説明

抗鬱・抗ストレス組成物

【課題】ヒト及び動物の中枢神経に作用する安全性の高い抗鬱・抗ストレス薬の提供。
【解決手段】下記式で示されるトリプタミンのN−アシル誘導体であり、アシル基の炭素数が2〜30の飽和もしくは不飽和の炭化水素で示される化合物、またはその生理学上許容される塩、水和物もしくは溶媒和物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリプタミンのN−アシル誘導体を含有する抗鬱・抗ストレス作用を有する組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代社会において、複雑多岐な人間関係や目まぐるしい社会変化の中で現代人は、ストレスの重圧の下で生活することを余儀なくされている。このため、ストレス等が原因であると言われる鬱病は、現代病のひとつとして大きな社会問題にもなっている。神経症や鬱病、精神分裂症等の治療には、精神安定剤や抗鬱剤、抗不安薬等の医薬品が用いられ、その改善に効果が認められている。
【0003】
抗鬱剤としては、ノルアドレナリン(NA)やセロトニン(5-HT)の再取り込み阻害作用を有するイミプラミン、デシプラミン等が、またモノアミン酸化酵素阻害作用を有するトラニルシプロミン等がありその治療に用いられている。いずれも神経末端やシナプス間隙の部位におけるモノアミン濃度を上昇させることにより抗鬱効果を発現するものである。
【0004】
トリプタミンは、5-HTと同様にインドール骨格を有する化合物である。また、神経機能や内分泌機能に対する作用が知られているメラトニンもインドール骨格を有する類似物質であることから、各種トリプタミン誘導体の5-HTレセプターやメラトニンレセプターへの作用を介した種々の生理活性が報告されている。
【0005】
現在までに血圧降下作用(特許文献1)、メラトニン拮抗作用(特許文献2)、認識障害の予防効果(特許文献3)、偏頭痛、血管性頭痛予防効果(特許文献4、特許文献5)、自発運動抑制効果(特許文献6)、その他種々の中枢神経系疾患の予防効果(特許文献7、特許文献8)が特許出願されている。
【0006】
また、トリプタミンのN−アシル誘導体の中でN−アセチルトリプタミン(ethanoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)は、メラトニン受容体に対する作用(非特許文献9)が報告されているが、抗鬱及び抗ストレス作用についての報告はみられない。その他のトリプタミンのN−アシル誘導体については、その生理活性について何ら明らかにされていない。
【0007】
【特許文献1】特開昭60−105678号公報
【特許文献2】特開平4−173777号公報
【特許文献3】特表平6−501713号公報
【特許文献4】特開平7−179344号公報
【特許文献5】特表平10−501212号公報
【特許文献6】特開平10−77229号公報
【特許文献7】特開昭61−69774号公報
【特許文献8】特開平7−309867号公報
【非特許文献1】Br J Pharmacol 111,295-301 (1994), FEBS Letters 412, 79-85 (1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ヒト及び動物の中枢神経に作用する安全性の高い抗鬱・抗ストレス組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するためにマウス強制水泳試験を適用した精神薬理学的研究により、一般式(1)で示されるトリプタミンのN−アシル誘導体であり、Rが炭素数1〜29の飽和もしくは不飽和の炭化水素で示される化合物、またはその生理学上許容される塩、水和物もしくは溶媒和物が、抗鬱及び抗ストレス作用を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
【化2】

【0011】
また、上記一般式(1)において、Rが、CH(N−アセチルトリプタミン:ethanoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)、C1733(N−オレイルトリプタミン:9-octadecenoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)、C2143(N−ベヘノイルトリプタミン:doeicosanoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)、C2347(N−リグノセロイルトリプタミン:tetraeicosanoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)であるトリプタミンのN−アシル誘導体であれば、効果が高く好適である。
【0012】
さらに、本発明の有効成分であるトリプタミンのN−アシル誘導体に含まれるN−パルミトイルトリプタミン(hexadecanoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)、N−ステアロイルトリプタミン(octadecanoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)、N−エイコサノイルトリプタミン(eicosanoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)、N−ベヘノイルトリプタミン(doeicosanoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)、N−リグノセロイルトリプタミン(tetraeicosanoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)、N−ヘキサエイコサノイルトリプタミン(hexaeicosanoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)、N−25(Z)−プロパコンタノイルトリプタミン(25(Z)-docosaenoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)等は、カカオ(Theobroma cacao)、ギュウシンリ(Annona reticulata)、チェリモヤ(Annona cherimola)の脂質成分として含まれることが知られており(Z Levensm Unters Forsch A, 208, 39-46 (1999), Phytochemistry, 34, 1633-1635 (1993), J Chin Chem Soc, 46, 77-86 (1999))、カカオ、ギュウシンリ、チェリモヤから得られる脂溶性画分、またはそれら植物体から得られるトリプタミンのN−アシル誘導体も本発明の抗鬱・抗ストレス組成物の有効成分として好適である。
【0013】
さらにまた、本発明の抗鬱及び抗ストレス作用を有する組成物は、上記トリプタミンのN−アシル誘導体を有効成分とする組成物である。
【発明の効果】
【0014】
本出願人によって見出された本発明の有効成分であるトリプタミンのN−アシル誘導体は、抗鬱及び抗ストレス作用を有すると共に、安全性が高い。また、本発明のトリプタミンのN−アシル誘導体は、容易に合成することが可能であり、またカカオ(Theobroma cacao)、ギュウシンリ(Annoma reticulata)、チェリモヤ(Annona cherimola)等の天然物を原料とし、その脂質成分から抽出して得ることも可能である。
【0015】
そのため、本発明のトリプタミンのN−アシル誘導体は、単独あるいは他の医薬もしくは任意の製剤用担体、希釈剤、被覆剤等と混合し、任意の剤形にして医薬として利用できる。また、トリプタミンのN−アシル誘導体を各種の飲食品に配合することにより、抗鬱効果及び抗ストレス作用を有する飲食品を提供することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明者らは、抗鬱及び抗ストレス作用を評価する方法として、試験例1に示した向精神薬のスクリーニング法として1977年にPorsoltにより開発されたマウス強制水泳試験を使用して、トリプタミン誘導体の抗鬱及び抗ストレス作用について検討を行った結果、一般式(1)で示されたトリプタミンのN−アシル誘導体であり、Rが炭素数1〜29の飽和もしくは不飽和の炭化水素で示される化合物、またはその生理学上許容される塩、水和物もしくは溶媒和物が、強い抗鬱及び抗ストレス作用を有することを見出した。
【0017】
トリプタミンのN−アシル誘導体の抗鬱及び抗ストレス作用については、本発明によって初めて明らかにされたものである。
【0018】
また、一般式(1)において、Rが、CH(N−アセチルトリプタミン:ethanoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)、C1733(N−オレイルトリプタミン:9-octadecenoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)、C2143(N−ベヘノイルトリプタミン:doeicosanoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)、C2347(N−リグノセロイルトリプタミン:tetraeicosanoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)であるトリプタミンのN−アシル誘導体であれば、効果が高く好適である。
【0019】
さらに、本発明の有効成分であるトリプタミンのN−アシル誘導体に含まれるN−パルミトイルトリプタミン(hexadecanoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)、N−ステアロイルトリプタミン(octadecanoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)、N−エイコサノイルトリプタミン(eicosanoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)、N−ベヘノイルトリプタミン(doeicosanoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)、N−リグノセロイルトリプタミン(tetraeicosanoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)、N−ヘキサエイコサノイルトリプタミン(hexaeicosanoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)、N−25(Z)−プロパコンタノイルトリプタミン(25(Z)-docosaenoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)等は、カカオ(Theobroma cacao)、ギュウシンリ(Annona reticulata)、チェリモヤ(Annona cherimola)の脂質成分として含まれることが知られており(Z Levensm Unters Forsch A, 208, 39-46 (1999), Phytochemistry , 34, 1633-1635 (1993), J Chin Chem Soc, 46, 77-86 (1999))、カカオ、ギュウシンリ、チェリモヤから得られる脂溶性画分またはそれら植物体から得られるトリプタミンのN−アシル誘導体も本発明の抗鬱・抗ストレス組成物として好適に使用することができる。
【0020】
カカオ(Theobroma cacao)は、アオギリ科植物の小高木であり、その種子はカカオ豆といわれ、チョコレート、ココアの主要な原料となるものである。一般的にカカオ中のトリプタミンのN−アシル誘導体は、カカオ豆の皮の部分であるカカオハスク(カカオシェル)に含まれており、通常食用に用いられる胚乳(ニブ)の部分には含まれないと考えられるところから、カカオハスクから抽出することが好ましい。ギュウシンリ(Annona reticulata)は、バンレイシ科の植物であり、そのトリプタミンのN−アシル誘導体は種子から得られているので種子から抽出すること、また、チェリモヤ(Annona cherimola)は、同じくバンレイシ科の植物であり、そのトリプタミンのN−アシル誘導体は幹から得られているので幹から抽出することがそれぞれ好ましい。
【0021】
カカオ、ギュウシンリ、チェリモヤの脂溶性画分を得る方法としては、例えば、それぞれの原料を粉砕した後、n−ヘキサン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、エタノール等の脂溶性成分を抽出可能な溶媒もしくはその混合液で、室温もしくは加温還流抽出を行い、抽出液を濃縮乾固することにより得ることができる。
【0022】
このように、本発明のトリプタミンのN−アシル誘導体は、トリプタミンと脂肪酸を用いた化学的合成、酵素反応、微生物変換等で造られたもの、また上記植物体等の天然物を原料として抽出したものも適宜使用することができる。
【0023】
また、本発明のトリプタミンのN−アシル誘導体の安全性については、トリプタミン及び各種脂肪酸は天然に広く存在するものであること、さらにトリプタミンのN−アシル誘導体は上記したようにカカオやギュウシンリ等食用となる天然物に含まれていることから、その安全性は非常に高いと考えられる。
【0024】
本発明の抗鬱・抗ストレス組成物は、トリプタミンのN−アシル誘導体を有効成分とすることを特徴とするものであるので、単独あるいは他の医薬もしくは任意の製剤用担体、希釈剤、被覆剤等と混合し、任意の剤形にして利用することができる。その投与方法としては、経口、非経口、直腸経由または他の任意の投与経路で使用することができる。経口投与する場合には、散剤、錠剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤、経口用液体製剤等を例示することができ、非経口投与する場合には、注射剤、吸入剤等を、また直腸投与する場合には、座剤、直腸用カプセル等を例示することができる。
【0025】
本発明の抗鬱・抗ストレス組成物の主要成分であるトリプタミンのN−アシル誘導体の有効量については、年齢、体重、投与方法、投与期間、また必要な治療によって変化し一概には規定することは困難であるが、ヒト(成人70kg)に対しては1日あたりの投与量が好ましくは5mg〜5g、さらに好ましくは10mg〜1gである。
【0026】
次に、本発明の上記トリプタミンのN−アシル誘導体は上記したように安全性が高いので、これを各種の飲食品に配合することにより、抗鬱及び抗ストレス作用を有する組成物を提供することができる。例えば、組成物としては、チューインガム、チョコレート、スナック、ビスケット等の菓子、ジュース、清涼飲料、果実飲料、乳酸飲料、牛乳、茶、コーヒー、ココア等の飲料、アイスクリーム、シャーベット、氷菓等の冷菓、ヨーグルト、その他の食品を挙げることができる。
【実施例】
【0027】
以下に、実施例として合成方法、天然物からの抽出精製例、試験例、医薬品及び飲食品の各例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
〔実施例1〕
トリプタミンのN−アシル誘導体の合成方法
各種トリプタミンのN−アシル誘導体は、トリプタミンと各種脂肪酸の塩化物を縮合させることにより容易に合成することが可能である。また脂肪酸の種類を替えることにより任意のトリプタミンのN−アシル誘導体を合成することができる。具体例としてN−リグノセロイルトリプタミン(tetraeicosanoic
acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)の合成方法を以下に示した。トリプタミンの塩酸塩(2mmol)、トリエチルアミン(2mmol)、塩化リグノセリン酸(2mmol)を10mlのクロロホルム中で2時間室温で反応させた。反応液に水10ml、クロロホルム10mlを加え抽出を行い、クロロホルム層を飽和食塩水で3回洗浄し、さらに無水硫酸ナトリウムで水分を除いた。クロロホルム層を減圧濃縮し、析出物をアセトンで再結晶することによりN−リグノセロイルトリプタミンを得た(収率75%)。以下にN−リグノセロイルトリプタミンの融点及び1H-NMRデータを示した。
融点:120℃
1H-NMR (CDCl3) : δ 8.05 (1H, brs), 7.61 (1H, d, J=7.6Hz), 7.38 (1H, d, J=7.6Hz), 7.21 (1H, t, J=7.6Hz), 7.13 (1H, t, J=7.6Hz), 7.04 (1H, d, J=1.8Hz), 5.47 (1H, brs), 3.62 (2H, m), 2.98 (2H, t, J=6.4Hz), 2.09 (2H, t, J=7.6), 1.56 (2H, m), 1.26 (42H, brs), 0.88 (3H, t, J=6.6Hz)
【0029】
〔実施例2〕
トリプタミンのN−アシル誘導体の天然物からの抽出精製例
粉砕したカカオ豆の皮(カカオハスク)100gをジエチルエーテルで2時間ソックスレー抽出を行った。抽出液を濃縮、乾燥後シリカゲルカラムに負荷し、ベンゼン/ジエチルエーテル(6:4v/v)でトリアシルグリセライド類を除去した。次にジエチルエーテル400mlで溶出させ、溶出液を濃縮後、HPLCによる精製を行った。ODSシリカゲルカラムを用い、アセトニトリル/THF/水(90:7:3v/v)で溶出させ、蛍光検出器(励起波長281nm、測定波長330nm)でモニターしながら、検出されるピークを分取した。各フラクションを濃縮し、適宜再結晶等を行うことによりトリプタミンのN−アシル誘導体を得た(カカオハスクからはN−リグノセロイルトリプタミン、N−ベヘノイルトリプタミンが主要成分として得られる)。これらの抽出精製方法の詳細についてはZ Levensm Unters Forsch A, 208, 39-46 (1999)に記述されている。
【0030】
〔試験例1〕
マウス強制水泳試験による精神安定作用の評価
本発明の抗鬱及び抗ストレス作用を評価する方法として、向精神薬のスクリーニング法として1977年にPorsoltにより開発されたマウス強制水泳試験を採用した。本試験は鬱病の動物モデル実験として最も多用される方法のひとつである。本試験では、マウスをある限られたスペースの中で強制的に泳がせて「無動状態」を惹起させる。この無動状態は、ストレスを負荷された動物が水からの逃避を放棄した一種の「絶望状態」を反映するものと考えられ、ヒトにおける鬱状態、ストレス状態と関連づけられている。事実、抗鬱薬は特異的にこの状況下における無動状態の持続時間を短縮させることがわかっており、この短縮作用は臨床力価との間に有意な相関を有することが認められている。
【0031】
本試験において適用された具体的な操作を以下に示す。25℃の水を深さ15cmまで入れたプラスチック円筒中でマウスを強制水泳させた。5分間の強制水泳後、30℃の乾燥機中で15分間乾燥し、ホームケージに戻した。翌日マウスに被検物質を腹腔内投与して、その1時間後に再び5分間の強制水泳を課し、現れた無動状態の持続時間をストップウォッチを用いて測定した。マウスが水に浮かんで静止している状態を無動状態と判定した。評価は、被験物質を投与していないコントロールの無動状態持続時間を100とし、これに対する相対無動状態持続時間を指標とした。この値につき有意差検定を行い、統計学的に有意差を検定した。すなわち、この評価方法においては、相対無動状態持続時間の値が小さいほど抗鬱、抗ストレス作用が高いということになる。実験には雄のddYマウスを使用し、1群6匹とした。なお、試験は全て午後1時から午後6時の間に行った。
【0032】
以下に本発明品であるN−アセチルトリプタミン、N−オレイルトリプタミン、N−ベヘノイルトリプタミン、N−リグノセロイルトリプタミン及びカカオハスクの脂溶性画分としてエーテル抽出物を被験物質とし、ポジティブコントロールとして抗鬱薬であるイミプラミンを用いて行った試験の結果を表1として示す。
【0033】
【表1】

【0034】
この結果、N−アセチルトリプタミン、N−オレイルトリプタミン、N−ベヘノイルトリプタミン、N−リグノセロイルトリプタミンについてはいずれもコントロール群と比較して無動時間短縮効果がみられた。特にN−アセチルトリプタミン、N−リグノセロイルトリプタミンについては抗鬱剤であるイミプラミンと同程度の無動時間短縮効果が認められた。
【0035】
〔実施例3〕
〈散剤〉
乳糖 60部
馬鈴薯でんぷん 30部
N−リグノセロイルトリプタミン 10部
【0036】
〔実施例4〕
〈錠剤〉
D−マンニトール 40部
乳糖 35部
結晶セルロース 10部
N−アセチルトリプタミン 10部
ヒドロキシプロピルセルロース 5部
【0037】
〔実施例5〕
〈チョコレート〉
粉糖 41.8部
カカオビター 20部
全脂粉乳 20部
カカオバター 17部
N−オレイルトリプタミン 1部
香料 0.2部
【0038】
〔実施例6〕
〈キャンディ〉
グラニュー糖 50部
水飴 33部
クエン酸 2部
N−リグノセロイルトリプタミン 0.5部
香料 0.2部
水 14.3部
【0039】
〔実施例7〕
〈チューインガム〉
粉糖 54部
ガムベース 20部
水飴 14.5部
ブドウ糖 10部
香料 1部
N−ベヘノイルトリプタミン 0.5部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリプタミンと脂肪酸で合成して得られる一般式(1)で示されるトリプタミンのN−アシル誘導体であり、Rが炭素数1〜29の飽和もしくは不飽和の炭化水素で示される化合物、またはその生理学上許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を含有することを特徴とする抗鬱・抗ストレス組成物。
【化1】

【請求項2】
カカオ(Theobroma cacao)のカカオハスクをn−ヘキサン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフランから選択される有機溶媒で室温もしくは加温還流抽出により得られる一般式(1)で示されるトリプタミンのN−アシル誘導体であり、Rが炭素数1〜29の飽和もしくは不飽和の炭化水素で示される化合物、またはその生理学上許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を含有することを特徴とする抗鬱・抗ストレス組成物。
【化2】

【請求項3】
ギュウシンリ(Annona reticulata)より得られる一般式(1)で示されるトリプタミンのN−アシル誘導体であり、Rが炭素数1〜29の飽和もしくは不飽和の炭化水素で示される化合物、またはその生理学上許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を含有することを特徴とする抗鬱・抗ストレス組成物。
【化3】

【請求項4】
チェリモヤ(Annona cherimola)より得られる一般式(1)で示されるトリプタミンのN−アシル誘導体であり、Rが炭素数1〜29の飽和もしくは不飽和の炭化水素で示される化合物、またはその生理学上許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を含有することを特徴とする抗鬱・抗ストレス組成物。
【化4】

【請求項5】
Rが、CH(N−アセチルトリプタミン:ethanoic acid[2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)、C1733(N−オレイルトリプタミン:9-octadecenoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)、C2143(N−ベヘノイルトリプタミン:doeicosanoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)、C2347(N−リグノセロイルトリプタミン:tetraeicosanoic acid [2-(1H-indol-3-yl) ethyl] amide)であるトリプタミンのN−アシル誘導体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の抗鬱・抗ストレス組成物。
【請求項6】
トリプタミンのN−アシル誘導体を0.5重量%以上含有する請求項1〜5のいずれかに記載の抗鬱・抗ストレス組成物。

【公開番号】特開2009−1564(P2009−1564A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151136(P2008−151136)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【分割の表示】特願2001−336845(P2001−336845)の分割
【原出願日】平成13年11月1日(2001.11.1)
【出願人】(307013857)株式会社ロッテ (101)
【Fターム(参考)】