説明

抗血液凝固作用を有する高分子化合物

【課題】本発明は、血小板が関与する一次止血の段階と血液凝固因子が関与する凝固血栓形成の段階における双方の血液凝固反応を阻害でき、医療器材又は医療材料の表面に抗血液凝固活性を保持した状態で強固に固定化できる高分子化合物を提供すること。
【解決手段】本発明は、血小板の付着を阻害する共重合体と、下記の一般式(I)で示される化合物とが結合している、高分子化合物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗血液凝固作用を有する高分子化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
血液を固めるために必要な血液凝固反応は、様々な血液凝固因子が関与する極めて複雑な反応であるが、血小板が関与する一次止血の段階と、トロンビンのような血液凝固因子が関与してフィブリンを安定強化する凝固血栓形成の段階が特に重要であると考えられている。
【0003】
血液凝固反応は、怪我等による出血を止血に導くために不可欠なものであるが、一方で、人工透析において血液と体外循環回路等の医療器材や医療材料との接触により血液凝固反応が進行した場合には、形成された凝固血栓によって循環圧力の上昇や血管の閉塞を生じさせる危険性もある。
【0004】
これらの危険性を軽減する方法として、人工透析を受ける患者に予め抗血液凝固剤であるヘパリンを投与して血液凝固を防ぐ方法が知られているが、ヘパリンの過剰投与には副作用があること、投与量の管理が煩雑であること、出血傾向にある患者には適用できないこと等といった多くの問題点がある。
【0005】
最近では、これらの問題点を回避するために、ヘパリンを含む抗血液凝固作用を有する化合物を血液回路等の医療器材や医療材料の表面に固定化し、治療中の血液凝固を防ごうとする試みが報告されている(特許文献1〜9)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2003−507082号公報
【特許文献2】特開2001−213984号公報
【特許文献3】特表2004−525888号公報
【特許文献4】特開2006−291193号公報
【特許文献5】国際公開第08/032758号公報
【特許文献6】特開2009−225824号公報
【特許文献7】特開2010−082067号公報
【特許文献8】特開2007−181691号公報
【特許文献9】特開2007−181692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、血液回路等の医療器材や医療材料の表面に固定化する抗血液凝固作用を有する化合物として、血小板が関与する一次止血の段階と血液凝固因子が関与する凝固血栓形成の段階における双方の血液凝固反応を阻害できる具体的な化合物は未だ開発されていないのが現状である。また、従来の抗血液凝固作用を有する化合物を医療器材や医療材料の表面に固定化しようとしても、十分な抗血液凝固活性を保持した状態で固定化することは困難であり、たとえ固定化に成功した場合であっても、治療中に固定化した化合物が医療器材や医療材料から離れ、血液中に溶出してしまう問題点があった。さらに、血小板が関与する一次止血の段階と血液凝固因子が関与する凝固血栓形成の段階における双方の血液凝固反応を阻害するために複数の化合物を用いる場合には、化合物間の競争吸着や固定化比率を制御する必要があり、その作業は極めて煩雑なものであった。
【0008】
そこで本発明は、血小板が関与する一次止血の段階と血液凝固因子が関与する凝固血栓形成の段階における双方の血液凝固反応を阻害でき、医療器材又は医療材料の表面に抗血液凝固活性を保持した状態で強固に固定化できる高分子化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、血小板の付着を阻害する共重合体に血液凝固反応を阻害する化合物を結合した高分子化合物が、顕著な抗血液凝固作用を示し、かつ、医療器材や医療材料の表面に対し強固な固定化を実現できることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、血小板の付着を阻害する共重合体と、下記の一般式(I)で示される化合物とが結合している、高分子化合物を提供する。
【化1】

【0011】
上記の血小板の付着を阻害する共重合体は、疎水性高分子と親水性高分子とからなる共重合体であり、ポリメタクリル酸メチルに対する吸着量が0.1pg/mm以上であることが好ましく、エチレングリコール、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、プロピレングリコール、ビニルアルコール及びシロキサンからなる群から選択されるモノマーの共重合体がより好ましく、ポリエーテル変性シリコーンがさらに好ましい。
【0012】
また本発明は、上記の高分子化合物を含有し、抗血液凝固作用を有する、医療器材又は医療材料の表面処理剤を提供する。
【0013】
さらに本発明は、上記の表面処理剤で処理された医療器材又は医療材料を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、血小板が関与する一次止血の段階と血液凝固因子が関与する凝固血栓形成の段階における双方の血液凝固反応を顕著に阻害することができ、医療器材又は医療材料の表面に抗血液凝固活性を保持した状態で強固に固定化することができる。また、本発明の高分子化合物は、医療器材又は医療材料に抗血液凝固作用を付与する表面処理剤として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例で作製したミニモジュールを示す概略図である。
【図2】in vitro血液循環試験の閉鎖系回路の概略図である。
【図3】高分子化合物の溶出量の測定における、ヒト血漿循環回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で使用する用語は、特に断りがない限り、下記の定義の通りである。
【0017】
本発明の「高分子化合物」は、血小板の付着を阻害する共重合体と、下記の一般式(I)で示される化合物、すなわち、((S)−1−((R)−1−((S)−2−(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)−3−フェニルプロパノイル)ピロリジン−2−カルボキサミド)−4−メトキシブチル)ボロン酸(以下、「化合物A」)とが結合していることを特徴としているが、その水溶液を調製するためには、親水性の高分子化合物であることが好ましい。ここで「親水性」とは、化合物が水溶性であるか、又は非水溶性であっても静電相互作用や水素結合により水分子と相互作用することを意味する。なお、本発明の「高分子化合物」としては、例えば、エチレングリコール、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、プロピレングリコール、ビニルアルコール及びシロキサンからなる群から選択されるモノマーの共重合体と、下記の一般式(I)で示される化合物とが結合している、高分子化合物が挙げられる。
【化2】

【0018】
「血小板の付着を阻害する共重合体」とは、血液適合性を有し、その高分子化合物を医療器材や医療材料の表面に存在させることで基材又は材料の表面への血小板の付着を抑制可能である、数平均分子量が1000以上の共重合体を意味する。
【0019】
「血小板の付着を阻害する共重合体」としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエーテルとポリシロキサンとからなる共重合体、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド若しくはポリヒドロキシエチルメタクリレート又はこれら高分子化合物のモノマーと、他のモノマーとの共重合体若しくはグラフト体が挙げられるが、血液凝固反応を阻害する化合物を結合させるためにアミノ基、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基又はメルカプト基を有していることが好ましく、医療器材や医療材料の表面への吸着のために疎水性高分子と親水性高分子とからなる共重合体がより好ましく、親水性の高いポリエーテルとポリシロキサンからなる高分子化合物、部分ケン化ポリビニルアルコール又はビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体がさらに好ましい。
【0020】
「ポリエーテルとポリシロキサンとからなる共重合体」としては、例えば、ポリエーテルとポリシロキサンとの共重合体、ポリマーコンプレックス又はポリマーブレンド物が挙げられる。ポリエーテルとポリシロキサンとの共重合体は、ポリエーテルユニットとポリシロキサンユニットとからなり、それらの共重合形態はランダム共重合体、ブロック共重合体又はグラフト共重合体のいずれであっても構わないが、中でも親水性の高いポリエーテル変性シリコーンが好ましい。
【0021】
「ポリエーテル」とは、例えば、ポリエチレンオキサイド又はポリプロピレンオキサイド由来の構造が挙げられる。ここで、「ポリエーテル」とは、一般式(II)で示される構造(Rは、炭素数6以下のアルキル基を表す)をいい、ポリエーテルの一例である「ポリプロピレングリコール由来の構造」とは、一般式(III)で示される構造をいう。
【化3】

【化4】

【0022】
「ポリエーテル変性シリコーン」とは、シリコーン鎖の側鎖にポリエーテルユニットが結合しているシリコーンをいうが、さらにアミノ変性やカルボキシ変性がされたポリエーテル変性シリコーンであっても構わない。
【0023】
血小板の付着を阻害する共重合体が部分ケン化ポリビニルアルコールである場合、そのケン化度は、取扱い容易性又は親水性を好適なものとする観点から50〜100mol%未満であることが好ましく、74〜99.9mol%であることがより好ましく、78〜95mol%であることがさらに好ましい。ここで、「ケン化度」とは、式1で算出される数値をいう。

ケン化度 = m/(n+m)×100・・・・・・式1
m : ポリビニルアルコール中の、一般式(IV)で表される構造の数
n : ポリビニルアルコール中の、一般式(V)で表される構造の数

【化5】

【化6】

【0024】
血小板の付着を阻害する共重合体がビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体である場合、取扱い容易性又は親水性を好適なものとする観点から、ビニルピロリドンユニットが50ユニットモル%以上であることが好ましく、60ユニットモル%以上であることがより好ましい。一方、基材に対する吸着量を好適なものとする観点から、ビニルピロリドンユニットは100ユニットモル%未満が好ましい。なお、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体においてビニルピロリドンユニットが占める割合(ユニットモル%)は、共重合体をH−NMR測定(溶媒:CDCl)することで算出できる。
【0025】
医療器材又は医療材料等の基材に対する血小板の付着を阻害する共重合体の吸着量は、0.1pg/mm以上が好ましく、1pg/mm以上がより好ましく、10pg/mm以上がさらに好ましい。
【0026】
上記の吸着量は、以下の方法により測定される。まず、未処理のセンサーチップ(Sensor Chip Au;GEヘルスケア)を表面プラズモン共鳴装置(以下、「SPR」)(BIACORE3000;GEヘルスケア)で前処理(25℃の蒸留水、流速20μL/min、10分間)し、そのシグナル値(RU:resonance unit)を測定する。
【0027】
「基材」、すなわち被吸着素材は溶媒に溶解し、0.5重量%被吸着素材溶液を調製する。この被吸着素材溶液を、スピンコーターに取り付けた前処理済みのセンサーチップの金膜部分の中心へ1滴滴下し、室温下、直ちに3000rpmで1分間回転させてセンサーチップに被吸着素材を被覆する。
【0028】
センサーチップ上に液滴がないことを確認後、SPRでセンサーチップを蒸留水洗浄(25℃、流速20μL/min、10分間)してから、さらに0.025重量%Triton−X100溶液で3回洗浄(25℃、流速20μL/min、1分間)し、洗浄終了から10分後のシグナル値を測定する。
【0029】
上記のようにして得たセンサーチップの内、スピンコート前後のシグナル値の差が3000〜8000の範囲にあるものを選別し、蒸留水で洗浄(25℃、流速20μL/min、10分間)してから、さらに0.025重量%Triton−X100溶液で3回洗浄(25℃、流速20μL/min、1分間)した。
【0030】
洗浄終了から10分後に、基材に吸着する共重合体水溶液(濃度:100μg/mL)を注入(25℃、流速20μL/min、1分間)し、蒸留水で洗浄(25℃、流速20μL/min、3分間)する。注入開始直前のシグナル値(以下、「シグナル値A」)と、注入終了から3分後のシグナル値(以下、「シグナル値B」)の差を求め、1RU=1pg/mmとして換算する。
【0031】
続けて蒸留水で洗浄(25℃、流速20μL/min、2分間)をし、さらに0.025重量%Triton−X100溶液で3回洗浄(25℃、流速20μL/min、1分間)をしてから、再び吸着する共重合体水溶液(濃度:100μg/mL)を注入(25℃、流速20μL/min、1分間)する。以降、同様の作業を繰り返し、計5回のシグナル差(シグナル値Aとシグナル値Bの差)を求め、その平均値を「基材に対する血小板の付着を阻害する共重合体の吸着量」とする。
【0032】
化合物Aは、抗トロンビン能を有する化合物である。ここで、「抗トロンビン能を有する化合物」とは、トロンビンとの結合親和性が高い化合物を意味する。
【0033】
化合物の抗トロンビン能を評価する指標としては、例えば、被検溶液の吸光度値に基づきLineweaver−Burk plotから算出される、阻害定数(以下、「Ki」)が挙げられる。Kiは小さいほど、トロンビンとの結合親和性が高く、抗トロンビン能が高いことを示す。
【0034】
また、本発明の医療器材又は医療材料の表面処理剤は、上記の高分子化合物を含有し、抗血液凝固作用を有することを特徴としている。
【0035】
「医療器材又は医療材料」としては、例えば、埋め込み型人工臓器、人工血管、カテーテル、ステント、血液バッグ、コンタクトレンズ、眼内レンズ又は手術用補助器具あるいは生体成分分離用モジュール若しくは血液浄化用モジュール等に内蔵される分離膜又は吸着剤が挙げられる。
【0036】
上記の表面処理剤を用いて医療器材又は医療材料の表面処理をする方法、すなわち、その有効成分である上記の高分子化合物を医療器材又は医療材料の表面へ固定化する方法としては、例えば、医療器材又は医療材料に上記の表面処理剤を接触させておき、そこへ放射線を照射する方法が挙げられる。なお、放射線の種類としては、電子線、γ線が好ましい。
【0037】
「医療器材又は医療材料」の素材としては、例えば、セルロース、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリメタクリル酸メチル(以下、「PMMA」)等のポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルペンテン又はポリイミドが挙げられる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】
(実施例1:アミノ・ポリエーテル変性シリコーンと化合物Aとの結合)
5mmolの化合物Aをナスフラスコに採り、無水ジメチルホルムアミド(以下、「無水DMF」)を10mL添加して溶解した後、ナスフラスコを氷冷しながら4N塩酸/1,4−ジオキサン(東洋化成株式会社)を10mL滴下し、1時間撹拌した。次に、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、さらに真空乾燥機中で一晩乾燥したものに無水DMFを25mL添加し、化合物Aの塩酸塩/無水DMF溶液とした。
【0040】
表1に示す分量で二口フラスコに化合物Aの塩酸塩/無水DMF溶液を採り、氷冷下で撹拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(以下、「DCC」)/無水DMF溶液及び4−ヒドロキシベンゾトリアゾール(以下、「HOBt」)/無水DMF溶液をそれぞれ添加し、さらにポリエーテル変性シリコーン(X−22−3939A;信越化学社)を添加して室温で3日間反応させた。次に、反応液を透析チューブ(スペクトラポアRC ポア6 MWCO=1000)に入れ、反応液の10倍体積量超の蒸留水中で適宜蒸留水を交換しながら3日間透析した。透析後の反応液を濾過し、濾液の溶媒をロータリーエバポレーターで留去してから真空乾燥機中で一晩乾燥させ、高分子化合物(以下、「実施例1化合物」)を得た。
【0041】
(実施例1化合物の抗トロンビン能の測定)
測定には、ECA−Tキット(HaemoSys社)を使用した。実施例1化合物100μLに蒸留水900μLを添加し、実施例1化合物水溶液を調製した。実施例1化合物水溶液を30μL採取し、ECA prothrombin buffer 100μL及びECA−T substrate 25μLを混合して37℃で60秒間インキュベートしてから装置(COATRON M1(code 80 800 000);Production社)にセットし、さらにECA ecarin reagent 50μLを添加して測定を行った。
【0042】
エタノール/塩酸(体積比率4/1)混合溶媒を用いて任意の濃度に調製した化合物A溶液20μLをヒト血漿80μLに混合したもの、又は、ブランクの蒸留水20μLをヒト血漿80μLに混合したものを、上記の実施例1化合物水溶液に代えてECA−Tキットを用いてそれぞれ測定し、それらの結果から検量線を作成した。検量線に基づき算出した実施例1化合物水溶液の化合物A相当濃度1000重量ppmを、実施例1化合物水溶液の抗トロンビン能を示す値とした。
【0043】
(実施例2〜6)
化合物Aの塩酸塩に対するDCC、HOBt及びポリエーテル変性シリコーン(X−22−3939A)のモル比並びにポリエーテル変性シリコーンに対する無水DMFの体積比率を変更した点を除き、実施例1と同一の方法で実施例2〜6化合物をそれぞれ得て、それらの抗トロンビン能を測定した。化合物Aに対する、DCC、HOBt及びポリエーテル変性シリコーン(X−22−3939A)のモル比及び実施例2〜6化合物それぞれの抗トロンビン能の測定結果を、表1に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
なお、ポリエーテル変性シリコーン(X−22−3939A)についても同様に抗トロンビン能を測定したが、その値はブランクの蒸留水と変わらないものであり、ポリエーテル変性シリコーン自体は抗トロンビン能を有しないことが確認できた。
【0046】
(実施例1化合物のトロンビン阻害定数の測定)
ウシトロンビン液(伊藤ライフサイエンス)10000Uを生理食塩水1mLに溶解し、ウシトロンビン水溶液を調製した。
【0047】
S−2238ストック液(積水メディカル)25mgを蒸留水40mLに溶解し、S−2238ストック水溶液を調製した。
【0048】
希釈緩衝液(0.05M Tris, 0.1M NaCl,1mg/mL 牛血清アルブミン(BSA),pH 7.4)を用いて、ウシトロンビン水溶液、S−2238ストック水溶液及び上記の実施例1化合物水溶液をそれぞれ希釈した。
【0049】
96穴プレートに、S−2238ストック水溶液の希釈液100μL及び実施例1化合物水溶液の希釈液50μLを分注し、シールをしてから37℃に設定した恒温乾燥機で30分間加温した。次に、37℃で30分間加温したウシトロンビン水溶液の希釈液をさらに50μL分注し、直ちにマイクロプレートリーダ(測定波長405nm、参照波長595nm)でその吸光度を測定した。
【0050】
1回目の吸光度測定が終了した後、直ちに2回目の吸光度測定を行った。3回目以降の吸光度測定は、ウシトロンビン水溶液の希釈液の分注から4、6、8、10、12、14、16、18、20分後にそれぞれ行った。得られた各吸光度の値から、KiをLineweaver−Burk plotにより算出した。実施例1化合物のKiは、28nMであった。
【0051】
なお、ポリエーテル変性シリコーン(X−22−3939A)についても同様にKiを算出したが、抗トロンビン能を有しないポリエーテル変性シリコーンのKiは、やはりブランクと同じ値となった。
【0052】
さらに、化合物Aについても同様にKiを算出したところ、Kiは50nMであり、実施例1化合物のKiと比較した場合、1.7倍以上の数値となった。
【0053】
これらの結果から、上記の高分子化合物は、トロンビンとの結合親和性が極めて高く、中空糸型透析器をはじめとする医療器材又は医療材料に対し、抗トロンビン能の有することで知られる化合物Aをはるかに上回る顕著な抗トロンビン能を付与可能であることは明白である。
【0054】
(PMMA中空糸膜ミニモジュールの作製)
アイソタクティック−PMMA5重量部とシンジオタクティック−PMMA20重量部を、ジメチルスルホキシド75重量部に加え、110℃で8時間撹拌し製膜原液を得た。この製膜原液をオリフィス型二重円筒型口金から吐出し、空気中を300mm通過させた後、水100%の凝固浴中に導いて、内径0.2mm、膜厚0.03mmのPMMA中空糸を得た。なお、内部注入気体としては乾燥窒素を用いた。
【0055】
一般的な中空糸型透析器同様、中空糸の内側に通ずるポート(血液ポート)及び外側に通ずるポート(透析液ポート)をそれぞれ2個ずつ有する、内径10mm、長さ120mmのモジュールケースを用意した。
【0056】
上記のPMMA中空糸を50本束ねてPMMA中空糸膜とし、PMMA中空糸膜の中空部が閉塞しないように留意しながらその両末端をエポキシ系ポッティング剤で上記のモジュールケースに固定してから、PMMA中空糸膜及びモジュールケース内部を蒸留水で洗浄し、図1に示すミニモジュール6を得た。
【0057】
(PMMA中空糸膜への実施例1化合物の固定化)
Bis−Tris(同仁化学)及び塩化ナトリウムをそれぞれの最終濃度が0.25M及び0.5Mとなるように超純水に溶解し、そこへ6N塩酸を滴下してpH5に調整して、5倍濃度のBis−Tris緩衝液を調製した。
【0058】
作製したミニモジュール6の血液接触側(PMMA中空糸膜内側)と血液非接触側(PMMA中空糸膜外側)に残存する蒸留水を、圧縮空気により除去した。次に、化合物A濃度相当4000重量ppm相当の実施例1化合物水溶液、プロピレングリコール及び5倍濃度のBis−Tris緩衝液を体積比率5/3/2で混合し、充填液を得た。
【0059】
上記の充填液400μLを、シリンジを用いてミニモジュール6の血液接触側にのみ充填した。その後、圧縮空気により充填液を除去してから、血液ポート1a、1b及び透析液ポート2a、2bをすべて密栓したミニモジュール6に吸収線量25kGyのγ線を約3時間照射した。
【0060】
ペリスタポンプ8を用いて、PMMA中空糸膜4及びミニモジュール6の内部に0.025重量% ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル水溶液を流速10mL/minで8時間通液し、PMMA中空糸膜4及びミニモジュール6の内部を洗浄した。その後、蒸留水及び生理食塩水をいずれも流速10mL/minで30分ずつ通液してさらなる洗浄をし、実施例1化合物が固定化されたミニモジュール(以下、「実施例1ミニモジュール」)を得た。
【0061】
一方で、化合物A相当濃度4000重量ppm相当の実施例1化合物水溶液に代えて、ポリエーテル変性シリコーン(X−22−3939A)を用いた以外は上記と同様の操作を行い、ポリエーテル変性シリコーンが固定化されたミニモジュール(以下、「比較例1ミニモジュール」)を得た。
【0062】
(in vitro血液循環試験)
ボランティアから提供された血液と、クエン酸とを体積比率9/1で混合し、クエン酸加血を得た。クエン酸加血1mLに対し、凝固促進剤としてカルチコールを43.6μL添加したものを、被験血液とした。
【0063】
シリコンチューブ7a、7bを実施例1ミニモジュールに接続し、シリコンチューブ7bの途中にペリスタポンプ8を設置した。血液ポート1aに接続したシリコンチューブ7aから被験血液を流量0.9mL/minで5秒間通液し、血液ポート1bから流出した被験血液はこれをシリコンチューブ7bから廃棄して、PMMA中空糸膜内部の気泡を除去した。続いて、シリコンチューブ7aと7bとを包接部9で接続して、図2に示す閉鎖系回路を作成した。
【0064】
流量0.9mL/minで被験血液の循環を開始し、回路内に生成した凝固血栓により回路内圧が上昇して包接部9からシリコンチューブ7a又は7bが外れるまでの循環継続時間を測定した。実施例1ミニモジュールを用いた場合の循環継続時間は、35分であった。
【0065】
PMMA中空糸膜にいかなる化合物も固定化されていないミニモジュール6(以下、「比較例2ミニモジュール」)を用意し、上記と同様の血液循環試験を行った。この場合の循環継続時間は20分であり、実施例1ミニモジュールを用いた場合の60%以下の値であった。これらの結果から、上記の高分子化合物が、中空糸型透析器をはじめとする医療器材又は医療材料に対し優れた抗血液凝固作用を付与可能であることは明白である。
【0066】
なお、比較例1ミニモジュールを用いて上記と同様の血液循環試験を行った場合の循環継続時間は20分であって、PMMA中空糸膜にいかなる化合物も固定化されていない比較例2ミニモジュールを用いた場合と変わらないものであった。
【0067】
(実施例1化合物の溶出量の測定)
別途作成した実施例1ミニモジュールの血液ポート1bに内径0.8mm、長さ520mmのシリコンチューブ7bを接続し、その途中にペリスタポンプ8を設置した。血液ポート1aには、内径0.8mm、長さ160mmのシリコンチューブ7aを接続した。その後、シリコンチューブ7a及び7bのそれぞれの他端を、ヒト血漿5mLを入れたポリスチレンラウンドチューブ(Code:352054;BECTON DICKINSON社)10に差し込み、図3に示す循環回路を作製した。
【0068】
ペリスタポンプ8を用いて、ヒト血漿中を流速0.5mL/minで4時間循環してから、ポリスチレンラウンドチューブ10内のヒト血漿中の実施例1化合物濃度をECA−Tキットを使用して測定した。しかしながら、循環後ヒト血漿中の実施例1化合物濃度は、ECA−Tキットの検出限界以下であり、実施例1ミニモジュールからの実施例1化合物の溶出は確認されなかった。この結果は、上記の高分子化合物は、中空糸型透析器をはじめとする医療器材又は医療材料に対し、強固な固定化が可能であることを示すものである。
【0069】
(抗血小板付着能を有する共重合体の吸着量評価)
上記の高分子化合物を構成する、血小板の付着を阻害する共重合体の一つであるビニルピロリドン及び酢酸ビニルの共重合体(以下、「VA系共重合体」)として、PVP(K−90)、VA73、VA64、VA55、VA37(いずれもBASF社)を準備した。同じく、血小板の付着を阻害する共重合体の一つである部分ケン化ポリビニルアルコールとして、PVA217、PVA417、PVA205c(いずれもクラレ)を準備した。さらに、ポリエーテル変性シリコーンとしてF114、F244、F303、F3031、F348、F350s、F502、F506、X−22−3939A(いずれも信越シリコーン社)を準備した。なお、準備したVA系共重合体、部分ケン化ポリビニルアルコール及びポリエーテル変性シリコーンは、いずれも蒸留水で希釈して10000重量ppmの水溶液を調製した。
【0070】
一方、比較対象として、上記の高分子化合物を構成する、血小板の付着を阻害する共重合体には包含されない共重合体として、PEG2000、PEG4000、PEG6000、PEG20000(いずれもナカライテスク)及びPEGメチルエーテル(PEG−em)、PEGジメチルエーテル(PEG−dm)(いずれもシグマアルドリッチ)を準備した。なお、準備した高分子化合物は、いずれも蒸留水で希釈して10000重量ppmの水溶液を調製した。
【0071】
血小板の付着を阻害する共重合体を吸着する被吸着素材の0.5重量%溶液として、PMMA(重量平均分子量93000;シグマアルドリッチ)/トルエン溶液、ポリウレタン/ジメチルアセトアミド溶液、ポリスルホン(ソルベー社製ユーデル(登録商標)P−3500)/ジメチルアセトアミド溶液、ポリ塩化ビニル(重量平均分子量80000;シグマアルドリッチ)/テトラヒドロフラン溶液、ポリスチレン(Wako)/クロロホルム溶液及びポリカーボネート(重量平均分子量20000;帝人)/クロロホルム溶液をそれぞれ調製した。
【0072】
それぞれの被吸着素材に対する、種々の血小板の付着を阻害する共重合体の吸着量を測定した。結果を表2に示す。
【0073】
【表2】

【0074】
表2の結果から、上記の高分子化合物を構成する、血小板の付着を阻害する共重合体は、ポリエーテル変性シリコーン(X−22−3939A)に限られるものではなく、中空糸型透析器をはじめとする医療器材又は医療材料に対し、強固な吸着が可能であることは明白である。
【0075】
(抗血小板付着能の評価)
別途製作した実施例1ミニモジュールのモジュールケースを超音波カッターにて切断し、実施例1化合物が固定化されたPMMA中空糸膜(以下、「実施例1中空糸膜」)を取り出した。
【0076】
直径18mmのポリエチレンテレフタレート製の円形フィルムの片面に両面テープを貼り付け、そこに実施例1中空糸膜を固定してから、固定したPMMA中空糸膜を半円筒状にそぎ切り、その内表面を露出させた。筒状に切ったFalcon(登録商標)円筒チューブ(18mmφ、No.2051)の内部に、円形フィルムに固定した実施例中空糸膜を入れ、円筒チューブと円形フィルムとの隙間をパラフィルムで封止した。その後、この円筒チューブ内は、生理食塩水生理食塩水で満たしておいた。
【0077】
予めヘパリンを採取しておいた採血管に、採取直後のボランティアの静脈血を入れて転倒混和し、ヘパリン加血を調製した。なお、ヘパリン加血のヘパリン濃度は50U/mLとなるようにした。
【0078】
上記の円筒チューブ内の生理食塩水を廃棄してから、ヘパリン加血を1.0mL入れて37℃で1時間振盪した。次に、上記の円筒チューブ内の実施例1中空糸膜を10mLの生理食塩水で洗浄してから、2.5体積%のグルタルアルデヒドを含有した生理食塩水を加えて血液成分の固定を行い、さらに蒸留水にて洗浄した。その後、上記の円筒チューブから実施例1中空糸膜を固定した円形フィルムを取り除き、実施例中空糸膜を固定した円形フィルムを常温、0.5Torr絶対圧で12時間減圧乾燥した。
【0079】
減圧乾燥後の実施例1中空糸膜を固定した円形フィルムを、走査型電子顕微鏡の試料台に両面テープで貼り付けてから、スパッタリングにより白金/パラジウム薄膜を実施例中空糸膜表面に形成した。白金/パラジウム薄膜を表面に形成した実施例中空糸膜の長手方向における中央付近の内表面を、フィールドエミッション型走査型電子顕微鏡(S800;日立製作所)を用いて、倍率1500倍で観察し、1視野中(4.3×10μm)の付着血小板数を数えた。
【0080】
異なる5視野での付着血小板数の平均値の整数値を、血小板付着数(個/4.3×10μm)としたところ、実施例1中空糸膜への付着血小板数は11個であった。
【0081】
一方で、別途製作した比較例2ミニモジュールのモジュールケースを超音波カッターにて切断し、いかなる化合物も固定化されていない中空糸膜を取り出し(以下、「比較例2中空糸膜」)、これについても同様に血小板付着数を確認したところ、比較例2中空糸膜の付着血小板数は100個以上であった。
【0082】
これらの結果から、上記の高分子化合物が、中空糸型透析器をはじめとする医療器材又は医療材料に対し、顕著な抗血小板付着能を付与可能であることは明白である。
【0083】
(全血凝固時間の測定)
ボランティアから採取した血液と、クエン酸とを体積比率9/1で混合し、クエン酸加血を調製した。
【0084】
キュベット(NON−ACTIVATED CLOTTING TEST KIT)に生理食塩水18μL採り、これにカルチコール14.8μLを加え、さらにクエン酸加血342μLを加えてから、ソノクロット血液凝固/血小板機能分析装置(アイ・エム・アイ株式会社)で測定し、得られたACT ONSET値を全血凝固時間とした。ボランティアから採取した血液の全血凝固時間は、545秒であった。
【0085】
生理食塩水に代えて、2、10、20μMの化合物A溶液(溶媒はメタノール/塩酸(体積比率4/1))をそれぞれ用いて同様の測定をしたところ、全血凝固時間はそれぞれ539、752、860秒であった。
【0086】
生理食塩水に代えて、1、2、5μMの実施例1化合物水溶液をそれぞれ用いて同様の測定をしたところ、全血凝固時間はそれぞれ529、708、746秒であった。
【0087】
(実施例14:酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体と化合物Aとの結合)
スクリュー瓶に、テトラヒドロフラン14.9g、酢酸ビニル11.5g、N−ビニルピロリドン10.8g、2−アミノエタンチオール0.028g及びアゾビスイソブチロニトリル0.016gを採り、密閉してから超音波を10分間照射した。スクリュー瓶を一旦開封してアルゴンガスを10分間バブリングし、再び密閉後、撹拌しながら60℃の湯浴に1時間、さらに70℃の湯浴に6時間、スクリュー瓶を浸して、酢酸ビニルとビニルピロリドンとを共重合反応させた。この反応液にメタノール80mLを加えたものを、約5倍量のエーテル中に添加し、上澄みを除去した。新たにエーテルを加え、上澄みを除去するという洗浄作業を3回繰り返してから減圧乾燥をして、酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体を得た。得られた酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体をH−NMR測定(溶媒:CDCl)したところ、ビニルピロリドンユニットは60.6ユニットモル%であった。
【0088】
得られた酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体3.58gを、無水DMF20mLに溶解して、酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体/無水DMF溶液を調製した。二口フラスコに、調製した酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体/無水DMF溶液の全量及び化合物Aの塩酸塩/無水DMF溶液(0.49M)0.5mLを採り、氷冷下で撹拌しながら、DCC/無水DMF溶液(1.04M)0.5mL及びHOBt/無水DMF溶液(1.02M)0.5mLをそれぞれ添加し、窒素雰囲気下、室温で3日間反応させた。次に、反応液を透析チューブ(スペクトラポアRC ポア6 MWCO=1000)に入れ、反応液の10倍体積量超の蒸留水中で適宜蒸留水を交換しながら3日間透析した。透析後の反応液を濾過し、濾液の溶媒をロータリーエバポレーターで留去してから真空乾燥機中で一晩乾燥させ、高分子化合物(以下、「実施例7化合物」)を得た。
【0089】
(実施例7化合物の抗トロンビン能の測定)
実施例1化合物の抗トロンビン能の測定と同様の方法で、実施例7化合物/メタノール溶液(濃度20重量%)を測定し、算出した実施例7化合物/メタノール溶液の化合物A相当濃度85ppmを、実施例7化合物/メタノール溶液の抗トロンビン能を示す値とした。
【0090】
これらの結果から、上記の高分子化合物は、抗トロンビン能を有することで知られる化合物Aと比べて、極めて低濃度であっても全血凝固時間の延長が可能であり、中空糸型透析器をはじめとする医療器材又は医療材料に対し、優れた抗血液凝固作用を付与可能であることは明白である。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、中空糸型透析器をはじめとする医療器材又は医療材料に対し優れた抗血液凝固作用を付与するために用いることができる。
【符号の説明】
【0092】
1a,1b・・・血液ポート、2a,2b・・・透析液ポート、3・・・モジュールケース、4・・・PMMA中空糸膜、5・・・ポッティング剤、6・・・ミニモジュール、7a,7b・・・シリコンチューブ、8・・・ペリスタポンプ、9・・・包接部、10・・・ポリスチレンラウンドチューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血小板の付着を阻害する共重合体と、下記の一般式(I)で示される化合物とが結合している、高分子化合物。
【化1】

【請求項2】
前記共重合体は、疎水性高分子と親水性高分子とからなる共重合体であり、ポリメタクリル酸メチルに対する吸着量が0.1pg/mm以上である、請求項1記載の高分子化合物。
【請求項3】
前記共重合体は、エチレングリコール、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、プロピレングリコール、ビニルアルコール及びシロキサンからなる群から選択されるモノマーの共重合体、である、請求項1又は2記載の高分子化合物。
【請求項4】
前記共重合体は、ポリエーテル変性シリコーンである、請求項1〜3のいずれか一項記載の高分子化合物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項記載の高分子化合物を含有し、抗血液凝固作用を有する、医療器材又は医療材料の表面処理剤。
【請求項6】
請求項5記載の表面処理剤で処理された医療器材又は医療材料。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−6922(P2013−6922A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139270(P2011−139270)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】