説明

抗血栓作用を有するマロンアミド誘導体

本発明は、式I
【化1】


の化合物に関する。式Iの化合物は、価値ある薬理活性化合物である。これらは強力な抗血栓効果を示し、例えば血栓塞栓症又は再狭窄のような心臓血管秒の治療及び予防に適している。これらは血液凝固酵素、特に第VIIa因子の阻害剤であり、そして一般に第VIIa因子の望ましくない活性が存在する状態において、又は第VIIa因子の阻害が意図される治療若しくは予防のために利用することができる。本発明はさらに、式Iの化合物の製造方法、特に薬剤中の活性成分としてのそれらの使用、及びそれらを含む医薬製剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式I
【化1】

[式中、D1、D2、X及びYは以下に示される意味を有する]
の化合物に関する。式Iの化合物は、有益な薬理活性化合物である。これらは強力な抗血栓効果を示し、そして例えば、血栓塞栓性疾患又は再狭窄のような心臓血管障害の治療及び予防に適している。これらは血液凝固(blood clotting)酵素、特に第VIIa因子の阻害剤であり、そして一般に、第VIIa因子の望ましくない活性が存在する状態において、又は第VIIa因子の阻害が意図される治療若しくは予防のために利用することができる。本発明はさらに、式Iの化合物の製造方法、それらの使用、特に薬剤中の活性成分としての使用、並びにそれらを含む医薬品に関する
【背景技術】
【0002】
正常な止血は、凝血開始、形成及び凝血塊(clot)分解の過程の間の複雑な均衡の結果である。血液細胞、特定の血漿たんぱく質及び血管表面の間の複雑な相互作用は、外傷及び血液損失が起きなければ血液の流動性を維持する(特許文献1)。多くの重大な疾患状態は、異常な止血に関連する。例えば、動脈硬化性プラークの破壊に起因する局所的な血栓形成は、心筋梗塞及び不安定狭心症の要因である。血栓溶解療法又は経皮血管形成術のいずれかによる冠動脈内血栓性閉塞の処置は、罹患した血管の急性血栓溶解性再閉塞を伴い得る。
【0003】
血栓形成を制限又は予防するための安全で効果的な抗凝固剤の必要性が存在し続けている。トロンビンを直接的に阻害することなく、第VIIa因子活性のような凝固カスケードの他の段階を阻害することにより凝固を阻害する薬剤を開発することが最も望ましい。ヒヒ及びイヌにおける前臨床研究により、凝固カスケードの初期段階で含まれる標的酵素(例えば第Xa因子又は第VIIa因子)が、直接トロンビン阻害剤で観察される出欠副作用を生じることなく凝血塊形成を防止することが示された(非特許文献1)。第VIIa因子/組織因子活性の阻害がバルーン血管形成術後の再狭窄を阻害することを示唆する実験的証拠も存在する(非特許文献2)。
【0004】
良好な特性プロフィールを有する第VIIa因子の特定の阻害剤は、医療活動において重要な実質的な価値を有するだろう。特に、第VIIa因子阻害剤は、ヘパリン及び関連する硫酸化多糖類のような一般に好まれる現在の薬物が効果がないか又はわずかな効果しかない状況下で有効だろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】EP−A−987274
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】L. A. Harker et al.、Thromb. Hemostas. 74 (1995) 464
【非特許文献2】L. A. Harker et al.、Haemostasis 26 (1996) S1:76
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
第VIIa因子の特定の阻害剤は既に、第VIIa因子を阻害する化合物を開示するWO02/28823に記載されている。しかし、これらの化合物の特性プロフィールは、まだ理想的ではなく、特に改善された活性を有するさらなる低分子量の第VIIa因子特異的血液凝固阻害剤の必要性が存在する。本発明は、式I及びIaの新規な化合物を提供することにより上記必要性を満たし、これら化合物は第VIIa因子阻害活性を示し、そしてより良好な選択性及び高い活性を有する有益な薬剤である。特に、X、Y及びZの組み合わせにおけるマロンアミドとフェニル残基との間のメチル残基の組み合わせは、高い選択性及び活性を有する化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本発明は、全てのその立体異性体形態及び任意の比のそれらの混合物である、式I
【化2】

〔式中、
T1およびT2は互いに独立して、非置換であるかまたはR12で置換される炭素原子、および窒素原子からなる群より選択され、
D1及びD2は互いに独立して、
1) 水素原子、
2) −C(O)−(C1−C6)−アルキル、
3) −C(O)−(C0−C6)−アルキレン−アリール、
4) −C(O)−O−(C1−C6)−アルキルまたは
5) −C(O)−O−(C0−C6)−アルキレン−アリール、
6) −C(O)−O−(C1−C6)−アルキレン−O−C(O)−(C1−C6)−アルキルであり、
D2が
1) −OH、
2) −O−C(O)−(C1−C6)−アルキルまたは
3) −O−C(O)−(C0−C6)−アルキレン−アリール、
4) −C(O)−O−(C1−C6)−アルキレン−O−C(O)−(C1−C6)−アルキルである場合、D1は水素原子であり、
R1及びR2は互いに独立して、
1) 水素原子、
2) −OHまたは
3) −(C0−C6)−アルキレン−T−(C0−C6)−アルキレン−Wであり、
ここでTは酸素原子、硫黄原子、−SO2−または−N(R17)−であり、
R17は水素原子または−(C1−C6)−アルキルであり、ここでアルキルは非置換であるかまたは互いに独立してR13で一置換、二置換、三置換もしくは四置換され、
Wは水素原子またはアリールであり、ここでアリールは非置換であるかまたは互いに独立してR13で一置換、二置換、三置換もしくは四置換され、
R7、R8、R12、R14、R15及びR16は互いに独立して、
1) 水素原子、
2) −(C1−C6)−アルキル、
3) −OH、
4) −O−(C1−C6)−アルキル、
5) ハロゲン又は
6) −NH2であり、
Xは1) ハロゲン、
2) −(C1−C3)−ペルフルオロアルキル,
3) −O−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、
4) −S(O)n−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、[ここでnは整数1又は2である]、
5) −(C0−C4)−アルキレン−アリール、[ここでアリールは非置換であるか又は互いに独立してR13で一置換、二置換、三置換もしくは四置換され、
ここでR13はハロゲン、−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、−(C1−C4)−アルキル、−(C0−C6)−アルキレン−O−R6、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−R6、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、−O−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、−S(O)r−(C1−C4)−アルキル、[ここでrは整数1又は2である]又は−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C7)−シクロアルキルであり、
ここでR6は水素原子又は−(C1−C6)−アルキルである]、
6) −(C0−C4)−アルキレン−Het、[ここでHetは1、2又は3つの環からなる複素環であり、ここで4〜15個の環炭素原子のうち1個又はそれ以上は、窒素、酸素又は硫黄の群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で置き換えられており、そしてここでHetは非置換であるか又は互いに独立してR5で一置換、二置換、三置換もしくは四置換され、ここでR5は、−(C1−C4)−アルキル、ハロゲン、=O、−(C0−C6)−アルキレン−O−R6、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−R6、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C7)−シクロアルキル、又は−(C0−C4)−アルキレン−アリールであり、ここでアリールは非置換であるか又は互いに独立してR13で一置換、二置換、三置換もしくは四置換される]、若しくは
7) 水素原子であり、
Yは、1) −N(R4)−、[ここでR4は水素原子又は−(C1−C6)−アルキルである]、
2) −C(O)−、
3) −C(O)−N(R4)−、
4) −N(R4)−C(O)−、
5) −O−、
6) −S(O)n−、[ここでnは整数0、1又は2である]、若しくは
7) −S(O)m−N(R4)−、[ここでmは整数0、1又は2である]であり、
Zは、1) −(C0−C4)−アルキレン−Het、[ここでHetは非置換であるか又は互いに独立してR5で一置換、二置換、三置換もしくは四置換される]、
2) −(C1−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、
3) −(C1−C6)−アルキレン−O−R9、
[ここでR9は水素原子又は−(C1−C6)−アルキルである]、
4) −(C1−C6)−アルキレン−N(R10)−R11、
[ここでR10及びR11は互いに独立して水素原子、−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−R6、−(C0−C4)−アルキレン−O−R6又は−(C1−C6)−アルキルである]、
5) −(C0−C4)−アルキレン−C(O)−R6、
6) −(C2−C6)−アルキニル、
7) −(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、
8) −(C0−C4)−アルキレン−(C3−C7)−シクロアルキル−R5,
9) −(C1−C4)−アルキレン−アリール、[ここでアリールは非置換であるか又は互いに独立してR13で一置換、二置換、三置換もしくは四置換される]、
10) フェニル、[ここでフェニルは互いに独立して−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C7)−シクロアルキル、=O、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、−(C1−C6)−アルキレン−O−R6又は−S(O)s−(C1−C3)−アルキル、[ここでsは整数0、1又は2である]で一置換、二置換、三置換もしくは四置換される]、
11) −S(O)r−(C1−C3)−アルキル、[ここでrは整数0、1又は2であり、ただしYは−N(R4)−である]、若しくは
12) −(C1−C3)−ペルフルオロアルキルであるか、又は
Y及びZは一緒になって水素原子であり、かつXが
1) −(C1−C3)−アルキル−CN、
2) −(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、
3) −O−(C1−C3)−、
4) −S(O)m−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、[ここでmは整数1又は2である]、
5) −(C0−C4)−アルキレン−Het、[ここでHetは互いに独立してアリールで一置換、二置換、三置換又は四置換される]、若しくは
6) −N(R3)−S(O)pで置換されたフェニル、[ここでR3は水素原子又は−(C1−C6)−アルキルであり、そしてpは整数1又は2である]である〕
の化合物、及びその生理学的に許容しうる塩に関する。
【0009】
2) 本発明はまた、全てのその立体異性体形態及び任意の比のそれらの混合物である、式Ia、
【化3】

〔式中、
D1及びD2はそれぞれ水素原子であり、
Xは、1) フッ素、塩素、臭素及びヨウ素の群から選択されるハロゲン、
2) −(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、
3) −O−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、
4) −S(O)n−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、[ここでnは整数1又は2である]、
5) −(C0−C4)−アルキレン−アリール、[ここでアリールは、非置換であるか又は互いに独立してR13で一置換、二置換、三置換もしくは四置換される、フェニル、ナフチル、ビフェニリル、アントリル又はフルオレニルの群から選択され、
ここでR13はハロゲン、−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、−(C1−C4)−アルキル、−(C0−C6)−アルキレン−O−R6、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−R6、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、−O−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、−S(O)r−(C1−C4)−アルキル、[ここでrは整数1又は2である]又は−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C7)−シクロアルキルであり、
ここでR6は水素原子又は−(C1−C6)−アルキルである]、
6) −(C0−C4)−アルキレン−Het、[ここでHetは、アクリジニル、アザインドール(1H−ピロロピリジニル)、アザベンゾイミダゾリル、アザスピロデカニル、アゼピニル、アゼチジニル、アジリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル(decahydrochinolinyl)、4,5−ジヒドロオキサゾリニル、ジオキサゾリル、ジオキサジニル、1,3−ジオキソラニル、1,3−ジオキソレニル、3,3−ジオキソ[1,3,4]オキサチアジニル、6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]−テトラヒドロフラニル、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インダニル、1H−インダゾリル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、2−イソオキサゾリニル、ケトピペラジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2−オキサ−チエパニル、1,2−オキサチオラニル、1,4−オキサゼパニル、1,4−オキサゼピニル、1,2−オキサジニル、1,3−オキサジニル、1,4−オキサジニル、オキサゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリル、オキセタニル、オキソカニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾリル、ピリドイミダゾリル、ピリドチアゾリル、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリジノニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラジニル、テトラゾリル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、1,2−チアジニル、1,3−チアジニル、1,4−チアジニル、1,3−チアゾリル、チアゾリル、チアゾリジニル、チアゾリニル、チエニル、チエタニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チエタニル、チオモルホリニル、チオフェノリル、チオフェニル、チオピラニル、1,2,3−トリアジニル、1,2,4−トリアジニル、1,3,5−トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル及びキサンテニルの群から選択され、そしてここでHetは非置換であるか又は互いに独立してR5で一置換、二置換、三置換もしくは四置換され、ここでR5は−(C1−C4)−アルキル、ハロゲン、=O、−(C0−C6)−アルキレン−O−R6、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−R6、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C7)−シクロアルキル、又は−(C0−C4)−アルキレン−アリールであり、ここでアリールは非置換であるか又は互いに独立してR13で一置換、二置換、三置換もしくは四置換される]、若しくは
7) 水素原子であり、
Yは、1) −N(R4)−、[ここでR4は水素原子又は−(C1−C6)−アルキルである]、
2) −C(O)−、
3) −C(O)−N(R4)−、
4) −N(R4)−C(O)−、
5) −O−、
6) −S(O)n−、[ここでnは整数0、1又は2である]、若しくは
7) −S(O)m−N(R4)−、[ここでmは整数0、1又は2である]であり、
Zは、1) −(C0−C4)−アルキレン−Het、[ここでHetは非置換であるか又は互いに独立してR5で一置換、二置換、三置換もしくは四置換される]、
2) −(C1−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、
3) −(C1−C6)−アルキレン−O−R9、
[ここでR9は水素原子又は−(C1−C6)−アルキルである]、
4) −(C1−C6)−アルキレン−N(R10)−R11、[ここでR10及びR11は互いに独立して、水素原子、−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−R6、−(C0−C4)−アルキレン−O−R6又は−(C1−C6)−アルキルである]、
5) −(C0−C4)−アルキレン−C(O)−R6、
6) −(C2−C6)−アルキニル、
7) −(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、
8) −(C0−C4)−アルキレン−(C3−C7)−シクロアルキル−R5、
9) −(C1−C4)−アルキレン−アリール、[ここでアリールは上で定義されたとおりであり、そして非置換であるか又は互いに独立してR13で一置換、二置換、三置換もしくは四置換される]、
10) フェニル、[ここでフェニルは互いに独立して−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C7)−シクロアルキル、=O、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、−(C1−C6)−アルキレン−O−R6又は−S(O)s−(C1−C3)−アルキルで一置換、二置換、三置換又は四置換され、ここでsは整数0、1又は2である]、
11) −S(O)r−(C1−C3)−アルキル、[ここでrは整数0、1又は2であり、ただしYは−N(R4)−である]、若しくは
12) −(C1−C3)−ペルフルオロアルキルであるか、又は
Y及びZは一緒になって水素原子であり、かつXは
1) −(C1−C3)−アルキル−CN、
2) −(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、
3) −O−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、
4) −S(O)m−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、[ここでmは整数1又は2である]、
5) −(C0−C4)−アルキレン−Het、[ここでHetは互いに独立してアリールで一置換、二置換、三置換、又は四置換され、ここでアリールはフェニル、ナフチル、ビフェニリル、アントリル又はフルオレニルの群から選択される]、若しくは
6) −N(R3)−S(O)pで置換されたフェニル、[ここでR3は水素原子又は−(C1−C6)−アルキルであり、そしてpは整数1又は2である]である〕
の化合物、及びその生理学的に許容しうる塩に関する。
【0010】
3) 本発明はまた、全てのその立体異性体形態及び任意の比のそれらの混合物である、式中、
D1及びD2はそれぞれ水素原子であり、
Xは、1) 塩素、臭素若しくはフッ素、
2) −(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、
3) −O−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、
4) −S(O)n−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、[ここでnは整数1又は2である]、
5) −(C0−C4)−アルキレン−フェニル、[ここでフェニルは非置換であるか又は互いに独立してR13で一置換、二置換、三置換もしくは四置換され、
ここでR13は塩素、臭素、フッ素、−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、−(C1−C4)−アルキル、−(C0−C6)−アルキレン−O−R6、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−R6、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、−O−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、−S(O)r−(C1−C4)−アルキル、[ここでrは整数1又は2である];又は−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C7)−シクロアルキルであり、
ここでR6は水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである]、
6) −(C0−C4)−アルキレン−Het、[ここでHetは、アクリジニル、アザインドール(1H−ピロロピリジニル)、アザベンゾイミダゾリル、アザスピロデカニル、アゼピニル、アゼチジニル、アジリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル(decahydrochinolinyl)、4,5−ジヒドロオキサゾリニル、ジオキサゾリル、ジオキサジニル、1,3−ジオキソラニル、1,3−ジオキソレニル、3,3−ジオキソ[1,3,4]オキサチアジニル、6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]−テトラヒドロフラニル、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インダニル、1H−インダゾリル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、2−イソオキサゾリニル、ケトピペラジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2−オキサ−チエパニル、1,2−オキサチオラニル、1,4−オキサゼパニル、1,4−オキサゼピニル、1,2−オキサジニル、1,3−オキサジニル、1,4−オキサジニル、オキサゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリル、オキセタニル、オキソカニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾリル、ピリドイミダゾリル、ピリドチアゾリル、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリジノニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラジニル、テトラゾリル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、1,2−チアジニル、1,3−チアジニル、1,4−チアジニル、1,3−チアゾリル、チアゾリル、チアゾリジニル、チアゾリニル、チエニル、チエタニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チエタニル、チオモルホリニル、チオフェノリル、チオフェニル、チオピラニル、1,2,3−トリアジニル、1,2,4−トリアジニル、1,3,5−トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル及びキサンテニルの群から選択され、そしてここでHetは非置換であるか又は互いに独立してR5で一置換、二置換、三置換もしくは四置換され、
ここでR5は−(C1−C4)−アルキル、塩素、臭素、フッ素、=O、−(C0−C6)−アルキレン−O−R6、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−R6、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C7)−シクロアルキル、又は−(C0−C4)−アルキレン−フェニルであり、ここでフェニルは非置換であるか互いに独立してR13で一置換、二置換、三置換もしくは四置換される]であり、
Yは、1) −N(R4)−、[ここでR4は水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである]、
2) −C(O)−、
3) −C(O)−N(R4)−、
4) −N(R4)−C(O)−、
5) −O−、
6) −S(O)n−、[ここでnは整数0、1又は2である]、又は
7) −S(O)m−N(R4)−、[ここでmは整数0、1又は2である]であり、
Zは、1) −(C0−C4)−アルキレン−Het、[ここでHetは上で定義されたとおりであり、そしてここでHetは非置換であるか又は互いに独立してR5で一置換、二置換、三置換もしくは四置換される]、
2) −(C1−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、
3) −(C1−C6)−アルキレン−O−R9、
[ここでR9は水素原子又は−(C1−C6)−アルキルである]、
4) −(C1−C6)−アルキレン−N(R10)−R11、[ここでR10及びR11は互いに独立して水素原子、−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−R6、−(C0−C4)−アルキレン−O−R6又は−(C1−C6)−アルキルである]、
5) −(C0−C4)−アルキレン−C(O)−R6、
6) −(C0−C4)−アルキレン−(C3−C7)−シクロアルキル−R5、又は
7) −(C0−C4)−アルキレン−アリール、[ここでアリールは、フェニル、ナフチル、ビフェニリル、アントリル又はフルオレニルの群から選択され、そしてここでアリールは互いに独立してR13で一置換、二置換、三置換もしくは四置換され、
ここでR13は−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C7)−シクロアルキル、=O、−(C1−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6又は−(C1−C4)−アルキレン−O−R6である]である、
式Iaの化合物、及びその生理学的に許容しうる塩に関する。
【0011】
4) 本発明はまた、全てのその立体異性体形態及び任意の比のそれらの混合物である、式中
D1及びD2はそれぞれ水素原子であり、
Xは、1) 塩素、臭素若しくはフッ素、
2) −CF3
3) −O−CF3
4) −O−CH2−CHF2
5) −O−CH2−CH2−CH2F、
6) −O−CH2−CF3
7) フェニル、[ここでフェニルは非置換であるか又は互いに独立してR13で一置換若しくは二置換され、
ここでR13は塩素、臭素、フッ素、−O−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、−O−R6、−C(O)−O−R6又は−S(O)2−(C1−C2)−アルキルであり、
ここでR6は水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである]、又は
8) Het1、[ここでHet1は、ピリジン、ピリミジン、チアゾール又はチエニルの群から選択され、ここでHetは非置換であるか又は塩素、臭素、フッ素若しくは−C(O)−O−R6で置換される]であり、
Yは、1) −N(R4)−、[ここでR4は水素原子又はメチルである]、
2) −C(O)−、
3) −C(O)−N(R4)−、
4) −NH−C(O)−、
5) −O−、
6) −S(O)−、
7) −S(O)2−、又は
8) −S(O)2−N(R4)−であり、
Zは、1) −(C0−C3)−アルキレン−Het、[ここでHetは、1,3−ジオキソラニル、フラニル、モルホリニル、[1,4]−オキサゼパニル、オキセタニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリル、チエニルの群から選択され、そしてここでHetは非置換であるかまたは互いに独立してR5で一置換、二置換若しくは三置換され、
ここでR5は水素原子、−(C1−C2)−アルキル、−シクロプロピル、=O、フェニル、フッ素、−(C0−C2)−アルキレン−C(O)−O−R6、−O−R6、C(O)−R6、又は−(C1−C2)−アルキレン−O−R6であり、
ここでR6は水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである]、
2) −(C1−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、
3) −(C1−C6)−アルキレン−O−R9、
[ここでR9は水素原子又は−(C1−C3)−アルキルである]、
4) −(C1−C4)−アルキレン−N(R10)−R11、
[ここでR10及びR11は互いに独立して、水素原子、−(C0−C4)−アルキレン−O−R6又は−(C1−C2)−アルキルである]、
5) −(C0−C2)−アルキレン−C(O)−R6、又は
6) −(C0−C2)−アルキレン−シクロヘキシル−R5である、
式Iaの化合物、及びその生理学的に許容しうる塩に関する。
【0012】
5) 本発明はまた、全てのその立体異性体形態及び任意の比のそれらの混合物である、式中、
D1及びD2はそれぞれ水素原子であり、
Xは、1) 塩素、臭素若しくはフッ素、
2) −CF3
3) −O−CF3
4) −O−CH2−CHF2
5) −O−CH2−CH2−CH2F、
6) −O−CH2−CF3
7) フェニル、[ここでフェニルは非置換であるか又は互いに独立してR13で一置換若しくは二置換され、
ここでR13は塩素、臭素、フッ素、−O−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、−O−R6、−C(O)−O−R6又は−S(O)2−(C1−C2)−アルキルであり、
ここでR6は水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである]、又は
8) Het1、[ここでHet1はピリジン、ピリミジン、チアゾール又はチエニルであり、ここでHetは非置換であるか又は塩素、臭素、フッ素若しくは−C(O)−O−R6で置換される]であり、
Yは−O−であり、
Zは、1) −(C0−C3)−アルキレン−Het、[ここでHetは、1,3−ジオキソラニル、フラニル、モルホリニル、[1,4]−オキサゼパニル、オキセタニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリル、チエニルの群から選択され、そしてここでHetは非置換であるか又は互いに独立してR5で一置換、二置換若しくは三置換され、ここでR5は水素原子、−(C1−C2)−アルキル、−シクロプロピル、=O、フェニル、フッ素、−(C0−C2)−アルキレン−C(O)−O−R6、−O−R6、C(O)−R6、又は−(C1−C2)−アルキレン−O−R6であり、
ここでR6は水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである]、
2) −(C1−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、
3) −(C1−C6)−アルキレン−O−R9、
[ここでR9は水素原子又は−(C1−C3)−アルキルである]、
4) −(C1−C4)−アルキレン−N(R10)−R11、
[ここでR10及びR11は互いに独立して、水素原子、−(C0−C4)−アルキレン−O−R6又は−(C1−C2)−アルキルである]、
5) −(C0−C2)−アルキレン−C(O)−R6、又は
6) −(C0−C2)−アルキレン−シクロヘキシル−R5である、
式Iaの化合物及びその生理学的に許容しうる塩に関する。
【0013】
6) 本発明はまた、全てのその立体異性体形態及び任意の比のそれらの混合物である、式中、
D1はD2はそれぞれ水素原子であり、
Xは、1) 塩素、臭素若しくはフッ素、
2) −CF3
3) −O−CF3
4) −O−CH2−CHF2
5) −O−CH2−CH2−CH2F、
6) −O−CH2−CF3
7) フェニル、[ここでフェニルは非置換であるか又は互いに独立してR13で一置換若しくは二置換され、
ここでR13は塩素、臭素、フッ素、−O−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、−O−R6、−C(O)−O−R6又は−S(O)2−(C1−C2)−アルキルであり、
ここでR6は水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである]、又は
8) Het1、[ここでHet1は、ピリジン、ピリミジン、チアゾール又はチエニルの群から選択され、ここでHetは非置換であるか又は塩素、臭素、フッ素若しくは−C(O)−O−R6で置換される]であり、
Yは−S(O)2−であり、
Zは、1) −(C0−C3)−アルキレン−Het、[ここでHetは、1,3−ジオキソラニル、フラニル、モルホリニル、[1,4]−オキサゼパニル、オキセタニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリル、チエニルの群から選択され、そしてここでHetは非置換であるか又は互いに独立してR5で一置換、二置換若しくは三置換され、ここでR5は水素原子、−(C1−C2)−アルキル、−シクロプロピル、=O、フェニル、フッ素、−(C0−C2)−アルキレン−C(O)−O−R6、−O−R6、C(O)−R6、又は−(C1−C2)−アルキレン−O−R6であり、
ここでR6は水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである]、
2) −(C1−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、
3) −(C1−C6)−アルキレン−O−R9、
[ここでR9は水素原子又は−(C1−C3)−アルキルである]、
4) −(C1−C4)−アルキレン−N(R10)−R11、
[ここでR10及びR11は互いに独立して水素原子、−(C0−C4)−アルキレン−O−R6又は−(C1−C2)−アルキルである]、
5) −(C0−C2)−アルキレン−C(O)−R6、又は
6) −(C0−C2)−アルキレン−シクロヘキシル−R5である、
式Iaの化合物、及びその生理学的に許容しうる塩に関する。
【0014】
7) 本発明はまた、全てのその立体異性体形態及び任意の比のそれらの混合物である、式中、
D1及びD2はそれぞれ水素原子であり、
Y及びZは一緒になって水素原子であり、そして
Xは1) −(C1−C3)−アルキル−CN、
2) −CF2−CF3
3) −O−CF2−CHF2
4) −O−CH2−CF3
5) −S(O)−CF3
6) −S(O)2−CF3
7) フェニルで置換されたイミダゾリル、又は
8) −NH−S(O)2−メチルで置換されたフェニルである、
式Iaの化合物、及びその生理学的に許容しうる塩に関する。
【0015】
8) 本発明はまた、全てのその立体異性体形態及び任意の比のそれらの混合物である、式中、
D1及びD2はそれぞれ水素原子であり、
Xは水素原子であり、
Yは1) −NH−、
2) −NH−C(O)−又は
3) −S(O)2−であり、そして
Zは1) Het、[ここでHetはモルホリニル及びピペリジニルから選択される]、又は
2) −S(O)2−メチル、[ただしYは−NH−である]である、
式Iaの化合物、及びその生理学的に許容しうる塩に関する。
【0016】
本明細書中で使用される場合、用語アルキルは、直鎖を有しているか又は分子鎖である炭化水素残基を意味すると理解されるべきである。「−(C1−C6)−アルキル」の例は、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を含む炭化水素残基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソブチル、ブチル、イソブチル、第二級−ブチル、第三級−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、2,3−ジメチルブチル又はネオヘキシルである。「−(C1−C6)−アルキレン」の例は、2つの共有結合とともに1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を含む炭化水素残基、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン又はヘキシレンである。
【0017】
用語「−C0−アルキル」又は「−C0−アルキレン」はそれぞれ共有結合である。
【0018】
用語「−(C2−C6)−アルキニル」とは、2、3、4、5又は6個の炭素原子及び1又は2つの三重結合を含むアルキル残基を指し、例えばエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル (=プロパルギル)又は2−ブチニルのようなアルキニル残基である。
【0019】
−(C3−C7)−シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチル(cyloheptyl)のような、3、4、5、6又は7個の環炭素原子を含むシクロアルキル残基である。
【0020】
部分的に不飽和である−(C3−C7)−シクロアルキルの例は、シクロペンテニル又はシクロヘキセニルのような基であり、これらはどの炭素原子を介して結合してもよい。
【0021】
用語「アリール」は、環中に6〜14個の炭素原子を含む芳香族炭化水素ラジカルを意味すると理解される。アリールラジカルの例は、フェニル、ナフチル、例えば1−ナフチル及び2−ナフチル、ビフェニリル、例えば 2−ビフェニリル、3−ビフェニリル及び4−ビフェニリル、アントリル又はフルオレニルである。ビフェニリルラジカル、ナフチルラジカル及び、特にフェニルラジカルは、好ましいアリールラジカルである。
【0022】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素又は臭素である。
【0023】
用語「−Het」とは、4〜15個の環炭素原子のうち1個又はそれ以上が窒素、酸素又は硫黄の群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で置き換えられている、1、2又は3つの環からなる複素環を指す。例は、アクリジニル、アザインドール(1H−ピロロピリジニル)、アザベンゾイミダゾリル、アザスピロデカニル、アゼピニル、アゼチジニル、アジリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル(decahydrochinolinyl)、4,5−ジヒドロオキサゾリニル、ジオキサゾリル、ジオキサジニル、1,3−ジオキソラニル、1,3−ジオキソレニル、3,3−ジオキソ[1,3,4]オキサチアジニル、6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]−テトラヒドロフラニル、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インダニル、1H−インダゾリル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、2−イソオキサゾリニル、ケトピペラジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2−オキサ−チエパニル、1,2−オキサチオラニル、1,4−オキサゼパニル、1,4−オキサゼピニル、1,2−オキサジニル、1,3−オキサジニル、1,4−オキサジニル、オキサゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリル、オキセタニル、オキソカニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾリル、ピリドイミダゾリル、ピリドチアゾリル、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリジノニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラジニル、テトラゾリル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、1,2−チアジニル、1,3−チアジニル、1,4−チアジニル、1,3−チアゾリル、チアゾリル、チアゾリジニル、チアゾリニル、チエニル、チエタニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チエタニル、チオモルホリニル、チオフェノリル、チオフェニル、チオピラニル、1,2,3−トリアジニル、1,2,4−トリアジニル、1,3,5−トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル及びキサンテニルである。
【0024】
用語「オキソ−残基」又は「=O」は、カルボニル (−C(O)−)又はニトロソ(−N=O)のような残基を指す。
【0025】
用語「−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル」は、部分的又は全体がフッ素化されたアルキル−残基であり、これらは−CF3、−CHF2、−CH2F、−CHF−CF3、−CHF−CHF2、−CHF−CH2F、−CH2−CF3、−CH2−CHF2、−CH2−CH2F、−CF2−CF3、−CF2−CHF2、−CF2−CH2F、−CH2−CHF−CF3、−CH2−CHF−CHF2、−CH2−CHF−CH2F、−CH2−CH2−CF3、−CH2−CH2−CHF2、−CH2−CH2−CH2F、−CH2−CF2−CF3、−CH2−CF2−CHF2、−CH2−CF2−CH2F、−CHF−CHF−CF3、−CHF−CHF−CHF2、−CHF−CHF−CH2F、−CHF−CH2−CF3、−CHF−CH2−CHF2、−CHF−CH2−CH2F、−CHF−CF2−CF3、−CHF−CF2−CHF2、−CHF−CF2−CH2F、−CF2−CHF−CF3、−CF2−CHF−CHF2、−CF2−CHF−CH2F、−CF2−CH2−CF3、−CF2−CH2−CHF2、−CF2−CH2−CH2F、−CF2−CF2−CF3、−CF2−CF2−CHF2又は−CF2−CF2−CH2Fのような残基から誘導され得る。
【0026】
前に列挙した複素環の名称の多くが不飽和環系又は芳香族環系の化学名であるという事実は、Het基がそれぞれの不飽和環系からしか誘導され得ないということを示すものではない。本明細書中での名称は、環の大きさ並びにヘテロ原子の数及びそれらの相対的な位置に関して説明するためのみに役立つ。上で説明したように、例えばHet基は、飽和でも部分的に不飽和でも芳香族でもよく、従って前に列挙した複素環自体からのみ誘導され得るのではなく、全てのそれらの部分的又は完全に水素化された類縁体からも、そしてまた該当する場合はそれらのより高度に不飽和の類縁体からも誘導され得る。Het基及びあらゆる他の複素環式基が誘導され得る、前に列挙した複素環の完全に又は部分的に水素化された類縁体の例として以下が挙げられ得る: ピロリン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジン、1,3−ジオキソラン、2−イミダゾリン、イミダゾリジン、4,5−ジヒドロ−1,3−オキサゾール、1,3−オキサゾリジン、4,5−ジヒドロ−1,3−チアゾール、1,3−チアゾリジン、ペルヒドロ−1,4−ジオキサン、ピペラジン、ペルヒドロ−1,4−オキサジン (=モルホリン)、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン、3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン、ペルヒドロ−1,4−チアジン (= チオモルホリン)、ペルヒドロアゼピン、インドリン、イソインドリン、1,2,3,4−テトラヒドロ−キノリン又は1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン。
【0027】
式I及びIaの化合物中に存在する光学活性炭素原子は、互いに独立してR配置又はS配置を有し得る。式I及びIaの化合物は、純粋な鏡像異性体若しくは純粋なジアステレオマーの形態で、又は鏡像異性体及び/若しくはジアステレオマーの混合物の形態で、例えばラセミ化合物の形態で存在し得る。本発明は、純粋な鏡像異性体及び鏡像異性体の混合物に加えて、純粋なジアステレオマー及びジアステレオマーの混合物に関する。本発明は、式I及びIaの2種又はそれ以上の立体異性体の混合物を含み、そしてこれには混合物中の全ての比率の立体異性体が含まれる。式I及びIaの化合物がE異性体又はZ異性体(又はcis異性体若しくはtrans異性体)で存在し得る場合、本発明は、純粋なE異性体及び純粋なZ異性体の両方、並びに全ての比のE/Z混合物に関する。本発明はまた、式I及びIaの化合物の全ての互変異性体形態も含む。
【0028】
E/Z異性体を含むジアステレオマーは、例えばクロマトグラフィーにより、個々の異性体へと分離することができる。ラセミ化合物は、慣用の方法、例えばキラル相でのクロマトグラフィー又は分割により、例えば光学活性な酸又は塩基を用いて得られたジアステレオマー塩の結晶化により、2つの鏡像異性体へと分離することができる。式I及びIaの立体化学的に均一な化合物はまた、立体化学的に均一な出発物質を使用することにより、又は立体選択的な反応を使用することにより得ることができる。
【0029】
式I及びIaの化合物の生理学的に許容しうる塩は、生理学的に容認される非毒性の塩であり、特に製薬上利用可能な塩である。酸性基、例えばカルボキシル基COOHを含む式I及びIaの化合物のこのような塩は、例えばアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩及びカルシウム塩、そしてまた生理学的に許容しうる第四級アンモニウムイオン、例えばテトラメチル−アンモニウム又はテトラエチルアンモニウムとの塩、並びにアンモニア及び生理学的に許容しうる有機アミン類、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン又はトリス−(2−ヒドロキシエチル)−アミンとの酸付加塩である。式I及びIaの化合物に含まれる塩基性基、例えばアミノ基又はアミジノ基は、例えば無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸若しくはリン酸と、又は有機カルボン酸及び有機スルホン酸、例えばギ酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、マロン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、メタンスルホン酸若しくはp−トルエンスルホン酸と酸付加塩を形成する。本発明はまた、例えば2つの塩基性基を含む式I及びIaの化合物と、1つ又は2つの酸等価体との酸付加塩を含む。
【0030】
式I及びIaの化合物の塩は、当業者に公知の慣用の方法により、例えば式I及びIaの化合物を無機若しくは有機の酸若しくは塩基と溶媒若しくは希釈剤中にて混合することにより、又は他の塩からカチオン交換若しくはアニオン交換により得ることができる。本発明はまた、低い生理学的忍容性のためにそのままでは医薬での使用に適していないが、例えば、式I及びIaの化合物のさらなる化学修飾を行うための中間体として、又は生理学的に許容しうる塩の製造のための出発物質として適している、式I及びIaの化合物の全ての塩を含む。
【0031】
式I及びIaの化合物の酸付加塩中に存在し得る上述の酸のアニオンはまた、それらがトリアルキルアンモニオ−置換基、例えば正に荷電した窒素原子を介して結合した式(アルキル)3N+の基、又は複素環式基中の第四級化した環窒素原子のような1つ又はそれ以上の正に荷電した基を含む場合、式I及びIaの化合物中に存在し得るアニオンの例でもある。一般に、式I及びIaの化合物は、それがトリアルキルアンモニオのような1つ又はそれ以上の永久に正に荷電した基を有する場合、1つ又はそれ以上の対イオンとして生理学的に許容しうるアニオン又はアニオン等価体を含む。塩基性基又は正に荷電した基及び酸性基、例えばアミジノ基及びカルボキシ基を同時に含む式I及びIaの化合物はまた、双性イオン(ベタイン)として存在することができ、これらも同様に本発明に含まれる。
【0032】
本発明はまた、式I及びIaの化合物を得ることができる製造方法に関する。式I及びIaの化合物は一般的に、式I及びIaから逆合成により誘導され得る2つ又はそれ以上のフラグメント(又はビルディングブロック)のカップリングにより製造することができる。式I及びIaの化合物の製造において、望ましくない反応又は副反応を合成工程においてもたらし得る官能基を、後に所望の官能基へと変換される前駆体の形態で合成途中で導入することは一般的に有利であるか又は必要となり得る。 前駆体基の例として、後にアミジノ基に変換され得るシアノ基、又は後にアミノ基に変換され得るニトロ基を挙げることができる。官能基上に存在し得る保護基(又はブロック基(blocking groups))には、アミノ及びアミジノ基の保護基として、アリル、tert.−ブチル、ベンジル、アリルオキシカルボニル(Alloc)、tert−ブトキシカルボニル (Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Z)及び9−フルオレニルメトキシカルボニル (Fmoc)が含まれる。エステル、アルキル、アリール及びシリル保護基は、ヒドロキシル基をブロックするために使用され得る。カルボン酸はエステル(例えば メチル、エチル及びベンジル)として保護し得る。
【0033】
特に、式I及びIaの化合物の製造において、ビルディングブロックは、1つ又はそれ以上の縮合反応及び/又は付加反応、例えばアミドカップリングを、例えばアミド結合を1つのビルディングブロックのカルボン酸基と別のビルディングブロックのアミノ基との間で形成して行うことにより接続することができる。例えば、式I及びIaの化合物は、式III、IV、及びVのビルディングブロック、
【化4】

【化5】

[式中、R20及びR21は互いに独立して、−OH、F、Clであるか、又はカルボニル基と共にエステル、若しくは活性化エステル、若しくは混成酸無水物、若しくはカルボン酸とカップリング試薬との反応から生じるあらゆる他の活性化種であり、そしてX、Y及びZは式I及びIaについて定義されたとおりである]を、
式IIIに示されるカルボン酸誘導体と式IVに示されるNH2−基との間のアミド結合、及び式IIIに示されるカルボン酸誘導体と式Vに示されるNH2−基との間のアミド結合又はエステル結合を、それ自体公知の方法で形成することにより、カップリングすることにより製造することができる。
【0034】
式III、IV及びVの出発化合物、並びに式I及びIaの化合物の合成において特定の構造単位を導入するために使用される他の化合物は、市販されているか、又は市販の化合物から容易に製造することができるか、又は以下に記載されるか若しくは当業者に容易に入手可能な文献に記載される手順と同様にして容易に製造することができる。
【0035】
式I及びIaの化合物の製造のために、式III及びIVの化合物を最初に連結して、次いで生じた中間体生成物を式Vの化合物と縮合させ、式I及びIaの化合物を得ることができる。あるいは、式III及びVの化合物を最初に縮合させて、次いで生じた中間体生成物を式IVの化合物に連結して式I及びIaの化合物を得てもよい。上記合成途中におけるいずれかの上記反応工程の後に、保護及び脱保護工程並びに所望の最終基への前駆体基の変換を行ってもよく、さらに修飾を行ってもよい。
【0036】
式I及びIaの化合物の合成において使用することができるアミド結合形成の種々の一般的な方法は、例えばペプチド化学から当業者に周知である。アミドカップリング工程は、遊離カルボン酸、例えば式IIIの化合物を使用して、そのカルボン酸基を好ましくはインサイチュで、慣用のカップリング試薬、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)若しくはジイソプロピルカルボジイミド(DIC)のようなカルボジイミド、又は N,N’−カルボニルジ−イミダゾールのようなN,N’−カルボニルジアゾール、又はO−((シアノ(エトキシカルボニル)メチレン)−アミノ)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TOTU)若しくはO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)のようなウロニウム塩、又はクロロギ酸エチル若しくはクロロギ酸イソブチルのようなクロロギ酸エステル、又は塩化トシル、又はプロピルホスホン酸無水物、又はその他のものを用いて活性化し、次いで活性化されたカルボン酸誘導体を式IVのアミノ化合物と反応させることにより有利に行うことができる。アミド結合はまた、アミノ化合物をカルボン酸ハロゲン化物、特にカルボン酸塩化物と反応させることにより形成することができ、これらは別の工程で、又はインサイチュでカルボン酸と、例えば塩化チオニルとから、又はカルボン酸エステル若しくはチオエステル、例えばメチルエステル、エチルエステル、フェニルエステル、ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、メチルチオエステル、フェニルチオエステル若しくはピリジン−2−イルチオエステルから、すなわち式IIIの化合物を用いて製造することができる。
【0037】
活性化反応及びカップリング反応は、不活性溶媒(又は希釈剤)の存在下で、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン(DCM)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルホスホリックトリアミド(HMPT)、1,2−ジメトキシエタン (DME)、ジオキサン若しくはその他のもののような非プロトン性溶媒の存在下で、又は上記溶媒の混合物中で通常行われる。具体的な方法に依存して、反応温度は広い範囲にわたって変動し得、そして例えば、約−20℃から溶媒又は希釈剤の沸点までであり得る。また、具体的な方法に依存して、適切な量で1つ又はそれ以上の補助剤、例えば 第三級アミン、例えばトリエチルアミン若しくはジイソプロピルエチルアミン、又はアルカリ金属アルコラート、例えばナトリウムメトキシド若しくはカリウムtert−ブトキシドのような塩基を、pH調節するか若しくは形成される酸を中和するために、又は酸付加塩の形態で使用されるアミノ化合物の遊離塩基を生成させるために、又は1−ヒドロキシベンゾトリアゾールのようなN−ヒドロキシアゾール、若しくは4−ジメチルアミノピリジンのような触媒を、加えることが必要であるか又は有利であるかもしれない。活性化カルボン酸誘導体及びの製造並びにアミド結合及びエステル結合の形成のための方法、さらに出典元の文献に関する詳細は、例えば、J. March、Advanced Organic Chemistry、4th ed.、John Wiley & Sons、1992のような種々の標準的な参考文献に示される。
【0038】
次いでカップリング反応において得られた生成物中にまだ存在しているかもしれない保護基を標準的な手順により除去する。例えば、tert−ブチル保護基、特にアミノ基の保護のために使用されるtert−ブトキシカルボニル基は、強酸(例えば塩酸、トリフルオロ酢酸)で処理することにより脱保護することができ、すなわちアミノ基に変換することができる。既に説明したように、カップリング反応後にもまた、官能基を適切な前駆体基から生成することができる。加えて、次いで生理学的に許容しうる塩への変換を公知の方法で行うことができる。
【0039】
一般に、式I及びIaの最終化合物又は中間体を含む反応混合物を後処理し、そして必要に応じて、次いで生成物を当業者に公知の慣用の方法により精製する。例えば、合成された化合物を、周知の方法、例えば結晶化、クロマトグラフィー若しくは逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)、又は例えば、化合物のサイズ、電荷、若しくは疎水性に基づく他の分離方法を使用して精製することができる。同様に、アミノ酸配列解析、NMR、IR及び質量分析法(MS)のような周知の方法を、本発明の化合物の特徴づけを行うために使用することができる。
【0040】
その化学構造のために鏡像異性体形態で存在する式I及びIaの化合物は、鏡像異性的に純粋な酸若しくは塩基との塩形成、キラル固定相でのクロマトグラフィー、又はキラルな鏡像異性的に純粋な化合物、例えばアミノ酸を用いた誘導体化、そのようにして得られたジアステレオマーの分離、そしてキラル補助基の除去により、純粋な鏡像異性体へと分割することができる。
【0041】
式I及びIaの化合物は、遊離形態か、又は酸性基若しくは塩基性基が存在する場合には生理学的に許容しうる塩に変換して単離することができる。
【0042】
塩形成し得る式I及びIaの化合物(それらの立体異性体形態を含む)の生理学的に許容しうる塩の製造は、それ自体公知の方法で行われる。水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、アルコキシドそしてまたアンモニア、又は有機塩基、例えば トリメチル−若しくはトリエチルアミン、エタノールアミン若しくはトリエタノールアミンまたあるいは塩基性アミノ酸、例えばリジン、オルニチン若しくはアルギニンのような塩基性試薬と、カルボン酸は安定なアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又は場合により置換されたアンモニウム塩を形成する。式I及びIaの化合物が塩基性基を含む場合、安定な酸付加塩を、強酸、例えば無機酸及び有機酸の両方を使用して製造することができ、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、4−ブロモベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルアミド−スルホン酸、トリフルオロメチル−スルホン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸又はトリフルオロ酢酸が適している。
【0043】
式I及びIaの化合物は特に、式Vの化合物のN−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド酸VIに対するカップリングにより製造することができ、これは市販の出発物質からスキーム1に示されるように3工程で標準的な手順により製造される:
【化6】

【0044】
代替の、適切に保護された誘導体として、シアノ又はヒドロキシアミジンをアミジノ基の前駆体として使用することができる。次いでアミジンへの前駆体の変換を最終工程として行う。結果としての合成計画をスキーム2に式Iaについて示す:
【化7】

【0045】
アミジン前駆体は通常対応するニトリルである。合成上の理由のため、合成の後の方の段階で、又はしばしば最も都合が良いのは最後の段階でアミジンへの変換を行うことで、従って結局は合成の間の問題を回避することが、望ましいこともある。
【0046】
シアニドをアミジンに変換するためのいくつかの方法が公知である; 方法の選択は、変換の特定の化学、及び標的分子中の他の官能基との潜在的な相互作用に依存する。本発明の場合に特に有用なものは、よく知られているPinner反応又はヒドロキシルアミンのニトリルへの求核付加反応、続いてヒドロキシアミジンの水素添加である。後者の方法が使用される場合、中間体ヒドロキシアミジンを例えばカップリング反応において使用し、水素添加を合成の後の段階又は最後の段階で行うことも可能である(スキーム2に示されるように)。
【0047】
アミジン類及びヒドロキシアミジン類は、保護された状態でも使用され得る。アミジン類及びヒドロキシアミジン類は、特別な残基により修飾することができ、これが合成の間に保護基として機能する。
【0048】
この種の公知の基は、特にフェノキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシ−カルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ベンゾイル又はアセチルのようなカルボン酸誘導体及びカルバミン酸誘導体である。
【0049】
式Vの化合物は、市販されているか又は以下のスキーム及び実施例に示される手順にしたがって製造される。
【化8】

【0050】
一般に、式Vの官能基化されたアミンは、文献に記載される多くの経路で製造することができる。例えば式Vのアミンに適した前駆体は、対応するアセトフェノンVaであり得、これらは市販されているか又は以下のスキーム及び実施例に示される手順にしたがって製造される。このようなアセトフェノンVaは、スキーム3に示されるように、アンモニア源、例えばアンモニア又は酢酸アンモニウムを、適切なヒドリド供与体、又は適切な触媒と組み合わせた水素(例えば 水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム又はH2/Pd−C、H2/Raney−Ni)と組み合わせて使用する還元的アミノ化手順により、対応する式Vのアミンに変換することができる:
【化9】

【0051】
あるいは、式Vのアミンは、対応する適切なハロゲン又はトリフラート前駆体から、Heck型の反応により対応するエナミド類を経て製造することができる。エナミド類は、例えばキラルなロジウム触媒を水素と組み合わせて使用するエナンチオ選択的水素化の可能性、そしてそれ故式Vの分子クラスにエナンチオ選択性の入り口を提供する。この方針をスキーム3bに式Iaの化合物について示す:
【化10】

【0052】
式Vaのアセトフェノンを合成するための多くの方法が文献に記載されており、スキーム4に示されるように、例えばこれらは適切なハロゲン前駆体VII(例えばBr、I)から、対応するGrignard試薬への変換後に無水酢酸でトラップして製造することができる。
【化11】

【0053】
あるいは、式Vaのアセトフェノンは、スキーム5に示されるように、−Br、I又はOTfのような官能基を有する出発物質VIII及びアルコキシビニルトリアルキルすず試薬からStille反応、そしてその後の酸性後処理により製造することができる。
【化12】

【0054】
Xがアリール又はヘテロアリール基に相当する場合の式Vaのアセトフェノンは、文献に十分記載されているクロスカップリング反応により製造することができる。スキーム6に示されるように、例えばボロン酸若しくはボロン酸エステル、及び−Cl、−Br、I、−OTfのような官能基を有する対応するカップリングパートナーを利用するSuzukiカップリングを使用することができ、又はスキーム7に示されるように、有機亜鉛誘導体をカップリングパートナーとして利用するNegishiカップリングを使用することができる。
【0055】
【化13】

【0056】
【化14】

【0057】
アセトフェノンを、上記のように対応する式Vのアミンに変換することができる。
あるいは、前述のクロスカップリングを、既出の対応するアミン又はその保護したものを用いて行うことができる(スキーム8)。
【化15】

【0058】
Yが酸素リンカーに相当する場合の式Vaのアセトフェノンは、文献に記載される多くの方法により製造することができる。スキーム9は、1つの有用な方針を説明するためだけのものである。この点において、脂肪族アルコール又はフェノール類は、アセトフェノン上の適切な脱離基(例えばF、Cl)の求核置換により強塩基(例えばKF、NaH)と組み合わせて導入することができる。
【0059】
【化16】

【0060】
上記のように、アセトフェノンは、式Vの対応するアミンに変換することができる。
【0061】
あるいは、ヒドロキシル官能基を有するアセトフェノンを使用することができる。次いでスキーム10に示されるように、基Zを、Z−Cl、Brを適切な塩基(例えばK2CO3)と組み合わせて使用する標準的なアルキル化、又は脂肪族アルコールをカップリングパートナー(Z−OH)として使用する標準的なMitsunobuアルキル化(DIAD、PPh3)により導入することができる。
【化17】

【0062】
アセトフェノンを上記のように式Vの対応するアミンに変換することができる。
【0063】
Yが窒素リンカーに相当する場合の式Vaのアセトフェノンは、文献に記載される多くの方法により製造することができる。この点において、スキーム11に示されるように、適切な塩基と組み合わせて、又は塩基を用いずに、アセトフェノン上の適切な脱離基(例えばF、Cl)の求核置換によりアミンを導入することができる:
【化18】

【0064】
アセトフェノンを、上記のように、式Vの対応するアミンに変換することができる。
【0065】
Yが硫黄リンカーに相当する場合の式Vaのアセトフェノンは、文献に記載される多くの方法で製造することができる。この点において、硫化水素ナトリウム NaSHを使用して、アセトフェノン上の適切な脱離基(例えばF、Cl)を置き換えることができる。生じたスルフィドをヨウ化アルキルのような強力な求電子剤によりアルキル化することができ、又はハロゲン化芳香族とのパラジウム触媒クロスカップリング反応に使用することができる。これら又は他の方法で生成されたスフルフィドを第二の工程で適切な酸化剤(例えばオキソン、KMnO4)との反応により対応するスルホンに酸化することができる(スキーム12):
【化19】

【0066】
アセトフェノンは、上記のような対応する式Vのアミンに変換することができる。
【0067】
本発明はまた、化合物N−(4−シアノ−フェニル)−マロンアミド酸 エチルエステル、N−(4−シアノ−フェニル)−マロンアミド酸、N−[4−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)−フェニル]−マロンアミド酸 エチルエステル及びN−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド酸にも言及し、これらは式I及びIaの化合物の製造における有用な中間体である。
【0068】
出発物質のキラリティ: マロネートにカップリングされる、不斉中心を含むアミン又はアルコールは、キラル若しくはラセミの形態、又は全ての種類の混合物を含むあらゆる他の立体異性体形態で使用することができる。
【0069】
本発明はまた、有効量の少なくとも1つの式I及びIaの化合物ならびに/又は式I及びIaの化合物の生理学的に許容しうる塩、並びに/又は場合により式I及びIaの化合物の立体異性体形態を、薬学的に適切で生理学的に許容しうる賦形剤、添加剤並びに/又は他の活性化合物及び補助剤と共に含む薬剤に関する。
【0070】
本発明の化合物は、血液凝固酵素第VIIa因子の活性を、直接的に、外因性(extrinsic)テナーゼ複合体(膜タンパク質補因子、組織因子に付随する第VIIa因子)内で若しくは可溶性サブユニットとして、又は間接的に、第VIIa因子の外因性テナーゼ複合体へのアセンブリを阻害することにより阻害する。第VIIa因子の両方の基質のこの阻害の結果として、第X因子及び第IX因子は活性化せず、プロトロンビンは活性化された第Xa因子によりトロンビンへと活性化されず、トロンビン生成が阻害され、従って凝固が阻止される。
【0071】
それらの第VIIa因子阻害活性のために、式I及びIaの化合物は、例えば、血液凝固(又は血餅形成)及び繊維素溶解に影響を与えるため、並びに例えば、心臓血管疾患、血栓塞栓症又は再狭窄のような疾患の治療及び予防を含む処置のために適した有用な薬理活性化合物である。式I及びIaの化合物並びにそれらの生理学的に許容しうる塩は、動物、好ましくは哺乳動物に、そして特にヒトに、治療又は予防のための薬剤として投与することができる。これらはそれら自体で、又は互いとの混合物で、又は経腸的若しくは非経口投与を可能にし、そして活性成分として有効量の少なくとも1つの式I及びIaの化合物並びに/若しくはその生理学的に許容しうる塩並びに薬学的に許容しうる担体を含む医薬製剤の形態で投与することができる。
【0072】
従って本発明はまた、第VIIa因子の阻害のため、又は血液凝固若しくは繊維素溶解に影響を与えるため、又は上記疾患の治療及び予防を含む処置のための薬剤の製造のための、式I及びIaの化合物並びに/又はそれらの生理学的に許容しうる塩に関する。例は心臓血管疾患、血栓塞栓症又は再狭窄の処置である。
【0073】
本発明はさらに、有効量の少なくとも1つの式I及びIaの化合物並びに/又はその生理学的に許容しうる塩、並びに薬学的に許容しうる担体、例えば1つ又はそれ以上の薬学的に許容しうる担体物質、及び/又は添加剤を含む医薬製剤に関する。
【0074】
これら薬剤は、経口的に、例えば丸剤、錠剤、ラッカー仕上げ錠(lacquered tablets)、コーティング錠、顆粒剤、硬ゼラチン及び軟ゼラチンカプセル、液剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤又はエーロゾル混合物の形態で投与することができる。しかし、投与は直腸に、例えば坐剤の形態で行うこともでき、又は非経口的に、例えば静脈内、筋内若しくは皮下に、注射用液剤若しくは注入液剤、マイクロカプセル、インプラント若しくはロッド(rods)の形態で、又は経皮的に若しくは局所的に、例えば軟膏、液剤若しくはチンキ剤の形態で、又は他のやり方で、例えばエーロゾル若しくは鼻腔スプレーの形態で行うことができる。
【0075】
本発明による医薬製剤は、それ自体公知で当業者によく知られた方法で、薬学的に許容しうる不活性な無機及び/又は有機の担体物質及び/又は添加剤を、式I及びIaの化合物並びに/又はその(それらの)生理学的に許容しうる塩に加えて使用して、製造される。丸剤、錠剤、コーティング錠及び硬ゼラチンカプセルの製造のために、例えば、ラクトース、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などを使用することが可能である。軟ゼラチンカプセル及び坐剤用の担体物質は、例えば、脂質、ロウ、半固体及び液体の多価アルコール、天然油又は硬化油である。液剤、例えば注射用液剤、又は乳剤若しくはシロップ剤の製造に適した担体は、例えば、水、生理食塩水、アルコール、グリセロール、多価アルコール、ショ糖、転化糖、グルコース、植物油である。マイクロカプセル、インプラント又はロッドに適した担体物質は、例えば、グリコール酸と乳酸のコポリマーである。医薬製剤は、通常約0.5〜約90質量%の式I及びIaの化合物並びに/又はそれらの生理学的に許容しうる塩を含有する。上記製剤中の式I及びIa並びに/又はその生理学的に許容しうる塩の活性成分の量は、約0.5〜約1000mg、好ましくは1〜500mgである。
【0076】
式I及びIa並びに/又はそれらの生理学的に許容しうる塩の活性成分、並びに担体物質に加えて、本医薬製剤は、1つ又はそれ以上の添加剤、例えば、フィラー、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、湿潤剤、安定化剤、乳化剤、保存料、甘味料、着色剤、矯味矯臭剤、芳香剤、増粘剤、希釈剤、緩衝剤物質、溶媒、可溶化剤、デポー効果を達成するための薬剤、浸透圧を変更するための塩、コーティング剤又は抗酸化剤を含有することができる。これらはまた、2つ又はそれ以上の式I及びIaの化合物並びに/又はそれらの生理学的に許容しうる塩を含有することができる。医薬製剤が2つ又はそれ以上の式I及びIaの化合物を含む場合、個々の化合物の選択は、医薬製剤の特定の全体的なプロフィールを目的とすることができる。例えば、より短い作用期間で高い効力を有する化合物は、より低い効力で長期間作用する化合物と組み合わせられ得る。式I及びIaの化合物における置換基の選択に関して許容される柔軟性により、化合物の生物学的及び物理化学的特性に対してかなり制御することが可能となり、それ故このような所望の化合物の選択が可能になる。さらに、少なくとも1つの式I及びIaの化合物並びに/又はその生理学的に許容しうる塩に加えて、本医薬製剤はまた、1つ又はそれ以上の他の治療的又は予防的に活性な成分を含有し得る。
【0077】
第VIIa因子の阻害剤として、式I及びIaの化合物並びにそれらの生理学的に許容しうる塩は、一般的に、第VIIa因子の活性が役割を果たすか若しくは望ましくない程度であるか、又は第VIIa因子を阻害するか若しくはその活性を低減することにより有利に影響され得る状態の治療及び予防に、又は第VIIa因子の阻害若しくはその活性の低減が医師により望まれる状態の予防、緩和若しくは治癒に適している。第VIIa因子の阻害は血液凝固及び繊維素溶解に影響を与えるので、式I及びIaの化合物並びにそれらの生理学的に許容しうる塩は、一般的に、凝血塊生成の低減、又は血液凝固系の活性が役割を果たすか望ましくない程度である状態、又は凝血塊生成を低減することにより有利に影響され得る状態の治療及び予防に、又は血液凝固系の減少した活性が医師により望まれる状態の予防、緩和若しくは治癒に適している。本発明の特定の主題は、特に個体において、有効量の化合物I又はその生理学的に許容しうる塩を投与することによる望ましくない血液凝固の低減又は阻害、さらにはそのための医薬製剤である。
【0078】
式I及びIaの化合物並びに/又はその生理学的に許容しうる塩は、例えば異常血栓形成、急性心筋梗塞、心臓血管疾患、不安定狭心症、血栓塞栓症、血栓溶解療法又は経皮経管冠動脈形成(PTCA)に伴う急性血管閉鎖、一過性虚血発作、脳卒中、間欠性跛行、冠状動脈又は末梢動脈のバイパス移植術、血管腔狭窄、冠動脈又は静脈血管形成術後の再狭窄、長期血管透析患者における血管アクセス開通性の維持、腹部、膝若しくは股関節部の手術後の下肢の静脈において発生する病的血栓形成、腹部、膝及び股関節部の手術後の下肢の静脈において発生する病的血栓形成、肺血栓塞栓症の危険性、又は敗血性ショック、ウイルス感染若しくは癌の間に血管系において発生する播種性全身性脈管内凝固性疾患(coagulatopathy)、又は炎症性応答の減少、繊維素溶解の処置、又は冠状動脈性心臓病、心筋梗塞、狭心症、血管再狭窄、例えばPTCAのような血管形成術後の再狭窄、成人呼吸窮迫症候群、多臓器不全及び手術後に発生し得る播種性血管内凝固障害、深部静脈若しくは近位静脈血栓症の処置に使用することができる。
【0079】
それらの薬理活性を考慮すると、本発明の化合物は、ヘパリンのような他の抗凝固剤に取って代わることができる。本発明の化合物の使用は、例えば、他の抗凝固剤と比較した場合に費用節減をもたらし得る。
【0080】
式I及びIaの化合物を使用する場合、用量は広い範囲で変動し得、そして慣例で医師に知られているように、それぞれ個々の場合に個々の状態に適しているべきである。それは例えば、使用される特定の化合物、処置される疾患の性質及び重篤度、投与の様式及びスケジュール、又は急性若しくは慢性のいずれの状態が処置されるか、又は予防が行われる否かに依存する。適切な投薬量は、医療技術分野で周知の臨床アプローチを使用して確立することができる。一般に、体重約75kgの成人において所望の結果を達成するための一日量は、約0.01〜約100mg/kg、好ましくは約0.1〜約50mg/kg、特に約0.1〜約10mg/kgである(各場合において体重1kgあたりのmg)。一日量は、特に比較的多量に投与する場合に、数回、例えば 2、3又は4回の部分投与に分割することができる。従来どおり、個々の挙動に依存して、示される一日量から上下に外れることが必要かもしれない。
【0081】
式I及びIaの化合物はまた、個体以外で抗凝固剤として有利に使用することができる。例えば、有効量の本発明の化合物を、抜き取ったばかりの血液サンプルと接触させてその血液サンプルの凝固を防止することができる。さらに、式I及びIaの化合物並びにその塩は、診断目的に、例えばインビトロでの診断において、さらに生化学的研究における補助剤又はツールとして使用することができる。それ故式I及びIaの化合物は、第VIIa因子の存在を同定するためにアッセイにおいて、又は第VIIa因子を実質的に精製された形態で単離するために使用することができる。本発明の化合物は、放射性同位体で標識することができ、次いで第VIIa因子に結合した標識された化合物を、特定の標識を検出するために有用な慣用の方法を使用して検出する。従って、式I及びIaの化合物又はその塩は、インビボ、インビトロ又はエクスビボ(ex vivo)で第VIIa因子の活性の位置又は量を検出するためのプローブとして有利に使用することができる。
【0082】
さらに、式I及びIaの化合物は、式I及びIaの化合物から、例えば置換基の導入又は官能基の修飾により得ることができる他の化合物、特に他の薬学的に活性な成分の製造のための合成中間体として使用することができる。
【0083】
本発明の種々の実施態様の活性に実質的に影響を及ぼさない改変は、本明細書に開示される本発明内に包含されることが理解される。従って、以下の実施例は本発明を説明するが限定することは意図されない。
【実施例】
【0084】
略号:
AcOEt 酢酸エチル
ACN アセトニトリル
周囲温度 10℃〜50℃
DCM ジクロロメタン
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
FA ギ酸
h 時間
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HOAt 1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
LC/MS 液体クロマトグラフィー質量分析法
MeOH メタノール
PyBrop ブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート
RT 室温
Rt 保持時間
TBDMS−Cl tert−ブチルジメチルクロロシラン
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
【0085】
中間体の合成:
中間体1:
N−(4−シアノ−フェニル)−マロンアミド酸 エチルエステル
【化20】

4−アミノベンゾニトリル (18.0g、0.149mol)及びトリエチルアミン (27.34ml、0.194mol)のDCM(600ml)中溶液に、DCM(30ml)中のエチルマロニルクロリド(25.0g、21.36ml、0.149mol)を加えた。反応混合物をRTで1.5時間撹拌した。赤色溶液に水を加えた。有機相を炭酸水素ナトリウム及びHCl(1M)で洗浄し、そしてその後硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、そしてエバポレートした。粗生成物を酢酸エチル/n−ヘプタンから再結晶して表題化合物24.05g(69%)を得た。
【0086】
中間体2:
N−(4−シアノ−フェニル)−マロンアミド酸
【化21】

中間体1 (11.1g、47.9mmol)をメタノール (300mL)に溶解し、そして水(100mL)に溶解した水酸化リチウム(1.72g、71.8mmol)を加えた。反応混合物をRTで終夜撹拌した。溶媒をエバポレートし、水を加え、そして水層を酢酸エチルで洗浄し、塩酸(4N)で酸性化し、再び酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そしてエバポレートして表題化合物8.75g (収率89%)を得た。LC/MS(方法D) (M+H)+: 205
【0087】
中間体3:
N−[4−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)−フェニル]−マロンアミド酸 エチルエステル
【化22】

N−(4−シアノ−フェニル)−マロンアミド酸 エチルエステル (19.8g、85.26mmol)のエタノール(800ml)溶液に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(17.78g、255.80mmol)及びトリエチルアミン(107ml、767.3mmol)を加えた。反応混合物を20時間RTで撹拌した。溶媒をエバポレートし、そして粗生成物を酢酸エチルに溶解した。水を加え、そして水相を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、エバポレートして生成物(16.82g、74%)を白色固体として得た。
【0088】
中間体4:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド酸*トリフルオロ−酢酸塩
【化23】

N−[4−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)−フェニル]−マロンアミド酸 エチルエステル (16.9g、63.41mmol)及びギ酸(formiate)アンモニウム(20.0g、317.1mmol)の氷酢酸(400ml)溶液に、Pd/C、10% (675mg)を加えた。懸濁液を5時間還流下で撹拌した。反応混合物をセライトに通してろ過し、そしてエバポレートした。粗生成物をエタノール(400ml)に溶解し、そして水酸化ナトリウム水溶液(2M、300ml)で処理した。反応混合物を4時間RTで撹拌し、次いで塩酸(2 N)を加えた(pH=8)。懸濁液をろ過し、そして固体をACN/水に溶解し、そしてトリフルオロ酢酸(pH=1)で酸性化した。凍結乾燥により生成物(9.88g、46%)が白色固体として残った。
【0089】
実施例化合物の合成:
以下の実施例は、本明細書に開示される方法を使用して製造され、単離され、そして特徴づけされた。以下の実施例は、本発明の部分的な範囲を示し、本発明の範囲を限定するようには意図されない。詳細に記載されていない他の実施例は同様にして製造することができる。
【0090】
実施例1:
5−(2−ブロモ−4−{(S)−1−[2−(4−カルバムイミドイル−フェニルカルバモイル)−アセチルアミノ]−エチル}−フェノキシ)−ニコチン酸*酢酸塩
【化24】

【0091】
工程1:
5−(4−アセチル−2−ブロモ−フェノキシ)−ニコチン酸メチル
【化25】

5−ヒドロキシニコチン酸メチル(1.0g、6.53mmol)、3’−ブロモ−4’−フルオロアセトフェノン (1.42g、6.53mmol)、18−クラウン−6 (155.3mg、0.59mmol)及び フッ化カリウム(アルミナ担持40質量%、996mg、6.86mmol)をACN(10mL)に溶解した。反応混合物を3日間還流させた。冷却した後、混合物を2N炭酸カリウム水溶液でクエンチし、エーテルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、エバポレートし、そしてシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:n−ヘプタン 1:4)により精製した。純粋な化合物635mg (収率28%)を得た。
LC/MS(方法D) (M+H)+: 351
【0092】
工程2:
5−[4−(1−アミノ−エチル)−2−ブロモ−フェノキシ]−ニコチン酸メチル
【化26】

工程1からの化合物(630mg、1.79mmol)のMeOH(30mL)溶液に、酢酸アンモニウム(1.39g、17.9mmol)を加えた。周囲温度で終夜撹拌した後、水素化シアノホウ素ナトリウム (135.7mg、2.16mmol)を加え、そして反応混合物を6時間還流させた。溶媒をエバポレートし、そして酢酸エチルに溶解した固体を水で抽出した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そしてエバポレートして粗生成物606mg(収率96%)を得た。LC/MS(方法D) (M+H)+: 352
【0093】
工程3:
5−(2−ブロモ−4−{1−[2−(4−シアノ−フェニルカルバモイル)−アセチルアミノ]−エチル}−フェノキシ)−ニコチン酸メチル
【化27】

工程2由来の化合物600mg(1.71mmol)、N−(4−シアノ−フェニル)−マロンアミド酸 (中間体2) (349mg、1.71mmol)、HOAt (233mg、1.71mmol)及びHATU (649mg、1.71mmol)のDMF(8mL)溶液に、DIPEA (0.88mL、5.12mmol)を加え、そしてこの溶液を48時間周囲温度で撹拌した。この混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、エバポレートし、そして分取HPLCにより精製した。適切なフラクションを凍結乾燥して生成物360mg(収率39%)を白色固体として得た。
LC/MS(方法D) (M+H)+: 538
【0094】
工程4:
メチル−5−[2−ブロモ−4−(1−{2−[4−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)−フェニルカルバモイル]−アセチルアミノ}−エチル)−フェノキシ]−ニコチン酸
【化28】

工程3由来の生成物(360mg、0.67mmol)及びヒドロキシルアミン塩酸塩(280mg、4.02mmol)をイソプロパノールに溶解し、TEA(0.65mL、4.69mmol)を加えた。反応混合物を70℃で加熱し、そして4時間撹拌した。冷却した混合物を水で処理し、そして酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そしてエバポレートした。純粋な化合物を最終的に310mg (収率81%)得た。
LC/MS(方法D) (M+H)+: 571
【0095】
工程5:
5−[2−ブロモ−4−(1−{2−[4−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)−フェニルカルバモイル]−アセチルアミノ}−エチル)−フェノキシ]−ニコチン酸*塩酸塩
【化29】

工程4からの化合物(230mg、0.40mmol)をMeOH(10mL)に溶解し、H2O (2.5mL)に溶解した水酸化リチウム(14.5mg、0.60mmol)を加えた。反応混合物を50℃で2時間撹拌し、次いで終夜周囲温度で撹拌した。反応混合物を水でクエンチし、1M塩酸でpH6に酸性化し、そして酢酸エチルで抽出した。大部分の生成物は水層に残り、これを凍結乾燥して粗製化合物265mgを得た。
LC/MS(方法D) (M)+: 556
【0096】
工程6:
5−(2−ブロモ−4−{1−[2−(4−カルバムイミドイル−フェニルカルバモイル)−アセチルアミノ]−エチル}−フェノキシ)−ニコチン酸*トリフルオロ−酢酸塩
【化30】

工程5由来の生成物(50mg、0.075mmol)を酢酸(5mL)に溶解し、そして活性炭担持パラジウム(10%、8mg、0.007mmol)及び無水酢酸(7.75μL、0.082mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で2.5時間水素添加した(1bar H2)。この混合物をろ過し、有機溶媒を減圧下で除去し、そして残留物を分取HPLCにより精製して生成物18mg(収率37%)を得た。 LC/MS(方法D) (M+H)+: 541
【0097】
工程7:
5−(2−ブロモ−4−{(S)−1−[2−(4−カルバムイミドイル−フェニルカルバモイル)−アセチルアミノ]−エチル}−フェノキシ)−ニコチン酸*酢酸塩(実施例1)
工程6から得られたラセミ生成物(16mg、24.45μmol)を、キラル分取HPLC [カラム: (S,S) Whelk−O 250x50 mm、Regis Technologies、Inc.社、8210 Austin Avenue、Morton Grove、IL 60053、USA; 溶離液: ヘプタン、エタノール及びメタノール (1:1:1) + 0,1% 酢酸アンモニウム(定組成)、流量:50mL/分]によりその鏡像異性体に分離した。適切なフラクションを凍結乾燥した。収量:4mg (27%)。LC/MS(方法D) 主要なピーク(M+H)+: 541 (Rt= 0.94分)。
【0098】
実施例2:
N−{1−[3−ブロモ−4−(3−ヒドロキシメチル−フェノキシ)−フェニル]−エチル}−N’−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩
【化31】

【0099】
工程1:
3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−フェノール
【化32】

3−ヒドロキシベンジルアルコール(5.00g、40.3mmol)のDCM(25mL)溶液に、イミダゾール (13.7g、201.4mmol)及びTBDMS−Cl (6.68g、44.3mmol)を加え、そしてこの溶液をRTで1時間撹拌した。反応を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、エバポレートしてシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:n−ヘプタン 1:4)により精製した。最終的に純粋な化合物5.16g(収率54%)を得た。
LC/MS(方法D) (M+H−tertブチル,−ジメチル)+: 156
【0100】
工程2:
1−{3−ブロモ−4−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−フェノキシ]−フェニル}−エタノン
【化33】

工程1由来の生成物(1.00g、4.19mmol)、3’−ブロモ−4’−フルオロアセト−フェノン(910mg、4.19mmol)、18−クラウン−6 (99.8mg、0.38mmol)及びフッ化カリウム(アルミナ担持40質量%、640mg、4.40mmol)をACN(5mL)に溶解した。反応混合物を30分間マイクロ波で120℃にて撹拌した。混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、エバポレートしてシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:n−ヘプタン 1:10)により精製した。最終的に表題化合物1.35g (収率74%)を得た。
LC/MS(方法D) (M+H)+: 436
【0101】
工程3:
1−{3−ブロモ−4−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−フェノキシ]−フェニル}−エチルアミン
【化34】

実施例1、工程2の製造と同様にして、工程2からの化合物(1.35g、3.10mmol)を反応させて固体生成物1.28g(収率95%)を得た。
LC/MS(方法D) (M+H−NH2)+: 422
【0102】
工程4:
N−{1−[3−ブロモ−4−(3−ヒドロキシメチル−フェノキシ)−フェニル]−エチル}−N’−(4−シアノ−フェニル)−マロンアミド
【化35】

実施例1、工程3の製造と同様にして、工程3由来の化合物(1.28g、2.93mmol)を反応させて表題化合物129mg(収率9%)を得た。TBDMS保護基を分取HPLCの間に除去した。
【0103】
工程5:
N−{1−[3−ブロモ−4−(3−ヒドロキシメチル−フェノキシ)−フェニル]−エチル}−N’−[4−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)−フェニル]−マロンアミド
【化36】

実施例1、工程4の製造と同様にして、工程4由来の粗生成物(129mg、0.25mmol)を変換し、表題化合物125mg (収率91%)を得た。 LC/MS(方法D) (M+H)+: 542
【0104】
工程6:
N−{1−[3−ブロモ−4−(3−ヒドロキシメチル−フェノキシ)−フェニル]−エチル}−N’−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩(実施例2)
実施例1、工程6の製造と同様にして、工程5由来の化合物(85mg、0.13mmol)を変換して表題生成物18mg (収率22%)を白色固体として得た。 LC/MS(方法A) 主要ピーク(M−H)+: 524 (Rt= 1.18分)。
【0105】
実施例10
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−{(S)−1−[4−(2−メトキシ−エトキシ)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−エチル}−マロンアミド
【化37】

【0106】
工程1:
1−[4−(2−Mエトキシ−エトキシ)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−エタノン
【化38】

2−メトキシエタノール832μl (10.5mmol)を無水DMSO 15mlに溶解し、この溶液にNaH(504mg (10.5mmol))を加えた。1時間RTで撹拌した後、4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−アセトフェノン1.44g (7mmol)を加え、そしてこの混合物をさらに1時間撹拌した。反応を氷/水でクエンチし、DCMで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下でエバポレートし、そしてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。収量: 1.13g (62%)
LC/MS(方法A) (M+1)+: 262.08
【0107】
工程2:
1−[4−(2−Mエトキシ−エトキシ)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−エチルアミン トリフルオロ酢酸塩(triflouroacetate)
【化39】

工程1由来の1−[4−(2−メトキシ−エトキシ)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−エタノン1.1g (4.1mmol)をメタノール30mLに溶解した溶液に、NH4CO2CH3 3.3g(42mmol)を加え、そしてこの混合物を周囲温度で約3h撹拌した。続いてNaBH3(CN) 400mg(6.3mmol)を加え、そして反応混合物を6h還流させた。次いでこの溶液をエバポレートし、残留物をDMF40mLに溶解し、固体を濾別して残留物を再び乾燥するまでエバポレートした。この粗製物質を逆相クロマトグラフィーにより精製した。収量: 840mg (トリフルオロ酢酸塩として単離した、2.2mmol、53%)
LC/MS(方法A): 247.07 (MW: 263.1)
【0108】
工程3:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−{1−[4−(2−メトキシ−エトキシ)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−エチル}−マロンアミド
【化40】

N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド酸 (中間体4)211mg (0,660mmolを無水DMFに溶解し、そしてこの溶液に工程2由来のアミン273mg(0,73mmol)、98.8mg (0.73mmol) 1−ヒドロキシ−7−アゾベンゾトリアゾール、307mg (2.4mmol) N,N−ジイソプロピル−エチル−アミン及びブロモ−トリス−ピロリジノホスホニウム−ヘキサフルオロホスフェート338mg (0.73mmol)を加えた。周囲温度で24h撹拌した後、反応混合物をろ過し、減圧下でエバポレートし、そして分取HPLCで精製した。収量: 95mg (25%)、無色固体。
LC/MS(方法A) (M+H)+: 467,30
【0109】
工程4:
鏡像異性体の分離
【化41】

工程3由来のラセミ生成物(90mg、0.17mmol)を、キラル分取HPLC [カラム: (S,S) Whelk−O 250x50 mm、溶離液: ヘプタン、エタノール及びメタノール (1:1:1) + 0,1% 酢酸アンモニウム(定組成)、流量:50mL/分]によりその立体異性体に分離した。適切なフラクションを凍結乾燥して適切な鏡像異性体23mg(26%)を得た。LC/MS(方法A) (M+H)+: 467,30 (Rt (1.047分)
【0110】
実施例14:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−((S)−1−{4−[(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミノ]−3−トリフルオロメチル−フェニル}−エチル)−マロンアミド*酢酸塩
【化42】

【0111】
工程1:
1−{4−[(2−Mエトキシ−エチル)−メチル−アミノ]−3−トリフルオロメチル−フェニル}−エタノン
【化43】

4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)アセトフェノン (500mg、2.43mmol)、N−(2−メトキシエチル)メチルアミン(649mg、7.28mmol)及び炭酸カリウム(335mg、2.43mmol)のDMSO(6mL)溶液を30分間マイクロ波下で150℃にて撹拌した。冷却した反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そして溶媒を減圧下で除去した。最終的に表題化合物547mg (収率82%)を得た。
LC/MS(方法D) (M+H)+: 276
【0112】
工程2:
[4−(1−アミノ−エチル)−2−トリフルオロメチル−フェニル]−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミン*トリフルオロ−酢酸
【化44】

酢酸アンモニウム(1.53g、19.8mmol)を、工程1からの化合物(545mg、1.98mmol)のMeOH(8mL)溶液に加えた。RTで終夜撹拌した後、水素化シアノホウ素ナトリウム (149mg、2.38mmol)を加え、そして反応混合物を6h還流させた。溶媒をエバポレートし、そして酢酸エチルに再溶解させた固体を水で抽出した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、エバポレートして分取HPLCにより精製した。適切なフラクションを凍結乾燥して純粋な生成物147mg(収率19%)を得た。LC/MS(方法D) (M+H)+: 277
【0113】
工程3:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−(1−{4−[(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミノ]−3−トリフルオロメチル−フェニル}−エチル)−マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩
【化45】

工程2で得られた化合物(100mg、0.26mmol)、N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド酸*トリフルオロ−酢酸塩 (中間体4) (86mg、0.26mmol)及びHOAt(34.9mg、0.26mmol)のDMF(4mL)溶液にDIPEA(131μL、0.77mmol)を、10分間撹拌しながら加えた。PyBrop(119mg、0.26mmol)を加えた後、反応混合物を周囲温度で24h撹拌した。この混合物をろ過し、そして分取HPLCにより精製した。適切なフラクションを凍結乾燥して純粋な化合物46mg(収率30%)を得た。
LC/MS(方法D) (M+H)+: 480
【0114】
工程4:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−((S)−1−{4−[(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミノ]−3−トリフルオロメチル−フェニル}−エチル)−マロンアミド*酢酸塩 (実施例3)
工程3由来のラセミ生成物(38mg、64.0μmol)を、キラル分取HPLC [カラム: (S,S) Whelk−O1 250x50 mm、溶離液: ヘプタン、エタノール及びメタノール (5:1:1) + 0,1% 酢酸アンモニウム(定組成)、流量:100mL/分]によりその鏡像異性体に分離した。適切なフラクションを凍結乾燥して純粋な化合物9mg(収率26%)を得た。
LC/MS(方法A) 主要なピーク(M+H)+: 479 (Rt= 1.24分)
【0115】
実施例17
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−{(S)−1−[4−(ピリジン−4−イルメトキシ)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−エチル}−マロンアミド
【化46】

【0116】
工程1:
1−[4−(ピリジン−4−イルメトキシ)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−エタノン
【化47】

4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−アセトフェノン1.02g(5mmol)を無水THF10mlに溶解し0℃に冷却した。続いてピリジン−4−メタノール660mg (5.5mmol)、トリフェニルホスフィン1.443g (5.5.mmol)及びジイソプロピルアゾジ(diisiopropylazodi)−カルボキシレート1.213gを加え、そしてこの混合物を0℃で1時間撹拌し、そして12時間周囲温度で撹拌した。この混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、エバポレートして分取HPLCにより精製した。適切なフラクションを凍結乾燥して生成物585mg (トリフルオロ酢酸塩として単離した、収率29%)を無色結晶として得た。LC/MS(方法A) (M+H)+: 296.06 (Rt 1.15分)
この生成物を工程2にそのまま使用した。
【0117】
工程2:
1−[4−(ピリジン−4−イルメトキシ)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−エチルアミン
【化48】

工程1で製造した化合物585mg(1.43mmol)を無水MeOH15mlに溶解し、この溶液にNH4CO2CH3 1.11g (14.3mmol)を加えた。6h後、周囲温度で1.35g (2.2mmol) NaCNBH3を加え、そしてこの混合物を6h還流させた。この混合物を減圧下でエバポレートし、そしてDMF 20mLに溶解し、固体からろ過して再びエバポレートした。得られた油状物を分取HPLCにより精製した。適切なフラクションを凍結乾燥して生成物182mg (43%)を無色結晶として得た。LC/MS(方法A) (M+H)+: 297.09 (Rt 0.71分)
生成物をさらに精製する事無く工程3に使用した。
【0118】
工程3:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−{1−[4−(ピリジン−4−イルメトキシ)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−エチル}−マロンアミド
【化49】

N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド酸*トリフルオロ−酢酸塩 (中間体4)134.1mg (0.4mmol)を無水DMFに溶解し、そしてこの溶液に、工程2からのアミン118.5mg (0.4mmol)、509mg (0.8mmol) 1−プロパン−ホスホン酸無水物及び51.7mg (0.4mmol) N,N−ジイソプロピル−エチル−アミンを加えた。24h周囲温度で撹拌した後、反応混合物をろ過し、乾燥するまでエバポレートして分取HPLCにより精製した。収量45mg (18%)、無色結晶。LC/MS(方法A) (M+H)+: 500.3 (Rt 1.05分)
【0119】
工程4:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−{(S)−1−[4−(ピリジン−4−イルメトキシ)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−エチル}−マロンアミド
【化50】

工程3由来のラセミ生成物(18mg)をキラル分取HPLC [カラム: (S,S) Whelk−O 250x50 mm、溶離液: ヘプタン、エタノール及びメタノール (3:1:1) + 0,1% 酢酸アンモニウム(定組成)、流量:50mL/分]によりその鏡像異性体に分離した。適切なフラクションを凍結乾燥して純粋な化合物4mg(22%)を得た。LC/MS(方法A) (M+H)+: 500.3 (Rt 0.823分)。
【0120】
実施例20
4−(4−{1−[2−(4−カルバムイミドイル−フェニルカルバモイル)−アセチルアミノ]−エチル}−2−トリフルオロ−メチル−フェノキシ)−酪酸
【化51】

【0121】
工程1
4−(4−アセチル−2−トリフルオロメチル−フェノキシ)−酪酸 エチルエステル
【化52】

4−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)−アセトフェノン (2.042g、10mmol)の50ml DMF中の溶液に、K2CO3 1.52g(11mmol)及び4−ブロモ−酪酸 エチルエステル1.951g (10mmol)を加えた。反応混合物を1h、80℃で撹拌した。溶媒をエバポレートし;残留物を100ml DCMに溶解し、そして水30mlで瞬間(trice)抽出した。得られた有機相をNa2SO4で乾燥し、エバポレートし、そして(und)シリカゲルクロマトグラフィー(移動相 ヘプタン/酢酸エチル=3/1)により精製して表題化合物3.02g (95%)を淡黄色油状物として得た。
LC/MS(方法A) (M+1)+: 319.3
【0122】
工程2
4−[4−(1−アミノ−エチル)−2−トリフルオロメチル−フェノキシ]−酪酸 エチルエステル
【化53】

MeOH50ml中の工程1からのアセトフェノン3.02g (95mmol)に、7.31g 酢酸アンモニウム(95mmol)を加えた。12h周囲温度で撹拌した後、715mg(11.4mmol) 水素化シアノホウ素ナトリウムを加え、そしてこの混合物を8h加熱還流させた。溶媒を減圧下でエバポレートし、残留物を酢酸エチルに再溶解し、そして有機相を水で3回抽出した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、そしてエバポレートした。残留物のシリカゲルクロマトグラフィーの後に 粗生成物1.0g (3.13mmol; 収率33%)を得た。
LC/MS(方法A) (M+1)+: 303.08 (MW 319.14; Rf 1.25分)
【0123】
工程3
4−(4−{1−[2−(4−カルバムイミドイル−フェニルカルバモイル)−アセチルアミノ]−エチル}−2−トリフルオロメチル−フェノキシ)−酪酸 エチルエステル
【化54】

N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド酸 (中間体4)268mg (0,8mmol)を無水DMFに溶解し、そしてこの溶液に工程2からのアミン2255.5mg (0.8mmol)、1−プロパン−ホスホン酸無水物1.018g (1.6mmol)、及びN,N−ジイソプロピル−エチル−アミン103.4mg (0.8mmol)を加えた。この溶液を18h周囲温度で撹拌した。次いで反応混合物をエバポレートし、残留物を酢酸エチルに溶解し、そして水で抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下でエバポレートし、そして得られた残留物を分取HPLCにより精製した。純粋な化合物170mg (2.7mmol、収率33%) を得た。
LC/MS(方法A) (M+1)+: 523.18 (MW 319.14; Rf 1.407分).
【0124】
工程4
4−(4−{1−[2−(4−カルバムイミドイル−フェニルカルバモイル)−アセチルアミノ]−エチル}−2−トリフルオロ−メチル−フェノキシ)−酪酸
【化55】

メタノール15ml中の工程3からの4−(4−{1−[2−(4−カルバムイミドイル−フェニルカルバモイル)−アセチル−アミノ]−エチル}−2−トリフルオロメチル−フェノキシ)−酪酸 エチルエステル170mg (2.7mmol)に、1当量の1n水酸化ナトリウム水溶液を加え、そして反応混合物を2h周囲温度で撹拌した。次いでこの混合物を、1N水性HClを加えることによりpH3に酸性化し、そして生じた沈殿をろ過により分離した。凍結乾燥後に純粋な化合物29mg(0.059mmol、22%)を得た。 LC/MS(方法A) (M+1)+: 495.2 (Rf 0.981分)
【0125】
実施例28:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−{1−[4−(モルホリン−4−スルホニル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−エチル}−マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩
【化56】

【0126】
工程1:
4−(4−ブロモ−2−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−モルホリン
【化57】

4−ブロモ−2−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルクロリド(5.00g、15.46mmol)のTHF(5ml)溶液を、モルホリン (1.62ml、18.55mmol)及びトリエチルアミン (2.15ml、15.46mmol)のテトラヒドロフラン溶液に加えた。反応混合物を12時間RTで撹拌した。酢酸エチル(80ml)を加え、有機相を分離し、そして水(20ml)、塩酸(1M、20ml)そしてブライン(20ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。エバポレーションした後、生成物を得て(5.708g、99%)、さらに精製することなく次の工程で使用した。
【0127】
工程2:
1−[4−(モルホリン−4−スルホニル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−エタノン
【化58】

塩化イソプロピルマグネシウム(THF中2M、10ml、20.04mmol)を、工程1で得られた生成物(5.00g、13.36mmol)のTHF (30ml)溶液に−10℃で滴下した。この混合物をこの温度で1時間撹拌し、次いで無水酢酸(12.6ml、133.60mmol)に−15℃で滴下した。反応混合物を0℃で2時間撹拌し、そしてゆっくりとRTまで昇温させた。水(100ml)を加え、そして反応混合物を60℃で15分間撹拌した。この混合物を酢酸エチルでRTにて希釈し、NaHCO3水溶液で中和し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そしてエバポレートした。酢酸エチル/n−ヘプタンを使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより粗生成物を精製して所望の生成物(2.00g、44%)を得た。
【0128】
工程3:
1−[4−(モルホリン−4−スルホニル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−エチルアミン
【化59】

酢酸アンモニウム(4.57g、59.29mmol)及び水素化シアノホウ素ナトリウム (373mg、5.93mmol)を、工程2で得られた化合物(2.00g、5.93mmol)のMeOH (30mL)溶液に加えた。反応混合物を5h還流させた。次いでこの混合物を、トリフルオロ酢酸を加えることによりクエンチし(pH=2)、そして乾燥するまでエバポレートした。分取HPLCにより粗生成物を精製し、そして適切なフラクションを凍結乾燥して所望の生成物(1,48g、55%)を得た。LC/MS(方法E) (M+H)+: 338
【0129】
工程4:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−{(S)−1−[4−(モルホリン−4−スルホニル)−3−トリフルオロメチル−フェニル(henyl)]−エチル}−マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩 (実施例5)
DIPEA (0.23mL、1.33mmol)を、工程3由来の生成物(200mg、0.44mmol)、N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド酸 トリフルオロ−酢酸塩 (中間体4) (148mg、0,44mmol)及びTOTU(145mg、0.44mmol)のDMF(6mL)溶液に加えた。得られた溶液を周囲温度で12h撹拌した。この混合物をトリフルオロ酢酸で酸性化し、そして分取HPLCにより精製した。適切なフラクションを凍結乾燥して生成物156mg (収率54%)を白色固体として得た。
LC/MS(方法F) (M+H)+: 541。
【0130】
実施例29
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−[(S)−1−(3−ペンタフルオロエチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド;トリフルオロ−酢酸を含む化合物
【化60】

【0131】
工程1:
トリフルオロ−メタンスルホン酸 3−ペンタフルオロエチル−フェニルエステル
【化61】

3−ペンタフルオロエチル−フェノール(2.0g、9.43mmol)及びトリエチルアミン(1.24g、1.63ml、12.26mmol)のジクロロメタン(10ml)溶液に、トリフルオロメタン−スルホン酸無水物(1.76ml、2.99g、10.37mmol)を0℃で加えた。反応混合物を6時間室温で撹拌した。ジクロロメタン(15ml)を加え、そして有機相を、塩化アンモニウム溶液(飽和、2 x 10ml)、炭酸ナトリウム溶液(1M、2 x 15ml)そしてブライン(15ml)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして真空で濃縮して油状物(2.83g、87%)とし、これをさらに精製することなくその後の工程で使用した。
【0132】
工程2:
N−[1−(3−ペンタフルオロエチル−フェニル)−ビニル]−アセトアミド
【化62】

工程1の粗生成物(0,75g、2,2mmol)のDMF(10ml)溶液に、N−ビニルアセトアミド(0,37g、4,36mmol)、トリエチルアミン(243mg、0,33ml、2,40mmol)、酢酸パラジウム(20mg、4mol%)及びビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン (40mg、0,1mmol)を加えた。反応混合物をマイクロ波を使用して30分間130℃で加熱した。赤色溶液を希釈し、そして塩酸(1M、2 x 15ml)そして炭酸水素ナトリウム(飽和、20ml)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレートした。酢酸エチル/n−ヘプタン (2:1)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより粗生成物を精製して所望の生成物を得た。
【0133】
工程3:
1−(3−ペンタフルオロエチル−フェニル)−エチルアミン
【化63】

N−[1−(3−ペンタフルオロエチル−フェニル)−ビニル]−アセトアミド (110mg、0,39mmol)のメタノール(10ml)溶液に、(+)−1,2−ビス((2S,5S)−2,5−ジエチルホスホラノ)ベンゼン(シクロオクタジエン)ロジウム(I) トリフルオロメタンスルホン酸塩(0,3mg)を加えた。反応混合物をH2で5 barにて水素添加し、そしてエバポレートした。残留物をエタノール及び塩酸(6 M、0.7ml)中に溶解し、そしてこの溶液を2日間還流させた。分取HPLCにより精製し、そして適切なフラクションを凍結乾燥して所望の生成物を得た。
【0134】
工程4:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−[(S)−1−(3−ペンタフルオロエチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド; トリフルオロ−酢酸を含む化合物(実施例29)
工程3由来の生成物(5mg、14ΜM)のDMF(0,2ml)溶液に、TOTU (5mg、14μM)、及びN−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド酸 トリフルオロ−酢酸塩 (中間体4) (5mg、14μmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で12h撹拌した。この混合物をトリフルオロ酢酸で酸性化し、そして分取HPLCにより精製した。適切なフラクションを凍結乾燥して生成物3mg(収率42%)を白色固体として得た。LC/MS(方法F) (M+H)+: 541。
【0135】
実施例64
N−[1−(4−アセチルスルファモイル−3−クロロ−フェニル)−エチル]−N’−(4−カルバムイミドイル−フェニル)− マロンアミド; トリフルオロ−酢酸を含む化合物
【化64】

【0136】
工程1:
4−ブロモ−2−クロロ−ベンゼンスルホンアミド
【化65】

4−ブロモ−2−クロロベンゼンスルホニルクロリド(2.50g、8.45mmol)のTHF(25ml)溶液に、アンモニア溶液(25%、6.3ml、84.5mmol)を加えた。反応混合物を4時間RTで撹拌した。酢酸エチル(70ml)及び水(50mL)を加えた。有機相を分離し、そして塩酸(1M、50ml)及びブライン(2 x 30ml)で洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥した。エバポレーションした後、生成物を白色固体(2.05g、90%)として得、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0137】
工程2:
4−アセチル−2−クロロ−ベンゼンスルホンアミド
【化66】

工程1で得られた生成物(1.0g、3.70mmol)のACN (8ml)溶液に、CuI(35mg、185μmol)、PdCl2(PPh3)2 (389mg、554μmol)及び1−(エトキシビニル)トリブチル−スタンナン(2.5ml、2.60g、7.39mmol)を加えた。この混合物を30分間マイクロ波を使用して100℃に加熱した。冷却した後、反応混合物を1N HCl(4ml)で酸性化し、そして20分間撹拌した。反応混合物をNaHCO3を使用してpH=7に調整し、AcOEtで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、そしてエバポレートした。粗生成物を、酢酸エチル/n−ヘプタン (1:1)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して所望の生成物(650mg、75%)を得た。
【0138】
工程3:
4,N−ジアセチル−2−クロロ−ベンゼンスルホンアミド
【化67】

工程2で得られた生成物(0.40mg、1.71mmol)のACN(3ml)溶液に、無水酢酸を加えた。濃硫酸(2,8μl、5mg、51μM)を 60℃で加え、そして反応混合物を40分間その温度で撹拌した。冷却した反応混合物を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そして溶媒を減圧下で除去した。所望の生成物を得て(収率460mg、97%)、さらに精製することなくその後の工程で使用した。
【0139】
工程4:
N−アセチル−4−(1−アミノ−エチル)−2−クロロ−ベンゼンスルホンアミド
【化68】

酢酸アンモニウム(1.10g、14.87mmol)及び水素化シアノホウ素ナトリウム (93mg、1.49mmol)を、工程3で得られた化合物(410mg、1.49mmol)のMeOH(4mL)溶液に加えた。反応混合物を2時間還流させた。次いで冷却した混合物をトリフルオロ酢酸で処理してpH=2にし、乾燥するまでエバポレートした。粗生成物を分取HPLCにより精製し、そして適切なフラクションを凍結乾燥して所望の生成物(210mg、36%)を得た。
【0140】
工程5:
N−[1−(4−アセチルスルファモイル−3−クロロ−フェニル)−エチル]−N’−(4−カルバムイミドイル−フェニル)− マロンアミド; トリフルオロ−酢酸を含む化合物 :
工程4由来の生成物(210mg、537μmol)、N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド酸*トリフルオロ−酢酸塩 (中間体3) 180mg、537μmol)及びTOTU(176mg、537μmol)のDMF (5mL)溶液に、DIPEA(276μL、208mg、1.6mmol)を加え、そしてこの溶液を2時間周囲温度で撹拌した。この混合物をトリフルオロ酢酸で酸性化し、そして分取HPLCで精製した。適切なフラクションを凍結乾燥し、そして所望の生成物を白色固体(収量135mg、42%)として得た。 LC/MS(方法F) (M+H)+: 479.1。
【0141】
実施例66:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−{1−[3−クロロ−4−(テトラヒドロ−ピラン−4−スルホニル)−フェニル]−エチル}−マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩
【化69】

【0142】
工程1:
1−(3−クロロ−4−メルカプト−フェニル)−エタノン
【化70】

硫化水素ナトリウム(NaSHxH2O) (10.97g、148.1mmol))をN−メチルピロリドン (100ml)中、160℃でアルゴン下にて脱水した。3,4−ジクロロ−アセトフェノン (11.20g、59.25mmol)をこの混合物に140℃で加え、そして撹拌を3時間160℃で続けた。溶媒を減圧下で除去し、そして水(100ml)及び塩酸(6 N)を粗生成物に加えた。沈殿をろ過し、洗浄して、酢酸エチル/n−ヘプタンを使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して所望の生成物7.55g(収率68%)を得た。 LC/MS (M+H)+: 196
【0143】
工程2:
1−[3−クロロ−4−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルスルファニル)−フェニル]−エタノン
【化71】

工程1からの生成物(3.0g、16.07mmol)を、水素化ナトリウム(964.3mg、32.14mmol)のDMF中懸濁液に0℃で加えた。5分後、4−ヨード−テトラヒドロ−ピラン (3.41g、16.07mmol)を加え、そして反応混合物をRTで1h撹拌した。反応混合物を水で0℃にてクエンチし、そしてトリフルオロ酢酸で中和した。エバポレートして粗生成物を酢酸エチル/n−ヘプタンを使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物(1.385g、32%)を得た。
【0144】
工程3:
1−[3−クロロ−4−(テトラヒドロ−ピラン−4−スルホニル)−フェニル]−エタノン
【化72】

工程2から得られた生成物(1.38g、5.10mmol)のメタノール(25ml)及びテトラヒドロフラン(25ml)中の溶液を、オキソン(5.64g、9.17mmol)の水(25ml)溶液に0℃で滴下した。この懸濁液を2日間RTで撹拌した。水(25ml)を加え、そして反応混合物をDCMで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで乾燥した。エバポレートし、粗生成物を酢酸エチル/n−ヘプタンを使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して所望の生成物(1.04g 、67%)を得た。
【0145】
工程4:
1−[3−クロロ−4−(テトラヒドロ−ピラン−4−スルホニル)−フェニル]−エチルアミン
【化73】

酢酸アンモニウム(2.65g、34.35mmol)及び水素化シアノホウ素ナトリウム (216mg、3.44mmol)を、工程3由来の化合物(1.04g、3.44mmol)のメタノール (10mL)中懸濁液に加えた。反応混合物を5h還流させた。次いでこの混合物を、トリフルオロ酢酸を加えることによりクエンチし(pH=2)、そして乾燥するまでエバポレートした。粗生成物を分取HPLCにより精製し、適切なフラクションを凍結乾燥して所望の生成物(740mg、52%)を得た。
【0146】
工程5:
DIPEA (0.31mL、1.79mmol)を、工程4由来の生成物(250mg、0.60mmol)、N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド酸*トリフルオロ−酢酸塩 (中間体4) (201mg、0.60mmol)及びTOTU (196mg、0.60mmol)のDMF(6mL)溶液に加え、得られた溶液を周囲温度で12h撹拌した。この混合物をトリフルオロ酢酸で酸性化し、そして分取HPLCで精製した。適切なフラクションを凍結乾燥して生成物195mg(収率53%)を白色固体として得た。LC/MS(方法F) (M+H)+: 442。
【0147】
実施例73:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−[1−(3−トリフルオロメタンスルフィニル−フェニル)−エチル]− マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩 (実施例73)
【化74】

【0148】
工程1:
1−(3−トリフルオロメタンスルフィニル−フェニル)−エタノン
【化75】

1−(3−トリフルオロメチルスルファニル−フェニル)−エタノン (1.4g、6.36mmol)のメタノール(30ml)及びTHF (30ml)中の溶液に、オキソン一過硫酸塩化合物(10.94g、17.8mmol)の水(50ml)溶液を10分間かけて滴下した。反応混合物を60℃で3日間撹拌した。有機溶媒を真空で除去し、そして水相をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層をエバポレーションし、そして粗生成物を酢酸エチル/n−ヘプタンを使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して所望の生成物(0.66g、44%)を得た。1−(3−トリフルオロメタンスルホニル−フェニル)−エタノン (190mg、12%)を副生成物として得、これを実施例77の合成に使用した。
【0149】
工程2:
1−(3−トリフルオロメタンスルフィニル−フェニル)−エチルアミン
【化76】

酢酸アンモニウム(0.62g、8.04mmol)及び水素化シアノホウ素ナトリウム(51mg、0.80mmol)を工程1由来の化合物(0.2g、0.80mmol)のメタノール(5mL)懸濁液に加えた。反応混合物を5時間還流させた。次いでこの混合物を塩酸(6N)を加えてpH=4にすることによりクエンチした。エバポレーションし、そして粗生成物を分取HPLCにより精製し、適切なフラクションを凍結乾燥して所望の生成物(130mg、68%)を得た。
【0150】
工程3:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−[1−(3−トリフルオロメタンスルフィニル−フェニル)−エチル]− マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩 (実施例73)
DIPEA (213mg、280μl、1.64mmol)を、工程2由来の生成物(130mg、0.55mmol)、N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド酸*トリフルオロ−酢酸塩 (中間体3) (184mg、0,55mmol)及びTOTU(180mg、0.55mmol)のDMF(4mL)溶液に加え、そして得られた溶液を周囲温度で12時間撹拌した。この混合物をトリフルオロ酢酸で酸性化し、そして分取HPLCで精製した。適切なフラクションを凍結乾燥して生成物67mg(収率22%)を白色固体として得た。LC/MS(方法E) (M+H)+: 440。
【0151】
実施例74:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−{1−[4−(ピリジン−4−スルホニル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]− エチル}−マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩
【化77】

【0152】
工程1:
1−(4−メルカプト−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エタノン
【化78】

硫化水素ナトリウム水和物(NaSHxH2O) (15.81g、213.4mmol))を、N−メチルピロリドン(150ml)中160℃にてアルゴン下で脱水した。4−クロロ−3−トリフルオロメチル)アセトフェノン (19.00g、85.36mmol)を、この混合物に140℃で加え、そして撹拌を160℃で3時間続けた。溶媒を減圧下で除去し、そして水(100ml)及び塩酸(6N)を粗生成物に加えた。沈殿をろ過し、洗浄し、そして酢酸エチル/n−ヘプタンを使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して所望の生成物13.00g(収率69%)を得た。
【0153】
工程2:
1−[4−(ピリジン−4−イルスルファニル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−エタノン
【化79】

工程1由来の生成物(4.5g、22.44mmol)のジオキサン(60ml)溶液に、4−ブロモピリジン (3.50g、22.48mmol)、DIPEA (7.7ml、5.81g、44.97mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(468mg、0.51mmol)及び4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(591mg、1.02mmol)を加えた。反応混合物をマイクロ波を使用して150℃で30分間加熱した。反応混合物をエバポレートし、そして粗生成物を酢酸エチル/n−ヘプタン 1:1を使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して所望の生成物(4.80g、79%)を得た。
【0154】
工程3:
1−[4−(ピリジン−4−スルホニル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−エタノン
【化80】

工程2から得られた生成物(4.80g、16.15mmol)のメタノール(80ml)及びテトラヒドロフラン(80ml)中の溶液に、オキソン一過硫酸塩化合物(17.87g、29.07mmol)の水(80ml)溶液を0℃で滴下した。この懸濁液を4日間RTで撹拌した。水(100ml)を加え、そして反応混合物をDCMで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで乾燥した。エバポレーションして粗生成物をDCM/メタノール=20:1を使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物(2.80g、53%)を得た。
【0155】
工程4:
1−[4−(ピリジン−4−スルホニル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−エチルアミン
【化81】

酢酸アンモニウム(6.50g、85.03mmol)及び水素化シアノホウ素ナトリウム (534mg、8.50mmol)を、工程3由来の化合物(2.80g、8.50mmol)のメタノール(60mL)懸濁液に加えた。反応混合物をRTで16時間撹拌した。次いでこの混合物を、トリフルオロ酢酸を加えてpH=3にすることによりクエンチした。エバポレーションし、そして粗生成物を分取HPLCにより精製し、適切なフラクションの凍結乾燥により所望の生成物(1.18g、31%)を得た。
【0156】
工程5:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−{1−[4−(ピリジン−4−スルホニル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]− エチル}−マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩(実施例74)
DIPEA(0.58ml、3.38mmol)を、工程4由来の生成物(500mg、1.13mmol)、N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド酸*トリフルオロ−酢酸塩 (中間体4) (377mg、1.125mmol)及びTOTU (369mg、1.125mmol)のDMF(8mL)溶液に加え、そして得られた溶液を周囲温度で2h撹拌した。この混合物をトリフルオロ酢酸で酸性化し、そして分取HPLCにより精製した。適切なフラクションを凍結乾燥して生成物320mg(収率44%)を白色固体として得た。LC/MS(方法E) (M+H)+: 533。
【0157】
実施例77:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−[(S)−1−(3−トリフルオロメタンスルホニル−フェニル)−エチル]− マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩
【化82】

【0158】
工程1:
1−(3−トリフルオロメタンスルホニル−フェニル)−エチルアミン
【化83】

酢酸アンモニウム(0.58g、7.53mmol)及び水素化シアノホウ素ナトリウム (47mg、0.75mmol)を、実施例73工程1由来の副生成物(0.19g、0.75mmol)のメタノール(5mL)懸濁液に加えた。反応混合物を5h還流させた。次いでこの混合物を、塩酸(6N)を加えてpH=4とすることによりクエンチした。エバポレーションを行い、そして粗生成物を分取HPLCにより精製し、適切なフラクションを凍結乾燥することにより所望の生成物(111mg、58%)を得た。
【0159】
工程2:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−[(S)−1−(3−トリフルオロメタンスルホニル−フェニル)−エチル]− マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩(実施例77):
DIPEA (168mg、220μl、1.30mmol)を、工程1由来の生成物(111mg、0.43mmol)、N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド酸*トリフルオロ−酢酸塩 (中間体4) (146mg、0,43mmol)及びTOTU(142mg、0.43mmol)のDMF(3mL)溶液に加え、そして得られた溶液を周囲温度で12h撹拌した。この混合物をトリフルオロ酢酸で酸性化し、そして分取HPLCにより精製し、適切なフラクションを凍結乾燥して生成物67mg(収率28%)を白色固体として得た。LC/MS(方法E*) (M+H)+: 440。
工程2由来のラセミ生成物(35mg)を、キラル分取HPLC [カラム: (S,S) Whelk−O 250x50mm、溶離液: ヘプタン、エタノール及びメタノール (3:1:1) + 0,1% 酢酸アンモニウム(定組成)、流量:50mL/分]によりその鏡像異性体に分離した。適切なフラクションを凍結乾燥して純粋な化合物12mg(34%)を得た。 LC/MS(方法E*) (M+H)+: 440.11 (Rt 1.20分)。
【0160】
実施例83:
N−(1−{3−ブロモ−4−[(ピペリジン−4−カルボニル)−アミノ]−フェニル}−エチル)−N’−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩
【化84】

【0161】
工程1:
4−(4−アセチル−2−ブロモ−フェニルカルバモイル−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
【化85】

実施例92、工程1由来の生成物(5.65g、24.6mmol)のDMF(35ml)溶液に、TOTU(8.62g、26.3mmol)、そしてペリジン−1,4−ジカルボン酸 モノ−tert−ブチルエステル (6.03g、28mmol)及びDIPEA (7.0ml)を加えた。反応混合物を周囲温度で20h撹拌し、その後エバポレートした。残留物を酢酸エチル(200ml)に溶解し、そしてブライン(50ml)、そして炭酸水素ナトリウム(飽和、50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。エバポレーションをして粗生成物を酢酸エチル/ヘプタンを使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物(3.72g 、36%)を得た。
【0162】
工程2:
4−[4−(1−アミノ−エチル)−2−ブロモ−フェニルカルバモイル]−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
【化86】

酢酸アンモニウム(3.17mg、41.0mmol)及び水素化シアノホウ素ナトリウム (260mg、4.10mmol)を、メタノール (40mL)中の工程2由来の生成物(1.74g、4.1mmol)に加えた。反応混合物を4時間60℃で撹拌した。次いでこの混合物を、塩酸(6N)を加えてpH=4にすることによりクエンチした。エバポレーションをして粗生成物を分取HPLCにより精製し、そして適切なフラクションを凍結乾燥して所望の生成物(710mg、41%)を得た。
【0163】
工程3:
N−(1−{3−ブロモ−4−[(ピペリジン−4−カルボニル)−アミノ]−フェニル}−エチル)−N’−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩 (実施例83):
工程2由来の生成物(122mg、226μmol)、N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド酸*トリフルオロ−酢酸塩 (中間体4) (50mg、226μmol)及びTOTU (74mg、226μmol)のDMF(1.5mL)溶液に、DIPEA (40μL、30mg、226μmol)を加え、そしてこの溶液を周囲温度で12時間撹拌した。この混合物をトリフルオロ酢酸で酸性化し、そして分取HPLCにより精製した。適切なフラクションを凍結乾燥して、所望の生成物を白色固体として得た。 LC/MS(方法E) (M+H)+: 580.00。
【0164】
実施例84:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−(1−{4−[(ピペリジン−4−カルボニル)−アミノ]−フェニル}−エチル)− マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩
【化87】

【0165】
工程1:
4−(4−アセチル−フェニルカルバモイル)−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
【化88】

4−アミノアセトフェノン (6.76g、50mmol)のDMF(250ml)溶液に、TOTU(16.40g、50mmol)、boc−イソニペコチン酸(11.46g、50mmol)及びDIPEA (8.6ml、50mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で12時間撹拌した。溶媒を真空で除去した。残留物を酢酸エチル(250ml)に再溶解し、そして飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2 x 50ml)、塩酸(1N、50ml)そしてブライン(50ml)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレートし、そして酢酸エチルから再結晶した。生成物を白色結晶性固体として得た(収量12.2g、70%)。
【0166】
工程2:
4−[4−(1−アミノ−エチル)−フェニルカルバモイル]−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
【化89】

工程1から得られた化合物(5.0g、14.43mmol)のMeOH(100mL)溶液に、酢酸アンモニウム(11.12g、144mmol)及び水素化シアノホウ素ナトリウム (955mg、14.43mmol)を加えた。反応混合物を3時間還流させた。次いでこの混合物を、0℃で濃塩酸を加えることによりpH=4にしてクエンチした。エバポレーションし、そして粗生成物を分取HPLCにより精製して、適切なフラクションの凍結乾燥後に所望の生成物(収量4.26g、64%)を得た。
【0167】
工程3:
4−(4−{1−[2−(4−カルバムイミドイル−フェニルカルバモイル)−アセチルアミノ]−エチル}−フェニル−カルバモイル)−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル*トリフルオロ−酢酸塩
工程2由来の生成物(90mg、0.2mmol)のDMF(3ml)溶液に、TOTU(64mg、0.2mmol)、及びN−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド酸 トリフルオロ−酢酸塩 (中間体4) (52mg、0.23mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で12h撹拌した。この混合物をエバポレートし、そして残留物を分取HPLCにより精製した。適切なフラクションを凍結乾燥して生成物42mg(収率32%)を白色固体として得た。
【0168】
工程4:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−(1−{4−[(ピペリジン−4−カルボニル)−アミノ]−フェニル}−エチル)− マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩 (実施例84):
工程3由来の生成物(42mgのジクロロメタン(1ml)中懸濁液に、TFA(1.5ml)を加えた。反応混合物を2時間RTで撹拌し、エバポレートし、そして分取HPLCにより精製した。適切なフラクションを凍結乾燥して生成物を白色固体として得た(32mg、収率29%)。
【0169】
実施例88:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−{1−[4−(ピペリジン−3−イルオキシ)−3−トリフルオロメチル−フェニル]− エチル}−マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩
【化90】

【0170】
工程1:
3−(4−アセチル−2−トリフルオロメチル−フェノキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチル エステル
【化91】

水素化ナトリウム(408mg、10.2mmol)のDMSO(15ml)懸濁液に、1−boc−3−ヒドロキシピペリジン (2.00g、10.2mmol)を0℃で加えた。撹拌を10℃で30分間続けて、4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル(trifluormethyl))アセトフェノン (1.40g、6.79mmol)を滴下した。反応混合物をRTで1時間撹拌し、次いで水(200ml)中に0℃で移した。ジクロロメタン(300ml)を加えた。有機相を水(200ml)で洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥した。エバポレーションして粗生成物を酢酸エチル/ヘプタン=1:1を使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物(1.80g、68%)を得た。
【0171】
工程2:
3−[4−(1−アミノ−エチル)−2−トリフルオロメチル−フェノキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
【化92】

酢酸アンモニウム(3.00g、38.72mmol)及び水素化シアノホウ素ナトリウム (243mg、3.87mmol)を、メタノール (25mL)中の工程1由来の生成物(1.50g、3.87mmol)に加えた。反応混合物を6時間60℃で撹拌した。次いでこの混合物を、塩酸(6N)を加えてpH=4にすることによりクエンチした。エバポレーションし、そして粗生成物を分取HPLCにより精製し、適切なフラクションを凍結乾燥することにより所望の生成物(875mg、45%)を得た。
【0172】
工程3:
3−(4−{1−[2−(4−カルバムイミドイル−フェニルカルバモイル)−アセチルアミノ]−エチル}−2−トリフルオロメチル− フェノキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
【化93】

工程3由来の生成物(300mg、0.6mmol)のDMF(3ml)溶液に、TOTU(196mg、0.6mmol)、及びN−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド酸 トリフルオロ−酢酸塩(中間体4) (200mg、0.6mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で1h撹拌した。この混合物をトリフルオロ酢酸で酸性化し、そして分取HPLCにより精製した。適切なフラクションを凍結乾燥して生成物290mg(収率69%)を白色固体として得た。
【0173】
工程4:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−{1−[4−(ピペリジン−3−イルオキシ)−3−トリフルオロメチル−フェニル]− エチル}−マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩 (実施例88):
工程3由来の生成物のジクロロメタン(15ml)溶液にTFA(1.5ml)を加えた。反応混合物を1時間RTで撹拌し、エバポレートし、そして分取HPLCで精製した。適切なフラクションの凍結乾燥により生成物を白色固体として得た(147mg、収率90%)。
【0174】
実施例90:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−[1−(4’−メタンスルホニルアミノ−ビフェニル−3−イル)−エチル]− マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩
【化94】

【0175】
工程1:
N−[3’−(1−アミノ−エチル)−ビフェニル−4−イル]−メタンスルホンアミド
【化95】

(S)− 1−(3−ブロモ−フェニル)−エチルアミン (100mg、0.50mmol)のACN(1.6ml)溶液に、[(4−メチルスルホニル)アミノフェニル]ボロン酸 (108mg、0.50mmol)、炭酸ナトリウム(53mg、0.50mmol)、水(0.5ml)及びテトラキス(トリフェニル−ホスフィン)パラジウム(0)を加えた。反応混合物をマイクロ波を使用して30分間100℃で加熱した。この混合物をろ過し、そして分取HPLCにより精製した。適切なフラクションを凍結乾燥して所望の生成物110mg(収率54%)を得た。
【0176】
工程2:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−[1−(4’−メタンスルホニルアミノ−ビフェニル−3−イル)−エチル]− マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩 (実施例90):
DIPEA (38μl、223μmol)を、工程1由来の生成物(30mg、74μmol)、N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド酸*トリフルオロ−酢酸塩 (中間体4) (25mg、74μMμmol)及びTOTU (24mg、74μmol)のDMF(2mL)溶液に加え、そして得られた溶液を周囲温度で3時間拌した。この混合物をトリフルオロ酢酸で酸性化し、分取HPLCにより精製した。適切なフラクションを凍結乾燥して生成物17mg (収率38%)を白色固体として得た。LC/MS(方法F) (M+H)+: 493.18 (Rt 1.32分)
【0177】
実施例92:
N−{1−[3−ブロモ−4−(モルホリン−4−カルボニル)−フェニル]−エチル}−N’−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩
【化96】

【0178】
工程1:
1−(4−アミノ−3−ブロモ−フェニル)−エタノン
【化97】

N−(4−アセチル−2−ブロモ−フェニル)−アセトアミド (10.0g、39.05mmol)の濃塩酸(200mL)溶液を5時間還流下で撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。残留物を飽和NaHCO3水溶液(75mL)で処理し、CH2Cl2(2 x 70mL)で抽出し、そしてNa2SO4で乾燥した。エバポレーションにより生成物(8.35g、100%)を得てこれをさらに精製することなく工程2で使用した。
【0179】
工程2:
4−アセチル−2−ブロモ−ベンゾニトリル
【化98】

工程1で得られた生成物(9.50g、44.38mmol)の酢酸(160mL)溶液に、硫酸(95%、7.4mL)を0℃で加えた。10分間撹拌した後、NaNO2(3.06g、44.38mmol)の水(30mL)溶液をゆっくりと加えた。撹拌を30分間続けた。反応混合物を、CuCN (3.975g、44.38mmol)及びKCN(8.667g、133.1mmol)の水(60mL)溶液に滴下した。撹拌を0℃で30分間続け、そしてRTで2時間続けた。次いで反応混合物を水(400mL)に注いだ。生じた懸濁液をろ過することにより所望の生成物を赤色固体として得て(5.7g、57%)、これをさらに精製することなく以下の工程で使用した。
【0180】
工程3:
4−アセチル−2−ブロモ−安息香酸
【化99】

工程2で得られた生成物(0.5g、2.23mmol)のAcOH(2.5mL)、H2O (2.5mL)及び濃H2SO4(2.5mL)中の溶液を5時間還流させた。冷却後、反応混合物を10N NaOHを用いてpH=10に調整し、そしてAcOEtで洗浄した。水層を濃HClでpH=1に酸性化し、次いでAcOEtで抽出した。有機相をH2Oで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、そして減圧下でエバポレートした。粗生成物をさらに精製することなく以下の工程で使用した。
【0181】
工程4:
1−[3−ブロモ−4−(モルホリン−4−カルボニル)−フェニル]−エタノン
【化100】

工程3で得られた生成物(230mg、0.95mmol)及びTOTU(310mg、0.95mmol)のDMF(2mL)溶液に、モルホリン (83μL、0.95mmol)及びDIPEA (162μL、0.95mmol)を加えた。反応混合物を2時間RTで撹拌した。酢酸エチル (20ml)及び水(20ml)を加え、有機相を分離し、そして塩酸(1M、20ml)、水(20ml)、ブライン(2x20ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。エバポレーション及びフラッシュクロマトグラフィーをした後、生成物を油状物(160mg、54%)として得た。
【0182】
工程5:
[4−(1−アミノ−エチル)−2−ブロモ−フェニル]−モルホリン−4−イル−メタノン
【化101】

工程4から得られた化合物(160mg、0.51mmol)のMeOH(3mL)溶液に、酢酸アンモニウム(395mg、5.13mmol)及び水素化シアノホウ素ナトリウム (32mg、0.513mmol)を加えた。反応混合物を3時間還流させた。次いでこの混合物を、トリフルオロ酢酸を加えることによりクエンチし(pH=2)、そして乾燥するまでエバポレートした。粗生成物を分取HPLCにより精製し、適切なフラクションを凍結乾燥して所望の生成物を得た。
【0183】
工程6:
N−{1−[3−ブロモ−4−(モルホリン−4−カルボニル)−フェニル]−エチル}−N’−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩
工程5由来の生成物(30mg、70.22mmol)、N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド酸*トリフルオロ−酢酸塩 (中間体4) (23.5mg、70.22mmol)及びTOTU (23mg、70.22mmol)のDMF(1mL)溶液に、DIPEA(36μL、27mg、0.21mmol)を加え、そしてこの溶液を周囲温度で2h撹拌した。この混合物をトリフルオロ酢酸で酸性化し、そして分取HPLCにより精製した。適切なフラクションを凍結乾燥して生成物15mg(収率34%)を白色固体として得た。LC/MS(方法E) (M+H)+: 515.12。
【0184】
実施例103:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−{1−[3−(5−クロロ−チオフェン−2−イル)−4−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−エチル}−マロンアミド; トリフルオロ−酢酸を含む化合物
【化102】

【0185】
工程1:
1−[3−(5−クロロ−チオフェン−2−イル)−4−フルオロ−フェニル]−エタノン
【化103】

2−フルオロ−5−アセチルフェニルボロン酸 (5.00g、27.48mmol)のACN(80mL)及びH2O(20mL)中の溶液に、2−ブロモ−5−クロロチオフェン(5.43g、27.48mmol)、炭酸ナトリウム(2.91g、27.48mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (635mg、0.02mmol)を加えた。反応混合物を3時間還流させた。冷却した後、酢酸エチル(150ml)及び水(150ml)を加えた。水相を酢酸エチルで抽出し、そして合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥した。エバポレーションをし、そして粗生成物を酢酸エチル/ヘプタンシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して所望の生成物(2.95g、42%)を得た。
【0186】
工程2:
1−[3−(5−クロロ−チオフェン−2−イル)−4−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−エタノン
【化104】

テトラヒドロ−ピラン−4−オール(1.01g、5.01mmol)を、0℃で水素化ナトリウム(200mg、5.01mmol)のDMSO(10ml)懸濁液に滴下した。30分間10℃で撹拌した後、工程1で得られた生成物(850mg、3.34mmol)のDMSO(2ml)溶液を滴下し、そして撹拌をRTで1時間続けた。反応を氷/水(50ml)でクエンチした。酢酸エチル (50ml)を加え、そして水相を酢酸エチル(2 x 30ml)で抽出した。合わせた有機をブラインで洗浄し(2 x 50ml)、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そしてエバポレートした。生成物を定量的収率で得、そしてさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0187】
工程3:
1−[3−(5−クロロ−チオフェン−2−イル)−4−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−エチルアミン
【化105】

工程2から得られた化合物(1.20g、3.56mmol)のMeOH(20mL)溶液に、酢酸アンモニウム(2.75g、35.63mmol)及び水素化シアノホウ素ナトリウム(224mg、3.56mmol)を加えた。反応混合物を6h還流させた。次いで冷却した混合物をトリフルオロ酢酸でpH=2に調整し、そして乾燥するまでエバポレートした。粗生成物を分取HPLCにより精製し、そして適切なフラクションを凍結乾燥して所望の生成物(420mg、26%)を得た。
【0188】
工程4:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−{1−[3−(5−クロロ−チオフェン−2−イル)−4−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−エチル}−マロンアミド; トリフルオロ−酢酸を含む化合物:
工程3由来の生成物(420mg、0.93mmol)、N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド酸*トリフルオロ−酢酸塩 (中間体4) (312mg、0.93mmol)及びTOTU(305mg、0.93mmol)のDMF(8mL)溶液に、DIPEA (0.5ml、2.79mmol)を加え、そしてこの溶液を周囲温度で2h撹拌した。この混合物をトリフルオロ酢酸で酸性化し、分取HPLCにより精製した。適切なフラクションを凍結乾燥して生成物232mg (収率38%)を白色固体として得た。
LC/MS(方法E) (M+H)+: 540.16。
【0189】
実施例106:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−{1−[3−(5−クロロ−チオフェン−2−イル)−4−(モルホリン−4−スルホニル)−フェニル]−エチル}−マロンアミド* トリフルオロ−酢酸塩
【化106】

【0190】
工程1:
4−(2,4−ジブロモ−ベンゼンスルホニル)−モルホリン
【化107】

モルホリン(1.6ml、17.9mmol)及びトリエチルアミン(2.1ml、15.5mmol)のテトラヒドロフラン(40mL)溶液に、ジブロモ−ベンゼンスルホニルクロリド(5.00g、15.0mmol)のTHF(10ml)溶液を加えた。反応混合物を2時間RTで撹拌した。次いで、酢酸エチル(80ml)を加えた。有機相を分離し、そして水(20ml)、塩酸(1M、20ml)そしてブライン(20ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。エバポレーション後、生成物を得て(5.95g、100%)、さらに精製することなく次の工程で使用した。
【0191】
工程2:
1−[3−ブロモ−4−(モルホリン−4−スルホニル)−フェニル]−エタノン
【化108】

工程1で得られた生成物(4.8g、12.5mmol)のACN(15ml)溶液に、CuI(119mg、0.62mmol)、PdCl2(PPh3)2及び1−(エトキシビニル)トリブチル−スタンナン(5.4g、14.95mmol)を加えた。この混合物を3h還流させた。冷却後、反応混合物を1N HCl(7ml)で酸性化し、そして20分間撹拌した。反応混合物を、飽和NaHCO3水溶液を用いて中和し、そしてAcOEtで抽出した。有機相をNa2SO4で乾燥し、エバポレートした。粗生成物を酢酸エチル/n−ヘプタンを使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して所望の生成物(2.95g、68%)を得た。
【0192】
工程3:
1−[3−(5−クロロ−チオフェン−2−イル)−4−(モルホリン−4−スルホニル)−フェニル]−エタノン
【化109】

工程2の生成物をACN(16mL)及びH2O(4mL)中に懸濁させた。Na2CO3 (578mg、5.46mmol)、チオフェン−2−クロロ−5−ボロン酸 (887mg、5.46mmol)及びPd(PPh3)4 (630mg、0.55mmol)を加えた。反応混合物を2h還流させた。冷却後、AcOEt及びH2Oを加えた。有機相を飽和NH4Cl及びブラインで洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥した。エバポレーション後、生成物を得(2.2g)、これをさらに精製することなく以下の工程で使用した。
【0193】
工程4:
1−[3−(5−クロロ−チオフェン−2−イル)−4−(モルホリン−4−スルホニル)−フェニル]−エチルアミン
【化110】

工程3から得られた化合物(2.2g、5.7mmol)のMeOH(30mL)溶液に、酢酸アンモニウム(4.39g、57.0mmol)及び水素化シアノホウ素ナトリウム (358mg、5.7mmol)を加えた。反応混合物を4h還流させた。その後、混合物をトリフルオロ酢酸でpH=2に酸性化し、次いで乾燥するまでエバポレートした。粗生成物を分取HPLCにより精製し、そして適切なフラクションを凍結乾燥して所望の生成物(0.96g、34%)を得た。
【0194】
工程5:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−{(S)−1−[4−(モルホリン−4−スルホニル)−3−トリフルオロメチル−フェニル(henyl)]−エチル}−マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩
工程4由来の生成物(0.96g、1.92mmol)、N−(4−カルバミイミドイル−フェニル)−マロンアミド酸*トリフルオロ−酢酸塩 (中間体4) (0.64g、1.92mmol)及びTOTU (0.63g、1.92mmol)のDMF(18mL)溶液に、DIPEA (1.0mL、5.75mmol)を加え、そしてこの溶液を周囲温度で12h撹拌した。この混合物をトリフルオロ酢酸で酸性化し、そして分取HPLCで精製した。適切なフラクションを凍結乾燥して生成物0.62g(収率45%)を白色固体として得た。
【0195】
実施例125:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−{1−[4−(モルホリン−4−スルホニル)−3−チアゾール−2−イル−フェニル]− エチル}−マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩
【化111】

【0196】
工程1:
1−[3−ブロモ−4−(モルホリン−4−スルホニル)−フェニル]−エチルアミン
【化112】

酢酸アンモニウム(555mg、7.20mmol)及び水素化シアノホウ素ナトリウム(45mg、0.72mmol)を、実施例106、工程2由来の生成物(250mg、0.72mmol)のメタノール(4mL)溶液に加えた。反応混合物を3時間60℃で撹拌した。次いでこの混合物を、塩酸(6N)を加えてpH=2にすることによりクエンチした。エバポレーションし、そして粗生成物を分取HPLCにより精製し、そして適切なフラクションを凍結乾燥することにより所望の生成物 (120mg、48%)を得た。
【0197】
工程2:
1−[4−(モルホリン−4−スルホニル)−3−チアゾール−2−イル−フェニル]−エチルアミン
【化113】

工程1で得られたアミン(100mg、286μmol)のTHF(0.3ml)溶液に、炭酸ナトリウム(30mg、286μM)、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(20mg、29μmol)及び臭化2−チアトリル(thiatolyl)亜鉛(1.145ml、573μmol)を加えた。この懸濁液を、マイクロ波を使用して90分間120℃で加熱した。反応混合物をRTまで冷却してジクロロメタン(20ml)を加えた。有機相を塩化水素(2N、20ml)で洗浄し、そして水相をpH=11に調整した。水相をジクロロメタン(2 x 20ml)で抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレートした。所望のアミンを得て(収量: 60mg、59%)、さらに精製するすることなく以下の反応で使用した。
【0198】
工程3:
N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−N’−{1−[4−(モルホリン−4−スルホニル)−3−チアゾール−2−イル−フェニル]− エチル}−マロンアミド*トリフルオロ−酢酸塩 (実施例125):
工程3由来の生成物(60mg、0.17mmol)、N−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド酸*トリフルオロ−酢酸塩 (中間体4) (57mg、0.17mmol)及びTOTU (56g、0.17mmol)のDMF(1.5mL)溶液に、DIPEA (58μL、0.34mmol)を加え、そしてこの溶液を周囲温度で10h撹拌した。混合物をトリフルオロ酢酸で酸性化し、そして分取HPLCにより精製した。適切なフラクションを凍結乾燥して生成物を白色固体として得た。
【0199】
以下の実施例を、上記と同様にして製造した。
【0200】
【表1】

【0201】
【表2】

【0202】
【表3】

【0203】
【表4】

【0204】
【表5】

【0205】
【表6】

【0206】
【表7】

【0207】
【表8】

【0208】
【表9】

【0209】
【表10】

【0210】
【表11】

【0211】
【表12】

【0212】
【表13】

【0213】
【表14】

【0214】
【表15】

【0215】
【表16】

【0216】
【表17】

【0217】
【表18】

【0218】
【表19】

【0219】
【表20】

【0220】
【表21】

【0221】
【表22】

【0222】
【表23】

【0223】
【表24】

【0224】
【表25】

【0225】
【表26】

【0226】
【表27】

【0227】
【表28】

【0228】
【表29】

【0229】
【表30】

【0230】
LC/MSスペクトルを以下の方法に従って記録した:
方法A: カラム: YMC J’shere H80 33x2.1mm 4μm
溶媒:ACN+0.05%TFA:H2O+0.05%TFA (流量1.3mL/分)
グラジエント:5:95 (0分)〜95:5 (2.5分)〜95:5 (3.0分)
イオン化:ESI+
方法B: カラム: Synergi Hydro−RP 20x4.0 mm、2μm
溶媒:H2O+0.1% ギ酸: ACN+0.1% ギ酸
グラジエント:90:10 (0分)〜10:90 (3分)〜0:100 (5分)
MS方法: LCTシステム、スキャン範囲100−1000
イオン化:ESI+
方法D: カラム: YMC J’shere ODS H80 20x2.1mm 4μm
溶媒:ACN:H2O+0.05%TFA (流量1mL/分)
グラジエント:4:96 (0分)〜95:5 (2分)〜95:5 (2.4分)〜96:4 (2.45分)
イオン化:ESI+
方法E: カラム: YMC J’shere 33x2 mm、4μm
溶媒:H2O+0.05%TFA : ACN+0.05%TFA 95:5 (0分)〜5:95 (2.5分)〜95:5
MS方法: LCTシステム、質量170 − 1300についてスキャン時間0.33秒
イオン化:ESI+
方法F: カラム: YMC J’shere 33x2 mm、4μm
溶媒:H2O+0.05%TFA : ACN+0.05%TFA 95:5 (0分)〜5:95 (3.7分)
MS方法: MUXシステム 質量100 − 1500についてスキャン時間0.15秒
イオン化:ESI+
方法L: カラム: (S,S) Whelk−O1、250x4 mm,
溶媒:Hep:EtOH:MeOH 1:1:1+0,1% NH4Ac
イオン化:ESI+
分取HPLCを以下の方法に従って行った:
カラム: Waters Atlantis dC18 OBD 30x100mm 5μm
溶媒:ACN:H2O+0.1%TFA (流量60mL/分)
グラジエント:10:90 (0分)〜90:10 (10分)
【0231】
薬理試験
第VIIa因子又は第Xa因子、トロンビン、プラスミン、若しくはトリプシンのような他の酵素を阻害する式I及びIaの化合物の能力を、酵素活性を50%阻害する式I及びIaの化合物の濃度、すなわちIC50値、(これは阻害定数Kiに関連する)を決定することにより評価することができる。精製した酵素を発色(chromogenic)アッセイにおいて使用した。基質加水分解速度の50%の減少を生じる阻害剤の濃度を、加水分解の(阻害されていないコントロールと比較した)相対的速度を式I及びIaの化合物の濃度の対数に対してプロットした後に線形回帰法により決定した。阻害定数Kiを計算するために、IC50値を、式 Ki=IC50/{1+ (基質濃度/Km)}[式中、KmはMichaelis−Menten定数(Chen and Prusoff、Biochem. Pharmacol. 22 (1973)、3099−3108; I. H. Segal、Enzyme Kinetics、1975、John Wiley & Sons、New York、100−125; これらは参照により本明細書に加入される)である]を使用して基質との競合について修正した。
【0232】
第VIIa因子(FVIIa)アッセイ
第VIIa因子に対する式I及びIaの化合物の阻害活性(阻害定数Ki(FVIIa)として表される)/組織因子活性を、本質的に以前に記載されるように(J. A. Ostrem et al.、Biochemistry 37 (1998) 1053−1059、これは参照により本明細書に加入される)、発色アッセイを使用して決定した。動力学的アッセイを25℃にてハーフエリアマイクロタイタープレート(Costar Corp.、Cambridge、Massachusetts)でキネティックプレートリーダー(Molecular Devices Spectramax 250)を使用して行った。典型的なアッセイは、10% DMSO/TBS−PEG緩衝液(50mM Tris、15mM NaCl、5mM CaCl2、0.05% PEG 8000、pH8.15)中の阻害剤希釈40μlと混合された25μl ヒト第VIIa因子及びTF(5nM及び10nM、それぞれ最終濃度)で構成される。15分のプレインキュベーション期間後に、発色基質S−2288 (D−Ile−Pro−Arg−p−ニトロアニリド、Pharmacia Hepar Inc.、最終濃度500μM)35μlを加えることによりアッセイを開始した。
【0233】
以下の試験結果(阻害定数Ki(FVIIa))を得た。
【表31】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
全てのその立体異性体形態及び任意の比のそれらの混合物である、式I
【化1】

〔式中、
T1およびT2は互いに独立して、非置換であるかまたはR12で置換される炭素原子、および窒素原子からなる群より選択され、
D1及びD2は互いに独立して、
1) 水素原子、
2) −C(O)−(C1−C6)−アルキル、
3) −C(O)−(C0−C6)−アルキレン−アリール、
4) −C(O)−O−(C1−C6)−アルキルまたは
5) −C(O)−O−(C0−C6)−アルキレン−アリール、
6) −C(O)−O−(C1−C6)−アルキレン−O−C(O)−(C1−C6)−アルキルであり、
D2が
1) −OH、
2) −O−C(O)−(C1−C6)−アルキルまたは
3) −O−C(O)−(C0−C6)−アルキレン−アリール、
4) −C(O)−O−(C1−C6)−アルキレン−O−C(O)−(C1−C6)−アルキルである場合、D1は水素原子であり、
R1及びR2は互いに独立して、
1) 水素原子、
2) −OHまたは
3) −(C0−C6)−アルキレン−T−(C0−C6)−アルキレン−Wであり、
ここでTは酸素原子、硫黄原子、−SO2−または−N(R17)−であり、
R17は水素原子または−(C1−C6)−アルキルであり、ここでアルキルは非置換であるかまたは互いに独立してR13で一置換、二置換、三置換もしくは四置換され、
Wは水素原子またはアリールであり、ここでアリールは非置換であるかまたは互いに独立してR13で一置換、二置換、三置換もしくは四置換され、
R7、R8、R12、R14、R15及びR16は互いに独立して、
1) 水素原子、
2) −(C1−C6)−アルキル、
3) −OH、
4) −O−(C1−C6)−アルキル、
5) ハロゲン又は
6) −NH2であり、
Xは1) ハロゲン、
2) −(C1−C3)−ペルフルオロアルキル,
3) −O−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、
4) −S(O)n−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、[ここでnは整数1又は2である]、
5) −(C0−C4)−アルキレン−アリール、[ここでアリールは非置換であるか又は互いに独立してR13で一置換、二置換、三置換もしくは四置換され、
ここでR13はハロゲン、−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、−(C1−C4)−アルキル、−(C0−C6)−アルキレン−O−R6、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−R6、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、−O−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、−S(O)r−(C1−C4)−アルキル、[ここでrは整数1又は2である]又は−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C7)−シクロアルキルであり、
ここでR6は水素原子又は−(C1−C6)−アルキルである]、
6) −(C0−C4)−アルキレン−Het、[ここでHetは1、2又は3つの環からなる複素環であり、ここで4〜15個の環炭素原子のうち1個又はそれ以上は、窒素、酸素又は硫黄の群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で置き換えられており、そしてここでHetは非置換であるか又は互いに独立してR5で一置換、二置換、三置換もしくは四置換され、
ここでR5は、−(C1−C4)−アルキル、ハロゲン、=O、−(C0−C6)−アルキレン−O−R6、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−R6、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C7)−シクロアルキル、又は−(C0−C4)−アルキレン−アリールであり、
ここでアリールは非置換であるか又は互いに独立してR13で一置換、二置換、三置換もしくは四置換される]、若しくは
7) 水素原子であり、
Yは、1) −N(R4)−、[ここでR4は水素原子又は−(C1−C6)−アルキルである]、
2) −C(O)−、
3) −C(O)−N(R4)−、
4) −N(R4)−C(O)−、
5) −O−、
6) −S(O)n−、[ここでnは整数0、1又は2である]、若しくは
7) −S(O)m−N(R4)−、[ここでmは整数0、1又は2である]であり、
Zは、1) −(C0−C4)−アルキレン−Het、[ここでHetは非置換であるか又は互いに独立してR5で一置換、二置換、三置換もしくは四置換される]、
2) −(C1−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、
3) −(C1−C6)−アルキレン−O−R9、
[ここでR9は水素原子又は−(C1−C6)−アルキルである]、
4) −(C1−C6)−アルキレン−N(R10)−R11、
[ここでR10及びR11は互いに独立して水素原子、−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−R6、−(C0−C4)−アルキレン−O−R6又は−(C1−C6)−アルキルである]、
5) −(C0−C4)−アルキレン−C(O)−R6,
6) −(C2−C6)−アルキニル、
7) −(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、
8) −(C0−C4)−アルキレン−(C3−C7)−シクロアルキル−R5,
9) −(C1−C4)−アルキレン−アリール、[ここでアリールは非置換であるか又は互いに独立してR13で一置換、二置換、三置換もしくは四置換される]、
10) フェニル、[ここでフェニルは互いに独立して−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C7)−シクロアルキル、=O、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、−(C1−C6)−アルキレン−O−R6又は−S(O)s−(C1−C3)−アルキル、[ここでsは整数0、1又は2である]で一置換、二置換、三置換もしくは四置換される]、
11) −S(O)r−(C1−C3)−アルキル、[ここでrは整数0、1又は2であり、ただしYは−N(R4)−である]、若しくは
12) −(C1−C3)−ペルフルオロアルキルであるか、又は
Y及びZは一緒になって水素原子であり、かつXが
1) −(C1−C3)−アルキル−CN、
2) −(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、
3) −O−(C1−C3)−、
4) −S(O)m−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、[ここでmは整数1又は2である]、
5) −(C0−C4)−アルキレン−Het、[ここでHetは互いに独立してアリールで一置換、二置換、三置換又は四置換される]、若しくは
6) −N(R3)−S(O)pで置換されたフェニル、[ここでR3は水素原子又は−(C1−C6)−アルキルであり、そしてpは整数1又は2である]である〕
の化合物、及びその生理学的に許容しうる塩。
【請求項2】
全てのその立体異性体形態及び任意の比のそれらの混合物である、式Ia
【化2】

〔式中、
D1及びD2はそれぞれ水素原子であり、
Xは、1) フッ素、塩素、臭素及びヨウ素の群から選択されるハロゲン、
2) −(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、
3) −O−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、
4) −S(O)n−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、[ここでnは整数1又は2である]、
5) −(C0−C4)−アルキレン−アリール、[ここでアリールは、非置換であるか又は互いに独立してR13で一置換、二置換、三置換もしくは四置換される、フェニル、ナフチル、ビフェニリル、アントリル又はフルオレニルの群から選択され、
ここでR13はハロゲン、−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、−(C1−C4)−アルキル、−(C0−C6)−アルキレン−O−R6、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−R6、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、−O−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、−S(O)r−(C1−C4)−アルキル、[ここでrは整数1又は2である]又は−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C7)−シクロアルキルであり、
ここでR6は水素原子又は−(C1−C6)−アルキルである]、
6) −(C0−C4)−アルキレン−Het、[ここでHetは、アクリジニル、アザインドール(1H−ピロロピリジニル)、アザベンゾイミダゾリル、アザスピロデカニル、アゼピニル、アゼチジニル、アジリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、4,5−ジヒドロオキサゾリニル、ジオキサゾリル、ジオキサジニル、1,3−ジオキソラニル、1,3−ジオキソレニル、3,3−ジオキソ[1,3,4]オキサチアジニル、6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]−テトラヒドロフラニル、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インダニル、1H−インダゾリル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、2−イソオキサゾリニル、ケトピペラジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2−オキサ−チエパニル、1,2−オキサチオラニル、1,4−オキサゼパニル、1,4−オキサゼピニル、1,2−オキサジニル、1,3−オキサジニル、1,4−オキサジニル、オキサゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリル、オキセタニル、オキソカニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾリル、ピリドイミダゾリル、ピリドチアゾリル、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリジノニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラジニル、テトラゾリル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、1,2−チアジニル、1,3−チアジニル、1,4−チアジニル、1,3−チアゾリル、チアゾリル、チアゾリジニル、チアゾリニル、チエニル、チエタニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チエタニル、チオモルホリニル、チオフェノリル、チオフェニル、チオピラニル、1,2,3−トリアジニル、1,2,4−トリアジニル、1,3,5−トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル及びキサンテニルの群から選択され、そしてここでHetは非置換であるか又は互いに独立してR5で一置換、二置換、三置換もしくは四置換され、ここでR5は−(C1−C4)−アルキル、ハロゲン、=O、−(C0−C6)−アルキレン−O−R6、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−R6、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C7)−シクロアルキル、又は−(C0−C4)−アルキレン−アリールであり、ここでアリールは非置換であるか又は互いに独立してR13で一置換、二置換、三置換もしくは四置換される]、若しくは
7) 水素原子であり、
Yは、1) −N(R4)−、[ここでR4は水素原子又は−(C1−C6)−アルキルである]、
2) −C(O)−、
3) −C(O)−N(R4)−、
4) −N(R4)−C(O)−、
5) −O−、
6) −S(O)n−、[ここでnは整数0、1又は2である]、若しくは
7) −S(O)m−N(R4)−、[ここでmは整数0、1又は2である]であり、
Zは、1) −(C0−C4)−アルキレン−Het、[ここでHetは非置換であるか又は互いに独立してR5で一置換、二置換、三置換もしくは四置換される]、
2) −(C1−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、
3) −(C1−C6)−アルキレン−O−R9、
[ここでR9は水素原子又は−(C1−C6)−アルキルである]、
4) −(C1−C6)−アルキレン−N(R10)−R11、[ここでR10及びR11は互いに独立して、水素原子、−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−R6、−(C0−C4)−アルキレン−O−R6又は−(C1−C6)−アルキルである]、
5) −(C0−C4)−アルキレン−C(O)−R6、
6) −(C2−C6)−アルキニル、
7) −(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、
8) −(C0−C4)−アルキレン−(C3−C7)−シクロアルキル−R5、
9) −(C1−C4)−アルキレン−アリール、[ここでアリールは上で定義されたとおりであり、そして非置換であるか又は互いに独立してR13で一置換、二置換、三置換もしくは四置換される]、
10) フェニル、[ここでフェニルは互いに独立して−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C7)−シクロアルキル、=O、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、−(C1−C6)−アルキレン−O−R6又は−S(O)s−(C1−C3)−アルキルで一置換、二置換、三置換又は四置換され、ここでsは整数0、1又は2である]、
11) −S(O)r−(C1−C3)−アルキル、[ここでrは整数0、1又は2であり、ただしYは−N(R4)−である]、若しくは
12) −(C1−C3)−ペルフルオロアルキルであるか、又は
Y及びZは一緒になって水素原子であり、かつXは
1) −(C1−C3)−アルキル−CN、
2) −(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、
3) −O−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、
4) −S(O)m−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、[ここでmは整数1又は2である]、
5) −(C0−C4)−アルキレン−Het、[ここでHetは互いに独立してアリールで一置換、二置換、三置換、又は四置換され、ここでアリールはフェニル、ナフチル、ビフェニリル、アントリル又はフルオレニルの群から選択される]、若しくは
6) −N(R3)−S(O)pで置換されたフェニル、[ここでR3は水素原子又は−(C1−C6)−アルキルであり、そしてpは整数1又は2である]である〕
の請求項1に記載の化合物、及びその生理学的に許容しうる塩。
【請求項3】
全てのその立体異性体形態及び任意の比のそれらの混合物である、式中、
D1及びD2はそれぞれ水素原子であり、
Xは、1) 塩素、臭素若しくはフッ素、
2) −(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、
3) −O−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、
4) −S(O)n−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、[ここでnは整数1又は2である]、
5) −(C0−C4)−アルキレン−フェニル、[ここでフェニルは非置換であるか又は互いに独立してR13で一置換、二置換、三置換もしくは四置換され、
ここでR13は塩素、臭素、フッ素、−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、−(C1−C4)−アルキル、−(C0−C6)−アルキレン−O−R6、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−R6、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、−O−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、−S(O)r−(C1−C4)−アルキル、[ここでrは整数1又は2である];又は−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C7)−シクロアルキルであり、
ここでR6は水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである]、
6) −(C0−C4)−アルキレン−Het、[ここでHetは、アクリジニル、アザインドール(1H−ピロロピリジニル)、アザベンゾイミダゾリル、アザスピロデカニル、アゼピニル、アゼチジニル、アジリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、4,5−ジヒドロオキサゾリニル、ジオキサゾリル、ジオキサジニル、1,3−ジオキソラニル、1,3−ジオキソレニル、3,3−ジオキソ[1,3,4]オキサチアジニル、6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]−テトラヒドロフラニル、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インダニル、1H−インダゾリル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、2−イソオキサゾリニル、ケトピペラジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2−オキサ−チエパニル、1,2−オキサチオラニル、1,4−オキサゼパニル、1,4−オキサゼピニル、1,2−オキサジニル、1,3−オキサジニル、1,4−オキサジニル、オキサゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリル、オキセタニル、オキソカニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾリル、ピリドイミダゾリル、ピリドチアゾリル、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリジノニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラジニル、テトラゾリル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、1,2−チアジニル、1,3−チアジニル、1,4−チアジニル、1,3−チアゾリル、チアゾリル、チアゾリジニル、チアゾリニル、チエニル、チエタニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チエタニル、チオモルホリニル、チオフェノリル、チオフェニル、チオピラニル、1,2,3−トリアジニル、1,2,4−トリアジニル、1,3,5−トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル及びキサンテニルの群から選択され、そしてここでHetは非置換であるか又は互いに独立してR5で一置換、二置換、三置換もしくは四置換され、
ここでR5は−(C1−C4)−アルキル、塩素、臭素、フッ素、=O、−(C0−C6)−アルキレン−O−R6、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−R6、−(C0−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C7)−シクロアルキル、又は−(C0−C4)−アルキレン−フェニルであり、ここでフェニルは非置換であるか互いに独立してR13で一置換、二置換、三置換もしくは四置換される]であり、
Yは、1) −N(R4)−、[ここでR4は水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである]、
2) −C(O)−、
3) −C(O)−N(R4)−、
4) −N(R4)−C(O)−、
5) −O−、
6) −S(O)n−、[ここでnは整数0、1又は2である]、又は
7) −S(O)m−N(R4)−、[ここでmは整数0、1又は2である]であり、
Zは、1) −(C0−C4)−アルキレン−Het、[ここでHetは上で定義されたとおりであり、そしてここでHetは非置換であるか又は互いに独立してR5で一置換、二置換、三置換もしくは四置換される]、
2) −(C1−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、
3) −(C1−C6)−アルキレン−O−R9、
[ここでR9は水素原子又は−(C1−C6)−アルキルである]、
4) −(C1−C6)−アルキレン−N(R10)−R11、[ここでR10及びR11は互いに独立して水素原子、−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−R6、−(C0−C4)−アルキレン−O−R6又は−(C1−C6)−アルキルである]、
5) −(C0−C4)−アルキレン−C(O)−R6、
6) −(C0−C4)−アルキレン−(C3−C7)−シクロアルキル−R5、又は
7) −(C0−C4)−アルキレン−アリール、[ここでアリールは、フェニル、ナフチル、ビフェニリル、アントリル又はフルオレニルの群から選択され、そしてここでアリールは互いに独立してR13で一置換、二置換、三置換もしくは四置換され、
ここでR13は−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C7)−シクロアルキル、=O、−(C1−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6又は−(C1−C4)−アルキレン−O−R6である]である、
請求項2に記載の式Iaの化合物、及びその生理学的に許容しうる塩。
【請求項4】
全てのその立体異性体形態及び任意の比のそれらの混合物である、式中
D1及びD2はそれぞれ水素原子であり、
Xは、1) 塩素、臭素若しくはフッ素、
2) −CF3
3) −O−CF3
4) −O−CH2−CHF2
5) −O−CH2−CH2−CH2F、
6) −O−CH2−CF3
7) フェニル、[ここでフェニルは非置換であるか又は互いに独立してR13で一置換若しくは二置換され、
ここでR13は塩素、臭素、フッ素、−O−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、−O−R6、−C(O)−O−R6又は−S(O)2−(C1−C2)−アルキルであり、
ここでR6は水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである]、又は
8) Het1、[ここでHet1は、ピリジン、ピリミジン、チアゾール又はチエニルの群から選択され、ここでHetは非置換であるか又は塩素、臭素、フッ素若しくは−C(O)−O−R6で置換される]であり、
Yは、1) −N(R4)−、[ここでR4は水素原子又はメチルである]、
2) −C(O)−、
3) −C(O)−N(R4)−、
4) −NH−C(O)−、
5) −O−、
6) −S(O)−、
7) −S(O)2−、又は
8) −S(O)2−N(R4)−であり、
Zは、1) −(C0−C3)−アルキレン−Het、[ここでHetは、1,3−ジオキソラニル、フラニル、モルホリニル、[1,4]−オキサゼパニル、オキセタニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリル、チエニルの群から選択され、そしてここでHetは非置換であるかまたは互いに独立してR5で一置換、二置換若しくは三置換され、
ここでR5は水素原子、−(C1−C2)−アルキル、−シクロプロピル、=O、フェニル、フッ素、−(C0−C2)−アルキレン−C(O)−O−R6、−O−R6、C(O)−R6、又は−(C1−C2)−アルキレン−O−R6であり、
ここでR6は水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである]、
2) −(C1−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、
3) −(C1−C6)−アルキレン−O−R9、
[ここでR9は水素原子又は−(C1−C3)−アルキルである]、
4) −(C1−C4)−アルキレン−N(R10)−R11、
[ここでR10及びR11は互いに独立して、水素原子、−(C0−C4)−アルキレン−O−R6又は−(C1−C2)−アルキルである]、
5) −(C0−C2)−アルキレン−C(O)−R6、又は
6) −(C0−C2)−アルキレン−シクロヘキシル−R5である、
請求項2または3に記載の式Iaの化合物、及びその生理学的に許容しうる塩。
【請求項5】
全てのその立体異性体形態及び任意の比のそれらの混合物である、式中、
D1及びD2はそれぞれ水素原子であり、
Xは、1) 塩素、臭素若しくはフッ素、
2) −CF3
3) −O−CF3
4) −O−CH2−CHF2
5) −O−CH2−CH2−CH2F、
6) −O−CH2−CF3
7) フェニル、[ここでフェニルは非置換であるか又は互いに独立してR13で一置換若しくは二置換され、
ここでR13は塩素、臭素、フッ素、−O−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、−O−R6、−C(O)−O−R6又は−S(O)2−(C1−C2)−アルキルであり、
ここでR6は水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである]、又は
8) Het1、[ここでHet1はピリジン、ピリミジン、チアゾール又はチエニルであり、ここでHetは非置換であるか又は塩素、臭素、フッ素若しくは−C(O)−O−R6で置換される]であり、
Yは−O−であり、
Zは、1) −(C0−C3)−アルキレン−Het、[ここでHetは、1,3−ジオキソラニル、フラニル、モルホリニル、[1,4]−オキサゼパニル、オキセタニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリル、チエニルの群から選択され、そしてここでHetは非置換であるか又は互いに独立してR5で一置換、二置換若しくは三置換され、ここでR5は水素原子、−(C1−C2)−アルキル、−シクロプロピル、=O、フェニル、フッ素、−(C0−C2)−アルキレン−C(O)−O−R6、−O−R6、C(O)−R6、又は−(C1−C2)−アルキレン−O−R6であり、
ここでR6は水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである]、
2) −(C1−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、
3) −(C1−C6)−アルキレン−O−R9、
[ここでR9は水素原子又は−(C1−C3)−アルキルである]、
4) −(C1−C4)−アルキレン−N(R10)−R11、
[ここでR10及びR11は互いに独立して、水素原子、−(C0−C4)−アルキレン−O−R6又は−(C1−C2)−アルキルである]、
5) −(C0−C2)−アルキレン−C(O)−R6、又は
6) −(C0−C2)−アルキレン−シクロヘキシル−R5である、
請求項2〜4のいずれか1項に記載の式Iaの化合物及びその生理学的に許容しうる塩。
【請求項6】
全てのその立体異性体形態及び任意の比のそれらの混合物である、式中、
D1はD2はそれぞれ水素原子であり、
Xは、1) 塩素、臭素若しくはフッ素、
2) −CF3
3) −O−CF3
4) −O−CH2−CHF2
5) −O−CH2−CH2−CH2F、
6) −O−CH2−CF3
7) フェニル、[ここでフェニルは非置換であるか又は互いに独立してR13で一置換若しくは二置換され、
ここでR13は塩素、臭素、フッ素、−O−(C1−C3)−ペルフルオロアルキル、−O−R6、−C(O)−O−R6又は−S(O)2−(C1−C2)−アルキルであり、
ここでR6は水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである]、又は
8) Het1、[ここでHet1は、ピリジン、ピリミジン、チアゾール又はチエニルの群から選択され、ここでHetは非置換であるか又は塩素、臭素、フッ素若しくは−C(O)−O−R6で置換される]であり、
Yは−S(O)2−であり、
Zは、1) −(C0−C3)−アルキレン−Het、[ここでHetは、1,3−ジオキソラニル、フラニル、モルホリニル、[1,4]−オキサゼパニル、オキセタニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリル、チエニルの群から選択され、そしてここでHetは非置換であるか又は互いに独立してR5で一置換、二置換若しくは三置換され、ここでR5は水素原子、−(C1−C2)−アルキル、−シクロプロピル、=O、フェニル、フッ素、−(C0−C2)−アルキレン−C(O)−O−R6、−O−R6、C(O)−R6、又は−(C1−C2)−アルキレン−O−R6であり、
ここでR6は水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである]、
2) −(C1−C6)−アルキレン−C(O)−O−R6、
3) −(C1−C6)−アルキレン−O−R9、
[ここでR9は水素原子又は−(C1−C3)−アルキルである]、
4) −(C1−C4)−アルキレン−N(R10)−R11、
[ここでR10及びR11は互いに独立して水素原子、−(C0−C4)−アルキレン−O−R6又は−(C1−C2)−アルキルである]、
5) −(C0−C2)−アルキレン−C(O)−R6、又は
6) −(C0−C2)−アルキレン−シクロヘキシル−R5である、
請求項2〜4のいずれか1項に記載の式Iaの化合物、及びその生理学的に許容しうる塩。
【請求項7】
N−(4−シアノ−フェニル)−マロンアミド酸エチルエステル、N−(4−シアノ−フェニル)−マロンアミド酸、N−[4−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)−フェニル]−マロンアミド酸エチルエステル及びN−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−マロンアミド酸からなる群から選択される、請求項2に記載の式Iaの化合物。
【請求項8】
全てのその立体異性体形態及び任意の比のそれらの混合物である、式中、
D1及びD2はそれぞれ水素原子であり、
Y及びZは一緒になって水素原子であり、そして
Xは1) −(C1−C3)−アルキル−CN、
2) −CF2−CF3
3) −O−CF2−CHF2
4) −O−CH2−CF3
5) −S(O)−CF3
6) −S(O)2−CF3
7) フェニルで置換されたイミダゾリル、又は
8) −NH−S(O)2−メチルで置換されたフェニルである、
請求項2に記載の式Iaの化合物、及びその生理学的に許容しうる塩。
【請求項9】
全てのその立体異性体形態及び任意の比のそれらの混合物である、式中、
D1及びD2はそれぞれ水素原子であり、
Xは水素原子であり、
Yは1) −NH−、
2) −NH−C(O)−又は
3) −S(O)2−であり、そして
Zは1) Het、[ここでHetはモルホリニル及びピペリジニルから選択される]、又は
2) −S(O)2−メチル、[ただしYは−NH−である]である、
請求項2に記載の式Iaの化合物、及びその生理学的に許容しうる塩。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の式I又はIaの化合物の製造方法であって、式III、IV、及びVのビルディングブロック
【化3】

[式中、R20及びR21は独立して−OH、F、Cl又は、カルボニル基と共にエステル、若しくは活性化エステル、若しくは混成酸無水物、若しくはカルボン酸とカップリング試薬との反応から生じるあらゆる他の活性化種であり、そしてR1、R2、R7、R8、R14、R15、R16、T1、T2、X、Y及びZは式Iについて定義されたとおりである]を、
式IIIに示されるカルボン酸誘導体と式IVに示されるNH2−基との間のアミド結合、及び式IIIに示されるカルボン酸誘導体と式Vに示されるNH2−基との間のアミド結合又はエステル結合を形成することにより、連結することを含む、方法。
【請求項11】
全てのその立体異性体形態及び任意の比のそれらの混合物である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の式I及び式Iaの少なくとも1つの化合物又はその生理学的に許容しうる塩、並びに薬学的に許容しうる担体を含む、医薬製剤。
【請求項12】
第VIIa因子の阻害のため又は血液凝固若しくは繊維素溶解に影響を与えるための薬剤の製造のための、全てのその立体異性体形態及び任意の比のそれらの混合物である請求項1〜9のいずれか1項に記載の式I及び式Iaの化合物又はそれらの生理学的に許容しうる塩の使用。
【請求項13】
異常血栓形成、急性心筋梗塞、心臓血管疾患、不安定狭心症、血栓塞栓症、血栓溶解療法又は経皮経管冠動脈形成(PTCA)に伴う急性血管閉鎖、一過性虚血発作、脳卒中、間欠性跛行、冠状動脈又は末梢動脈のバイパス移植術、血管腔狭窄、冠動脈又は静脈血管形成術後の再狭窄、長期血管透析患者における血管アクセス開通性の維持、腹部、膝若しくは股関節部の手術後の下肢の静脈において発生する病的血栓形成、腹部、膝及び股関節部の手術後の下肢の静脈において発生する病的血栓形成、肺血栓塞栓症の危険性、又は敗血性ショック、ウイルス感染若しくは癌の間に血管系において発生する播種性全身性脈管内凝固性疾患、又は炎症性応答の減少、繊維素溶解;又は冠状動脈性心臓病、心筋梗塞、狭心症、血管再狭窄、例えばPTCAのような血管形成術後の再狭窄、成人呼吸窮迫症候群、多臓器不全及び手術後に発生し得る播種性血管内凝固障害、深部静脈若しくは近位静脈血栓症の処置のための、請求項12に記載の使用。

【公表番号】特表2010−532769(P2010−532769A)
【公表日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515374(P2010−515374)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際出願番号】PCT/EP2008/005187
【国際公開番号】WO2009/007015
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(399050909)サノフィ−アベンティス (225)
【Fターム(参考)】