説明

抗酸化物質及びこれを含む化粧品等

【課題】脱脂米糠等を加工して製造され、脱脂米糠等よりも付加価値の高い抗酸化物質、及びこれを含む化粧品等を提供する。また、それによって、脱脂・脱蛋白・米糠の利用を促進する。
【解決手段】この発明の抗酸化物質は、脱脂米糠等を、微細化処理及び加熱処理の少なくとも何れか一方で処理してなるものである。また、この発明の医薬品、医薬部外品、化粧品、食品及び飼料は、この発明の抗酸化物質を含んでいるものである。なお、脱脂・脱蛋白・米糠に微細化処理及び加熱処理の両方の処理をすることによって、その抗酸化力をより向上させることができる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、脱脂米糠等を原料とする抗酸化物質、及びこれを含む化粧品等に関する。
【背景技術】
【0002】
米糠は、玄米を精白して精白米を得る際に得られる副産物であって、玄米の表面にある除去された糠層や胚芽からなる。この米糠は、精白米には含まれていない脂肪分、蛋白質、食物繊維、ビタミン、ミネラル等の栄養素を大量に含んでおり、玄米の栄養素の95%を含んでいるとも言われている。このように、米糠は優れた栄養分を含んでいるため、食料の大半を輸入に依存する我が国において、米糠の利用方法の開発は重要な研究課題である。
【0003】
現在、米糠は、家畜や家禽の飼料、キノコ栽培の資材、ぬか漬け用の「ぬか床(ぬかみそ)」等として利用されてはいるものの、主に米油の原料として利用されている。米糠から米油を製造する際には、圧搾法や溶剤抽出法等が使用されるが、何れの方法でも、副産物である脱脂米糠を大量に排出する。
【0004】
この脱脂米糠は、脂肪分こそ米糠よりも少ないものの、他の成分、具体的には蛋白質、食物繊維、ビタミン、その他の生理活性物質等を含んでおり、様々な用途が検討されている。例えば、脱脂米糠を微細化したのち、過熱水蒸気処理して食品の添加成分とすることも試みられている(特許文献1を参照)。ただし、用途が食品に限定されているため、生成する脱脂米糠の一部しか利用されていない。
【0005】
また、脱脂米糠が含んでいる蛋白質はその特性に注目して様々な利用が試みられている。具体的には、脱脂米糠に含まれる蛋白質を利用する酒類のオリ下げ剤(特許文献2を参照)、脂質代謝異常改善組成物(特許文献3を参照)等が挙げられる。ただ、脱脂米糠から蛋白質を抽出したあとには、脱脂米糠の重量の8割を占める脱脂・脱蛋白・米糠が、副産物として残ってしまう。
【0006】
この脱脂・脱蛋白・米糠は、脱脂米糠と同様、食物繊維、ビタミン、ミネラル、その他の生理活性物質を含んでおり、餡の増量剤としての利用等様々な用途について研究されてはいる(特許文献4を参照)。
【0007】
しかし、現状では、脱脂・脱蛋白・米糠は食品添加物や家畜の飼料等にしか利用されておらず、その多くは廃棄されている。そこで、以前から脱脂米糠等の付加価値を高め、その利用を促進することが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−54586号公報
【特許文献2】特開2006−204293号公報
【特許文献3】国際特許公開2007−029631号公報
【特許文献4】特開2007−222126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、脱脂米糠等を加工して製造され、脱脂米糠等よりも付加価値の高い抗酸化物質、及びこれを含む化粧品等を提供することを課題とする。また、それによって、脱脂米糠等の利用を促進することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の抗酸化物質は、脱脂米糠等を、微細化処理及び加熱処理の少なくとも何れか一方で処理してなるものである。
【0011】
また、この発明の化粧品、医薬品、医薬部外品、食品及び飼料は、この発明の抗酸化物質を含んでいるものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明の抗酸化物質は、優れた抗酸化力を備えており、これを加えることによって化粧品等に抗酸化力を付与することができる。そのため、化粧品等の原料として抗酸化物質の利用が促進されれば、その原料である脱脂米糠等もより有効に利用されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1(a)は、微細化処理した脱脂・脱蛋白・米糠を加熱処理することが、抗酸化力に与える影響を示すグラフである。図1(b)は、微細化処理をしていない脱脂・脱蛋白・米糠を加熱処理することが、抗酸化力に与える影響を示すグラフである。
【図2】図2は、微細化処理した脱脂米糠を加熱処理することが、抗酸化力に与える影響を示すグラフである。
【図3】図3は、微細化処理した脱脂・脱蛋白・脱フィチン米糠を加熱処理することが、抗酸化力に与える影響を示すグラフである。
【図4】図4は、粒子径が抗酸化力に与える影響を示すグラフである。
【図5】図5は、加熱方法が抗酸化力に与える影響を示すグラフである。
【図6】図6は、加熱時間が抗酸化力に与える影響を示すグラフである。
【図7】図7は、加熱温度と加熱時間が抗酸化力に与える影響を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.抗酸化物質
この発明の抗酸化物質は、脱脂米糠等を、微細化処理及び加熱処理の少なくとも何れか一方で処理してなるものである。また、脱脂米糠等に微細化処理及び加熱処理の両方を行えば、より抗酸化力を高めることができる。以下に、その詳細について説明する。
【0015】
(1)脱脂米糠等
脱脂米糠及び脱脂・脱蛋白・米糠は、米糠から公知の方法で油分、蛋白質を除去したものであれば、特に問題なく使用できる。ここで、米糠は、米の品種や生育時期、地域等は特に限定する必要はなく、玄米や白米を精米して得られるものであれば使用できる。
【0016】
米糠からの油分の除去方法としては、公知の方法であれば特に問題なく利用できる。具体的には、溶剤抽出法、圧搾法等、超臨界二酸化炭素抽出法(例えば、特開2006−97011号公報等を参照)等が挙げられる。中でも、抽出効率と安全性に優れ、大量処理も可能であるため、溶媒としてヘキサンを使用する溶剤抽出法が好ましい。
【0017】
米糠からの蛋白質の除去は、公知の方法であれば特に問題なく利用できる。例えば、米糠を水溶液、有機溶剤等の溶媒を使用して除去する方法が挙げられる。具体的には、まず、米糠を溶媒と攪拌、振とうして混合し、混合液を調製する。つぎに、この混合液を静置、攪拌、振とうしながら適温で保管して、蛋白質を溶媒に可溶化する。さらに、遠心分離、濾過、減圧膜濾過、加圧膜濾過又は静置デカント等によって、溶媒と米糠とを分離する。
【0018】
なお、米糠からの油分と蛋白質の除去操作はその順序を特に限定しない。ただし、効率や操作性に優れているため、油分を除去したのちに蛋白質を除去することが好ましい。すなわち、米糠からこめ油を製造したのち、副産物として発生する脱脂米糠から脱脂脱蛋白質を製造することが好ましい。
【0019】
前記脱脂・脱蛋白・米糠の代わりに、ガン抑制作用があると言われるフィチン酸を除去・精製してなる脱脂・脱蛋白質・脱フィチン・米糠を使用してもよい。脱脂・脱蛋白質・脱フィチン・米糠を得る方法としては、公知の方法であれば特に問題なく利用できる。
【0020】
具体的には、米糠の懸濁液を、アルカリ性水溶液(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)でアルカリ性にして、フィチン酸を除去する方法(例えば、特開昭52−1054号公報を参照)が挙げられる。
【0021】
なお、フィチン酸の除去操作は、油脂、蛋白の除去操作と同時又はその前後の何れでもよいが、付加価値の高い米油や米蛋白質を除去したあとが好ましい。また、各作業工程の間で、保存等のために必要であれば、米糠を乾燥してもよい。
【0022】
(2)微細化処理
脱脂米糠等の微細化処理は、ジェットミル、ターボミル、トルネードミル、ボールミル、クライオミル等の公知の微細化手段を使用して行うことができる。なお、微細化後の脱脂米糠等の粒径が、小さければ小さいほど抗酸化力は増すものの、微細化に時間が掛かり、生産性が低下するそのため、抗酸化力と生産性を勘案して適切な粒径まで微細化すればよい。
【0023】
具体的には、微細化処理した脱脂米糠等が、10meshの篩を通る大きさ(平均粒径が1.70mmよりも小さい。)であれば充分な抗酸化力が得られる。なお、meshとはJIS Z 8801に規定された篩の目開の単位のことであり、1インチ(約2.54cm)の篩の中に何本の網目(糸)が通っているかを示す値である。
【0024】
(3)加熱処理
脱脂米糠等の加熱処理は、過熱水蒸気による加熱、電磁波(電子レンジ、オーブンレンジ等)による加熱、電熱(ホットプレート等)、電磁調理器、ガスによる加熱等の公知の加熱手段を使用して行うことができる。中でも、規模を拡大し易いことから、過熱水蒸気による加熱処理が好ましい。
【0025】
なお、加熱温度や加熱時間は、加熱方法、脱脂米糠等の水分量等に応じて適切な値を選択することができる。例えば、過熱水蒸気を使用する場合には、140℃〜220℃で10秒〜5分程度処理すればよい。
【0026】
2.化粧品等
この発明の化粧品、医薬品、医薬部外品、食品及び飼料は、この発明の抗酸化物質を含んでいるものである。なお、これらの化粧品、医薬品、医薬部外品、食品及び飼料における抗酸化物質の含有量は、使用する抗酸化物質の抗酸化力やその用途等を勘案して自由に設定することができる。
【0027】
なお、化粧品とは、薬事法に規定されているものであって、例えば、口紅、ファンデーションなどのメークアップ化粧品、化粧水などの基礎化粧品、ヘアトニック、香水、歯磨き、シャンプー、リンス、身体を洗うための石鹸、入浴剤などのいわゆるトイレタリー製品が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
また、医薬品とは、薬事法に規定されているものであって、医療用医薬品及び一般用医薬品(OTC)の何れをも含む。また、その対象となる疾患は従来からある抗酸化物質を含む医薬品、例えば抗がん剤、胃腸薬などであれば、特に限定することなく使用できる。さらに、その形態については、例えば、丸薬剤、液剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル錠剤、トローチ剤、シロップ剤、ドライシロップ剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
また、医薬部外品とは、薬事法に規定されているものであって、例えば、脱臭剤(デオドラント剤)、育毛剤、薬用化粧品類、栄養補給薬(サプリメント)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
また、食品とは、一般食品、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)、健康食品、栄養補助食品などを意味している。例えば、飲料、餡、餅、麺類、パンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
さらに、飼料とは、ヒト以外の動物の餌のことである。ヒト以外の動物としては、例えば、イヌ、ネコなどの愛玩動物、カナリア、インコなど観賞用鳥類、キンギョ、熱帯魚などの観賞用魚類、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマなどの家畜、ニワトリなどの家禽、ブリ、マダイ、ヒラメなどの養殖魚などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
以下に、実施例に基づいてこの発明をより具体的に説明する。ただし、これらの実施例は如何なる意味においても特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0033】
(1)脱脂米糠および脱脂・脱蛋白・米糠の調製
米糠3kgをタンクに移してヘキサン15Lを加えた。これを30分間撹拌して、米油をヘキサン中に抽出したのち、300meshのスクリーンを通して脱脂残渣を回収した。この脱脂残渣を撹拌槽に移したのち、40kPa、60℃の条件下で撹拌槽下部より少量の窒素ガスを注入しながら90分間撹拌して溶剤を除去し、2.5kgの脱脂米糠を得た。
【0034】
脱脂米糠2kgに水20Lを加え、水酸化ナトリウム水溶液(25W/V%)を使用してpH8.5に調整したのち、室温で1時間撹拌した。その後、遠心分離(1,500rpm×30秒間)で蛋白質抽出液と脱脂・脱蛋白・米糠に分離した。得られた脱脂・脱蛋白・米糠を、常温の乾燥空気で乾燥して、以下の試験に使用した。
【0035】
(2)微細化処理と加熱処理が抗酸化力に与える影響
脱脂・脱蛋白・米糠を加熱処理及び微細化処理することによる抗酸化力の変化を調べた。具体的には、以下のようにして調べた。
【0036】
まず、(1)で得られた脱脂・脱蛋白・米糠を微細化処理群と非微細化処理群に分け、微細化処理群をジェットミルで処理して平均粒径が15μmとなるように微細化した(微細化処理)。つぎに、両群をそれぞれ加熱処理群と非加熱処理群に分け、加熱処理群には過熱水蒸気発生装置(瀬田興産化工(株)製社製 型番GHC0505-W03L20)によって発生させた過熱水蒸気によって、加熱処理(200℃、5分間)をした。
【0037】
さらに、微細化後加熱処理群、微細化後非加熱処理群、微細化前加熱処理群、微細化前非加熱処理群の各群から0.2gずつサンプルを採取した。採取したサンプルをDPPHエタノール溶液(0.1mM、8mL)に添加したのち、30分後に518nmの吸光強度を吸光光度計(JASCO社製 型番V-560)により測定して、DPPHラジカル消去能(抗酸化力)を測定した。なお、DPPHとは1,1-Diphenyl-2-picrylhydrazylのことである。その結果を図1に示す。ここで、図1(a)は微細化処理群の測定結果を示しており、図1(b)は非微細化処理群の測定結果を示している。
【0038】
図1(a)が示すように、加熱処理によって微細化群の抗酸化力は向上していることが分かった。また、図1(b)が示すように、加熱処理によって非微細化群も抗酸化力が向上していることが分かった。また、図1(a)と図1(b)の比較から、微細化することによって抗酸化力がより向上していることが分かった。さらに、加熱処理単独よりも微細化処理単独の方が、より抗酸化力が向上していることが分かった。加えて、両処理を組み合わせれば、単独の場合と比べて抗酸化力が向上することが分かった。
【0039】
(3)脱脂米糠において加熱が抗酸化力に与える影響
脱脂米糠を微細化処理・加熱処理しても抗酸化力が向上するか否かについて調べた。具体的には、脱脂米糠を、(2)と同様にして、微細化及び加熱処理したのち、抗酸化力を測定した。その結果を図2に示す。この図に示すように、脱脂米糠においても加熱処理によって、抗酸化力が向上したことが分かった。
【0040】
(4)脱脂・脱蛋白・脱フィチン・米糠において加熱が抗酸化力に与える影響
脱フィチン米糠を微細化処理・加熱処理しても抗酸化力が向上するか否かについて調べた。具体的には、脱脂・脱蛋白・米糠からさらにフィチンを除いた脱脂・脱蛋白・脱フィチン米糠を、(2)と同様にして、微細化及び加熱処理したのち、抗酸化力を測定した。その結果を図3に示す。この図に示すように、脱脂・脱蛋白・脱フィチン・米糠においても加熱処理によって、抗酸化力が向上したことが分かった。
【0041】
なお、脱脂・脱蛋白・脱フィチン・米糠は、以下のようにして調製した。まず、脱脂米糠400gを3.2Lの水に懸濁させたのち、得られた懸濁液を水酸化ナトリウム水溶液(25W/V%)でpH8.5に調整し、室温で60分間混合した。つぎに、混合液を遠心分離(2,000rpm×20分間)して、不溶物質と溶液に分けた。さらに、不溶物質を水2Lで洗浄して遠心分離(2,000rpm×20分間)することを三回繰り返した。最後に、不溶物質を常温の乾燥空気で乾燥して、脱脂・脱蛋白・脱フィチン・米糠とした。
【0042】
(5)粒子径が抗酸化力に与える影響
微細化処理及び加熱処理した脱脂・脱蛋白・米糠の粒子径が、抗酸化力に与える影響について調べた。具体的には、以下のようにして調べた。
【0043】
まず、(2)と同様にして微細化処理した脱脂・脱蛋白・米糠を篩により、10mesh(>1.7mm)、20mesh(>0.85mm)、32mesh(>0.5mm)、45mesh(>0.355mm)の粒径を有する4組の脱脂・脱蛋白・米糠に篩分けした。つぎに、4組の脱脂・脱蛋白・米糠をそれぞれ加熱処理群と非加熱処理群に分け、加熱処理群(各5g)には(2)と同様に加熱処理をした。最後に、(2)と同様にして、加熱処理群、非加熱処理群からサンプルを採取して抗酸化力を測定した。その結果を図4に示す。
【0044】
図4が示すように、非加熱処理群及び加熱処理群の何れにおいても、粒径が小さくなれば抗酸化力が高くなることが分かった。すなわち、抗酸化力を高めるためには、脱脂・脱蛋白・米糠の粒子径をより小さくすればよいことが分かった。
【0045】
(6)加熱方法が抗酸化力に与える影響
加熱方法が抗酸化力に与える影響について調べた。具体的には、つぎのようにして調べた。まず、(2)と同様にして微細化処理した脱脂・脱蛋白・米糠を、加熱方法を変えて加熱処理した。つぎに、(2)と同様にして抗酸化力を測定した。
【0046】
なお、加熱は(2)と同じ過熱水蒸気(200℃)、電子レンジ(national社製、型番、NE-M300、500W)、オーブン(HITACHI社製、型番MRO-L55、200℃)、ホットプレート(KPI社製、型番HHE-19G、200℃)を利用して行なった。その結果を図5に示す。図5が示すように、加熱方法によって抗酸化力に大きな違いはなかった。
【0047】
(7)加熱時間が抗酸化力に与える影響
加熱時間が抗酸化力に与える影響について調べた。具体的には、つぎのようにして調べた。まず、(2)と同様にして微細化処理した脱脂・脱蛋白・米糠を、200℃で加熱時間を変えて加熱処理した。つぎに、(2)と同様にして、抗酸化力を測定した。その結果を図6に示す。
【0048】
図6が示すように、200℃の過熱水蒸気で加熱処理した場合、処理時間が10秒でも抗酸化力が向上していることが分かった。また、処理時間を30分まで延長しても抗酸化力の向上や低下は認められなかった。
【0049】
(8)加熱温度と加熱時間が抗酸化力に与える影響
加熱温度と加熱時間が抗酸化力に与える影響について調べた。具体的には、つぎのようにして調べた。まず、(2)と同様にして微細化処理した脱脂・脱蛋白・米糠を、加熱温度と加熱時間を変えて加熱処理した。つぎに、(2)と同様にして抗酸化力を測定した。その結果を図7に示す。
【0050】
図7が示すように、加熱温度が140℃、加熱時間が30秒以上であれば、抗酸化力の向上が認められた。また、加熱時間がより長ければ抗酸化力が高まる傾向はあるものの、調べた範囲では加熱時間や加熱温度によって抗酸化力に大きな違いはなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱脂米糠を、微細化処理及び加熱処理の少なくとも何れか一方で処理してなる抗酸化物質。
【請求項2】
脱脂米糠を、微細化処理及び加熱処理してなる請求項1に記載の抗酸化物質。
【請求項3】
脱脂米糠が、脱脂・脱蛋白米糠である請求項1又は請求項2に記載の抗酸化物質。
【請求項4】
脱脂米糠が、脱脂・脱蛋白・脱フィチン・米糠である請求項1又は請求項2に記載の抗酸化物質。
【請求項5】
微細化処理後の脱脂米糠の平均粒径が、1.70mmよりも小さい請求項1から請求項4の何れかに記載の抗酸化物質。
【請求項6】
加熱処理が、140℃以上、又は10秒以上の過熱水蒸気処理である請求項1から請求項5の何れかに記載の抗酸化物質。
【請求項7】
請求項1から請求項6に何れかに記載の抗酸化物質を含む化粧品。
【請求項8】
請求項1から請求項6に何れかに記載の抗酸化物質を含む医薬品。
【請求項9】
請求項1から請求項6に何れかに記載の抗酸化物質を含む医薬部外品。
【請求項10】
請求項1から請求項6に何れかに記載の抗酸化物質を含む食品。
【請求項11】
請求項1から請求項6に何れかに記載の抗酸化物質を含む飼料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−188574(P2012−188574A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54254(P2011−54254)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、文部科学省、地域科学技術振興事業委託研究「環境調和資源・技術による機能性有機材料の開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(591066362)築野食品工業株式会社 (31)
【出願人】(591023594)和歌山県 (62)
【Fターム(参考)】