説明

抗酸化剤

【課題】
カロテノイド、アスコルビン酸類、トコフェロール類はそれぞれ抗酸化効果があることは知られている。しかし、それぞれ消去効果がある活性酸素種は限られており、様々な活性酸素種に対応する抗酸化剤が求められている。
【解決手段】
そこで、製剤中にカロテノイド、アスコルビン酸類およびトコフェロール類を配合した抗酸化剤は、それぞれを単独で用いるよりも、各種の活性酸素種を同時に消去でき、顕著な抗酸化効果を有することを見い出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カロテノイド、アスコルビン酸類、トコフェロール類からなる抗酸化剤、並びに抗酸化剤を含有する飲食品、化粧品及び医薬品に関する。さらには、この抗酸化剤を含有する老化改善、疲労改善、筋肉疲労改善、眼精疲労改善、免疫改善用、メタボリックシンドローム改善の飲食品、老化改善、肌質改善、美白用の化粧品、及び老化改善、疲労改善、筋肉疲労改善、眼精疲労改善、免疫改善用、メタボリックシンドローム改善用の医薬品に関する。
【背景技術】
【0002】
カロテノイドは、天然、広く分布する黄色〜赤色色素であり、食品、化粧品の色素として用いられている。特に、アスタキサンチンは、抗酸化能力が高くビタミンEの約1000倍の抗酸化能力があることから、生体内の抗酸化剤や眼の調節機能改善、メタボリックシンドローム改善、老化緩和などの用途が提案されている。
【0003】
アスコルビン酸(ビタミンC)は、ヒトにとって必須ビタミンであり水系で強い酸化還元能とラジカル補足能を有することから、生体内で免疫機能の維持、メラニン合成の抑制などの作用を行っている。一方、アスコルビン酸はpH、熱、金属イオンの影響などによって容易に酸化分解させやすいという欠点があり、誘導体の探索が試みられてきた。L−アスコルビン酸−2−グルコシドは、安定性が高く、生体内で吸収されて各組織でアスコルビン酸に遊離して生理作用を及ぼす。そのため、アスコルビン酸は摂取してからすぐに代謝分解されるのに対して、L−アスコルビン酸−2−グルコシドは摂取後の採用時間が長いという効果もある。
【0004】
トコフェロール類は抗酸化効果を有することが広く知られ、特にトコトリエノールは生体内での抗酸化効果が高く、本出願人は血管新生阻害、細胞増殖阻害効果があることから、固形腫瘍、糖尿病性網膜症、慢性関節リウマチ、血管腫、歯周病、強皮症、緑内障、乾癬、加齢黄斑変性症の治療用の医薬品について既に特許出願を行っている。
【0005】
L−アスコルビン酸−2−グルコシド、α−トコフェロール、オキアミを含有する魚介類養殖飼料用添加剤が知られている(特許文献1)。アスタキサンチン、L−アスコルビン酸−2−グルコシド、トコフェロールを飼料用の栄養組成物を与えることによってアスタキサンチンの蓄積濃度を向上させることが知られている(特許文献2)。L−アスコルビン酸−2−グルコシドとアスタキサンチン、トコフェロールなどの抗酸化剤に配合した動物用ストレス反応緩和剤が知られている(特許文献3)。
【0006】
しかし、アスタキサンチン、L−アスコルビン酸−2−グルコシド及びトコトリエノールを含む抗酸化剤は知られておらず、これらを同時に摂取することによって、生体内で効能が相乗的に発揮され、特に顕著な生体内での抗酸化機能を有していることは知られてはいない。
【0007】
【特許文献1】日本国特開平5−115249号公報
【特許文献2】日本国特開平6−276956号公報
【特許文献3】日本国特開平10−175866号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、カロテノイド、アスコルビン酸類、トコフェロール類を含有することによって、それぞれ単独を配合した組成物よりも優れた安定性と抗酸化性を有する飲食品、化粧品及び医薬品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、カロテノイド、アスコルビン酸類、トコフェロール類を含有する組成物が安定性と抗酸化性を有し、薬効効果が向上することを見出した。本発明は係る知見に基づくものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明において、カロテノイドとは、α‐カロテン、β‐カロテン、リコピン、フィトエンなどのカロテン類やそのエポキシ体、または、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ルテイン、クリプトキサンチン、ツナキサンチン、サルモキサンチン、パラシロキサンチン、ビオラキサンチン、アンテラキサンチン、ククルビタキサンチン、ディアトキサンチン、アロキサンチン、ペクテノール、ペクテノロン、マクトラキサンチン、カプサンチン、カプサンチノール、フコキサンチン、フコキサンチノール、ペリジニン、ハロシンチアキサンチン、アマロウシアキサンチン、カンタキサンチン、エキネノン、ロドキサンチン、ビキシン、ノルビキシンなどのキサントフィル類、さらには、ノルカロテノイド類やアポカロテノイド類であり、好ましくはアスタキサンチン、ゼアキサンチン、ルテイン、カンタキサンチンであり、特に好ましくはアスタキサンチンである。また、レチノール、デヒドロレチノール、レチノイン酸などのレチノイド類でもよい。これらのカロテノイドは、植物、動物、微生物などの天然物から抽出されたものや化学合成品を用いることができる。天然物からの物質を抽出物は、その原料種類、産地及び製造方法は特に限定されない。
【0011】
本発明の記載で、特に記載がない限り、カロテノイドはカロテノイドおよび/またはそのエステル体を含む。さらに、カロテノイドのエステルにはモノエステル体および/またはジエステル体を含む。
【0012】
本発明のカロテノイドとしては、カロテノイドの遊離体、モノエステル体、ジエステル体の少なくとも一種を用いることができる。ジエステル体は2つの水酸基がエステル結合により保護されているため化学的及び物理的に遊離体やモノエステル体よりも安定性が高く本発明の組成物中で酸化分解されにくい。しかし、生体中に取り込まれると生体内酵素により速やかにカロテノイドに加水分解され、効果を示すものと考えられている。
【0013】
カロテノイドのモノエステルとしては、低級または高級飽和脂肪酸、あるいは低級または高級不飽和脂肪酸によりエステル化されたエステル類をあげることができる。前記低級または高級飽和脂肪酸、あるいは低級または高級不飽和脂肪酸の具体例としては、酢酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、へプタデカン酸、エライジン酸、リシノール酸、ベトロセリン酸、バクセン酸、エレオステアリン酸、プニシン酸、リカン酸、パリナリン酸、ガドール酸、5−エイコセン酸、5−ドコセン酸、セトール酸、エルシン酸、5,13−ドコサジエン酸、セラコール酸、デセン酸、ステリング酸、ドデセン酸、オレイン酸、ステアリン酸、エイコサオペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などをあげることができる。また、カロテノイドのジエステルとしては前記脂肪酸からなる群から選択される同一または異種の脂肪酸によりエステル化されたジエステル類をあげることができる。
【0014】
さらに、カロテノイドのモノエステルとしては、グリシン、アラニンなどのアミノ酸;酢酸、クエン酸などの一価または多価カルボン酸;リン酸、硫酸などの無機酸;グルコシドなどの糖;グリセロ糖脂肪酸、スフィンゴ糖脂肪酸などの糖脂肪酸;グリセロ脂肪酸などの脂肪酸;グリセロリン酸などによりエステル化されたモノエステル類をあげることができる。なお、考えられ得る場合は前記モノエステル類の塩も含む。
【0015】
脂肪酸の誘導体としては、上記脂肪酸のリン脂質型、アルコール型、エーテル型、ショ糖エステル型、ポリグリセリンエステル型があげられる。
【0016】
カロテノイドのジエステルとしては、前記低級飽和脂肪酸、高級飽和脂肪酸、低級不飽和脂肪酸、高級不飽和脂肪酸、アミノ酸、一価または多価カルボン酸、無機酸、糖、糖脂肪酸、脂肪酸およびグリセロリン酸からなる群から選択される同一または異種の酸によりエステル化されたジエステル類をあげることができる。なお、考えられ得る場合は前記ジエステル類の塩も含む。グリセロリン酸のジエステルとしては、グリセロリン酸の飽和脂肪酸エステル類、または高級不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸または飽和脂肪酸から選択される脂肪酸類を含有するグリセロリン酸エステル類などをあげることができる。
【0017】
アスタキサンチンとは、天然物由来のものまたは合成により得られるものを意味する。天然物由来のものとしては、例えば、緑藻ヘマトコッカスなどの微細藻類、赤色酵母ファフィアなどの酵母類、エビ、オキアミ、カニ、ミジンコなどの節足動物類の甲殻、イカ、タコなどの軟体動物類の内臓や生殖巣、種々の魚介類の皮、ナツザキフクジュソウなどのフクジュソウ属の花弁、Paracoccus sp. N81106、Brevundimonas sp. SD212、Erythrobacter sp. PC6などのα−プロテオバクテリア類、Gordonia sp. KANMONKAZ-1129などのゴードニア属、Schizochytriuym sp. KH105などのラビリンチュラ類(特にヤブレツボカビ科)やアスタキサンチン産生遺伝子組み換え生物体などから得られるものをあげることができる。天然からの抽出物および化学合成品は市販されており、入手は容易である。
【0018】
アスタキサンチンは、3,3'−ジヒドロキシ−β,β−カロテン−4,4'−ジオンであり、立体異性体を有する。具体的には、(3R,3'R)−アスタキサンチン、(3R,3'S)−アスタキサンチンおよび(3S,3'S)−アスタキサンチンの3種の立体異性体が知られているが、本発明にはそのいずれも用いることができる。本発明はこれらアスタキサンチン異性体のモノエステル及びジエステルを含む。
【0019】
本発明において、アスタキサンチンの脂肪酸エステルは、天然物由来のものまたは合成により得られるもののいずれも用いることができるが、体内での吸収からアスタキサンチンエステルが各種の油脂に溶解した天然物由来が好ましい。天然物由来には、例えば、オキアミ抽出物、ファフィア酵母抽出物、ヘマトコッカス藻抽出物があるが、特に好ましいのはアスタキサンチンの安定性とアスタキサンチンのエステルの種類によりヘマトコッカス藻抽出物である。
【0020】
アスタキサンチンの脂肪酸エステルは突然変異原性が観察されず、安全性が高い化合物であることが知られて、食品添加物として広く用いられている(高橋二郎ほか:ヘマトコッカス藻アスタキサンチンの毒性試験―Ames試験、ラット単回投与毒性試験、ラット90日反復経口投与性毒性試験―,臨床医薬,20:867−881,2004)。
【0021】
ヘマトコッカス藻は、ボルボックス目クラミドモナス科に属する緑藻類であり、通常は緑藻であるためクロロフィル含量が高く緑色であり、2本の鞭毛によって水中を遊泳しているが、栄養源欠乏や温度変化等の飢餓条件では休眠胞子を形成し、アスタキサンチン含量が高くなり赤い球形となる。本発明においては、いずれの状態でのヘマトコッカスを用いることができるが、アスタキサンチンを多く含有した休眠胞子となったヘマトコッカスを用いるのが好ましい。また、ヘマトコッカス属に属する緑藻類では、例えば、ヘマトコッカス・プルビイアリス(Haematococcus pluviaris)が好ましい。
【0022】
ヘマトコッカス緑藻類の培養方法としては、異種微生物の混入・繁殖がなく、その他の夾雑物の混入が少ない密閉型の培養方法が好ましく、例えば、一部解放型のドーム形状、円錐形状又は円筒形状の培養装置と装置内で移動自在のガス吐出装置を有する培養基を用いて培養する方法(国際公開第99/50384号公報)や、密閉型の培養装置に光源を入れ内部から光を照射して培養する方法、平板状の培養槽やチューブ型の培養層を用いる方法が適している。
【0023】
本発明のヘマトコッカス藻から抽出物を得る方法としては、ヘマトコッカス藻を乾燥粉砕した後アセトンやアルコールなどの有機溶媒で抽出する方法、ヘマトコッカス藻を有機溶媒に懸濁させて粉砕し同時に抽出する方法、二酸化炭素などを用いる超臨界抽出する方法などで行うことができる。
【0024】
超臨界抽出法は、常法によって行うことができ、例えば、広瀬(Ind Eng Chem Res、2006、45(10)、3652-3657、Extraction of Astaxanthin from Haematococcus pluvialis Using Supercritical CO2 and Ethanol as Entrainer)らの方法で行うことができる。
【0025】
前記培養物または前記甲殻類から有機溶媒を用いて抽出および精製する方法については種々の方法が知られている。例えば、アスタキサンチン及びそのエステルは油溶性物質であることから、アスタキサンチンを含有する天然物からアセトン、アルコール、酢酸エチル、ベンゼン、クロロホルムなどの油溶性有機溶媒でアスタキサンチン含有成分を抽出することができる。また、二酸化炭素や水などを用い超臨界抽出を行うこともできる。抽出後、常法に従って溶媒を除去してモノエステル型のアスタキサンチンとジエステル型のアスタキサンチンの混合濃縮物を得ることができる。得られた濃縮物は、所望により分離カラムやリパーゼ分解によりさらに精製することができる。
【0026】
前記のドーム型培養装置や密閉型の培養装置で培養したヘマトコッカス藻を乾燥させ、粉砕後にアセトンで抽出または、アセトン中で粉砕と抽出を同時に行ったのち、アセトンを除去してアスタキサンチン抽出する製法(特開2006−70114)が、空気に触れることがないことからアスタキサンチンの酸化がほとんどなく、夾雑物が少なく、すなわち本発明の効果を阻害する物質が少なく、アスタキサンチンとトリグリセリドを純度良く多く含むことができ好適である。
【0027】
本発明において、アスコルビン酸類とは、L−アスコルビン酸及びその誘導体であり、例えば、アスコルビン酸モノステアレート、アスコルビン酸モノパルミテート、アスコルビン酸モノオレート等のアスコルビン酸モノアルキルエステル類、アスコルビン酸モノ燐酸エステル及びそのマグネシウム塩のようなアスコルビン酸モノエステル誘導体とその塩、アスコルビン酸ジステアレート、アスコルビン酸ジパルミテート、アスコルビン酸ジオレート等のアスコルビン酸ジアルキルエステル類、アスコルビン酸ジ燐酸エステルとその塩のようなアスコルビン酸ジエステル誘導体、アスコルビン酸トリステアレート、アスコルビン酸トリパルミテート、アスコルビン酸トリオレート等のトリアルキルエステル類等、アスコルビン酸トリ燐酸エステル等のアスコルビン酸トリエステル誘導体等、3−O−エチル,6−アセチルL−アスコルビン酸、3−O−エチル,6−ブチルL−アスコルビン酸、3−O−エチル,6−ラウロイルL−アスコルビン酸、3−O−エチル,6−パトイルL−アスコルビン酸、3−O−エチル,6−オレオイルL−アスコルビン酸、3−O−エチル,6−ステアロイルL−アスコルビン酸、3−O−エチル,6−ベヘルミノイルL−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸−2−グルコシドである。中でもL−アスコルビン酸−2−グルコシドが好ましい。L−アスコルビン酸−2−グルコシドは、酸化や熱などから安定であり、生体内に取り込まれて細胞表面のグルコシダーゼによって、アスコルビン酸に遊離されて効果を及ぼす。L−アスコルビン酸−2−グルコシドはα型、β型があり、α型が好ましい。また、これらアスコルビン酸類の1種以上または2種以上の混合物としても使用することができる。アスコルビン酸類は、合成品、精製品、天然物からの抽出物、天然物で含有するものを用いることができる。
【0028】
本発明において、トコフェロール類とは、トコフェロール及びその誘導体、トコトリエノール及びその誘導体である。トコフェロールとしては、トコフェロールおよびそれらの誘導体であり、それらを1種以上が含まれているオイルであり、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、これらの各異性体のニコチン酸、酢酸、コハク酸などのエステルなどを意味する。これらのトコフェロールには、d−、l−、dl−型の異性体がある。また、これらの1種以上または2種以上の混合物としても使用することができる。
【0029】
トコトリエノールとは、トコトリエノールの異性体や誘導体、トコフェロールの異性体や誘導体を含み、天然物由来のものまたは合成により得られるものを意味し、例えば、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール、これらの各異性体のニコチン酸、酢酸、コハク酸などのエステルなどを意味する。これらのトコトリエノールには、d−、l−、dl−型の異性体がある。また、これらの1種以上または2種以上の混合物としても使用することができる。これらのトコトリエノールは、常法により、例えば、天然物の圧搾、天然物からの抽出または合成などの方法により得ることができる。これらのトコトリエノール類は、所望により、例えば、カラムクロマトグラフィーなどにより、さらに分離精製し、純度を良くしたものであってもよい。
【0030】
本発明の抗酸化剤は、飲食品、化粧品、医薬品などに配合して一重項酸素、ヒドロキシラジカル、ペルオキシラジカルなどの活性酸素やフリーラジカルから酸化に対して安定性を高めることができる。また、本発明の抗酸化剤を動物の生体内または外用に塗布する場合は、生体に対して活性酸素やフリーラジカルからの酸化を抑制・防止・予防することができる。
【0031】
本発明の抗酸化剤における、カロテノイド、アスコルビン酸類、トコフェロール類の配合割合は、それぞれが消去する活性酸素種や抗酸化対象の親水性や親油性によって適宜選ぶことができ、それぞれ遊離体換算で1:0.1〜1000:0.1〜100の割合で配合することができ、好ましくは1:0.5〜200:0.5〜20である。本発明の抗酸化剤は、配合対象の全量に対して、0.001〜99.9重量%の範囲で配合することができ、好ましくは0.01〜90重量%である。
【0032】
本発明の抗酸化剤を生体の抗酸化剤として用いる場合は、通常の飲食品、化粧品、医薬品の形態で用いることができる。以下、カロテノイド、アスコルビン酸類、トコフェロール類の具体例として、それぞれアスタキサンチン、L−アスコルビン酸−2−グルコシド、トコトリエノールついて述べるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
本発明の抗酸化剤の医薬品に用いられるアスタキサンチンの量は、アスタキサンチン遊離体換算量で、成人では1日あたり、0.5〜100mg、好ましくは1〜30mgの服用量で経口投与または非経口投与で行う。投与量は、投与される患者の年齢、体重、症状の程度、投与形態によって異なる。本発明の医薬品におけるアスタキサンチン量は0.01〜99重量%、好ましくは0.1〜90重量%の量で含有させることができる。
【0034】
本発明の抗酸化剤の医薬品に用いられるL−アスコルビン酸−2−グルコシドの量は、L−アスコルビン酸−2−グルコシド単体換算で、成人では1日あたり、0.5〜5000mg、好ましくは1〜1000mgの服用量で経口投与または非経口投与で行う。投与量は、投与される患者の年齢、体重、性別、症状の程度、投与形態によって異なる。本発明の医薬品におけるL−アスコルビン酸−2−グルコシドの量は0.01〜99重量%、好ましくは0.1〜90重量%の量で含有させることができる。
【0035】
本発明の抗酸化剤の医薬品に用いられるトコトリエノールの量は、トコトリエノール単体換算で、成人では1日あたり、0.5〜1000mg、好ましくは1〜200mgの服用量で経口投与または非経口投与で行う。投与量は、投与される患者の年齢、体重、性別、症状の程度、投与形態によって異なる。本発明の医薬品におけるトコトリエノールの量は0.01〜99重量%、好ましくは0.1〜90重量%の量で含有させることができる。
【0036】
本発明の医薬品の薬効効果を補助するため、補助効果を有する物質を添加することができる。例えば、フラボノイド、セサミン、クルクミノイド、フラボノイド、没食子酸、ピロガロール、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、エピガロカテキン、グルコガリン、プロアントシアニジン及びそのポリマー、エラグ酸、タンニンなどのポリフェノール、SOD様物質、コエンザイムQ10、α−リポ酸、デオキシリボ核酸及びその塩、アデノシン三リン酸、アデノシン一リン酸などのアデニル酸誘導体及びそれらの塩、リボ核酸及びその塩、グアニン、キサンチン及びそれらの誘導体並びにそれらの塩などの核酸関連物質、血清除蛋白抽出物、脾臓抽出物、胎盤抽出物、鶏冠抽出物、ローヤルゼリーなどの動物由来の抽出物;酵母抽出物、乳酸菌抽出物、ビフィズス菌抽出物、霊芝抽出物などの微生物由来の抽出物、ヘチマ抽出物、センキュウ抽出物、パパイヤ末、高麗人参抽出物、ブルーベリー抽出物、ビルベリー抽出物、カシツ抽出物、イチョウ葉抽出物、ニンジン抽出物、センブリ抽出物、ローズマリー抽出物、オウバク抽出物、ニンニク抽出物、ヒノキチオール、セファランチンなどの植物由来の抽出物、α−またはγ−リノレイン酸、エイコサペンタエン酸及びそれらの誘導体、コハク酸及びその誘導体並びにそれらの塩、エストラジオール及びその誘導体並びにそれらの塩、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、サリチル酸などのα−ヒドロキシ酸及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、メフェナム酸、フェニルブタゾン、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、アラントイン、グアイアズレン及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ε−アミノカプロン酸、ジクロフェナクナトリウム、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コラーゲン、アロエ抽出物、サルビア抽出物、アルニカ抽出物、カミツレ抽出物、シラカバ抽出物、オトギリソウ抽出物、ユーカリ抽出物及びムクロジ抽出、チロシナーゼ活性阻害剤が、システイン及びその誘導体並びにその塩、センプクカ抽出物、ケイケットウ抽出物、サンペンズ抽出物、ソウハクヒ抽出物、トウキ抽出物、イブキトラノオ抽出物、クララ抽出物、サンザシ抽出物、シラユリ抽出物、ホップ抽出物、ノイバラ抽出物及びヨクイニン抽出物、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン及びケラタン硫酸並びにこれらの塩類、コラーゲン、エラスチン、ケラチン及びこれらの誘導体並びにその塩類、グルタチオン、ビタミンB、D−アスコルビン酸、海洋深層水、DHA、漢方薬類、海草類、無機物など、並びにそれらの混合物からなる群から1種または2種以上選択することができる。また、これらを含んだ果実や葉芽、表皮、藻類、菌類などの乾燥粉体を配合することによっても、同様の効果を得ることができる。これらの成分は、医薬品全量に対して一般には0.01〜90重量%、好ましくは0.1〜50重量%配合され、一種以上組み合わせて用いることができる。
【0037】
本発明の記載で、特に記載がない限り、改善効果には予防効果、抑制効果、治療効果も含むものとする。
【0038】
本発明の抗酸化剤は、生体内及び皮膚表面上で良好な抗酸化効果があることから、活性酸素の消去及び捕捉効果、活性酸素種による攻撃の改善・抑制に効果があり、活性酸素種が原因といわれている老化、疲労、筋肉疲労、眼精疲労、免疫低下、メタボリックシンドロームなどの改善・予防用の効果がある。
【0039】
薬効のその他の効果として、脳機能改善、肝機能改善、胃炎・関節炎などの炎症緩和、虚血性疾患改善、糖尿病性腎症・網膜症・神経症などの合併症進展抑制、血中乳酸蓄積阻害、筋肉損傷軽減、筋肉持久力向上や目の調節機能改善などの効果を有する。本発明の抗酸化剤を配合した薬剤、化粧品、飲食物、飼料はこの効果を有することができる。
【0040】
本発明において、アスタキサンチン、L−アスコルビン酸−2−グルコシド、及びトコトリエノール含有する組成物が、それぞれ単独よりも顕著な効果を示すのは、詳細な原因は不明であるが、1)アスタキサンチンが一重項酸素の消去、2)トコトリエノールがペルオキシラジカルの捕捉、3)L−アスコルビン酸−2−グルコシドがL-アスコルビン酸になってヒドロキシラジカルの捕捉を行い、それぞれ単独では消去・補足能が低い各種の活性酸素を除去し、最終的に相乗効果的に脂質過酸化が抑制されるためと考えられる。
【0041】
本発明の医薬品は、経口または非経口で投与することがでる。経口用の剤形としては、例えば、錠剤、口腔内速崩壊錠、カプセル、顆粒、細粒などの固形投薬形態、シロップおよび懸濁液のような液体投薬形態で投与される。非経口の剤形としては、点鼻剤、貼付剤、軟膏剤、坐剤の形態で投与される。なお、ここで医薬品には医薬部外品もふくまれる。
【0042】
本発明の医薬品は、一般製剤の製造に用いられる種々の添加剤を適当量含んでいてもよい。このような添加剤として、例えば賦形剤、結合剤、酸味料、発泡剤、人工甘味料、香料、滑沢剤、着色剤、安定化剤、pH調整剤、界面活性剤などが挙げられる。賦形剤としては、例えばトウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギコデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、有孔デンプン等のデンプン類、乳糖、ショ糖、ブドウ糖などの糖、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マルチトールなどの糖アルコール、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸などの無機化合物などがあげられる。結合剤としては、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム末、ゼラチン、プルランなどが挙げられる。崩壊剤としては、例えばデンプン、寒天、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、結晶セルロース、F−MELT(商標、富士化学工業(株)製)などがあげられる。酸味剤としては、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸などがあげられる。発泡剤としては、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。甘味料としては、例えばサッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチンなどが挙げられる。香料としては、例えばレモン油、オレンジ油、メントールなどが挙げられる。滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウムなどが挙げられる。着色剤としては、例えば食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号などの食用色素、食用レーキ色素、三二酸化鉄などが挙げられる。安定化剤としては、エデト酸ナトリウム、トコフェロール、シクロデキストリン等が挙げられる。pH調整剤としては、クエン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、酢酸塩、アミノ酸塩などが挙げられる。界面活性剤として、ポリソルベート80、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロース、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、アラビアガム、粉末トラガントなどがあげられる。アスタキサンチンやトコトリエノールの吸収や製剤化を良くするためには粉末状態にすることができる。
【0043】
シロップ、ドリンク剤、懸濁液などの液剤は、有効成分を必要に応じてpH調製剤、緩衝剤、溶解剤、懸濁剤等、張化剤、安定化剤、防腐剤などの存在下、常法により製剤化することができる。懸濁剤としては、例えば、ポリソルベート80、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロース、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、アラビアガム、粉末トラガントなどを挙げることができる。溶解剤としては、例えば、ポリソルベート80、水添ポリオキシエチレンヒマシ油、ニコチン酸アミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、マクロゴール、ヒマシ油脂肪酸エチルエステルなどを挙げることができる。安定化剤としては、例えば亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウムなどを挙げることができる。防腐剤としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、ソルビン酸、フェノール、クレゾール、クロロクレゾールなどを挙げることができる。
【0044】
皮膚外用剤の形態には、特に限定されず、例えば、乳液、クリーム、化粧水、パック、分散液、洗浄料、メーキャップ化粧料、頭皮・毛髪用品等の化粧品や、軟膏剤、クリーム剤、外用液剤等の医薬品などとすることができる。上記成分以外に、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、美白剤、保湿剤、各種皮膚栄養成分、紫外線吸収剤、酸化防止剤、油性成分、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、色剤、水、防腐剤、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0045】
本発明の抗酸化剤は、飲食品や飼料に配合して用いることができ、同様の効果を得ることができる。
【0046】
飲食品としては、サプリメント、健康食品、栄養機能食品や特定保健用食品などの保健機能食、特別用途食品、一般食品、医薬部外品さらにはスポーツ用のサプリメントとして用いることができ、摂取のしやすさや摂取量が決めやすいことから、サプリメント、スポーツ用のサプリメント、保健機能食、特別用途食品が好ましく、前述医薬品と同様の形態、錠剤、口腔内速崩壊錠、カプセル、顆粒、細粒などの固形投与形態、液剤、ドリンク、シロップおよび懸濁液のような液体投与形態で摂取することができる。上記医薬品用製剤で用いる成分のうち、食品で使用可能なものを選択でき、その他に乳蛋白質、大豆蛋白質、卵アルブミン蛋白質など、または、これらの分解物である卵白オリゴペプチド、大豆加水分解物、アミノ酸単体の混合物を併用することもできる。また、ドリンク形態で提供する場合は、栄養バランス、摂取時の風味を良くするためにアミノ酸、ビタミン類、ミネラル類などの栄養的添加物、甘味料、香辛料、香料および色素などを配合してもよい。本発明の飲食物の形態は、これらに限定されるものではない。
【0047】
一般食品、すなわち飲食物の形態例としては、マーガリン、バター、バターソース、チーズ、生クリーム、ショートニング、ラード、アイスクリーム、ヨーグルト、乳製品、ソース肉製品、魚製品、漬け物、フライドポテト、ポテトチップス、スナック菓子、かきもち、ポップコーン、ふりかけ、チューインガム、チョコレート、プリン、ゼリー、グミキャンディー、キャンディー、ドロップ、キャラメル、パン、カステラ、ケーキ、ドーナッツ、ビスケット、クッキー、クラッカー、マカロニ、パスタ、ラーメン、蕎麦、うどん、サラダ油、インスタントスープ、ドレッシング、卵、マヨネーズ、みそなど、または果汁飲料、清涼飲料、スポーツ飲料などの炭酸系飲料または非炭酸系飲料など、茶、コーヒー、ココアなどの非アルコールまたはリキュール、薬用酒などのアルコール飲料などの一般食品への添加例を挙げることができる。
【0048】
飲食品では、アスタキサンチン、L−アスコルビン酸−2−グルコシドおよびトコトリエノールを一般食品の原料と共に配合し、常法に従って加工製造することにより製造される。アスタキサンチン、L−アスコルビン酸−2−グルコシドおよびトコトリエノールの配合量は食品の形態などにより異なり特に限定されるものではないが、一般にはアスタキサンチン、トコトリエノールおよびL−アスコルビン酸−2−グルコシドの使用量は当業者が飲食物の種類に応じて適宜選択でき、前述の医薬品と同様の量を配合することができる。
【0049】
本発明の抗酸化剤を飼料に配合した場合も、医薬品や飲食品と同様の効果を得ることができ、例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、サル、犬、猫、ハムスター、豚、牛、羊、馬、ワニ、ヘビ、トカゲ、鳥に投与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
本発明をさらに詳細に説明にするために以下に実施例をあげるが、本発明がこの実施例のみに限定されないことはいうまでもない。
【0051】
ここで用いるアスタリール50Fとは、富士化学工業(株)製のヘマトコッカス藻から抽出したアスタキサンチンを遊離体換算で5%含有するオイルである。
トコトリールオイル65とは、富士化学工業(株)製のトコトリエノールを50%含有するオイルである。
【0052】
[実施例1] 生体の酸化的組織障害に対するアスタキサンチン、L−アスコルビン酸−2−グルコシドおよびトコトリエノールの作用
4週齢の雄性ddyマウスに、アスタリールオイル50F200mg(アスタキサンチン遊離体換算で10mg含有)、または、アスタリールオイル50F200mg+トコトリールオイル65100mg(トコトリエノール50mg含有)、または、アスタリールオイル50F200mg+トコトリールオイル65100mg+L−アスコルビン酸100mg、または、アスタリールオイル50F200mg+トコトリールオイル65100mg+L−アスコルビン酸−2−グルコシド100mgを強制経口投与し、3及び8時間後に採血を行い、遠心分離により血漿を分離した。得られた血漿はmicroBCA法によりタンパク質を定量後、70μg/mLになるように調整し、そこにAAPH [2,2'-アゾビス(2−アミノプロパン)塩酸塩]あるいはAMBN [2,2'-アゾビス(2,4'−ジメチルバレロレロニトリル)]を400μMになるように添加した。その後、37℃にインキュベートし、経時的に234nmの吸光度を測定し、酸化による共役ジエンの形成までの時間をラグタイムとした。コントロールとして、上記試料を投与していないマウスの血漿をもちいた。
【0053】
[表1] 投与後3および8時間後における各投与群のラグタイム

【0054】
投与3時間後では、L−アスコルビン酸が血中に移行しているので、多少のラグタイムの延長は見られるが、その効果は顕著ではない。アスタキサンチン単独またはアスタキサンチンとトコトリエノールの組み合せではその時間では血中に移行していないために本来の効果が発揮されていない。しかし、投与8時間後では、アスタキサンチン単独またはアスタキサンチンとトコトリエノールの組み合せにおいて効果を発揮してはいるが、アスタキサンチンとL−アスコルビン酸−2−グルコシドおよびトコトリエノールを組み合わせて投与したものは、その他と比べて著しくラグタイムが延長された。すなわち、相乗的に生体内の酸化を抑制することが本結果より観察された。
【0055】
[実施例2] 筋肉持久力に対するアスタキサンチン、L−アスコルビン酸−2−グルコシドおよびトコトリエノールの作用
4週齢の雄性ddyマウスを用い、コントロール群と投与群としてアスタキサンチン1.2mg/kg/日(アスタキサンチン源としてアスタリールオイル50Fを使用)、アスタキサンチン1.2mg/kg/日+トコトリエノール6mg/kg/日(トコトリエノール源としてトコトリールオイル65を使用)、アスタキサンチン1.2mg/kg/日+トコトリエノール6mg/kg/日+L−アスコルビン酸−2−グルコシド6mg/kg/日の4群に分け、5週間の経口投与し、投与前後の筋肉持久力を遊泳試験にて評価した。遊泳試験は、マウスに体重の10%の重りを負荷し、疲労困憊するまでの時間の測定を行った。
【0056】
[表2] 各群における投与前後の遊泳時間

【0057】
この結果より、アスタキサンチンとトコトリエノールの組み合せは、アスタキサンチン単独よりも効果はあるが、さらにL−アスコルビン酸−2−グルコシドを組み合わせることにより、さらに相乗的に筋肉持久力が向上することが観察された。
【0058】
[実施例3] 官能評価試験
下記処方によりカプセル剤を調製し、VDT作業者である28〜55歳の男女20名をパネルとし、毎日、朝食と夕食直後に2錠、4週間渡って摂取した。試験後、全身の疲労感、眼の疲れ、冷え性についてアンケートを行った。
[カプセル剤]
常法によりソフトカプセル剤皮100mg(ゼラチン70重量部、グリセリン25重量部)に下記成分からなるカプセル内容物200mgを混練してから充填し、1粒300mgのソフトカプセルを得た。アスタリールオイル50F〔富士化学工業(株)製〕はフリー体換算で5重量%のアスタキサンチンを含むヘマトコッカス藻抽出オイルから製造した抽出物であり、トコトリールオイル65〔富士化学工業(株)製〕はトコトリエノールを50重量%を含む抽出物である。
【0059】
[表3] ソフトカプセル内容物

【0060】
[表4] 全身の疲労感

【0061】
[表5] 眼の疲れ

【0062】
[表6] 冷え性

【0063】
表4〜6の結果より、アスタキサンチン、L−アスコルビン酸−2−グルコシドおよびトコトリエノールを組み合わせることにより、アスタキサンチン単独、L−アスコルビン酸−2−グルコシドおよびトコトリエノールと比べて相乗的に疲労、眼の疲労や目の調節機能、冷え性が改善されている。
【0064】
[実施例4] 美肌効果試験
18〜55歳の女性20名をパネルとし、朝の起床後と夜の就寝前の毎日2回、5週間、洗顔後に表6の組成でクリームを調製し適量を顔面に塗布した。塗布による美肌効果を以下の基準によって評価した。
[表7]試験用クリームの処方
下記の処方に従って、常法により、均一に乳化、混合し、クリームを得た。水を加えて全量を100とした。

[評価基準]
美肌効果:
[評価] [内容]
良好 肌のしわ、しみ、くすみが目立たなくなり、肌にハリが出た。
無効 使用前と変化なし。
悪化 肌のしわ、しみ、くすみが目立たつようになり、肌に荒れが出た。
【0065】
[表8] 美肌効果試験の結果

【0066】
この結果より、アスタキサンチン、L−アスコルビン酸−2−グルコシドおよびトコトリエノールを組み合わせることにより、アスタキサンチン単独、L−アスコルビン酸−2−グルコシドおよびトコトリエノールと比べて、より優れた美肌効果・老化防止効果が認められた。
【0067】
[製造例1] 錠剤
常法に従って下記成分を下記組成比(重量%)で均一に混合・打錠し、1粒300mgの錠剤とした。
アスタリールパウダー 66.7重量部
トコトリールパウダーG 33.3重量部
L−アスコルビン酸−2−グルコシド 3.3重量部
乳糖 5重量部
バレイショデンプン 8.7重量部
ポリビニルアルコール 2重量部
ステアリン酸マグネシウム 1重量部
アスタリールパウダー〔富士化学工業(株)製〕はフリー体換算で1重量%のアスタキサンチンを含むヘマトコッカス藻抽出オイルから製造した粉末であり、トコトリールパウダーG〔富士化学工業(株)製〕はトコトリエノールを20重量%を含む粉末である。
【0068】
[製造例2] 口腔内速崩壊錠剤
常法に従って下記成分を下記組成比(重量%)で均一に混合・打錠し、1粒300mgの錠剤とした。
アスタリールパウダー 25重量部
トコトリールパウダーG 12.5重量部
L−アスコルビン酸−2−グルコシド 1.5重量部
F−MELT 30重量部
ライススターチ 10重量部
ステアリン酸マグネシウム 1重量部
【0069】
[製造例3] 眼精疲労用カプセル剤
常法によりソフトカプセル剤皮100mg(ゼラチン70重量部、グリセリン25重量部)に下記成分からなる300mgを混練してから充填し、1粒440mgのソフトカプセルを得た。
内容物
アスタリールオイル50F 32重量部
トコトリールオイル65 20重量部
L−アスコルビン酸−2−グルコシド 8重量部
ルテイン 8重量部
ビルベリーエキス 32重量部
【0070】
[製造例4] メタボリックシンドローム用カプセル剤
常法によりソフトカプセル剤皮100mg(ゼラチン70重量部、グリセリン25重量部)に下記成分からなる300mgを混練してから充填し、1粒440mgのソフトカプセルを得た。
内容物
アスタリールオイル50F 32重量部
トコトリールオイル65 20重量部
L−アスコルビン酸−2−グルコシド 8重量部
カシスエキス 16重量部
ブドウ種子抽出物 24重量部









【特許請求の範囲】
【請求項1】
カロテノイド、アスコルビン酸類、トコフェロール類のいずれか2種以上を含有してなる抗酸化剤。
【請求項2】
カロテノイド、アスコルビン酸類、トコフェロール類の配合割合が、1:0.1〜1000:0.1〜100である請求項1の抗酸化剤。
【請求項3】
カロテノイドがアスタキサンチンである請求項1〜2の抗酸化剤。
【請求項4】
アスタキサンチンが、緑藻ヘマトコッカス類、ファフィア酵母、節足動物類、軟体動物類、フクジュソウ属、α−プロテオバクテリア類、ゴードニア属、ラビリンチュラ類、遺伝子組み換え生物体由来である請求項1〜3の抗酸化剤。
【請求項5】
アスコルビン酸類がL−アスコルビン酸−2−グルコシドである請求項1〜4の抗酸化剤。
【請求項6】
トコフェロール類がトコトリエノールである請求項1〜5の抗酸化剤。
【請求項7】
請求項1〜6の抗酸化剤を含有する飲食品。
【請求項8】
請求項1〜6の抗酸化剤を含有する老化改善、疲労改善、筋肉疲労改善、眼精疲労改善、免疫改善用、メタボリックシンドローム改善用の飲食品。
【請求項9】
請求項1〜6の抗酸化剤を含有する老化改善、肌質改善、美白用の化粧品。
【請求項10】
請求項1〜6の抗酸化剤を含有する老化改善、疲労改善、筋肉疲労改善、眼精疲労改善、免疫改善用、メタボリックシンドローム改善用の薬剤。




【公開番号】特開2008−179632(P2008−179632A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341558(P2007−341558)
【出願日】平成19年12月29日(2007.12.29)
【出願人】(390011877)富士化学工業株式会社 (53)
【Fターム(参考)】