説明

抗GPR−9−6および抗TECK抗体ならびにGPR−9−6およびTECKの機能の調節因子の同定方法

【課題】本発明は、CCケモカインレセプターGPR−9−6に結合し、レセプターへのリガンド(例えば、TECK)の結合をブロックする抗体またはその抗原結合性フラグメントに関する。本発明はまた、GPR−9−6に結合し、リガンド(例えば、TECK)の結合を阻害し、および/またはGPR−9−6の機能を調節することができる薬剤(分子、化合物)の同定方法に関する。本発明はさらに、GPR−9−6の機能の調節方法、ならびに研究、治療、予防および診断の方法において、本発明の方法により同定された抗体、抗原結合性フラグメントおよび薬剤の使用に関する。
【解決手段】哺乳類GPR−9−6に結合し、該GPR−9−6へのリガンドの結合を阻害する、抗体またはその抗原結合性フラグメント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
ケモカインは、広範な生物学的機能を媒介する約40の6〜14kDの(非グリコシル化)ヘパリン結合性タンパク質の大きく、発達しつつあるファミリーである〔非特許文献1〕。ケモカインは、2つのジスルフィド結合を形成する4つのシステイン残基の位置に基づいてファミリーに分けられうる〔非特許文献2、3、4〕。また、ケモカインレセプターは、それらが結合するケモカインのタイプに基づいてファミリーに分けられうるが、レセプターサブファミリーを区別する明かな構造差異は同定されていない〔非特許文献5〕。さらに、十分に特徴づけられたケモカインレセプターと配列相同性を共有する多数のいわゆる「オーファン(orphan)」ケモカインレセプター(例えば、GPR−9−6)が存在する。しかし、オーファンレセプターの生物学的機能および特異的なアゴニストは不明なままである。
【背景技術】
【0002】
ケモカインは、白血球接着および管外遊出において重要な役割を演じる。例えば、種々のインビトロアッセイにおいて、ケモカインは、白血球の化学走性または経内皮遊走を誘導し得〔非特許文献1〕、一方、ケモカインのインビボ注入〔非特許文献6〕または過剰発現〔非特許文献7〕は、ケモカイン注入または発現の部位で白血球蓄積を生じうる。ケモカインのアンタゴニストは、白血球輸送を妨げ得〔非特許文献8〕、急性および慢性の炎症のいくつかのモデルにおいて有益な効果を有し得る〔非特許文献9、10〕。さらに、ケモカインは、脈管形成〔非特許文献11〕、造血〔非特許文献1〕ならびにTリンパ球活性化〔非特許文献12、13〕を調節することが報告された。さらに、数種のケモカインレセプターは、CD4とともに、MトロピックおよびTトロピックHIV−1の侵入に対する補助レセプター(co-receptor)として働く〔非特許文献14、15〕。
【0003】
CD4リンパ球のいくつかのサブセットは、異なる生理的部位に輸送をもたらすことが知られている種々の接着分子の発現に基づいて規定されうる〔非特許文献16〕。例えば、CLA+ve記憶CD4リンパ球は、皮膚に移動し〔非特許文献17〕、一方、CLA-veα4β7+ve記憶CD4リンパ球は粘膜部位に移動する〔非特許文献18〕。内皮への白血球接着は、回転、活性化および静止を含む、いくつかのオーバーラップする工程に関与すると考えられる。回転する白血球は、白血球の活性化およびインテグリン媒介接着のアップレギュレーションを生じる接着部位で発現される薬剤に曝される。かかるインテグリン媒介相互作用の結果として、白血球は内皮で静止する〔非特許文献8、19〕。白血球活性化およびインテグリン分子のアップレギュレーションは、ケモカインレセプターに関与すると考えられている百日咳毒素感受性機構を介して生じる〔非特許文献8、20〕。
【0004】
記憶CD4+リンパ球は、所定のケモカインレセプターの発現に基づいてグループ化されうる。例えば、CXCR3、CCR2およびCCR5〔非特許文献21、22、23〕は、記憶CD4リンパ球のサブセット上に全て発現され、所定のケモカインは、未処置(naive)のT細胞上で選択的に作用する〔非特許文献24〕。さらに、かかるレセプターに対するリガンドである数種のケモカインは、炎症部位で〔非特許文献25〕およびある場合にはチャレンジ部位で(challenged site)を排出するリンパ節で〔非特許文献26〕発現されることが示された。インビトロ由来TH1/TH2リンパ球株は、ケモカインレセプターを差次的に発現することが示された。具体的には、TH1リンパ球は、CXCR3およびCCR5を選択的に発現することが示されたが、一方、TH2リンパ球は、CCR4、CCR8およびCCR3を選択的に発現する〔非特許文献27、28、29、30、31〕。興味深いことに、ある場合には、これらのそれぞれのケモカインレセプターに対するケモカイン、例えば、CCR4に対するMDCおよびCXCR3に対するIP−10は、TH1/TH2環境に関連したサイトカインにより誘導される〔非特許文献30、32〕。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Taub,D.D.およびOpenheim,J.J.,Ther.Immunol.,1:229−246(1994)
【非特許文献2】Kelner,G.S.ら、Science,266:12395−1399(1994)
【非特許文献3】Bazan,J.F.ら、Nature,385:640−644(1997)
【非特許文献4】Pin,Y.ら、Nature,385:611−617(1997)
【非特許文献5】Mackay,C.R.,J.Exp.Med.,184:799−802(1996)
【非特許文献6】Taub,D.D.ら、J.Clin.Invest.,97:1931−1941(1996)
【非特許文献7】Fuentes,M.E.ら、J.Immunol.,155:5769−5776(1995)
【非特許文献8】Bargatze,R.F.およびButcher,E.C.,J.Exp.Med.,178:367−372(1993)
【非特許文献9】Sekido,N.ら、Nature,365:654−657(1993)
【非特許文献10】Karpus,W.J.ら、J.Immunol.,155:5003−5010(1995)
【非特許文献11】Gupta,S.K.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92:7799−7803(1995)
【非特許文献12】Zhou,Z.ら、J.Immunol.151:4333−4341(1993)
【非特許文献13】Taub,D.D.ら、J.Immunol.,156:2095−2103(1996)
【非特許文献14】Choe,H.ら、Cell,85:1135−1148(1996)
【非特許文献15】Feng,Y.ら、Science,272:872−877(1996)
【非特許文献16】Mackay,C.R.,Curr.Opin.Immunol.,5:423−427(1993)
【非特許文献17】Berg,E.L.ら、Nature,174(6):1461−1466(1991)
【非特許文献18】Hamman,A.ら、J.Immunol.,152:3282−3292(1994)
【非特許文献19】Bargatze,R.F.ら、Immunity,3:99−108(1995)
【非特許文献20】Campbell,J.J.ら、Science,279:381−383(1998)
【非特許文献21】Qin,S.ら、Eur.J.Immunol.,26:640−647(1996)
【非特許文献22】Qin,S.ら、J.Clin.Invest.,101:746−754(1998)
【非特許文献23】Liao,F.ら、J.Immunol.,162:186−194(1999)
【非特許文献24】Adema,G.J.,ら、Nature,387:713−717(1997)
【非特許文献25】Gonzalo,J.A.ら、J.Clin.Invest.,98:2332−2345(1996)
【非特許文献26】Tedla,N.ら、J.Immunol.,161:5663−5672(1998)
【非特許文献27】Bonecchi,R.G.ら、J.Exp.Med.,187:129−134(1998)
【非特許文献28】Sallusto,F.D.ら、J.Exp.Med.,187:875−883(1998)
【非特許文献29】Sallusto,F.,Science,277:2005−2007(1997)
【非特許文献30】Andrew,D.P.ら、J.Immunol 161:5027−5038(1998)
【非特許文献31】Zingoni,Aら、J.Immunol.,161:547−555(1998)
【非特許文献32】Luster,A.D.ら、Nature,315:672−676(1985)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、哺乳類GPR−9−6(GPR−9−6はまた、CCケモカインレセプター9(CCR9)とも呼ばれる)またはそのレセプターの一部に結合する抗体(免疫グロブリン)またはその機能的フラグメント(例えば、抗原結合性フラグメント)に関する。一つの態様では、抗体またはその抗原結合性フラグメントは、ヒトGPR−9−6に結合する。他の態様では、抗体またはその抗原結合性フラグメントは、哺乳類GPR−9−6へのリガンドの結合を阻害しうる。好ましい態様では、抗体または抗体結合性フラグメントは、ヒトGPR−9−6に結合し、レセプターへのTECKの結合を阻害しうる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
特定の態様において、本発明の抗体または抗原結合性フラグメントは、mAb 3C3、mAb GPR96−1または前述のいずれかの抗原結合性フラグメントにより認識されるエピトープと同一であるかまたは類似するエピトープに結合する。例えば、ヒトGPR−9−6への本発明の抗体または抗原結合性フラグメントの結合は、配列番号:3のアミノ酸配列からなるペプチドにより阻害されうる。他の態様では、ヒトGPR−9−6への本発明の抗体または抗原結合性フラグメントの結合は、mAb 3C3により阻害されうる。好ましい態様では、抗体は、mAb 3C3またはその抗原結合性フラグメントである。より好ましい態様では、抗体は、mAb GPR−9−6またはその抗原結合性フラグメントである。
【0008】
本発明はまた、本発明の抗体または抗原結合性フラグメントを産生する単離された細胞に関し、これには哺乳類9−6に結合するものおよびレセプターへのリガンドの結合を阻害するものが含まれる。特定の態様では、単離された細胞は、ATCCアクセッション番号HB−12653の下で寄託されたマウスハイブリドーマ3C3(マウスハイブリドーマLS129−3C3−E3−1とも呼ばれる)である。他の特定の態様において、単離された細胞は、ATCCアクセッション番号PTA−1470の下で寄託されたマウスハイブリドーマGPR96−1(マウスハイブリドーマLS272 GPR96 1−5とも呼ばれる)である。
【0009】
本発明はまた、哺乳類GPR−9−6に結合する薬剤(すなわち、分子または化合物)を検出または同定する方法に関する。一つの態様では、哺乳類GPR−9−6に結合し、GPR−9−6へのリガンド(例えば、TECK)の結合を阻害(低減または妨害)しうる薬剤が競合結合アッセイにおいて同定される。他の態様では、治療に使用するための薬剤は、直接結合アッセイにおいて同定される。従って、本発明は、GPR−9−6機能を調節する薬剤、例えば、リガンドまたはレセプター機能のインヒビター(例えば、アンタゴニスト)またはプロモーター(例えば、アゴニスト)を含む哺乳類GPR−9−6に結合する他の物質を同定する方法を含む。哺乳類GPR−9−6またはそのリガンド結合性変種の適切な供給源は、本発明の方法に従ってGPR−9−6結合薬剤を同定するために使用されうる。一つの態様では、哺乳類GPR−9−6またはそのリガンド結合性変種を発現する細胞(例えば、細胞株、組換え細胞)が使用される。他の態様では、哺乳類GPR−9−6またはそのリガンド結合性変種を発現する細胞の膜調製物が使用される。
【0010】
また、本発明は、哺乳類TECKまたはケモカインの一部に結合する抗体(免疫グロブリン)またはその機能的フラグメント(例えば、抗原結合性フラグメント)に関する。一つの態様では、抗体またはその抗原結合性フラグメントはヒトTECKに結合する。他の態様では、抗体またはその抗原結合性フラグメントは、レセプターへの哺乳類TECKの結合を阻害しうる。好ましい態様では、抗体または抗体結合性フラグメントは、ヒトTECKに結合し、GPR−9−6へのTECKの結合を阻害しうる。
【0011】
他の態様では、本発明の抗体または抗原結合性フラグメントは、mAb 11.3.1、mAb 16.3.1または前述のいずれかの抗原結合性フラグメントにより認識されるエピトープと同一または類似のエピトープに結合する。他の態様では、ヒトGPR−9−6への本発明の抗体または抗原結合性フラグメントの結合は、mAb 11.3.1および/またはmAb 16.3.1により阻害されうる。特定の態様では、抗体は、mAb 11.3.1またはその抗原結合性フラグメントである。他の特定の態様では、抗体は、mAb 16.3.1またはその抗原結合性フラグメントである。
【0012】
また、本発明は、哺乳類TECKに結合し、レセプターへのTECKの結合を阻害するものを含む、本発明の抗体または抗原結合性フラグメントを産生する単離された細胞に関する。特定の態様では、単離された細胞は、ATCCアクセッション番号PTA−1469の下で寄託されたマウスハイブリドーマ11.3.1(マウスハイブリドーマLS250 11.3.1とも呼ばれる)である。他の特定の態様では、単離された細胞は、ATCCアクセッション番号PTA−1468の下で寄託されたマウスハイブリドーマ16.3.1(マウスハイブリドーマLS250 16.3.1とも呼ばれる)である。
【0013】
本発明はまた、哺乳類GPR−9−6に結合する薬剤(すなわち、分子または化合物)を検出または同定する方法に関する。一つの態様では、哺乳類GPR−9−6に結合し、GPR−9−6へのリガンド(例えば、TECK)の結合を阻害(低減または妨害)しうる薬剤は、競合結合アッセイで同定される。他の態様では、治療に使用するための薬剤は、直接結合アッセイにおいて同定される。
【0014】
本発明はまた、哺乳類GPR−9−6に結合し、GPR−9−6機能を調節(阻害または促進)するか、または哺乳類TECKに結合し、GPR−9−6機能を調節しうる薬剤をかかる治療を必要とする被験体に投与する治療方法に関する。一つの態様では、治療方法は、炎症性疾患を有する被験体を治療する方法である。好ましい態様では、被験体は、炎症性腸疾患等の粘膜組織に関連した炎症性疾患を有する。特定の態様では、炎症性腸疾患は、クローン病または結腸炎である。他の態様では、治療方法は、白血球のGPR−9−6媒介性ホーミングの阻害方法である。他の態様では、この方法は、GPR−9−6機能の調節方法である。
【0015】
本発明は、さらに生物学的試料中の哺乳類GPR−9−6またはその一部を検出または定量する方法に関する。この方法は、生物学的試料と本発明の抗GPR−9−6抗体または抗原結合性フラグメントとを結合に適した条件下で接触させる工程、およびGPR−9−6と抗体または抗原結合性フラグメントとで形成された複合体を検出する工程を含む。一つの態様では、生物学的試料は、ヒト細胞または該細胞の画分(例えば、膜調製物)を含む。
【0016】
また、本発明は、生物学的試料中の哺乳類GPR−9−6またはその一部を同定または定量するための試験キットに関する。一つの態様では、キットは、本発明の抗体および適切な補助試薬を含有する。
【0017】
本発明は、さらに生物学的試料中の哺乳類TECKまたはその一部を検出または定量する方法に関する。この方法は、生物学的試料と本発明の抗TECK抗体または抗原結合性フラグメントとを結合に適した条件下で接触させ、TECKと抗体または抗原結合性フラグメントとで形成される複合体を検出する工程を含む。また、本発明は、生物学的試料中の哺乳類TECKまたはその一部を同定または定量するための試験キットに関する。一つの態様では、キットは、本発明の抗体および適切な補助試薬を含む。
【0018】
本発明はまた、癌を有する被験体を治療する方法に関する。一つの態様では、この方法は、癌を有する被験体にGPR−9−6機能のアンタゴニストを投与する工程を含む。他の態様では、GPR−9−6に結合する抗体、抗原結合性融合タンパク質または免疫複合体(immunoconjugate)が投与される。また、本発明は、他の治療剤に直接または間接的に結合したGPR−9−6に結合する抗体の抗原結合部分を少なくとも含有する免疫複合体および抗原結合性融合タンパク質に関する。
【0019】
本発明は、治療(予防を含む)または診断に使用するための本明細書に記載される抗体、抗原結合性フラグメントまたは薬剤(例えば、免疫複合体、抗原結合性融合タンパク質)、および本明細書に記載される特定の疾患または状態(例えば、粘膜組織に関連する炎症性疾患(例えば、炎症性腸疾患(例えば、クローン病))、癌(例えば、急性T細胞リンパ芽球性白血病))の治療用薬物の製造のためのかかる抗体、抗原結合性フラグメントまたは薬剤の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、他の白血球ケモカインレセプターとのGPR−9−6の関係を示す樹状図である。クラスターのアラインメント分析プログラム(DNAstar)を用いて、白血球ケモカインレセプターのタンパク質配列を整列させ、GPR−9−6と数種のケモカインレセプターとの間の系統学的距離を決定するために使用した。
【図2】図2A〜2Bは、GPR−9−6トランスフェクタントへのmAb 3C3の特異的結合を示す。図2Aにおいて、GPR−9−6/L1.2トランスフェクタントを、mAb 3C3(点刻の輪郭)、抗−CCR6抗体(・・・・・・・)またはマウスIgG2b mAb(----)(n=2)で染色した。図2Bにおいて、CCR6/L1.2トランスフェクタントをmAb 3C3(・・・・・・・)、抗CCR6抗体(点刻の輪郭)またはマウスIgG2b mAb(----)(n=2)で染色した。
【図3A−F】図3は、GPR−9−6がBリンパ球およびCD4およびCD8リンパ球のサブセット上で発現されることを説明する一連の蛍光プロットである。mAb 3C3を、単核細胞上で、抗CD4 FITC(図3A)、抗CD8 FITC(図3B)、抗CD19 FITC(図3C)、抗CD56チクローム(Cychrome)(図3D)および抗CCR3 FITC(図3E)とともに2色研究において使用した。胸腺細胞について(図3F)、2色研究をmAb 3C3および抗TcRチクロームを用いて行った。単球(図3G)、好酸球(図3H)および好中球(図3I)上でのGPR−9−6発現を、これらの細胞の単離された集団およびmAb 3C3(−)およびIgG2b対照(----)を用いて1色研究において評価した(注:mAb 3C3(−)およびIgG2b(----)はオーバーラップを生じ、重ね書きしている(非点刻のピーク))。抗CCR2、抗CCR3および抗CXCR2抗体を、単球、好酸球および好中球、それぞれの陽性対照として用いた(点刻の輪郭)(n=3)。
【図3G−I】図3は、GPR−9−6がBリンパ球およびCD4およびCD8リンパ球のサブセット上で発現されることを説明する一連の蛍光プロットである。mAb 3C3を、単核細胞上で、抗CD4 FITC(図3A)、抗CD8 FITC(図3B)、抗CD19 FITC(図3C)、抗CD56チクローム(Cychrome)(図3D)および抗CCR3 FITC(図3E)とともに2色研究において使用した。胸腺細胞について(図3F)、2色研究をmAb 3C3および抗TcRチクロームを用いて行った。単球(図3G)、好酸球(図3H)および好中球(図3I)上でのGPR−9−6発現を、これらの細胞の単離された集団およびmAb 3C3(−)およびIgG2b対照(----)を用いて1色研究において評価した(注:mAb 3C3(−)およびIgG2b(----)はオーバーラップを生じ、重ね書きしている(非点刻のピーク))。抗CCR2、抗CCR3および抗CXCR2抗体を、単球、好酸球および好中球、それぞれの陽性対照として用いた(点刻の輪郭)(n=3)。
【図4】図4A〜4Hは、GPR−9−6が、未成熟樹状細胞(IMDC)、成熟樹状細胞(MDC)またはTH1/TH2リンパ球において発現されないことを説明するプロットである。成熟(−)および未成熟樹状細胞(点刻の輪郭)を抗CCR5(図4A)、抗CD83(図4B)、抗CD86(図4C)または抗GPR−9−6(図4D)で染色した。また、IMDCにおけるIgG2b対照(・・・・)を用いた染色を示す。図4Eは、抗CXCR4(点刻の輪郭)、抗GPR−9−6(−)およびIgG2b(・・・・)で臍CD4リンパ球の染色を示す。図4F〜4Hは、示されるような抗CXCR3(図4F)、抗α4β7(Act1)(図4G)または抗GPR−9−6(mAb 3C3)(図4H)でのTH1(点刻の輪郭)およびTH2(−)リンパ球の染色を示し、(・・・・)はTH1リンパ球におけるIgG2b対照での染色を示す。
【図5】図5A〜5Cは、Tリンパ球活性化を超過した時間(over time)のおよびTリンパ球活性化のときのリンパ球上のGPR−9−6の調節を示すグラフである。単核細胞を、14日を超過した設定時間にある個体から単離し、mAb 3C3および抗CD4 FITCまたは抗CD19 FITCを用いて2色実験で染色し、BおよびCD4リンパ球におけるGPR−9−6発現を調べた(図5A)。図5B〜5Cでは、単核細胞を、抗TcR mAb OKT3を結合させたプレートで4日間、活性化させ、続いて5ng/mlのIL−2で拡大した。Tリンパ球活性化におけるGPR−9−6発現を測定するためにmAb 3C3(図5B)を用いて、またはT細胞活性化におけるCCR−3およびCCR−5の発現を測定するために抗CCR6 mAbおよび抗CCR5 mAb(図5C)を用いて細胞のアリコートを過剰時間染色した。
【図6】図6は、GPR−9−6がα4β7highCLA-veCD4+記憶リンパ球上で発現されることを示す一連の蛍光プロットである。単核細胞を、抗CD−4チクロームを用いて3色実験で染色し、CD4リンパ球に固定した(gate on)。また、細胞を抗GPR−9−6 mAb 3C3で、続いてF(ab’)2抗マウスIgGフィコエリトリンで染色し、抗αE(HML1、Beckman Coulter,Inc.,Fullerton,CA)(図6A)、抗β7(Fib504、PharMingen,San Diego,CA)(図6B)、抗CD49d(HP2/1、PharMingen,San Diego,CA)(図6C)、抗CLA(HECA 452、PharMingen,San Diego,CA)(図6D)、抗CD45RO(UCLH1、PharMingen,San Diego,CA)(図6E)および抗CD62L(CD56)(PharMingen,San Diego,CA)(図6F)で規定したサブセット上でのGPR−9−6発現を調査した(n=5)。
【図7】図7は、他のケモカインレセプターに関連したCD4リンパ球上のGPR−9−6の発現を示す一連の蛍光プロットである。単核細胞を、抗CDチクロームを用いて3色実験において染色し、CD4リンパ球に固定した(gate on)。また、細胞を抗GPR−9−6 mAb 3C3で、続いてフィコエリトリンに結合したF(ab’)2抗マウスIgGで染色し、抗CCR2(R&D Systems,Minneapolis,MN)(図7A)、抗CCR5(PharMingen,San Diego,CA)(図7B)、抗CCR6(R&D Systems,Minneapolis,MN)(図7C)、抗CXCR3(1C6、Leukosite,Inc.,Cambridge,MA)(図7D)、抗CXCR4(PharMingen,San Diego,CA)(図7E)および抗CXCR5(R&D Systems,Minneapolis,MN)(図7F)で規定したサブセットにおけるGPR−9−6発現を調査した。これらは全てフィコエリトリンに結合させた(n=2)。
【図8A−D】図8A〜8Fは、GPR−9−6がTECKに対するケモカインレセプターであることを示すグラフおよび一連のヒストグラムである。GPR−9−6/L1.2トランスフェクタントを、10〜1000nMのTECKに対する化学走性応答について試験した(図8A)。図8Bは、抗GPR−9−6(mAb 3C3)がGPR−9−6/L1.2トランスフェクタントの150nM TECK誘導性化学走性を阻害したが、抗CCR3は阻害しないことを示す。図8Cは、GPR−9−6/L1.2トランスフェクタントの百日咳毒素(PTX)前処理がGPR−9−6/L1.2トランスフェクタントの150nM TECK誘導性化学走性を阻害したことを示す。図8Dおよび図8Eは、それぞれTECKに化学走性を示す(chemotax)MOLT−4細胞の能力およびSKW3細胞が化学走性を示し得ないことを示す。図8Fは、150nM TECKに応答して走化するMOLT−13細胞の能力、およびこの遊走をブロックするmAb 3C3の能力を、CXCR4を介してこれらの細胞の化学走性を誘導することが知られているケモカインとしてSDF1αを100ng/mlで用いて示す(n=2)。
【図8E−F】図8A〜8Fは、GPR−9−6がTECKに対するケモカインレセプターであることを示すグラフおよび一連のヒストグラムである。GPR−9−6/L1.2トランスフェクタントを、10〜1000nMのTECKに対する化学走性応答について試験した(図8A)。図8Bは、抗GPR−9−6(mAb 3C3)がGPR−9−6/L1.2トランスフェクタントの150nM TECK誘導性化学走性を阻害したが、抗CCR3は阻害しないことを示す。図8Cは、GPR−9−6/L1.2トランスフェクタントの百日咳毒素(PTX)前処理がGPR−9−6/L1.2トランスフェクタントの150nM TECK誘導性化学走性を阻害したことを示す。図8Dおよび図8Eは、それぞれTECKに化学走性を示す(chemotax)MOLT−4細胞の能力およびSKW3細胞が化学走性を示し得ないことを示す。図8Fは、150nM TECKに応答して走化するMOLT−13細胞の能力、およびこの遊走をブロックするmAb 3C3の能力を、CXCR4を介してこれらの細胞の化学走性を誘導することが知られているケモカインとしてSDF1αを100ng/mlで用いて示す(n=2)。
【図9】図9A〜9Cは、GPR−9−6を発現する細胞株がTECKに応答してCa2+フラックスを受けることを示す。GPR−9−6を発現する細胞株MOLT−4に、Ca2+感受性染料Fura−2を負荷し、次いで150nM TECK (図9A)、100nM SDF1α(図9B)または100nM MDC(図9C)ケモカインに応答してCa2+を動員するそれらの能力について試験した(n=2)。
【図10A−B】図10は、CD4リンパ球および胸腺細胞のサブセットがTECKに走化することを示す一連のヒストグラムである。CD4+リンパ球(図10F)、CD8+リンパ球(図10B)、CD56+NK細胞(図10D)およびCD14+単球(図10A)を、適切なMiltenyi Beadsを用いて単核細胞から単離した。好中球(図10E)を、デキストラン沈殿、続いてFicollにより単離し、抗CD16 Miltenyi Beadsを用いた枯渇により好中球から好酸球(図10C)を分離した。EVC304単層がアッセイの前に挿入物よりも成長した好酸球および好中球を除いて、非被覆の3μm Costerプレートを用いてこれらの白血球サブセットで化学走性を評価した。各々の場合で、1nMから220nMの用量応答様式でTECKを試験した。白血球サブセットにおいて作用することが知られているケモカインを陽性対照として使用した(n=2)。
【図10C−F】図10は、CD4リンパ球および胸腺細胞のサブセットがTECKに走化することを示す一連のヒストグラムである。CD4+リンパ球(図10F)、CD8+リンパ球(図10B)、CD56+NK細胞(図10D)およびCD14+単球(図10A)を、適切なMiltenyi Beadsを用いて単核細胞から単離した。好中球(図10E)を、デキストラン沈殿、続いてFicollにより単離し、抗CD16 Miltenyi Beadsを用いた枯渇により好中球から好酸球(図10C)を分離した。EVC304単層がアッセイの前に挿入物よりも成長した好酸球および好中球を除いて、非被覆の3μm Costerプレートを用いてこれらの白血球サブセットで化学走性を評価した。各々の場合で、1nMから220nMの用量応答様式でTECKを試験した。白血球サブセットにおいて作用することが知られているケモカインを陽性対照として使用した(n=2)。
【図11】図11A〜11Cは、胸腺細胞およびCD4リンパ球のTECK誘導性化学走性がGPR−9−6により媒介されることを示す一連のヒストグラムである。CD4リンパ球および胸腺細胞を、化学走性アッセイにおいて使用する前に50μg/mlの抗GPR−9−6 mAb 3C3で前処理した。胸腺細胞を、150nM TECKおよび100nM SDF1αを用いてアッセイし(図11A)、CD4リンパ球を150nM TECKを用いてアッセイし(図11B)、ならびにCD4リンパ球を100nM TARCを用いてアッセイした(図11C)。全てのアッセイにおいて、TECK誘導性化学走性を、抗GPR−9−6(mAb 3C3)により阻害した。さらに、無関係なmAb抗CCR6 mAb 2A9(図11A)および抗CCR4 mAb 2B10(図11B)を、TECKまたはTARCへのCD4または胸腺細胞化学走性におけるそれらの影響について調査した。さらに、CD4リンパ球化学走性について、TARC誘導性CD4リンパ球化学走性におけるmAb 3C3の効果を、さらなる陰性対照として試験した(図11C)(n=2)。
【図12】図12A〜12Cは、TECKおよびGPR−9−6の組織分布を示す。多組織ノーザンブロット分析フィルター(2μg RNA/レーン)(ClonTech)および種々の細胞株(20μg/レーン)に由来するRNAを用いて調製したノーザンブロットを、32P TECK DNAプローブ(図12A)または標識したGPR−9−6(図12B)でプローブし、それらの組織分布を測定した。図12Cでは、大腸、小腸、脳、リンパ節、脾臓、胸腺、およびゲノムDNAに由来するcDNA(ClonTech)を、GPR−9−6の配列から設計したプライマーを用いてPCR(30サイクル)において増幅した。
【図13】図13A〜13Bは、α4β7highCD4およびCD8リンパ球のみがTECKに遊走することを示すヒストグラムである。4色識別において、CD45RAの中間体/陰性発現ならびにCD27およびCD8の発現により規定される記憶CD8リンパ球を、Act1−フィコエリトリンを用いて、α4β7陰性、中間体および高集団に分類した。CD4リンパ球について、CD45RAの欠失およびCD4の発現により規定される記憶CD4リンパ球を、抗α4β7抗体Act1−フィコエリトリン(phyorythrin)および抗CLA抗体HECA 452−FITCを用いるCLAおよびα4β7発現に基づいてα4β7-veCLA-ve、α4β7-veCLA+ve、およびα4β7+veCLA-ve分集団に分類した。次いで、記憶CD4(図13A)およびCD8(図13B)リンパ球のこれらの分集団を、1μM TECKに走化するそれらの能力について調査した(n=2)。
【図14A】図14A〜14Bは、58位で始まるオープンリーディングフレームを有する、Genbankにアクセッション番号U45982の下で寄託したヒト(ホモサピエンス)GPR−9−6をコードするヌクレオチド配列(配列番号:1)を示す。
【図14B】図14A〜14Bは、58位で始まるオープンリーディングフレームを有する、Genbankにアクセッション番号U45982の下で寄託したヒト(ホモサピエンス)GPR−9−6をコードするヌクレオチド配列(配列番号:1)を示す。
【図15】図15は、図14A〜14Aに示されるDNA配列(配列番号:1)によりコードされるヒトGPR−9−6タンパク質のアミノ酸配列(配列番号:2)を示す。
【図16】図16A〜16Cは、GPR−9−6が小腸(粘膜固有層(lamina propria)リンパ球(IPL、図16B)、上皮内リンパ球(IEL、図16C)から単離されたリンパ球上に発現され、末梢血リンパ球の小サブセット(図16A)だけがレセプターを発現することを示す蛍光ヒストグラムである。GPR−9−6発現を、これらの細胞の単離された集団およびmAb 3C3(点刻のピーク)またはIgG2b対照(非点刻のピーク)を用いた1色研究において評価した。
【図17】図17Aおよび17Bは、TECKがIEL(図17A)およびLPL(図17B)に対する化学誘因物質であることを説明するヒストグラムである。このヒストグラムはまた、TECK誘導性化学走性がmAb 3C3により阻害されたことを示し、GPR−9−6がIELおよびLPL上に発現されるTECKに対する主要な生理的レセプターであることを示す。非被覆5μmTranswellプレートを用いて、これらのリンパ球サブセットを用いるTECK誘導性化学走性を評価した。リンパ球を、TECKに曝露する前に4℃で10分間、mAb 3C3(抗CCR9)、対照IgG2b(IgG2b)または培地単独(−)とともにインキュベートした。
【図18】図18は、mAb 3C(−三角−)またはmAb GPR96−1(−四角−)によるGPR−9−6/L1.2トランスフェクタントのTECK誘導性(約150nM)化学走性の用量依存性阻害を示すグラフである。GPR−9−6/L1.2トランスフェクタントを、TECKへの曝露の前に氷上で10分間、種々の濃度の抗GPR−9−6抗体(mAb GPR96−1またはmAB 3C3)とともにインキュベートした。
【図19】図19は、TECKに結合するmAbsによるGPR−9−6/L1.2トランスフェクタントのTECK誘導性化学走性の阻害を示すヒストグラムである。TECKを、対照IgG1 mAb(20mg/ml)を含む培養培地に希釈するか(最終濃度約150んM)、またはTECKに結合するmAbを産生するハイブリドーマの条件培養培地に希釈した。TECK溶液を、Transwellプレートの底に配置し、室温で10分間、インキュベートした。次いで、GPR−9−6/L1.2トランスフェクタントを、培養培地に懸濁し、挿入物中に配置し、プレートのウェル中に配置した。マウスハイブリドーマ11.2、11.3.1、16.2および16.3.1(それぞれ、mAb 11.2、mAb 11.3.1、mAb 16.2およびmAb 16.3.1)により産生されたモノクローナル抗体は、TECK誘導性化学走性を阻害した。TECKにも結合する、マウスハイブリドーマ20.2により産生された抗体、および非特異的IgGは、GPR−9−6/L1.2トランスフェクタントのTECK誘導性化学走性を阻害しなかった。バックグラウンド化学走性(−)を、TECKを添加しなかったアッセイにおいて評価した。
【図20】図20は、ヒト(ホモサピエンス)TECKをコードするヌクレオチド配列(配列番号:8)を示す。この配列は、1位で始まるオープンリーディングフレームを有し、311位のyは、ピリミジン(システイン(c)、チミン(t))であり得る。アクセッション番号U86358の下でGenbankに寄託されたヒトTECKをコードするヌクレオチド配列は、311位にチミンを有し、1位で始まるオープンリーディングフレームを有する。
【図21】図21は、図20に示したヌクレオチド配列(配列番号:8)によりコードされるヒトTECKタンパク質のアミノ酸配列(配列番号:9)を示す。104位のXは、メチオニン残基(Met,M)またはトレオニン残基(Thr,T)であり得る。アクセッション番号U86358でGenbankに寄託されたヌクレオチド配列は、104位にメチオニン残基を有するTECKをコードする。
【図22】図22は、アミノ酸残基109(アラニン109)が欠失したヒト(ホモサピエンス)TECKの変種をコードするヌクレオチド配列(配列番号:10)を示す。この配列は、1位で始まるオープンリーディングフレームを有し、311位のyは、ピリミジン(システイン(c)、チミン(t))であり得る。
【図23】図23は、図22に示されるヌクレオチド配列(配列番号:10)によりコードされるヒトTECKタンパク質のアミノ酸配列(配列番号:11)を示す。104位のXは、メチオニン残基(Met、M)またはトレオニン残基(Thr,T)であり得る。
【図24】図24A〜24Cは、アンチセンスTECKプローブ(図24Aおよび24B)またはセンスTECKプローブ(陰性対照、図24C)にハイブリダイズしたマウス小腸の切片の写真である。TECK発現は、絨毛およびリーベルキューンの陰窩上の上皮に局在化した。TECK発現は絨毛の底部で最も高く、絨毛の上部でより低いレベルのTECKハイブリダイゼーションが検出された(図24Aおよび24B)。TECKの発現は、小腸に付着したパイラー斑では検出されなかった。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
本明細書で使用した略語を挙げる:ECV304、ヒト臍静脈内皮細胞株(ATCCアクセッション番号CRL−1998);ADEC、アデノイド発現ケモカイン;IP10、IFN−ガンマ誘導性10kDaタンパク質;IMDC、未熟樹状細胞;I−TAC、インターフェロン誘導性T細胞アルファ化学誘引物質;MCP−1、単球化学誘引物質タンパク質;SDF、ストロマ細胞由来因子;MDC、成熟樹状細胞ケモカイン;MIG、インターフェロン−ガンマによって誘導されたモノカイン;RANTES、regulated on activation normal T cell expressed ;MIP3、マクロファージ炎症性タンパク質3;MIP4、マクロファージ炎症性タンパク質4;TECK、胸腺発現ケモカイン;SLC、二次リンパ様組織ケモカイン;DC、樹状細胞。
【0022】
ケモカインとそのレセプターは、指向性白血球遊走の方向の調節で重要な部分を構成する。ケモカインは、炎症部位で産生され、対応するレセプターを有する種々の白血球を誘引する。炎症部位で発現したケモカインのスペクトルは、一定の炎症性細胞を差異を持って誘引しうる一方で、白血球でのケモカインレセプター発現の選択性および変化は、さらなる調節を与え、特定の炎症性刺激に応答して適当な細胞漸増を確実にする。同定されかつ特徴づけられたケモカインレセプターの数が増加し続けるにつれて、TH1およびTH2、ナイーブ(naive)および記憶、活性化および休止したT細胞等の白血球の機能的なサブセットを同定し、マークし、またはその他の方法で特徴付けしうる数個のレセプターを細胞が選択的に発現することがますます明瞭になる。数個の特徴付けられたおよび/またはオーファンケモカインレセプターは個体細胞上で同時発現しうるために、疾患の開始および進行でまたはさらに言えば通常の免疫機能で特異的なレセプターの役割を確認することは困難であった。
【0023】
本明細書に記載のように、オーファンケモカインレセプターGPR−9−6の研究を行なった。研究の過程で、ヒトGPR−9−6に結合する抗体(mAb 3C3)が作製され、種々の型の白血球のレセプターの発現および機能を解析するのに使用した。レセプターが、粘膜部位(例えば、気道、尿生殖路、消化管および関連する組織(膵臓、胆嚢)にホーミングする胸腺細胞およびα4β7hiCD4+記憶リンパ球で主に発現されることを見出した。本明細書に記載されるように、GPR−9−6(CCR9)は、結合して、胸腺発現ケモカイン(TECK)として既知のCCケモカインによって活性化される機能的CCケモカインレセプターである。
【0024】
本発明は、ケモカインレセプターGPR−9−6および該レセプターに結合する薬剤(例えば、リガンド、抗体、アンタゴニスト、アゴニスト)に関する。1つの局面において、本発明は、哺乳類GPR−9−6またはGPR−9−6の一部に結合する抗体に関する。
【0025】
抗体および抗体産生細胞
本発明の抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであり得、用語「抗体」はポリクローナルおよびモノクローナル抗体の両方を包含することを意図する。用語ポリクローナルおよびモノクローナルは、抗体調製の等質性の程度をいい、特定の産生方法に限定されることを意図しない。本明細書で使用される用語「抗体」はまた、ヒト、キメラ、ヒト化、霊長類化、ベニア化 (veneered) または単鎖抗体のフラグメントを含む抗体の機能的フラグメントをも包含する。機能的フラグメントは、哺乳類GPR−9−6に結合する抗原結合性フラグメントを含む。例えば、限定されないがFv、Fab、Fab’およびF(ab’)2フラグメントを含む哺乳類GPR−9−6またはその一部に結合しうる抗体フラグメントは、本発明により包含される。かかるフラグメントは、酵素開裂または組換え技術により産生されうる。例えば、パパインまたはペプシン開裂は、それぞれFabまたはF(ab’)2フラグメントを作製しうる。必要な基質特質性を有する他のプロテアーゼもまた、FabまたはF(ab’)2フラグメントを作製するのに使用しうる。1つまたはそれ以上の終止コドンが天然の終止部位の上流に導入されている抗体遺伝子を用いて、種々の切断型で、抗体はまた産生されうる。例えば、F(ab’)2重鎖部分をコードするキメラ遺伝子は、CH1ドメインおよび重鎖のヒンジ領域をコードするDNA配列を含むように設計されうる。
【0026】
単鎖抗体、およびキメラ、ヒト化または霊長類化(CDR移植)またはベニア化抗体、ならびに異なる種に由来する部分を含有するキメラ、CDR移植またはベニア化単鎖抗体等もまた、本発明および用語「抗体」により包含される。これらの抗体の種々の部分は、通常の技術によりお互いに化学的に連結され得、または遺伝子工学技術を用いて連続的なタンパク質として調製され得る。例えば、キメラまたはヒト化鎖をコードする核酸は、発現して連続的なタンパク質を産生しうる。例えば、Cabillyら、米国特許第4,816,567号明細書;Cabillyら、欧州特許第0,125,023 B1号明細書;Bossら、米国特許第4,816,397 号明細書;Boss ら、欧州特許第0,120,694 B1号明細書;Neuberger,M.S. ら、WO 86/01533;Neuberger,M.S.ら、欧州特許第0,194,276 B1号明細書;Winter 、米国特許第5,225,539 号明細書;Winter 、欧州特許第0,239,400 B1号明細書;Queenら、欧州特許第0 451 216 B1号明細書; およびPadlan,E.A. ら、EP 0 519 596 A1 を参照のこと。また、霊長類化抗体に関しては、Newman,R. ら、BioTechnology,10:1455-1460(1992)、および単鎖抗体に関しては、Ladnerら、米国特許第4,946,778 号明細書およびBird,R.E. ら、Science,242:423-426(1988))を参照のこと。
【0027】
ヒト化抗体は、標準の方法もしくは他の適切な技術を用いる合成または組換えDNA技術を用いて産生しうる。ヒト化可変領域をコードする核酸(例えば、cDNA)配列はまた、あらかじめヒト化した可変領域由来のDNAテンプレート等のヒトまたはヒト化鎖をコードするDNA配列を変更するためのPCR変異誘発法を使用して構築されうる(例えば、Kamman,M. ら、Nucl.Acids Res. 、17:5404(1989));Sato,K.ら、Cancer Research,53:851-856(1993);Daugherty,B.L. ら、Nucleic Acids Res.、19(9):2471-2476(1991);ならびにLewis,A.P.およびJ.S.Crowe 、Gene、101:297-302(1991) を参照のこと)。これらのまたは他の適切な方法を用いて、変種もまた容易に産生しうる。1つの態様において、クローン化した可変領域が変異され得、所望の特異性を有する変種をコードする配列が選択されうる(例えば、ファージライブラリー由来;例えば、Krebber ら、米国特許第5,514,548 号明細書;Hoogenboom ら、WO 93/06213 、1993年4月1日発行)。
【0028】
哺乳類(例えば、ヒト)GPR−9−6に特異的な抗体は、単離されたおよび/または組換えヒトGPR−9−6またはその部分(合成ペプチド等の合成分子を含む)等の適切な免疫原に対して生じうる。抗体はまた、適切な宿主(例えば、マウス)を胸腺細胞等のGPR−9−6を発現する細胞で免疫化することにより生じうる。さらに、トランスフェクトされた細胞等の組換え哺乳類GPR−9−6を発現する細胞が、免疫原としてまたはレセプターに結合する抗体に対するスクリーンに使用しうる(例えば、Chuntharapaiら、J.Immunol.、152:1783-1789(1994);Chuntharapaiら、米国特許第5,440,021 号明細書を参照のこと)。
【0029】
免疫性抗原の調製、およびポリクローナルおよびモノクローナル抗体の産生は、いずれの適切な技術を使用しても行ないうる。種々の方法が記載されている(例えば、Kohlerら、Nature,256:495-497(1975) およびEur.J.Immunol.6:511-519(1976);Milsteinら、Nature,266:550-552(1977);Koprowskiら、米国特許第4,172,124 号明細書;Harlow,E.およびD.Lane、1988、Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory: Cold Spring Harbor,NY);Current Protocols In Molecular Biology,Vol.2(Supplement 27,Summer '94)、Ausubel,F.M.ら編、(John Wiley & Sons:New York,NY) 、Chapter 11、(1991)を参照のこと)。一般的に、ハイブリドーマは、適切な不死細胞株(例えば、SP2/0、P3X63Ag8.653またはヘテロ骨髄腫(heteromyloma)等の骨髄腫細胞株)を、抗体産生細胞と融合することによって産生される。抗体産生細胞は、目的の抗原と免疫化したヒトまたは他の適切な動物の末梢血液、または好ましくは脾臓もしくはリンパ節から得られうる。融合した細胞(ハイブリドーマ)は、選択培地条件を使用して単離して、限界希釈によりクローン化しうる。所望の特異性を有する抗体を産生する細胞は、適切なアッセイ(例えば、ELISA)により選択されうる。必要な特異性を有する抗体(例えば、ヒト抗体または抗原結合性フラグメント)を産生するまたは単離する他の適切な方法が使用されうる。かかる方法は、例えば、ライブラリー(ファージディスプレイライブラリー)由来の組換え抗体を選択する方法、またはヒト抗体のレパートリーを産生可能なトランスジェニック動物(例えば、マウス)の免疫化による方法を含む。ヒト抗体のレパートリーを産生可能なトランスジェニック動物(例えば、異種マウス(Xenomouse) (Abgenics,Freemont,CA)は、適切な方法を使用して産生しうる(例えば、Jakobovitsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:2551-2555(1993);Jakobovitsら、Nature、362:255-258(1993);Lonberg ら、米国特許第5,545,806 号明細書; Suraniら、米国特許第5,545,807 号明細書;Lonbergら、WO97/13852)。
【0030】
1つの態様において、抗体またはその抗原結合性フラグメントは、哺乳類GPR−9−6、好ましくは天然に存在するまたは内因性ヒトGPR−9−6に対する結合特異性を有する。他の態様において、抗体はIgGまたはIgGの抗原結合性フラグメントである。他の態様において、抗体または抗原結合性フラグメントは哺乳類GPR−9−6に結合してレセプターの1つまたはそれ以上の機能を阻害(低減または妨害)しうる。好ましい態様において、抗体または抗原結合性フラグメントは、レセプターへのリガンド(すなわち、1つまたはそれ以上のリガンド)の結合、および/またはリガンド結合に応答してGPR−9−6によって媒介される1つまたはそれ以上の機能を阻害しうる。
【0031】
特定の態様において、抗体または抗原結合性フラグメントは、哺乳類(例えば、ヒト)GPR−9−6への哺乳類(例えば、ヒト)TECKの結合および/またはTECK結合に応答してGPR−9−6によって媒介される1つまたはそれ以上の機能を阻害しうる。特に好ましい態様において、抗体または抗原結合性フラグメントは、TECKのGPR−9−6への結合を阻害し、それによってTECK誘導性化学走性を阻害しうる。
【0032】
本明細書に示されるように、TECKはGPR−9−6に対するリガンドであり、GPR−9−6を発現する細胞にTECK誘導性Ca2+フラックスをもたらすレセプターを活性化する(図9A)。組換え細胞を含む哺乳類GPR−9−6発現細胞は、TECK誘導性化学走性もまた受けうる(図8A〜8D、8F、10、11A〜11Bおよび13A〜13B)。リガンド結合(例えば、TECK)に応答してGPR−9−6によって媒介されうる他の機能は、例えば、シグナル伝達〔例えば、GPR−9−6関連Gタンパク質によるGDP/GTP交換、サイトゾルの遊離カルシウム濃度〔Ca2+iの一過性増加)ならびにGPR−9−6媒介過程および細胞応答(例えば、増殖、遊走、化学走性、分泌、脱顆粒、炎症伝達物質放出(リューコトリエン(例えば、リューコトリエンC4)等の生物活性脂質等)、呼吸バースト〕を含む。
【0033】
他の態様において、抗体またはその抗原結合性フラグメントの哺乳類(例えば、ヒト)GPR−9−6への結合は、配列番号:3のアミノ酸配列からなるペプチドにより阻害されうる。
【0034】
本明細書に記載されるように、ヒトGPR−9−6に結合する「mAb 3C3」と称する抗体が産生されている。mAb 3C3は、マウスハイブリドーマLS129−3C3−E3−1とも呼ばれているマウスハイブリドーマ3C3により産生され得、1999年3月4日にアクセッション番号HB−12653として、LeukoSite,Inc.,215 First Street,Cambridge,MA 02142,U.S.A. を代表としてAmerican Type Culture Collection,10801 University Boulevard Manassas,Virginia 20110,U.S.A.に寄託された。他の態様において、本発明の抗GPR−9−6抗体はmAb 3C3またはその抗原結合性フラグメントである。他の態様において、抗体またはその抗原結合性フラグメントの哺乳類(例えば、ヒト)GPR−9−6への結合は、mAb 3C3によって阻害されうる。かかる阻害は、同一または類似のエピトープに対する競合、立体障害の結果またはレセプターに抗体が結合すると誘導されるGPR−9−6のコンホメーションにおける変化によるものでありうる。さらに他の態様において、本発明の抗体または抗原結合性フラグメントは、mAb 3C3と同一または類似のエピトープ特異性を有する。mAb 3C3のものと同一または類似であるエピトープ特異性を有する抗体は、種々の適切な方法によって同定されうる。例えば、mAb 3C3と同一または類似のエピトープ特異性を有する抗体は、哺乳類GPR−9−6への結合に対してmAb 3C3と競合する能力に基づいて同定されうる。他の例としては、mAb 3C3の結合および哺乳類GPR−9−6と同一または類似のエピトープ特異性を有する抗体の結合は、シングルペプチド(例えば、天然ペプチド、合成ペプチド)により阻害されうる。ペプチドは、9〜約50アミノ酸を含有しうる。好ましくは、ペプチドは、9〜約26アミノ酸を含有する。さらに他の例において、mAb 3C3と同一または類似のエピトープ特異性を有する抗体は、キメラレセプターを用いて同定されうる(例えば、Ruckerら、Cell、87:437-446(1996))。
【0035】
本明細書に記載されるように、ヒトGPR−9−6に結合する「mAb GPR96−1」と称する抗体が産生されている。mAb GPR96−1は、マウスハイブリドーマLS272 GPR96 1−5とも呼ばれているマウスハイブリドーマGPR−96−1により産生され得、2000年3月9日にアクセッション番号PTA−1470の下で、LeukoSite,Inc., 215 First Street, Cambridge, MA 02142, U.S.A.を代表としてAmerican Type Culture Collection, 10801 University Boulevard Manassas, Virginia 20110, U.S.A.に寄託された。他の態様において、本発明の抗GPR−9−6抗体は、mAb GPR96−1またはその抗原結合性フラグメントである。他の態様において、抗体または抗原結合性フラグメントの哺乳類(例えば、ヒト)GPR−9−6への結合は、mAb GPR96−1によって阻害されうる。かかる阻害は、同一または類似のエピトープに対する競合、立体障害の結果または抗体がレセプターに結合すると誘導されるGPR−9−6のコンホメーションの変化によるものでありうる。さらに他の態様において、本発明の抗体または抗原結合性フラグメントは、mAb GPR96−1と同一または類似のエピトープ特異性を有する。mAb GPR96−1のものと同一または類似のエピトープ特異性を有する抗体は、本明細書に記載されたもののような種々の適切な方法によって同定されうる。
【0036】
本発明はまた、哺乳類GPR−9−6と少なくとも1つの他の抗原とに結合する二重特異性抗体、またはその機能的フラグメント(例えば、F(ab’)2)に関する。特定の態様において、二重特異性抗体、またはその機能的フラグメントは、mAb 3C3またはmAb GPR96−1と少なくとも1つの他の抗体とに同一または類似のエピトープ特異性を有する〔例えば、米国特許第5,141,736 号明細書(Iwasaら)、米国特許第4,444,878 号明細書、5,292,668 号明細書、5,523,210 号明細書(全てPaulusら)および米国特許第5,496,549 号明細書(Yamazakiら)〕。
【0037】
好ましい態様において、本発明の抗体または抗原結合性フラグメントは哺乳類GPR−9−6に特異的に結合する。本明細書で使用されるように、抗体−抗原相互作用をいう時の「特異的な抗体」または「特異的」という用語は、抗体が1つの抗原のみに結合できることを示すというよりむしろ、抗体が哺乳類GPR−9−6に選択的に結合しうることを示すのに使用される。例えば、抗体は、低親和性で1つまたは数個の抗原に結合し、かつ高親和性でヒトGPR−9−6に結合しうる。適切な濃度で使用されるとき(例えば、治療または診断適用)、抗体が選択的にヒトGPR−9−6に結合しうるために、かかる抗体はヒトGPR−9−6に特異的であるとみなされる。哺乳類GPR−9−6に選択性を与えるのに必要な抗体の濃度(例えば、低親和性結合を低減するまたは除去する濃度)は、適切な方法、例えば滴定によって容易に測定しうる。
【0038】
他の局面において、本発明は、哺乳類GPR−9−6に結合する抗体または抗体の抗原結合性フラグメントを産生する単離された細胞に関する。好ましい態様において、本発明の単離された抗体産生細胞は、ハイブリドーマ、ヘテロハイブリドーマ、リンパ芽球様細胞または組換え細胞等の不死細胞である。本発明の抗体産生細胞は、抗体産生のための他の使用を有する。例えば、本発明の細胞は、他の細胞(適切に薬物標識されたヒト骨髄腫、マウス骨髄腫、ヒト−マウスヘテロ骨髄腫(heteromyeloma)またはヒトリンパ芽球様細胞等)と融合して、例えば、追加のハイブリドーマを産生し得、したがって抗体をコードする遺伝子の導入を提供しうる。さらに、細胞は抗GPR−9−6免疫グロブリン鎖をコードする核酸源として使用され得、それは単離および発現されうる〔例えば、いずれもの適切な技術を使用して他の細胞へ導入すると(例えば、Cabillyら、米国特許第4,816,567号明細書;Winter、米国特許第5,225,539号明細書)を参照のこと〕。例えば、再配列した抗GPR−9−6軽鎖および/または重鎖をコードする配列を含有するクローンが単離されうる(例えば、PCRにより)か、またはcDNAライブラリーが細胞株から単離されたmRNAから調製され得、かつ抗GPR−9−6免疫グロブリン鎖をコードするcDNAクローンが単離されうる。したがって、抗体の重鎖および/または軽鎖をコードする核酸またはその部分が得られ、種々の宿主細胞またはインビトロ翻訳系での特異的免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはその変種(例えば、ヒト化免疫グロブリン)の産生に使用されうる。組換え抗体産生細胞を産生するために、核酸が1つまたはそれ以上の発現制御エレメントに作動可能に結合されるように(例えば、ベクターで、または宿主細胞ゲノムに組み込んで)、例えば、cDNA、またはヒト化免疫グロブリンもしくは免疫グロブリン鎖等の変種をコードするその誘導体を含む核酸を、適切な原核生物または真核生物ベクター(例えば、発現ベクター)に入れ、適当な方法(例えば、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、感染)により適切な宿主細胞に導入されうる。
【0039】
本発明の抗体は、いずれもの適切な方法、例えば、哺乳類GPR−9−6で免疫化された動物(例えば、マウス、ヒト、トランスジェニックマウス)から血清を採取することにより産生されうる。他の例において、適切な抗体産生細胞(例えば、ハイブリドーマ、ヘテロハイブリドーマ、リンパ芽球様細胞、組換え細胞)が、インビトロまたはインビボのどちらかで、発現に適切な条件下(例えば、誘導物質、適当な塩、増殖因子、抗生物質、栄養補給剤を補充した適切な培地の存在下)で維持され得、それにより抗体または抗原結合性フラグメントが産生される。所望の場合、抗体または抗原結合性フラグメントは、回収および/または単離され(例えば、宿主細胞、培養培地から)そして所望の程度に精製されうる。抗体の回収および精製は、遠心分離、濾過、カラムクロマトグラフィー(例えば、イオン交換、ゲル濾過、疎水性相互作用、アフィニティ)、調製用の未変性電気泳動、沈降および限外濾過等の適切な方法を使用して達しうる。産生方法は、トランスジェニック動物の宿主細胞での発現を包含することが認識される(例えば、WO 92/03918、GenPharm International、1992年3月19日発行)。
【0040】
本明細書に記載されるように、本発明の抗体およびその機能的フラグメントは、哺乳類GPR−9−6へのリガンドの結合を阻害(低減または妨害)しうるおよび/またはGPR−9−6へのリガンドの結合に関連した1つまたはそれ以上の機能を阻害しうる。以下に説明するように、GPR−9−6へのリガンドの結合および/またはレセプターへのリガンドの結合に関連した機能の阻害を評価するために種々の方法が使用されうる。
【0041】
抗TECK抗体
他の局面において、抗体またはその抗原結合性フラグメントは、哺乳類TECK、好ましくは天然に存在するまたは内因性ヒトTECKに対する結合特異性を有する。1つの態様において、抗体は、IgGまたはIgGの抗原結合性フラグメントである。他の態様において、抗体または抗原結合性フラグメントは、哺乳類TECKに結合して、レセプター(例えば、GPR−9−6(CCR9))へのTECKの結合、および/またはTECK結合に応答してレセプターにより媒介される1つまたはそれ以上の機能を阻害(低減または妨害)しうる。
【0042】
特定の態様において、抗体または抗原結合性フラグメントは、哺乳類(例えば、ヒト)GPR−9−6(CCR9)への哺乳類(例えば、ヒト)TECKの結合および/またはTECK結合に応答してGPR−9−6(CCR9)により媒介される1つまたはそれ以上の機能を阻害しうる。特に好ましい態様において、抗体または抗原結合性フラグメントは、GPR−9−6(CCR9)へのTECKの結合を阻害し、それによりTECK誘導性化学走性を阻害しうる。
【0043】
本明細書に記載されるように、ヒトTECKに結合する「mAb 11.3.1」と称する抗体が産生されている。mAb 11.3.1は、マウスハイブリドーマLS250 11.3.1とも呼ばれているマウスハイブリドーマ11.3.1により産生され得、2000年3月9日にアクセッション番号PTA−1469の下で、LeukoSite,Inc., 215 First Street, Cambridge, MA 02142,U.S.A.を代表としてAmerican Type Culture Collection, 10801 University Boulevard Manassas, Virginia 20110,U.S.A.に寄託された。他の態様において、本発明の抗TECK抗体は、mAb 11.3.1またはその抗原結合性フラグメントである。他の態様において、哺乳類(例えば、ヒト)TECKへの抗体またはその抗原結合性フラグメントの結合は、mAb 11.3.1によって阻害されうる。かかる阻害は、同一または類似のエピトープに対する競合、立体障害の結果またはレセプターへの抗体結合で誘導されるTECKのコンホメーションにおける変化のためでありうる。さらに他の態様において、本発明の抗体または抗原結合性フラグメントは、mAb 11.3.1と同一または類似のエピトープ特異性を有する。mAb 11.3.1のものと同一または類似であるエピトープ特異性を有する抗体は、種々の適切な方法によって同定されうる。例えば、mAb 11.3.1と同一または類似のエピトープ特異性を有する抗体は、哺乳類TECKへの結合に対してmAb 11.3.1と競合する能力に基づいて同定されうる。他の例では、mAb 11.3.1の結合および哺乳類TECKに対して同一または類似のエピトープ特異性を有する抗体の結合は、シングルペプチド(例えば、天然ペプチド、合成ペプチド)により阻害されうる。ペプチドは、9〜約50アミノ酸を含有しうる。好ましくは、ペプチドは、9〜約26アミノ酸を含有する。さらに他の例において、mAb 11.3.1と同一または類似のエピトープ特異性を有する抗体は、キメラレセプターを用いて同定されうる(例えば、Ruckerら、Cell 87:437-446(1996))。
【0044】
本明細書に記載されるように、ヒトTECKに結合する「mAb 16.3.1」と称する抗体が産生されている。mAb 16.3.1は、マウスハイブリドーマLS250 16.3.1とも呼ばれているマウスハイブリドーマ16.3.1により産生され得、2000年3月9日にアクセッション番号PTA−1468の下で、LeukoSite,Inc., 215 First Street, Cambridge, MA 02142, U.S.A.を代表としてAmerican Type Culture Collection, 10801 University Boulevard Manassas, Virginia 20110,U.S.A.に寄託された。他の態様において、本発明の抗TECK抗体は、mAb 16.3.1またはその抗原結合性フラグメントである。他の態様において、哺乳類(例えば、ヒト)TECKへの抗体または抗原結合性フラグメントの結合は、mAb 16.3.1によって阻害されうる。かかる阻害は、同一または類似のエピトープに対する競合、立体障害の結果または抗体結合で誘導されるTECKのコンホメーションにおける変化のためでありうる。さらに他の態様において、本発明の抗体または抗原結合性フラグメントは、mAb 16.3.1と同一または類似のエピトープ特異性を有する。mAb 16.3.1のものと同一または類似であるエピトープ特異性を有する抗体は、本明細書に記載される方法等の種々の適切な方法によって同定されうる。
【0045】
本発明はまた、二重特異性抗体、またはその機能的フラグメント〔例えば、F(ab’)2〕に関し、それは、哺乳類TECKおよび少なくとも1つの他の抗原に結合する。特定の態様において、二重特異性抗体、またはその機能的フラグメントは、mAb 11.3.1またはmAb 16.3.1と少なくとも1つの他の抗体と同一または類似のエピトープ特異性を有する〔例えば、米国特許第5,141,736号明細書(Iwasaら)、米国特許第4,444,878号明細書、5,292,668号明細書、5,523,210号明細書(全てPaulusら)および米国特許第5,496,549号明細書(Yamazakiら)〕。好ましくは、抗体または抗原結合性フラグメントは、哺乳類TECKに特異的に結合する。
【0046】
別の局面において、本発明は、哺乳類TECKに結合する抗体または抗体の抗原結合性フラグメントを産生する単離された細胞に関する。好ましい態様において、本発明の単離された抗体産生細胞は、ハイブリドーマ、ヘテロハイブリドーマ、リンパ芽球様細胞または組換え細胞等の不死細胞である。
【0047】
本発明の抗TECK抗体は、任意の適切な方法、例えば、哺乳類TECKで免疫化された動物(例えば、マウス、ヒト、トランスジェニックマウス)由来の血清を採取することにより産生されうる。他の例において、適切な抗体産生細胞(例えば、ハイブリドーマ、ヘテロハイブリドーマ、リンパ芽球様細胞、組換え細胞)が、インビトロまたはインビボのどちらかで、発現に適切な条件下(例えば、誘導物質、適当な塩、増殖因子、抗生物質、栄養補給剤を補充した適切な培地の存在下)で維持され得、それにより抗体または抗原結合性フラグメントが産生される。所望の場合、抗体または抗原結合性フラグメントは、回収および/または単離され(例えば、宿主細胞、培養培地から)そして所望の程度に精製されうる。抗体の回収および精製は、遠心分離、濾過、カラムクロマトグラフィー(例えば、イオン交換、ゲル濾過、疎水性相互作用、アフィニティー)、調製用の未変性電気泳動、沈降および限外濾過等の適切な方法を使用して達しうる。産生方法が、トランスジェニック動物の宿主細胞での発現を包含することが認識される(例えば、WO 92/03918、GenPharm International、1992年3月19日発行)。
【0048】
本明細書に記載されるように、本発明の抗体およびその機能的フラグメントは、レセプターへの哺乳類TECKの結合を阻害(低減または妨害)しうるおよび/またはレセプターへのTECKの結合に関連した1つまたはそれ以上の機能を阻害しうる。以下に説明するように、レセプターへのTECKの結合および/またはレセプターへのリガンドの結合に関連した機能の阻害を評価するために種々の方法が使用されうる。
【0049】
本発明の抗体および抗原結合性フラグメントは、種々の適切な結合を介して直接または間接的に他の診断用または治療用薬剤〔例えば、薬物(例えば、細胞傷害性薬剤)、治療用タンパク質(例えば、サイトカイン、増殖因子)、放射性核種〕に結合しうる。したがって、本発明は、抗原結合性融合タンパク質または免疫複合体を提供する。例えば、追加の診断用または治療用薬剤がタンパク質またはペプチドである場合、抗体または抗原結合性フラグメントと追加の薬剤とは、連続的なポリペプチド(すなわち、融合タンパク質)の部分でありうる。かかる融合タンパク質において、抗体または抗原結合性フラグメントと追加の薬剤とは、ポリペプチド上にいずれの適切な立体配置でも配置されうる。抗体または抗原結合性フラグメントと追加の薬剤とは、(すなわち、1つまたはそれ以上の)ペプチドリンカーを介して間接的に結合されうるか、またはお互いにペプチド結合を介して直接結合されうる。例えば、治療用タンパク質またはペプチド(例えば、サイトカインまたはケモカイン)のアミノ酸配列は、Fvのアミノ末端またはカルボキシル末端に融合されうる。治療用タンパク質またはペプチドの配列はまたスペーサーとしても利用でき、Fvの可変領域(重鎖可変領域、軽鎖可変領域)に結合するスペーサーに挿入されうる。
【0050】
抗体または抗原結合性フラグメントと追加の薬剤とが連続的なポリペプチド(例えば、免疫複合体)の部分でない場合、それらは抗体または抗原結合性フラグメント上の官能基(もしくはその活性化誘導体)の追加の薬剤上の第2の官能基(もしくはその活性化誘導体)との反応により形成される化学結合(例えば、共有結合)により直接結合されうる。例えば、2つのチオールは反応してジスルフィド結合を形成し得、アミンはカルボン酸またはハロゲン化アシルと反応してアミドを形成しうる。使用されうる種々の他の適切な反応は、当該技術分野において公知である(例えば、Hermanson,G.T.、Bioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,CA(1996)を参照のこと)。抗体または抗原結合性フラグメントと追加の薬剤とは、適切なリンカー(例えば、ペプチドリンカー)を介して間接的に結合されうる。一般的に、リンカーは、反応して抗体との結合および追加の薬剤との結合を形成しうる2つの反応性基を含む。2つの異なる反応性基を含むリンカー(例えば、ヘテロ二官能性リンカー)は、追加の薬剤に抗体または抗原結合性フラグメントを選択的に結合させるために使用されうる。タンパク質、核酸、ペプチド、ビタミン、糖、脂質、小さい有機分子および他の適切な薬剤の間で複合体を形成するのに適切な多くのリンカーが、公知である(例えば、米国特許第5,856,571号明細書、5,880,270号明細書;Hermanson,G.T.、Bioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,CA(1996)を参照のこと)。
【0051】
好ましくは、抗原結合性融合タンパク質および免疫複合体(例えば、抗体、細胞傷害性薬剤)の構成部分の独立した活性は、別個の分子の存在としての構成部分の活性と有意に異ならない。例えば、抗体または抗原結合性フラグメントがGPR−9−6に結合する場合、約1000倍以内、好ましくは100倍以内、より好ましくは10倍以内の親和性または遊離の抗体または抗原結合性フラグメントの親和性と実質的に同一の親和性で、免疫複合体はGPR−9−6に結合しうる。
【0052】
1つの態様において、免疫複合体は、リンカーを介して哺乳類GPR−9−6(例えば、ヒトGPR−9−6)またはその抗原結合性フラグメントに結合する抗体に結合される適切な細胞傷害性薬剤を含有する。リンカーは、抗体および/または細胞傷害性薬剤の特異的部位との結合を形成しうる。例えば、リンカーは、抗体または抗原結合性フラグメントのシステイニル残基の側鎖、リジン残基の側鎖またはアスパルチルもしくはグルタミル残基の側鎖に結合しうる。抗体にコンジュゲートしうる適切な細胞傷害性薬剤は、例えば、化学療法用薬剤(例えば、マイトマイシンC、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、シクロヘキサミン(cyclohexamine))およびリシン、ゲロニン(gelonin)等の毒素が挙げられる。
【0053】
他の態様において、本発明は、哺乳類GPR−9−6に結合する抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab)’2、Fv)と細胞傷害性細胞(例えば、細胞傷害性T細胞、NK細胞)を活性化および/または誘引しうるタンパク質またはペプチドとを含有する抗原結合性融合タンパク質を提供する。インターロイキン12およびケモカイン6Ckine(SLC、Exodus2、TCAとも呼ばれる)およびCkbeta−11(M3beta、ELCとも呼ばれる)等の細胞傷害性細胞を活性化および/または誘引しうる多数のタンパク質およびペプチドが、当該技術分野において公知である(例えば、Kim C.H.ら、Cell.Immunomol. 、193:226-235(1999) ;Pham-Nguyen K.B.ら、Int.J.Cancer、81:813-819(1999)を参照のこと)。融合タンパク質を調製するためのいくつかの適切な方法が当該技術分野において公知であり、例えば、融合タンパク質は、米国特許第5,767,260号明細書、5,824,782号明細書および5,889,157号明細書に記載された方法または他の適切な方法を用いて調製されうる。米国特許第5,767,260号明細書、5,824,782号明細書および5,889,157号明細書の全教示は、参照により本明細書に取り込まれる。
【0054】
結合アッセイ
本発明はまた、哺乳類GPR−9−6またはそのリガンド結合性変種に結合しうる薬剤(すなわち、分子または化合物)を検出または同定するための方法に関する。
【0055】
本明細書で使用される場合、「哺乳類GPR−9−6」は、天然に存在するまたは内因性の哺乳類GPR−9−6タンパク質、および哺乳類GPR−9−6タンパク質に対応する天然に存在するまたは内因性のものと同一のアミノ酸配列を有するタンパク質〔例えば、組換えタンパク質、合成タンパク質(すなわち、合成有機化学の方法を用いて産生される)〕のことをいう。したがって、本明細書で定義される時、該用語は、哺乳類GPR−9−6の成熟レセプタータンパク質、多型または対立遺伝子変種および他のアイソフォーム(例えば、選択的スプライシングまたは他の細胞過程により産生される)、および前述のものの修飾または非修飾型(例えば、脂質化、グリコシル化、非グリコシル化)を含む。天然に存在するまたは内因性の哺乳類GPR−9−6タンパク質は、哺乳類(例えば、ヒト、非ヒト霊長類)に天然に存在する成熟GPR−9−6、多型または対立遺伝子変種および他のアイソフォーム等の野生型タンパク質を含む。かかるタンパク質は、例えば、哺乳類GPR−9−6を天然に産生する供給源から回収または単離されうる。哺乳類GPR−9−6の多型、対立遺伝子、スプライスおよび他の天然に存在する変種は、特定の器官、組織または細胞で発現され得、改変された特性〔例えば、リガンド(例えば、TECK)に対する変化した親和性〕および特殊な生物学的機能(例えば、T細胞発達、T細胞漸増)を有しうる。天然に存在するまたは内因性の哺乳類GPR−9−6タンパク質、および哺乳類GPR−9−6に対応する天然に存在するまたは内因性のものと同一のアミノ酸配列を有するタンパク質は、対応する哺乳類の名前で呼ばれる。例えば、対応する哺乳類がヒトである場合、タンパク質は、ヒトGPR−9−6タンパク質(例えば、適切な宿主細胞で産生される組換えヒトGPR−9−6タンパク質)と称される。
【0056】
哺乳類GPR−9−6タンパク質の「機能的変種」は、適切な方法〔例えば、変異誘発(例えば、化学的変異誘発、放射線変異誘発)、組換えDNA技術〕を用いて産生されうる機能的フラグメント、機能的変異タンパク質、および/または機能的融合タンパク質を含む。「機能的変種」は、結合活性、シグナル伝達活性および/または細胞応答を刺激する能力等の本明細書に記載されるような哺乳類GPR−9−6タンパク質に特徴的な少なくとも1つの機能を有するタンパク質またはポリペプチドである。好ましい機能的変種は、リガンド(すなわち、TECK等の1つまたはそれ以上のリガンド)に結合しうる。
【0057】
一般的に、哺乳類GPR−9−6タンパク質のフラグメントまたは部分は、成熟哺乳類GPR−9−6タンパク質に関するアミノ酸(すなわち、1つまたはそれ以上のアミノ酸)の欠失(すなわち、1つまたはそれ以上の欠失)を有するもの(N末端、C末端または内部欠失等)を含む。成熟哺乳類GPR−9−6タンパク質に関して連続アミノ酸のみが欠失しているかまたは非連続アミノ酸が欠失しているフラグメントまたは部分がまた構想される。
【0058】
変異哺乳類GPR−9−6タンパク質は、1つまたはそれ以上の連続または非連続のアミノ酸残基の付加、欠失および/または置換により異なる哺乳類GPR−9−6タンパク質の天然または人工の変種(例えば、レセプターキメラ)を含む。かかる変異は、タンパク質の1つまたはそれ以上の部位、例えば、保存領域または非保存領域(他のケモカインレセプターまたはGタンパク質結合レセプターと比較して)、細胞外領域、細胞質領域または膜貫通領域で生じうる。
【0059】
融合タンパク質は、天然で見出されるような哺乳類GPR−9−6では存在しない第2部分に共有結合(例えば、ペプチド結合)を介して結合される第1部分としての哺乳類GPR−9−6(例えば、ヒトGPR−9−6)またはその変種を含有するポリペプチドを包含する。したがって、第2部分は、アミノ酸、オリゴペプチドまたはポリペプチドでありうる。第2部分は、適切な位置、例えば、N末端、C末端または内部で第1部分に結合されうる。1つの態様において、融合タンパク質は、第1部分として親和性リガンド(例えば、酵素、抗原、エピトープタグ(tag)、結合ドメイン)と、リンカー配列およびヒトGPR−9−6またはその部分を含有する第2部分とを含有する。追加の(例えば、第3または第4)部分が、適宜存在しうる。
【0060】
1つの態様において、哺乳類GPR−9−6の機能的変種(例えば、リガンド結合性変種)は、前記哺乳類GPR−9−6と少なくとも約80%アミノ酸配列類似性、好ましくは少なくとも約90%アミノ酸配列類似性、より好ましくは前記哺乳類GPR−9−6と少なくとも約95%アミノ酸配列類似性を共有する。他の態様において、機能的融合タンパク質は、哺乳類GPR−9−6と少なくとも約85%配列類似性、好ましくは少なくとも約90%配列類似性、より好ましくは哺乳類GPR−9−6(例えば、ヒトGPR9−6(例えば、配列番号:2))と少なくとも約95%配列類似性を共有する第1部分を含有する。他の態様において、機能的哺乳類GPR−9−6タンパク質または哺乳類GPR−9−6タンパク質の機能的変種は、天然に存在するヒトGPR−9−6(例えば、配列番号:2)と少なくとも約80%アミノ酸配列類似性、好ましくは少なくとも約90%アミノ酸配列類似性、より好ましくは少なくとも約95%アミノ酸配列類似性を共有する。PAM250残基重量表、ギャップペナルティ(gap penalty)10、ギャップ長ペナルティ10およびデフォルト(default)パラメーター(ペアワイズ(pairwise)配列パラメーター:クツプル(ktuple)=1、ギャップペナルティー=3、ウインドウ=4および対角セーブ(diagonals saved)=5)でClustal法を使用するLasergene system(DNASTAR,Inc.,Madison,WI )等の適切な配列のアラインメントアルゴリズムを使用して、アミノ酸配列類似性は決定されうる。他の態様において、機能的変種は、天然に存在する核酸配列とは異なる核酸配列によりコードされるが、遺伝コードの縮重のために、哺乳類GPR−9−6またはその部分をコードする。
【0061】
本明細書で使用される場合、「哺乳類TECK」は、天然に存在するまたは内因性の哺乳類TECKタンパク質、および哺乳類TECKタンパク質に対応する天然に存在するまたは内因性のものと同一のアミノ酸配列を有するタンパク質〔例えば、組換えタンパク質、合成タンパク質(すなわち、合成有機化学の方法を用いて産生される)〕のことをいう。したがって、本明細書で定義される時、該用語は、哺乳類TECKの成熟レセプタータンパク質、多型または対立遺伝子変種、および他のアイソフォーム(例えば、選択的スプライシングまたは他の細胞過程により産生される)、および前述のものの修飾または非修飾型(例えば、脂質化、グリコシル化、非グリコシル化)を含む。天然に存在するまたは内因性の哺乳類TECKタンパク質は、哺乳類(例えば、ヒト、非ヒト霊長類)に天然に存在する成熟TECK、多型または対立遺伝子変種および他のアイソフォーム等の野生型タンパク質を含む。かかるタンパク質は、例えば、哺乳類TECKを天然に産生する供給源から回収または単離されうる。
【0062】
哺乳類TECKの多型、対立遺伝子、スプライスおよび他の天然に存在する変種は、特定の器官、組織または細胞で発現され得、変化した特性〔例えば、レセプター(例えば、GPR−9−6)に対する変化した親和性〕および特殊な生物学的機能(例えば、T細胞発達、T細胞漸増)を有しうる。例えば、本明細書に記載されるように、ヒトTECKの選択的スプライス型は、110位のアミノ酸(Ala 110)が欠失しており、胸腺よりも小腸でより多く見られる。
【0063】
天然に存在するまたは内因性の哺乳類TECKタンパク質、および哺乳類TECKに対応する天然に存在するまたは内因性のものと同一のアミノ酸配列を有するタンパク質は、対応する哺乳類の名前で呼ばれる。例えば、対応する哺乳類がヒトである場合、タンパク質はヒトTECKタンパク質(例えば、適切な宿主細胞で産生された組換えヒトTECKタンパク質)と称される。
【0064】
哺乳類TECKタンパク質の「機能的変種」は、適切な方法〔例えば、変異誘発(例えば、化学的変異誘発、放射線変異誘発)、組換えDNA技術〕を用いて産生されうる機能的フラグメント、機能的変異タンパク質、および/または機能的融合タンパク質を含む。「機能的変種」は、結合活性、シグナル伝達活性および/または細胞応答を刺激する能力等の本明細書に記載されるような哺乳類TECKタンパク質に特徴的な少なくとも1つの機能を有するタンパク質またはポリペプチドである。好ましい機能的変種は、レセプター〔例えば、GPR−9−6(CCR9)〕に結合しうる。
【0065】
一般的に、哺乳類TECKタンパク質のフラグメントまたは部分は、成熟哺乳類TECKタンパク質に関するアミノ酸(すなわち、1つまたはそれ以上のアミノ酸)の欠失(すなわち、1つまたはそれ以上の欠失)を有するもの(N末端、C末端または内部欠失等)を含む。成熟哺乳類TECKタンパク質に関して連続アミノ酸のみが欠失しているかまたは非連続アミノ酸が欠失しているフラグメントまたは部分がまた構想される。
【0066】
成熟哺乳類TECKタンパク質は、1つまたはそれ以上の連続または非連続のアミノ酸残基の付加、欠失および/または置換により異なる哺乳類TECKタンパク質の天然または人工の変種を含む。かかる変異は、タンパク質の1つまたはそれ以上の部位、例えば、保存領域または非保存領域(他のケモカインと比較して)で生じうる。
【0067】
融合タンパク質は、天然で見出されるような哺乳類TECKでは存在しない第2部分に共有結合(例えば、ペプチド結合)を介して結合された第1部分としての哺乳類TECK(例えば、ヒトTECK)またはその変種を含有するポリペプチドを包含する。したがって、第2部分は、アミノ酸、オリゴペプチドまたはポリペプチドでありうる。第2部分は、適切な位置、例えば、N末端、C末端または内部で第1部分に結合されうる。1つの態様において、融合タンパク質は、第1部分として親和性リガンド(例えば、酵素、抗原、エピトープタグ、結合ドメイン)と、リンカー配列およびヒトTECKまたはその部分を含有する第2部分とを含有する。追加の(例えば、第3または第4)部分が適切に存在しうる。
【0068】
1つの態様において、哺乳類TECKの機能的変種(例えばリガンド結合性変種)は、前記哺乳類TECKと少なくとも約80%アミノ酸配列類似性、好ましくは少なくとも約90%アミノ酸配列類似性、より好ましくは前記哺乳類TECK(例えば、配列番号:9、配列番号:11)と少なくとも約95%アミノ酸配列類似性を共有する。他の態様において、機能的融合タンパク質は、哺乳類TECKと少なくとも約85%配列類似性、好ましくは少なくとも約90%配列類似性、より好ましくは哺乳類TECK〔例えば、ヒトTECK(例えば、配列番号:9、配列番号:11)〕と少なくとも約95%配列類似性を共有する第1部分を含有する。他の態様において、機能的哺乳類TECKタンパク質または哺乳類TECKタンパク質の機能的変種は、天然に存在するヒトTECK(例えば、配列番号:9、配列番号:11)と少なくとも約80%アミノ酸配列類似性、好ましくは少なくとも約90%アミノ酸配列類似性、より好ましくは少なくとも約95%アミノ酸配列類似性を共有する。アミノ酸配列類似性は、PAM250残基重量表、ギャップペナルティ10、ギャップ長ペナルティ10およびデフォルトパラメーター(ペアワイズ配列パラメーター:クツプル=1、ギャップペナルティー=3、ウインドウ=4および対角セーブ=5)でClustal法を使用する、Lasergene system(DNASTAR,Inc.,Madison,WI )等の適切な配列のアラインメントアルゴリズムを使用して決定されうる。他の態様において、機能的変種は、天然に存在する核酸配列とは異なる核酸配列によりコードされるが、遺伝コードの縮重のために、哺乳類TECKまたはその部分をコードする。
【0069】
本発明はまた、哺乳類GPR−9−6および哺乳類TECKの天然に存在する変種(例えば、スプライス変種、対立遺伝子変種)および該変種をコードする核酸(例えば、配列番号:10、配列番号:11)に関する。
【0070】
哺乳類GPR−9−6またはその機能的変種を含有する組成物は、レセプターに結合しうる薬剤を検出および/または同定するためまたはTECKに結合しうる薬剤を検出および/または同定するために結合アッセイで使用されうる。結合アッセイでの使用に適する組成物は、例えば、哺乳類GPR−9−6またはその機能的変種を天然に発現する細胞〔例えば、胸腺細胞、GPR−9−6+CLA-veα4β7hiCD4+記憶リンパ球、細胞株(例えば、MOLT−4(ATCCアクセッション番号CRL−1582)、MOLT−13(M.Brenner 、Brigham およびWomans Hospital,Boston,MA)上皮内リンパ球(IEL)、固有層リンパ球(LPL)〕および哺乳類GPR−9−6またはその機能的変種をコードする外因性核酸を含有する組換え細胞が挙げられる。結合アッセイでの使用に適する組成物はまた、哺乳類GPR−9−6またはその機能的変種を含有する膜調製物を含む。かかる膜調製物は、天然(例えば、原形質膜)または合成膜を含みうる。好ましくは、膜調製物は、哺乳類GPR−9−6またはその機能的変種を発現する細胞の膜画分である。
【0071】
1つの態様において、哺乳類GPR−9−6に結合する薬剤を検出または同定する方法は、参照薬剤(例えば、リガンド(例えば、TECK)、抗体)の結合を阻害する試験薬剤の能力が評価される競合結合アッセイである。例えば、参照薬剤は、本明細書に記載のような適切な標識で標識され得、アッセイで存在するGPR−9−6を飽和するために必要な標識参照薬剤の量が測定されうる。飽和量の標識参照薬剤および種々の量の試験薬剤は、測定される結合および複合体形成に適切な条件下で、哺乳類GPR−9−6またはその機能的変種を含有する組成物と接触されうる。
【0072】
参照薬剤とGPR−9−6またはその機能的変種との複合体の形成は、適切な方法を用いて直接または間接的に検出または測定しうる。例えば、薬剤は適切な標識で標識され得、複合体の形成が標識の検出により測定されうる。複合体の特異性は、非標識薬剤または標識のみ等の適切な対照を使用して測定されうる。薬剤と哺乳類GPR−9−6またはその機能的変種との複合体の検出での使用に適する標識は、例えば、放射性同位体、エピトープ、親和性標識(例えば、ビオチン、アビジン)、スピン標識、酵素、蛍光群または化学発光群を含む。標識の使用が望ましくない場合、複合体の形成は、表面プラズモン共鳴等の他の適切な方法を使用して検出されうる。
【0073】
参照薬剤と哺乳類GPR−9−6との複合体の形成を阻害する試験薬剤の能力は、標識参照薬剤の特異的結合の50%阻害に必要な試験薬剤の濃度(IC50値)として報告されうる。特異的な結合は、好ましくは、全結合(例えば、複合体での全標識)マイナス非特異的結合として定義される。非特異的結合は、好ましくは、過剰の非標識参照薬剤の存在下で形成された複合体でなお検出される標識の量として定義される。該方法での使用に適する参照薬剤は、哺乳類GPR−9−6またはその機能的変種に特異的に結合する分子および化合物、例えば、GPR−9−6のリガンド(例えば、TECK)または抗体を含む。好ましい態様において、参照薬剤は、mAb 3C3またはmAb GPR96−1である。特に好ましい態様において、参照薬剤は、哺乳類(例えば、ヒト)TECKである。
【0074】
本発明はまた、哺乳類TECKに結合する薬剤を検出または同定する方法に関する。1つの態様において、哺乳類TECKに結合する薬剤を検出または同定する方法は、TECK性結合参照薬剤(例えば、レセプター(例えば、GPR−9−6(CCR9)、抗体)に対するTECKまたはその機能的変種の結合を阻害する試験薬剤の能力が評価される競合結合アッセイである。例えば、TECK(例えば、ヒトTECK)は、本明細書に記載のような適切な標識で標識され得、アッセイで存在するGPR−9−6を飽和するために必要な標識TECKの量が測定されうる。飽和量の標識TECKおよび種々の量の試験薬剤は、測定される結合および複合体形成に適切な条件下で、哺乳類GPR−9−6またはその機能的変種を含有する組成物と接触されうる。TECKとGPR−9−6またはその機能的変種との複合体の形成は、適切な方法を用いて直接または間接的に検出または測定しうる。例えば、TECKは適切な標識で標識され得、複合体の形成が標識の検出により測定されうる。複合体の特異性は、非標識TECKまたは標識のみ等の適切な対照を使用して測定されうる。TECKと哺乳類GPR−9−6またはその機能的変種との複合体の検出での使用に適する標識は、例えば、放射性同位体、エピトープ、親和性標識(例えば、ビオチン、アビジン)、スピン標識、酵素、蛍光群または化学発光群を含む。標識の使用が望ましくない場合、複合体の形成は、表面プラズモン共鳴等の他の適切な方法を使用して検出されうる。
【0075】
TECKと参照試薬(例えば、哺乳類GPR−9−6(CCR9))との複合体の形成を阻害する試験薬剤の能力は、前記のように、標識参照薬剤の特異的結合の50%阻害に必要な試験薬剤の濃度(IC50値)として報告されうる。
【0076】
本発明はまた、本明細書に記載のように、治療に使用されうる薬剤(すなわち、分子または化合物)を同定または単離する方法に関する。1つの態様において、薬剤は、前記のような競合結合アッセイで同定または単離される。他の態様において、哺乳類GPR−9−6またはその機能的変種を発現する細胞は、レセプターの発現に適切な条件下で維持されうる。細胞は、結合に適切な条件下(例えば、適切な結合緩衝液中)で薬剤(例えば、リガンド、アンタゴニスト、アゴニスト)と接触させ、薬剤と哺乳類GPR−9−6との複合体の形成が、適切な技術を使用して検出または測定される。例えば、薬剤は本明細書に記載のように標識され得、薬剤−GPR−9−6複合体に存在する標識の量が測定されうる。複合体形成の程度は、適切な対照〔例えば、薬剤の非存在下に測定されるバックグラウンドと比較して、2次薬剤(すなわち、標準、イソタイプ対照)の結合と比較して、GPR−9−6を発現しない細胞への薬剤の結合と比較して〕に対して測定されうる。
【0077】
したがって、本発明は、炎症性疾患を有する被験体を治療するのに使用される薬剤を同定または単離する方法に関する。特定の態様において、該方法は、クローン病または大腸炎等の粘膜組織に関連した炎症性疾患を有する被験体を治療するのに使用される薬剤を同定または単離する方法である。他の態様において、該方法は、被験体の白血球のGPR−9−6媒介性ホーミングを阻害するのに使用される薬剤を同定または単離する方法である。他の態様において、該方法は、被験体におけるGPR−9−6機能を調節するのに使用される薬剤を同定または単離する方法である。
【0078】
本発明はまた、癌腫〔例えば、急性または慢性白血病(例えば、急性T細胞リンパ芽球性白血病、急性B細胞リンパ芽球性白血病、慢性T細胞リンパ芽球性白血病、慢性B細胞リンパ芽球性白血病)、リンパ腫(例えば、ホジキン病、T細胞リンパ腫)、癌腫(例えば、胸(例えば、腺管癌、小葉癌)、卵巣、精巣、前立腺、偏平上皮細胞、基底細胞)、黒色腫、骨髄腫、腺腫〕を有する被験体を治療するのに使用される薬剤を同定または単離する方法に関する。特定の態様において、該方法は、白血病〔例えば、急性リンパ芽球性白血病(例えば、急性T細胞リンパ芽球性白血病、急性B細胞リンパ芽球性白血病)、慢性リンパ芽球性白血病、例えば、慢性T細胞リンパ芽球性白血病、慢性B細胞リンパ芽球性白血病)〕を有する被験体を治療するのに使用される薬剤を同定または単離する方法である。
【0079】
薬剤は、本明細書に記載の方法に従って、個々にスクリーンされうるか、または1つまたはそれ以上の薬剤が同時に試験されうる。化合物の混合物が試験される場合、記載された過程により選択された化合物は(適当に)分離され得、適切な方法(例えば、配列決定、クロマトグラフィー)により同定されうる。試験試料における1つまたはそれ以上の化合物(例えば、リガンド、インヒビター、プロモーター)の存在はまた、これらの方法に従って測定されうる。
【0080】
哺乳類GPR−9−6または哺乳類TECKに結合し、かつ本明細書に記載された治療方法で有用な薬剤は、例えば、本明細書に記載のアッセイでライブラリーもしくは国立癌研究所の化学物質貯蔵所(Chemical Repository)等の分子の所蔵品をスクリーニングすることにより、または他の適切な方法を使用することにより、同定されうる。コンビナトリアル(combinatorial)化学合成または他の方法により製造された化合物(例えば、有機化合物、組換えまたは合成ペプチド、「ペプトイド」、核酸)の大きなコンビナトリアルライブラリーが、試験されうる〔例えば、Zuckerman,R.N.ら、J.Med.Chem.,37:2678-2685(1994)およびそれに引用された参考文献を参照のこと;また、標識化合物に関してOhlmeyer,M.H.J.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:10922-10926(1993)およびDeWitt,S.H. ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6909-6913(1993)を参照のこと;Rutter,W.J.ら、米国特許第5,010,175号明細書;Huebner,V.D.ら、米国特許第5,182,366 号明細書; およびGeysen,H.M.、米国特許第4,833,092号明細書〕。本方法によるコンビナトリアルライブラリーから選択された化合物が独特の標識を有する場合、クロマトグラフィー法による個々の化合物の同定が達成されうる。1つの態様において、本発明の方法に従って試験される薬剤の集団は、ケモカインまたはその変異体もしくはアナログを含有しない。
【0081】
機能的アッセイ
哺乳類GPR−9−6またはその機能的変種に結合する薬剤は、かかる薬剤が本明細書に記載のようなGPR−9−6の1つまたはそれ以上の機能を調節(阻害(低減または妨害)または促進)しうるかどうか測定するために、1つまたはそれ以上の適切なアッセイでさらに研究されうる。例えば、薬剤は、細胞外酸性化アッセイ、カルシウムフラックスアッセイ、リガンド結合アッセイ、化学走性アッセイまたは脱顆粒もしくは炎症伝達物質放出をモニターするアッセイで試験されうる(例えば、Hesselgesserら、J.Biol.Chem.273(25):15687-15692(1998)およびWO 98/02151を参照のこと)。
【0082】
例えば、哺乳類GPR−9−6に結合する薬剤は、適切な細胞を使用する白血球化学走性アッセイで試験されうる。適切な細胞は、例えば、哺乳類GPR−9−6を発現し、かつGPR−9−6リガンド誘導(例えば、TECK誘導)性化学走性を受ける細胞株、組換え細胞または単離された細胞を含む。1つの例において、GPR−9−6発現組換えL1.2細胞(L1.2細胞に関してCampbellら、J Cell Biol,134:255-266(1996) を参照のこと)は、内皮貫通(transendothelial)遊走アッセイの改良法で使用されうる(Carr,M.W. ら、T.A.、Proc.Natl Acad Sci、USA 、(91):3652(1994))。このアッセイで使用される内皮細胞は、好ましくは、内皮細胞株、ECV 304であり、それは、American Type Culture Collection(Manassas,VA)から得られうる。内皮細胞は、3.0μmの孔サイズを有する6.5mm直径のトランスウェル培養インサート(Transwell culture insert)(Costar Corp.、Cambridge,MA)で培養されうる。ECV 304細胞に対する培養培地は、M199+10% FCS、L−グルタミン、および抗生物質からなりうる。アッセイ培地は、0.5%BSAを含む等量部のRPMI 1640とM199とからなりうる。アッセイの2時間前に、2×105ECV 304細胞が24ウェルトランスウェル化学走性プレートの各インサート上にプレートされ、37℃でインキュベートされうる。TECK等の化学走性因子(Peprotech 、Rocky Hill、NJ)(アッセイ培地で希釈)は、最終容量600μLで24ウェル組織培養プレートに添加されうる。内皮で覆われたトランスウェルが各ウェルに挿入され得、研究されている白血球型の106細胞が、アッセイ培地の最終容量100μLで上のチャンバーに添加される。プレートは、次いで5%CO2/95%空気で、1〜2時間37℃でインキュベートされうる。インキュベートの間に下のチャンバーに遊走する細胞は、例えばフローサイトメトリーを使用してカウントされうる。フローサイトメトリーにより細胞をカウントするために、下のチャンバーから500μLの細胞懸濁液をチューブに入れ、関連するカウントが、設定した時間間隔、例えば30秒で得られうる。このカウント法は高い再現性があり、白血球のゲーティング(gating)、および解析由来の残骸または他の細胞型の排除を可能にする。代わりに、細胞は顕微鏡でカウントされうる。化学走性を阻害または促進しうる薬剤を評価するためのアッセイは、1%までDMSO共溶媒を含むアッセイ培地で、細胞添加の前に上と下の両方のチャンバーに薬剤溶液が添加されうることを除いて、上記対照実験と同一の方法で行なわれうる。化学走性を阻害または促進する薬剤の能力は、薬剤を含むウェルで下のチャンバーに遊走する細胞の数を、対照ウェルで下のチャンバーに遊走する細胞の数と比較することにより測定されうる。対照ウェルは、薬剤を含まないが、等量のDMSOを含みうる。
【0083】
哺乳類GPR−9−6に結合する薬剤はまた、哺乳類GPR−9−6またはその機能的変種を発現する適切な細胞を使用して、活性レセプターによって誘導される細胞応答をモニターすることにより評価されうる。例えば、エキソサイトーシス(例えば、エステラーゼ(例えば、セリンエステラーゼ)、パーフォリン、および/またはグランザイム)等の1つまたはそれ以上の酵素または他の顆粒成分の放出をもたらす細胞の脱顆粒、炎症伝達物質放出(ロイコトリエン(例えば、ロイコトリエンC4)等の生物活性脂質の放出)、および呼吸バーストは、当該技術分野で公知の方法または他の適切な方法によりモニターされうる〔例えば、顆粒誘導性セリンエステラーゼの放出のアッセイに関してTaub,D.D.ら、J.Immunol.、155:3877-3888(1995);酵素およびグランザイム放出のアッセイに関してLoetscherら、J.Immunol.、156:322-327(1996);呼吸バーストに関してRot,A.ら、J.Exp.Med.、176:1489-1495(1992);Bischoff,S.C.ら、Eur.J.Immunol.、23:761-767(1993)およびBaggliolini,M.およびC.A.Dahinden、Immunology Today、15:127-133(1994)を参照のこと〕。
【0084】
1つの態様において、GPR−9−6の機能を阻害または促進しうる薬剤が、脱顆粒またはこの機能の可能な細胞によるエキソサイトーシス時の酵素の放出をモニターすることにより同定される。哺乳類GPR−9−6またはその機能的変種を発現する細胞は、適切な条件下で適切な培地で維持され得、脱顆粒が誘導されうる。細胞を試験する薬剤と接触させ、酵素放出が評価されうる。培地への酵素の放出は、免疫学的アッセイ、または酵素活性に対する生化学的アッセイ等の適切なアッセイを使用して検出または測定されうる。
【0085】
アッセイの構成部分(例えば、基質、補因子、抗体)を培地に導入する(例えば、細胞と薬剤とを合わせる前に、同時にまたは後に)ことにより、培地は直接アッセイされうる。アッセイは、アッセイ前に細胞から分離されたまたはさらに処理された(例えば、分画化)培地でもまた行なわれうる。例えば、簡便なアッセイが、セリンエステラーゼ等の酵素に対して利用可能である(顆粒由来のセリンエステアーゼの放出に関して、例えば、Taub,D.D.ら、J.Immunol.、155:3877-3888(1995)を参照のこと)。
【0086】
他の態様において、哺乳類GPR−9−6またはその機能的変種を発現する細胞をGPR−9−6(例えば、TECK)のリガンドと合わせ、その前に、その後にまたは同時に、試験される薬剤を添加し、そしてCa2+フラックスが評価される。リガンド誘導性Ca2+フラックスの阻害は、薬剤が哺乳類GPR−9−6機能のインヒビターまたアンタゴニストであることを示す。
【0087】
細胞接着は、当該技術分野で公知の方法または他の適切な方法によりモニターされうる。リンパ球のケモカインレセプターの関与(engagement)は、インテグリン活性化、脈管構造または脈管周囲の空間で発現される接着分子への接着の誘発を生じうる。1つの態様において、GPR−9−6機能のリガンド、インヒビターおよび/またはプロモーターが、接着可能な細胞による細胞接着をモニターすることにより同定される。例えば、試験される薬剤は、(a)哺乳類GPR−9−6またはその機能的変種を発現する細胞(好ましくは、レセプターとトランスフェクトされると接着能力を得る非接着細胞)、(b)適切な接着分子を含有する構成物(例えば、フィブロネクチン等の接着分子でコートされた培養ウェル等の基材)、および(c)リガンドまたはプロモーター(例えば、アゴニスト)と合わされ、リガンド誘導性接着またはプロモーター誘導性接着に簡便な条件下で維持されうる。蛍光染料での細胞の標識は、接着細胞を検出する適切な手段を提供する。非接着細胞は除去され得(例えば、洗浄によって)、接着細胞の数が測定されうる。リガンドまたはプロモーター誘導性接着を阻害するまたは増強する薬剤の効果は、それぞれインヒビター活性またはプロモーター活性を示しうる。アッセイで活性な薬剤は、結合、シグナルおよび/または細胞応答のインヒビターおよびプロモーターを含む。他の態様において、試験される薬剤は、リガンド誘導性接着またはプロモーター誘導性接着に適切な条件下で、哺乳類GPR−9−6を発現する細胞および適切な接着分子を含有する組成物と合わせられ得、接着がモニターされる。適切な対照と比較して増加した接着は、リガンドおよび/またはプロモーターの存在を示す。
【0088】
哺乳類TECKまたはその機能的変種に結合する薬剤は、該薬剤がTECK結合時のレセプター(例えば、GPR−9−6(CCR9))により媒介される1つまたはそれ以上の機能を調節(阻害(低減または妨害)または促進)しうるかどうかを測定するために、1つまたはそれ以上の適切なアッセイでさらに研究されうる。TECK結合性薬剤がケモカインの機能を調節しうるかどうかを評価するための適切なアッセイは、TECKレセプター〔例えば、ヒトGPR−9−6(ヒトCCR9)〕およびTECK(例えば、ヒトTECK)を発現する細胞が使用される本明細書に記載されるもの等のアッセイを含む。
【0089】
哺乳類GPR−9−6タンパク質(CCR9)に結合する薬剤、哺乳類TECKタンパク質に結合する薬剤および/またはGPR−9−6タンパク質機能またはTECKタンパク質機能の調節剤(インヒビター、プロモーター)を検出または同定するために、前記結合アッセイおよび機能的アッセイは、単独で、またはお互いにもしくは他の適切な方法と組み合わせて、使用されうる。本発明のインビトロ法は、多数のサンプルが処理される(例えば、96ウェル形態)高スループットスクリーニングに適合されうる。高スループットスクリーニングに適切なレベルで哺乳類GPR−9−6(例えば、ヒトGPR−9−6(CCR9))またはその機能的変種を発現する細胞が使用され得、したがってGPR−9−6に結合する薬剤、TECKに結合する薬剤、およびGPR−9−6またはTECK機能の調節剤の同定および/または単離に特に価値がある。GPR−9−6の発現は、種々の方法でモニターされうる。例えば、発現は、レセプターまたはその一部に結合する本発明の抗体を用いてモニターされうる。また、商業的に入手可能な抗体は、レセプタータンパク質またはポリペプチド(例えば、FLAG標識レセプター)を含有する抗原標識またはエピトープ標識融合タンパク質の発現を検出するために使用され得、所望のレベルでGPR−9−6を発現する細胞が選択されうる(例えば、フローサイトメトリーにより)。
【0090】
炎症のモデル
本発明の抗体または抗原結合性フラグメントならびに本明細書に記載される方法により同定される薬剤の有効性を治療剤と同様にインビボで評価するために使用されうる炎症のインビボモデルが入手可能である。例えば、ウサギ、マウス、ラット、モルモットまたは霊長類(例えば、アカゲザルマカク(rhesus macaque))等の適切な動物に哺乳類GPR−9−6と反応性であるケモカインおよび抗体またはその抗原結合性フラグメントの皮内注入による白血球浸潤が、モニターされうる(例えば、Van Damme,J.ら、J.Exp.Med.,176:59−65(1992);Zachariae、C.O.C.ら、J.Exp.Med.171:2177−2182(1990);Jose,P.J.ら、J.Exp.Med.179:881−887(1994))。一つの態様では、皮膚バイオプシーが、白血球(例えば、GPr−9−6+T細胞)の浸潤について組織学的に評価される。他の態様では、化学走性および管外遊走が可能である標識された細胞(例えば、例として111Inで標識した哺乳類GPR−9−6を発現する安定に形質移入した細胞)が動物に投与される。例えば、哺乳類GPR−9−6に結合する評価対象の抗体または薬剤は、GPR−9−6リガンドまたはアゴニスト(例えば、TECK)が試験動物に投与される前、それと同時または後のいずれかに投与されうる。抗体または薬剤の非存在下での炎症の程度と比較した、抗体または薬剤の存在下での炎症の程度の減少は、阻害の指標である。
【0091】
本明細書中に記載するように、GPR−9−6は、粘膜の部位(例えば、CLA-veα4β7highCD4+リンパ球)にホーミング(home)する記憶リンパ球上に選択的に発現される。従って、粘膜(例えば、気道、泌尿生殖器、消化管および関連する器官または組織(例えば、膵臓、肝臓、胆嚢))の炎症疾患の動物モデルが、GPR−9−6調節因子の治療有効性を評価するために使用されうる。例えば、本発明の抗体および抗原結合性フラグメントならびに本明細書に記載される方法により同定される薬剤が、炎症腸疾患のコットントップタマリン(cotton−top tamarin)モデルにおいて研究されうる(Podolsky,D.K.ら、J.Clin.Invest.92:372−380 (1993))。CD45RBHi/SCIDモデルは、クローン病および潰瘍性結腸炎の両方に類似性を有するマウスモデルを提供する(Powrie,F.ら、Immunity,1:553−562(1994))。このモデルにおける治療有効性は、例えば、薬剤の投与(例えば、静脈内(i.v.)、腹腔内(i.p.)および経口(p.o.))後の大腸への111In標識細胞の補充の阻害および大腸の粘膜固有層におけるCD4+Tリンパ球の数における減少等のパラメータを用いることにより評価されうる。ヒト炎症腸疾患と類似した腸病巣を発生するノックアウトマウスもまた記載されており(Strober,W.およびEhrhardt,R.O.、Cell、75:203−205(1993))、NODマウスはインスリン依存性糖尿病の動物モデルを提供する。
【0092】
本明細書に記載されるように、GPR−9−6はまた、ガン細胞上に発現される。従って、癌の動物モデルは、インビボでのGPR−9−6調節因子の抗癌活性を評価するために使用されうる。例えば、白血病(例えば、急性T細胞リンパ芽球性白血病)の治療用の治療剤としての、本発明の抗体および抗原結合性フラグメントならびに本明細書に記載される方法により同定される抗体の有効性は、ウサギ(Simpson R.M.ら、Lab.Invest.,74:696−710(1996))またはSCIDもしくはNODマウス(Stelle,J.P.ら、Blood,90:2015−2019(1997))において評価されうる。
【0093】
診断適用
本発明の抗体は、GPR−9−6が細胞の表面上で検出されうる手順における適用を有する。該レセプターは、これが発現される白血球細胞型のマーカーを提供する。例えば、本明細書に記載の抗体(例えば、mAb 3C3、mAb GPR96−1)などの、哺乳類GPR−9−6タンパク質またはペプチドに対する抗体は、哺乳類GPR−9−6を発現する細胞を検出および/または定量するために使用することができる。一態様では、抗体を用いて(例えば、GPR−9−6+CLA-veα4β7+veCD4+記憶T細胞などの粘膜にホーミング(home)する白血球を単離するために)細胞混合物の中からGPR−9−6を発現する細胞を選別することができる。細胞を計測および/または選別するために適した方法を本目的(例えば、フローサイトメトリー、蛍光標示式細胞分取)に使用することができる。細胞の計測数を、白血球細胞型(例えば、粘膜にホーミングする白血球、IEL、LPL)の増加または減少が観察される疾患または症状の診断に使用することができる。
【0094】
さらに、抗体を用いて、GPR−9−6の発現を検出または測定することができる。例えば、本発明の抗体を用いて生物学的試料(例えば、血液、血清、白血球(例えば、活性化Tリンパ球)、気管支肺胞洗浄液、唾液、腸液、生検試料などの個体由来の細胞、組織または体液)中の哺乳類GPR−9−6を検出または測定することができる。例えば、試料(例えば、組織および/または体液)を個体から得ることができ、適当なアッセイを用いてGPR−9−6タンパク質の存在または量を評価することができる。適当なアッセイには、化学発光アッセイ、ラジオイムノアッセイ、イムノブロット(例えば、ウエスタンブロット)および免疫組織学を含む、フローサイトメトリー(例えば、FACS解析)および固相酵素免疫測定法(ELISA)などの免疫学的方法および免疫化学的方法が含まれる。一般的に、試料と本発明の抗体とを抗体−GPR−9−6複合体の形成に適する条件下で合わせ、抗体−レセプター複合体の形成を(直接または間接的に)評価する。
【0095】
個体から得た試料(例えば、組織サンプル)中におけるGPR−9−6反応性レベルの増加の存在は、炎症、および/または、炎症性腸疾患、同種移植拒絶、遅延型過敏症反応またはウイルスもしくは細菌感染などの感染などの、炎症性の疾患または症状に関連する白血球(例えば、活性化T細胞)の浸潤および/または蓄積を示しうる。また、循環(例えば、循環しているリンパ球の表面上)におけるGPR−9−6反応性レベルの低下の存在は、炎症部位での白血球の浸潤および/または蓄積を示しうる。哺乳類GPR−9−6タンパク質または変種の発現レベルはまた、哺乳類GPR−9−6タンパク質の発現の増加または低下を、特定の疾患または症状と相関させるため、および哺乳類GPR−9−6タンパク質の発現の増加または低下(例えば、正常個体における発現レベルなどの適当な対照に対する増加または減少)が生じる疾患または症状の診断において使用することができる。同様に、被験体由来の試料におけるGPR−9−6免疫反応性を評価することにより治療の経過をモニターすることができる。例えば、本発明の抗体を用いて、抗炎症剤または免疫抑制剤で治療中の被験体由来の試料(例えば、血液、組織)中におけるGPR−9−6発現細胞の数をモニターすることができる。
【0096】
TECKに結合する抗体を用いてTECKの発現を検出または測定することができる。例えば、本発明の抗体を用いて生物学的試料(例えば、血液、血清、白血球(例えば、活性化Tリンパ球)、気管支肺胞洗浄液、唾液、腸液などの個体由来の細胞または体液)中の哺乳類TECKを検出または測定することができる。例えば、試料(例えば、血清)を個体から得ることができ、適当なアッセイを用いてTECKタンパク質の存在または量を評価することができる。適当なアッセイには、化学発光アッセイ、ラジオイムノアッセイ、イムノブロット(例えば、ウエスタンブロット)および免疫組織学を含む、フローサイトメトリー(例えば、細胞内染色を含むFACS解析)および固相酵素免疫測定法(ELISA)などの免疫学的方法および免疫化学的方法が含まれる。(分泌されたタンパク質を検出するための細胞の細胞内染色に関しては、例えば、Kallas, E.G.ら、J. Infect. Dis., 179:1124-1131 (1999)を参照のこと。)一般的に、試料と本発明の抗体とを抗体−TECK複合体の形成に適する条件下で合わせ、抗体−TECK複合体の形成を(直接または間接的に)評価する。
【0097】
個体から得た試料(例えば、体液サンプル)中におけるTECK反応性レベルの増加の存在は、炎症、および/または、炎症性腸疾患、同種移植拒絶、遅延型過敏症反応またはウイルスもしくは細菌感染などの感染などの、炎症性の疾患または症状に関連する白血球(例えば、活性化T細胞)の浸潤および/または蓄積を示しうる。TECKタンパク質または変種の発現レベルはまた、哺乳類TECKタンパク質の発現の増加または低下を、特定の疾患または症状と相関させるため、および哺乳類TECKタンパク質の発現の増加または低下(例えば、正常個体における発現レベルなどの適当な対照に対する増加または減少)が生じる疾患または症状の診断において使用することができる。同様に、被験体由来の試料におけるTECK免疫反応性を評価することにより治療の経過をモニターすることができる。例えば、本発明の抗体を用いて、抗炎症剤または免疫抑制剤で治療中の被験体由来の試料(例えば、血液)中におけるTECKの量をモニターすることができる。
【0098】
生物学的試料における哺乳類GPR−9−6タンパク質または哺乳類TECKタンパク質の存在の検出に使用するためのキットもまた調製することができる。かかるキットは、標的タンパク質(すなわち、哺乳類GPR−9−6レセプターまたは該レセプターの一部、哺乳類TECKタンパク質またはその一部)に結合する抗体またはその機能的フラグメント、ならびに抗体またはフラグメントと標的との複合体の存在を検出するのに適した1種またはそれ以上の補助試薬を含みうる。本発明の抗体組成物は、単独または他のエピトープに特異的なさらなる抗体との組み合わせのいずれかで、凍結乾燥した形態で提供されうる。抗体は、標識されていても標識されていなくてもよく、キット内に添加剤(例えば、Tris、リン酸塩および炭酸塩などのバッファー、安定剤、賦形剤、殺生物剤および/または不活性タンパク質、例えば、ウシ血清アルブミン)とともに含まれうる。例えば、該抗体は、添加剤との凍結乾燥混合物として提供することができ、ユーザーが合わせるために添加剤を別個に提供することもできる。一般に、これらの添加剤物質は、活性な抗体の量に対して約5重量%未満で存在し、通常、抗体濃度に対して総量が少なくとも約0.001重量%で存在する。標的タンパク質(例えば、二次抗GPR−9−6抗体または二次抗TECK抗体)に結合することができる二次抗体を用いる場合、かかる抗体を、例えば独立したバイラルまたは容器などのキット内に提供することができる。二次抗体は、存在する場合は、典型的には標識されており、上述の抗体配合物と同様にして配合される。キットの構成要素(例えば、抗GPR−9−6抗体またはその抗原結合性フラグメント、補助試薬)は、適当な収容手段(例えば、ビン、箱、袋(envelope)、チューブ)内に独立して、または一緒にパッケージされうる。キットが複数の個々にパッケージされた構成要素を含む場合、個々のパッケージは、1つの大きな収容手段(例えば、ビン、箱、袋、チューブ)内に収容されうる。
【0099】
同様に、本発明はまた、細胞による哺乳類GPR−9−6レセプターまたは該レセプターの一部の発現を検出および/または定量する方法に関し、ここでは、細胞またはその画分(例えば、膜画分)を含有する組成物を、哺乳類GPR−9−6(CCR9)または該レセプターの一部に結合する抗体またはその機能的フラグメント(例えば、mAb 3C3、mAb GPR96−1)と、抗体またはそのフラグメントとの結合に適切な条件下で接触させ、結合をモニターする。抗体と哺乳類GPR−9−6(CCR9)またはその一部との複合体の形成を示すものである抗体の検出は、該レセプターの存在を示す。抗体の細胞への結合は、任意の適当な方法を用いて測定することができる。該方法を用いて(例えば、血液、唾液などの体液などの試料または他の適当な試料中の)被験体由来の細胞上でのGPR−9−6の発現を検出することができる。細胞(例えば、白血球)の表面上でのGPR−9−6の発現レベルもまた、例えば、フローサイトメトリーにより測定することができ、発現のレベル(例えば、染色強度)を疾患の罹患率、進行またはリスクと相関させることができる。
【0100】
治療方法
哺乳類GPR−9−6タンパク質に特徴的な少なくとも1の機能の阻害または促進により、本発明による哺乳類GPR−9−6機能の調節は、レセプター媒介性機能の阻害または促進の有効かつ選択的な方法を提供する。いったんリンパ球がある部位で漸増すると、単球などの他の白血球細胞型は、二次シグナルにより漸増されうる。したがって、リガンド、インヒビターおよび/またはプロモーターを含む、本明細書に記載のようにして同定されるものなどの、GPR−9−6機能を調節しうる薬剤を用いて白血球機能(例えば、漸増および/または蓄積を含む白血球浸潤)を調節することができる。
【0101】
一局面において、本発明は、哺乳類GPR−9−6機能を阻害または促進する薬剤の有効量をかかる治療を必要とする被験体に投与する工程を含む、被験体における炎症性応答を調節(阻害または促進)する方法を提供する。一態様では、哺乳類GPR−9−6タンパク質(例えば、ヒトGPR−9−6)の1またはそれ以上の機能を阻害する薬剤の有効量は、炎症を阻害(すなわち、低減または抑制)するために被験体に投与される。被験体における炎症性応答を調節するための好ましい薬剤は、リガンド(例えば、TECK)のGPR−9−6(CCR9)への結合を阻害(すなわち、低減または抑制)する薬剤である。例えば、mAb 3C3、mAb GPR96−1、mAb 11.3.1およびmAb 16.3.1を含む本発明の抗体を該方法において使用することができる。その結果、白血球遊出、化学走性、(例えば、酵素の)エキソサイトーシスまたは炎症媒介因子の放出などの1またはそれ以上の炎症過程が阻害される。例えば、炎症部位(例えば、炎症した粘膜(例えば、大腸、小腸))の白血球浸潤は、本発明の方法により阻害することができる。別の態様では、哺乳類GPR−9−6タンパク質(例えば、ヒトGPR−9−6)の1またはそれ以上の機能を阻害する薬剤の有効量は、GPR−9−6媒介性の白血球のホーミングを阻害(すなわち、低減または抑制)するために被験体に投与される。特定の態様では、ヒトGPR−9−6(ヒトCCR9)に結合する薬剤の有効量および/またはヒトTECKに結合する薬剤の有効量が、かかる治療を必要とする被験体に投与される。
【0102】
したがって、本発明は、GPR−9−6機能のアンタゴニストの有効量を投与する工程を含む、炎症性疾患を有する被験体を治療する方法に関する。特定の態様では、被験体は、クローン病または大腸炎などの炎症性腸疾患を有する。治療には、治療的処置または予防的処置が含まれる。該方法によれば、治療は、完全にまたはある程度、疾患を予防または疾患の重篤度を低減しうる。
【0103】
本発明はまた、GPR−9−6機能のアンタゴニストの有効量を投与する工程を含む、被験体においてGPR−9−6媒介性の白血球のホーミングを阻害する方法に関し、例えば、白血球の粘膜部位へのホーミングが阻害されうる。循環している白血球の臓器または組織(例えば、腸)への移動および/または臓器または組織内での白血球の局所漸増(例えば、IEL、LPL)が、該方法により阻害されうる。
【0104】
哺乳類GPR−9−6タンパク質(例えば、ヒトGPR−9−6)の1またはそれ以上の機能を促進する薬剤(例えば、レセプターアゴニスト)は、所望の部位での細胞の漸増を誘導(誘発または増強)するため、または白血球遊出、化学走性、(例えば、酵素の)エキソサイトーシスまたは炎症媒介因子の放出などの炎症性応答を誘導するために投与することができ、炎症過程の有益な刺激となる。例えば、T細胞は、ウイルス、細菌またはカビの感染を撲滅するために漸増されうる。したがって、本発明は、GPR−9−6機能のプロモーター(例えば、アゴニスト)の有効量を投与する工程を含む、被験体におけるGPR−9−6媒介性の白血球のホーミングを促進する方法に関する。
【0105】
別の局面において、本発明は、癌(例えば、急性または慢性白血病(例えば、急性T細胞リンパ芽球性白血病、急性B細胞リンパ芽球性白血病、慢性T細胞リンパ芽球性白血病、慢性B細胞リンパ芽球性白血病)、リンパ腫(例えば、ホジキン病、T細胞リンパ腫)、癌腫(例えば、胸部(例えば、腺管癌、小葉癌)、卵巣、精巣、前立腺、偏平上皮細胞、基底細胞)、黒色腫、骨髄腫、腺腫)を有する被験体を治療する方法である。治療には、治療的処置または予防的処置が含まれる。該方法によれば、治療は、完全にまたはある程度、疾患を予防または疾患の重篤度を低減しうる。例えば、該方法は、腫瘍の形成、腫瘍の増殖および/または転移(例えば、腸または胸腺の白血球細胞の浸潤)を阻害するのに使用することができる。
【0106】
一態様では、癌を有する被験体を治療する方法は、GPR−9−6機能のアンタゴニストの有効量(すなわち、1種またはそれ以上)を、かかる治療を必要とする被験体に投与する工程を含む。別の態様では、癌を有する被験体を治療する方法は、GPR−9−6に結合する抗体の有効量を、かかる治療を必要とする被験体に投与する工程を含む。GPR−9−6に結合する抗体は、GPR−9−6アンタゴニスト(例えば、リガンド(例えば、TECK)のGPR−9−6への結合を阻害し、それによりGPR−9−6媒介性のシグナル伝達を阻害する)でありえ、および/または直接もしくは間接的に細胞死を誘導しうる。例えば、GPR−9−6に結合するIgGまたはIgMは、急性T細胞リンパ芽球性白血病を有する被験体に投与されうる。白血病細胞により発現されたGPR−9−6に結合すると、IgGまたはIgMは、補体を活性化して細胞の溶解を誘導しうる。直接または間接的に細胞傷害性剤(抗体結合性融合タンパク質、免疫複合体)に結合する抗体はまた、GPR−9−6を発現する細胞を選択的に枯渇させるために投与されうる。
【0107】
好ましい態様では、本発明は、GPR−9−6機能のアンタゴニストおよび/またはGPR−9−6に結合する抗体の有効量(すなわち、1種またはそれ以上)を、かかる治療を必要とする被験体に投与する工程を含む、白血病(例えば、急性リンパ芽球性白血病(例えば、急性T細胞リンパ芽球性白血病、急性B細胞リンパ芽球性白血病)、慢性リンパ芽球性白血病、例えば、慢性T細胞リンパ芽球性白血病、慢性B細胞リンパ芽球性白血病))を有する被験体を治療する方法である。
【0108】
「被験体」という用語は、限定されないが、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ラット、マウスまたは他のウシ亜科、ヒツジ様、ウマ科、イヌ科、ネコ科、齧歯類もしくはネズミ科の種を含む哺乳類などの動物を含むことを本明細書において定義する。炎症および/または感染に関連する疾患および症状は、本明細書に記載の方法を用いて治療しうる。好ましい態様では、該疾患または症状は、リンパ球、特に粘膜組織にホーミングするリンパ球の作用が、治療目的(予防目的を含む)のために阻害または促進されるものである。特に好ましい態様では、炎症性の疾患または症状は、T細胞媒介性の疾患または症状である。
【0109】
本発明の方法により治療されうる粘膜組織に関連する炎症性疾患の例には、乳房炎(乳腺)、膣炎、胆嚢炎、胆管炎または胆管周囲炎(胆管および肝臓の周辺組織)、慢性気管支炎、慢性副鼻腔炎、喘息および(例えば、消化管内の)対宿主性移植片病が含まれる。クローン病に見られるように、炎症は、しばしば粘膜表面からさらに広がり、したがって、間質性肺疾患(ILD)(例えば、特発性肺線維症もしくは慢性関節リウマチに関連するILDまたは他の自己免疫症状)、過敏性肺炎、膠原病、サルコイドーシス、および他の特発性症状などの間質性線維症に至る肺の慢性炎症性疾患は、治療しやすくなりうる。膵炎およびインスリン依存性糖尿病は、本発明の方法を用いて治療しうる他の疾患である。
【0110】
特に好ましい態様では、このようにして治療しうる疾患に、潰瘍性大腸炎、クローン病、回腸炎、セリアック病、非熱帯性スプルー、腸炎、セロネガティブ関節症に関連する腸症、微視的(microscopic)大腸炎もしくはコラーゲン蓄積大腸炎、好酸球性胃腸炎、または直腸結腸切除術および回腸吻合術(ileoanal anastomosis)後に生じる回腸嚢炎などの炎症性腸疾患(IBL)が含まれる。
【0111】
GPR−9−6機能のインヒビターで治療しうるヒトまたは他の種の慢性疾患を含むさらなる疾患または症状には、限定されないが、
・全身アナフィラキシーまたは過敏症反応、(例えば、ペニシリン、セファロスポリンなどに対する)薬物アレルギー、虫刺されによるアレルギー;乾癬、および皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎、じんま疹などの炎症性皮膚病;脈管炎(例えば、壊死性、皮膚性および過敏性脈管炎);脊椎性関節症(spondyloarthropathy);強皮症;喘息、アレルギー性鼻炎などの呼吸器系アレルギー性疾患を含む炎症性またはアレルギー性の疾患および症状;
・関節炎(例えば、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎)、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、若年発症糖尿病、糸球体腎炎およびその他の腎炎、自己免疫甲状腺炎、ベーチェット病などの自己免疫疾患;
・同種移植片拒絶または対宿主性移植片病を含む(例えば、移植術における)移植片拒絶;
・限定されないが、アテローム性動脈硬化、再狭窄、筋炎(多発性筋炎、皮膚筋炎を含む)を含む、阻害されうる望ましくない炎症性応答が治療されうる他の疾患または症状;
・癌、特に、皮膚T細胞リンパ腫(例えば、菌状息肉腫)などの皮膚または臓器の白血球浸潤を伴うもの;
が含まれる。
【0112】
GPR−9−6機能のプロモーター(例えば、アゴニスト)で治療しうるヒトまたは他の種の疾患または症状には、限定されないが、
・新生物形成性疾患、網膜症(例えば、糖尿病網膜症)および黄斑変性を含む、血管新生または新生脈管形成がある役割を果たす疾患;
・細菌感染およびらい病ならびに特にウイルス感染などの感染性疾患;
・AIDSなどの免疫不全症候群を有する個体、放射線治療、化学療法または免疫抑制を起こす他の治療を受けている個体などにおける免疫抑制;レセプター機能の認識不全または他の原因による免疫抑制
が含まれる。
【0113】
投与形態
該方法によれば、1種またはそれ以上の薬剤を適切な経路により、単独で、または別の薬物と組み合わせて被験体に投与することができる。薬剤(例えば、リガンド結合を阻害する分子、抗GPR−9−6抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗TECK抗体またはその抗原結合性フラグメント)の有効量が投与される。有効量は、GPR−9−6レセプター機能の阻害または促進に充分であり、それにより、GPR−9−6媒介過程(例えば、炎症性応答)がそれぞれ阻害または促進される量などの、投与条件下で所望の治療効果または予防効果を達成するのに充分な量である。薬剤は、単回投与または反復投与で行われ得る。用量は、当該技術分野で公知の方法により決定され得、例えば、選ばれる具体的な薬剤、被験体の年齢、薬物に対する過敏性および耐性および全身の健康状態(overall well-being)に依存する。抗体の適切な用量は、1回の治療につき、約0.01mg/体重kg〜約100mg/体重kgである。例えば、経口、治療食、局所、経皮、直腸、非経口(例えば、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、鞘内、皮内での注射)および吸入(例えば、気管支内、鼻腔内または経口の吸入、点鼻)の投与経路を含むさまざまな投与経路を、薬剤および治療する疾患または症状に応じて用いることができる。投与は、指示通り、局所または全身に行いうる。好ましい投与形態は、選択した具体的な薬剤(例えば、GPR−9−6アンタゴニスト、抗TECK抗体)および治療している具体的な症状(例えば、疾患)に応じて変わりうるが、経口または非経口投与が一般的に好ましい。
【0114】
該薬剤は、中性化合物として、または塩として投与することができる。アミンまたは他の塩基性基を含有する化合物の塩は、例えば、該化合物を塩化水素、臭化水素、酢酸、過塩素酸などの適当な有機酸または無機酸と反応させることにより得ることができる。第四級アンモニウム基を有する化合物もまた、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、過塩素酸塩などの対陰イオンを含む。カルボン酸または他の酸性官能基を含有する化合物の塩は、適切な塩基、例えば、水酸化物塩基と反応させることにより調製することができる。酸性官能基の塩は、ナトリウム、カリウムなどの対陽イオンを含む。
【0115】
薬剤(例えば、TECKのGPR−9−6(CCR9)への結合を阻害する薬剤)は、医薬組成物または生理学的組成物の一部として個体に投与されうる。例えば、薬剤は、GPR−9−6機能のインヒビターまたはプロモーターと薬学的に許容され得る担体とを含有するGPR−9−6機能の調節のための医薬組成物の一部として個体に投与されうる。配合は、選択した投与経路(例えば、溶液、乳液、カプセル)に応じて変わる。適切な医薬用担体または生理学的担体は、GPR−9−6機能のプロモーター(アゴニスト)またはインヒビター(アンタゴニスト)と相互作用しない不活性な成分を含み得る。Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, PAに記載されているものなどの標準的な製薬配合技術を用いることができる。非経口投与に適する医薬用担体には、例えば、滅菌水、生理食塩水、静菌性生理食塩水(約0.9%mg/mlのベンジルアルコールを含む生理食塩水)、リン酸緩衝生理食塩水、ハンクス液、乳酸加リンゲル液などが含まれる。組成物をカプセル化する方法(硬質ゼラチンまたはシクロデキストランの被覆内など)は、当該技術分野において公知である(Baker ら、"Controlled Release of Biological Active Agents", John Wiley and Sons, 1986)。吸入のためには、薬剤を可溶化し、投与のための適切なディスペンサー(例えば、アトマイザー、噴霧器または圧力式エーロゾルディスペンサー)内に充填することができる。
【0116】
さらに、薬剤がタンパク質またはペプチドである場合、該薬剤は、組換えタンパク質のインビボ発現により投与されうる。インビボ発現は、適切な方法に従って体細胞発現により行われる(例えば、米国特許第5,399,346号明細書参照のこと)。この態様では、該タンパク質をコードする核酸を、レトロウイルス、アデノウイルスまたは送達のための他の適切なベクター(好ましくは、複製能欠損感染性ベクター)に組み込むことができ、または送達のために該タンパク質を発現する能力を有するトランスフェクトされた宿主細胞または形質転換された宿主細胞に導入することができる。後者の態様では、該タンパク質を治療有効量で発現させるのに効果的な量で細胞を(単独で、または隔離(barrier)デバイスにて)移植、注入またはその他の方法で導入することができる。
【0117】
本発明を以下の実施例により説明するが、何ら限定することを意図しない。
【実施例】
【0118】
実施例1
細胞集団の精製
ヒト末梢血を10%(v/v)0.1M EDTA中に採取し、1-Step Polymorphs グラジエント(1.113±0.01g/ml、Accurate Chemical Co., Westbury, NY)上に重層し、400×gで30分間室温で遠心分離した。好中球層および単核細胞層を回収し、カルシウムおよびマグネシウムを含まないダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)(Life Technologies, Grand Island, NY)中に再懸濁し、約750×gで15分間遠心分離した。赤血球は、ペレットをE−Lyse(5ml/107細胞)(Cardinal Associates, Santa Fe, NM)に5分間氷上で再懸濁することにより好中球画分中に溶解した。両方の細胞画分を氷冷DPBSで2回洗浄した。単核細胞を、タンパク質でコーティングしたプラスティックに2〜3時間接着させた後、非接着性細胞を静かにプレートから洗い流した。さらに12時間後、非接着性樹状細胞をプレートから洗い流し、抗CD19および抗CD2でコーティングした磁気ビーズ(Dynabeads; Dynal, Oslo, Norway)(細胞あたり5ビーズ)でBリンパ球およびTリンパ球を枯渇させた。50ng/ml顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF、R and D Systems, Minneapolis, MN)および40ng/ml IL−4(R and D Systems)ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Gibco BRL, Grand Island, NY)10%ウシ胎仔血清(FCS、HyClone, Logan, UT)に加えて添加物:ペニシリン50U/ml、ストレプトマイシン50μg/ml、L−グルタミン2mM、HEPES 10mM、MEMピルビン酸ナトリウム10mM、MEM非必須アミノ酸0.1mMおよび2−メルカプトエタノール5.5×10-5M(すべてGibco BRL, Grand Island, NY製)中で残った細胞を7日間培養し(Sallusto, F.および Lanzabecchia, A.,J. Exp. Med., 179:1109-1118(1994))、未熟樹状細胞(IMDC)を生じさせ、場合によっては、さらに24時間10ng/ml LPS中で培養したものを用いて該樹状細胞を成熟させた。関連するMiltenyi Beads(Millenyi Biotek, Bergisch Gladbach, Germany)により、107単核細胞につき20μlのビーズを用い、PBS/1%BSA/5mM EDTA中、5×107細胞/mlで30分間4℃で、CD4+、CD8+、CD14+、CD56+およびCD19+集団を単核細胞から精製した。次いで、それらをスピンダウンし、PBS/1%BSA/5mM EDTA中に5×107細胞/mlで再懸濁し、磁場内のVSカラム(Miltenyi Biotech, Auburn, CA 95603)に通して非標識細胞を除去した。磁場外で20mlのPBS/1%BSA/5mM EDTAをVSカラムに通すことにより、細胞を取り出した。
【0119】
抗体および試薬
CD4、CD8、CD14、CD19、CD49d、CD56、CD62L、CLA、CD45RA、CD45RO、CXCR5、CD80およびCD86に結合する標識抗体をPharmingen (San Diego, CA)から入手して免疫蛍光試験に使用し、一方、抗αEおよび抗CD83はBeckman Coulter (Fullerton, CA)から入手した。OKT3、抗ヒトCD3 mAbはAmerican Type Culture Collection (ATCC,Manassas, VA)から入手し、抗ヒトCD28 mAbはBecton Dickinson (Mountain View, CA)から入手した。抗ケモカインレセプターmAbのいくつかはLeukoSite, Inc.(Cambridge, MA)で作製し、クローン名を抗CCR3(7B11)、抗CCR4(2B10)、抗CCR6(11A9)および抗CXCR3(1C6)と命名する。FACS解析で使用した数種類の抗ケモカインレセプターmAbは市販の供給源から入手した。免疫蛍光試験に使用した抗CCR2、抗CCR6および抗CXCR5 mAbはR and D Systems(Minneapolis, MN)から入手したが、抗CCR5および抗CXCR4はPharmingen (San Diego, CA )から入手した。組換えヒトケモカインは、Peprotech (Rocky Hill, NJ)および R&D Systems(Minneapolis, MN)から入手し、場合によっては、記載のように(Clark-Lewis, I. ら、Biochemistry, 30:3128-3135(1991))、最適化し、かつ完全自動ペプチド合成装置(430A型;Applied Biosystems, Foster City, CA )に適合させた固相法を用いて合成した。ヒト内皮細胞株ECV304をATCCから購入した。すべてのサイトカインは、R&D Systems (Minneapolis, MN)から入手した。
【0120】
抗GPR−9−6 mAbの作製
配列MADDYGSESTSSMEDYVNFNFTDFYC(配列番号:3)を有する、GPR−9−6のNH2末端からなるペプチドを作製した。1日目に、完全フロイントアジュバント(FCA、Sigma, St. Louis, MO)中で調製したGPR−9−6ペプチド/KLHコンジュゲート10μgで、20日目に、不完全フロイントアジュバント(IFA、Sigma, St. Louis, MO)中で調製したGPR−9−6ペプチド/KLHコンジュゲート10μgで、そして40日目に、PBS中で調製したGPR−9−6ペプチド/KLHコンジュゲート10μgでBALB/Cマウスをi.p.免疫した。60日目、PBS中GPR−9−6ペプチド/KLH10μgでマウスを追加免疫し、4日後、脾臓を取り出し、SP2/0骨髄腫細胞(ATCC)と融合させた(Coligan ら、 Current Protocols in Immunology 2.5.1 (1992))。GPR−9−6ペプチドでコーティングしたプレートを用い、融合細胞をELISAによりスクリーニングした。抗GPR−9−6mAbを産生するハイブリドーマをGPR−9−6トランスフェクタントとの反応性について調べ、さらなる特性評価のためにサブクローニングした。ハイブリドーマLS129−3C3−E3−1とも称するマウスハイブリドーマ3C3は、FCS(10%)、IL−6(100ng/ml)、ペニシリン(50U/ml)、ストレプトマイシン(50μl/ml)、L−グルタミン(2mM)、HEPES(10mM)、MEMピルビン酸ナトリウム(10mM)、MEM非必須アミノ酸(0.1mM)および2−メルカプトエタノール(5.5×10-5M)を加えたDMEM中、37℃、5%CO2雰囲気で培養することができる。
【0121】
慢性的に活性化したTH1およびTH2リンパ球の調製
先に記載したように(Murphy, E.ら、J. Exp. Med.,183:901-913(1997))、6穴Falconプレートを10μg/mlの抗CD28および2μg/mlのOKT3で一晩コーティングした後、PBSで2回洗浄した。臍帯血CD4+リンパ球(Poietic Systems, German Town, MD)を105〜106細胞/mlで、10%FCSおよびIL−2(4ng/ml)を加えたDMEM中で培養した。IL−12(5ng/ml)および抗IL−4(1μg/ml)をTH1に対して使用し、IL−4(5ng/ml)および抗IFNγ(1μg/ml)をTH2に対して使用した。4〜5日後、活性化したTH1およびTH2リンパ球をDMEM中で1回洗浄し、10%FCSおよびIL−2(1ng/ml)を加えたDMEM中で4〜7日間培養した。この後、活性化したTH1およびTH2リンパ球を、アポトーシスを阻害するための抗CD95L(1μg/ml)を添加した以外は上述のようにして抗CD28/OKT3およびサイトカインで5日間再度刺激した。4〜5日後、TH1およびTH2リンパ球を洗浄し、次いで、IL−2とともに再度4日間培養した。活性化したTH1およびTH2リンパ球をこのようにして最高3回維持した。
【0122】
ECV304遊出および化学走性アッセイ
3μm孔径Transwell組織培養インサート(insert)を、コーティングせずに、または2%ゼラチンで2時間コーティングして用いた。次いで、5%FCSを加えた0.45mlのDMEMをチャンバの下側ウェルに入れ、2×105EVC304細胞を、0.2mlのDMEM5%FCS中の各ゼラチンコーティングインサートに加えた。2日後、ウェルおよびインサートを、0.5%HSA(ヒト血清アルブミン)、10mM HEPESを含有するRPMI−1640(Gibco BRL, Grand Island, NY)で2回洗浄し、次いで、ケモカインを下側ウェルに加えた。研究対象の細胞をRPMI中で1回洗浄し、TH1/TH2リンパ球、細胞株およびトランスフェクタントは4×106細胞/mlで、または休止CD4リンパ球は107細胞/mlで、RPMI0.5%HSAおよび10mM HEPES中に再懸濁した。細胞懸濁液の200μlアリコート(投入量は、それぞれ8×105細胞および2×106細胞)を各インサートに加えた。2〜4時間後、インサートを取り出し、ゲートを目的の細胞を獲得するために設定したBecton Dickinson FACScanで30秒間、ECV304単層を通って下側ウェルに移動した細胞の数を計測した。この技術を用いると、100%移動は、TH1/TH2細胞では25000細胞、休止CD4リンパ球では75000細胞であると考えられ、ここで、この数は、1分間にわたってFACScanで計測した下側ウェル内の細胞を表す。移動する細胞の表現型を研究するため、24mm径インサートを使用し、6ウェルプレートでCD4リンパ球を用いて同一の実験を行った。化学走性アッセイは、フィブロネクチンでコーティングしたインサート(10μg/ml)を用いたこと以外はECV304移動アッセイと同一であった。すべての場合において、データポイントは、2つ組の(duplicate)ウェルの結果であり、平均値を示し、エラーバーはサンプルの標準偏差を示す。
【0123】
Ca2+動員(Ca2+フラックス)アッセイ
DPBS中107細胞/mlをFura2色素(Molecular Probes, Eugene, OR)により2mMで30分間標識し、DPBS中で3回洗浄し、1mM CaCl2、0.5mM MgCl2、10mM HEPESおよび5.5mMグルコースを含有するDPBS中に106細胞/mlで再懸濁した。次いで、10%NP−40および10mM EDTAを用い、細胞を蛍光光度計(日立、F2000型蛍光分光光度計、励起340nm、発光510nm)で解析して最大および最低Ca2+動員を確立した。
【0124】
組換えDNA法
QIAGENチップを用い、製造業者(QIAGEN Inc., Chatsworth, CA)が推奨するとおりにプラスミドDNAを単離した。DNAのライゲーション、制限エンドヌクレアーゼ消化およびゲル電気泳動を前述のようにして行った(Sambrook, J.ら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, (Cold Spring Harbor, NY)(1989) )。アガロースゲル抽出によるDNA精製を、QIAEXII Gel Extraction Kitを用い、製造業者(QIAGEN Inc., Chatsworth, CA )が推奨するとおりに行った。プラスミドDNAを化学的形質転換(GIBCO, Inc.)により大腸菌に導入した。酵素をNew England Biolabs, Inc. (Beverly, MA)、GIBCO Bethesda Research Laboratories, Inc. (Gaitherburg, MD)または Boehringer Mannheim, Inc.(ドイツ)から購入した。RNAは、標準的なイソチオシアン酸グアニジン法(Sambrook, J.ら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, (Cold Spring Harbor, NY)(1989))または推奨されるようなRNeasyキット(QIAGEN Inc., Chatsworth, CA)のいずれかを用い、凍結された組織または細胞から単離した。DNAシークエンシングは、FS DyeDeoxy Terminatorサイクルシークエンシングキットおよび377型DNAシークエンサー(Perkin Elmer Applied Biosystems, Foster City, CA)を用い、Sequi−Net(Colorado State University )により行った。配列は、SeqMan(DNASTAR, Inc., Madison WI)を用いて解析した。
【0125】
PCR
GenBankに寄託されたヌクレオチド配列(U45982)(配列番号:1)(これは参照により本明細書に取り込まれる)に基づいて、GPR−9−6の完全コード領域を増幅するためのPCRにおける使用のためのプライマーを設計した。BamHIおよびXbaI部位をプライマー対BAZ201
【0126】
【化1】

【0127】
およびBAZ202
【0128】
【化2】

【0129】
に、指向的クローニング(directional cloning)のために組み込んだ(太字:コード配列、イタリック:酵素部位)。100μl容中に、60mM Tris−HCL、pH9.5、1.5mM MgCl2、100pmolプライマー、200μM dNTPおよび5単位のPfuIポリメラーゼ(Invitrogen, Carlsbad, CA)とともにPfuPCRサイクルの鋳型として5μgの全ヒトゲノムDNA(Clontech, Palo Alto, CA)を用いた。サイクルパラメータは、DNAサーマルサイクラー(Perkin-Elmer Corp., Norwalk, CN)中で、初期融解95℃、2分、次いで35サイクル:95℃、30秒;55℃、30秒;72℃、2分15秒の後、最終伸長72℃、7分とした。
【0130】
公表されたヌクレオチド配列(寄託番号U86358)(これは参照により本明細書に取り込まれる)に基づいて、TECKの完全コード領域を増幅するためのプライマーを設計した。HindIIIおよびXbaI部位をプライマー対BAZ203
【0131】
【化3】

【0132】
およびBAZ204
【0133】
【化4】

【0134】
に、指向的クローニングのために組み込んだ(太字:コード配列、イタリック:酵素部位)。5μgのヒト胸腺RNAを、20μl容でオリゴdTを用いて逆転写した。cDNAを、50μl容中200μM dNTP、100pmolプライマー、60mM Tris−HCl、pH9.5、1.5mM MgCl2および10単位のAmpliTaqポリメラーゼ(Perkin-Elmer Roche Molecular Systmems, Branchburg, NJ )と混合した。サイクルパラメータは、初期融解95℃、2分、次いで35サイクル:95℃、30秒;55℃、30秒;72℃、1分の後、最終伸長72℃、7分とした。ヒト胸腺は、Children's Hospital (Boston, MA)から入手した。
【0135】
プライマーBAZ203(配列番号:6)およびBAZ204(配列番号:7)を用いたTECKの半定量PCR増幅、ならびにプライマーBAZ201(配列番号:4)およびBAZ202(配列番号:5)を用いたGPR−9−6の半定量PCR増幅を、胸腺、小腸、結腸、脳、リンパ節および脾臓由来cDNA(500ng)鋳型ならびに500ngのゲノムDNA(ClonTech, Palo Alto, CA)を等量で用いて行った。30サイクルで行った以外は、上述のAmpliTaq PCRサイクルと同じ条件およびPCRプロフィルを用いた。グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(G3PDH)プライマー(ClonTech, Palo Alto, CA 、カタログ番号5840−1)を用いて鋳型の等価性を示した。
【0136】
アガロースゲル電気泳動後、UV光源を用い、エチジウムブロミドの存在下でPCR産物を可視化した。推定した大きさ(TECKは約450bp、GPR−9−6は約1kb)のDNAフラグメントを単離し、配列解析およびさらなる操作のためにpBluescript II KS+(Stratagene, Inc., La Jolla, CA)およびpcDNA3(Stratagene, Inc.)のそれぞれにクローニングした。
【0137】
発現ベクターの構築およびGPR−9−6発現安定細胞株の作製
GPR−9−6のコード領域をPCRにより増幅し、pcDNA3(Invitrogen, San Diego, CA)のBamHI/XbaI部位に指向的にクローニングした。次いで、トランスフェクタントをマウス前Bリンパ腫細胞株L1.2内で作製し、10%ウシ胎仔血清(HyClone, Logan, UT)、2mM L−グルタミン、50単位/ml Pen/Strep、0.55mM β−メルカプトエタノール、10mM HEPESおよび1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco BRL)を加えたRPMI−1640中で維持した。pcDNA3中の線状化GPR−9−6を20μg用い、次のようにして該細胞株をトランスフェクトした。L1.2細胞をPBS中で2回洗浄し、同0.8ml中に再懸濁した。プラスミドDNAを該細胞と混合し、10分間、室温でインキュベートし、0.4cmエレクトロポレーションキュベットに移した。ついでシングルパルスを250V、960μFで負荷した。エレクトロポレーションの後、10分間、室温でインキュベートした。トランスフェクションの48時間後、G418(Geneticin, Gibco BRL)を加えて終濃度を0.8mg/mlとし、薬剤選別下で2〜3週間、細胞をバルク培養(bulk culture)で成長させた。次いで、トランスフェクタントを、GPR−9−6ペプチドに対する反応性を有するmAbで染色し(下記参照)、FACScan(Becton Dickinson & Co., Mountain View, CA)で解析してGPR−9−6の表面発現を確認し、限界希釈によりクローニングした。実験の前に、トランスフェクトした細胞を5mM n−酪酸で24時間処理した(Palmero, D.P. ら、J. Biotech.,19:35-47(1991))。
【0138】
ノーザンブロット解析
ノーザンブロットは、ClonTech社から購入するか、または以下のようにして調製した。全RNAを、1.2%ホルムアルデヒドアガロースゲル上での電気泳動により分離し、上述(Sambrook, J.ら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, (Cold Spring Harbor, NY)(1989))のようなキャピラリー法によりナイロン膜(Hybond-N+; Amersham Corp., Arlington Heights, IL)に移し、Stratalinker(Stratagene, Inc.)を用いて架橋した。放射標識したプローブとのハイブリダイゼーションは、ExpressHyb Solution(Clonetech )により製造業者の指示したプロトコルを用いて行った。オートラジオグラフィー暴露の長さは、対応する図の説明に記載している。完全長のゲル精製したTECKおよびGPR−9−6のDNAフラグメントをハイブリダイゼーションに用いた。
【0139】
結果
GPR−9−6に対するmAb、mAb 3C3はGPR−9−6トランスフェクタントと選択的に反応する
他の公知の白血球ケモカインレセプターとの密接な系統発生的関連性により(図1)、本発明者らは、寄託されたGenBank配列から設計したプライマーを用いてPCRによりGPR−9−6をクローニングした。GPR−9−6/L1.2トランスフェクタントを調製し、KLHに結合したGPR−9−6のNH2末端の最初の26個のアミノ酸(配列番号:3)でマウスを免疫した融合細胞内でGPR−9−6に対するmAbで染色した。mAb 3C3と命名したmAbは、GPR−9−6/L1.2トランスフェクタントと反応したが、親L1.2細胞とは反応しなかった。mAb 3C3は、IgG2bアイソタイプを有することがわかった。交差反応性試験では、mAb 3C3は、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7またはCXCR1、CXCR2、CXCR3およびCXCR4トランスフェクタントと交差反応しなかった。CCR6は、GPR−9−6とより密接に関連するケモカインレセプターの1つであることから、そのデータを本明細書に示す(図2A〜2B)。また、GPR−9−6のNH2末端ペプチド(配列番号:3)は、mAb 3C3のGPR−9−6トランスフェクタントへの結合を完全にブロックすることがわかり(データ示さず)、さらにこのmAbの特異性を検証した。
【0140】
GPR−9−6は、末梢血中のBリンパ球のすべて、CD4リンパ球のサブセットおよびCD8リンパ球の微少量(minor)サブセット、ならびに胸腺細胞上で発現される
最初の末梢血の二色試験において、GPR−9−6は、CD4リンパ球の少量サブセット(2〜4%)上、ならびにCD8リンパ球の極少量サブセット上で発現されることがわかったが(図3A〜3B)、Bリンパ球は低く不均一なレベルのGPR−9−6を発現した。単球、好塩基球、好酸球、好中球およびNK細胞は、使用した条件下でGPR−9−6を発現しなかった(図3C〜3I)。TcRhighGPR−9−6-ve胸腺細胞の少量サブセットは明白であったが、GPR−9−6は、全てのレベルのTcRを発現する胸腺細胞の大量サブセットで発現された。三色実験では、GPR−9−6は、CD4、CD8およびCD4+veCD8+ve胸腺細胞の大部分、および未成熟CD4-veCD8-ve胸腺細胞の約50%に見られた(データ示さず)。GPR−9−6の発現は、未成熟樹状細胞でも成熟樹状細胞でも認められなかった(図4D)。しかしながら、予期したとおり、未成熟樹状細胞は、LPS活性化によりダウンレギュレートされるCCR5を発現したが、CD83およびCD86はアップレギュレートされた(図4A〜4C)。大きな数の一群の(a large panel of)細胞株の検査では、GPR−9−6がいくつかのT細胞株上に見られた(表1)。臍帯CD4+リンパ球はGPR−9−6を発現せず(図4E)、TH1またはTH2リンパ球を作製するためのIL−12およびIL−4の存在下でのこれらの細胞の慢性活性化は、GPR−9−6の発現を誘導しなかった(図4H)。しかしながら、予期した通り、CXCR3は明らかにTH1リンパ球においてアップレギュレートされたが(図4F)、粘膜部位へのリンパ球輸送(trafficking)に利用されるインテグリン、α4β7は、TH1およびTH2の両方のリンパ球においてアップレギュレートされた(図4G)。
【0141】
GPR−9−6のCD4リンパ球およびBリンパ球上での発現を経時的に測定すると、比較的一定であることがわかった(図5A)。しかしながら、抗CD3 mAbでのTリンパ球の活性化により、2日間にわたってGPR−9−6の一過性ダウンレギュレーションが起こり、IL−2中での10日間の培養後に発現が回復した(図5B)。ケモカインレセプターCCR6およびCCR5は、Tリンパ球で活性化すると発現において同様の変化を示した(図5C)。
【0142】
GPR−9−6を発現するCD4リンパ球サブセットは、主に記憶表現型であり、高レベルの粘膜リンパ様ホーミングレセプターα4β7を発現するが、皮膚ホーミングレセプターCLAは発現しない
GPR−9−6を発現するCD4リンパ球の少量サブセットを、三色染色によってより詳細に調べた(図6A〜6F)。GPR−9−6を発現するCD4リンパ球は主に記憶表現型であり、最も高レベルのGPR−9−6を発現する細胞はすべて記憶表現型であった。興味深いことに、皮膚に輸送される記憶CLA+veCD4リンパ球は、GPR−9−6を発現しなかった。対照的に、粘膜部位に輸送される記憶α4β7highCD4リンパ球のサブセットは、明らかにGPR−9−6を発現した。αEβ7の発現により定義される記憶CD4リンパ球のサブセットもまた、GPR−9−6陽性サブセットとGPR−9−6陰性サブセットに明確に細分された。GPR−9−6highCD4リンパ球は、末梢リンパ節への輸送に関与するホーミングレセプターであるCD62Lを発現しなかったが、GPR−9−6dullCD62L+veリンパ球の少量サブセットは明白であった。
【0143】
また、GPR−9−6+veCD4リンパ球を、CD4リンパ球上に発現することが知られている他のケモカインレセプターとの同時発現について調べた(図7A〜7F)。GPR−9−6は、CCR5、CCR6、CXCR3およびCXCR5の陽性サブセット上および陰性サブセット上の両方で明白にみられたが、CCR2およびGPR−9−6のCD4リンパ球発現は互いに排他的であった。
【0144】
GPR−9−6ケモカインレセプターはTECKに特異的に結合する
試験したすべての公表されたケモカインのうち、TECKのみがGPR−9−6/L1.2トランスフェクタントの化学走性を誘導する能力を有することがわかった(図8A)。MCP−1−4、MIP−1α、MIP−1β、エオタキシン(eotaxin)−1、エオタキシン−2、RANTES、I−309、TARC、MDC、MIP4、SLC、HCC1、フラクタルカイン(fractalkine)、リンフォタクチン(lymphotactin)、MIG、IP−10、ITAC、ADEC、IL−8、gro−α、gro−β、gro−γ、ロイコタクチン(leukotactin)、SDF−1α、SDF−1β、MIP3およびMIP4はすべて、GPR−9−6/L1.2トランスフェクタントの化学走性を誘導しえないとわかった。L1.2/GPR−9−6トランスフェクタントのTECK誘導性化学走性は、mAb 3C3によって阻害されたが、抗CCR3 mAb 7B11には阻害されなかった(図8B)。TECKは、試験したその他のトランスフェクタント(CCR1、CCR2、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7およびCXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、データ示さず)のいずれにも作用しなかった。興味深いことに、TECKはまた、GPR−9−6を発現するT細胞株MOLT−4(図8D)およびMOLT−13(図8F)に作用することがわかった(表1)。TECKは、GPR−9−6を発現しないSKW3(図8E)などの他の細胞株に関しては化学走性ではなかった。T細胞株MOLT−4を用いると、TECK誘導性化学走性は、百日咳毒素により阻害されることが示された(図8C)。さらに、抗GPR−9−6mAb 3C3は、MOLT−13細胞のTECKへの化学走性をブロックしたが、該細胞のSDF1α誘導性化学走性に対する影響はなかった(図8F)。カルシウム動員実験では、TECKはまた、MOLT−4などのGPR−9−6+ve細胞株におけるCa2+フラックスを誘導することがわかったが(図9A〜9C)、該細胞が関連レセプターを発現しないMDCなどのケモカインは効果がなかった。
【0145】
【表1】

【0146】
また、TECKに対して化学走性を示す(chemotax)か否かを調べるため、白血球サブセットを試験した(図10A〜10F)。マウスにおいて観察されるように、好中球、単球、好酸球、CD8およびNK細胞はTECKに対する化学走性を示さなかったが、他のケモカインに対しては化学走性を示した。しかしながら、TECKは、CD4リンパ球の微少量サブセットに対して化学走性を示した。マウスTECKは胸腺細胞化学走性を誘導することから、ともに胸腺細胞化学走性を媒介する(データ示さず)TECKおよびSDF1αに対するヒト胸腺細胞の化学走性を調べた。抗GPR−9−6mAb 3C3は、胸腺細胞およびCD4リンパ球のTECKに対する化学走性をブロックした。抗GPR−9−6mAb 3C3は、CD4リンパ球のTARC誘導性化学走性に対して効果はなく、これは、効果が特異的であることを示す(図11A〜11C)。これらの結果は、GPR−9−6がTECKの主な生理的レセプターであることを示す。
【0147】
TECK転写物およびGPR−9−6転写物の組織分布
GPR−9−6の粘膜ホーミングリンパ球上での発現により、リンパ様組織および粘膜組織におけるTECK転写物およびGPR−9−6転写物の分布を調べた(図12A〜12B)。TECKは胸腺および小腸で選択的に発現されたが(図12A)、GPR−9−6は、胸腺は高レベルで発現され、脾臓および末梢血白血球での発現は弱かった(図12B)。GPR−9−6転写物は、小腸におけるノーザンブロット解析では検出されなかったが、GPR−9−6メッセージは、より感度の高いRT−PCR技術を用いて小腸、胸腺、リンパ節および脾臓で検出された(図12C)。TECKおよびGPR−9−6の両方のメッセージは、脳でも結腸でも検出されなかった。他のノーザンブロットでは、TECKおよびGPR−9−6は、TH1、TH2、Tr1(Grouxら、Nature 389:737-742(1997))リンパ球、LAK細胞、単球、CD34由来樹状細胞、単球由来樹状細胞、星状細胞、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)および肺静脈内皮細胞(PUVEC)では検出されなかった(データ示さず)。最終的に、GPR−9−6転写物は、mAb 3C3で染色し、該mAbの特異性をさらに検証することにより、先にGPR−9−6+であることが示された細胞株にのみ存在することが示された(図12B)。
【0148】
α4β7highCD4およびCD8リンパ球のみがTECKへと遊走する
GPR−9−6が主に記憶α4β7highCD4リンパ球で発現されることから、α4β7を発現しないか、中レベルまたは高レベルのα4β7を発現するCD45RA-ve記憶CD4およびCD8リンパ球を単離した。α4β7high記憶CD8リンパ球およびα4β7+veCLA-ve記憶CD4リンパ球のみがTECKに対して化学走性を示した(図13A〜13B)。
【0149】
考察
数種の異なる接着分子が、末梢リンパ節などの別の生理的位置(Gallitin, W.M.ら、Nature, 304:30-34(1983))、Peyers Patches (Hamman, A.ら、J. Immunol., 152:3282-3292(1994); Andrew, D.P.ら、Eur. J. Immunol., 26:897-905(1996))および炎症部位(Frenette, P.S.ら、Cell, 84:563-574(1996); Tietz, W.Y. ら、J. Immunol., 161(2):963-970(1998); Picker, L.J.ら、J. Immunol., 145:3247-3255(1990))へのリンパ球サブセットの輸送に関与している。これらのリンパ球サブセットで発現される特異的ケモカインレセプターは、白血球の活性化、停止(arrest)および経内皮(transendothelial)移動を媒介する領域で発現されるケモカインと相互作用しうると考えられる。したがって、ある種の接着分子の発現により規定されるCD4サブセットはまた、これらの部位へのリンパ球の輸送に重要な公知のオーファンケモカインレセプターまたはまだ発見されていないケモカインレセプターを発現しうる。本明細書に記載した研究は、粘膜部位への記憶CD4およびCD8リンパ球サブセットの選択的輸送に関与しうる、かかるケモカインレセプターの一種に関連する。
【0150】
GPR−9−6は、もともと、CCR6およびCCR7を含む他の公知のケモカインレセプターとの強い系統発生学的関連性により、興味をひく可能性のあるオーファンケモカインレセプターとして選択された。ノーザンブロット解析では、GPR−9−6は胸腺に見られ、これは、T細胞の発達におけるなんらかの役割を示す。脾臓および血液での弱い発現は、記憶Tリンパ細胞およびBリンパ細胞でのGPR−9−6の発現を反映しうる。GPR−9−6が胸腺細胞の大部分によって発現され、かつこれらのGPR−9−6+ve胸腺細胞があらゆるレベルのTcRを発現することから、GPR−9−6は、見かけ上、T細胞発達のすべての段階で発現される。胸腺から出ると、GPR−9−6はダウンレギュレートされるはずであり、末梢のようにCD4リンパ球の少量サブセットおよびCD8リンパ球のより少量のサブセットのみがGPR−9−6を発現する。三色実験では、GPR−9−6は主に記憶CD4リンパ球に見られる。より興味深いことには、CLA+ve記憶CD4リンパ球(Picker, L.J.ら、J. Immunol., 145:3247-3255(1990))はGPR−9−6を発現しないが、記憶α4β7highCD4リンパ球のサブセット(Andrew, D.P.ら、Eur. J. Immunol., 26:897-905(1996))はこのケモカインレセプターを発現する。これは、粘膜部位へのリンパ球の輸送におけるGPR−9−6の役割またはそこに存在するときはそのエフェクター作用を反映しうる。GPR−9−6は粘膜輸送CD4リンパ球上で明白に発現されたが、GPR−9−6転写物はノーザンブロット解析では小腸で検出されなかった。これは、細胞の大部分が活性に分裂するGPR−9−6+ve胸腺細胞である場合、胸腺と比べて小腸組織でのGPR−9−6+veCD4+および/またはCD8+リンパ球の数が少ないことを反映しうる。しかしながら、より感度の高いRT−PCR技術を用いると、GPR−9−6転写物は小腸において検出されたが脳では検出されなかった。興味深いことに、GPR−9−6転写物およびTECK転写物は小腸で発現されるが、結腸ではノーザン解析およびRT−PCR解析のいずれにおいてもGPR−9−6転写物もTECK転写物も検出されなかった。
【0151】
粘膜環境に存在する因子は、Tリンパ球でのGPR−9−6の発現およびTECK発現を誘導しうる。TH1/TH2環境に存在するサイトカインは、TH2上のCCR4およびTH1リンパ球上のCXCR3などのある種のケモカインレセプターの発現、ならびにこれらのレセプターに結合するケモカインの産生を誘導する(Bonecchi, R.G.ら、J. Exp. Med., 187:129-134(1998); Sallusto, F.D. ら、J. Exp. Med., 187:875-883(1998); Sallusto, F., Science, 277:2005-2007(1997); Andrew, D.P.ら、(1998); Zingoni, A.ら、J. Immunol., 161:547-555(1998))。しかしながら、これらの条件は、Tリンパ球でのGPR−9−6発現をアップレギュレートしなかった。また、以前にTリンパ球にαEを誘導することが示された(Kilshaw, P.J.およびMurant, S.J., Eur. J. Immunol., 21:2591-2597(1991))サイトカインIL−1−18またはTGF−βを用い、活性化された臍帯CD4リンパ球でGPR−9−6の発現を誘導する試みでは、GPR−9−6の発現をアップレギュレートするサイトカインを同定することができなかった。したがって、GPR−9−6発現がCD4上で制御される機構は不明である。TcR架橋により活性化すると、ケモカインレセプターCXCR4の発現のように(Bermejo, M.ら、J. Immunol. 28:3192-3204(1998))、GPR−9−6の発現はダウンレギュレートされる。TcR架橋は抗原提示を擬態するため、本発明者らは、リンパ節に入り、APCの抗原性ペプチド+MHC−II発現に遭遇すると、Tリンパ球はGPR−9−6などのケモカインレセプターをダウンレギュレートすると結論づける。これにより、Tリンパ球はリンパ節内に保持され、そこでTリンパ球は、T:B認識相互作用によりB細胞クラススイッチなどの他の免疫機能を媒介しうる。
【0152】
試験したすべてのケモカインのうち、TECK(Vicari, A.P.ら、Immunity, 7(2):291-301(1997))のみがGPR−9−6/L1.2トランスフェクタントの化学誘引物質として作用し、150nMで至適化学走性をもたらすことがわかった。これは、他の白血球ケモカインが活性である1nM〜1μMの範囲に含まれる。しかしながら、本発明者らはペプチド合成により作成したTECKを用いていることから、CKB8の場合のように(Macphee, C.H. ら、J. Immunol., 161:6273-6279(1998))、細胞外の因子によるインビボでのTECKの翻訳後修飾またはさらなる切断によって、より活性なフラグメントが生じないとは確信できない。TECKは、CCR1、CCR2、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR9およびCXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4およびCXCR5 L1.2トランスフェクタントの化学誘引物質として作用しなかった。しかしながら、CCR3/L1.2トランスフェクタントでのTECKのある程度の弱い活性(エオタキシン−1で観察された化学走性活性の約20%)が検出された。この活性は、TECKが好酸球の化学誘引物質として作用しないにもかかわらず、抗CCR3mAbによりブロックされた。したがって、TECKは、おそらくCCR3レセプターの生理的ケモカインではない。この結果は、これまでの研究においてMIP−1αが、CCR4/L1.2トランスフェクタントでなく(Imai, T.M.ら、J. Biol. Chem.,272:15036-15042(1997))CCR4/HEK293トランスフェクタントの化学誘引物質として作用することが示されている(Power, C.A.ら、J. Biol. Chem., 270:19495-19500(1995) )ことから、先例がないことではない。さらなる実験では、GPR−9−6を発現するT細胞株のみがTECKに対して化学走性を示すことがわかったが、原始細胞の中では、TECKはCD4リンパ球の少量サブセットに対してのみ化学走性を示した。化学走性が抗GPR−9−6mAb 3C3によりブロックされることから、おそらく、これらの細胞は、GPR−9−6を発現するCD4リンパ球細胞の少量サブセットを表す。さらに、α4β7+ve記憶CD4およびCD8リンパ球だけがTECKに化学走性を示し、これはGPR−9−6を発現すると予想されるサブセットである。TECKは、最初は、その発現が胸腺および小腸に限られている(Vicari, A.P.ら、Immunity, 7(2):291-301(1997))、胸腺樹状細胞により産生されるケモカインとして記載した。本発明者らのノーザンブロットデータは、この観察を確認し、TECKのレセプター、GPR−9−6はまた、これらの部位で発現されることを示す。小腸および胸腺におけるケモカインレセプターGPR−9−6およびそのリガンドTECKの両方の発現は、T細胞発達および粘膜免疫学におけるGPR−9−6およびTECKの役割が予期される。
【0153】
要約すると、オーファンケモカインレセプターGPR−9−6は、大部分の胸腺細胞上および粘膜部位へ輸送される記憶CD4リンパ球のサブセット上で発現されることが示された。胸腺および小腸でのTECKおよびGPR−9−6の選択的発現は、T細胞発達および粘膜免疫応答の両方におけるGPR−9−6の二重(dual)の役割を意味する。
【0154】
実施例2 機能的GPR−9−6は急性T細胞リンパ芽球性白血病細胞株で発現される
本明細書に記載のように、GPR−9−6発現は、mAb 3C3を用いてMOLT−4およびMOLT−13細胞上で検出された(表1)。MOLT細胞株は、急性T細胞リンパ芽球性白血病(ATL)と診断された患者由来のヒトT細胞株である。CEM、PEER、HUT78、PM1、SKW3およびJURKATを含む他のT細胞白血病細胞株はGPR−9−6を発現しなかった。さらなる研究では、T細胞株がTECK誘導性化学走性を示す能力をインビトロ化学走性アッセイで評価した。ALT細胞、MOLT−4およびMOLT−13は、TECK誘導性化学走性を示したが、他のT細胞株(CEM、PEER)では示さなかった。
【0155】
実施例3 上皮内リンパ球(IEL)およびリンパ球固有層(lamina propria lymphocyte)(LPL)はGPR−9−6(CCR9)を発現し、TECK誘導性化学走性を示す
リンパ球単離
ヒト腸の上皮および固有層由来のリンパ球を上述(Zabal, B.A. ら、J. Exp. Med.,190:1241-1256(1999))のようにして単離した。簡単には、腸の小片を切り開き、平らにして氷冷HBSSで洗浄した。はさみで粘膜から漿膜を分離し、廃棄した。粘膜を細片に切り刻み、冷0.15%(w/v)HBSS中ジチオトレイトール(dithiolthreitol)(DTT/HBSS)とともに30分間インキュベートした。次いで、冷HBSSで粘膜を洗浄し、粘液を除去した。次いで、粘膜細片を冷1mM HBSS中EDTA中、攪拌下で90分間インキュベートし、上皮および上皮内リンパ球(IEL)を取り出した。上皮細胞が該細片から脱落しなくなるまで、攪拌下、1mM EDTA含有HBSS中でのインキュベーションを数回繰り返した。残った粘膜細片を50メッシュの漉し器(Sigma. St. Louis, MO)に通して破砕し、固有層リンパ球(LPL)を単離した。
【0156】
FACS解析
単離したリンパ球をFACSバッファー中に≦1×106mlの濃度で再懸濁した。非特異的抗体結合をウマIgG(Sigma. St. Louis, MO)を用いてブロックした。非結合抗GPR−9−6(CCR9)抗体(mAb 3C3)を、ビオチニル化ウマ抗マウスIgG二次抗体(Vector Laboratories, Burlingame, CA)およびストレプトアビジンPerCP(Phamingen, San Diego, CA)を用いて検出した。
【0157】
腸のリンパ球の化学走性
孔径5μmのポリカーボネート膜を備えた24ウェルTranswellプレート(Corning Costar, Cambridge, MA)を用い、化学走性アッセイを行った。簡単には、0.5%BSAを有するRPMI1640中に希釈した600μlのTECKをTranswellプレートの底部チャンバに入れ、100μlの細胞(IELは1×106、LPLは5×105)を各インサートに入れた。抗体阻害実験のために、インサートをウェルに加える前に、IELまたはLPLを40μg/mlのmAb 3C3、対照マウスIgG2b(クローン49.2、PharMingen, San Diego, CA)とともに、または培地のみで10分間4℃でインキュベートした。次いで、プレートを37℃、5%CO2中で3時間インキュベートした。アッセイ中に下側チャンバに移動した細胞の数をFACS解析により測定し、40秒間隔の間で小リンパ球の光散乱プロフィル特性により検出器を通過した数を計測した。100%細胞遊走に相当する数は、投入細胞懸濁液をFACSにより40秒間計測したときに記録された数の6分の1に等しかった。
【0158】
結果
GPR−9−6(CCR9)発現は、フローサイトメトリーにより末梢血白血球の少量サブセットのみで検出された。対照的に、実質的にすべてのIELおよびLPLが高レベルのGPR−9−6を発現した(図16A〜16C)。さらに、インビトロ化学走性アッセイにより、IELおよびLPLの両方がTECK誘導性化学走性を示し、これは抗GPR−9−6抗体(mAb 3C3)により阻害されうるが、アイソタイプ対照抗体(IgG2b)によっては阻害されえないことが明らかになった(図17Aおよび17B)。したがって、GPR−9−6(CCR9)は、IELおよびLPLにより発現されるTECKの主な生理的レセプターである。データは、腸の上皮内での白血球の局所輸送がTECKとGPR−9−6(CCR9)との相互作用に媒介されることを示す。
【0159】
実施例4 さらなる抗GPR−9−6mAb
C57/Blackマウスを、安定にGPR−9−6を発現するトランスフェクトL1.2細胞(GPR−9−6/L1.2)1000万個で免疫した(実施例1参照)。免疫する前に、トランスフェクトL1.2細胞をPBS(Sigma )中のマイトマイシンC(50μg/ml)で処理した。3週間後、マイトマイシンCで処理したGPR−9−6/L1.2トランスフェクタントでマウスを再度免疫した。その後、マウスをGPR−9−6/L1.2トランスフェクタント1000万個で3週間ごとに免疫した。マウスは、GPR−9−6/L1.2トランスフェクタントで最低4回免疫した。ハイブリドーマ形成のため、最後の免疫から3〜4日後の免疫化マウスから脾臓を取り出し、脾臓細胞をSP2/0骨髄腫細胞に融合した。GPR−9−6(CCR9)に特異的に結合する(すなわちGPR−9−6/L1.2トランスフェクタントを染色するが、他のケモカインレセプターを発現するL1.2細胞トランスフェクタントは染色しない)抗体を産生するハイブリドーマをFACS解析により同定した。
【0160】
mAb GPR96−1を産生するマウスハイブリドーマGPR96−1を単離し、インビトロ化学走性アッセイにおいてGPR−9−6/L1.2のTECK誘導性化学走性を阻害するmAb GPR96−1の能力を評価した。この抗体阻害アッセイのため、TECKに暴露する前に、GPR−9−6/L1.2トランスフェクタントを種々の濃度のmAb GPR96−1またはmAb 3C3とともに10分間氷上でインキュベートした。化学走性アッセイは、ECV304細胞を使用しなかった以外は実質的に上述のようにして行った。図18にグラフで示した結果により、該アッセイ条件下では、TECK誘導性化学走性の阻害において、mAb GPR96−1はmAb 3C3よりも効率的であることが明らかになった。
【0161】
ハイブリドーマLS272 GPR96 1−5とも称するマウスハイブリドーマGPR96−1は、FCS(10%)、IL−6(100ng/ml)、ペニシリン(50U/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)、L−グルタミン(2mM)、HEPES(10mM)、MEMピルビン酸ナトリウム(10mM)、MEM非必須アミノ酸(0.1mM)および2−メルカプトエタノール(5.5×10-5M)を加えたDMEM中で、37℃、5%CO2雰囲気中で培養することができる。
【0162】
実施例5 抗TECK mAb
Balb/cマウスを、まず完全フロイントアジュバント(Sigma, F 5881)中10μgのヒトTECK(Peprotech, Rocky Hill, NJ 330-45)で腹腔内免疫した。3週間後、マウスを、不完全フロイントアジュバント(Sigma, F 5506)中10μgのヒトTECK(Peprotech, Rocky Hill, NJ 330-45)で腹腔内免疫した。その後、PBS中10μgのTECKで3週間ごとにマウスを腹腔内免疫した。各マウスは最低4回免疫した。ハイブリドーマ形成のため、最後の免疫から3〜4日後の免疫化マウスから脾臓を取り出し、脾臓細胞をSP2/0骨髄腫細胞に融合した。TECKに特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマを、2μg/mlのTECKでコーティングしたプレート用いてELISAにより同定した。次いで、インビトロアッセイにおいて、抗TECK抗体をGPR−9−6/L1.2トランスフェクタントのTECK誘導性(150nM)化学走性を阻害する能力について試験した。
【0163】
マウスハイブリドーマ11.2、11.3.1、16.2および16.3.1(ハイブリドーマ11.3.1および16.3.1はそれぞれハイブリドーマ11.2および16.2のサブクローン)を単離し、インビトロ化学走性アッセイにおいて、これらが産生するmAbの、GPR−9−6/L1.2細胞のTECK誘導性化学走性阻害能を評価した。TECKを、対照IgG1 mAb(20mg/ml)を含む培養培地中で希釈(終濃度約150nM)するか、またはTECKに結合するmAbを産生するハイブリドーマの条件培養培地中で1:4に希釈した。TECK溶液をTranswellプレートの底部に入れ、室温で10分間インキュベートした。次いで、GPR−9−6/L1.2トランスフェクタントを培養培地中に懸濁し、インサート内に入れ、これをプレートのウェル内に入れた。トランスフェクタントを2〜3時間移動させた後、下側ウェル内に蓄積した細胞をFACSCANで計測した。
【0164】
図19にグラフで示したアッセイの結果により、mAb 11.2、11.3.1、16.2および16.3.1のそれぞれは、TECK誘導性化学走性を阻害したが、同様にTECKに結合するmAb 20.2および非特異的IgGは阻害しなかった。
【0165】
ハイブリドーマLS250 11.3.1とも称するマウスハイブリドーマ11.3.1およびハイブリドーマLS250 16.3.1とも称するマウスハイブリドーマ16.3.1は、FCS(10%)、IL−6(100ng/ml)、ペニシリン(50U/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)、L−グルタミン(2mM)、HEPES(10mM)、MEMピルビン酸ナトリウム(10mM)、MEM非必須アミノ酸(0.1mM)および2−メルカプトエタノール(5.5×10-5M)を加えたDMEM中で、37℃、5%CO2雰囲気中で培養することができる。
【0166】
実施例6 天然TECK変種
Qiagen Mini Kitを用い、胸腺および炎症小腸または非炎症小腸のヒト試料からRNAを調製した。該RNAを逆転写し、BAZ203(配列番号:6)およびBAZ204(配列番号:7)を用い、記載(実施例1参照)のようにしてPCRによりTECKのコード領域を増幅した。PCR産物を酵素BamH1およびXbalで切断し、pBluescript II KSにライゲートした。pBluescript II(M13およびT3)内の配列にアニーリングするプライマーを用いて挿入物のシークエンシングを行った。シークエンシングデータにより、異なる形態のTECKがこれらの組織で発現されることが明らかになった。トレオニン(T)またはメチオニン(M)のいずれかを有するアミノ酸104の多型が見られた(配列番号:9)。アミノ酸109(アラニン)の欠損をもたらす塩基326〜328のフレームシフト欠失を有するスプライス変種も見られた。
【0167】
これに関してさらに、別個のRNA試料からPCRにより作製した挿入物の配列を調べると、フレームシフト変異により生じる2つの形態のTECKの差次的(differential)発現が明らかになり、アラニン欠損型は、胸腺よりも小腸においてより多かった。
【0168】
実施例7
TECKは小腸の表皮細胞により高度に発現される
インサイチューハイブリダイゼーション
合成オリゴヌクレオチド5プライムプライマー(t aag gat ccg caa ggt gcc ttt gaa gac tgc t;配列番号:12)およびオリゴヌクレオチド3プライムプライマー(caa gaa ttc tta att gtt ctt tct ggg cat;配列番号:13)を用いて、胸腺からRT−PCRにより調製されたマウスcDNAのプールからTECKプローブをまず増幅し、BamH1およびEcoR1によりサブクローニングした。2回目のPCR増幅工程を、RNAポリメラーゼ部位を導入するために、合成オリゴヌクレオチドプライマーm_TECK T3(aat taa ccc tca cta aag gga act gtg gct ttt tgc ctg c;配列番号:14)およびm_TECK T7(taa tac gac tca cta tag ggt gtt ggt ctt tct ggg cat c;配列番号:15)を用いて行った。DIG RNA Labeling Kit/Genius 4 Kit(Roche Molecular Biochemicals)を用い、センスおよびアンチセンスジゴキシゲニン標識プローブを合成した。
【0169】
5ミクロンのマウス小腸凍結切片を切り取り、Superfrost Plusスライド(VWR)上で解凍し、室温で1〜2時間風乾し、同日にハイブリダイゼーションに使用した。最初のキシレン工程を省略し、プロテイナーゼK(0.1μg/ml)で5分間室温で消化することを含めた以外は記載(“Nonradioactive In Situ Hybridization Application Manual" 2 nd edition Copyright 1996 Boehringer Mannheim GmbH, Biochemica の Breitschopfら、Detection of mRNA on paraffin embedded material of the central nervous system with DIG-labeled RNA probes.)のようにして該切片を前処理した。200ng/mlジゴキシゲニン標識プローブ、50%ホルムアミド(Gibco BRL)5×SSC、5×デンハート溶液(Sigma)、0.5mg/mlサケ精子DNA(Gibco BRL)および25μg/ml酵母RNA(Sigma)を含むハイブリダイゼーションバッファー中で該切片を16〜18時間60℃でハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーション後、切片を0.2×SSC中で1時間60℃で、次いで0.2×SSC中で5分間室温で洗浄した。DIG Nucleic Acid Detection Kit/Genius 3(Roche Molecular Biochemicals)を用い、抗体(1:100)とのインキュベーションを4℃で一晩行い、10%70〜100kDポリビニルアルコール(Sigma)をアルカリホスファターゼ反応バッファーに加えた以外は記載のようにしてジゴキシゲニン標識プローブを検出した。
【0170】
結果
インサイチューハイブリダーゼーションを用いてマウス腸におけるTECK発現の細胞性部位を直接評価した。TECK発現は、小腸の絨毛およびリーベルキューン陰窩の上皮に局在した。絨毛での発現は、基底部で最大であり、より低レベルのTECKハイブリダイゼーションが絨毛の上部に向かって検出された。TECKの発現は小腸に接着したパイアー斑(PP)では検出されなかった(図24A〜24C)。
【0171】
データは、TECKが小腸の上皮細胞でより高レベルで選択的に発現されることを示す。この発現パターンは、循環している「小腸ホーミング」リンパ球の漸増ならびにIELおよびLPLの局所漸増の調節におけるTECKの高度に選択的な役割をさらに支持する。
【0172】
本発明をその好ましい態様に関して具体的に示し記載したが、当業者は、添付の請求の範囲により規定される本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく本明細書において形態および詳細の種々の変更を行いうることを理解されたい。
【0173】
本発明の態様として、以下のものが挙げられる。
〔1〕 哺乳類GPR−9−6に結合し、該GPR−9−6へのリガンドの結合を阻害する、抗体またはその抗原結合性フラグメント。
〔2〕 該哺乳類GPR−9−6がヒトGPR−9−6である、前記〔1〕記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
〔3〕 該リガンドがTECKである、前記〔1〕記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
〔4〕 GPR−9−6への該抗体または該抗原結合性フラグメントの結合が、配列番号:3のアミノ酸配列からなるペプチドにより阻害されうる、前記〔1〕記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
〔5〕 GPR−9−6への該抗体または該抗原結合性フラグメントの結合がmAb 3C3により阻害されうる、前記〔1〕記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
〔6〕 該抗体または抗原結合性フラグメントが、mAb 3C3と同一または同様のエピトープに結合する、前記〔5〕記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
〔7〕 GPR−9−6への該抗体または該抗原結合性フラグメントの結合がmAb GPR96−1により阻害されうる、前記〔1〕記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
〔8〕 該抗体または抗原結合性フラグメントが、mAb GPR−9−6と同一または同様のエピトープに結合する、前記〔7〕記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
〔9〕 マウスハイブリドーマ3C3により産生された抗体またはその抗原結合性フラグメント。
〔10〕 哺乳類GPR−9−6に結合し、該GPR−9−6へのリガンドの結合を阻害する抗体またはその抗原結合性フラグメントを産生する単離された細胞。
〔11〕 該哺乳類GPR−9−6がヒトGPR−9−6である、前記〔10〕記載の単離された細胞。
〔12〕 該リガンドがTECKである、前記〔11〕記載の単離された細胞。
〔13〕 該単離された細胞が、該抗体またはその抗原結合性フラグメントをコードする1またはそれ以上の外来核酸分子を含有する不死化B細胞、ハイブリドーマおよび組換え細胞からなる群より選択されてなる、前記〔12〕記載の単離された細胞。
〔14〕 マウスハイブリドーマ3C3。
〔15〕 a)生物学的試料と、哺乳類GPR−9−6または該レセプターの一部に結合し、レセプターへのリガンドの結合を阻害する抗体またはその抗原結合性フラグメントとを哺乳類GPR−9−6またはその一部への該抗体またはその抗原結合性フラグメントの結合に適切な条件下で接触させる工程;および
b)該抗体またはその抗原結合性フラグメントの結合を検出する工程;
を含み、該抗体またはその抗原結合性フラグメントの結合が、該レセプターまたは該レセプターの一部の存在を示す、生物学的試料中の哺乳類GPR−9−6またはその一部の検出方法。
〔16〕 生物学的試料がヒト起源である、前記〔15〕記載の方法。
〔17〕 抗体またはその抗原結合性フラグメントが、
a)mAb 3C3;
b)哺乳類GPR−9−6への結合に関してmAb 3C3と競合しうる抗体;
c)哺乳類GPR−9−6またはその一部に結合する(a)または(b)の抗原結合性フラグメント;および
d)前述の組み合わせ、
からなる群から選択される、前記〔16〕記載の方法。
〔18〕 抗体またはその抗原結合性フラグメントが、
a)mAb GPR96−1;
b)哺乳類GPR−9−6への結合に関してmAb GPR96−1と競合しうる抗体;
c)哺乳類GPR−9−6またはその一部に結合する(a)または(b)の抗原フラグメント;および
d)前述の組み合わせ、
からなる群より選択される、前記〔16〕記載の方法。
〔19〕 a)参照薬剤、
b)試験薬剤、および
c)機能的な哺乳類GPR−9−6またはそのリガンド結合性変種を含有する組成物を、該GPR−9−6またはそのリガンド結合性変種への該参照薬剤の結合に適した条件下で組み合わせる工程;ならびに
該参照薬剤と該GPR−9−6またはそのリガンド結合性変種との複合体の形成を検出または測定する工程を含み、適切な対照と比較した該複合体の形成の減少が、該試験薬剤が該GPR−9−6またはそのリガンド結合性変種に結合することを示す、哺乳類GPR−9−6またはそのリガンド結合性変種に結合する薬剤を検出および同定する方法。
〔20〕 該参照薬剤が、放射性同位体、エピトープ、アフィニティ標識、酵素、蛍光群および化学発光群からなる群より選択される標識で標識化される、前記〔19〕記載の方法。
〔21〕 該参照薬剤がTECKである、前記〔19〕記載の方法。
〔22〕 該参照薬剤が該GPR−9−6に結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントである、前記〔19〕記載の方法。
〔23〕 機能的な哺乳類GPR−9−6またはそのリガンド結合性変種を含有する該組成物が哺乳類GPR−9−6を発現する細胞である、前記〔19〕記載の方法。
〔24〕 該細胞が組換え細胞である、前記〔23〕記載の方法。
〔25〕 該細胞が細胞株である、前記〔23〕記載の方法。
〔26〕 該細胞がMOLT−4およびMOLT−13からなる群より選択される、前記〔25〕記載の方法。
〔27〕 機能的な哺乳類GPR−9−6またはそのリガンド結合性変種を含有する該組成物が、哺乳類GPR−9−6またはそのリガンド結合性変種を発現する細胞の膜調製物である、前記〔19〕記載の方法。
〔28〕 a)試験対象の薬剤、該GPR−9−6のリガンドまたはプロモーターおよび該GPR−9−6を発現する細胞を、リガンド誘導性応答またはプロモーター誘導性応答を検出するのに適した条件下で組み合わせる工程;および
b)該応答を阻害する試験化合物の能力を測定する工程、
を含み、該薬剤によるリガンド誘導性応答またはプロモーター誘導性応答の阻害が、該薬剤がインヒビターであることの指標である、哺乳類GPR−9−6レセプターのインヒビターを検出または同定する方法。
〔29〕 該細胞がヒトGPR−9−6を発現する組換え細胞である、前記〔28〕記載の方法。
〔30〕 該リガンドまたはプロモーターがTECKである、前記〔29〕記載の方法。
〔31〕 該応答が化学走性またはCa2+フラックスである、前記〔28〕記載の方法。
〔32〕 被験体に哺乳類GPR−9−6機能のアンタゴニストの有効量を投与する工程を含む、炎症性疾患を有する被験体の治療方法。
〔33〕 該炎症性疾患がクローン病または結腸炎である、前記〔32〕記載の方法。
〔34〕 該アンタゴニストが哺乳類GPR−9−6へのリガンドの結合を阻害する、前記〔32〕記載の方法。
〔35〕 該リガンドがTECKである、前記〔34〕記載の方法。
〔36〕 該アンタゴニストが哺乳類GPR−9−6またはその抗原結合性フラグメントに結合する抗体である、前記〔34〕記載の方法。
〔37〕 被験体にGPR−9−6機能のアンタゴニストの有効量を投与する工程を含む、被験体における白血球のGPR−9−6媒介性ホーミングの阻害方法。
〔38〕 該アンタゴニストが、GPR−9−6へのリガンドの結合を阻害する、前記〔37〕記載の方法。
〔39〕 該リガンドがTECKである、前記〔38〕記載の方法。
〔40〕 該アンタゴニストが、GPR−9−6に結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントである、前記〔39〕記載の方法。
〔41〕 被験体にGPR−9−6機能のアンタゴニストの有効量を投与する工程を含む、被験体における粘膜組織への白血球のGPR−9−6媒介性ホーミングの阻害方法。
〔42〕 該被験体にGPR−9−6機能のアンタゴニストの有効量を投与する工程を含む、炎症性腸疾患を有する患者の治療方法。
〔43〕 該アンタゴニストがGPR−9−6へのリガンドの結合を阻害する、前記〔42〕記載の方法。
〔44〕 該リガンドがTECKである、前記〔43〕記載の方法。
〔45〕 該アンタゴニストがGPR−9−6に結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントである、前記〔44〕記載の方法。
〔46〕 GPR−9−6を発現する細胞とそれに結合する薬剤とを接触させ、それにより該GPR−9−6の機能を調節する工程を含む、GPR−9−6機能の調節方法。
〔47〕 該薬剤がGPR−9−6の機能を阻害しうる、前記〔46〕記載の方法。
〔48〕 該薬剤が抗体またはその抗原結合性フラグメントである、前記〔47〕記載の方法。
〔49〕 該機能が、リガンド結合、リガンド誘導性化学走性およびリガンド誘導性Ca2+フラックスからなる群より選択される、前記〔48〕記載の方法。
〔50〕 該リガンドがTECKである、前記〔49〕記載の方法。
〔51〕 a)哺乳類GPR−9−6または該レセプターの一部に結合する少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性フラグメント、ここで該抗体またはその抗原結合性フラグメントがレセプターへのリガンドの結合を阻害する;および、
b)該抗体またはその抗原結合性フラグメントと該哺乳類GPR−9−6またはその一部との複合体の存在を検出するのに適切な1またはそれ以上の補助試薬、
を含有してなる、生物学的試料中の哺乳類GPR−9−6またはその一部の存在の検出に使用するための試験キット。
〔52〕 抗体が、
a)mAb 3C3;
b)哺乳類GPR−9−6への結合に関してmAb 3C3と競合しうる抗体;
c)哺乳類GPR−9−6またはその一部に結合する(a)または(b)の抗原結合性フラグメント;および
d)前述の組み合わせ、
からなる群より選択されてなる、前記〔51〕記載の試験キット。
〔53〕 抗体が、
a)mAb GPR96−1;
b)哺乳類GPR−9−6への結合に関してmAb GPR96−1と競合しうる抗体;
c)哺乳類GPR−9−6またはその一部に結合する(a)または(b)の抗原結合性フラグメント;および
d)前述の組み合わせ
からなる群より選択されてなる、前記〔51〕記載の試験キット。
〔54〕 哺乳類TECKに結合し、レセプターへの該TECKの結合を阻害する、抗体またはその抗原結合性フラグメント。
〔55〕 該哺乳類TECKがヒトTECKである、前記〔54〕記載の抗体またはその抗原フラグメント。
〔56〕 該レセプターがGPR−9−6である、前記〔54〕記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
〔57〕 TECKへの該抗体または該抗原結合性フラグメントの結合が、mAb 11.3.1および/またはmAb 16.3.1により阻害されうる、前記〔54〕記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
〔58〕 該抗体または抗原結合性フラグメントが、mAb 11.3.1と同一または同様のエピトープに結合する、前記〔57〕記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
〔59〕 該抗体または抗原結合性フラグメントが、mAb 16.3.1と同一または類似のエピトープに結合する、前記〔57〕記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
〔60〕 マウスハイブリドーマGPR96−1により産生された抗体またはその抗原結合性フラグメント。
〔61〕 マウスハイブリドーマGPR96−1。
〔62〕 マウスハイブリドーマ11.3.1により産生された抗体またはその抗原結合性フラグメント。
〔63〕 マウスハイブリドーマ11.3.1。
〔64〕 マウスハイブリドーマ16.3.1により産生された抗体またはその抗原結合性フラグメント。
〔65〕 マウスハイブリドーマ16.3.1。
〔66〕 哺乳類TECKに結合し、レセプターへの該TECKの結合を阻害する抗体またはその抗原結合性フラグメントを産生する単離された細胞。
〔67〕 該哺乳類TECKがヒトTECKである、前記〔66〕記載の単離された細胞。
〔68〕 レセプターがGPR−9−6である、前記〔66〕記載の単離された細胞。
〔69〕 a)生物学的試料と、哺乳類TECKまたはその一部に結合し、レセプターへのTECKの結合を阻害する抗体またはその抗原結合性フラグメントとを、哺乳類TECKまたはその一部への該抗体またはその抗原フラグメントの結合に適切な条件下で接触させる工程;および
b)該抗体またはその抗原結合性フラグメントの結合を検出する工程;
を含み、該抗体またはその抗原結合性フラグメントの結合が、該レセプターまたは該レセプターの一部の存在を示す、生物学的試料中の哺乳類TECKまたはその一部の検出方法。
〔70〕 a)哺乳類TECKまたは該レセプターの一部に結合する少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性フラグメント、ここで該抗体またはその抗原結合性フラグメントがレセプターへのTECKの結合を阻害する;および
b)該抗体またはその抗原結合性フラグメントと該哺乳類TECKまたはその一部との複合体の存在を検出するのに適切な1またはそれ以上の補助試薬、
を含有してなる、生物学的試料中の哺乳類TECKまたはその一部の存在の検出に使用するための試験キット。
〔71〕 GPR−9−6機能のアンタゴニストの有効量を被験体に投与する工程を含む、癌を有する被験体の治療方法。
〔72〕 該アンタゴニストが、GPR−9−6に結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントである、前記〔62〕記載の方法。
〔73〕 GPR−9−6に結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントの有効量を被験体に投与する工程を含み、該抗体またはフラグメントが補体を活性化しうる、癌を有する被験体の治療方法。
〔74〕 免疫複合体または抗原結合性融合タンパク質の有効量を被験体に投与する工程を含み、該免疫複合体または抗原結合性融合タンパク質が、さらなる治療薬剤に直接的または間接的に結合したGPR−9−6に結合する抗体の少なくとも抗原結合部分を含有する、癌を有する被験体の治療方法。
〔75〕 該さらなる治療薬剤が細胞傷害剤である、前記〔74〕記載の方法。
〔76〕 さらなる治療薬剤に直接的または間接的に結合したGPR−9−6に結合する抗体の抗原結合部分を少なくとも含有する免疫複合体。
〔77〕 さらなる治療薬剤に直接的または間接的に結合したGPR−9−6に結合する抗体の抗原結合部分を少なくとも含有し、該抗体の抗原結合部分および該さらなる治療薬剤が連続するポリペプチドの一部である、抗原結合性融合タンパク質。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類GPR−9−6に結合し、該GPR−9−6へのリガンドの結合を阻害する、抗体またはその抗原結合性フラグメント。
【請求項2】
該哺乳類GPR−9−6がヒトGPR−9−6である、請求項1記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項3】
該リガンドがTECKである、請求項1記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項4】
GPR−9−6への該抗体または該抗原結合性フラグメントの結合が、配列番号:3のアミノ酸配列からなるペプチドにより阻害されうる、請求項1記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項5】
GPR−9−6への該抗体または該抗原結合性フラグメントの結合がmAb 3C3により阻害されうる、請求項1記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項6】
該抗体または抗原結合性フラグメントが、mAb 3C3と同一または同様のエピトープに結合する、請求項5記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項7】
GPR−9−6への該抗体または該抗原結合性フラグメントの結合がmAb GPR96−1により阻害されうる、請求項1記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項8】
該抗体または抗原結合性フラグメントが、mAb GPR−9−6と同一または同様のエピトープに結合する、請求項7記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項9】
マウスハイブリドーマ3C3により産生された抗体またはその抗原結合性フラグメント。
【請求項10】
哺乳類GPR−9−6に結合し、該GPR−9−6へのリガンドの結合を阻害する抗体またはその抗原結合性フラグメントを産生する単離された細胞。
【請求項11】
該哺乳類GPR−9−6がヒトGPR−9−6である、請求項10記載の単離された細胞。
【請求項12】
該リガンドがTECKである、請求項11記載の単離された細胞。
【請求項13】
該単離された細胞が、該抗体またはその抗原結合性フラグメントをコードする1またはそれ以上の外来核酸分子を含有する不死化B細胞、ハイブリドーマおよび組換え細胞からなる群より選択されてなる、請求項12記載の単離された細胞。
【請求項14】
マウスハイブリドーマ3C3。
【請求項15】
a)生物学的試料と、哺乳類GPR−9−6または該レセプターの一部に結合し、レセプターへのリガンドの結合を阻害する抗体またはその抗原結合性フラグメントとを哺乳類GPR−9−6またはその一部への該抗体またはその抗原結合性フラグメントの結合に適切な条件下で接触させる工程;および
b)該抗体またはその抗原結合性フラグメントの結合を検出する工程;
を含み、該抗体またはその抗原結合性フラグメントの結合が、該レセプターまたは該レセプターの一部の存在を示す、生物学的試料中の哺乳類GPR−9−6またはその一部の検出方法。
【請求項16】
生物学的試料がヒト起源である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
抗体またはその抗原結合性フラグメントが、
a)mAb 3C3;
b)哺乳類GPR−9−6への結合に関してmAb 3C3と競合しうる抗体;
c)哺乳類GPR−9−6またはその一部に結合する(a)または(b)の抗原結合性フラグメント;および
d)前述の組み合わせ、
からなる群から選択される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
抗体またはその抗原結合性フラグメントが、
a)mAb GPR96−1;
b)哺乳類GPR−9−6への結合に関してmAb GPR96−1と競合しうる抗体;
c)哺乳類GPR−9−6またはその一部に結合する(a)または(b)の抗原フラグメント;および
d)前述の組み合わせ、
からなる群より選択される、請求項16記載の方法。
【請求項19】
a)参照薬剤、
b)試験薬剤、および
c)機能的な哺乳類GPR−9−6またはそのリガンド結合性変種を含有する組成物を、該GPR−9−6またはそのリガンド結合性変種への該参照薬剤の結合に適した条件下で組み合わせる工程;ならびに
該参照薬剤と該GPR−9−6またはそのリガンド結合性変種との複合体の形成を検出または測定する工程を含み、適切な対照と比較した該複合体の形成の減少が、該試験薬剤が該GPR−9−6またはそのリガンド結合性変種に結合することを示す、哺乳類GPR−9−6またはそのリガンド結合性変種に結合する薬剤を検出および同定する方法。
【請求項20】
該参照薬剤が、放射性同位体、エピトープ、アフィニティ標識、酵素、蛍光群および化学発光群からなる群より選択される標識で標識化される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
該参照薬剤がTECKである、請求項19記載の方法。
【請求項22】
該参照薬剤が該GPR−9−6に結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントである、請求項19記載の方法。
【請求項23】
機能的な哺乳類GPR−9−6またはそのリガンド結合性変種を含有する該組成物が哺乳類GPR−9−6を発現する細胞である、請求項19記載の方法。
【請求項24】
該細胞が組換え細胞である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
該細胞が細胞株である、請求項23記載の方法。
【請求項26】
該細胞がMOLT−4およびMOLT−13からなる群より選択される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
機能的な哺乳類GPR−9−6またはそのリガンド結合性変種を含有する該組成物が、哺乳類GPR−9−6またはそのリガンド結合性変種を発現する細胞の膜調製物である、請求項19記載の方法。
【請求項28】
a)試験対象の薬剤、該GPR−9−6のリガンドまたはプロモーターおよび該GPR−9−6を発現する細胞を、リガンド誘導性応答またはプロモーター誘導性応答を検出するのに適した条件下で組み合わせる工程;および
b)該応答を阻害する試験化合物の能力を測定する工程、
を含み、該薬剤によるリガンド誘導性応答またはプロモーター誘導性応答の阻害が、該薬剤がインヒビターであることの指標である、哺乳類GPR−9−6レセプターのインヒビターを検出または同定する方法。
【請求項29】
該細胞がヒトGPR−9−6を発現する組換え細胞である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
該リガンドまたはプロモーターがTECKである、請求項29記載の方法。
【請求項31】
該応答が化学走性またはCa2+フラックスである、請求項28記載の方法。
【請求項32】
被験体に哺乳類GPR−9−6機能のアンタゴニストの有効量を投与する工程を含む、炎症性疾患を有する被験体の治療方法。
【請求項33】
該炎症性疾患がクローン病または結腸炎である、請求項32記載の方法。
【請求項34】
該アンタゴニストが哺乳類GPR−9−6へのリガンドの結合を阻害する、請求項32記載の方法。
【請求項35】
該リガンドがTECKである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
該アンタゴニストが哺乳類GPR−9−6またはその抗原結合性フラグメントに結合する抗体である、請求項34記載の方法。
【請求項37】
被験体にGPR−9−6機能のアンタゴニストの有効量を投与する工程を含む、被験体における白血球のGPR−9−6媒介性ホーミングの阻害方法。
【請求項38】
該アンタゴニストが、GPR−9−6へのリガンドの結合を阻害する、請求項37記載の方法。
【請求項39】
該リガンドがTECKである、請求項38記載の方法。
【請求項40】
該アンタゴニストが、GPR−9−6に結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントである、請求項39記載の方法。
【請求項41】
被験体にGPR−9−6機能のアンタゴニストの有効量を投与する工程を含む、被験体における粘膜組織への白血球のGPR−9−6媒介性ホーミングの阻害方法。
【請求項42】
該被験体にGPR−9−6機能のアンタゴニストの有効量を投与する工程を含む、炎症性腸疾患を有する患者の治療方法。
【請求項43】
該アンタゴニストがGPR−9−6へのリガンドの結合を阻害する、請求項42記載の方法。
【請求項44】
該リガンドがTECKである、請求項43記載の方法。
【請求項45】
該アンタゴニストがGPR−9−6に結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントである、請求項44記載の方法。
【請求項46】
GPR−9−6を発現する細胞とそれに結合する薬剤とを接触させ、それにより該GPR−9−6の機能を調節する工程を含む、GPR−9−6機能の調節方法。
【請求項47】
該薬剤がGPR−9−6の機能を阻害しうる、請求項46記載の方法。
【請求項48】
該薬剤が抗体またはその抗原結合性フラグメントである、請求項47記載の方法。
【請求項49】
該機能が、リガンド結合、リガンド誘導性化学走性およびリガンド誘導性Ca2+フラックスからなる群より選択される、請求項48記載の方法。
【請求項50】
該リガンドがTECKである、請求項49記載の方法。
【請求項51】
a)哺乳類GPR−9−6または該レセプターの一部に結合する少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性フラグメント、ここで該抗体またはその抗原結合性フラグメントがレセプターへのリガンドの結合を阻害する;および、
b)該抗体またはその抗原結合性フラグメントと該哺乳類GPR−9−6またはその一部との複合体の存在を検出するのに適切な1またはそれ以上の補助試薬、
を含有してなる、生物学的試料中の哺乳類GPR−9−6またはその一部の存在の検出に使用するための試験キット。
【請求項52】
抗体が、
a)mAb 3C3;
b)哺乳類GPR−9−6への結合に関してmAb 3C3と競合しうる抗体;
c)哺乳類GPR−9−6またはその一部に結合する(a)または(b)の抗原結合性フラグメント;および
d)前述の組み合わせ、
からなる群より選択されてなる、請求項51記載の試験キット。
【請求項53】
抗体が、
a)mAb GPR96−1;
b)哺乳類GPR−9−6への結合に関してmAb GPR96−1と競合しうる抗体;
c)哺乳類GPR−9−6またはその一部に結合する(a)または(b)の抗原結合性フラグメント;および
d)前述の組み合わせ
からなる群より選択されてなる、請求項51記載の試験キット。
【請求項54】
哺乳類TECKに結合し、レセプターへの該TECKの結合を阻害する、抗体またはその抗原結合性フラグメント。
【請求項55】
該哺乳類TECKがヒトTECKである、請求項54記載の抗体またはその抗原フラグメント。
【請求項56】
該レセプターがGPR−9−6である、請求項54記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項57】
TECKへの該抗体または該抗原結合性フラグメントの結合が、mAb 11.3.1および/またはmAb 16.3.1により阻害されうる、請求項54記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項58】
該抗体または抗原結合性フラグメントが、mAb 11.3.1と同一または同様のエピトープに結合する、請求項57記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項59】
該抗体または抗原結合性フラグメントが、mAb 16.3.1と同一または類似のエピトープに結合する、請求項57記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項60】
マウスハイブリドーマGPR96−1により産生された抗体またはその抗原結合性フラグメント。
【請求項61】
マウスハイブリドーマGPR96−1。
【請求項62】
マウスハイブリドーマ11.3.1により産生された抗体またはその抗原結合性フラグメント。
【請求項63】
マウスハイブリドーマ11.3.1。
【請求項64】
マウスハイブリドーマ16.3.1により産生された抗体またはその抗原結合性フラグメント。
【請求項65】
マウスハイブリドーマ16.3.1。
【請求項66】
哺乳類TECKに結合し、レセプターへの該TECKの結合を阻害する抗体またはその抗原結合性フラグメントを産生する単離された細胞。
【請求項67】
該哺乳類TECKがヒトTECKである、請求項66記載の単離された細胞。
【請求項68】
レセプターがGPR−9−6である、請求項66記載の単離された細胞。
【請求項69】
a)生物学的試料と、哺乳類TECKまたはその一部に結合し、レセプターへのTECKの結合を阻害する抗体またはその抗原結合性フラグメントとを、哺乳類TECKまたはその一部への該抗体またはその抗原フラグメントの結合に適切な条件下で接触させる工程;および
b)該抗体またはその抗原結合性フラグメントの結合を検出する工程;
を含み、該抗体またはその抗原結合性フラグメントの結合が、該レセプターまたは該レセプターの一部の存在を示す、生物学的試料中の哺乳類TECKまたはその一部の検出方法。
【請求項70】
a)哺乳類TECKまたは該レセプターの一部に結合する少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性フラグメント、ここで該抗体またはその抗原結合性フラグメントがレセプターへのTECKの結合を阻害する;および
b)該抗体またはその抗原結合性フラグメントと該哺乳類TECKまたはその一部との複合体の存在を検出するのに適切な1またはそれ以上の補助試薬、
を含有してなる、生物学的試料中の哺乳類TECKまたはその一部の存在の検出に使用するための試験キット。
【請求項71】
GPR−9−6機能のアンタゴニストの有効量を被験体に投与する工程を含む、癌を有する被験体の治療方法。
【請求項72】
該アンタゴニストが、GPR−9−6に結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントである、請求項62記載の方法。
【請求項73】
GPR−9−6に結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントの有効量を被験体に投与する工程を含み、該抗体またはフラグメントが補体を活性化しうる、癌を有する被験体の治療方法。
【請求項74】
免疫複合体または抗原結合性融合タンパク質の有効量を被験体に投与する工程を含み、該免疫複合体または抗原結合性融合タンパク質が、さらなる治療薬剤に直接的または間接的に結合したGPR−9−6に結合する抗体の少なくとも抗原結合部分を含有する、癌を有する被験体の治療方法。
【請求項75】
該さらなる治療薬剤が細胞傷害剤である、請求項74記載の方法。
【請求項76】
さらなる治療薬剤に直接的または間接的に結合したGPR−9−6に結合する抗体の抗原結合部分を少なくとも含有する免疫複合体。
【請求項77】
さらなる治療薬剤に直接的または間接的に結合したGPR−9−6に結合する抗体の抗原結合部分を少なくとも含有し、該抗体の抗原結合部分および該さらなる治療薬剤が連続するポリペプチドの一部である、抗原結合性融合タンパク質。

【図1】
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【図2】
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【図3A−F】
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【図3G−I】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A−D】
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【図8E−F】
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【図9】
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【図10A−B】
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【図10C−F】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−12402(P2012−12402A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178577(P2011−178577)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【分割の表示】特願2000−604070(P2000−604070)の分割
【原出願日】平成12年3月10日(2000.3.10)
【出願人】(500287639)ミレニアム ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (98)
【氏名又は名称原語表記】MILLENNIUM PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】