抗酸化剤、抗酸化用皮膚外用剤、エラスターゼ活性阻害剤、メイラード反応阻害剤
【課題】 これまで健康食品などの効果しか見出されていなかったパパイヤ(Carica papaya L.)の抽出物を効果的に利用すること。
【解決手段】前記目的を達成するため、本発明者らは鋭意検討した結果、パパイヤ抽出物はエラスターゼ活性阻害効果及びメイラード反応阻害効果が強いこと、また、SOD様活性作用を発揮することを見出し、加齢に伴う老化現象、糖尿病、動脈硬化等の各種疾病を予防し、肌荒れや敏感肌、皮膚炎症疾患などの種々の皮膚の悩みを改善する。
【解決手段】前記目的を達成するため、本発明者らは鋭意検討した結果、パパイヤ抽出物はエラスターゼ活性阻害効果及びメイラード反応阻害効果が強いこと、また、SOD様活性作用を発揮することを見出し、加齢に伴う老化現象、糖尿病、動脈硬化等の各種疾病を予防し、肌荒れや敏感肌、皮膚炎症疾患などの種々の皮膚の悩みを改善する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明品は、特定の属の植物から抽出された抽出物がエラスターゼ活性、メイラード反応を優位に抑制し、さらにSOD様活性作用を発揮することで、加齢に伴う老化現象、糖尿病、動脈硬化等の各種疾病を予防する医薬品、医薬部外品、食品等に応用される抗酸化剤、抗酸化用皮膚外用剤、エラスターゼ活性阻害剤、メイラード反応阻害剤に関する。
【背景技術】
【0002】
パパイヤは熱帯アメリカ原産の果物で、その実は熟して柔らかな果実と程よい甘味ということで人気がある。これまでパパイヤには角化亢進作用が知られ、抗酸化機能に優れるアロエを配合した小じわ予防食品が公開されている(特許文献1参照)。また、化粧料組成物として公開されている(特許文献2〜5参照)。しかし抗酸化剤としての使用は知られていない。
【0003】
肌が老化する原因はいろいろあるが、コラーゲン、ヒアルロン酸の減少もあるが、その1つに皮膚の物理的構造を保っているエラスチンがある。太陽光(紫外線)や乾燥などや老化によってエラスチン破壊酵素であるエラスターゼが過剰になることによってエラスチンが変性・破壊されることが、皮膚の弾力性低下につながり、シワやタルミの原因になっている。
従って、エラスターゼの働きを抑えて、皮膚に弾力やハリを与えるエラスチンの変性・破壊を防止することがシワやタルミを押さえ、ひいては皮膚の老化防止に寄与することは明確である。
【0004】
また、エラスターゼが過剰にあると、弾性繊維の主成分を形成しているエラスチンを分解して、組織の損傷、種々の炎症または変性状態を起こす。このようなエラスターゼによるエラスチンの過度の分解は肺気腫、成人呼吸急迫症候群、肺線維症、気管支炎、肺炎、リウマチ関節炎、動脈硬化、敗血症、ショック、膵炎、腎炎などの疾患の原因と考えられている。従ってエラスターゼ阻害剤はこれら疾患の治療剤および/または予防剤として有用と考えられている。
メイラード反応は蛋白質とアミノ酸が反応し、食物などの加熱等によって着色することが代表的な例であるが、生体内でもこの反応が起こっていることがわかっている。生体内でメイラード反応が起こると蛋白質の機能が損なわれ、コラーゲンの機能の低下等が起こる。また、最近の研究で糖尿病に伴う諸疾患、動脈硬化及び加齢に伴う老化現象の一因としてメイラード反応の係りが注目されている。
【0005】
また、近年強力な酸化力を持つ活性酸素の生体への影響が懸念されているが、皮膚は体内に起因する酸素ストレスだけでなく、空気と接していることや紫外線に直接曝されていることで、活性酸素による影響が他の器官より遥かに大きいと言える。この酸化ストレスは皮膚に肌あれや過敏症、ひいては皮膚炎症疾患など種々の肌トラブルを引き起こす。よってこの活性酸素の生成を抑えることは、化粧品には欠かせない要素となっている。
【0006】
生体内において活性酸素を消去する機構にはいくつか解明されており、最初に生成される・O2-(スーパーオキサイド)はSOD(スーパーオキシドジスムターゼ)によって酵素的にH2O2とO2に不均化されることが判っている。しかしSOD量は加齢に伴って減少し、SOD量の減少によってスーパーオキサイドの濃度が上昇し障害をもたらすようになる。よってSODと同様の作用を持つ物質は皮膚における抗酸化剤として有効であると考えられる。
【特許文献1】特開平11−253129号公報
【特許文献2】特開2003−081751号公報
【特許文献3】特開2003−155213号公報
【特許文献4】特開2001−039823号公報
【特許文献5】特開2001−226219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、有効性の高いパパイヤ(Carica papaya L)の抽出物に関して有効に活用するために種々検討した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明者らは鋭意検討した結果、パパイヤ抽出物はエラスターゼ活性阻害効果及びメイラード反応阻害効果が強いことがわかり、さらにはSOD様活性作用を発揮することを見出し、加齢に伴う老化現象、糖尿病、動脈硬化等の各種疾病を予防することが分かった。
【0009】
パパイヤの抽出物の形態はなんら限定されるものではないが、好ましくはパパイヤを陰乾し、粉砕後、抽出溶媒(例えばエタノール等のアルコール、水またはこれら混合)とともに、3日間浸漬または2時間100度にて加温、冷却、ろ過した液を使用する。
【0010】
試験例1;エラスターゼ活性阻害試験
繊維芽細胞をフラスコまたはシャーレ(100mmφ)にて80〜90%コンフルエントになるまで培養後、無血清培地に交換し、0.4ng/mlになるようにIL-1を加え、48時間培養する。培地を廃棄し、0.1%Triton-X100/0.1 Mトリス−HCl緩衝液 pH 8.3にて細胞を剥離し、氷冷下で超音波処理を行い遠心分離した上澄みを酵素溶液とした。
試験は、サンプル(Sample)、バックグラウンド(BG)、コントロール(Cont.)、ブランク(BL)及び陽性対照(EDTA)で行った。
酵素溶液178μL、サンプル20μLを500 μLエッペンチューブに入れ(BG、BLは酵素溶液の代わりに0.1 % Triton-X100/0.1Mトリス−HCl緩衝液 pH8.3を加える。Cont.とEDTAはサンプルの代わりに水もしくは100mmol/L EDTA-2Na水溶液を加える)、37℃で保温した後、基質溶液(100mM Suc-Ala-Ala-Ala-pNa メチル−2−ピロリドン溶媒) 2μLを加え、37℃で1時間反応させる。酢酸100μLを加え、反応停止後、卓上遠心機で遠心分離した上澄みの405nmの吸光度をマイクロプレートリーダーにて測定し、以下の式にて阻害率を算出した。
阻害率=(((Cont.−BL)−(Sample−BG))/(Cont.−BL)) ×100
試験品は以下に示し、試験結果を表1に示す。
パパイヤE:パパイヤ(果実乾燥物)(20g)のエタノール(100ml)エキス(凍結乾燥物)
パパイヤEW:パパイヤ(果実乾燥物)(20g)の50%エタノール−水(100ml)エキス(凍結乾燥物)
パパイヤW:パパイヤ(果実乾燥物)(20g)の熱水(100ml)エキス(凍結乾燥物)
【0011】
【表1】
【0012】
試験例2;メイラード反応阻害試験
メイラード反応の中間物であるケトアミンを測定するNBT還元法により、パパイヤ(Carica papaya L.)の抽出物についてメイラード反応阻害作用を調べた。水で調製した試験品50μlに精製水100μl、0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)500μlを加え、2Mのグルコース水溶液を100μl添加した。さらに4mg/ml BSA(Bovine Serum Albumin)水溶液200μlを添加、攪拌し、60℃で30時間インキュベートした。30時間後、反応液300μlに0.2mg/0.9ml[リン酸緩衝液(pH10.3)]NBT(ニトロブルーテトラゾリウムクロライド)溶液を2.7ml添加、37℃で30分間インキュベートし、Abs.530nmにて吸光度(A)を測定した。同様に、BSA水溶液の代替として水を用いた場合の吸光度(B)、試験品の代替として水を用いた場合の吸光度(C)、BSA水溶液の代替として水をかつ試験品の代替として水を用いた場合の吸光度(D)を測定し、下記の数式よりメイラード反応阻害率(%)を算出した。
<数式>メイラード反応阻害率(%)=[1−(A−B)/(C−D)]×100
試験品は以下に示し、試験結果を表2に示す。
パパイヤE:パパイヤ(果実乾燥物)(20g)のエタノール(100ml)エキス(凍結乾燥物)
パパイヤEW:パパイヤ(果実乾燥物)(20g)の50%エタノール−水(100ml)エキス(凍結乾燥物)
パパイヤW:パパイヤ(果実乾燥物)(20g)の熱水(100ml)エキス(凍結乾燥物)
【0013】
【表2】
【0014】
試験3;SOD様活性試験
0.5 mM EDTA-2Na を含むKH2PO4―ホウ砂緩衝液、0.5mMキサンチン溶液及び0.25mMヒドロキシアミン塩酸塩溶液を等量混合した試験液0.6mlに検体溶液(対象にはH2O)0.2ml及び1.43μL/mlキサンチンオキシダーゼ溶液(和光純薬社製 ミルク製キサンチンオキシダーゼ懸濁液5.9unit/ml)0.2mlを加え、37℃で30分間インキュベートした。その後、N-1ナフチルエチレンジアミンースルファニル酸 酢酸溶液2mlを加えて反応を停止し、30分室温で放置し、吸光度計で550nmの吸光度を測定した。なお、消去率については以下の方法により算出した。
消去率=(A−B)/A×100
A: 検体非存在下、空液および酵素液を添加した際の吸光度の差
B: 検体存在下、空液および酵素液を添加した際の吸光度の差
また検体は以下に示し、試験結果を表1に示した。
パパイヤE:パパイヤ(30g)のエタノール(200ml)エキス(凍結乾燥物)
パパイヤEW:パパイヤ(30g)の50%エタノール−水(200ml)エキス(凍結乾燥物)
パパイヤW:パパイヤ(30g)の熱水(200ml)エキス(凍結乾燥物)
にて行った。
【0015】
【表3】
【0016】
本発明の抗酸化剤、抗酸化用皮膚外用剤、エラスターゼ活性阻害剤、メイラード反応阻害剤は、常法に従い、外用剤(医薬品、医薬部外品、化粧品)内用剤(医薬品、食品)として知られる種々の形態の基材に配合して調製することができる。
外用剤の形態としては、特に限定されず、例えば、乳液、クリーム、水溶液、パック等の任意の剤形を選択することができる。
また、内用剤としては、錠剤、顆粒、カプセル、飲料或いは食品としての形態でもよい。
【0017】
本発明の外用剤或いは内用剤には、上記した必須成分の他に通常の外用剤或いは内用剤に配合される成分、例えば、油剤、粉体、精製水、高分子化合物、ゲル化剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、酸化防止剤、色素、防腐剤、香料、美容成分を本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択して用いることができる。
【実施例】
【0018】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらになんら制約されるものではない。また、使用した薬剤の抽出液についての抽出方法は何ら限定されるものではない。
【0019】
実施例及び比較例の処方を表4から表8に示す。作成方法は常法により行った。なお、表4は錠剤、表5は飲料、表6はローション、表7は美容液、表8はクリームの処方であり、配合量は重量部で示す
【0020】
【表4】
【0021】
【表5】
【0022】
【表6】
【0023】
【表7】
【0024】
【表8】
【0025】
上記の比較例および実施例に用いた原料についての詳細を以下に記す。
(注1)パパイヤ抽出液1はパパイヤ(果実乾燥物)10gに精製水200mlを加えて1時間煮沸した後、ろ過した抽出液を用いた。
(注2)パパイヤ抽出液2はパパイヤ(果実乾燥物)10gに精製水100mlとエタノール100mlをを加えて5日攪拌した後、ろ過した抽出液を用いた。
(注3)パパイヤ抽出液3はパパイヤ(果実乾燥物)10gにエタノール200mlを加えて5日攪拌した後、ろ過した抽出液を用いた。
(注4)加水分解コンキオリン液はコンキオリンを硫酸分解し、分子量1000以下のものを用いた。
(注5)タブノキ抽出液はマチルス抽出液 [丸善製薬(株)製]を用いた。
(注6)ホオノキ抽出液はファルコレックスホオノキE[一丸ファルコス(株)製]を用いた。
(注7)グァバ抽出液はグァバの葉10gにエタノール300mlを加えて5日間放置後、ろ過した抽出液を用いた。
(注8)西河柳抽出液は西河柳エキス[日本精化株]製]を用いた。
(注9)海藻抽出液はマリンパージ[一丸ファルコス(株)製]を用いた。
(注10)アカシア樹皮抽出液は樹皮10gにエタノール300mlを加えて5日間放置後、ろ過した抽出液を用いた。
(注11)ムラヤコエンギイ抽出液はムラヤコエンギイ]抽出液[山川貿易(株)製を用いた。
(注12)オオバナサルスベリ抽出液はオオバナサルスベリ抽出液 [山川貿易(株)製]を用いた。
【0026】
効果の確認1
表4〜表5記載の実施例1〜2と比較例1〜2の効果試験を実施した。試験方法は25〜55才の女性20名をパネルとし、毎日朝と夜の2回、12週間にわたって食後に被験食品の適量を服用した。服用による肌悩み改善効果の結果を表9に示す。
【0027】
【表9】
【0028】
以上の結果から、パパイヤの抽出物を飲食品に配合して服用すると、シワ、シミ・そばかす、くすみ、肌荒れなど種々の肌の悩みを改善し、且つ試験者の中で血糖値の低下が見られる他、健康状態の改善を訴える被験者が多くいた。
【0029】
効果の確認2
表6〜表8記載の実施例3〜14比較例3〜5の効果試験を実施した。試験方法は25〜55才の女性20名をパネルとし、毎日朝と夜の2回、12週間にわたって洗顔後に被験外用剤の適量を顔面に塗布した。塗布による肌悩み改善効果の結果を表10に示す。
【0030】
【表10】
【技術分野】
【0001】
本発明品は、特定の属の植物から抽出された抽出物がエラスターゼ活性、メイラード反応を優位に抑制し、さらにSOD様活性作用を発揮することで、加齢に伴う老化現象、糖尿病、動脈硬化等の各種疾病を予防する医薬品、医薬部外品、食品等に応用される抗酸化剤、抗酸化用皮膚外用剤、エラスターゼ活性阻害剤、メイラード反応阻害剤に関する。
【背景技術】
【0002】
パパイヤは熱帯アメリカ原産の果物で、その実は熟して柔らかな果実と程よい甘味ということで人気がある。これまでパパイヤには角化亢進作用が知られ、抗酸化機能に優れるアロエを配合した小じわ予防食品が公開されている(特許文献1参照)。また、化粧料組成物として公開されている(特許文献2〜5参照)。しかし抗酸化剤としての使用は知られていない。
【0003】
肌が老化する原因はいろいろあるが、コラーゲン、ヒアルロン酸の減少もあるが、その1つに皮膚の物理的構造を保っているエラスチンがある。太陽光(紫外線)や乾燥などや老化によってエラスチン破壊酵素であるエラスターゼが過剰になることによってエラスチンが変性・破壊されることが、皮膚の弾力性低下につながり、シワやタルミの原因になっている。
従って、エラスターゼの働きを抑えて、皮膚に弾力やハリを与えるエラスチンの変性・破壊を防止することがシワやタルミを押さえ、ひいては皮膚の老化防止に寄与することは明確である。
【0004】
また、エラスターゼが過剰にあると、弾性繊維の主成分を形成しているエラスチンを分解して、組織の損傷、種々の炎症または変性状態を起こす。このようなエラスターゼによるエラスチンの過度の分解は肺気腫、成人呼吸急迫症候群、肺線維症、気管支炎、肺炎、リウマチ関節炎、動脈硬化、敗血症、ショック、膵炎、腎炎などの疾患の原因と考えられている。従ってエラスターゼ阻害剤はこれら疾患の治療剤および/または予防剤として有用と考えられている。
メイラード反応は蛋白質とアミノ酸が反応し、食物などの加熱等によって着色することが代表的な例であるが、生体内でもこの反応が起こっていることがわかっている。生体内でメイラード反応が起こると蛋白質の機能が損なわれ、コラーゲンの機能の低下等が起こる。また、最近の研究で糖尿病に伴う諸疾患、動脈硬化及び加齢に伴う老化現象の一因としてメイラード反応の係りが注目されている。
【0005】
また、近年強力な酸化力を持つ活性酸素の生体への影響が懸念されているが、皮膚は体内に起因する酸素ストレスだけでなく、空気と接していることや紫外線に直接曝されていることで、活性酸素による影響が他の器官より遥かに大きいと言える。この酸化ストレスは皮膚に肌あれや過敏症、ひいては皮膚炎症疾患など種々の肌トラブルを引き起こす。よってこの活性酸素の生成を抑えることは、化粧品には欠かせない要素となっている。
【0006】
生体内において活性酸素を消去する機構にはいくつか解明されており、最初に生成される・O2-(スーパーオキサイド)はSOD(スーパーオキシドジスムターゼ)によって酵素的にH2O2とO2に不均化されることが判っている。しかしSOD量は加齢に伴って減少し、SOD量の減少によってスーパーオキサイドの濃度が上昇し障害をもたらすようになる。よってSODと同様の作用を持つ物質は皮膚における抗酸化剤として有効であると考えられる。
【特許文献1】特開平11−253129号公報
【特許文献2】特開2003−081751号公報
【特許文献3】特開2003−155213号公報
【特許文献4】特開2001−039823号公報
【特許文献5】特開2001−226219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、有効性の高いパパイヤ(Carica papaya L)の抽出物に関して有効に活用するために種々検討した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明者らは鋭意検討した結果、パパイヤ抽出物はエラスターゼ活性阻害効果及びメイラード反応阻害効果が強いことがわかり、さらにはSOD様活性作用を発揮することを見出し、加齢に伴う老化現象、糖尿病、動脈硬化等の各種疾病を予防することが分かった。
【0009】
パパイヤの抽出物の形態はなんら限定されるものではないが、好ましくはパパイヤを陰乾し、粉砕後、抽出溶媒(例えばエタノール等のアルコール、水またはこれら混合)とともに、3日間浸漬または2時間100度にて加温、冷却、ろ過した液を使用する。
【0010】
試験例1;エラスターゼ活性阻害試験
繊維芽細胞をフラスコまたはシャーレ(100mmφ)にて80〜90%コンフルエントになるまで培養後、無血清培地に交換し、0.4ng/mlになるようにIL-1を加え、48時間培養する。培地を廃棄し、0.1%Triton-X100/0.1 Mトリス−HCl緩衝液 pH 8.3にて細胞を剥離し、氷冷下で超音波処理を行い遠心分離した上澄みを酵素溶液とした。
試験は、サンプル(Sample)、バックグラウンド(BG)、コントロール(Cont.)、ブランク(BL)及び陽性対照(EDTA)で行った。
酵素溶液178μL、サンプル20μLを500 μLエッペンチューブに入れ(BG、BLは酵素溶液の代わりに0.1 % Triton-X100/0.1Mトリス−HCl緩衝液 pH8.3を加える。Cont.とEDTAはサンプルの代わりに水もしくは100mmol/L EDTA-2Na水溶液を加える)、37℃で保温した後、基質溶液(100mM Suc-Ala-Ala-Ala-pNa メチル−2−ピロリドン溶媒) 2μLを加え、37℃で1時間反応させる。酢酸100μLを加え、反応停止後、卓上遠心機で遠心分離した上澄みの405nmの吸光度をマイクロプレートリーダーにて測定し、以下の式にて阻害率を算出した。
阻害率=(((Cont.−BL)−(Sample−BG))/(Cont.−BL)) ×100
試験品は以下に示し、試験結果を表1に示す。
パパイヤE:パパイヤ(果実乾燥物)(20g)のエタノール(100ml)エキス(凍結乾燥物)
パパイヤEW:パパイヤ(果実乾燥物)(20g)の50%エタノール−水(100ml)エキス(凍結乾燥物)
パパイヤW:パパイヤ(果実乾燥物)(20g)の熱水(100ml)エキス(凍結乾燥物)
【0011】
【表1】
【0012】
試験例2;メイラード反応阻害試験
メイラード反応の中間物であるケトアミンを測定するNBT還元法により、パパイヤ(Carica papaya L.)の抽出物についてメイラード反応阻害作用を調べた。水で調製した試験品50μlに精製水100μl、0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)500μlを加え、2Mのグルコース水溶液を100μl添加した。さらに4mg/ml BSA(Bovine Serum Albumin)水溶液200μlを添加、攪拌し、60℃で30時間インキュベートした。30時間後、反応液300μlに0.2mg/0.9ml[リン酸緩衝液(pH10.3)]NBT(ニトロブルーテトラゾリウムクロライド)溶液を2.7ml添加、37℃で30分間インキュベートし、Abs.530nmにて吸光度(A)を測定した。同様に、BSA水溶液の代替として水を用いた場合の吸光度(B)、試験品の代替として水を用いた場合の吸光度(C)、BSA水溶液の代替として水をかつ試験品の代替として水を用いた場合の吸光度(D)を測定し、下記の数式よりメイラード反応阻害率(%)を算出した。
<数式>メイラード反応阻害率(%)=[1−(A−B)/(C−D)]×100
試験品は以下に示し、試験結果を表2に示す。
パパイヤE:パパイヤ(果実乾燥物)(20g)のエタノール(100ml)エキス(凍結乾燥物)
パパイヤEW:パパイヤ(果実乾燥物)(20g)の50%エタノール−水(100ml)エキス(凍結乾燥物)
パパイヤW:パパイヤ(果実乾燥物)(20g)の熱水(100ml)エキス(凍結乾燥物)
【0013】
【表2】
【0014】
試験3;SOD様活性試験
0.5 mM EDTA-2Na を含むKH2PO4―ホウ砂緩衝液、0.5mMキサンチン溶液及び0.25mMヒドロキシアミン塩酸塩溶液を等量混合した試験液0.6mlに検体溶液(対象にはH2O)0.2ml及び1.43μL/mlキサンチンオキシダーゼ溶液(和光純薬社製 ミルク製キサンチンオキシダーゼ懸濁液5.9unit/ml)0.2mlを加え、37℃で30分間インキュベートした。その後、N-1ナフチルエチレンジアミンースルファニル酸 酢酸溶液2mlを加えて反応を停止し、30分室温で放置し、吸光度計で550nmの吸光度を測定した。なお、消去率については以下の方法により算出した。
消去率=(A−B)/A×100
A: 検体非存在下、空液および酵素液を添加した際の吸光度の差
B: 検体存在下、空液および酵素液を添加した際の吸光度の差
また検体は以下に示し、試験結果を表1に示した。
パパイヤE:パパイヤ(30g)のエタノール(200ml)エキス(凍結乾燥物)
パパイヤEW:パパイヤ(30g)の50%エタノール−水(200ml)エキス(凍結乾燥物)
パパイヤW:パパイヤ(30g)の熱水(200ml)エキス(凍結乾燥物)
にて行った。
【0015】
【表3】
【0016】
本発明の抗酸化剤、抗酸化用皮膚外用剤、エラスターゼ活性阻害剤、メイラード反応阻害剤は、常法に従い、外用剤(医薬品、医薬部外品、化粧品)内用剤(医薬品、食品)として知られる種々の形態の基材に配合して調製することができる。
外用剤の形態としては、特に限定されず、例えば、乳液、クリーム、水溶液、パック等の任意の剤形を選択することができる。
また、内用剤としては、錠剤、顆粒、カプセル、飲料或いは食品としての形態でもよい。
【0017】
本発明の外用剤或いは内用剤には、上記した必須成分の他に通常の外用剤或いは内用剤に配合される成分、例えば、油剤、粉体、精製水、高分子化合物、ゲル化剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、酸化防止剤、色素、防腐剤、香料、美容成分を本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択して用いることができる。
【実施例】
【0018】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらになんら制約されるものではない。また、使用した薬剤の抽出液についての抽出方法は何ら限定されるものではない。
【0019】
実施例及び比較例の処方を表4から表8に示す。作成方法は常法により行った。なお、表4は錠剤、表5は飲料、表6はローション、表7は美容液、表8はクリームの処方であり、配合量は重量部で示す
【0020】
【表4】
【0021】
【表5】
【0022】
【表6】
【0023】
【表7】
【0024】
【表8】
【0025】
上記の比較例および実施例に用いた原料についての詳細を以下に記す。
(注1)パパイヤ抽出液1はパパイヤ(果実乾燥物)10gに精製水200mlを加えて1時間煮沸した後、ろ過した抽出液を用いた。
(注2)パパイヤ抽出液2はパパイヤ(果実乾燥物)10gに精製水100mlとエタノール100mlをを加えて5日攪拌した後、ろ過した抽出液を用いた。
(注3)パパイヤ抽出液3はパパイヤ(果実乾燥物)10gにエタノール200mlを加えて5日攪拌した後、ろ過した抽出液を用いた。
(注4)加水分解コンキオリン液はコンキオリンを硫酸分解し、分子量1000以下のものを用いた。
(注5)タブノキ抽出液はマチルス抽出液 [丸善製薬(株)製]を用いた。
(注6)ホオノキ抽出液はファルコレックスホオノキE[一丸ファルコス(株)製]を用いた。
(注7)グァバ抽出液はグァバの葉10gにエタノール300mlを加えて5日間放置後、ろ過した抽出液を用いた。
(注8)西河柳抽出液は西河柳エキス[日本精化株]製]を用いた。
(注9)海藻抽出液はマリンパージ[一丸ファルコス(株)製]を用いた。
(注10)アカシア樹皮抽出液は樹皮10gにエタノール300mlを加えて5日間放置後、ろ過した抽出液を用いた。
(注11)ムラヤコエンギイ抽出液はムラヤコエンギイ]抽出液[山川貿易(株)製を用いた。
(注12)オオバナサルスベリ抽出液はオオバナサルスベリ抽出液 [山川貿易(株)製]を用いた。
【0026】
効果の確認1
表4〜表5記載の実施例1〜2と比較例1〜2の効果試験を実施した。試験方法は25〜55才の女性20名をパネルとし、毎日朝と夜の2回、12週間にわたって食後に被験食品の適量を服用した。服用による肌悩み改善効果の結果を表9に示す。
【0027】
【表9】
【0028】
以上の結果から、パパイヤの抽出物を飲食品に配合して服用すると、シワ、シミ・そばかす、くすみ、肌荒れなど種々の肌の悩みを改善し、且つ試験者の中で血糖値の低下が見られる他、健康状態の改善を訴える被験者が多くいた。
【0029】
効果の確認2
表6〜表8記載の実施例3〜14比較例3〜5の効果試験を実施した。試験方法は25〜55才の女性20名をパネルとし、毎日朝と夜の2回、12週間にわたって洗顔後に被験外用剤の適量を顔面に塗布した。塗布による肌悩み改善効果の結果を表10に示す。
【0030】
【表10】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パパイヤ(Carica papaya L.)の抽出物を配合することを特徴とする抗酸化剤
【請求項2】
パパイヤ(Carica papaya L.)の抽出物を配合することを特徴とする抗酸化用皮膚外用剤
【請求項3】
パパイヤ(Carica papaya L.)の抽出物を配合することを特徴とするエラスターゼ活性阻害剤
【請求項4】
パパイヤ(Carica papaya L.)の抽出物を配合することを特徴とするメイラード反応抑制剤
【請求項1】
パパイヤ(Carica papaya L.)の抽出物を配合することを特徴とする抗酸化剤
【請求項2】
パパイヤ(Carica papaya L.)の抽出物を配合することを特徴とする抗酸化用皮膚外用剤
【請求項3】
パパイヤ(Carica papaya L.)の抽出物を配合することを特徴とするエラスターゼ活性阻害剤
【請求項4】
パパイヤ(Carica papaya L.)の抽出物を配合することを特徴とするメイラード反応抑制剤
【公開番号】特開2006−298812(P2006−298812A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−121891(P2005−121891)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(000166959)御木本製薬株式会社 (66)
【出願人】(598092270)有限会社 坂本薬草園 (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(000166959)御木本製薬株式会社 (66)
【出願人】(598092270)有限会社 坂本薬草園 (11)
【Fターム(参考)】
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