説明

抗CD40抗体を用いる治療に対するB細胞性リンパ腫の応答性を評価するための方法

本発明は、B細胞性リンパ腫を有する患者の抗CD40抗体を用いる治療に対する応答性を予測し又は評価するために有用である方法及びキットを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願とのクロスリファレンス)
この出願は、その全体を出典明示によりここに援用する2009年4月18日出願の米国特許仮出願番号第61/170615号の優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、一般に、抗CD40抗体による治療へのB細胞性リンパ腫の患者の応答性を予測し、評価し、評価を補助する分野、及び抗CD40抗体治療のための候補として同定された個体を治療するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
CD40は腫瘍壊死受容体スーパーファミリーのI型膜貫通タンパク質である。CD40は、B細胞の増殖及び分化、免疫グロブリンアイソタイプスイッチ、及び細胞生存に関与する重要な分子である。受容体シグナル伝達はCD40リガンド(CD40L又はCD154)にCD40が結合することによって開始され、それは主に活性化CD4+T細胞上に発現される。
【0004】
正常細胞において、CD40は、造血前駆体、上皮及び内皮細胞、及び全ての抗原提示細胞(樹状細胞、活性化Bリンパ球、及び活性化単球)を含む、高い増殖能を有する細胞に発現される。CD40は、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、及び慢性リンパ球性白血病(CLL)を含む数種類のB細胞血液悪性腫瘍に、高度に発現される。B細胞悪性腫瘍におけるCD40発現の高い蔓延は、それを抗体に基づく癌治療のための魅力的な潜在的な腫瘍標的とする。また、CD40は、大多数の膀胱癌において、及び頭頚部癌、腎細胞癌、卵巣及び肺癌を含む他の固形腫瘍のかなりの割合において発現する。
【0005】
抗CD40抗体及びB細胞血液悪性腫瘍を治療するためのその使用は記載されている。例えば米国特許第6946129号;同第6843989号;同第6838261号;国際公開第2000/075348号;米国特許出願公開第2002−0197256号;国際公開第2006/128103号;及び国際公開第2007/075326号を参照されたい。ヒト化抗CD40抗体が、直接的シグナル伝達を介して、血液腫瘍細胞株のサブセットにおいてCD40陽性細胞の増殖阻害とアポトーシスを誘導することが示されている。国際公開第2006/128103号;国際公開第2007/075326号。さらに、ヒト化抗CD40抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び抗体依存性細胞ファゴサイトーシス(ADCP)を含む、免疫エフェクター機能を介して腫瘍細胞を殺す。インビボでは、多発性骨髄腫(MM)と非ホジキンリンパ腫(NHL)の異種移植モデルを使用して、抗CD40抗体は、腫瘍増殖を抑制し、重症複合型免疫不全(SCID)マウスの生存を高める。いくつかのモデルにおけるリツキシマブ(ジェネンテック社)に対する抗CD40抗体の比較は、抗CD40抗体の抗腫瘍活性が少なくともリツキシマブと同じくらいに効果的であることを明らかにした。再発及び難治性多発性骨髄腫(MM)、再発非ホジキンリンパ腫(NHL)、慢性リンパ球性リンパ腫(CLL)、又は再発び慢性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)を有する患者におけるヒト化抗CD40抗体を試験するために、臨床試験が始められた。
【0006】
抗CD40抗体は増殖阻害及びCD40陽性細胞のアポトーシスを誘導することができ、様々な種類のB細胞性リンパ腫患者において抗腫瘍活性を有しうることが示されているが、全てのBリンパ腫細胞が抗CD40抗体媒介性細胞死に対して感受性であるとは限らない。B細胞性リンパ腫患者の抗CD40抗体療法に対する応答性に関する一又は複数の予測マーカーを同定することについての必要性が残っている。
【0007】
特許出願及び刊行物を含むここで引用される全ての文献は、その全体を出典明示により援用する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、抗CD40抗体を用いる治療に対するある種のB細胞性リンパ腫を有する被験者の応答性を予測し、評価し又は評価の補助をするための方法及び組成物を提供する。
【0009】
一態様では、本発明は、B細胞性リンパ腫を有する被験者の抗CD40抗体を用いる治療に対する応答性を評価し又は評価の補助をするための方法において、被験者からのB細胞性リンパ腫試料においてUAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79Bからなる群から選択される少なくとも一のマーカー遺伝子の測定された発現レベルを、対照標準レベルと比較することを含んでなる方法を提供する。
【0010】
別の態様では、本発明は、抗CD40抗体による治療に対するB細胞性リンパ腫を有する被験者における応答性を予測する方法又は治療/応答性をモニタリングするための方法において、被験者からのB細胞性リンパ腫試料においてUAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79Bからなる群から選択される少なくとも一のマーカー遺伝子の測定された発現レベルを、対照標準レベルと比較することを含んでなる方法を提供する。
【0011】
別の態様では、本発明は、B細胞性リンパ腫を有する被験者の抗CD40抗体による治療に対する応答性を予測し、評価し又は評価の補助をするための方法において、(a)前記被験者から得られたBリンパ腫細胞を含む試料における一又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルを測定する工程であって、前記一又は複数のマーカー遺伝子がIFITM1、CD40、RGS13、VNN2、LMO2、CD79B、CD22、BTG2、IGF1R、CD44、CTSC、EPDR1、UAP1、PUS7、及びBCL6からなる群から選択される工程;及び(b)工程(a)からの前記一又は複数のマーカー遺伝子の測定された発現レベルに基づいて、被験者が抗CD40抗体治療に対して応答しそうかどうかを予測する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施態様では、上記群から少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、又は15のマーカー遺伝子の発現レベルが測定され、予測、評価又は評価の補助に使用される。いくつかの実施態様では、予測、評価又は評価の補助は、一又は複数のマーカー遺伝子の測定された発現量を対照標準レベルと比較することによって決定される。いくつかの実施態様では、対照標準レベルは、抗CD40抗体治療後に、増加又は減少された腫瘍体積を有する被験者からのBリンパ腫細胞を含む試料における対応するマーカー遺伝子の測定された発現量に基づいて決定される値又は範囲である。いくつかの実施態様では、対照標準レベル決定のための患者由来の試料は、抗CD40抗体治療への応答が予測される患者由来の試料と同じ種類のBリンパ腫細胞を含む。いくつかの実施態様では、応答性は、一又は複数のマーカー遺伝子の測定された発現レベルに基づいて決定された感受性インデックス値を使用して予測又は評価される。いくつかの実施態様では、応答性は、ここに記載されるK近傍法を使用して被験者を分類することによって予測又は評価される。
【0012】
別の態様では、本発明は、B細胞性リンパ腫を有する被験者に対して個人用のゲノムプロファイルを作成するための方法であって、(a)被験者から得られたBリンパ腫細胞を含む試料において、IFITM1、CD40、RGS13、VNN2、LMO2、CD79B、CD22、BTG2、IGF1R、CD44、CTSC、EPDR1、UAP1、PUS7、及びBCL61からなる群から選択される一又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルを決定する工程;及び(b)工程(a)において得られた一又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルをまとめたレポートを生成する工程を含んでなる方法を提供する。いくつかの実施態様では、上記群から少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、又は15のマーカー遺伝子の発現レベルが測定され、個人用のゲノムプロファイルのためのレポートを生成するために使用される。幾つかの実施態様では、レポートは、被験者のための抗CD40抗体治療の提案を含む。幾つかの実施態様では、提案は、マーカー遺伝子の測定された発現レベルを対照標準レベルと比較することによって決定される。幾つかの実施態様では、対照標準レベルは、抗CD40抗体治療後に増加又は減少した腫瘍体積を有する被験者からのBリンパ腫細胞を含む試料における、対応マーカー遺伝子の測定された発現レベルに基づいて決定される値又は範囲である。幾つかの実施態様では、提案は、マーカー遺伝子の測定された発現レベルに基づいて決定された感受性インデックス値によって決定される。幾つかの実施態様では、提案は、ここに記載されるK近傍法を使用して被験者を分類することによって決定される。
【0013】
別の態様では、本発明は、B細胞性リンパ腫を有する被験者の抗CD40抗体による治療に対する応答性を予測し、評価し又は評価の補助をするための方法であって、(a)被験者からのBリンパ腫細胞を含む試料において、IFITM1、CD40、RGS13、VNN2、LMO2、CD79B、CD22、BTG2、IGF1R、CD44、CTSC、EPDR1、UAP1、PUS7、及びBCL6からなる群から選択される少なくとも2つのマーカー遺伝子の発現レベルを測定する工程;(b)工程(a)のマーカー遺伝子の測定された発現レベルに基づいて感受性インデックス値(SI)を、次の式:

によって計算する工程を含んでなり、ここで、表4に示す正の相関値を有する少なくとも1つのマーカー遺伝子と負の相関値を有する少なくとも1つのマーカー遺伝子の発現レベルが測定され;
(i)βは測定される各マーカー遺伝子のための係数値であり;(ii)pは、測定されるマーカー遺伝子の数であり;(iii)χは、被験者の試料の、測定された各マーカーの発現レベルについて、変換され正規化された発現レベルであり;及び(iv)μ及びσは、測定される各マーカー遺伝子のための平均及び標準偏差であり;ここで、β、μ及びσはBリンパ腫細胞を含む患者試料から決定される。いくつかの実施態様では、感受性インデックスのゼロと同等又はゼロを超える値は、患者が抗CD40抗体治療に応答する可能性が高いことを示し、感受性インデックスのゼロ未満である値は抗CD40抗体治療に反応する可能性が低いことを示す。いくつかの実施態様では、少なくとも3、少なくとも4か、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、又は15のマーカー遺伝子の発現レベルが測定され、感受性インデックス算出のために使用される。いくつかの実施態様では、IFITM1、RGS13、CD79B、CD22、BTG2、CD44、EPDR1、及びUAP1の発現レベルが測定され、感受性インデックス算出のために使用される。幾つかの実施態様では、β、μ及びσは、抗CD40治療に対する応答性が予測される被験者からの試料と同じタイプのBリンパ腫細胞を有する患者の試料から決定される。
【0014】
別の態様では、本発明は、B細胞性リンパ腫を有する被験者の抗CD40抗体治療に対する応答性を予測するための方法であって、(a)被験者から得られたBリンパ腫細胞を含む試料における一又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルを測定する工程であって、前記一又は複数のマーカー遺伝子がBCL6、IFITM1、CD40、RGS13、VNN2、LMO2、CD79B、CD22、BTG2、IGF1R、CD44、CTSC、EPDR1、UAP1、及びPUS7からなる群から選択される工程;及び(b)患者及びクラスが既知である対照標準試料からの試料における前記一又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルに基づいてK近傍法を使用して被験者を応答性又は非応答性被験者として分類する工程を含んでなる方法を提供する。幾つかの実施態様では、前記分類は、重み付きK近傍法を使用して決定される。幾つかの実施態様では、前記分類は、重みなしK近傍法を使用して決定される。幾つかの実施態様では、工程(b)における被験者の分類は、(1)パラメータK(つまり、近傍の数)を決定する;(2)被験者からの試料におけるマーカー遺伝子の測定された発現レベルと各対照標準試料におけるそれぞれのマーカー遺伝子の発現レベルとの差異を算出し;(3)被験者からの試料と対照標準試料との間に最小の絶対値差の重み付き平均(weighted average of the absolute differences, WAAD)を有する試料を選択することによって近傍の対照標準試料を決定し;及び(4)K個の近傍対照標準試料の既知のクラスに基づいて被験者のクラスを決定することによって実施される。幾つかの実施態様では、Kは臨床試験試料を用いた交差検定を使用して決定される。幾つかの実施態様では、Kは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又は13である。幾つかの実施態様では、対照標準試料は、抗CD40抗体治療に対する応答性が試験された又は既知である被験者から得られたBリンパ腫細胞を含む試料である。幾つかの実施態様では、対照標準試料は、抗CD40抗体治療に対する応答性が予測又は評価される被験者からの試料と同じタイプのBリンパ腫細胞を含む。幾つかの実施態様では、被験者を分類するために、BCL6、IFITM1、CD40、RGS13、VNN2、LMO2、CD79B、CD22、BTG2、IGF1R、CD44、CTSC、EPDR1、UAP1、及びPUS7の少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、又は全15のマーカー遺伝子の発現レベルが測定及び使用される。幾つかの実施態様では、BCL6、IFITM1、CD22、IGF1R、CD44、EPDR1、及びUAP1の発現レベルが測定され、被験者の分類に使用される。幾つかの実施態様では、発現レベルが正規化される。
【0015】
別の実施態様では、本発明は、B細胞性リンパ腫を有する被験者を治療するための方法であって、有効量の抗CD40抗体を被験者に投与することを含んでなり、被験者におけるB細胞性リンパ腫の応答性がここに記載される方法によって評価された方法を提供する。別の態様では、本発明は、B細胞性リンパ腫を有する被験者を治療するための方法であって、a)被験者のB細胞性リンパ腫が抗CD40抗体治療に適するか評価するために、被験者からのB細胞性リンパ腫におけるUAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79Bからなる群から選択される少なくとも一のマーカー遺伝子の測定された発現レベルと対照標準レベルとを比較することによって、抗CD40抗体治療のための被験者を選択し;被験者に有効量の抗CD40抗体を投与することを含んでなる方法を提供する。別の態様では、本発明は、B細胞性リンパ腫を有する被験者を治療するための方法であって、a)被験者からのB細胞性リンパ腫の試料及びクラスが既知である対照標準試料におけるUAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79Bからなる群から選択された一又は複数の測定された発現レベルに基づいたK近傍法を使用して、被験者が応答性の被験者と分類された場合、抗CD40抗体治療のために被験者を選択し;及び有効量の抗CD40抗体を被験者に投与することを含んでなる方法を提供する。
【0016】
いくつかの実施態様では、対照標準レベルは、異なるB細胞性リンパ腫試料におけるマーカー遺伝子の測定された発現レベルである。いくつかの実施態様では、前記異なるB細胞性リンパ腫試料は、抗CD40抗体誘導細胞死に対して耐性があるBリンパ腫細胞を含む。
【0017】
幾つかの実施態様では、マーカー遺伝子の測定された発現レベル及び/又は対照標準レベルは正規化される。
【0018】
幾つかの実施態様では、被験者からのB細胞性リンパ腫試料における、UAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79Bからなる群から選択された少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、又は15の遺伝子の測定された発現レベルが、一又は複数の対照標準レベルと比較される。
【0019】
幾つかの実施態様では、発現レベルは、mRNA発現を検出することによって(例えば、リアルタイム定量RT-PCR(qRT-PCR))及び/又はタンパク質発現を検出することによって(例えば、免疫組織化学(IHC))測定される。表1に示されるプローブ及びプライマーがqRT-PCRにおいて使用され得る。
【0020】
幾つかの実施態様では、B細胞性リンパ腫が非ホジキンリンパ腫(NHL)であり、濾胞性リンパ腫、再発濾胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、菌状息肉腫/セザリー症候群、脾性辺縁帯リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)を含むがこれに限らない。幾つかの実施態様では、B細胞性リンパ腫は、緩慢性リンパ腫、侵攻性リンパ腫、及び高侵攻性リンパ腫からなる群から選択される。幾つかの実施態様では、B細胞性リンパ腫は、再発性及び/又は難治性リンパ腫である。幾つかの実施態様では、B細胞性リンパ腫は、再発性及び/又は難治性DLBCLである。
【0021】
幾つかの実施態様では、抗CD40抗体治療は、抗CD40アゴニスト抗体を用いる治療である。幾つかの実施態様では、抗CD40アゴニスト抗体は、CD40を刺激し、またCD40及びCD40リガンド間の相互作用を亢進する。幾つかの実施態様では、抗CD40アゴニスト抗体は、CD40を刺激するが、CD40及びCD40リガンド間の相互作用を亢進しないか又は阻害する。幾つかの実施態様では、抗CD40アゴニスト抗体は、配列番号1に示される重鎖アミノ酸配列と配列番号2に示される軽差アミノ酸配列を含む。
【0022】
更なる態様では、本発明は、UAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79Bからなる群から選択される少なくとも一のマーカー遺伝子の発現レベルを測定するための試薬を含んでなるキットを提供する。幾つかの実施態様では、キットは、PCRによって少なくとも一のマーカー遺伝子を増幅するための、少なくとも一対のプライマーを含む。例えば、表1に示される順方向及び逆方向プライマーが使用され得る。キットは、例えばマイクロアレイ等のように、増幅された遺伝子産物を検出するためのプローブを固定されて有する表面を更に含んでもよく、本発明はそのような表面を検討し含む。幾つかの実施態様では、キットは、qRT-PCRによって、一マーカー遺伝子(例えば、UAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79B等)の発現レベルを検出するための少なくとも一対のプライマー及びプローブを含む。キットは、qRT-PCRによって対照標準遺伝子の発現レベルを検出するための、一対のプライマー及びプローブを更に含んでもよい。幾つかの実施態様では、キットは、マーカー遺伝子によってコードされる一又は複数のタンパク質を特異的に認識する一又は複数の抗体を含む。キットは、ここに記載されるいずれかの方法を実施するための他の試薬及び/又は説明書を更に含んでもよい。
【0023】
ここに記載される様々な実施態様の一、幾つか、又は全ての特性を組み合わせて、本発明の他の実施態様を形成してもよい。本発明のこれらの態様及び他の態様は、当業者には明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1−1】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。VNN2のmRNAをコードする核酸配列(図1−1:配列番号:258)。
【図1−2】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。RGS13のmRNAをコードする核酸配列(図1−2:配列番号:259)。
【図1−3】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。CD22のmRNAをコードする核酸配列(図1−3:配列番号:260)。
【図1−4】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。CD22のmRNAをコードする核酸配列(図1−4:配列番号:260)。
【図1−5】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。CD40のmRNAをコードする核酸配列(図1−5:配列番号:261)。
【図1−6】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。IFITM1のmRNAをコードする核酸配列(図1−6:配列番号:262)。
【図1−7】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。BCL6のmRNAをコードする核酸配列(図1−7:配列番号:263)。
【図1−8】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。BCL6のmRNAをコードする核酸配列(図1−8:配列番号:263)。
【図1−9】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。EPDR1のmRNAをコードする核酸配列(図1−9:配列番号:264)。
【図1−10】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。IGF1RのmRNAをコードする核酸配列(図1−10:配列番号:265)。
【図1−11】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。IGF1RのmRNAをコードする核酸配列(図1−11:配列番号:265)。
【図1−12】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。IGF1RのmRNAをコードする核酸配列(図1−12:配列番号:265)。
【図1−13】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。IGF1RのmRNAをコードする核酸配列(図1−13:配列番号:265)。
【図1−14】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。BTG2のmRNAをコードする核酸配列(図1−14:配列番号:266)。
【図1−15】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。BTG2のmRNAをコードする核酸配列(図1−15:配列番号:266)。
【図1−16】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。LMO2のmRNAをコードする核酸配列(図1−16:配列番号:267)。
【図1−17】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。CD79BのmRNAをコードする核酸配列(図1−17:配列番号:268)。
【図1−18】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。CD44のmRNAをコードする核酸配列(図1−18:配列番号:269)。
【図1−19】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。CD44のmRNAをコードする核酸配列(図1−19:配列番号:269)。
【図1−20】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。CTSCのmRNAをコードする核酸配列(図1−20:配列番号:270)。
【図1−21】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。UAP1のmRNAをコードする核酸配列(図1−21:配列番号:271)。
【図1−22】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。PUS7のmRNAをコードする核酸配列(図1−22:配列番号:272)。
【図1−23】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。PUS7のmRNAをコードする核酸配列(図1−23:配列番号:272)。
【図1−24】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。CD22のmRNAをコードする核酸配列(図1−24:配列番号:273)。
【図1−25】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。CD22のmRNAをコードする核酸配列(図1−25:配列番号:273)。
【図1−26】表1に列挙された遺伝子のいくつかのGenBank配列。RGS13のmRNAをコードする核酸配列(図1−26:配列番号:274)。
【図2】臨床試験001における患者21人の、多変量感受性インデックスと腫瘍の長径と短径の積の和(SPD)測定のパーセント変化との関連。SPDパーセント変化はベースラインSPDと最小のポストベースラインSPDを比較することによって決定される。正の変化は腫瘍体積の増加を示し、負の変化は腫瘍体積の減少を示す。感受性インデックス算出に使用される重み(係数)が表5に示される。より大きい多変量感受性インデックス値は、ポストベースラインのSPD減少と関連する(Sperman’s Rho=−0.58;P=0.006)
【図3】DLBCLを有する患者26人の、BCL6発現とSPD測定におけるパーセント変化との関連。SPDパーセント変化はベースラインSPDに対する最小のポストベースラインSPDを比較することによって決定された。正の変化は腫瘍体積の増加を示し負の変化は腫瘍体積の減少を示す。
【図4】抗CD40Ab.1治療に対する感受性を予測するためのマーカー遺伝子のmRNA発現レベルの使用。SPDパーセント変化はベースラインSPDに対する最小のポストベースラインSPDを比較することによって決定された。正の変化は腫瘍体積の増加を示し、負の変化は腫瘍体積の減少を示す。
【図5】マーカー遺伝子のmRNA発現レベルに基づいた抗CD40Ab.1治療に対して応答性(Dx陽性)又は非応答性(Dx陰性)と分類された患者の無増悪生存率。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、ある遺伝子が、抗CD40抗体誘導性細胞死に対して感受性があるBリンパ腫細胞と抗CD40抗体誘導性細胞死に対して耐性があるBリンパ腫細胞との間で異なって発現されるという発見に基づいている。実施例1及び2に記載される臨床試験からのデータは、15遺伝子UAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79Bの一又は複数の発現レベルが、抗CD40抗体治療(例えば、抗CD40 Ab.1治療)への応答性を予測し、評価し、又は評価を補助するために使用可能であることを示している。感受性Bリンパ腫細胞と耐性Bリンパ腫細胞との間で異なって発現される遺伝子の幾つかは、CD40リガンド下方制御経路遺伝子であり;幾つかは、B細胞受容体シグナル伝達経路にある。従って、異なって発現されるこれらの遺伝子の一又は複数の発現レベルが、抗CD40抗体を用いた治療に対するB細胞性リンパ腫を持つ被験者の応答性の評価又は評価の補助のために、抗CD40抗体を用いる治療に対する被験者の応答性を予測するために、及び被験者における治療/応答性をモニタリングするために使用可能である。
【0026】
A.一般的な技術
本発明の実施は、特に明記しない限り、当業者の技量の範囲内の分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学及び免疫学の一般的技術を使用して行う。このような技術は、例えば"Molecular Cloning: A Laboratory Manual", second edition (Sambrook et al., 1989);"Oligonucleotide Synthesis" (M. J. Gait編, 1984);"Animal Cell Culture" (R. I. Freshney編, 1987);"Methods in Enzymology" (Academic Press, Inc.);"Current Protocols in Molecular Biology" (F. M. Ausubel等編, 1987,及び定期更新版);"PCR: The Polymerase Chain Reaction", (Mullis等編, 1994)等の文献に十分に説明されている。
【0027】
本発明に用いられるプライマー、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドは当分野で知られている標準的な技術を使用して生成されうる。
【0028】
特に定義しない限り、本明細書中で用いた技術及び科学的な用語は、本発明が属する分野の通常の技術者によって一般に理解されるものと同じ意味を持つ。Singleton等, Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 2版, J. Wiley & Sons (New York, N.Y. 1994)、及びMarch, Advanced Organic Chemistry Reactions, Mechanisms and Structure 4版, John Wiley & Sons (New York, N.Y. 1992)は、本出願において使用する用語の多くに対して一般的な指針を当業者に提供する。
【0029】
B.定義
本願明細書において使用する場合、「B細胞性リンパ腫を有する被験者」及び「B細胞性リンパ腫患者」なる用語は、ある種のB細胞性リンパ腫と診断された被験者又はある種のB細胞性リンパ腫の可能性があると診断された患者を指す。
【0030】
本明細書で用いられる「バイオマーカー」又は「マーカー」なる用語は一般的に、遺伝子、タンパク質、糖質構造又は糖脂質を含む分子を指し、哺乳動物組織又は細胞中ないしは組織又は細胞上での該分子の発現又は分泌は既知の方法(又はここに開示される方法)によって検出されうるものであり、抗CD40抗体に基づく治療レジメに対する哺乳動物細胞又は組織の感受性を予測するものであるか、又は予測するために使用できる(又は予測を補助する)か、ある実施態様では個体の応答性を予測するために使用できる(又は予測を補助する)。
【0031】
本明細書中で用いる「試料」なる用語は、例えば物理学的、生化学的、化学的及び/又は生理学的特徴に基づいて特性付けられる又は同定される、細胞実体及び/又は他の分子実体を含有する対象とする被験者から得られる、又は対象とする被検体由来の組成物を指す。例えば、「疾患試料」なる表現及びこの変形は、特徴付けられる細胞実体及び/又は分子実体を含むことが予測されるか、又はそうであることが知られている対象の被検体から得られる任意の試料を指す。
【0032】
「組織又は細胞の試料」は、被検体又は患者の組織から採取された類似の細胞の集まりを意味する。組織又は細胞試料の供給源は、新鮮な、凍結された及び/又は保存されていた臓器や組織の試料又は生検又は吸引による固形組織;血液又はいずれかの血液成分;大脳脊髄液、羊水、腹水又は間質液などの体液;被検体の妊娠期又は発生期の任意の時期の細胞であってもよい。また、組織試料は原発性又は培養した細胞又は細胞株であってもよい。場合によっては、組織又は細胞の試料は罹患組織/臓器から得られる。組織試料は、防腐剤、抗凝血物質、バッファー、固定液、栄養分、抗生物質など天然の組織にはもともと混在していない化合物を含んでもよい。
【0033】
本明細書中の目的では、組織試料の「切片」とは、組織試料の一部又は一片、例えば組織試料から切り出した一スライスの組織又は細胞を意味する。複数の組織試料の切片が採取され本発明に従った分析に供され得ることが理解でき、但し、本発明は、組織試料の同じ切片が、形態学的及び分子レベル両方で分析されるか、又はタンパク質及び核酸の両方に関して分析される方法を含むことが理解されるとする。
【0034】
本明細書で使用される場合、「B細胞リンパ腫試料」又は「Bリンパ腫細胞を含む試料」はB細胞リンパ腫の一タイプと診断された被験者又は患者からのBリンパ腫細胞を含んでなる組織又は細胞試料である。
【0035】
本明細書で使用される場合、「評価を補助する」ための方法は、臨床的判断(例えば、抗CD40抗体を用いる治療に対するB細胞性リンパ腫の応答性)をすることを助ける方法を指し、確定的な評価に関して決定的であってもなくてもよい。
【0036】
「被験者」又は「個体」は哺乳類であり、より好ましくはヒトである。哺乳類は、ヒト、霊長類、家畜、スポーツ動物、齧歯類及びペット類(例えば、イヌ及びネコ)を含むが、これらに限定されない。
【0037】
本明細書で使用する場合、「対照標準値」は絶対値;相対値;上限及び/又は下限を有する値;値の範囲;平均値(average value);中央値;平均値(mean value);又は特定のコントロール又はベースライン値に比較した値であってもよい。
【0038】
ここで用いる「アレイ」又は「マイクロアレイ」なる用語は、基質上の、例えばポリヌクレオチドプローブ(例えばオリゴヌクレオチド)及び抗体等のハイブリダイズ可能なアレイ・エレメントの規則正しい整列を指す。基質は、ガラススライドなどの固体基質、又はニトロセルロースメンブレンなどの半固体基質であってもよい。ヌクレオチド配列は、DNA、RNA又は何れかのその並べ換えでありうる。
【0039】
本明細書中で用いる「増幅」は通常、所望の配列の複数のコピーを生産する工程を指す。「複数のコピー」は少なくとも2のコピーを意味する。「コピー」が、鋳型配列に対して相補的な又は同一な完全な配列を必ずしも意味するものではない。例えば、コピーは、ヌクレオチド類似体、例えばデオキシイノシン、意図的配列変化(鋳型に相補的ではないがハイブリダイズすることができる配列を含んでなるプライマーにより導入された配列変化など)及び/又は増幅中に起こる配列エラーを含みうる。
【0040】
第一試料における遺伝子又はバイオマーカーの発現レベル/量が、第二試料における遺伝子又はバイオマーカーの発現レベル/量の少なくともおよそ1.5×、1.75×、2×、3×、4×、5×、6×、7×、8×、9×又は10×である場合に、第一試料における遺伝子又はバイオマーカーの発現/量は、第二試料におけるレベル「より多い」レベルである。発現レベル/量は、限定するものではないが、mRNA、cDNA、タンパク質、タンパク質断片及び/又は遺伝子コピーを含め、当分野で公知の任意の好適な基準に基づいて決定されてもよい。発現レベル/量は、定性的及び/又は定量的に決定されうる。
【0041】
ここで交換可能に使用される「ポリヌクレオチド」又は「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドの重合体を意味し、DNA及びRNAが含まれる。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾されたヌクレオチド又は塩基、及び/又はそれらの類似体(アナログ)、又はDNAもしくはRNAポリメラーゼにより重合体内に取り込み可能な任意の基質とすることができる。ポリヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体を含み得る。存在するならば、ヌクレオチド構造に対する修飾は、重合体の組み立ての前又は後になされ得る。ヌクレオチドの配列は非ヌクレオチド成分により中断されてもよい。ポリヌクレオチドは重合後になされる修飾(一又は複数)、例えば標識との結合を含みうる。他のタイプの修飾には、例えば「キャップ」、類似体との自然に生じたヌクレオチドの一又は複数の置換、ヌクレオチド間修飾、例えば非荷電連結(例えばホスホン酸メチル、ホスホトリエステル、ホスホアミダート、カルバマート等)及び荷電連結(ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート等)を有するもの、ペンダント部分、例えばタンパク質(例えばヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ply-L-リジン等)を含むもの、インターカレータ(intercalators)を有するもの(例えばアクリジン、ソラレン等)、キレート剤(例えば金属、放射性金属、ホウ素、酸化的金属等)を含むもの、アルキル化剤を含むもの、修飾された連結を含むもの(例えばアルファアノマー核酸等)、並びにポリヌクレオチド(類)の未修飾形態が含まれる。更に、糖類中に通常存在する任意のヒドロキシル基は、例えばホスホナート基、ホスファート基で置き換えられてもよく、標準的な保護基で保護されてもよく、又は付加的なヌクレオチドへのさらなる連結を調製するように活性化されてもよく、もしくは固体又は半固体担体に結合していてもよい。5'及び3'末端のOHはホスホリル化可能であり、又は1〜20の炭素原子を有する有機キャップ基部分又はアミンで置換することもできる。また他のヒドロキシルは標準的な保護基に誘導体化されてもよい。またポリヌクレオチドは当該分野で一般的に知られているリボース又はデオキシリボース糖類の類似形態のものをさらに含み得、これらには例えば2'-O-メチル-、2'-O-アリル、2'-フルオロ又は2'-アジド-リボース、炭素環式糖の類似体、α-アノマー糖、エピマー糖、例えばアラビノース、キシロース類又はリキソース類、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体、及び非塩基性ヌクレオシド類似体、例えばメチルリボシドが含まれる。一又は複数のホスホジエステル連結は代替の連結基で置き換えてもよい。これらの代替の連結基には、限定されるものではないが、ホスファートがP(O)S(「チオアート」)、P(S)S(「ジチオアート」)、「(O)NR2(「アミダート」)、P(O)R、P(O)OR'、CO又はCH2(「ホルムアセタール」)と置き換えられた実施態様のものが含まれ、ここでそれぞれのR及びR'は独立して、H又は、エーテル(-O-)結合を含んでいてもよい置換もしくは未置換のアルキル(1-20C)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル又はアラルジル(araldyl)である。ポリヌクレオチド中の全ての結合が同一である必要はない。先の記述は、RNA及びDNAを含むここで引用される全てのポリヌクレオチドに適用される。
【0042】
ここで使用される「オリゴヌクレオチド」とは、短く、一般的に一本鎖であり、また必ずしもそうではないが、一般的に約200未満のヌクレオチド長さの、一般的に合成のポリヌクレオチドを意味する。「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」なる用語は、相互に排他的なものではない。ポリヌクレオチドについての上述した記載はオリゴヌクレオチドと等しく、十分に適用可能である。
【0043】
「プライマー」は、一般に、標的配列とハイブリダイズすることによって、興味の試料中に存在する可能性がある標的に結合して、その後、標的に相補的なポリヌクレオチドの重合を促進する、一般に遊離した3’−OH基を有する短い単鎖のポリヌクレオチドである。「一対のプライマー」は、特定の標的遺伝子の一部を増幅するために使用可能である5’プライマー及び 3’プライマーを意味する。
【0044】
一般的に「3’」なる用語は、同じポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの他の領域又は位置からのポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド3’(下流)の領域又は位置を指す。一般的に「5’」なる用語は、同じポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの他の領域又は位置からのポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド5’(上流)の領域又は位置を指す。
【0045】
「遺伝子増幅」なる語句は、遺伝子又は遺伝子断片の複数のコピーが特定の細胞又は細胞株において形成されるプロセスを意味する。複製された領域(増幅されたDNAのストレッチ)は、しばしば「アンプリコン」と称される。通常は、生成されるメッセンジャーRNA(mRNA)の量、即ち遺伝子発現のレベルも、発現される特定遺伝子の作成されたコピー数に比例して増加する。
【0046】
「検出」は、直接的及び間接的な検出を含む検出する任意の手段を含む。
【0047】
本明細書中で用いる「予測」なる用語は、患者が薬剤又は一連の薬剤に対して有利又は不利に応答するかどうかの見込みを意味する。一実施態様では、予測はその応答の程度に関する。一実施態様では、予測は、例えば特定の治療的薬剤による治療、及び疾患再発のない一定期間の後に患者が生存しているか改善しているかどうか、及び/又はその可能性に関する。本発明の予測方法を用いて任意の特定の患者のために最も好適な治療様式を選択することによって、治療決定を臨床的に行うことができる。本発明の予測方法は、患者が、治療投薬計画、例えば特定の治療剤や組み合わせの投与、外科的介入、ステロイド治療などを含む特定の治療投薬計画に有利に応答するかどうか、又は治療投薬計画の後に患者が長期に生存しているかどうかを予測する際の有用なツールである。
【0048】
本明細書中で用いる「長期の」生存なる用語は、治療的治療の後、少なくとも1年、5年、8年又は10年の生存を指す。
【0049】
「患者応答」は、限定するものではないが以下のものを含む患者に利益を示す任意のエンドポイントを使用して評価できる:(1)緩徐化及び完全な停止を含む、ある程度の疾患進行の阻害、(2)疾患発症及び/又は症状の数の減少、(3)病変サイズの減少、(4)近接する末梢器官及び/又は組織への疾患細胞浸潤の阻害(すなわち減少、緩徐化又は完全な停止)、(5)疾患の拡がりの阻害(すなわち減少、緩徐化又は完全な停止)、(6)疾患と関係する一又は複数の症状の、ある程度の軽減、(7)治療後の無病期間の増加、及び/又は(8)治療後の特定の時点での死亡率の減少。
【0050】
「抗体」なる用語は最も広義な意味で使われ、特に、モノクローナル抗体(例えば完全長モノクローナル抗体)、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び所望の生物学的活性又は機能を示す限り抗体断片をカバーする。
【0051】
「抗体断片」は完全長抗体の部分、通常はその抗原結合又は可変領域を含む。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab’)、及びFv断片;ダイアボディ;線形抗体;一本鎖抗体分子;及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれる。
【0052】
「Fv」は、完全な抗原認識及び結合部位を含む最小の抗体断片である。この断片は、密接に非共有結合した1本の重鎖と1本の軽鎖の可変領域の二量体からなる。これら2つのドメインの折り畳みから、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与し、抗体に対する抗原結合特異性を付与する6つの高頻度可変ループ(H及びL鎖から、それぞれ3つのループ)が生じる。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含んでなるFvの半分)でさえ、結合部位全体よりは低い親和性であるが、抗原を認識し結合する能力を持つ。
【0053】
ここで使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団由来の抗体を称する、すなわち、集団に含まれる個々の抗体が、少量存在しうる自然に生じる可能な突然変異を除いて同一であるか及び/又は同じエピトープに結合する。そのようなモノクローナル抗体は、標的に結合するポリペプチド配列を含む抗体を典型的には含み、標的結合ポリペプチド配列は複数のポリペプチド配列由来のポリペプチド配列を結合する単一の標的の選択を含む方法によって得られる。例えば、選択方法は、ハイブリドーマクローン、ファージクローン又は組換えDNAクローンのようなプールの様な複数のプールからの単一のクローンの選択であってもよい。選択された標的結合配列は、例えば標的の親和性を改良するために、標的結合配列をヒト化するために、細胞培養における生産を改良するために、インビボの免疫原性を減じるために、多特異性抗体を作成するために更に変更できること、変更された標的結合配列を含む抗体は同様に本発明のモノクローナル抗体であることを理解するにちがいない。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を基本的に含むポリクローナル抗体調製物とは反対に、各モノクローナル抗体は抗原の単一の決定基に指向する。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体調製物は、他の免疫グロブリンで汚染されていないという点で有利である。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られたという抗体の特徴を示し、抗体を何か特定の方法で生産しなければならないと解釈されるものではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、例えばハイブリドーマ法(例、Kohler等, Nature, 256:495 (1975); Harlow等, Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2版 1988);Hammerling等, Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681, (Elsevier, N.Y., 1981)、組換えDNA法(例えば米国特許第4816567号を参照)、ファージディスプレイ技術(例えば Clackson等, Nature, 352:624-628 (1991);Marks等, J. Mol. Biol., 222:581-597(1991);Sidhu等, J. Mol. Biol. 338(2):299-310 (2004);Lee等, J.Mol.Biol.340(5):1073-1093(2004);Fellouse, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 101(34):12467-12472 (2004);及びLee等, J. Immunol. Methods 284(1-2):119-132 (2004)を参照)、及びヒト免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン配列遺伝子座又は遺伝子の部分又は全てを有する動物におけるヒト又はヒト様抗体を産生するための技術(例えば国際公開第1998/24893号;国際公開第1996/34096号;国際公開第1996/33735号;国際公開第1991/10741号;Jakobovits等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:2551 (1993);Jakobovits等, Nature, 362:255-258 (1993);Bruggemann等, Year in Immuno., 7:33 (1993);米国特許第5545806号;同第5569825号;同第5591669号(全てGenPharm);同第5545807号;国際公開第1997/17852号;米国特許第5545807号;同第5545806号;同第5569825号;同第5625126号;同第5633425号;及び同第5661016号;Marks等, Bio/Technology, 10: 779-783 (1992);Lonberg等, Nature, 368: 856-859 (1994);Morrison, Nature, 368: 812-813 (1994);Fishwild等, Nature Biotechnology, 14: 845-851 (1996);Neuberger, Nature Biotechnology, 14: 826 (1996);及びLonberg及びHuszar, Intern. Rev. Immunol., 13: 65-93 (1995)を参照)を含む様々な技術によって作ることができる。
【0054】
本明細書のモノクローナル抗体は特に「キメラ」抗体を含む。「キメラ」抗体(免疫グロブリン)は、特定の種から誘導された又は特定の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同である重鎖及び/又は軽鎖の一部を有する一方、鎖の残りの部分は他の種から誘導された又は他の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同であり、並びにそれらが所望の生物学的活性を示す限りにおいてそれらの抗体の断片である(米国特許第4816567号;Morrison等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 (1984))。本明細書で使用する場合、ヒト化抗体はキメラ抗体のサブセットである。
【0055】
非ヒト(例えば齧歯類)抗体の「ヒト化」形とは、非ヒト抗体から得られた最小配列を含むキメラ抗体である。大部分において、ヒト化抗体は、レシピエントの高頻度可変領域の残基が、マウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類のような所望の抗体特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)の高頻度可変領域の残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見出されない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は抗体の特性をさらに洗練するために行われる。一般的に、ヒト化抗体は、全て又はほとんど全ての高頻度可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに一致し、全て又はほとんど全てのFRがヒト免疫グロブリン配列である、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、FR領域は結合親和性を改良する1又は複数のアミノ酸置換を含んでもよい。FRのこれらのアミノ酸置換の数は、典型的にはH鎖で6以下であり、L鎖で3以下である。ヒト化抗体は、場合により免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒトの免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含む。さらなる詳細は、Jones等, Nature 321, 522-525(1986);Riechmann等, Nature 332, 323-329(1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2, 593-596(1992)を参照のこと。
【0056】
「ヒト抗体」は、ヒトにより生成される抗体のアミノ酸残基に対応するアミノ酸残基を有するもの、及び/又はヒト抗体をつくるための任意の公知技術を使用して作成されたものである。この定義におけるヒト抗体は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特別に除く。
【0057】
「親和性成熟」抗体は、その一又は複数のCDR/HVRに一又は複数の変更を有する抗体であって、そのような変更を有しない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性を改良するものと成っている。好ましい親和性成熟抗体は、標的抗原に対して、ナノモル単位の又はピコモル単位の親和性を有する。親和成熟抗体は、当技術分野において既知の方法により生産できる。Marks等、Bio/Technology, 10:779-783(1992)は、VHドメインとVLドメインのシャフリングによる親和成熟を記載している。CDR及び/又はフレームワーク残基のランダムな突然変異誘発が、Barbas等, Proc Nat. Acad. Sci, USA 91:3809-3813(1994);Schier等, Gene, 169:147-155 (1995);Yelton等, J. Immunol., 155:1994-2004 (1995);Jackson等, J. Immunol., 154(7):3310-9 (1995);及びHawkins等, J. Mol. Biol., 226:889-896 (1992)に開示されている。
【0058】
「Fc領域」という用語は、無傷の抗体のパパイン消化により生成される免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。Fc領域は天然配列のFc領域又は変異体Fc領域でありうる。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界はまちまちであるが、ヒトIgG重鎖のFc領域は、通常、約Cys226又は約Pro230に位置するアミノ酸残基からFc領域のカルボキシル末端まで延びていると定義される。免疫グロブリンのFc領域は、通常、2つの定常ドメイン、1つのCH2ドメイン及び1つのCH3ドメインを含み、場合によってはCH4ドメインを含む。ここで使用する「Fc領域鎖」という表現は、Fc領域の2つのポリペプチド鎖のうちの1つを意味する。
【0059】
抗体の「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異体Fc領域)に帰する生物学的活性を意味し、抗体のアイソタイプにより変わる。抗体のエフェクター機能の例には、C1q結合及び補体依存性細胞障害;Fcレセプター結合性;抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC);貪食作用;細胞表面レセプター(例えば、B細胞レセプター)の下方制御;及びB細胞活性化が含まれる。
【0060】
「抗体依存性細胞媒介性細胞障害」又は「ADCC」とは、ある種の細胞障害細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球及びマクロファージ)上に存在するFcレセプター(FcRs)と結合した分泌Igにより、これらの細胞障害エフェクター細胞が抗原−担持標的細胞に特異的に結合し、続いて細胞毒により標的細胞を死滅させることを可能にする細胞障害性の形態を意味する。抗体は細胞障害細胞を「武装させ」、これはこのような死滅には絶対に必要なものである。ADCCを媒介する主要な細胞NK細胞はFcγRIIIのみを発現するのに対し、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞でのFcRの発現は、Ravetch及びKinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991) の464頁の表3に要約されている。対象の分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5500362号又は同第5821337号又はPresta米国特許第6737056号に記載されているようなインビトロADCCアッセイを実施することができる。このようなアッセイにおいて有用なエフェクター細胞には、末梢血液単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー細胞(NK細胞)が含まれる。代替として、又は付加的に、興味の分子のADCC活性は、例えば、Clynes等, PNAS(USA) 95:652-656 (1998)において開示されているような動物モデルにおいて、インビボで評価することが可能である。
【0061】
「治療すること」又は「処置」又は「寛解」は、治療的処置を表し、この目的は標的とした病態又は疾患を治癒しない場合に衰退(減少)させる、又は症状の再発を予防することである。本発明の方法に従って本発明のヒト化CD40結合抗体の治療的有効量を投与した後、患者のB細胞悪性腫瘍がうまく「治療」されれば、患者は特定の疾患の一又は複数の兆候及び症状が観察可能に及び/又は測定可能に減少又は消失する。例えば、癌細胞数の有意な減少又は癌細胞の消失;腫瘍の大きさの減少;腫瘍転移の阻害(すなわち、ある程度の遅延及び好ましくは停止);ある程度の腫瘍増殖の阻害;緩解期の延長、及び/又は特定の癌が関与する一又はそれ以上の症状のある程度の除去;罹患率及び死亡率の減少、及び生活の質の改善がある。更に疾患の兆候又は症状の減弱は患者が感じ得るものである。癌のすべての兆候の消失と定義される完全応答、腫瘍の大きさが好ましくは50%以上、より好ましくは75%以上減少する部分的な応答を、治療により達成しできる。更に、患者の疾患が安定しているならば、患者も治療されたと考える。ある基準では、発明の抗体により末梢血のB細胞が95%より多く枯渇され、B細胞は基線の25%に戻る。好ましい実施態様では、抗CD40抗体による治療は、治療後3か月、好ましくは6か月、より好ましくは1年、さらにより好ましくは2年又は2年以上に癌患者に癌の進行がないほどに有効である。疾患の改善及び治療の成功を評価するこれらのパラメータは医師などの適切な当業者に知られた常法によって容易に測定可能である。
【0062】
ここで使用される「非ホジキンリンパ腫」又は「NHL」という用語は、ホジキンリンパ腫以外のリンパ系の癌を意味する。ホジキンリンパ腫は、ホジキンリンパ腫にリード・シュテルンベルク細胞が存在し、非ホジキンリンパ腫に上記細胞が存在しない点で非ホジキンリンパ腫とは一般に区別できる。
【0063】
「有効量」とは所望の治療又は予防結果を達成するために必要な用量及び時間での効果的な量を意味する。治療剤の「治療的有効量」は、例えば個体の疾病ステージ、年齢、性別、及び個体の体重、並びに個体に所望の応答を誘発する抗体の能力のような因子に従って変わりうる。また、治療的有効量は治療剤の任意の毒性又は有害な効果よりも治療的に恩恵のある効果が上回るものである。「予防的有効量」とは所望の予防結果を達成するために必要な用量及び時間での効果的な量を意味する。必ずしもではないが典型的には、予防的用量は疾患の初期ステージ又はその前の患者に用いるので、予防的有効量は治療的有効量よりも少ないであろう。
【0064】
「ハウスキーピング遺伝子」なる用語は、活性が細胞機能の維持に必須であるタンパク質をコードする一群の遺伝子を指す。これらの遺伝子は一般的に、すべての細胞型において同じように発現される。
【0065】
「相関」又は「相関する」は、任意の方法で、第一の分析又はプロトコルの成績及び/又は結果を、第二の分析又はプロトコルの成績及び/又は結果と比較することを意味する。例えば、第二のプロトコルを行う際に第一の分析又はプロトコルの結果を用いてもよいし、及び/又は第一の分析又はプロトコルの結果を用いて、第二の分析又はプロトコルを行うかどうかを決定してもよい。遺伝子発現分析又はプロトコルの実施態様に関し、遺伝子発現分析又はプロトコルの結果を用いて、特定の治療投薬計画を実施するかどうかを決定してもよい。
【0066】
本明細書中で用いられる「標識」なる用語は、核酸プローブ又は抗体などの試薬に直接的又は間接的にコンジュゲートないしは融合され、コンジュゲートないしは融合した試薬の検出を容易にする化合物又は組成物を指す。標識自体が検出可能なもの(例えば放射性標識又は蛍光性標識)であってもよく、酵素標識の場合、検出可能な基質化合物ないしは組成物の化学的変化を触媒するものであってもよい。
【0067】
本明細書で用いられる「a」、「an」及び「the」には、明らかな記載がない限り単数形又は複数形を意味しうる(すなわち、一又は複数を意味する)。
【0068】
ここに記載される発明の態様及び実施態様は、態様及び実施態様「を含んでなる」、「からなる」、及び「から本質的になる」を含むと理解される。
【0069】
C.本発明の方法
本発明は、B細胞リンパ腫を有する被験者の抗CD40抗体による治療に対する応答を評価するか又は応答を補助する方法を提供する。また、本発明はB細胞リンパ腫を有する被験者における抗CD40抗体治療に対する応答を予測する又は治療/応答をモニタリングする方法を提供する。本発明は、抗CD40抗体を用いる治療のための、B細胞リンパ腫を有する患者を選択し、抗CD40抗体治療によって被験者を治療するための方法を提供する。いくつかの実施態様では、該方法は、被験者から得られたBリンパ腫細胞を含む試料において、UAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79Bからなる群から選択された一又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルを測定し;測定された一又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルに基づいて抗CD40抗体治療に対する被験者の応答を予測するか、評価するか又は評価の補助することを含む。幾つかの実施態様では、方法は、被験者からのB細胞性リンパ種試料におけるUAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79Bから選択された少なくとも一のマーカー遺伝子の測定された発現レベルを、それぞれのマーカー遺伝子に対して対照標準レベルと比較することを含む。幾つかの実施態様では、応答性は、一又は複数のマーカー遺伝子の測定された発現レベルに基づいて決定された感受性インデックス値を使用して予測又は評価される。幾つかの実施態様では、応答性は、ここに記載されるK近傍法を使用して被験者を分類することによって予測又は評価される。
【0070】
本発明の方法は、抗CD40抗体による治療のためのB細胞リンパ腫を有する患者を同定し、抗CD40抗体治療の展開経過の間の患者選択を補助し、特定の治療レジメにより個々の患者を治療する場合の成功の可能性を予測し、疾患の進行を評価し監視し、治療の有効性を監視し、及び個々の患者の予後を決定するのに臨床医にとって有用である。これらの実施態様の何れもが本発明に含まれる。
【0071】
いくつかの実施態様では、B細胞リンパ腫は非ホジキンリンパ腫(NHL)であって、ろ胞性リンパ腫、再発ろ胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、周縁帯リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、菌状息肉腫/セザリー症候群、脾臓周縁帯リンパ腫及びびまん性大B細胞リンパ腫を含むが、これに限定されるものではない。
【0072】
いくつかの実施態様では、B細胞リンパ腫は緩慢性である。いくつかの実施態様では、B細胞リンパ腫は侵攻性である。いくつかの実施態様では、B細胞リンパ腫は高侵攻性である。いくつかの実施態様では、緩慢性B細胞リンパ腫は、ろ胞性リンパ腫、周縁帯リンパ腫、又は小リンパ球性リンパ腫である。いくつかの実施態様では、緩慢性B細胞リンパ腫はろ胞性リンパ腫である。
【0073】
(マーカー遺伝子)
B細胞性リンパ腫試料における一又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルは、抗CD40抗体による治療に対するB細胞リンパ腫の応答を予測するか、評価するか又は評価の補助するために本発明の方法において使用することができる。幾つかの実施態様では、対照標準レベルに対する一又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルが、本発明の方法において使用される。
【0074】
抗CD40抗体治療に対する応答性を予測、評価、又は評価を補足するための、UAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79Bの発現レベルの使用が実施例1及び2に記載される。これらの遺伝子の一又は複数の発現レベルが、本発明の方法で使用される。幾つかの実施態様では、UAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79Bからの少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、又は15の遺伝子の発現レベルが、本発明の方法で測定され、使用される。
【0075】
ここでマーカーとして使用される遺伝子(配列を含む)は当分野で知られているものである。例えばヒト遺伝子のGenBank受託番号の例は、VNN2(NM_004665;NM_078488;AJ132100;D89974;BC064641;CR609799;BC126145;BC126147;及びAB026705);RGS13(NM_002927;NM_144766;BT006929;BC056866;AY562947;CR536532;CR610389;CR599001;BC016667;AF493935;BC036950;及びAF030107);CD22(NM_001771;AK026467;BC109306;BC109307;AK225694;AK225625;X52785;及びX59350);LRRC8A(AY143166;BC051322;AK123611;AY358286;NM_019594;XM_026998;AK001199;AB037858;CR619692;CR619448;AK024649;BC000775;AK027495;及びAK074723);CD40(NM_001250;NM_152854;BC064518;AY225405;CR619622;CR608994;CR605787;AB209660;AK222896;AJ300189;BT019901;及びBC012419);IFITM1(NM_003641;BC000897;BT007173;BT009859;CR456894;CR541874;CR604902;X57351;X84958;NM_006435;BC009696;X02490;及びJ04164);SMN1(NM_000344;BC062723;CR611445;CR593735;BC000908;NM_022874;BC015308;及びU18423);PRKCA(NM_002737;AB209475;BC109274;BC109273;AF035594;BC053321;BX648954;AK125425;BC062759;BC071767;BC103691;BC101403;BC107592;AY633609;BC122530;BC015855;AF086287;AF035595;M22199;及びX52479);EPDR1(DQ914439;AY027862;NM_017549;AJ250475;AF202051;CR624676;CR596656;NM_016616;BC000686;BC018299;AF305596;及びBC036816);PRPSAP2(NM_002767;AB007851;BX648850;AK126398;CR457082;BC101672;BC101670;及びBC106050);IGF1R(NM_000875;NM_015883;AY429545;CR624013;BC078157;BC088377;BC107089;BC111046;BC113610;BC113612;BC010607;X04434 M24599;及びU09023);BTG2 (NM_006763;CR606002;CR604962;CR595352;CR591042;BC105948;BC105949;U72649;及びY09943);LMO2(BC042426;NM_005574;BC073973;AK127915;CR625714;CR614368;CR604507;AF257211;BC034041;BC035607;及びX61118);YIPF3(AL050274;AK000946;CR533541;CR623137;CR622890;CR622532;CR621993;CR619816;CR619437;CR619054;CR618212;CR616987;CR616384;CR615623;CR615153;CR615118;CR612415;CR611748;CR611260;CR610983;CR610470;CR607768;CR606024;CR603408;CR603202;CR602267;CR601987;CR599615;CR598162;CR597677;CR596581;CR596249;CR595236;CR592266;CR590752;CR590349;NM_015388;AK021433;AK021655;AK022757;BC019297;及びAF162672);及びBCL6(NM_001706;NM_138931;BX649185;U00115;BC142705;BC146796;BC150184;AL713713;AK090890;AL832990;及びZ21943)である。また、マーカー遺伝子のGenBank受託番号が表1にリストにされている。
【0076】
幾つかの遺伝子の核酸配列が図1に示されている(1−1から1−26)。
【0077】
(対照標準レベル)
B細胞リンパ腫試料における一又は複数のマーカー遺伝子の測定された発現量が、対照標準レベルと比較される。いくつかの実施態様では、対照標準レベルは、例えば抗CD40抗体に感受性があるB細胞リンパ腫と抗CD40抗体に対して耐性があるB細胞リンパ腫との間において等、異なる種類のB細胞リンパ腫の間で発現レベルが変化しない(著しくは変化しない)遺伝子の発現レベルである。いくつかの実施態様では、一又は複数のハウスキーピング遺伝子(例えば国際公開第2009/062125号の表8及び9に示される遺伝子等)の発現レベルが、対照標準レベルとして使用される。
【0078】
いくつかの実施態様では、マーカー遺伝子の測定された発現量は、対照標準レベルを使用して正規化される。いくつかの実施態様では、マーカー遺伝子の正規化発現レベルは、マーカー遺伝子と対照標準発現レベルの比率又は差異として、それぞれオリジナル又は対数スケールで算出される。
【0079】
対照標準遺伝子は、マーカー遺伝子に対する特異的な正規化カウンターパートとして選択されてもよい。対照標準遺伝子は、B細胞リンパ腫試料における高い平均発現及び低い分散に対して選択された。加えて、対照標準遺伝子は、生物学的に異なった細胞株の発現測定値間の分散に比較して、個々の細胞株の繰り返された発現測定値間の類似分散を有するように選択された。加えて、対照標準遺伝子は、一又は複数のマーカーと低い統計的関連性を有するように選択された。
【0080】
いくつかの実施態様では、対照標準レベルは、異なるB細胞リンパ腫試料におけるマーカー遺伝子の測定された発現レベルである。いくつかの実施態様では、異なるB細胞リンパ腫試料は、抗CD40抗体誘導細胞死に対して耐性があるBリンパ腫細胞を含む。
【0081】
いくつかの実施態様では、対照標準レベルは抗CD40抗体治療後に増加した腫瘍容積を有する被験者及び/又は抗CD40抗体治療後に減少した腫瘍容積を有する被験者由来のBリンパ腫細胞を含む試料の対応するマーカー遺伝子の発現レベルに基づいて決定される。いくつかの実施態様では、対照標準レベル決定のための被験者由来の試料は、抗CD40抗体治療への応答が予測又は評価される被験者由来の試料と同じ種類のBリンパ腫細胞を含む。いくつかの実施態様では、同じ方法(例えばqRT-PCR)及び/又は試薬(例えばプライマーとプローブ)が、試料のマーカー遺伝子の発現レベルを測定するために、及び対照標準試料の対応するマーカー遺伝子の発現レベルを測定するために用いられる。
【0082】
(発現レベルの測定)
本願明細書において開示される方法は、リンパ腫試料(例えばB細胞性リンパ腫試料)における一又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルを検査する方法を提供する。幾つかの実施態様では、対照標準レベルに対する発現レベルが、一又は複数のマーカー遺伝子について検査される。該方法及びアッセイは、例えばUAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79Bの一又は複数のマーカー遺伝子の発現を調べるものを含む。発現レベルは、mRNAレベル及び/又はタンパク質レベルで測定される。
【0083】
本発明は、哺乳類の組織又は細胞試料(例えばB細胞リンパ腫を伴う細胞及び/又は組織)から発現レベルを測定する方法を提供する。例えば、患者試料を得るために、H&E染色が実施され、組織を大きく切り出すために腫瘍含有を多くするガイドとして使われる。試料は、外科的切除、吸引又は生検を含むが、これに限定されるものではない、当該分野で既知の種々の手順によって得ることができる。試料は新しくてもよいし凍結されていてもよい。いくつかの実施態様では、試料は、固定され、パラフィン等に包埋される。該方法では、哺乳類の組織又は細胞試料を得て、一又は複数のバイオマーカーの発現について調べる。該方法は、mRNA発現を検出するアッセイ、酵素活性の存在を検出する酵素性アッセイ、及び免疫組織化学アッセイを含む種々なアッセイ形式において実施されうる。前記組織又は細胞におけるこのようなバイオマーカーの発現の測定は、このような組織又は細胞が抗CD40抗体による治療に対して感受性/応答性であることを予測する。
【0084】
以下で検討するように、試料における様々なバイオマーカーの発現は、多くの方法によって分析することができるものであり、その多くは当該分野で知られ当業者に理解されるものであり、マイクロアレイ(遺伝子及び/又は組織のアレイ分析)、インサイツハイブリダイゼーション、ノーザン解析、mRNAのPCR解析、免疫組織化学的及び/又はウエスタン解析、FACS、プロテインアレイ、質量分析、定量的な血液に基づくアッセイ(例えば、血清ELISA)(例えば、タンパク質発現のレベルを調べるために)、及び/又は生化学的酵素活性アッセイを含むがこれに限定されるものではない。遺伝子及び遺伝子産物の状態を評価するための典型的なプロトコルは、例えばAusubel等編(1995)Current Protocols In Molecular Biology, ユニット2(ノザンブロッテイング)、4(サザンブロッティング)、15(イムノブロッティング)及び18(PCR解析)にある。試料中の特定のバイオマーカー(例えばUAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79Bの一又は複数の発現レベル)の検出に関する下のプロトコルは、例示を目的として提供される。
【0085】
いくつかの実施態様では、本発明の方法は、組織又は細胞試料中におけるmRNA、例えばUAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79Bからの少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、又は15の遺伝子のmRNAの存在及び/又は発現を調べるプロトコルを更に含む。幾つかの実施態様では、試料の様々なバイオマーカーの発現は、組織又は細胞の試料中のmRNAを調べるか又は検出するマイクロアレイ技術によって分析され得る。核酸マイクロアレイを用いて、試験及びコントロールの組織試料から得た試験及びコントロールのmRNA試料は、cDNAプローブを生成するために、逆転写され標識される。次いで、プローブを、固形支持体に固定した核酸のアレイにハイブリダイズさせる。アレイの配列及び各々のメンバーの位置がわかるように、アレイを設定する。例えば、特定の疾患状態において発現されうる選択した遺伝子を、固形支持体上に配列してもよい。特定のアレイメンバーと標識プローブとのハイブリダイゼーションは、プローブが由来する試料がその遺伝子を発現することを示す。疾患組織の差次的遺伝子発現分析は、貴重な情報を提供する。マイクロアレイ技術は、単一の実験で何千もの遺伝子のmRNA発現性質を評価するために、核酸ハイブリダイゼーション技術及び演算技術を利用する。(2001年10月11日公開の国際公開第01/75166号を参照(例えば米国特許第5700637号、同第5445934号及び同第5807522号、Lockart, Nature Biotechnology, 14:1675-1680 (1996))、アレイ製作の考察のためにはCheung, V.G.等, Nature Genetics 21(Suppl): 15-19 (1999)を参照)。DNAマイクロアレイは、ガラス又は他の基質上で染みつけられるか直接合成される遺伝子断片を含有する微小なアレイである。何千もの遺伝子は、通常単一のアレイ上に現れる。代表的なマイクロアレイ実験は以下の工程を伴う:1)試料から単離したRNAからの蛍光性標識標的の調製、2)マイクロアレイへの標識した標的のハイブリダイゼーション、3)洗浄、染色及びアレイのスキャニング、4)走査画像の分析、そして5)遺伝子発現プロファイルの生成。一般に、DNAマイクロアレイには2つの主要な種類、cDNAから調製されたPCR産物を含有する遺伝子発現アレイ及びオリゴヌクレオチドアレイ(通常25〜70mer)が用いられる。アレイを形成する際に、オリゴヌクレオチドは、事前に作製して表面にスポットしても、(インサイツで)表面上で直接合成してもよい。
【0086】
Affymetrix GeneChip(登録商標)システムは、ガラス表面上でオリゴヌクレオチドを直接合成することにより製造されるアレイを含んでなる市販のマイクロアレイシステムである。プローブ/遺伝子アレイ:オリゴヌクレオチド(通常25mer)は、半導体ベースのフォトリソグラフィーと固相化学合成技術との組合せによって、ガラスウェーハ上へ直接合成される。各々のアレイは最高400000の異なるオリゴを含有し、各々のオリゴは何百万ものコピーで存在する。オリゴヌクレオチドプローブがアレイ上の既知の位置で合成されるので、ハイブリダイゼーションのパターン及びシグナル強度は、Affymetrix Microarray Suiteソフトウェアによる遺伝子同一性と相対的な発現レベルに置き換えて解釈できる。各々の遺伝子は、一連の異なるオリゴヌクレオチドプローブによって、アレイ上に表される。各々のプローブ対は、完全一致のオリゴヌクレオチドと、不一致のオリゴヌクレオチドからなる。完全一致プローブは、特定の遺伝子に対して完全に相補的な配列を有するため、遺伝子の発現を測定する。不一致プローブは、中心塩基位置での単一塩基置換によって、完全一致プローブとは異なり、標的遺伝子転写物の結合を妨げる。これによって、完全一致オリゴを決定するシグナルの一因となるバックグラウンド及び非特異的ハイブリダイゼーションを決定できる。Microarray Suiteソフトウェアは、完全一致プローブのハイブリダイゼーション強度から不完全一致プローブのハイブリダイゼーション強度を減算して、それぞれのプローブセットの絶対値又は特異的強度の値を決定する。プローブは、GenBank及び他のヌクレオチド貯蔵所の当時の情報に基づいて選択される。この配列は遺伝子の3'末端の特定の領域を認識すると思われている。GeneChipハイブリダイゼーションオーブン(「回転式(rotisserie)」オーブン)を用いて、一度に最高64アレイのハイブリダイゼーションを行う。フルイディクスステーションでは、プローブアレイの洗浄と染色が行われる。これは完全に自動化しており、4つのモジュールを含有しており、その各々のモジュールが一つのプローブアレイを保持している。各々のモジュールは、事前にプログラム化されたフルイディクスプロトコールを用いたMicroarray Suiteソフトウェアにより個々に制御される。スキャナは、プローブアレイに結合した標識cRNAにより発される蛍光強度を測定する共焦点レーザー蛍光発光スキャナである。Microarray Suiteソフトウェアを有するコンピュータワークステーションがフルイディクスステーションとスキャナを制御する。Microarray Suiteソフトウェアは、プローブアレイについて事前にプログラム化したハイブリダイゼーション、洗浄及び染色プロトコールを用いてフルイディクスステーションを8つまで制御できる。また、ソフトウェアは、ハイブリダイゼーション強度データを得て、適切なアルゴリズムを使用して各々の遺伝子の存在/非存在情報に変換する。最後に、ソフトウェアは、比較分析によって、遺伝子発現における実験間の変化を検出して、テキストファイルに出力する。このファイルは更なるデータ分析のために他のソフトウェアプログラムに用いることができる。
【0087】
いくつかの実施態様では、試料の様々なバイオマーカーの発現は遺伝子の欠損又は遺伝子の増幅を調べることによって評価してもよい。遺伝子の欠損又は増幅は、当分野で公知の様々なプロトコルの何れか一つ、例えば、慣例的なサザンブロット、mRNAの転写を定量化するノザンブロット(Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:5201 5205 (1980))、ドットブロット(DNA分析)、又は適切に標識したプローブを用いたインサイツハイブリダイゼーション(例えばFISH)、適切に標識したプローブを用いた細胞遺伝学的方法又は比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)によって測定できる。例として、これらの方法を用いて遺伝子の欠損又は増幅を検出してもよい。
【0088】
いくつかの実施態様では、試料の様々なバイオマーカーの発現は相補的DNAプローブを使用するハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、標識リボプローブ、ノザンブロット及び関連技術を使用したインサイツハイブリダイゼーション)及び様々な核酸増幅アッセイ(例えば、UAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79Bの一又は複数の遺伝子に特異的なプライマーのような相補的プライマーを使用するRT−PCR、及び他の増幅型の検出法、例えば分岐DNA、SISBA、TMAなど)によって評価され得る。
【0089】
哺乳動物由来の組織又は細胞の試料は、例えばノーザン、ドットブロット又はPCR分析を用いて、例えばUAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79Bの何れか一又は複数の遺伝子のmRNAについて簡易にアッセイすることができる。幾つかの実施態様では、一又は複数のバイオマーカーの発現はRT-PCR(qRT-PCR)によってアッセイされてもよい。幾つかの実施態様では、RT-PCRは定量的RT-PCR(qRT-PCR)であってもよい。幾つかの実施態様では、RT-PCRはリアルタイムRT-PCRである。幾つかの実施態様では、RT-PCRは定量的リアルタイムRT-PCRである。定量的PCRアッセイのようなRT-PCRアッセイは当分野でよく知られている。本発明の例示的な実施態様では、生物学的試料においてmRNAを検出するための方法は、少なくとも1のプライマーを使用する逆転写によって試料からcDNAを産生すること;cDNAを増幅し、センス及びアンチセンスプライマーとしてポリヌクレオチドを使用して、それについてcDNAを産生すること;及び興味の増幅されたcDNAの存在を検出することを含む。いくつかの実施態様では、リアルタイムRT−PCRは定量的RT−PCRであってもよい。いくつかの実施態様では、リアルタイムRT−PCRは、TaqMan試薬(アプライドバイオシステムズ)を使用して行うことができる。いくつかの実施態様では、リアルタイムRT−PCRは、TaqMan試薬(アプライドバイオシステムズ)及びABIプリズム7700配列検出システム(アプライドバイオシステムズ)を使用して行うことができる。リアルタイムRT−PCRは、Taqポリメラーゼが5’−3;エキソヌクレアーゼ活性を有するという原理と、切断に応じてのみ蛍光シグナルを放出するという問題があった二重標識蛍光発生オリゴヌクレオチドを、蛍光共鳴エネルギーの原理に基づいて組合わせる。例えば、Overbergh, L.等, J. Biomolecular Techniques 14(1): 33-43 (2003)を参照。加えて、このような方法は、生物試料の表2−4、6,7及び13の何れかに挙げた遺伝子のmRNAのようなmRNAのレベルを決定することを可能にする一又は複数の工程を含むことができる(例えば、アクチン・ファミリーの一員のような「ハウスキーピング」遺伝子及び/又は国際公開第2009/062125号の表8又は表9に挙げた一又は複数の遺伝子の比較対照mRNA配列を同時にレベルを調べることによって)。qRT-PCRを行うために使用できるプライマーとプローブの例は、表1に提供される。
【0090】
いくつかの実施態様では、試料中におけるUAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79Bによってコードされたタンパク質の発現は、免疫組織化学及び染色プロトコルを用いて試験される。組織切片の免疫組織化学染色は、試料中のタンパク質の存在を評価ないしは検出するための確実な方法であることが示されている。免疫組織学法(「IHC」)技術は、抗体を用いて、一般的には色素生産性方法又は蛍光性方法によって、インサイツで細胞性抗原を探索して視覚化する。
【0091】
試料の調製では、哺乳動物(典型的にはヒト患者)の組織又は細胞試料を用いてもよい。試料の例として、組織生検、血液、肺吸引、痰、リンパ液などが含まれるが、これらに限定するものではない。前記試料は、限定するものではないが、外科的切除、吸引又は生検を含む当該分野で既知の様々な手順によって得ることができる。組織は新鮮なものでも凍結したものでもよい。ある実施態様では、試料は固定し、パラフィンなどに包埋する。
【0092】
前記組織試料は一般的な方法によって固定(すなわち保存)されうる(例として、「Manual of Histological Staining Method of the Armed Forces Institute of Pathology」第3版(1960) Lee G. Luna, HT (ASCP)編集, The Blakston Division McGraw-Hill Book Company, New York;The Armed Forces Institute of Pathology Advanced Laboratory Methods in Histology and Pathology (1994) Ulreka V. Mikel編集、Armed Forces Institute of Pathology, American Registry of Pathology, Washington, D.C.を参照)。当業者であれば、組織学的染色ないしは他の分析に供する試料の目的に応じて固定液を選択することは理解するところであろう。また、当業者であれば、固定の時間が組織試料の大きさ及び用いる固定液に依存することも理解するであろう。例として、中性緩衝ホルマリン、ブアン固定液又はパラホルムアルデヒドを用いて試料を固定してもよい。
【0093】
一般に、まず試料を固定し、ついで段階的に増加させたアルコールによって、脱水し、パラフィン又は他の切片溶液に浸透させて包埋し、組織試料を切断できるようにする。別法として、組織を切断して、得られた切片を固定してもよい。例として、従来の方法によって、組織試料を包埋して、パラフィンで処理してもよい(例として、上掲の「Manual of Histological Staining Method of the Armed Forces Institute of Pathology」を参照)。使用されうるパラフィンの例として、パラプラスト(Paraplast)、ブロロイド(Broloid)及びティッシュメイ(Tissuemay)があるが、これらに限定するものではない。組織試料を包埋すると、試料をミクロトーム等によって、切断してもよい(例として、上掲の「Manual of Histological Staining Method of the Armed Forces Institute of Pathology」を参照)。この手順の例として、切片はおよそ3ミクロンからおよそ5ミクロンの範囲の厚さでよい。切断すると、いくつかの標準的な方法によって、切片をスライドに付着させることができる。スライド接着剤の例として、シラン、ゼラチン、ポリ‐L‐リジンなどがあるが、これに限定されるものではない。例として、パラフィン包埋切片は、正に荷電したスライド及び/又はポリ‐L‐リジンでコートしたスライドに付着させることができる。
【0094】
包埋材料としてパラフィンを用いた場合、組織切片は通常、脱パラフィン化して、水に再水和させる。組織切片は、いくつかの従来の標準的な方法によって、脱パラフィン化してもよい。例えば、キシレン及び段階的に減少するアルコールを用いてもよい(例として、上掲の「Manual of Histological Staining Method of the Armed Forces Institute of Pathology」を参照)。別法として、Hemo-De7(CMS, Houston, Texas)などの市販の脱パラフィン化非有機薬剤が用いられてもよい。
【0095】
いくつかの実施態様では、試料の調製の後に、組織切片をIHCを用いて分析してもよい。IHCは、形態学的染色及び/又は蛍光発光インサイツハイブリダイゼーションなどの付加的な技術と組み合わせて実施することができる。IHCの直接アッセイ及び間接アッセイの2つの一般的な方法が利用できる。第一のアッセイでは、標的抗原(例えばUAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79Bの何れかによってコードされたタンパク質又はその断片)に対する抗体の結合は、直接的に測定される。この直接アッセイは、更なる抗体相互作用を必要とせずに可視化されうる蛍光タグ又は酵素標識一次抗体などの標識された試薬を用いる。代表的な間接アッセイでは、コンジュゲートしていない一次抗体が抗原と結合し、ついで標識された二次抗体が一次抗体と結合する。二次抗体が酵素標識にコンジュゲートする場合、抗原を視覚化させるために色素生産性基質ないしは蛍光発生基質が加えられる。幾つかの二次抗体は一次抗体上の異なるエピトープと応答しうるので、シグナルの増幅が起こる。
【0096】
典型的には、免疫組織化学に使用される一次及び/又は二次抗体は、検出可能な部分で標識される。一般には以下の種類に分類できる数多くの標識が利用可能である:
(a)放射性同位体、例えば35S、14C、125I、H及び131I。抗体は例えばImmunology, 1及び2巻, Coligen 等, 編集 Wiley-Interscience, New York, New York, Pubs. (1991)のCurrent Protocolsに記載される技術を用いて放射性同位体で標識することができ、放射能はシンチレーション計測器を用いて測定することができる。
(b)コロイド金粒子。
(c)希有土類キレート(ユウロピウムキレート)、テキサスレッド、ローダミン、フルオレセイン、ダンシル、リサミン、ウンベリフェロン、フィコクリセリン(phycocrytherin)、フィコシアニン又はSPECTRUM ORANGE7及びSPECTRUM GREEN7などの市販の蛍光体及び/又は上記の何れか一ないしは複数の誘導体を含むが、これらに限定されるものではない蛍光標識。蛍光標識は、例えば、上記のImmunologyのCurrent Protocolsに開示される技術を用いて抗体にコンジュゲートすることができる。蛍光は、蛍光計を用いて定量化することができる。
(d)様々な酵素基質標識が利用可能であり、米国特許第4275149号にはこの概説がある。一般に、酵素は、様々な技術を用いて測定することができる色素生産性基質の化学変化を触媒する。例えば、酵素は、分光測光法で測定することができる基質の変色を触媒しうる。あるいは、酵素は、基質の蛍光又は化学発光を変えうる。蛍光の変化を定量化する技術は上記の通りである。化学発光基質は、化学反応によって電子的に励起され、測定することができる(例えば化学発光計測器を用いて)か、又はエネルギーを蛍光アクセプターに与える光を発しうる。酵素標識の例には、ルシフェラーゼ(例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ;米国特許第4737456号)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタルアジネジオン(dihydrophthalazinediones)、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRPO)などのペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リソチーム、サッカライドオキシダーゼ(例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ)、複素環のオキシダーゼ(例えばウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ)、ラクトペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼなどが含まれる。抗体に酵素をコンジュゲートする技術は、O'Sullivan等, Methods for the Preparation of Enzyme-Antibody Conjugates for use in Enzyme Immunoassay, in Methods in Enzym. (J. Langone & H. Van Vunakis編), Academic press, New York, 73:147-166 (1981)に記載されている。
【0097】
酵素基質の組合せの例には、例えば以下のものが含まれる:
(i)基質として水素ペルオキシダーゼを有する西洋わさびペルオキシダーゼ(HRPO)、ここで水素ペルオキシダーゼが染料前駆体(例えば、オルトフェニレンジアミン(OPD)又は3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン塩酸塩(TMB))を酸化する;
(ii)色素生産性基質としてパラ-ニトロフェニルホスフェートを有するアルカリホスファターゼ(AP);及び
(iii)色素生産性基質(例えばp-ニトロフェニル-β-D-ガラクトシダーゼ)又は蛍光発生基質4-メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトシダーゼ)を有するβ-D-ガラクトシダーゼ(β-D-Gal)。
【0098】
多数の他の酵素-基質の組合せは当業者に利用可能である。これらの一般的な概要については、米国特許第4275149号及び同第4318980号を参照。しばしば、標識は、抗体と間接的にコンジュゲートされる。これを達成するための様々な技術は当業者に知られている。例えば、抗体は、ビオチンとコンジュゲートさせることができ、前述した4つの広い分類のうちの何れかをアビジンとコンジュゲートさせることができ、その逆もまた可能である。ビオチンは選択的にアビジンと結合し、したがって、該標識はこの間接的な方法で抗体にコンジュゲートさせることができる。あるいは、抗体と標識を間接的にコンジュゲートさせるために、抗体は小ハプテンとコンジュゲートさせ、前述した標識の異なるタイプのうちの1つを抗ハプテン抗体とコンジュゲートさせる。したがって、抗体と標識は間接的にコンジュゲートすることができる。
【0099】
上で検討した試料調製手順以外に、IHCの前、IHCの間又はIHCの後に組織切片の更なる処置が所望される場合がある。例えば、クエン酸塩バッファー中で組織試料を加熱するなどのエピトープ回収法が実施されうる(例として、Leong 等 Appl. Immunohistochem. 4(3): 201 (1996)を参照)。
【0100】
場合によって行うブロック工程の後に、一次抗体が組織試料中の標的タンパク質抗原と結合するような好適な条件下で十分な時間、組織切片を一次抗体に曝露させる。これを達成するための好適な条件は常套的な実験によって決定できる。試料に対する抗体の結合の度合いは、上で検討した検出可能な標識の何れか一つを用いて決定される。好ましくは、標識は、3,3'-ジアミノベンジジン色素原などの色素生産性基質の化学変化を触媒する酵素標識(例えばHRPO)である。好ましくは、酵素標識は、一次抗体に特異的に結合する抗体にコンジュゲートさせる(例えば、一次抗体はウサギポリクローナル抗体であり、二次抗体はヤギ抗ウサギ抗体である)。
【0101】
いくつかの実施態様では、一又は複数のバイオマーカーの発現を検出するためにIHC分析で用いられる抗体は、UAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79Bよってコードされる一又は複数のタンパク質等の、一又は複数の興味あるバイオマーカーに主に結合するように産生された抗体である。いくつかの実施態様では、抗体はモノクローナル抗体である。抗体は様々な販売元からなど、当分野で容易に入手可能であり、また当分野で公知の慣例的な技術を用いて作製されうる。
【0102】
このようにして調製された標本は、スライドに載せられ、カバーガラスがかけられうる。ついで、スライド評価は、例えば顕微鏡を使用して決定され、また当分野で日常用いられる染色強度基準が用いられ得る。一例として、染色強度基準は以下のように評価され得る:

【0103】
代替的な方法では、試料を、抗体-バイオマーカー複合体が形成するために十分な条件下で前記バイオマーカーに特異的な抗体と接触させ、ついで該複合体を検出することができる。バイオマーカーの存在は多くの方法において検出され得、例えば血漿又は血清を含む多種多様な組織及び試料を検定するためのウェスタンブロッティング及びELISA手法等である。このようなアッセイ様式を用いた広範囲にわたるイムノアッセイ技術が利用可能であり、例えば米国特許第4016043号、同第4424279号及び同第4018653号を参照。これらには、非競合型の一部位及び二部位もしくは「サンドイッチ」アッセイの両方、並びに伝統的な競合結合アッセイが含まれる。また、これらのアッセイには、標的バイオマーカーに対する標識抗体の直接結合が含まれる。
【0104】
サンドイッチアッセイは最も有用であり一般的に用いられるアッセイである。サンドイッチアッセイ技術には多くのバリエーションがあり、その全てが本発明により包含されることを意図する。簡潔には、典型的なフォワードアッセイでは、非標識抗体を固体基板上に固定して、試験する試料を結合した分子に接触させる。適切な期間のインキュベーション後、抗体抗原複合体の形成を可能にするのに十分な時間、検出可能なシグナルを生成できるレポーター分子で標識した、抗原に特異的な第二抗体をついで添加して、更なる抗体-抗原標識抗体の複合体が形成されるために十分な時間インキュベートする。反応しなかった材料を洗い流し、レポーター分子により生成されるシグナルを観察することによって抗原の存在を決定する。結果は、可視的シグナルの単純観察による定性的であり得、又は既知量のバイオマーカーを含むコントロール試料と比較することによる定量的でもよい。
【0105】
フォワードアッセイへのバリエーションには、試料及び標識抗体の両方を結合した抗体に同時に添加する同時アッセイがある。これらの技術は当業者によく知られており、多少のバリエーションが加えられることは容易に明らかであろう。典型的なフォワードサンドイッチアッセイでは、バイオマーカーに対して特異性を有する第一抗体が固体表面に共有結合されるか受動的に結合される。固体表面は典型的にはガラス又はポリマーであり、最も一般的に用いられるポリマーはセルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル又はポリプロピレンである。固体支持体は、チューブ、ビーズ、マイクロプレートのディスク、又はイムノアッセイを行うために適切な他の任意の表面の形態でもありうる。結合方法は当該分野で周知であり、一般に、架橋性共有結合又は物理的な吸着からなり、ポリマー-抗体複合体は試験試料の調製において洗浄される。ついで、試験される試料のアリコートを固相複合体に添加し、抗体中に存在する任意のサブユニットが結合するために十分な時間(例えば、2〜40分又はより便利であるならば一晩)と適切な条件(例えば室温から40℃、例えば25℃から32℃の間)下でインキュベートする。インキュベーション期間の後、抗体サブユニット固相を洗浄して、乾燥させ、バイオマーカーの一部に特異的な二次抗体と共にインキュベートする。二次抗体は、分子マーカーへの二次抗体の結合を示すために用いられるレポーター分子に結合させる。
【0106】
いくつかの実施態様では、該方法は、試料中の標的バイオマーカーを固定し、その後レポーター分子で標識されていても又は標識されていなくともよい特異的抗体に固定された標的を曝すことを伴う。標的の量及びレポーター分子シグナルの強度に応じて、結合した標的は、抗体で直接標識することによって、検出可能でありうる。あるいは、一次抗体に特異的な二次標識抗体を標的-一次抗体複合体に曝して、標的-一次抗体-二次抗体の三位複合体を形成させる。複合体は、レポーター分子により発されるシグナルにより検出される。本明細書中で用いられる「レポーター分子」とは、その化学的性質によって、抗原と結合した抗体の検出を可能にする分析して同定可能なシグナルを提供する分子を意味する。この種のアッセイにおいて、最も一般的に用いられるレポーター分子は、酵素、蛍光体又は放射性核種含有分子(すなわち放射性同位体)及び化学発光分子である。
【0107】
酵素イムノアッセイの場合、一般にグルタルアルデヒド又は過ヨウ素酸塩によって、酵素を二次抗体にコンジュゲートさせる。しかしながら、容易に認識されるように、当業者に直ぐに利用可能である多種多様な異なるコンジュゲート技術が存在する。一般的に用いられる酵素には、西洋わさびペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ−中でもガラクトシダーゼ及びアルカリホスファターゼなどがある。特定の酵素と共に用いられる基質は、一般的に、対応する酵素による加水分解の際に生じる検出可能な色の変化で選択する。適切な酵素の例として、アルカリホスファターゼやペルオキシダーゼなどがある。また、上記の色素生産性基質よりも蛍光性産物を産生する蛍光性基質を用いることもできる。全ての例において、酵素標識抗体を一次抗体-分子マーカー複合体に加えて、結合させ、ついで過剰な試薬を洗い流す。ついで、適当な基質を含む溶液を抗体-抗原-抗体の複合体に加える。基質が二次抗体と結合した酵素と反応して定性的な可視化シグナルを生じ、これは、通常は分光測定法により更に定量され、試料中に存在していたバイオマーカーの量の指標を生じる。あるいは、フルオレセイン及びローダミンなどの蛍光性化合物を、抗体の結合能を変化させることなく抗体に化学的に結合させてもよい。特定の波長の光を照射することにより活性化されると、蛍光色素標識抗体はその光エネルギーを吸収し、それによリその分子において励起状態が誘発され、続いて光学顕微鏡を用いて目視で検出可能な特徴的な色で光が放射される。EIAにおけるように、蛍光標識抗体は、一次抗体-分子マーカー複合体に結合できる。結合していない試薬を洗い落とした後に、残りの三次複合体を適当な波長の光に曝すと、観察された蛍光が対象の分子マーカーの存在を示す。免疫蛍光法及びEIA技術は何れも、当分野で非常に確立されたものである。しかしながら、放射性同位体、化学発光性分子又は生物発光性分子などの他のレポーター分子も用いられてもよい。
【0108】
いくつかの実施態様では、組織又は細胞試料の選択されたバイオマーカーの発現は、機能的又は活性に基づくアッセイにより調べることができる。例えば、バイオーマーカーが酵素ならば、組織又は細胞試料の所与の酵素活性の存在を測定又は検出するために当該分野で知られているアッセイを実施することができる。
【0109】
一又は複数のバイオマーカーの発現レベルを評価する上記方法の何れかにおいて、標的分子を含む試料を、当該分野でよく知られ、対象の疾患の特定の種類及び位置について適切である方法によって得られることができる。組織生検は、疾患組織の標本片を得るために多くの場合用いられる。あるいは、細胞は、興味の疾患細胞を含むことが知られているか又は考えられている組織/液体の形態で間接的に得ることができる。例えば、疾患病変の試料は、切除術、気管支鏡検査法、細針吸引、気管支のブラッシングによって、又は、痰、肋膜体液又は血液から入手してもよい。遺伝子又は遺伝子産物は、疾患組織から又は他の体試料、例えば尿、痰又は血清から検出できる。疾患試料中の標的遺伝子又は遺伝子産物の検出のための上で検討したものと同じ技術を他の体試料に応用できる。このような体試料のスクリーニングによって、これらの疾患について簡単な早期の診断を達成することができる。加えて、治療の経過は、標的遺伝子又は遺伝子産物についてこのような体試料を試験することによって、より容易に監視することができる。
【0110】
疾患細胞の組織調製物を濃縮する方法は当該分野で知られている。例えば、組織は、パラフィン切片又はクリオスタット切片から単離してもよい。また、興味ある細胞を、フローサイトメトリー又はレーザー捕獲顕微解剖によって正常細胞から切り離してもよい。正常細胞から疾患を分離するためのこれら並びに他の技術は当該分野で知られている。疾患組織が正常細胞で高くコンタミネートしている場合、特性遺伝子発現プロファイルの検出はより難しいが、コンタミネーション及び/又は偽陽性/陰性の結果を最小化する技術は既知であり、そのいくつかを以下に記述する。例えば、試料は、対象とする疾患細胞と結合するが対応する正常細胞とは結合しないか、又はその逆も可であることが分かっているバイオマーカー(突然変異を含む)の存在についてまた評価してもよい。
【0111】
組織又は細胞試料が、組織又は細胞試料が抗CD40抗体による治療に感受性があることを示しているバイオマーカの一又は複数を発現するという判定の後で、抗CD40抗体の有効量を、哺乳類を苦しめているB細胞リンパ腫のような疾患を治療するために、ヒトのような哺乳類に投与できることが考えられる。本願明細書に記載の様々な病的状態の哺乳類、例えばヒトの診断は、熟練した臨床医によってなされうる。
【0112】
(発現レベルを比較し、抗CD40抗体治療に対するB細胞リンパ腫の応答性を予測し、評価し又は評価の補助をすること)
本願明細書に記載の方法は、マーカー遺伝子の測定された発現レベルと対照標準レベルとを比較する工程を含む。対照標準レベルは、マーカー遺伝子と異なる対照標準遺伝子の測定された発現レベル又は異なる試料の同じマーカー遺伝子の測定された発現レベルであってもよい。
【0113】
いくつかの実施態様では、患者由来のB細胞リンパ腫試料のマーカー遺伝子の測定された発現レベルが、試料の対照標準遺伝子の測定された発現レベルと比較される。いくつかの実施態様では、対照標準遺伝子の発現レベルは、抗CD40抗体感受性及び耐性細胞を含む様々な種類のBリンパ腫細胞の中で実質的に変化しない。いくつかの実施態様では、対照標準の測定された発現レベルに対するマーカー遺伝子の測定された発現レベルの比率が算出され、比率が抗CD抗体治療に対するB細胞リンパ腫の応答を評価するためか又は評価の補助のために使用できる。
【0114】
いくつかの実施態様では、被験者由来のB細胞リンパ腫試料のマーカー遺伝子の測定された発現レベルは、対照標準試料のマーカー遺伝子の測定された発現レベルと比較される。いくつかの実施態様では、対照標準試料は、抗CD40抗体に耐性があるか又は応答しないBリンパ腫細胞を含む。例えば、比較は、被験者由来の試料及び対照標準試料におけるマーカー遺伝子の測定された発現レベル間の相違の大きさを決定するために行われる(例えば、被験者由来の試料と対照標準試料のマーカー遺伝子の発現レベル間の倍又はパーセンテージ差を比較する)。幾つかの実施態様では、抗CD40抗体に対して耐性があるか又は応答しないBリンパ腫細胞を含んでなる対照標準試料におけるマーカー遺伝子の発現と比較して、被験者由来の試料におけるマーカー遺伝子の増加又は減少した発現は、抗CD40抗体による治療に対してB細胞リンパ腫の応答性を示唆するか又は示す。いくつかの実施形態では、被験者の由来の試料の発現レベルの増加の倍数は、対照標準試料の発現レベルの少なくとも約1.5×、1.75×、2×、3×、4×、5×、6×、7×、8×、9×又は10×の何れかである。いくつかの実施態様では、被験者の由来の試料の発現レベルの減少の倍数は、対照標準試料の発現レベルの少なくとも約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8何れか未満である。
【0115】
いくつかの実施態様では、IFITM1、CD40、RGS13、VNN2、LMO2、CD79B、CD22、BTG2、IGF1R、CD44、CTSC、EPDR1、UAP1及びPUS7からなる群から選択される一又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルは、対照標準レベルと比較される。
【0116】
いくつかの実施態様では、対照標準レベルと比較した一又は複数のIFITM1、CD79B、IGF1R、CD44、CTSC、EPDR1及びPUS7の増大した発現レベルは、前記被験者が抗CD40アゴニスト抗体治療に応答しそうにないことを示唆する。いくつかの実施態様では、対照標準レベルは、抗CD40アゴニスト抗体治療後に増大した腫瘍量を有する被験者由来のBリンパ腫細胞を含む試料における、対応するマーカー遺伝子の発現レベルによって決定される値又は範囲である。
【0117】
いくつかの実施態様では、対照標準レベルと比較した一又は複数のCD40、RGS13、VNN2、LMO2、CD22、BTG2及びUAP1の増大した発現は、前記被験者がアゴニスト抗CD40抗体治療に応答しそうなことを示す。いくつかの実施態様では、対照標準レベルは、抗CD40アゴニスト抗体治療後に減少した腫瘍量を有する被験者由来のBリンパ腫細胞を含む試料における、対応するマーカー遺伝子の発現レベルによって決定される値又は範囲である。
【0118】
いくつかの実施態様では、発現レベルBCL6が測定されて、対照標準レベルと比較される。BCL6の発現レベルが、抗CD40抗体治療に対する被験者の応答性を予測するか、評価するか、評価することを補助するために使用される。実施例1に示すように、BCL6発現は抗CD40アゴニスト抗体治療後に増加した腫瘍を有する被験者で低い傾向がある。いくつかの実施態様では、抗CD40アゴニスト抗体治療後に減少した腫瘍容量を有する被験者由来の試料におけるBCL6の発現レベルによって測定された対照標準レベルと比較したBCL6の増加した発現は、抗CD40アゴニスト抗体治療に反応しそうであることを示唆する。
【0119】
いくつかの実施態様では、IFITM1、CD40、RGS13、VNN2、LMO2、CD79B、CD22、BTG2、IGF1R、CD44、CTSC、EPDR1、UAP1、PUS7、及びBCL6の一又は複数の発現レベルが測定され、感受性インデックスがマーカー遺伝子の測定された発現レベルに基づいて算出される。例えば、以下の方程式が、感受性インデックス(SI):

を決定するために用いられることができ、ここで、表4に示す正の相関値を有する少なくとも1つのマーカー遺伝子及び負の相関値を有する少なくとも1つのマーカー遺伝子の発現レベルが測定され;式中、(i)βは測定される各マーカー遺伝子のための係数値であり;(ii)pは、測定されるマーカー遺伝子の数であり;(iii)xは、測定された各マーカーの発現レベルに対する、被験者由来の試料の変換し正規化された発現レベルであり;及び(iv)μ及びσは、測定される各マーカー遺伝子のための平均と標準偏差であり;ここで、β及びμ及びσは臨床試験からの、Bリンパ腫細胞を含んでなる患者試料から決定される。いくつかの実施態様では、感受性インデックスが0と同等か0を超える値は被験者が抗CD40抗体治療に応答しそうであることを示し、感受性インデックスが0より小さい値は患者が抗CD40抗体治療に応答しそうにないことを示す。実施例1には、どのように分析し対照標準試料と新規試料のパラメータを決定するかについて詳細に記載した。いくつかの実施態様では、IFITM1、RGS13、CD79B、CD22、BTG2、CD44、EPDR1、及びUAP1が測定されて、感受性インデックス算出のために使われる。いくつかの実施態様では、等しい数の正に相関するマーカー遺伝子と負に相関するマーカー遺伝子が測定されて、感受性インデックス算出のために使われる。
【0120】
感受性インデックスを決定する方法は当該分野で知られている。Zhou H.及びHastie T. (2005) Regularization and variable selection via the elastic net;J. R. Statist. Soc. B. 67(2). pp. 301-320;Friedman J., Hastie T.及びTibshirani R. 2008. Regularization Paths for Generalized Linear Models via Coordinate Descent. Technical Report, Department of Statistics, Stanford University (World Wide Web-stat.stanford.edu/~hastie/Papers/glmnet.pdf) R package glmnet; R Development Core Team (2008). R: A language and environment for statistical computing. R Foundation for Statistical Computing, Vienna, Austria. ISBN 3-900051-07-0, URL World Wide Web at R-project.orgを参照されたい。
【0121】
抗CD40抗体治療に対して応答性であるとして患者の試料を分類するための、重み付けK近傍(WKNN)を使用した別法が実施例2に記載される。qRT-PCRが、15の遺伝子UAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79Bの発現を測定するために使用される。少なくとも10%の腫瘍サイズの減少が、抗CD40抗体治療に対して応答性であるとして定義される。15の遺伝子に対する重みは、罰則付き回帰分析(GLMNET)を使用して決定される。
【0122】
幾つかの実施態様では、本発明の方法は、被験者からの試料及びクラスが既知である対照標準試料における、UAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79Bの一又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルに基づいてK近傍法を使用して被験者を応答性又は非応答性被験者として分類することを含む。幾つかの実施態様では、K近傍法を使用する患者の分類は、(1)パラメータKを決定し(つまり、近傍の数);(2)分類される新規試料におけるマーカー遺伝子の測定された発現レベルと各対照標準試料におけるそれぞれのマーカー遺伝子の発現レベルとの差異を算出し;(3)新規試料と対照標準試料との間に最小の絶対値差の重み付き平均(weighted average of the absolute differences, WAAD)を有するそれらの試料を選択することによって近傍対照標準試料を決定し;及び(4)K個の近傍対照標準試料の既知のクラスに基づいて新規試料のクラスを決定する。重み及び/又はパラメータKはクラスが既知である臨床試験試料を用い交差検定を使用して決定される。例えば、5分割(例えば、5分割、6分割、7分割、8分割、9分割、又は10分割等)からN分割までの交差検定が、重み付けK近傍分類エラーを最小限にするために使用され得、Nはサンプルのサイズである。幾つかの実施態様では、Kは4と13の間の整数である(例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13)。幾つかの実施態様では、近傍対照標準試料(近傍)は、15のマーカー遺伝子UAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79Bの各々に対して、分類される新規試料の発現レベルと各対照標準試料の発現レベルとの間に最小の絶対値差の重み付き平均(WADD)を有するものである。幾つかの実施態様では、WAADの重みは、15マーカー遺伝子の発現レベルについての、対照標準試料腫瘍収縮のエラスティックネット罰則付き回帰からの係数の絶対値である。幾つかの実施態様では、罰則の大きさは、WKNN分類エラーを最小限にするために10分割交差検定によって選ばれる。15の遺伝子に対する重みは、罰則付き回帰分析(GLMNET)を使用して決定され得る。幾つかの実施態様では、qRT-PCRが、15の遺伝子UAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79Bの発現レベルを測定するために使用される。幾つかの実施態様では、K個の近傍対照標準試料は、それらの既知のクラスラベルに投票する形で、それらのWADDの逆数に貢献し(つまり、1をWAADで割る)、最も大きいトータルのWAADの逆数の貢献を有するクラスラベルが新規試料に割り当てられる。幾つかの実施態様では、患者が、抗CD40抗体治療後に少なくとも10%の腫瘍サイズの減少となれば、患者は、抗CD40抗体治療に対して応答性であると考えられる。腫瘍サイズの減少は、生産物の直径(SPD)によって決定されてもよい。実施例2は、対照標準試料としてDLBCL患者39人の試料を用いて、重み付きK近傍法を使用の詳細な説明を提供する。
【0123】
予測、評価、又は評価をするための補助比較及び/又は計算は、取り扱っている遺伝子マーカーに対する測定値及び/又は対照標準値のタイプに適切である何れの便利な様式で実施されることができる。比較又は計算の過程は、手動でもよく又は自動でもよい(例えば、コンピューター利用の機械によって等)。幾つかの実施態様では、測定された発現レベルは正規化された値である。例えば、発現レベルは、実施例1に記載される変換され、正規化されたアッセイ値に従う式に基づいて正規化され得る。当該技術者には明瞭であろうが、反復測定が、マーカー遺伝子及び/又は対照標準試料の発現レベルのために採用されてもよい。幾つかの実施態様では、反復測定は測定値に考慮される。反復測定は、測定値の平均又は中央値のどちらかを使用することによって、「測定値」として考慮されてもよい。当該分野で知られている統計学的分析が、比較される2つの値の間の差異の有意性を検証するために使用されうる。
【0124】
(抗CD40抗体治療)
本発明で同定されるマーカー遺伝子が、一又は複数の抗CD40抗体による治療に対するB細胞リンパ腫の応答性を予測するか、評価するか又は、評価の補助するために使用されうる。抗CD40抗体は、一又は複数のアゴニスト抗体(すなわち、CD40に結合して刺激する)であってもよい。例えば、刺激性抗体は、以下のような異なる種類のものでもよい:(1)CD40による刺激性のシグナルを送るが、CD40とCD40Lとの間の相互作用を増大させないもの(例えば、米国特許第5182368号に記載されているG28−5抗体及びG28−5に由来する抗体;及びPCT WO96/18413)又は、CD40とCD40Lとの間の相互作用を減少させるもの(例えば、米国特許第5674492号に記載されている抗体HuCD40−M2とHuCD40−M3とヒト化抗体);及び(2)CD40による刺激性シグナルを送り、CD40とCD40Lの間の相互作用を増加させることができるもの、例えばS2C6(Francisco等, 2000, Cancer Res. 60: 3225-31)及びS2C6由来の抗体。また、アゴニスト抗体は米国特許第7288251号に記載されている。抗CD40抗体は、一又は複数のアンタゴニスト抗体(すなわち、CD40に結合しCD40Lによって誘発される活性を阻害する)であってもよい。アンタゴニスト抗CD40抗体の例は、米国特許出願公開第2007/0110754号に記載されているヒト抗体CHIR−12.12及びWO97/31025に記載されている抗CD40抗体を含む。幾つかの実施態様では、抗CD40抗体は、配列番号:1の重鎖アミノ酸配列及び配列番号:2の軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0125】
本発明の方法は、本明細書に記載のアッセイ/方法に基づく治療の候補として患者が同定されたあと、B細胞リンパ腫を有する患者に対する抗CD40抗体の有効量を投与することを更に含みうる。一又は複数の抗CD40抗体が投与されてもよい。いくつかの実施態様では、抗CD40抗体は、一又は複数の他の治療薬との併用で投与される。例えば、以下の治療薬の一又は複数と共に投与される:リツキシマブ、ジェムザール及びICE。例えば、抗CD40抗体は、リツキシマブ療法と、リツキシマブ+ジェムザールと;リツキシマブ+ICE(イホスファミド、カルボプラチン、エトポシド)(R-ICE)と;又はリツキシマブ+化学療法と併用して患者に投与されうる。
【0126】
本明細書において使用する場合、「併用」投与は、同時投与及び/又は異なる時間における投与を含む。併用投与は同一の製剤としての投与(すなわち、異なる薬が同じ組成物に存在する)又は別々の組成物としての投与、異なる投薬頻度又は間隔における投与、及び同じ経路又は異なる経路を用いた投与を含む。
【0127】
抗CD40抗体又は機能的断片は、以下の薬:リツキシマブ(ジェネンテック社);オクレリズマブ(ジェネンテック社);イブリツモマブ・チウキセタン(ゼバリンTM、Biogen Idec);トシツモマブ(ベキサールTM、GlaxoSmithKline);HuMAX-CD20TM(GenMab);IMMU-106(ヒト化抗CD20、別名hA20又は90Y-hLL2、Immunomedics);AME-133(Applied Molecular Evolution/Eli Lilly);ゲムツズマブ・オゾガマイシン(MylotargTM、ヒト化抗CD33抗体、ワイエス/PDL);アレムツズマブ(カンパスTM、抗CD52抗体、Schering Plough/Genzyme);エプラツズマブ(IMMU-103TM、ヒト化抗CD22抗体(Immunomedics))の何れか一つによる治療に対し非応答であるか又は不十分な応答を有し、あるいはこれらの薬による治療の後で再発したNHLを有する患者の治療に使用することができる。
【0128】
以下の文献は、リンパ腫とCLL、それらの診断、治療及び治療有効性を測定するための標準医学的手順を記載する。Canellos GP, Lister, TA, Sklar JL: The Lymphomas. W.B.Saunders Company, Philadelphia, 1998;van Besien K及びCabanillas, F: Clinical Manifestations, Staging and Treatment of Non-Hodgkin's Lymphoma, Chap. 70, pp 1293-1338, in: Hematology , Basic Principles and Practice, 3版. Hoffman等 (編者). Churchill Livingstone, Philadelphia, 2000;及びRai, K及びPatel, D:Chronic Lymphocytic Leukemia, Chap. 72, pp 1350-1362, in: Hematology , Basic Principles and Practice, 3版 Hoffman等 (編者). Churchill Livingstone, Philadelphia, 2000。
【0129】
治療に用いられる抗CD40抗体は、キメラ、ヒト化及びヒト抗体を含む。本願明細書に記載されているか又は当該分野で知られている任意のアゴニスト又はアンタゴニスト抗体が、治療において用いられることができる。例えば、国際公開第2006/128103号に記載されているヒト化抗CD40抗体が抗CD40抗体治療のために使用することができ、これらの抗体とそれらのアミノ酸配列は本願明細書に出典明示により援用される。いくつかの実施形態では、本願明細書に記載の治療で使用される抗CD40抗体はBリンパ腫細胞上で発現するCD40(例えばヒトCD40)に結合し、Bリンパ腫細胞のアポトーシスを誘発する。また、抗CD40抗体は免疫エフェクター機能(例えばADCC、CDC及び/又はADCP)を経て生体内でBリンパ腫細胞を殺す特性を有しうる。いくつかの実施態様では、抗CD40抗体は、約1×10−8より高くないか又は1×10−9より少しも高くないのKd値を有するCD40に結合する。いくつかの実施態様では、抗CD40抗体は、CD40と結合して、CD40(すなわちアゴニスト抗体)を刺激する。いくつかの実施態様では、抗CD40抗体は、CD40に対するCD40リガンドの結合性を、例えば少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、又は少なくとも75%増加させる。CD40に対するCD40リガンドの結合性の増加を測定する方法が米国特許第6838261号(その開示は本願明細書に出典明示により援用される)において開示される。いくつかの実施態様では、抗CD40は、国際公開第00/75348号(国際公開第00/75348号の表3と4に示されている抗体を含む)に記載されているマウスのモノクローナル抗体S2C6に由来するヒト化抗体である。いくつかの実施態様では、抗CD40抗体は、配列番号1に示されている重鎖アミノ酸配列及び配列番号2において示されている軽鎖アミノ酸配列を含む(例えば抗CD40Ab.1)。
【0130】
D.キット
上に記載され又は示唆された適用における使用のために、キット又は製造品が本発明により提供される。このようなキットは、本願明細書に記載のマーカー遺伝子の発現レベルを検出するために特異的な少なくとも一の試薬を含んでもよく、更に本願明細書に記載の方法を実施するための指示書を更に含んでもよい。
【0131】
いくつかの実施形態では、本発明は、本発明のポリヌクレオチド又はその任意の特異的な部分を特異的に増幅できるプライマー及びプライマー対、本発明の核酸分子又はその任意の部分に選択的に又は特異的にハイブリダイズできるプローブを含む組成物及びキットを提供する。プローブは、例えば放射性同位体、蛍光化合物、生物発光化合物、化学発光化合物、金属キレート剤又は酵素のような検出可能なマーカーで標識されてもよい。当該プローブ及びプローブは、試料における、例えばUAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79B遺伝子に対応するポリヌクレオチド等のポリヌクレオチドの存在を検出するために、及びUAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79B遺伝子に対応するポリヌクレオチドによりコードされたタンパク質を発現する細胞を検出するための手段として使用することができる。当業者に理解されるように、非常に多くの異なったプライマー及びプローブが本願明細書において提供する配列に基づいて調製され得、mRNAの存在及び/又はレベルを増幅し、クローニングし及び/又は測定するために効果的に使用されうる。
【0132】
いくつかの実施態様では、キットは、UAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79からなる群から選択された、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20のマーカー遺伝子の発現レベルを検出するための試薬を含む。キットはまた対照標準値を作成する時に有用な対照標準試料を含む。マーカー遺伝子は、UAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79を含むが、これらに限定されるものではない。マーカー遺伝子のmRNA発現レベルの検出のための試薬は、1つのマーカー遺伝子のmRNA産物を増幅するために特異的な少なくとも1ペアのプライマーを含んでもよい。いくつかの実施形態では、プライマーのペアはmRNA配列の3’末端を標的としてもよい(例えば、通常は全ての転写変異体に共通である3’UTRでのmRNAを標的とする)。いくつかの実施態様では、キットは増幅された核酸の検出のための捕獲プローブのための表面又は基質(例えば、マイクロアレイ)を更に含む。
【0133】
いくつかの実施態様では、キットはqRT-PCRを使用する1つのマーカー遺伝子の発現レベルを検出するために特異的なプライマーの少なくとも1つのペアー及びプローブを含む。qRT-PCRで使用できるプライマー及びプローブのセットの例を表1に示す。IFITM1を検出するために、配列番号:27、28、及び29、配列番号:60、61、及び62、及び配列番号:93、94、及び95に示すプライマー及びプローブのセットが使用されうる。CD40を検出するために、配列番号:24、25、及び26、配列番号:57、58、及び59、配列番号:90、91、及び92に示すプライマー及びプローブのセットが使用されうる。RGS13を検出するために、配列番号:114、115、及び116、及び配列番号:126、127、及び128に示すプライマー及びプローブのセットが使用されうる。VNN2を検出するために、配列番号:30、31、及び32、配列番号:63、64、及び65、及び配列番号:96、97、及び98に示すプライマー及びプローブのセット。LMO2を検出するために、配列番号:12、13、及び14、配列番号:45、46、及び47、及び配列番号:78、79、及び80に示すプライマー及びプローブのセット。CD79Bを検出するために、配列番号:141、142、及び143、配列番号:150、151、及び152、及び配列番号:159、160、及び161に示すプライマー及びプローブのセット。CD22を検出するために、配列番号:15、16、及び17、配列番号:48、49、及び50、及び配列番号:81、82、及び83に示すプライマー及びプローブのセット。BTG2を検出するために、配列番号:9、10、及び11、配列番号:42、43、及び44、及び配列番号:75、76、及び77に示すプライマー及びプローブのセット。IGF1Rを検出するために、配列番号:6、7、及び8、配列番号:39、40、及び41、及び配列番号:72、73、及び74に示すプライマー及びプローブのセット。CD44を検出するために、配列番号:174、175、及び176、配列番号:180、181、及び182、及び配列番号:186、187、及び188に示すプライマー及びプローブのセット。CTSCを検出するために、配列番号:165、166、及び167、配列番号:168、169、及び170、及び配列番号:171、172、及び173に示すプライマー及びプローブのセット。EPDR1を検出するために、配列番号:21、22、及び23、配列番号:54、55、及び56、配列番号:87、88、及び89、配列番号:129、130、及び131、配列番号:132、133、及び134、配列番号:135、136、及び137に示すプライマー及びプローブのセット。UAP1を検出するために、配列番号:138、139、及び140、配列番号:147、148、及び149、及び配列番号:156、157、及び158に示すプライマー及びプローブのセット。PUS7を検出するために、配列番号:177、178、及び179、配列番号:183、184、及び185、及び配列番号:189、190、及び191に示すプライマー及びプローブのセット。BCL6を検出するために、配列番号:102、103、及び104、及び配列番号:108、109、及び110に示すプライマー及びプローブのセット。
【0134】
マーカー遺伝子のタンパク質発現レベルを検出するための試薬は、マーカー遺伝子によってコードされたタンパク質に特異的に結合する抗体を含みうる。
【0135】
キットは、バイアル、チューブ等のような一又は複数の容器手段をしっかりと収納できるように区分化されたキャリヤ手段を更に含み得、各容器手段は本方法で使用される別々の要素の一つを含む。例えば、容器の一つは検出可能に標識されるか又は検出可能に標識されうるプローブを含みうる。このようなプローブはマーカー遺伝子に特異的な抗体又はポリヌクレオチドでありうる。キットが標的核酸を検出するために核酸ハイブリダイゼーションを使用する場合、キットは、標的核酸配列の増幅のためのヌクレオチドを含む容器、及び/又は酵素、蛍光、又は放射性同位体標識のようなレポーター分子に結合した例えばアビジン又はストレプトアビジンのようなビオチン結合タンパク質等のレポーター手段を含む容器を有しうる。
【0136】
本発明のキットは、上述の容器と、バッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジ及び使用のための指示書を有するパッケージ挿入物を含む商業的及び使用者の立場から望ましい材料を含む一又は複数の他の容器を典型的に含む。ラベルは、組成物が特定の治療法又は非治療用途のために使用されることを示すために容器の上にあってもよく、上述のもののようなインビボ又はインビトロの何れに向けたものかを示しうる。
【0137】
キットは、組織又は細胞試料を調製するための、及び試料からの核酸(例えばmRNA)を調製するための指示書と材料のセットを更に含んでもよい。
【0138】
本発明は、本発明の方法の実施に使用するために適した様々な組成物であって、キットで使用されうるものを提供する。例えば、本発明は当該方法において使用することができるアレイのような表面を提供する。いくつかの実施態様では、本発明のアレイは本発明の突然変異を検出するために有用な核酸分子の個々又は収集物を提供する。例えば、標的核酸を含む試料にハイブリダイズする一連の別々に配置された個々の核酸オリゴヌクレオチド又は核酸オリゴヌクレオチドの組合せのセットを含み、このようなハイブリダイゼーションが本発明の突然変異の有無を示す。
【0139】
核酸をガラススライドのような固体基材に取り付けるためのいくつかの技術が当該分野で知られている。ある方法は、合成される核酸分子にアミン基、アミン基の誘導体又は正電荷をもつ別の基のような、固体基材に取り付けることができる部分を含む修飾塩基又はアナログを組み込むことである。ついで、合成された生成物を固体基材、例えばガラススライドに接触させ、これが、増幅産物上にある反応基と共有結合を形成し、ガラススライドに共有的に結合されるアルデヒド又は他の反応性基でコートされる。アミノプロプリルシリカン界面化学を使用するもののような他の方法が、cmt.corning.com及びcmgm.stanford.edu/pbrown1のワールドワイドウェブで開示されるように、当該分野でまた知られている。
【0140】
反応性基に後で転換されうるオリゴヌクレオチドに基を結合させることは、当該分野で知られている方法を使用してまた可能である。オリゴヌクレオチドのヌクレオチドに対する任意の付加はオリゴヌクレオチドの部分になり、これがついでマイクロアレイの固体表面に取り付けられうる。増幅された核酸は、固体基材に対する結合の前又は後に、必要に応じて及び/又は使用される技術が許容する場合、例えば断片への切断又は検出可能な標識の結合によって更に修飾されうる。
【0141】
以下は、本発明の方法及び組成物の例である。上に提供された一般的説明があれば、様々な他の実施態様を実施しうることが理解される。
【実施例】
【0142】
(実施例1 臨床試験において抗CD40Ab.1を用いる治療に対する応答性に関連するマーカーの同定)
(臨床試験001(第II相))
再発性DLBCLを有する患者における全奏功率(overall response rate)及び毒性プロファイルを決定するための抗CD40Ab.1の多施設、第II相、非盲検試験。腫瘍試料は、中央研究室で病理学的確認及びCD40発現のために評価された。適格とされた患者は、診断時にデノボ又は形質転換DLBCLを有し、緩慢性リンパ腫の既往歴がある場合は除外された。必要とされる前治療は、リツキシマブ、及び適格であれば自家幹細胞移植、を伴う併用化学療法からなる。患者は、5週にわたって6回の抗CD40Ab.1の静脈内注入を受け(サイクル1)、患者内(intrapatient)ドーズローディング(1日目に1mg/kg;4日目に2mg/kg;8日目に4mg/kg)及びその後8mg/kg/wk。応答性の患者及びSD(安定)である患者は、疾病が進行するまで又は最大12サイクルまで治療を継続することに適格となった。腫瘍組織は、抗CD40Ab.1を用いる治療を受ける前に患者から採取された。例えば、試料は、定期リンパ腫診断の一環として採取された。
【0143】
抗CD40Ab.1は、CD40に対するヒト化IgG1モノクローナル抗体である。それは、遺伝子操作されたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株において産生され、分泌される。抗CD40Ab.1は、以下のアミノ酸配列を有する:
【0144】
重鎖(配列番号1)。イタリック体の下線ASN294残基は、炭水化物部分の位置を特定する。

【0145】
軽鎖(配列番号2)。

【0146】
(臨床試験002(第I相))
多施設、マルチドース、第I相試験が、再発性NHLを有する患者におけるCD40Ab.1静注の抗安全性、薬物動態特性、免疫原性、及び抗腫瘍活性を試験するために行われた。NHLの複数の組織学的亜型を有する患者が本試験に登録し、びまん性大細胞型B細胞性(DLBCL;14)、濾胞性(FCL;9)、マントル細胞(MCL;9)、周縁帯(MZL;2)及び小リンパ球性(SLL;1)を含んだ。患者はドーズローディングスケジュールに従って治療された:1日目と4日目に1mg/kgの抗CD40Ab.1、続いて4つのコホートに対し週2−5の間に最大用量3、4、6、又は8mg/kgまで患者内の漸増投与。続いて、急速ドーズローディングスケジュールが1つのコホートにおいて試験された(サイクル1の間、投与されるトータル抗CD40Ab.1は40%増加)。応答性の患者又は安定(SD)である患者は、コホート固有の抗CD40Ab.1の最大用量を4回連続して毎週注入される、第2サイクルに適格とされた。8人のDLBCL患者がサイクル1を完了して最大用量が少なくとも3mg/kgの抗CD40Ab.1を受け、客観的奏功率は37.5%(つまり、CR1人及びPR2人)であり、SDは2人であった。更なる客観的奏功が、MCLを有する1人の患者に見られ(CL)、MZLを有する1人の患者に見られた(PR)。これら5人の患者の平均奏功期間はまだ得られていない(8−37週の範囲)。腫瘍組織は、抗Cd40Ab.1を用いる治療を受ける前に患者から採取された。例えば、試料は、定期のリンパ腫診断の一部として採取された。
【0147】
(臨床試料調製及びqRT-PCR)
上述の第I相及び第II相臨床試験からのホルマリン固定されたパラフィン包埋(FFPE)の保管腫瘍組織は、適切なIRB(治験審査委員会)の承認と患者の同意を得て臨床検査所から得られた。腫瘍組織から得られた4−6ミクロン切片がガラススライドに載せられ、各症例につき1つのスライドが標準病理学実験室プロトコルを使用してH&E染色を受けた。委員会認証の病理学者が腫瘍内容についてH&Eスライドに印をつけ、FFPE組織のためのAmbion RecoverAllTM全核酸隔離キットを使用してRNA抽出のために残りの腫瘍含有領域をマクロ切除するためのガイドとして使用した(カタログ番号AM1975; Applied Biosystems/Ambion, Austin, TX)。
【0148】
試料当たり全RNA450ngが、アプライドバイオシステムズ社のHigh Capacity Reverse Transcription cDNA Synthesis kit(カタログ番号4368814; Applied Biosystems,Foster City, CA)を用いて、全反応量20uLにおいて逆転写された。37℃における短縮された60分RT(逆転写)反応を除いて、製造者の推奨に従った。全RNA5ng相当cDNA(100%のcDNA合成効率とする)産物は、容量15uLの各PCRアッセイウェルにおいてアプライドバイオシステムズ社の2Xユニバーサル・マスター・ミックス(UNGなし)と混合された。全増幅は、2ステップ(95℃15秒、60℃1分)PCR増幅手順を使用して384ウェルプレートの三組において行われた。反応は、認可ABI7900リアルタイムPCRシステムにおいて40サイクルまで実施された。使用されたプライマー及びプローブの配列を表1に示す。





【0149】
(データ処理)
qRT-PCRの原結果は、正規化、変換、及びインピュテーションの下、下記説明に従って前処理され、感受性インデックスは感受性インデックス及び分類子に記載のように算出された。スピアマンの順位相関係数が、相関推定及び対応するP値のために使われた。多変量感受性インデックスでは、プローブを選択し、ラッソ(L1)とリッジ(L2)の罰則付き回帰のelastic net blendを使用して係数を推定され、Zhou等, Statist. Soc.B. 67:301-320, 2005に記載され、Friedman, Hastie及びTibshirani, Regularization Paths for Generalized Linear Models via Coordinate Descentによって実施される。(スタンフォード大学統計学部テクニカル・レポート(www-stat.stanford.edu/~hastie/Papers/glmnet.pdf.))。Χテストが、カテゴリー変数中の関連のためのテストに使われた。
【0150】
(正規化、変換、及びインピュテーション)
以下は、アッセイ・データ及びモデル・パラメータのための定義である:
定義
アッセイデータ

モデルパラメータ

試料の対照標準セット(例えばインデックス係数及び分類子カットオフ適合のために用いる)に対して、平均及び標準偏差モデルパラメータが、対照標準セットデータを使用して計算される(下の対照標準セットモデルパラメータの式を参照)。新規試料(例えばインデックスとクラスが計算される一の新規試料)について、モデルパラメータが対照標準セット、l、から取り出されなければならず、それは新規な試料が抽出された集団の最も代表的なものとなるように選択される。例えば、アッセイが使用される治療の各適応症及び指針に対して臨床対照標準セットが維持され得る。対照標準セットモデルパラメータ及び変換され正規化されたアッセイ値のための式を以下に示す。

対照標準セットモデルパラメータ
中間値

モデルパラメータ

変換され、正規化されたアッセイ値
中間値

変換され、正規化され、インピュートされたアッセイ値

完成したNxpマトリックスの値、

が感受性インデックス及び分類子の演算に入力される。
【0151】
(感受性インデックス及び分類子)
以下はアッセイデータとモデルパラメータのための定義である:
定義
アッセイデータ

モデルパラメータ

対照標準モデルパラメーター及び感受性インデックス及び分類子を計算するための式を以下に示す。

対照標準セットモデルパラメータ
プローブ平均及び標準偏差

インデックス及び分類子
感受性インデックス

感受性クラス

【0152】
(臨床試験001の結果)
下記の表2は、臨床試験001からのアッセイした標本及び臨床試料の試料アカウンティングを提供する。24人のDLBCL患者からの29の保管FFPE腫瘍標本が、qRT-PCR処理のために提出された。3人の患者は複数の標本を有し、全24人の患者には少なくとも一つの標本に対し使用可能なqRT-PCR結果があった。これら24の内、21がベースライン(治療前)時及び少なくとも1回のポストベースライン(治療開始後)診察時両方で報告の、腫瘍の長径と短径の積の和(SPD)の測定を有していた。

【0153】
表3は、感受性インデックスに貢献するメイン及びペア遺伝子間のペアワイズ・スピアマンの順位相関係数をまとめたものである。細胞株発達試料に基づき、特定のグループの患者において低い発現である遺伝子は対応ペアにおいて平均して比較的高い発現を持つと期待されるべきであり、自己正規化及び下流制御発現経路に対する上流の比率としての感受性インデックスの解釈(つまり、logベースで2のスケール)を提供する。この最初の臨床試料のペア間の相関の大きさは、統計学的に有意であり全体的に顕著に高く、低い相関の推定は−0.67(P=0.0004)である。これらのテストは、アッセイ標的配列がこの臨床集団由来の腫瘍試料においてインビトロで発現され、アッセイが保管FFPE組織試料において発現を検出することを独立に確認するものである。

【0154】
表4は、ポストベースラインにおける各プローブそれぞれと腫瘍SPDにおける最大の減少(又は最小の増加)との関連をまとめている。順位相関係数はベースライン測定に対するポストベースラインの差異(又は比)に基づいているので、正の相関はプローブの高い発現が平均して腫瘍増加に関係することを意味し;及び負の相関はプローブの高い発現が平均して腫瘍減少に関係することを意味する。顕著なことには、全てのメイン-ペアプローブの対は、SPDと逆方向の関係がある。P値は、この試料における期待する傾向と整合している。全てのP値は、0.5より下である(真の相関がない場合は50%が記載される)。全ての範囲は、DLBCL患者試料(N=21)から置き換えて標本抽出する5000回の繰り返しに基づいてブートストラップ第95パーセンタイル信頼区間として計算した。サンプルサイズが増加する場合は、より狭い範囲で可能である。モデル構築あるいは照合がこれらの結果を作成するために必要とされなかったので、それらは強健な傾向を含み、これらのqRT-PCRプローブ測定が、概して、抗CD40Ab.1により治療される患者の腫瘍SPDの減少と相関することを確認するものである。

【0155】
多変量の感受性インデックスは、表3及び4のプローブの重み付き平均である。細胞株における重み付けが患者の腫瘍標本の最適な重み付けを反映するとは期待されなかったので、細胞株の重みは1と−1に(符号付き、均等な重み付き平均に相当する)制限され、符号は細胞株おいてIC25による、抗CD40Ab.1に対する耐性と各々のプローブとの間の相関に合致した。臨床集団には、新しい重み付けが必要とされる。予備的分析は21の試料だけに基づいたので、14プローブのうちベスト8に対して加重を選択し推定するために、罰則付き多変量回帰手法を使用することを選択した。それらの重み(係数)を表5に示し、結果として生じる感受性インデックスとベースラインからのSPD変化との間の相関を図2に図示する。より大きい多変量感受性インデックス値は、ポストベースラインのSPD減少と相関する(スピアマンのRho=−0.58、P=0.006)。表4、5及び6の全ての範囲は、DLBCL患者試料(N=21)から置き換えて標本抽出する5000回の繰り返しに基づいてブートストラップ第95パーセンタイル信頼区間として計算した。サンプルサイズが増加すると、より狭い範囲が利用可能になろう。

【0156】
臨床試験001からの26の試料を使用した、μ及びσの得られた値の範囲を表6に示す。

【0157】
(臨床試験002結果)
qRT-PCR原結果は、アーカイブ標本を有する10人患者について成功裏に作成された。それらの10人の患者について、診断、治療群、多変量感受性インデックス、臨床応答及び治験開始前からのSPD変化を表7に示す。多変量感受性インデックスの重みは21人の臨床試験001患者(表5)から取られ、その結果、これらの患者は非常に小さいバリデーションセットを構成する。感受性インデックス≧0を有する4人患者のうちの2人は抗CD40Ab.1暴露後腫瘍縮小を示し、感受性インデックス<0を有する6人の患者のうちの4人は腫瘍増加又はPDの最良効果(best response)を示した(SPDは2人の患者について入手できなかったが、最良の臨床効果(best clinical response)の結果がこの患者について入手できた)。

【0158】
BCL6。qRT-PCRアッセイは、BCL6遺伝子の第15のプローブを含む。現在、多変量感受性インデックスで使われていないが、BCL6遺伝子は以前に抗CD40Ab.1に対する応答性の潜在的予測因子として同定された。図3に示すように、混合DLBCL患者試料におけるSPD変化と有意には相関しないが(P=0.25、N=26)、腫瘍増加を有する患者においてBCL6が低下する傾向がある(rho=−0.23)。
【0159】
(実施例2.抗CD40Ab.1を用いる治療に対するDLBCL患者の応答性を決定するための15遺伝子マーカーの使用)
実施例1に記載された第I相(11試料)及び第II相(28試料)からのDLBCL患者試料を使用し、qRT-PCRに基づいた分類子が少なくとも10%の腫瘍サイズの低減のために開発され、ここでは抗CDAb.1感受性として定義され、重み付きK近傍法(KNN)が使用され、罰則付き回帰分析(GLMNET)を使用して決定された15マーカー(UAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79B)に対して重み付けされた。モデルパラメータは交差検定によって決定され、頑強p値が並べ替え検定により算出された。
【0160】
重み付きK近傍法(WKNN)により、K個の近傍対照標準試料の既知のクラスを使用して新規試料にクラスが割り当てられ、ここで、Kは4から13の整数である。近傍対照標準試料(近傍)は、UAP1、BTG2、CD40、VNN2、RGS13、CD22、LMO2、IFITM1、CTSC、CD44、PUS7、BCL6、EPDR1、IGF1R、及びCD79Bの、15プローブ測定の各々の間に最小の絶対値差の重み付き平均(WAAD)を有するものであり、差は分類される新規試料の測定値と各対照標準試料からの測定値との間のものである。WAADの重みは、15プローブ測定についての、対照標準試料腫瘍縮小のエラスティックネット罰則付き回帰からの係数の絶対値である。罰則の大きさは、WKKN分類エラーを最小限にするために10分割交差検定によって選ばれた。最適のKは、訓練データセットでの10分割交差検定において5と決定された。幾つかのプローブ測定の重みは0(ゼロ)になり得、全てのプローブ測定が必ずしも分類に貢献するのではなく、相対貢献は対照標準試料のプローブ測定及びそれらの既知のクラスに依存することに注意されたい。新規試料の予測クラスを決定するために、K個の近傍対照標準試料が、それらのクラスラベルを投票する形で、それらのWAADの逆数に貢献する(つまり1割るWAAD)。最も大きいトータルのWAADの逆数の貢献を有するクラスラベルが新規試料に割り当てられる。全てのクラスの重みを合計すると1(一)になる、0と1の間の事前のクラスの重みが、各クラスに分類される新規試料の割合を増加又は低下するために、正規化されたWAADの逆数の乗算として使用されてもよい。類似の結果が、重みなしKNNを使用して得られた。
【0161】
qRT-PCTは、患者試料に対して実施例1に記載されたプライマー及びプローブを使用して全15遺伝子について実施された。39のDLBCL患者の特定試料において、重みが15マーカー遺伝子の各々に対して決定された(表8)。

【0162】
上記の方法に基づいて、患者39人からの試料が、Dx陰性(抗CD40Ab.1治療に対して非応答性)又はDx陽性(抗CD40Ab.1治療に対する反応において少なくとも10%の腫瘍減少)として決定された。図4に示されるデータは、抗CD40Ab.1治療に対する応答性を予測することの全体の正確さが79.5%(P=0.004)であると示す。陰性シグナチャー患者24人の内21人(88%)は、抗CD40Ab.1治療に対する反応において、計測可能な腫瘍縮小を見せなかった。陽性シグナチャー患者15人の内10人(67%)は、抗CD40Ab.1治療に対する反応において著しい腫瘍縮小を見せた。更に、図5に示すように、Dx陽性患者は、増大した無増悪生存期間を有した。これは、観察された腫瘍縮小と一致する。陽性シグナチャー患者の無増悪生存期間(PFS)は、陰性シグナチャー患者と比較して著しく延長され、それぞれ169日と40日の平均PFS(p=0.001)であった。これらのデータは、15遺伝子qRT-PCT DLBCL腫瘍シグナチャーが、抗CD40Ab.1を用いたCD40経路刺激後のアウトカムを予想することにおいて有効であったことを示している。
【0163】
前述の発明は、理解を明瞭にする目的で、例示と実施例によって、幾らか詳しく記述したが、説明及び実施例は、本発明の範囲を限定するものと解してはいけない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
B細胞性リンパ腫を有する被験者の抗CD40抗体治療に対する応答性を予測するための方法において、
(a)前記被験者から得られたBリンパ腫細胞を含む試料における一又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルを測定する工程であって、前記一又は複数のマーカー遺伝子がBCL6、IFITM1、CD40、RGS13、VNN2、LMO2、CD79B、CD22、BTG2、IGF1R、CD44、CTSC、EPDR1、UAP1、及びPUS7からなる群から選択される工程;
(b)被験者からの試料及びクラスが既知である対照標準試料における一又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルに基づいてK近傍法を使用して被験者を応答性又は非応答性被験者として分類する工程
を含む方法。
【請求項2】
測定された発現レベルが正規化される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
対照標準試料が、抗CD40抗体治療に対する応答性が検査された被験者から得られるBリンパ腫細胞を含む試料である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
対照標準試料が、抗CD40抗体治療に対する応答性が予測される被験者からの試料と同じタイプのBリンパ腫細胞を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、又は15全てのマーカー遺伝子の発現レベルが測定され、被験者の分類に使用される請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
BCL6、IFITM1、CD22、IGF1R、CD44、EPDR1、及びUAP1の発現レベルが測定され、被験者の分類に使用される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工程(b)における被験者の分類が、(1)パラメータKを決定し;(2)被験者からの試料におけるマーカー遺伝子の測定された発現レベルと各対照標準試料におけるそれぞれのマーカー遺伝子の発現レベルとの差異を算出し;(3)被験者からの試料と対照標準試料との間の最小の絶対値差の重み付き平均(WAAD)を有する試料を選択することによって近傍対照標準試料を決定し;及び(4)K個の近傍対照標準試料の既知のクラスに基づいて被験者のクラスを決定する
ことによって実施される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
K近傍法分析において、パラメータKが4、5、6、7、8、9、10、11、12、又は13である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記抗CD40抗体治療が、抗CD40アゴニスト抗体を用いた治療である請求項1から8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
抗CD40アゴニスト抗体が、CD40を刺激し、又CD40及びCD40リガンド間の相互作用を亢進する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
抗CD40アゴニスト抗体が、配列番号:1に示される重鎖アミノ酸配列及び配列番号:2に示される軽鎖アミノ酸配列を含む請求項9に記載の方法。
【請求項12】
抗CD40アゴニスト抗体が、CD40を刺激し、CD40及びCD40リガンド間の相互作用を亢進しないか又は阻害する請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記B細胞性リンパ腫がびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)である請求項1から12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記B細胞性リンパ腫が非ホジキンリンパ腫である請求項1から12の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記非ホジキンリンパ腫が、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、又は小リンパ球性リンパ腫である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
試料が、ホルマリン固定されたパラフィン包埋生検試料である請求項1から15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
一又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルが、該一又は複数のマーカー遺伝子のRNA転写物のレベルによって測定される請求項1から16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
RNA転写物が、qRT-PCRによって測定される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
RNA転写物が、マイクロアレイによって測定される請求項17に記載の方法。
【請求項20】
一又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルが、該一又は複数のマーカー遺伝子のタンパク質発現のレベルによって測定される請求項1から16の何れか一項に記載の方法。
【請求項21】
B細胞性リンパ腫を有する被験者の抗CD40抗体治療に対する応答性を予測するキットにおいて、被験者からのBリンパ腫細胞を含む試料において、BCL6、IFITM1、CD40、RGS13、VNN2、LMO2、CD79B、CD22、BTG2、IGF1R、CD44、CTSC、EPDR1、UAP1、及びPUS7からなる群から選択される一又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルを測定するための試薬、及び被験者からの試料及びクラスが既知である対照標準試料における前記一又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルに基づいてK近傍法を使用して被験者を応答性又は非応答性被験者として分類するための説明書を含んでなるキット。
【請求項22】
試薬が、qRT-PCRによって前記一又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルを検出するための少なくとも一対のプライマー及びプローブを含む請求項21に記載のキット。
【請求項23】
プライマー及びプローブの前記対が、配列番号:102、103、及び104;配列番号:108、109及び110;配列番号:27、28及び29;配列番号:60、61、及び62;配列番号:93、94、及び95;配列番号:24、25、及び26;配列番号:57、58、及び59;配列番号:90、91及び92;配列番号:114、115、及び116;配列番号:126、127、及び128;配列番号:30、31、及び32;配列番号:63、64、及び65;配列番号:96、97、及び98;配列番号:12、13、及び14;配列番号:45、46、及び47;配列番号:78、79、及び80;配列番号:141、142、及び143;配列番号:150、151、及び152;配列番号:159、160、及び161;配列番号:15、16、及び17;配列番号:48、49、及び50;配列番号:81、82、及び83;配列番号:9、10、及び11;配列番号:42、43、及び44;配列番号:75、76、及び77;配列番号:6、7、及び8;配列番号:39、40、及び41;配列番号:72、73、及び74;配列番号:174、175、及び176;配列番号:180、181、及び182;配列番号:186、187、及び188;配列番号:165、166、及び167;配列番号:168、169、及び170;配列番号:171、172、及び173;配列番号:21、22、及び23;配列番号:54、55、及び56;配列番号:87、88、及び89;配列番号:129、130、及び131;配列番号:132、133、及び134;配列番号:135、136、及び137;配列番号:138、139、及び140;配列番号:147、148、及び149;配列番号:156、157、及び158;配列番号:177、178、及び179;配列番号:183、184、及び185;及び配列番号:189、190、及び191からなる群から選択される請求項22に記載のキット。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図1−4】
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【図1−5】
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【図1−6】
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【図1−7】
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【図1−8】
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【図1−9】
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【図1−10】
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【図1−11】
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【図1−12】
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【図1−13】
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【図1−14】
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【図1−15】
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【図1−16】
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【図1−17】
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【図1−18】
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【図1−19】
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【図1−20】
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【図1−21】
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【図1−22】
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【図1−23】
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【図1−24】
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【図1−25】
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【図1−26】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−523838(P2012−523838A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505990(P2012−505990)
【出願日】平成22年4月17日(2010.4.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/031528
【国際公開番号】WO2010/121231
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(509012625)ジェネンテック, インコーポレイテッド (357)
【Fターム(参考)】