説明

抗酸化剤、化粧料、飲食品組成物及び医薬品組成物

【課題】日常生活のなかで老化や紫外線などにより引き起こされる酸化反応などが原因となる肌荒れ、シワ、色素沈着、ニキビ及び皮膚炎など各種肌トラブルの改善予防効果及び治療効果に優れ、安定で安価なかつ安全性に優れる抗酸化剤、化粧料、飲食品組成物及び医薬品組成物を提供すること。
【解決手段】アルギニルフルクトシルグルコースを有効成分として含有する抗酸化剤である。また、アルギニルフルクトシルグルコースを配合した化粧料であり、アルギニルフルクトシルグルコースを配合した飲食品組成物であり、アルギニルフルクトシルグルコースを配合した医薬品組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗酸化剤、化粧料、飲食品組成物及び医薬品組成物に関し、詳しくは、紫外線などにより引き起こされる肌荒れ、シワ、色素沈着、ニキビ及び皮膚炎などの各種肌トラブルを改善する効果に優れる抗酸化剤、化粧料、飲食品組成物及び医薬品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は身体の最外層にあるため、日常生活のなかで環境因子の影響を容易に受けており、紫外線やそれにより発生する活性酸素や過酸化脂質などが、炎症を引き起こしたり、皮膚などの組織に大きなダメージを与えたりする。またこれらの炎症や皮膚のダメージは、老化による皮膚機能の低下と併せて、肌荒れ、シワ、色素沈着、ニキビ及び皮膚炎などの各種肌トラブルを引き起こす。
【0003】
このような日常生活のなかで老化や紫外線などによって誘発された肌荒れ、シワ、色素沈着、ニキビ及び皮膚炎などの各種肌トラブルを改善する目的で、従来、化粧料、飲食品組成物及び医薬品組成物には、合成抗酸化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなど)や天然由来の抗酸化剤(α−トコフェロール、アスコルビン酸など)が用いられている。しかし、これらの抗酸化剤は安全性や安定性の面においては、まだ多くの問題が残されている。例えば、ブチルヒドロキシアニソールは、発ガン性が確認されたため現在使用が禁止されている。また、アスコルビン酸は分解しやすく、安定性の面で課題がある。
【0004】
近年、植物の種子、葉や根茎などから抽出した様々な抗酸化作用物質が製造され、化粧料、医薬品組成物や飲食品組成物などへの配合が試みられている。植物由来の原料を使用したものとして、例えば、天然の抗酸化物質と抗酸化性ビタミンから成る高抗酸化性を有する抗酸化ストレス物(例えば、特許文献1参照。)が開示されており、天然の抗酸化物質として、抹茶、胡麻、抗酸化性の高い香辛料・薬草類(ローズマリー、セージ、タイム、ジンジャー、オールスパイス、シナモン、キラウェー、フェンエル、コリアンダー、コショウ、カルダモン)、ココアパウダー、乳酸菌体、ユーグレナ菌体が挙げられている。また、焼成栗皮由来のタンニンを含有する抗酸化剤(例えば、特許文献2参照。)や、カカオポッド外皮の溶媒抽出物を含有する抗酸化剤(例えば、特許文献3参照。)なども知られている。
【0005】
一方、アルギニルフラクトシルグルコース類が血管拡張作用を有し、アルギニンとマルトースを酸の共存下でメイラード反応させることによりアルギニルフラクトシルグルコースを製造できること(例えば、特許文献4参照。)が知られている。また、アルギニンとマルトースを酸の共存下でメイラード反応させることにより製造できるマルツロシルアルギニンが、抗炎症作用、TNF−α産生抑制作用、シクロオキシゲナーゼ−2活性阻害作用、抗老化作用、I型コラーゲン産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、トランスグルタミナーゼ−1産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用及び一酸化窒素産生促進作用を有すること(例えば、特許文献5参照。)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−264720号公報
【特許文献2】特開2008−195936号公報
【特許文献3】特開2009−263275号公報
【特許文献4】特開平9−316091号公報
【特許文献5】特開2010−90076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記背景技術のように、植物由来の原料を使用した抗酸化剤は知られていたが、原料の安全性確保や調達容易性に課題がある。特許文献2及び3のように本来廃棄される部位を活用する例もあるが、事業として活用するには流通面を含めて新たな課題もある。一方、特許文献4のようにアルギニルフラクトシルグルコース類が血管拡張作用を有することや、特許文献5のようにマルツロシルアルギニンが種々の作用を有することは知られていたが、アルギニルフルクトシルグルコースが抗酸化作用を有することは知られていなかった。
【0008】
本発明の目的は、日常生活のなかで老化や紫外線などにより引き起こされる酸化反応などが原因となる肌荒れ、シワ、色素沈着、ニキビ及び皮膚炎など各種肌トラブルの改善予防効果及び治療効果に優れ、安定で安価なかつ安全性に優れる抗酸化剤、化粧料、飲食品組成物及び医薬品組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記事情に鑑み鋭意研究を行った結果、アルギニルフルクトシルグルコースが抗酸化作用を有することを見出した。
【0010】
本発明は、アルギニルフルクトシルグルコースを有効成分として含有する抗酸化剤である。また、アルギニルフルクトシルグルコースを配合した化粧料であり、アルギニルフルクトシルグルコースを配合した飲食品組成物であり、アルギニルフルクトシルグルコースを配合した医薬品組成物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、日常生活のなかで老化や紫外線などにより引き起こされる酸化反応などが原因となる肌荒れ、シワ、色素沈着、ニキビ及び皮膚炎などの各種肌トラブルの改善予防効果及び治療効果に優れ、安定で安価なかつ安全性に優れる抗酸化剤、化粧料、飲食品組成物及び医薬品組成物が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明に用いられるアルギニルフルクトシルグルコースは下記一般式で表される化合物である。
【0014】
【化1】

【0015】
本発明の抗酸化剤においては、前記アルギニルフルクトシルグルコースを単独で用いるほか、目的に応じて化粧料、飲食品組成物または医薬品組成物に通常用いられている成分ま
たは使用が許容されている成分を、本発明の効果を損なわない範囲内で適宜配合することができる。このような成分例は各種の美白剤、他の抗酸化剤、細胞賦活剤、保湿剤、紫外線防止剤などが挙げられ、適宜一種単独または二種以上を併用できる。本発明の抗酸化剤、化粧料、飲食品組成物または医薬品組成物におけるアルギニルフルクトシルグルコースの配合量は、抗酸化剤、化粧料、飲食品組成物または医薬品組成物の総量を基準として、乾燥固形分換算で0.005質量%(以下、wt%と略する。)以上、10wt%以下が効果の発現性や原価の点から考えて好ましい。特に0.005wt%以上、5wt%以下が製品に配合して応用する際に好ましい。
【0016】
本発明に用いられるアルギニルフルクトシルグルコースの製造方法としては、例えば、アルギニンを用いて、マルトースと酸の存在下で加温することにより製造することができる。具体的には、アルギニンとマルトースとを溶媒としての酸に溶解させ、70℃で30分間加温する。アルギニンとマルトースとの反応は、アルギニン100質量部に対して、マルトース1〜1000質量部、好ましくは50〜300質量部とする。上記反応の溶媒としては、有機酸が好ましく、例えば、酢酸、酪酸などが挙げられる。特に酢酸が好ましい。なお、水溶液中で両物質を反応させると、効率が低下するので、氷酢酸などの無水状態で液状を示す酸を溶媒として用いることが好ましい。上記反応の温度条件としては、常温から沸点までの任意の温度で行えるが、反応速度及び効率の面から60〜80℃の温度条件が好ましい。反応時間は温度や溶媒としての酸の種類によって異なるが、通常5〜300分程度であり、10〜60分が好ましい。反応後、冷却したのち不溶性物質をろ過または遠心分離して除去し、得られたろ液または上清から反応溶媒としての酸を留去することにより、アルギニルフルクトシルグルコースを含む混合物を得ることができる。
【0017】
抗酸化剤、化粧料、飲食品組成物または医薬品組成物に用いる場合は、アルギニルフルクトシルグルコースを含む混合物のままでも使用可能であるが、必要に応じて、常法によりアルギニルフルクトシルグルコースを含む混合物からアルギニルフルクトシルグルコースを精製して使用する。
【0018】
精製の方法は、特に限定されるものではなく、常法により行うことができる。例えば、溶媒を留去して得られた混合物を2〜5倍量の水に溶解し、陽イオン交換樹脂などを用いるカラムクロマトグラフィーに付して、陽イオン交換樹脂の約2〜6倍容量の水で洗浄したのち、樹脂の約4〜6倍容量の0.5〜2%アンモニア水でアルギニルフルクトシルグルコースを溶出させ、アルギニルフルクトシルグルコースを得ることができる。得られたアルギニルフルクトシルグルコースフラクションをサイズ排除クロマトグラフィー及び逆相クロマトグラフィーなどの任意の有機化合物精製法を用いて精製することによりアルギニルフルクトシルグルコースを得ることができる。
【0019】
本発明においては、アルギニルフルクトシルグルコースを化粧料、飲食品組成物または医薬品組成物に配合する際にアルギニルフルクトシルグルコースとともに配合する他の成分としては、化粧料、飲食品組成物または医薬品組成物のそれぞれにおいて通常使用できるものなら全て使用できるが、効能、効果に応じ以下の物質から適宜選択できる。
【0020】
本発明の化粧料にはアルギニルフルクトシルグルコース単体またはアルギニルフルクトシルグルコース含有混合物のほかにも、例えば一般に化粧料で用いられている賦形剤、香料などをはじめ、油脂類、界面活性剤、保湿剤、美白剤、pH調整剤、粘結剤類、多価アルコール類、精油及び香料類、増粘剤、防腐剤、本発明の抗酸化剤以外の抗酸化剤、紫外線吸収剤、顔料、植物粉砕物及び生薬類、無機塩類及び無機酸類、洗浄剤、乳化剤などの各種化粧料成分を適宜配合することができる。
【0021】
前記油脂類としては、一般に化粧料で汎用されている、例えば大豆油、アーモンド油、パ
ラフィン、セタノール、アボガド油、オリーブ油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、ヌカ油、ホホバ油、卵黄油、ひまし油、スクワラン、アボガド油、ラノリン、流動パラフィン、白色ワセリンなどの植物性油脂;牛脂、豚脂、馬脂、タートル油、ミンク油、パーセリン油、スクワランなどの動物性油脂;メチルポリシロキサン、ベヘニルアルコール、トリカプリン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、流動パラフィンなどの合成油脂などが挙げられる。
【0022】
前記界面活性剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリン酸ジエタノールアミドなどの陰イオン性界面活性剤;ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウムなどの陽イオン性界面活性剤;グリセリルモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖エステル、脂肪酸アミドなどの非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0023】
前記保湿剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリオキシグリセリン(26E.O)、ピロリドンカルボン酸ソーダ、パンテテイン−Sスルホン酸塩などの合成保湿剤;ヒアルロン酸、エラスチン、ケラチン、デルマタン硫酸、コラーゲン、胎盤抽出液、ローヤルゼリー、微生物発酵液、例えばキチン、キトサン、ペクチンなどや、その他の植物や動物由来の抽出液などの天然保湿剤などが挙げられる。
【0024】
前記美白剤としては、例えば、アスコルビン酸、アルブチンやこれらの誘導体などのほかにも、胎盤抽出液、その他の植物や動物由来の抽出液などが挙げられる。
【0025】
前記pH調整剤としては、例えばクエン酸、乳酸、サリチル酸、酒石酸、りんご酸、クエン酸、安息香酸、クエン酸ナトリウム、フマル酸、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、などの有機酸、無機酸及びその塩類などが挙げられる。
【0026】
前記粘結剤類としては、一般に化粧料で汎用されている、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ナトリウム塩、カゼイン、ぺクチン、デンプン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ローカストビーンガム、カラギナン、寒天、カーボポールなどが挙げられる。
【0027】
前記多価アルコール類としては、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどが挙げられる。
【0028】
前記精油及び香料類としては、ラベンダー油、ジャスミン油、ローズ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、タイム油、ショウブ油、ウイキョウ油、スギ油、ヒバ油、ヒノキ油、バラ油、ユーカリ油、カンファー、ペパーミント油、スペアミント油、ゲラニオール、ミカン油、トウヒ、シトロネロール等の天然及び合成香料などが挙げられる。
【0029】
前記増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースNa、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、ベントナイトなどが挙げられる。
【0030】
前記防腐剤としては、例えばメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンなどのパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、エタノール、デヒドロ酢酸などが挙げられる。
【0031】
前記本発明の抗酸化剤以外の抗酸化剤としては、例えばアルコルビン酸、EDTA4Na,EDTA2Na、ブチルオキシトルエンなどが挙げられる。
【0032】
前記紫外線吸収剤としては、紫外線を選択的に吸収する性質を有するものであれば特に限定されることはないが、例えば、オキシベンゾン、オキシベンゾンスルホン酸、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキジメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキベンゾフェノン、シノキサート、ジイソプロピルケイ皮酸メチル、メトキシケイ皮酸オクチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミノ安息香酸オクチル等が挙げられる。
【0033】
前記顔料としては、例えばベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、ナイロンパウダー、酸化亜鉛、セリサイト、マイカ、タルクなどが挙げられる。
【0034】
前記植物粉砕物及び生薬類としては、レモンの皮、海藻、ヒノキ、ヒバ、フッカス、米ヌカ、シュウブ、ショウキョウ、カンゾウ、チンピ、トウヒ、ユズ、トウキ、ニンジン、ハッカ、ケイヒ、ウバイ、ヨモギ、ドクダミ、モモノハ、カミツレ、アロエ、ジャスミン、ローズヒップ、ラベンダー、グァバ、オウゴン、クコ、レイシ、ニワトコ、アシタバ、ウコギ、ゴボウ、黒ゴマ、黒米等の粉砕物及びその抽出液などが挙げられる。
【0035】
無機塩類及び無機酸類として、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸、ほう砂、硫酸ナトリウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、リン酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸カルシウム、硫黄、セスキ炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、無水ケイ酸、メタケイ酸、ホウ酸などが挙げられる。
【0036】
前記洗浄剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、カルボン酸型界面活性剤、アルキル硫酸エステル型界面活性剤、スルホサクシネート型界面活性剤、タウレート系、アシルサルコシン系、アシル−β−アラニン系等のアシル化アミノ酸型界面活性剤、リン酸エステル型界面活性剤等のアニオン界面活性剤、イミダゾリン型、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、アルキルスルホベタイン型の両性界面活性剤やアルキルサッカライド類、EO付加型界面活性剤等などが挙げられる。
【0037】
前記乳化剤は、化粧品原料として公知の物質を用いることができる。特に好ましいものとして、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、テトラグリセリンモノステアリン酸エステル、テトラグリセリンモノオレイン酸エステル、テトラグリセリントリステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリントリステアリン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンジステアリン酸エステル、デカグリセリントリステアリン酸エステル、デカグリセリンペンタステアリン酸エステル、デカグリセリンモノイソステアリン酸エステル、デカグリセリンジイソステアリン酸エステル、デカグリセリンペンタイソステアリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリントリオレイン酸エステル、デカグリセリンペンタオレイン酸エステル等のポリグリセリン脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、トリイソステテアリン酸ソルビタン等のソルビタン分岐脂肪酸エステル、大豆レシチン、卵黄レシチン、水素添加大豆レシチン、水素添加卵黄レシチン
、更にこれらのレシチン類を酵素処理によりモノアシル体としたリゾレシチン及び/または水素添加リゾレシチン、ヒドロキシル化したヒドロキシレシチン等のレシチン類、モノイソステアリン酸グリセリル、セスキイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル等のグリセリン分岐脂肪酸エステル等を挙げることができる。
【0038】
さらに、本発明の化粧料は、前記のもの以外にも、必要に応じてその他の成分として、乳糖、牛乳、練乳、チタン、タルク等の無機顔料、イソプロピルメチルフェノール、塩酸クロロロヘキシジン、グルコン酸クロロヘキシジンなどの殺菌剤、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2,ビタミンB6、ビタミンP、CoQ10、CoQ9、CoQ8などのビタミン類及び補酵素、無水珪酸、合成珪酸アルミニウム等流動化剤及び医薬品組成物、医薬部外品並びに化粧料用タール系色素等をアルギニルフルクトシルグルコース単体またはアルギニルフルクトシルグルコース含有混合物を含有する抗酸化剤とともに適宜配合出来る。
【0039】
本発明の化粧料の形態は特に限定されるものではないが、例えばクリーム、乳液、化粧水、エッセンス、洗顔料、クレンジング料、パックなどの基礎化粧料、口紅、ファンデーション、アイカラーなどのメイクアップ化粧料、ボディソープ、石鹸、シャンプー、リンス、コンデッショナーなどのトイレタリー製品、毛髪用セット剤などの毛髪用化粧料として用いることができる。
【0040】
本発明の飲食品組成物の形態としては特に限定されず、例えば、ジェル、粉末、液体、顆粒、クリーム状、ペースト状、固形等を挙げることができる。また、本発明の飲食品組成物の種類としても特に限定されず、例えば、菓子類(チューインガム、キャンディ、グミ、タブレット、チョコレート、ゼリー等)、氷菓(アイスキャンディー、アイスクリーム、シャーベット等)、冷菓(ゼリー、プリン、水ようかん等)、麺類をはじめとする澱粉系食品、粉末飲食品、飲料(スープ、コーヒー、茶類、ジュース、炭酸飲料、ココア、アルコール飲料、ゼリー状ドリンク等)、ベーカリー食品(クッキー、ビスケット、パン、パイ、ケーキ等)、油脂食品(マーガリン、ショートニング、ファットスプレッド等)、乳製品(牛乳、ヨーグルト、乳清飲料、乳酸菌飲料、バター、クリーム、チーズ等)等を挙げることができる。
【0041】
本発明の前記飲食品組成物はそれぞれ常法により製造することができ、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で下記の成分を適宜選択して本発明の抗酸化剤とともに配合できる。例えば、糖質甘味料(果糖、ブドウ糖、タガトース、アラビノース等の単糖類、乳糖、オリゴ糖、麦芽糖、トレハロース等の少糖類、粉末水あめ、デキストリン、糖アルコール等)、高甘味度甘味料(スクラロース、アセスルファムK、ステビア等)、でん粉等の多糖類、油脂類、乳製品、安定剤、乳化剤、香料(バニリン、リナロール、天然香料等)、色素、着色料、酸味料、風味原料(卵、コーヒー、茶類、ココア、果汁果肉、ヨーグルト、酒類等)、香味料(ラズベリーフレーバー、アップルフレーバー、コーヒーフレーバー等)、湿化防止剤、電解質、抗酸化剤、保存料、湿潤剤、蛋白質、アミノ酸、ペプチド、食物繊維、有機酸(クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸等)、ビタミン類(L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビオチン、イノシトール等)、ミネラル(亜鉛、鉄、カルシウム、マグネシウム、クロム、セレン、カリウム、ナトリウム等)、グルコサミン、酵母、卵殻膜、リコピン、アスタキサンチン、その他カロテノイド、シルク、コンドロイチン、セラミド、プラセンタエキス、フカヒレエキス、深海鮫エキス、スクワレン、γ−アミノ酪酸、カゼインドデカペプチド、生栗皮抽出物、栗の葉抽出物、栗のいが抽出物、栗果肉抽出物、栗樹皮抽出物、キャベツ発酵エキス、バラの花びら抽出物、ブドウ葉抽出物、ブドウ種子抽出物、りんごポリフェノール、カミツレエキス、ライチ種子エキス、ゴツコラエキス、月桃葉エキス、ハ
ス胚芽エキス、スターフルーツ葉エキス、桑葉抽出物、グァバ茶抽出物、赤ワイン、緑茶、紅茶、ウーロン茶、コーヒー、ココア、チョコレート、黒ゴマ、豆類、豆乳、ナッツ類、きのこ類、緑黄食野菜類、ヨード卵等の卵由来原料、カテキン類、その他ポリフェノール類、ラズベリーケトン、低分子アルギン酸、サイリウム種皮、イチョウ葉抽出物、松樹皮抽出物、ナットウキナーゼ、植物ステロール、ジアシルグリセロール、キトサン、ヒアルロン酸、メチルスルフォニルメタン、コウジ酸、エラグ酸、アルブチン、ルシノール、マグノリグナン、リン酸L−アスコルビン酸マグネシウム、CoQ10、α−リポ酸等が挙げられる。
【0042】
本発明の医薬品組成物の剤型としては特に限定されず、経口投与製剤でも非経口投与製剤のいずれであっても構わない。具体的には、エアゾール剤、液剤、エキス剤、エリキシル剤、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル、マイクロカプセル)、顆粒剤、丸剤、眼軟膏剤、経皮吸収型製剤、懸濁剤、乳剤、坐剤(含膣剤)、散剤、酒精剤、錠剤(素錠、コーティング錠、特殊錠)、シロップ剤、浸剤・煎剤、注射剤(水溶性注射剤、非水溶性注射剤)、貼付剤、チンキ剤、点眼剤、トローチ剤、軟膏剤、パップ剤、芳香水剤、リニメント剤、リモナーデ剤、流エキス剤、ローション剤などが挙げられる。これらの製剤は、製剤技術分野における慣用方法にて製造でき、例えば日本薬局方記載の方法で製造することができる。これらの製剤は、ヒトを含む哺乳動物に対して安全に投与することができるものである。
【0043】
前記薬理学的に許容される担体としては特に限定されず、製剤素材として公知である各種担体物質を使用することができる。前記担体物質としては特に限定されず、例えば、固形製剤においては、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等を挙げることができる。前記担体物質に加えて、更に、防腐剤、着色剤、天然色素、甘味剤等の製剤添加物も必要に応じて用いることができる。これらの物質として、乳糖、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、カルメロースカルシウム、無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク等が具体的に例示できるが、これらに限られるものではない。
【0044】
液状製剤における前記担体物質としては特に限定されず、例えば、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤等として配合されるもの等を挙げることができる。更に、防腐剤、着色剤、水不溶性レーキ色素、甘味剤等の製剤添加物も必要に応じて用いることができる。これらの物質として、マンニトール、塩化ナトリウム、グルコース、ソルビトール、グリセロール、キシリトール、フルクトース、マルトース、マンノース等の等張化剤、亜硫酸ナトリウム等の安定化剤、ベンジルアルコール、パラヒドロキシ安息香酸メチル等の保存剤等の他、溶解補助剤、無痛化剤やpH調整剤等が具体的に例示できるが、これらに限られるものではない。
【実施例】
【0045】
以下、実施例及び比較例を例示することにより、本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0046】
・試料の調整(アルギニルフルクトシルグルコースの製造)
アルギニン2g、マルトース5g及び氷酢酸50mlの混合物を80℃で30分間加熱攪拌した。得られた溶液をろ過し、ろ液を濃縮し、乾燥して混合物4.7gを得た。これを50mlの水に再溶解し、陽イオン交換樹脂を充填したカラムに供し、1%アンモニア水で溶出させる。溶出液を濃縮し、凍結乾燥してアルギニルフルクトシルグルコースフラクション2.4gを得た。得られたアルギニルフルクトシルグルコースフラクション(2.4g)をシリカゲルカラム及びバイオゲルP−2にて精製し、アルギニルフルクトシルグ
ルコース0.26gを得た。
【0047】
・ラジカル消去作用の測定
前記製造で得られたアルギニルフルクトシルグルコースについて、2,2−Dipheyl−1−picryldrazyl(Sigma社製、以下DPPHに略する。)を用いてラジカル消去作用を測定した。実験操作法としては、0.8mMのDPPH溶液0.1mlに80%エタノール0.1ml、2MのMES緩衝液(pH6.0)0.1ml及び表1に示す添加濃度となるように調整した添加被検物質の80%エタノール溶液0.1mlを加え、波長520nmにおける吸光度を測定した。吸光度の測定には、コロナ電気社製のSH−1000マイクロプレートリーダを用いた。アルギニルフルクトシルグルコースのラジカル消去作用の測定結果を表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
表1に示した結果から明らかなように、アルギニルフルクトシルグルコースは濃度依存的にラジカル消去作用を示した。
【0050】
以下に、本発明の化粧品及び医薬品組成物の実施例を示す。組成はwt%で示す。
【0051】
(実施例5)化粧水 wt%
アルギニルフルクトシルグルコース 0.1
N−アセチルグルコサミン 0.05
エタノール 7.5
プラセンタエキス 0.05
D−パントテニルアルコール 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
フェノキシエタノール 0.3
モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.3
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.05
エデト酸二ナトリウム 0.05
濃グリセリン 3.5
1,3−ブチレングリコール 2.5
ポリグリセリン 0.5
キサンタンガム 0.5
ソルビット液 5.0
カルボキシビニルポリマー 0.1
精製水 to100
【0052】
(実施例6)乳液 wt%
アルギニルフルクトシルグルコース 0.1
D−パントテニルアルコール 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
流動パラフィン 10.0
濃グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 10.0
ソルビット液 5.0
サラシミツロウ 0.5
流動パラフィン 1.5
親油型モノステアリン酸グリセリル 0.1
ステアリン酸 0.3
メチルポリシロキサン 1.0
ワセリン 1.0
コレステロール 0.02
ベントナイト 0.1
N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 0.3
キサンタンガム 0.2
ベヘニルアルコール 0.3
フェノキシエタノール 0.2
ヒアルロン酸ナトリウム(2) 0.05
水溶性コラーゲン(F) 0.1
鮭卵巣抽出物 0.1
パラオキシ安息香酸エステル 0.1
N−アセチルグルコサミン 0.05
精製水 to100
【0053】
(実施例7)クリーム wt%
アルギニルフルクトシルグルコース 0.1
D−パントテニルアルコール 1.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.5
流動パラフィン 4.0
サラシミツロウ 0.5
コレステロール 1.0
メチルシクロポリシロキサン 2.0
ジプロピレングリコール 7.0
親油型モノステアリン酸グリセリル 0.3
セチル硫酸ナトリウム 1.0
モノステアリン酸ポリエチレングリコール 1.0
ヒアルロン酸ナトリウム(2) 0.5
水溶性コラーゲン(F) 0.1
フェノキシエタノール 0.5
エデト酸二ナトリウム 0.05
N−アセチルグルコサミン 0.05
精製水 to100
【0054】
(実施例8)栄養クリーム wt%
アルギニルフルクトシルグルコース 1.0
ステアリン酸 2.5
ステアリルアルコール 8.0
スクワラン 5.0
オクチルドデカノール 7.0
グリセリルモノステアレート 4.0
防腐剤 適 量
香料 適 量
グリセリン 6.0
ソルビトール 13.0
乳酸カリウム 0.5
精製水 to100
【0055】
(実施例9)リップトリートメント wt%
アルギニルフルクトシルグルコース 0.1
キャンデリラロウ 12.0
固形パラフィン 8.0
ミツロウ 5.0
カルナバロウ 2.0
ラノリン 14.0
マンニット 15.0
イソプロピルミリステート 10.0
香料 適 量
酸化防止剤 適 量
ヒマシ油 to100
【0056】
(実施例10)パック wt%
アルギニルフルクトシルグルコース 0.5
タルク 25.0
プロピレングリコール 6.0
KCl 0.1
香料 適 量
カオリン to100
【0057】
(実施例11)乳液 wt%
アルギニルフルクトシルグルコース 0.2
ステアリン酸 2.0
セタノール 2.0
ワセリン 2.0
ラノリンアルコール 1.5
流動パラフィン 9.0
スクワラン 3.5
ソルビトール 10.0
トリエタノールアミン 1.0
プロピレングリコール 5.0
防腐剤 適 量
香料 適 量
精製水 to100
【0058】
(実施例12)栄養クリーム wt%
アルギニルフルクトシルグルコース 1.0
ステアリン酸 2.0
ステアリルアルコール 8.0
還元ラノリン 2.0
スクワラン 8.0
オクチルドデカノール 6.0
防腐剤 適 量
香料 適 量
プロピレングリコール 5.0
グリセリン 3.0
乳酸 0.3
クエン酸ナトリウム 0.5
精製水 to100
【0059】
(実施例13)スリミングマッサージジェル wt%
アルギニルフルクトシルグルコース 2.0
グリセリン 60.0
PEG200 14.0
ポリビニルアルコール 0.2
精製水 to100
【0060】
(実施例14)スリミングマッサージソープ wt%
アルギニルフルクトシルグルコース 5.0
ラウリン酸 10.0
水酸化カリウム 2.8
ヤシ油脂肪酸カリウム液 30.0
エデト酸2ナトリウム 0.15
メチルセルロース 0.5
ラウリン酸アミノプロピルベタイン液 2.0
グリセリン 8.0
香料 適 量
精製水 to100
【0061】
(実施例15)マッサージ用ジェル wt%
アルギニルフルクトシルグルコース 0.5
カフェイン 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.5
ポリビニルアルコール 3.0
グリセリン 35.0
ポリエチレングリコール400 45.0
エタノール 適 量
防腐剤 適 量
精製水 to100
【0062】
実施例5から15の各化粧料は、通常の化粧料の製造方法に準じた。また、アルギニルフルクトシルグルコースは、実施例1〜4に使用したものと同じ製法による精製試料を使用した。いずれの化粧料も連用により各種肌トラブルを改善した。
【0063】
(実施例16)顆粒剤 wt%
アルギニルフルクトシルグルコース 10.0
デンプン 30.0
乳糖 49.0
結晶セルロース to100
前記の各重量部を均一に混合し、常法により作製し顆粒剤とした。
【0064】
(実施例17)錠剤 wt%
アルギニルフルクトシルグルコース 1.0
結晶セルロース 1.5
ビタミンC 20.0
香料 1.0
グアガム 0.1
DKエステル 1.5
粉糖 to100
【0065】
(実施例18)ソフトカプセル剤 wt%
アルギニルフルクトシルグルコース 3.0
ビタミンE 20.0
小麦胚芽油 15.0
グリセリン脂肪酸エステル 5.0
ミツロウ 2.0
シソ油 to100
前記成分を混合し、ゼラチン、グリセリンからなるセラチン皮膜に充填し常法に準じソフトカプセルとした。
【0066】
(実施例19)ハードカプセル剤 wt%
アルギニルフルクトシルグルコース 15.0
アスコルビン酸ナトリウム 18.0
デキストリン 24.0
グリセリン脂肪酸 0.5
粉糖 to100
前記成分を混合し、ゼラチンからなるカプセル容器に充填し常法に準じハードカプセルとした。
【0067】
いずれの医薬品組成物も各種肌トラブルを改善した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルギニルフルクトシルグルコースを有効成分として含有することを特徴とする抗酸化剤。
【請求項2】
アルギニルフルクトシルグルコースを配合したことを特徴とする化粧料。
【請求項3】
アルギニルフルクトシルグルコースを配合したことを特徴とする飲食品組成物。
【請求項4】
アルギニルフルクトシルグルコースを配合したことを特徴とする医薬品組成物。

【公開番号】特開2012−140360(P2012−140360A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293168(P2010−293168)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(306018365)クラシエホームプロダクツ株式会社 (188)
【Fターム(参考)】