説明

抗CD5抗体

本発明は、抗CD5抗体を含む組成物の分野に関する。特に本発明は、別個のCD5エピトープに結合する能力を持つ少なくとも2つの抗CD5抗体を含む抗体組成物に関する。本発明はさらに、該抗体組成物の結合特異性を持つ二重特異性分子に関する。本発明は、医薬組成物、抗体組成物の使用、および抗体組成物を製造するための方法にも関係する。さらに本発明は、細胞バンク、および細胞を殺すための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
上記の出願および本願において言及する特許文献および非特許文献は全て、引用により、本明細書にそのまま組み込まれる。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、抗CD5抗体を含む組成物の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
[発明の背景]
抗体は、細菌やウイルスなどの外来の侵入病原体による攻撃を受けた時に、免疫系が産生する分子である。抗体分子は2つの重鎖(HC)と2つの軽鎖(LC)とからなり、それらがジスルフィド橋で連結されて、各アームの先端に可変結合ドメインが存在するV字状の分子を形成する。これらの分子は、高い可変性と、異物(典型的にはタンパク質)、いわゆる抗原への極めて強い結合とを特徴とする。抗体は、抗原上の特異的エピトープに結合することによって、それらの機能を発揮する。ひとたび結合すると、抗体の定常部分であるFc領域により、さまざまなエフェクター機能が媒介されうる。その抗体のアイソタイプに依存して、例えば補体溶解、細胞殺滅、食作用などのエフェクター機能が達成されうる。抗体構造の他にも、抗体生物学のさまざまな側面が、天然の内在性抗体の効果と、抗体ベースの薬物による処置に影響を及ぼす。これらの側面には、抗体のアフィニティー、ならびに反応速度(すなわち抗体がエピトープに結合する速さ)、結合されるエピトープの抗原上の位置、組成物中に含まれる、異なるエピトープをターゲットとする抗体の数、およびそれらが免疫原性エピトープに結合するかどうかが含まれる。
【0004】
治療薬としての抗体の使用
血漿由来のポリクローナル抗体調製物−いわゆる高度免疫グロブリン製品(hyperimmune immunoglobulin product)−は、伝統的に、サイトメガロウイルスやB型肝炎ウイルスによる感染など、著しく複雑なターゲットを特徴とする疾患の処置に使用されて成功を収めてきた。しかし、血液由来製品には、供給不足、大きいバッチ間変動、ならびに血液から患者への感染性因子の潜在的伝達に関連する安全性リスクなど、固有の欠点がいくつかある。過去10〜15年間、組換え抗体の治療薬としての可能性を調べることに焦点を合わせた研究が数多く行われ、それは大いに報いられる投資であることがわかってきた。現在、世界中で臨床開発されている薬物の20%以上が抗体由来であり、将来、世界市場に出る可能性がある薬物は全部で約400に達する。現時点で販売が承認されている約20の組換え抗体治療薬は、全てモノクローナル抗体である。組換えポリクローナル抗体を作製し工業生産するための技術は今までなかった。しかし、2つ以上の抗原エピトープをターゲットとするポリクローナル抗体治療薬の利点と、その需要は、既に認められているところである。狙いは、高度免疫グロブリン製品の使用によって既に実証されているポリクローナル性(polyclonality)の概念を未来の組換え抗体ベースの薬物に再び導入することによって、抗体ベースの薬物の品質を向上させることである。
【0005】
慢性リンパ球性白血病とCD5
CLLは西洋では最も一般的な形態の白血病である。CLL細胞は、細胞膜上に、CD5およびCD23と共に、CD19およびCD20を発現させる。したがってこの表現型は、もう一つのCD5陽性B細胞疾患であるマントル細胞リンパ腫(MLC)(これはCD23の発現を欠くが、FMC7と呼ばれる別の表面分子を発現させる)とは、識別することができる。どちらの疾患も従来の化学療法では治すことができない。現在のところ、フルダラビンに基づく治療方式(regimen)が、CLLを管理するための最も効果的な治療法になっている。抗CD20抗体であるリツキシマブを単剤療法として使用する標準的な投与レジメンは、他の無痛性B細胞性リンパ腫/白血病と比較して、CLLでは、極めて限られた効果しか持たない。CLLにおいて単剤有効性が証明されている唯一の抗体は、化学療法抵抗性CLL用として登録された抗CD52抗体Campath-1Hである。しかし、Campath-1Hに関連する深刻な免疫不全が、CLLにおけるその一般的適用を制限している。CLLにおける結果を改善するための最新の戦略は、抗体と化学療法の併用(antibody chemothrapy combination)、ならびにCD20およびCD52以外の抗原、例えばCD23、CD40、CD40リガンドおよびHLA-DRをターゲットとする抗体の開発に、的が絞られている。CLL細胞に特有でありながら利用されていないCD5抗原は、抗体に基づくCLLの受動免疫療法にとって魅力的なターゲットであると、本発明者らは考える。
【0006】
CD5は、I型糖タンパク質であり、スカベンジャー受容体ファミリーのメンバーである。CD5は胸腺細胞、成熟T細胞、および成熟B細胞のサブセットによって発現され、リンパ球活性化の調整および分化プロセスに関与することが示されている。CD72、gp80-40およびIgフレームワーク構造がCD5の目的リガンドであり、それらとCD5との相互作用がマウスにおいて示されているが、これらの相互作用の正確な役割および構造的特徴はまだ解明されていない。CD5は、B細胞受容体(BCR)の近傍で、表面IgMのCD79aおよびCD79b伝達パートナー(transduction partner)と会合し、CD5シグナリングは、BCRならびにCD79aおよびCD79bと共に脂質ラフト中に共沈することによって媒介される。CD79aおよびCD79bは、Lynおよび他のチロシンキナーゼ、例えばSykによってリン酸化され、Zap70ならびにチロシンホスファターゼSHP-1も、このシグナル伝達のメディエーターであると報告されている。CLL細胞には切断型のCD79bが観察されているので、CLL細胞が生き残るには細胞内シグナリング異常が重要なのかもしれないと提唱されている。CD5とモノクローナル抗CD抗体との架橋はCLL細胞のアポトーシスを誘導しうるが、このシグナルの誘導は、CD5がBCRおよびBCR関連分子と共に脂質ラフト中に移行しない限り起こらなかった。エピトープの位置は、受容体を介して送達されるシグナルに影響を及ぼすという抗体の能力にとって極めて重要であることから、本発明者らは、CD5に対して数多くの特異性を持つ一連の抗体によって、CLL細胞および正常細胞におけるCD5のシグナル伝達上の役割に関する知識が明らかになり、この知識がCLLに対する効果的な抗体療法の開発に寄与するだろうと考えている。
【0007】
CD5に対するポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体組成物はいくつかの抗体特異性を含有し、それによっていくつかのエピトープをターゲットにするので、ポリクローナル抗体組成物を使用すれば、CD72や、CD5の他の潜在的リガンドによって活性化されるシグナル経路を、mAbよりも効果的にブロックすることができると、本発明者らは考える。特異的エピトープのターゲティングは、受容体を介して送達されるシグナルに影響を及ぼすというmAbの能力にとって極めて重要でありうる。抗CD20抗体(リツキシマブ)の特異性はインビボで誘導されるエフェクター機能のタイプに直接的な影響を及ぼすことが示されており、また、異なるエピトープ特異性を持つHer-2に対する抗体が異なる抗腫瘍活性を誘導することも示されているので、複数の特異性を持つ抗体を含有するポリクローナル抗体組成物は、腫瘍細胞の殺滅を、より効率よく媒介するだろうと、本発明者らは推測する。また、複数の抗原エピトープをターゲットとするポリクローナル抗体組成物によって表面上に作り出される高い抗体密度は、アポトーシスと同様にCLLの処置において大きな役割を果たすことが示されている補体媒介性溶解やADCCなどのエフェクター機能の活性化を増加させる可能性が高い。したがって、ポリクローナル抗体組成物を使えば、総合的に、より効果的な治療を達成できる可能性は極めて高い。
【0008】
上述のように、モノクローナル抗CD52抗体Campath-1Hは、多数の前治療歴を持つ患者のCLLに対して有効であることが示されているが、処置は著しい免疫抑制と日和見感染の発生を伴う。これは、CD52が、形質細胞を除く全ての白血球上に発現されるため、Campath-1Hが、CLLと健常細胞の両方をターゲットにするからである。これに対し、CD5はNK細胞および健常B細胞上には発現されないので、CD5をターゲットとする抗CLL抗体治療薬は、がん細胞を優先的にターゲットとすることになり、それは、患者にとって有益であるだろう。というのも、健常細胞が排除される頻度が少なくなり、患者は免疫抑制をごくわずかしか起こさないはずだからである。
【0009】
T101は、皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)および関節リウマチを患う患者を処置するために開発された、CD5に対するモノクローナルマウスIgG2aである。第II相試験で治療効果が認められなかったため、T101の臨床開発は中止されている。T101に臨床効果がなかった理由はわかっていないが、それが必然的に中和HAMA(ヒト抗マウス抗体)応答を引き起こすであろう完全マウス抗体であるという事実に関係している可能性はある。それでもなお、ポリクローナル抗体組成物を使っていくつかのCD5エピトープをターゲットにすることは、例えば受容体インターナリゼーションを増加させることなどにより、T101などのモノクローナル抗体と比較して、CD5機能阻害の著しい増加につながり、よって臨床的抗腫瘍効果をもたらしうると考えられる。加えて、本発明者らはマウス可変領域とヒト定常領域とを含有するCD5特異的キメラ抗体を作製するつもりなので、完全マウスT101抗体で観察されたHAMA応答の大部分はみられないだろう。万一、キメラ抗体の可変領域に対する抗体が生じたとしても、ポリクローナル抗体はモノクローナル抗体よりも中和抗体の影響を受けにくいことが、モノクローナル抗体とポリクローナル抗体に対する中和抗体を使ってエクスビボで行われた本発明者らの以前の研究によって示されている。したがって、万一、中和抗体の誘導が起こったとしても、おそらく、ポリクローナル抗CD5抗体組成物は薬理学的に活性でありつづけるだろう。
【0010】
エフェクター機序
細胞の表面上の抗原を結合する抗体が発揮する細胞レベルでの効果は、結合した特異的抗体に依存して異なる。重要なエフェクター機序に抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)と補体依存性細胞傷害(CDC)がある。ADCCエフェクター機序は、特異的抗体によって結合されたターゲット細胞を能動的に溶解する免疫系のエフェクター細胞を特徴とする。これは、抗体が体液性免疫応答の一部として、感染を制限し、封じ込めるように作用することを可能にする機序の一つである。古典的ADCCはナチュラルキラー(NK)細胞によって媒介される。しかし、単球および多形核顆粒球(PMN)も、ADCCを媒介することができる。ADCCは、以前の抗体応答に依存するので、適応免疫応答の一部である。典型的ADCCはNK細胞の活性化を伴い、NK細胞の表面上のFc受容体による、抗体被覆感染細胞の認識に依存する。Fc受容体は、病原体に感染したターゲット細胞の表面に結合するIgGなどの抗体のFc(結晶性)部分を認識する。NK細胞の表面上に存在する最も一般的なFc受容体はCD16またはFcγRIIIと呼ばれている。IgGのFc受容体に結合すると、ナチュラルキラー細胞は、IFN-γなどのサイトカインや、パーフォリンおよびグランザイム(これはターゲット細胞に進入し、アポトーシスをトリガーすることによって細胞死を促進する)を含有する細胞傷害性顆粒を放出する。これは、細胞傷害性T細胞(CTL)による応答に似ているが、それらとは独立している。ADCCのレベルは、IgGサブタイプ(IgM>IgG1>IgG2)、ターゲット細胞上の抗体密度、抗体糖鎖付加パターン、ならびにターゲットそのものの性質を含む、いくつかの因子に依存する。
【0011】
CDCは、細胞性抗原に結合した抗体が結合された細胞の中和を引き起こすことを可能にする代替的エフェクター機序である。抗体は、いわゆる古典的補体経路を活性化する能力を持つ。古典的補体系路では、結合した抗体が補体系のタンパク質を動員し、それらが、一連の相互作用を介して、結合した細胞の殺滅をもたらす。補体系は、血中に見いだされるいくつかの小タンパク質からなり、それらは通常、不活性なチモーゲンとして循環している。いくつかあるトリガーの一つによって刺激されると、系内のプロテアーゼが特定のタンパク質を切断してサイトカインを放出し、さらなる切断の増幅カスケードを開始する。この活性化カスケードの最終結果は、応答の大量増幅、および細胞を殺す膜侵襲複合体の活性化である。20を超えるタンパク質およびタンパク質フラグメントが、補体系を構成しており、これには、血清タンパク質、漿膜タンパク質、細胞膜受容体が含まれる。
【0012】
抗腫瘍活性が、抗体Fc領域への結合によって活性化されるADCCやCDCなどのエフェクター機序の活性化を必要とすることは、がん抗原に対する治療用抗体を含むさまざまな研究によって示されている。したがって、抗体治療薬の効果に関するもう一つの問題は、抗体Fc領域と動員されたエフェクター分子の相互作用である。マクロファージやNK細胞などのエフェクター分子上のFc受容体および補体タンパク質へのIgG抗体のFc領域の結合は、抗体CH2ドメインの糖鎖付加による影響を受ける。とりわけ、アスパラギン297におけるN結合型オリゴ糖上のフコースの度合は、NK細胞上のFcγIII受容体(CD16)へのIgG Fc領域の結合に影響を及ぼすことが示されている。補体活性化に関する糖鎖付加の効果はまだ解明されていない。抗体糖鎖付加は種特異的であるので、生産細胞株の性質は抗体の結合能力およびエフェクター機能媒介能力に大きな影響を持つ。抗体糖鎖付加における上述の相違ゆえに、CHO細胞で発現させた抗体とヒトPer.C6細胞で発現させた抗体は、抗体ベースの薬物の治療効果に対して、異なる影響を及ぼすだろうと、本発明者らは考える。
【発明の概要】
【0013】
ある態様において、本発明は、別個の(distinct)CD5エピトープに結合する少なくとも2つの抗CD5抗体を含む、抗体組成物に関する。
【0014】
本発明のさらなる一態様において、前記組成物は、表1に示す抗体1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、および37のいずれか一つからなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む。
【0015】
好ましくは、前記組成物は、表1に示す抗体1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、および37のいずれか一つのVLおよびVH配列を含む抗体を含む。各抗体のVLおよびVH配列(名称別に列挙)を表2および3に示す。
【0016】
好ましくは、前記組成物は、表1に示す抗体1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、および37のいずれか一つのCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体を含む。
【0017】
好ましくは、前記組成物は、表1に示す抗体1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、および37のいずれか一つと同じエピトープに結合する抗体を含む。
【0018】
好ましくは、前記組成物は、表1に示す抗体1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、および37のいずれか一つのヒトCD5への結合を阻害する能力を持つ抗体を含む。
【0019】
以下は本発明の実施形態である。
【0020】
抗体1、抗体1のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体1のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体1と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体1の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0021】
抗体2、抗体2のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体2のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体2と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体2の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0022】
抗体3、抗体3のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体3のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体3と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体3の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0023】
抗体4、抗体4のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体4のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体4と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体4の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0024】
抗体5、抗体5のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体5のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体5と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体5の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0025】
抗体6、抗体6のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体6のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体6と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体6の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0026】
抗体7、抗体7のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体7のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体7と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体7の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0027】
抗体8、抗体8のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体8のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体8と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体8の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0028】
抗体9、抗体9のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体9のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体9と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体9の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0029】
抗体10、抗体10のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体10のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体10と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体10の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0030】
抗体11、抗体11のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体11のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体11と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体11の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0031】
抗体12、抗体12のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体12のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体12と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体12の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0032】
抗体13、抗体13のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体13のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体13と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体13の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0033】
抗体14、抗体14のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体14のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体14と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体14の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0034】
抗体15、抗体15のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体15のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体15と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体15の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0035】
抗体16、抗体16のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体16のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体16と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体16の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0036】
抗体17、抗体17のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体17のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体17と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体17の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0037】
抗体18、抗体18のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体18のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体18と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体18の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0038】
抗体19、抗体19のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体19のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体19と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体19の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0039】
抗体20、抗体20のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体20のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体20と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体20の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0040】
抗体21、抗体21のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体21のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体21と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体21の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0041】
抗体22、抗体22のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体22のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体22と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体22の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0042】
抗体23、抗体23のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体23のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体23と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体23の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0043】
抗体24、抗体24のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体24のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体24と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体24の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0044】
抗体25、抗体25のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体25のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体25と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体25の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0045】
抗体26、抗体26のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体26のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体26と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体26の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0046】
抗体27、抗体27のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体27のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体27と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体27の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0047】
抗体28、抗体28のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体28のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体28と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体28の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0048】
抗体29、抗体29のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体29のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体29と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体29の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0049】
抗体30、抗体30のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体30のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体30と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体30の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0050】
抗体31、抗体31のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体31のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体31と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体31の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0051】
抗体32、抗体32のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体32のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体32と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体32の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0052】
抗体33、抗体33のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体33のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体33と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体33の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0053】
抗体34、抗体34のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体34のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体34と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体34の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0054】
抗体35、抗体35のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体35のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体35と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体35の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0055】
抗体36、抗体36のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体36のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体36と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体36の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0056】
抗体37、抗体37のVLおよびVH配列を含む抗体、抗体37のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む抗体、抗体37と同じエピトープに結合する抗体、およびヒトCD5への抗体37の結合を阻害する能力を持つ抗体からなる群より選択される抗CD5抗体分子を含む、本発明の抗体組成物。
【0057】
もう一つの態様において、本発明は、本発明の抗体組成物のいずれか一つの結合特異性を有する二重特異性結合分子(bi-specific binding molecule)に関する。
【0058】
さらなる一態様において、本発明は、本発明の抗体組成物または本発明の二重特異性結合分子を活性成分として含む医薬組成物に関する。
【0059】
もう一つの態様において、本発明は、医薬として使用するための本発明の抗体組成物または本発明の二重特異性結合分子に関する。
【0060】
さらなる一態様において、本発明は、医薬の製造における本発明の抗体組成物または本発明の二重特異性結合分子の使用に関する。
【0061】
もう一つの態様において、本発明は、処置を必要とする患者に本発明の医薬組成物を投与することを含む、処置方法に関する。
【0062】
さらなる一態様において、本発明は、抗体組成物を製造するための方法であって、
・真核細胞の第1の集団に、第1の別個のCD5エピトープに結合する能力を持つVHおよびVL鎖の第1のコグネイトペア(cognate pair)を含む第1の抗体をコードする第1の発現コンストラクトをトランスフェクトする工程;
・真核細胞の第2の集団に、第2の別個のCD5エピトープに結合する能力を持つVHおよびVL鎖の第2のコグネイトペアを含む第2の抗体をコードする第2の発現コンストラクトをトランスフェクトする工程;
・所望により、第3またはそれ以上の集団、発現コンストラクト、コグネイトペア、およびCD5エピトープについて、工程b)を繰り返す工程;
・トランスフェクトされた第1、第2、および所望によりそれ以上の細胞集団を選択する工程;
・トランスフェクトされた集団を一つに合わせて細胞バンクを得る工程;
・細胞バンクからの細胞を、抗体の発現を可能とする条件下で培養する工程;および
・上清から抗体組成物を回収し、精製する工程
を含む方法に関する。
【0063】
もう一つの態様において、本発明は、真核細胞の亜集団を少なくとも2つは含む細胞バンクであって、各亜集団に、別個のCD5エピトープに結合する能力を持つVHおよびVL鎖のコグネイトペアを含む抗体をコードする1つの発現コンストラクトがトランスフェクト(transfected)または形質導入(transduced)されている細胞バンクに関する。
【0064】
さらなる一態様において、本発明は、CD5を発現する細胞を殺す方法であって、CD5を発現する細胞に本発明の抗体組成物または本発明の二重特異性結合分子を投与し、それによって該CD5発現細胞を殺すことを含む方法に関する。
【0065】
本発明の好ましい実施形態は従属請求項に記載されている。
【0066】
定義
抗体:用語「抗体」は、血清の機能的コンポーネントを表し、多くの場合、分子(抗体または免疫グロブリン)の集合体(collection)を指すか、または1分子(抗体分子または免疫グロブリン分子)を指す。抗体分子は、特異的抗原決定基(抗原または抗原エピトープ)と結合または反応する能力を持ち、それが、結果として、免疫エフェクター機序の誘導につながりうる。個々の抗体分子は、通常、単一特異性(monospecific)であるとみなされ、抗体分子の組成物はモノクローナル(すなわち同一抗体分子からなる)またはポリクローナル(すなわち、同じ抗原上の、あるいは別個の異なる抗原上の、同じまたは異なるエピトープと反応する2つ以上の異なる抗体分子からなる)であることができる。各抗体分子は、それがその対応する抗原に特異的に結合することを可能にするユニークな構造を持ち、全ての天然抗体分子は、2つの同一軽鎖および2つの同一重鎖という同じ全体的基本構造を持つ。抗体は免疫グロブリンとも総称されている。本明細書において使用する抗体(単数または複数)という用語は、キメラ抗体および単鎖抗体、ならびに抗体の結合性フラグメント、例えばFab、FvフラグメントまたはscFvフラグメント、ならびに多量体型、例えばIgA分子二量体または五価IgMも包含するものとする。抗体は、ヒト、マウス、キメラ、ヒト化、または再構成(reshaped)抗体であることができる。
【0067】
CDR:「CDR」−相補性決定領域−という用語は、Lefrancら (2003)「IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains」Dev. Comp Immunol 27, 55-77に定義されているとおりである。「組換えポリクローナルタンパク質の別個のメンバー」という用語は、異なってはいるが相同な(homologous)タンパク質分子を含むタンパク質組成物(ここで、各タンパク質分子は、その組成物の他の分子と相同(homologous)であるが、ポリクローナルタンパク質の個々のメンバー間でのアミノ酸配列の相違を特徴とする1つまたはそれ以上の可変ポリペプチド配列ストレッチも含有する)の1つのタンパク質分子を意味する。
【0068】
コグネイト(cognate)VHおよびVLコードペア(coding pair):「コグネイトVHおよびVLコードペア」という用語は、同じ抗体産生細胞内に含まれるまたは同じ抗体産生細胞に由来するVHコード配列とVLコード配列の元のペアを表す。したがって、コグネイトVHおよびVLペアは、その細胞が由来するドナー中に元々存在するVHおよびVLペアリングを表す。「VHおよびVLコードペアから発現される抗体」という用語は、抗体または抗体フラグメントが、そのVHおよびVLコード配列を含有するベクター、プラスミドなどから産生されることを示す。コグネイトVHおよびVLコードペアが完全な抗体として発現されるか、その安定なフラグメントとして発現される場合、それらは、それらが由来する細胞から元々発現される抗体が持つ結合アフィニティーおよび結合特異性を保持している。コグネイトペア(cognate pair)のライブラリーはコグネイトペアのレパートリーまたはコレクションとも呼ばれ、個別に保存するか、プールすることができる。
【0069】
別個の(distinct)エピトープ:「別個のエピトープ」という用語は、エピトープを構成するアミノ酸配列が異なることを意味する。別個のエピトープは、2つの別個のエピトープがそれらのアミノ酸配列の一部を共有しうるという点でオーバーラップエピトープ(overlapping epitope)であることができる。
【0070】
エピトープ:「エピトープ」という用語は、より大きな分子の一部分またはより大きな分子の一部(例えば抗原または抗原性部位)の一部分であって、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトにおいて、抗原活性または免疫原活性を持つものを表すために使用される。免疫原活性を持つエピトープは、より大きな分子のうち、動物における抗体応答を惹起する部分である。抗原活性を持つエピトープは、より大きな分子のうち、当技術分野において周知である任意の方法(例えば本明細書に記載するイムノアッセイ)で決定した場合に、抗体が免疫特異的に結合する部分である。抗原エピトープは必ずしも免疫原性である必要はない。抗原は抗体または抗体フラグメントが免疫特異的に結合する物質、例えば毒素、ウイルス、細菌、タンパク質またはDNAなどである。抗原または抗原性部位は、それが著しく小さい場合を除けば、2つ以上のエピトープを持つことが多く、多くの場合、免疫応答を刺激する能力を持つ。エピトープは、線状(linear)エピトープである場合も、コンフォメーショナル(conformational)エピトープである場合もある。線状エピトープは、抗体によって認識されるタンパク質分子上の約6〜10個の隣接アミノ酸からなる。これに対し、コンフォメーショナルエピトープは、連続的には配置されていないアミノ酸からなる。この場合、抗体は3次元構造だけを認識する。タンパク質分子が3次元構造に折りたたまれると、エピトープを形成するアミノ酸が隣接して、抗体はその配列を認識することが可能になる。変性タンパク質では、線状エピトープだけが認識されうる。コンフォメーショナルエピトープは、当然のことながら、折りたたまれたタンパク質の外側になければならない。コンフォメーショナルエピトープを認識する抗体は、温和な非変性的手法下でしか結合することができない。同じ抗原上の異なるエピトープに結合する抗体は、エピトープの位置に依存して、それらが結合する抗原の活性に対してさまざまな効果を持ちうる。抗原の活性部位にあるエピトープに結合する抗体がその抗原の機能を完全にブロックしうるのに対して、異なるエピトープに結合する別の抗体は、抗原の活性に全く影響しないか、わずかしか影響しないこともありうる。しかしそれでも、そのような抗体は、補体を活性化することによって、その抗原の排除をもたらす場合があり、同じ抗原上の異なるエピトープに結合する1つ以上の抗体と組み合わせた場合には、相乗効果をもたらしうる。本発明において、エピトープは、好ましくは、CD5の細胞外ドメインの一部分である。本発明の抗原は、好ましくは、抗体または抗体フラグメントが免疫特異的に結合する、細胞外ドメインCD5タンパク質、ポリペプチドまたはそのフラグメントである。CD5関連抗原は、抗体または抗体フラグメントが免疫特異的に結合する、CD5ポリペプチドの細胞外ドメインまたはそのフラグメントの類似体または誘導体であることもできる。同じ抗原への結合に関して互いに競合する能力を持つ抗体は、同じエピトープまたはオーバーラップエピトープに結合しうるか、互いに近接している結合部位を持ちうるので、競合は主として立体障害によって引き起こされる。
【0071】
免疫グロブリン:「免疫グロブリン」という用語は、一般に、血中または血清中に見いだされる抗体の混合物の総称として使用されるが、他の供給源に由来する混合物を指すために使用することもできる。
【0072】
免疫グロブリン分子:「免疫グロブリン分子」という用語は、例えば免疫グロブリンの一部、または任意のポリクローナルもしくはモノクローナル抗体組成物の一部である、個々の免疫グロブリン分子を意味する。
【0073】
オーバーラップエピトープ:本明細書で使用する用語「オーバーラップエピトープ」は、エピトープのアミノ酸配列がオーバーラップすること、すなわちエピトープが、両方のエピトープに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基を共有することを意味する。オーバーラップエピトープを結合する抗体は、その抗原への互いの結合を阻害する。例えば第2のエピトープとオーバーラップする第1のエピトープへの第1の抗体の結合は、その第2のエピトープが第2の抗体によって既に結合されている場合には、少なくとも10%、例えば少なくとも20%、例えば少なくとも30%、例えば少なくとも40%、例えば少なくとも50%、例えば少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも90%、例えば100%阻害されうる。抗体ペアの「オーバーラップエピトープ」に関する分析は、典型的には、CD5を発現させる細胞と個別に蛍光標識された抗体のFACS分析を使って、または実施例で説明するようにフローセル表面に捕捉またはコンジュゲートされたCD5抗原を用いる表面プラズモン共鳴を使って、飽和抗体条件下での結合実験によって決定される。
【0074】
ポリクローナル抗体:「ポリクローナル抗体」という用語は、同じ抗原上または異なる抗原上のいくつかの異なる特異的抗原決定基と結合または反応する能力を持つ異なる抗体分子の組成物を表す。通常、ポリクローナル抗体の多様性は、ポリクローナル抗体のいわゆる可変領域にあると考えられている。しかし、本発明においては、ポリクローナル性は、例えば、ヒトアイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2、またはマウスアイソタイプIgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、およびIgAなど、2つ以上の抗体アイソタイプを含有する抗体混合物の場合のように、いわゆる定常領域中に存在する個々の抗体分子間の相違を表すと理解することもできる。本発明の場合は、そのようなポリクローナル抗体も「抗体組成物」と呼ぶことができる。
【0075】
ポリクローナルタンパク質/ポリクローナル性:本明細書で使用する「ポリクローナルタンパク質」または「ポリクローナル性」という用語は、異なってはいるが相同な(homologouos)タンパク質分子(好ましくは免疫グロブリンスーパーファミリーから選択されるもの)を含むタンパク質組成物を指す。したがって各タンパク質分子は、その組成物の他の分子と相同で(homologouos)あるが、ポリクローナルタンパク質の個々のメンバー間でのアミノ酸配列の相違を特徴とする1つまたはそれ以上の可変ポリペプチド配列ストレッチも含有する。そのようなポリクローナルタンパク質の既知の例には、抗体または免疫グロブリン分子、T細胞受容体およびB細胞受容体が含まれる。ポリクローナルタンパク質は、共通する特徴(例えば所望のターゲット抗原に対するポリクローナル抗体の場合であれば、所望のターゲットに対する共通の結合活性など)によって規定されたタンパク質分子の所定の部分集合からなりうる。
【0076】
タンパク質/ポリペプチド:「タンパク質」または「ポリペプチド」とは、長さまたは翻訳後修飾に関係なく、あらゆるアミノ酸の鎖を意味する。タンパク質は、単量体として存在するか、2つまたはそれ以上の集合したポリペプチド鎖、タンパク質のフラグメント、ポリペプチド、オリゴペプチド、またはペプチドを含む多量体として存在することができる。
【0077】
組換え抗体:「組換え抗体」という用語は、当該細胞には本来関連のない抗体のコード配列を含む発現ベクターでトランスフェクトされた細胞または細胞株から発現される抗体分子またはいくつかの分子を表すために使用される。
【0078】
トランスフェクション:「トランスフェクション」という用語は、本明細書では、外来DNAを細胞中に導入することを広く表す用語として使用される。この用語は、外来DNAを細胞中に導入するための他の機能的に等価な方法、例えば形質転換、感染、形質導入、またはドナー細胞とアクセプター細胞の融合なども包含するものとする。
【0079】
可変ポリペプチド配列/可変領域:「可変ポリペプチド配列」および「可変領域」という用語は、可換的に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】脾細胞の選別(詳細については実施例1を参照のこと)。以下のゲートを設けた(図示):・ゲート1:生細胞(FSC/ヨウ化プロピジウムプロット)(左下パネル)。・ゲート2:形質細胞はCD43陽性/CD138陽性としてゲーティングした(右下パネル)。・ゲート3:ダブレット識別(doublet discrimination)(右上パネル)。
【図2】マウス-mSymplex(商標)PCR。単一の細胞から得られる重鎖および軽鎖抗体遺伝子の増幅およびコグネイト連結(cognate linkage)を行うためのマルチプレックスオーバーラップ伸長RT-PCR。詳細については実施例1を参照のこと。
【図3】マウスレパートリークローニング。単一形質細胞から得られるVH/VL遺伝子ペアをコードするmSymplex(商標)PCR産物のプールを、SOE(splicing by overlap extension)法により、ヒトκ定常軽鎖をコードする遺伝子にスプライスした。完全なヒト-マウスキメラ抗体をコードする遺伝子のプールを発現ベクターに挿入した後、二方向プロモーターカセット(2×CMV)を挿入した。
【図4】哺乳類全長抗体発現ベクター00-VP-002の概略図。AmpおよびAmp pro、アンピシリン耐性遺伝子およびそのプロモーター;pUC起点、pUCの複製開始点;CMV、軽鎖および重鎖の発現を駆動する哺乳類プロモーター;IGHVリーダー、ゲノムヒト重鎖リーダー;Hスタッファー(stuffer)、重鎖可変領域コード配列と交換されるインサート;IGHG1、ゲノム免疫グロブリンアイソタイプG1重鎖定常領域をコードする配列(配列は付表(Appendix)2に示す);ウサギB-グロビンA、ウサギβ-グロビンポリA配列;IGKVリーダー、マウスκリーダー;Lスタッファー、軽鎖コード配列と交換されるインサート;SV40term、シミアンウイルス40ターミネーター配列;FRT、Flp認識ターゲット部位;Neo、ネオマイシン耐性遺伝子;SV40ポリA、シミアンウイルス40ポリAシグナル配列。
【図5】ELISAでのエピトープマッピング。競合ELISAで決定した、CD5の細胞外ドメインに対する、表掲のリファレンス抗体による、抗CD5抗体の阻害の度合。阻害のスコアリングは次のとおりである:25〜49%:中くらいの競合(+);50〜74%:強い競合(++);75〜100%:極めて強い競合(+++)。*は、競合実験が行われなかったことを示す。
【図6】Biacore分析によって決定された、CD5の細胞外ドメインに対する抗CD5抗体のエピトープマップ。作製された抗CD5抗体および4つのリファレンス抗体の結合部位の平面図。図中の数字は、本明細書の他の部分に示す抗体番号に対応する抗体番号である。
【図7】Biacore分析によって決定した、CD5の細胞外ドメイン上の非オーバーラップエピトープに対する4つの抗体の同時結合を示すセンサーグラム(sensogram)である。A)実験全体を示すセンサーグラム。B)Aのうち、CD5の細胞外ドメインへの抗CD5抗体の同時結合に焦点を合わせたセンサーグラム。図中の数字は、本明細書の他の部分に示す抗体番号に対応する抗体番号である。
【図8】フローサイトメトリーによって決定した、CD5の細胞外ドメイン上の非オーバーラップエピトープに対する4つの抗体の同時結合を示すオーバーレイヒストグラムである。CEM細胞は次のように染色された(抗CD5抗体、線種、平均蛍光強度):抗体なし、実線、7.29;クローン12、破線、479.33;クローン14、点線、636.65;クローン17、一点鎖線、396.29;クローン34、二点鎖線、181.14;クローン12、14、17および34の混合物、実線と灰色の網掛け、1292.72。
【図9】4℃または37℃において、表示の抗体混合物で終夜処理した細胞の、平均蛍光強度(MFI)。4℃と比較して37℃におけるMFIの低下は、CD5インターナリゼーションを示す。
【図10】表示の抗体および抗体混合物で表示の時間処理したCLL細胞(患者31)中のCD5レベルのウェスタンブロット分析。ローディング対照としてα-チューブリンを含める。
【発明を実施するための形態】
【0081】
[発明の詳細な説明]
抗体混合物
ある実施形態において、本発明は、少なくとも2つの別個のCD5エピトープ(好ましくは2つの非オーバーラップCD5エピトープ)に結合する能力を持つ抗体分子を含む、抗体組成物に関する。抗体の非オーバーラップ性は、CD5発現細胞を使ったFACS分析において、異なる方法で標識された抗体を使って、またはフローセル表面に捕捉またはコンジュゲートされたCD5抗原を用いる表面プラズモン共鳴を使って、決定することができる。ELISAに基づく方法も使用することができる。2つの非オーバーラップCD5エピトープに結合する組成物は、モノクローナル抗体と比較して、CD5コンフォメーションの相違に対する脆弱性が低く、突然変異に対する脆弱性も低いだろうから、より広範囲にわたるCD5発現細胞に対して使用することができる。さらにまた、2つの非オーバーラップCD5エピトープを結合する抗体組成物は、単一のエピトープをターゲットとする組成物と比較して、優れた効力をもたらしうる。
【0082】
モノクローナル抗CD5抗体療法の場合、一定の比率の患者はその抗体処置には効果的に応答しないだろう。一部の患者では、それが、抗体の迅速な排除によるか、または抗体がその患者におけるその抗体に対する免疫応答を生じさせるからであるだろう。また、一部の患者では、応答の欠如は、彼らの特定CD5発現細胞が、モノクローナル抗体がそのエピトープに結合できないようなコンフォメーションで、CD5を発現させるからであるだろう。これは、糖鎖付加の相違によるか、ドメイン欠失によるか、突然変異および/またはSNPによるものでありうる。
【0083】
抗体がCD5上の少なくとも2つの別個のエピトープに結合する能力を持つ抗体組成物は、より広く応用可能であるだろう。なぜなら、それらの抗体によって認識されるエピトープと比較してエピトープが両方とも変化している可能性が、減少するからである。さらにまた、全ての抗体が患者によって排除される可能性も、はるかに小さくなる。
【0084】
臨床効力が改善され、より広範囲のCD5発現細胞タイプに対して、より広い有用性が得られるように、組成物中の、それぞれ別個のCD5エピトープに結合する抗体の数を、増やすことができる。したがって本組成物は、3つの非オーバーラップエピトープに結合する能力を持つ抗体を含むことができる。本組成物は、4つの非オーバーラップエピトープに結合する能力を持つ抗体を含むことができる。本願の実施例では、CD5には少なくとも4つの別個の抗体が一度に結合できることを示す。これは、抗体を注意深く選択することによって、4つより多くの、例えば5つ、6つ、7つまたは8つの非オーバーラップエピトープに結合する能力を持つ抗体を含む組成物を設計することが可能であること、またはそうすることがさらに有利であることを排除するものではない。
【0085】
もう一つの実施形態において、本組成物は、1つのエピトープに結合する2つ以上の抗体分子、例えば異なるエピトープではあるがオーバーラップしているエピトープに結合する2つの抗体を含む。オーバーラップエピトープを持つ抗体を含めることには利点がありうる。なぜなら、これは、そのエプトープが結合される可能性を増加させるからである。その理論的根拠の一つは、一部の患者および/または一部のがん細胞におけるエピトープは、コンフォメーション変化または突然変異もしくはSNPにより、変化している可能性があるということである。これは1つの抗体の結合には影響を及ぼしうるが、オーバーラップエピトープに結合するもう一つの抗体の結合には影響を及ぼさない可能性がある。さらにまた、抗体の一つが、患者によって排除される危険もある。なぜなら、それが抗原とみなされるからである。異なるエピトープではあるがオーバーラップしているエピトープに結合する2つの抗体を含めることにより、それら2つの抗体の一方が排除される事の重大さおよびエピトープに突然変異が起こることの重大さが軽減される。
【0086】
したがって、ある実施形態において、本組成物は、異なるエピトープではあるがオーバーラップしているエピトープに結合する2つの抗体を含む。もう一つの実施形態において、本組成物は、同じエピトープに結合する2つの別個の抗体分子を含む。同じエピトープまたはオーバーラップエピトープに結合する抗体は同じアイソタイプまたは異なるアイソタイプの抗体であることができる。
【0087】
したがって、2つの非オーバーラップエピトープに対する抗体を含む抗体組成物は、2つの抗体が2つのオーバーラップエピトープまたは同じ第1のエピトープに結合し、もう一つの抗体が第2のエピトープに結合するように、3つ、4つ、5つまたは6つの別個の抗体分子を含むことができる。もちろん、本組成物は、オーバーラップエピトープに結合する能力を持つまたは同じエピトープに結合する能力を持つ3つ以上の、例えば3つまたは4つの抗体分子を含むこともできる。したがって、組成物中に含まれる抗体の総数は、各エピトープにつき2つ以上の抗体を持つことにより、またはオーバーラップエピトープを持ついくつかの抗体を持つことにより、6個を超えることができる。抗体の総投薬量を一定に保つと、組成物中に含まれるさらなる抗体のそれぞれについては、各抗体の濃度が低下する。したがって、許容しうる効力を維持しつつ組成物中に含めることができる抗体の数には限度があると予想される。表面プラズモン共鳴結合研究および増殖アッセイで得られた知見によれば、そしてまた製造上の課題を考慮すれば、抗体の数を6個から7、8、9、10個またはそれ以上に増やすことによって得ることができる追加の利点は(たとえあるとしても)限られていると予想される。もちろん、これは、本組成物が10個を超える抗体、例えば11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20個またはそれ以上の抗体、例えば25個またはそれ以上の抗体、例えば30個またはそれ以上の抗体、例えば40個またはそれ以上の抗体、例えば50個またはそれ以上の抗体を含むことを排除するものではない。
【0088】
好ましくは、本組成物は、ドメインIエピトープに結合する抗体を少なくとも1つは含み、ドメインIエピトープに結合する抗体を少なくとも2つ含んでもよい。好ましくは、本組成物は、ドメインIIエピトープに結合する抗体を少なくとも1つは含み、ドメインIIエピトープに結合する抗体を少なくとも2つ含んでもよい。ある実施形態では、本組成物中の少なくとも一つの抗体がドメインIIIエピトープに結合し、より好ましくは本組成物が、ドメインIIIエピトープに結合する抗体を少なくとも2つは含む。また、本組成物はドメインIIIエピトープに結合する抗体を3つ含むこともできる。
【0089】
受容体結合研究により、いくつかの抗体は、実際には、さらなる抗体の結合を刺激することができ、特定の抗体は、1つまたはいくつかの抗体による受容体飽和後に、その受容体に、より多量に結合することが示されている。CD5に対する抗体組成物の組成を設計する際には、好ましくは、非オーバーラップエピトープを持つ抗体が使用される。というのも、それらは高い相乗効果をもたらすからである。
【0090】
本組成物の抗体は、非ヒト可変鎖とヒト定常鎖とを持つキメラ抗体であることができる。非ヒト可変鎖は、マウス、ラット、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、非ヒト霊長類または他の適切な動物に由来することができる。完全ヒト抗体を得るために、ヒト抗体遺伝子を持つトランスジェニック動物で、抗体を生成させることができる。抗体は、非ヒトCDR配列がヒトフレームワーク配列中に移植されている、いわゆるヒト化抗体であってもよい。
【0091】
好ましくは、ヒト定常鎖はIgG1またはIgG2アイソタイプである。より好ましくは、製造が容易になるように、組成物中の全ての抗体が同じアイソタイプを持つ。しかし、アイソタイプが異なる抗体を組成物に含めることは、有益でありうる。
【0092】
好ましくは、本発明の抗体組成物は、ヒトCD5、突然変異型(mutated)ヒトCD5、ヒトCD5の欠失変異体(deletion variant)からなる群より選択されるCD5に結合する能力を持つ抗体を含む。好ましくは、抗体は、臨床実験に先だって、適当な毒性試験で調べることができるように、ヒトCD5と非ヒト霊長類CD5とのどちらにも結合する能力を持つ。好ましくは、非ヒト霊長類はカニクイザル(cynomolgous monkey)(Macaca fascicularis)である。カニクイザルは比較的小さい動物であり、毒性試験にはよく適している。したがって、上記さらなる霊長類CD5は、好ましくは、カニクイザルCD5である。好ましくは、抗体はヒトCD5および非ヒト霊長類CD5にほぼ同じアフィニティーで結合する。
【0093】
1つの組成物中に2、3、4、5、6、7、および8個の抗体を組み合わせた場合、本発明は、1つまたはそれ以上の機能アッセイで、優れた結果を示した。これらのデータは組成物中の抗体の数の選択に関する指針にはなるが、決してそれらを限定的に解釈してはならない。たとえ実験データが4つの抗体の同時結合しか示していないとしても、本組成物は8個を超える抗体を含むことができる。組成物中に6個を超える抗体を含めることには、例えば抗体メンバーの排除速度の相違など、他の理由も存在しうる。
【0094】
本組成物の抗体のさらにもう一つの好ましい特徴はタンパク質の均質性(homogeneity)であり、したがって抗体は容易に精製することができる。個々の抗体メンバーについては、特徴づけが容易になるように、1つの別個のピークを持つイオン交換クロマトグラフィープロファイルが好ましい。最終抗体組成物の特徴づけが容易になるように、明瞭なイオン交換クロマトグラフィープロファイルも好ましい。抗体を組み合わせる場合は、それらの抗体の全てを含む組成物を1回の操作で特徴づけることができるように、イオン交換クロマトグラフィーを使ってそれらの抗体を識別できることも好ましい。
【0095】
抗体は、ヒト、マウス、ウサギ、ニワトリ、ブタ、ラマ、ヒツジなど、任意の起源を持ちうる。抗体は実施例で説明するようにキメラ抗体であってもよく、または当技術分野で記載されている周知の方法を使ったそのヒト化型、超ヒト化(super humanised)型もしくは再構成(reshaped)型であってもよい。
【0096】
本発明の抗体分子は、表1に示す抗体番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、および37のCDRを持つ抗体分子から選択することができる。これらの抗体分子のCDRを表1に、アミノ酸配列とヌクレオチド配列の両方で示す。
【0097】
さらにまた、本発明の抗体組成物は、好ましくは、表1に示す抗体番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、および37のCDRを持つ抗体分子から選択される1、2、3、4、5、6個の抗体を含むか、またはそれらの抗体だけを含みうる。
【0098】
[表1]抗体1〜37のCDR領域のアミノ酸配列およびDNA配列
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

【表1−7】

【表1−8】

【表1−9】

【表1−10】

【表1−11】

【表1−12】

【0099】
[表2]各抗体のVL鎖アミノ酸配列(「>[抗体番号],配列番号[数字]」およびそれに続く配列という形式で、抗体名別に列挙)
【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【表2−4】

【表2−5】

【表2−6】

【0100】
[表3]各抗体のVH鎖アミノ酸配列(「>[抗体番号],配列番号[数字]」およびそれに続く配列という形式で、抗体名別に列挙)
【表3−1】

【表3−2】

【表3−3】

【表3−4】

【表3−5】

【0101】
[表4]各抗体のVL鎖ヌクレオチド配列(「>[抗体番号],配列番号[数字]」およびそれに続く配列という形式で、抗体名別に列挙)
【表4−1】

【表4−2】

【表4−3】

【表4−4】

【表4−5】

【表4−6】

【表4−7】

【表4−8】

【表4−9】

【表4−10】

【0102】
[表5]各抗体のVH鎖ヌクレオチド配列(「>[抗体番号],配列番号[数字]」およびそれに続く配列という形式で、抗体名別に列挙)
【表5−1】

【表5−2】

【表5−3】

【表5−4】

【表5−5】

【表5−6】

【表5−7】

【表5−8】

【表5−9】

【表5−10】

【0103】
[表6]定常κ(軽鎖)および重鎖ドメインのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列
【表6】

【0104】
[表7]ヒトCD5のアミノ酸配列
配列番号507
>gi|7656965|ref|NP_055022.1|CD5分子[ヒト(Homo sapiens)]
【表7】

【0105】
[表8]ヒトCD5のヌクレオチド配列
配列番号508
>gi|166197667|ref|NM_014207.3|ヒト(Homo sapiens)CD5分子(CD5),mRNA
【表8−1】

【表8−2】

【0106】
【表9】

【0107】
エピトープマッピング
CD5分子は、細胞質(細胞内)ドメイン、膜貫通ドメインおよび3つの細胞外ドメイン(I、II、およびIII)からなる膜貫通糖タンパク質である。最もアミノ末端側のドメインであり細胞膜から最も遠い細胞外ドメインIは、通常、最も免疫原性が高いCD5のドメインであると見なされている。いくつかのモノクローナル抗体がCD5のドメインIに対して作製されている。しかし、CD5のドメインIIおよびIIIは、哺乳動物種間で、ドメインIよりも保存されている。したがって、突然変異型エピトープによる結合の欠如を避けるためには、ドメインIIまたはIII上の、より保存されたエピトープに結合する抗体が、一般に好ましい。また、異なるドメイン上の別個のエピトープを認識する抗体を含む組成物も好ましい。これには少なくとも2つの理由がある。第1に、異なるドメイン上の別個のエピトープを認識する抗体を含む組成物は、エピトープの突然変異による影響を受けにくい。第2に、CD5分子に対する複数の抗体の同時結合を達成することが望ましいだろう。これが起こる可能性は、異なるドメイン上のエピトープを認識する抗体の方が高い。
【0108】
本発明の抗体組成物の用途
本発明の組成物は、CD5を発現する細胞に関係する疾患のインビボでの処置および予防に使用することができる。本発明の組成物は、任意の適切な投与経路を使って、例えば、抗体に基づく臨床製品について当技術分野で知られている注射その他の投与経路を使って、治療有効投薬量(例えばCD5を発現する細胞の成長阻害、食作用、運動性の低下、最終分化、および/または殺滅をもたらす投薬量)で、患者(例えばヒト対象)に投与される。
【0109】
CD5を発現する細胞が関与し、本発明の抗体を使って処置、改善および/または予防することができる疾患には、がん、移植、自己免疫疾患および炎症性疾患があるが、これらに限るわけではない。好ましくは、本発明の組成物によって処置される疾患はCLLである。本発明の組成物は、関節リウマチの処置、改善または予防に関連して使用することもできる。さらにまた、本発明の組成物は、急性T細胞白血病、皮膚T細胞性リンパ腫、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の処置、改善または予防に関連して使用することができる。
【0110】
本発明の抗体の生産
本発明の抗体組成物は、1つまたは数個のバイオリアクターまたはその等価物中で、ポリクローナル発現細胞株から生産することができる。このアプローチによれば、抗CD5抗体を単一の調製物としてリアクターから精製することができ、抗CD5抗体組成物を構成する個々のメンバーを途中で分離する必要はない。抗体組成物を2つ以上のバイオリアクター中で生産する場合は、各バイオリアクターの個々の精製上清から得られる抗体をプールすることによって、精製抗CD5抗体組成物を得ることができる。
【0111】
組換え抗体組成物を生産する一つの方法はWO 2004/061104およびWO 2006/007850(これらの参考文献は引用により本明細書に組み込まれる)に記載されている。そこに記載されている方法は、個々の宿主細胞のゲノムへの抗体コード配列の部位特異的組込みに基づき、VHおよびVLタンパク質鎖が生産中に元のペアリングで維持されることを保証する。さらにまた、部位特異的組込みは位置効果を最小限に抑えるので、ポリクローナル細胞株における個々の細胞の成長および発現特性は極めて類似すると予想される。一般に、本方法には、i)1つ以上のリコンビナーゼ認識部位を持つ宿主細胞;ii)宿主細胞のそれと適合する少なくとも一つのリコンビナーゼ認識部位を持つ発現ベクター;iii)選択されたVHおよびVLコードペアをスクリーニングベクターから発現ベクターに移動させることにより、全長抗体または抗体フラグメントがそのベクターから発現されうるように、発現ベクターの集合物(collection)を作製すること(スクリーニングベクターが発現ベクターと同一である場合、このような移動は必ずしも必要ないだろう);iv)発現ベクターの集合物と、宿主細胞のゲノム中のリコンビナーゼ認識部位をベクター中のそれと組み合わせる能力を持つリコンビナーゼをコードするベクターとによる、宿主細胞のトランスフェクション;v)トランスフェクトされた宿主細胞からのポリクローナル細胞株の取得/生成およびvi)ポリクローナル細胞株からの抗体組成物の発現および収集が含まれる。
【0112】
1つの組成物中に小数(2〜3またはそれ以上)の抗体を使用する場合、それらは、例えばWO 2004/085474に記載されているモノクローナル抗体の製造方法と類似する方法で、個別に発現させ、精製することができる。精製された抗体は、精製後に混合するか、別々のバイアルにパッケージして、投与の直前に混合するか、別々に投与することができる。
【0113】
好ましくは、哺乳動物細胞、例えばCHO細胞、COS細胞、BHK細胞、骨髄腫細胞(例えばSp2/0またはNS0細胞)、NIH 3T3などの線維芽細胞、および不死化ヒト細胞、例えばHeLa細胞、HEK293細胞、またはPER.C6を使用する。しかし、非哺乳動物真核細胞または原核細胞、例えば植物細胞、昆虫細胞、酵母細胞、真菌、大腸菌(E. coli)なども、使用することができる。適切な宿主細胞は、そのゲノム中に1つ以上の適切なリコンビナーゼ認識部位を含む。宿主細胞は、組込み体(integrant)(すなわち組込み部位に抗CD5 Ab発現ベクターまたは発現ベクターフラグメントのコピーが組み込まれている細胞)の選択が可能なように、組込み部位に作動可能に連結された選択方法も含有するべきである。ゲノム中の予め決定された位置にFRT部位を持つ細胞の細胞の作製は、例えばUS 5,677,177に記載されている。好ましくは、宿主細胞は、組込み体の高発現を可能にする部位(いわゆるホットスポット)に位置する組込み部位を一つだけ持つ。
【0114】
適切な発現ベクターは、宿主細胞のリコンビナーゼ認識部位に対応する組換え認識部位を含む。好ましくは、リコンビナーゼ認識部位は宿主細胞の構築に使用した選択遺伝子とは異なる適切な選択遺伝子に連結される。選択遺伝子は当技術分野ではよく知られており、例えばグルタミンシンテターゼ遺伝子(GS)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子(DHFR)、およびネオマイシンなどがあり、GSまたはDHFRは挿入されたVHおよびVL配列の遺伝子増幅に使用することができる。ベクターは、ベクターの完全な組込みの代わりに抗体コード配列のリコンビナーゼ媒介カセット交換(recombinase-mediated cassette exchange)(RMCE)を行うことができるように、2つの異なるリコンビナーゼ認識部位を含有してもよい。RMCEは、Langerら 2002、SchlakeおよびBode 1994に記載されている。適切なリコンビナーゼ認識部位は当技術分野ではよく知られており、例えばFRT、loxおよびattP/attB部位などがある。好ましくは、組込みベクターは、アイソタイプコードベクターであって、そこにはスクリーニングベクターからVHおよびVLコードペアを移動(transfer)させる前に、定常領域(好ましくはイントロンを含む)がベクター中に存在する(またはスクリーニングが全長抗体に対して行われるのであれば、定常領域がスクリーニングベクター中に既に存在する)。ベクター中に存在する定常領域は、重鎖定常領域全体(CH1からCH3またはCH4まで)であるか、抗体のFc部分をコードする定常領域(CH2からCH3またはCH4まで)であることができる。軽鎖κまたはλ定常領域も移動前に存在しうる。定常領域が存在する場合、その数の選択は、使用するスクリーニングおよび移動系(transfer system)に依存する。重鎖定常領域は、アイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM、IgDおよびIgEから選択することができる。好ましいアイソタイプはIgG1、IgG2、および/またはIgG3である。さらに、抗CD5抗体コード核酸の部位特異的組込みのための発現ベクターは、VHおよびVL鎖のそれぞれの高レベルな発現をもたらす適切なプロモーターまたは等価な配列を含有する。
【0115】
選択されたVHおよびVLコードペアの、スクリーニングベクターからの移動は、各発現ベクター分子が1つのVHおよびVLコードペアを含有するように、従来の制限酵素切断およびライゲーションによって、行うことができる。好ましくは、VHおよびVLコードペアを、個別に移動させるが、所望であれば、それらを一まとめにして移動させることもできる。選択されたVHおよびVLコードペアの全てを発現ベクターに移動させると、発現ベクターの集合物(collection)またはライブラリーが得られる。所望であれば、これに代わる移動方法も使用することができる。スクリーニングベクターが発現ベクターと同一である場合、発現ベクターのライブラリーは、スクリーニング中に選択されたVHおよびVL配列ペア(スクリーニング/発現ベクター中に置かれているもの)から構成される。
【0116】
核酸配列を宿主細胞中にトランスフェクトするための方法は当技術分野では知られている。部位特異的組込みを保証するために、宿主細胞には適切なリコンビナーゼも提供しなければならない。これは、好ましくは、リコンビナーゼをコードするプラスミドのコトランスフェクションによって達成される。適切なリコンビナーゼは、例えば、対応するリコンビナーゼ認識部位を持つ宿主細胞/ベクター系と一緒に使用されるFlp、CreまたはファージφC31インテグラーゼである。宿主細胞をまとめてトランスフェクトし、すなわち発現ベクターのライブラリーを1回の反応で細胞株にトランスフェクトし、それによってポリクローナル細胞株を得ることができる。あるいは、発現ベクターの集合物を宿主細胞に個別にトランスフェクトし、それによって個々の細胞株(各細胞株は特定の特異性を持つ抗体を産生する)の集合物(collection)を生成させることもできる。次に、トランスフェクション後に生成する(個別またはポリクローナル)細胞株を、部位特異的組込み体について選択し、それらがトランスフェクション前に懸濁無血清培地での培養に既に適応していなかった場合は、懸濁無血清培地での培養に適応させる。トランスフェクションを個別に行った場合は、個々の細胞株をそれらの成長特性および抗体産生に関してさらに分析する。ポリクローナル細胞株の作製には、好ましくは、類似する増殖速度および抗体発現レベルを持つ細胞株を選択する。次に、個々の細胞株を所定の比で混合することにより、ポリクローナル細胞株を作製する。一般に、ポリクローナルマスター(master)細胞バンク(pMCB)、ポリクローナルリサーチ(research)細胞バンク(pRCB)および/またはポリクローナルワーキング(working)細胞バンク(pWCB)が、ポリクローナル細胞株から作り出される。ポリクローナル細胞株は、個々の細胞株を所定の比で混合することによって作製される。ポリクローナル細胞株をアンプルに分注することによって、ポリクローナルリサーチ細胞バンク(pRCB)またはマスター細胞バンク(pMCB)が作製され、そのリサーチまたはマスター細胞バンクの細胞を拡張させる(expand)ことにより、そこからポリクローナルワーキング細胞バンク(pWCB)を作製することができる。リサーチ細胞バンクは主として概念実証試験用であり、リサーチ細胞バンクでは、ポリクローナル細胞株が、マスター細胞バンク中のポリクローナル細胞株ほど多くは個々のポリクローナル抗体を含まないかもしれない。通常、pMCBをさらに拡張して、生産用のpWCBを作り出す。pWCBを使い果たしたら、pMCBの新しいアンプルを拡張して、新しいpWCBを作り出す。
【0117】
本発明の一実施形態は、本発明の組換え抗CD5抗体組成物を発現する能力を持つポリクローナル細胞株である。
【0118】
本発明のさらなる一実施形態は、個々の細胞がそれぞれ単一のVHおよびVLコードペアを発現する能力を持ち、ポリクローナル細胞株全体としてVHおよびVLコードペアの集合物(collection)を発現する能力を持ち、各VHおよびVLペアが抗CD5抗体をコードしている、ポリクローナル細胞株である。好ましくは、VHおよびVLコードペアの集合物は、本発明の方法に従って作製されるコグネイトペアである。
【0119】
本発明の組換え抗体組成物は、pWCBのアンプル1本を、ポリクローナル細胞株が安定であり続けて、抗体の十分な発現を可能にするような適当な期間(この時間枠はおよそ15日〜50日の間にある)、適当な培地で培養することによって製造することができる。流加培養法または潅流培養法などの培養方法を使用することができる。組換え抗体組成物は培養培地から得られ、従来の精製技法によって精製される。アフィニティークロマトグラフィーと、それに続くイオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用およびゲル濾過などの精製工程との組合せが、IgGの精製にはよく使用されてきた。精製後に、ポリクローナル抗体組成物における個々のメンバーの全ての存在を、例えばイオン交換クロマトグラフィーなどによって評価する。そのような抗体組成物の特徴づけはWO 2006/007853(引用により本明細書に組み込まれる)に詳述されている。
【0120】
組換え宿主中で抗体の混合物を発現させる代替的方法はWO 2004/009618に記載されている。この方法では、同じ軽鎖と会合した異なる重鎖を持つ抗体が、単一の細胞株から製造される。抗CD5抗体組成物がコンビナトリアルライブラリーから製造される場合には、このアプローチを応用することができる。
【0121】
治療組成物
本発明のもう一つの態様は、本発明の抗CD5抗体組成物、または抗CD5組換えFabもしくは他の抗CD5組換え抗体フラグメント組成物、または二重特異性結合分子を活性成分として含む医薬組成物である。好ましくは、そのような組成物の活性成分は、本発明に記載する抗CD5組換え抗体組成物である。そのような組成物は、CLLなどのがんを改善および/または予防および/または処置することを目的とする。そのような組成物は、関節リウマチを改善および/または予防および/または処置することも目的としうる。好ましくは、医薬組成物は、ヒト、家畜、またはペットに投与される。
【0122】
医薬組成物はさらに医薬上許容される賦形剤を含みうる。
【0123】
抗CD5抗体組成物またはその抗体のフラグメントは、医薬上許容される希釈剤、担体、または賦形剤に入れて、単位剤形(unit dosage form)として投与することができる。従来の医薬実務を使って、患者に投与するための適切な製剤または組成物を得ることができる。好ましい実施形態では投与は治療的であり、すなわち、疾患状態が診断された後に投与される。任意の適切な投与経路を使用することができ、例えば投与は、非経口、静脈内、動脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、エアロゾル、坐剤、または経口投与であることができる。例えば医薬製剤は、溶液または懸濁液の形態をとりうる。鼻腔内製剤の場合、抗体は、粉末、点鼻液、またはエアロゾルの形態で投与することができる。
【0124】
本発明の医薬組成物は、自体公知の方法で、例えば従来の溶解、凍結乾燥、混合、造粒、または糖剤化工程などによって、製造される。医薬組成物は、従来の医薬実務に従って製剤化することができる(例えばA.R. Gennaro編「Remington: The Science and Practice of Pharmacy」(第20版)2000、Lippincott Williams & Wilkins、ペンシルベニア州フィラデルフィアならびにJ.SwarbrickおよびJ.C.Boylan編「Encyclopedia of Pharmaceutical Technology」1988-1999、Marcel Dekker、ニューヨーク州ニューヨークを参照のこと)。
【0125】
好ましくは、活性成分の溶液または懸濁液、特に等張性水溶液または水性懸濁液を使って、本発明の医薬組成物を製造する。活性成分を単独で含むか、担体、例えばマンニトールと一緒に含む凍結乾燥組成物の場合は、上述の溶液または懸濁液を、可能であれば、使用前に調製してもよい。医薬組成物は滅菌することができ、かつ/または賦形剤、例えば保存剤、安定剤、湿潤および/または乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節するための塩類および/または緩衝剤などを含むことができ、自体公知の方法で、例えば従来の溶解または凍結乾燥工程などによって製造される。前記溶液または懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルピロリドンまたはゼラチンなどの増粘物質を含んでもよい。
【0126】
注射組成物は、通常の方法により、滅菌条件下で製造され、アンプルまたはバイアルへの組成物の導入および容器の封止にも、同じ事が言える。
【0127】
医薬組成物は、約1%から約95%まで、好ましくは約20%から約90%までの活性成分を含む。本発明の医薬組成物は、例えば、単位用量形(unit dose form)、例えばアンプル、バイアル、坐剤、錠剤、丸剤、またはカプセル剤などの形態をとることができる。製剤は、ある疾患または状態に関する治療を施すために、ヒト個体に治療有効量または予防有効量(例えば病的状態を予防し、排除し、または軽減する量)で投与することができる。治療剤の好ましい投薬量は、疾患の重症度、その患者の全体的健康状態、複合賦形剤の処方(the formulation of the compound excipients)、およびその投与経路などの変量に依存するだろう。
【0128】
診断用途
本発明のもう一つの実施形態は、診断キットに向けられる。本発明のキットは、本発明に従って製造された抗CD5抗体組成物を含み、そのタンパク質は検出可能なラベルで標識されていてもよいし、非ラベル検出(non-label detection)用に非標識であってもよい。本キットは、CD5の過剰発現に関連するがんに冒されている個体を同定するために使用することができる。
【0129】
本発明の抗体組成物
ある態様において、本発明は、別個のドメインIエピトープに結合する能力を持つ、少なくとも3つ、例えば3つ、または少なくとも4つ、例えば4つ、または少なくとも5つ、例えば5つ、または少なくとも6つ、例えば6つの抗CD5抗体を含む抗体組成物に関する。ある態様では、前記別個のエピトープが、ドメインIの非オーバーラップエピトープである。
【0130】
ある態様において、本発明は、別個のエピトープに結合する能力を持つ、少なくとも3つ、例えば3つ、または少なくとも4つ、例えば4つ、または少なくとも5つ、例えば5つ、または少なくとも6つ、例えば6つの抗CD5抗体を含む抗体組成物に関する。ある態様では、前記別個のエピトープが非オーバーラップエピトープである。
【0131】
ある態様において、本発明は、別個のエピトープに結合する抗CD5抗体の下記の組成物から選択される、抗体組成物に関する。
【表10】

【表11】

【0132】
高CD5アフィニティー抗体を含む本発明の組成物
もう一つの態様では、本発明の抗体組成物の抗CD5抗体が、本明細書の表13に従って、それらのCD5アフィニティーゆえに選択される。ある態様では、抗体組成物が、CD5に対して比較的高いアフィニティーを持つ抗体を含む。
【0133】
本発明の抗体組成物とCD5インターナリゼーション
もう一つの態様において、本発明の抗体組成物は、CD5のインターナリゼーションを引き起こす能力を持つ。CD5のインターナリゼーションはCD5の分解につながりうる。CD5のインターナリゼーションはCD5より下流のシグナル経路を効果的にブロックし、それによってCD5シグナリングを減少させることができる。したがって、CD5のインターナリゼーションと場合によってはそれに続くCD5の細胞内分解とを引き起こす能力を持つ本発明の抗体組成物を使ってCD5をターゲットとすることにより、CD5機能を効果的にブロックすることができる。
【0134】
CLLでは、その病理は、主にゆっくり分裂する(predominantly slowly dividing)CD5陽性Bリンパ球の蓄積を特徴とする。この蓄積は、大部分が、過剰な増殖によるのではなく、細胞の増加した(病的)生残によって引き起こされる。細胞の増加した生残は、少なくとも部分的には、プログラム細胞死(アポトーシス)不全による。これと同じアポトーシス不全が、化学療法に対するCLLの固有の抵抗性の背後にある。CLLの病理を克服する方法の一つは、蓄積された細胞の排除を引き起こすことである。最新の治療法として、患者自身の血液の一部を取り出すことによって、蓄積した細胞の一部を除去し、それを蓄積した細胞を含まないドナー血で置き換える方法がある。蓄積した細胞に関して言えば、CD5のインターナリゼーションと分解は、おそらく細胞の有意な排除にはつながらないだろう。したがって、CD5のインターナリゼーションを引き起こす能力を持つ本発明の組成物は、この点では好ましくない。しかし、CD5のインターナリゼーションと分解に関連する正の効果は他にも存在しうる。そのような場合は、インターナリゼーションを引き起こす組成物が有益になりうる。
【0135】
CD5インターナリゼーションを引き起こす能力を持つ抗体組成物は、次に挙げる抗体の組合せを含む抗CD5抗体組成物から選択することができる:9+14+15+17+18+31、9+14+15+17+18、9+15+18+31、9+15+18。
【0136】
CD5分解を引き起こす能力を持つ抗体組成物は、次に挙げる抗体の組合せを含む抗CD5抗体組成物から選択することができる:9+14+15+17+18+31および9+15+18。
【0137】
本発明の抗体組成物およびCD5陽性細胞の排除
ある態様では、本発明の組成物の抗体のCD5への結合が、CD5のインターナリゼーションをもたらさない。この場合、前記抗体によって結合されたCD5はCD5陽性細胞の表面上に留まるので、例えばエフェクター機序ADCCおよびCDCなどによる細胞の排除が可能になる。CD5陽性細胞を排除するには、これらのエフェクター機序を生じさせることが有利になりうる。したがって、組成物の抗体がCD5に結合した後にその抗体がCD5陽性細胞の表面上に留まる抗体組成物を使用することが有利になりうる。
【0138】
上述のように、CLLは細胞の病的蓄積を特徴とする。CD5のインターナリゼーションを引き起こす能力をもたず、したがって例えばエフェクター機序ADCCおよびCDCなどによる細胞の排除をもたらす能力を持つ組成物は、この蓄積を矯正しうる。したがって、CD5インターナリゼーションをもたらさない本発明の組成物を使用することにより、CD5陽性細胞を、ADCCおよびCDCなどのエフェクター機序の特異的ターゲットとし、それによって系から排除することができる。したがってこのアプローチは、CD5陽性リンパ球のアポトーシス不全によって引き起こされる蓄積に対抗することができる。したがって、例えばCD5のインターナリゼーションを引き起こさない組成物など、CD5陽性Bリンパ球の排除を引き起こす能力を持つ本発明の組成物は好ましい。
【0139】
組成物の抗体のCD5への結合がCD5のインターナリゼーションにつながらない抗体組成物は、次に挙げる抗体の組合せを含む抗CD5抗体組成物から選択することができる:14+17、および17+18。
【0140】
CD5分解を引き起こす能力を持たない抗体組成物は抗体14+17を含むことができる。
【実施例】
【0141】
[実施例1]
抗CD5抗体のクローニング
免疫化
雌BALB/c、A系マウス(8〜10週齢)を、CD5-ヒト成長ホルモン(hGH)融合タンパク質の注射による免疫化に使用した。社内で作製したCD5細胞外ドメイン(ECD)を全ての免疫化に使用した。CD5-ECDは、タバコ・エッチ・ウイルス(Tabacco Etch Virus:TEV)切断部位によって分離されたCD5のECDとヒト成長ホルモン(hGH)とからなる融合タンパク質として製造した。
【0142】
CD5-hGHをPBSに希釈してから、フロイントアジュバントと1:1に混合した。アジュバントは、免疫応答を強化し調整するために使用される。最初の免疫化には完全フロイントアジュバント(CFA)を使用し、それ以後の免疫化には不完全フロイントアジュバント(IFA)を使用した。IFAは鉱油から構成される水中油型エマルションであり、CFAは加熱殺菌乾燥マイコバクテリウム種が添加されたIFAである。どちらのアジュバントにもデポー効果がある。CFAは免疫応答の長期持続を引き起こし、免疫応答を増強するために最初の免疫化に使用され、IFAはそれ以後の免疫化に使用される。水を張ったグラスの表面に1滴を加えることによってエマルションを試験した。その液滴が1滴のままである場合、そのエマルションは安定であり、注射を行うことができる。安定なエマルションだけをマウスに投与した。各注射につき50μgのCD5-hGHを使用した。マウスには合計4回の注射を行った。全てのマウスに100μlのエマルションを注射した。注射は皮下(s.c.)に行った。
【0143】
終了時に、マウスをヒプノルム(Hypnorm)-ドルミカム(Dormicum)の注射によって6日目に屠殺し、脾臓を取り出し、74μmセルストレーナー(Corning #136350-3479)に移した。細胞をフィルターによって解離し、10%FBSを含む冷RPMI1640に再懸濁し、300×gで5分間遠心分離した。細胞ペレットを1%FBSを含むRPMI1640に再懸濁し、50μmシリンジフィルター(BD #340603)を通して濾過し、遠心分離によって集めた。細胞ペレットを10%DMSOを含むFCSに再懸濁してから凍結保存し、冷凍細胞をFACS選別を行うまで-80℃で保存した。
【0144】
マウス形質細胞のFACS選別
凍結脾細胞が入っているバイアルを37℃で融解し、まだ存在する氷と一緒に15mlチューブに移した。10mlの氷冷RPMI、10%FBS(ウシ胎児血清)を、チューブに、旋回させながら滴下した。10mlのFACS PBSで1回洗浄した後、5mlのFCS PBSを加えてから、50μm Filconで細胞を濾過する。次に、細胞をペレット化し、2%FBSを含む1mlのPBS(最終体積)に再懸濁し、抗CD43-FITCおよび抗CD138-PEを使って特定の希釈度(約5μg/ml)で染色した。細胞を4℃、暗所で20分間インキュベートした。次に細胞を2mlのFACS緩衝液で2回洗浄した。最大15mlのFACS PBSを加えた。ヨウ化プロピジウム(PI)を1:100の割合で加えた後、PCR反応緩衝液(下記参照)が入っている96穴PCRプレート中に選別し、400×gで2分間遠沈してから、プレートを-80℃で凍結した。図1に示すように、形質細胞を、CD43陽性/CD138陽性としてゲーティングした。
【0145】
コグネイトVHおよびVLペアの連結
形質細胞としてゲーティングされた単一細胞でVHおよびVLコード配列の連結を行うことにより、VHおよびVLコード配列のコグネイトペアリングを容易にした。この手法では、1段階マルチプレックスオーバーラップ伸長RT-PCRと、それに続くネステッドPCRとに基づく、2段階PCR法を利用した。本実施例で使用したプライマー混合物はκ軽鎖だけを増幅する。しかし、所望であれば、λ軽鎖を増幅する能力を持つプライマーをマルチプレックスプライマー混合物およびネステッドPCRプライマー混合物に加えることもできる。λプライマーを加える場合は、λ陽性細胞が除外されないように選別手法を適合させるべきである。コグネイトVHおよびVL配列の連結に関する原理を図2に図解する。
【0146】
作製した96穴PCRプレートを融解し、選別された細胞をマルチプレックスオーバーラップ伸長RT-PCRのテンプレートとして使用した。単一細胞選別前に各ウェルに加えた選別緩衝液は、反応緩衝液(OneStep RT-PCR Buffer;Qiagen)、RT-PCR用プライマー(表10参照)およびRNaseインヒビター(RNasin、Promega)を含有していた。これに、OneStep RT-PCR Enzyme Mix(25倍希釈;Qiagen)とdNTP混合物(各200μM)とを補足して、反応体積20μl中で所与の最終濃度にした。プレートを55℃で30分間インキュベートして、各細胞のRNAを逆転写させた。RT後に、プレートを以下のPCRサイクルに供した:94℃で10分、35×(94℃で40秒、60℃で40秒、72℃で5分)、72℃で10分。
【0147】
PCR反応は、ハイスループットを容易にするために、96穴プレート24枚用のピール・シール・バスケット(Peel Seal Basket)を使って、H20BITサーマルサイクラー(ABgene)で行った。PCRプレートはサイクル処理後に-20℃で保存した。
【0148】
ネステッドPCR段階については、所与の最終濃度が得られるように、各ウェル(反応液量20μl)に以下の混合物を含む96穴PCRプレートを調製した:1×FastStart緩衝液(Roche)、dNTP混合物(各200μM)、ネステッドプライマー混合物(表11参照)、Phusion DNAポリメラーゼ(0.08U;Finnzymes)およびFastStart High Fidelity酵素ブレンド(0.8U;Roche)。ネステッドPCR用のテンプレートとして、マルチプレックスオーバーラップ伸長PCR反応液から、1μlを移した。それらのネステッドPCRプレートを、以下の熱サイクル処理に供した:35×(95℃で30秒、60℃で30秒、72℃で90秒)、72℃で10分。
【0149】
無作為に選択した反応物を1%アガロースゲルで分析することにより、約890塩基対(bp)のオーバーラップ伸長フラグメントが存在することを確認した。それらのPCRフラグメントをさらに加工するまで、プレートを-20℃で保存した。ネステッドPCRで得た、連結されたVHおよびVLコードペアのレパートリーを、異なるドナー由来のペアを混合せずにプールし、分取用1%アガロースゲル電気泳動で精製した。ヒトκ定常軽鎖コード配列を、連結されたVHおよびVLコードペアのプールされたPCR産物のVLコード領域に、オーバーラップ伸長法でスプライスした(図3)。ヒトκ定常軽鎖コード配列は、κ軽鎖を持つヒト抗体のコード配列を含有するプラスミドから、次に挙げる試薬類を含有する反応で増幅させた:総体積50μl中、Phusion酵素(2U;Finnzymes)、1×Phusion緩衝液、dNTP混合物(各200μM)、hKCforw-v2プライマーおよびκ3’プライマー(表12)、ならびにプラスミドテンプレートpLL138(10ng/μl)。反応は以下の熱サイクル処理に供した:25×(95℃で30秒、55℃で30秒、72℃で45秒)、72℃で10分。その結果生じたPCRフラグメントを分取用1%アガロースゲル電気泳動で精製した。
【0150】
各レパートリーの精製プールPCRフラグメントを、次に挙げる試薬類を含有するオーバーラップ伸長PCR(総体積50μl)による以下のスプライシングにより、ヒトκ定常部コード領域(付表2)の増幅精製PCRフラグメントにスプライスした:ヒトκ定常部コード領域フラグメント(1.4ng/μl)、精製プールPCRフラグメント(1.4ng/μl)、Phusion DNAポリメラーゼ(0.5U;Finnzymes)およびFastStart High Fidelity酵素ブレンド(0.2U;Roche)、1×FastStart緩衝液(Roche)、dNTP混合物(各200μM)、mhKCrevプライマーおよびmJHセットプライマー(表12参照)。反応を以下の熱サイクル処理に供した:95℃で2分、25×(95℃で30秒、55℃で30秒、72℃で1分)、72℃で10分。その結果生じたPCRフラグメントを分取用1%アガロースゲル電気泳動で精製した。
【0151】
コグネイトVHおよびVLコードペアのスクリーニングベクターへの挿入
CD5に対する結合特異性を持つ抗体を同定するために、得られたVHおよびVLコード配列を、全長抗体として発現させた。これには、VHおよびVLコードペアのレパートリーを発現ベクターに挿入し、宿主細胞に形質転換することが必要だった。
【0152】
連結されたVHおよびVLコードペアを含有する発現ベクターのレパートリーを作製するために、2段階のクローニング手法を使用した。統計的に、発現ベクターのレパートリーが、スクリーニングレパートリーの作製に使用したコグネイトペアVHおよびVL PCR産物の数の10倍に相当する数の組換えプラスミドを含有する場合、ユニークな遺伝子ペアの全てが体現される可能性は99%ある。そこで、400個のオーバーラップ伸長V遺伝子フラグメントが得られた場合には、スクリーニングのために、少なくとも4000クローンのレパートリーを作製した。
【0153】
簡単に述べると、連結されたVHおよびVLコードペアのレパートリーの精製PCR産物がヒトκ定常コード領域にスプライスされているものを、XhoIおよびNotI DNAエンドヌクレアーゼにより、PCR産物の末端に導入された認識部位で切断した。切断され精製されたフラグメントを、XhoI/NotIで消化した哺乳類IgG発現ベクターOO-VP-002(図4)に、標準的なライゲーション手法でライゲートした。そのライゲーション混合物を大腸菌中にエレクトロポレーションし、適切な抗生物質を含有する2×YTプレートに加えて、37℃で終夜インキュベートした。プレートから回収された細胞から、標準的なDNA精製方法(Qiagen)を使って、増幅されたベクターのレパートリーを精製した。プロモーター-リーダーフラグメントの挿入に備えて、プラスミドを、AscIおよびNheIエンドヌクレアーゼで切断した。これらの酵素の制限部位は、VHおよびVLコード遺伝子ペアの間に位置した。ベクターを精製した後、AscI-NheIで消化した二方向哺乳類プロモーター-リーダーフラグメントを、標準的なライゲーション手法で、AscIおよびNheI制限部位に挿入した。ライゲートされたベクターを大腸菌中で増幅し、標準的な方法を使ってプラスミドを精製した。生成したスクリーニングベクターのレパートリーを、従来の手法で、大腸菌に形質転換した。得られたコロニーを384穴マスタープレートに集約し、貯蔵した。並べられたコロニーの数は、インプット(input)PCR産物の数を、少なくとも3倍は上回ったので、得られたユニークなV遺伝子ペアの全てが存在する可能性は95%になった。
【0154】
CD5細胞外ドメインへの結合に関するスクリーニング
一般に、スクリーニングは2段階法として行った。抗体ライブラリーを、ELISAで、組換えCD5-ECDタンパク質に対する反応性についてスクリーニングした後、細胞表面発現CD5への抗CD5抗体結合を検出するために、CD5トランスフェクトDG05.2細胞株を使った細胞ベースのアプローチとして、フローサイトメトリーを使用した。簡単に述べると、ELISAについては、Nunc maxisorbプレート(カタログ番号464718)を、PBS中に希釈した5μg/ml CD5-ECDタンパク質(CD5-ECDはTEVプロテアーゼ切断とそれに続くニッケルカラムでの精製によって単離した)20μlにより、4℃で終夜コーティングした。翌日、ウェルを50μlの1%BSA-PBS-T中、室温で1時間ブロッキングし、続いてPBS+0.05%Tween 20(PBS-T)で4回洗浄した後、13μlの1%BSA-PBS-Tと、CHO-flp-019トランスフェクタント(下記参照)から得られる上清2μlとを加え、室温で1時間半インキュベートした。次に、プレートをPBS-Tで1回洗浄し、上清中に存在する抗体を検出するために、1%BSA-PBS-Tで1:5000希釈した20μl/ウェルの二次抗体(HRP-ヤギ抗ヒトIgG、Jackson、カタログ番号109-035-097)を加え、室温で1時間インキュベートした。プレートをPBS-Tで4回洗浄してから、25μlの基質(Kem-en-tec Diagnostics、カタログ番号4390)を加え、それを5分間インキュベートした。インキュベーション後に、25μlの1M硫酸を加えて反応を停止させた。ELISAリーダーで450nmの特異的シグナルを検出した。
【0155】
抗CD5抗体の、細胞ベースのフローサイトメトリー検出には、完全長CD5でトランスフェクトされたDG05.2細胞を使用した。細胞は、10%FBS(ウシ胎仔血清)および1%ペニシリン・ストレプトマイシンを補足したMEMα培地で培養した。スクリーニングに使用する前に、細胞をPBSで洗浄し、TrypLEでトリプシン処理し、成長培地に再懸濁した。次にその細胞懸濁液を、250×gで5分間遠心分離し、ほぐすことにより、PBS中で2回洗浄し、5mlの1%FBS-PBSに再懸濁した。細胞を計数し、500000細胞/mlに希釈し、その溶液のうち25μlを、1%FBS-PBSに希釈した25μlの40μg/ml抗CD5抗体と混合し、暗所、4℃で、30分間インキュベートした。細胞-抗体懸濁液を、250×gで5分間遠心分離することにより、PBS中で2回洗浄し、ほぐし、50μlのAPCコンジュゲートマウス抗ヒトIgG抗体(BD Pharmingenカタログ番号550931)を加えてから、暗所、4℃で30分間インキュベートした。その細胞-抗体懸濁液を、250×gで5分間遠心分離することにより、PBS中で2回洗浄し、ほぐし、100μlの1%BSA-PBSに再懸濁し、HTSユニットを装備したFACS Caliburを使って分析した。
【0156】
スクリーニングによって得られたデータは、全クローンのうち68個(11.7%)がELISAにおいて陽性であったことを示している。37個のユニークなクロノタイプが同定された。37個のクロノタイプのうち15個はFACSでも陽性だった。ユニークなクロノタイプの全てをさらなる分析のために選択した。
【0157】
配列解析およびクローン選択
ELISAでCD5特異的と同定されたクローンを、元のマスタープレート(384穴フォーマット)から回収し、新しいプレートに集約した。DNAをクローンから単離し、V遺伝子のDNA配列決定に付した。配列をアラインし、ユニークなクローンを全て選択した。得られた配列の多重アラインメントにより、各特定クローンのユニーク性が明らかになり、ユニークな抗体の同定が可能になった。68個のクローンを配列解析することにより、37個の、遺伝子的に別個な抗体配列クラスターが同定された。関連配列のこれらのクラスターは、おそらく、共通する前駆体クローンの体細胞超変異によって派生したものだろう。全体に、各クラスターから1個のクローンを選択して、配列および特異性を検証した。選択された抗体可変配列の配列を付表1に示す。
【0158】
配列および特異性の検証
抗体コードクローンを検証するために、DNAプラスミドを作製し、2ml規模でのFreeStyle CHO-S細胞(Invitrogen)のトランスフェクションを、発現のために行った。トランスフェクションの96時間後に上清を収集した。CD5特異的ELISAによって特異性を決定した。
【0159】
[表9]抗CD5抗体クローニング用の出発材料を作製するために使用した免疫化スケジュール
【表12】

【0160】
【表13】

【0161】
【表14】

【0162】
【表15】

【0163】
[実施例2]
抗CD5抗体の哺乳類生産
抗EGFR抗体の一過性発現にはFreeStyle MAX CHO発現系(Invitrogen)を使用した。抗体を200〜2000mlの体積で発現させた。
【0164】
トランスフェクションの約24時間前に、CHO-S細胞を継代して、0.5×106細胞/mlの細胞濃度に到達させた。プラスミド(細胞培養培地1mlあたり1.25μg)を、OptiPro無血清培地中に希釈し、供給業者の推奨どおり、FreeStyle MAXトランスフェクション試薬の溶液と混合した。トランスフェクション試薬を細胞培養物に移し、8日後に上清を収集した。
【0165】
Protein A-Sepharoseカラム(MabSelect Sure、GE Health Care)を使用するアフィニティークロマトグラフィー工程を使ってIgG1分子を精製することにより、発現した抗体を培養上清から精製した。0.1Mグリシン、2.7を使って、抗体をカラムから溶出させた。280nmにおける吸光度測定によって決定した抗体含有画分をプールし、1×PBSに対して透析した。
【0166】
[実施例3]
エピトープ特異性の決定
リファレンス抗体との競合ELISA
CD5に結合するリファレンス抗体を利用し、抗CD5抗体のヒトFc領域に特異的であってマウスIgG Fcに対する交差反応性を示さない二次試薬と共にインキュベートすることにより、抗CD5抗体の結合エピトープ同士を識別することができる競合ELISAを開発した。このELISAは、Ditzelら, 1995, The Journal of Immunology, Vol 154, Issue 2 893-906で公表された記載を適合させたものである。
【0167】
CD5-ECD抗原をPBSで1μg/mlに希釈し、50μl/ELISAウェルを4℃で終夜コーティングすることにより、エピトープブロッキングELISA(epitope blocking ELISA)を行った。翌朝、ウェルをPBS-Tで2回洗浄し、PBS-T-1%BSAを使って室温で1時間ブロッキングした後、PBS-Tで4回洗浄した。次に、この濃度におけるCD5上の全てのエピトープを飽和させることが先の実験からわかっている希釈率で、25μlのマウスリファレンスmAbを、独立したELISAウェルに加えた。15分後に、抗CD5抗体を含有する25μlの上清を、リファレンス抗体と共にプレインキュベートしたウェルまたは25μlのPBSを含有するウェルに加えた。抗体を室温で45分間インキュベートした後、ウェルをPBS-Tで4回洗浄した。二次ヤギ抗ヒトIgG HRPコンジュゲートを1:3000に希釈し、50μlを各ウェルに加えてから、室温で30分間インキュベートした。最後にウェルをPBS-Tで4回洗浄し、50μl/ウェルのTMBを加えることによってプレートを発色させ、5〜15〜30分ごとに620nmで読み取った後、50μl/ウェルの1M H2SO4で反応を停止させ、450nmで読み取った。阻害度は式:%阻害=(1-(OD競合/OD競合なし(PBS)))×100から算出した。
【0168】
ELISA試薬:
1)コーティング緩衝液:1×PBS;Gibcoカタログ番号:20012-019
2)抗原:CD5-ECD
3)ELISAプレート:NUNC Maxisorp;カタログ番号:442404
4)ブロッキング/希釈緩衝液:PBS-T中の1%BSA(PBS-T-1%BSA)
5)洗浄緩衝液:1×PBS/0.05%Tween 20(PBS-T)
6)リファレンス抗体:
・UCHT-2(マウス)、BD Pharmingen、555350
・BL1a(マウス)、Beckman Coulter、IM116
・1804(マウス)、AbD Serotech、MCA1804
・L17F12(マウス)、BD Pharmingen、3463000
・H65(マウス)、Abcam、ab20132
・MEM-32(マウス)、Abcam、ab9189
・CRIS-1(マウス)、Abcam、ab36466
7)ヤギ抗ヒトIgG HRPコンジュゲート;Serotec, Star 106P
8)TMB Plus;KemEnTec、カタログ番号4390L
9)1M H2SO4
【0169】
ELISA競合アッセイを使って、使用したリファレンス抗体(CD5 ECDに対して生じさせたもの)の特異性に従って、抗CD5抗体上清をランク付けした。50〜100%の阻害値は、オーバーラップエピトープまたは抗原上で近接しているエピトープに結合するそれら抗体ペア間の有意な競合のしるしであり、一方、50%未満の阻害値は、それら抗体ペアによって認識されるエピトープが近接しておらず、それが立体障害の減少をもたらしていることを示すと解釈した。抗CD5抗体は、CD5上のさまざまなエピトープに結合することがわかった(図5)。いくつかの抗体については、リファレンス抗体との競合が観察されなかった。リファレンス抗体はおそらくドメイン1上のエピトープに結合するので、これらの抗体はおそらくドメインIIまたはドメインIIIに結合するのだろう。
【0170】
表面プラズモン共鳴技術を使った、別個のエピトープに関する、リファレンス抗体または同種抗体との競合分析
4つのフローセルを含むBiacore2000装置でSPR分析を実施した。製造者の説明書に従って、フローセル1〜4に対し、CM5 Biacoreチップに、8,000レゾナンスユニット(RU)のポリクローナル抗ヒトIgG Fc特異的抗体をコンジュゲートした。5μL/分の流速を使用し、5μlのErbituxおよび5μlの抗CD5抗体クローンの一つを40μg/mlの濃度で注入し、抗ヒトIgG Fc特異的抗体がコンジュゲートされているフローセル1およびフローセル2〜4で、それぞれ捕捉した。次に、15μlのSynagisを10mg/mlの濃度で2回注入して、抗ヒトIgG Fc特異的抗体の残存部位をブロックした。Synagisのオーバーロードを洗い流した後、15μlの200nM CD5-ECDを4つ全てのフローセルに5μl/分の流速で注入し、フローセル2〜4の抗CD5抗体クローンによって捕捉させた。この後、異なる抗CD5抗体クローン(これは、CD5を捕捉するCD5抗体クローンがオーバーラップエピトープ(図6)に結合しない場合に、CD5に結合する)を注入した。次に、低pH酸洗浄(100mM H3PO4との接触時間30秒)によって抗体/抗原複合体をストリップしてから、全ての抗CD5抗体クローンがCD5への同時結合に関して試験されるまで、全サイクルを繰り返した。第1の抗体クローンによって捕捉された後のCD5に結合する第2の抗体クローンの結合は、次のように算出した。第1に、フローセル1におけるリファレンスセンサーグラムを、フローセル2〜4におけるセンサーグラムから差し引いた。第2に、結合したCD5あたりの結合した第2の抗体の量を算出した:(第2抗CD5抗体結合前のRU/第2抗CD5抗体結合後のRU)/(CD5結合前のRU/CD5結合後のRU)。
【0171】
試薬:
1.CM5チップ;Biacore、カタログ番号BR-1000-14
2.NHS;Biacore BR-1000-50
3.EDC;Biacore BR-1000-50
4.10mM酢酸緩衝液pH4.5;Biacore、カタログ番号BR-1003-50
5.ヤギ抗ヒトIgG Fc抗体;Caltag、カタログ番号H10500
6.エタノールアミン、1.0M pH8.5;Biacore BR-1000-50
7.10×HBS-EPランニング緩衝液:0.01M HEPES pH7.4、0.15M NaCl、3mM EDTA、0.005% v/v Surfactant P20
8.抗原:社内で製造された組換えヒトCD5細胞外ドメイン
9.100mM H3PO4
10.リファレンス抗体:
・UCHT-2(マウス)、BD Pharmingen、555350
・L17F12(マウス)、BD Pharmingen、346300
・H65 (マウス)、Abcam、ab20132
・LT-1(マウス)、Abcam、ab19717
11.非CD5特異的対照:Erbitux(Merck KGaA、ドイツ64271ダルムシュタット、カタログ番号:018964)。
【0172】
表面プラズモン共鳴を使った抗CD5抗体のアフィニティー
4つのフローセルを含むBiacore2000装置でSPR分析を実施した。製造者の説明書に従って、フローセル1〜4に対し、CM5 Biacoreチップに、8,000レゾナンスユニット(RU)のポリクローナル抗ヒトIgG Fc特異的抗体をコンジュゲートした。各抗CD5抗体を、4つの異なる濃度のCD5-ECDへの結合(それら4サイクルでの濃度を以下に示す)に関して決定した後、アフィニティーを算出した。非CD5結合抗体Erbituxを陰性対照とし、抗CD5特異的抗体で得られた値から差し引いた。25μl/分の流速を使用し、25μlのErbituxおよび25μlの3つの抗CD5抗体クローンを(いずれも同じ濃度で)注入し、抗ヒトIgG Fc特異的抗体がコンジュゲートされているフローセル1、2、3および4中でそれぞれ捕捉した。次に、全てのフローセルを洗浄した後、500秒待ってから、250μlのCD5-ECD 100nMまたは200nM(サイクル1)をフローセル1〜4に注入した。1000秒待ってから、60μl/分の流速を使って30μlのH3PO4を注入した。次に、低pH酸洗浄(100mM H3PO4との接触時間30秒)によって抗体/抗原複合体をストリップした。次に、50nMまたは100nM CD5-ECDを使ってサイクル2を行い、続いて25nMまたは50nM CD5-ECDによるサイクル3を、最後に12.5nMまたは25nM CD5-ECDによるサイクル4を行った。次に、全ての抗CD5抗体クローンが4つの異なる濃度のCD5への結合について試験されるまで、新たな4サイクルを繰り返した。BIAevaluation 4.1ソフトウェア(Biacore)を使って、4つの結合曲線を所定の1:1(ラングミュア)会合・解離モデルに当てはめることにより、会合速度定数(ka)および解離定数(kd)を、包括的に評価した(表13)。
【0173】
試薬:
1.CM5チップ;Biacore、カタログ番号BR-1000-14
2.NHS;Biacore BR-1000-50
3.EDC;Biacore BR-1000-50
4.10mM酢酸緩衝液 pH4.5;Biacore、カタログ番号BR-1003-50
5.ヤギ抗ヒトIgG Fc抗体;Caltag、カタログ番号H10500
6.エタノールアミン、1.0M pH8.5;Biacore BR-1000-50
7.10×HBS-EPランニング緩衝液:0.01M HEPES pH7.4、0.15M NaCl、3mM EDTA、0.005% v/v Surfactant P20
8.抗原:社内で製造した組換えヒトCD5細胞外ドメイン
9.100mM H3PO4
10.抗体:抗CD5抗体
11.非CD5特異的対照:Erbitux(Merck KGaA、ドイツ64271ダルムシュタット、カタログ番号:018964)。
【0174】
BiacoreにおけるCD5への抗CD5抗体クローンの同時結合
4つのフローセルを含むBiacore2000装置でSPR分析を実施した。製造者の説明書に従って、フローセル1〜4に対し、CM5 Biacoreチップに、8,000レゾナンスユニット(RU)のポリクローナル抗ヒトIgG Fc特異的抗体をコンジュゲートした。5μl/分の流速を使用し、15μlの抗CD5抗体クローン12(クローン12)を注入し、抗ヒトIgG Fc特異的抗体がコンジュゲートされているフローセル1中で捕捉した。次に、15μlのSynagisを10mg/mlの濃度で2回注入して、抗ヒトIgG Fc特異的抗体の残存部位をブロックした。Synagisのオーバーロードを洗い流した後、15μlの200nM CD5-ECDを4つ全てのフローセルに5μl/分の流速でフローセル1に注入し、フローセル1中のクローン12に捕捉させた。この後、15μlのクローン14を注入した。このクローン14は、クローン12によって捕捉されたCD5に結合する。CD5をクローン14で飽和させた後、15μlのクローン17を注入し、CD5をクローン17で飽和させた後、15μlのクローン34を注入するという操作を、全てフローセル1において、5μl/分の流速で行った。図7。次に、低pH酸洗浄(100mM H3PO4との接触時間30秒)によって抗体/抗原複合体をストリップした。
【0175】
CEM細胞上のCD5への抗CD5抗体クローンの同時結合
CEM(ATCC-CCL-119)の表面にあるCD5への抗CD5抗体クローンの同時結合を、FACS Caliburでのフローサイトメトリー(Flow Cytometri)によって行った。500000個のCEM細胞を、1%FBS-PBSで40μg/mlに希釈した50μlの抗CD5抗体クローン12、14、17、34またはクローン12、14、17および34の混合物と共に、4℃、暗所で30分間インキュベートした。次に、その細胞懸濁液を、250×gで3分間遠心分離し、ほぐすことにより、PBS中で2回洗浄し、20μlのPEコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG特異的抗体(Beckman Coulterカタログ番号IM1626)および30μlの1%FBS-PBSと共に、4℃、暗所で、30分間インキュベートした。次に、その細胞懸濁液を、250×gで3分間遠心分離し、ほぐすことにより、PBS中で2回洗浄し、100μlの1%FBS-PBSに再懸濁してから、HTSユニットを装備したFACS-Caliburで分析を行った。図8。
【0176】
[実施例4]
CD5インターナリゼーション
CD5のインターナリゼーションを誘導する抗CD5抗体の能力を、フローサイトメトリーによって調べた。B-CLL細胞は、フィコール-ハイパック(Ficoll-Hypaque)密度勾配を使って、患者の末梢血試料から精製する。3人のCLL患者から得た試料を全ての実験に含める。末梢血を1×PBSと1:1に混合し、その混合物のうち5mlを4mlのフィコール-ハイパック溶液の上端に加えた後、チューブを800×gで20分間遠心分離する。CLLを含有するPBMC層を単離し、50mlの1×PBSと混合し、1000rpmで5分間遠心分離する。これを2回繰り返す。次に細胞をフローサイトメトリーにより、CD5およびCD19発現ならびにPBMC集団におけるCLL細胞のパーセンテージについて分析し、95%を上回るCLL細胞を含む試料だけを使用する。次に細胞を計数し、1×PBSで5×106細胞/mlに希釈し、丸底96穴プレートの各ウェルに、150μlを移す。プレートを1000rpmで3分間遠心分離し、各ウェルの上清を捨てた後、ペレット化された細胞を25μlのPBSに再懸濁する。次に、細胞を、3.3μg/ml抗CD5抗体と共に37℃または4℃で18時間インキュベートした後、それらを氷冷FACS緩衝液(1×PBS+2%FBS+0.1%アジド)中で2回洗浄し、氷冷FACS緩衝液中1:20に希釈した二次抗体(FITCコンジュゲートヤギF(ab')2抗ヒトFc特異的IgG、Caltag H10101)を使って、氷上で30分間、染色する。4℃未満でのインキュベーションはインターナリゼーションを完全に阻害する。最後に細胞を2回洗浄し、FACS Caliburで分析した。
【0177】
結果
非オーバーラップエピトープを持つ抗体を含有する一連の抗体混合物を、フローサイトメトリーにより、CD5インターナリゼーションを誘導する能力について試験した(図9)。図9Aおよび9Bに示す結果から明らかなように、非オーバーラップエピトープを持ついくつかの抗体混合物がインターナリゼーションを誘導したのに対し(図9B)、他の抗体混合物はそうではなかった(図9A)。モノクローナル抗体としてのAb9、Ab14、Ab15、Ab17、Ab18およびAb31は、インターナリゼーションを誘導することができない(データ未掲載)。このように、インターナリゼーションの誘導はエピトープ依存的であり、結合するエピトープの知識に基づいて、CD5陽性細胞の表面上に高い抗体密度を与える抗体混合物またはCD5インターナリゼーションを誘導する抗体混合物を設計することが可能である。
【0178】
[実施例5]
CD5分解
CD5分解を誘導する抗CD5抗体の能力をウェスタンブロット分析によって調べた。患者からCLL細胞を、実施例Xで述べたように精製し、洗浄し、分析し、3.3μg/mlの抗CD5抗体で半時間、1時間、2時間、または4時間処理する。次に細胞を再び洗浄し、RIPA緩衝液(50mM Tris-HCl、150mM NaCl、1mM PMSF、1mM EDTA、5μg/mlアプロチニン、5μg/mlロイペプチン、1% Triton x-100、1%ナトリウムデオキシコレートおよび0.1%SDS)中で溶解する。8μgのタンパク質をドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離し、ニトロセルロースメンブレン上にエレクトロブロットする。5%脱脂乳中でブロッキングした後、メンブレンを、1:500希釈した一次抗体(マウス抗CD5 Ab、AbD Serotecのクローン4C7)と共に、4℃で終夜インキュベートした後、洗浄し、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲート二次抗体(ヤギ抗マウスIgG、R&D systemsのHAF007)と共に室温で1時間インキュベートする。増感化学発光とウェスタンブロッティング検出システム(Amersham Biosciences)を使ってHRPシグナルを検出する。
【0179】
結果
非オーバーラップエピトープを持つ抗体を含有する一連の抗体混合物を、CD5分解を誘導する能力について、ウェスタンブロット分析によって試験した(図10)。図10に示す結果から明らかなように、非オーバーラップエピトープを持つ抗体混合物のいくつかはCD5分解を誘導するのに対し(図10BおよびC)、他の抗体混合物はそうではない(図10A)。モノクローナル抗体としてのAb9、Ab14、Ab15、Ab17、Ab18およびAb31はCD5分解を誘導することができない(図10AにAb9だけを示す)。このように、CD5分解の誘導は、CD5インターナリゼーションのように、エピトープ依存的である。対照mAbとPBSはどちらもCD5分解を誘導しない。CD5分解はおそらくCD5インターナリゼーション後に起こるのだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
別個のCD5エピトープに結合する能力を持つ少なくとも2つの抗CD5抗体を含む抗体組成物。
【請求項2】
該エピトープが非オーバーラップエピトープである、請求項1に記載の抗体組成物。
【請求項3】
該抗体が、ドメインI、ドメインII、およびドメインIIIからなる群より選択されるCD5の少なくとも1つの細胞外ドメインに結合する、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項4】
ある別個のCD5エピトープに結合する少なくとも一つの抗体が、少なくとも一つの他の抗体の異なる別個のCD5エピトープへの結合を強化する能力を持つ、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項5】
ある別個のCD5エピトープに結合する少なくとも一つの抗体が、CD5に関して、少なくとも一つの他の抗体の最大結合能を増加させる能力を持つ、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項6】
該抗体が組換え抗体である、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項7】
該抗体がマウス可変領域とヒト定常領域とのキメラである、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項8】
ヒト定常領域がIgG1またはIgG2である、請求項7に記載の抗体組成物。
【請求項9】
該抗体がヒト化抗体である、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項10】
該抗体がヒト抗体である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項11】
該抗CD5抗体の少なくとも一つが10-8M以下のKd値を持つ、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項12】
該抗CD5抗体の少なくとも一つが10-9M以下のKd値を持つ、請求項1〜10のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項13】
該抗CD5抗体の少なくとも一つが10-10M以下のKd値を持つ、請求項1〜10のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項14】
該CD5がヒトCD5である、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項15】
該ヒトCD5が表7に示す配列を持つ、請求項14に記載の抗体組成物。
【請求項16】
該抗体が非ヒト哺乳動物CD5に結合する能力を持つ、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項17】
該抗体が、ヒトCD5に対する該抗体の結合アフィニティーと実質的に等しいアフィニティーで該非ヒト哺乳動物CD5に結合する能力を持つ、請求項16に記載の抗体組成物。
【請求項18】
該哺乳動物が霊長類である、請求項16または17に記載の抗体組成物。
【請求項19】
該霊長類がカニクイザル(Macaca fascicularis)である、請求項18に記載の抗体組成物。
【請求項20】
少なくとも一つの抗体分子が、表6に示す定常ドメインκ軽鎖配列を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項21】
組成物の全ての抗体分子が、表6に示す定常ドメインκ軽鎖配列を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項22】
少なくとも一つの抗体分子が、表6に示す定常ドメイン重鎖配列を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項23】
組成物の全ての抗体分子が、表6に示す定常ドメイン重鎖配列を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項24】
前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物の結合特異性を持つ二重特異性結合分子。
【請求項25】
二重可変ドメイン抗体である、請求項24に記載の二重特異性結合分子。
【請求項26】
二重特異性Fabフラグメントまたは二重特異性scFVである、請求項24に記載の二重特異性結合分子。
【請求項27】
表1に示す抗体:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、および37のCDRを持つ抗体からなる群より選択される少なくとも一つの抗CD5抗体分子を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項28】
表1に示す抗体:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、および37のCDRを持つ抗体からなる群より選択される少なくとも2つの抗CD5抗体分子を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項29】
表1に示す抗体:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、および37のCDRを持つ抗体からなる群より選択される少なくとも3つの抗CD5抗体分子を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項30】
表1に示す抗体:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、および37のCDRを持つ抗体からなる群より選択される少なくとも4つの抗CD5抗体分子を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項31】
表1に示す抗体:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、および37のCDRを持つ抗体からなる群より選択される少なくとも5つの抗CD5抗体分子を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項32】
表1に示す抗体:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、および37のCDRを持つ抗体からなる群より選択される少なくとも6つの抗CD5抗体分子を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項33】
該組成物の全ての抗CD5抗体分子が、表1に示す抗体:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、および37のCDRを持つ抗体からなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項34】
少なくとも一つのさらなる別個の抗CD5抗体分子を含み、該さらなる抗体分子が第3の別個のエピトープに結合する、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項35】
少なくとも一つのさらなる別個の抗CD5抗体分子を含み、該さらなる抗体分子が第4の別個のエピトープに結合する、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項36】
少なくとも一つのさらなる別個の抗CD5抗体分子を含み、該さらなる抗体分子が第5の別個のエピトープに結合する、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項37】
少なくとも一つのさらなる別個の抗CD5抗体分子を含み、該さらなる抗体分子が第6の別個のエピトープに結合する、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項38】
該組成物に含まれる抗CD5抗体分子のうち少なくとも3つは、互いのCD5への結合を阻害しない、請求項34〜37のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項39】
該組成物に含まれる抗CD5抗体分子のうち少なくとも4つは、互いのCD5への結合を阻害しない、請求項35〜37のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項40】
該組成物に含まれる抗CD5抗体分子のうち少なくとも5つは、互いのCD5への結合を阻害しない、請求項36〜37のいずれか一項に記載の抗体組成物。
【請求項41】
該組成物に含まれる抗CD5抗体分子のうち少なくとも6つは、互いのCD5への結合を阻害しない、請求項37に記載の抗体組成物。
【請求項42】
Ab9+Ab18、Ab9+Ab15、Ab9+Ab31、Ab9+Ab14、Ab9+Ab17、Ab18+Ab15、Ab18+Ab31、Ab18+Ab14、Ab18+Ab17、Ab15+Ab31、Ab15+Ab14、Ab15+Ab17、Ab31+Ab14、Ab31+Ab17、およびAb14+Ab17からなる2つの抗体の組合せの群から選択される2つの抗体の組合せを含む、請求項1に記載の抗体組成物。
【請求項43】
Ab9+Ab18+Ab15、Ab9+Ab18+Ab31、Ab9+Ab18+Ab14、Ab9+Ab18+Ab17、Ab9+Ab15+Ab31、Ab9+Ab15+Ab14、Ab9+Ab15+Ab17、Ab9+Ab31+Ab14、Ab9+Ab31+Ab17、Ab9+Ab14+Ab17、Ab18+Ab15+Ab31、Ab18+Ab15+Ab14、Ab18+Ab15+Ab17、Ab18+Ab31+Ab14、Ab18+Ab31+Ab17、Ab18+Ab14+Ab17、Ab15+Ab31+Ab14、Ab15+Ab31+Ab17、Ab15+Ab14+Ab17、およびAb31+Ab14+Ab17からなる3つの抗体の組合せの群から選択される3つの抗体の組合せを含む、請求項1に記載の抗体組成物。
【請求項44】
Ab9+Ab18+Ab15+Ab31、Ab9+Ab18+Ab15+Ab14、Ab9+Ab18+Ab15+Ab17、Ab9+Ab18+Ab31+Ab14、Ab9+Ab18+Ab31+Ab17、Ab9+Ab18+Ab14+Ab17、Ab9+Ab15+Ab31+Ab14、Ab9+Ab15+Ab31+Ab17、Ab9+Ab15+Ab14+Ab17、Ab9+Ab31+Ab14+Ab17、Ab18+Ab15+Ab31+Ab14、Ab18+Ab15+Ab31+Ab17、Ab18+Ab15+Ab14+Ab17、Ab18+Ab31+Ab14+Ab17、およびAb15+Ab31+Ab14+Ab17からなる4つの抗体の組合せの群から選択される4つの抗体の組合せを含む、請求項1に記載の抗体組成物。
【請求項45】
Ab9+Ab18+Ab15+Ab31+Ab14、Ab9+Ab18+Ab15+Ab31+Ab17、Ab9+Ab18+Ab15+Ab14+Ab17、Ab9+Ab18+Ab31+Ab14+Ab17、Ab9+Ab15+Ab31+Ab14+Ab17、およびAb18+Ab15+Ab31+Ab14+Ab17からなる5つの抗体の組合せの群から選択される5つの抗体の組合せを含む、請求項1に記載の抗体組成物。
【請求項46】
抗体:Ab9+Ab18+Ab15+Ab31+Ab14+Ab17を含む、請求項1に記載の抗体組成物。
【請求項47】
9+14+15+17+18+31、9+14+15+17+18、9+15+18+31、および9+15+18からなる抗体の組合せの群から選択される抗体の組合せを含み、
CD5のインターナリゼーションを引き起こす能力を持つ、
請求項1に記載の抗体組成物。
【請求項48】
14+17、17+18からなる抗体の組合せの群から選択される抗体の組合せを含み、
CD5のインターナリゼーションを引き起こす能力を持たない、
請求項1に記載の抗体組成物。
【請求項49】
請求項1〜48のいずれか一項に記載の抗体組成物または請求項24〜26のいずれか一項に記載の二重特異性結合分子を活性成分として含む医薬組成物。
【請求項50】
医薬として使用するための、請求項1〜48のいずれか一項に記載の抗体組成物または請求項24〜26のいずれか一項に記載の二重特異性結合分子。
【請求項51】
がんの処置または予防に使用するための、請求項50に記載の組成物または二重特異性結合分子。
【請求項52】
慢性リンパ球性白血病の処置または予防に使用するための、請求項50に記載の組成物または二重特異性結合分子。
【請求項53】
関節リウマチの処置または予防に使用するための、請求項50に記載の組成物または二重特異性結合分子。
【請求項54】
医薬の製造における請求項1〜48のいずれか一項に記載の抗体組成物または請求項24〜26のいずれか一項に記載の二重特異性結合分子の使用。
【請求項55】
処置を必要とする患者に請求項49に記載の医薬組成物を投与することを含む処置方法。
【請求項56】
抗体組成物を製造するための方法であって、
a.真核細胞の第1の集団に、第1の別個のCD5エピトープに結合する能力を持つVHおよびVL鎖の第1のコグネイトペアを含む第1の抗体をコードする第1の発現コンストラクトをトランスフェクトすること;
b.真核細胞の第2の集団に、第2の別個のCD5エピトープに結合する能力を持つVHおよびVL鎖の第2のコグネイトペアを含む第2の抗体をコードする第2の発現コンストラクトをトランスフェクトすること;
c.所望により、第3またはそれ以上の集団、発現コンストラクト、コグネイトペア、およびCD5エピトープについて、工程b)を繰り返すこと;
d.トランスフェクトされた第1、第2、および所望によりそれ以上の細胞集団を選択すること;
e.トランスフェクトされた集団を一つに合わせて細胞バンクを得ること;
f.細胞バンクからの細胞を、抗体の発現を可能とする条件下で培養すること;および
g.上清から抗体組成物を回収し、精製すること
を含む方法。
【請求項57】
抗体組成物が請求項1〜48のいずれか一項に記載の抗体組成物である、請求項56の方法。
【請求項58】
細胞が部位特異的組込みによってトランスフェクトされる、請求項56の方法。
【請求項59】
抗体のVHおよびVL領域がマウス由来であり、抗体の定常領域がヒト由来である、請求項56の方法。
【請求項60】
全ての抗体が同じ重鎖定常領域を含む、請求項59の方法。
【請求項61】
真核細胞の亜集団を少なくとも2つは含み、各亜集団が、別個のCD5エピトープに結合する能力を持つVHおよびVL鎖のコグネイトペアを含む抗体をコードする1つの発現コンストラクトでトランスフェクトまたは形質導入されている、細胞バンク。
【請求項62】
請求項1〜48のいずれか一項に記載の抗体組成物をコードする、請求項61に記載の細胞バンク。
【請求項63】
細胞が部位特異的組込みを使ってトランスフェクトされている、請求項61に記載の細胞バンク。
【請求項64】
CD5を発現する細胞を殺す方法であって、CD5を発現する細胞に、請求項1〜48のいずれか一項に記載の抗体組成物または請求項24〜26のいずれか一項に記載の二重特異性結合分子を投与し、それによってCD5発現細胞を殺すことを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9−A】
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【図9−B】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−500815(P2012−500815A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524187(P2011−524187)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【国際出願番号】PCT/DK2009/050218
【国際公開番号】WO2010/022737
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(505257682)シムフォゲン・アクティーゼルスカブ (24)
【氏名又は名称原語表記】SYMPHOGEN A/S
【Fターム(参考)】