説明

抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、及び育毛剤、並びに、皮膚外用剤及び飲食品

【課題】優れた作用を有し、かつ安全性の高い抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、及び育毛剤、並びに、前記抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、及び育毛剤の少なくともいずれかを利用した皮膚外用剤及び飲食品を提供すること。
【解決手段】ミリントニア・ホルテンシスの抽出物、リーア・マクロフィラの抽出物、コダリオカリクス・モトリウスの抽出物、マルティニア・アンヌアの抽出物、ピットスポルム・ナパウレンセの抽出物、ヘスペレトゥサ・クレヌラータの抽出物、プテロスペルムム・ディベルシフォリウムの抽出物、グレウィア・エリオカルパの抽出物、ツンベルギア・ラウリフォリアの抽出物、及びプレムナ・インテグリフォリアの抽出物から選択される少なくとも1種を含有する抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、及び育毛剤、並びに、前記抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、及び育毛剤の少なくともいずれかを含有する皮膚外用剤及び飲食品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物抽出物を含有する抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、及び育毛剤、並びに、前記抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、及び育毛剤の少なくともいずれかを利用した皮膚外用剤及び飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生体成分を酸化させる要因として、活性酸素が注目されており、その生体への悪影響が問題となっている。活性酸素は、生体細胞内のエネルギー代謝過程で生じるものであり、スーパーオキサイド〔即ち、酸素分子の一電子還元で生じるスーパーオキシドアニオン(・O)、過酸化水素(H)、一重項酸素()、ヒドロキシラジカル(・OH)〕等がある。このような活性酸素は食細胞の殺菌機構にとって必須であり、ウイルスや癌細胞の除去に重要な働きを果たしている。
しかし、前記活性酸素の過剰な生成は生体内の膜及び組織を構成する生体内分子を攻撃し、各種疾患を誘発する。生体内で生産され、他の活性酸素の出発物質ともなっているスーパーオキサイドは、通常、細胞内に含まれているスーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)の触媒作用により逐次消去されている。しかし、スーパーオキサイドの産生が過剰な場合、あるいはSODの作用が低下している場合には、スーパーオキサイドの消去が不十分になってスーパーオキサイド濃度が高くなる。このことが、関節リウマチ、ベーチェット病等の組織障害、心筋梗塞、脳卒中、白内障、シミ、ソバカス、しわ、糖尿病、動脈硬化、肩凝り、冷え性、皮膚の老化などを起こす原因の一つであると考えられている。
これらの中でも、皮膚は紫外線等の環境因子の刺激を直接受けるため、スーパーオキサイドが生成し易い器官であるから、スーパーオキサイド濃度の上昇により、例えば、コラーゲン等の生体組織を分解、変性、又は架橋したり、また油脂類を酸化して細胞に障害を与える過酸化脂質を生成して、皮膚のしわを形成したり、皮膚の弾力性低下等の老化、炎症、肌の色素沈着を引き起こすという問題がある(非特許文献1参照)。
そこで、活性酸素消去物質、ラジカル消去物質、過酸化水素消去物質等を安全性の点で有利な天然物から得る試みがなされており、アブラナ科ブラシカ属植物の抽出物(特許文献1参照)、ベンケイソウ科リュウキュウベンケイ属植物の抽出物(特許文献2参照)、タマコチョウの抽出物(特許文献3参照)、スイオウの抽出物(特許文献4参照)、などに有効性が確認されている。
【0003】
また、炎症性の疾患、例えば接触性皮膚炎(かぶれ)、乾癬、尋常性天疱瘡、その他肌荒れを伴う各種皮膚疾患等の原因及び発症機構は多種多様である。その原因として、例えば、一酸化窒素(NO)産生、腫瘍壊死因子(TNF−α)産生、ヒアルロニダーゼ活性、ヘキソサミニダーゼ(ヒスタミン)遊離、血小板凝集、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)活性によるものなどが知られている。
【0004】
前記一酸化窒素(NO)は、大気汚染、酸性雨等の要因となる窒素酸化物である。また、近年、一酸化窒素(NO)は、血管内皮由来弛緩因子(EDRF)、神経伝達物質、生体防御における微生物、腫瘍細胞の障害因子等、生体内で多彩な機能を示す生理活性物質であることが報告されている。生理活性物質としては、マクロファージから産生される一酸化窒素が細菌及びウイルスの感染を防御することが知られている。しかし、前記マクロファージから産生される一酸化窒素が大量に生合成されると、生体にとって無毒ではなく、自己組織の破壊を引き起こし、炎症の悪化、リューマチ、糖尿病等の病態の原因となることがある。また、大量に生合成された一酸化窒素が血管平滑筋の弛緩と過剰な透過性の増大をもたらし、著しい血圧の低下によってエンドトキシン・ショックを引き起こすこともある。
このような炎症性疾患において、一酸化窒素(NO)の過剰な産生を抑制することが重要となる。このような一酸化窒素の産生抑制作用を有する生薬としては、例えば、ローズマリー抽出液、カルノソール、カルノシン酸、コーヒー豆の抽出液、サクラダソウ抽出液、オウレン抽出液、オウバク抽出液、カンゾウ抽出液、イヌノイバラの抽出液、センキュウ抽出液、トウニン抽出液、シャクヤク抽出液、ヨクイニン抽出液、アカブドウ抽出液(特許文献5参照)、唐独活、タラ根皮、和続断、車前子、遠子、茜草根、半枝連、槐花、花椒(非特許文献2参照)、などが報告されている。
【0005】
前記TNF−αは、腫瘍を壊死させる因子として見出されたが、最近では腫瘍に対してだけでなく、正常細胞の機能を調節するメディエーター的な役割を担うサイトカインであると考えられている。TNF−αは炎症の初発から終息までの過程において重要な役割を担っているが、その持続的かつ過剰な産生は、皮膚を含めた組織の障害を引き起こし、全身的には発熱やカケクシアの原因となり、炎症の悪化を引き起こす。そのような炎症としては、例えば、関節リューマチ、変形性関節症などの慢性炎症性疾患が代表的である。したがって、病的な炎症においてはTNF−αの過剰な産生を抑制することが重要となる。このようなTNF−α産生抑制剤としては、例えば、シソ抽出液(非特許文献3参照)、ヒガンバナ科アルカロイドのリコリン及びリコリシジノール(非特許文献4参照)、などが挙げられる。
【0006】
体組織への親和性を保つヒアルロン酸塩は、含水系の中では紫外線、酵素等によって分解され、分子量の低下に伴って保水効果も減少する。また、ヒアルロン酸は細胞間組織として存在し、血管透過性とも関与している。更に、ヒアルロニダーゼは肥満細胞中にあって活性化により、肥満細胞からの脱顆粒に関与していると考えられている。したがってヒアルロン酸の加水分解酵素であるヒアルロニダーゼの活性を阻害することにより、ヒアルロン酸の安定化をはかり、肥満細胞からの種々のケミカルメディエーターの放出を防止し、抗炎症が期待できる。
このようなヒアルロニダーゼ活性阻害作用を有する生薬としては、例えば、オスベッキア属植物の抽出物(特許文献6参照)、藤茶抽出物(特許文献7参照)、ローズマリー、タイム抽出物及びメリッサ抽出物(特許文献8参照)などが報告されている。
【0007】
前記ヒスタミン遊離は、肥満細胞内のヒスタミンが細胞外に遊離する現象であり、遊離されたヒスタミンが炎症反応を引き起こす。このため、ヒスタミン遊離を阻害乃至抑制する物質によりアレルギー性疾患、炎症性疾患を予防乃至治療する試みがなされている。このようなヒスタミン遊離抑制剤として、例えばトラニラスト、クロモグリク酸ナトリウム、バイカリン、バイカレイン、塩酸プロメタジンなどが用いられてきた。しかし、これらの物質はいずれも副作用があり、安全性の点で問題があった。
【0008】
血小板凝集は、アラキドン酸カスケードのホスホリパーゼAの活性化を招き、それによりロイコトリエンB及びプロスタグランジンE等が放出されて起炎物質となる。このため、血小板の凝集を阻害乃至抑制する物質によりアレルギー疾患性疾患、炎症性疾患を予防乃至治療する試みがなされている。このような血小板凝集抑制作用を有する生薬の抽出物としては、例えば、カナリウム属に属する植物の抽出物(特許文献9参照)、コウサンフウ抽出物(特許文献10参照)、藤茶抽出物(特許文献11参照)、などが報告されている。
【0009】
また炎症は、発赤、浮腫、発熱、痛み、機能障害などの症状を示す複雑な反応である。微視的に見ると、血漿漏出を起こす血管反応、白血球の浸潤、炎症性細胞による組織破壊などの共通する反応からなり、発熱反応や痛覚過敏など中枢神経系が関与する全身の反応も引き起こす場合がある。このような炎症の個々の反応にはプロスタグランジンが重要な役割を果たしており、この炎症時におけるプロスタグランジンの産生には、主として誘導型のシクロオキシゲナーゼであるシクロオキシゲナーゼ−2の関与が明らかとなっている。
このため、炎症反応の防止及び予防を図る目的で、アスピリンに代表される多くのシクロオキシゲナーゼ活性阻害剤が用いられている(非特許文献5参照)。また、植物由来のシクロオキシゲナーゼ活性阻害剤としては、マンゴスチン果皮抽出物中のα−マンゴスチン及びγ−マンゴスチンが知られている(特許文献12参照)。また、前記シクロオキシゲナーゼ−2活性阻害作用を有する化合物としては、2−フェニル−1,2−ベンズイソセレナゾール−3(2H)−オン、その塩、又はその水和物が知られている(特許文献13参照)。
【0010】
また、皮膚の表皮及び真皮は、表皮細胞、皮膚線維芽細胞、及び、これらの細胞の外にあって皮膚構造を支持するコラーゲンやエラスチン等の細胞外マトリックスにより構成されている。若い皮膚においては、これら皮膚組織の相互作用が恒常性を保つことにより、水分保持、柔軟性、弾力性等が確保され、肌は外見的にも張りや艶があってみずみずしい状態に維持される。
ところが、紫外線(UV−A、UV−B)の照射、空気の著しい乾燥、過度の皮膚洗浄、過酸化水素との接触等の外的因子の影響があったり、加齢が進んだりすると、コラーゲンやエラスチン等の細胞外マトリックスの産生量が減少すると共に、架橋による弾力低下を起こす。その結果、皮膚は保湿機能や弾力性が低下し、角質は異常剥離を始めるため、肌は張りや艶を失い、荒れ、シワ等の老化症状を呈するようになる。
このように皮膚の老化に伴う変化、即ち、シワ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下等には、コラーゲンやエラスチン等の真皮マトリックス成分の減少乃至変性が関与していることが知られている。
【0011】
エラスターゼは皮膚の真皮に存在するエラスチンの加水分解酵素であるが、エラスターゼは、紫外線暴露や老化により過剰発現することがあり、エラスターゼによりエラスチンが変性・破壊されると、皮膚の弾力性が低下すると考えられている。
【0012】
また近年、真皮マトリックス成分の減少乃至変性を誘導する因子として、マトリックスメタロプロテアーゼ類(以下、「MMPs」と称することもある)と呼ばれるタンパク質分解酵素群が挙げられる。
前記MMPsは、その一次構造と基質特異性の違いから、(1)コラゲナーゼ群(MMP−1、MMP−8及びMMP−13)、(2)ゼラチナーゼ群(MMP−2及びMMP−9)、(3)ストロメライシン群(MMP−3及びMMP−10)、(4)膜結合型マトリックスメタロプロテアーゼ群(MMP−14、MMP−15、MMP−16、及びMMP−17)、(5)その他(MMP−7、MMP−11、及びMMP−12)の5つのグループに分類されている(特許文献14参照)。
前記MMPsの中でも、MMP−1及びMMP−14は、皮膚の真皮マトリックスの主な構成成分であるI型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲンを分解する酵素として知られている。また、その発現は紫外線の照射により大きく増加し、紫外線によるコラーゲンの減少乃至変性の一因となり、皮膚のシワ形成等の大きな要因であると考えられる。
【0013】
また角層は、表皮角化細胞が終末分化して形成された角質細胞と、細胞間を埋める細胞間脂質から形成される。セラミドを主成分とする細胞間脂質は、ラメラ構造を形成することにより、角層バリア機能を担っている。一方、角質細胞は、ケラチン線維を主成分とし、膜の裏打ち蛋白であるコーニファイドエンベロープ(角質肥厚膜、以下「CE」と略す。)という疎水的で強靭な細胞膜様構造物に覆われている。CEは、表皮角化細胞の分化に従って細胞内で産生されるインボルクリン、ロリクリンなど複数のCE前駆体蛋白質が、酵素トランスグルタミナーゼ−1により架橋され、不溶化して形成され、このCEが皮膚のバリア機能に密接に関与している。さらに、その一部にはセラミド等が共有結合し、疎水的な構造をとることで細胞間脂質のラメラ構造の土台を供給し、角層バリア機能及び皮膚の水分保持機能の基礎が形成される。
【0014】
しかしながら、加齢、乾燥、紫外線(UV−A、UV−B)などの影響によりターンオーバー速度に異常が生じると、ラメラ構造の乱れやCEが不完全な状態で形成された、いわゆる不全角化が誘発され、角質細胞や細胞間脂質の構造に異常が生じ、角層の水分保持機能及びバリア機能は低下する。このことが肌荒れ、乾燥肌等の皮膚の老化症状につながると考えられる。また、乾癬やアトピー性皮膚炎の患者では、バリア機能が低下した皮疹部で未熟なCEが高頻度に観察され、CEが正しく形成されることが皮膚のバリア機能に非常に重要であると考えられている(非特許文献6参照)。
【0015】
また、毛髪は、成長期、退行期及び休止期からなる周期的なヘアサイクル(毛周期)に従って成長及び脱落を繰り返している。このヘアサイクルのうち、休止期から成長期にかけての新たな毛包が形成されるステージが、発毛に最も重要であると考えられており、このステージにおける毛包上皮系細胞の増殖乃至分化に重要な役割を果たしているのが、毛乳頭細胞であると考えられている。毛乳頭細胞は、毛根近傍にある外毛根鞘細胞とマトリックス細胞とからなる毛包上皮系細胞の内側にあって、基底膜に包まれている毛根の根幹部分に位置する細胞であり、毛包上皮系細胞に働きかけてその増殖を促進する等、毛包上皮系細胞の増殖乃至分化及び毛髪の形成において重要な役割を担っている(非特許文献7参照)。前記毛乳頭細胞は、毛包上皮系細胞の増殖乃至分化及び毛髪の形成において最も重要な役割を果たしており、培養毛乳頭細胞に対象物質を接触させて、その細胞の増殖活性の有無及び/又は強弱を特定することで、その対象物質の育毛効果を検定する方法が提案されている(特許文献15参照)。このような毛乳頭細胞増殖促進作用を有する生薬として、例えば、オウギ抽出物、オウレン抽出物、クマノギク抽出物等が知られている(特許文献16及び特許文献17参照)。
【0016】
また多くのステロイドホルモンは産生臓器から分泌された分子型で受容体と結合してその作用を発現するが、アンドロゲンと総称される男性ホルモンの場合、例えば、テストステロンは標的臓器の細胞内に入ってテストステロン5α−レダクターゼにより5α−ジヒドロテストステロン(5α−DHT)に還元されてから受容体と結合し、アンドロゲンとしての作用を発現する。
【0017】
前記アンドロゲンは重要なホルモンであるが、それが過度に作用すると、男性型脱毛症、多毛症、脂漏症、座瘡(ニキビなど)、前立腺肥大症、前立腺腫瘍、男児性早熟等のさまざまな好ましくない症状を誘発する。そこで、従来、これらの各種症状を改善するために過剰のアンドロゲンの作用を抑制する方法、具体的には、テストステロンを活性型5α−DHTに還元するテストステロン5α−レダクターゼの作用を阻害することにより、活性な5α−DHTが生じるのを抑制する方法や、テストステロンから生じた5α−DHTが受容体と結合するのを阻害することによりアンドロゲン活性を発現させない方法が提案されている。
このような5α−DHTとその受容体との結合を阻害する作用を有する植物抽出物としては、例えば、マジト及びカチュアの少なくともいずれかの抽出物などが知られている(特許文献18参照)。
【0018】
しかしながら、現在までのところ、入手が容易で安価であり、安全性の高い天然物系のものであって、味、匂い、使用感等の点で添加対象物の品質に悪影響を及ぼさず、皮膚外用剤及び飲食品に広く使用可能な抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、及び育毛剤は未だ提供されておらず、その速やかな提供が強く求められているのが現状である。
【0019】
【特許文献1】特開2003−81848号公報
【特許文献2】特開2005−29483号公報
【特許文献3】特開2006−321730号公報
【特許文献4】特開2007−8902号公報
【特許文献5】特開2002−87975号公報
【特許文献6】特開2003−55242号公報
【特許文献7】特開2003−12532号公報
【特許文献8】特開平8−333267号公報
【特許文献9】特開2002−53478号公報
【特許文献10】特開2002−53477号公報
【特許文献11】特開2001−97873号公報
【特許文献12】特開2002−47180号公報
【特許文献13】特開2000−16935号公報
【特許文献14】特開2000−344672号公報
【特許文献15】特開平10−229978号公報
【特許文献16】特開平9−208431号公報
【特許文献17】特開平11−12134号公報
【特許文献18】特開2002−241297号公報
【非特許文献1】「フレグランスジャーナル」臨時増刊No.14、p156、1995年
【非特許文献2】「和漢医薬学雑誌」,Vol.15,p.302−303,1998年発行
【非特許文献3】「炎症」1993年,Vol.13,No.4,p.337〜340
【非特許文献4】「薬学雑誌」2001年,Vol.121,No.2,p.167〜171
【非特許文献5】薬理学アトラス(P184)、福原武彦監訳、文光堂
【非特許文献6】Experimental Dermatology 12:591−601(2003)
【非特許文献7】「Trends Genet」,1992年,第8巻,p.56−61
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れた抗酸化作用を有し、かつ安全性の高い抗酸化剤、優れた抗炎症作用を有し、かつ安全性の高い抗炎症剤、優れた抗老化作用を有し、かつ安全性の高い抗老化剤、及び、優れた育毛作用を有し、かつ安全性の高い育毛剤、並びに、前記抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、及び育毛剤の少なくともいずれかを利用した皮膚外用剤及び飲食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を行ったところ、ミリントニア・ホルテンシス(Millingtonia hortensis)、リーア・マクロフィラ(Leea macrophylla)、コダリオカリクス・モトリウス(Codariocalyx motorius)、マルティニア・アンヌア(Martynia annua)、ピットスポルム・ナパウレンセ(Pittosporum napaulense)、ヘスペレトゥサ・クレヌラータ(Hesperethusa crenulata)、プテロスペルムム・ディベルシフォリウム(Pterospermumu diversifolium)、グレウィア・エリオカルパ(Grewia eriocarpa)、ツンベルギア・ラウリフォリア(Thunbergia laurifolia)、及びプレムナ・インテグリフォリア(Premna integrifolia)の各植物抽出物が、優れた抗酸化作用、抗炎症作用、抗老化作用、及び育毛作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0022】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> ミリントニア・ホルテンシス(Millingtonia hortensis)の抽出物、リーア・マクロフィラ(Leea macrophylla)の抽出物、コダリオカリクス・モトリウス(Codariocalyx motorius)の抽出物、マルティニア・アンヌア(Martynia annua)の抽出物、ピットスポルム・ナパウレンセ(Pittosporum napaulense)の抽出物、ヘスペレトゥサ・クレヌラータ(Hesperethusa crenulata)の抽出物、プテロスペルムム・ディベルシフォリウム(Pterospermumu diversifolium)の抽出物、グレウィア・エリオカルパ(Grewia eriocarpa)の抽出物、ツンベルギア・ラウリフォリア(Thunbergia laurifolia)の抽出物、及びプレムナ・インテグリフォリア(Premna integrifolia)の抽出物から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする抗酸化剤である。
<2> スーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)様作用、一重項酸素による膜脂質の過酸化抑制作用、過酸化水素消去作用、及びラジカル消去作用の少なくともいずれかを有する前記<1>に記載の抗酸化剤である。
<3> ミリントニア・ホルテンシス(Millingtonia hortensis)の抽出物、リーア・マクロフィラ(Leea macrophylla)の抽出物、コダリオカリクス・モトリウス(Codariocalyx motorius)の抽出物、マルティニア・アンヌア(Martynia annua)の抽出物、ピットスポルム・ナパウレンセ(Pittosporum napaulense)の抽出物、ヘスペレトゥサ・クレヌラータ(Hesperethusa crenulata)の抽出物、プテロスペルムム・ディベルシフォリウム(Pterospermumu diversifolium)の抽出物、グレウィア・エリオカルパ(Grewia eriocarpa)の抽出物、ツンベルギア・ラウリフォリア(Thunbergia laurifolia)の抽出物、及びプレムナ・インテグリフォリア(Premna integrifolia)の抽出物から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする抗炎症剤である。
<4> 一酸化窒素(NO)産生抑制作用、腫瘍壊死因子(TNF−α)産生抑制作用、ヒアルロニダーゼ活性阻害作用、ヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用、血小板凝集抑制作用、及びシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)活性阻害作用の少なくともいずれかを有する前記<3>に記載の抗炎症剤である。
<5> ミリントニア・ホルテンシス(Millingtonia hortensis)の抽出物、リーア・マクロフィラ(Leea macrophylla)の抽出物、コダリオカリクス・モトリウス(Codariocalyx motorius)の抽出物、マルティニア・アンヌア(Martynia annua)の抽出物、ピットスポルム・ナパウレンセ(Pittosporum napaulense)の抽出物、ヘスペレトゥサ・クレヌラータ(Hesperethusa crenulata)の抽出物、プテロスペルムム・ディベルシフォリウム(Pterospermumu diversifolium)の抽出物、グレウィア・エリオカルパ(Grewia eriocarpa)の抽出物、ツンベルギア・ラウリフォリア(Thunbergia laurifolia)の抽出物、及びプレムナ・インテグリフォリア(Premna integrifolia)の抽出物から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする抗老化剤である。
<6> エラスターゼ活性阻害作用、MMP−1活性阻害作用、皮膚線維芽細胞増殖促進作用、表皮角化細胞増殖促進作用、UV−Bダメージからの回復作用、及び過酸化水素に対するダメージ抑制作用の少なくともいずれかを有する前記<5>に記載の抗老化剤である。
<7> ミリントニア・ホルテンシス(Millingtonia hortensis)の抽出物、リーア・マクロフィラ(Leea macrophylla)の抽出物、コダリオカリクス・モトリウス(Codariocalyx motorius)の抽出物、マルティニア・アンヌア(Martynia annua)の抽出物、ピットスポルム・ナパウレンセ(Pittosporum napaulense)の抽出物、ヘスペレトゥサ・クレヌラータ(Hesperethusa crenulata)の抽出物、プテロスペルムム・ディベルシフォリウム(Pterospermumu diversifolium)の抽出物、グレウィア・エリオカルパ(Grewia eriocarpa)の抽出物、ツンベルギア・ラウリフォリア(Thunbergia laurifolia)の抽出物、及びプレムナ・インテグリフォリア(Premna integrifolia)の抽出物から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする育毛剤である。
<8> アンドロゲンレセプター拮抗作用、及び毛乳頭細胞増殖促進作用の少なくともいずれかを有する前記<7>に記載の育毛剤である。
<9> 前記<1>から<2>のいずれかに記載の抗酸化剤、前記<3>から<4>のいずれかに記載の抗炎症剤、前記<5>から<6>のいずれかに記載の抗老化剤、及び前記<7>から<8>のいずれかに記載の育毛剤の少なくともいずれかを含有することを特徴とする皮膚外用剤である。
<10> 前記<1>から<2>のいずれかに記載の抗酸化剤、前記<3>から<4>のいずれかに記載の抗炎症剤、前記<5>から<6>のいずれかに記載の抗老化剤、及び前記<7>から<8>のいずれかに記載の育毛剤の少なくともいずれかを含有することを特徴とする飲食品である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、従来における諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた抗酸化作用を有し、かつ安全性の高い抗酸化剤、優れた抗炎症作用を有し、かつ安全性の高い抗炎症剤、優れた抗老化作用を有し、かつ安全性の高い抗老化剤、及び、優れた育毛作用を有し、かつ安全性の高い育毛剤、並びに、前記抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、及び育毛剤の少なくともいずれかを利用した皮膚外用剤及び飲食品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、及び育毛剤)
本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、及び育毛剤は、ミリントニア・ホルテンシス(Millingtonia hortensis)の抽出物、リーア・マクロフィラ(Leea macrophylla)の抽出物、コダリオカリクス・モトリウス(Codariocalyx motorius)の抽出物、マルティニア・アンヌア(Martynia annua)の抽出物、ピットスポルム・ナパウレンセ(Pittosporum napaulense)の抽出物、ヘスペレトゥサ・クレヌラータ(Hesperethusa crenulata)の抽出物、プテロスペルムム・ディベルシフォリウム(Pterospermumu diversifolium)の抽出物、グレウィア・エリオカルパ(Grewia eriocarpa)の抽出物、ツンベルギア・ラウリフォリア(Thunbergia laurifolia)の抽出物、及びプレムナ・インテグリフォリア(Premna integrifolia)の抽出物から選択される少なくとも1種を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0025】
前記抗酸化剤は、スーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)様作用、一重項酸素による膜脂質の過酸化抑制作用、過酸化水素消去作用、及びラジカル消去作用の少なくともいずれかに基づく抗酸化作用を有するものである。
前記抗炎症剤は、一酸化窒素(NO)産生抑制作用、腫瘍壊死因子(TNF−α)産生抑制作用、ヒアルロニダーゼ活性阻害作用、ヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用、血小板凝集抑制作用、及びシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)活性阻害作用の少なくともいずれかに基づく抗炎症作用を有するものである。
前記抗老化剤は、エラスターゼ活性阻害作用、MMP−1活性阻害作用、皮膚線維芽細胞増殖促進作用、表皮角化細胞増殖促進作用、UV−Bダメージからの回復作用、及び過酸化水素に対するダメージ抑制作用の少なくともいずれかに基づく抗老化作用を有するものである。
前記育毛剤は、アンドロゲンレセプター拮抗作用、及び毛乳頭細胞増殖促進作用の少なくともいずれかに基づく育毛作用を有するものである。
前記ミリントニア・ホルテンシス(Millingtonia hortensis)、リーア・マクロフィラ(Leea macrophylla)、コダリオカリクス・モトリウス(Codariocalyx motorius)、マルティニア・アンヌア(Martynia annua)、ピットスポルム・ナパウレンセ(Pittosporum napaulense)、ヘスペレトゥサ・クレヌラータ(Hesperethusa crenulata)、プテロスペルムム・ディベルシフォリウム(Pterospermumu diversifolium)、グレウィア・エリオカルパ(Grewia eriocarpa)、ツンベルギア・ラウリフォリア(Thunbergia laurifolia)、及びプレムナ・インテグリフォリア(Premna integrifolia)(本明細書中において、単に「植物」と総称することがある)の各抽出物が含有する、抗酸化作用、抗炎症作用、抗老化作用、及び育毛作用を発揮する物質の詳細については不明であるが、前記各植物抽出物がこのような優れた作用を有し、抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、及び育毛剤として有用であることは、従来には全く知られておらず、本発明者らによる新たな知見である。
【0026】
前記ミリントニア・ホルテンシス(Millingtonia hortensis)は、姉妹樹(シマイジュ)やコルクノウゼンとしても知られるノウゼンカズラ科の植物であり、タイ、中国、インド、スリランカ等に分布しており、これらの地域から容易に入手可能である。
抽出原料として使用する前記ミリントニア・ホルテンシスの部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、花、蕾、果実、果皮、種子、種皮、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根、根茎、根皮、これらの混合物などが挙げられ、これらの中でも、樹皮、根が好ましい。
前記リーア・マクロフィラ(Leea macrophylla)は、ウドノキ科の植物であり、東南アジア〜アフリカ、中国、インドに分布しており、これらの地域から容易に入手可能である。
抽出原料として使用する前記リーア・マクロフィラの部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、花、蕾、果実、果皮、種子、種皮、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根、根茎、根皮、これらの混合物などが挙げられ、これらの中でも、葉が好ましい。
前記コダリオカリクス・モトリウス(Codariocalyx motorius)は、舞萩(マイハギ)としても知られるマメ科の植物であり、東南アジアから中国南部に分布しており、これらの地域から容易に入手可能である。
抽出原料として使用する前記コダリオカリクス・モトリウスの部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、花、蕾、果実、果皮、種子、種皮、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根、根茎、根皮、これらの混合物などが挙げられ、これらの中でも、葉、茎が好ましい。
前記マルティニア・アンヌア(Martynia annua)は、マーティニアとしても知られるマーティニア科の植物であり、中央アメリカからカリブ海沿岸地域に分布しており、これらの地域から容易に入手可能である。
抽出原料として使用する前記マルティニア・アンヌアの部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、花、蕾、果実、果皮、種子、種皮、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根、根茎、根皮、これらの混合物などが挙げられ、これらの中でも、葉、茎、根が好ましい。
前記ピットスポルム・ナパウレンセ(Pittosporum napaulense)は、トベラ科の植物であり、南、東南アジア等のアジア・太平洋地域からアフリカにかけて分布しており、これらの地域から容易に入手可能である。
抽出原料として使用する前記ピットスポルム・ナパウレンセの部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、花、蕾、果実、果皮、種子、種皮、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根、根茎、根皮、これらの混合物などが挙げられ、これらの中でも、樹皮が好ましい。
前記ヘスペレトゥサ・クレヌラータ(Hesperethusa crenulata)は、柑果子としても知られるミカン科の植物であり、北部インド、ミャンマー、中国南部、タイに分布しており、これらの地域から容易に入手可能である。
抽出原料として使用する前記ヘスペレトゥサ・クレヌラータの部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、花、蕾、果実、果皮、種子、種皮、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根、根茎、根皮、これらの混合物などが挙げられ、これらの中でも、茎、葉が好ましい。
前記プテロスペルムム・ディベルシフォリウム(Pterospermumu diversifolium)は、アオギリ科の植物であり、東南アジアに分布しており、これらの地域から容易に入手可能である。
抽出原料として使用する前記プテロスペルムム・ディベルシフォリウムの部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、花、蕾、果実、果皮、種子、種皮、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根、根茎、根皮、これらの混合物などが挙げられ、これらの中でも、葉、茎が好ましい。
前記グレウィア・エリオカルパ(Grewia eriocarpa)は、大葉捕魚木としても知られるシナノキ科の植物であり、台湾、中国、東南アジア、インドに分布しており、これらの地域から容易に入手可能である。
抽出原料として使用する前記グレウィア・エリオカルパの部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、花、蕾、果実、果皮、種子、種皮、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根、根茎、根皮、これらの混合物などが挙げられ、これらの中でも、葉、樹皮が好ましい。
前記ツンベルギア・ラウリフォリア(Thunbergia laurifolia)は、ローレルカズラとしても知られるキツネノマゴ科の植物であり、ミャンマーからマレー半島が原産地であり、これらの地域から容易に入手可能である。
抽出原料として使用する前記ツンベルギア・ラウリフォリアの部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、花、蕾、果実、果皮、種子、種皮、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根、根茎、根皮、これらの混合物などが挙げられ、これらの中でも、樹皮が好ましい。
前記プレムナ・インテグリフォリア(Premna integrifolia)は、タイワンウオクサギとしても知られるクマツヅラ科の植物であり、中国南部、東南アジア、インドに分布しており、これらの地域から容易に入手可能である。
抽出原料として使用する前記プレムナ・インテグリフォリアの部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、花、蕾、果実、果皮、種子、種皮、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根、根茎、根皮、これらの混合物などが挙げられ、これらの中でも、樹皮が好ましい。
【0027】
抽出原料である前記各植物は、例えば、乾燥した後に、そのままの状態で又は粗砕機等を用いて粉砕した状態で、溶媒抽出に供することができる。中でも、前記抽出原料としては、採取後ただちに乾燥し、粉砕したものが好ましい。前記乾燥は、例えば、天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。なお、前記各植物は、ヘキサン、ベンゼン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、前記各植物の極性溶媒による抽出処理を、効率よく行うことができる。
【0028】
前記各植物の抽出物は、植物の抽出に一般に用いられる方法を利用することによって、容易に得ることができる。また、前記各植物の抽出物としては、市販品を使用してもよい。なお、前記各植物の抽出物には、前記各植物の抽出液、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又は、これらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
【0029】
前記抽出に用いる溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、親水性有機溶媒、又は、これらの混合溶媒を、室温又は溶媒の沸点以下の温度で用いることが好ましい。前記各植物に含まれる抗酸化作用、抗炎症作用、抗老化作用、及び育毛作用を示す成分は、極性溶媒を抽出溶媒とする抽出処理によって、容易に抽出することができる。
【0030】
前記抽出溶媒として使用し得る水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。したがって、前記抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
【0031】
前記抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコールなどが挙げられ、該親水性有機溶媒と水との混合溶媒なども用いることができる。なお、前記水と前記親水性有機溶媒との混合溶媒を使用する際には、低級アルコールの場合は水10質量部に対して1〜90質量部、低級脂肪族ケトンの場合は水10質量部に対して1〜40質量部を混合したものを使用することが好ましい。また、多価アルコールの場合は水10質量部に対して1〜90質量部を混合したものを使用することが好ましい。
【0032】
抽出原料である前記各植物から、抗酸化作用、抗炎症作用、抗老化作用、及び育毛作用を有する抽出物を抽出するにあたって、特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温又は還流加熱下で、任意の抽出装置を用いて抽出することができる。
具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽内に、前記各抽出原料を投入し、更に必要に応じて時々攪拌しながら、30分〜4時間静置して可溶性成分を溶出した後、ろ過して固形物を除去し、得られた抽出液から抽出溶媒を留去し、乾燥することにより抽出物を得ることができる。抽出溶媒量は通常、抽出原料の5〜15倍量(質量比)である。抽出条件は、抽出溶媒として水を用いた場合には、通常50〜95℃にて1〜4時間程度である。また、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、通常40〜80℃にて30分間〜4時間程度である。なお、溶媒で抽出することにより得られる抽出液は、抽出溶媒が安全性の高いものであれば、そのまま本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、及び育毛剤の有効成分として用いることができる。
【0033】
抽出により得られる前記各植物の抽出液は、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るため、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。なお、得られる前記各植物の抽出液は、そのままでも抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、及び育毛剤の有効成分として使用することができるが、濃縮液又はその乾燥物としたものの方が利用しやすい。抽出液の乾燥物を得るにあたっては、常法を利用することができ、また、吸湿性を改善するためにデキストリン、シクロデキストリン等のキャリアーを添加してもよい。また、抽出原料である前記各植物は特有の匂いと味を有している場合があり、そのため、前記各植物の抽出物に対しては、生理活性の低下を招かない範囲で、脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、例えば皮膚化粧料に添加する場合などには大量に使用するものではないから、未精製のままでも実用上支障はない。なお、精製は、具体的には、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等によって行うことができる。
【0034】
以上のようにして得られる前記各植物の抽出物は、スーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)様作用、一重項酸素による膜脂質の過酸化抑制作用、過酸化水素消去作用、及びラジカル消去作用、並びに、一酸化窒素(NO)産生抑制作用、腫瘍壊死因子(TNF−α)産生抑制作用、ヒアルロニダーゼ活性阻害作用、ヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用、血小板凝集抑制作用、及びシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)活性阻害作用、並びに、エラスターゼ活性阻害作用、MMP−1活性阻害作用、皮膚線維芽細胞増殖促進作用、表皮角化細胞増殖促進作用、UV−Bダメージからの回復作用、及び過酸化水素に対するダメージ抑制作用、並びに、アンドロゲンレセプター拮抗作用、及び毛乳頭細胞増殖促進作用の少なくともいずれかを有し、これらの作用に基づき、本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、及び育毛剤の有効成分として好適に利用可能なものである。
なお、前記各植物の抽出物は、前記した各作用に基づき、スーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)様作用剤、一重項酸素による膜脂質の過酸化抑制剤、過酸化水素消去剤、及びラジカル消去剤、並びに、一酸化窒素(NO)産生抑制剤、腫瘍壊死因子(TNF−α)産生抑制剤、ヒアルロニダーゼ活性阻害剤、ヘキソサミニダーゼ遊離抑制剤、血小板凝集抑制剤、及びシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)活性阻害剤、並びに、エラスターゼ活性阻害剤、MMP−1活性阻害剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、UV−Bダメージからの回復作用剤、及び過酸化水素に対するダメージ抑制剤、並びに、アンドロゲンレセプター拮抗剤、及び毛乳頭細胞増殖促進剤としても、それぞれ好適に利用可能である。
【0035】
本発明の抗酸化剤における抗酸化作用は、スーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)様作用、一重項酸素による膜脂質の過酸化抑制作用、過酸化水素消去作用、及びラジカル消去作用の少なくともいずれかに基づいて発揮される。これらの中でも、前記抗酸化剤は、ラジカル消去作用を少なくとも有していることが好ましい。
本発明の抗炎症剤における抗炎症作用は、一酸化窒素(NO)産生抑制作用、腫瘍壊死因子(TNF−α)産生抑制作用、ヒアルロニダーゼ活性阻害作用、ヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用、血小板凝集抑制作用、及びシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)活性阻害作用の少なくともいずれかに基づいて発揮される。これらの中でも、前記抗炎症剤は、一酸化窒素(NO)産生抑制作用、及びヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用を少なくとも有していることが好ましい。
本発明の抗老化剤における抗老化作用は、エラスターゼ活性阻害作用、MMP−1活性阻害作用、皮膚線維芽細胞増殖促進作用、表皮角化細胞増殖促進作用、UV−Bダメージからの回復作用、及び過酸化水素に対するダメージ抑制作用の少なくともいずれかに基づいて発揮される。これらの中でも、前記抗老化剤は、MMP−1活性阻害作用を少なくとも有していることが好ましい。
本発明の育毛剤における育毛作用は、アンドロゲンレセプター拮抗作用、及び毛乳頭細胞増殖促進作用の少なくともいずれかに基づいて発揮される。これらの中でも、前記育毛剤は、毛乳頭細胞増殖促進作用を少なくとも有していることが好ましい。
【0036】
前記抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、育毛剤中の前記各植物の抽出物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、また、前記抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、育毛剤は、前記各植物の抽出物そのものであってもよい。
また、前記抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、育毛剤中、前記各植物の抽出物は、いずれか1種のみが含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。前記抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、育毛剤中に2種以上の植物抽出物が含まれる場合の、各々の含有量比としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0037】
また、前記抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、育毛剤中に含まれ得る、前記各植物の抽出物以外のその他の成分としても、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記各植物の抽出物を所望の濃度に希釈等するための、生理食塩液などが挙げられる。また、前記抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、育毛剤中の前記その他の成分の含有量にも、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、前記抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、育毛剤は、必要に応じて製剤化することにより、粉末状、顆粒状、錠剤状等、任意の剤形とすることができる。
【0038】
本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、及び育毛剤は、優れた抗酸化作用、抗炎症作用、抗老化作用、及び育毛作用を有すると共に、安全性に優れるため、例えば、後述する本発明の皮膚外用剤、本発明の飲食品などへの利用に好適である。
【0039】
(皮膚外用剤)
本発明の皮膚外用剤は、前記した本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、及び育毛剤の少なくともいずれかを含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
ここで、前記皮膚外用剤とは、皮膚に適用される各種の薬剤を意味し、その区分としては特に制限されるものではなく、例えば、皮膚化粧料、医薬部外品、医薬品などを幅広く含むものである。
前記皮膚外用剤は、前記各植物の抽出物を、その活性を妨げないように任意の皮膚外用剤に配合したものであってもよいし、前記各植物の抽出物を主成分とした皮膚外用剤であってもよい。また、前記皮膚外用剤は、前記各植物の抽出物そのものであってもよい。
【0040】
前記皮膚外用剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、軟膏、クリーム、乳液、美容液、ローション、ファンデーション、パック、ゼリー、リップクリーム、口紅、入浴剤、石鹸、ボディシャンプー、アストリンゼント、ヘアトニック、ヘアローション、ヘアクリーム、ヘアリキッド、シャンプー、ポマード、リンスなどが挙げられる。
【0041】
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、皮膚外用剤を製造するにあたって通常用いられる成分、例えば、収斂剤、殺菌、抗菌剤、美白剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤、抗老化剤、消炎・抗アレルギー剤、抗酸化・活性酸素除去剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料などが挙げられる。
【0042】
前記皮膚外用剤中の、前記抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、育毛剤の含有量としては、特に制限はなく、皮膚外用剤の種類などに応じて適宜選択することができるが、例えば、前記各植物の抽出物の量として、0.0001〜10質量%が好ましく、0.001〜5質量%がより好ましい。
【0043】
(飲食品)
本発明の飲食品は、前記した本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、及び育毛剤の少なくともいずれかを含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
ここで、前記飲食品とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品などの区分に制限されるものではなく、例えば、経口的に摂取される一般食品、健康食品、保健機能食品、医薬部外品、医薬品などを幅広く含むものを意味する。
前記飲食品は、前記各植物の抽出物を、その活性を妨げないように任意の飲食物に配合したものであってもよいし、前記各植物の抽出物を主成分とする栄養補助食品であってもよい。また、前記飲食品は、前記各植物の抽出物そのものであってもよい。
【0044】
前記飲食品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料;アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類;カニ、サケ、アサリ、マグロ、イワシ、エビ、カツオ、サバ、クジラ、カキ、サンマ、イカ、アカガイ、ホタテ、アワビ、ウニ、イクラ、トコブシ等の水産物;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、うな丼、ハヤシライス、おでん、マーボドーフ、牛丼、ミートソース、玉子スープ、オムライス、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール等のレトルトパウチ食品;種々の形態の健康食品や栄養補助食品;錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、トローチ等の医薬品、医薬部外品などが挙げられる。
【0045】
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、飲食品を製造するにあたって通常用いられる、補助的原料又は添加物などが挙げられる。
前記補助的原料又は添加物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、ルブソサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤などが挙げられる。
【0046】
前記飲食品中の、前記抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、育毛剤の含有量としては、対象となる飲食品の種類に応じて異なり、一概には規定することができないが、例えば、飲食品本来の味を損なわない範囲で任意の飲食物に配合することを目的とする場合には、有効成分である前記各植物の抽出物の量として、0.001質量%〜50質量%が好ましく、0.01質量%〜20質量%がより好ましい。また、例えば、前記各植物の抽出物を主成分とする顆粒、錠剤、カプセル形態等の栄養補助飲食品を製造することを目的とする場合には、有効成分である前記各植物の抽出物の量として、0.01質量%〜100質量%が好ましく、5質量%〜100質量%がより好ましい。
【0047】
(効果)
本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、及び育毛剤、並びに、皮膚外用剤及び飲食品は、日常的に使用することが可能であり、有効成分である前記各植物の抽出物の働きによって、抗酸化作用、抗炎症作用、抗老化作用、及び育毛作用を、極めて効果的に発揮させることができるものである。
【0048】
なお、本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、及び育毛剤、並びに、皮膚外用剤及び飲食品は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、その作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することも可能である。また、本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、及び育毛剤、並びに、皮膚外用剤及び飲食品は、天然由来の前記各植物の抽出物を有効成分としたものであり、安全性に優れる点でも、有利である。
【実施例】
【0049】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0050】
(製造例1)
−各植物の水抽出物の製造−
下記表1に示す各植物の粉砕物に、質量比で10倍量の水を加え、80℃で2時間加熱し、ろ過した。残渣に同量の水を加え、80℃で2時間加熱し、ろ過した。ろ液を濃縮、凍結乾燥して、各植物の水抽出物(凍結乾燥品)を得た。
【0051】
(製造例2)
−各植物の50質量%エタノール抽出物の製造−
下記表1に示す各植物の粉砕物に、質量比で10倍量の50質量%エタノールを加え、80℃で2時間加熱し、ろ過した。残渣に同量の50質量%エタノールを加え、80℃で2時間加熱し、ろ過した。ろ液を濃縮、凍結乾燥して、各植物の50質量%エタノール抽出物(凍結乾燥品)を得た。
なお、後述する各実施例では、本製造例2で得られた各植物の50質量%エタノール抽出物を被験試料として用い、試験を行った。得られた各植物の50質量%エタノール抽出物の「抽出率」、及び得られた各植物の50質量%エタノール抽出物の「抽出物No.」を、下記表1に示す。
【0052】
(製造例3)
−各植物の80質量%エタノール抽出物の製造−
下記表1に示す各植物の粉砕物に、質量比で10倍量(質量比)の80質量%エタノールを加え、80℃で2時間加熱し、ろ過した。残渣に同量の80質量%エタノールを加え、80℃で2時間加熱し、ろ過した。ろ液を濃縮、凍結乾燥して、各植物の80質量%エタノール抽出物(凍結乾燥品)を得た。
【0053】
【表1】

【0054】
(実施例1:スーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)様作用試験)
前記各植物抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法によりスーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)様作用を試験した。
【0055】
試験管に0.05mol/Lの炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH10.2)2.4mL、2mmol/Lのキサンチン0.1mL、3mmol/LのEDTAを0.1mL、50μg/mLのウシ血清アルブミン(BSA)0.1mL、及び0.75mmol/Lのニトロブルーテトラゾリウム0.1mLを加えた。これに各被験試料溶液0.1mLを添加し、25℃で10分間放置した。
次に、キサンチンオキシダーゼ溶液0.1mLを加え、素早く攪拌し、25℃で20分間反応した。その後、6mmol/Lの塩化銅0.1mLを加えて反応を停止させ、波長560nmにおける吸光度を測定した。同様の方法で空試験を行い補正した。
SOD様作用(スーパーオキサイド消去率(%))の計算方法は以下のとおりである。
スーパーオキサイド消去率(%)={1−(St−Sb)/(Ct−Cb)}×100
St:被験試料溶液の波長560nmにおける吸光度
Sb:被験試料溶液ブランクの波長560nmにおける吸光度
Ct:コントロール溶液の波長560nmにおける吸光度
Cb:コントロール溶液ブランクの波長560nmにおける吸光度
【0056】
結果を表2に示す。なお、抽出物No.1−2、4−1、4−2、5、6−1、6−2、7−2は試料濃度100μg/mLで使用した。抽出物No.1−1、2、7−1、8−1、8−2、9、10は試料濃度25μg/mLで使用した。
【0057】
【表2】

【0058】
(実施例2:一重項酸素による膜脂質の過酸化抑制作用試験)
前記各植物抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により一重項酸素による膜脂質の過酸化抑制作用を試験した。
【0059】
透明サンプル瓶(ガラス製)10mLに2質量%の赤血球懸濁液5mL、PBS(−)5mL、又は各被験試料溶液を含むPBS(−)5mL、及び10mmol/Lのヘマトポルフィリン−20mmol/Lの水酸化ナトリウム溶液0.01mLを加え、よく混和した。この反応溶液をメリーゴーランド上で、15Wハロゲンランプで35分間均一に光を照射してを発生させ、赤血球を溶血させた。
反応終了後、反応溶液1mLを採取し、PBS(−)2mLを加え、よく混和した。遠心分離(1660×g、5分、4℃)した後、上清の波長540nmにおける吸光度を測定した。対照として反応溶液1mLに精製水2mLを加え、完全に赤血球を溶血させた混合液を作製した。この混合液の波長540nmにおける吸光度を測定した。同様の方法で空試験を行い補正した。
一重項酸素による膜脂質の過酸化抑制作用の計算方法は以下のとおりである。
膜脂質の過酸化抑制率(%)=(1−B/A)×100
A:完全溶血液の波長540nmにおける吸光度
B:反応溶液の上清の波長540nmにおける吸光度
【0060】
結果を表3に示す。なお、抽出物No.1−1、1−2、2、4−2、6−1、7−1,9、10は試料濃度200μg/mLで使用した。抽出物No.4−1は試料濃度100μg/mLで使用した。抽出物No.7−2、8−2は試料濃度50μg/mLで使用した。抽出物No.8−1は試料濃度25μg/mLで使用した。
【0061】
【表3】

【0062】
(実施例3:過酸化水素消去作用試験)
前記各植物抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により過酸化水素消去作用を試験した。
【0063】
1.5mmol/Lの過酸化水素溶液10μLに、各被験試料溶液10μLを加え、37℃で20分間反応した後、発色溶液〔100μmol/LのDA−64、0.5質量%のトライトンX−100含有0.1mol/LのPIPES緩衝液(pH7.0)100mLに100units/mLのペルオキシダーゼ1mLを添加〕2.98mLを添加し、37℃で5分間反応した。反応終了後、波長727nmにおける吸光度を測定した。同様の方法で空試験を行い補正した。
過酸化水素消去作用の計算方法は以下のとおりである。
過酸化水素消去率(%)={1−(St−Sb)/(Ct−Cb)}×100
St:被験試料溶液の波長727nmにおける吸光度
Sb:被験試料溶液ブランクの波長727nmにおける吸光度
Ct:コントロール溶液の波長727nmにおける吸光度
Cb:コントロール溶液ブランクの波長727nmにおける吸光度
【0064】
結果を表4に示す。なお、抽出物No.1−1、1−2、2、3、4−1は試料濃度100μg/mLで使用した。
【0065】
【表4】

【0066】
(実施例4:ラジカル消去作用試験)
前記各植物抽出物を被験試料として用い、下記の試験法により非常に安定なラジカルである1,1−diphenyl−2−picrylhydrazyl radical(DPPH)を使用してラジカル消去作用を試験した。
【0067】
150μmol/LのDPPHエタノール溶液3mLに各被験試料溶液3mLを加え、直ちに容器を密栓して振り混ぜ、30分間静置した後、波長520nmの吸光を測定した。同様の方法で空試験を行い補正した。
DPPHラジカル消去作用の計算方法は以下のとおりである。
DPPHラジカル消去率(%)={C−(St−Sb)}/C×100
St:被験試料溶液の波長520nmにおける吸光度
Sb:被験試料溶液ブランクの波長520nmにおける吸光度
C:コントロール溶液の波長520nmにおける吸光度
【0068】
結果を表5に示す。なお、抽出物No.1−1、1−2、2、3、4−1、4−2、5、6−1、6−2は試料濃度200μg/mLで使用した。抽出物No.7−1、7−2、8−1、8−2、9、10は試料濃度50μg/mLで使用した。
【0069】
【表5】

【0070】
実施例1〜4の結果から、ミリントニア・ホルテンシス(Millingtonia hortensis)の抽出物、リーア・マクロフィラ(Leea macrophylla)の抽出物、コダリオカリクス・モトリウス(Codariocalyx motorius)の抽出物、マルティニア・アンヌア(Martynia annua)の抽出物、ピットスポルム・ナパウレンセ(Pittosporum napaulense)の抽出物、ヘスペレトゥサ・クレヌラータ(Hesperethusa crenulata)の抽出物、プテロスペルムム・ディベルシフォリウム(Pterospermumu diversifolium)の抽出物、グレウィア・エリオカルパ(Grewia eriocarpa)の抽出物、ツンベルギア・ラウリフォリア(Thunbergia laurifolia)の抽出物、及びプレムナ・インテグリフォリア(Premna integrifolia)の抽出物は、スーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)様作用、一重項酸素による膜脂質の過酸化抑制作用、過酸化水素消去作用、及びラジカル消去作用の少なくともいずれかを有することが確認され、これらの各植物抽出物が、抗酸化剤の有効成分として、好適に利用可能であることが示唆された。
【0071】
(実施例5:一酸化窒素(NO)産生抑制作用試験)
前記各植物抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により一酸化窒素(NO)産生抑制作用を試験した。
【0072】
マウスマクロファージ細胞(RAW264.7)を、10%の牛胎児血清(FBS)含有ダルベッコMEMを用いて培養した後、セルスクレーパーにより細胞を回収した。回収した細胞を3.0×10cells/mLの濃度になるように10%のFBS含有フェノールレッド不含ダルベッコMEMで希釈した後、96穴マイクロプレートに1穴当たり100μLずつ播種し、4時間培養した。培養終了後、培地を抜き、終濃度2質量%のDMSOを含む10質量%のFBS含有フェノールレッド不含ダルベッコMEMで溶解した被験試料溶液を各穴に100μL添加し、終濃度1μg/mLで10%のFBS含有フェノールレッド不含ダルベッコMEMに溶解したリポポリサッカライド(LPS、E.coli 0111;B4、DIFCO社製)を100μL加え、48時間培養した。NO産生量は亜硝酸イオン(NO)量を指標に測定した。培養終了後、各穴の培養液に、同量のグリス試薬(1質量%のスルファニルアミド、0.1質量%のN−1−naphthyl ethylendiamine dihydrochlpride in 5質量%のリン酸溶液)を添加し、10分間室温にて反応した。反応後、波長540nmにおける吸光度を測定した。
NO産生抑制作用の計算方法は以下のとおりである。
NO産生抑制率(%)={1−(A−B)/(C−D)}×100
A:被験試料添加、LPS刺激時の波長540nmにおける吸光度
B:被験試料添加、LPS無刺激時の波長540nmにおける吸光度
C:コントロールのLPS刺激時の波長540nmにおける吸光度
D:コントロールのLPS無刺激時の波長540nmにおける吸光度
【0073】
結果を表6に示す。なお、抽出物No.1−1、1−2、2、3,4−1、4−2、5、7−1、8−1、9、10は試料濃度200μg/mLで使用した。抽出物No.6−1、7−2、8−2は試料濃度50μg/mLで使用した。
【0074】
【表6】

【0075】
(実施例6:腫瘍壊死因子(TNF−α)産生抑制作用試験)
前記各植物抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により腫瘍壊死因子(TNF−α)産生抑制作用を試験した。
【0076】
マウスマクロファージ細胞(RAW264.7)を10%FBS含有ダルベッコMEMを用いて培養した後、セルスクレーパーにより細胞を回収した。回収した細胞を1.0×10cells/mLの濃度になるように10%FBS含有ダルベッコMEMで希釈した後、96wellプレートに1well当たり100μLずつ播種し、4時間培養した。培養終了後、培地を抜き、終濃度2%DMSOを含む10%FBS含有ダルベッコMEMで溶解した被験試料を各wellに100μL添加し、終濃度1μg/mLで10%FBS含有ダルベッコMEMに溶解したリポポリサッカライド(LPS、E.coli 0111;B4、DIFCO社)を100μL加え、24時間培養した。培養終了後、各wellの培養上清中のTNF−α量をサンドイッチELISA法を用いて測定した。
TNF−α産生抑制作用の計算方法は以下のとおりである。
TNF−α産生抑制率(%)={(B−A)/B}×100
A:被験試料添加時のTNF−α量
B:被験試料無添加時のTNF−α量
【0077】
結果を表7に示す。なお、抽出物No.1−1、2、4−1、4−2、5、6−1、6−2、7−1、7−2、8−1、9、10は試料濃度12.5μg/mLで使用した。
【0078】
【表7】

【0079】
(実施例7:ヒアルロニダーゼ活性阻害作用試験)
前記各植物抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法によりヒアルロニダーゼ活性阻害作用を試験した。
【0080】
被験試料を溶解した0.1mol/L 酢酸緩衝液(pH3.5)0.2mLに、ヒアルロニダーゼ溶液(TypeIV−S(from bovine testis;SIGMA 400 NF units/mL)0.1mLを加え、37℃で20分間反応した。さらに、活性化剤として2.5mmol/L 塩化カルシウム0.2mLを加え、37℃で20分間反応した。これに0.4mg/mL ヒアルロン酸カリウム溶液(from robster comb)0.5mLを加え、37℃で40分間反応した。その後、0.4mol/L 水酸化ナトリウム0.2mLを加えて反応を止め冷却した後、各反応溶液にホウ酸溶液0.2mLを加え、3分間煮沸した。氷冷後、p−DABA試薬6mLを加え、37℃で20分間反応した。その後、波長585nmにおける吸光度を測定した。同様の方法で空試験を行い補正した。
ヒアルロニダーゼ活性阻害作用の計算方法は以下のとおりである。
ヒアルロニダーゼ活性阻害率(%)={1−(St−Sb)/(Ct−Cb)}×100
St:被験試料溶液の波長585nmにおける吸光度
Sb:被験試料溶液ブランクの波長585nmにおける吸光度
Ct:コントロール溶液の波長585nmにおける吸光度
Cb:コントロール溶液ブランクの波長585nmにおける吸光度
【0081】
結果を表8に示す。なお、抽出物No.5、7−1、7−2、8−1、8−2、9、10は試料濃度400μg/mLで使用した。
【0082】
【表8】

【0083】
(実施例8:ヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用試験)
前記各植物抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法によりヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用を試験した。
【0084】
ラット好塩基球白血病細胞(RBL−2H3)を15%FBS添加S−MEMを用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を4.0×10cells/mLの濃度に培地で希釈し、DNP−specific IgEが終濃度0.5μg/mLとなるよう添加した後、96wellプレートに1well当たり100μLずつ播種し、一晩培養した。培養終了後、培地を抜き、Siraganian緩衝液500μLにて洗浄を2回行った。次に、同緩衝液30μL、及び、同緩衝液にて調製した被験試料10μLを加え、37℃にて10分静置した。その後100ng/mL DNP−BSA溶液10μLを加え、37℃にて15分静置し、ヘキソサミニダーゼを遊離させた。その後、96wellプレートを氷上に静置することにより遊離を停止した。各wellの細胞上清10μL及び1mmol/L p−NAG(p−nitrophenyl N−acetyl β−D−glucosaminide)溶液10μLを、新たな96wellプレートに添加し、37℃、1時間反応させた。反応終了後、各wellに0.1mol/L NaCO/NaHCO 250μLを加え、波長415nmにおける吸光度を測定した。また、空試験として、細胞上清10μL及び0.1mol/L NaCO/NaHCO 250μL混合液の波長415nmにおける吸光度を測定し、補正した。
ヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用の計算方法は以下のとおりである。
ヘキソサミニダーゼ遊離抑制率(%)={1−(B−C)/A}×100
A:被験試料無添加での波長415nmにおける吸光度
B:被験試料添加での波長415nmにおける吸光度
C:被験試料添加,p−NAG無添加での波長415nmにおける吸光度
【0085】
結果を表9に示す。なお、抽出物No.1−1、1−2、2、3,4−1、4−2、5、6−1、6−2、7−1、7−2、8−1、8−2、9、10は試料濃度400μg/mLで使用した。
【0086】
【表9】

【0087】
(実施例9:血小板凝集抑制作用試験)
前記各植物抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により血小板凝集抑制作用を試験した。
【0088】
まず、ヘパリンナトリウム注射液(日本薬局方)を1/10量加えて採血したウサギの血液を遠心分離(180×g、10分、室温)して、血小板浮遊液(Platelet Rich Plasma;P.R.P.)を得た。
次に、血小板浮遊液(P.R.P.)223μLに200mmol/Lの塩化カルシウム溶液1μLを加え、37℃で1分間反応した。これに被験試料溶液1μLを加え、更に2分間反応し、撹拌子を入れて1分間撹拌した後、コラーゲン溶液を25μL添加して、37℃で10分間の血小板凝集率を測定した。別に、コントロールとして被験試料溶液の代わりに被験試料溶液の溶媒を添加した以外は、上記と同様に操作して血小板凝集率を測定した。
血小板凝集抑制作用の計算方法は以下のとおりである。
血小板凝集抑制率(%)=〔(A−B)/A〕×100
A:コントロールの血小板凝集率
B:被験試料溶液添加時の血小板凝集率
【0089】
結果を表10に示す。なお、抽出物No.1−1、1−2、2、5、6−1,7−1、7−2、8−1、8−2、9は試料濃度400μg/mLで使用した。抽出物No.3は試料濃度200μg/mLで使用した。
【0090】
【表10】

【0091】
(実施例10:シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)活性阻害作用試験)
前記各植物抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法によりシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)活性阻害作用を試験した。
【0092】
マウスマクロファージ細胞(RAW264.7)を10%FBS含有ダルベッコMEMを用いて培養した後、セルスクレーパーにより細胞を回収した。回収した細胞を2.0×10cells/mLの濃度になるように10%FBS含有ダルベッコMEMで希釈した後、96wellプレートに1well当たり100μLずつ播種し、18時間培養した。培養終了後、既に存在するCOX−1及び少量発現しているCOX−2をアセチル化し失活させるため、培地を500μmol/L アスピリン含有培地に交換し4時間培養した。細胞をPBS(−)で3回洗浄し、終濃度0.5%DMSOを含む10%FBS含有ダルベッコMEMで溶解した被験試料を各wellに100μL添加した後、終濃度1μg/mLで10%FBS含有ダルベッコMEMに溶解したリポポリサッカライド(LPS、E.coli 0111;B4、DIFCO社)を100μL添加し、16時間培養した。培養終了後、各wellの培養上清中のプロスタグランジンE量をPGE EIA Kit(Cayman Chemical社)を用いて定量した。
COX−2活性阻害作用の計算方法は以下のとおりである。
COX−2活性阻害率(%)={1−(A−C)/(B−C)}×100
A:被験試料添加・LPS刺激時のプロスタグランジンE
B:被験試料無添加・LPS刺激時のプロスタグランジンE
C:被験試料無添加・LPS無刺激時のプロスタグランジンE
【0093】
結果を表11に示す。なお、抽出物No.2、4−1は試料濃度200μg/mLで使用した。抽出物No.4−2は試料濃度50μg/mLで使用した。
【0094】
【表11】

【0095】
実施例5〜10の結果から、ミリントニア・ホルテンシス(Millingtonia hortensis)の抽出物、リーア・マクロフィラ(Leea macrophylla)の抽出物、コダリオカリクス・モトリウス(Codariocalyx motorius)の抽出物、マルティニア・アンヌア(Martynia annua)の抽出物、ピットスポルム・ナパウレンセ(Pittosporum napaulense)の抽出物、ヘスペレトゥサ・クレヌラータ(Hesperethusa crenulata)の抽出物、プテロスペルムム・ディベルシフォリウム(Pterospermumu diversifolium)の抽出物、グレウィア・エリオカルパ(Grewia eriocarpa)の抽出物、ツンベルギア・ラウリフォリア(Thunbergia laurifolia)の抽出物、及びプレムナ・インテグリフォリア(Premna integrifolia)の抽出物は、一酸化窒素(NO)産生抑制作用、腫瘍壊死因子(TNF−α)産生抑制作用、ヒアルロニダーゼ活性阻害作用、ヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用、血小板凝集抑制作用、及びシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)活性阻害作用の少なくともいずれかを有することが確認され、これらの各植物抽出物が、抗炎症剤の有効成分として、好適に利用可能であることが示唆された。
【0096】
(実施例11:エラスターゼ活性阻害作用試験)
前記各植物抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法によりエラスターゼ活性阻害作用を試験した。
【0097】
96wellプレートにて、0.2mol/L Tris−HCL緩衝液(pH8.0)で調製した被験試料50μL及び20μg/mL エラスターゼ・タイプIII溶液50μLを混合した。その後、上記緩衝液にて調製した0.4514mg/mL N−SUCCINYL−ALA−ALA−ALA−p−NITROANILIDE 100μLを添加して、25℃にて15分反応させた。反応終了後、波長415nmにおける吸光度を測定した。同様の方法で空試験を行い補正した。
エラスターゼ活性阻害作用の計算方法は以下のとおりである。
エラスターゼ活性阻害率(%)={1−(C−D)/(A−B)}×100
A:被験試料無添加、酵素添加での波長415nmにおける吸光度
B:被験試料無添加、酵素無添加での波長415nmにおける吸光度
C:被験試料添加、酵素添加での波長415nmにおける吸光度
D:被験試料添加、酵素無添加での波長415nmにおける吸光度
【0098】
結果を表12に示す。なお、抽出物No.2、4−2、7−1、7−2、8−1は試料濃度400μg/mLで使用した。
【0099】
【表12】

【0100】
(実施例12:MMP−1活性阻害作用試験)
前記各植物抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法によりMMP−1活性阻害作用を試験した。
【0101】
試験方法としては、Wunsch and Heidrich法を一部改変した方法を使用した。即ち、蓋付試験管にて、20mmol/mL 塩化カルシウム含有0.1mol/L Tris−HCl緩衝液(pH7.1)に溶解した被験試料50μL、MMP−1(COLLAGENASE Type IV from Clostridium histolyticum(Sigma社))溶液50μL、及びPz−peptide(Pz−Pro−Leu−Gly−Pro−D−Arg−OH(BACHEM Feinchemikalien AG社))溶液400μLを混合し、37℃にて30分反応させた後、25mmol/L クエン酸溶液1mLを加え反応を停止した。その後、酢酸エチル5mLを加え、激しく振とうした。これを遠心(1600×g、10分)し、酢酸エチル層の波長320nmにおける吸光度を測定した。同様の方法で空試験を行い補正した。
MMP−1活性阻害作用の計算方法は以下のとおりである。
MMP−1活性阻害率(%)={1−(C−D)/(A−B)}×100
A:被験試料無添加、酵素添加での波長320nmにおける吸光度
B:被験試料無添加、酵素無添加での波長320nmにおける吸光度
C:被験試料添加、酵素添加での波長320nmにおける吸光度
D:被験試料添加、酵素無添加での320nmにおける吸光度
【0102】
結果を表13に示す。なお、抽出物No.1−1、1−2、2、3、4−1、4−2、5、6−1、6−2、7−1、7−2、8−1、8−2、9、10は試料濃度400μg/mLで使用した。
【0103】
【表13】

【0104】
(実施例13:皮膚線維芽細胞増殖促進作用試験)
前記各植物抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により皮膚線維芽細胞増殖促進作用を試験した。
【0105】
ヒト正常皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を10%FBS含有α−MEMを用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を7.0×10cells/mLの濃度に5%FBS含有α−MEMで希釈した後、96wellプレートに1well当たり100μLずつ播種し、一晩培養した。培養終了後、5%FBS含有α−MEMで溶解した被験試料を各wellに100μL添加し、3日間培養した。皮膚線維芽細胞増殖促進作用は、MTTアッセイ法を用いて測定した。培養終了後、各wellから100μLずつ培地を抜き、終濃度5mg/mLでPBS(−)に溶解したMTTを各wellに20μLずつ添加した。4.5時間培養した後に、10%SDSを溶解した0.01mol/L 塩酸溶液を各wellに100μLずつ添加し、一晩培養した後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。また、同様の方法で空試験を行い補正した。
皮膚線維芽細胞増殖促進作用の計算方法は以下のとおりである。
皮膚線維芽細胞増殖促進率(%)=(St−Sb)/(Ct−Cb)×100
St:被験試料を添加した細胞での吸光度
Sb:被験試料を添加した空試験の吸光度
Ct:被験試料を添加しない細胞での吸光度
Cb:被験試料を添加しない空試験の吸光度
【0106】
結果を表14に示す。なお、抽出物No.2、4−1、4−2、9、10は試料濃度400μg/mLで使用した。抽出物No.3は試料濃度200μg/mLで使用した。抽出物No.5、7−1は試料濃度100μg/mLで使用した。抽出物No.7−2、8−1、8−2は試料濃度50μg/mLで使用した。
【0107】
【表14】

【0108】
(実施例14:表皮角化細胞増殖促進作用試験)
前記各植物抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により表皮角化細胞増殖促進作用を試験した。
【0109】
正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞(NHEK)を正常ヒト表皮角化細胞長期培養用増殖培地(EpiLife−KG2)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.5×10cells/mLの濃度にEpiLife−KG2で希釈した後、コラーゲンコートした96wellプレートに1well当たり100μLずつ播種し、一晩培養した。培養終了後、EpiLife−KG2で溶解した被験試料を各wellに100μL添加し、3日間培養した。表皮角化細胞増殖促進作用は、MTTアッセイ法を用いて測定した。培養終了後、培地を抜き、終濃度0.4mg/mLでPBS(−)に溶解したMTTを各wellに100μLずつ添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール100μLで抽出した。抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。
表皮角化細胞増殖促進作用の計算方法は以下のとおりである。
表皮角化細胞増殖促進率(%)=St/Ct×100
St:被験試料を添加した細胞での吸光度
Ct:被験試料を添加しない細胞での吸光度
【0110】
結果を表15に示す。なお、抽出物No.1−1は試料濃度12.5μg/mLで使用した。抽出物No.1−2は試料濃度3.125μg/mLで使用した。
【0111】
【表15】

【0112】
(実施例15:UV−Bダメージからの回復作用試験)
前記各植物抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法によりUV−Bダメージからの回復作用を試験した。
【0113】
ヒト正常皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を10%FBS含有α−MEMを用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞をα−MEMを用いて2.0×10cells/mLの濃度に希釈した後、48wellプレートに1wellあたり200μLずつ播種した。24時間培養後、培地を100μLのPBS(−)へ交換し、1.0J/cmのUV−Bを照射した。照射後、直ちに、PBS(−)を抜き、10%FBS含有D−MEMに溶解した被験試料を各wellに400μL添加し、24時間培養した。紫外線UV−Bダメージからの回復効果は、MTTアッセイを用いて測定した。培養終了後、培地を抜き、終濃度0.4mg/mLで溶解したMTTを各wellに200μLずつ添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール200μLで抽出した。抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。また、同様に細胞播種した後、UV−Bを照射しない細胞、及び細胞播種後UV−Bを照射し被験試料を添加しない細胞についても同様に測定し、それぞれ非照射群と照射群とした。
UV−Bダメージからの回復作用の計算方法は以下のとおりである。
UV−Bダメージ回復率(%)={(Nt−C)−(Nt−Sa)}/(Nt−C)×100
Nt:UV−Bを照射しない細胞での吸光度
C:UV−Bを照射し被験試料を添加しない細胞での吸光度
Sa:UV−Bを照射し被験試料を添加した細胞での吸光度
【0114】
結果を表16に示す。なお、抽出物No.1−1、2、3、4−1、4−2、5、7−1、7−2、8−1、8−2、9、10は試料濃度100μg/mLで使用した。抽出物No.6−2は試料濃度6.25μg/mLで使用した。
【0115】
【表16】

【0116】
(実施例16:過酸化水素に対するダメージ抑制作用試験)
前記各植物抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により過酸化水素に対するダメージ抑制作用を試験した。
【0117】
ヒト正常新生児皮膚繊維芽細胞(NBIRGB)をα−MEM培地(GIBCO BLR社製品,pH7.2)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を2.5×10cells/mLの濃度になるようにα−MEM培地を用いて希釈した後、48穴プレートに播種し1穴当たり200μLずつ播種し、一晩培養した。培養終了後、培地を抜き、1% FBS含有α−MEMで溶解した被験試料を各穴に200μL添加し、24時間培養した。培養終了後、培地を抜き、400μLのPBS(−)で洗浄した。洗浄後、ハンクス緩衝液に溶解した過酸化水素(1mmol/L)、あるいは、ハンクス緩衝液のみを各穴に200μL添加し、2時間培養した。培養後、400μLのPBS(−)で洗浄し、終濃度0.05 mg/mLで1%FBS含有α−MEMに溶解したニュートラルレッドを各穴に200μL添加した。2.5時間培養した後、ニュートラルレッド溶液を捨て、エタノール・酢酸溶液(エタノール:酢酸:水=50:1:49)を各穴に200μL添加し、色素を抽出した。抽出後、波長540nmにおける吸光度を測定した。
過酸化水素に対するダメージ抑制作用の計算方法は以下のとおりである。
過酸化水素ダメージ抑制率(%)={1−(C−A)/(C−B)}×100
A:過酸化水素処理・被験試料処理の吸光度、
B:過酸化水素処理・被験試料無処理の吸光度、
C:過酸化水素無処理・被験試料無処理の吸光度
【0118】
結果を表17に示す。なお、抽出物No.2、4−1、7−1、7−2,8−1、8−2、9は試料濃度400μg/mLで使用した。抽出物No.4−2、5、6−2は試料濃度100μg/mLで使用した。抽出物No.6−1は試料濃度25μg/mLで使用した。
【0119】
【表17】

【0120】
実施例11〜16の結果から、ミリントニア・ホルテンシス(Millingtonia hortensis)の抽出物、リーア・マクロフィラ(Leea macrophylla)の抽出物、コダリオカリクス・モトリウス(Codariocalyx motorius)の抽出物、マルティニア・アンヌア(Martynia annua)の抽出物、ピットスポルム・ナパウレンセ(Pittosporum napaulense)の抽出物、ヘスペレトゥサ・クレヌラータ(Hesperethusa crenulata)の抽出物、プテロスペルムム・ディベルシフォリウム(Pterospermumu diversifolium)の抽出物、グレウィア・エリオカルパ(Grewia eriocarpa)の抽出物、ツンベルギア・ラウリフォリア(Thunbergia laurifolia)の抽出物、及びプレムナ・インテグリフォリア(Premna integrifolia)の抽出物は、エラスターゼ活性阻害作用、MMP−1活性阻害作用、皮膚線維芽細胞増殖促進作用、表皮角化細胞増殖促進作用、UV−Bダメージからの回復作用、及び過酸化水素に対するダメージ抑制作用の少なくともいずれかを有することが確認され、これらの各植物抽出物が、抗老化剤の有効成分として、好適に利用可能であることが示唆された。
【0121】
(実施例17:アンドロゲンレセプター拮抗作用試験)
前記各植物抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法によりアンドロゲンレセプター拮抗作用を試験した。
【0122】
まず、マウス自然発生乳がん(シオノギ癌、SC115)よりクローニングされたSC−3細胞を2%のDCC−FBS、及び10−8mol/Lのテストステロン含有MEM(MEM/2)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.0×10cells/mLの濃度に活性炭処理FBS含有MEM(MEM/2)で希釈し、96穴マイクロプレートに1穴当たり100μLずつ播種し、一晩培養した。培養終了後、培地を抜き、10−9mol/Lのジヒドロテストステロン(DHT)を含む0.5質量%のBSA含有Ham F12+MEM(HMB)に溶解した被験試料溶液を100μL添加し、48時間培養した。その後、終濃度0.4g/mLで活性炭処理FBS含有MEM/2に溶解したMTTを各穴に100μL添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール200μLで抽出した。抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。空試験として、HMBのみで培養した細胞を、陽性対照として10−9mol/LのDHTのみを含有したHMBで培養した細胞を用い、同様の方法で試験を行って補正した。
アンドロゲンレセプター拮抗作用の計算方法は以下のとおりである。
アンドロゲンレセプター拮抗率(%)=[1−(C−D)/(A−B)]×100
A:DHT添加、試料溶液無添加での570nm〜650nmにおける吸光度
B:DHT無添加、試料溶液無添加での570nm〜650nmにおける吸光度
C:DHT添加、試料溶液添加での570nm〜650nmにおける吸光度
D:DHT無添加、試料溶液添加での570nm〜650nmにおける吸光度
【0123】
結果を表18に示す。なお、抽出物No.1−1、1−2、2、3、4−1、4−2、5、6−2、7−1、8−1、9、10は試料濃度50μg/mLで使用した。抽出物No.6−1、7−2は試料濃度12.5μg/mLで使用した。抽出物No.8−2は試料濃度3.13μg/mLで使用した。
【0124】
【表18】

【0125】
(実施例18:毛乳頭細胞増殖促進作用試験)
前記各植物抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により毛乳頭細胞増殖促進作用を試験した。
【0126】
正常ヒト毛乳頭細胞(TOYOBO社製、CA60205)を含有した毛乳頭細胞増殖培地(TOYOBO社製、TPGM−250)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を10%の牛胎児血清(FBS)含有ダルベッコMEM(DMEM)を用いて2.0×10cells/mLの濃度に希釈した後、コラーゲンコートした96穴マイクロプレートに1穴当り100μL播種し、3日間培養した。培養後、培地を抜き、無血清ダルベッコMEM(DMEM)に溶解した各被験試料溶液を各穴に200μL添加し、更に4日間培養した。毛乳頭細胞増殖促進作用はMTTアッセイを用いて測定した。具体的には、培養終了後、培地を抜き、終濃度0.4mg/mLで無血清のDMEMに溶解したMTT〔3−(4,5−Dimethyl−2−thiazolyl)−2,5−diphenyl−2H−tetrazolium Bromide〕を各穴に100μL添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール100μLで抽出した。抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。また、同様の方法で空試験を行い補正した。
毛乳頭細胞増殖促進作用の計算方法は以下のとおりである。
毛乳頭細胞増殖促進率(%)=A/B×100
A:被験試料溶液添加時の吸光度
B:被験試料溶液無添加時の吸光度
【0127】
結果を表19に示す。なお、抽出物No.1−1、2、4−1、4−2、5、6−2、7−1、7−2、8−1、8−2、9、10は試料濃度25μg/mLで使用した。抽出物No.3、6−1は試料濃度6.25μg/mLで使用した。
【0128】
【表19】

【0129】
実施例17〜18の結果から、ミリントニア・ホルテンシス(Millingtonia hortensis)の抽出物、リーア・マクロフィラ(Leea macrophylla)の抽出物、コダリオカリクス・モトリウス(Codariocalyx motorius)の抽出物、マルティニア・アンヌア(Martynia annua)の抽出物、ピットスポルム・ナパウレンセ(Pittosporum napaulense)の抽出物、ヘスペレトゥサ・クレヌラータ(Hesperethusa crenulata)の抽出物、プテロスペルムム・ディベルシフォリウム(Pterospermumu diversifolium)の抽出物、グレウィア・エリオカルパ(Grewia eriocarpa)の抽出物、ツンベルギア・ラウリフォリア(Thunbergia laurifolia)の抽出物、及びプレムナ・インテグリフォリア(Premna integrifolia)の抽出物は、アンドロゲンレセプター拮抗作用、及び毛乳頭細胞増殖促進作用の少なくともいずれかを有することが確認され、これらの各植物抽出物が、育毛剤の有効成分として、好適に利用可能であることが示唆された。
【0130】
(配合例1)
−乳液−
下記組成に従い、乳液を常法により製造した。
・ミリントニア・ホルテンシス(Millingtonia hortensis L.f.)の樹皮の50質量%エタノール抽出物(抽出物No.1−1)・・・0.10g
・ホホバオイル・・・4.00g
・1,3−ブチレングリコール・・・3.00g
・ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.)・・・2.50g
・オリーブオイル・・・2.00g
・スクワラン・・・2.00g
・セタノール・・・2.00g
・モノステアリン酸グリセリル・・・2.00g
・オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)・・・2.00g
・パラオキシ安息香酸メチル・・・0.15g
・黄杞エキス・・・0.10g
・グリチルリチン酸ジカリウム・・・0.10g
・イチョウ葉エキス・・・0.10g
・コンキオリン・・・0.10g
・オウバクエキス・・・0.10g
・カツミレエキス・・・0.10g
・香料・・・0.05g
・精製水・・・残部(合計100.00g)
【0131】
(配合例2)
−化粧水−
下記組成に従い、化粧水を常法により製造した。
・リーア・マクロフィラ(Leea macrophylla Roxb.)の葉の50質量%エタノール抽出物(抽出物No.2)・・・0.10g
・グリセリン・・・3.00g
・1,3−ブチレングリコール・・・3.00g
・オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)・・・2.00g
・パラオキシ安息香酸メチル・・・0.15g
・クエン酸・・・0.10g
・クエン酸ソーダ・・・0.10g
・油溶性甘草エキス・・・0.10g
・海藻エキス・・・0.10g
・クジンエキス・・・0.10g
・キシロビオースミクスチャー・・・0.05g
・香料・・・0.05g
・精製水・・・残部(合計:100.00g)
【0132】
(配合例3)
−クリーム−
下記組成に従い、クリームを常法により製造した。
・コダリオカリクス・モトリウス(Codariocalyx motorius(Hout.)H.Ohashi)の葉と茎の50質量%エタノール抽出物(抽出物No.3)・・・0.10g
・スクワラン・・・10.00g
・1,3−ブチレングリコール・・・6.00g
・流動パラフィン・・・5.00g
・サラシミツロウ・・・4.00g
・セタノール・・・3.00g
・モノステアリン酸グリセリル・・・3.00g
・ラノリン・・・2.00g
・オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)・・・1.50g
・パラオキシ安息香酸メチル・・・1.50g
・ステアリン酸・・・1.00g
・酵母抽出液・・・0.10g
・シソ抽出液・・・0.10g
・シナノキ抽出液・・・0.10g
・ジユ抽出液・・・0.10g
・香料・・・0.10g
・精製水・・・残部(合計:100.00g)
【0133】
(配合例4)
−パック−
下記組成に従い、パックを常法により製造した。
・マルティニア・アンヌア(Martynia annua L.)の葉と茎の50質量%エタノール抽出物(抽出物No.4−1)・・・0.20g
・ポリビニルアルコール・・・15.00g
・エタノール・・・10.00g
・プロピレングリコール・・・7.00g
・ポリエチレングリコール・・・3.00g
・セージ抽出液・・・0.10g
・トウキ抽出液・・・0.10g
・ニンジン抽出液・・・0.10g
・パラオキシ安息香酸エチル・・・0.05g
・香料・・・0.05g
・精製水・・・残部(合計:100.00g)
【0134】
(配合例5)
−ヘアトニック−
下記組成に従い、ヘアトニックを常法により製造した。
・塩酸ピリドキシン・・・0.1g
・レゾルシン・・・0.01g
・D−パントテニルアルコール・・・0.1g
・グリチルリチン酸ジカリウム・・・0.1g
・l−メントール・・・0.05g
・1,3−ブチレングリコール・・・4.0g
・ニンジンエキス・・・0.5g
・エタノール・・・25.0g
・プテロスペルムム・ディベルシフォリウム(Pterospermumu diversifolium Bl.)の葉の50質量%エタノール抽出物(抽出物No.7−1)・・・0.2g
・香料・・・適量
・精製水・・・残部(合計:100.00g)
【0135】
(配合例6)
−シャンプー−
下記組成に従い、シャンプーを常法により製造した。
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム・・・30.0g
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム・・・20.0g
・ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン・・・6.0g
・ヤシ油脂肪酸モジエタノールアミド・・・4.0g
・ジステアリン酸エチレングリコール・・・2.0g
・防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル)・・・0.15g
・グレウィア・エリオカルパ(Grewia eriocarpa Juss.)の葉の50質量%エタノール抽出物(抽出物No.8−1)・・・0.2g
・ムクロジエキス・・・0.2g
・黄杞エキス・・・0.5g
・オウバクエキス・・・0.3g
・ローズマリーエキス・・・0.5g
・香料・・・0.01g
・1,3−ブチレングリコール・・・3.0g
・精製水・・・残部(合計:100.00g)
【0136】
(配合例7)
−リンス−
下記組成に従い、リンスを常法により製造した。
・塩化ステアリルトリメチルアンモニウム・・・1.5g
・ポリオキシエチレンセチルエーテル・・・1.0g
・セチルアルコール・・・2.0g
・オクチルドデカノール・・・1.0g
・カチオン化セルロース・・・0.5g
・プロピレングリコール・・・5.0g
・ツンベルギア・ラウリフォリア(Thunbergia laurifolia)の樹皮の50質量%エタノール抽出物(抽出物No.9)・・・0.2g
・ムクロジエキス・・・0.2g
・黄杞エキス・・・0.5g
・オウバクエキス・・・0.3g
・ローズマリーエキス・・・0.5g
・香料・・・3.0g
・精製水・・・残部(合計:100.00g)
【0137】
(配合例8)
−錠剤状栄養補助食品−
下記の混合物を打錠して、錠剤状栄養補助食品を製造した。
・ピットスポルム・ナパウレンセ(Pittosporum napaulense))の樹皮の50質量%エタノール抽出物(抽出物No.5)・・・30g
・粉糖(ショ糖)・・・178g
・ソルビット・・・10g
・グリセリン脂肪酸エステル・・・12g
【0138】
(配合例9)
−顆粒状栄養補助食品−
下記の混合物を顆粒状に形成して、顆粒状栄養補助食品を製造した。
・ヘスペレトゥサ・クレヌラータ(Hesperethusa crenulata)の茎の50質量%エタノール抽出物(抽出物No.6−1)・・・20g
・ビートオリゴ糖・・・1000g
・ビタミンC・・・167g
・ステビア抽出物・・・10g
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、及び育毛剤の少なくともいずれかを配合した皮膚外用剤は、優れた抗酸化作用、抗炎症作用、抗老化作用、及び育毛作用の少なくともいずれかを有し、かつ安全性にも優れているので、例えば、軟膏、クリーム、乳液、美容液、ローション、ファンデーション、パック、ゼリー、リップクリーム、口紅、入浴剤、石鹸、ボディシャンプー、アストリンゼント、ヘアトニック、ヘアローション、ヘアクリーム、ヘアリキッド、シャンプー、ポマード、リンスなどに好適に利用可能である。
また、本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、及び育毛剤の少なくともいずれかを配合した飲食品は、経口摂取によっても優れた抗酸化作用、抗炎症作用、抗老化作用、及び育毛作用の少なくともいずれかを有し、かつ安全性にも優れているので、例えば、健康食品、栄養補助食品などに好適に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミリントニア・ホルテンシス(Millingtonia hortensis)の抽出物、リーア・マクロフィラ(Leea macrophylla)の抽出物、コダリオカリクス・モトリウス(Codariocalyx motorius)の抽出物、マルティニア・アンヌア(Martynia annua)の抽出物、ピットスポルム・ナパウレンセ(Pittosporum napaulense)の抽出物、ヘスペレトゥサ・クレヌラータ(Hesperethusa crenulata)の抽出物、プテロスペルムム・ディベルシフォリウム(Pterospermumu diversifolium)の抽出物、グレウィア・エリオカルパ(Grewia eriocarpa)の抽出物、ツンベルギア・ラウリフォリア(Thunbergia laurifolia)の抽出物、及びプレムナ・インテグリフォリア(Premna integrifolia)の抽出物から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする抗酸化剤。
【請求項2】
スーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)様作用、一重項酸素による膜脂質の過酸化抑制作用、過酸化水素消去作用、及びラジカル消去作用の少なくともいずれかを有する請求項1に記載の抗酸化剤。
【請求項3】
ミリントニア・ホルテンシス(Millingtonia hortensis)の抽出物、リーア・マクロフィラ(Leea macrophylla)の抽出物、コダリオカリクス・モトリウス(Codariocalyx motorius)の抽出物、マルティニア・アンヌア(Martynia annua)の抽出物、ピットスポルム・ナパウレンセ(Pittosporum napaulense)の抽出物、ヘスペレトゥサ・クレヌラータ(Hesperethusa crenulata)の抽出物、プテロスペルムム・ディベルシフォリウム(Pterospermumu diversifolium)の抽出物、グレウィア・エリオカルパ(Grewia eriocarpa)の抽出物、ツンベルギア・ラウリフォリア(Thunbergia laurifolia)の抽出物、及びプレムナ・インテグリフォリア(Premna integrifolia)の抽出物から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする抗炎症剤。
【請求項4】
一酸化窒素(NO)産生抑制作用、腫瘍壊死因子(TNF−α)産生抑制作用、ヒアルロニダーゼ活性阻害作用、ヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用、血小板凝集抑制作用、及びシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)活性阻害作用の少なくともいずれかを有する請求項3に記載の抗炎症剤。
【請求項5】
ミリントニア・ホルテンシス(Millingtonia hortensis)の抽出物、リーア・マクロフィラ(Leea macrophylla)の抽出物、コダリオカリクス・モトリウス(Codariocalyx motorius)の抽出物、マルティニア・アンヌア(Martynia annua)の抽出物、ピットスポルム・ナパウレンセ(Pittosporum napaulense)の抽出物、ヘスペレトゥサ・クレヌラータ(Hesperethusa crenulata)の抽出物、プテロスペルムム・ディベルシフォリウム(Pterospermumu diversifolium)の抽出物、グレウィア・エリオカルパ(Grewia eriocarpa)の抽出物、ツンベルギア・ラウリフォリア(Thunbergia laurifolia)の抽出物、及びプレムナ・インテグリフォリア(Premna integrifolia)の抽出物から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする抗老化剤。
【請求項6】
エラスターゼ活性阻害作用、MMP−1活性阻害作用、皮膚線維芽細胞増殖促進作用、表皮角化細胞増殖促進作用、UV−Bダメージからの回復作用、及び過酸化水素に対するダメージ抑制作用の少なくともいずれかを有する請求項5に記載の抗老化剤。
【請求項7】
ミリントニア・ホルテンシス(Millingtonia hortensis)の抽出物、リーア・マクロフィラ(Leea macrophylla)の抽出物、コダリオカリクス・モトリウス(Codariocalyx motorius)の抽出物、マルティニア・アンヌア(Martynia annua)の抽出物、ピットスポルム・ナパウレンセ(Pittosporum napaulense)の抽出物、ヘスペレトゥサ・クレヌラータ(Hesperethusa crenulata)の抽出物、プテロスペルムム・ディベルシフォリウム(Pterospermumu diversifolium)の抽出物、グレウィア・エリオカルパ(Grewia eriocarpa)の抽出物、ツンベルギア・ラウリフォリア(Thunbergia laurifolia)の抽出物、及びプレムナ・インテグリフォリア(Premna integrifolia)の抽出物から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする育毛剤。
【請求項8】
アンドロゲンレセプター拮抗作用、及び毛乳頭細胞増殖促進作用の少なくともいずれかを有する請求項7に記載の育毛剤。
【請求項9】
請求項1から2のいずれかに記載の抗酸化剤、請求項3から4のいずれかに記載の抗炎症剤、請求項5から6のいずれかに記載の抗老化剤、及び請求項7から8のいずれかに記載の育毛剤の少なくともいずれかを含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項10】
請求項1から2のいずれかに記載の抗酸化剤、請求項3から4のいずれかに記載の抗炎症剤、請求項5から6のいずれかに記載の抗老化剤、及び請求項7から8のいずれかに記載の育毛剤の少なくともいずれかを含有することを特徴とする飲食品。

【公開番号】特開2009−298712(P2009−298712A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152687(P2008−152687)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(591082421)丸善製薬株式会社 (239)
【Fターム(参考)】