説明

抗酸化剤を皮膚内に送達するための材料および方法

1種類または複数の抗酸化剤をヒト対象に投与するための組成物および方法を開発した。抗酸化剤を含有する本発明の脂質小胞は、皮膚に局所塗布可能な抗酸化剤のための送達システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
皮膚はヒト身体の中で最大の器官であり、2つの主要な層、つまり表皮および真皮から本質的になる。表皮は最外層であり、特に、細胞および組織からの水分喪失を制御する。真皮は表皮下の層であり、血管、リンパ管、毛包、および汗腺を含む。真皮の下が下皮である。下皮は外皮系の一部であると考えられるが、皮膚の層であるとは一般的に考えられていない。下皮は脂肪の貯蔵に主に使われる。
【0002】
最も外側の表皮は、下層の基底膜を有する重層扁平上皮で構成されている。これは血管を含んでおらず、真皮からの拡散によって栄養を受けている。表皮を構成する主な細胞種は角化細胞であり、メラニン細胞およびランゲルハンス細胞も存在している。表皮は以下の層にさらに細分することができる(最外層から始めて): 角質層、透明層、顆粒層、有棘層、基底層。細胞は最内層で有糸分裂を通じて形成される。細胞は分化しかつケラチンで満たされながら、上層に移動し、形状および組成を変化させる。それらは皮膚角質層に最終的に到達し、剥がれ落ちるようになる。この過程は角質化と呼ばれており、約30日以内で行われる。
【0003】
皮膚への、または皮膚内への物質のさまざまな送達手段が、提案されている。
【0004】
米国特許第5,354,564号(特許文献1)は、シリコーン粒子の水分散液を含むパーソナルケア製品であって、該粒子が、約400ナノメートル(nm)未満の粒径を達成するのに十分な量でその表面に吸着されている表面改質剤を有する、パーソナルケア製品を開示している。
【0005】
米国特許第5,660,839号(特許文献2)は、脂肪性物質を含有する美容的および/または皮膚科学的組成物の中に、これらの脂肪性物質による粘着性の感触および/またはべとべとする感触を顕著に低減するまたは除去するため、変形可能な中空粒子を組み入れることを開示している。
【0006】
米国特許第5,667,800号(特許文献3)は、身体への局所塗布のため、少なくとも1種類の脂質および好ましくは同様に少なくとも1種類の乳化剤を含む、固体類脂質ナノ粒子の水性懸濁液を開示している。
【0007】
米国特許第5,780,060号(特許文献4)は、架橋された植物ポリフェノールの壁を有するマイクロカプセル、およびそれらを含有する組成物を開示している。このマイクロカプセルは、植物ポリフェノール、特にフラボノイドの界面架橋によって得られる。
【0008】
米国特許第5,851,517号(特許文献5)および同第5,945,095号(特許文献6)は、非水性媒体中の重合体粒子の分散液を含む組成物を開示している。表面安定型の重合体粒子の分散液は、非水性媒体中で、美容的、衛生的、または薬学的な組成物中で使用することができる。この分散液は、具体的には、非水性媒体中に安定分散された重合体のナノ粒子の形態でありうる。
【0009】
米国特許第5,759,526号(特許文献7)および同第5,919,487号(特許文献8)は、シリコーン界面活性剤に基づく薄膜相でコーティングされたナノ粒子、およびそれらを含有する組成物を開示している。シリコーン界面活性剤から得られる薄膜コーティングを備えたナノ粒子、および具体的にはナノカプセルを、皮膚、粘膜、爪、頭皮、および/または毛髪の処置のため、組成物、具体的には局所組成物で使用することができる。
【0010】
米国特許第5,188,837号(特許文献9)は、微懸濁液系およびその調製の方法を開示している。この微懸濁液は、リン脂質の層が表面に埋め込まれた、固体の、水不溶性微粒子である脂質球体を含有する。脂質球体の芯は、送達される固体物質、またはろう状物質などの不活性な固体媒体に分散された、送達される物質である。
【0011】
米国特許第4,919,841号(特許文献10)は、溶融されたろう状物質に活性材料を分散させる段階; 4分間以内に界面活性剤水溶液中で活性材料/ろう状物質の分散物を乳化させる段階; このカプセルを冷却によって急冷する段階; および固化したカプセルを回収する段階により、封入された活性粒子を調製する方法を開示している。活性材料の例は香料である。
【0012】
これらの方法の各々は、不利な点を有する。
【0013】
リポソームは、例えば、多量の水を封入する小胞状の脂質膜構造体である。リポソームの存在は長年にわたって知られている。1900年代初頭、単離されたレシチン(ホスファチジルコリン)、セファリン(ホスファチジルエタノールアミン/ホスファチジルセリン)、フレノシン(ガラクトシルセラミド)、およびケラシン(グルコシルセラミド)を研究していた研究者らは、これらの分子の全てが水中で膨潤して、水により分離された脂質二重層からなる、水和した多重薄膜層を形成しうることを見出した。同様に、水中に分散されたイオン性脂質および非イオン性脂質の混合物は、脂質分子が並んで位置し、均質な混合相を形成している安定な「エマルジョン」を形成することが分かっている。これらのエマルジョンは、今で言う多重薄膜リポソームの等価物であった。
【0014】
物理的および化学的研究から、両親媒性物質が水の存在下において特定の好ましい配列を形成することが示されている。ミセル、単層および二重層を含むこれらの配列の形成は、イオン形成性でもまたはそうでなくてもよい、極性頭部基が水と結び付く必要性、および無極性の疎水性尾部が水から排除される必要性によって推進される。正確にどの種類の構造が想定されるかは、両親媒性物質の性質、その濃度、他の両親媒性物質の存在、温度、ならびに水相中の塩および他の溶質の存在に依る。
【0015】
最近まで、リポソーム技術は、リン脂質、主にホスファチジルコリンでできた小胞と主に関係しており、これらは引き続き大部分の刊行物および特許の焦点である。しかしながら、リン脂質は特定の薬学的用途に適しているものの、リン脂質リポソーム技術は深刻な問題を抱えている、例えば、リン脂質はインビボにおいて素早く代謝回転し、貯蔵には適していない。また、それらは不安定であり、精製または合成するには高価であり、リン脂質リポソームの製造は困難であり、規模を拡大するには費用がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第5,354,564号
【特許文献2】米国特許第5,660,839号
【特許文献3】米国特許第5,667,800号
【特許文献4】米国特許第5,780,060号
【特許文献5】米国特許第5,851,517号
【特許文献6】米国特許第5,945,095号
【特許文献7】米国特許第5,759,526号
【特許文献8】米国特許第5,919,487号
【特許文献9】米国特許第5,188,837号
【特許文献10】米国特許第4,919,841号
【発明の概要】
【0017】
本発明は、新規かつ有利なスキンケア組成物に関する。好ましい態様において、本発明は、抗酸化剤、抗炎症剤、ペプチド、湿潤剤、日焼け止め剤、および皮膚軟化剤から選択される少なくとも1種類の剤を組み入れた脂質小胞(リポソーム)を提供する。
【0018】
抗酸化剤は、細胞または組織中の酸化的フリーラジカル分子と安全に反応することにより、これらのフリーラジカルの有害作用に対抗する、酵素または他の有機分子である。本発明に従って皮膚に塗布すると、抗酸化剤は、UV照射およびフリーラジカルの有害作用からの保護をもたらす。
【0019】
抗炎症剤は、鎮痛をもたらしかつ炎症を軽減する物質であり、典型的には鎮痛をもたらす。本発明に従って皮膚に塗布すると、抗炎症剤は、そのような鎮痛および炎症軽減効果を皮膚に直接送達することができる。
【0020】
ペプチドは、アミノ酸で作られた分子であり、皮膚における老化の徴候を抑制することができる。本発明に従って皮膚に塗布すると、ペプチドは、皮膚に密度の増加をもたらし、かつ皮膚を支援するためのコラーゲンを生成する能力の増加をもたらす。ペプチドはまた、フィブロネクチンの合成および細胞接着の構造的一体性を向上させ、皮膚の修復メカニズムおよび免疫応答を向上し、くまの原因となる色素の排出を促進し、かつ目の下の腫れおよびたるみを減少させることができる。
【0021】
湿潤剤は、水分子を引き付ける能力を持つ物質である。本発明に従って皮膚に塗布すると、湿潤剤は、乾燥肌およびしわからの保護をもたらす。
【0022】
日焼け止め剤は、紫外線を反射、散乱、および/または吸収することによって紫外線照射の有害作用に対抗する有機化合物または無機化合物である。本発明に従って皮膚に塗布すると、日焼け止め剤は、紫外線照射からの保護をもたらす。
【0023】
皮膚軟化剤は、皮膚を柔らかくしかつ和らげる物質である。本発明に従って皮膚に塗布すると、皮膚軟化剤は、乾燥肌からの保護をもたらす。
【0024】
特に好ましい抗酸化剤は、L-アスコルビン酸、ビタミンE(トコフェロール)、酢酸トコフェリル、コエンザイムQ-10、白茶(white tea)抽出物、ブドウ種子抽出物、ナイアシンアミド、および/またはクエン酸亜鉛である。
【0025】
特に好ましい抗炎症剤は、キュウリ抽出物、キヅタ抽出物、シイタケ抽出物、および/またはアラントインである。
【0026】
特に好ましいペプチドは、ヘキサペプチド-3(Argireline)、ヘキサペプチド-9(Collaxyl)、Dermaxyl(商標)(パルミトイルオリゴペプチド)、Matrixyl 3000(商標)(グリセリン、ブチレングリコール、水、カルボマー、ポリソルベート-20、パルミトイルオリゴペプチド、およびパルミトイルテトラペプチド-3)、Haloxyl(商標)(パルミトイルテトラペプチド-3)、Sepilift(商標)(ジパルミトイルヒドロキシプロリン)、Eyeliss(商標)(ヘルペリジンメチルカルコンおよびジペプチド-2およびパルミトイルテトラペプチド-3)、Rigin、ならびに/またはMaxilip(商標)(エチルヘキシルパルミテート、トリベヘニン、ソルビタンイソステアレート、およびパルミトイルオリゴペプチド)である。
【0027】
特に好ましい湿潤剤は、アボカドオイル/ステロール、アボカドバター、白色ワセリン、および/またはイリッペバター(illipe butter)である。
【0028】
特に好ましい日焼け止め剤は、オクトクリレン、酸化亜鉛、および/またはメトキシケイヒ酸オクチルである。
【0029】
特に好ましい皮膚軟化剤は、イリッペバター、シアバター、ショラシードバター(shora seed butter)、Ceraphyl 847(登録商標)(オクチルドデシルステアロイルステアレート)、C12〜15アルキルベンゾエート、ペンタエリスリチルテトライソステアレート、および/またはジイソプロピルアジペートである。
【0030】
本組成物はまた、さらなるスキンケア剤も含む。
【0031】
本発明は、活性成分を患者に送達して向上したスキンケアを達成するためのそのような脂質小胞を使用する方法にさらに関係する。
【0032】
1つの態様において、本発明は、1種類または複数の活性剤を有するスキンケア組成物を提供し、ここで製剤は、活性成分が表皮を通過しそれによって皮膚の真皮内に放出されることを促進する。さらなる態様において、剤は表皮にも送達されてもよい。したがって、本発明は、抗酸化剤を皮膚内の適切な位置に効率的に送達することにより、皮膚の状態(皮膚の外観および/または感触を含む)を調節および/または改善する上で有用である。
【0033】
本発明はまた、皮膚の状態を調節および/または改善するそのような組成物を使用する方法にも関連する。本発明の方法は一般に、そのような治療を必要とする患者の皮膚(表皮)に組成物を局所塗布する工程を含み、ここでそのような組成物の治療的有効量が塗布される。
【0034】
好都合なことには、本発明は、皮膚の老化を抑制するための組成物および方法を提供し、ここで皮膚の老化の抑制は、例えば、皮膚の水分補給、しわ、細かいすじ、および他の形態の望ましくない皮膚の質感の出現を処置することを含むことができる。活性剤を皮膚の真皮層および/または表皮層に与えることで、皮膚の形態、強度、さらには機能が向上する。
【0035】
特定の態様において、本発明の組成物は、典型的には内因的条件(例えば、老化、閉経、アクネなど)および外因的条件(例えば、環境汚染、風、暑さ、低湿度、強力な(harsh)界面活性剤など)に伴う皮膚の老化、しわ、および/または他の組織学的変化を、遅延する、最小限にする、または除去するのに有用な複数の剤を含有する脂質小胞の分散物を含む。
【0036】
本発明の例示的態様において、少なくとも1種類の活性剤を組み込んでいる非リン脂質寡層薄膜(paucilamellar)脂質小胞が、ヒト対象の皮膚内への活性剤の送達に使用される。非リン脂質寡層薄膜脂質小胞は、安定であり、製造するのに安価であり、かつ活性成分を保持するための大きな空洞サイズも特徴とするため、本発明における使用に特に有利である。別の態様において、皮膚の真皮層に活性剤を送達するために、シクロデキストリンが使用される。
【発明を実施するための形態】
【0037】
詳細な説明
本発明は、皮膚の状態を改善するために皮膚内部の特定の層に治療的有効量の1種類または複数の活性剤を局所投与するための材料および方法を対象とする。したがって、好ましい態様において、本発明は、少なくとも1種類の活性剤を含有する脂質小胞の分散物を含む組成物であって、該脂質小胞が、皮膚の真皮層への、小胞内容物の、表皮を通した浸透および分散を促進する、組成物、ならびにそのような組成物を使用する方法を提供する。
【0038】
皮膚状態の改善は、多くの場合、身体内部および/または外部の要因により誘導されうるかまたは引き起こされうる状態に起因することが望ましい。例としては環境被害、喫煙、放射線被爆(紫外線照射を含む)、加齢による老化、閉経状態(例えば、閉経後の皮膚変化)、ストレス、疾患などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0039】
本発明は、皮膚の視覚的および/または触覚的特徴を、治療的におよび/または予防的に改善するのに有用である。例えば、1つの態様において、すじおよび/またはしわの長さ、深さ、および/またはその他の寸法が低減され、潤いが得られる。
【0040】
「皮膚状態を改善する」とは、皮膚状態を、予防的に阻止することまたは治療的に処置することを含み、以下の利益: 皮膚肥厚、皮膚弾力性の喪失の阻止、およびすじまたはしわの減少のうちの1つまたは複数を伴うことができる。
【0041】
以下は本発明に関するさらなる定義である。以下の定義が本出願を通じて使用されることを理解されたい。他に規定のない限り、本明細書において使用される全ての専門用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0042】
本明細書において用いられる「表皮」または「表皮(の)」という用語は、皮膚の最外層を指す。
【0043】
本明細書において用いられる「局所塗布」という用語は、本発明の組成物を表皮組織の表面に塗布することまたは拡散させることを意図する。
【0044】
本明細書において用いられる「皮膚科学的に許容される」という用語は、そのように記述されている組成物またはその成分が、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などなしに哺乳動物の表皮組織と接触させて用いるのに適していることを意味する。
【0045】
本明細書において用いられる「治療的に有効な量」という用語は、良い利益、好ましくは、良い皮膚外観および/または皮膚感触を誘導するのに十分な化合物(抗酸化剤、抗炎症剤、ペプチド、湿潤剤、日焼け止め剤、もしくは皮膚軟化剤のような)または組成物の量を指す。本発明によれば、治療的に有効な量は、皮膚を調節するおよび/または改善する、単独かまたは他の剤との併用での活性剤の量であるが、その量は、当業者の正しい判断の範囲内で深刻な副作用を回避する程度、すなわち、妥当なリスク対効果比を供与する程度に十分少ない。
【0046】
本明細書において用いられる「たるみ」という用語は、皮膚の構造および/もしくは機能の喪失、損傷、変性、ならびに/または異常の結果として生じる皮膚の弛緩、緩みなどの皮膚の状態を意味する。
【0047】
本明細書において用いられる「滑らかにする」および「柔らかくする」という用語は、表皮組織の表面を、その感触が改善されるように変えることを指す。
【0048】
「皮膚老化の兆候」は、外部からの全ての視覚的におよび触覚的に認知できる徴候ならびに皮膚老化によるその他任意の微視的または巨視的な影響を含むが、これらに限定されることはない。このような兆候は、内因的要因または外因的要因、例えば、加齢による老化および/または環境被害により誘導されうるかまたは引き起こされうる。これらの兆候は、以下に限定されることはないが、しわおよび粗くて深いしわ、皮膚のすじ、ひび割れ、打撲傷、大きな孔(例えば、汗腺管、脂腺もしくは毛包のような付属器構造に関連する)、または凹凸もしくはざらつきのような組織的不連続の発生、皮膚弾性の喪失、たるみ(目尻および顎の腫れを含む)、皮膚の締まりの喪失、皮膚の張りの喪失、皮膚の変形反動の喪失、変色(目の下のくまを含む)、できもの、血色の悪さ、しみおよびそばかすのような色素沈着過剰な皮膚領域、角化症、異常分化、過角化症、弾性線維症、コラーゲン分解、ならびに角質層、真皮、表皮、皮膚血管系(例えば、毛細血管拡張症またはクモ状血管腫)、および下層組織、特に皮膚近位の組織における他の組織学的変化を含む過程から生じうる。
【0049】
本明細書において用いられる「剪断混合」とは、脂質を水和しかつ脂質小胞を形成するのに十分な混合をもたらす乱流または剪断条件下での、水相と親油相との混合を意味する。
【0050】
「分散する」および「分散」という用語は、分離または流動性相をもたらす懸濁液またはコロイドの形成を意味する。
【0051】
本明細書において用いられる「核酸」または「核酸分子」は、RNA (リボ核酸)およびDNA (デオキシリボ核酸)のような、2つまたはそれ以上のヌクレオチドの鎖を意味する。「組換え」核酸分子は、配列の2つの別の分離セグメントの人為的組合せにより、例えば、化学的合成によるか、または遺伝子工学技術による単離された核酸セグメントの操作により作出されるものである。
【0052】
「タンパク質」および「ポリペプチド」という用語は、長さまたは翻訳後修飾、例えば、グリコシル化またはリン酸化にかかわらず、アミノ酸の任意のペプチド連結鎖を意味するよう同義的に使用される。「精製(された)」ポリペプチドは、該ポリペプチドが天然の細胞または生物中の他のポリペプチドから実質的に分離されているかまたは単離されている(例えば、90、95、98、99、100%夾雑物のない)ものである。
【0053】
核酸またはポリペプチドを指す場合、「天然の」という用語は、天然に存在する核酸またはポリペプチドを指す。
【0054】
活性成分の皮層分散を可能にする本発明の組成物は、皮膚外観および/または皮膚感触の改善を含めて、皮膚の改善に有用である。例えば、本発明の組成物は、皮膚への該組成物の塗布後に皮膚外観の視覚的改善をもたらすことで、皮膚状態の外観を改善するのに有用である。
【0055】
好都合なことには、本発明の組成物は、安定性、長期保存性、顕著な皮膚刺激がないこと、および良好な美的特徴(good aesthetics)を含めて、さらなる望ましい特性を持ちうる。特定の態様において、そのようなさらなる利益を達成するため、本発明の組成物は、抗酸化剤に加えて、組成物の安定性を促進する、皮膚刺激を低減する、かつ/または組成物の美感を向上する剤をさらに含む。
【0056】
良好な美的特徴の例としては、(i) 軽くてべとべとしない、(ii) 皮膚上で絹のように滑らかな感触のある、(iii) 容易に拡散する、および/または(iv) 素早く吸収される、豊潤なクリームおよびローションのような、組成物が挙げられる。良好な美的特徴の他の例としては、消費者が許容可能な外観を有し(すなわち、不快な臭気または変色がない)、かつ良好な皮膚感触をもたらす組成物が挙げられる。
【0057】
本明細書において記述されるものに類似のまたは等価な方法および材料を本発明の実践または試験で使用できるが、適切な方法および材料を以下に記述する。本明細書において言及される全ての刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、その全体が参照により組み入れられる。矛盾する場合には、定義を含め、本明細書を優先するものとする。さらに、以下に論じられる特定の態様は一例にすぎず、限定することを意図するものではない。
【0058】
抗酸化剤
抗酸化剤は、細胞または組織中の酸化的フリーラジカル分子と安全に反応することにより、これらのフリーラジカルの有害作用に対抗する、酵素または他の有機分子である。
【0059】
抗酸化剤は、エネルギー生産の過程の一部としての酸素の使用により活性酸素種が生成されることから、真核細胞のミトコンドリアにおいて特に重要である。有酸素代謝の過程は、酸素が、クエン酸回路の酸化工程により生成された電子の最終的な静止場所(resting place)となることから、酸素を必要とする。
【0060】
加えて、抗酸化剤が、細胞および生化学物質に対するフリーラジカルからの損傷を低減することが、研究から示唆される。抗酸化剤は、細胞損傷に起因する特定の疾患を遅延し、阻止し、または逆転させ、かつ場合によっては自然の老化過程を遅延させもする。ビタミンEのような一部の抗酸化剤は、他の抗酸化剤を保存するかまたは再利用する。
【0061】
ヒトの皮膚は、トコフェロール、アスコルベート、ポリフェノール、およびカロテノイドを含む、酵素的または非酵素的な抗酸化防御システムのネットワークを備えている。しかしながら、これらの化合物または他の抗酸化剤が投与されると、それらは皮膚および皮膚細胞にさらなる防御効果をもたらす。局所塗布された抗酸化剤は、ラジカル酸素種によって引き起こされる、皮膚および目の脂質、タンパク質、および親水性分子の酸化的損傷の抑制において、重要な役割を果たしうる。
【0062】
さらに、抗酸化剤は、角質層における剥離の増加または質感の変化を引き起こしうるUV照射からの防御、および皮膚損傷を引き起こしうる他の環境因子からの防御を提供する。
【0063】
本発明の好ましい態様において、患者の皮膚に抗酸化剤を投与するために、1種類または複数の抗酸化剤が脂質小胞に組み入れられる。本明細書に記載のように、ヒト対象の皮膚へ投与するために1種類または複数の抗酸化剤を封入するのに適した任意の脂質小胞を使用してもよい。
【0064】
本発明に従って使用してもよい抗酸化剤の例は、アスコルビン酸(ビタミンC)およびその塩、L-アスコルビン酸、脂肪酸のアスコルビルエステル、アスコルビン酸誘導体(例えば、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルナトリウム、ソルビン酸アスコルビル(ascorbyl sorbate))、トコフェロール(ビタミンE)、ソルビン酸トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロールの他のエステル、ブチル化ヒドロキシ安息香酸およびその塩、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸(商品名Trolox(登録商標)で市販されている)、没食子酸およびそのアルキルエステル、特に没食子酸プロピル、尿酸ならびにその塩およびアルキルエステル、ソルビン酸およびその塩、リポ酸、アミン(例えば、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン、アミノ-グアニジン)、スルフヒドリル化合物(例えばグルタチオン)、ジヒドロキシフマル酸およびその塩、リシンピドレート(lycine pidolate)、アルギニンピロレート(arginine pilolate)、ノルジヒドログアイアレチン酸、バイオフラボノイド、クルクミン、リジン、メチオニン、プロリン、スーパーオキシドジスムターゼ、シリマリン、茶抽出物(白茶抽出物など)、リコピン、ブドウ種子抽出物、ブドウ皮抽出物、メラニン、コエンザイムQ-10、ナイアシンアミド、クエン酸亜鉛、ならびにローズマリー抽出物である。
【0065】
特に好ましいのは、L-アスコルビン酸、ビタミンE(トコフェロール)、酢酸トコフェリル、コエンザイムQ-10、白茶抽出物、ブドウ種子抽出物、ナイアシンアミド、および/またはクエン酸亜鉛の使用である。
【0066】
ビタミンEは、細胞膜を過酸化から防御し、かつフリーラジカルを除去する。コエンザイムQ-10は、細胞膜の脂質過酸化を阻止し、体内の全細胞のミトコンドリア中に見出されるエネルギー生産経路であるアデノシン三リン酸経路中でコエンザイムとして機能して、紫外線照射への曝露の有害作用の防止において一定の効力を有しうる。ブドウ種子抽出物は、視力を向上し、皮膚をUVB損傷から防御し、創傷治癒を促進し、かつビタミンCおよびEと比べてより強力なフリーラジカル捕捉剤でありうる。ナイアシンアミドはコラーゲンおよび脂質の合成を増加させ、メラノソームの移動を阻止し、かつ炎症を低減する。ナイアシンアミドはまた、セラミドおよび角質内の他の細胞間脂質の生合成も増加させる。
【0067】
抗炎症剤
抗炎症剤は、痛みの軽減を助け、かつ炎症を緩和する物質である。抗炎症剤は、ステロイド性抗炎症剤とステロイド性抗炎症剤に分類される。
【0068】
ステロイド性抗炎症剤は、コルチゾール受容体に結合することで炎症を緩和する。非ステロイド性抗炎症剤は、シクロオキシゲナーゼ(COX)酵素を抑制することで痛みを軽減し、かつプロスタグランジンの合成を防止することで炎症を緩和する。
【0069】
多くの非ステロイド性抗炎症剤は、酵素シクロオキシゲナーゼの非選択性阻害剤として作用し、シクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)およびシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の両方のアイソザイムを阻害する。シクロオキシゲナーゼは、アラキドン酸(これ自体は、細胞のリン脂質二重層からホスホリパーゼA2によって誘導される)からのプロスタグランジンおよびトロンボキサンの形成を触媒する。プロスタグランジンは、とりわけ、炎症の過程の中でメッセンジャー分子として作用する。
【0070】
プロスタグランジンは皮膚における炎症の媒介物質であり、プロスタグランジンは炎症刺激に応答して局所的に合成されることが、研究から示唆される。
【0071】
加えて、抗炎症性物質は、皮膚の色調または色をより均一で好ましいものにするのに寄与することにより、対象の皮膚の外観を向上させる。
【0072】
本発明の好ましい態様において、抗炎症剤を患者の皮膚に投与するために、1種類または複数の抗炎症剤が脂質小胞に組み入れられる。本明細書に記載のように、ヒト対象の皮膚に投与するために1種類または複数の抗炎症剤を封入するのに適した任意の脂質小胞を使用してもよい。
【0073】
ステロイド性抗炎症剤は、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシトリアムシノロン、αメチルデキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、二プロピオン酸ベクロメタゾン、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デスオキシメタゾン、酢酸デスオキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジクロリゾン、二酢酸ジフロラソン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド、フルドロコルチゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル、フルオコルトロン、フルプレドニデン(フルプレドニリデン)アセテート、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフルオロソン、フルラドレノロン、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフルオロソン、フルラドレノロンアセトニド、メドリソン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾン、およびそのエステルのバランス(balance)、クロロプレドニゾン、酢酸クロロプレドニゾン、クロコルテロン、クレシノロン、ジクロリゾン、ジフルプレドネート、フルクロロニド、フルニソリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンシクロペンチルプロピオネート、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、二プロピオン酸ベクロメタゾン、トリアムシノロンのようなコルチコステロイドを含んでもよいがこれらに限定されず、かつそれらの混合物を用いてもよい。
【0074】
本発明の組成物において有用な非ステロイド性抗炎症剤のいくつかは、
(1)オキシカム系、例えば、ピロキシカム、イソキシカム、テノキシカム、スドキシカム、およびCP-14,304;
(2)サリチル酸系、例えば、アスピリン、ジサルシド、ベノリラート(benorylate)、トリリサート、サファプリン(safapryn)、ソルプリン、ジフルニサル、およびフェンドソール;
(3)酢酸誘導体系、例えば、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、イソキセパク、フロフェナク、チオピナク、ジドメタアシン、アセメタシン(acematacin)、フェンチアザク、ゾメピラク、クリンダナク(clindanac)、オキセピナク、フェルビナク、およびケトロラク;
(4)フェナム酸系、例えば、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルム酸、およびトルフェナム酸;
(5)プロピオン酸誘導体系、例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、インドプロフェン(indopropfen)、ピロプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ミロプロフェン、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、およびチアプロフェン酸(tiaprofenic);ならびに
(6)ピラゾール系、例えば、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェプラゾン、アザプロパゾン、およびトリメタゾン(trimethazone)
を含むが、これらに限定されない。
【0075】
非ステロイド性抗炎症剤の化学構造、合成、副作用等の詳細な開示については、Anti-inflammatory and Anti-Rheumatic Drugs, K. D. Rainsford, Vol. I-III, CRC Press, Boca Raton, (1985)およびAnti-inflammatory Agents, Chemistry and Pharmacology, 1, R. A. Scherrer, et al., Academic Press, New York (1974)を含む、標準的な文献を参照してもよい。
【0076】
これらの非ステロイド性抗炎症剤の混合物、ならびにこれらの剤の皮膚科学的に許容可能な塩およびエステルもまた用いてもよい。例えば、エトフェナメート、フルフェナム酸誘導体は、局所塗布において特に有用である。非ステロイド性抗炎症剤のうちで、イブプロフェン、ナプロキセン、フルフェナム酸、エトフェナメート、アスピリン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、ピロキシカム、およびフェルビナクが好ましく、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、エトフェナメート、アスピリン、およびフルフェナム酸がより好ましい。
【0077】
最後に、いわゆる「天然の」抗炎症剤は、本発明の方法において有用である。そのような剤は、天然の材料(例えば、植物、真菌、微生物の副産物)からの適切な物理的および/もしくは化学的分離による抽出物として適宜入手してもよく、または人工的に調製することができる。例えば、カンデリラワックス、ビサボロール(例えば、αビサボロール)、アロエベラ、植物ステロール(例えば、フィトステロール)、マンジスタ(アカネ属の植物、特にルビア・コルディフォリアから抽出)、およびグッグル(コミフォラ属の植物、特にコミフォラ・ムクルから抽出)、コラ抽出物、カモミール、アカツメクサ抽出物、ムチサンゴ抽出物、キュウリ抽出物、キヅタ抽出物、シイタケ抽出物、およびアラントインを使用してもよい。
【0078】
本発明において有用なさらなる抗炎症剤には、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、ならびにそれらの誘導体(例えば、塩およびエステル)を含む、甘草(植物属/種のカンゾウ)科の化合物が含まれる。該化合物の適切な塩には、金属塩およびアンモニウム塩が含まれる。適切なエステルには、前記酸のC.sub.2〜C.sub.24飽和または不飽和エステル、好ましくはC.sub.10〜C.sub.24、より好ましくはC.sub.16〜C.sub.24が含まれる。前記の適切な例には、油可溶性甘草抽出物、グリチルリジン酸およびグリチルレチン酸それ自体、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルリチン酸モノカリウム、グリチルリチン酸2カリウム、1-β-グリチルレチン酸、ステアリルグリチルレチナート、ならびに3-ステアリルオキシ-グリチルレチン酸および2ナトリウム-3-スクシニルオキシ-β-グリチルレチナートが含まれる。ステアリルグリチルレチナートが好ましい。
【0079】
本発明で用いられる特に好ましい抗炎症剤は、キュウリ抽出物、キヅタ抽出物、シイタケ抽出物、およびアラントインである。
【0080】
ペプチド
ペプチドは、アミノ酸がアミド結合を介して連結することにより形成された分子である。ペプチド中のアミノ酸はまた、タンパク質の構成要素でもある。
【0081】
特定のペプチドは、皮膚の老化の目に見える徴候との闘いにおいて重要な役割を果たす。本発明の好ましい態様において、患者の皮膚にペプチドを投与するために、1種類または複数のペプチドが脂質小胞に組み入れられる。本明細書に記載のように、ヒト対象の皮膚に投与するために1種類または複数のペプチドを封入するのに適した任意の脂質小胞を使用してもよい。
【0082】
本発明の好ましい態様において使用されうるペプチドの例には、ヘキサペプチド-3(Argireline)、ヘキサペプチド-9(Collaxyl)、Dermaxyl(商標)(パルミトイルオリゴペプチド)、Matrixyl 3000(商標)(グリセリン、ブチレングリコール、水、カルボマー、ポリソルベート-20、パルミトイルオリゴペプチド、およびパルミトイルテトラペプチド-3)、Haloxyl(商標)(パルミトイルテトラペプチド-3)、Sepilift(商標)(ジパルミトイルヒドロキシプロリン)、Eyeliss(商標)(ヘルペリジンメチルカルコンおよびジペプチド-2およびパルミトイルテトラペプチド-3)、Rigin、ならびに/またはMaxilip(商標)(エチルヘキシルパルミテート、トリベヘニン、ソルビタンイソステアレート、およびパルミトイルオリゴペプチド)が含まれる。
【0083】
Argirelineは、カテコールアミン阻害剤を介して、クロストリジウム属の神経毒素の作用を模倣する。CollaxylはI型コラーゲンの合成、フィブロネクチンの合成、および基底膜の細胞接着の構造的一体性を改善する。Dermaxyl(商標)は、皮膚の修復機構を向上し、線維芽細胞を刺激し、かつ細胞外マトリックスの代謝回転を活性化する、強力な走化性タンパク質刺激剤である。Matrixyl 3000(商標)は、培養された線維芽細胞によるI型およびIII型コラーゲンならびにフィブロネクチンの合成を促進する。Haloxyl(商標)は、目のまわりのくまおよび炎症を引き起こす血液由来の色素の排出を促進する。Sepilift(商標)は、コラーゲン繊維を収縮させ、プロコラーゲンの生成を刺激し、MMP阻害剤を刺激し、かつスーパーオキシドアニオンを有意に低減する。Eyeliss(商標)は目の下の腫れおよびたるみを低減する。RiginはDHEAを模倣し、皮膚の免疫応答に活力を与え、かつ老化した皮膚内のサイトカイン(インターロイキン6)バランスを回復する。Maxilip(商標)は、コラーゲンおよびグリコサミノグリカンの合成を刺激する。
【0084】
湿潤剤
湿潤剤は、水分子を引き付ける能力を有する物質である。それは往々にして、親水基をいくつか有し、かつ水と水素結合を形成する結合性を有する分子である。
【0085】
湿潤剤は親水性であるため、それらは水の保持を助ける。したがって、皮膚に用いられた場合、湿潤剤は皮膚に潤いを保ち、その過程でしわおよび乾燥肌を防ぐ。
【0086】
本発明の好ましい態様において、患者の皮膚に湿潤剤を投与するために、1種類または複数の湿潤剤が脂質小胞に組み入れられる。本明細書に記載のように、ヒト対象の皮膚に投与するために1種類または複数の湿潤剤を封入するのに適した任意の脂質小胞を使用してもよい。
【0087】
本発明に従って用いられうる好ましい湿潤剤の例には、アボカドオイル/ステロール、アボカドバター、白色ワセリン、および/またはイリッペバターが含まれる。
【0088】
日焼け止め剤
紫外線光への曝露は、角質層の過剰な剥離および質感の変化を引き起こす可能性があり、フリーラジカルの形成およびそれらのフリーラジカルによる細胞損傷を含む光酸化ストレスもまた同様である。したがって、本発明の組成物は任意で日焼け止め剤を含んでもよい。本明細書において用いられる「日焼け止め剤」とは、日焼け止め剤および物理的なサンブロック(sunblock)の両方を含む。適切な日焼け止め剤は、有機物であっても無機物であってもよい。
【0089】
本発明の好ましい態様において、患者の皮膚に日焼け止め剤を投与するために、1種類または複数の日焼け止め剤が脂質小胞に組み入れられる。本明細書に記載のように、ヒト対象の皮膚に投与するために1種類または複数の日焼け止め剤を封入するのに適した任意の脂質小胞を用いてもよい。
【0090】
本発明において有用な無機日焼け止め剤は、以下の金属酸化物を含む:約15 nm〜約100 nmの平均一次粒径を有する二酸化チタン、約15 nm〜約150 nmの平均一次粒径を有する酸化亜鉛、約15 nm〜約150 nmの平均一次粒径を有する酸化ジルコニウム、約15 nm〜約500 nmの平均一次粒径を有する酸化鉄、およびそれらの混合物。
【0091】
多種多様な従来の有機日焼け止め剤が、本発明における使用に適している。SagarinらはCosmetics Science and Technology (1972)の第VIII章、189頁以下参照で、多数の適切な剤を開示している。具体的な適切な日焼け止め剤は、例えば、メトキシケイヒ酸オクチル、p-アミノ安息香酸、その塩およびその誘導体(エチルエステル、イソブチルエステル、グリセリルエステル; p-ジメチルアミノ安息香酸); アントラニラート(すなわち、o-アミノ-ベンゾエート; メチルエステル、メンチルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル、フェニルエチルエステル、リナリルエステル、テルピニルエステル、およびシクロヘキセニルエステル); サリチラート(アミルエステル、フェニルエステル、オクチルエステル、ベンジルエステル、メンチルエステル、グリセリルエステル、およびジプロピレングリコールエステル); ケイ皮酸誘導体(メンチルエステルおよびベンジルエステル、a-フェニルシンナモニトリル; ブチルピルビン酸シンナモイル); ジヒドロキシケイ皮酸誘導体(ウンベリフェロン、メチルウンベリフェロン、メチルアセトウンベリフェロン); トリヒドロキシケイ皮酸誘導体(エスクレチン、メチルエスクレチン、ダフネチン、ならびにグルコシド、エスクリン、およびダフニン); 炭化水素(ジフェニルブタジエン、スチルベン); ジベンザルアセトンおよびベンザルアセトフェノン; ナフトールスルホン酸塩(2-ナフトール-3,6-ジスルホン酸のナトリウム塩および2-ナフトール-6,8-ジスルホン酸のナトリウム塩); ジヒドロキシナフトエ酸およびその塩; o-およびp-ヒドロキシビフェニルジスルホナート; クマリン誘導体(7-ヒドロキシ、7-メチル、3-フェニル); ジアゾール(2-アセチル-3-ブロモインダゾール、フェニルベンゾキサゾール、メチルナフトキサゾール、さまざまなアリールベンゾチアゾール); キニン塩(重硫酸塩、硫酸塩、塩化物、オレイン酸塩、およびタンニン酸塩); キノリン誘導体(8-ヒドロキシキノリン塩、2-フェニルキノリン); ヒドロキシ-またはメトキシ-置換ベンゾフェノン; 尿酸およびビオルル酸; タンニン酸およびその誘導体(例えば、ヘキサエチルエーテル); (ブチルカルボトール) (6-プロピルピペロニル)エーテル; ヒドロキノン; ベンゾフェノン(オキシベンゼン、スリソベンゾン、ジオキシベンゾン、ベンゾレソルシノール、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、オクタベンゾン; 4-イソプロピルジベンゾイルメタン; ブチルメトキシジベンゾイルメタン; エトクリレン; オクトクリレン; [3-(4'-メチルベンジリデンボルナン-2-オン)、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、ならびに4-イソプロピル-ジベンゾイルメタンを含む。
【0092】
特に好ましいのは、オクトクリレン、酸化亜鉛、および/またはメトキシケイヒ酸オクチルの使用である。
【0093】
皮膚軟化剤
皮膚軟化剤は、皮膚を柔らかくしかつ和らげる物質である。皮膚軟化剤は、皮膚の乾燥および剥離の矯正に用いられる。皮膚軟化剤は保湿剤と極めて類似しており、実際、保湿剤は往々にして皮膚軟化剤の集合体である。
【0094】
水分は皮膚において非常に重要である。水分は皮膚を満たす(fill out)のを助け、しわおよび「乾燥肌」の出現を防ぐ。水分は、皮膚の柔らかい感触を維持するのも助ける。
【0095】
本発明の好ましい態様において、患者の皮膚に皮膚軟化剤を投与するために、1種類または複数の皮膚軟化剤が脂質小胞に組み入れられる。本明細書に記載のように、ヒト対象の皮膚への投与のために1種類または複数の皮膚軟化剤を封入するのに適した任意の脂質小胞を使用してもよい。
【0096】
本発明において用いてもよい皮膚軟化剤の例は、グリセリン、イリッペバター、シアバター、ショラシードバター、Ceraphyl 847(登録商標)(オクチルドデシルステアロイルステアレート)、C12〜15アルキルベンゾエート、ペンタエリスリチルテトライソステアレート、およびジイソプロピルアジペートである。
【0097】
特に好ましいのは、イリッペバター、シアバター、ショラシードバター、Ceraphyl 847(登録商標)(オクチルドデシルステアロイルステアレート)、C12〜15アルキルベンゾエート、ペンタエリスリチルテトライソステアレート、および/またはジイソプロピルアジペートの使用である。
【0098】
活性剤を含有する脂質小胞
本発明は、少なくとも1種類の抗酸化剤を組み入れた脂質小胞を含む組成物を提供する。活性剤を含有する小胞は、活性剤を対象に投与するのに有用である。抗酸化剤を封入するのに適した、およびヒト対象の皮膚へ投与するのに適した任意の脂質小胞を使用してもよい。
【0099】
本発明の小胞は、空洞を取り囲む1つまたは複数の脂質二重層膜を有する小胞である。本発明に使用される脂質小胞は、典型的には約50〜約950 nmの範囲(例えば、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、950 nm)のサイズである。脂質小胞を作製する方法および使用する方法は、当技術分野において周知であり、例えば、米国特許第4,917,951号および第5,013,497号;Walde P. and Ichikawa S., Biomol Eng., 18:143-177, 2001;Hunter D.G. and Frisken B.J., Biophys J., 74:2996-3002, 1998;ならびにCevc G., Adv Drug Deliv Rev., 56:675-711, 2004に記載されている。
【0100】
脂質小胞内に封入される抗酸化剤は、任意の適切な形態でありうる。
【0101】
本発明の組成物は、1種類の活性剤のみを含有する小胞、または複数の活性剤を含有する小胞を含んでもよい。
【0102】
本発明の脂質小胞は、非リン脂質界面活性剤を含むことができる。それらはまた、電荷生成剤(charge-producing agent)および標的化分子を含むことができる。すなわち、非リン脂質「膜模倣性の」両親媒性物質でできた小胞は、本発明において有用である。疎水性尾部に付着された親水性頭部基を有する分子が存在しており、その中には長鎖脂肪酸、長鎖アルコールおよび誘導体、長鎖アミノおよびグリセロ脂質がある。この二重層では、脂肪酸が膜の内部に向いており、極性頭部基が外部に向いている。膜の片面の極性基は小胞の内部に向いており、もう片面のものは外部環境に向いている。小胞がその製造の間に生ずる際に、水に添加されている任意の水溶性分子は脂質二重層膜の多重層の間の水性空間の中に組み入れられるのに対し、小胞形成の間に添加される任意の脂溶性分子は小胞の芯に組み入れられる。
【0103】
単一の尾部を有する多くの生体適合性の両親媒性物質から形成されうる寡層薄膜小胞は、本発明で用いるのに好ましい。このような寡層薄膜脂質小胞には、関心対象の化学的実体(すなわち、抗酸化剤)が封入されている大きな不定形の芯を取り囲んだ1つまたはいくつかの脂質二重層膜を有する非リン脂質小胞が含まれる。
【0104】
非リン脂質寡層薄膜の脂質小胞は、商品名Novasome(登録商標) (IGI Inc., Buena, NJ)で販売されている。いくつかのNovasome(登録商標)配合物が存在している(例えば、Novasome(登録商標) A、Novasome(登録商標) D)、Novasome(登録商標)デイクリーム(Day Cream))。
【0105】
Novasome(登録商標)小胞は、配合を補助するため、作用部位への送達を増大するため、および配合物中の化学成分を安定化するため、化学成分を封入するのに有用である。これらの脂質小胞は、通常、各特定の目的のために個別に選択される多種多様な膜構成成分に応じて、サイズが約200〜700ナノメートルである。それらのサイズ分布は均一であり、封入効率は脂質カーゴの場合ほぼ100%、および水性材料の場合85%でありうる。微粉化された不溶性の粒子(例えば、不溶性の医薬)を封入することもできる。
【0106】
Novasome(登録商標)小胞は本質的に安定であり、2〜13に及ぶpHレベルならびに液体窒素ほども低くから水の沸点を超えるまでの温度範囲で安定であるように調整することができる。それらは、アルコール、エーテル、エステル、ガソリン、ディーゼル、およびその他の燃料を含む溶媒に安定でありうる。それらは、揮発性および脆性のエーテル、エステル、アルデヒドなどを含有する芳香剤および香料を封入することができる。これらの小胞は熱、光、pH変化、酵素分解、乾燥性の膜透過拡散(drying transmembrane diffusion)などを含め、さまざまな物理的および化学的な環境の下でそのカーゴを放出することができる。
【0107】
Novasome(登録商標)配合物を作出および投与するプロトコルは、例えば、米国特許第4,855,090号; 同第4,911,928号; 同第5,474,848号; 同第5,628,936号; 同第6,387,373号; Holick et al., British Journal of Dermatology 149: 370-376, 2003; Gupta et al., Vaccine 14:219-225, 1996; およびWallach DFH and Philippot J., New Type of Lipid Vesicle: Novasome(商標) In: Liposome Technology, 2nd ed., Gregorriadis G., CRC Press, Boca Raton, FL, 1982, pp. 141-151; Niemiec et al., Pharmaceutical Research 12:1184-1188, 1995; およびAlfieri DR, Cosmetic Dermatology 10:42-52, 1997に記述されている。
【0108】
1つの態様において、リポソームは「デイクリーム」に使用されるものである。
【0109】
本発明の特定の態様において、脂質小胞(例えば、非リン脂質寡層薄膜の脂質小胞)は、親水性または両親媒性のいずれかの、標的化分子を含んでもよく、これを用いて、特定の生体位置での小胞内部からの抗酸化剤の放出を可能とするように小胞を皮膚内の特定の標的に向けることができる。親水性の標的化分子が使用される場合、それらは界面活性剤のポリオキシエチレン部分のOH残基に直接的にもしくはスペーサーを介してカップリングされてもよく、またはそれらは当技術分野における技術を用いて、パルミチン酸、長鎖アミン、もしくはホスファチジルエタノールアミンのような分子にカップリングされてもよい。スペーサーが使用される場合、標的化分子は二重層膜の親水性芯の中に、これらの化合物のアシル鎖を介して互いに組み合わされてもよい。好ましい親水性の標的化分子は、モノクローナル抗体、その他の免疫グロブリン、レクチン、およびペプチドホルモンを含む。
【0110】
親水性の標的化分子に加えて、両親媒性の標的化分子を使用することも可能である。両親媒性の標的化分子は、通常、界面活性剤分子に化学的にカップリングされるのではなく、むしろ脂質小胞の二重層薄膜を構成する分子の親油性または疎水性部分と相互作用する。好ましい両親媒性の標的化分子は、中性糖脂質、ガラクトセレブロシド(例えば、肝ガラクトシル受容体の場合)、またはガングリオシドのような荷電糖脂質である。
【0111】
いくつかの態様において、電荷生成(charge-producing)材料、ならびにコレステロールもしくはヒドロコルチゾンのようなステロイドまたはそれらの類似体および誘導体が、脂質小胞(例えば、寡層薄膜の脂質小胞)の形成に使用される。好ましい電荷生成材料は、リン酸ジセチル、硫酸セチル、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、オレイン酸、パルミチン酸、またはそれらの混合物のような負電荷生成(negative charge-producing)材料を含む。正味の正電荷を小胞に与えるため、長鎖アミン、例えば、ステアリルアミンもしくはオレイルアミン、長鎖ピリジニウム化合物、例えば、塩化セチルピリジニウム、第四級アンモニウム化合物、またはこれらの混合物を使用することができる。正電荷生成(positive charge- producing)材料の別の例は、強力な殺菌剤の臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムである。
【0112】
脂質小胞の調製
本発明により使用される脂質小胞は、当技術分野において公知の多種多様な脂質小胞のいずれかでありえ、多数の生成方法のいずれかによって作出することができる。脂質小胞を形成するための材料および手順は、当業者に周知である。一般に、脂質または親油性物質を有機溶媒に溶解する。回転蒸発による真空下のような、溶媒が除去される時に、脂質残留物が容器の壁に薄層を形成する。通常、電解質または親水性の生物剤材料を含有する水溶液を、その後、薄層に添加する。大きな多重膜小胞が撹拌によって生成される。もっと小さな多重膜小胞が望ましい場合、より大きな小胞を超音波処理、その後の、段階的に減少する孔隙径を有するフィルタを通した濾過に供するか、または他の形態の機械的剪断により縮小する。脂質小胞は単層小胞の形態をとることもでき、これは多重膜小胞のさらに徹底的な超音波処理により調製され、水溶液を取り囲んだ単一球形の脂質二重層からなる。上述した全ての脂質小胞およびその調製方法の包括的な総説は「Liposome Technology」, G. Gregoriadis (編), CRC Press Inc., Boca Raton, Fla., Vol. I, II & III (1984)に記述されている。脂質小胞を調製する方法の場合、同様に米国特許第4,485,054号、同第4,761,288号、同第5,013,497号、同第5,653,996号、および同第6,855,296号を参照されたい。
【0113】
非リン脂質界面活性剤材料で作られ、かつ抗酸化剤を含有した非リン脂質寡層薄膜の脂質小胞を調製するため、当技術分野において公知の任意の適切な方法を使用することができる。非リン脂質寡層薄膜の脂質小胞を調製する方法は、通常、界面活性剤材料を含むいくつかの親油性成分を組み合わせることにより親油性相を最初に形成する段階、その後、この混合物を加熱および混和する段階を含む。適切な界面活性剤材料の例としては、ポリオキシエチレン(2)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル、モノステアリン酸グリセリル、およびポリオキシエチレン(9)ステアリン酸グリセリルが挙げられるが、これらに限定されることはない。得られた親油性相を次に、剪断混合条件下で、水性緩衝液および水溶性コラーゲン配合物を有する水相と混和して、寡層薄膜の脂質小胞を形成する。この方法では、親油性相を流動性とするために親油性相の温度を上昇させ、その後、両相が脂質であるような温度で親油性相と水相との間の剪断混合を行う。多くの場合、両相に対し同じ温度を使用することが望ましいので、これは必ずしも必要ではない。当業者に公知の他の任意の方法を使用することもできる。本発明の寡層薄膜の脂質小胞を作出するのに好ましい方法は、米国特許第4,911,928号に記述されている。
【0114】
寡層薄膜の脂質小胞の中に油性抗酸化剤または抗酸化剤含有配合物を封入するため、油性相を形成する油またはろう状物質の中に抗酸化剤または抗酸化剤含有配合物を分散させる。油またはろう状物質は、油、ろう状物質、天然かつ合成のトリグリセリド、アシルエステル、および石油派生物、ならびにそれらの類似体および誘導体からなる群より選択される、水に非混和性の油性溶液である。油分散性の材料を含有する油性相を脂質相と混合し、合わせた油-脂質相を剪断混合条件下で水相と混和する。封入過程に有用な界面活性剤は、水性芯を有する寡層薄膜の脂質小胞を作出するのに使われるものと同じである。
【0115】
寡層薄膜の脂質小胞は、剪断混合のため十分に高い剪断を備える種々の装置により作出することができる。MicroFluidics Corp. (Newton, MA)により製造されているような、「French」型のプレス機Microfluidizer(登録商標)、または十分に高い剪断力および加熱された、半粘性の脂質を処理する能力を備えた他の装置を含め、多くのそのような装置が市販されている。非常に高い剪断装置が使用される場合、粉状脂質を加圧下、その通常の融点より低い温度で微乳化しても、本発明の抗酸化剤含有寡層薄膜の脂質小胞を形成したままとすることが可能でありうる。
【0116】
本発明の寡層薄膜の脂質小胞を作出するのに特に有用な装置は、Micro Vesicular Systems, Inc., (Vineland, NJ)によって開発されており、米国特許第4,895,452号にさらに記述されている。手短に言えば、この装置は、少なくとも1つの接線方向に位置している入口オリフィスを備えた、実質的に円筒形の混合チャンバーを有する。脂質芯の寡層薄膜の脂質小胞が形成される場合、油相と混合された、親油性相の貯留層に、1つまたは複数のオリフィスがつながり、その他のオリフィスの少なくとも1つが水相の貯留層に取り付けられている。これらの異なる相はポンプ、例えば、容積移送式ポンプを通して円筒形のチャンバーの中に追い込まれ、チャンバー内で乱流を生じるように交差する。寡層薄膜の脂質小胞が迅速に、例えば、1秒未満で生じ、軸方向に位置している放出オリフィスを通してチャンバーから取り出される。4つの接線方向に位置している入口オリフィスが存在し、脂質相および水相が容積移送式ポンプを通して、貯留層から交互のオリフィスに引き込まれることが好ましい。接線方向のオリフィスを経て流動流は、各入口または注入オリフィスから放出オリフィスに、らせん流路中で導かれる。この流路は、液体流の交差によって混合領域を作出するよう入口または注入オリフィスの方向または配置により制御される。ポンプ速度、ならびにオリフィスおよびフィードラインの直径は、脂質小胞の形成に適した剪断混合を達成するように選択される。ほとんどの環境において、乱流は十分な混合を与えるように選択される。
【0117】
寡層薄膜の脂質小胞を形成するためにどんな装置が使用されたとしても、適切な剪断混合が達成される場合、それらの小胞は、複数の脂質二重層であって、その間に水層が散りばめられた脂質二重層で取り囲まれた大きな、構造化されていない、不定形の中心を伴う構造を有する。約4つの脂質二重層が標準であるが、2〜8つのものが可能である。不定形の中心を水性材料、例えば、緩衝液および封入される任意の水性材料で完全に満たしてもよく、または油性材料で部分的にもしくは完全に満たし、脂質中心の寡層薄膜の脂質小胞を形成してもよい。水性中心が使用される場合、寡層薄膜の脂質小胞は、通常、直径が約0.5〜2 μに及ぶはずであり、その一方で油性中心が使用される場合、そのサイズは、使用される油の量に応じて、約15〜20 μまで増大しうる。
【0118】
担体としてのシクロデキストリン(Cyclodextin)の使用
さらに、シクロデキストリンは皮膚の真皮への抗酸化剤担体系の別の選択肢である。シクロデキストリンは、1,4グリコシド結合により連結された6、7、または8 D-グルコピラノース残基の複合糖質である。3つの形態がD-グルコピラノース残基の数によって決まり、α形態は6残基を有し、β形態は7残基を有し、およびγ形態は8残基を有する。α構造は、内部の疎水性空洞および親水性の外面を有する環状環を形成する。各シクロデキストリンは、化合物を疎水性空洞に適合させ、包接複合体を形成させることによりゲスト化合物と結び付く。このように、望ましい量の材料を標的位置に送達する送達系としてシクロデキストリンを使用することができる。
【0119】
1つの態様において、ヒドロキシプロピルβシクロデキストリンを使用することができる。シクロデキストリンは、包接複合体の形成を通じて結び付いたゲスト化合物の物理的、化学的、および生物学的な特性を変化させる能力を有するので、それらが使用される。この複合体は、ゲスト化合物の溶解性、安定性、および生体利用性を向上し、その結果、制御送達系において材料を分離および使用することができる。α-シクロデキストリンとの抗酸化剤の包接複合体の形成により、真皮を標的とした送達系が可能とされる。
【0120】
α-シクロデキストリンの単離および精製のための主要な方法では、その複合体形成能を巧みに利用する。反応の完了時に、1-デカノールを反応混合物に添加して、不溶性の1:1のα-シクロデキストリン:1-デカノール包接複合体を形成させる。この複合体を水と連続的に混合し、遠心分離により反応混合物から分離する。回収された複合体を水に再懸濁し、加熱により溶解する。その後の冷却によって、複合体の再沈殿を引き起こす。この沈殿物を遠心分離により回収し、1-デカノールを蒸気蒸留によって除去する。冷却により、α-シクロデキストリンを溶液から結晶化する。この結晶を濾過により除去し、乾燥させ、含水率11%未満の白色の結晶性粉末を得る。乾燥ベースでの純度は少なくとも98%である。
【0121】
皮膚科学的に許容される担体
本発明の局所組成物は、小胞に含有される抗酸化剤に加えて、皮膚科学的に許容される担体をさらに含むことができる。担体の安全でかつ有効な量は、通常、組成物の約50%〜約99.99%、好ましくは約80%〜約99.9%、より好ましくは約90%〜約98%、およびさらにより好ましくは約90%〜約95%である。
【0122】
担体は多種多様な形態であってもよい。例えば、水中油型、油中水型、水中油中水型、およびシリコーン中水中油型エマルジョンを含むが、これらに限定されない、エマルジョン担体が本明細書において有用である。
【0123】
本発明によるエマルジョンには、上記の溶液および脂質または油が含有されうる。脂質および油は、動物、植物、または石油から得てもよく、天然または合成(すなわち、人造)であってもよい。好ましいエマルジョンは同様に、グリセリンのような、保湿剤を含有する。エマルジョンは担体の重量に基づいて、約0.01%〜約10%、より好ましくは約0.1%〜約5%の乳化剤をさらに含有することが好ましいと考えられる。乳化剤は、非イオン性、陰イオン性、または陽イオン性であってよい。適切な乳化剤は、例えば、1973年8月28日付で発行された、Dickertらの米国特許第3,755,560号; 1983年12月20日付で発行された、Dixonらの米国特許第4,421,769号; およびMcCutcheon's Detergents and Emulsifiers, North American Ed., pages 317-324 (1986)に開示されている。
【0124】
エマルジョンは、表皮組織への塗布時に泡立ちを最小限にするよう消泡剤を含有してもよい。消泡剤は、高分子量シリコーン、およびそのような用途で当技術分野において周知の他の材料を含む。
【0125】
適切なエマルジョンは、所望の製品形態に応じて、広範な粘度を有してもよい。好ましい例示的な低粘度のエマルジョンは、約50センチストークまたはそれ以下、より好ましくは約10センチストークまたはそれ以下、さらにより好ましくは約5センチストークまたはそれ以下の粘度を有する。
【0126】
シリコーン中水型エマルジョンは、連続シリコーン相および分散水相を含有することができる。連続シリコーン相は、後述の不連続水相を含有するかまたは包囲する外部相として存在する。連続シリコーン相は、1種類または複数の非シリコーン油を含有してもよい。連続シリコーン相で用いるのに適した非シリコーン油の例は、油中水型エマルジョンの形態の局所パーソナルケア製品で化学分野において周知のもの、例えば、鉱油、植物油、合成油、半合成油などである。
【0127】
エマルジョン技術において、「分散相」という用語は当業者に周知の用語であり、これはその相が、連続相に懸濁され、かつ取り囲まれた小粒子または小滴として存在することを意味する。分散相は内部相または不連続相としても公知である。分散水相は、上述の連続シリコーン相に懸濁され、かつ取り囲まれた水性の小粒子または小滴の分散系である。
【0128】
水相は水、または水および1つもしくは複数の水溶性もしくは水分散性成分の組合せでありうる。そのような成分の非限定的な例としては、増粘剤、酸、塩基、塩、キレート剤(chelants)、ゴム、水溶性または分散性アルコールおよびポリオール、緩衝液、保存剤、日焼け止め剤、着色剤などが挙げられる。
【0129】
シリコーン中水型エマルジョンは、乳化剤を含有することができる。1つの態様において、組成物はその重量の約0.1%〜約10%の乳化剤、より好ましくは約0.5%〜約7.5%の乳化剤、さらにより好ましくは約1%〜約5%の乳化剤を含有する。乳化剤は、水相を連続シリコーン相の中で分散および懸濁するのに役立つ。
【0130】
その他の局所担体は、連続水相およびその中に分散された疎水性の、不水溶性相(「油相」)を有する水中油型エマルジョンを含む。適切な水中油型のエマルジョン担体の例は、1991年12月17日付で発行された、Turner, D. J.らの米国特許第5,073,371号、および1991年12月17日付で発行された、Turner, D. J.らの米国特許第5,073,372号に記述されている。
【0131】
水中油型エマルジョンは、液晶ゲルネットワーク構造の形成を補助する構造化剤(structuring agent)を含有することができる。構造化剤は、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、ステアリン酸、パルミチン酸、平均で約1〜約21のエチレンオキシド単位を有するステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、平均で約1〜約5のエチレンオキシド単位を有するセチルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、およびそれらの混合物を含む。
【0132】
特定の態様において、水中油型エマルジョンは、疎水性材料を水相中で分散できる少なくとも1種類の親水性界面活性剤を含有する(局所担体の重量パーセント)。この界面活性剤は、最小限で、水中において分散するのに十分に親水性でなければならない。本明細書において有用な非イオン性界面活性剤の中には、糖またはデンプン重合体との長鎖アルコール、例えばC8〜30アルコールの縮合生成物として広く定義されうるもの、すなわち、グリコシドがある。
【0133】
本明細書において有用な他の適切な界面活性剤は、当技術分野において公知であるような多岐にわたる陽イオンの、陰イオンの、双性イオンの、および両性の界面活性剤を含む。例えば、Allured Publishing Corporationが刊行している、McCutcheon's, Detergents and Emulsifiers, North American Edition (1986); 1991年4月30日付で発行された、Ciottiらの米国特許第5,011,681号; 1983年12月20日付で発行された、Dixonらの米国特許第4,421,769号; および1973年8月28日付で発行された、Dickertらの米国特許第3,755,560号を参照されたく、これら4つの参考文献はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。本明細書において有用な親水性界面活性剤は、単一の界面活性剤、または適切な界面活性剤の任意の組合せを含有することができる。選択される的確な界面活性剤は、組成物のpHおよび存在する他の成分に依ると考えられる。
【0134】
本明細書において同様に有用なのは、ジアルキル第四級アンモニウム化合物のような、陽イオン界面活性剤であり、これらの例は米国特許第5,151,209号; 同第5,151,210号; 同第5,120,532号; 同第4,387,090号; 同第3,155,591号; 同第3,929,678号; 同第3,959,461号; McCutcheon's, Detergents & Emulsifiers, (North American edition 1979) M.C. Publishing Co.; およびSchwartz, et al., Surface Active Agents, Their Chemistry and Technology, New York: Interscience Publishers, 1949に記述されており、これらの記述は参照により本明細書に組み入れられる。
【0135】
多種多様な陰イオン界面活性剤も本明細書において有用である。例えば、1975年12月30日付で発行された、Laughlinらの米国特許第3,929,678号を参照されたく、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。陰イオン界面活性剤の非限定的な例としては、イセチオン酸アルコイル、ならびにアルキルおよびアルキルエーテル硫酸塩が挙げられる。
【0136】
両性および双性イオンの界面活性剤の例は、脂肪族第二級および第三級アミンの誘導体として広く記述されているものであり、その中で脂肪族基が直鎖または分枝鎖であってよく、およびその中で脂肪族置換基の1つが約8〜約22個の炭素原子(好ましくはC8〜C18)を含有し、かつ1つが陰イオン性の水溶性基、例えばカルボキシ基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、またはホスホン酸基を含有する。
【0137】
ローションおよびクリームを含むがこれらに限定されない、本発明の局所組成物は、皮膚科学的に許容される皮膚軟化剤を含有することができる。そのような組成物は約1%〜約50%の皮膚軟化剤を含有することが好ましい。本明細書において用いられる「皮膚軟化剤」は、乾燥の阻止または軽減に、および皮膚の保護に有用な材料を指す。多岐にわたる適切な皮膚軟化剤が公知であり、本明細書において使用されうる。参照により本明細書に組み入れられるSagarin, Cosmetics, Science and Technology, 2nd Edition, Vol. 1, pp. 32-43 (1972)には、皮膚軟化剤として適切な材料の多数の例が含まれている。好ましい皮膚軟化剤はグリセリンである。グリセリンは、0.001%または約0.001%〜30%または約30%、より好ましくは0.01%または約0.01%〜20%または約20%、さらにより好ましくは0.1%または約0.1%〜10%または約10%、例えば、5%の量で使用されることが好ましい。
【0138】
クリームは、より高いレベルの皮膚軟化剤、またはより高いレベルの増粘剤により、ローションよりも一般に粘稠である。
【0139】
本発明の軟膏は、動物油もしくは植物油または半固体炭化水素(油性の)の単純な担体基剤; 水を吸収してエマルジョンを形成する吸水軟膏基剤; または水溶性の担体、例えば、水溶液の担体を含有してもよい。軟膏は、参照により本明細書に組み入れられるSagarin, Cosmetics, Science and Technology, 2nd Edition, Vol. 1, pp. 72-73 (1972)に記述されているような、増粘化剤、および/または皮膚軟化剤をさらに含有してもよい。例えば、軟膏は、約2%〜約10%の皮膚軟化剤; 約0.1%〜約2%の増粘化剤; および上記の量の小胞-コラーゲンを含有してもよい。
【0140】
さらなるスキンケア剤
本発明の組成物は、1種類または複数の抗酸化剤に加えて、1種類または複数のさらなるスキンケア剤を含有することができ、以下に列挙される剤は、特に記述のない限り水を含まない。
【0141】
さらなる剤は表皮組織への塗布に適しているべきであり、すなわち、組成物に組み入れられる場合、それらは過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などなしにヒト表皮組織と接触させて用いるのに適している。CTFA Cosmetic Ingredient Handbook, Second Edition (1992)にはスキンケア業界で一般に使用される多種多様な限定されない化粧品および医薬品成分が記述されており、それらは本発明の組成物で用いるのに適している。
【0142】
そのような成分の部類の例としては、研磨剤、吸収剤、例えば、香料、顔料、着色料/着色剤、精油、皮膚感覚剤(skin sensate)、収れん剤など(例えば、丁子油、メントール、カンファー、ユーカリ油、オイゲノール、メンチルラクテート(menthyl lactate)、ウィッチヘーゼル留出物)の美的構成成分(aesthetic component)、抗アクネ剤、固化防止剤、消泡剤、抗微生物剤(例えば、ヨードプロピルブチルカルバマート)、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加物、緩衝剤、充填剤、キレート剤、化学的添加物、着色剤、化粧用収れん剤、化粧用殺生物剤、変性剤、薬用収れん剤、外用鎮痛剤、薄層形成剤、または薄層形成材、例えば、組成物の薄層形成性および実質性を補助するための重合体(例えば、エイコセンおよびビニルピロリドンの共重合体)、乳白剤、pH調整剤、噴射剤、還元剤、金属イオン封鎖剤、皮膚脱色剤および皮膚美白剤(例えば、ヒドロキノン、コウジ酸、アスコルビン酸、リン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビルグルコサミン)、皮膚調整剤(例えば、混合性および閉塞性のものを含む湿潤剤)、皮膚鎮静剤および/または治療剤(例えば、パンテノールおよび誘導体(例えば、エチルパンテノール)、アロエベラ、パントテン酸およびその誘導体、アラントイン、ビサボロール、およびグリチルリチン酸二カリウム)、皮膚処置剤、増粘剤、ならびにビタミンおよびその誘導体が挙げられる。
【0143】
しかしながら、本発明のいずれの態様においても、本明細書において有用な剤は、それらがもたらす利益により、または想定されるそれらの作用機序により分類することができる。しかしながら、本明細書において用いられるさらなる剤が、場合によって、複数の利益をもたらすか、または複数の作用機序を介して機能することができることを理解するべきである。したがって、本明細書における分類は、便宜のため行われており、剤をその特定の用途または列挙した用途に限定することを意図するものではない。
【0144】
落屑剤
本発明の組成物に、安全でかつ有効な量の、より好ましくは組成物の約0.1重量%〜約10重量%、さらにより好ましくは約0.2重量%〜約5重量%、同様に好ましくは約0.5重量%〜約4重量%の落屑剤を添加することができる。落屑剤は本発明の皮膚外観の利益を向上させる。例えば、落屑剤は皮膚の質感(例えば、滑らかさ)を改善する傾向がある。本明細書において用いるのに適した落屑系の1つは、スルフヒドリル化合物および双性イオン界面活性剤を含有し、参照により本明細書に組み入れられるBissettの米国特許第5,681,852号に記述されている。本明細書において用いるのに適した別の落屑系は、サリチル酸および双性イオン界面活性剤を含有し、参照により本明細書に組み入れられるBissettの米国特許第5,652,228号に記述されている。これらの出願に記述されているような双性イオン界面活性剤も本明細書における落屑剤として有用であり、セチルベタインが特に好ましい。
【0145】
抗アクネ剤
本発明の組成物は、安全でかつ有効な量の抗アクネ剤の1種類または複数を含有することができる。有用な抗アクネ剤の例としては、レゾルシノール、硫黄、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、エリスロマイシン、亜鉛などが挙げられる。適切な抗アクネ剤のさらなる例は、1997年3月4日付で発行された、McAteeらの米国特許第5,607,980号にさらに詳細に記述されている。
【0146】
抗しわ剤/抗萎縮剤
本発明の組成物は、安全でかつ有効な量の、抗しわ剤または抗萎縮剤の1種類もしくは複数をさらに含有することができる。本発明の組成物で用いるのに適した例示的な抗しわ剤/抗萎縮剤は、硫黄含有のDおよびLアミノ酸ならびにそれらの誘導体および塩、特にN-アセチル誘導体を含み、その好ましい例は、N-アセチル-L-システイン; チオール、例えばエタンチオール; ヒドロキシ酸(例えば、乳酸およびグリコール酸のようなα-ヒドロキシ酸またはサルチル酸およびオクタノイル誘導体などのサルチル酸誘導体のようなβ-ヒドロキシ酸)、フィチン酸、リポ酸; リゾホスファチジン酸、皮膚剥離剤(例えば、フェノールなど)、ビタミンB3化合物、レチノイド、ならびにヒアルロン酸であり、これらはとりわけ表皮組織の状態、例えば、皮膚の状態を調節する上で、本発明の表皮組織外観の利益を向上させる。
【0147】
ヒアルロン酸
本発明の組成物は、任意でヒアルロン酸(HA)を含有してもよく、これは直鎖状HAでありうる。HAは架橋していても架橋していなくてもよい。
【0148】
HAが架橋する場合、ホルムアルデヒド、エポキシド、ポリアジリジル化合物、ジビニルスルホンおよびその他を含む多数の物質を、HAの架橋に用いることができる。架橋剤の1つは、ジビニルスルホンである。この物質は、アルカリ水溶液中でHAと容易に反応して、架橋HAゲルを提供する。これらのゲルは水中で膨潤する。膨潤率は、ゲルの架橋度に依存する。架橋度は、HAの分子量、反応混合物中のHAの濃度、アルカリ濃度、およびポリマー/DVS比を含むいくつかの因子を変えることによって調節することができる。これらのゲルの膨潤率は、反応パラメータに依存して20〜8000、およびそれ以上でありうる。別の架橋剤は1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)である。
【0149】
HAは任意で、単相ゲルの形態であってもよい。さらに、HAは、他の活性剤をHAに共有結合してゲルを形成することによって、そのような他の活性剤の送達に使用することができる。
【0150】
コラーゲン
本発明の組成物は、任意で、1種類もしくは複数の精製した、または組換えた、コラーゲンおよび/もしくはコラーゲン誘導体、またはそれらの組み合わせを含む。本発明において有用なコラーゲンタンパク質は、動物(例えば、ヒト)の細胞または組織から得られた任意の天然コラーゲンタンパク質、組換え発現されたヒトコラーゲンタンパク質(完全長コラーゲンの断片を含む)、ならびにそれらの組み合わせおよび/または製剤を含む。
【0151】
本発明の方法および組成物において使用される精製されたコラーゲンは、動物またはヒトの組織から単離されてもよいが、コラーゲン材料に対する免疫応答を防ぐため、治療される対象がヒトである場合は、本発明の組成物および方法においてヒトコラーゲンを使用するのが好ましい。原材料(例えば、動物の胎盤、骨、皮、腱)から抽出されたコラーゲンは、典型的にはI型コラーゲンと一部のIII型コラーゲンとの混合物である。例えば胎盤から回収されたコラーゲン材料は、コラーゲン型に関して偏っており、完全に均一ではない。ヒト胎盤からコラーゲンを単離する技術は、米国特許第5,002,071号および第5,428,022に記載されている。
【0152】
天然源から直接得られたコラーゲンの使用に加えて、本発明の方法および組成物は、多数の異なる種類のコラーゲン誘導体を含む。コラーゲン誘導体は、いくつかの点で天然コラーゲンとは異なる。コラーゲン誘導体は、非グリコシル化されていてもよく、天然コラーゲンとは異なった形でグリコシル化されていてもよい。所望のグリコシル化パターンは、直接化学修飾および酵素により触媒されるグリコシル化反応および脱グリコシル化反応を含む様々な方法によって生じさせてもよい。所望のグリコシル化パターンはまた、コラーゲン上で見出される天然のグリコシル化パターンを生じるのに不可欠な酵素を阻害するまたは取り除くことによって生じさせてもよい。
【0153】
コラーゲン誘導体にはまた、天然コラーゲンの様々な断片も含まれる。そのようなコラーゲン断片は、特に、1つまたは複数のペプチド結合を化学的または酵素的に切断することによって作製してもよい。コラーゲン誘導体はまた、天然コラーゲン中の対応するアミノ酸残基の位置と比較して、1つまたは複数のアミノ酸残基の差異を含んでもよい。そのようなアミノ酸残基の置換を含むコラーゲン誘導体は、遺伝子工学技術およびインビトロのペプチド合成を含む様々な方法によって作製してもよい。さらなるコラーゲン誘導体は、リシンヒドロキシラーゼおよび/またはプロリンヒドロキシラーゼの変更された発現により所与の分子中に存在するヒドロキシリシンおよび/またはヒドロキシプロリンの量を変更することによって作製してもよく、ここでヒドロキシラーゼ遺伝子(組換えまたはそうでないもの)は宿主細胞内でも発現して組換えコラーゲンまたはその誘導体を発現する。
【0154】
コラーゲン源に関わらず、本発明において使用される好ましいコラーゲンおよびコラーゲン誘導体は、本発明の脂質小胞内におさまるサイズ、例えば、約800 nm未満のものである。コラーゲン原繊維は20〜150 nmのサイズであるため、繊維(1000〜50,000 nm)よりも原繊維が好ましい。コラーゲンを原繊維の形態に維持するために、原繊維を含有する溶液のpHおよび/またはイオン強度は、適切に操作されうる。コラーゲンのサイズを低減するために、プロテアーゼを用いた酵素分解を含む、多数の方法が存在する。コラーゲンは機械的に分解することもできる。例えば、コラーゲンを、乾燥後に機械的に処理して800 nm未満のサイズの微小粒子を作製することができる。さらに、繊維の形成を防ぐためにコラーゲン含有溶液の徹底的な加水分解を用いてもよい。
【0155】
ビタミンB3化合物
本発明の組成物は、安全でかつ有効な量のビタミンB3化合物を含有することができる。ビタミンB3化合物は、1997年4月11日付で出願された米国特許出願第08/834,010号(1997年10月30日付で公開された国際公開WO 97/39733 A1に対応する)に記述されているように、皮膚の状態を調節するのに特に有用である。適切なビタミンB3化合物の例は、当技術分野において周知であり、いくつかの供給元、例えば、Sigma Chemical Company (St. Louis, Mo.); ICN Biomedicals, Inc. (Irvin, Calif.)およびAldrich Chemical Company (Milwaukee, Wis.)から市販されている。ビタミン化合物は、実質的に純粋な材料として、または天然(例えば、植物)供給源から適切な物理的単離および/もしくは化学的単離により得られる抽出物として含まれてもよい。
【0156】
レチノイド
本発明の組成物は同様に、レチノイドを含有することができる。本明細書において用いられる「レチノイド」は、ビタミンAの全ての天然および/もしくは合成類似体、または皮膚でのビタミンAの生物学的活性を保有するレチノール様化合物、ならびにこれらの化合物の幾何異性体および立体異性体を含む。レチノイドは、好ましくはレチノール、レチノールエステル(例えば、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニルを含む、レチノールのC2〜C22アルキルエステル)、レチナール、ならびに/またはレチノイン酸(全トランスレチノイン酸および/もしくは13-シス-レチノイン酸を含む)、より好ましくはレチノイン酸以外のレチノイドである。これらの化合物は当技術分野において周知であり、いくつかの供給元、例えば、Sigma Chemical Company (St. Louis, Mo.)、およびBoerhinger Mannheim (Indianapolis, Ind.)から市販されている。本明細書において有用なその他のレチノイドは、1987年6月30日付で発行されたParishらの米国特許第4,677,120号; 1989年12月5日付で発行されたParishらの米国特許第4,885,311号; 1991年9月17日付で発行されたPurcellらの米国特許第5,049,584号; 1992年6月23日付で発行されたPurcellらの米国特許第5,124,356号; および1992年9月22日付で発行されたPurcellらの米国再発行特許第34,075号に記述されている。その他の適切なレチノイドは、レチノイン酸トコフェリル[レチノイン酸(トランス-またはシス-)のトコフェロールエステル、アダパレン{6-[3-(1-アダマンチル)-4-メトキシフェニル]-2-ナフトエ酸}、およびタザロテン(6-[2-(4,4-ジメチルチオクロマン-6-イル)-エチニル]ニコチン酸エチル)である。好ましいレチノイドは、レチノール、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル、レチナール、およびそれらの組合せである。
【0157】
ヒドロキシ酸
本発明の組成物は、安全でかつ有効な量のヒドロキシ酸を含有することができる。本発明の組成物で用いるのに好ましいヒドロキシ酸は、サリチル酸およびサリチル酸誘導体を含む。
【0158】
キレーター
本発明の組成物は同様に、安全でかつ有効な量のキレーターまたはキレート剤を含有することができる。本明細書において用いられる「キレーター」または「キレート剤」は、金属イオンが容易に化学反応に関与できないように、または化学反応を触媒できないように、錯体を形成させることで系から金属イオンを除去できる活性剤を意味する。キレート剤の含有は、過剰な剥離または皮膚の質感の変化の一因となりうるUV照射からの防御、および皮膚損傷を引き起こしうる他の環境要因からの防御をもたらすのに特に有用である。
【0159】
安全でかつ有効な量のキレート剤を、本発明の組成物に、組成物の好ましくは約0.1%〜約10%、より好ましくは約1%〜約5%添加することができる。本明細書において有用である例示的なキレーターは、1996年1月30日付で発行されたBissettらの米国特許第5,487,884号; 1995年10月31日付で公開されたBushらの国際公開公報第91/16035号; および1995年10月31日付で公開されたBushらの国際公開公報第91/16034号に開示されている。本発明の組成物に有用な好ましいキレーターは、フリルジオキシム、フリルモノキシム、およびその誘導体である。
【0160】
フラボノイド
本発明の組成物は任意でフラボノイド化合物を含有してもよい。フラボノイドは米国特許第5,686,082号および同第5,686,367号に広く開示されており、これらは共に参照により本明細書に組み入れられる。本発明で用いるのに適したフラボノイドは、非置換フラバノン、一置換フラバノン、およびそれらの混合物から選択されるフラバノン; 非置換カルコン、一置換カルコン、二置換カルコン、三置換カルコン、およびそれらの混合物から選択されるカルコン; 非置換フラボン、一置換フラボン、二置換フラボン、およびそれらの混合物から選択されるフラボン; 1種類または複数のイソフラボン; 非置換クマリン、一置換クマリン、二置換クマリン、およびそれらの混合物から選択されるクマリン; 非置換クロモン、一置換クロモン、二置換クロモン、およびそれらの混合物から選択されるクロモン; 1種類または複数のジクマロール; 1種類または複数のクロマノン; 1種類または複数のクロマノール; それらの異性体(例えば、シス/トランス異性体); ならびにそれらの混合物である。本明細書において用いられる「置換」という用語は、フラボノイドの1つまたは複数の水素原子が、ヒドロキシル、C1〜C8アルキル、C1〜C4アルコキシ、O-グリコシドなど、またはこれらの置換基の混合基と独立して置き換えられているフラボノイドを意味する。
【0161】
適切なフラボノイドの例としては、非置換フラバノン、モノ-ヒドロキシフラバノン(例えば、2'-ヒドロキシフラバノン、6-ヒドロキシフラバノン、7-ヒドロキシフラバノンなど)、モノ-アルコキシフラバノン(例えば、5-メトキシフラバノン、6-メトキシフラバノン、7-メトキシフラバノン、4'-メトキシフラバノンなど)、非置換カルコン(特に非置換トランス-カルコン)、モノ-ヒドロキシカルコン(例えば、2'-ヒドロキシカルコン、4'-ヒドロキシカルコンなど)、ジヒドロキシカルコン(例えば、2',4-ジヒドロキシカルコン、2',4'-ジヒドロキシカルコン、2,2'-ジヒドロキシカルコン、2',3-ジヒドロキシカルコン、2',5'-ジヒドロキシカルコンなど)、およびトリ-ヒドロキシカルコン(例えば、2',3',4'-トリヒドロキシカルコン、4,2',4'-トリヒドロキシカルコン、2,2',4'-トリヒドロキシカルコンなど)、非置換フラボン、7,2'-ジヒドロキシフラボン、3',4'-ジヒドロキシナフトフラボン、4'-ヒドロキシフラボン、5,6-ベンゾフラボン、および7,8-ベンゾフラボン、非置換イソフラボン、ダイゼイン(7,4'-ジヒドロキシイソフラボン)、5,7-ジヒドロキシ-4'-メトキシイソフラボン、大豆イソフラボン(大豆から抽出した混合物)、非置換クマリン、4-ヒドロキシクマリン、7-ヒドロキシクマリン、6-ヒドロキシ-4-メチルクマリン、非置換クロモン、3-ホルミルクロモン、3-ホルミル-6-イソプロピルクロモン、非置換ジクマロール、非置換クロマノン、非置換クロマノール、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0162】
本明細書において用いるのに好ましいのは、非置換フラバノン、メトキシフラバノン、非置換カルコン、2',4-ジヒドロキシカルコン、およびこれらの混合物である。より好ましいのは、非置換フラバノン、非置換カルコン(特にトランス異性体)、およびこれらの混合物である。
【0163】
それらは合成材料であってもまた天然供給源(例えば、植物)由来の抽出物として得られてもよい。天然に供給される材料はさらに誘導体化されてもよい(例えば、天然供給源からの抽出後に調製されるエステルまたはエーテル誘導体)。本明細書において有用なフラボノイド化合物はいくつかの供給元、例えば、Indofine Chemical Company, Inc. (Somerville, N.J.)、Steraloids, Inc. (Wilton, N.H.)、およびAldrich Chemical Company, Inc. (Milwaukee, Wis.)から市販されている。
【0164】
抗セルライト剤
本発明の組成物は同様に、安全でかつ有効な量の抗セルライト剤を含有することができる。適切な剤は、キサンチン化合物(例えば、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、およびアミノフィリン)を含むことができるが、これらに限定されることはない。
【0165】
局所麻酔剤
本発明の組成物は、同様に、安全でかつ有効な量の局所麻酔剤を含有することができる。局所麻酔薬の例としては、アルチカイン、ベンゾカイン、リドカイン、ブピバカイン、クロルプロカイン、ジブカイン、エチドカイン、メピバカイン、テトラカイン、ジクロニン、ヘキシルカイン、プロカイン、コカイン、ケタミン、プラモキシン、フェノール、およびその薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0166】
日焼け剤
本発明の組成物は日焼け剤を含有することができる。日焼け剤が存在する場合には、組成物は人工日焼け剤としてジヒドロキシアセトンを、組成物の約0.1重量%〜約20重量%、より好ましくは約2重量%〜約7重量%、およびさらにより好ましくは約3重量%〜約6重量%含有することが好ましい。
【0167】
皮膚美白剤
本発明の組成物は皮膚美白剤を含有することができる。使用される場合、該組成物は皮膚美白剤を、組成物の約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約5重量%、同様に好ましくは約0.5重量%〜約2重量%含有することが好ましい。適切な皮膚美白剤はコウジ酸、アルブチン、アスコルビン酸およびその誘導体(例えば、リン酸アスコルビルマグネシウムまたはリン酸アスコルビルナトリウム)、および抽出物(例えば、桑の実抽出物、胎盤抽出物)を含めて、当技術分野において公知のものを含む。本明細書において用いるのに適した皮膚美白剤は同様に、1995年6月12日付で出願されたPCT出願番号U.S. 95/07432に対応する、Hillebrandの名の下に出願されたPCT公開番号95/34280; および1995年9月8日付で公開されたPCT公開番号95/23780に対応する、Kvalnes, Mitchell A. DeLong, Barton J. Bradbury, Curtis B. Motley, and John D. Carterの名の下に出願された同時係属中の米国特許出願第08/390,152号に記述されているものを含む。
【0168】
皮膚鎮静剤および皮膚治療剤
本発明の組成物は皮膚鎮静剤または皮膚治療剤を含むことができる。本明細書において用いるのに適した皮膚鎮静剤または皮膚治療剤は、パンテノール酸(panthenoic acid)誘導体(パンテノール、デクスパンテノール、エチルパンテノールを含む)、アロエベラ、アラントイン、ビサボロール、およびグリチルリジン酸二カリウムを含む。安全でかつ有効な量の皮膚鎮静剤または皮膚治療剤を、本発明の組成物に、形成される組成物の、好ましくは約0.1重量%〜約30重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約20重量%、さらにより好ましくは約0.5重量%〜約10重量%、添加することができる。
【0169】
抗微生物剤および抗真菌剤
本発明の組成物は抗微生物剤または抗真菌剤を含有することができる。そのような剤は、微生物を殺すか、微生物の発生を阻止するか、または微生物の病原作用を阻止することができる。安全でかつ有効な量の抗微生物剤または抗真菌剤を、好ましくは約0.001%〜約10%、より好ましくは約0.01%〜約5%、およびさらにより好ましくは約0.05%〜約2%、本発明の組成物に添加することができる。
【0170】
抗微生物剤および抗真菌剤の例としては、B-ラクタム薬、キノロン薬、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、テトラサイクリン、エリスロマイシン、アミカシン、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4'-トリクロロバニリド、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェノキシイソプロパノール、ドキシサイクリン、カプレオマイシン、クロルヘキシジン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クリンダマイシン、エタンブトール、イセチオン酸ヘキサミジン、メトロニダゾール、ペンタミジン、ゲンタマイシン、カナマイシン、リネオマイシン、メタサイクリン、メテナミン、ミノサイクリン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、ミコナゾール、塩酸テトラサイクリン、エリスロマイシン、亜鉛エリスロマイシン、エリスロマイシンエストラート、ステアリン酸エリスロマイシン、硫酸アミカシン、塩酸ドキシサイクリン、硫酸カプレオマイシン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、塩酸クロルテトラサイクリン、塩酸オキシテトラサイクリン、塩酸クリンダマイシン、塩酸エタンブトール、塩酸メトロニダゾール、塩酸ペンタミジン、硫酸ゲンタマイシン、硫酸カナマイシン、塩酸リネオマイシン、塩酸メタサイクリン、馬尿酸メテナミン、マンデル酸メテナミン、塩酸ミノサイクリン、硫酸ネオマイシン、硫酸ネチルマイシン、硫酸パロモマイシン、硫酸ストレプトマイシン、硫酸トブラマイシン、塩酸ミコナゾール、ケタコナゾール、塩酸アマンファジン、硫酸アマンファジン、オクトピロックス、パラクロロメタキシレノール、ナイスタチン、トルナフタート、亜鉛ピリチオン、およびクロトリマゾールが挙げられる。
【0171】
さらに、抗微生物ペプチドを使用することができる。
【0172】
調整剤
本発明の組成物は、湿潤剤、保湿剤、または皮膚調整剤から選択される調整剤を含有することができる。種々のこれらの材料を利用することができ、各々が組成物の約0.01重量%〜約20重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、およびさらにより好ましくは約0.5重量%〜約7重量%のレベルで存在することができる。これらの材料は、グアニジン; 尿素; グリコール酸およびグリコール酸塩(例えば、アンモニウム塩および第四級アルキルアンモニウム塩); サリチル酸; 乳酸および乳酸塩(例えば、アンモニウム塩および第四級アルキルアンモニウム塩); 種々の形態のいずれかでのアロエベラ(例えば、アロエベラゲル); ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオール、ブタントリオール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのようなポリヒドロキシアルコール; ポリエチレングリコール; 糖類(例えば、メリビオース)およびデンプン; 糖およびデンプン誘導体(例えば、アルコキシル化グルコース、フコース、グルコサミン); ヒアルロン酸; モノエタノールアミンラクトアミド; モノエタノールアミンアセトアミド; パンテノール; アラントイン; およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されることはない。本明細書において同様に有用なのは、1990年12月11日付で発行された、Orrらの米国特許第4,976,953号に記述のプロポキシル化グリセロールである。
【0173】
構造化剤
本発明の組成物、および特に本発明のエマルジョンは、構造化剤を含有することができる。構造化剤は、本発明の水中油型エマルジョンにおいて特に好ましい。理論によって限定されるものではないが、構造化剤は組成物に流動学的特性を与えるのに役立ち、それにより組成物の安定性に寄与すると考えられる。例えば、構造化剤は液晶ゲルネットワーク構造の形成を補助する傾向がある。構造化剤は乳化剤または界面活性剤として機能することもできる。本発明の好ましい組成物は、1種類または複数の構造化剤を、約0.1%〜約20%、より好ましくは約0.1%〜約10%、さらにより好ましくは約0.5%〜約9%含有する。
【0174】
本発明の好ましい構造化剤は、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、ステアリン酸、パルミチン酸、平均で約1〜約5のエチレンオキシド単位を有するステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、平均で約1〜約5のエチレンオキシド単位を有するセチルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、およびそれらの混合物から選択される。本発明のより好ましい構造化剤は、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、平均で約2のエチレンオキシド単位を有するステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル(ステアレス-2)、平均で約2のエチレンオキシド単位を有するセチルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、およびそれらの混合物から選択される。さらにより好ましい構造化剤は、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、ステアレス-2、およびそれらの混合物から選択される。
【0175】
増粘化剤(増粘剤およびゲル化剤を含む)
本発明の組成物は、1種類または複数の増粘化剤を、組成物の好ましくは約0.1重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約4重量%、およびさらにより好ましくは約0.25重量%〜約3重量%含有することができる。
【0176】
本発明の組成物で用いる非限定的な部類の増粘化剤は、以下から選択されるものを含む: カルボン酸重合体(1992年2月11日付で発行された、Haffeyらの米国特許第5,087,445号; 1985年4月5日付で発行された、Huangらの米国特許第4,509,949号; 1957年7月2日付で発行された、Brownの米国特許第2,798,053号に; およびCTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary, Fourth Edition, 1991, pp. 12 and 80に記述されているものなどの); 架橋ポリアクリル酸重合体(1992年3月31日付で発行された、Haweらの米国特許第5,100,660号; 1989年7月18日付で発行された、Heardの米国特許第4,849,484号; 1989年5月30日付で発行された、Farrarらの米国特許第4,835,206号; 1986年12月9日付で発行された、Gloverらの米国特許第4,628,078号; 1986年7月8日付で発行された、Flesherらの米国特許第4,599,379号; および1987年7月15日付で公開された、FarrarらのEP 228,868に記述されているものなどの); ポリアクリルアミド重合体(置換分枝重合体または非分枝重合体を含む非イオン性ポリアクリルアミド重合体、ならびにアクリル酸および置換アクリル酸とのアクリルアミドおよび置換アクリルアミドのマルチブロック共重合体); 多糖類(これはセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートカルボキシレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、微結晶セルロース、セルロース硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物を含めて、繰り返し糖(repeating sugar)(すなわち、糖質)単位の骨格を含有するゲル化剤を指す); ならびにゴム(アカシア、寒天、アルギン、アルギン酸、アルギン酸アンモニウム、アミロペクチン、アルギン酸カルシウム、カルシウムカラギナン、カルニチン、カラギナン、デキストリン、ゼラチン、ジェランガム、グアーガム、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヘクトライト、ヒアルロン酸(hyaluroinic acid)、水和シリカ、ヒドロキシプロピルキトサン、ヒドロキシプロピルグアー、カラヤゴム、昆布、ローカストビーンガム、納豆ゴム、アルギン酸カリウム、カリウムカラギナン、アルギン酸プロピレングリコール、スクレロチウムゴム、ナトリウムカルボキシメチルデキストラン、ナトリウムカラギナン、トラガカントゴム、キサンタンゴム、およびそれらの混合物など)。
【0177】
組成物の調製
本発明の方法に有用な組成物は、通常、局所組成物を作出する技術分野において知られているような従来の方法により調製される。このような方法は、典型的に、加熱、冷却、真空の適用などを伴うかまたは伴わずに、1つまたは複数の段階で比較的均一な状態にまで成分を混合することを含む。
【0178】
保存剤
保存剤を本発明の組成物に組み入れて、潜在的に有害な微生物の増殖を防ぐことができる。保存剤は微生物が増殖する傾向のある水相にあるが、微生物は無水相または油相に存在することもある。したがって、水にも油にも共に溶解性を有する保存剤が、本発明の組成物で利用されることが好ましい。本発明の組成物に適した従来の保存剤は、パラヒドロキシ安息香酸のアルキルエステルである。使用できる他の保存剤は、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩、および種々の第四級アンモニウム化合物を含む。
【0179】
特に好ましい保存剤は、メチルパラベン、イミダゾリジニルウレア、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピルパラベン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)三ナトリウム、およびベンジルアルコールである。保存剤は、保存剤と他の成分との間に想定される不適合性を回避するように選択することができる。保存剤は、組成物の約0.01重量%〜約2重量%に及ぶ量で利用されることが好ましい。当技術分野において公知の他の保存剤を本発明において使用することができる。
【0180】
投与の方法
本発明の別の局面は、1種類または複数の抗酸化剤を含む分散された脂質小胞および/またはシクロデキストリンが患者の皮膚の真皮層に供与される、本発明の組成物を投与する方法を提供することである。この方法は、対象の皮膚または他の標的部位を、1種類または複数の抗酸化剤を含有する空洞を持った脂質小胞(例えば、非リン脂質寡層薄膜の脂質小胞)を含む組成物と接触させる段階を含む。
【0181】
本発明の組成物は哺乳動物の皮膚の状態を調節するために、および/または改善するために有用である。表皮組織の状態のそのような調節には、予防的調節および治療的調節が含まれうる。例えば、そのような調節法は、表皮組織の肥厚化ならびに哺乳動物の皮膚萎縮の阻止および/または遅延、哺乳動物の皮膚上でのクモ状血管腫および/または赤いしみの出現の阻止および/または遅延、哺乳動物の目の下のくまの出現の阻止および/または遅延、哺乳動物の皮膚の血色の悪さの阻止および/または遅延、哺乳動物の皮膚のたるみの阻止および/または遅延、哺乳動物の唇の柔軟化および/または平滑化、哺乳動物の皮膚の痒みの阻止および/または軽減、皮膚の質感(例えば、しわおよび細かいすじ)の調節、ならびに皮膚の色(例えば、赤み、そばかす)の改善に向けられる。
【0182】
表皮組織の状態の調節は、安全でかつ有効な量の本発明の組成物を表皮組織に局所的に塗布することを伴う。塗布される組成物の量、塗布の頻度、および使用期間は、所与の組成物の抗酸化剤(および、存在する場合、他のスキンケア剤)のレベル、ならびに例えば、存在するかまたは起こると予想される表皮組織の損傷のレベルを踏まえ、所望とされる調節のレベルに応じて大きく異なると考えられる。
【0183】
好ましい態様において、組成物は皮膚に長期的に塗布される。「長期の局所塗布」とは、対象の生存期間の長期にわたる、好ましくは少なくとも約1週間にわたる、より好ましくは少なくとも約1ヶ月間にわたる、さらにより好ましくは少なくとも約3ヶ月間にわたる、さらにより好ましくは少なくとも約6ヶ月間にわたる、およびさらにより好ましくは少なくとも約1年間にわたる、組成物の継続的な局所塗布を意味する。利益はさまざまな最大使用期間(例えば、5、10、または20年)の後に得られるが、対象の生涯を通じて長期の塗布が続くことが好ましい。典型的には、塗布はそのような長期にわたり1日あたりおよそ1回になるが、しかし塗布の程度は1週間あたり約1回から1日あたり約3回またはそれ以上まで変化してもよい。
【0184】
皮膚の外観および/または感触の利益をもたらすため、本発明の組成物の多様な量が利用可能である。1回の塗布あたりに通常塗布される本発明の組成物の量は、mg組成物/cm2皮膚で、約0.1 mg/cm2〜約10 mg/cm2である。特に有用な塗布量は約1 mg/cm2〜約2 mg/cm2である。
【0185】
表皮組織の状態の改善および/または調節は、ある美容的、予防的、治療的、または他の利益のため皮膚または他のケラチン構造に残るよう意図されることが好ましい、皮膚ローション、クリーム、ゲル、泡、軟膏、ペースト、乳液、スプレー、コンディショナー、トニック、化粧品、口紅、ファンデーション、アフターシェーブなどの形態で組成物を塗布すること(すなわち「つけたまま(leave-on)」の組成物)により実践されることが好ましい。組成物を皮膚に塗布した後に、組成物は少なくとも約15分間、より好ましくは少なくとも約30分間、さらにより好ましくは少なくとも約1時間、さらにより好ましくは少なくとも数時間、例えば、約12時間まで皮膚に放置されることが好ましい。身体の外側部分の任意の部分、例えば、唇、目の下の領域、まぶた、頭皮、首、胴、腕、手、脚、足などを処置することができる。組成物は指でまたは器具もしくは装置(例えば、パッド、綿ボール、塗布用ペン、スプレー塗布器など)で塗布することができる。
【0186】
真皮層への少なくとも最低レベルの抗酸化剤(および、存在する場合、少なくとも1種類のスキンケア剤)の継続的分散を確実にする別の手法は、例えば、顔に貼り付けられる貼付剤の使用により化合物を塗布することである。そのような手法は、いっそうの集中的処置を必要とする、問題のある皮膚領域(例えば、顔の目尻のしわの領域、眉間のすじ、目の下の領域など)に特に有用である。貼付剤は閉塞性、半閉塞性、または非閉塞性であってよく、接着性または非接着性であってよい。組成物は貼付剤の中に含有されても、または貼付剤の適用の前に皮膚に塗布されてもよい。貼付剤は同様に、Wuらの米国特許第5,821,250号、同第5,981,547号、および同第5,972,957号に記述されているものなどの、発熱反応の化学的開始剤のようなさらなる剤を含むことができる。貼付剤は、少なくとも約5分間、より好ましくは少なくとも約15分間、さらに好ましくは少なくとも約30分間、さらにより好ましくは少なくとも約1時間、さらに好ましくは夜間療法の形態として夜間、皮膚に放置されることが好ましい。
【0187】
本発明をその詳細な説明と共に記述してきたが、先の記述は、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を例証し、限定はしないよう意図されることが理解されるべきである。他の局面、利点、および変更は、添付の特許請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の抗酸化剤を含む、リポソーム。
【請求項2】
以下の抗酸化剤の1種類または複数を含む、請求項1記載のリポソーム:L-アスコルビン酸、ビタミンE(トコフェロール)、酢酸トコフェリル、コエンザイムQ-10、白茶(white tea)抽出物、ブドウ種子抽出物、ナイアシンアミド、およびクエン酸亜鉛。
【請求項3】
寡層薄膜(paucilamellar)である、請求項1記載のリポソーム。
【請求項4】
対象の皮膚と抗酸化剤を内部に封入した空洞を含む担体を含む組成物とを接触させる工程を含む、対象の皮膚に剤を投与する方法であって、前記担体がリポソームまたはシクロデキストリンである、方法。
【請求項5】
抗酸化剤が以下のうちの1種類である、請求項8記載の方法:ビタミンE(トコフェロール)、酢酸トコフェリル、コエンザイムQ-10、白茶抽出物、ブドウ種子抽出物、ナイアシンアミド、およびクエン酸亜鉛。
【請求項6】
担体がリポソームである、請求項8記載の方法。
【請求項7】
リポソームが寡層薄膜である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1種類の抗炎症剤を含む、リポソーム。
【請求項9】
以下の抗炎症剤の1種類または複数を含む、請求項8記載のリポソーム:キュウリ抽出物、キヅタ抽出物、シイタケ抽出物、および/またはアラントイン。
【請求項10】
寡層薄膜である、請求項8記載のリポソーム。
【請求項11】
対象の皮膚と抗炎症剤を内部に封入した空洞を含む担体を含む組成物とを接触させる工程を含む、対象の皮膚に剤を投与する方法であって、前記担体がリポソームまたはシクロデキストリンである、方法。
【請求項12】
抗炎症剤が以下のうちの1種類である、請求項11記載の方法:キュウリ抽出物、キヅタ抽出物、シイタケ抽出物、および/またはアラントイン。
【請求項13】
担体がリポソームである、請求項11記載の方法。
【請求項14】
リポソームが寡層薄膜である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1種類のペプチドを含む、リポソーム。
【請求項16】
以下のペプチドの1種類または複数を含む、請求項15記載のリポソーム:ヘキサペプチド-3(Argireline)、ヘキサペプチド-9(Collaxyl)、Dermaxyl(商標)(パルミトイルオリゴペプチド)、Matrixyl 3000(商標)(グリセリン、ブチレングリコール、水、カルボマー、ポリソルベート-20、パルミトイルオリゴペプチド、およびパルミトイルテトラペプチド-3)、Haloxyl(商標)(パルミトイルテトラペプチド-3)、Sepilift(商標)(ジパルミトイルヒドロキシプロリン)、Eyeliss(商標)(ヘルペリジンメチルカルコンおよびジペプチド-2およびパルミトイルテトラペプチド-3)、Rigin、ならびに/またはMaxilip(商標)(エチルヘキシルパルミテート、トリベヘニン、ソルビタンイソステアレート、およびパルミトイルオリゴペプチド)。
【請求項17】
寡層薄膜である、請求項15記載のリポソーム。
【請求項18】
対象の皮膚とペプチドを内部に封入した空洞を含む担体を含む組成物とを接触させる工程を含む、対象の皮膚に剤を投与する方法であって、前記担体がリポソームまたはシクロデキストリンである、方法。
【請求項19】
ペプチドが以下のうちの1種類である、請求項18記載の方法:ヘキサペプチド-3(Argireline)、ヘキサペプチド-9(Collaxyl)、Dermaxyl(商標)(パルミトイルオリゴペプチド)、Matrixyl 3000(商標)(グリセリン、ブチレングリコール、水、カルボマー、ポリソルベート-20、パルミトイルオリゴペプチド、およびパルミトイルテトラペプチド-3)、Haloxyl(商標)(パルミトイルテトラペプチド-3)、Sepilift(商標)(ジパルミトイルヒドロキシプロリン)、Eyeliss(商標)(ヘルペリジンメチルカルコンおよびジペプチド-2およびパルミトイルテトラペプチド-3)、Rigin、ならびに/またはMaxilip(商標)(エチルヘキシルパルミテート、トリベヘニン、ソルビタンイソステアレート、およびパルミトイルオリゴペプチド)。
【請求項20】
担体がリポソームである、請求項18記載の方法。
【請求項21】
リポソームが寡層薄膜である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1種類の湿潤剤を含む、リポソーム。
【請求項23】
以下の湿潤剤の1種類または複数を含む、請求項22記載のリポソーム:アボカドオイル/ステロール、アボカドバター、白色ワセリン、および/またはイリッペバター(illipe butter)。
【請求項24】
寡層薄膜である、請求項22記載のリポソーム。
【請求項25】
対象の皮膚と湿潤剤を内部に封入した空洞を含む担体を含む組成物とを接触させる工程を含む、対象の皮膚に剤を投与する方法であって、前記担体がリポソームまたはシクロデキストリンである、方法。
【請求項26】
湿潤剤が以下のうちの1種類である、請求項25記載の方法:アボカドオイル/ステロール、アボカドバター、白色ワセリン、および/またはイリッペバター。
【請求項27】
担体がリポソームである、請求項25記載の方法。
【請求項28】
リポソームが寡層薄膜である、請求項27記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1種類の日焼け止め剤を含む、リポソーム。
【請求項30】
以下の日焼け止め剤の1種類または複数を含む、請求項29記載のリポソーム:オクトクリレン、酸化亜鉛、および/またはメトキシケイヒ酸オクチル。
【請求項31】
寡層薄膜である、請求項29記載のリポソーム。
【請求項32】
対象の皮膚と日焼け止め剤を内部に封入した空洞を含む担体を含む組成物とを接触させる工程を含む、対象の皮膚に剤を投与する方法であって、前記担体がリポソームまたはシクロデキストリンである、方法。
【請求項33】
日焼け止め剤が以下のうちの1種類である、請求項32記載の方法:オクトクリレン、酸化亜鉛、および/またはメトキシケイヒ酸オクチル。
【請求項34】
担体がリポソームである、請求項32記載の方法。
【請求項35】
リポソームが寡層薄膜である、請求項34記載の方法。
【請求項36】
少なくとも1種類の皮膚軟化剤を含む、リポソーム。
【請求項37】
以下の皮膚軟化剤の1種類または複数を含む、請求項36記載のリポソーム:イリッペバター、シアバター、ショラシードバター(shora seed butter)、Ceraphyl 847(登録商標)(オクチルドデシルステアロイルステアレート)、C12〜15アルキルベンゾエート、ペンタエリスリチルテトライソステアレート、および/またはジイソプロピルアジペート。
【請求項38】
寡層薄膜である、請求項36記載のリポソーム。
【請求項39】
対象の皮膚と皮膚軟化剤を内部に封入した空洞を含む担体を含む組成物とを接触させる工程を含む、対象の皮膚に剤を投与する方法であって、前記担体がリポソームまたはシクロデキストリンである、方法。
【請求項40】
皮膚軟化剤が以下のうちの1種類である、請求項39記載の方法:イリッペバター、シアバター、ショラシードバター、Ceraphyl 847(登録商標)(オクチルドデシルステアロイルステアレート)、C12〜15アルキルベンゾエート、ペンタエリスリチルテトライソステアレート、および/またはジイソプロピルアジペート。
【請求項41】
担体がリポソームである、請求項39記載の方法。
【請求項42】
リポソームが寡層薄膜である、請求項41記載の方法。

【公表番号】特表2010−516695(P2010−516695A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546535(P2009−546535)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/051437
【国際公開番号】WO2008/089408
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(508101339)
【Fターム(参考)】