説明

抗CCR5抗体

【課題】 本発明は、(i)2つの軽鎖であって、それぞれの軽鎖は、pVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含む軽鎖と、および、(ii)2つの重鎖であって、それぞれの重鎖は、pVgl:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVgl:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドのいずれかの発現産物とを含む抗CCR5抗体またはこのような抗体の断片であって、ヒト細胞表面のCCR5に結合する抗体またはこのような抗体の断片に向けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年2月22日に出願の米国特許出願第10/081,128号の一部継続出願であり、この出願の優先権主張し、その内容は本明細書において、参照により本出願に援用される。
【0002】
本出願の全体にわたって、種々の刊行物がアラビア数字によって参照される。これらの刊行物についての完全な引用は、以下の本明細書の最後に見いだされるであろう。これらの刊行物の開示は、より完全に本発明が属する技術を記載するために、本明細書に参照により本出願内に援用される。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)は、標的細胞内に侵入するために、ウイルスと細胞の膜融合を誘導する(8、15、66)。ビリオンと細胞表面の間の最初の高親和性の相互作用は、CD4抗原に対するウイルス表面糖タンパク質gp120の結合である(13、30、41、42)。これは、次にgp120の高次構造上の変化を誘導し、これが、いくつかのケモカイン受容体のうちの1つと相互作用することを可能にする(4、5、21、36)。CC-ケモカイン受容体CCR5は、マクロファージ向性(R5)株の主要共受容体であり、HIV-1の性行為感染において重要な役割を演ずる(4、5、21、36)。T細胞株向性(X4)ウイルスは、標的細胞に侵入するためにCXCR4を使用し、通常は、しかし常にではないが、疾患進行の後期に、または組織培養でのウイルス増殖の結果として出現する(4、5、21、36)。いくつかの初代HIV-1単離体は、常に同じ効率ではないが、これらが両方の共受容体を使用するので、二重向性である(11、57)。gp120コアの結晶構造の解決と組み合わせた突然変異研究により、gp120上の共受容体結合部位は、いくつかの保存された残基を含むことが示された(32、53、65)。
【0004】
CCR5のアミノ末端ドメイン(Nt)のチロシンおよび負に荷電した残基は、共受容体に対するgp120の結合に、およびHIV-1の融合および侵入に必須であることが示された(6、18、20、22、28、31、52、54)。CCR5の細胞外ループ(ECL)1-3の残基は、共受容体の機能には重要でなかったが、それでもCCR5のインタードメインの配置は、ウイルスの融合および侵入のために最適に維持されなければならなかった(24)。これにより、gp120がECLの拡散した表面との相互作用を形成するか、またはNtがECL内の残基と結合することによって機能的な高次構造で維持されるかという結論に至った。また、キメラ共受容体および抗CCR5モノクローナル抗体での研究では、ウイルス侵入のために細胞外ループが重要であることが示された(5、54、64)。
【0005】
特に、CCR5およびCXCR4に結合し、これらのリガンドとの相互作用を遮断する分子は、共受容体の構造/機能の関係を徹底調査するためのさらに強力なツールとなる。また、このような化合物の特徴づけは、共受容体を媒介したウイルス侵入工程をターゲットする有効な治療薬を設計する際の助けとなり得る。現在までに同定されたCCR5またはCXCR4共受容体機能の阻害剤は、多様な性質であり、小分子、ペプチド、ケモカインおよびこれらの誘導体、並びにモノクローナル抗体(mAbs)を含む。CXCR4共受容体の機能を妨げることによって侵入を遮断する小分子の作用機構は、よく理解されていない(17、49、55、68)。
【0006】
このような阻害剤の1つの、陰イオン性の小分子AMD3100は、ウイルス侵入を阻害するためにECL2の残基およびCXCR4の第4の膜貫通の(TM)ドメインに依存するが、しかしこれがCXCR4に対するgp120の結合を崩壊させることによるか、または結合後の工程が膜融合を引き起こすことによるか、どのようにするかどうかは明らかでない(16、34、55)。現在までに、特にCCR5を媒介したHIV-1の侵入を遮断する小分子は、報告されていなかった。ケモカインによるHIV-1侵入の阻害は、少なくとも2つの異なった機構:gp120/共受容体の相互作用の遮断と、ケモカイン/受容体抱合体のインターナリゼーションを媒介する(3、26、59、63)。また、変異体AOP-RANTESも、細胞表面に対するCCR5のリサイクリングを阻害する(40、56)。RANTES 9-68およびMet-RANTESなどの変異体は、gp120/CCR5の相互作用を妨げるだけであり、CCR5をダウンレギュレートしない(67)。SDF-1変異体は、おそらくCXCR4を媒介したウイルス侵入の遮断と同様の機構で作用する(12、27、39)。1つの抗CXCR4mAb、12G5だけが、その抗ウイルス特性について特徴づけられている。12G5によるウイルス侵入の阻害の効率は、細胞および隔離集団の両方に依存的であることが報告された(43、58)。このmAbは、CXCR4のECL2に結合するが、しかしこれが侵入を阻害する機構は未知である(7)。少数の抗CCR5 mAbsしか、HIV-1侵入を効率的に防止しないことが現在までに特徴づけられている(28、64)。面白いことに、そのエピトープがgp120結合部位を含むCCR5のNtドメインに位置するmAbsは、そのエピトープがECL2位置するmAb2D7よりも効率的にウイルスの融合および侵入を阻害しない。また、2D7は、CC-ケモカイン活性に拮抗する(64)。
【0007】
PA8、PA9、PA10、PA11、PA12およびPA14と称する6種のマウスmAbsのパネルを単離し、特徴づけた。6種全てのmAbsは、CCR5細胞に特異的に結合したが、異なる効率を有し、細胞種に依存的であった。エピトープマッピング研究により、mAb結合に重要な残基を同定し、更にCCR5細胞外ドメインの折りたたみおよび相互作用についての情報が明らかとなった。全てのmAbsがHIV-lの融合および侵入を阻害したが、mAbが融合および侵入を阻害する能力とこれがgp120/sCD4のCCR5+細胞に対する結合を阻害する能力の間には相関がなかった。
【発明の開示】
【0008】
本発明は、 (i)2つの軽鎖であって、それぞれの軽鎖は、pVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含む軽鎖と、および、
(ii)2つの重鎖であって、それぞれの重鎖は、pVgl:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVgl:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドのいずれかの発現産物とを含む抗CCR5抗体、またはヒト細胞表面のCCR5に結合するこのような抗体の断片を提供する。
【0009】
また、本発明は、2つの軽鎖であって、それぞれの鎖は、連続したアミノ酸を含み、そのアミノ酸配列は、配列番号:6に記載されている軽鎖と、および2つの重鎖であって、それぞれの重鎖は、連続したアミノ酸を含み、そのアミノ酸配列は、配列番号:9に記載されている重鎖と、を含む抗CCR5抗体を提供する。
【0010】
また、本発明は、2つの軽鎖であって、それぞれの軽鎖は、連続したアミノ酸を含み、そのアミノ酸配列は、配列番号:6に記載されている軽鎖と、2つの重鎖であって、それぞれの重鎖は、連続したアミノ酸を含み、そのアミノ酸配列は、配列番号:12に記載されている重鎖と、を含む抗CCR5抗体を提供する。
【0011】
また、本発明は、連続したアミノ酸を含むポリペプチドをコードする単離された核酸であって、そのアミノ酸配列は、配列番号:6に記載されている核酸を提供する。本態様において、核酸は、配列番号:5に記載された配列を含む。
【0012】
また、本発明は、連続したアミノ酸を含むポリペプチドをコードする単離された核酸であって、そのアミノ酸配列は、配列番号:9に記載されている単離された核酸を提供する。本態様において、核酸は、配列番号:8に記載された配列を含む。
【0013】
また、本発明は、連続したアミノ酸を含むポリペプチドをコードする単離された核酸であって、そのアミノ酸配列は、配列番号:12に記載されている核酸を提供する。本態様において、核酸は、配列番号:11に記載された配列を含む。
【0014】
また、本発明は、上記の通りにキャリアと共に、少なくとも1つの抗CCR5抗体またはこれらの断片を含む組成物を提供する。
【0015】
また、本発明は、放射性同位元素、毒素、ポリエチレングリコール、細胞障害性の薬剤、および検出可能なラベルからなる群より選択される物質がこれらに付着された抗CCR5抗体またはこれらの断片を含む組成物を提供する。
【0016】
また、本発明は、CD4+細胞のHIV-1感染を阻害する方法であって、(i)2つの軽鎖であって、それぞれの軽鎖は、pVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含む軽鎖と、および(ii)2つの重鎖であって、それぞれの重鎖は、pVgl:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVgl:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドのいずれかの発現産物を含む重鎖とを含む抗体、またはCD4+細胞表面上のCCR5に結合するこのような抗体の断片とCD4+細胞を、HIV-1の融合またはCD4+細胞に対するHIV-1感染が阻害される量および条件下で接触させることを含み、これによりCD4+細胞のHIV-1感染を阻害する方法を提供する。
【0017】
また、本発明は、HIV-1に苦しむ被検者を治療する方法であって、(i)2つの軽鎖であって、それぞれの軽鎖は、pVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含む軽鎖と、および(ii)2つの重鎖であって、それぞれの重鎖は、pVgl:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVgl:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドのいずれかの発現産物を含む重鎖とを含む抗体、またはCD4+細胞表面上のCCR5に結合するこのような抗体の断片の有効にHIV-1を治療する用量を、前記HIV-1を苦しんだ被検者を治療するために有効な条件下で前記被検者に投与することを含む方法を提供する。
【0018】
また、本発明は、抗CCR5抗体抱合体であって、少なくとも1つの重合体に結合された、(i)2つの軽鎖であって、それぞれの軽鎖は、pVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含む軽鎖と、および(ii)2つの重鎖であって、それぞれの重鎖は、pVgl:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVgl:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドのいずれかの発現産物を含む重鎖とを含む抗体、またはCD4+細胞表面上のCCR5に結合するこのような抗体の断片を含む抱合体を提供する。
【0019】
また、本発明は、HIV-1によるCCR5+細胞の感染を阻害する方法であって、上記記載の抱合体を、HIV-1による前記被検者のCCR5+細胞の感染を阻害するために有効な量および条件下でHIV-1感染のリスクのある被検者に投与することを含む方法を提供する。
【0020】
また、本発明は、被検者のHIV-1感染を治療する方法であって、上記記載の抱合体を、被検者のHIV-1感染を治療するために有効な量および条件下でHIV-1に感染した被検者に投与することを含む方法を提供する。
【0021】
また、本発明は、少なくとも2つのベクターを含む形質転換された宿主細胞であって、少なくとも1つのベクターは、前記抗CCR5抗体の重鎖をコードする核酸配列を含み、少なくとも1つのベクターは、前記抗CCR5抗体の軽鎖をコードする核酸配列を含み、前記抗CCR5抗体は、配列番号:9に記載されたアミノ酸配列を有する2つの重鎖と、配列番号:6に記載されたアミノ酸配列を有する2つの軽鎖とを含む、形質転換された宿主細胞を提供する。
【0022】
また、本発明は、少なくとも2つのベクターを含む形質転換された宿主細胞であって、少なくとも1つのベクターは、前記抗CCR5抗体の重鎖をコードする核酸配列を含み、少なくとも1つのベクターは、前記抗CCR5抗体の軽鎖をコードする核酸配列を含み、前記抗CCR5抗体は、配列番号:12に記載されたアミノ酸配列を有する2つの重鎖と、配列番号:6に記載されたアミノ酸配列を有する2つの軽鎖とを含む、形質転換された宿主細胞を提供する。
【0023】
また、本発明は、抗CCR5抗体の重鎖をコードする核酸配列を含むベクターであって、重鎖が、配列番号:9に記載されたアミノ酸配列を含むベクターを提供する。
【0024】
また、本発明は、抗CCR5抗体の重鎖をコードする核酸配列を含むベクターであって、重鎖が、配列番号:12に記載されたアミノ酸配列を含むベクターを提供する。
【0025】
また、本発明は、抗CCR5抗体を産生するための方法であって、(i)pVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミド、および(ii)pVgl:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVgl:PRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドをその中に含む宿主細胞を、pVK:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミドによってコードされる2つの軽鎖およびpVgl:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドによって、またはpVgl:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドによってコードされる2つの重鎖を含む抗体の産生が可能な条件下で培養することを含み、これにより抗CCR5抗体を産生する方法を提供する。
【0026】
また、本発明は、抗CCR5抗体を産生するための方法であって:a)(i)pVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミド、および(ii)pVgl:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVgl:PRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドで宿主細胞を形質転換することと;並びに、b)pVK:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミドによってコードされる2つの軽鎖およびpVgl:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドによって、またはpVgl:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドによってコードされる2つの重鎖を含む抗体の産生が可能な条件下で培養することと、を含み、これにより抗CCR5抗体を産生する方法を提供する。
【0027】
また、本発明は、抗CCR5抗体を産生する方法に使用されるキットであって:a)抗CCR5抗体の軽鎖をコードする核酸配列を含むベクターであって、前記軽鎖は、配列番号:6に記載されたアミノ酸配列を含むベクターと;および、b)抗CCR5抗体の重鎖をコードする核酸配列を含むベクターであって、前記重鎖は、配列番号:9に記載されたアミノ酸配列を含むベクター、または抗CCR5抗体の重鎖をコードする核酸配列を含むベクターであって、前記重鎖は、配列番号:12に記載されたアミノ酸配列を含むベクターと、を含むキットを提供する。
【0028】
本発明の詳細な説明:
HuPRO140-VK、HuPRO140(mut +B+D+I)-VH、およびHuPRO140 HG2-VHと称されるプラスミドは、図16、18、および17では、それぞれpVK-HuPRO140、pVg4-HuPRO140(mut B+D+I)、およびpVg4-HuPRO140 HG2を指し、それぞれ2002年2月22日にアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、Manassas、Va. U.S.A.20108に、ATCCアクセッション番号PTA4097、PTA4099、およびPTA4098の下に寄託した。これらの寄託は、特許手続上(ブダペスト条約)の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の規定に従って行った。
【0029】
本発明は、HIV-1感染を阻害するために相乗的に有効な量の少なくとも2つの化合物を含むHIV-1感染を阻害するための組成物であって、化合物の少なくとも1つがHIV-1とHIV-1融合共受容体との間の増殖性の相互作用を防止する組成物を提供する、
本明細書で使用されるものとして、「組成物」は、混合物を意味する。組成物は、被検者に経口、直腸、腟内、局所的、鼻、または非経口的な投与のために適したものを含むが、これらに限定されない。本明細書において使用されるものとして、「非経口的」は、皮下、静脈内、筋肉内、もしくは胸骨内の注射または注入技術を含むが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書において使用されるものとして「HIV-1」はヒト免疫不全症ウイルスタイプ-1を意味する。HIV-1は、細胞外ウィルス粒子およびHIV-1感染細胞において見いだされる形態のHIV-1を含むが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書において使用されるものとして、「HIV-1感染」は、HIV-1またはHIV-1エンベロープ糖タンパク質+細胞と標的細胞膜の融合などによる、標的細胞へのHIV-1遺伝情報の導入を意味する。標的細胞は、被検者の体細胞であってもよい。好ましい態様において、標的細胞は、ヒト被験者由来の体細胞である。
【0032】
本明細書に使用されるものとして、「HIV-1感染を阻害すること」は、標的細胞群に導入されるHIV-1遺伝情報の量が、前記組成物なしで導入される量と比較して減少することを意味する。
【0033】
本明細書において使用されるものとして、「化合物」は、ペプチド、ポリペプチド、およびその他の有機または無機の分子並びにこれらの組み合わせを含む分子実体を意味するが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書において使用されるものとして、「相乗的に有効な」は、組み合わせて使用したときの化合物の組み合わせた効果が、個々に使用したときのこれらの相加作用よりも大きいことを意味する。
【0035】
本明細書において使用されるものとして、「増殖的な相互作用」は、HIV-1およびHIV-1共受容体の相互作用により、前記HIV-1またはHIV-1エンベロープ糖タンパク質+細胞と共受容体を有する膜の融合を引き起こすことを意味する。
【0036】
本明細書において使用されるものとして、「増殖的な相互作用を防止する」は、相互作用の量が、化合物なしで生じる量と比較して減少することを意味する。相互作用は、共受容体もしくはHIV-1上の相互作用的領域をマスキングするか、または変更することにより、または共受容体の発現、凝集、コンホメーション、もしくは会合状態を変更することにより防止してもよい。
【0037】
本明細書で使用されるものとして、「HIV-1融合共受容体」は、該受容体を発現する標的細胞とHIV-1またはHIV-1エンベロープ糖タンパク質+細胞との間の融合を媒介する細胞受容体を意味する。HIV-1融合共受容体は、CCR5、CXCR4、およびその他のケモカイン受容体を含むが、これらに限定されない。
【0038】
また、本発明は、標的細胞に対するHIV-1またはHIV-1エンベロープ糖タンパク質+細胞の融合を阻害する組成物であって、標的細胞に対するHIV-1またはHIV-1エンベロープ糖タンパク質+細胞の融合を阻害するための相乗的に有効な量の少なくとも2つの化合物を含み、化合物のうちの少なくとも1つは、HIV-1とHIV-1融合共受容体の間の増殖的な相互作用を防止する組成物を提供する。
【0039】
本明細書において使用されるものとして「融合」は、哺乳類細胞またはHIV-1などのウイルスで見いだされる脂質二重層膜の接合または結合を意味する。このプロセスは、HIV-1の標的細胞に対する付着とは区別される。付着は、融合共受容体ではないヒトCD4受容体に対するHIV-1の外部グリコプロテインの結合によって媒介される。
【0040】
本明細書において使用されるものとして、「阻害」は、組成物なしで生じる量と比較して、量が減少することを意味する。
【0041】
本明細書において使用されるものとして、「標的細胞」は、HIV-1が感染するか、もしくは融合することができる細胞またはHIV-1感染細胞を意味する。
【0042】
本明細書で使用されるものとして、「ケモカイン」は、白血球の移動を刺激することができるサイトカインを意味する。これらは、2つのアミノ末端のシステイン残基がすぐ隣接するか、または1つのアミノ酸によって分離されているかどうかによって、cys-cysまたはcys-X-cysのいずれかとして特徴付けられるであろう。これは、RANTES、MIP-1α、MIP-1β、SDF-1、またはHIV-1感染を遮断する別のケモカインを含むが、これらに限定されない。
【0043】
上記の組成物の1つの態様において、共受容体は、ケモカイン受容体である。上記の組成物の好ましい態様において、ケモカイン受容体は、CCR5またはCXCR4である。その他のいくつかのケモカインおよび関連した受容体は、HIV共受容体として機能することが既知であり、CCR2、CCR3、CCR8、STRL33、GPR-15、CX3CR1、およびAPJ(69)含むが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書において使用されるものとして、「ケモカイン受容体」は、ケモカインに結合する7回膜貫通細胞表面タンパク質の相同的なファミリーのメンバーを意味する。
【0045】
本明細書で使用されるものとして、「CCR5」は、ケモカインのC-C群のメンバーに結合するケモカイン受容体であり、そのアミノ酸配列は、Genbankアクセッション番号1705896で提供されるものおよび関連した多形変異体を含む。
【0046】
本明細書で使用されるものとして、「CXCR4」は、ケモカインのC-X-C群のメンバーに結合するケモカイン受容体であり、そのアミノ酸配列はGenbankアクセッション番号400654で提供されるものおよび関連した多形変異体を含む。
【0047】
上記組成物の1つの態様において、化合物のうちの少なくとも1つは、非ペプチジル分子である。1つの態様において、非ペプチジル分子は、bicyclam化合物 AMD3100である。(16)。
【0048】
本明細書において使用されるものとして、「非ペプチジル分子」は、その全体が、ペプチド結合によって結合したアミノ酸の直線的な配列から成らない分子を意味する。しかし、
非ペプチジル分子は、1つまたは複数のペプチド結合を含んでいてもよい。
【0049】
上記組成物の1つの態様において、化合物のうちの少なくとも1つは、抗体である。1つの態様において、抗体は、モノクローナル抗体である。もう1つの態様において、抗体は抗ケモカイン受容体抗体である。1つの態様において、抗体は、抗CXCR4抗体である。さらなる態様において、抗CXCR4抗体は、12G5である(43)。好ましい態様において、抗体は、抗CCR5抗体である。抗CCR5抗体は、PA8、PA9、PA10、PA11、PA12、PA14、および2D7を含むが、これらに限定されない。この組成物において、化合物は、適切な比で存在する。比は、1:1〜1000:1で変動する。
【0050】
モノクローナル抗体PA8、PA9、PA10、PA11、PA12、およびPA14は、得心に従って、および特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の要求を満たして、以下のアクセッション番号の下に1998年12月2日に、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)10801 University Boulevard, Manassas, Virginia 20110-2209に寄託された:ATCCアクセッション番号Hb-12605(PA8)、ATCCアクセッション番号HB-12606(PA9)、ATCCアクセッション番号Hb-12607(PA10)、ATCCアクセッション番号Hb-12608(P11)、ATCCアクセッション番号HB-12609(PA12)、ATCCアクセッション番号Hb-12610(PA14)。
【0051】
上記組成物のもう1つの態様において、化合物のうちの2つ以上は、抗体である。本発明の1つの態様において、抗体は、PA8、PA9、PA10、PA11、PA12、PA14、および2D7を含むが、これらに限定されない。この組成物において、抗体は適切な比で存在する。比は、1:1〜50:1で変動する。
【0052】
本明細書で使用されるものとして、「抗体」は、2つの重鎖および2つの軽鎖を含む免疫グロブリン分子を意味し、これは、抗原を認識する。免疫グロブリン分子は、IgA、分泌型IgA、IgG、およびIgM含む(しかし、これらに限定されない)一般に既知のクラスのいずれに由来してもよい。また、IgGサブクラスは、当業者に周知であり、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含むが、これらに限定されない。例えば、これは天然に存在する抗体および天然に存在しない抗体を含む。特に、「抗体」は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体、並びにこれらの一価および二価の断片を含む。さらに、「抗体」は、キメラ抗体、完全合成抗体、単鎖抗体、およびこれらの断片を含む。任意に、抗体は、検出可能なマーカーによってラベルすることができる。たとえば、検出可能なマーカーは、放射性または蛍光マーカーを含む。抗体は、ヒトまたは非ヒト抗体であってもよい。非ヒト抗体は、ヒトにおいてその免疫原性を減少するために、組換え方法によってヒト化されてもよい。抗体をヒト化するための方法は、当業者に既知である。
【0053】
本明細書で使用されるものとして、「モノクローナル抗体」は、mAbとも称され、その一次配列が本質的に同一であり、かつ同じ抗原特異性を示す抗体分子を記載するために使用される。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え、トランスジェニック、または当業者に既知のその他の技術によって産生されてもよい。
【0054】
本明細書で使用されるものとして、「抗ケモカイン受容体抗体」は、ケモカイン受容体上のエピトープを認識し、結合する抗体を意味する。本明細書で使用されるものとして、「抗CCR5抗体」は、CCR5ケモカイン受容体上のエピトープを認識し、結合するモノクローナル抗体を意味する。
【0055】
本明細書において使用されるものとして、「適切な比」は、化合物が相乗的に有効である質量またはモル比を意味する。
【0056】
上記の組成物の1つの態様において、少なくとも1つの化合物は、ケモカインまたはケモカイン誘導体である。ケモカインは、RANTES、MIP-1α、MIP-1β、SDF-1、またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。この組成物において、化合物は、適切な比で存在する。ケモカイン誘導体は、メチオニン-RANTES、AOP-RANTES、RANTES 9-68、またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0057】
本明細書において使用されるものとして、「ケモカイン誘導体」は、化学的に修飾されたケモカインを意味する。化学修飾は、アミノ酸の置換、付加、もしくは欠失、非ペプチジル付加、または酸化反応を含むが、これらに限定されない。当業者であれば、このような誘導体を作成することが可能であろう。
【0058】
上記の組成物のもう1つの態様において、少なくとも1つの化合物は、抗体であり、少なくとも1つの化合物は、ケモカインまたはケモカイン誘導体である。この組成物において、化合物は適切な比で存在する。比は、100:1〜1000:1で変動する。
【0059】
上記の組成物のもう1つの態様において、少なくとも1つの化合物は、HIV-1エンベロープ糖タンパク質のgp41サブユニットに結合する。1つの態様において、少なくとも1つの化合物は、HIV-1侵入のT-20ペプチド阻害剤である(70)。
【0060】
上記の組成物のもう1つの態様において、化合物のうちの少なくとも1つは、標的細胞に対するHIV-1の付着を阻害する。1つの態様において、少なくとも1つの化合物は、CD4に結合する。1つの態様において、少なくとも1つの化合物は、HIV-1エンベロープ糖タンパク質である。1つの態様において、少なくとも1つの化合物は、抗CD4抗体である。1つの態様において、少なくとも1つの化合物は、HIV-1エンベロープ糖タンパク質に結合する。1つの態様において、少なくとも1つの化合物は、HIV-1エンベロープ糖タンパク質に対する抗体である。1つの態様において、少なくとも1つの化合物は、CD4に基づいたタンパク質である。1つの態様において、少なくとも1つの化合物は、CD4-IgG2である。
【0061】
上記の組成物のもう1つの態様において、少なくとも1つの化合物は、抗体であり、少なくとも1つの化合物は、HIV-1エンベロープ糖タンパク質に結合する。1つの態様において、化合物は、CD4に基づいたタンパク質である。1つの態様において、化合物は、CD4-IgG2である。この組成物において、化合物は、適切な比で存在する。比は、1:1〜10:1で変動する。
【0062】
本明細書において使用されるものとして、「付着」は、融合共受容体ではないヒトCD4受容体に対するHIV-lエンベロープ糖タンパク質の結合によって媒介されるプロセスを意味する。
【0063】
本明細書で使用されるものとして、「CD4」は、細胞質ドメイン、疎水性の膜貫通領域、およびHIV-1 gp120エンベロープ糖タンパク質に結合する細胞外ドメインを含む成熟した、天然の、膜結合型のCD4タンパク質を意味する。
【0064】
本明細書で使用されるものとして、「HIV-1エンベロープ糖タンパク質」は、gp120表面タンパク質、gp41膜貫通タンパク質、並びにこれらのオリゴマーおよび前駆体を含むHIV-1をコードするタンパク質を意味する。
【0065】
本明細書で使用されるものとして、「CD4に基づいたタンパク質」は、CD4がHIV-1 gp120エンベロープ糖タンパク質と抱合体を形成するために必要とされるCD4の部分に対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの配列を含む任意のタンパク質を意味する。
【0066】
本明細書に使用されるものとして、「CD4-IgG2」は、ATCCアクセッション番号75193および75194下で寄託された発現ベクターによってコードされるヘテロ四量体のCD4-ヒトIgG2融合タンパク質を意味する。
【0067】
上記の組成物の1つの態様において、化合物の少なくとも一つは、CCR5エピトープに結合するポリペプチドを含む。1つの態様において、エピトープは、N末端、3つの細胞外ループ領域のうちの1つ、またはこれらの組み合わせに位置する。1つの態様において、エピトープは、N末端に位置する。エピトープは、N末端のN13およびY15を含むことができる。エピトープは、N末端のQ4を含むことができる。もう1つの態様において、エピトープは、N末端および第2細胞外ループの残基を含む。エピトープは、N末端のD2、Y3、Q4、S7、P8、およびN13、並びに第2細胞外ループのY176およびT177を含むことができる。エピトープは、N末端のD2、Y3、Q4、P8、およびN13、並びに第2細胞外ループのY176およびT177を含むことができる。エピトープは、N末端のD2並びに第2細胞外ループのR168およびY176を含むことができる。1つの態様において、エピトープは、第2細胞外ループに位置する。エピトープは、第2細胞外ループのQ170およびK171を含むことができる。エピトープは、第2細胞外ループのQ170およびE172を含むことができる。
【0068】
本明細書で使用されるものとして、以下の標準的な略語が、特定のアミノ酸を示すために明細書の全体にわたって使用される:
A=ala=アラニン R=arg=アルギニン
N=asn=アスパラギン D=asp=アスパラギン酸
C=cys=システイン Q=gln=グルタミン
E=glu=グルタミン酸 G=gly=グリシン
H=his=ヒスチジン I=ile=イソロイシン
L=leu=ロイシン K=lys=リジン
M=met=メチオニン F=phe=フェニルアラニン
P=pro=プロリン S=ser=セリン
T=thr=スレオニン W=trp=トリプトファン
Y=tyr=チロシン V=val=バリン
本明細書で使用されるものとして、「ポリペプチド」は、ペプチド結合によって結合された2つ以上のアミノ酸を意味する。
【0069】
本明細書において使用されるものとして、「エピトープ」は、抗体またはその他の化合物が結合するための表面を形成する分子または分子群の一部を意味する。エピトープは、隣接するかもしくは隣接しないアミノ酸、炭水化物もしくはその他の非ペプチジル部分、またはオリゴマー特異的な表面を含んでいてもよい。
【0070】
本明細書で使用されるものとして、「N末端」は、開始メチオニンから第1の膜貫通の領域にわたるアミノ酸の配列を意味する。
【0071】
本明細書で使用されるものとして、「第2細胞外ループ」は、第4および第5の膜貫通領域にわたり、表面上に示されるアミノ酸の配列を意味する。
【0072】
上記の組成物の1つの態様において、化合物の少なくとも一つは、抗体の軽鎖を含む。上記の組成物のもう1つの態様において、化合物の少なくとも一つは、抗体の重鎖を含む。上記の組成物のもう1つの態様において、化合物の少なくとも一つは、抗体のFab部分を含む。上記の組成物のもう1つの態様において、化合物の少なくとも一つは、抗体の可変ドメインを含む。もう1つの態様において、抗体は、単一のポリペプチドまたはアミノ酸の介在配列を経て遺伝的に結合された重鎖および軽鎖の可変ドメインを含む「単鎖」抗体として産生される。上記の組成物のもう1つの態様において、化合物の少なくとも一つは、1つまたは複数の抗体のCDR部分を含む。
【0073】
本明細書で使用されるものとして、「重鎖」は、1つの可変ドメイン(VH)および3つまたは4つの定常ドメイン(CH1、CH2、CH3、およびCH4)から成る抗体分子またはこれらの断片の、より大きなポリペプチドを意味する。
【0074】
本明細書で使用されるものとして、軽鎖は、1つの可変ドメイン(VL)および1つの定常ドメイン(CL)から成る抗体分子またはこれらの断片の、より小さなポリペプチドを意味する。
【0075】
本明細書で使用されるものとして、「Fab」は、1つの軽鎖および重鎖の一部から成る免疫グロブリンの一価の抗原結合断片を意味する。これは、簡単なパパイン消化によって、または組換え方法によって得ることができる。
【0076】
本明細書で使用されるものとして、「F(ab')2断片」は、両方の軽鎖および重鎖の一部から成る免疫グロブリンの二価の抗原結合断片を意味する。これは、簡単なペプシン消化または組換え方法によって得ることができる。
【0077】
本明細書で使用されるものとして、「CDR」または「相補性決定領域」は、抗体の可変ドメインのアミノ酸の非常に可変性の配列を意味する。
【0078】
本発明は、上記の組成物および薬学的に許容されるキャリアを提供する。薬学的に許容されるキャリアは、当業者に周知である。このような薬学的に許容されるキャリアは、水性または非水溶性の溶液、懸濁液、およびエマルジョンを含み得るが、これらに限定されない。非水性溶液の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイル等の植物油、オレイン酸エチル等の注入可能な有機エステル等がある。水性キャリアは、水、アルコール性/水性の溶液、エマルジョンまたは懸濁液、塩類溶液、および緩衝化された媒体類を含む。非経口媒体は、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸化リンゲル溶液、または不揮発性油を含む。静脈内媒体は、体液および栄養性補液、リンゲルデキストロースなどに基づくものなどの電解質補充薬を含む。また、たとえば抗生物質、抗酸化物、キレート薬、不活性ガスなどの、防腐剤およびその他の添加剤が存在してもよい。
【0079】
本発明は、被検者に上記の組成物の有効量を投与することを含む、HIV-1に苦しむ被検者を治療する方法を提供する。
【0080】
本明細書において使用されるものとして、「被験者」は、HIVに感染させることができる任意の動物または人工的に修飾された動物を意味する。人工的に修飾された動物は、ヒト免疫系を有するSCIDマウスを含むが、これに限定されない。動物は、マウス、ラット、イヌ、モルモット、白イタチ、ウサギ、および霊長類を含むが、これらに限定されない。好ましい大尉用において、被検者は、ヒトである。
【0081】
本明細書において使用されるものとして、「治療する」は、HIV-1障害の進行を緩徐化する、止める、または逆転させるのいずれかを意味する。好ましい態様において、「治療する」は、障害を除去する点まで進行を逆転させることを意味する。本明細書において使用されるものとして、「治療する」は、また、ウイルス感染数の減少、感染性のウイルス粒子の数の減少、ウイルス性の感染細胞の数の減少、またはHIV-1と関係する症状の回復を意味する。
【0082】
本明細書に使用されるものとして、「HIV-1にかかった」は、被検者がHIV-1に感染した少なくとも1つの細胞を有することを意味する。
【0083】
本明細書において使用されるものとして、「投与すること」は、当業者に既知のいずれの方法を使用して行われまたは実施されてもよい。本方法は、経静脈、筋肉内、または皮下の手段を含んでもよい。
【0084】
本発明の組成物の用量は、被検者におよび使用される投与の特定の経路に応じて変化する。用量は、0.1〜100,000g/kgで変動することができる。組成物に基づいて、用量は、連続ポンプなどにより連続的に、または周期的な間隔でデリバリーすることができる。たとえば、1つまたは複数の機会に分ける。特定の組成物の多回投与の所望の時間間隔は、当業者によって過度の実験なしに決定することができる。
【0085】
本明細書において使用されるものとして、「有効用量」は、HIV-1に感染することから被検者を治療するまたは被検者を防止するために十分な量の量を意味する。当業者であれば、被検者を治療するためにどのくらいの量が必要であるのかを決定するために、単純な滴定実験を行うことができる。
【0086】
本発明は、被検者に上記組成物の有効量を投与することを含む、被検者がHIV-1にかかることを防止する方法を提供する。
【0087】
本明細書で使用されるものとして、「HIV-1にかかること」は、HIV-1に感染して、その遺伝情報が宿主細胞内で複製され、および/または取り込まれることを意味する。
【0088】
本発明は、抗CCRSモノクローナル抗体を提供する。抗体は、以下のものを含むが、これに限定されない:PA8(ATCCアクセッション番号Hb-12605)、PA9(ATCCアクセッション番号Hb-12606)、PA10(ATCCアクセッション番号Hb-12607)、PA11(ATCCアクセッション番号Hb-12608)、PA12(ATCCアクセッション番号Hb-12609)、およびPA14(ATCCアクセッション番号Hb-12610)。
【0089】
本発明は、上記の抗体のヒト化された形態を提供する。
【0090】
本明細書において使用されるものとして、「ヒト化」は、CDR領域の外側のアミノ酸の一部、ほとんど、または全てがヒト免疫グロブリン分子に由来する対応するアミノ酸によって置換された抗体を記述する。抗体のヒト化された形態の1つの態様において、CDR領域の外側のアミノ酸の一部、ほとんど、または全ては、ヒト免疫グロブリン分子に由来するアミノ酸によって置換され、1つまたは複数のCDR領域内の一部、ほとんど、または全てのアミノ酸は不変である。抗体が所与の抗原に結合する能力をこれらがなくさない限り、アミノ酸の小さな付加、欠失、挿入、置換、または修飾は許される。適切なヒト免疫グロブリン分子は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、およびIgM分子を含む。「ヒト化」抗体は、すなわち、本発明において、本来の抗体と同様の抗原特異性、CCR5を結合する能力を保持する。
【0091】
当業者であれば、本発明のヒト化抗体を作成する方法を知っているであろう。種々の刊行物(また、いくつか本出願に参照として本明細書に組み入れられる)でも、ヒト化抗体を作製する方法を記載する。たとえば、米国特許第4,816,567号(71)に記載された方法は、1つの抗体の可変領域および別の抗体の定常領域を有するキメラ抗体の産生を含む。
【0092】
米国特許第5,225,539号(72)は、ヒト化抗体の産生のためのもう一つのアプローチを記載する。この特許は、ヒト化抗体が所望の標的を認識するが、ヒト被験者の免疫系によって有意な方法で認識されないように、1つの免疫グロブリンの可変領域のCDRを異なる特異性を有する免疫グロブリンに由来するCDRで置換される、ヒト化抗体を産生する組換えDNA技術の使用を記載する。特に、CDRをフレームワークに融合させるために、部位特異的突然変異誘発が使用される。
【0093】
抗体をヒト化するためのその他のアプローチは、米国特許第5,585,089号(73)および第5,693,761号(74)並びに国際公開公報第90/07861号に記載されており、これはヒト化免疫グロブリンを産生するための方法を記載する。これらは、1つまたは複数のCDR、およびドナーの免疫グロブリンに由来する生じうるさらなるアミノ酸、および受け入れるヒトの免疫グロブリンに由来するフレームワーク領域を有する。これらの特許は、所望の抗原に対する抗体の親和性を増大するための方法を記載する。フレームワーク内の一部のアミノ酸は、アクセプターのものよりもむしろドナーのものの位置のアミノ酸と同じであるように選択される。特に、これらの特許は、ヒト免疫グロブリンフレームワークおよび定常領域とマウス・モノクローナル抗体のCDRを結合することによって受容体に結合するヒト化抗体の調製を記載する。ヒト・フレームワーク領域は、マウス配列と相同性が最大になるように選択することができる。CDRまたは特異的な抗原と相互作用する可能性が高いフレームワーク領域のアミノ酸を同定するために、コンピュータ・モデルを使用することができ、次いでマウス・アミノ酸をこれらの位置で使用してヒト化抗体を作製することができる。
【0094】
上記特許第5,585,089号および第5,693,761号、並びに国際公開公報第90/07861号(75)は、ヒト化抗体を設計する際に使用されるであろう4つの可能な基準を提唱する。第1の提案は、アクセプターについて、ヒト化されるドナー免疫グロブリンに異常に相同的である特定のヒト免疫グロブリンに由来するフレームワークを使用するか、または多くのヒト抗体に由来するコンセンサスフレームワークを使用することである。第2の提案は、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク中のアミノ酸が普通でなく、その位置のドナーのアミノ酸がヒト配列に典型的である場合、その時は、アクセプターよりもむしろドナーアミノ酸が選択されてもよい。第3の提案は、ヒト化免疫グロブリン鎖の3つのCDRにすぐに隣接した位置では、アクセプターアミノ酸よりもむしろドナーアミノ酸が選択されてもよいということであった。第4の提案は、抗体の三次元モデルにおいてCDRの3Å以内に側鎖原子を有することが予測され、かつCDRと相互作用することができると予測されるアミノ酸のフレームワーク位置にあるドナーアミノ酸を使用することであった。上記の方法は、単に当業者がヒト化抗体を作製するために使用することができるいくつかの方法を図解するだけである。ヒト化抗体の結合の親和性および/または特異性は、Wuら、(1999)J. Mol. Biol. 284: 151および米国特許第6,165,793号;第6,365,408号、および第6,413,774号に記載したように定方向進化(directed evolution)の方法を使用して増大させてもよい。
【0095】
本発明の態様において、抗体のヒト化形態は、配列番号:6に記載の軽鎖可変アミノ酸配列を含む。もう1つの態様において、抗体は、配列番号:9に記載の重鎖可変アミノ酸配列を含む。さらなる態様において、抗体は、配列番号:12に記載の重鎖可変アミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0096】
もう1つの態様において、ヒト化抗体は、配列番号:6に記載した軽鎖可変アミノ酸配列、および配列番号:9に記載の重鎖可変アミノ酸配列を含む。あるいは、抗体は、配列番号:6に記載の軽鎖可変アミノ酸配列および配列番号:12に記載の重鎖可変アミノ酸配列を含んでもよい。
【0097】
ヒト化抗体の可変領域は、ヒト免疫グロブリンの免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部に結合されてもよい。1つの態様において、ヒト化抗体は、軽鎖および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、通常CH1、ヒンジ、CH2、CH3、および時にCH4領域を含む。1つの態様において、ヒト化抗体の定常領域は、ヒトIgG4アイソタイプである。
【0098】
本発明は、これらの抗CCR5モノクローナル抗体またはこれらのヒト化されたバージョンをコードする単離された核酸分子を提供する。核酸分子は、RNA、DNA、またはcDNAであることができる。1つの態様において、核酸分子は、軽鎖をコードする。1つの態様において、核酸分子は、重鎖をコードする。1つの態様において、核酸は、重鎖および軽鎖の両方をコードする。1つの態様において、1つまたは複数の核酸分子は、Fab部をコードする。1つの態様において、1つまたは複数の核酸分子は、CDR部をコードする。1つの態様において、核酸分子は、可変ドメインをコードする。もう1つの態様において、核酸分子は、可変ドメインおよび1つまたは複数の定常ドメインをコードする。
【0099】
好ましくは、例示されたヒト化抗CCR5抗体の類似体は、保存的なアミノ酸置換によって例示されたヒト化抗CCR5抗体と異なる。アミノ酸置換を保存的なまたは非保存的なものに分類する目的で、アミノ酸は、次のようにグループにしてもよい:群I(疎水性の側鎖):
met、ala、val、leu、ile;群II(中性の親水性側鎖):cys、ser、thr;群III(酸性側鎖):asp、glu;群IV(基本的側鎖):asn、gln、his、lys、arg;群V(鎖配向に影響する残基):
gly、pro;および群VI(芳香族側鎖):trp、tyr、phe。保存的な置換は、同じ分類のアミノ酸の間での置換を含む。非保存的な置換は、これらの分類のうちの1つのメンバーを別のメンバーに交換することからなる。
【0100】
ヒト化抗CCR5抗体の類似体は、本明細書に例示されるヒト化PRO14#1またはヒト化PRO140#2と実質的にアミノ酸配列の一致性を示す。類似体の重鎖および軽鎖の可変領域は、ヒト化PRO14#1もしくはヒト化PRO140#2の重鎖または軽鎖可変領域をコードする核酸またはこれらの縮重形態と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされる。
【0101】
遺伝暗号の縮重のために、種々の核酸配列が、本発明のヒト化抗CCR5抗体をコードする。特定の態様において、抗体は、前述の核酸分子に非常に相同的な核酸分子によってコードされる。好ましくは、相同的な核酸分子は、本明細書に提供されるヌクレオチド配列と少なくとも約90%同一であるヌクレオチド配列を含む。より好ましくは、ヌクレオチド配列は、本明細書に提供されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%同一であり、少なくとも約97%同一であり、少なくとも約98%同一であり、または少なくとも約99%同一である。相同性は、当該技術分野の当業者に周知の種々の公的に利用できるソフトウェア・ツールを使用して算出することができる。典型的なツールは、アメリカ国立衛生研究所の国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のウェブサイトから入手可能なBLASTシステムを含む。
【0102】
高度に相同的なヌクレオチド配列を同定する1つの方法は、核酸ハイブリダイゼーションを介したものである。したがって、本発明は、CCR5結合特性および本明細書に記載されているその他の機能的な特性を有するヒト化CCR5抗体をも含み、これは、前述の核酸分子に高ストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされる。また、関連した配列の同定は、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)および関連した核酸配列をクローン化するために適したその他の増幅技術を使用して達成することができる。好ましくは、PCRプライマーは、CDRなどの、関心対象の核酸配列部分を増幅するように選択される。
【0103】
「高ストリンジェンシーの条件」の用語は、本明細書に使用されるものとして、当業者に知られたパラメーターをいう。核酸のハイブリダイゼーションパラメーターは、このような方法をコンパイルする参照、たとえば Molecular Cloning: A Laboratory Manual, J. Sambrookら、eds. , Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989またはCurrent Protocols in Molecular Biology, F. M. Ausubeら、eds. , John Wiley & Sons, Inc. , New Yorkに見いだされるであろう。高ストリンジェンシーの条件の1つの例は、摂氏65度におけるハイブリダイゼーション緩衝液(3.5×SSC、0.02%のフィコール、0.02%のポリビニルピロリドン、0.02%のウシ血清アルブミン、2.5mMのNaH2PO5(pH7)、0.5%のSDS、2mMのEDTA)中でのハイブリダイゼーションである。SSCは、0.15Mの塩化ナトリウム/0.015Mのクエン酸ナトリウム(pH7)であり;SDSは、ドデシル硫酸ナトリウムであり;およびEDTAは、チレンジアミン四酢酸である。ハイブリダイゼーション後、核酸を転写した膜を、例えば室温で2×SSC中で、次いで0.1〜0.5×SSC/0.1×SDSで摂氏68度までの温度で洗浄する。
【0104】
配列を、発現制御配列に操作可能な状態で(すなわち、機能することを確実にするように配置する)に結合した後に、核酸配列を宿主に発現させる。これらの発現ベクターは、典型的には宿主生物において、エピソームとして、または宿主染色体のDNAに一体化した部分としてのいずれかとして複製される。一般に、発現ベクターは、所望のDNA配列で形質転換された細胞の検出を可能にするために、選択マーカー、たとえばテトラサイクリンまたはネオマイシンを含む(たとえば、米国特許第4,704,362号を参照されたい、これは、本明細書に参照として援用される)。
【0105】
大腸菌は、特に本発明のDNA配列をクローン化するための有用な原核生物の宿主の1つである。使用に適したその他の微生物の宿主は、バシラス・ズブチリス(Bacillus subtilus)などの桿菌サルモネラ、セラチア、および種々のシュードモナス種などのその他の腸内細菌科(enterobacteriaccae)を含む。これらの原核生物の宿主において、発現ベクターを作製することもでき、これは、典型的には宿主細胞と互換性を持つ発現制御配列(たとえば複製開始点)を含む。加えて、乳糖プロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系、ベータ-ラクタマーゼプロモーター系、またはλファージ由来のプロモーター系などの、多くの種々の周知のプロモーターが存在する。プロモーターは、典型的には発現を制御し、任意にオペレーター配列を伴い、そして転写および翻訳を開始並びに完了するためのリボソーム結合部位配列を有する。
【0106】
また、酵母などのその他の微生物も発現のために有用であろう。サッカロマイセス(Saccharomyces)は、3-ホスホグリセリン酸キナーゼまたはその他の解糖酵素、および複製起源、終結配列などの要求されるとおりのものを含む、プロモーターなどの発現制御配列を有する適切なベクターを有する好ましい宿主である。
【0107】
微生物に加えて、哺乳類組織細胞培養も、本発明のポリペプチドを発現し、産生するために使用されてもよい(Winnacker,''From Genes toClones,", VCH Publishers, New York, New York (1987))を参照されたい)。無処理の免疫グロブリンを分泌することができる多くの適切な宿主株化細胞が当該技術分野において開発されているので(CHO細胞株、種々のCOS細胞株、HeLa細胞、好ましくは骨髄腫細胞株、その他、並びに形質転換されたB細胞または雑種細胞腫を含む)、真核細胞が実際には好ましい。これらの細胞のための発現ベクターは、複製開始点、プロモータ、エンハンサーなどの発現制御配列(Queenら、Immunol. Rev., 89,49-68 (1986)、これは、参照として本明細書に援用される)、並びにリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位、および転写終結配列などの必要な処理情報部位を含むことができる。好ましい発現調節配列は、免疫グロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、サイトメガロウイルス、ウシパピローマウイルスなどに由来するプロモーターである。
【0108】
関心対象のDNA部分(たとえば、重鎖および軽鎖をコードする配列および発現制御配列)を含むベクターは、周知の方法によって宿主細胞に導入することができ、これは細胞の宿主のタイプに応じて変化する。たとえば、塩化カルシウムトランスフェクションは、原核細胞に共通に利用されるが、リン酸カルシウム処理または電気穿孔法は、その他の細胞の宿主に使用されるであろう(一般に、Maniatisら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press (1982)を参照されたい、これは、参照として本明細書に援用される)。
【0109】
一旦発現すると、全ての抗体、これらの二量体、個々の軽鎖および重鎖、または本発明の免疫グロブリンその他の形態は、硫安塩析、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などを含む当該技術分野における標準的な手順によって精製することができる。(一般に、R. Scopes,"Protein Purification", Springer- Verlag, New York (1982)を参照されたい)。医薬品用途には、少なくとも約90〜95%の均一な実質的に純粋な免疫グロブリンが好ましく、98〜99%以上の均一性が最も好ましい。一旦、要求されるように部分的にまたは均一に精製されると、次いでポリペプチドを治療的に(身体外を含む)、またはアッセイ手技の開発および実施、免疫蛍光染色に使用してもよい(一般に、Immunological Methods, Vols. I and II, Lefkovits and Pernis, eds., Academic Press, New York, New York (1979 and 1981)を参照されたい)。
【0110】
診断または検出の目的のためには、抗体は、ラベルしても、またはラベルしなくても、いずれであってもよい。ヒト免疫グロブリン定常領域に特異的な抗体などの、ヒト化抗体に反応するその他のラベルされた抗体(二次抗体)と組み合わせて、ラベルのない抗体を使用することができる。あるいは、抗体を直接ラベルすることができる。放射性核種、酵素群、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素阻害剤、リガンド(特にハプテン)、その他などの多種多様なラベルを使用することができる。免疫アッセイ法の多くのタイプを利用でき、CCR5を発現する細胞の検出またはCCR5を発現することができる細胞のCCR5の調整の検出は、当業者に周知である。
【0111】
また、本発明は、血清半減期の増大、循環における平均残留時間(MRT)の増大、および/または誘導体化されていない抗体断片を超えた血清クリアランス速度の減少をもたらす有効な大きさまたは分子量を有する抗体断片重合体抱合体を提供する。
【0112】
本発明の抗体断片-重合体抱合体は、不活性な重合体で所望の抗体断片を誘導体化することによって作製することができる。これにより、所望の見かけの大きさを提供するか、または選択された実際の分子量を有する任意の不活性な重合体が、本発明の抗体断片-重合体抱合体の構築に使用するために適していることは、いうまでもない。
【0113】
多くの不活性な重合体は、医薬品で使用するために適している。たとえば、Davisら、Biomedical Polymers: Polymeric Materials and Pharmaceuticals for Biomedical Use, pp. 441-451 (1980)を参照されたい。本発明の全ての態様において、非タンパク質(non-protinaceous)重合体が使用される。非タンパク質重合体は、通常、親水性の合成重合体、すなわちその他の場合は天然に見いだされない重合体である。しかし、天然に存在する重合体および組換えまたはインビトロ方法によって産生される重合体も、天然の供与源から単離される重合体と同様に有用である。親水性のポリビニル重合体(たとえば、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドン(polyvinvypyrrolidone)は、本発明の範囲内である。ポリエチレングリコール(PEG)などのポリアルキレンエーテル;ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、並びにポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンのブロックコポリマー(Pluronics)などのポリオキシアルキレン類;ポリメタクリレート;カルボマー(carbomers);糖類単量体D-マンノース、D-およびL-ガラクトース、フコース、果糖、D-キシロース、L-アラビノース、D-グルクロン酸、シアル酸、D-ガラクツロン酸、D-マンヌロン酸(たとえば、ポリマンヌロン酸またはアルギン酸)、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、D‐グルコース、およびノイラミン酸を含む分枝のまたは枝状に分かれていない多糖体(ラクトース、アミロペクチン、デンプン、ヒドロキシエチル澱粉、アミロース、デキストラン硫酸、デキストラン、デキストリン、グリコーゲンなどのホモ多糖およびヘテロ多糖を含む)、または酸性ムコ多糖の多糖体サブユニット、たとえば、ヒアルロン酸、ポリソルビトールおよびポリマンニトールなどの糖アルコールの重合体、ヘパリンもしくはヘパロン(heparon)は、特に有用である。架橋前の重合体は、水溶性である必要はないが好ましく、しかし最終的な抱合体は、水溶性でなければならない。好ましくは、抱合体は、少なくとも約0.01mg/ml、およびより好ましくは、少なくとも約0.1mg/ml、およびより好ましくは少なくとも約1mg/mlの水溶性を示す。加えて、重合体は、抱合体の形態では非常に免疫原性であるべきではなく、または抱合体がこのような経路によって投与されることが企図される場合、静脈内輸液または注射に不適合である粘性を有するべきではない。
【0114】
1つの態様において、重合体は、反応性の単一の基のみを含む。これは、タンパク質分子の架橋を避けるのを助ける。しかし、実質的に均一な誘導体を回収するために、架橋を減少する最大の反応条件にするか、またはゲル濾過もしくはイオン交換クロマトグラフィーにより反応生成物を精製することも、本発明の範囲内である。その他の態様において、重合体は、多くの抗体断片を重合体主鎖に結合するための2つ以上の反応基を含む。また、実質的に均一な形態の所望の誘導体を回収するために、ゲル濾過またはイオン交換クロマトグラフィを使用することができる。
【0115】
重合体の分子量は、約500,000Dまでの範囲で変動することができ、好ましくは少なくとも約20,000Dまたは少なくとも約30,000D、または少なくとも約40,000Dである。選択される分子量は、達成される抱合体の有効径、重合体の性質(たとえば直鎖または分枝などの構築)、および誘導体化の程度、すなわち抗体断片あたりの重合体分子の数、および抗体断片の重合体付着部位に依存し得る。
【0116】
重合体は、重合体と反応する多機能性の架橋剤および結合される抗体断片の1つまたは複数のアミノ酸残基を介して、共有結合で抗体断片に結合させることができる。しかし、誘導体化された重合体を抗体断片と反応させることによって、重合体を直接架橋すること、またはその逆も、本発明の範囲内である。
【0117】
抗体断片の共有結合架橋部位は、N末端のアミノ基およびリジン残基上で見いだされるεアミノ基、並びにその他のアミノ基、イミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、水酸基、またはその他の親水性の基を含む。重合体は、米国特許第6,458,355号に記載されるように、多機能性の(通常、二機能性の)架橋剤を用いずに、抗体断片に直接結合される共有結合であってもよい。
【0118】
このような重合体による置換の程度は、抗体断片の反応部位の数、分子量、重合体の親水性およびその他の特徴、並びに選択される特定の抗体断片の誘導体化部位に応じて変化する。一般に、抱合体は、1〜約10個の重合体分子を包含するが、本発明の抗体断片に付着されたより多くの重合体分子も、想定される。所望の量の誘導体化は、抱合体の重合体置換のレベルをサイズ排除クロマトグラフィーまたは当該技術分野において既知のその他の手段によって決定した後には、時間、温度、およびその他の反応条件を変更して置換の程度を変化させる実験的マトリックスを用いて容易に達成される。
【0119】
本発明の抗体断片を修飾する官能性を持たせたPEG重合体は、Shearwater Polymers, Inc. (Huntsville, Ala.)から入手可能である。このような商業的に入手可能なPEG誘導体は、アミノ-PEG、PEGアミノ酸エステル、PEGヒドラジド、PEG-チオール、PEG-スクシナート、カルボキシメチル化されたPEG、PEG-プロピオン酸、PEGアミノ酸、PEGスクシンイミジルスクシナート、PEGスクシンイミジルプロピオナート、カルボキシメチル化されたPEGのスクシンイミジルエステル、PEGのスクシンイミジルカルボナート、アミノ酸PEGsのスクシンイミジルエステル、PEG-オキシカルボニルイミダゾール、PEGニトロフェニルカルボナート、PEGトレシレート(tresylate)、PEG-グリシジルエーテル、PEG-アルデヒド、PEG-ビニルスルホン、PEG-マレイミド、PEG-オルトピリジル-ジスルフィド、ヘテロ官能性のPEGs、PEGビニル誘導体、PEGシラン、およびPEGホスホライド(phospholides)を含むが、これらに限定されない。これらのPEG誘導体を結合するための反応条件は、タンパク質、所望のPEG化の程度(PEGylation)、および利用されるPEG誘導体に応じて変化する。PEG誘導体の選択に関与するいくつかの因子は:所望の付着点(例えば、リジンまたはシステインR基)、誘導体の加水分解安定性および反応性、結合の安定度、毒性および抗原性、解析のための適合性、その他を含む。任意の特定の誘導体を使用するための特定の説明書は、製造業者から入手可能である。本発明の抱合体は、ゲル濾過またはイオン交換HPLCによって反応していない出発原料から分離される。
【0120】
抗CCR5抗体またはこれらの断片は、非ヌクレオシドの逆転写酵素阻害剤(NNRTIs)、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、HIV-1プロテアーゼ阻害剤、ウイルス侵入阻害剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数のさらなる抗ウイルス薬と組み合わせて使用されてもよい。
【0121】
本発明の組成物に使用してもよい既知のNNRTI化合物は、エファビレンツ、UC-781、HBY097、ネビラピン(nevirapine)(11-シクロプロピル-5,11,-ジヒドロ-4-メチル-6H-ジピリド[3,2-b:2’3'-][1,4]ジアゼピン-6-オン)、デラビルジン(delavirdine)(Rescriptor(商標);Pharmacia Upjohn)(ピペラジン,1-[3-[(1-メチル-エチル)アミノ]-2-ピリジニル]-4-[[5-[(メチルスルホニル)アミノ]-1H-インドール-2イル]カルボニル]-,モノメタンスルホナート)、SJ-3366(1-(3-シクロペンテン-l-イル)メチル-6-(3,5-ジメチルベンゾイル)-5-エチル-2,4-ピリミジンジオン)、MKC-442(6-ベンジル-1-(エトキシメチル)-5-イソプロピルウラシル)、GW420867x(S-3エチル-6-フルロ-4-イソプロポキシカルボニル-3,4-ジヒドロキノキサリン-2(1H)-オン;Glaxo)、HI-443(N’-[2-(2-チオフェン)エチル]-N’-[2-(5-ブロモピリジル)]-チオ尿素)などを含むが、これらに限定されない。
【0122】
本発明の少なくとも1つの抗CCR5抗体またはこれらの断片と組み合わせて組成物に使用してもよいヌクレオシド逆転写酵素阻害剤は、アバカビル(abacavir)(Ziagen(商標)Glaxo Smith Kline)((1S、cis)-4-[2-アミノ-6-(シクロプロピルアミノ)-9H-プリン-9-イル]-2-シクロペンテン-1-メタノールサルフェート(塩))、ラミブジン(Epivir(商標)、Glaxo Smith Kline)((2R,cis)-4-アミノ-1-(2-ヒドロキシメチル-1,3-オキサチオラン-5-イル)-(1H)-ピリミジン-2-オン)、ジドブジン(Retrovir、(商標);Glaxo Smith Kline)(3’アジド-3’-デオキシチミジン)、スタブジン(Zerit;Bristol-Myers Squibb)(2’,3’-ジデヒドロ-3’デオキシチミジン)、ザシタビン(Hvid(商標);Roche Laboratories)(4-アミノ-1-β-D2’,3'-ジデオキシリボフラノシル-2-(1H)-ピリミドン)、ジダノシンなどを含むが、これらに限定されない
本発明の抗CCR5抗体またはこれらの断片と組み合わせて組成物に使用してもよいHIV-1プロテアーゼ阻害剤は、ロピナビル(1S-[1R*,(R*),3R*,4R*]]-N-4-[[(2<6-ジメチフェノキシ)アセチル]アミノ]-3-ヒドロキシ-5-フェニル-l-(フェニルメチル)ペンチル]テトラヒドロ-アルファ-(1-メチルエチル)-2-オキソール(2H)-ピルイミジンアセトアミド)、サキナビル(N-tert-ブチル-デカヒドロ-2-[2(R)-ヒドロキシ-4-フェニル-3(S)-[[N-(2-キノリルカルボニル)-L-アスパラギニル]アミノ]ブチル]−(4aS,8aS)-イソキノリン-(3S)-カルボキサミド)、ネルフィナビルメシレート([3S-[2(2S*,3S*,3a, 4β, 8aβ)]]-N-(1,1-ジメチエチル)デカヒドロ-2[2-ヒドロキシ-3-[(3-ヒドロキシ-2-メチルベンゾイル)アミノ]-4-(フェニルチオ)ブチル]-3-イソキノリンカルボキスアミドモノ-メタンスルホンナート)、インジナビルスルファート(([1(1S、2R),5(S))]-2,3,5-トリデオキシ-N-(2,3-ジヒドロ-2-ヒドロキシ-1H-インデン-1-イル)-5-[2-[[(1,1-ジメチルエチル)アミノ]カルボニル]-4-(3-ピリジニルメチル)-1-ピペラジニル]-2-(フェニルメチル)-Dエリトロペンタオンアミドスルファート(1:1)塩)、アンプレナビル((3S)-テトラヒドロ-3-フリルN-[(1S, 2R)-3-(4-アミノ-N-イソブチルベンゼンスルホンアミド)-1-ベンジル-2-ヒドロキシプロピル]カルバメート)、リトナビル((10-ヒドロキシ-2-メチル-5-(1-メチルエチル)-1-[2-(1-メチルエチル)-4-チアゾリル]-3,6-ジオキソ-8,11-ビス(フェニルメチル)-2,4,7,12-テトラアザトリデカン-13-オイック酸,5-チアゾリルメチルエステル[5S-(5R*,8R*,10R*,11R*)])などを含むが、これに限定されない、
本発明の抗CCR5抗体またはこれらの断片と組み合わせて使用してもよいHIV-1融合またはウイルス侵入阻害剤は、PRO542((Progenics Pharmaceuticals, Inc. , Tarrytown, NY)、T-20(Trimeris, Inc. , Durham, NC)(米国特許第5,464,933号;第6,133,418号;第6,020,459号)、T-1249(米国特許第6,345,568号;第6,258,782号)などを含む。
【0123】
併用療法のためには、本発明の抗CCR5抗体またはこれらの断片は、1つまたは複数の従来の抗ウイルス薬の前に、後に、または並行して被検者に投与してもよい。
【0124】
本発明は、以下の実験の詳細からよりよく理解されるであろう。しかし、当業者であれば、論議した特定の方法および結果は、本発明の単に例示であり、請求の範囲により完全に記載されていることが容易に認められるであろう。
【0125】
実験の詳細:
【実施例】
【0126】
実施例1
A.材料および方法
1)試薬
MAb2D7は、Pharmingen(San Diego,CA)から購入し、CC-およびCXC-ケモカインはR&D Systems(Minneapolis, MN)から得た。CD4-IgG2(1),可溶性(s)CD4(2),および組換えHIV-lJR-FLgp120は、Progenics Pharmaceuticals, Inc. (59)によって製造された。
【0127】
2)抗CCR5 mAbsの単離および精製
L1.2-CCR5細胞(63)を5mmの酪酸ナトリウムの存在下で、16hインキュベートし、CCR5の発現を調節するサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターからの転写を活性化して、細胞表面共受容体密度の10倍の増加を生じさせた。雌Balb/cマウスには、107個のL1.2-CCR5細胞で3週間隔で腹腔内に免疫し、脾臓摘出の3日前に、107個のL1.2-CCR5細胞の静脈内ブースを投与した。脾細胞をSp2/0株化細胞と融合させた。一次スクリーンにおいて、10,000の雑種細胞腫倍養液からの上清を試験し;これらのうちの120が、以前に記載したとおり(19、38)の共鳴エネルギー移転(RET)アッセイ法で、HIV-1エンベロープを媒介した、CCR5およびCD4を天然に発現するPM1細胞(10)とHeLa-EnvJR-FL+細胞の間の融合を阻害した。最も強力に抑制性の上清を産生し、またCCR5+細胞を染色した雑種細胞腫を限界希釈によってサブクローニングした。腹水液は、抗CCR5 mAbsのPA8、PA9、PA10、PA11、PA12、およびPA14を産生する雑種細胞腫を注入されたBalb/cマウスから、Science, Inc.(Indianapolis, IN)のHarlan Bioproductsによって調製した。mAbsは、硫酸アンモニウムでの沈澱に続くプロテインAクロマトグラフィによって、個々に95kに均一に精製した。全てのmAbsは、5mg/mlの終濃度でリン酸緩衝食塩水(PBS)に再懸濁した。
【0128】
3)蛍光で活性化される細胞のソーティング(FACS)解析および抗CCR5 mAbsのエピトープマッピング
mAbs PA8〜PA12およびPA14のCCR5との細胞表面反応性を検出するために、フローサイトメトリーを使用した。酪酸ナトリウム処理したL1.2-CCR5+細胞(106)を、0.1%のアジ化ナトリウム(アジ化ナトリウム)の50μlのダルベッコのPBS(DPBS)溶液中で、20分、4℃で0.25μgの抗体と共にインキュベートした。CCR5 mAb 2D7は、ポジティブ対照として使用し、非特異的なマウスのIgG1は、ネガティブ対照として使用した。細胞を遠心し、洗浄し、1:100希釈したフィコエリトリン(PE)でラベルしたヤギ抗マウスIgG(Caltag, Burlingame, CA)と共に、1次抗体と同じインキュベーション条件下でインキュベートした。最後に、細胞をフローサイトメトリーによって解析した。PBMCを前述したように(60)単離し、刺激し、同様の方法を使用して染色した。
【0129】
抗CCR5 mAbsのエピトープマッピングのために、同様の手順を使用した。70のCCR5点変異体のパネルが記載されている(20、24、52)。これらのタンパク質のコード配列を、5’T7-ポリメラーゼ・プロモーターによって転写を駆動させることができるpcDNA3.1ベクター(ストラタジーン)にサブクローン化する。CCR5変異体には、細胞可溶化物中の、またはフローサイトメトリーによるタンパク質の検出のために、C-末端に9-残基のヘマグルチニン(HA)タグを有する。HeLa細胞(2×106)を20μg/mlのリポフェクチンおよび同量の野生型または変異体CCR5発現するプラスミドと共に5時間OPTI-MEM(Life Technologies, Gaithersburg, MD)中でインキュベートした。次いで、細胞を2×107p.f.uのvTF7(23)に12時間感染させて、CCR5発現をブーストし、2mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)PBS溶液で脱離させ、結合緩衝液(1%のBSA、0.05%のアジ化ナトリウムのDPBS溶液)で一回洗浄した。前のパラグラフに記載したように、mAbsによって細胞(1×106)を表面ラベルし、インキュベーション緩衝液で一度洗浄し、1mlの1×FACSlyse水溶液(Becton Dickinson)に再懸濁して、室温で30分間、細胞膜を透過させた。次いで、細胞を遠心し、インキュベーション緩衝液で洗浄し、細胞内ラベリングのために4μg/mlのフルオレッセインイソチオシアネート(FITC)ラベルされたマウス抗HAmAb(BabCo, Richmond, CA)と共に37℃で1時間インキュベートした。最後に、細胞を結合緩衝液で一度およびDPBSで一度洗浄し、1%のホルムアルデヒドのPBS溶液に再懸濁し、フローサイトメトリーによって解析した。
【0130】
変異体CCR5に対するmAbの結合の程度は、方程式(変異体CCR5 PE m.f.i. / wt CCR5 PE m.f.i.)/(変異体CCR5 FITC m.f.i./ wt CCR5 FIT Cm.f.i.)×l00%によって決定した。これにより、変異体共受容体発現量に対してmAb結合を規準化する。
【0131】
4)gp120/sCD4-結合アッセイ法
gp120は、製造業者の説明書の記載に従ってNHS-ビオチン(Pierce, Rockford, IL)を使用してビオチン化し、未結合のビオチンをダイアフィルトレーションによって除去した。酪酸ナトリウム処理したL1.2-CCR5+細胞を、希釈を変化させたsCD4およびビオチン化されたgp120の等モルの混合物、または1.25μg/mlのsCD4および2.5μg/mlのビオチン化されたgp120と共に、種々の濃度の抗CCR5 mAbs PA8-PA12、PA14、2D7、または非特異的なマウスのIgG1の存在下で、0.1%アジ化ナトリウムのDPBS溶液中で1時間インキュベートした。細胞をインキュベーション緩衝液で洗浄し、1:50希釈したストレプトアビジン−PE(BectonDickinson)と共に室温で1時間インキュベートした。最後に、細胞を結合緩衝液で洗浄し、蛍光プレートリーダー(Perspective Biosystems, Framingham, MA)を使用して解析した。
【0132】
5)抗CCR5 mAbsによるエンベロープを媒介した細胞-細胞の融合およびHIV-1侵入の阻害
HeLa-EnvJR-FL+とPM1細胞の間のHIV-1エンベロープを媒介した融合の阻害を、RETアッセイ法を使用して検出した。同数(2×104)のフルオレッセインオクタデシルエステル(F18)ラベルしたエンベロープ発現細胞およびオクタデシルローダミン(R18)ラベルされたPM1細胞を、15%ウシ胎児血清のDPBS溶液に96-ウエルプレートにまいて、種々の濃度の抗CCR5 mAbs PA8-PA12、PA14、2D7、または非特異的なマウスIgG1の存在下で37℃において4時間インキュベートした。蛍光RETをCytofluorプレートリーダー(PerSeptive Biosystems)で測定し、%RETを前述したとおりに決定した(38)。
【0133】
JR-FLまたはGun-1由来のエンベロープ糖タンパク質によってトランスに補完されるNLluc+env-ウイルスは、前述したように作製した(20)。U87MG-CD4+CCR5+細胞(14)には、種々の濃度の個々のmAbsの存在下で、50〜100ng/mlのp24を含むキメラのリポータウイルス感染させた。37℃で2時間後、ウイルスを含有する培地を新鮮なmAbを含む培地に置換した。抗体を含まない新しい培地を12時間後に再び添加した。合計72時間後、100μlの溶解緩衝液(Promega)を細胞に添加し、記載されている(20)ように、ルシフェラーゼ活性(r.l.u.)を測定した。HIV-1感染の%阻害は、[1-(抗体の存在下でのr.l.u/抗体の非存在下でのr.l.u)]×100%として定義される。
【0134】
6)カルシウムシグナリングアッセイ法
蛍光色素Indo-1AM(Molecular Probes, Eugene, OR)を5μMの終濃度で、酪酸ナトリウム処理したL1.2-CCR5+細胞に添加した。30分間37℃でインキュベーション後、細胞を一度洗浄し、ハンク緩衝食塩水に再懸濁した。細胞(106)を抗CCR5 mAbまたはPBSによって、60s後にRANTESによって経時的に刺激した。MAbs PA8-PA12およびPA14は、100μg/mで、l2D7は、20μg/mlで、並びにRANTESは、250ng/mlの濃度で使用した。また、PA14および2D7によるカルシウム流入阻害を0〜100μg/mlの範囲の広範囲にわたるmAb濃度について試験した。細胞内カルシウムレベルは、Perkin-Elmer LS-5S蛍光分光光度計を使用して、358nmで励起後に402nm(結合色素)および486nm(フリー色素)の蛍光発光の比を測定することによってモニターした。
【0135】
B.結果および考察
1)抗CCR5モノクローナル抗体PA8、PA9、PA10、PA11、PA12、およびPA14Itを単離
CCR5の細胞外ドメインに対応するペプチドは、天然の細胞表面受容体に対して、ライジング(raising)特異的な、高力価の抗体反応(50)に有効ではないことが見出された。したがって、Balb/CマウスをL1.2-CCR5+細胞で免疫し、雑種細胞腫培養液上清を、これらがJR-FLエンベロープを媒介したCD4+CCR5+PM1細胞との膜融合を阻害する能力について、RETアッセイ法(19、38)で試験した。100以上の上清のウェルが細胞-細胞融合を>50%阻害したけれども、フローサイトメトリーによって示されるものとして(データ示さず)、PA8、PA9、PA10、PA11、PA12、およびPA14と名付けられた6つのみが親L1.2細胞以外のL1.2-CCR5を特異的にかつ激烈に染色した。以前の経験に基づいて、細胞-細胞融合を阻害することができるその他のmAbsは、おそらくLFA-1などの細胞表面接着分子に向けられていると仮定された(37)。雑種細胞腫PA8〜PA12およびPA14は、分泌IgG1 mAbsに対するELISA(Cappell, Durham, NC)をアイソタイピングすることによって決定した。6種の雑種細胞腫を注入したBalb/Cマウスからの腹水液を調製し、IgG1画分を精製した。PA8、PA9、PA11、PA12、およびPA14は、異なった分画電気泳動プロフィールを示したが、PA10は、PA9と非常に似たプロフィールを有し、したがって同じmAbの第2の隔離集団なのであろう(データ示さず)。
【0136】
2)CCR5+細胞に対するmAbsの結合
精製した抗CCR5mAbsはいずれも、親lL1.2株化細胞を染色しなかった(データ示さず)。しかし、フローサイトメトリーによって決定すると、mAbs PA9〜PA12およびPA14は、L1.2-CCRS細胞を>90%染色し、およびPA8は、>70%を染色したことから、これらはCCR5を認識したことを示す(図1)。また、我々の実験のポジティブ対照であった抗CCR5 mAb 2D7は、L1.2-CCR5+細胞の>90%を染色した。PA8〜PA12およびPA14は、全てIgG1であり、ヤギ抗マウスIgGと同様によく反応するが、2D7は、IgG2aであり、リポータ抗体と異なった反応をするであろう。したがって、mAbs PA8〜PA12およびPA14によって測定される平均蛍光強度(m.f.i.)のみを直接比較することができる。平均蛍光強度(m.f.i.)の順番は、PA12〜PA11>(2D7=)PA14〜PA10〜PA9>PA8であった。PA12 m.f.i.とPA8 m.f.i.の間の違いは3倍であった。PA8とその他のmAbsの間の染色強度の相違は、広範囲にわたる濃度(データ示さず)の全体で一定のままであり、おそらくCCR5に対するmAbの親和性の相違に対応していない。これは、PA8が、L1.2-CCR5+細胞の表面上に存在するCCR5分子のサブセットのみと相互作用することを意味する。
【0137】
L1.2-CCR5+細胞と比較して、分裂促進因子刺激したPBMCは、異なるパターンの抗CCR5 mAbsによる染色を示した。2D7およびPA14は、PBMCの>20%を染色し、PA11およびPA12は、〜10%を染色し、PAS、PA9、およびPA10は、<5%を染色した(図1)。染色されたPBMCの平均蛍光強度は、それぞれのmAbに対してL1.2-CCR5+細胞で得られたものよりも約10倍低く;これらの順番は、(2D7>)PA14>PA12〜PA11〜PA10〜PA9〜PA8であった。また、これは、CCR5形質移入体で観察される反応性の順序とはいくぶん異なった。PA9 m.f.i.とPA14 m.f.i.の間の相違は、7倍であった。その他の群では、抗CCR5 mAbsがCCR5+株化細胞対PBMCを染色する能力に同様の相違が観察された(28)。これは、CCR5の高次構造、翻訳後修飾、またはオリゴマー形成の細胞特異的な相違によるものであろう。あるいは、その他の細胞表面分子との会合は、細胞間で異なっているであろう。このような分子の明らかな選択が、CD4細胞表面抗原(L1.2-CCR5+細胞には無く、PBMCsに存在する)でなされると考えられるので、我々は、PA8-PA12、PA14、および2D7が、CCR5を単独またはCD4と共に一過性に発現するHeLa細胞を染色する能力も試験した。いずれのmAbsも、CD4の存在下における細胞表面CCR5を染色する能力に、相違は観察されなかった(データ示さず)。これらの2つのタンパク質の間に会合がある場合は、我々が利用できる抗CCR5 mAbsによって認識されるエピトープを含んでいない。あるいは、CCR5とCD4の間の会合は、一次リンパ球上で起こるだけなのかもしれない。
【0138】
3)CCR5アラニン変異体を使用するAbsのエピトープマッピング
ウエスタンブロット法によって還元されおよび変性されたCCR5タンパク質を検出することができる抗体はなかったことから、これらが高次構造に感受性のエピトープを認識することを示する(データ示さず)。CCR5のNtおよびECLの残基の70個のアラニン点変異体のパネルを使用して、MAbエピトープマッピング研究を行った。HeLa細胞には、C末端のHAタグを付加した変異体または野生型CCR5コード配列をリポフェクトし、vTF7に感染させて共受容体発現をブーストした(23)。次いで、細胞を抗CCR5 mAbsと共にインキュベートし、これらの結合をPE-ラベルされたヤギ抗マウスIgGによってみた。第2の細胞内染色は、FITCラベルされた抗HA mAb(BabCo)で行った。この内部対照により、我々は、細胞表面上の変異体共受容体発現レベルに対して、抗CCR5 mAbsによる染色を直接基準化することができた。それゆえに、それぞれの変異体に対するmAbの結合は、野生型CCR5に対する結合の割合として現される(図4)。
【0139】
いくつかの点突然変異では、CCR5に対する全ての抗体の結合が50%>に減少した。一般に、PA8〜PA12は、このクラスの変異体(システイン対C101AおよびC178A、Nt変異体Y10A、D11A、K25A、ECL1変異体D95A、ECL2変異体K171A/E172A、Q188A、K191A/N192A、並びにECL3変異体F263AおよびF264Aを含む)によって最も影響を受け、PA14および2D7は、最も影響を受けなかった(図1)。1つの解釈は、これらの残基がそれ自体はmAbエピトープの一部でないが、それらをアラニンに変えることにより、全てのmAbsの結合に共通の効果を有する高次構造上の撹乱を引き起こすということである。我々は、突然変異が>75%に個々のmAbの結合を低下させ、また、大部分のその他の抗体の結合を低下させなかった場合、その残基は、おそらくmAbによって認識されるエピトープの直接の貢献者であると仮定した。これらのストリンジェントな指針を用いて、7種の抗CCR5 mAbsは、重複するが、異なったエピトープを認識すると結論した(図4)。CCR5に対するMAb PA8の結合は、NtのN13およびY15に依存した。MAb PA9およびPA10は、NtのD2、Y3、Q4、P8、およびN13、並びにECL2のY176およびT177を必要とした。MAb PA9も、NtのS7を必要とした。MAb PA11およびPA12の結合は、NtのQ4に依存した。PA14は、NtのD2並びにECL2のR168およびY176を必要とした。最後に、mAb 2D7は、CCR5に結合するために、ECL2のQ170およびK171/E172中を必要とした。
【0140】
4)抗CCR5 mAbsの存在下におけるケモカインシグナリング
ケモカイン受容体結合薬は、アゴニスト、またはより珍しくは、受容体を媒介した細胞内シグナリングのアンタゴニストであり得る。あるいは、これらは、シグナリングに対して効果を有さない可能性もある。CCR5は、3つのCC-ケモカイン、RANTES、MIP-1α、およびMIP-1βを結合し、サイトゾルカルシウムレベルを調整するシグナルを伝達することができる。したがって、我々は、種々の濃度のmAbs PA8〜PA12、PA14、および2D7のアゴニスト/アンタゴニスト活性を試験した。細胞内カルシウム濃度の変化(Ca2+)iをIndo-1-ロードしたL1.2-CCR5+細胞で測定した。どのmAbsも、(Ca2+)i変化を刺激しなかっことから、これらがCCR5のアゴニストでないことが示された。また、PA8〜PA12は、100μg/ml程度の高濃度でさえ、RANTESによって誘導されるCa2+流動を阻害することができなかったことから(図5Aおよびデータ示さず)、これらはいずれもアンタゴニストではないことを示す。これらの濃度では、フローサイトメトリーおよびgp120/CCR5結合実験で示したように(図6Dおよびデータ示さず)、L1.2-CCR5+細胞に対するmAbsの飽和結合が提供される。しかし、MAbs PA14および2D7は、RANTESによって誘導されるカルシウム流動を遮断したが、異なる能力を有する(図5A、5B)。PA14カルシウム流入阻害のIC50は、50μg/mlであり、これは、2D7(図5B)のIC50よりも約8倍高かった。RANTES、MIP-1α、およびMIP-1βで誘導されたカルシウム流動は、同濃度のPA14によってそれぞれ阻害された(データ示さず)。どのmAbsも、CXCR4を内因的に発現するL1.2-CCRS+細胞におけるSDF-1で誘導されるカルシウム流動に影響を及ぼさなかった(データ示さず)。最後に、mAbsも、CC-ケモカインも、親L1.2細胞のサイトゾルカルシウムレベルに影響を及ぼさなかった。(データ示さず)。
【0141】
5)mAbsによるCCR5共受容体機能の阻害
MAbs PA8〜PA12およびPA14は、最初は、これらがHIV-1エンベローブを媒介した細胞-細胞の融合を阻害する能力に基づいて選択した。この活性を、精製したmAbsについて確認し、定量した。予想通りに、6種全てのmAbs、並びにmAb 2D7は、RETアッセイ法において、CD4+CCR5+PM1細胞とHeLa-EnvJR-FL細胞の間の融合を遮断した。能力の順番は、2D7〜PA14>PA12>PA11>PA10〜PA9〜PA8であった(図6A)。PA14および2D7のIC50値は、それぞれ1.7μg/mlおよび1.6μg/mlであり、PA11およびPA12については、それぞれこれらが25.5μg/mlおよび10.0μg/mlであった(図3)。PA8、PA9、およびPA10は、300μg/mlで10〜15%だけ融合を阻害した。どのmAbsも、PM1細胞と、X4ウイルス由来の全長外膜タンパクを発現するHeLa-EnvLAI+細胞との間の融合に影響を及ぼさなかった(データ示さず)。
【0142】
異なる抗CCR5 mAbsが、単一ラウンドの複製でプロトタイプのR5ウイルス、JR-FL、およびR5X4ウイルス(Gun-1)の侵入を阻害する能力は、ルシフェラーゼに基づいた侵入アッセイ法でも試験した。侵入アッセイ法での能力の順番は、細胞-細胞の融合アッセイ法で決定されたものと同じであった(図6B)。PA8〜PA11によるJR-FLまたはGun-1侵入の>50%の阻害を得ることはできなかった。PA12のIC50値は、2.5μg/mlであった。しかし、このmAbによる>60%の侵入の阻害は、得ることができなかった。PA14および2D7のJR-FL侵入の阻害についてのIC50値は、それぞれ0.024および0.026μg/mlであると決定され(図3)、次いで融合アッセイ法で得られたものよりも60倍低かった。二重向性のGun-1の侵入は、抗CCR5 mAbsによる阻害に対して、JR-FL侵入よりも2〜3倍感受性があった(データ示さず)。
【0143】
抗共受容体mAbsは、gp120/CCR5相互作用に直接影響を及ぼすことによるか、または活性な融合抱合体の形成に関与する結合後の工程を妨げることによるかのいずれかによって、エンベロープを媒介した融合を阻害するかもしれない。PA8〜PA12およびPA14によるウイルスの融合および侵入の阻害の機構を決定するために、gp120/CCR5相互作用を遮断する異なるmAbsの能力を試験した。このために、L1.2-CCR5+細胞に対するsCD4と抱合体を形成したビオチン化されたHIV-1JR-FLgp120の結合を検出するアッセイ法を使用した。ビオチン化されたgp120の結合は、sCD4もしくはCCR5の非存在下では、またはHIV-1LAIgp120を使用したときには観察されなかった(図6C)。
【0144】
PA8を除いて、全てのmAbsが、L1.2-CCR5+に対するgp120/sCD4の結合を抑制した(図6D)。PA8による阻害は、〜40%で飽和され、これは、フローサイトメトリーのデータに一致することから(図1)、このmAbがL1.2-CCR5+細胞のCCR5分子のサブセットだけに結合することを示唆する。MAbs PA9、PA10、PA11、およびPA12は、それぞれ0.24、0.13、0.33、0.24μg/mlのIC50値で結合を阻害した(図3)。驚くべきことに、mAbs PA14および2D7は、最も低い効率のgp120/sCD4結合の2つの阻害剤であり、それぞれ1.58および1.38g/mlのIC50値であった(図3)。したがって、mAbがgp120/CD4/CCR5を媒介した膜融合および侵入を阻害する能力と、これが共受容体に対するgp120/sCD4の結合を遮断する能力との間には相関がなかった。
【0145】
6)抗CCR5 mAbsおよびその他のウイルス侵入阻害剤を組み合わせることによるHIV-1融合の相乗的阻害
共受容体特異的な薬剤は、侵入プロセスの多くの段階で作用し、組み合わせて使用したときに、非相加作用を示すであろう。臨床的な展望から、内因性のケモカインと共受容体特異的薬剤の候補の相互作用を決定することは重要であり、疾患の進行に対していくらかの保護レベルを提供するであろう。したがって、CCR5 mAbsを、お互いにまたはRANTESと組み合わせて、またはHIV-1 gp120に結合して標的細胞に対する付着を阻害するCD4-IgG2と共に、試験した。ウイルスの融合および侵入アッセイ法において、個々に使用した薬剤およびの組み合わせについての用量反応曲線が得られた。データは、50パーセント有効原理を使用して解析した(9)。所与の効果を産生するために必要とされる単剤のまたはこれらの混合物の濃度は、Combination Index(CI)として既知の技術で定量的に比較した。1を超えるCI値は、拮抗作用を示し、CI〜1は、相加作用を示し、およびCI<1は、1つの薬剤の存在がもう一つの効果を増強する相乗効果を示す。
【0146】
PA12および2D7の組み合わせは、最も強力な相乗作用を有し、CI値は、抗体の比に応じて、0.02〜0.29の間で変動した(図7および図2)。相乗作用の程度は、薬剤の化学量論によって変化することが知られている。ウイルス侵入および融合アッセイ法は、mAbの組み合わせが、非常に相乗的なPA12および2D7;適度に相乗的なPA12およびPA14;相加的なPA11およびPA12;およびわずかに拮抗的なPA14および2D7であるという同定と一般に整合していた。PA14と2D7の間の相乗作用の欠如は、これらのmAbsが、フローサイトメトリーによって測定すると(データ示さず)CCR5+細胞に対する結合にクロス競合することを考えれば、驚くべきことではない。PA11およびPA12の相加作用の観察は、これらのmAbsがCCR5の中のわずかに異なるエピトープに結合するが、Ntの残基Q4の依存性を共有することを示すであろう。
【0147】
また、細胞-細胞の融合の遮断において、mAbs PA12、PA14、および2D7がRANTESと相乗作用する能力を試験した。PA12およびRANTESの組み合わせでは、適度な相乗作用を示した(図2)。PA14および2D7では、RANTESと相乗作用を示さず、これは、これらのmAbsがRANTESの結合およびシグナリングに抑制性であることと整合する(図5A、5B)。最後に、我々は、gp120と相互作用するmAbs PA12、PA14、2D7、およびCD4-IgG2間の相乗作用を試験した。我々は、PA12とCD4-IgG2の間の適度な相乗作用を観察したが、PA14または2D7とCD4-IgG2の間の相乗作用は観察されなかった(図2)。
【0148】
実験の考察
6種のマウスの抗CCR5 IgG1 mAbsを単離し、特徴づけた。PA8、PA9、PA11、PA12、およびPA14は、異なった分子種であるのに対して、PA9およびPA10は、解析によって区別できず、したがっておそらく同じmAbである。単離されたmAbsの全ては、天然の細胞表面タンパク質に対して生じたmAbsの場合によくあることだが、抱合体の高次構造上のエピトープを認識した。CCR5アラニン点変異体のパネルを使用して、全てのmAbsについてエピトープマッピングを行った。同様に、全てのmAbsの結合に影響を及ぼした残基は、共受容体中の高次構造上の摂動を引き起こし、mAbエピトープの一部を構成しないとみなした。2つのこのような残基、Y10およびD11のみが、HIV-1侵入に影響を及ぼすことが示された(20、52)。PA8、PA1、1およびPA12のエピトープは、Ntドメインのみに位置する。この結果と整合して、ELISAにおいて、PA8は、R31で残基D2を含むビオチン化されたNtペプチドに結合することができた(データ示さず)。しかし、その結合がQ4のみに強く依存するPA11およびPA12は、溶液中でNtペプチドに結合しなかった(データ示さず)。1つの可能性は、NtペプチドがPA11およびPA12による認識のための適当な高次構造を呈さないことであり、一方PA8の結合は、より高次構造に依存的ではないのであろう。あるいは、PA11およびPA12は、我々が変異しなかった残基と相互作用するか、またはCCR5のその他のドメインに位置するアミノ酸と弱い結合を形成するか、またはその提示が突然変異誘発によっても不変である可能性のあるペプチドバックボーン原子に結合するのかもしれない。抗体PA9、PA10、およびPA14は、CCR5のNtおよびECL2ドメイン中の残基を含むエピトープを認識したが、2D7エピトープは、ECL2のみに位置した。
【0149】
PA14エピトープは、Nt中のD2およびECL2中のR168の両方を含み、これらの2つの残基は、mAbフットプリントの前後関係の範囲内では、お互いに隣接している。これらは、これらの反対の電荷を介してお互いに直接相互作用するのであろう。
【0150】
MAbs PA8〜PA12およびPA14は、異なる強度で、および細胞種依存的な方法でCCR5+細胞を染色した。PA8以外の全てのmAbsは、L1.2-CCR5+細胞の>90%を染色し、最高の平均蛍光強度は、PA11およびPA12で観察されている。しかし、PA14および2D7は、最も高い割合でPBMCを染色し、更にこれらの細胞において最も高い平均蛍光強度を得た。Hillら(28)は、最近同じようにトランスフェクション細胞を染色したが、8つのうち2つだけがPBMCを染色し、初代単球を染色するものはないと、抗CCR5 mAbsのパネルを特徴づけた。CCR5の低親和性は、おそらく初代細胞とAbsのうちの2つが非反応性なことが理由であるが、しかし、これは、その他の4つが反応できないことの説明にはなりそうになかった。我々のmAbパネルにおいて、我々は、ECL2の最初の10残基に完全に、または部分的に位置するエピトープを有するmAbs 2D7およびPA14によって最も強いPBMCの染色を観察する。しかし、Hillらは、NtおよびECLに特異的なmAbsがPBMCsを染色するが、ECL2およびECL3に対するmAbsは、PBMCを染色しないので、一貫した反応パターンは同定されなかったことを報告する。mAbsによる細胞種特異的な染色の1つの説明は、活性化されたPBMCs(および単球)が、細胞表面CCR5に結合するCC-ケモカインを分泌して、一部のmAbエピトープをマスキングするするということである。しかし、これは、特にPA14および2D7について真実であり、これがケモカインで誘導されるカルシウム流動のアンタゴニストであり、おそらくCCR5に対する結合についてCC-ケモカインと競合するであろうることが予想される。それでも、これらのmAbsは、最も強くPBMCを染色する。あるいは、ディファレンシャルなCCR5エピトープの暴露により、細胞種特異的な受容体のオリゴマー形成、その他の細胞表面分子との会合、または糖鎖形成などの種々の翻訳後修飾を反映するのであろう。我々は、mAb結合の違いは、おそらくCD4/CCR5の相互作用の細胞種特異的な差異を反映しないことを示した。
【0151】
MAbs PA8〜PA12は、CCR5+細胞におけるCC-ケモカインで誘導されるカルシウム流動を阻害なかったか、またはこれらがCCR5を介したシグナリングを媒介しなかった。MAbs 2D7およびPA14は、CC-ケモカインで誘導されるカルシウム流動の阻害剤であったが、2D7は、ほぼ1桁、PA14よりも強力であった。これは、PA14エピトープが2D7エピトープよりもCCR5のCC-ケモカイン結合ドメインと重複しないためであろう。また、全てのmAbsが、HIV-1の侵入およびエンベロープを媒介した膜融合を遮断したが、細胞-細胞の融合の阻害は、場合によっては、ウイルス侵入を遮断するために必要であったよりもほぼ2桁多く抗体が必要であった。おそらく、ウイルス-細胞の融合と比較して、細胞-細胞の融合の間には、より多くのgp120/CD4/CCR5の相互作用、並びに接着分子間の相互作用が協同して確立され、かつ作用し、これを阻害することが困難になるのであろう。これは、LFA-1またはHIV-1エンベロープ糖タンパク質(45、51)に対する抗体でも共通に観察される。PA8、PA9、およびPA10は、最大濃度の抗体でさえ、>15%の細胞-細胞の融合、および>40%のウイルス侵入を遮断することもできなかった。しかし、PA11、PA12、およびPA14では、融合の>90%を阻害することができ、またPA14によって侵入の>90%の阻害を達成することができる。融合および侵入の遮断において、6種の抗体のうち最も強力なものは、PA14であり、これは2D7と同程度の有効性であった。驚くべきことに、PA14および2D7は、なかでも、L1.2-CCR5+細胞に対するgp120/sCD4の結合の最低の効力の阻害剤であったが、PA9〜PA12は、同様の能力で遮断し、PA8は、gp120/sCD4の結合の>40%を遮断することができなかった。これらの観察から、異なる細胞に提示されたCCR5分子の性質についての、およびウイルスの融合および侵入の阻害の機構についての疑問が生じる。L1.2細胞上のCCR5は、
mAbおよびgp120-結合アッセイ法で使用されると、mAb-結合実験に使用されるPBMC上のCCR5と同じ高次構造ではないか、または融合および侵入アッセイ法において使用されるPM1およびU87MG細胞上のCCR5と同じ高次構造ではない。
【0152】
我々のいくつかのmAbsによるPBMCの少ない染色、並びに融合および侵入の部分阻害の低染色は、これらが初代リンパ球、PM1、およびU87MG-CD4+CCR5+株化細胞に発現されたCCR5分子のサブセットに結合することができるだけであることを示す。さらに、PA8以外の全てのmAbsがL1.2-CCR5+細胞の>90%を染色することができ、これらの細胞に対するgp120/sCD4抱合体の結合を完全に遮断することができる。我々が使用した、L1.2-CCR5+細胞とその他の細胞の間の少なくとも1つの相違は、細胞表面の共受容体タンパク質の密度である。実際に、我々は、L1.2-CCR5+細胞がPM1およびU87MG-CD4+CCR5+細胞よりも10〜100倍多くの細胞表面共受容体を発現すると推定する。しかし、HeLa細胞が、L1.2-CCR5+株化細胞と同程度の共受容体を一過性に発現するように設計したときにも、我々は、なおもこれらに対するgp120/sCD4の結合を検出できない(データ示さず)。したがって、L1.2にCCR5をその他の細胞特異的な因子とともに過剰発現すると、Ntを顕著に曝露する共受容体高次構造が有利になり、これによりmAbsおよびgp120に、より近づけるのかもしれない。このような高次構造は、細胞表面タンパク質との会合を減弱または変化させることによるか、またはGタンパク質との受容体相互作用による、受容体のオリゴマー形成によって誘導されるかもしれない(25、62)。CCR5の多くの高次構造は、細胞表面に共存し、これらの全てはウイルス侵入のために許容的であるのか?。mAb反応性のパターンは、L1.2-CCR5+細胞に対するgp120の結合に必要とされるエピトープを飽和させる濃度のmAbの存在下でもHIV-1の侵入および融合が、減少したレベルではあるが生じ得るので、そうであることを示唆する。我々は、L1.2-CCR5+細胞上に存在する共受容体分子が、HIV-1侵入適格性の高次構造を有するが、PBMC、PM1、およびCCR5+U87MGのCCR5分子は、異なるmAb反応性を示す多くの侵入適格性の状態で存在するという仮説を支持する。PA14および2D7は、全ての高次構造を認識する可能性があるが、その他のmAbsはそうではないであろう。なぜ、L1.2細胞は、高次構造が決定されるまま特定の融合適格性であることに貢献するのか。
【0153】
gp120-結合ドメインは、CCR5Ntドメインの最初の20残基に位置することが最近証明された。CCR5のgp120-結合ドメインに対するMAbsは、この相互作用を強力に遮断するが、エピトープがこの領域の外側に位置するPA14および2D7ほどは、HIV-1融合および標的細胞への侵入の阻害にほとんど有効ではない。PA14は、Ntの先端およびECL2の残基を認識するが、2D7エピトープは、ECL2だけに位置する。これらのmAbsの作用機序として推測することができるだけである。ECL2の最初の数残基に対するこれらの結合は、共受容体の高次構造上の変化を誘導し、膜融合を防止するであろう。あるいは、ECL2エピトープの妨害により、共受容体オリゴマー形成および融合適格性のタンパク質抱合体の形成を妨げるかもしれない。さらにもう一つの可能性として、ECL2中の残基が融合細孔の内部に面し、mAbsの結合が、gp41が原形質膜に融合ペプチドを挿入することを妨げることがある。対照的に、mAbs PA8〜PA12は、おそらくgp120/CD4抱合体との結合に直接競合することのみによって、融合および侵入を阻害する。我々は、エピトープの暴露およびCCR5に対する親和性以外のパラメーターがこれらのmAbsによるウイルス侵入の阻害の有効性を決定するかどうかわからない。なぜ、gp120/共受容体の相互作用に続く工程を阻害することが、その相互作用を直接ブロッキングすることよりも有効であるかは不明である。これを説明する一つの方法は、CCR5に対するgp120結合の解離速度が、CCR5に対するmAb結合速度よりも非常に低いことが想定されるであろう。したがって、mAbが共受容体分子から離れるたびに、この相互作用は膜融合を引き起こすので、ビリオン結合gp120分子が準不可逆的な様式でこれを置換する。
【0154】
抗CCR5 mAbsの組み合わせ間の相乗作用は、おそらく、相互依存的な、連続したHIV-1の侵入工程に関与する異なるエピトープとこれらの相互作用の結果である。CI値<0.2は、抗HIV-1抗体、(33、35、61)、逆転写酵素阻害剤(29)、またはプロテアーゼ阻害剤(44)の組み合わせではまず観察されないので、PA12および2D7の間で観察された相乗作用の程度は(多くの状況下でCI<0.1)並外れている。その能力のために、多くのアッセイ型式および濃度比で、PA12:2D7の組み合わせを検査し、これらについて、一貫して高いレベルの相乗作用が観察された。適度な相乗作用が、PA14と組み合わせたPA12について観察された。また、我々は、PA12とCD4-IgG2の間にも適度な相乗作用を観察した。CD4/gp120抱合体は、準安定であり、共受容体と相互作用することができない場合は、非fusogenicな状態に崩壊する(45-48)。PA12は、直接CCR5のgp120結合部位を遮断するので、これが存在すると、gp120/CD4抱合体の不活性化の方へ平衡が移るであろう。これは、我々が融合および侵入の阻害に関してCD4-IgG2とmAb PA12の間での相乗作用を観察する理由を説明する。mAb PA14とCD4-IgG2の間の相乗作用の欠如は、これらがウイルス侵入において2つの非連続かつ独立した工程で作用することを示唆する。ウイルスの融合および侵入の阻害に関して、異なる化合物の相乗作用の正確な機構を決定するためには、さらなる研究の組み合わせが必要である。
【0155】
上記の結果は、受容体結合、共受容体結合、および共受容体を媒介した膜融合を含む3つの異なった工程で生じるHIV-1の侵入のモデルと整合する。共受容体結合の分離および融合のイベントから、モノクローナル抗体がgp120の結合およびHIV-1の融合/侵入を遮断する能力の間に相関がないことが示唆される。融合の際のイベントの順番は、観察される相乗作用のパターンによってさらに示唆される。PA12などの非常に強力にプロセスの中間の工程(すなわち、gp120の結合)を阻害する薬剤は、前の工程および次の工程の阻害剤と相乗的に作用する。
【0156】
実施例2
背景:多剤耐性のHIV-1の発病率の増大により、抗レトロウイルス薬の新規のクラスの検索が要求される。CCR5は、主要なHIV-1単離体に必要な融合共受容体であり、抗ウイルス療法のための有望な標的を提供する。PRO140は、インビトロでCCR5のケモカイン受容体活性に影響を及ぼさない濃度で、HIV-1の侵入および複製を強力にを阻害する抗CCR5モノクローナル抗体である。本研究において、我々は、HIV-1感染の治療的な動物モデルを使用するインビボでのPRO140の治療能力を評価した。
【0157】
方法:CD-17 SCIDマウスを正常ヒトPBMCによって再構成し、R5単離体HIV-1 JR-CDFに感染した。ウイルスの定常状態に達したときに、動物の腹腔内にPRO140または対照抗体で処理し、Roche Amplicorアッセイ法を使用してウイルス負荷をモニターした。最初の研究では、単一の1mgの用量のPRO140を検査した。多用量の研究では、PRO140は0.1〜1.0mgの範囲の用量で、3日ごと一度、3週間投与した。別の実験において、PRO140注射に続くリンパ球枯渇の能力を検査するために、フローサイトメトリーを使用した。
【0158】
結果:単一用量および多用量のPRO140により、全ての処理動物において検出不可能なレベルにウイルス負荷が減少され、ウイルス負荷の減少は、1.8 log10の範囲であった。PRO140の単回投与に続いてウイルス複製の一過性の制御が観察されたが、多回注射では、制御の延長が引き起こされ、治療の際にウイルスの反跳も伴わなかった。PRO140を媒介したウイルス負荷の減少速度には、用量依存的な相違が観察された。フローサイトメトリー解析では、PRO140による処理ではリンパ球枯渇が引き起こされないことが示され、インビボでのウイルス複製に対する影響は、単にCCRS5遮断によるものであったことが確認された。
【0159】
結論:PRO140は、HIV-1感染のhu-PBL-SCIDマウス・モデルにおける確立されたHIV-1感染の制御に非常に有効である。これらの知見は、一般にPRO140治療のための、特にCCR5阻害剤治療のためのインビボでの概念の証明(proof-of-concept)を提供する。
【0160】
実施例3
方法:
本明細書に記載されている方法を使用して、L1.2-CCR5細胞におけるRANTESで誘導されるカルシウム流動を遮断する能力について、およびヒトPBMCのHIV-1 CASE C 1/85の複製を遮断する能力について、ヒト化CCR5抗体(huPRO140)を試験した。
【0161】
結果:図19に示したように、結果は、RANTESでなく、ヒト化CCR5抗体が強力にHIV-1を遮断したことを示す。
【参照文献】
【0162】
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【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】CCR5+細胞に対する抗CCR5モノクローナル抗体の結合: L1.2-CCR5+細胞および新しく単離したPHA/IL-2刺激したPBMCの表面上のCCR5タンパク質発現を検出するために、フローサイトメトリーを使用した。細胞を飽和濃度のそれぞれのmAbとインキュベートし、PEラベルされた抗マウスIgGリポーター抗体によって検出した。代表的な実験の結果を示してある。それぞれのmAbについての結果は、平均蛍光強度(m.f.i.)で、および%ゲート細胞での両方で現わしてある。PA8-PA12およびPA14は、IgG1サブクラスの全てであり、これらのm.f.i.は、直接比較できる。2D7は、IgG2aである。
【図2】mAbsおよびウイルス阻害剤の種々の組み合わせにおけるCI値: 図7のレジェンドに記載されたものと同じ実験を、ウイルス侵入阻害剤の種々の組み合わせについて行った。抗CCR5 mAbsは、CC-ケモカインおよびCD4-IgG2(これは標的細胞に対するHIV-の付着を阻害する)を互いに組み合わせて試験した。PA11およびPA12の濃度範囲は、0〜250μg/mlであった;2D7およびPA14の濃度範囲は、0〜25μg/mlであった;RANTESの濃度範囲は、0〜250ng/mlであった;CD4-IgG2の濃度範囲は、0〜25μg/mlであった。融合または侵入の50%および90%の阻害を生じるために必要とされる単剤またはこれらの混合物の濃度は、組合せ指数(Combination Index: CI)として知られる用語において、量的に比較した。
【図3】抗CCR5 mAbsによる細胞-細胞の融合、ウイルス侵入、およびgp120/sCD4結合の阻害のためのIC50値: 比較の目的で、我々は、抗CCR5 mAbsを試験した種々のアッセイ法で得られたIC50値を要約した。IC50値は、融合、侵入、または結合の>90%を阻害することができるAbsのみで算出した。
【図4】抗CCR5 mAbsのエピトープマッピング: HAペプチドでC末端にタグを付けた変異体CCR5タンパク質に対するmAbsの結合を評価するために、2色染色プロトコルを使用した。CCR5点変異体を発現するHeLa細胞を飽和濃度のそれぞれのとインキュベートし、続いてmAbPEラベルされた抗マウスIgGで検出した。細胞表面の共受容体発現は、FITCラベルされた抗HA mAbによる細胞の二重染色によって測定した。4つの格子は、CCR5の4つの細胞外ドメインに対応する。すべての格子の第1の列は、対応するCCR5細胞外ドメインのアミノ酸配列を示す(配列番号:1〜4)。材料および方法に記載したとおり、それぞれの残基のアラニン変異体に対する抗CCR5 mAbsの結合は、野生型CCR5に対する結合の割合として現してある。
【図5A】抗CCR5 mAbsによるCCR5+細胞へのカルシウム流動の阻害: L1.2-CCR5+細胞にはIndo-1AMを添加し、抗CCR5mAbまたはPBS、および続いてRANTESで経時的に刺激した(a)。結果は、カルシウム流入の%阻害=[1-(mAbの存在下での相対的な蛍光÷mAbの非存在下での相対的な蛍光)]×100%としてプロットしてあり、3回の独立した実験の値の平均である。
【図5B】抗CCR5 mAbsによるCCR5+細胞へのカルシウム流動の阻害: 蛍光変化は、分光蛍光光度計で測定し、トレーシングは代表的な実験からのものである。PA14および2D7によるカルシウム流動の阻害を広範囲にわたる濃度のmAbについて試験した(b)。結果は、カルシウム流入の%阻害=[1-(mAbの存在下での相対的な蛍光÷mAbの非存在下での相対的な蛍光)]×100%としてプロットしてあり、3回の独立した実験の値の平均である。
【図6A】抗CCR5 mAbsによるCCR5共受容体機能の阻害: 抗CCR5 mAbsによる細胞-細胞の融合の阻害をRETアッセイ法で試験した(a)。0〜250μg/mlのPA8-PA12または0〜25μg/mlのPA14または2D7をHeLa-EnvJR-FL+およびPM1細胞の混合物に添加し、それぞれF18およびR18でラベルした。蛍光RETをインキュベーションの4時間後に測定した。結果は、3回の独立した実験の値の平均であり、融合の%阻害=[1-(mAbの存在下でのRET÷mAbの非存在下でのRET)]×100%としてプロットしてある。
【図6B】抗CCR5 mAbsによるCCR5共受容体機能の阻害: 抗CCR5 mAbsによるHIV-1侵入の阻害を、単一経路の複製ルシフェラーゼに基づいた侵入アッセイ法で試験した(b)。U87-CD4+CCR5+細胞を、JR-FLエンベロープを有するNLluc+env-リポーターウイルスに、0〜250μg/mlのPA8-PA12または0〜25μg/mlのPA14の存在下で感染させた。ルシフェラーゼ活性(相対的な光ユニット、r.l.u.)を感染の72時間後の細胞可溶化物で測定した。結果は、代表的な実験からのものであり、侵入の%阻害=[1-(mAbの存在下でのr.l.u.÷mAbの非存在下でのr.l.u.)]x×00%として現わしてある。
【図6C】抗CCR5 mAbsによるCCR5共受容体機能の阻害: L1.2-CCR5+細胞に対するビオチン化された[b]gp120、sCD4、およびb-gp120-CD4抱合体の結合(c)。R5ウイルスHIV1JR-FLに由来するgp120がsCD4の等モル量と抱合体を形成するときに、強い結合が観察される。sCD4の非存在下、またはX4ウイルスHIV-1LAIに由来するgp120については、結合は見られない。CCR5-L1.2細胞に対するバックグラウンド結合は、全ての曲線から減じてある。
【図6D】抗CCR5 mAbsによるCCR5共受容体機能の阻害:L1.2-CCR5+細胞に対するgp120/sCD4の結合の阻害をそれぞれの抗体の濃度を変化させて試験した(d)。細胞を96穴プレートで抗CCR5とプレインキュベートし、続いて飽和濃度のビオチン化したgp120/sCD4とインキュベーションした。最後に、細胞に対するPE-ラベルしたストレプトアビジンの結合を蛍光プレートリーダーを使用して測定した。結果は、代表的な実験からのものであり、gp120/sCD4結合の%阻害=[1-(mAbの存在下でのm.f.i.÷mAbの非存在下でのm.f.i.)]×100%として現わしてある。
【図7】PA12および2D7による細胞-細胞の融合の相乗的阻害: 個々に、および組み合わせて使用したmAbsについての用量反応曲線を得た。それぞれF18およびR18でラベルした、0〜50μg/mlのPA12、0〜25μg/mlの2D7、または2:1の比の2つの組み合わせをHeLa-EnvJR-FL+およびPM1細胞の混合物に添加した。蛍光RETをインキュベーションの4時間後に測定した。結果は、3回の独立した実験の値の平均であり、融合の%阻害として現わしてある。データは、半有効原理を使用して解析し、 f=1/[1+(K/c)m](1)と書くことができ、 式中、fは、影響を受け/阻害された画分であり、cは、濃度であり、Kは、半効果を生じるために必要とされる薬剤濃度であり、およびmは、用量反応曲線の形状を記載する経験的係数である。方程式(1)は、ミカエリス-メントンの酵素反応速度論を記載する方程式、ラングミュアの吸着等温式、およびヘンダーソン-ハッセルバルヒイオン化平衡の一般化された形態であり、m=1についてのものである。この場合は、Kは、IC50値に等しい。Kおよびmは、用量反応カーブをカーブフィッティングすることによって決定され、方程式(1)は、与えられたfについてcの計算ができるように再構成した。Kおよびcの最高ヒットパラメーターは、PA12について8.8μg/mlおよび0.54、2D7について0.36μg/mlおよび0.ll、これらの組み合わせについて0.68μg/mlおよび1.1である。これらの曲線をプロットし、実験と理論の間の合理的な適合度を示す。
【図8】この図は、本発明による、マウス抗CCR5抗体PA14のヒト化されたバージョンの軽鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号:6)および前記のものをコードする核酸配列(配列番号:5)を示す。配列番号:7は、配列番号:6に記載のアミノ酸配列をコードする配列番号:5の領域を特定する。この軽鎖可変領域は、PRO140#;1および#2として本明細書に示された抗体に存在する。相補性決定領域(「CDR」)には、下線を引いてある。
【図9】この図は、本発明による、マウス抗CCR5抗体PA14のヒト化されたバージョンの第1の重鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号:9)および前記のものをコードする核酸配列(配列番号:8)を示す。配列番号:10は、配列番号:9に記載したアミノ酸配列をコードする配列番号:8領域を特定する。この重鎖可変領域は、PRO140#2として本明細書に示される抗体に存在する。CDRには、下線を引いてある。
【図10】この図は、本発明による、マウス・ヒト化抗CCR5抗体PA14のヒト化されたバージョンの第2の重鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号:12)および前記のものをコードする核酸配列(配列番号:11)を示す。配列番号:13は、配列番号:12に記載したアミノ酸配列をコードする配列番号:11の領域を特定する。この重鎖可変領域は、本明細書にPRO140#1として示される抗体に存在する。CDRには、下線を引いてある。
【図11】ヒト化CCR5抗体の単一用量は、インビボで強力にウイルスの負荷を減少する: SCIDマウスを正常ヒトPBMCによって再構成し、HIV-1JR-CDFを感染させた。ウイルスが定常状態に達したときに、動物には、ヒト化CCR5抗体(PRO140)のまたはアイソタイプ対照抗体の単一の1ミリグラムのi.p.用量で処理し、血漿HIV RNAをモニターした(Roche Amplicor Assay)。
【図12】持続性のウイルスの負荷の減少: SCIDマウスを正常ヒトPBMCによって再構成し、HIV-1JR-CSFを感染させた。ウイルスが定常状態に達したときに、動物を3日毎に0.1mgの用量のヒト化CCR5抗体(PRO140)でi.p.処理し、血漿HIV RNAをモニターした(Roche Amplicor Assay)。
【図13】本発明に従って調製されたCCR5抗体(PRO140)を用いても、リンパ球の枯渇がなかったことを示す。
【図14】ヒト化CCR5抗体(PRO140)は、CCR5を媒介したHIV-1細胞-細胞の融合を強力に遮断する。
【0164】
マウスのCCR5抗体は、相補性決定領域(CDR)移植およびフレームワーク置換の方法を使用してヒト化した。ヒト化CCR5抗体(PRO14#1およびPRO140#2)をSp2/0細胞に発現させ、プロテインAクロマトグラフィーによって精製し、(Litwin, etal., J, Virol., 70: 6437,1996)に記載されたとおりにHIV-1JR-FL envを媒介した膜融合の複製を遮断する能力を試験した。
【図15】ヒト化CCR5抗体(PRO140)は、強力な、HIV-1のサブタイプ非依存的な阻害を媒介する。
【0165】
本発明に記載のCCR5抗体(PRO14#1およびPRO140#2)を、(Trkolaら、J. Virol. , 72: 396,1998)に記載されているように末梢血単核細胞(PBMCs)中の野生型HIV-1の複製を遮断する能力について試験した。ウイルスの複製の程度は、7日のPBMC培養液上清のp24抗原含量をアッセイすることによって測定した。
【図16】この図は、Coら、J.Immunol., 148:1149,1992.に記載したように、図8に示した軽プラスミド鎖可変領域をコードするプラスミドpVK-HuPRO140並びにヒトKappa定常部のマップを提供する。
【図17】この図は、前記Coらに記載したように、図9に示した重鎖可変領域をコードするプラスミドpVg4-HuPRO140 HG2並びにヒトIgG4のヒト重鎖定常部領域、CH1、ヒンジ、CH2,およびCH3のマップを提供する。
【図18】この図は、上記Coらに記載したように、図10に示した重鎖可変領域をコードするプラスミドpVg4-HuPRO140(mut B+D+I)並びにヒトIgG4のヒト重鎖定常部、CH1、ヒンジ、CH2、およびCH3のマップを提供する。
【図19】HuPRO140は、HIV-1を遮断するが、RANTESシグナリングを遮断しない。
【0166】
本発明によるPRO140抗体を、L1.2-CCR5細胞でのRANTES誘導カルシウム流動を遮断する能力について試験した(Olsonら、J.Virol., 72: 396,1998)。この図は、ヒト化CCR5抗体(PRO140)がHIV-1を遮断するが、RANTESシグナリングを遮断しないことを示す。
【配列表】







【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)2つの軽鎖であって、それぞれの軽鎖は、pVK:Hu PRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含む軽鎖と、および、
(ii)2つの重鎖であって、それぞれの重鎖は、pVgl:Hu PRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVgl:Hu PRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドのいずれかの発現産物とを含む抗CCR5抗体、またはヒト細胞表面のCCR5に結合するこのような抗体の断片。
【請求項2】
前記重鎖が、前記pVgl:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドによって発現される、請求項1に記載の抗CCR5抗体。
【請求項3】
前記重鎖が、前記pVgl:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドによって発現される、請求項1に記載の抗CCR5抗体。
【請求項4】
2つの軽鎖であって、それぞれの鎖は、連続したアミノ酸を含み、そのアミノ酸配列は、配列番号:6に記載されている軽鎖と、および2つの重鎖であって、それぞれの重鎖は、連続したアミノ酸を含み、そのアミノ酸配列は、配列番号:9に記載されている重鎖と、を含む抗CCR5抗体。
【請求項5】
2つの軽鎖であって、それぞれの軽鎖は、連続したアミノ酸を含み、そのアミノ酸配列は、配列番号:6に記載されている軽鎖と、2つの重鎖であって、それぞれの重鎖は、連続したアミノ酸を含み、そのアミノ酸配列は、配列番号:12に記載されている重鎖と、を含む抗CCR5抗体。
【請求項6】
連続したアミノ酸を含むポリペプチドをコードする単離された核酸であって、そのアミノ酸配列は、配列番号:6に記載されている核酸。
【請求項7】
前記連続したアミノ酸が、pVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミドによって発現されるアミノ酸である、請求項6に記載の核酸。
【請求項8】
前記核酸が、配列番号:5に記載されている配列を含む、請求項6に記載の核酸。
【請求項9】
前記核酸が、RNA、DNA、またはcDNAである、請求項6、7、または8のいずれか1項に記載の核酸。
【請求項10】
連続したアミノ酸を含むポリペプチドをコードする単離された核酸であって、そのアミノ酸配列は、配列番号:9に記載されている核酸。
【請求項11】
前記連続したアミノ酸が、pVgl:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドによって発現されるアミノ酸である、請求項10に記載の核酸。
【請求項12】
前記核酸が、配列番号:8に記載された配列を含む、請求項10に記載の核酸。
【請求項13】
前記核酸が、RNA、DNA、またはcDNAである、請求項10、11、または12のいずれか1項に記載の核酸。
【請求項14】
連続したアミノ酸を含むポリペプチドをコードする単離された核酸であって、そのアミノ酸配列は、配列番号:12に記載されている核酸。
【請求項15】
前記連続したアミノ酸が、pVgl:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドによって発現されるアミノ酸である、請求項14に記載の核酸。
【請求項16】
前記核酸が、配列番号:11に記載された配列を含む、請求項14に記載の核酸。
【請求項17】
前記核酸が、RNA、DNA、またはcDNAである、請求項14、15、または16のいずれか1項に記載の核酸。
【請求項18】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗CCR5抗体またはこれらの断片の少なくとも1つと、キャリアとを含む組成物。
【請求項19】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗CCR5抗体またはこれらの断片を含む組成物であって、放射性同位元素、毒素、ポリエチレングリコール、細胞障害性の薬剤、および検出可能なラベルからなる群より選択される物質がこれらに付着された組成物。
【請求項20】
CD4+細胞のHIV-1感染を阻害する方法であって、(i)2つの軽鎖であって、それぞれの軽鎖は、pVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含む軽鎖と、および(ii)2つの重鎖であって、それぞれの重鎖は、pVgl:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVgl:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドのいずれかの発現産物を含む重鎖とを含む抗体、またはCD4+細胞表面上のCCR5に結合するこのような抗体の断片とCD4+細胞を、HIV-1の融合またはCD4+細胞に対するHIV-1感染が阻害される量および条件下で接触させることを含み、これによりCD4+細胞のHIV-1感染を阻害する方法。
【請求項21】
前記CD4+細胞が、CCR5を発現する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
HIV-1に苦しむ被検者を治療する方法であって、(i)2つの軽鎖であって、それぞれの軽鎖は、pVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含む軽鎖と、および(ii)2つの重鎖であって、それぞれの重鎖は、pVgl:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVgl:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドのいずれかの発現産物を含む重鎖とを含む抗体、またはCD4+細胞表面上のCCR5に結合するこのような抗体の断片の有効にHIV-1を治療する用量を、前記HIV-1を苦しんだ被検者を治療するために有効な条件下で前記被検者に投与することを含む方法。
【請求項23】
被検者がHIV-1感染にかかるのを防止する方法であって、(i)2つの軽鎖であって、それぞれの軽鎖は、pVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含む軽鎖と、および(ii)2つの重鎖であって、それぞれの重鎖は、pVgl:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVgl:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドのいずれかの発現産物を含む重鎖とを含む抗体、またはCD4+細胞表面上のCCR5に結合するこのような抗体の断片の有効にHIV-1感染を防止する用量を、前記被検者における前記HIV-1を防止するために有効な条件下で前記被検者に投与することを含む方法。
【請求項24】
請求項22または23に記載の方法であって、前記抗CCR5抗体は、経静脈、筋肉内、および皮下の手段からなる群より選択される方法によって前記被検者に投与される方法。
【請求項25】
請求項22または23に記載の方法であって、前記抗CCR5抗体は、前記被検者に連続的に投与される方法。
【請求項26】
請求項22または23に記載の方法であって、前記抗CCR5抗体は、前記被検者に予め定められた周期的な間隔で投与される方法。
【請求項27】
請求項22または23に記載の方法であって、前記抗CCR5抗体を検出可能なマーカーでラベルすることをさらに含む方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、前記検出可能なマーカーは、放射性または蛍光マーカーである方法。
【請求項29】
請求項22または23に記載の方法であって、前記抗CCR5抗体の用量は、約0.1〜約100,000μg/kg前記被検者の体重の範囲で変動する方法。
【請求項30】
請求項29の方法であって、前記抗CCR5抗体の用量は、前記被検者のCCR5に対する内因性のケモカイン活性を阻害しない方法。
【請求項31】
抗CCR5抗体抱合体であって、少なくとも1つの重合体に結合された、(i)2つの軽鎖であって、それぞれの軽鎖は、pVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含む軽鎖と、および(ii)2つの重鎖であって、それぞれの重鎖は、pVgl:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVgl:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドのいずれかの発現産物を含む重鎖とを含む抗体、またはCD4+細胞表面上のCCR5に結合するこのような抗体の断片を含む抱合体。
【請求項32】
請求項31に記載の抗CCR5抗体抱合体であって、前記重合体は、親水性のポリビニル重合体、ポリアルキレンエーテル、ポリオキシアルキレン、ポリメタクリレート、カルボマー、分枝した多糖体、分岐のない多糖体、糖アルコールの重合体、ヘパリン、およびヘパロン(heparon)からなる群より選択される抱合体。
【請求項33】
前記ポリアルキレンエーテルが、ポリエチレングリコール(PEG)またはこれらの誘導体である、請求項32に記載の抗CCR5抗体抱合体。
【請求項34】
少なくとも1つのPEGが、少なくとも20kDの平均分子量を有する、請求項33に記載の抗CCR5抗体抱合体。
【請求項35】
前記抱合体の見かけの大きさが、少なくとも約500kDである、請求項31に記載の抗CCR5抗体抱合体。
【請求項36】
請求項31に記載の抗CCR5抗体抱合体であって、前記抱合体は、非抱合型の抗CCR5抗体またはこれらの断片と比較して、血清半減期の増大、循環における平均残留時間の増大、および血清クリアランス速度の減少の少なくとも1つを有する抱合体。
【請求項37】
HIV-1によるCCR5+細胞の感染を阻害する方法であって、該方法は、請求項31に記載の抱合体を、HIV-1による前記被検者のCCR5+細胞の感染を阻害するために有効な量および条件下で、HIV-1感染のリスクのある被検者に投与することを含む方法。
【請求項38】
被検者のHIV-1感染を治療する方法であって、該方法は、請求項31に記載の抱合体を、被検者のHIV-1感染を治療するために有効な量および条件下で、HIV-1に感染した被検者に投与することを含む方法。
【請求項39】
前記抱合体の量が、被検者のウイルス負荷の減少に有効である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記抱合体の量が、被検者のCD4+細胞数の増大に有効である、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
請求項38に記載の方法であって、前記被検者に少なくとも1つの従来の抗ウイルスの薬剤を投与することをさらに含む方法。
【請求項42】
前記抱合体が、経静脈、筋肉内、および皮下の手段からなる群より選択される方法によって被検者に投与される、請求項37または38に記載の方法。
【請求項43】
前記抱合体が、前記被検者に連続的に投与される、請求項37または38に記載の方法。
【請求項44】
前記抱合体が、前記被検者に予め定められた周期的な間隔で投与される、請求項37または38に記載の方法
【請求項45】
前記抱合体を検出可能なマーカーでラベルすることをさらに含む、請求項37または38に記載の方法。
【請求項46】
前記検出可能なマーカーが、放射性のまたは蛍光マーカーである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
少なくとも2つのベクターを含む形質転換された宿主細胞であって、少なくとも1つのベクターは、前記抗CCR5抗体の重鎖をコードする核酸配列を含み、かつ少なくとも1つのベクターは、前記抗CCR5抗体の軽鎖をコードする核酸配列を含み、前記抗CCR5抗体は、配列番号:9に記載されたアミノ酸配列を有する2つの重鎖と、配列番号:6に記載されたアミノ酸配列を有する2つの軽鎖とを含む、形質転換された宿主細胞。
【請求項48】
少なくとも2つのベクターを含む形質転換された宿主細胞であって、少なくとも1つのベクターは、前記抗CCR5抗体の重鎖をコードする核酸配列を含み、かつ少なくとも1つのベクターは、前記抗CCR5抗体の軽鎖をコードする核酸配列を含み、前記抗CCR5抗体は、配列番号:12に記載されたアミノ酸配列を有する2つの重鎖と、配列番号:6に記載されたアミノ酸配列を有する2つの軽鎖とを含む、形質転換された宿主細胞。
【請求項49】
前記細胞が哺乳類細胞である、請求項47または48に記載の形質転換された宿主細胞。
【請求項50】
前記細胞がCOS細胞、CHO細胞、または骨髄腫細胞である、請求項49に記載の形質転換された宿主細胞。
【請求項51】
前記細胞が抗CCRS抗体を分泌する、請求項47または48に記載の形質転換された宿主細胞。
【請求項52】
前記重鎖をコードするベクターがpVgl:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称される、請求項47に記載の形質転換された宿主細胞。
【請求項53】
前記重鎖をコードするベクターがpVgl:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称される、請求項48に記載の形質転換された宿主細胞。
【請求項54】
前記軽鎖をコードするベクターがpVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称される、請求項47または48に記載の形質転換された宿主細胞。
【請求項55】
前記重鎖をコードするベクターがpVgl:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称され、および前記軽鎖をコードするベクターがpVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称される、請求項47に記載の形質転換された宿主細胞。
【請求項56】
前記重鎖をコードするベクターがpVgl:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称され、および軽鎖をコードするベクターがpVK-HuPR0140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称される、請求項48に記載の形質転換された宿主細胞。
【請求項57】
前記重鎖をコードする核酸配列が配列番号:8に記載された核酸配列を有する、請求項47に記載の形質転換された宿主細胞。
【請求項58】
前記重鎖をコードする核酸配列が配列番号:11に記載された核酸配列を有する、請求項48に記載の形質転換された宿主細胞。
【請求項59】
前記軽鎖をコードする核酸配列が配列番号:5に記載された核酸配列を有する請求項47または48に記載の形質転換された宿主細胞。
【請求項60】
前記重鎖が配列番号:9に記載されたアミノ酸配列を含む、抗CCR5抗体の重鎖をコードする核酸配列を含むベクター。
【請求項61】
前記ベクターがpVgl:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称される、請求項60に記載のベクター。
【請求項62】
前記重鎖が、配列番号:12に記載されたアミノ酸配列を含む、抗CCR5抗体の重鎖をコードする核酸配列を含むベクター。
【請求項63】
前記ベクターがpVgl:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称される、請求項62に記載のベクター。
【請求項64】
前記軽鎖が配列番号:6に記載されたアミノ酸配列を含む、抗CCR5抗体の軽鎖をコードする核酸配列を含むベクター。
【請求項65】
前記ベクターがpVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称される、請求項64に記載のベクター。
【請求項66】
抗CCR5抗体を産生するための方法であって、(i)pVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミド、および(ii)pVgl:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVgl:PRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドをその中に含む宿主細胞を、pVK:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミドによってコードされる2つの軽鎖およびpVgl:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドによって、またはpVgl:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドによってコードされる2つの重鎖を含む抗体の産生が可能な条件下で培養することを含み、これにより抗CCR5抗体を産生する方法。
【請求項67】
抗CCR5抗体を産生するための方法であって:
a)(i)pVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミド、および(ii)pVgl:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVgl:PRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドで宿主細胞を形質転換することと;並びに、
b)pVK:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミドによってコードされる2つの軽鎖およびpVgl:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドによって、またはpVgl:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドによってコードされる2つの重鎖を含む抗体の産生が可能な条件下で培養することとを含み、これにより抗CCR5抗体を産生する方法。
【請求項68】
単離された形態で産生された抗CCR5抗体を回収することをさらに含む、請求項66または67に記載の方法。
【請求項69】
前記宿主細胞が哺乳類細胞である、請求項66または67に記載の方法。
【請求項70】
前記哺乳類宿主細胞がCOS細胞、CHO細胞、または骨髄腫細胞である、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記抗CCR5抗体の重鎖がpVgl:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドによってコードされる、請求項66または67に記載の方法。
【請求項72】
前記抗CCR5抗体の重鎖がpVgl:HuPRO140(mut B+D+I)(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドによってコードされる、請求項66または67に記載の方法。
【請求項73】
抗CCR5抗体を産生する方法に使用するためのキットであって:
a)抗CCR5抗体の軽鎖をコードする核酸配列を含むベクターであって、前記軽鎖は、配列番号:6に記載されたアミノ酸配列を含むベクターと;および、
b)抗CCR5抗体の重鎖をコードする核酸配列を含むベクターであって、前記重鎖は、配列番号:9に記載されたアミノ酸配列を含むベクター、または抗CCR5抗体の重鎖をコードする核酸配列を含み、前記重鎖は、配列番号:12に記載されたアミノ酸配列を含むベクターとを含むキット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)2つの軽鎖であって、それぞれの軽鎖は、pVK:Hu PRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含む軽鎖と、および、
(ii)2つの重鎖であって、それぞれの重鎖は、pVg4:Hu PRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVg4:Hu PRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドのいずれかの発現産物とを含む抗CCR5抗体、またはヒト細胞表面のCCR5に結合するこのような抗体の断片。
【請求項2】
前記重鎖が、前記pVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドによって発現される、請求項1に記載の抗CCR5抗体。
【請求項3】
前記重鎖が、前記pVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドによって発現される、請求項1に記載の抗CCR5抗体。
【請求項4】
2つの軽鎖であって、それぞれの鎖は、連続したアミノ酸を含み、そのアミノ酸配列は、配列番号:6に記載されている軽鎖と、および2つの重鎖であって、それぞれの重鎖は、連続したアミノ酸を含み、そのアミノ酸配列は、配列番号:9に記載されている重鎖と、を含む抗CCR5抗体。
【請求項5】
2つの軽鎖であって、それぞれの軽鎖は、連続したアミノ酸を含み、そのアミノ酸配列は、配列番号:6に記載されている軽鎖と、2つの重鎖であって、それぞれの重鎖は、連続したアミノ酸を含み、そのアミノ酸配列は、配列番号:12に記載されている重鎖と、を含む抗CCR5抗体。
【請求項6】
連続したアミノ酸を含むポリペプチドをコードする単離された核酸であって、そのアミノ酸配列は、配列番号:6に記載されている核酸。
【請求項7】
前記連続したアミノ酸が、pVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミドによって発現されるアミノ酸である、請求項6に記載の核酸。
【請求項8】
前記核酸が、配列番号:5に記載されている配列を含む、請求項6に記載の核酸。
【請求項9】
前記核酸が、RNA、DNA、またはcDNAである、請求項6、7、または8のいずれか1項に記載の核酸。
【請求項10】
連続したアミノ酸を含むポリペプチドをコードする単離された核酸であって、そのアミノ酸配列は、配列番号:9に記載されている核酸。
【請求項11】
前記連続したアミノ酸が、pVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドによって発現されるアミノ酸である、請求項10に記載の核酸。
【請求項12】
前記核酸が、配列番号:8に記載された配列を含む、請求項10に記載の核酸。
【請求項13】
前記核酸が、RNA、DNA、またはcDNAである、請求項10、11、または12のいずれか1項に記載の核酸。
【請求項14】
連続したアミノ酸を含むポリペプチドをコードする単離された核酸であって、そのアミノ酸配列は、配列番号:12に記載されている核酸。
【請求項15】
前記連続したアミノ酸が、pVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドによって発現されるアミノ酸である、請求項14に記載の核酸。
【請求項16】
前記核酸が、配列番号:11に記載された配列を含む、請求項14に記載の核酸。
【請求項17】
前記核酸が、RNA、DNA、またはcDNAである、請求項14、15、または16のいずれか1項に記載の核酸。
【請求項18】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗CCR5抗体またはこれらの断片の少なくとも1つと、キャリアとを含む組成物。
【請求項19】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗CCR5抗体またはこれらの断片を含む組成物であって、放射性同位元素、毒素、ポリエチレングリコール、細胞障害性の薬剤、および検出可能なラベルからなる群より選択される物質がこれらに付着された組成物。
【請求項20】
CD4+細胞のHIV-1感染を阻害する方法であって、(i)2つの軽鎖であって、それぞれの軽鎖は、pVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含む軽鎖と、および(ii)2つの重鎖であって、それぞれの重鎖は、pVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドのいずれかの発現産物を含む重鎖とを含む抗体、またはCD4+細胞表面上のCCR5に結合するこのような抗体の断片とCD4+細胞を、HIV-1の融合またはCD4+細胞に対するHIV-1感染が阻害される量および条件下で接触させることを含み、これによりCD4+細胞のHIV-1感染を阻害する方法。
【請求項21】
前記CD4+細胞が、CCR5を発現する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
HIV-1に苦しむ被検者を治療する方法であって、(i)2つの軽鎖であって、それぞれの軽鎖は、pVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含む軽鎖と、および(ii)2つの重鎖であって、それぞれの重鎖は、pVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドのいずれかの発現産物を含む重鎖とを含む抗体、またはCD4+細胞表面上のCCR5に結合するこのような抗体の断片の有効にHIV-1を治療する用量を、前記HIV-1を苦しんだ被検者を治療するために有効な条件下で前記被検者に投与することを含む方法。
【請求項23】
被検者がHIV-1感染にかかるのを防止する方法であって、(i)2つの軽鎖であって、それぞれの軽鎖は、pVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含む軽鎖と、および(ii)2つの重鎖であって、それぞれの重鎖は、pVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドのいずれかの発現産物を含む重鎖とを含む抗体、またはCD4+細胞表面上のCCR5に結合するこのような抗体の断片の有効にHIV-1感染を防止する用量を、前記被検者における前記HIV-1を防止するために有効な条件下で前記被検者に投与することを含む方法。
【請求項24】
請求項22または23に記載の方法であって、前記抗CCR5抗体は、経静脈、筋肉内、および皮下の手段からなる群より選択される方法によって前記被検者に投与される方法。
【請求項25】
請求項22または23に記載の方法であって、前記抗CCR5抗体は、前記被検者に連続的に投与される方法。
【請求項26】
請求項22または23に記載の方法であって、前記抗CCR5抗体は、前記被検者に予め定められた周期的な間隔で投与される方法。
【請求項27】
請求項22または23に記載の方法であって、前記抗CCR5抗体を検出可能なマーカーでラベルすることをさらに含む方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、前記検出可能なマーカーは、放射性または蛍光マーカーである方法。
【請求項29】
請求項22または23に記載の方法であって、前記抗CCR5抗体の用量は、約0.1〜約100,000μg/kg前記被検者の体重の範囲で変動する方法。
【請求項30】
請求項29の方法であって、前記抗CCR5抗体の用量は、前記被検者のCCR5に対する内因性のケモカイン活性を阻害しない方法。
【請求項31】
抗CCR5抗体抱合体であって、少なくとも1つの重合体に結合された、(i)2つの軽鎖であって、それぞれの軽鎖は、pVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含む軽鎖と、および(ii)2つの重鎖であって、それぞれの重鎖は、pVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドのいずれかの発現産物を含む重鎖とを含む抗体、またはCD4+細胞表面上のCCR5に結合するこのような抗体の断片を含む抱合体。
【請求項32】
請求項31に記載の抗CCR5抗体抱合体であって、前記重合体は、親水性のポリビニル重合体、ポリアルキレンエーテル、ポリオキシアルキレン、ポリメタクリレート、カルボマー、分枝した多糖体、分岐のない多糖体、糖アルコールの重合体、ヘパリン、およびヘパロン(heparon)からなる群より選択される抱合体。
【請求項33】
前記ポリアルキレンエーテルが、ポリエチレングリコール(PEG)またはこれらの誘導体である、請求項32に記載の抗CCR5抗体抱合体。
【請求項34】
少なくとも1つのPEGが、少なくとも20kDの平均分子量を有する、請求項33に記載の抗CCR5抗体抱合体。
【請求項35】
前記抱合体の見かけの大きさが、少なくとも約500kDである、請求項31に記載の抗CCR5抗体抱合体。
【請求項36】
請求項31に記載の抗CCR5抗体抱合体であって、前記抱合体は、非抱合型の抗CCR5抗体またはこれらの断片と比較して、血清半減期の増大、循環における平均残留時間の増大、および血清クリアランス速度の減少の少なくとも1つを有する抱合体。
【請求項37】
HIV-1によるCCR5+細胞の感染を阻害する方法であって、該方法は、請求項31に記載の抱合体を、HIV-1による前記被検者のCCR5+細胞の感染を阻害するために有効な量および条件下で、HIV-1感染のリスクのある被検者に投与することを含む方法。
【請求項38】
被検者のHIV-1感染を治療する方法であって、該方法は、請求項31に記載の抱合体を、被検者のHIV-1感染を治療するために有効な量および条件下で、HIV-1に感染した被検者に投与することを含む方法。
【請求項39】
前記抱合体の量が、被検者のウイルス負荷の減少に有効である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記抱合体の量が、被検者のCD4+細胞数の増大に有効である、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
請求項38に記載の方法であって、前記被検者に少なくとも1つの従来の抗ウイルスの薬剤を投与することをさらに含む方法。
【請求項42】
前記抱合体が、経静脈、筋肉内、および皮下の手段からなる群より選択される方法によって被検者に投与される、請求項37または38に記載の方法。
【請求項43】
前記抱合体が、前記被検者に連続的に投与される、請求項37または38に記載の方法。
【請求項44】
前記抱合体が、前記被検者に予め定められた周期的な間隔で投与される、請求項37または38に記載の方法
【請求項45】
前記抱合体を検出可能なマーカーでラベルすることをさらに含む、請求項37または38に記載の方法。
【請求項46】
前記検出可能なマーカーが、放射性のまたは蛍光マーカーである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
少なくとも2つのベクターを含む形質転換された宿主細胞であって、少なくとも1つのベクターは、前記抗CCR5抗体の重鎖をコードする核酸配列を含み、かつ少なくとも1つのベクターは、前記抗CCR5抗体の軽鎖をコードする核酸配列を含み、前記抗CCR5抗体は、配列番号:9に記載されたアミノ酸配列を有する2つの重鎖と、配列番号:6に記載されたアミノ酸配列を有する2つの軽鎖とを含む、形質転換された宿主細胞。
【請求項48】
少なくとも2つのベクターを含む形質転換された宿主細胞であって、少なくとも1つのベクターは、前記抗CCR5抗体の重鎖をコードする核酸配列を含み、かつ少なくとも1つのベクターは、前記抗CCR5抗体の軽鎖をコードする核酸配列を含み、前記抗CCR5抗体は、配列番号:12に記載されたアミノ酸配列を有する2つの重鎖と、配列番号:6に記載されたアミノ酸配列を有する2つの軽鎖とを含む、形質転換された宿主細胞。
【請求項49】
前記細胞が哺乳類細胞である、請求項47または48に記載の形質転換された宿主細胞。
【請求項50】
前記細胞がCOS細胞、CHO細胞、または骨髄腫細胞である、請求項49に記載の形質転換された宿主細胞。
【請求項51】
前記細胞が抗CCRS抗体を分泌する、請求項47または48に記載の形質転換された宿主細胞。
【請求項52】
前記重鎖をコードするベクターがpVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称される、請求項47に記載の形質転換された宿主細胞。
【請求項53】
前記重鎖をコードするベクターがpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称される、請求項48に記載の形質転換された宿主細胞。
【請求項54】
前記軽鎖をコードするベクターがpVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称される、請求項47または48に記載の形質転換された宿主細胞。
【請求項55】
前記重鎖をコードするベクターがpVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称され、および前記軽鎖をコードするベクターがpVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称される、請求項47に記載の形質転換された宿主細胞。
【請求項56】
前記重鎖をコードするベクターがpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称され、および軽鎖をコードするベクターがpVK-HuPR0140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称される、請求項48に記載の形質転換された宿主細胞。
【請求項57】
前記重鎖をコードする核酸配列が配列番号:8に記載された核酸配列を有する、請求項47に記載の形質転換された宿主細胞。
【請求項58】
前記重鎖をコードする核酸配列が配列番号:11に記載された核酸配列を有する、請求項48に記載の形質転換された宿主細胞。
【請求項59】
前記軽鎖をコードする核酸配列が配列番号:5に記載された核酸配列を有する請求項47または48に記載の形質転換された宿主細胞。
【請求項60】
前記重鎖が配列番号:9に記載されたアミノ酸配列を含む、抗CCR5抗体の重鎖をコードする核酸配列を含むベクター。
【請求項61】
前記ベクターがpVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称される、請求項60に記載のベクター。
【請求項62】
前記重鎖が、配列番号:12に記載されたアミノ酸配列を含む、抗CCR5抗体の重鎖をコードする核酸配列を含むベクター。
【請求項63】
前記ベクターがpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称される、請求項62に記載のベクター。
【請求項64】
前記軽鎖が配列番号:6に記載されたアミノ酸配列を含む、抗CCR5抗体の軽鎖をコードする核酸配列を含むベクター。
【請求項65】
前記ベクターがpVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称される、請求項64に記載のベクター。
【請求項66】
抗CCR5抗体を産生するための方法であって、(i)pVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミド、および(ii)pVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVg4:PRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドをその中に含む宿主細胞を、pVK:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミドによってコードされる2つの軽鎖およびpVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドによって、またはpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドによってコードされる2つの重鎖を含む抗体の産生が可能な条件下で培養することを含み、これにより抗CCR5抗体を産生する方法。
【請求項67】
抗CCR5抗体を産生するための方法であって:
a)(i)pVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミド、および(ii)pVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVg4:PRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドで宿主細胞を形質転換することと;並びに、
b)pVK:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4097)と称されるプラスミドによってコードされる2つの軽鎖およびpVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドによって、またはpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドによってコードされる2つの重鎖を含む抗体の産生が可能な条件下で培養することとを含み、これにより抗CCR5抗体を産生する方法。
【請求項68】
単離された形態で産生された抗CCR5抗体を回収することをさらに含む、請求項66または67に記載の方法。
【請求項69】
前記宿主細胞が哺乳類細胞である、請求項66または67に記載の方法。
【請求項70】
前記哺乳類宿主細胞がCOS細胞、CHO細胞、または骨髄腫細胞である、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記抗CCR5抗体の重鎖がpVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託番号PTA-4098)と称されるプラスミドによってコードされる、請求項66または67に記載の方法。
【請求項72】
前記抗CCR5抗体の重鎖がpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)(ATCC寄託番号PTA-4099)と称されるプラスミドによってコードされる、請求項66または67に記載の方法。
【請求項73】
抗CCR5抗体を産生する方法に使用するためのキットであって:
a)抗CCR5抗体の軽鎖をコードする核酸配列を含むベクターであって、前記軽鎖は、配列番号:6に記載されたアミノ酸配列を含むベクターと;および、
b)抗CCR5抗体の重鎖をコードする核酸配列を含むベクターであって、前記重鎖は、配列番号:9に記載されたアミノ酸配列を含むベクター、または抗CCR5抗体の重鎖をコードする核酸配列を含み、前記重鎖は、配列番号:12に記載されたアミノ酸配列を含むベクターとを含むキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2006−508631(P2006−508631A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−571454(P2003−571454)
【出願日】平成15年2月21日(2003.2.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/005500
【国際公開番号】WO2003/072766
【国際公開日】平成15年9月4日(2003.9.4)
【出願人】(501130383)プロジェニクス・ファーマスーティカルズ・インコーポレイテッド (4)
【出願人】(501219301)プロテイン デザイン ラブス インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】