説明

抗HER3抗体の製造、特徴づけ及びその用途

本発明は、Her3特異的抗体、好ましくは、完全ヒトまたはヒト化抗体、およびその抗原結合性部分に関する。該Her3抗体をコードする核酸分子、およびその使用方法も開示する。これらの抗体を含む医薬組成物、ならびにHer3またはHer2の異常発現(これらの受容体のそれぞれの異常活性化を含む)に関連した病的過剰増殖性発癌性障害の治療および診断のための該抗体およびその組成物の使用方法も含まれる。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
付録IIに記載されている群から選択されるアミノ酸の配列を含む少なくとも1つの軽鎖配列、および付録IIに記載されている群から選択されるアミノ酸の配列を含む少なくとも1つの重鎖配列、または付録IIに記載されている前記の少なくとも1つの軽鎖に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む少なくとも1つの軽鎖(ここで、該重鎖は、付録IIに記載されている少なくとも1つの配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む)を含む単離または精製されたHer3特異的抗体分子またはその抗原結合性部分。
【請求項2】
該抗体がヒト化されている、請求項1記載の抗体。
【請求項3】
該部分が、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメントおよびFvフラグメントからなる群から選択される、請求項1記載の抗原結合性部分。
【請求項4】
表IIに記載されている少なくとも1つのアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む単離または精製されたHer3特異的抗体分子またはその抗原結合性部分、あるいはHer3に特異的に結合するそのグリコシル化変異体、融合分子または化学的誘導体、またはその抗原結合性領域。
【請求項5】
突然変異免疫グロブリン鎖を含む請求項1、2または3記載の抗体であって、該突然変異抗体が、親免疫グロブリン鎖を含む親抗体より高い、抗原に対するアフィニティーを有し、該突然変異免疫グロブリン鎖が、該親免疫グロブリン鎖の可変領域グリコシル化部位を除去するアミノ酸置換を含み、該除去が、該親抗体と比較して該突然変異抗体のアフィニティーを増加させる効果を有する、請求項1、2または3記載の抗体。
【請求項6】
対象において、Her3の発現に関連した発癌性障害を診断するための、またはHer3の発現に関連した発癌性障害の発生に関する予後を決定するための方法であって、該方法が、該対象からのサンプルを請求項1記載のモノクローナル抗体と接触させ、該サンプルへの該モノクローナル抗体の結合を検出することを含み、該サンプルへの該モノクローナル抗体の結合が該腫瘍の診断の指標となる、方法。
【請求項7】
該抗体が標識されている、請求項6記載の方法。
【請求項8】
対象におけるHer3発現腫瘍の存在または位置を検出する方法であって、該方法が、a)請求項1または2記載の抗体を該対象に投与し、b)該抗体の結合を検出する工程を含み、該結合が該腫瘍の存在または位置を示す、方法。
【請求項9】
Her3の発現に関連した悪性疾患の経過の予後を決定するための方法であって、該方法が、腫瘍細胞を含有する疑いのある対象からサンプルを得、該サンプルを請求項1記載の抗体またはその抗原結合性フラグメントと接触させることを含み、該サンプル中の腫瘍細胞への該抗体またはその抗原結合性フラグメントの結合が該腫瘍の指標となり、該対象における悪性疾患の経過に関する予後を示す、方法。
【請求項10】
Her3の発現に関連した又は該発現により引き起こされる腫瘍を有する患者または患者集団における療法を選択するための方法であって、(a)該患者の腫瘍が、正常体と比較してHer3含有細胞を過剰発現することが知られているかどうかを決定し、(b)該患者の腫瘍が該Her3を過剰発現することが知られている場合には該療法としてHer3抑制物質を選択することを含む方法。
【請求項11】
該物質が、(i)請求項1記載の単離された抗体もしくはその抗原結合性フラグメント、または(ii)請求項2記載の抗体である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
Her3の発現に関連した又は該発現により特徴づけられる発癌性障害を軽減するように意図された治療計画の進行を追跡するための方法であって、
(a)対象からの生物学的サンプルを、該サンプルを請求項1記載の抗体と接触させることによりアッセイして、第1時点におけるHer3のレベルを決定し、
(b)第2時点におけるHer3のレベルをアッセイし、
(c)該治療計画の効果の決定として、(a)において決定されたレベルと、第2時点におけるレベルを比較することを含む方法。
【請求項13】
(a)Her3ポリペプチドを含有する疑いのある試験組織サンプル、および(b)同じ組織型の対照正常組織サンプルにおいて、Her3の発現を決定するための方法であって、該試験組織サンプルおよび該対照組織サンプルを請求項1記載の抗Her3抗体にさらし、前記サンプルのそれぞれにおける該ポリペプチドへの該抗体の相対結合を決定することを含む方法。
【請求項14】
該対照サンプルにおけるHer3発現のレベルを定量して正常または対照値を得、それを、該試験サンプルにおいて得られたレベルと比較して、該試験組織サンプルにおけるHer3の全発現を決定することを更に含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
Her3により引き起こされる癌を示している患者の生存に関する予後を決定するための方法であって、該方法が、(a)該患者からの癌細胞含有サンプルにおけるHer3受容体ポリペプチドのレベルを測定し、(b)該サンプルにおけるHer3受容体ポリペプチドのレベルを、正常組織からのHer3ポリペプチドの参照レベルと比較することを含み、該参照レベルより低い、Her3ポリペプチドのレベルが、該患者の生存の向上に相関しており、工程(a)が、請求項1記載の抗体を使用してHer3のレベルを測定することを含む、方法。
【請求項16】
Her3の発現に関連した発癌性障害を示す疑いのある患者の予後評価のための方法であって、該方法が、(a)発癌性組織を含有する疑いのある該患者から採取された生物学的サンプル中に存在するHer3の濃度を決定し、(b)工程(a)において決定されたレベルを、該生物学的サンプル中に存在するものと同じ型の正常非発癌性組織に存在することが知られているHer3ポリペプチドの濃度範囲と比較し、(c)工程(b)における比較に基づいて該患者の予後を評価することを含み、工程(a)における高レベルのHer3発現が癌の侵襲性形態、したがって不良予後を示し、工程(a)が、該生物学的サンプルを請求項1記載の抗体と接触させることを含む、方法。
【請求項17】
工程(a)の前に、該Her3ポリペプチドを該生物学的サンプルから精製することを含む工程を更に含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
該精製方法がイムノアフィニティークロマトグラフィーである、請求項17記載の方法。
【請求項19】
対象におけるHer3の発現に関連した発癌性障害を有する個体の予後または病的過剰増殖性障害に対する感受性を決定するための方法であって、該方法が、a)該個体の種々の状態における該患者からの生物学的サンプル中のHer3の発現レベルを決定し、b)前記の種々の状態におけるHer3の発現プロファイルを比較することを含み、早期の状態と比較した場合の、より後の状態のサンプルにおける、より高いレベルの該発現が、不良予後を示し、工程(a)が、該生物学的サンプルを請求項1記載の抗体と接触させることを含む、方法。
【請求項20】
対象におけるHer3の発現に関連した病的過剰増殖性発癌性障害を検出する方法であって、a)第1個体から得られた第1組織サンプルにおけるHer3の発現のレベルを決定し、b)工程(a)において得られたレベルを、第1個体または罹患していない第2個体からの正常組織サンプルのレベルと比較することを含み、Her3の発現における相違が、第1個体が該病的過剰増殖性発癌性障害を有しうることを示し、工程(a)が、該生物学的サンプルを請求項1記載の抗体と接触させることを含む、方法。
【請求項21】
該相違が、該正常組織と比較した場合のHer3の発現レベルにおける増加である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
対象におけるHer3の発現に関連した発癌性障害の開始、進行または退縮を決定するための方法であって、
(i)(a)第1生物学的サンプルを対象から得、
(b)Her3発現をダウンレギュレーションするのに十分な治療用抗Her3抗体の治療的有効量と該第1サンプルを接触させ(ここで、該抗体は請求項1記載の抗体以外のものである)、
(c)該第1サンプル中の抗体とHer3含有細胞との間の特異的結合を決定し、
(ii)(a)ついで第2生物学的サンプルを該対象から得、
(b)請求項1記載の抗体と第2生物学的サンプルを接触させ、
(c)該第2サンプル中の抗体とHer3含有細胞との間の特異的結合を決定し、
(iii)該腫瘍の開始、進行または退縮の決定として、該第1サンプルにおける結合の決定を該第2サンプルにおける特異的結合の決定と比較することを含む、方法。
【請求項23】
Her3の増加に関連した発癌性障害を有することを示している対象におけるHer3の異常レベルの矯正における抗体の効力をモニターするための方法であって、該方法が、
i)請求項1または2記載の抗体以外の通常のHer3抗体の有効量を該対象に投与し、
ii)前記の通常の抗体の投与の後、該対象におけるHer3のレベルを決定することを含み、正常レベルへ向かう、Her3のレベルの変化が、該抗体の効力の指標となる、方法。
【請求項24】
工程(ii)が、該対象から得られた組織サンプルを請求項1記載の抗体と、Her3発現細胞と該抗体との複合体の形成に有利な条件下で接触させ、該サンプル中のHer3の発現レベルの決定として該複合体を検出することを含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
該抗体が、検出可能な標識を含む、請求項23記載の方法。
【請求項26】
該検出可能標識が、フルオレセイン、ローダミン、フィコエリトリン、ビオチンおよびストレプトアビジンからなる群から選択される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
フローサイトメトリー分析、免疫化学的検出および免疫ブロット分析からなる群から選択される方法により該抗体を検出する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
該抗体またはフラグメントが溶解状態にある、請求項27記載の方法。
【請求項29】
該生物学的サンプルが軟部組織腫瘍細胞および非悪性細胞を含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
容器、該容器上のラベル、および該容器内に含有される活性物質を含む組成物を含む製造品であって、該組成物が、腫瘍組織または異形成細胞におけるHer3を検出するのに有効であり、該容器上のラベルが、該組成物が、正常組織と比較して、該腫瘍組織におけるHer3ポリペプチドの発現に関連した状態を診断するのに有効であることを表示している、製造品。
【請求項31】
該活性成分が請求項1または2記載の抗体を含む、請求項30記載の製造品。
【請求項32】
Her3の発現に関連した発癌性障害をイメージングするインビボ方法であって、
(a)イメージングに有効な量の標識された請求項1記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメントおよび医薬上有効な担体を対象に投与し、
(b)該障害に関連したHer3発現細胞への該標識モノクローナル抗体またはそのフラグメントの結合を検出する工程を含む方法。
【請求項33】
該モノクローナル抗体またはそのフラグメントが放射能標識されている、請求項32記載の方法。
【請求項34】
該検出が放射性イメージングを含む、請求項33記載の方法。
【請求項35】
癌が抗腫瘍物質での治療に感受性であるかどうかを決定するための方法であって、該方法が、(a)該癌のサンプルを得、(b)該サンプル中のHer3のレベルを測定し、(c)該レベルを所定値と比較し、(d)測定レベルが該所定値より大きい場合には、該癌が該抗腫瘍物質での治療に感受性であると決定する工程を含み、工程(a)が、該生物学的サンプルを請求項1記載の抗体と接触させることを含む、方法。
【請求項36】
Her3にインビボで結合する標識された請求項1記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合性フラグメントと、医薬上許容される担体とを含む、Her3の発現に関連した発癌性障害のインビボイメージングのための医薬組成物。
【請求項37】
生物学的サンプル中のHer3またはそのアイソフォームの1つ又はその断片を検出するための方法であって、(a)該生物学的サンプルを請求項1記載の抗体と接触させて抗体−ポリペプチド複合体を形成させ、(b)該サンプル中の該Her3の存在を示すものとして該抗体−ポリペプチド複合体を検出することを含む方法。
【請求項38】
該抗体が、検出可能な様態で標識されている、請求項37記載の方法。
【請求項39】
工程(b)がイムノアッセイを含み、該イムノアッセイが、直接的、間接的、捕捉、競合結合性および置換を含む群から選択される、請求項37記載の方法。
【請求項40】
Her3の存在を検出する工程が定性分析を含む、請求項37記載の方法。
【請求項41】
Her3の存在を検出する工程が定量分析を含む、請求項37記載の方法。
【請求項42】
該結合アッセイが臨床診断アッセイを含む、請求項39記載の方法。
【請求項43】
IFA、直線流動、放射状流動、ウエスタンブロット、ELISA、ディップ・スティック(dip stick)、EIA、蛍光偏光、酵素捕捉およびRIAからなる群から選択されるタイプのものである、請求項42記載の方法。
【請求項44】
Her3の発現に関連した発癌性障害を診断するための方法であって、該方法が、a)Her3に特異的に結合する抗体を使用して、患者から得られたサンプル中のHer3タンパク質の量を、ラジオイムノアッセイ、競合結合アッセイ、ウエスタンブロット分析、ELISAアッセイまたはサンドイッチアッセイにより測定し、b)該Her3タンパク質に結合した抗体の量を正常対照組織サンプルと比較することを含み、正常対照組織サンプルと比較した場合の、該患者から得られたサンプル中のHer3の発現の増加または過剰発現が、Her3の発現に関連した発癌性障害の診断となり、該抗体が請求項1に記載されているものである、方法。
【請求項45】
患者から得られたサンプルが組織生検である、請求項44記載の方法。
【請求項46】
a)癌の診断またはモニターを要する個体から組織のサンプルを得、b)該サンプル中のHer3タンパク質のレベルを検出し、c)Her3タンパク質レベルに関して該サンプルをスコア化し、d)該スコア化を、対照組織サンプルから得られたものと比較して、該癌に関連した予後を決定することを含む診断またはモニター方法であって、工程(b)が、該組織サンプルを請求項1記載の抗体と接触させることを含む、診断またはモニター方法。
【請求項47】
該スコア化が、0〜4の尺度を用いることを含み、ここで、0は陰性(検出不可能なHer3、または対照レベルと比較されうるHer3レベル)であり、4は細胞の大多数における高い強度の染色であり、ここで、1〜4のスコアは不良な予後を示し、0のスコアは良好な予後を示す、請求項46記載の診断またはモニター方法。
【請求項48】
該検出または測定工程が、免疫ブロット法、免疫組織化学法および免疫細胞化学法からなる方法の群から選択される、請求項47記載の診断またはモニター方法。
【請求項49】
蛍光標示式細胞分取(FACS)により工程b)を行う、請求項46記載の診断またはモニター方法。
【請求項50】
患者において腫瘍を治療するための、Her3標的化物質を含む化学療法計画を決定するための方法であって、該方法が、(a)該腫瘍の組織サンプルを得、(b)該サンプル中のHer3のレベルを検出し、(c)Her3レベルの発現に関して該サンプルをスコア化し、(d)釣り合った非悪性組織サンプルにおいて工程(b)〜(c)を繰返して閾値レベルを得、(e)工程(c)の差動的(differential)Her3発現レベルおよび工程(d)の閾値レベルを比較することにより化学療法計画を決定することを含み、工程(d)と比較した場合の工程(c)における差動的Her3発現レベルの増加が、該患者を該化学療法計画に付すことを指図し、工程(b)が、該組織サンプルを請求項1記載の抗体と接触させることを含む、方法。
【請求項51】
該スコア化が、0〜4の尺度を用いることを含み、ここで、0は陰性(検出不可能なHer3、または対照レベルと比較されうるHer3レベル)であり、4は細胞の大多数における高い強度の染色であり、ここで、1〜4のスコア(すなわち、陽性スコア)は化学療法計画を示す、請求項50記載の方法。
【請求項52】
Her3発現に関連した発癌性障害を有する患者における無疾患生存および/または全体的生存を予測するための方法であって、該方法が、a)該発癌性障害を示す個体から罹患組織または癌組織のサンプルを得、b)該サンプルの癌細胞または癌組織におけるHer3発現細胞のレベルを検出し、c)Her3レベルの発現に関して該サンプルをスコア化し、d)該スコア化を、対照サンプルから得られたものと比較して、Her3に関連した無疾患生存および全体的生存の可能性を決定することを含み、工程(b)が、該組織サンプルを請求項1記載の抗体と接触させることを含む、方法。
【請求項53】
該スコア化が、0〜4の尺度を用いることを含み、ここで、0は陰性(検出不可能なHer3、または対照レベルと比較されうるHer3レベル)であり、4は細胞の大多数における高い強度の染色であり、ここで、1〜4のスコア(すなわち、陽性スコア)は、該障害を有する患者における無疾患および全体的生存に関する不良予後を示す、請求項52記載の方法。
【請求項54】
Her3媒介性癌の治療方法であって、該方法が、a)該癌の治療を要する患者から罹患組織のサンプルを得、b)該組織サンプルにおけるHer3レベルの発現のレベルを決定し、c)Her3レベルの発現に関して該サンプルをスコア化し、d)該スコアを相関して、Her3アンタゴニストでの治療から利益を得る可能性のある患者を特定することを含み(該相関工程は、該スコア化を、対照サンプルから得られたものと比較することを含む)、e)該癌の予後を改善することが知られた治療計画で該患者を治療し、f)工程「a」および「b」を繰返し、g)該癌の予後を改善することが知られた該治療計画を調節し、h)適当とみなされる頻度で工程a〜fを繰返すことを含み、工程(b)が、該組織サンプルを請求項1記載の抗体と接触させることを含む、方法。
【請求項55】
該スコア化が、0〜4の尺度を用いることを含み、ここで、0は陰性(検出不可能なHer3、または対照レベルと比較されうるHer3レベル)であり、4は細胞の大多数における高い強度の染色である、請求項54記載の方法。
【請求項56】
Her3媒介性障害の治療方法であって、該方法が、それを要する患者に、該障害を治療するのに十分な請求項1または2記載の抗体を投与することを含み、該抗体が、Her3に特異的なアンタゴニスト抗体である、方法。
【請求項57】
Her3媒介性障害を軽減するための治療計画の効果を決定するための方法であって、該計画がHer3アンタゴニストの使用を含み、該方法が、a)該治療計画を受けている個体から細胞または組織サンプルを得、b)該細胞または組織サンプルにおいてHer3のレベルを測定し、c)Her3タンパク質レベルに関して該サンプルをスコア化し、d)該レベルを対照サンプルのレベルと比較して、該治療計画に対する該Her3媒介性障害の応答性を予測する工程を含み、工程(b)が、該組織サンプルを請求項1記載の抗体と接触させることを含む、方法。
【請求項58】
臨床治験のために、Her3により媒介される発癌性障害を示す患者を層化するための方法であって、該方法が、a)該患者から組織サンプルを得、b)該サンプル中のHer3タンパク質のレベルを検出し、c)Her3タンパク質レベルに関して該サンプルをスコア化し、d)該スコア化工程の結果に基づいて、該臨床治験のために該患者を層化することを含み、工程(b)が、該組織サンプルを請求項1記載の抗体と接触させることを含む、方法。
【請求項59】
該スコア化が、0〜4の尺度を用いることを含み、ここで、0は陰性(検出不可能なHer3、または対照レベルと比較されうるHer3レベル)であり、4は細胞の大多数における高い強度の染色である、請求項58記載の方法。
【請求項60】
Her3の発現により特徴づけられる乳腫瘍を分類または病期分類する方法であって、該方法が、i)乳腫瘍サンプルを準備し、ii)該サンプル中のHer3の発現を検出し、iii)Her3発現レベルに関して該サンプルをスコア化し、iv)該スコア化工程の結果に基づいて、腫瘍サブクラスに属するものとして該腫瘍を分類する工程を含み、工程ii)が、該組織サンプルを請求項1記載の抗体と接触させることを含む、方法。
【請求項61】
該スコア化が、0〜4の尺度を用いることを含み、ここで、0は陰性(検出不可能なHer3、または対照レベルと比較されうるHer3レベル)であり、4は細胞の大多数における高い強度の染色である、請求項60記載の方法。
【請求項62】
哺乳動物における抗体誘発性細胞性細胞傷害に感受性であるヒト腫瘍の治療方法であって、該ヒト腫瘍が、請求項1または2記載の抗体の細胞性細胞傷害誘発特性を有するモノクローナル抗体に特異的に結合する抗原を発現し、該方法が、該抗体またはその抗原結合性フラグメントを、細胞性細胞傷害を誘発しそれにより該哺乳動物の腫瘍負荷を軽減するのに有効な量で、該哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項63】
該抗体が細胞毒性部分にコンジュゲート化されている、請求項62記載の方法。
【請求項64】
該細胞毒性部分が放射性同位体である、請求項62記載の方法。
【請求項65】
該抗体が補体を活性化する、請求項63記載の方法。
【請求項66】
該抗体が抗体依存性細胞性細胞傷害を引き起こす、請求項62記載の方法。
【請求項67】
細胞毒性部分、酵素、放射性化合物および血液原性細胞からなる群から選択されるものにコンジュゲート化された、請求項1、2または3のいずれか1項記載の単離された抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項68】
該抗体が多価抗体である、請求項1、2または3記載の単離された抗体。
【請求項69】
該抗体が、Her3に特異的な二重特異性4価抗体である、請求項68記載の抗体。
【請求項70】
抗原結合性領域および変異Fc領域を含む、請求項1、2または3記載の単離された抗体であって、該変異Fc領域が、(A)アミノ酸修飾を含む点で野生型Fc領域とは異なり、(B)該野生型Fc領域と比較して増加したアフィニティーでFcγRに結合する、請求項1、2または3記載の単離された抗体。
【請求項71】
該FcγRがFcγRIIIAである、請求項70記載の抗体。
【請求項72】
該抗体の該変異Fc領域が、該野生型Fc領域と比較して減少した、FcγRIIBに対するアフィニティーを有する、請求項71記載の抗体。
【請求項73】
請求項1、2または3のいずれか1項記載の抗体から誘導される変異抗体であって、該抗体がFc領域を含み、該変異体が、親ポリペプチドより有効に、ヒトエフェクター細胞の存在下で抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を引き起こし、またはより良好なアフィニティーでFcγ受容体(FcγR)に結合し、該Fc領域内に少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む、変異抗体。
【請求項74】
哺乳動物における抗体誘発性細胞性細胞傷害に感受性であるヒト腫瘍の治療方法であって、該ヒト腫瘍が、請求項1、2または3のいずれか1項記載の抗体の細胞性細胞傷害誘発特性を有するモノクローナル抗体に特異的に結合するHer3受容体を発現し、該方法が、該モノクローナル抗体またはその抗原結合性フラグメントを、細胞性細胞傷害を誘発しそれにより該哺乳動物の腫瘍負荷を軽減するのに有効な量で、該哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項75】
該モノクローナル抗体が細胞毒性部分にコンジュゲート化されている、請求項74記載の方法。
【請求項76】
該細胞毒性部分が放射性同位体である、請求項75記載の方法。
【請求項77】
該モノクローナル抗体が補体を活性化する、請求項76記載の方法。
【請求項78】
該モノクローナル抗体が抗体依存性細胞性細胞傷害を引き起こす、請求項77記載の方法。
【請求項79】
細胞毒性部分、酵素および放射性化合物からなる群から選択されるものにコンジュゲート化された、請求項1、2または3のいずれか1項記載の単離された抗体または抗原結合性フラグメント。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−507378(P2013−507378A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533305(P2012−533305)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/051739
【国際公開番号】WO2011/044311
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】