説明

抗CD74免疫複合体および方法

抗CD74免疫複合体と治療薬および/または診断薬を含む組成物が開示される。また、該免疫複合体を製造する方法および診断手順および治療手順において該免疫複合体を使用する方法も開示される。該組成物は、治療法および/または診断法において抗CD74免疫複合体組成物を投与するためのキットの一部であり得る。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の参照】
【0001】
本願は、2003年6月17日出願の仮特許出願第60/478,830号、および2003年11月12日出願の特許出願第10/706,852号の優先権を主張するものであり、これらの内容は引用することによりその全開示内容を本明細書の一部とする。
【発明の背景】
【0002】
従来の治療薬は正常細胞と罹患細胞を識別できないことから、従来の薬剤は正常な増殖細胞および組織に損傷を与え、死滅させることがある。従来の薬剤のこの有害な副作用を軽減するためには、それらの薬剤を罹患細胞または組織へ特異的にターゲッティングすることができる。治療薬を罹患細胞または組織へ特異的にターゲッティングする1つの方法として、抗体またはそのフラグメント、特にモノクローナル抗体などの特異的結合分子の使用によるものがある。
【0003】
治療薬または診断薬に結合したターゲッティング結合分子(例えば、モノクローナル抗体)を用いれば、このような薬剤を標的細胞または組織(例えば、腫瘍)へ直接送達し、それにより、正常組織の有毒薬剤暴露を制限できる可能性が得られる(Goldenberg, Semin. Nucl. Med., 19:332 (1989))。近年では、抗体に基づく治療法の可能性、および腫瘍関連抗原などの抗原の局在化におけるその精度が、実験室での研究および臨床試験の双方で実証されている(例えば、Thorpe, TIBTECH, 11: 42 (1993); Goldenberg, Scientific American, Science & Medicine, 1: 64 (1994); Baldwin et al., 米国特許第4,925,922号および同第4,916,213号; Young, 米国特許第4,918,163号;同第5,204,095号; Irie et al., 米国特許第5,196,337号; Hellstrom et al., 米国特許第5,134,075号および同第5,171,665号参照)。腫瘍に関しては、局在化のための腫瘍関連マーカーに対する放射性標識抗体または抗体フラグメントの使用が、治療を目的とした場合よりも大きな成功を収めているが、これは、1つには腫瘍による抗体の取り込みが一般に低く、全注射量のわずか0.01%〜0.001%の範囲であるためである(Vaughan et al., Brit. J. Radiol., 60: 567 (1987))。腫瘍への投与量を高めるために放射性標識の濃度を高めても、一般に、これはまた健康な組織の放射性暴露も高めるので、逆効果である。治療薬または診断薬の取り込みを高める方法はそれ自体望ましいものである。
【0004】
治療薬または診断薬はターゲッティング薬剤としての抗体に直接的に結合させてもよいし、また、これらの薬剤を抗体と間接的に結合させてもよい。担体/薬剤複合体の、罹患細胞または組織への特異的ターゲッティングを得るために抗体を担体と結合させ得る場合には、例えば、リポソーム、ナノ粒子、高分子が治療薬の担体として用いられてきた(例えば、Xu et al., Mol. Cancer. Ter., 1:337-346 (2002); Torchilin, et al., Proc. Nat’l. Acad. Sci., 10: 6039 (2003);米国特許第6,165,440号;同第5,702,727号;同第5,620,708号;同第5,565,215号;同第6,530,944号;同第6,562,318号;同第6,558,648号;および同第6,395,276号参照)。しかしながら、このような複合体の細胞への取り込みを促進するためには、その抗原が標的細胞の表面から標的細胞の内部へと迅速に循環するように抗体/抗原パートナーを選択することが重要である。このような抗原の1つが、細胞表面に存在し、最大8×10分子/細胞/日という多量の取り込みを示す、腫瘍組織適合性複合体(MHC)クラスII抗原定常鎖IiのエピトープであるCD74である(Hansen et al., Biocllem. J., 320: 293-300 (1996))。CD74はBリンパ球、単球および組織球、ヒトBリンパ腫細胞系統、黒色腫、T細胞リンパ腫、および他の種々の腫瘍細胞種の細胞表面に存在する(同上)。
【0005】
ネズミLL1(mLL1またはネズミ抗CD74抗体)はCD74と反応性のある特異的なモノクローナル抗体(mAb)である。細胞表面に結合したLL1はリソソームコンパートメントへと迅速にインターナライズされ、速やかに代謝されるが、これは抗CD19および抗CD22などの他のmAbよりもはるかに速い(同上)。LL1のこの固有の特性は免疫療法に伴う上述の困難な点をある程度克服する。
【0006】
ネズミLL1は、マウス骨髄腫細胞と、RajiBリンパ腫細胞系統(Pawlak-Byczkowska et al., Can. Res., 49: 4568 (1989)ではEPB−1と呼ばれている)からの調製物で免疫化したBALB/cマウス由来の脾細胞とを融合させることにより開発されたものである。mLL1の臨床での使用は、他の有望なネズミ抗体のほとんどのものと同じく、ヒトにおいてヒト抗マウス抗体(HAMA)応答が生じることにより制限されてきた。99mTcで標識したmLL1 Fab’を用いた骨髄画像化研究で明らかにされたように、HAMA応答は一般にmLL1 Fab’の注射後には見られない。Juweid et al., Nuc. Med. Comm. 18: 142-148 (1997)。しかしながら、いくつかの治療用途および診断用途では、全長抗CD74 mAbが好ましい場合がある。この全長抗CD74mAbの使用は、潜在的なアナフィラキシーの問題のためばかりか、循環中の主要な部分の複合体が循環中の抗マウス抗体と複合体を形成し、それらによって隔離されることがあり得るので、このような抗体または抗体複合体の診断上および治療上の有用性を制限するものであり得る。mLL1の抗体フラグメントの使用は免疫原性の問題を回避し得るものであるが、完全なIgGが望ましい状況や、治療に、または抗体生存時間の延長に細胞免疫の誘導が意図される状況もある。一般に、HAMA応答は、ネズミ抗CD74mAbの最大限の診断能および治療能を実現することに対する潜在的障害を持っている。従って、キメラ、ヒト化およびヒト抗CD74結合分子(例えば、mAbおよびそのフラグメント、その抗体融合タンパク質およびそのフラグメント、多価および/または多重特異性mAbおよびそのフラグメント)を含む免疫複合体の開発は、ヒト抗マウス抗体の産生を軽減し、治療および診断に極めて有用である。
【発明の概要】
【0007】
エフェクター分子(例えば、治療薬または診断薬)と免疫複合体とを含み、この免疫複合体が1以上の担体と結合した抗CD74結合分子を含む、組成物が開示される。この担体はエフェクターを送達可能なものであり、より高次の構造を形成し得る分子(脂質または高分子など)を含んでもよいし、またはこの担体はより高次の構造それ自体(ミセル、リポソーム、またはナノ粒子など)であってもよい。このエフェクター分子は抗CD74結合分子、担体、またはその双方と共有結合または非共有結合させてよい。一つの実施態様では、この組成物はエマルジョンまたはリポソームを含んでなる。
【0008】
抗CD74結合分子はスルフィド結合、ヒドラゾン結合、ヒドラジン結合、エステル結合、アミド結合、アミノ結合、イミノ結合、チオセミカルバゾン結合、セミカルバゾン結合、オキシム結合、および炭素−炭素結合をはじめとする様々な結合により担体と結合または連結させ得る。スルフィド結合が好ましく、この場合、結合分子はジスルフィド結合を含み、これが還元されて遊離チオール基が得られる。
【0009】
この組成物は付加的結合分子(例えば、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD52、CD80、HLA−DR、MUC1、TAC、IL−6、テネイシン(tensascin)、VEGF、胎盤増殖因子、炭酸脱水酵素IX、およびそれらの混合物と結合する抗体またはそのフラグメント)を含んでもよい。これらの付加的結合分子は、組成物のいずれの成分(例えば、担体)と共有結合または非共有結合させてもよい。
【0010】
担体が脂質である場合、その脂質は、エマルジョン、またはミセルもしくはリポソームなどのより高次の構造を形成し得ることが好ましい。例えば、この脂質は両親媒性であってもよい。抗CD74結合分子とのコンジュゲーションを容易にするため、この脂質は、求核炭素のような抗CD74結合分子と反応し得る1以上の基を含んでもよい(例えば、遠位末端に)。一つの実施態様では、この脂質はポリエチレングリコール(PEG)−マレイミドであり、抗CD74結合分子は遊離チオール基を介してマレイミド基と反応する。抗CD74結合分子の結合に関して記載したように、マレイミド基は他の担体にも存在してよい。例えば、ナノ粒子が抗CD74結合分子の結合のためのマレイミド基を含んでもよい。マレイミド基の他、結合分子の結合のための他の基として、ビニルスルホンが挙げられる。
【0011】
1以上の治療薬または診断薬を含み得るエフェクターの他、この組成物は、その組成物のいずれかの成分と共有結合、非共有結合、またはそれ以外で結合させ得る付加的な治療薬または診断薬をさらに含んでもよい。例えば、この付加的な治療薬または診断薬は抗CD74結合分子と共有結合させ得る。あるいは、この付加的な治療薬または診断薬は担体と共有結合、非共有結合、またはそれ以外で結合させてもよい。
【0012】
エフェクターは任意の数の治療薬または診断薬を含み得る。例えば、エフェクターとしては、薬物、プロドラッグ、毒素、酵素、放射性同位元素、免疫調節剤、サイトカイン、ホルモン、結合分子(例えば、抗体)、またはオリゴヌクレオチド分子(例えば、アンチセンス分子または遺伝子)が挙げられる。アンチセンス分子としては、bcl−2またはp53に相当するアンチセンス分子が挙げられる。エフェクターとしては、アプリジン、アザリビン、アナストロゾール、アザシチジン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブリオスタチン−1、ブスルファン、カリケアマイシン、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、カルムスチン、セレブレックス、クロラムブシル、シスプラチン、イリノテカン(CPT−11)、SN−38、カルボプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ドセタキセル、ダクチノマイシン、ダウノマイシングルクロニド、ダウノルビシン、デキサメタゾン、ジエチルスチルベストロール、ドキソルビシン、ドキソルビシングルクロニド、エピルビシングルクロニド、エチニルエストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エトポシドグルクロニド、リン酸エトポシド、フロクスウリジン(FUdR)、3’,5’−O−ジオレオイル−FudR(FUdR−dO)、フルダラビン、フルタミド、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、ゲムシタビン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イフォスファミド、L−アスパラギナーゼ、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、酢酸メドロプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトタン、酪酸フェニル、プレドニゾン、プロカルバジン、パクリタキセル、ペントスタチン、PSI−341、セムスチンストレプトゾシン、タモキシフェン、タキサン、タキソール、プロピオン酸テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、テニポシド、トポテカン、ウラシルマスタード、ベルケード、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンクリスチン、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ、オンコナーゼ、rapLR1、DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒、シュードモナス外毒素、およびシュードモナス内毒素、またはその組合せが挙げられる。ある実施態様では、エフェクターはFUdR、またはFUdR−dOを含む。
【0013】
この組成物はまた、1以上の硬酸キレート剤または軟酸キレート剤を含み得る。例えば、キレート剤としては、NOTA、DOTA、DTPA、TETA、Tscg−Cys、またはTsca−Cysが挙げられる。ある実施態様では、これらのキレート剤は、II族金属陽イオン、III族金属陽イオン、IV族金属陽イオン、V族金属陽イオン、遷移金属陽イオン、ランタニド金属陽イオンもしくはアクチニド金属陽イオン、またはそれらの混合物から選択される陽イオンと複合体を形成し得る。あるいは、これらの陽イオンは、複合体のいずれの成分と共有結合、非共有結合、またはそれ以外で結合させてもよい。ある実施態様では、この組成物は、Tc、Re、Bi、Cu、As、Ag、Au、At、またはPbから選択される陽イオンを含む。
【0014】
この組成物はまた、核種(例えば、放射性核種)を含んでもよい。この核種は、18F、32P、33P、45Ti、47Sc、52Fe、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、75Se、77As、86Y、89Sr、89Zr、90Y、94Tc、94mTc、99Mo、99mTc、105Pd、105Rh、111Ag、111In、123I、124I、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、154−158Gd、161Tb、166Dy、166Ho、169Er、175Lu、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、または225Acをはじめとする多くの核種から選択することができる。
【0015】
エフェクターが酵素である場合、好適な酵素としては、カルボキシルエステラーゼ、グルクロニダーゼ、カルボキシペプチダーゼ、β−ラクタマーゼ、ホスファターゼ、およびそれらの混合物が挙げられる。エフェクターが免疫調節剤である場合、好適な免疫調節剤としては、IL−1、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、IL−21、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、G−CSF、GM−CSF、およびそれらの混合物が挙げられる。また、エフェクターとしては、抗脈管形成薬、例えば、アンギオスタチン、エンドスタチン、バスキュロスタチン、カンスタチン、マスピン、抗VEGF結合分子、抗胎盤増殖因子結合分子、または抗血管増殖因子結合分子も挙げられる。
【0016】
いずれの抗CD74結合分子も好適であるが、好ましくは、この抗CD74結合分子はLL1またはそのフラグメントであり得る。例えば、モノクローナル抗体の生産は当技術分野で周知のものである。Harlow & Lane (eds), Antibodies. A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, NY参照。しかしながら、LL1のヒト、キメラ、もしくはヒト化誘導体、またはそのフラグメントが特に好適であり得る。LL1の誘導体は、引用することによりその全開示内容が本明細書の一部とされる2002年3月1日出願の米国出願第10/377,122号、および同第60/360,259号に記載されている。この抗CD74結合分子またはそのフラグメントはモノクローナルであり得る。
【0017】
抗CD74結合分子としては、ヒト、キメラ、もしくはヒト化抗CD74抗体、またはそのフラグメントが挙げられる。例えば、結合分子はネズミ抗CD74mAbの軽鎖可変領域のCDRを含み得る。ヒト化抗CD74抗体またはフラグメントはヒト化mAbの重鎖可変領域を含んでもよく、これはネズミ抗CD74mAbの重鎖可変領域のCDRを含み得る。ヒト化抗CD74抗体またはそのフラグメントは、ネズミ抗CD74(mLL1)の相補性決定領域(CDR)とヒト抗体のフレームワーク(FR)領域とを含む軽鎖および重鎖可変領域を含んでよく、ここで、ヒト化抗CD74mAbの軽鎖可変領域はネズミ抗CD74mAbの軽鎖可変領域のCDRを含み、ヒト化mAbの重鎖可変領域はネズミ抗CD74mAbの重鎖可変領域のCDRを含む。ヒト化抗CD74抗体またはそのフラグメントは、ヒト化抗CD74抗体またはそのフラグメントの軽鎖および重鎖可変領域のFRを含み、これはネズミmAbの対応するFRに由来する少なくとも1つのアミノ酸で置換されていてもよい。mAbまたはフラグメントとしては、ヒト化IgG1が挙げられる。
【0018】
抗CD74結合分子はキメラ抗CD74抗体またはそのフラグメントであってもよく、ネズミ抗CD74mAbの軽鎖可変領域を含んでもよい。例えば、キメラ抗CD74抗体またはそのフラグメントはネズミ抗CD74mAbの重鎖可変領域を含んでもよい。キメラ抗CD74抗体またはそのフラグメントはまた、ネズミ抗CD74mAbの相補性決定領域(CDR)を含み得る軽鎖および重鎖可変領域;ネズミ抗CD74mAbのフレームワーク(FR)領域;ならびにヒト抗体の軽鎖および重鎖定常領域を含んでもよく、ここで、このキメラmAbの軽鎖可変領域はネズミ抗CD74mAbの軽鎖可変領域のCDRを含み得る。キメラmAbまたはそのフラグメントとしては、キメラIgG1またはそのフラグメントが挙げられる。
【0019】
抗CD74結合分子がヒト抗CD74抗体またはそのフラグメントを含む場合、その結合分子はヒト抗CD74mAbの軽鎖可変領域を含み得る。例えば、ヒト抗CD74抗体またはそのフラグメントは、ネズミ抗CD74mAbの重鎖可変領域のCDRを含み得るヒトmAbの重鎖可変領域を含み得る。別の例では、ヒト抗CD74抗体またはそのフラグメントは、ヒト抗体の軽鎖および重鎖の可変領域および定常領域を含み得る。ヒトmAbまたはそのフラグメントとしては、ヒトIgG1が挙げられる。
【0020】
抗CD74結合分子は、その分子またはそのフラグメントとCD−74との結合がCD74に特異的な抗体またはそのフラグメントによって遮断されるように選択することができる。あるいは、この結合分子は、mAbまたはそのフラグメントが培養系のRajiリンパ腫細胞によってインターナライズされるように選択することもできる。別の実施態様では、mAbまたはそのフラグメントなどのこの抗CD74結合分子は、ネズミIgG1mAbのFcと反応性のあるヤギ抗血清と架橋した場合に、細胞培養系のRaji細胞のアポトーシスを誘導するように選択することができる。
【0021】
この抗CD74結合分子はまた、F(ab’)、Fab、scFv、もしくはFvを含むフラグメント、またはF(ab’)、Fab、scFv、もしくはFvの軽鎖および重鎖の一部または全部を用いた融合タンパク質を含んでもよく、従って、このフラグメントはCD74に結合することができる。この結合分子は、多価、または多価多重特異性となるように選択または設計することができる。これらのフラグメントは二重特異性結合分子またはダイアボディーを形成することができる。一つの実施態様では、この結合分子は、mAbまたはそのフラグメントのFvまたはFab’を4以上含む融合タンパク質を含む。さらなる実施態様では、この結合分子は、抗CD74mAbまたはそのフラグメントの、1以上のFvまたはFab’と、CD74抗原ではない腫瘍細胞マーカーに特異的な抗体に由来する1以上のFvまたはFab’とを含む融合タンパク質を含む。例えば、腫瘍細胞マーカーとしては、CD19、CD20、またはCD22などのB細胞系抗原が挙げられる。あるいは、腫瘍細胞マーカーとしては、HLA−DR、CD30、CD33、CD52、MUC1、またはTACが挙げられる。
【0022】
この抗CD74結合分子は、ヒトIgG2a、IgG3、またはIgG4のヒト定常領域で置換されているIgG1の定常領域を含んでもよい。
【0023】
また、患者に治療用組成物および/または診断用組成物を投与することを含む、疾病または疾患の治療および/または診断方法も開示される。この治療用組成物および/または診断用組成物は上述のいずれかの組成物を含み、一般には、(1)エフェクター分子(例えば、治療薬または診断薬);(2)1以上の担体と結合した抗CD74結合分子またはそのフラグメント;および(3)医薬上許容される賦形剤を含む組成物である。典型的には、この組成物は20〜5000mgの用量で患者に静脈投与または筋肉内投与される。
【0024】
疾病または疾患は一般にCD74発現悪性疾患であり、免疫調節不全性疾患、自己免疫疾患、臓器移植拒絶、移植片対宿主病、固形腫瘍、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、B細胞悪性疾患、またはT細胞悪性疾患が挙げられる。B細胞悪性疾患としては、緩徐進行性B細胞リンパ腫、急速進行性B細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、および/または多発性骨髄腫が挙げられる。固形腫瘍としては、黒色腫、癌腫、肉腫、および/または神経膠腫が挙げられる。癌腫としては、腎臓癌、肺癌、腸癌、胃癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、および黒色腫が挙げられる。
【0025】
一つの実施態様では、この組成物は光線力学療法のための薬剤、例えば、ベンゾポルフィリン一酸環A(BDP−MA)、錫エチオプルプリン(SnET2)、スルホン化アルミニウムフタロシアニン(AlSPc)、またはルテチウムテキサフィリン(Lutex)などの光増感剤を含んでもよい。この方法はまた、標的細胞または組織に照射抗原を投与することも含み得る。ある実施態様では、光線力学療法は診断ならびに治療に用いることができる。
【0026】
この方法は、診断用核種、例えば、18F、52Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、86Y、89Zr、94Tc、94mTc、99mTc、111In、123I、124I、125I、131Iを含む組成物を投与することを含んでもよい。一般に、この診断用核種は25〜4000keVのγ粒子および/または陽電子を放射する。
【0027】
この方法は、陽電子放射型断層撮影法(PET)に使用できる診断薬を含む組成物を投与することを含んでもよい。この方法はそれ自体、陽電子放射断層撮影法(PET)を行うことを含んでもよい。
【0028】
この方法は、1以上の画像増強剤、例えば、ガドリニウムイオン、ランタンイオン、マンガンイオン、鉄、クロム、銅、コバルト、ニッケル、フッ素、ジスプロシウム、レニウム、ユウロピウム、テルビウム、ホルミウム、ネオジム、またはそれらの混合物を含む組成物を投与することを含んでもよい。この方法はそれ自体、磁気共鳴映像法(MRI)などの映像法を行うことを含んでもよい。
【0029】
この方法は、バリウム、ジアトリゾエート、エチオド化オイル、クエン酸ガリウム、イオカルム酸、イオセタム酸、ヨーダミド、ヨージパミド、ヨードキサム酸、イオグラミド、イオヘキソール、イオパミドール、イオパン酸、イオプロセム酸、イオセファム酸、イオセル酸、イオスラミドメグルミン、イオセメ酸、イオタスル、イオテトル酸、イオサラム酸、イオトロキシ酸、イオキサグル酸、イオキソトリゾ酸、イポデート、メグルミン、メトリザミド、メトリゾエート、プロピリオドン、塩化タリウム、またはその組合せなどの1以上の放射線不透過剤または造影剤を含む組成物を投与することを含んでもよい。この方法は、X線またはコンピューター断層撮影法(CT)を行うことを含んでもよい。
【0030】
この方法は、デキストランまたはリポソーム(例えば、ガス充填されたリポソーム)などの1以上の超音波造影剤を含む組成物を投与することを含んでもよい。この方法は超音波手順を行うことを含んでもよい。
【0031】
上述の手順に加え、この方法は、免疫複合体または組成物の投与前、投与と同時、または投与後に、術中手法、血管内手法、腹腔鏡手法または内視鏡手法を行うことを含んでもよい。
【0032】
この方法はまた、治療薬または診断薬を含む第二の、または付加的な組成物を投与することを含んでもよく、この第二の、または付加的な組成物は、第一の組成物の投与前、投与と同時、または投与後に投与される。この第二の、または付加的な組成物は、上述の組成物を含んでもよい。一つの実施態様では、この第二の、または付加的な組成物は、治療薬または診断薬と結合した抗CD74結合分子を含む。この治療薬または診断薬は、上述の薬物、プロドラッグ、毒素、酵素、放射性同位元素、免疫調節剤、サイトカイン、ホルモン、抗体、結合分子、オリゴヌクレオチド、キレート剤、陽イオン、治療用核種、光線力学療法のための薬剤、診断用核種、画像増強剤、放射線不透過剤、および/または造影剤を含んでもよい。この方法はまた、PET、MRI、X線、CT、超音波、術中手法、血管内手法、腹腔鏡手法または内視鏡手法を行うことを含んでもよい。
【0033】
また、上述の組成物(例えば、1以上の両親媒性脂質をエフェクターと混合して脂質薬物−担体を形成すること、およびその脂質薬物−担体を抗CD74抗体分子(例えば、抗体またはそのフラグメント)と接触させることによる抗CD74免疫複合体)を製造する方法も開示される。一例としては、この脂質が求核炭素(例えば、マレイミド基内)を含み、結合分子が遊離チオール基(例えば、還元剤で処理されたジスルフィド)を含む。この方法は、この組成物と、その組成物のいずれかの成分と共有結合、非共有結合、またはそれ以外で結合させ得る1以上の治療薬または診断薬とを混合することを含んでよい。
【0034】
また、上述の組成物のいずれか、または上述の組成物のいずれかを調製するのに十分な成分を含むキットも開示される、一般に、このキットは、それらの組成物の投与に関する説明書、または、適用可能であれば、それらの組成物の調製に関する説明書を含む。
【発明の具体的説明】
【0035】
定義
以下の説明において、多数の専門用語が使用されており、以下、本明細書の開示の理解を容易にするためにその定義を示す。
【0036】
本明細書において結合分子は、抗原に特異的に結合し得る任意の分子である。結合分子としては、抗体またはそのフラグメントが挙げられる。抗CD74結合分子は、抗CD74抗体またはそのフラグメントなど、CD74抗原に特異的に結合する分子である、他の抗CD74結合分子としては、多価分子、多重特異性分子(例えば、ダイアボディー)、融合分子、または天然に存在するか、もしくは組換えにより作出されるその他の分子も挙げられる。
【0037】
本明細書において抗体とは、全長(すなわち、天然に存在するか、または通常の免疫グロブリン遺伝子フラグメント組換えプロセスにより形成される)免疫グロブリン分子(例えばIgG抗体)、または抗体フラグメントのような、免疫グロブリン分子の免疫学的に有効な(すなわち、特異的に結合する)部分をいう。
【0038】
抗体フラグメントとは、F(ab')、F(ab)、Fab、Fab、Fv、sFvなどのような抗体の部分をいう。構造に関係なく、抗体フラグメントは完全な抗体により認識される同じ抗原と結合する。例えば、抗CD74モノクローナル抗体フラグメントは、CD74のエピトープと結合する。「抗体フラグメント」とはまた、特定の抗原に結合して複合体を形成することにより抗体のように働くいずれの合成または遺伝子操作タンパク質も含む。例えば、抗体フラグメントとしては、重鎖および軽鎖の可変領域からなる「Fv」フラグメントのような可変領域からなる単離されたフラグメント、軽鎖および重鎖可変領域がペプチドリンカーにより接続されている組換え単鎖ポリペプチド分子(「scFvタンパク質」)、および超過変領域を模倣したアミノ酸残基からなる最小認識ユニットが挙げられる。
【0039】
キメラ抗体は、1つの種、好ましくは齧歯類の抗体由来の抗体の相補性決定領域(CDR)を含む可変ドメインを含み、この抗体分子の定常ドメインはヒト抗体の定常領域に由来する組換えタンパク質である。獣医学領域への適用のためには、このキメラ抗体の定常ドメインは、ネコまたはイヌのような他の種に由来するものであってもよい。
【0040】
ヒト化抗体は、1つの種、例えば齧歯類抗体由来の抗体のCDRが齧歯類抗体の重鎖および軽鎖の可変鎖からヒト重鎖および軽鎖の可変ドメインに移された組換えタンパク質である。抗体分子の定常ドメインは、ヒト抗体の定常ドメインに由来する。
【0041】
ヒト抗体は、抗原刺激に応答して特定のヒト抗体を産生するために「操作された」トランスジェニックマウスから得られる抗体である。この技術では、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子座のエレメントが、内在性重鎖および軽鎖遺伝子座が標的破壊されている胚幹細胞株由来のマウス系統に導入される。このトランスジェニックマウスはヒト抗原に特異的なヒト抗体を合成することができ、このマウスを、ヒト抗体を分泌するハイブリドーマを作製するために使用することができる。トランスジェニックマウスからヒト抗体を得るための方法は、Green et al., Nature Genet. 7:13 (1994), Lonberg et al., Nature 368:856 (1994),およびTaylor et al., Int. Immun. 6:579(1994)に記載されている。完全ヒト抗体はまた、遺伝子または染色体トランスフェクション法ならびにファージディスプレー技術により構築でき、これらは総て当技術分野で公知である。(非免疫ドナー由来の免疫グロブリン可変ドメイン遺伝子レパートリーからのin vitroにおけるヒト抗体およびそのフラグメントの産生に関しては、例えば、McCafferty et al., Nature 348:552-553(1990)を参照。)この技術では、抗体可変ドメイン遺伝子がフレーム内で繊維状バクテリオファージの主要または微量コートタンパク質遺伝子へクローニングされ、機能的抗体フラグメントとしてファージ粒子表面上に提示される。この繊維状粒子はファージゲノムの単鎖DNAコピーを含み、抗体の機能特性に基づいて選択すれば、それらの特性を示す抗体をコードする遺伝子が選択されることになる。このように、ファージはB細胞のいくつかの特性を模倣する。ファージディスプレーはさまざまな形式で行うことが可能であり、総説としては、例えば、Johnson and Chiswell, Current Opinion in Structural Biology 3:5564-571 (1993)を参照されたい。ヒト抗体はまた、in vitro活性化B細胞により産生させることができる。(引用することによりその全開示内容を本明細書の一部とする、米国特許第5,567,610号および同第5,229,275号を参照。)
【0042】
エフェクターは、選択されたある結果をもたらす原子、分子、または化合物である。エフェクターとしては、本明細書に記載されているような治療薬および/または診断薬が挙げられる。
【0043】
治療薬は、疾病の治療に有用な原子、分子、または化合物である。治療薬の例としては、抗体、抗体フラグメント、薬物、毒素、酵素、ヌクレアーゼ、ホルモン、免疫調節剤、アンチセンスオリゴヌクレオチド、キレート剤、ホウ素化合物、光活性薬または色素および放射性同位元素が挙げられる。
【0044】
診断薬は、疾病の診断に有用な原子、分子、または化合物である。有用な診断薬としては、限定されるものではないが、放射性同位元素、色素(ビオチン−ストレプトアビジン複合体など)、造影剤、蛍光化合物または分子、および磁気共鳴映像法(MRI)のための増強剤(例えば、常磁性イオン)などがある。米国特許第6,331,175号はMRI技術およびMRI増強剤に結合させた抗体の調製について記載しており、その全開示内容は引用することにより本明細書の一部とする。好ましくは、これらの診断薬は放射性同位元素、磁気共鳴映像法で使用する増強剤、および蛍光化合物からなる群から選択される。抗体成分に放射性金属または常磁性イオンを付加するためには、イオンを結合させるための多様なキレート基を付着させた長いテールを有する試薬と反応させる必要があろう。このようなテールは、ポリリシン、多糖、または例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ポルフィリン、ポリアミン、クラウンエーテル、ビス−チオセミカルバゾン、ポリミキシン、およびこの目的のために有用なことが公知の基といった、キレート基に結合できるペンダント基を有する他の誘導体化または誘導体化可能な鎖であり得る。キレート剤は標準的な化学法を用いてペプチド抗原に結合させる。キレート剤は、通常、免疫反応性の損失が最小で、凝集および/または内部架橋が最小となる分子との結合を形成し得る基により抗体に連結される。キレート剤を抗体に結合させるその他の、もっと特殊な方法および試薬は、1989年4月25日出願の「Antibody Conjugates」と題されたHawthorneの米国特許第4,824,659号に開示されており、その開示内容は引用することにより本明細書の一部とする。特に有用な金属−キレートの組合せとしては、一般エネルギー範囲60〜4000keVの診断用同位元素とともに用いられる2−ベンジルDTPAならびにそのモノメチルおよびシクロヘキシル類似体が含まれる。いくつかの有用な診断用核種として、18F、52Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、86Y、89Zr、94Tc、94mTc、99mTc、または111Inが挙げられる。同じキレート剤がマンガン、鉄およびガドリニウムのような非放射性金属と錯化した場合は、本明細書に記載の抗体および担体とともに使用するとMRIに有用である。NOTA、DOTA、およびTETAのような大環状のキレート剤は種々の金属および放射性金属とともに、最も詳しくは、それぞれガリウム、イットリウム、および銅などの放射性核種とともに用いられる。このような金属−キレート錯体は、環のサイズを目的の金属にあわせて調整することにより極めて安定にすることができる。RAITのための223Raなど、安定結合する核種について注目される、大環状ポリエーテルのような他のリング型キレート剤を用いてもよい。
【0045】
免疫複合体は、結合分子(例えば、抗体成分)と、原子、分子、またはより高次の構造との(例えば、担体、治療薬、または診断薬との)複合体である。この診断薬は放射性または非放射性標識、造影剤(磁気共鳴イメージング、コンピューター断層撮影法または超音波診断法など)を含んでもよく、この放射性核種はγ、β、α、オージェ電子、または陽電子放射性同位元素であり得る。
【0046】
裸の抗体は、他のいずれの薬剤とも結合していない抗体である。
【0047】
担体は、標的細胞への薬剤の送達を促進するために治療薬または診断薬と会合させ得る原子、分子、またはより高次の構造物である。担体としては、脂質または高分子(例えば、より高次の構造を形成し得る両親媒性の脂質、またはデキストランのような炭水化物)などの分子、またはミセル、リポソーム、もしくはナノ粒子のような、より高次の構造物それ自体が挙げられる。
【0048】
本明細書において、抗体融合タンパク質とは、特異性が同じまたは異なる二以上の同じまたは異なる単鎖抗体もしくは抗体フラグメントのセグメントが連結されている、組換え生産された抗原結合分子である。融合タンパク質の価数は、融合タンパク質がある単一の抗原またはエピトープに対していくつの結合腕または結合部位を有しているかを示し、すなわち、一価、二価、三価または多価がある。抗体融合タンパク質が多価であるということは、抗原に対する結合において複数の相互作用を利用できることを意味し、従って、その抗原に結合する結合力が高まる。特異性は、抗体融合タンパク質が何種類の抗原またはエピトープに結合できるかを示し、すなわち、一重特異性、二重特異性、三重特異性、多重特異性などがある。これらの定義を用いると、例えばIgGのような天然の抗体は、結合腕を二本持つために二価であるが、この抗体は1種のエピトープにしか結合しないので一重特異性である。一重特異性多価融合タンパク質は、1種のエピトープに対して一を超える結合部位を有するが、1種のエピトープとしか結合せず、例えば、同じ抗原と反応性のある2つの結合部位を有するダイアボディーである。この融合タンパク質は、単一の抗体成分、または異なる抗体成分の多価もしくは多重特異性の組合せ、または同じ抗体成分の複数のコピーを含んでもよい。この融合タンパク質はさらに抗体または抗体フラグメントおよび治療薬を含んでもよい。このような融合タンパク質に好適な治療薬の例としては、免疫調節剤(「抗体-免疫調節剤融合タンパク質」)および毒素(「抗体-毒素融合タンパク質」)が挙げられる。好ましい1つの毒素としては、リボヌクレアーゼ(RNアーゼ)であり、好ましくは組換えRNアーゼである。
【0049】
多重特異性抗体は、同時に少なくとも2つの異なる構造の標的、例えば2つの異なる抗原、同じ抗原上の2つの異なるエピトープ、またはハプテンおよび/もしくは抗原、もしくはエピトープに結合できる抗体である。1つの特異性は、B細胞、T細胞、骨髄性細胞、形質細胞、および肥満細胞抗原またはエピトープに対するものであろう。もう1つの特異性は、B細胞上のCD20、CD19、CD21、CD23、CD46、CD80、HLA−DR、CD74、およびCD22のような、同じ細胞種上の異なる抗原に対するものであり得る。多価抗体は、同じまたは異なる構造の少なくとも2つの標的と同時に結合することができる抗体である。多重特異性多価抗体は、特異性の異なる一を超える結合部位を有する構築物である。例えば、ダイアボディーでは、1つの結合部位は1つの抗原と反応し、もう一方は他の抗原と反応する。
【0050】
二重特異性抗体は、2つの異なる構造の標的に同時に結合することができる抗体である。二重特異性抗体(bsAb)および二重特異性抗体フラグメント(bsFab)は、例えば、B細胞、T細胞、骨髄性細胞、形質細胞および肥満細胞抗原またはエピトープに特異的に結合する少なくとも1つのアーム、および治療薬または診断薬を担持するターゲッティング可能な複合体に特異的に結合する少なくとも1つの他のアームを有する。分子工学技術を用いて種々の二重特異性融合タンパク質を作製できる。単一の形態においては、二重特異性融合タンパク質は一価であり、例えば1つの抗原に対して単一の結合部位を有するscFvと、第二の抗原に対して単一の結合部位を有するFabフラグメントからなる。もう1つの形態においては、この二重特異性融合タンパク質は二価であり、例えば1つの抗原に対して単一の結合部位を有するIgGと第二の抗原に対して2つの結合部位を有する2つのscFvからなる。
【0051】
ナノ粒子とは、1〜1000nmの範囲の大きさの粒子をいう。一般に、ナノ粒子は生分解性、生体適合性であり、かつ、標的細胞に送達される物質を組み込み得る担体としての働きをする。
【0052】
キメラ、ヒト化およびヒト抗体をはじめとするモノクローナル抗体の作製
本明細書に記載の免疫複合体および組成物はモノクローナル抗体を含み得る。特定の抗原に対する齧歯類モノクローナル抗体は、当業者に公知の方法により得ることができる。(例えば、Kohler and Milstein, Nature 256:495(1975), and Coligan et al.(eds.), CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY, VOL. 1, pages 2.5.1-2.6.7(John Wiley & Sons 1991)参照。)
【0053】
マウス免疫グロブリン可変ドメインのクローニングのための一般的な技術は、例えば、引用することによりその全開示内容が本明細書の一部とされる、Orlandi et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 86:3833 (1989)に記載されている。キメラ抗体構築のための技術は当業者に周知である。例えば、Leung et al., Hybridoma 13:469 (1994)には、LL2モノクローナル抗体、抗CD22抗体のVおよびVドメインをコードするDNA配列をそれぞれのヒトおよびIgG1定常領域ドメインと組み合わせることでLL2キメラをいかに作製したかが記載されている。この刊行物はまた、LL2の軽鎖および重鎖可変領域、VおよびVのヌクレオチド配列をそれぞれ提供する。ヒト化MAbを産生する技術は、例えばJones et al., Nature 321:522 (1986), Riechmann et al., Nature 332:323 (1988), Verhoeyen et al., Science 239:1534 (1988), Carter et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 89:4285 (1992), Sandhu, Crit. Rev. Biotech. 12:437 (1992),およびSinger et al., J Immun. 150:2844 (1993)に記載されており、これらはそれぞれ引用することによりその全開示内容が本明細書の一部とされる。
【0054】
ヒト化抗体および抗体フラグメントは、”Anti-CD20 Antibodies And Fusion Proteins Thereof And Methods Of Use”と題された米国仮特許出願、2002年2月14日出願の米国仮出願第60/356,132号;2002年10月7日出願の米国仮出願第60/416,232号;および2003年2月14日出願の米国仮特許出願第60/366,709号に記載されている。他のヒト化抗体としては、米国特許出願第5,874,540号に開示されているもののような、クラスIII抗癌胎児性抗原抗体(抗CEA抗体)を認識するhMN−14抗体;米国特許出願第10/116,116号に記載されているもののようなMu−9抗体;2002年8月1日出願の米国仮特許出願第60/399,707号に記載されているもののようなAFP抗体;2002年6月14日出願の米国仮特許出願第60/388/313号に記載されているもののようなPAM4抗体;2002年3月1日出願の米国仮特許出願第60/360,229号に記載されているもののようなRS7抗体;および米国特許第5,789,554号および同第6,187,287号、および米国特許出願第09/741,843号、同第09/988,013号、および米国特許出願第10/377,122号に記載されているもののようなCD22抗体が挙げられ、これらは総て、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0055】
キメラ抗体は、齧歯類抗体のような一種の動物由来のCDRを含む可変ドメインを含む組換えタンパク質であり、抗体分子の残りの部分、すなわち定常ドメインはヒト抗体に由来する。従って、キメラモノクローナル抗体はまた、キメラmAbの可変ドメイン中のマウスFR配列を、1以上の異なるヒトFRと置換することによりヒト化することができる。具体的には、マウスCDRをマウス免疫グロブリンの重鎖および軽鎖可変鎖からヒト抗体の相当する可変ドメインに移す。マウスCDRをヒトFRに単に移すだけでは、しばしば抗体親和性の低下または損失さえ起こるために、マウス抗体の元の親和性を回復させるためにはさらなる修飾が必要となる。これは、そのエピトープに対して良好な結合親和性を有する抗体を得るために、FR領域の1以上のヒト残基をマウスの相当部分と置換することにより行うことができる。(例えば、Tempest et al., Biotechnology 9:266(1991)およびVerhoeyen et al., Science 239:1534 (1988)を参照。)さらに、ヒト化、キメラおよびヒトMAbの特定のエピトープに対する親和性は、CDRの突然変異誘発により高めることができ、その結果、より低用量の抗体が突然変異前の高用量の低親和性MAbと同等の有効性を示し得る。(例えば、WO0029584A1を参照。)
【0056】
完全ヒト抗体、すなわちヒト抗CD74 MAb、またはヒト化、キメラまたはヒト抗CD74抗体との組合せ療法に用いる抗CD22、抗CD19、抗CD23、抗CD20、または抗CD21 MAbなどの他のヒト抗体は、トランスジェニック非ヒト動物から得ることができる。(例えば、引用することによりその全開示内容が本明細書の一部とされるMendez et al., Nature Genetics, 15: 146-156 (1997); 米国特許第5,633,425号参照。)例えば、ヒト抗体はヒト免疫グロブリン遺伝子座を有するトランスジェニックマウスから回収することができる。
【0057】
操作型結合分子
二重特異性mAbを作製するためのさらなる最近の方法は、付加的なシステイン残基を有し、その結果、一般的な免疫グロブリンのイソ型よりも強く架橋する操作型組換えmAbを含む。(例えば、FitzGerald et al., Protein Eng. 10(10):1221-1225, (1997)参照。)別のアプローチとしては、必要な二重の特異性を有する2以上の単鎖抗体または抗体フラグメントセグメントを架橋する組換え融合タンパク質を操作するものがある。(例えば、Coloma et al., Nature Biotech. 15:159-163, (1997)参照。)様々な二重特異性融合タンパク質が分子工学を用いて作出できる。1つの形態においては、二重特異性融合タンパク質は一価であり、例えば1つの抗原に対して単一の結合部位を有するscFvと、第二の抗原に対して単一の結合部位を有するFabフラグメントからなる。もう1つの形態においては、この二重特異性融合タンパク質は二価であり、例えば1つの抗原に対して2つの結合部位を有するIgGと、第二の抗原に対して2つの結合部位を有する2つのscFvからなる。
【0058】
抗体フラグメントの作製
特定のエピトープを認識する抗体フラグメントは、公知の技術により作製し得る。抗体フラグメントは、F(ab')、Fab'、Fab、Fv、sFvなどの抗体の抗原結合部分である。他の抗体フラグメントとしては、限定されるものではないが、抗体分子のペプシン消化により作製できるF(ab)'フラグメント、およびF(ab')フラグメントのジスルフィド結合を還元することにより作製できるFab'フラグメントが挙げられる。あるいは、所望の特異性を有するモノクローナルFab’フラグメントの迅速で容易な同定を可能にするには、Fab’発現ライブラリーを構築することができる(Huse et al., 1989, Science, 246:1274-1281)。本標的薬物担体は抗体および抗体フラグメントの双方を包含し得る。
【0059】
単鎖Fv分子(scFv)は、VLドメインおよびVHドメインを含んでなる。このVLおよびVHドメインは組み合わさって標的結合部位を形成している。これらの二つのドメインはペプチドリンカー(L)によりさらに共有結合されている。scFv分子は、VLドメインがscFv分子のN末端部である場合、VL−L−VH、またはVHドメインがscFv分子のN末端部である場合、VH−L−VLと表される。scFv分子の作製方法、および好適なペプチドリンカーの設計方法は、米国特許第4,704,692号、同第4,946,778号、R. Raag and M. Whitlow,"Single Chain Fvs."FASEB Vol 9:73-80(1995)およびR. E. Bird and B. W. Walker,"Single Chain Antibody Variable Regions,"TIBTECH, Vol 9:132-137(1991)に記載されている。これらの参照文献は引用することにより本明細書の一部とされる。
【0060】
抗体フラグメントは、例えば、Goldenbergの米国特許第4,036,945号および同第4,331,647号、ならびにそこに含まれる参照文献に記載されているような(これらの特許は引用することによりその全開示内容が本明細書の一部とされる)公知の方法により作製できる。また、Nisonoff et al., Arch Biochem. Biophys. 89:230(1960); Porter, Biochem. J 73:119(1959)、Edelman et al., in METHODS IN ENZYMOLOGY VOL. 1, page 422(Academic Press 1967)、および Coligan at pages 2.8. 1-2.8.10および2.10.-2. 10.4.も参照。
【0061】
抗体フラグメントのもう1つの形態は、単一の相補性決定領域(CDR)をコードするペプチドである。CDRは抗体の可変領域のセグメントであり、抗体が結合するエピトープに対し相補的な構造であり、残りの可変領域よりもさらに変化に富んでいる。従って、CDRはしばしば超過変領域と呼ばれる。可変領域は3つのCDRを含んでなる。CDRペプチドは、対象となる抗体のCDRをコードする遺伝子を構築することにより得られる。このような遺伝子は、例えば抗体産生細胞のRNAから可変領域を合成するためのポリメラーゼ連鎖反応を用いて調製される。例えば、Larrick et al., Methods:A Companion to Methods in Enzymology 2:106(1991); Courtenay-Luck,"Genetic Manipulation of Monoclonal Antibodies, "in MONOCLONAL ANTIBODIES:PRODUCTION, ENGINEERING AND CLINICAL APPLICATION, Ritter et al.(eds.), pages 166-179 (Cambridge University Press 1995);およびWard et al.,"Genetic Manipulation and Expression of Antibodies, "in MONOCLONAL ANTIBODIES:PRINCIPLES AND APPLICATIONS, Birch et al., (eds.), pages 137-185(Wiley-Liss, Inc. 1995)参照。
【0062】
抗CD74抗体
本免疫複合体および組成物の抗CD74結合分子は、CD74抗原に対して特異性を有する特定のネズミCDRを含み得る。例えば、抗CD74結合分子はヒト化、キメラまたはヒトmAbであってもよく、ネズミ抗CD74 mAb(例えば、ネズミ抗CD74 mAb,LL1)のCDRのアミノ酸を含み得る。ヒト化、キメラ、およびヒト抗CD74 mAbまたはそのフラグメントは、引用することにより本明細書の一部とされる米国特許出願第10/377,122号に記載されている。
【0063】
抗CD74抗体がヒト化されている場合、それはネズミ抗CD74 mAbの軽鎖可変領域のCDR(例えば、アミノ酸配列RSSQSLVHRNGNTYLH(配列番号1)を含むCDR1;アミノ酸配列TVSNRFS(配列番号2)を含むCDR2;およびアミノ酸配列SQSSHVPPT(配列番号3)を含むCDR3)を含み得る。このヒト化抗CD74抗体またはフラグメントは、ヒト化mAbの重鎖可変領域を含んでよく、それはネズミ抗CD74 mAbの重鎖可変領域のCDR(例えば、アミノ酸配列NYGVN(配列番号4)を含むCDR1;アミノ酸配列WINPNTGEPTFDDDFKG(配列番号5)を含むCDR2;およびアミノ酸配列SRGKNEAWFAY(配列番号6)を含むCDR3)を含み得る。このヒト化抗CD74抗体またはそのフラグメントは、ネズミ抗CD74(mLL1)の相補性決定領域(CDR)とヒト抗体のフレームワーク(FR)領域を含む軽鎖および重鎖可変領域を含んでもよく、ここで、このヒト化抗CD74 mAbの軽鎖可変領域はネズミ抗CD74 mAbの軽鎖可変領域のCDR(例えば、アミノ酸配列RSSQSLVHRNGNTYLH(配列番号1)を含むCDR1;アミノ酸配列TVSNRFS(配列番号2)を含むCDR2;およびアミノ酸配列SQSSHVPPT(配列番号3)を含むCDR3)を含み、このヒト化 mAbの重鎖可変領域はネズミ抗CD74 mAbの重鎖可変領域のCDR(例えば、アミノ酸配列NYGVN(配列番号4)を含むCDR1;アミノ酸配列WINPNTGEPTFDDDFKG(配列番号5)を含むCDR2;およびアミノ酸配列SRGKNEAWFAY(配列番号6)を含むCDR3)を含み得る。ヒト化抗CD74抗体またはそのフラグメントは、ネズミmAbの対応するFRに由来する少なくとも1つのアミノ酸で置換されていてもよいヒト化抗CD74抗体またはそのフラグメントの軽鎖および重鎖可変領域のFRを含んでもよい。一つの実施態様では、この置換アミノ酸は、図3BのcLL1Vk配列のネズミ軽鎖可変領域のアミノ酸残基2、3、4、46、87および100、ならびに図3AのcLL1VH配列のネズミ重鎖可変領域のアミノ酸残基5、37、38、46、68、91および93から選択され得る。別の実施態様では、このmAbまたはそのフラグメントは図4Aの重鎖可変領域と図4Bの軽鎖可変領域とを含んでなる。さらなる実施態様では、このmAbまたはそのフラグメントはヒト抗体の軽鎖および重鎖定常領域またはその一部を含んでなる。このmAbまたはフラグメントはヒト化IgG1を含み得る。
【0064】
この抗CD74結合分子がキメラ抗CD74抗体を含む場合、このキメラ抗CD74抗体またはそのフラグメントはネズミ抗CD74 mAbの軽鎖可変領域(例えば、アミノ酸配列RSSQSLVHRNGNTYLH(配列番号1)を含むCDR1;アミノ酸配列TVSNRFS(配列番号2)を含むCDR2;およびアミノ酸配列SQSSHVPPT(配列番号3)を含むCDR3)を含み得る。別の実施態様では、このキメラ抗CD74抗体またはそのフラグメントはネズミ抗CD74 mAbの重鎖可変領域(例えば、アミノ酸配列NYGVN(配列番号4)を含むCDR1;アミノ酸配列WINPNTGEPTFDDDFKG(配列番号5)を含むCDR2;およびアミノ酸配列SRGKNEAWFAY(配列番号6)を含むCDR3)を含み得る。さらなる実施態様では、このキメラ抗CD74抗体またはそのフラグメントはネズミ抗CD74 mAbの相補性決定領域(CDR)を含み得る軽鎖および重鎖可変領域;ネズミ抗CD74 mAbのフレームワーク(FR)領域;ならびにヒト抗体の軽鎖および重鎖定常領域を含んでよく、ここで、このキメラmAbの軽鎖可変領域はネズミ抗CD74 mAbの軽鎖可変領域のCDR(例えば、アミノ酸配列RSSQSLVHRNGNTYLH(配列番号1)を含むCDR1;アミノ酸配列TVSNRFS(配列番号2)を含むCDR2;およびアミノ酸配列SQSSHVPPT(配列番号3)を含むCDR3)を含み、このキメラmAbの重鎖可変領域はネズミ抗CD74 mAbの重鎖可変領域のCDR(例えば、アミノ酸配列NYGVN(配列番号4)を含むCDR1;アミノ酸配列WINPNTGEPTFDDDFKG(配列番号5)を含むCDR2;およびアミノ酸配列SRGKNEAWFAY(配列番号6)を含むCDR3)を含み得る。あるいは、このキメラmAbまたはそのフラグメントは図2Aの重鎖可変領域と図2Bの軽鎖可変領域とを含み得る。このキメラmAbまたはそのフラグメントはキメラIgG1またはそのフラグメントを含み得る。
【0065】
この抗CD74結合分子がヒト抗CD74抗体である場合、このヒト抗CD74抗体またはそのフラグメントはヒト抗CD74 mAbの軽鎖可変領域(例えば、アミノ酸配列RSSQSLVHRNGNTYLH(配列番号1)を含むCDR1;アミノ酸配列TVSNRFS(配列番号2)を含むCDR2;およびアミノ酸配列SQSSHVPPT(配列番号3)を含むCDR3)を含み得る。一つの実施態様では、このヒト抗CD74抗体またはそのフラグメントは、ヒトmAbの重鎖可変領域を含んでもよく、これはネズミ抗CD74 mAbの重鎖可変領域のCDR(例えば、アミノ酸配列NYGVN(配列番号4)を含むCDR1;アミノ酸配列WINPNTGEPTFDDDFKG(配列番号5)を含むCDR2;およびアミノ酸配列SRGKNEAWFAY(配列番号6)を含むCDR3)を含み得る。別の実施態様では、このヒト抗CD74抗体またはそのフラグメントはヒト抗体の軽鎖および重鎖可変領域および定常領域を含んでよく、ここで、このヒト抗CD74 mAbの軽鎖可変領域のhuCD74 CDRは、アミノ酸配列RSSQSLVHRNGNTYLH(配列番号1)を有するCDR1;アミノ酸配列TVSNRFS(配列番号2)を有するCDR2;およびアミノ酸配列SQSSHVPPT(配列番号3)を有するCDR3を含んでよく、ここで、このヒトmAbの重鎖可変領域はネズミ抗CD74 mAbの重鎖可変領域のCDR(例えば、アミノ酸配列NYGVN(配列番号4)を含むCDR1;アミノ酸配列WINPNTGEPTFDDDFKG(配列番号5)を含むCDR2;およびアミノ酸配列SRGKNEAWFAY(配列番号6)を含むCDR3)を含み得る。このヒトmAbまたはそのフラグメントはヒトIgG1を含み得る。
【0066】
多重特異性および多価抗体
本免疫複合体および組成物の抗CD74結合分子、ならびに併用療法に用いるために異なる特異性を有するその他の結合分子はまた、多重特異性抗体(CD74エピトープまたは抗原に対する少なくとも1つの結合部位と、CD74または別の抗原上の別のエピトープに対する少なくとも1つの結合部位とを含んでなる)および多価抗体(エピトープまたは抗原に対する複数の結合部位を含んでなる)も含んでよく、あるいは、これらの抗体は多価および多重特異性の双方であってもよい。
【0067】
本免疫複合体または組成物の好ましい結合分子は、本明細書に記載のようなヒト化、キメラ、ヒトまたはネズミ抗CD74 mAbまたはそのフラグメントの4以上のFvまたはFab’を含む融合タンパク質である。さらに、別の好ましい抗体融合タンパク質は、本明細書に記載のようなヒト化、キメラ、ヒトまたはネズミ抗CD74 mAbまたはそのフラグメントのmAbまたはそのフラグメントの1以上のFvまたはFab’、ならびにCD74抗原ではない腫瘍細胞マーカーに特異的な別の抗原に対して特異的な抗体に由来する1以上のFvまたはFab’を含む。例えば、この非CD74抗原はCD74発現細胞により発現されるものであってよく、B細胞系抗原(例えば、B細胞悪性疾患の治療のためのCD19、CD20、またはCD22)から選択される腫瘍マーカーが挙げられる。この非CD74抗原はまた、黒色腫などにおけるS100のような、他の種類の悪性疾患を引き起こす他のCD74陽性細胞で発現されるものであってもよい。さらに、この腫瘍細胞マーカーはHLA−DR、CD30、CD33、CD52 MUC1およびTACからなる群から選択される非B細胞系抗原であってもよい。
【0068】
本明細書ではまた、開示されている免疫複合体および組成物を製造するのに有用な二重特異性または多重特異性抗体も開示され、ここでは、抗CD74 mAbまたはそのフラグメントまたは抗体融合タンパク質が、癌マーカー物質、感染性病原生物の表面のエピトープ、または血液もしくはその他の体液中の有害物質に特異的な抗体または抗体フラグメントに連結されている。これらの二重特異性および多重特異性抗体は、種々の有害物質のクリアランスを誘導する方法において特に有用であり、ここでは、二重特異性抗体は、病原生物などの有害物質に対する少なくとも1つの特異性と、引用することによりその全開示内容が本明細書の一部とされる、”Therapeutic Using a Bispecific Antibody”と題された、1999年5月19日出願の米国特許出願第09/314,135号に詳細に記載されているようなCD74、HLAクラスII可変鎖(Ii)に対する少なくとも1つの特異性を有する。
【0069】
本明細書に開示されている免疫複合体および組成物はまた、抗CD74多価抗体を含み得る。この多価標的結合タンパク質は第一および第二のポリペプチドの会合によって構築され得る。この第一のポリペプチドは、好ましくは免疫グロブリン軽鎖可変領域ドメインである第一の免疫グロブリン様ドメインと共有結合されている第一の単鎖Fv分子を含んでなる。第二のポリペプチドは、好ましくは免疫グロブリン重鎖可変領域ドメインである第二の免疫グロブリン様ドメインと共有結合されている第二の単鎖Fv分子を含んでなる。これら第一および第二の単鎖Fv分子は各々標的結合部位を形成し、これら第一および第二の免疫グロブリン様ドメインは会合して第三の標的結合部位を形成する。
【0070】
ダイアボディー、トリアボディーおよびテトラボディー
本明細書で開示されている免疫複合体および組成物はまた、機能的二重特異性単鎖抗体(bscAb)(ダイアボディーとも呼ばれる)も含み得る。(例えば、引用することにより本明細書の一部とされるMack et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 92: 7021-7025, 1995参照。)例えば、bscAbは組換え法によりグリシン−セリンリンカーを介して2つの単鎖Fvフラグメントを結合することで作製する。問題の2つの抗体のVL鎖(V)およびVH鎖(V)ドメインは、標準的PCR法により単離される。次に、それぞれのハイブリドーマから得られたcDNAのVおよびVは、二段階の融合PCRにおいて結合されて単鎖フラグメントを形成する。第一のPCRステップでは(Gly−Serリンカーを導入し、第二のステップではVおよびVアンプリコンを結合させる。次いでそれぞれの単鎖分子を細菌発現ベクターへクローニングする。増幅後に単鎖分子の一つを切り出して問題の第二の単鎖分子を含む他のベクターへサブクローニングする。得られたbscAbフラグメントを真核細胞発現ベクターへサブクローニングする。機能性タンパク質の発現は、そのベクターをチャイニーズハムスター卵巣細胞へトランスフェクトすることにより得られる。二重特異性融合タンパク質も同様の方法で調製される。二重特異性単鎖抗体および二重特異性融合タンパク質は薬物担体を調製するのに使用できる。
【0071】
例えば、ヒト化、キメラ、またはヒト抗CD74モノクローナル抗体を、抗原特異的ダイアボディー、トリアボディー、およびテトラボディーを作製するために使用することができる。この単一特異性ダイアボディー、トリアボディー、およびテトラボディーは選択的に標的抗原に結合し、分子上の結合部位数が増加すると標的細胞に対する親和性が高まり、所望の位置における滞留時間が長くなるのが観察される。ダイアボディーに関しては、5つのアミノ酸残基のリンカーによりヒト化CD74 mAbのVKポリペプチドに連結されたヒト化CD74 mAbのVポリペプチドを含んでなる2つの鎖が利用される。各々の鎖はヒト化CD74ダイアボディーの1/2を形成する。トリアボディーの場合、ヒト化CD74 MAbのVポリペプチドにリンカーは介さずに連結されたヒト化CD74 MAbのVポリペプチドを含んでなる3つの鎖が利用される。各々の鎖はhCD74トリアボディーの1/3を形成する。
【0072】
より最近では、二重特異性を有する四価タンデムダイアボディー(tandabと呼ばれる)も報告されている(Cochlovius et al., Cancer Researchm (2000) 60:4336-4341)。この二重特異性tandabは同一の2つのポリペプチドの二量体であり、それぞれが2つの異なる抗体の4つの可変ドメインを含み(VH1、VL1、VH2、VL2)、これは自己会合に際してそれぞれの2つの異なる特異性のための2つの可能性のある結合部位の形成を容易にする方向に連結されている。
【0073】
結合した多価および多重特異性抗CD74抗体
別の実施態様では、結合した多価抗CD74抗体を、免疫複合体または組成物を製造するために使用できる。第一または第二のポリペプチドのN末端またはC末端のいずれかにさらなるアミノ酸残基を付加してもよい。これらのさらなるアミノ酸残基は、ペプチドタグ、シグナルペプチド、サイトカイン、酵素(例えば、プロドラッグ活性化酵素)、ホルモン、シュードモナス外毒素のようなペプチド毒素、ペプチド薬、細胞傷害性タンパク質またはその他の機能的タンパク質を含み得る。本明細書において、機能的タンパク質は生物機能を有するタンパク質である。
【0074】
一つの実施態様では、薬物、毒素、放射性化合物、酵素、ホルモン、細胞傷害性タンパク質、キレート剤、サイトカインおよびその他の機能的薬剤を、多価標的結合タンパク質と、好ましくはその多価標的結合タンパク質のアミノ酸残基の側鎖、例えば、アミン基、カルボキシル基、フェニル基、チオール基またはヒドロキシル基との共有結合によって結合させてもよい。例えば、ジイソシアネート、ジイソチオシアネート、ビス(ヒドロキシスクシンイミド)エステル、カルボジイミド、マレイミド−ヒドロキシスクシンイミドエステル、グルタルアルデヒドなど、種々の通常のリンカーをこの目的に使用できる。薬剤と多価タンパク質とのコンジュゲーションは、タンパク質のその標的に対する結合特異性および親和性に著しい影響を及ぼさないことが好ましい。本明細書において機能的薬剤とは、生物機能を有する薬剤である。好ましい機能的薬剤は細胞傷害剤である、
【0075】
さらにその他の実施態様では、二重特異性抗体によりin vivo標的へと向けられる治療薬またはプロドラッグポリマーの送達は、放射性核種の二重特異性抗体送達と組み合わせることができ、これにより化学療法と放射免疫療法の組合せが達成される。各治療薬はターゲッティング可能な複合体に結合させて同時に投与できるか、または核種は第一のターゲッティング可能な複合体の一部として与えることもできるし、薬物はその後の工程で第二のターゲッティング可能な複合体の一部として与えることもできる。
【0076】
別の実施態様では、細胞傷害剤は高分子担体と結合させてもよく、この高分子担体は次に、多価標的結合タンパク質と結合させてもよい。この方法に関しては、引用することにより本明細書の一部とされるRyser et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75: 3867-3870, 1978,米国特許第4,699,784号および米国特許第4,046,722号参照。コンジュゲーションは、多価結合タンパク質の結合特異性または親和性に著しい影響を及ぼさないことが好ましい。
【0077】
治療および診断のためのヒト化、キメラおよびヒト抗体の使用
ヒト化、キメラおよびヒトモノクローナル抗体、すなわち、本明細書に記載の抗CD74 mAbおよびその他のMAbは、本明細書に記載のような免疫複合体および組成物を利用する治療法および診断法で用いるために好適である。従って、これらの免疫複合体または組成物には、裸のヒト化、キメラおよびヒト抗体、または担体、治療薬、もしくは診断薬と結合した抗体が含まれる。これらの免疫複合体は多面的療法として投与され得る。例えば、この免疫複合体または組成物を投与する前、投与すると同時、または投与した後に付加的な治療薬または診断薬を投与してもよい。
【0078】
免疫複合体の効力は、この抗CD74免疫複合体を1以上の他の結合分子で(すなわち、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD21、CD22、CD23、CD25、CD30、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD80、CD126、B7、MUC1、Ia、テネイシン、HM1.24、またはHLA−DR、好ましくは、成熟型HLA−DR二量体のような特定の抗原に対するmAbを、抗CD74の1以上の免疫複合体で、または列挙したこれら抗原に対する抗体で)補足することにより増強することができる。好ましいB細胞関連抗原としては、ヒトCD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD46、CD52、CD74、CD80、およびCD5抗原に相当するものが含まれる。好ましいT細胞抗原としては、ヒトCD4、CD8およびCD25(IL−2受容体)抗原に相当するものが含まれる。HLA−DR抗原に相当するものはB細胞疾患およびT細胞疾患の双方の治療に使用できる。特に好ましいB細胞抗原は、ヒトCD19、CD22、CD21、CD23、CD74、CD80、およびHLA−DR抗原に相当するものである。特に好ましいT細胞抗原は、ヒトCD4、CD8およびCD25抗原に相当するものである。CD46は、補体依存性溶解(CDC)を遮断する癌細胞の表面上の抗原である。好ましい悪性黒色腫関連抗原は、MART−1、TRP−1、TRP−2およびgp100に相当するものである。さらに、好ましい多発性骨髄腫関連抗原は、MUC1およびCD38に相当するものである。
【0079】
この補足的結合分子は裸のままであっても、脂質、高分子、薬物、毒素、免疫調節剤、ホルモン、酵素、および治療用放射性核種をはじめとする担体、治療薬、または診断薬と結合させてもよい。この補足的結合分子は、抗CD74免疫複合体とともに、同時、逐次、または提案されている投与計画に従って投与すればよい。
【0080】
さらに、本明細書では、B細胞リンパ腫およびその他の疾病または疾患における診断用途または治療用途の免疫複合体の投与を意図する。本明細書で記載する免疫複合体は、担体と結合した結合分子を含んでなる分子である。この免疫複合体は組成物を形成するために使用でき、この組成物は治療薬または診断薬をさらに含み、その診断薬または治療薬を保持し得るペプチドを含んでいてもよい。免疫複合体は結合分子の免疫反応性を保持している(すなわち、その抗体部分は、コンジュゲーション後にコンジュゲーション前とほぼ同じ、またはわずかに低下しただけのコグネイト抗原と結合する能力を有する)。免疫複合体は、好適ないずれかの第二の分子(例えば、脂質、タンパク質、炭水化物(より高次の構造を形成し得る)、またはリポソーム、ミセル、および/もしくはナノ粒子などのより高次の構造物それ自体)と結合した結合分子を含み得る。ある特定のエフェクターの送達を促進するためには、抗CD74抗体と、より高次の構造を形成し得る1以上の分子(例えば、両親媒性脂質)とを結合させるのが望ましい場合がある。両親媒性分子はまた、水溶液中で限られた溶解度しか示さないエフェクターの送達を助けるのに望ましい場合もある。
【0081】
多様な診断薬および治療薬が、本明細書に記載のような免疫複合体および組成物を形成するために使用できることが有利である。治療薬としては、例えば、ビンカアルカロイド、アントラサイクリン、エピドフィロトキシン、タキサン、代謝拮抗剤、アルキル化剤、抗生物質、COX−2阻害剤、抗有糸分裂剤、抗脈管形成剤およびアポトーシス剤、特にドキソルビシン、メトトレキサート、タキソール、CPT−11、カンプトテカン、およびこれらまたは他のクラスの抗癌剤に由来する他のものなどのような化学療法薬が挙げられる。免疫複合体および抗体融合タンパク質の製造のために有用なその他の癌化学療法薬としては、ナイトロジェンマスタード、スルホン酸アルキル、ニトロソ尿素、トリアゼン、葉酸類似体、COX−2阻害剤、ピリミジン類似体、プリン類似体、プラチナ錯体、ホルモンなどが挙げられる。好適な化学療法薬は、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES、19th Ed.(Mack Publishing Co. 1995)およびGOODMAN AND GILMAN’S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS, 7th Ed.(MacMillan Publishing Co. 1985)、ならびにこれらの刊行物の改訂版に記載されている。試験薬剤など、他の好適な化学療法薬も当業者に知られている。
【0082】
さらに、DTPA、DOTA、TETAまたはNOTAのようなキレート剤は、本明細書に記載されるような組成物の1以上の成分と結合させることができる。あるいは、検出可能な標識(例えば、蛍光分子)を含む好適なペプチド、または細胞傷害剤(例えば、重金属または放射性核種)を、本明細書に記載されるような組成物のさらなる成分と共有結合、非共有結合、またはその他で結合させることもできる。例えば、治療上有用な免疫複合体は、光活性薬または色素を本明細書に記載されるような組成物に組み込むことにより得ることができる。蛍光色素のような蛍光組成物、および他の色素原、または可視光線に感受性のあるポルフィリンのような色素は、好適な光線を病巣に当てることにより病巣の検出および処置に使用されてきた。治療においては、これは光線照射、光線療法または光線力学療法と呼ばれている(Jori et al. (eds.), PHOTODYNAMIC THERAPY OF TUMORS AND OTHER DISEASES(Libreria Progetto 1985); van den Bergh, Chem. Britain 22:430(1986))。さらに、光線療法を行うため、モノクローナル抗体が光活性化色素と結合させられてきた。Mew et al., J. Immunol. 130:1473(1983);前掲, Cancer Res. 45:4380 (1985); Oseroff et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:8744 (1986);前掲, Photochem. Photobiol. 46:83 (1987); Hasan et al., Prog. Clin. Biol. Res. 288:471 (1989); Tatsuta et al., Lasers Surg. Med. 9:422 (1989); Pelegrin et al., Cancer 67:2529(1991)。内視鏡適用も意図される。検出および治療の内視鏡的方法は、引用することによりその全開示内容が本明細書の一部とされる米国特許第4,932,412号;同第5,525,338号;同第5,716,595号;同第5,736,119号;同第5,922,302号;同第6,096,289;および同第6,387,350号に記載されている。よって、本明細書では、光活性薬または色素を含んでなる抗CD74免疫複合体組成物の治療的使用が意図され、本診断/治療法は光活性薬または色素を含んでなる抗CD74免疫複合体組成物の診断的使用または治療的使用を含み得る。
【0083】
また、本明細書に記載されるような抗CD74免疫複合体組成物中の診断薬としての放射性および非放射性薬剤の使用も意図される。好適な非放射性診断薬は、磁気共鳴映像法、コンピューター断層撮影法または超音波法に好適な造影剤である。磁気造影剤としては、本明細書に記載の抗体とともに用いる場合、例えば、マンガン、鉄およびガドリニウムなどの非放射性金属を、2−ベンジル−DTPAならびにそのモノメチルおよびシクロヘキシル類似体を含む金属−キレートの組合せと錯化されたものが挙げられる。(引用することによりその全開示内容が本明細書の一部とされる、2001年10月10日出願の米国特許出願第09/921,290号参照。)
【0084】
さらに、抗CD74免疫複合体組成物は、画像診断法に有用な放射性同位元素または陽電子放射体を含んでもよい。好適な放射性同位元素としては、60〜4,000keVのエネルギー範囲のものが挙げられる。好適な放射性同位元素としては、18F、52Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、86Y、89Zr、94Tc、94mTc、99mTc、111In、123I、124I、125I、131Iなどが挙げられる。(例えば、画像化目的としては、引用することによりその全開示内容が本明細書の一部とされ、18F、68Ga、94mTcを開示している、発明者G. L. Griffiths and W. J. McBrideの”Labeling Targwting Agents with Gallium-68”と題された米国特許出願(米国仮特許出願第60/342,104号)参照。)
【0085】
シュードモナス外毒素のような毒素も、本明細書に記載されるような抗CD74免疫複合体組成物中に存在してよい。例えば、毒素は錯化してもよいし、本明細書に記載の抗CD74抗体の抗体融合タンパク質の治療薬部分としてもよい。他の毒素としては、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ(RNアーゼ)、DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒、シュードモナス外毒素、およびシュードモナス内毒素が挙げられる。(例えば、Pastan et al., Cell 47:641(1986)、およびGoldenberg, CA-A Cancer Journal for Clinicians 44:43(1994)参照。本明細書で用いるのに好適なさらなる毒素は当業者に公知であり、引用することによりその全開示内容が本明細書の一部とされる米国特許第6,077,499号に開示されている。)
【0086】
また、サイトカインなどの免疫調節剤も、本明細書に記載されるような、投与される抗CD74免疫複合体組成物中に存在してもよい。例えば、免疫調節剤は、結合させるか、または抗体融合タンパク質の治療薬部分とするか、または抗CD74免疫複合体組成物の一部として投与してもよい。好適なサイトカインとしては、限定されるものではないが、以下に記載するようにインターフェロンおよびインターロイキンが挙げられる。
【0087】
免疫複合体の作製
本明細書に記載の免疫複合体は、抗体と、脂質、炭水化物、タンパク質、またはその他の原子および分子とを連結することにより作製することができる。例えば、本明細書に記載の結合分子は本明細書に記載の1以上の担体(例えば、脂質、高分子、リポソーム、ミセル、またはナノ粒子)と結合させて免疫複合体を形成することができ、この免疫複合体は共有結合、非共有結合、またはその他のいずれかで治療薬または診断薬に組み込むことができる。さらに、本明細書に記載の結合分子のいずれかを本明細書に記載の1以上の治療薬または診断薬、または付加的な担体とさらに結合させることもできる。一般に、1つの治療薬または診断薬を各結合分子に結合させることもできるが、1を超える治療薬または診断薬を同じ結合分子に結合させることもできる。本明細書で意図される抗体融合タンパク質は2以上の抗体またはそのフラグメントを含んでなり、この融合タンパク質を含んでなる抗体の各々は本明細書に記載の1以上の担体と結合させ得る。さらに、この抗体融合タンパク質の1以上の抗体は1以上の治療薬または診断薬を結合して有していてもよい。さらにこの治療薬は同じである必要はなく、異なる治療薬であってもよい。例えば、本明細書に記載の組成物は薬物および放射性同位元素を含んでもよい。
【0088】
例えば、IgGは131Iで放射標識し、脂質と結合させることができ、その結果、このIgG−脂質複合体はリポソームを形成することができる。このリポソームは1以上の治療薬または診断薬(例えば、FUdR−dOのような薬物)を組み込むことができる。あるいは、担体の他、IgGを131I(例えば、チロシン残基において)および薬物(例えば、リシン残基のεアミノ基において)と結合させてもよく、この担体は付加的な治療薬または診断薬を組み込み得る。治療薬および診断薬は結合分子と共有結合させることができる(例えば、結合分子上の還元ジスルフィド基、炭水化物側鎖、または他のいずれかの反応性基と結合させることができる)。
【0089】
担体、治療薬、または診断薬は、ジスルフィド結合の形成を介して還元された抗体成分のヒンジ領域に結合させることができる。あるいは、ペプチドを、N−スクシニル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)のようなヘテロ二官能性架橋剤を用いて抗体成分に結合させることができる。Yu et al., Int. J. Cancer 56 : 244(1994)。このような結合に関する一般的な技術は当技術分野で周知である。(例えば、Wong, CHEMISTRY OF PROTEIN CONJUGATION AND CROSS-LINKING (CRC Press 1991); Upeslacis et al.,"Modification of Antibody by Chemical Methods, "in MONOCLONAL ANTIBODIES: PRINCIPLES AND APPLICATIONS, Birch et al.(eds), pages 187-230(Wiley-Liss, Inc. 1995); Price, "Production and Characterization of Synthetic Peptide-Derived Antibodies, "in MONOCLONAL ANTIBODIES: PRODUCTION, ENGINEERING AND CLINICAL APPLICATION, Ritter et al.(eds.), pages 60-84(Cambridge University Press 1995)参照。)あるいは、担体、治療薬、または診断薬は抗体のFc領域の炭水化物部分を介して結合させることもできる。この炭化水素基は、チオール基に結合している同じペプチドの付加量を増大させるためにも使用できるし、あるいはこの炭化水素部分は異なるペプチドに結合させるためにも使用できる。
【0090】
ペプチドを、抗体の炭水化物部分を介して抗体成分と結合させる方法は当業者に公知である。(例えば、Shih et al., Int. J. Cancer 41: 832(1988); Shih et al., Int. J. Cancer 46: 1101(1990);およびShih et al.,米国特許第5,057,313号参照、これらは総て、引用することによりその全開示内容が本明細書の一部とされる。)同じ化学法を用いて、1以上の抗CD74結合分子を1以上の担体、治療薬、または診断薬と結合させることもできる。この一般法は、酸化された炭水化物部分をを有する抗体成分を、少なくとも一つの遊離アミンを有し、かつ、複数のペプチドが負荷されている担体ポリマーと反応させることを含む。この反応の結果、最初のシッフの塩基(イミン)結合が生じ、これは第二級アミンへと還元することで安定化されて最終的な複合体を形成することができる。
【0091】
このFc領域は、抗CD74結合分子が抗体フラグメントであるならば存在しなくてもよい。しかしながら、炭水化物部分は全長抗体または抗体フラグメントの軽鎖可変領域へ導入することができる。(例えば、Leung et al., J. Immunol. 154: 5919(1995); Hansen et al.,米国特許第5,443,953号(1995)、Leung et al.,米国特許第6,254,868号参照、これらは総て、引用することによりその全開示内容が本明細書の一部とされる。)操作された炭水化物部分は、担体、または治療薬、または診断薬を結合させるのに使用できる。
【0092】
担体(脂質、リポソーム、ミセル、高分子、およびナノ粒子)
リポソームおよびミセルの形成は当技術分野で公知のものである。(例えば、Wrobel et al., Biochimica et Biophysica Acta, 1235: 296 (1995); Lundberg et al., J. Pharm. Pharmacol., 51: 1099-1105 (1999); Lundberg et al., Int. J. Pharme., 205:101-108 (2000); Lundberg, J. Pharm. Sci., 83:72-75 (1994); Xu et al., Molec. Cancer Ther., 1:337-346 (2002); Torchilin et al., Proc. Nat’l. Acad. Sci., 100:6039-6044 (2003);米国特許第5,565,215号;同第6,379,698号;および同第2003/0082154号参照。)薬物送達または画像化に有用な、高分子、シリカまたは金属からなるナノ粒子またはナノカプセルも同様に記載されている。(例えば、West et al., Applications of Nanotechnology to Biotechnology, 11:215-217 (2000);米国特許第5,620,708号;同第5,702,727号;および同第6,530,944号参照。)
【0093】
免疫リポソーム
抗体または結合分子とリポソームとのコンジュゲーションによる、治療薬または診断薬のための標的担体の形成はすでに記載されている。(例えば、Bendas, Biodrugs, 15:215-224 (2001); Xu et al., Molec. Cancer Ther., 1:337-346 (2002); Torchilin et al., Proc. Nat’l. Acad. Sci., 100:6039-6044 (2003); Bally, et al., J. Liposome Res., 8:299-335 (1998); Lundberg, Int. J. Pharm., 109:73-81 (1994); Lundberg, J. Pharm. Pharmacol., 49:16-21 (1997); Lundberg, Anti-cancer Drug Design, 13:453-461 (1998)参照。)また、1999年6月9日出願の米国特許第6,306,393号;米国特許出願第10/350,096号;同第09/590,284号、および同第60/138,284号参照。これらは総て、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0094】
医薬上許容される賦形剤
これらの免疫複合体または組成物は、1以上の医薬上好適な賦形剤、1以上の付加的成分またはこれらのある組合せを含み得る。
【0095】
本明細書で開示される免疫複合体または組成物は医薬上有用な組成物を調製するための公知の方法に従って調剤することができ、これにより免疫複合体または組成物は混合物中で医薬上好適な賦形剤と合わさる。滅菌リン酸緩衝生理食塩水は医薬上好適な賦形剤の一例である。他の好適な賦形剤は当業者に周知である。(例えば、Ansel et al., PHARMACEUTICAL DOSAGE FORMS AND DRUG DELIVERY SYSTEMS, 5th Edition (Lea & Febiger 1990)、およびGennaro(ed.), REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES, 18th Edition (Mack Publishing Company 1990)およびそれらの改訂版を参照。)
【0096】
本明細書で開示される免疫複合体または組成物は、例えばボーラス注射または点滴による静脈内投与のために調剤できる。注射用処方物は、例えばアンプルのような単位投与形、または保存剤を加えた複数用量容器で提供することができる。この組成物は油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルジョンの形態をとってもよく、沈殿防止剤、安定剤および/または分散剤のような処方剤を含むことができる。あるいは、その活性成分は、使用前に例えば滅菌パイロジェンフリー水のような好適なビヒクルで構成するための粉末形態であってもよい。
【0097】
さらなる製薬法を用いて、治療複合体または診断複合体または裸の抗体の作用の持続時間を制御してもよい。徐放性製剤は、免疫複合体または裸の抗体と複合体を形成する、または吸着する高分子の使用により調製できる。例えば、生分解性高分子としては、ポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)のマトリックスおよびステアリン酸二量体とセバシン酸の重合無水コポリマーのマトリックスが挙げられる。Sherwood et al., Bio/Technology 10: 1446(1992)。このようなマトリックスからの免疫複合体または抗体の放出速度は、免疫複合体または抗体の分子量、マトリックス内の免疫複合体、抗体の量、および分散粒子の大きさによって異なる。Saltzman et al., Biophys. J. 55: 163(1989); Sherwood et al., 前掲。他の固体投与形は、Ansel et al., PHARMACEUTICAL DOSAGE FORMS AND DRUG DELIVERY SYSTEMS, 5th Edition(Lea & Febiger 1990)、およびGennaro(ed.)、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES, 18th Edition(Mack Publishing Company 1990)、およびそれらの改訂版に記載されている。
【0098】
また、これらの免疫複合体または組成物は、哺乳類に皮下投与または他の非経口経路でも投与できる。さらに、投与は点滴でも単回または複数回のボーラス注射によってもよい。一般に、ヒトにおいては、投与される免疫複合体、融合タンパク質または裸の抗体の用量は、患者の年齢、体重、身長、性別、全身の健康状態、および過去の病歴といった因子によって異なる。通常、免疫複合体または免疫複合体を含む組成物は、単回の静脈点滴として約1mg/kg〜20mg/kgの範囲の用量でレシピエントに与えるのが望ましいが、状況によってはより低い、またはより高い用量を投与してもよい。この用量は必要に応じで繰り返してもよく、例えば、1週間に1回の投与を4〜10週間、好ましくは1週間に1回の投与を8週間、そしてより好ましくは、1週間に1回の投与を4週間繰り返してもよい。また、1週間おきの投与を数ヶ月といったように、低い頻度で投与してもよい。用量および日程を適宜調節して、種々の非経口経路により投与してよい。
【0099】
治療目的では、治療上有効な量の免疫複合体、または免疫複合体を含む組成物を哺乳類に投与する。ヒト以外の動物被検体も意図されるが、本明細書に記載の治療法および診断法に好適な被検体は通常ヒトである。抗体製剤は、投与される量が生理学上有意であれば、「治療上有効量」で投与されると言われる。薬剤は、その存在が受容哺乳類の生理に検出可能な変化をもたらす場合に、生理学上有意である。特に、抗体製剤は、その存在が抗腫瘍応答を誘発する、または自己免疫疾患病態の徴候および症状を軽減する場合に生理学上有意である。生理学上有意な作用はまた、受容哺乳類における体液性および/または細胞性免疫応答の誘発であってもよい。
【0100】
治療法
本明細書では、CD74発現悪性疾患の治療のための基本組成物としての免疫複合体、または免疫複合体を含む組成物の使用を意図し、疾病または疾患は、免疫調節不全性疾患、自己免疫疾患、臓器移植拒絶、および移植片対宿主病からなる群から選択される。CD74発現悪性疾患は、固形腫瘍、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、B細胞悪性疾患および/またはT細胞悪性疾患からなる群から選択される。固形腫瘍は黒色腫、癌腫および肉腫からなる群から選択され、癌腫は腎臓癌、肺癌、腸癌、胃癌および黒色腫からなる群から選択される。B細胞悪性疾患は緩徐進行性B細胞リンパ腫、急速進行性B細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、および多発性骨髄腫、B細胞性疾患およびその他の疾患からなる群から選択される。特に、本明細書に記載の組成物は、種々の自己免疫疾患ならびに緩徐進行性B細胞リンパ腫、急速進行性B細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、およびワルデンストロームマクログロブリン血症の治療に有用である。例えば、ヒト化抗CD74抗体成分および免疫複合体は、緩徐進行性および急速進行性非ホジキンリンパ腫の双方の治療に使用できる。
【0101】
より具体的には、B細胞悪性疾患の治療方法は、B細胞関連の悪性疾患を有する被験体に、医薬上許容される担体、治療薬、および抗CD74結合分子を含む免疫複合体(例えば、ヒト化、キメラ、またはヒト抗CD74 mAbまたはそのフラグメントまたは抗体融合タンパク質)を含んでなる治療用組成物を投与することを含み、このB細胞悪性疾患はリンパ腫または白血病である。より具体的には、B細胞悪性疾患は緩徐進行性B細胞リンパ腫、急速進行性B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病、または急性リンパ性白血病である。この免疫複合体、または免疫複合体を含んでなる組成物は20〜2000mgの用量で静脈内または筋肉内投与される。本方法はさらに、B細胞悪性疾患の治療に用いられる1以上の付加的な治療薬または診断薬の投与前、投与と同時、または投与後に免疫複合体または組成物を投与することを含む。この付加的薬剤は、治療薬または診断薬をはじめ、本明細書に記載されるような付加的免疫複合体を含み得る。治療薬は裸の抗体、免疫調節剤、ホルモン、細胞傷害剤、酵素、および/または少なくとも1つの免疫調節剤、放射性標識、ホルモン、酵素または細胞傷害剤と結合した抗体、またはそれらの組合せを含み得る。免疫調節剤は好ましくはサイトカインであり、細胞傷害剤は好ましくは薬物または毒素である。裸の抗体として、または補足的免疫複合体として組み合わせて投与される抗体は、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD30、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD80、CD126、B7、MUC2、MUC3、MUC4、Ia、HM1.24、テネイシン、およびHLA−DR、(好ましくは、成熟型HLA−DR二量体)、VEGF、EGFR、CEA、CSAp、ILGF、胎盤増殖因子、炭酸脱水酵素IX、IL−6またはその組合せと反応性があるものが好ましい。
【0102】
また、本明細書では、リンパ腫または白血病以外のCD74抗原陽性悪性疾患を有する被験体に、(1)抗CD74結合分子と担体の免疫複合体;(2)エフェクター;および(3)医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む悪性疾患の治療も意図される。この免疫複合体または組成物は20〜5000mgの用量で静脈内または筋肉内に投与される。さらに、この免疫複合体は、少なくとも1つの付加的な治療薬または診断薬の投与前、投与と同時、または投与後に投与してよい。上記および本明細書を通じて記載されるような治療薬としては、免疫調節剤、ホルモン、細胞傷害剤、または結合分子(裸のままか、または少なくとも1つの免疫調節剤、放射性標識、酵素、ホルモン、細胞傷害剤、アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはそれらの組合せと結合しているもの、ここで、免疫調節剤は好ましくはサイトカインであり、細胞傷害剤は好ましくは薬物または毒素である)を含み得る。治療薬または診断薬は本明細書で開示された組成物または免疫複合体を含み得る。抗体を、B細胞悪性疾患ではない悪性疾患を処置するために治療用組成物および/または診断用組成物と組み合わせて投与する場合、それは、処置する悪性疾患を含む細胞によって発現されるCD74以外の腫瘍マーカーと反応性があるべきであり、この抗体は医薬上許容されるビヒクル中に処方すべきである。悪性黒色腫関連抗原のために投与できる抗体の例は、MART−1、TRP−1、TRP−2およびgp100と反応性のあるものである。さらに、多発性骨髄腫関連抗原に対する好ましい抗体は、MUC1およびCD38と反応性のあるものである。
【0103】
処置用組成物は少なくとも1つの免疫複合体を含み、これは通常、ヒト化、キメラまたはヒトモノクローナル抗CD74抗体を単独、または他のヒト化、キメラ、またはヒト抗体などの他の抗体と組み合わせて含む。特に、免疫複合体が完全ヒト抗体を含む併用療法も意図される。
【0104】
これらの組成物はまた、エフェクターとして免疫調節剤を含んでもよい。本明細書において「免疫調節剤」としては、サイトカイン、幹細胞増殖因子、リンホトキシン(腫瘍壊死因子(TNF)など)、および造血因子[インターロイキン(例えば、インターロイキン−1(IL−1)、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、およびIL−21)など]、コロニー刺激因子(例えば、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF))、インターフェロン(例えば、インターフェロン−α、−βおよび−γ)、「S1因子」と呼ばれる幹細胞増殖因子、エリスロポエチン、トロンボポエチンまたはそれらの組合せが挙げられる。好適な免疫調節剤部分の例としては、IL−1、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、IL−21、およびそれらの組合せ、ならびにインターフェロン−、TNF−などが挙げられる。免疫調節剤は組成物中に存在してもよいし、あるいはまた、免疫調節剤は治療用組成物および/または診断用組成物の投与前、投与と同時、または投与後に投与することもできる。上述のように、抗CD74抗体をまた免疫調節剤に結合させてもよい。免疫調節剤はまた、異なる抗原と結合する1以上の抗体からなるハイブリッド抗体と結合させてもよい。
【0105】
本明細書で意図される多面的療法はさらに、付加的結合分子(裸の抗体、融合タンパク質、または免疫複合体の形態の、例えば、抗CD22、抗CD19、抗CD21、抗CD20、抗CD80、抗CD23、抗CD46またはHLA−DR、好ましくは、成熟型HLA−DR二量体)で補足した、抗CD74結合分子を含む免疫複合体を用いた免疫療法を含む。さらに、本明細書に記載されるようなミセル、リポソーム、またはナノ粒子は、抗CD74結合分子に加えて結合分子を含み得る。有用な抗体は、上記で示した抗原決定基上の少なくとも1つのエピトープを認識するポリクローナル、モノクローナル、キメラ、ヒトまたはヒト化抗体であり得る。例えば、抗CD19および抗CD22抗体は当業者に公知である。(例えば、引用することによりその全開示内容が本明細書の一部とされるGhetie et al., Cancer Res. 48:2610 (1988); Hekman et al., Cancer Immunol. Immunother. 32:364 (1991); Longo, Curr. Opin. Oncol. 8:353 (1996)および米国特許第5,798,554号および同第6,187,287号参照。)
【0106】
多面的療法の別の形態では、被験体は標準的な癌化学療法と組み合わせて抗CD74免疫複合体を受容する。例えば、「CVB」(1.5g/mシクロホスファミド、200〜400mg/mエトポシド、および150〜200mg/mカルムスチン)が非ホジキンリンパ腫の処置に用いられる投与計画である。Patti et al., Eur. J. Haematol. 51:18 (1993)。他の好適な併用化学療法計画も当業者に周知である。(例えば、Freedman et al.,”Non-Hodgkin’s Lymphomas,” in CANCER MEDICINE, VOLUME 2, 3rd Edition, Holland et al. (eds. ), pages 2028-2068 (Lea & Febiger 1993)参照。)一例として、中悪性度の非ホジキンリンパ腫(NHL)の治療のための第一世代化学療法計画としては、C−MOPP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プロカルバジンおよびプレドニゾン)およびCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾン)が含まれる。有用な第二世代化学療法計画は、m−BACOD(メトトレキサート、ブレオマイシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、デキサメタゾンおよびロイコボリン)であり、好適な第三世代計画はMACOP−B(メトトレキサート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン、ブレオマイシンおよびロイコボリン)である。さらなる有用な薬物としては、酪酸フェニルおよびブリオスタチン−1が挙げられる。好ましい多面的療法では、化学療法薬とサイトカインの双方を、抗体、免疫複合体または融合タンパク質とともに投与する。これらのサイトカイン、化学療法薬および抗体または免疫複合体はいずれの順序で投与してもよく、または一緒に投与してもよい。
【0107】
好ましい実施態様では、NHLは、連続4週間毎週または隔週、200〜400mg/mの用量でヒト化抗CD74免疫複合体(例えば、治療エマルジョン)の1週間に1回として4回の点滴(2〜8時間にわたる静注)によって処置し、必要に応じて次月または次年も繰り返す。また、NHLは半月に1回として4回の上記のような点滴で処置し、ただし、抗CD74免疫複合体の点滴前、点滴と同時、または点滴後のいずれかに1時間の静脈点滴として与える同日、360mg/mの用量でのエプラツズムAb(抗CD22ヒト化抗体)と組み合わせることも好ましい。さらに、上記のような抗CD74免疫複合体の1週間に1回として4回の点滴を、イットリウム−90(90Yの用量は、数週間または数ヶ月に1回以上の注入として5〜35mCi/mの間)などの治療用同位元素で放射性標識したCD22 mAbの1回以上の注入と組み合わせて投与するのも好ましい。
【0108】
さらに、本明細書で意図される治療用組成物は、異なる非遮断CD74エピトープに対するモノクローナル抗CD74免疫複合体の混合物またはハイブリッド分子を含み得る。よって、本明細書では、少なくとも2つのCD74エピトープと結合するモノクローナル抗CD74免疫複合体の混合物を含んでなる治療用組成物が意図される。さらに、本明細書に記載の免疫複合体は、CDR配列が異なる抗CD74抗体の混合物を含み得る。
【0109】
上述のように、これらの免疫複合体は、B細胞リンパ腫および白血病、およびその他のB細胞性の疾病または疾患、ならびに罹患または関連している悪性細胞がCD74と反応性のあるその他の悪性疾患の処置に使用できる。例えば、抗CD74免疫複合体は、免疫調節不全性疾患および関連の自己免疫疾患[免疫介在血小板減少症(急性特発性血小板減少性紫斑病および慢性特発性血小板減少性紫斑病など)、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、多発性硬化症、シドナム舞踏病、重症筋無力症、全身性紅斑性狼瘡、狼瘡腎炎、リウマチ熱、多腺性症候群、水疱性類天疱瘡、糖尿病、ヘノッホ−シェンライン紫斑病、溶連菌感染後腎炎、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、慢性関節リウマチ、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgA腎症、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、閉塞性血栓血管炎、原発性胆汁性肝硬変、橋本甲状腺炎、甲状腺中毒症、硬皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ウェゲナー肉芽腫、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄ろう、巨細胞性動脈炎/多発性筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎および繊維性肺胞炎などのクラスIII自己免疫疾患を含む]を治療するのに使用できる。
【0110】
特に、ヒト化、キメラまたはヒト抗CD74 mAbまたはそのフラグメントまたはその抗体融合タンパク質を含む免疫複合体は、これらの自己免疫疾患の1以上を有する被験体に投与される。本明細書で開示される抗CD74免疫複合体は、引用することによりその全開示内容が本明細書の一部とされる、”Immunotherapy of Autoimmune Disorders using Antibodies that Target B-Cells,”と題された、2000年6月9日出願の米国特許出願第09/590,284号に開示されている自己免疫疾患の治療方法に特に有用である。好ましくは、この抗CD74免疫複合体は20〜5000mgの用量で静脈内または筋肉内に投与される。さらに、抗CD74免疫複合体は少なくとも1つの治療薬または診断薬の投与前、投与中、または投与後に投与される。上記および本明細書を通じて記載されるような治療薬としては、抗体、免疫調節剤、ホルモン、酵素、細胞傷害剤、少なくとも1つの免疫調節剤、放射性標識、ホルモン、酵素もしくは細胞傷害剤と結合した抗体、アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはそれらの組合せが挙げられ、ここで、免疫調節剤はサイトカインであり、細胞傷害剤は好ましくは薬物または毒素である。治療薬は本明細書に記載されるような免疫複合体を含み得る。裸の抗体として、または補足的免疫複合体として組み合わせて投与し得る抗体としては、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD30、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD80、CD126、B7、MUC1、Ia、HM1.24、テネイシン、および成熟型HLA−DR、好ましくは、成熟型HLA−DR二量体と反応性のある抗体を医薬上許容されるビヒクル中に処方したものが挙げられる。
【0111】
診断法
リンパ腫、白血病、骨髄腫、その他のCD−74発現悪性疾患、免疫調節不全性疾患、自己免疫疾患およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの疾病を診断する、またはその疾病を有することが疑われる被験体において疾病を診断する方法も提供され、その方法は、(1)担体と結合した少なくとも1つの抗CD74結合分子を含む免疫複合体、(2)診断薬、および(3)医薬上許容される賦形剤を含む診断上有効量の組成物をその被験体に投与することを含む。この診断薬は、組成物の1以上の成分と共有結合、非共有結合、またはその他で結合させてよい。有用な診断薬は放射性同位元素(その放射性同位元素の光子はラジオシンチグラフィーまたはPETにより検出される)、またはMRIにより検出できる金属、またはリポソームまたはガス充填リポソーム(このリポソームは超音波走査装置により検出できる)を含んでもよい。この免疫複合体はそれ自体リポソームを形成してもよく、かつ/または診断薬は第二のリポソームを含んでなってもよい。
【0112】
この免疫複合体の標的細胞へのインターナリゼーションの後に、引用することにより本明細書の一部とされるPirker et al., J. Clin. Invest., 76:1261 (1985)の手順に本質的に従い、蛍光標識を行うことができる。
【0113】
これに関連して、骨癌をスクリーニング/診断するための方法がJuweid et al., 1999に記載されており、本明細書で開示される免疫複合体から利益を得ることができよう。よって、99mTc標識ヒト化またはキメラ抗CD74 mAb免疫複合体を含んでなる方法が意図される。
【実施例】
【0114】
実施例1 FUdR−dOを担持する抗CD74免疫リポソームの作製
トリオレイン(TO)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、コレステロール(CHOL)、8−ヒドロキシ−1,3,6−ピレントリスルホネート(HPTS)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(ソルビタン80)、メトキシポリエチレングリコール(平均分子量2000)、塩化オレオイル、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)およびDL−ジチオトレイトール(DTT)はSigma Chemical Co. (St. Louis, MO)から入手した。ポリ(エチレングリコール)−マレイミド−N−ヒドロキシ−スクシンイミジルエステル(MAL−PEG2000−NHS)はShearwater Polymers Europe (Enschede, The etherlands)から購入した。[H]コレステリルオレオイルエーテル(COE)および[14C]ジパルミトイルホスファチジルコリンはAmersham International plc (Amersham, UK)から入手した。PEG鎖の遠位端にマレイミド基を有するDPPEのPEG2000誘導体(DPPE−PEG−MAL)は、クロロホルム中、40℃で6時間、25μmolのNHS−PEG−MALを23μmolのDPPEおよび50μmolのトリエチルアミンと反応させることにより合成した。この生成物を分取シリカゲルTLCにより精製した。3’,5’−O−ジオレオイル−FUdR(FUdR−dO)は、ジメチルアセトアミド中、10μmolのFUdRに20μmolの塩化オレオイルおよび50μlのN,N−ジイソプロピルエチルアミンを加えることにより合成した。この混合物を40℃で一晩インキュベートした後、この混合物に水を加え、FUdRの脂肪酸誘導体をクロロホルムで抽出した。プロドラッグは、溶出剤としてクロロホルム/メタノール(95:5)を用いる分取シリカゲルTLCにより精製した。
【0115】
American Type Culture Collection (Rockville, MD)から入手したバーキットリンパ腫細胞系統RajiおよびRamos、Jurkat急性リンパ芽球性白血病T細胞ならびにHL−60骨髄単球性白血病細胞を、10%熱不活化ウシ胎児血清を含むRPMI 1640培地中で増殖させた。細胞は37℃で維持し、空気中5%のCOを通じた。
【0116】
抗CD74Ab、LL1はImmunomedics, Inc. (Morris Plains, NJ)から入手した。これを定量のためフルオレセイン(FITC)で標識した。
【0117】
ミクロン以下の脂質エマルジョンを他所に詳細に記載されているように作製した。(Lundberg, J. Pharm. Sci., 83:72-75 (1994); Lundberg et al., Int. J. Pharm., 134:119-127 (1996)参照。)薬物を付加したエマルジョンの組成は、TO、EPC、ポリソルベート80、DPPE−PEG2000−MAL、FUdR−dO 2:2:0.8:0.6:0.3(w/w)であった。これらの成分を原液からバイアルへ分注し、減圧下で溶媒を蒸発させて乾固させた。リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を加え、混合物を50℃に加熱し、30秒間ボルテックスで混合し、2分間Bransonプローブ音波装置で音波処理した。
【0118】
薬物を付加したリポソームはEPC、DPPE−PEG2000−MAL、FUdR−dO 1:0.2:0.1(w/w)からなるものとした。HPTS封入リポソームを含む実験では、組成はEPC、CHOL、DPPE−PEG2000−MAL 2:0.5:0.4であった。必要な場合には、この脂質薬物担体を微量の[H]COEで標識した。乾燥させた脂質フィルムを25mMのHEPESおよび140mMのNaClバッファー(pH7.4)(適当であれば35mMのHPTSを含有)中で水和し、凍結−解凍を5回行った後、2分間Bransonプローブ音波装置で音波処理した。リン脂質濃度は[14C]DPPCにより定量した。
【0119】
LL1と脂質薬物担体とのカップリングは、担体表面の遠位PEG末端のマレイミド(MAL)基とAb上の遊離チオール基との間の反応により行った。カップリング反応の前にLL1を、0.2Mのトリスバッファー(pH6.5)中で4℃にて2時間、50mMのジチオトレイトールを用いて還元した。この還元されたAbを、50mMの酢酸ナトリウム緩衝0.9%生理食塩水(pH5.3)で平衡化したセファデックスG−25スピンカラムを用いることにより、過剰量のジチオトレイトールから分離した。コンジュゲーションは、アルゴン下、室温にて16時間、HEPES緩衝生理食塩水(pH7.4)中で行った。過剰量のマレイミド基を2mMの2−メルカプトエタノールで30分間ブロッキングし、その後、セファロースCL−4Bカラムで過剰量のAbと2−メルカプトエタノールを除去した。免疫リポソームをカラムのボイド容量付近で回収し、0.22μm無菌フィルターを通し、4℃で保存した。カップリング効率はフルオレセイン標識LL1の使用により評価した。
【0120】
実施例2 抗CD74免疫リポソームの細胞内取り込みと代謝
薬物担体の細胞内取り込みを調べるため、交換不可マーカー[H]COEを含有する脂質薬物担体を用いた。インキュベーションが完了した後、細胞を冷PBSで3回十分に洗浄し、液体シンチレーション計数により放射活性を測定した。低pHコンパートメントへのリポソームのインターナリゼーションを調べるため、pH感受性プローブHPTSを用いた。HPTSは、低pH値では403極大のピークと高pH値では454極大のピークの2つの主要な蛍光励起極大を示すが、蛍光は413nmでpH依存的となる(等吸収点)。(Straubinger, et al., Biochemistry, 29:4929-4939 (1990)参照。)HPTS−リポソームの細胞内酸性コンパートメントへのインターナリゼーションを調べるため、454nmと413nmの間の蛍光の比を用いることができる。HPTS−リポソームをHEPESバッファー中で80μMリン脂質まで希釈し、37℃で培養皿(4×10細胞)に加えた。6時間のインキュベーションの後、細胞を冷PBSで2回洗浄し、20℃、攪拌キュベット内で蛍光を測定した。2つの励起波長(413および454nm)において510nm発光でピークの高さを測定し、適当なバックグラウンド蛍光に対して補正した。
【0121】
図5は、結合LL1を含む脂質薬物担体および結合LL1を含まない脂質薬物担体の濃度依存的な細胞会合を示す。結合LL1を含む、および含まない脂質薬物担体の会合は濃度依存的である。図5は、バーキットリンパ腫細胞Rajiが、非標的調製物に比べてLL1脂質薬物担体複合体と旺盛な相互作用を示すことを示している。非転移性化合物[H]COEで標識されたLL1エマルジョン複合体は、Raji培養細胞による非コンジュゲートエマルジョンよりも約50倍速く取り込まれた。この免疫エマルジョンの迅速かつ旺盛な取り込みは、標準的なインキュベーション条件下で、加えた調製物の約30%が24時間後に細胞と会合した事実により示される。これに対して、結合Abを含まないエマルジョンの会合は約0.6%であった。Ramos細胞の取り込み値は著しく低いが、それでも非複合エマルジョンの場合よりもLL1複合体の場合の方が約30倍高い。標的担体の時間依存的会合は24時間までは明瞭に直線であるが、インキュベーション時間が長くなると、曲線が傾いた。
【0122】
実施例3 免疫複合体の特異性
調製物の細胞特異性をHL−60細胞とJurkat細胞について試験した。図5の下のパネル参照。24時間後に得られた細胞の会合は両細胞種の1〜2%の間であり、コンジュゲートとプレーンエマルジョンとの間に明らかな違いはなかった。この程度の細胞会合は明らかに非特異的な取り込みを表す。相互作用の特異性は、エマルジョンEPC当たりのLL1の量に対する、[H]COE標識LL1エマルジョンの細胞会合を測定することによりさらに調べた。図6参照。これらの実験は、LL1エマルジョンの会合がLL1の濃度に依存していたことを示した。また、免疫エマルジョンと細胞との相互作用の特異性を置換実験により調べた。図7は、遊離のLL1がLL1エマルジョン複合体と効果的に競合し、高濃度では、細胞会合は実際になくなる。これらの発見は、LL1が脂質薬物担体と結合した後もその免疫反応性を保持することを強く示唆する。
【0123】
実施例4 HPTS含有免疫リポソームのエンドサイトーシス
LL1リポソーム複合体の細胞内の運命を、pH感受性プローブHPTSの使用によって調べた。pH変化に伴うプローブのスペクトルシフトにより、それは封入された色素の取り込みおよび運命の有用なマーカーとなる。図8は、HPTS付加LL1リポソームの濃度依存的な細胞会合を示す。LL1リポソームの低pHコンパートメントへのインターナリゼーションは、蛍光比λex454/413によって示される。pH値6.5に相当する0.6に近い値が得られた。この値は他の筆者がHPTS免疫リポソームを用いて得た値に近い。Kirpotin, et al., Biochemistry 36 (1997) 66-75; Lopes de Menezes,et al., J. Liposome Res. 9 (1999) 199-228参照。リガンドを含まないHPTSリポソームでは0.8に近い値が得られたが、これはpH値約7.0に相当する。Lundberg, et al., Int. J. Pharm. 205 (2000) 101-108参照。よって、LL1薬物担体複合体はリソソームに送達され、リソソームによって代謝される可能性が極めて高いと思われる。
【0124】
実施例5 細胞傷害性アッセイ
結合LL1を含む、また、含まない遊離型FUdRおよびFUdR−dO付加エマルジョンおよびリポソームのin vitro細胞傷害性の比較を、テトラゾリウム色素MTTを用いた増殖アッセイによりRajiヒトB細胞リンパ腫系統にて行った。(Mosmann, J. Immun. Meth., 65:55-63(1983)参照。)はじめに4×10細胞を24穴プレートにプレーティングし、薬物を含有する調製物とともに培養した。対照実験は、遊離LL1と薬物フリーエマルジョンおよびリポソームを含んだ。細胞を、湿度95%、5%COの雰囲気下、37℃で24時間培養した。24時間時点で細胞を2回洗浄した後、新しい培地に移し、さらに48時間培養した。培養が終了したところで、テトラゾリウム色素を加え、生じた還元生成物を遠心分離し、EtOH:DMSO1:1に溶解し、570nmで読みとった。
【0125】
Rajiリンパ腫細胞にて、LL1コンジュゲートエマルジョンおよびリポソームでのFUdR−dOの細胞傷害性の活性を試験し、非コンジュゲート薬物担体の活性と比較した。図9参照。遊離FUdR(PBS中)の結果も記録した。この細胞を種々の調製物とともに24時間培養した後、新しい培地でさらに48時間培養した。用量応答曲線から、FUdR−dOがリポソームの場合よりもエマルジョンでいくらか効果が大きいことが分かる。しかしながら、LL1エマルジョンとLL1リポソームの双方で、投与したFUdR−dOの活性はFUdRの場合よりも優っていた。FUdR−dO付加LL1エマルジョン、LL1リポソーム、エマルジョンおよびリポソームで得られたIC70値はそれぞれ0.45、1.25、5.3および7.3μMであった。対応するFUdRの値は4.35μMと算出された。LL1エマルジョン、LL1リポソームおよびFudRのIC50値はそれぞれ2.5、5.3および7.0μMであった(プレーンエマルジョンおよびリポソームのFUdR−dOはこのレベルに達しなかった)。
【0126】
本研究に用いたプロドラッグFUdR−dOは、脂質薬物担体での投与に有利ないくつかの特徴を示す。それは両親媒性で、それぞれ脂質エマルジョンおよびリポソームリン脂質単層と二重層に位置する。このことはこの薬物担体調製物を極めて便宜なものとし、すなわち、これらの成分はまさに一緒に混合され、音波処理される。大規模生産により適した別法としては、高圧ホモジナイゼーションの使用であろう。
【0127】
プロドラッグの標的細胞への部位特異的送達のための必要条件は、薬物担体中でのプロドラッグの安定した補足である。担体から細胞へのFUdR−dOの非特異的な移行は実際には測定されなかったが、LL1コンジュゲート調製物の細胞傷害活性がはるかに高いことは、薬物の細胞への非特異的な移行が比較的低いことを示唆する。このようなある程度の表面移行はおそらく、Koning et al., Biochim. Biophys. Acta 1420 (1999) 153-167の研究による知見を裏付けるものであろう。彼らは、インターナリゼーションを伴わないジパルミトイル−FUdR免疫リポソームが、抗体を含まないリポソームよりも効率的に標的細胞へプロドラッグを送達できることを見出した。
【0128】
プロドラッグの概念は、標的細胞に曝された際に活性化される薬理学上不活性な化合物を含む。この点で、FUdR−dOは良好なプロドラッグの基準を満たし得る。FUdR脂肪酸エステルは細胞の、明らかにリソソームにおいて速やかに加水分解されることが示されている。同書参照。親薬物FUdRの効率的な細胞内遊離も、FUdR−dOの高い細胞傷害性効力により間接的に裏付けられる。
【0129】
このin vitro研究は、ターゲッティングリガンドとしてのLL1を含む脂質薬物担体の使用による抗癌薬物の部位特異的送達のための可能性を示している。また、いくつかの最近の研究は、脂質薬物担体は、結合リガンドを伴わなくとも、in vivoにおいて親油性および両親媒性薬物用の投与ビヒクルとしての利点を与え得る。Constantinides et al., Pharm. Res. 17 (2000) 175-182; Perkins et al., Int. J. Pharm. 200 (2000) 27-39; Bom et al., J. Controlled Release 74 (2001) 325-333;およびMaranhao et al., Cancer. Chemother. Pharmacol. 49 (2002) 487-498参照。
【0130】
このような好ましい効果の説明は、薬物の半減期が延び、耐性が向上するので、高用量が投与できることであると思われる。ヌードマウスを用いた最近のin vivo研究では、Ramos異種移殖片に対するLL1の特異的Ab局在を示した。Shih et al., Cancer Immunol. Immunother. 49 (2000) 208-216参照。本研究では、親薬物に比べて標的化プロドラッグの細胞傷害性の活性の向上を示す。免疫リポソームは一般に、非標的化薬物に比べて低いか、同等の活性を示すが、in vivo実験ではやはり効力の向上を示す。Moase et al., Biochim. Biophys. Acta 1510 (2001) 43-55; Lopes de Menezes et al., Cancer Res. 58 (1998) 3320-3330参照。
【0131】
本明細書に挙げられている総ての特許およびその他の参照文献は、本発明が属する分野の熟練者の水準の指標となり、表や図面を含めその全開示内容が、各参照文献が個々に引用することによりその全開示内容が本明細書の一部とされる場合と同程度に、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0132】
当業者ならば、本発明が、記載の目的および利点、ならびにそれらに内在するものを得るために十分適合されることが容易に分かるであろう。本明細書において現在のところ好ましい実施態様の代表例として記載されている方法、変数および組成物は例であって、本発明の範囲を限定するものではない。そこにおける変化およびその他の使用は当業者には明らかであり、それらは本発明の範囲内にある。
【0133】
本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に開示される発明に様々な置換および改変を行えることは当業者には容易に明らかとなろう。例えば、種々の異なる結合対、ならびに種々の異なる治療薬および診断薬を使用できる。よって、このようなさらなる実施態様は、本発明の範囲内にある。
【0134】
本明細書に適宜例として記載される発明は、本明細書で具体的に開示されていないいずれの要素および制限もなく実施可能である。よって、例えば、本明細書の各例では、「〜を含んでなる」、「本質的に〜からなる」、および「〜からなる」という用語はいずれも、他の2つの用語に置き換えることができる。用いられている用語および表現は説明のための用語として用いられているのであって、限定のための用語として用いられているのではなく、示され、記載されている特徴またはその一部と等価なものを排除するこのような用語および表現の使用を意図するものではないが、本発明の範囲内で種々の改変が可能であることが認識される。よって、本発明は好ましい実施態様および任意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示される概念の改変および変更は当業者が細分類可能であり、このような改変および変更は本発明の範囲内にあるものとする。
【0135】
さらに、本発明の特徴または態様はMarkush記法または代用の他の記法の用語で記載されているが、当業者ならば、本発明が、Markush基またはその他の基の個々のメンバーまたはメンバーの亜群に関してもそれによって記載されていることが分かるであろう。
【0136】
また、特に断りのない限り、種々の数値は具体例のために示されているが、さらなる具体例は、ある範囲の終点としての2つの異なる値をとることにより記載される。このような範囲もまた、記載の発明の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】ネズミLL1重鎖および軽鎖可変領域のDNA配列およびアミノ酸配列。図1Aは、LL1VHのDNAおよびアミノ酸配列。図1Bは、LL1VkのDNA配列およびアミノ酸配列を示す。対応するDNA配列によりコードされるアミノ酸配列は、ヌクレオチド配列の下に一文字コードで示されている。ヌクレオチド配列の番号は右側にある。CDR領域のアミノ酸残基は太字と下線で示されている。上記のアミノ酸残基のナンバリングによって示されるように、アミノ酸残基にはKabatのIg分子のナンバリングが用いられている。特定の数字に続き一文字でナンバリングされている残基は、Kabatナンバリング法によって定義されている挿入残基を示す。ある文字でナンバリングされている残基の頭につく数字は同じである。例えば、図1において残基82A、82Bおよび82Cは、82A、BおよびCで示される。
【図2】キメラLL1(cLL1)重鎖および軽鎖可変領域のDNA配列およびアミノ酸配列。(米国特許出願第10/377,122号参照。)図2Aは、cLL1VHのDNAおよびアミノ酸配列を示す。図2Bは、cLL1Vkの二本鎖DNA配列およびアミノ酸配列を示す。対応するDNA配列によりコードされるアミノ酸配列は一文字コードで示されている。CDR領域のアミノ酸残基は太字と下線で示されている。ヌクレオチドおよびアミノ酸のナンバリングについては、図1の場合と同じである。
【図3】ヒト抗体、cLL1およびhLL1の軽鎖および重鎖可変領域のアミノ酸配列のアライメント。図3Aは、ヒト抗体RF−TS3、cLL1およびhLL1のVHアミノ酸配列アライメントを示し、図3Bは、ヒト抗体HF−21/28、cLL1およびhLL1のVkアミノ酸配列アライメントを示す。点は、ヒト抗体における対応する残基と一致するcLL1の残基を示す、四角で囲んだ領域はCDR領域を示す。cLL1のN末端およびC末端残基(下線)の双方は用いる足場ベクターによって固定されており、ヒト抗体とは比較しない。図1同様、KabatのIg分子ナンバリング法が用いられている。
【図4】ヒト化LL1(hLL1)重鎖および軽鎖可変領域のDNA配列およびアミノ酸配列。図4AはhLL1VHのDNA配列およびアミノ酸配列を示し、図4Bは、hLL1VkのDNA配列およびアミノ酸配列を示す。対応するDNA配列によりコードされるアミノ酸配列は一文字コードで示されている。CDR領域のアミノ酸残基は太字と下線で示されている。図1Aおよび図1B同様、アミノ酸残基に関してはKabatのIg分子ナンバリング法が用いられている。
【図5】37℃で24時間インキュベーションした際の、[H]コレステリルオレオイルエーテル(COE)標識、標的化および非標的化薬物担体エマルジョンの、濃度依存的細胞内会合。A.上のパネル。Raji細胞をLL1コンジュゲートエマルジョン(●)および非コンジュゲートエマルジョン(○)で処理した。Ramos細胞をLL1−コンジュゲートエマルジョン(▼)および非コンジュゲートエマルジョン(▽)で処理した。B.下のパネル。HL−60細胞ををLL1コンジュゲートエマルジョン(●)および非コンジュゲートエマルジョン(○)で処理した。Jurkat細胞をLL1コンジュゲートエマルジョン(▼)および非コンジュゲートエマルジョン(▽)で処理した。(平均±SE,n=4)
【図6】37℃で24時間インキュベーションした際の、[H]COE標識LL1エマルジョンの細胞内会合とエマルジョン卵ホスファチジルコリン(EPC)についてのLL1の量(平均±SE,n=4)。
【図7】種々の濃度の遊離LL1の存在下での、[H]COE標識LL1エマルジョンの置換曲線。平均±SE,n=4)
【図8】37℃で6時間インキュベーションした際の、8−ヒドロキシ−1,3,6−ピレントリスルホン化(HPTS)含有LL1リポソームの濃度依存的会合をλ=413nm(●)およびλ=454nm(○)で測定したもの。(平均±SE,n=3)
【図9】FUdR−dOに関する用量応答曲線。A.上のパネル。Rajiリンパ腫細胞をFUdR−dO含有LL1コンジュゲートエマルジョンで処理(●);FUdR−dO含有非コンジュゲートエマルジョンで処理(○);または比較としてPBS中遊離FUdRで処理した(▼)。B.下のパネル。Rajiリンパ腫細胞をFUdR−dO含有LL1コンジュゲートリポソームで処理(●);FUdR−dO含有非コンジュゲートリポソームで処理(○);または比較としてPBS中遊離FUdRで処理した。(平均±SE,n=4)









【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の脂質、高分子担体、ミセル、ナノ粒子、またはその組合せと結合した1以上の抗CD74結合分子を含んでなる免疫複合体、および
1以上のエフェクター
を含んでなる、組成物。
【請求項2】
エマルジョンをさらに含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
リポソームをさらに含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記1以上の抗CD74結合分子が1以上の脂質と結合している、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記1以上の抗CD74結合分子が1以上の高分子担体と結合している、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記1以上の抗CD74結合分子が1以上のミセルと結合している、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記1以上の抗CD74結合分子が1以上のナノ粒子と結合している、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記1以上の抗CD74結合分子がLL1またはそのフラグメントを含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記1以上の抗CD74結合分子が、スルフィド結合、ヒドラゾン結合、ヒドラジン結合、エステル結合、アミド結合、アミノ結合、イミノ結合、チオセミカルバゾン結合、セミカルバゾン結合、オキシム結合、炭素−炭素結合、またはその組合せの1以上により1以上の脂質と結合している、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記結合分子がスルフィド結合により結合している、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD30、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD80、CD126、B7、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、Ia、HM1.24、テネイシン、VEGF、EGFR、CEA、CSAp、ILGF、胎盤増殖因子、炭酸脱水酵素IX、IL−6およびそれらの組合せからなる群から選択される1以上の抗原に特異的に結合する1以上の付加的結合分子をさらに含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記付加的結合分子が1以上の脂質、高分子担体、ミセル、ナノ粒子、またはその組合せと結合している、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記1以上の脂質が両親媒性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記1以上の脂質が遠位末端に1以上の求核炭素を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記1以上の脂質が遠位末端に1以上のマレイミド基を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記1以上の脂質がPEG−マレイミドを含んでなる、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記1以上の抗CD74結合分子が1以上のマレイミド基に連結されている、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記1以上の抗CD74結合分子が1以上の遊離チオール基により1以上のマレイミド基に連結されている、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
前記1以上の脂質がポリエチレングリコール(PEG)を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
エフェクターが治療薬または診断薬を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
エフェクターが、薬物、プロドラッグ、毒素、酵素、放射性同位元素、免疫調節剤、サイトカイン、ホルモン、結合分子、オリゴヌクレオチド、光線力学剤、またはそれらの混合物を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
エフェクターが、アプリジン、アザリビン、アナストロゾール、アザシチジン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブリオスタチン−1、ブスルファン、カリケアマイシン、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、カルムスチン、セレブレックス、クロラムブシル、シスプラチン、イリノテカン(CPT−11)、SN−38、カルボプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ドセタキセル、ダクチノマイシン、ダウノマイシングルクロニド、ダウノルビシン、デキサメタゾン、ジエチルスチルベストロール、ドキソルビシン、ドキソルビシングルクロニド、エピルビシングルクロニド、エチニルエストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エトポシドグルクロニド、リン酸エトポシド、フロクスウリジン(FUdR)、3’,5’−O−ジオレオイル−FudR(FUdR−dO)、フルダラビン、フルタミド、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、ゲムシタビン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イフォスファミド、L−アスパラギナーゼ、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、酢酸メドロプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトタン、酪酸フェニル、プレドニゾン、プロカルバジン、パクリタキセル、ペントスタチン、PSI−341、セムスチンストレプトゾシン、タモキシフェン、タキサン、タキソール、プロピオン酸テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、テニポシド、トポテカン、ウラシルマスタード、ベルケード、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンクリスチン、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ、オンコナーゼ、rapLR1、DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒、シュードモナス外毒素、およびシュードモナス内毒素、またはその組合せを含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
エフェクターが、FUdR、FUdR−dO、またはそれらの混合物を含んでなる、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
1以上の硬酸キレート剤または軟酸キレート剤をさらに含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
II族金属陽イオン、III族金属陽イオン、IV族金属陽イオン、V族金属陽イオン、遷移金属陽イオン、ランタニド金属陽イオンもしくはアクチニド金属陽イオン、またはそれらの混合物から選択される陽イオンをさらに含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
Tc、Re、Bi、Cu、As、Ag、Au、At、Pb、またはそれらの混合物から選択される陽イオンをさらに含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
NOTA、DOTA、DTPA、TETA、Tscg−Cys、Tsca−Cys、またはそれらの混合物をさらに含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
エフェクターが核種を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
核種が18F、32P、33P、45Ti、47Sc、52Fe、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、75Se、77As、86Y、89Sr、89Zr、90Y、94Tc、94mTc、99Mo、99mTc、105Pd、105Rh、111Ag、111In、123I、124I、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、154−158Gd、161Tb、166Dy、166Ho、169Er、175Lu、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、225Ac、またはそれらの混合物を含んでなる、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
エフェクターが酵素を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
前記酵素がカルボキシルエステラーゼ、グルクロニダーゼ、カルボキシペプチダーゼ、β−ラクタマーゼ、ホスファターゼ、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
エフェクターが免疫調節剤を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項33】
前記免疫調節剤がIL−1、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、IL−21、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、G−CSF、GM−CSF、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
エフェクターが、アンギオスタチン、エンドスタチン、バスキュロスタチン、カンスタチン、マスピン、抗VEGF結合分子、抗胎盤増殖因子結合分子、抗血管増殖因子結合分子、およびそれらの混合物からなる群から選択される抗脈管形成薬を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項35】
前記抗CD74結合分子が1以上の治療薬、診断薬、またはそれらの混合物に結合している、請求項1に記載の組成物。
【請求項36】
前記抗CD74結合分子がヒト化、ヒトもしくはキメラ抗CD74抗体またはそのフラグメントを含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項37】
前記ヒト化、ヒトもしくはキメラ抗CD74抗体またはそのフラグメントが、モノクローナル抗体(mAb)またはそのフラグメントを含んでなる、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
前記ヒト、キメラもしくはヒト化抗CD74抗体またはそのフラグメントが、
F(ab’)、Fab、scFv、もしくはFvを含んでなるフラグメント、またはF(ab’)、Fab、scFv、もしくはFvの軽鎖および重鎖の一部もしくは全部を用いる融合タンパク質
を含んでなり、そのフラグメントがCD74と結合する、請求項36に記載の組成物。
【請求項39】
前記融合タンパク質が多価であるか、または多価多重特異性である、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記ヒト、キメラもしくはヒト化抗CD74抗体またはそのフラグメントが、ヒトIgG2a、IgG3、またはIgG4のヒト定常領域で置換されているIgG1の定常領域をさらに含んでなる、請求項36に記載の組成物。
【請求項41】
前記抗CD74結合分子が抗CD74ダイアボディー、トリアボディー、またはテトラボディーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項42】
疾病または疾患を治療および/または診断するための方法であって、患者に、請求項1に記載の組成物と医薬上許容される賦形剤とを含む治療用および/または診断用組成物を投与することを含んでなる、方法。
【請求項43】
前記疾病または疾患がCD74発現悪性疾患である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記疾病または疾患が免疫調節不全性疾患、自己免疫疾患、臓器移植拒絶、および移植片対宿主病からなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記CD74発現悪性疾患が固形腫瘍、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、B細胞悪性疾患、およびT細胞悪性疾患からなる群から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記疾病または疾患が、リンパ腫または白血病以外のCD74発現悪性疾患である、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記CD74発現悪性疾患が固形腫瘍である、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記固形腫瘍が黒色腫、癌腫、肉腫、および神経膠腫からなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記癌腫が腎臓癌、肺癌、腸癌、胃癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、および黒色腫からなる群から選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記CD74発現悪性疾患が、緩徐進行性B細胞リンパ腫、急速進行性B細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、および多発性骨髄腫からなる群から選択されるB細胞悪性疾患である、請求項43に記載の方法。
【請求項51】
前記組成物が20〜5000mgの用量で静脈投与または筋肉内投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項52】
前記組成物がLL1またはそのフラグメントを含んでなる、請求項42に記載の方法。
【請求項53】
前記組成物が、抗CD19、抗CD20、抗CD22、抗CD30、抗CD33、抗CD52、抗HLA−DR、抗MUC―1、抗TAC、およびそれらの混合物からなる群から選択される1以上の付加的抗体またはそのフラグメントをさらに含んでなる、請求項42に記載の方法。
【請求項54】
前記付加的抗体の1以上が、脂質、高分子担体、ミセル、ナノ粒子、またはその組合せの1以上と結合している、請求項43に記載の方法。
【請求項55】
エフェクター分子が1以上の薬物、プロドラッグ、毒素、酵素、放射性同位元素、免疫調節剤、サイトカイン、ホルモン、抗体、オリゴヌクレオチド、またはその組合せを含んでなる、請求項42に記載の方法。
【請求項56】
エフェクター分子が、アプリジン、アザリビン、アナストロゾール、アザシチジン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブリオスタチン−1、ブスルファン、カリケアマイシン、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、カルムスチン、セレブレックス、クロラムブシル、シスプラチン、イリノテカン(CPT−11)、SN−38、カルボプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ドセタキセル、ダクチノマイシン、ダウノマイシングルクロニド、ダウノルビシン、デキサメタゾン、ジエチルスチルベストロール、ドキソルビシン、ドキソルビシングルクロニド、エピルビシングルクロニド、エチニルエストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エトポシドグルクロニド、リン酸エトポシド、フロクスウリジン(FUdR)、3’,5’−O−ジオレオイル−FudR(FUdR−dO)、フルダラビン、フルタミド、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、ゲムシタビン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イフォスファミド、L−アスパラギナーゼ、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、酢酸メドロプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトタン、酪酸フェニル、プレドニゾン、プロカルバジン、パクリタキセル、ペントスタチン、PSI−341、セムスチンストレプトゾシン、タモキシフェン、タキサン、タキソール、プロピオン酸テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、テニポシド、トポテカン、ウラシルマスタード、ベルケード、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンクリスチン、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ、オンコナーゼ、rapLR1、DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒、シュードモナス外毒素、およびシュードモナス内毒素、またはその組合せを含んでなる、請求項42に記載の方法。
【請求項57】
エフェクターがFUdR、FUdR−dO、またはそれらの混合物を含んでなる、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記組成物が1以上の硬酸キレート剤または軟酸キレート剤をさらに含んでなる、請求項42に記載の方法。
【請求項59】
前記組成物が、II族金属陽イオン、III族金属陽イオン、IV族金属陽イオン、V族金属陽イオン、遷移金属陽イオン、ランタニド金属陽イオンもしくはアクチニド金属陽イオン、またはそれらの混合物から選択される陽イオンをさらに含んでなる、請求項42に記載の方法。
【請求項60】
前記組成物が、Tc、Re、Bi、Cu、As、Ag、Au、At、Pb、またはそれらの混合物から選択される陽イオンをさらに含んでなる、請求項42に記載の方法。
【請求項61】
前記組成物が、NOTA、DOTA、DTPA、TETA、Tscg−Cys、Tsca−Cys、またはそれらの混合物をさらに含んでなる、請求項42に記載の方法。
【請求項62】
前記組成物が核種を含んでなる、請求項42に記載の方法。
【請求項63】
核種が18F、32P、33P、45Ti、47Sc、52Fe、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、75Se、77As、86Y、89Sr、89Zr、90Y、94Tc、94mTc、99Mo、99mTc、105Pd、105Rh、111Ag、111In、123I、124I、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、154−158Gd、161Tb、166Dy、166Ho、169Er、175Lu、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、225Ac、またはそれらの混合物を含んでなる、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記組成物が酵素を含んでなる、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記酵素がカルボキシルエステラーゼ、グルクロニダーゼ、カルボキシペプチダーゼ、β−ラクタマーゼ、ホスファターゼ、およびそれらの混合物を含んでなる、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記組成物が免疫調節剤を含んでなる、請求項62に記載の方法。
【請求項67】
前記免疫調節剤がIL−1、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、IL−21、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、G−CSF、GM−CSF、またはそれらの混合物を含んでなる、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記組成物が光線力学療法のための1以上の薬剤を含んでなる、請求項42に記載の方法。
【請求項69】
光線力学療法のための前記薬剤が光増感剤である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記光増感剤がベンゾポルフィリン一酸環A(BDP−MA)、錫エチオプルプリン(SnET2)、スルホン化アルミニウムフタロシアニン(AlSPc)およびルテチウムテキサフィリン(Lutex)を含んでなる、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記組成物が1以上の診断薬を含んでなる、請求項42に記載の方法。
【請求項72】
前記組成物が診断用核種を含んでなる、請求項42に記載の方法。
【請求項73】
前記診断用核種が18F、52Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、86Y、89Zr、94Tc、94mTc、99mTc、111In、123I、124I、125I、131I、またはそれらの混合物を含んでなる、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記診断用核種が25〜4000keVのγ粒子および/または陽電子を放射するものである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記診断薬が陽電子放射断層撮影法(PET)を行うために用いられるものである、請求項71に記載の方法。
【請求項76】
陽電子放射断層撮影法(PET)を行うことをさらに含んでなる、請求項42に記載の方法。
【請求項77】
前記診断薬が1以上の画像増強剤を含んでなるものであり、磁気共鳴映像法(MRI)を行うことをさらに含んでなる、請求項71に記載の方法。
【請求項78】
前記画像増強剤がガドリニウムイオン、ランタンイオン、マンガンイオン、鉄、クロム、銅、コバルト、ニッケル、フッ素、ジスプロシウム、レニウム、ユウロピウム、テルビウム、ホルミウム、ネオジム、またはそれらの混合物を含んでなる、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記組成物がX線またはコンピューター断層撮影法(CT)のための1以上の放射線不透過剤または造影剤を含んでなる、請求項42に記載の方法。
【請求項80】
前記放射線不透過剤または造影剤がバリウム、ジアトリゾエート、エチオド化オイル、クエン酸ガリウム、イオカルム酸、イオセタム酸、ヨーダミド、ヨージパミド、ヨードキサム酸、イオグラミド、イオヘキソール、イオパミドール、イオパン酸、イオプロセム酸、イオセファム酸、イオセル酸、イオスラミドメグルミン、イオセメ酸、イオタスル、イオテトル酸、イオサラム酸、イオトロキシ酸、イオキサグル酸、イオキソトリゾ酸、イポデート、メグルミン、メトリザミド、メトリゾエート、プロピリオドン、塩化タリウム、またはその組合せを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項81】
前記組成物が1以上の超音波造影剤を含んでなる、請求項42に記載の方法。
【請求項82】
前記超音波造影剤がリポソームまたはデキストランを含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
リポソームがガス充填されている、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
術中手法、血管内手法、腹腔鏡手法、または内視鏡手法を行うことをさらに含んでなる、請求項42に記載の方法。
【請求項85】
治療薬、診断薬、またはそれらの混合物を含んでなる付加的組成物を投与することをさらに含んでなる、請求項42に記載の方法。
【請求項86】
前記付加的組成物が、
1以上の脂質、高分子担体、ミセル、ナノ粒子、またはその組合せと結合した1以上の抗CD74結合分子を含んでなる免疫複合体、および
1以上のエフェクター
を含んでなる、請求項42に記載の方法。
【請求項87】
前記抗CD74抗体またはそのフラグメントが、化学的結合または遺伝的融合によって、治療薬、診断薬、またはそれらの混合物に結合している、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記組成物が、前記付加的組成物の投与前、投与中、投与と同時、または投与後に投与される、請求項85に記載の方法。
【請求項89】
前記付加的組成物が1以上の薬物、プロドラッグ、毒素、酵素、放射性同位元素、免疫調節剤、サイトカイン、ホルモン、抗体、オリゴヌクレオチド、またはその組合せを含んでなる、請求項85に記載の方法。
【請求項90】
前記付加的組成物が、アプリジン、アザリビン、アナストロゾール、アザシチジン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブリオスタチン−1、ブスルファン、カリケアマイシン、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、カルムスチン、セレブレックス、クロラムブシル、シスプラチン、イリノテカン(CPT−11)、SN−38、カルボプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ドセタキセル、ダクチノマイシン、ダウノマイシングルクロニド、ダウノルビシン、デキサメタゾン、ジエチルスチルベストロール、ドキソルビシン、ドキソルビシングルクロニド、エピルビシングルクロニド、エチニルエストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エトポシドグルクロニド、リン酸エトポシド、フロクスウリジン(FUdR)、3’,5’−O−ジオレオイル−FudR(FUdR−dO)、フルダラビン、フルタミド、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、ゲムシタビン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イフォスファミド、L−アスパラギナーゼ、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、酢酸メドロプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトタン、酪酸フェニル、プレドニゾン、プロカルバジン、パクリタキセル、ペントスタチン、PSI−341、セムスチンストレプトゾシン、タモキシフェン、タキサン、タキソール、プロピオン酸テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、テニポシド、トポテカン、ウラシルマスタード、ベルケード、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンクリスチン、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ、オンコナーゼ、rapLR1、DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒、シュードモナス外毒素、およびシュードモナス内毒素、またはその組合せを含んでなる、請求項85に記載の方法。
【請求項91】
前記付加的組成物がFUdR、FUdR−dO、またはそれらの混合物を含んでなる、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記付加的組成物が1以上の硬酸キレート剤または軟酸キレート剤を含んでなる、請求項85に記載の方法。
【請求項93】
前記付加的組成物が、II族金属陽イオン、III族金属陽イオン、IV族金属陽イオン、V族金属陽イオン、遷移金属陽イオン、ランタニド金属陽イオンもしくはアクチニド金属陽イオン、またはそれらの混合物から選択される陽イオンを含んでなる、請求項85に記載の方法。
【請求項94】
前記付加的組成物が、Tc、Re、Bi、Cu、As、Ag、Au、At、Pb、またはそれらの混合物から選択される陽イオンを含んでなる、請求項85に記載の方法。
【請求項95】
前記付加的組成物が、NOTA、DOTA、DTPA、TETA、Tscg−Cys、Tsca−Cys、またはそれらの混合物を含んでなる、請求項85に記載の方法。
【請求項96】
前記付加的組成物が核種を含んでなる、請求項85に記載の方法。
【請求項97】
前記核種が18F、32P、33P、45Ti、47Sc、52Fe、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、75Se、77As、86Y、89Sr、89Zr、90Y、94Tc、94mTc、99Mo、99mTc、105Pd、105Rh、111Ag、111In、123I、124I、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、154−158Gd、161Tb、166Dy、166Ho、169Er、175Lu、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、225Ac、またはそれらの混合物を含んでなる、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記付加的組成物が酵素を含んでなる、請求項85に記載の方法。
【請求項99】
前記酵素がカルボキシルエステラーゼ、グルクロニダーゼ、カルボキシペプチダーゼ、β−ラクタマーゼ、ホスファターゼ、またはそれらの混合物を含んでなる、請求項85に記載の方法。
【請求項100】
前記付加的組成物が免疫調節剤を含んでなる、請求項85に記載の方法。
【請求項101】
前記免疫調節剤がIL−1、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、IL−21、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、G−CSF、GM−CSF、またはそれらの混合物を含んでなる、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記付加的組成物が1以上の診断薬を含んでなる、請求項85に記載の方法。
【請求項103】
前記付加的組成物が光線力学療法のための1以上の薬剤を含んでなる、請求項85に記載の方法。
【請求項104】
光線力学療法のための前記薬剤が光増感剤である、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記光増感剤がベンゾポルフィリン一酸環A(BDP−MA)、錫エチオプルプリン(SnET2)、スルホン化アルミニウムフタロシアニン(AlSPc)およびルテチウムテキサフィリン(Lutex)を含んでなる、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記付加的組成物が診断用核種を含んでなる、請求項85に記載の方法。
【請求項107】
前記診断用核種が18F、52Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、86Y、89Zr、94Tc、94mTc、99mTc、111In、123I、124I、125I、131I、またはそれらの混合物を含んでなる、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記診断用核種が25〜4000keVのγ粒子および/または陽電子を放射するものである、請求項106に記載の方法。
【請求項109】
前記診断薬が陽電子放射断層撮影法(PET)を行うために用いられるものである、請求項102に記載の方法。
【請求項110】
陽電子放射断層撮影法(PET)を行うことをさらに含んでなる、請求項85に記載の方法。
【請求項111】
前記診断薬が1以上の画像増強剤を含んでなるものであり、磁気共鳴映像法(MRI)を行うことをさらに含んでなる、請求項102に記載の方法。
【請求項112】
前記画像増強剤がガドリニウムイオン、ランタンイオン、マンガンイオン、鉄、クロム、銅、コバルト、ニッケル、フッ素、ジスプロシウム、レニウム、ユウロピウム、テルビウム、ホルミウム、ネオジム、またはそれらの混合物を含んでなる、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記付加的組成物がX線またはコンピューター断層撮影法(CT)のための1以上の放射線不透過剤または造影剤を含んでなる、請求項85に記載の方法。
【請求項114】
前記放射線不透過剤または造影剤がバリウム、ジアトリゾエート、エチオド化オイル、クエン酸ガリウム、イオカルム酸、イオセタム酸、ヨーダミド、ヨージパミド、ヨードキサム酸、イオグラミド、イオヘキソール、イオパミドール、イオパン酸、イオプロセム酸、イオセファム酸、イオセル酸、イオスラミドメグルミン、イオセメ酸、イオタスル、イオテトル酸、イオサラム酸、イオトロキシ酸、イオキサグル酸、イオキソトリゾ酸、イポデート、メグルミン、メトリザミド、メトリゾエート、プロピリオドン、塩化タリウム、またはその組合せを含む、請求項85に記載の方法。
【請求項115】
前記付加的組成物が1以上の超音波造影剤を含んでなる、請求項85に記載の方法。
【請求項116】
前記超音波造影剤がリポソームまたはデキストランを含む、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
リポソームがガス充填されている、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
術中手法、血管内手法、腹腔鏡手法、または内視鏡手法を行うことをさらに含む、請求項85に記載の方法。
【請求項119】
1以上の両親媒性脂質をエフェクターと混合して担体を形成すること、および
その担体を抗CD74抗体と接触させること
を含んでなる、担体の製造方法。
【請求項120】
前記脂質の1以上がマレイミド基を含んでなる、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
抗体を還元することをさらに含んでなる、請求項119に記載の方法。
【請求項122】
マレイミド基の1以上を抗CD74抗体上の遊離チオール基と反応させることをさらに含んでなる、請求項120に記載の方法。
【請求項123】
エフェクターが1以上の薬物、プロドラッグ、毒素、酵素、放射性同位元素、免疫調節剤、サイトカイン、ホルモン、抗体、オリゴヌクレオチド、またはそれらの混合物を含んでなる、請求項119に記載の方法。
【請求項124】
担体を1以上の治療薬または診断薬と混合することをさらに含んでなる、請求項119に記載の方法。
【請求項125】
請求項1に記載の組成物を含んでなる、キット。

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2007−523857(P2007−523857A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517321(P2006−517321)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/019238
【国際公開番号】WO2004/110390
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(504149971)イミューノメディクス、インコーポレイテッド (48)
【氏名又は名称原語表記】IMMUNOMEDICS, INC.
【Fターム(参考)】