業者によって理解できるように適用又は使用できる。(例えば、’429号特許の詳細な説明の肉加工、スプレー、浸漬及び処理、及び組成物及び成分の項目を参照)
【0168】
実施例49
本発明の組成物は、食品製品用の材料(例えば、被膜又はその他の賦形(incorporation)用の材料)への使用又は導入にも配合できる。このような製品は、軽食食品、シリアル食品及び他の食品成分を含むが、それらに限定されない。このような軽食及びシリアル食品及び材料は、援用する米国特許第7,163,708号に記載の種類のものである。このような材料が適用できる方法について、限定はしないが、一つ以上の本発明の組成物は、単独で、又は’708特許の食品製品及び被膜材料の詳細な説明に記載の材料の抗菌又は防腐剤成分の一つ以上と関連して使用できる。このため、当業者には理解できるように、このような組成物は、過度の実験を行うことなしに容易に決定される量で存在できる。
【0169】
実施例50
本発明の組成物は、援用する米国特許第7,498,050号に記載のもの等の、ピーナッツバター組成物を含むが、それらに限定されない、種々の食用スプレッド組成物に導入するため配合できる。例えば、当業者には理解できるように、一つ以上の本発明の組成物は、’050号特許の実施例1〜2に記載されるような、抗菌効果を提供又は高める食用スプレッド製品と関連して使用できる。このような組成物は、過度の実験を行うことなしに容易に決定される量で存在できる。
【0170】
実施例51
本発明の組成物は、援用する米国特許第6,720,450号に記載のもの等の広範囲の害虫防除組成物に導入するため配合できる(例えば、詳細な説明の項目2〜3)。例えば、一つ以上の本発明の組成物は、単独で、又は’450号特許に記載のもの等の、別の抗殺虫成分(antipesticidal component)と組み合わせて使用するため配合できる。同様に、一つ以上の本発明の組成物は、種々の種類の蚊、及び農作物の害虫を含むが、それらに限定されない、種々の吸血昆虫に対して使用するため、適宜の担体成分に、該特許に記載のように配合できる。本組成物は、該特許に記載のように、幼虫、さなぎ及び/又は成体形を含む、蚊の直接接触、阻害及び/又は除去のために使用できる。もしくは、本組成物は、忌避作用のために使用及び/又は配合できる。いずれにしても、このような組成物は、過度の実験を行うことなしに当業者によって容易に決定される量で存在し得、また任意に界面活性剤成分を含んでいても良い。このような界面活性剤は、生物系界面活性剤であってもよい。限定はしないが、このような生物系界面活性剤は、モノラムノリピド、ジラムノリピド及びそれらの組合せから選択できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
C2〜約C5の酸成分と;
C2〜約C5のエステル成分と;
ムスコドル・クリスパンスの単離された培養物の揮発性副生成物から単離可能な少なくとも2つのC2〜約C5の成分と
を含み、
前記組成物は、単離され培養されたムスコドル種、その揮発性副生成物、又は前記揮発性副生成物の合成混合物とは異なる病原体活性プロフィールを有する、天然由来の抗菌組成物。
【請求項2】
前記酸成分は、イソ酪酸、プロピオン酸、及びそれらの組合せから選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記エステル成分は、C4酢酸エステル、C5酢酸エステル及びそれらの組合せから選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
M.クリスパンスの揮発性副生成物から単離可能な前記成分を約8〜10個含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物の各前記成分は、M.クリスパンスの揮発性副生成物から単離可能である、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
各前記成分は発酵製品であり、前記発酵は、細菌発酵、酵母発酵及び真菌発酵から選択される、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物の各前記成分は、米国連邦規制の連邦法規類集の第21章により、ヒトが消費しても安全であると一般に認識される、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
ラムノリピド成分を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
C2〜約C5のアルコール、C2〜約C5のケトン、C2〜約C5のアルデヒド、C2〜約C5の酸及びC2〜約C5の酸エステルから選択される約8〜約10個の成分を含み、
各前記成分は、M.クリスパンスの単離された培養物から単離可能であり、
前記組成物は、単離され、培養されたムスコドル種、その揮発性副生成物、又は前記揮発性副生成物の合成混合物の病原体活性プロフィールとは異なる病原体活性プロフィールを有し、
前記組成物の各前記成分は、米国連邦規制の連邦法規類集の第21章により、ヒトが消費しても安全であると一般に認識される、天然由来の抗菌組成物。
【請求項10】
前記単離可能な成分は、イソ酪酸である、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
前記イソ酪酸は、プロピオン酸で少なくとも部分的に置き換えられる、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
前記単離可能な成分は、2−ブタノンである、請求項9記載の組成物。
【請求項13】
前記ブタノンは、酢酸、プロピオン酸又はそれらの組合せで少なくとも部分的に置き換えられる、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
前記単離可能な成分は、エタノールである、請求項9記載の組成物。
【請求項15】
前記エタノールは、酢酸で少なくとも部分的に置き換えられる、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
ラムノリピド成分を含む、請求項9記載の組成物。
【請求項17】
製造品と組み合わせた、請求項9記載の組成物。
【請求項18】
前記製造品は、ヒト用食品、動物用食品、飲料品、包装製品及びパーソナルケア製品から選択される、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
植物基質に適用される、請求項9記載の組成物。
【請求項20】
前記基質は、種子、植物の表面成分、果実及び野菜から選択される、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
前記基質は、収穫前の果実及び野菜から、及び収穫後の果実及び野菜から選択される、請求項20記載の組成物。
【請求項22】
請求項9記載の組成物を提供することと;
微生物ならびに微生物の活性を支持できる基質のうちの少なくとも一方を、前記組成物と接触することと
を含み、
前記組成物は、微生物の活性に影響を与えるのに少なくとも部分的に十分な量である、微生物の活性に影響を与える方法。
【請求項23】
前記基質は、植物表面成分、動物基質及び製造品の基質から選択される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記接触は、前記組成物の直接接触、及び前記組成物の少なくとも部分的気化時から選択される、請求項22記載の方法。
【請求項25】
前記接触は前記微生物との直接接触である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記微生物の活性が除去される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
物品媒体及び物品基質成分のうちの一つと;
請求項1記載の組み合わされた組成物と
を含む製品であって、
前記組合せは、前記媒体内での組合せ、前記基質成分の表面への適用、前記基質成分内での組合せ、及びそれらの組合せから選択され、
前記組成物は、微生物の活性に影響を与えるのに少なくとも部分的に十分な量である、製造品。
【請求項28】
ヒト用食品、動物用食品、飲料品、包装製品、パーソナルケア製品、製品加工装置、医療機器及び歯科用装置から選択される、請求項27記載の物品。
【請求項29】
前記ヒト用食品は肉及び肉製品から選択され、前記組成物は、前記基質成分の表面に適用される、請求項28の物品。
【請求項30】
前記動物用食品はペット食品であり、前記組成物は前記基質成分の表面に適用される、請求項28の物品。
【請求項31】
前記飲料品は果実飲料であり、前記組成物は前記飲料媒体内に導入される、請求項28の物品。
【請求項32】
前記包装製品はフィルムであり、前記組成物は、前記基質成分の表面への適用、及び前記基質成分内への導入のうちの少なくとも一方である、請求項28の物品。
【請求項33】
前記パーソナルケア製品は皮膚ローションであって、前記組成物は前記ローション媒体内に導入される、請求項28記載の物品。
【請求項34】
前記加工装置はヒト用食品加工用装置であって、前記組成物は前記基質成分の表面に適用される、請求項28記載の物品。
【請求項35】
前記装置は、医療用及び歯科用器具及び医療用及び歯科用移植片から選択され、前記組成物は、前記基質成分の表面に適用される、請求項28記載の物品。
【請求項36】
前記組成物は植物基質に適用される、請求項1記載の組成物。
【請求項37】
前記基質は農作物用の種子から選択される、請求項36記載の組成物。
【請求項38】
前記基質は植物の茎及び群葉から選択される、請求項36記載の方法。
【請求項39】
前記基質は、収穫前の果実、野菜及びナッツ類、及び収穫後の果実、野菜及びナッツ類から選択される、請求項36記載の組成物。
【請求項40】
前記基質は、柑橘類果実、ポテト及びピーナッツから選択される、請求項39記載の組成物。
【請求項41】
C2〜約C5の酸成分と;
C2〜約C5のエステル成分と;
ムスコドル・クリスパンスの単離された培養物の揮発性副生成物から単離可能な少なくとも2つのC2〜約C5の成分と
を含み、前記組成物は、単離され培養されたムスコドル種又はその揮発性副生成物とは異なる病原体活性プロフィールを有する、合成の非天然由来の抗菌組成物。
【請求項42】
前記酸成分は、イソ酪酸、プロピオン酸及びそれらの組合せから選択される、請求項41記載の組成物。
【請求項43】
前記エステル成分は、C4の酢酸エステル、C5の酢酸エステル及びそれらの組合せから選択される、請求項41記載の組成物。
【請求項44】
M.クリスパンスの揮発性副生成物から単離可能な前記成分を、約8〜約10個含む、請求項41記載の組成物。
【請求項45】
前記組成物の各前記成分は、M.クリスパンスの揮発性副生成物から単離可能な、請求項44記載の組成物。
【請求項46】
前記組成物の各前記成分は、米国連邦規制の連邦法規類集の第21章により、ヒトが消費しても安全であると一般に認識される、請求項41記載の組成物。
【請求項47】
ラムノリピド成分を含む、請求項41記載の組成物。
【請求項48】
ムスコドル・クリスパンス株の生物学的純粋培養物。
【請求項49】
M.クリスパンス株の生物学的純粋培養物と、前記株の揮発性副生成物と、それらの組合せと;
担体成分と
を含む組成物。
【請求項50】
微生物の活性を支持できる基質又は媒体と接触する、請求項49記載の組成物。
【請求項1】
C2〜約C5の酸成分と;
C2〜約C5のエステル成分と;
ムスコドル・クリスパンスの単離された培養物の揮発性副生成物から単離可能な少なくとも2つのC2〜約C5の成分と
を含み、
前記組成物は、単離され培養されたムスコドル種、その揮発性副生成物、又は前記揮発性副生成物の合成混合物とは異なる病原体活性プロフィールを有する、天然由来の抗菌組成物。
【請求項2】
前記酸成分は、イソ酪酸、プロピオン酸、及びそれらの組合せから選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記エステル成分は、C4酢酸エステル、C5酢酸エステル及びそれらの組合せから選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
M.クリスパンスの揮発性副生成物から単離可能な前記成分を約8〜10個含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物の各前記成分は、M.クリスパンスの揮発性副生成物から単離可能である、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
各前記成分は発酵製品であり、前記発酵は、細菌発酵、酵母発酵及び真菌発酵から選択される、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物の各前記成分は、米国連邦規制の連邦法規類集の第21章により、ヒトが消費しても安全であると一般に認識される、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
ラムノリピド成分を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
C2〜約C5のアルコール、C2〜約C5のケトン、C2〜約C5のアルデヒド、C2〜約C5の酸及びC2〜約C5の酸エステルから選択される約8〜約10個の成分を含み、
各前記成分は、M.クリスパンスの単離された培養物から単離可能であり、
前記組成物は、単離され、培養されたムスコドル種、その揮発性副生成物、又は前記揮発性副生成物の合成混合物の病原体活性プロフィールとは異なる病原体活性プロフィールを有し、
前記組成物の各前記成分は、米国連邦規制の連邦法規類集の第21章により、ヒトが消費しても安全であると一般に認識される、天然由来の抗菌組成物。
【請求項10】
前記単離可能な成分は、イソ酪酸である、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
前記イソ酪酸は、プロピオン酸で少なくとも部分的に置き換えられる、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
前記単離可能な成分は、2−ブタノンである、請求項9記載の組成物。
【請求項13】
前記ブタノンは、酢酸、プロピオン酸又はそれらの組合せで少なくとも部分的に置き換えられる、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
前記単離可能な成分は、エタノールである、請求項9記載の組成物。
【請求項15】
前記エタノールは、酢酸で少なくとも部分的に置き換えられる、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
ラムノリピド成分を含む、請求項9記載の組成物。
【請求項17】
製造品と組み合わせた、請求項9記載の組成物。
【請求項18】
前記製造品は、ヒト用食品、動物用食品、飲料品、包装製品及びパーソナルケア製品から選択される、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
植物基質に適用される、請求項9記載の組成物。
【請求項20】
前記基質は、種子、植物の表面成分、果実及び野菜から選択される、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
前記基質は、収穫前の果実及び野菜から、及び収穫後の果実及び野菜から選択される、請求項20記載の組成物。
【請求項22】
請求項9記載の組成物を提供することと;
微生物ならびに微生物の活性を支持できる基質のうちの少なくとも一方を、前記組成物と接触することと
を含み、
前記組成物は、微生物の活性に影響を与えるのに少なくとも部分的に十分な量である、微生物の活性に影響を与える方法。
【請求項23】
前記基質は、植物表面成分、動物基質及び製造品の基質から選択される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記接触は、前記組成物の直接接触、及び前記組成物の少なくとも部分的気化時から選択される、請求項22記載の方法。
【請求項25】
前記接触は前記微生物との直接接触である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記微生物の活性が除去される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
物品媒体及び物品基質成分のうちの一つと;
請求項1記載の組み合わされた組成物と
を含む製品であって、
前記組合せは、前記媒体内での組合せ、前記基質成分の表面への適用、前記基質成分内での組合せ、及びそれらの組合せから選択され、
前記組成物は、微生物の活性に影響を与えるのに少なくとも部分的に十分な量である、製造品。
【請求項28】
ヒト用食品、動物用食品、飲料品、包装製品、パーソナルケア製品、製品加工装置、医療機器及び歯科用装置から選択される、請求項27記載の物品。
【請求項29】
前記ヒト用食品は肉及び肉製品から選択され、前記組成物は、前記基質成分の表面に適用される、請求項28の物品。
【請求項30】
前記動物用食品はペット食品であり、前記組成物は前記基質成分の表面に適用される、請求項28の物品。
【請求項31】
前記飲料品は果実飲料であり、前記組成物は前記飲料媒体内に導入される、請求項28の物品。
【請求項32】
前記包装製品はフィルムであり、前記組成物は、前記基質成分の表面への適用、及び前記基質成分内への導入のうちの少なくとも一方である、請求項28の物品。
【請求項33】
前記パーソナルケア製品は皮膚ローションであって、前記組成物は前記ローション媒体内に導入される、請求項28記載の物品。
【請求項34】
前記加工装置はヒト用食品加工用装置であって、前記組成物は前記基質成分の表面に適用される、請求項28記載の物品。
【請求項35】
前記装置は、医療用及び歯科用器具及び医療用及び歯科用移植片から選択され、前記組成物は、前記基質成分の表面に適用される、請求項28記載の物品。
【請求項36】
前記組成物は植物基質に適用される、請求項1記載の組成物。
【請求項37】
前記基質は農作物用の種子から選択される、請求項36記載の組成物。
【請求項38】
前記基質は植物の茎及び群葉から選択される、請求項36記載の方法。
【請求項39】
前記基質は、収穫前の果実、野菜及びナッツ類、及び収穫後の果実、野菜及びナッツ類から選択される、請求項36記載の組成物。
【請求項40】
前記基質は、柑橘類果実、ポテト及びピーナッツから選択される、請求項39記載の組成物。
【請求項41】
C2〜約C5の酸成分と;
C2〜約C5のエステル成分と;
ムスコドル・クリスパンスの単離された培養物の揮発性副生成物から単離可能な少なくとも2つのC2〜約C5の成分と
を含み、前記組成物は、単離され培養されたムスコドル種又はその揮発性副生成物とは異なる病原体活性プロフィールを有する、合成の非天然由来の抗菌組成物。
【請求項42】
前記酸成分は、イソ酪酸、プロピオン酸及びそれらの組合せから選択される、請求項41記載の組成物。
【請求項43】
前記エステル成分は、C4の酢酸エステル、C5の酢酸エステル及びそれらの組合せから選択される、請求項41記載の組成物。
【請求項44】
M.クリスパンスの揮発性副生成物から単離可能な前記成分を、約8〜約10個含む、請求項41記載の組成物。
【請求項45】
前記組成物の各前記成分は、M.クリスパンスの揮発性副生成物から単離可能な、請求項44記載の組成物。
【請求項46】
前記組成物の各前記成分は、米国連邦規制の連邦法規類集の第21章により、ヒトが消費しても安全であると一般に認識される、請求項41記載の組成物。
【請求項47】
ラムノリピド成分を含む、請求項41記載の組成物。
【請求項48】
ムスコドル・クリスパンス株の生物学的純粋培養物。
【請求項49】
M.クリスパンス株の生物学的純粋培養物と、前記株の揮発性副生成物と、それらの組合せと;
担体成分と
を含む組成物。
【請求項50】
微生物の活性を支持できる基質又は媒体と接触する、請求項49記載の組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2012−525394(P2012−525394A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508594(P2012−508594)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/032587
【国際公開番号】WO2010/129285
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(511261329)ジェニール バイオサーファクタント カンパニー,リミテッド ライアビリティ カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】JENEIL BIOSURFACTANT COMPANY,LLC
【住所又は居所原語表記】400 North Dekora Woods Boulevard,Saukville,WI 53080 United States of America
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/032587
【国際公開番号】WO2010/129285
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(511261329)ジェニール バイオサーファクタント カンパニー,リミテッド ライアビリティ カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】JENEIL BIOSURFACTANT COMPANY,LLC
【住所又は居所原語表記】400 North Dekora Woods Boulevard,Saukville,WI 53080 United States of America
【Fターム(参考)】
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