説明

抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤、並びに化粧料、及び飲食品

【課題】優れた抗酸化作用を有し、かつ安全性の高い抗酸化剤、優れた抗炎症作用を有し、かつ安全性の高い抗炎症剤、優れた美白作用を有し、かつ安全性の高い美白剤、優れた抗老化作用を有し、かつ安全性の高い抗老化剤、優れた育毛作用を有し、かつ安全性の高い育毛剤、及び優れた抗肥満作用を有し、かつ安全性の高い抗肥満剤、並びに、前記抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤の少なくともいずれかを利用した化粧料、及び飲食品の提供。
【解決手段】合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物を含有する抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤、並びに、前記抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤の少なくともいずれかを含有する化粧料、及び飲食品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合歓の抽出物を含有する抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤、並びに、前記抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤の少なくともいずれかを利用した化粧料、及び飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生体成分を酸化させる要因として、活性酸素が注目されており、その生体への悪影響が問題となっている。活性酸素は、生体細胞内のエネルギー代謝過程で生じるものであり、スーパーオキサイド〔即ち、酸素分子の一電子還元で生じるスーパーオキシドアニオン(・O−)、過酸化水素(H)、一重項酸素()、ヒドロキシラジカル(・OH)〕等がある。このような活性酸素は食細胞の殺菌機構にとって必須であり、ウイルスや癌細胞の除去に重要な働きを果たしている。
しかし、前記活性酸素の過剰な生成は、生体内の膜及び組織を構成する生体内分子を攻撃し、各種疾患を誘発する。生体内で生産され、他の活性酸素の出発物質ともなっているスーパーオキサイドは、通常、細胞内に含まれているスーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)の触媒作用により逐次消去されている。しかし、スーパーオキサイドの産生が過剰な場合、あるいはSODの作用が低下している場合には、スーパーオキサイドの消去が不十分になってスーパーオキサイド濃度が高くなる。このことが、関節リウマチ、ベーチェット病等の組織障害、心筋梗塞、脳卒中、白内障、シミ、ソバカス、しわ、糖尿病、動脈硬化、肩凝り、冷え性、皮膚の老化などを起こす原因の一つであると考えられている。
【0003】
これらの中でも、皮膚は紫外線等の環境因子の刺激を直接受けるため、スーパーオキサイドが生成し易い器官であるから、スーパーオキサイド濃度の上昇により、例えば、コラーゲン等の生体組織を分解、変性、又は架橋したり、また油脂類を酸化して細胞に障害を与える過酸化脂質を生成して、皮膚のしわを形成したり、皮膚の弾力性低下等の老化、炎症、肌の色素沈着を引き起こすという問題がある(非特許文献1参照)。
そこで、活性酸素消去物質、ラジカル消去物質、過酸化水素消去物質等を安全性の点で有利な天然物から得る試みがなされており、アブラナ科ブラシカ属植物の抽出物(特許文献1参照)、ベンケイソウ科リュウキュウベンケイ属植物の抽出物(特許文献2参照)、タマコチョウの抽出物(特許文献3参照)、スイオウの抽出物(特許文献4参照)、などに有効性が確認されている。
【0004】
また、炎症性の疾患、例えば接触性皮膚炎(かぶれ)、乾癬、尋常性天疱瘡、その他肌荒れを伴う各種皮膚疾患等の原因及び発症機構は多種多様である。その原因として、例えば、一酸化窒素(NO)産生、血小板凝集によるものなどが知られている。
【0005】
前記血小板凝集は、アラキドン酸カスケードのホスホリパーゼA2の活性化を招き、それによりロイコトリエンB及びプロスタグランジンE2等が放出されて起炎物質となる。このため、血小板の凝集を阻害乃至抑制する物質によりアレルギー疾患性疾患、炎症性疾患を予防乃至治療する試みがなされている。このような血小板凝集抑制作用を有する生薬の抽出物としては、例えば、カナリウム属に属する植物の抽出物(特許文献5参照)、コウサンフウ抽出物(特許文献6参照)、藤茶抽出物(特許文献7参照)、などが報告されている。
【0006】
また、皮膚においてメラニンは紫外線から生体を保護する役目も果たしているが、過剰生成や不均一な蓄積は、皮膚の黒化やシミの原因となる。一般に、メラニンは色素細胞の中で生合成される酵素チロシナーゼの働きによって、チロシンからドーパ、ドーパからドーパキノンに変化し、次いで、5,6−ジヒドロキシインドフェノール等の中間体を経て形成される。したがって、皮膚の色黒(皮膚色素沈着症)を予防・改善するため、即ち美白のためには、メラニン産生過程を阻害すること、或いは既に産生したメラニンを淡色漂白することが有効であると考えられる。
このようなチロシナーゼ阻害作用を有する生薬としては、例えば、藤茶抽出物(特許文献8参照)、ヤナギタデ抽出物(特許文献9参照)などが報告されている。
【0007】
また、これまでの美白剤開発は、メラニン生成の律速酵素であるチロシナーゼに注力して進められてきたが、最近、紫外線UV−B照射後に表皮ケラチノサイトからの産生が上昇し、色素細胞(メラノサイト)を活性化するサイトカインとして、α−メラノサイト刺激ホルモン(α−MSH)、エンドセリン−1(ET−1)、一酸化窒素、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、顆粒球・マクロファージ・コロニー刺激因子(GM−CSF)、幹細胞増殖因子(SCF)等が報告されており、これらが関与する情報伝達系を遮断することにより、メラニン産生を抑制して美白効果を導く物質の開発が盛んに行われるようになってきている。
前記幹細胞増殖因子(Stem Cell Factor,SCF)は、角化細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞、骨髄ストローマ細胞等から産生されるタンパク質である。SCFは、多能性造血幹細胞、生殖細胞、肥満細胞、巨核球系前駆細胞、顆粒球・マクロファージ系前駆細胞、色素細胞等の増殖や分化を促進する作用を有することが知られている。また、SCFは、シミ部位や紫外線照射等によって発現が亢進することが知られている(非特許文献2参照)。SCFとしては、273のアミノ酸残基からなる膜結合型SCFと、タンパク質分解酵素の作用により切断され、膜から遊離する分泌型SCFとが知られている。膜結合型SCFは、角化細胞等に結合したまま色素細胞のSCFレセプターに結合し、色素細胞の増殖を促進する。また、分泌型SCFは、その結合部位にて切断され、細胞膜から遊離し、色素細胞のSCFレセプターに結合することによって、色素細胞の増殖を促進する。
そのため、SCFの異常産生は、色素細胞の異常増殖につながり、メラニン産生を亢進させ、シミ、ソバカス、くすみ等の原因となると考えられる。
したがって、SCFの発現上昇を抑制することは、色素細胞の増殖を抑制し、皮膚におけるメラニンの過剰産生を抑制し、日焼け後の色素沈着、シミ、ソバカス等の予防又は抑制に有用であると考えられる。
【0008】
また、皮膚の表皮及び真皮は、表皮細胞、皮膚線維芽細胞、及び、これらの細胞の外にあって皮膚構造を支持するコラーゲン等の細胞外マトリックスにより構成されている。若い皮膚においては、これら皮膚組織の相互作用が恒常性を保つことにより、水分保持、柔軟性、弾力性等が確保され、肌は外見的にも張りや艶があってみずみずしい状態に維持される。
ところが、紫外線(UV−A、UV−B)の照射、空気の著しい乾燥、過度の皮膚洗浄、過酸化水素との接触等の外的因子の影響があったり、加齢が進んだりすると、細胞外マトリックスの主要構成成分であるコラーゲンの産生量が減少すると共に、架橋による弾力低下を起こす。その結果、皮膚は保湿機能や弾力性が低下し、角質は異常剥離を始めるため、肌は張りや艶を失い、荒れ、シワ等の老化症状を呈するようになる。更に、外的因子の影響や加齢に伴い、線維芽細胞の増殖率が低下すると、天然保湿因子であるヒアルロン酸の合成量が低下する。
このように皮膚の老化に伴う変化、即ち、シワ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下等には、コラーゲン等の真皮マトリックス成分の減少乃至変性が関与していることが知られている。
また、コラーゲンの中でもI型コラーゲンは、最も多く体内に含まれるコラーゲンであり、皮膚の真皮にも多く含まれ、皮膚の強さを生み出す役割を果たしていることが知られている。
【0009】
また、近年、真皮マトリックス成分の減少乃至変性を誘導する因子として、マトリックスメタロプロテアーゼ類(以下、「MMPs」と称することもある)と呼ばれるタンパク質分解酵素群の分解及び再構築がある。
前記MMPsは、その一次構造と基質特異性の違いから、(1)コラゲナーゼ群(MMP−1、MMP−8及びMMP−13)、(2)ゼラチナーゼ群(MMP−2及びMMP−9)、(3)ストロメライシン群(MMP−3及びMMP−10)、(4)膜結合型マトリックスメタロプロテアーゼ群(MMP−14、MMP−15、MMP−16、及びMMP−17)、(5)その他(MMP−7、MMP−11、及びMMP−12)の5つのグループに分類されている(特許文献10参照)。
前記MMPsの中でも、MMP−1及びMMP−14は、皮膚の真皮マトリックスの主な構成成分であるI型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲンを分解する酵素として知られている。また、その発現は紫外線の照射により大きく増加し、紫外線によるコラーゲンの減少乃至変性の一因となり、皮膚のシワ形成等の大きな要因であると考えられる。
【0010】
また、加齢に伴う皮膚老化の一因として、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌が減退することがある。エストロゲンは成人女性の健康維持に深く関わっており、その分泌不足は種々の内科的疾患を招く他、肌の過敏症、弾力性低下、潤いの減少等の好ましくない肌の変化の原因となることが知られている。
【0011】
したがって、マトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)活性阻害、マトリックスメタロプロテアーゼ−14(MMP−14)活性阻害、あるいは加齢によるエストロゲン分泌減退を補うことにより、皮膚のしわの形成、弾力性低下等の皮膚の老化を予防乃至治療できると考えられる。
これまでに、エストロゲン様作用剤としては、例えば、ステロイド系エストロゲン、非ステロイド系エストロゲン、フラボン系化合物(特許文献11〜13参照)などが報告されている。
【0012】
また、多くのステロイドホルモンは産生臓器から分泌された分子型で受容体と結合してその作用を発現するが、アンドロゲンと総称される男性ホルモンの場合、例えば、テストステロンは標的臓器の細胞内に入ってテストステロン5α−リダクターゼにより、ジヒドロテストステロンに還元されてから受容体と結合し、アンドロゲンとしての作用を発現する。
前記アンドロゲンは重要なホルモンであるが、それが過度に作用すると、男性型脱毛症、多毛症、脂漏症、座瘡(ニキビなど)、前立腺肥大症、前立腺腫瘍、男児性早熟等のさまざまな好ましくない症状を誘発する。
【0013】
そこで、従来、これらの各種症状を改善するために過剰のアンドロゲンの作用を抑制する方法、具体的には、テストステロンをジヒドロテストステロンに還元するテストステロン5α−リダクターゼの作用を阻害することにより、ジヒドロテストステロンが生じるのを抑制する方法や、テストステロンから生じたジヒドロテストステロンが受容体と結合するのを阻害することによりアンドロゲン活性を発現させない方法が提案されている。
このようなテストステロン5α−リダクターゼの作用を阻害する作用(テストステロン5α−リダクターゼ活性阻害作用)を有するものとしては、例えば、ウルシ科Choerospondias属植物の抽出物(特許文献14参照)などが報告されている。
また、ジヒドロテストステロンが受容体と結合するのを阻害する作用(アンドロゲン受容体結合阻害作用)を有するものとしては、例えば、マジト及びカチュアの少なくともいずれかの抽出物(特許文献15参照)などが報告されている。
【0014】
また、肥満の防止には、脂肪の代謝促進に関与しているサイクリックAMPを分解する酵素であるサイクリックAMPホスホジエステラーゼの作用を抑制するのが有効であると考えられる。実際、サイクリックAMPホスホジエステラーゼの作用を抑えると、細胞内サイクリックAMPの濃度が上昇して脂質代謝が活発になり、肥満が解消されることが知られている。
このようなサイクリックAMPホスホジエステラーゼ活性阻害作用を有するものとしては、例えば、藤茶抽出物(特許文献16参照)などが報告されている。
【0015】
しかしながら、現在までのところ、入手が容易で安価であり、安全性の高い天然物系のものであって、味、匂い、使用感等の点で添加対象物の品質に悪影響を及ぼさず、化粧料及び飲食品に広く使用可能な抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤は未だ提供されておらず、その速やかな提供が強く求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2003−81848号公報
【特許文献2】特開2005−29483号公報
【特許文献3】特開2006−321730号公報
【特許文献4】特開2007−8902号公報
【特許文献5】特開2002−53478号公報
【特許文献6】特開2002−53477号公報
【特許文献7】特開2001−97873号公報
【特許文献8】特開2002−370962号公報
【特許文献9】特開2004−083488号公報
【特許文献10】特開2000−344672号公報
【特許文献11】特開2002−226323号公報
【特許文献12】特開2001−316240号公報
【特許文献13】特開2003−55245号公報
【特許文献14】特開2003−55162号公報
【特許文献15】特開2002−241297号公報
【特許文献16】特開2003−12532号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】「フレグランスジャーナル」臨時増刊No.14、p156、1995年
【非特許文献2】Hachiya A et al., J. Invest. Dermatol., No.116, 2001, p.578−586
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れた抗酸化作用を有し、かつ安全性の高い抗酸化剤、優れた抗炎症作用を有し、かつ安全性の高い抗炎症剤、優れた美白作用を有し、かつ安全性の高い美白剤、優れた抗老化作用を有し、かつ安全性の高い抗老化剤、優れた育毛作用を有し、かつ安全性の高い育毛剤、及び優れた抗肥満作用を有し、かつ安全性の高い抗肥満剤、並びに、前記抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤の少なくともいずれかを利用した化粧料、及び飲食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を行ったところ、合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物が、優れた抗酸化作用、抗炎症作用、美白作用、抗老化作用、育毛作用、及び抗肥満作用を有することを知見し、本発明を完成するに至った。
【0020】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物を含有することを特徴とする抗酸化剤である。
<2> スーパーオキサイド消去作用、及びラジカル消去作用の少なくともいずれかを有する前記<1>に記載の抗酸化剤である。
<3> 合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物を含有することを特徴とする抗炎症剤である。
<4> 血小板凝集抑制作用を有する前記<3>に記載の抗炎症剤である。
<5> 合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物を含有することを特徴とする美白剤である。
<6> チロシナーゼ活性阻害作用、及び幹細胞増殖因子(SCF)mRNA発現抑制作用の少なくともいずれかを有する前記<5>に記載の美白剤である。
<7> 合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物を含有することを特徴とする抗老化剤である。
<8> マトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)活性阻害作用、マトリックスメタロプロテアーゼ−14(MMP−14)活性阻害作用、エストロゲン様作用、スーパーオキサイド消去作用、及びラジカル消去作用の少なくともいずれかを有する前記<7>に記載の抗老化剤である。
<9> 合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物を含有することを特徴とする育毛剤である。
<10> テストステロン5α−リダクターゼ活性阻害作用、及びアンドロゲン受容体結合阻害作用の少なくともいずれかを有する前記<9>に記載の育毛剤である。
<11> 合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物を含有することを特徴とする抗肥満剤である。
<12> サイクリックAMPホスホジエステラーゼ活性阻害作用を有する前記<11>に記載の抗肥満剤である。
<13> 前記<1>から<2>のいずれかに記載の抗酸化剤、前記<3>から<4>のいずれかに記載の抗炎症剤、前記<5>から<6>のいずれかに記載の美白剤、前記<7>から<8>のいずれかに記載の抗老化剤、前記<9>から<10>のいずれかに記載の育毛剤、及び前記<11>から<12>のいずれかに記載の抗肥満剤の少なくともいずれかを含有することを特徴とする化粧料である。
<14> 前記<1>から<2>のいずれかに記載の抗酸化剤、前記<3>から<4>のいずれかに記載の抗炎症剤、前記<5>から<6>のいずれかに記載の美白剤、前記<7>から<8>のいずれかに記載の抗老化剤、前記<9>から<10>のいずれかに記載の育毛剤、及び前記<11>から<12>のいずれかに記載の抗肥満剤の少なくともいずれかを含有することを特徴とする飲食品である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、従来における諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた抗酸化作用を有し、かつ安全性の高い抗酸化剤、優れた抗炎症作用を有し、かつ安全性の高い抗炎症剤、優れた美白作用を有し、かつ安全性の高い美白剤、優れた抗老化作用を有し、かつ安全性の高い抗老化剤、優れた育毛作用を有し、かつ安全性の高い育毛剤、及び優れた抗肥満作用を有し、かつ安全性の高い抗肥満剤、並びに、前記抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤の少なくともいずれかを利用した化粧料、及び飲食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤)
本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤は、合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0023】
前記抗酸化剤は、スーパーオキサイド消去作用、及びラジカル消去作用の少なくともいずれかに基づく抗酸化作用を有するものである。
前記抗炎症剤は、血小板凝集抑制作用に基づく抗炎症作用を有するものである。
前記美白剤は、チロシナーゼ活性阻害作用、及び幹細胞増殖因子(SCF)mRNA発現抑制作用の少なくともいずれかに基づく美白作用を有するものである。
前記抗老化剤は、マトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)活性阻害作用、マトリックスメタロプロテアーゼ−14(MMP−14)活性阻害作用、エストロゲン様作用、スーパーオキサイド消去作用、及びラジカル消去作用の少なくともいずれかに基づく抗老化作用を有するものである。
前記育毛剤は、テストステロン5α−リダクターゼ活性阻害作用、及びアンドロゲン受容体結合阻害作用の少なくともいずれかに基づく育毛作用を有するものである。
前記抗肥満剤は、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ活性阻害作用に基づく抗肥満作用を有するものである。
前記合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物が含有する、抗酸化作用、抗炎症作用、美白作用、抗老化作用、育毛作用、及び抗肥満作用の少なくともいずれかを発揮する物質の詳細については不明であるが、前記合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物がこのような優れた作用を有し、抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤として有用であることは、従来には全く知られておらず、本発明者らによる新たな知見である。
【0024】
前記合歓(Albizzia julibrissin)は、別名をネムノキともいい、マメ科の植物であり、中国の浙江、安微、江蘇、四川等に分布しており、これらの地域から容易に入手可能である。
抽出原料として使用する前記合歓の部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、花、蕾、果実、果皮、種子、種皮、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根、根茎、根皮、これらの混合物などが挙げられ、これらの中でも、花が好ましい。
【0025】
抽出原料である前記合歓は、例えば、乾燥した後に、そのままの状態で又は粗砕機等を用いて粉砕した状態で、溶媒抽出に供することができる。中でも、前記抽出原料としては、採取後ただちに乾燥し、粉砕したものが好ましい。前記乾燥は、例えば、天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。なお、前記合歓は、ヘキサン、ベンゼン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、前記合歓の極性溶媒による抽出処理を、効率よく行うことができる。
【0026】
前記合歓の抽出物は、植物の抽出に一般に用いられる方法を利用することによって、容易に得ることができる。また、前記合歓の抽出物としては、市販品を使用してもよい。なお、前記合歓の抽出物には、前記合歓の抽出液、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又は、これらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
【0027】
前記抽出に用いる溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、親水性有機溶媒、又は、これらの混合溶媒を、室温又は溶媒の沸点以下の温度で用いることが好ましい。前記合歓に含まれる抗酸化作用、抗炎症作用、美白作用、抗老化作用、育毛作用、及び抗肥満作用の少なくともいずれかを示す成分は、極性溶媒を抽出溶媒とする抽出処理によって、容易に抽出することができる。
【0028】
前記抽出溶媒として使用し得る水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。したがって、前記抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
【0029】
前記抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコールなどが挙げられ、該親水性有機溶媒と水との混合溶媒なども用いることができる。なお、前記水と前記親水性有機溶媒との混合溶媒を使用する際には、低級アルコールの場合は水10質量部に対して1質量部〜90質量部、低級脂肪族ケトンの場合は水10質量部に対して1質量部〜40質量部を混合したものを使用することが好ましい。また、多価アルコールの場合は水10質量部に対して1質量部〜90質量部を混合したものを使用することが好ましい。
【0030】
抽出原料である前記合歓から、抗酸化作用、抗炎症作用、美白作用、抗老化作用、育毛作用、及び抗肥満作用の少なくともいずれかを有する抽出物を抽出するにあたって、特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温又は還流加熱下で、任意の抽出装置を用いて抽出することができる。
具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽内に、前記各抽出原料を投入し、更に必要に応じて時々攪拌しながら、30分〜4時間静置して可溶性成分を溶出した後、ろ過して固形物を除去し、得られた抽出液から抽出溶媒を留去し、乾燥することにより抽出物を得ることができる。抽出溶媒量は通常、抽出原料の5倍量〜15倍量(質量比)である。抽出条件は、抽出溶媒として水を用いた場合には、通常50℃〜95℃にて1時間〜4時間程度である。また、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、通常40℃〜80℃にて30分間〜4時間程度である。なお、溶媒で抽出することにより得られる抽出液は、抽出溶媒が安全性の高いものであれば、そのまま本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤の有効成分として用いることができる。
【0031】
抽出により得られる前記合歓の抽出液は、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るため、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。なお、得られる前記合歓の抽出液は、そのままでも抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤の有効成分として使用することができるが、濃縮液又はその乾燥物としたものの方が利用しやすい。抽出液の乾燥物を得るにあたっては、常法を利用することができ、また、吸湿性を改善するためにデキストリン、シクロデキストリン等のキャリアーを添加してもよい。また、抽出原料である前記合歓は特有の匂いと味を有している場合があり、そのため、前記合歓の抽出物に対しては、生理活性の低下を招かない範囲で、脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、例えば化粧料に添加する場合などには大量に使用するものではないから、未精製のままでも実用上支障はない。なお、精製は、具体的には、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等によって行うことができる。
【0032】
以上のようにして得られる前記合歓の抽出物は、スーパーオキサイド消去作用、ラジカル消去作用、血小板凝集抑制作用、チロシナーゼ活性阻害作用、幹細胞増殖因子(SCF)mRNA発現抑制作用、マトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)活性阻害作用、マトリックスメタロプロテアーゼ−14(MMP−14)活性阻害作用、エストロゲン様作用、テストステロン5α−リダクターゼ活性阻害作用、アンドロゲン受容体結合阻害作用、及びサイクリックAMPホスホジエステラーゼ活性阻害作用の少なくともいずれかを有し、これらの作用に基づき、本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤の少なくともいずれかの有効成分として好適に利用可能なものである。
なお、前記合歓の抽出物は、前記した各作用に基づき、スーパーオキサイド消去剤、ラジカル消去剤、血小板凝集抑制剤、チロシナーゼ活性阻害剤、幹細胞増殖因子(SCF)mRNA発現抑制剤、マトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)活性阻害剤、マトリックスメタロプロテアーゼ−14(MMP−14)活性阻害剤、エストロゲン様作用剤、テストステロン5α−リダクターゼ活性阻害剤、アンドロゲン受容体結合阻害剤、及びサイクリックAMPホスホジエステラーゼ活性阻害剤としても、それぞれ好適に利用可能である。
【0033】
本発明の抗酸化剤における抗酸化作用は、スーパーオキサイド消去作用、及びラジカル消去作用の少なくともいずれかに基づいて発揮される。
本発明の抗炎症剤における抗炎症作用は、血小板凝集抑制作用に基づいて発揮される。
本発明の美白剤における美白作用は、チロシナーゼ活性阻害作用、及び幹細胞増殖因子(SCF)mRNA発現抑制作用の少なくともいずれかに基づいて発揮される。
本発明の抗老化剤における抗老化作用は、マトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)活性阻害作用、マトリックスメタロプロテアーゼ−14(MMP−14)活性阻害作用、エストロゲン様作用、スーパーオキサイド消去作用、及びラジカル消去作用の少なくともいずれかに基づいて発揮される。
前記スーパーオキサイド消去作用、及びラジカル消去作用に基づく抗老化作用によれば、例えば、皮膚において過剰に生成された活性酸素による皮膚のしわの形成や皮膚の弾力性の低下を抑制することができる。
本発明の育毛剤における育毛作用は、テストステロン5α−リダクターゼ活性阻害作用、及びアンドロゲン受容体結合阻害作用の少なくともいずれかに基づいて発揮される。
本発明の抗肥満剤における抗肥満作用は、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ活性阻害作用に基づいて発揮される。
【0034】
前記抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、抗肥満剤中の前記合歓の抽出物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、また、前記抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、抗肥満剤は、前記合歓の抽出物そのものであってもよい。
【0035】
また、前記抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、抗肥満剤中に含まれ得る、前記合歓の抽出物以外のその他の成分としても、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記合歓の抽出物を所望の濃度に希釈等するための、生理食塩液などが挙げられる。また、前記抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、抗肥満剤中の前記その他の成分の含有量にも、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、前記抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、抗肥満剤は、必要に応じて製剤化することにより、粉末状、顆粒状、錠剤状等、任意の剤形とすることができる。
【0036】
本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、抗肥満剤は、優れた抗酸化作用、抗炎症作用、美白作用、抗老化作用、育毛作用、抗肥満作用を有すると共に、安全性に優れるため、例えば、後述する本発明の化粧料、本発明の飲食品などへの利用に好適である。
【0037】
(化粧料)
本発明の化粧料は、前記した本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤の少なくともいずれかを含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記化粧料は、前記合歓の抽出物を、その活性を妨げないように任意の化粧料に配合したものであってもよいし、前記合歓の抽出物を主成分とした化粧料であってもよい。また、前記化粧料は、前記合歓の抽出物そのものであってもよい。
【0038】
本発明の化粧料は、高い安全性を有し、優れたスーパーオキサイド消去作用、ラジカル消去作用、血小板凝集抑制作用、チロシナーゼ活性阻害作用、幹細胞増殖因子(SCF)mRNA発現抑制作用、マトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)活性阻害作用、マトリックスメタロプロテアーゼ−14(MMP−14)活性阻害作用、エストロゲン様作用、テストステロン5α−リダクターゼ活性阻害作用、アンドロゲン受容体結合阻害作用、及びサイクリックAMPホスホジエステラーゼ活性阻害作用の少なくともいずれかを発揮するものである。
【0039】
ここで、前記化粧料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、皮膚化粧料、頭髪化粧料などが挙げられる。
前記化粧料の用途としては、特に制限はなく、各種用途から適宜選択することができ、例えば、軟膏、クリーム、乳液、化粧水、ローション、パック、ゼリー、リップクリーム、口紅、入浴剤、アストリンゼント、ヘアトニック、シャンプー、リンスなどが挙げられる。
【0040】
前記化粧料は、更に必要に応じて本発明の目的及び作用効果を損なわない範囲で、その化粧料の製造に通常使用される各種主剤及び助剤、その他の成分を添加することができる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、収斂剤、殺菌剤、抗菌剤、美白剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料、などが挙げられる。
【0041】
前記化粧料中の、前記抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤の少なくともいずれかの含有量としては、特に制限はなく、化粧料の種類や抽出物の生理活性等によって適宜調整することができるが、例えば、前記合歓の抽出物の量として、0.0001質量%〜10質量%が好ましく、0.001質量%〜5質量%がより好ましい。
【0042】
(飲食品)
本発明の飲食品は、前記した本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤の少なくともいずれかを含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
ここで、前記飲食品とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品などの区分に制限されるものではなく、例えば、経口的に摂取される一般食品、健康食品、保健機能食品、医薬部外品、医薬品などを幅広く含むものを意味する。
前記飲食品は、前記合歓の抽出物を、その活性を妨げないように任意の飲食物に配合したものであってもよいし、前記合歓の抽出物を主成分とする栄養補助食品であってもよい。また、前記飲食品は、前記合歓の抽出物そのものであってもよい。
【0043】
本発明の飲食品は、高い安全性を有し、優れたスーパーオキサイド消去作用、ラジカル消去作用、血小板凝集抑制作用、チロシナーゼ活性阻害作用、幹細胞増殖因子(SCF)mRNA発現抑制作用、マトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)活性阻害作用、マトリックスメタロプロテアーゼ−14(MMP−14)活性阻害作用、エストロゲン様作用、テストステロン5α−リダクターゼ活性阻害作用、アンドロゲン受容体結合阻害作用、及びサイクリックAMPホスホジエステラーゼ活性阻害作用の少なくともいずれかを発揮するものである。
【0044】
前記飲食品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料;アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類;カニ、サケ、アサリ、マグロ、イワシ、エビ、カツオ、サバ、クジラ、カキ、サンマ、イカ、アカガイ、ホタテ、アワビ、ウニ、イクラ、トコブシ等の水産物;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、うな丼、ハヤシライス、おでん、マーボドーフ、牛丼、ミートソース、玉子スープ、オムライス、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール等のレトルトパウチ食品;種々の形態の健康食品や栄養補助食品;錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、トローチ等の医薬品、医薬部外品などが挙げられる。
【0045】
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、飲食品を製造するにあたって通常用いられる、補助的原料又は添加物などが挙げられる。
前記補助的原料又は添加物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、ルブソサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤などが挙げられる。
【0046】
前記飲食品中の、前記抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤の少なくともいずれかの含有量としては、対象となる飲食品の種類に応じて異なり、一概には規定することができないが、例えば、飲食品本来の味を損なわない範囲で任意の飲食物に配合することを目的とする場合には、有効成分である前記合歓の抽出物の量として、0.001質量%〜50質量%が好ましく、0.01質量%〜20質量%がより好ましい。また、例えば、前記合歓の抽出物を主成分とする顆粒、錠剤、カプセル形態等の栄養補助飲食品を製造することを目的とする場合には、有効成分である前記合歓の抽出物の量として、0.01質量%〜100質量%が好ましく、5質量%〜100質量%がより好ましい。
【0047】
(効果)
本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤、並びに、化粧料及び飲食品は、日常的に使用することが可能であり、有効成分である前記合歓の抽出物の働きによって、抗酸化作用、抗炎症作用、美白作用、抗老化作用、育毛作用、及び抗肥満作用の少なくともいずれかを、極めて効果的に発揮させることができるものである。
【0048】
なお、本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤、並びに、化粧料及び飲食品は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、その作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することも可能である。また、本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤、並びに、化粧料及び飲食品は、天然由来の前記合歓の抽出物を有効成分としたものであり、安全性に優れる点でも、有利である。
【実施例】
【0049】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0050】
(製造例1)
−合歓(Albizzia julibrissin)の水抽出物の製造−
合歓の花の粉砕物に、質量比で10倍量の水を加え、80℃で2時間加熱し、ろ過した。残渣に同量の水を加え、80℃で2時間加熱し、ろ過した。ろ液を濃縮、凍結乾燥して、合歓の水抽出物(凍結乾燥品)を得た。なお、得られた合歓の水抽出物の抽出率は、31.5%であった。
【0051】
(製造例2)
−合歓(Albizzia julibrissin)の50質量%エタノール抽出物の製造−
合歓の花の粉砕物に、質量比で10倍量の50質量%エタノールを加え、80℃で2時間加熱し、ろ過した。残渣に同量の50質量%エタノールを加え、80℃で2時間加熱し、ろ過した。ろ液を濃縮、凍結乾燥して、合歓の50質量%エタノール抽出物(凍結乾燥品)を得た。なお、得られた合歓の50質量%エタノール抽出物の抽出率は、29.8%であった。
【0052】
(製造例3)
−合歓(Albizzia julibrissin)の80質量%エタノール抽出物の製造−
合歓の花の粉砕物に、質量比で10倍量(質量比)の80質量%エタノールを加え、80℃で2時間加熱し、ろ過した。残渣に同量の80質量%エタノールを加え、80℃で2時間加熱し、ろ過した。ろ液を濃縮、凍結乾燥して、合歓の80質量%エタノール抽出物(凍結乾燥品)を得た。なお、得られた合歓の80質量%エタノール抽出物の抽出率は、26.9%であった。
【0053】
(実施例1:スーパーオキサイド消去作用試験(NBT法))
前記製造例1から3で得られた各合歓の抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法によりスーパーオキサイド消去作用を試験した。
【0054】
3mmol/Lのキサンチン、3mmol/LのEDTA、1.5mg/mLの牛血清アルブミン(BSA)溶液、0.75mmol/Lのニトロブルーテトラゾリウム(NBT)各0.1mL、及び0.05mol/LのNaCO緩衝液(pH10.2)2.4mLを試験管にとり、これに各試料溶液0.1mLを添加し、25℃で10分間放置した。次いで、キサンチンオキシダーゼ溶液を加えて素早く攪拌し、25℃で20分間静置した。その後、6mmol/Lの塩化銅0.1mLを加えて反応を停止させ、波長560nmにおける吸光度を測定した。このとき測定した吸光度を「試料溶液添加、酵素溶液添加時の吸光度」とした。
また、同様の操作と吸光度の測定を、酵素溶液を添加せずに行った。このとき測定した吸光度を「試料溶液添加、酵素溶液無添加時の吸光度」とした。
また、試料溶液を添加せずに蒸留水を添加した場合についても同様の測定を行った。このとき測定した吸光度を「試料溶液無添加、酵素溶液添加時の吸光度」とした。
また、酵素溶液を添加せず、更に試料溶液を添加せずに蒸留水を添加した場合についても同様の測定を行った。このとき測定した吸光度を「試料溶液無添加、酵素溶液無添加時の吸光度」とした。
そして、測定結果から、下記数式1によりスーパーオキサイド消去率を求めた。結果を表1に示す。なお、被験試料は、試料濃度100μg/mL、50μg/mL、25μg/mLで使用した。
<数式1>
スーパーオキサイド消去率(%)={1−(A−B)/(C−D)}×100
A:試料溶液添加、酵素溶液添加時の吸光度
B:試料溶液添加、酵素溶液無添加時の吸光度
C:試料溶液無添加、酵素溶液添加時の吸光度
D:試料溶液無添加、酵素溶液無添加時の吸光度
【0055】
次に、試料濃度を段階的に減少させて上記スーパーオキサイド消去率の測定を行い、スーパーオキサイドの消去率が50%になる試料濃度(以下、「IC50」と称することがある。)(μg/mL)を内挿法により求めた。結果を表2に示す。
【0056】
【表1】

【表2】

表1から2の結果から、製造例1から3の合歓の抽出物が、中程度のスーパーオキサイド消去作用を有することが確認できた。
【0057】
(実施例2:DPPHに対するラジカル消去作用試験)
前記製造例1から3で得られた各合歓の抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により非常に安定なラジカルである1,1−diphenyl−2−picrylhydrazyl radical(DPPH)を使用してラジカル消去作用を試験した。
【0058】
1.5×10−4mol/LのDPPHエタノール溶液3mLに各試料溶液3mLを加え、直ちに容器を密栓して振り混ぜ、30分間静置した後、波長520nmの吸光度を測定した。
コントロールとして、試料溶液の代わりに試料溶液を溶解した溶媒を用いて同様に操作し、波長520nmの吸光度を測定した。また、ブランクとして、エタノールに試料溶液3mLを加えた後、直ちに波長520nmの吸光度を測定した。
そして、測定結果から、下記数式2によりラジカル消去率(%)を求めた。結果を表3に示す。なお、被験試料は、試料濃度200μg/mL、100μg/mL、50μg/mLで使用した。
<数式2>
ラジカル消去率(%)={1−(B−C)/A}×100
A:コントロールの吸光度
B:試料溶液を添加した場合の吸光度
C:ブランクの吸光度
【0059】
次に、試料濃度を段階的に減少させて上記ラジカル消去率の測定を行い、DPPHラジカルの消去率が50%になる試料濃度(以下、「IC50」と称することがある。)(μg/mL)を内挿法により求めた。結果を表4に示す。
【0060】
【表3】

【表4】

表3から4の結果から、製造例1から3の合歓の抽出物が、DPPHに対するラジカル消去作用を有することが確認できた。
【0061】
実施例1から2の結果から、合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物は、スーパーオキサイド消去作用、及びラジカル消去作用の少なくともいずれかを有することが確認され、合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物が、抗酸化剤、及び抗老化剤の有効成分として、好適に利用可能であることが示唆された。
【0062】
(実施例3:血小板凝集抑制作用試験)
前記製造例1から3で得られた各合歓の抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により血小板凝集抑制作用を試験した。
【0063】
日本薬局方ヘパリンナトリウム注射液を1/10量加えて採血したウサギの血液を遠心分離(180×g、10分間、室温)して血小板浮遊液(P.R.P.)を得た。これを血小板浮遊液とした。血小板浮遊液223μLに200mmol/L塩化カルシウム溶液1μLを加え、37℃で1分間反応した。これに被験試料溶液1μLを加え、さらに2分間反応し、撹拌子を入れて1分間撹拌した後、コラーゲン溶液を25μL添加して37℃で10分間の凝集を血小板凝集測定装置PAM12CL(メバニクス株式会社製)を用いて、凝集率(A)を測定した。別に、試料溶液の代わりに試料溶液の溶媒を添加し、上記と同様に操作し、凝集率(B)を測定し、下記数式3により血小板凝集抑制率を求めた。結果を表5に示す。なお、被験試料は、試料濃度400μg/mL、100μg/mLで試験を行った。
<数式3>
血小板凝集抑制率(%)={(A−B)/A}×100
A:コントロールの血小板凝集率
B:被験試料溶液添加時の血小板凝集率
【0064】
【表5】

表5の結果から、製造例1から3の合歓の抽出物が、血小板凝集抑制作用を有することが確認できた。
【0065】
実施例3の結果から、合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物は、血小板凝集抑制作用を有することが確認され、合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物が、抗炎症剤の有効成分として、好適に利用可能であることが示唆された。
【0066】
(実施例4:チロシナーゼ活性阻害作用試験)
前記製造例1から3で得られた各合歓の抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法によりチロシナーゼ活性阻害作用を試験した。
【0067】
48穴プレートに、Mcllvaine緩衝液(pH6.8)0.2mL、0.3mg/mL チロシン溶液0.06mL、被験試料の25%DMSO溶液0.18mLを加え、37℃で10分間静置した。これに、2,500units/mL チロシナーゼ溶液0.02mLを加え、引き続き37℃で15分間反応した。反応終了後、波長475nmにおける吸光度を測定した。同様の方法で空試験を行い補正した。
チロシナーゼ活性阻害率は、下記数式4により求めた。結果を表6に示す。なお、被験試料は、試料濃度400μg/mLで使用した。
<数式4>
チロシナーゼ活性阻害率(%)={1−(St−Sb)/(Ct−Cb)}×100
St:被験試料溶液の波長475nmにおける吸光度
Sb:被験試料溶液ブランクの波長475nmにおける吸光度
Ct:コントロール溶液の波長475nmにおける吸光度
Cb:コントロール溶液ブランクの波長475nmにおける吸光度
【0068】
【表6】

表6の結果から、製造例1から3の合歓の抽出物が、チロシナーゼ活性阻害作用を有することが確認できた。
【0069】
(実施例5:幹細胞増殖因子(SCF)mRNA発現抑制作用試験)
前記製造例1から3で得られた各合歓の抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により幹細胞増殖因子(SCF)mRNA発現抑制作用を試験した。
【0070】
正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞(normal human epidermal keratinocyte;NHEK)を、80cmフラスコで正常ヒト表皮角化細胞長期培養用増殖培地(EpiLife−KG2)において、37℃、5%CO下で前培養し、トリプシン処理により細胞を集めた。
次に、EpiLife−KG2を用いて35mmシャーレ(FALCON社製)に40×10cells/2mL/シャーレずつ播き、37℃、5%CO下で一晩培養した。24時間後に培養液を捨て、HEPES緩衝液1mLを加え、UV−B照射(50mJ/cm)を行い、その後、EpiLife−KG2で必要濃度に溶解した被験試料を各シャーレに2mLずつ添加し、37℃、5%CO下で24時間培養した。培養後、培養液を捨て、TRIzol(R) Reagent(Invitrogen社製;Cat.no.15596−026)にてtotal RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計にて測定し、200ng/μLになるようにtotal RNAを調製した。
このtotal RNAを鋳型とし、SCF(Stem Cell Factor)、及び内部標準であるGAPDHのmRNAの発現量を測定した。検出はリアルタイムPCR装置(Smart Cycler(R)、Cepheid社製)を用いて、Takara One Step SYBR(R) RT−PCR Kit(Perfect Real Time、code No.RR046A)によるリアルタイム One Step RT−PCR反応により行った。
SCFのmRNAの発現量は、「紫外線未照射、被験試料無添加」、「紫外線未照射、被験試料添加」、「紫外線照射、被験試料無添加」、及び「紫外線照射、被験試料添加」でそれぞれ培養した細胞から調製した総RNA標品を基にして、GAPDHの値で補正値を求め、更に「紫外線未照射、被験試料無添加」の補正値を100とした時の「紫外線照射、被験試料無添加」、「紫外線未照射、被験試料添加」、及び「紫外線照射、被験試料添加」の補正値を算出した。
幹細胞増殖因子(SCF)mRNA発現抑制率は、下記数式5により求めた。結果を表7に示す。なお、被験試料は、試料濃度10μg/mL、1μg/mLで使用した。
<数式5>
幹細胞増殖因子(SCF)mRNA発現抑制率(%)={(A−B)−(A−C)}/(A−B)×100
A:紫外線未照射、被験試料無添加時の補正値
B:紫外線照射、被験試料無添加時の補正値
C:紫外線照射、被験試料添加時の補正値
【0071】
【表7】

表7の結果から、製造例1から3の合歓の抽出物が、幹細胞増殖因子(SCF)mRNA発現抑制作用を有することが確認できた。
【0072】
実施例4から5の結果から、合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物は、チロシナーゼ活性阻害作用、及び幹細胞増殖因子(SCF)mRNA発現抑制作用の少なくともいずれかを有することが確認され、合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物が、美白剤の有効成分として、好適に利用可能であることが示唆された。
【0073】
(実施例6:マトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)活性阻害作用試験)
前記製造例1から3で得られた各合歓の抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法によりマトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)活性阻害作用を試験した。この試験方法は、Wunsch and Heidrich法を一部改変したものである。
【0074】
蓋付試験管にて、20mmol/mLの塩化カルシウム含有0.1mol/LのTris−HCl緩衝液(pH7.1)に溶解した各試料溶液50μL、MMP−1溶液50μL、及びPz−peptide溶液400μLを混合し、37℃にて30分間反応させた後、25mmol/Lのクエン酸溶液1mLを加え反応を停止した。その後、酢酸エチル5mLを加え、激しく振とうした。これを遠心(1,600×g、10分)し、酢酸エチル層の波長320nmにおける吸光度を測定した。同様の方法で空試験を行い補正した。
なお、MMP−1としては、COLLAGENASE Type IV from Clostridium histolyticum(シグマ社製)を使用した。
Pz−peptideとしては、Pz−Pro−Leu−Gly−Pro−D−Arg−OH(BACHEM Fenichemikalien AG社製)を使用した。
そして、得られた結果から、下記数式6によりMMP−1活性阻害率を求めた。結果を表8に示す。なお、被験試料は、試料濃度400μg/mL、100μg/mLで使用した。
<数式6>
MMP−1活性阻害率(%)={1−(C−D)/(A−B)}×100
A:試料溶液無添加、酵素添加での波長320nmにおける吸光度
B:試料溶液無添加、酵素無添加での波長320nmにおける吸光度
C:試料溶液添加、酵素添加での波長320nmにおける吸光度
D:試料溶液添加、酵素無添加での波長320nmにおける吸光度
【0075】
【表8】

表8の結果から、製造例1から3の合歓の抽出物が、マトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)活性阻害作用を有することが確認できた。
【0076】
(実施例7:マトリックスメタロプロテアーゼ−14(MMP−14)活性阻害作用試験)
前記製造例1から3で得られた各合歓の抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法によりマトリックスメタロプロテアーゼ−14(MMP−14)活性阻害作用を試験した。
【0077】
96穴マイクロプレートにて、50mmol/LのHEPES、10mmol/LのCaCl、0.05質量%のBrij−35、1mmol/LのDTNB〔5,5’−dithiobis(2−nitoro−benzoic acid)〕緩衝液(pH7.5)で調製したMMP−14溶液20μL、及び50mmol/LのHEPES、10mmol/LのCaCl、0.05質量%のBrij−35、1mmol/LのDTNB〔5,5’−dithiobis(2−nitoro−benzoic acid)〕緩衝液で調製した各試料溶液20μLを混合した。37℃にて45分間反応させた後、10μLの基質溶液を添加し、反応を開始した。基質分解産物のメルカプト基と緩衝液中のDTNBとの反応生成物である2−nitro−5−thiobenzoic acidの量を波長412nmで30分間の吸光度を測定し、1分間当たりの生成量に基づいて30分間の傾斜度の値を求めた。同様の方法で空試験を行い補正した。
MMP−14としては、Enzyme(Human,Recombinant) From:E.coli recombinant human MMP−14 catalytic domain(Biomol社製)を用いた。
基質としては、thiopeptide(Ac−PLG−[2−mercapto−4−methyl−pentanoyl]−LG−OC)(Biomol社製)を用いた。
そして、得られた結果から、下記数式7により、MMP−14活性阻害率を求めた。結果を表9に示す。なお、被験試料は、試料濃度400μg/mLで使用した。
<数式7>
MMP−14活性阻害率(%)=(A−B)/A×100
A:試料溶液無添加時の30分間における傾斜度の値
B:試料溶液添加時の30分間における傾斜度の値
【0078】
【表9】

表9の結果から、製造例1から3の合歓の抽出物が、マトリックスメタロプロテアーゼ−14(MMP−14)活性阻害作用を有することが確認できた。
【0079】
(実施例8:エストロゲン様作用試験)
前記製造例1から3で得られた各合歓の抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法によりエストロゲン様作用を試験した。
【0080】
ヒト乳癌由来細胞(MCF−7)を10%の牛胎児血清(FBS)、1質量%のNEAA、及び1mmol/Lのピルビン酸ナトリウムを含有するMEMを用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を活性炭処理した10%のFBS、1質量%のNEAA、及び1mmol/Lのピルビン酸ナトリウムを含有するフェノールレッド不含MEM(T−MEM)を用いて3.0×10cells/mLの濃度に希釈した後、48穴マイクロプレートに1穴あたり450μLずつ播種し、細胞を定着させるため培養した。6時間後(0日目)にT−MEMで終濃度の10倍に調製した各試料溶液を各穴に50μLずつ添加し、培養を続けた。3日目に培地を抜き、T−MEMで終濃度に調製した試料溶液を各穴に0.5mL添加し、更に培養を続けた。
エストロゲン様作用は、MTTアッセイを用いて測定した。培養終了後、培地を抜き、1質量%のNEAA、1mmol/Lのピルビン酸ナトリウムを含有するMEMに終濃度0.4mg/mLで溶解したMTT〔3−(4,5−Dimethyl−2−thiazolyl)−2,5−diphenyl−2H−tetrazolium Bromide〕を各穴に200μLずつ添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール200μLで抽出した。抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。ポジティブコントロールとして、10−9mol/Lのエストラジオールを使用した。
そして、得られた測定結果から、下記数式8によりエストロゲン様作用(エストロゲン依存性増殖作用)率を求めた。結果を表10に示す。なお、被験試料は、試料濃度3.125μg/mLで使用した。
<数式8>
エストロゲン様作用率(%)=(A/B)×100
A:試料溶液添加の場合の吸光度
B:試料溶液無添加の場合の吸光度
【0081】
【表10】

表10の結果から、製造例1から3の合歓の抽出物が、エストロゲン様作用を有することが確認できた。
【0082】
実施例6から8の結果から、合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物は、マトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)活性阻害作用、マトリックスメタロプロテアーゼ−14(MMP−14)活性阻害作用、及びエストロゲン様作用の少なくともいずれかを有することが確認され、合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物が、抗老化剤の有効成分として、好適に利用可能であることが示唆された。
【0083】
(実施例9:テストステロン5α−リダクターゼ活性阻害作用試験)
前記製造例1から3で得られた各合歓の抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法によりテストステロン5α−リダクターゼ活性阻害作用を試験した。
【0084】
秤量蓋付V底試験管にて、プロピレングリコールで調製した4.2mg/mL テストステロン 20μL、1mg/mL NADPH含有5mmol/L Tris−HCl緩衝液(pH7.13)825μLを混合した。これに、エタノール、50%エタノール、若しくは精製水で調製した被験試料80μL、及び、粗酵素液(S−9)(オリエンタル酵母社製)75μLを加え再び混合し、37℃にて30分反応させた後、塩化メチレン1mLを加え反応を停止した。これを遠心(1,600×g、10分)し、塩化メチレン層を下記の条件でガスクロマトグラフィー分析した。同様の方法で空試験を行った。
予め、3α−アンドロスタンジオール、ジヒドロテストステロン(DHT)、及び、テストステロンの標準品の塩化メチレン溶液を同様にガスクロマトグラフィー分析し、これら3化合物の精秤量とピーク面積よりピーク面積あたりの化合物量を算出しておき、S−9による反応後の3α−アンドロスタンジオール、ジヒドロテストステロン(DHT)、及び、テストステロンそれぞれのピーク面積あたりの濃度を求めた(数式9)。その後、数式10に従い、被験試料の変換率を求めた。
<数式9>
濃度(%)=被験試料のピーク面積×標準品濃度/標準品のピーク面積
<数式10>
変換率(%)=(A+B)/(A+B+C)
A:3α−アンドロスタンジオールの濃度
B:ジヒドロテストステロン(DHT)の濃度
C:テストステロンの濃度
テストステロン5α−リダクターゼ活性阻害率は、上記変換率に基づいて、下記数式11により求めた。
<数式11>
テストステロン5α−リダクターゼ活性阻害率(%)=(1−E/D)×100
D:空試験での変換率
E:被験試料添加での変換率
なお、ガスクロマトグラフィーの条件は、以下のとおりである。
[ガスクロマトグラフィーの条件]
・使用機器:Shimadzu GC−7A(株式会社島津製作所製)
・カラム:DB−1701(直径0.53mm×30m、膜厚:1.0μm)
・カラム温度/注入温度:240℃/300℃
・検出器:FID
・キャリアガス:窒素ガス
【0085】
次に、試料濃度を段階的に減少させて、上記、テストステロン5α−リダクターゼ活性阻害率の測定を行い、テストステロン5α−リダクターゼ活性阻害率が50%になる試料濃度(以下、「IC50」と称することがある。)(μg/mL)を内挿法により求めた。結果を表11に示す。
【0086】
【表11】

表11の結果から、製造例1から3の合歓の抽出物が、テストステロン5α−リダクターゼ活性阻害作用を有することが確認できた。
【0087】
(実施例10:アンドロゲン受容体結合阻害作用試験)
前記製造例1から3で得られた各合歓の抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法によりアンドロゲン受容体結合阻害作用を試験した。
【0088】
マウス自然発生乳がん(シオノギ癌;SC115)よりクローニングされたSC−3細胞(アンドロゲン依存性マウス乳癌細胞)を、2%DCC−FBS、及び10mol/Lテストステロン含有MEM(以下、「MEM/2」と称することがある。)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。
回収した細胞を1.0×10cells/mlの濃度に2%DCC−FBS含有MEMで希釈し、96穴プレートに1穴当たり100μLずつ播種し、37℃、5%CO下で一晩培養した。
培養終了後、培地を抜き、10−9mol/Lのジヒドロテストステロン(DHT)を含む0.5%BSA含有Ham F12+MEM(以下、「HMB」と称することがある。)に溶解した被験試料を100μL添加し、48時間培養した。
その後、終濃度0.4mg/mLで2%DCC−FBS含有MEMに溶解したMTTを各穴に100μL添加し、2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール200μLで抽出した。
抽出後、ブルーホルマザンを含有するイソプロパノールについて、ブルーホルマザンの吸収極大点がある570nmの吸光度を測定した。同時に濁度として、650nmにおける吸光度を測定し、両吸光度の差をもってブルーホルマザンの生成量とした(下記結合阻害率の計算式における吸光度はこの補正済み吸光度である)。
空試験としてHMBのみで培養した細胞を用い、陽性対照として10−9mol/LのDHTのみを含有したHMBで培養した細胞を用い、同様の方法で試験を行って補正した。
アンドロゲン受容体結合阻害率(%)は、下記数式12により求めた。
<数式12>
アンドロゲン受容体結合阻害率(%)={1−(C−D)/(A−B)}×100
A:DHT添加、被験試料無添加の場合の吸光度
B:DHT無添加、被験試料無添加の場合の吸光度
C:DHT添加、被験試料添加の場合の吸光度
D:DHT無添加、被験試料添加の場合の吸光度
【0089】
次に、試料濃度を段階的に減少させて、上記、アンドロゲン受容体結合阻害率の測定を行い、アンドロゲン受容体結合阻害率が50%になる試料濃度(以下、「IC50」と称することがある。)(μg/mL)を内挿法により求めた。結果を表12に示す。
【0090】
【表12】

表12の結果から、製造例1から3の合歓の抽出物が、アンドロゲン受容体結合阻害作用を有することが確認できた。
【0091】
実施例9から10の結果から、合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物は、テストステロン5α−リダクターゼ活性阻害作用、及びアンドロゲン受容体結合阻害作用の少なくともいずれかを有することが確認され、合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物が、育毛剤の有効成分として、好適に利用可能であることが示唆された。
【0092】
(実施例11:サイクリックAMPホスホジエステラーゼ活性阻害作用試験)
前記製造例1から3で得られた各合歓の抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法によりサイクリックAMPホスホジエステラーゼ活性阻害作用を試験した。
【0093】
5mmol/L 塩化マグネシウム含有50mmol/L Tris−HCl緩衝液(pH7.5)0.2mLに、2.5mg/mL ウシ血清アルブミン溶液0.1mL及び0.1mg/mL ホスホジエステラーゼ溶液0.1mL、更に被験試料溶液0.05mLを加え、37℃で5分間予備反応した。これに0.5mg/mL サイクリックAMP(cAMP)溶液0.05mLを加え、37℃で30分間反応した。沸騰水浴上で3分間煮沸することにより反応を停止し、これを遠心(2,260×g、10分、4℃)し、上清中の反応基質であるサイクリックAMPを下記の条件でHPLC分析した。同様の方法で空試験を行い補正した。
[HPLCの条件]
Column:Wakosil C18−ODS 5μm
Mobil phase:1mM TBAP in 25mM KHPO:CHCN=90:10
Flow rate:1.0mL/min
Detector:260nm
次に、サイクリックAMP標準品のピーク面積(A)、試料無添加時におけるサイクリックAMP標準品とサイクリックAMPホスホジエステラーゼとの反応溶液の上清のピーク面積(B1)および試料添加時におけるサイクリックAMP標準品とサイクリックAMPホスホジエステラーゼとの反応溶液の上清のピーク面積(B2)を求めた。得られた結果から、下記式より試料無添加時のサイクリックAMP標準品分解率(C)及び試料添加時のサイクリックAMP標準品の分解率(D)を算出した。
試料無添加時の標準品の分解率(C)(%)=(1−B1/A)×100
試料添加時の標準品の分解率(D)(%)=(1−B2/A)×100
その後、上記式により算出した各分解率(C)及び(D)に基づいて、下記数式13によりサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害率(%)を算出した。結果を表13に示す。なお、被験試料は、試料濃度200μg/mL、50μg/mLで使用した。
<数式13>
サイクリックAMPホスホジエステラーゼ活性阻害率(%)=(1−D/C)×100
【0094】
【表13】

表13の結果から、製造例1から3の合歓の抽出物が、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ活性阻害作用を有することが確認できた。
【0095】
実施例11の結果から、合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物は、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ活性阻害作用を有することが確認され、合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物が、抗肥満剤の有効成分として、好適に利用可能であることが示唆された。
【0096】
(配合例1)
−乳液−
下記組成に従い、乳液を常法により製造した。
・合歓(Albizzia julibrissin)の花の50質量%エタノール抽出物(製造例2)・・・0.10g
・ホホバオイル・・・4.00g
・1,3−ブチレングリコール・・・3.00g
・アルブチン・・・3.00g
・ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.)・・・2.50g
・オリーブオイル・・・2.00g
・スクワラン・・・2.00g
・セタノール・・・2.00g
・モノステアリン酸グリセリル・・・2.00g
・オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)・・・2.00g
・パラオキシ安息香酸メチル・・・0.15g
・グリチルリチン酸ステアリル・・・0.10g
・黄杞エキス・・・0.10g
・グリチルリチン酸ジカリウム・・・0.10g
・イチョウ葉エキス・・・0.10g
・コンキオリン・・・0.10g
・オウバクエキス・・・0.10g
・カミツレエキス・・・0.10g
・香料・・・0.05g
・精製水・・・残部(合計100.00g)
【0097】
(配合例2)
−化粧水−
下記組成に従い、化粧水を常法により製造した。
・合歓(Albizzia julibrissin)の花の水抽出物(製造例1)・・・0.10g
・グリセリン・・・3.00g
・1,3−ブチレングリコール・・・3.00g
・アスコルビン酸グルコシド・・・2.00g
・オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)・・・2.00g
・パラオキシ安息香酸メチル・・・0.15g
・グリチルリチン酸二カリウム・・・0.10g
・クエン酸・・・0.10g
・クエン酸ソーダ・・・0.10g
・油溶性甘草エキス・・・0.10g
・海藻エキス・・・0.10g
・クジンエキス・・・0.10g
・キシロビオースミクスチャー・・・0.05g
・香料・・・0.05g
・精製水・・・残部(合計:100.00g)
【0098】
(配合例3)
−クリーム−
下記組成に従い、クリームを常法により製造した。
・合歓(Albizzia julibrissin)の花の80質量%エタノール抽出物(製造例3)・・・0.10g
・スクワラン・・・10.00g
・1,3−ブチレングリコール・・・6.00g
・流動パラフィン・・・5.00g
・サラシミツロウ・・・4.00g
・セタノール・・・3.00g
・モノステアリン酸グリセリル・・・3.00g
・ラノリン・・・2.00g
・オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)・・・1.50g
・パラオキシ安息香酸メチル・・・1.50g
・ステアリン酸・・・1.00g
・アスコルビン酸リン酸マグネシウム・・・0.10g
・グリチルレチン酸・・・0.10g
・酵母抽出液・・・0.10g
・シソ抽出液・・・0.10g
・シナノキ抽出液・・・0.10g
・ジユ抽出液・・・0.10g
・香料・・・0.10g
・精製水・・・残部(合計:100.00g)
【0099】
(配合例4)
−パック−
下記組成に従い、パックを常法により製造した。
・合歓(Albizzia julibrissin)の花の50質量%エタノール抽出物(製造例2)・・・0.20g
・ポリビニルアルコール・・・15.00g
・エタノール・・・10.00g
・プロピレングリコール・・・7.00g
・ポリエチレングリコール・・・3.00g
・セージ抽出液・・・0.10g
・トウキ抽出液・・・0.10g
・ニンジン抽出液・・・0.10g
・パラオキシ安息香酸エチル・・・0.05g
・香料・・・0.05g
・精製水・・・残部(合計:100.00g)
【0100】
(配合例5)
−ヘアトニック−
下記組成の育毛作用を有するヘアトニックを、常法により製造した。
・塩酸ピリドキシン・・・0.1g
・レゾルシン・・・0.01g
・D−パントテニルアルコール・・・0.1g
・グリチルリチン酸ジカリウム・・・0.1g
・l−メントール・・・0.05g
・1,3−ブチレングリコール・・・4.0g
・センブリエキス・・・0.1g
・ニンジンエキス・・・0.1g
・クジンエキス・・・0.1g
・合歓(Albizzia julibrissin)の花の水抽出物(製造例1)・・・0.2g
・香料・・・適量
・精製水・・・残部(合計:100.00g)
【0101】
(配合例6)
−シャンプー−
下記組成に従い、シャンプーを常法により製造した。
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム・・・30.0g
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム・・・20.0g
・ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン・・・6.0g
・ヤシ油脂肪酸モジエタノールアミド・・・4.0g
・ジステアリン酸エチレングリコール・・・2.0g
・防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル)・・・0.15g
・合歓(Albizzia julibrissin)の花の80質量%エタノール抽出物(製造例3)・・・0.2g
・ムクロジエキス・・・0.2g
・黄杞エキス・・・0.5g
・オウバクエキス・・・0.3g
・ローズマリーエキス・・・0.5g
・香料・・・0.01g
・1,3−ブチレングリコール・・・3.0g
・精製水・・・残部(合計:100.00g)
【0102】
(配合例7)
−リンス−
下記組成に従い、リンスを常法により製造した。
・塩化ステアリルトリメチルアンモニウム・・・1.5g
・ポリオキシエチレンセチルエーテル・・・1.0g
・セチルアルコール・・・2.0g
・オクチルドデカノール・・・1.0g
・カチオン化セルロース・・・0.5g
・プロピレングリコール・・・5.0g
・合歓(Albizzia julibrissin)の花の50質量%エタノール抽出物(製造例2)・・・0.2g
・ムクロジエキス・・・0.2g
・黄杞エキス・・・0.5g
・オウバクエキス・・・0.3g
・ローズマリーエキス・・・0.5g
・香料・・・3.0g
・精製水・・・残部(合計:100.00g)
【0103】
(配合例8)
−錠剤状栄養補助食品−
下記の混合物を打錠して、錠剤状栄養補助食品を製造した。
・合歓(Albizzia julibrissin)の花の50質量%エタノール抽出物(製造例2)・・・30g
・粉糖(ショ糖)・・・178g
・ソルビット・・・10g
・グリセリン脂肪酸エステル・・・12g
【0104】
(配合例9)
−顆粒状栄養補助食品−
下記の混合物を顆粒状に形成して、顆粒状栄養補助食品を製造した。
・合歓(Albizzia julibrissin)の花の80質量%エタノール抽出物(製造例3)・・・20g
・ビートオリゴ糖・・・1,000g
・ビタミンC・・・167g
・ステビア抽出物・・・10g
【0105】
(配合例10)
−顆粒状栄養補助食品−
下記の混合物を顆粒状に形成して、顆粒状栄養補助食品を製造した。
・合歓(Albizzia julibrissin)の花の水抽出物(製造例1)・・・20g
・ビートオリゴ糖・・・1,000g
・ビタミンC・・・167g
・ステビア抽出物・・・10g
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤の少なくともいずれかを配合した化粧料は、優れた抗酸化作用、抗炎症作用、美白作用、抗老化作用、育毛作用、及び抗肥満作用の少なくともいずれかを有し、かつ安全性にも優れているので、例えば、軟膏、クリーム、乳液、化粧水、ローション、パック、ゼリー、リップクリーム、口紅、入浴剤、アストリンゼント、ヘアトニック、シャンプー、リンスなどに好適に利用可能である。
また、本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤の少なくともいずれかを配合した飲食品は、経口摂取によっても優れた抗酸化作用、抗炎症作用、美白作用、抗老化作用、育毛作用、及び抗肥満作用の少なくともいずれかを有し、かつ安全性にも優れているので、例えば、健康食品、栄養補助食品などに好適に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物を含有することを特徴とする抗酸化剤。
【請求項2】
スーパーオキサイド消去作用、及びラジカル消去作用の少なくともいずれかを有する請求項1に記載の抗酸化剤。
【請求項3】
合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物を含有することを特徴とする抗炎症剤。
【請求項4】
血小板凝集抑制作用を有する請求項3に記載の抗炎症剤。
【請求項5】
合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物を含有することを特徴とする美白剤。
【請求項6】
チロシナーゼ活性阻害作用、及び幹細胞増殖因子(SCF)mRNA発現抑制作用の少なくともいずれかを有する請求項5に記載の美白剤。
【請求項7】
合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物を含有することを特徴とする抗老化剤。
【請求項8】
マトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)活性阻害作用、マトリックスメタロプロテアーゼ−14(MMP−14)活性阻害作用、エストロゲン様作用、スーパーオキサイド消去作用、及びラジカル消去作用の少なくともいずれかを有する請求項7に記載の抗老化剤。
【請求項9】
合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物を含有することを特徴とする育毛剤。
【請求項10】
テストステロン5α−リダクターゼ活性阻害作用、及びアンドロゲン受容体結合阻害作用の少なくともいずれかを有する請求項9に記載の育毛剤。
【請求項11】
合歓(Albizzia julibrissin)の抽出物を含有することを特徴とする抗肥満剤。
【請求項12】
サイクリックAMPホスホジエステラーゼ活性阻害作用を有する請求項11に記載の抗肥満剤。
【請求項13】
請求項1から2のいずれかに記載の抗酸化剤、請求項3から4のいずれかに記載の抗炎症剤、請求項5から6のいずれかに記載の美白剤、請求項7から8のいずれかに記載の抗老化剤、請求項9から10のいずれかに記載の育毛剤、及び請求項11から12のいずれかに記載の抗肥満剤の少なくともいずれかを含有することを特徴とする化粧料。
【請求項14】
請求項1から2のいずれかに記載の抗酸化剤、請求項3から4のいずれかに記載の抗炎症剤、請求項5から6のいずれかに記載の美白剤、請求項7から8のいずれかに記載の抗老化剤、請求項9から10のいずれかに記載の育毛剤、及び請求項11から12のいずれかに記載の抗肥満剤の少なくともいずれかを含有することを特徴とする飲食品。

【公開番号】特開2010−235548(P2010−235548A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87447(P2009−87447)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(591082421)丸善製薬株式会社 (239)
【Fターム(参考)】