説明

抗IGF1R抗体処方物

本発明は、高い安定性を示す抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む薬学的処方物を、その使用の方法と併せて提供する。本発明の薬学的処方物は、IGF1Rに特異的に結合する単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメント、緩衝剤およびスクロースを含む。本発明のキットは、(a)容器もしくは注入デバイス中の本発明の処方物;ならびに(b)薬物動態、薬力学、臨床研究、効能パラメーター、適応症および用法、禁忌、警告、注意事項、有害反応、過用量、適切な用量および投与、どのように供給されるか、適切な保存条件、参考文献ならびに特許の情報からなる群より選択される該処方物に関連する1つ以上の情報項目を含むパッケージ挿入物を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2005年6月15日に出願された米国仮特許出願番号第60/690,810の利益を主張し、これは本明細書中にその全体が参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明はとりわけ、高い安定性を示す抗体を含む薬学的処方物を提供する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
抗体は、ほとんどのタンパク質と同様、その活性を維持するためにその高次構造を維持しなければならない。抗体(治療抗体を含む)を販売している会社が直面している1つの問題は、抗体が変性する(つまり、生物学的活性を失う)ことなく長時間存在し得る状態の同定である。一般的に、市場にある治療抗体は、比較的不安定であり、注意深い操作および低温での貯蔵を必要とする。例えば、治療抗体であるAvastinTM、Herceptin(登録商標)およびErbituxTMは、2℃〜8℃での貯蔵を必要とする。この産業の様々な会社(例えば、Pfizer、Imclone、Pierre Fabre、RocheおよびImmunogen)によって所有されている抗IGF1R抗体は、同様に不安定性を示すようである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在入手可能な治療抗体によって示される低レベルの安定性は、特別な貯蔵状態が必要とされることによって引き起こされる費用および不便さ、ならびに投与前における抗体の偶発的な不活性化の危険性および分解/凝集による考えられる有毒性/免疫原性の両方のために、不利である。ゆえに、当該分野において、幅広い条件での貯蔵中に治療抗体(例えば、抗IGF1R治療抗体)を安定させ得る薬学的処方物の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、優れた安定性を示し、ゆえに、室温で貯蔵され得る、単離された抗IGF1R抗体(例えば、モノクローナル抗体)もしくはその抗原結合フラグメントを含む薬学的処方物を提供することによって、当該分野における上記で参照された必要性に取り組んでいる。
【0006】
本発明は、治療上有効な量(もしくは本発明の一実施形態においては、任意の量)の、IGF1Rに特異的に結合する単離された抗体(例えば、モノクローナル抗体)もしくはその抗原結合フラグメント、緩衝剤(例えば、酢酸塩(例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム))および酢酸(例えば、約1mM〜約20mMの濃度で)およびスクロース(例えば、約5mg/ml〜約70mg/mlの濃度で)を、必要に応じてpH約5.5〜約6.0(例えば、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0)で含む、薬学的処方物を提供する。一実施形態において、抗体もしくはフラグメントは、配列番号1〜配列番号3からなる群より選択される1つ以上の軽鎖相補性決定領域;および配列番号4〜配列番号7からなる群より選択される1つ以上の重鎖相補性決定領域を含む。
【0007】
本発明はまた、配列番号8〜配列番号14のアミノ酸20〜128からなる群より選択される軽鎖可変領域および/もしくは配列番号15〜配列番号17のアミノ酸20〜137からなる群より選択される重鎖可変領域を含む、単離された抗体(例えば、モノクローナル抗体)もしくはその抗原結合フラグメント;酢酸塩;酢酸ならびにスクロースをpH約5.5で含む、凍結乾燥された薬学的処方物を提供する。
【0008】
本発明は、配列番号8〜配列番号14のアミノ酸20〜128からなる群より選択される軽鎖可変領域および/もしくは配列番号15〜配列番号17のアミノ酸20〜137からなる群より選択される重鎖可変領域を含む単離された抗体(モノクローナル抗体)もしくは抗原結合フラグメント;酢酸塩;酢酸ならびにスクロースをpH約5.5で含む薬学的処方物を提供する。本発明の実施形態において、処方物は無菌である。本発明の一実施形態において、抗体は、γ1、γ2、γ3およびγ4からなる群より選択される重鎖定常領域もしくはκ軽鎖領域を含む。本発明の一実施形態において、処方物は水溶液である。本発明の一実施形態において、抗体濃度は、約20mg/mlである。本発明の一実施形態において、酢酸塩の濃度は約2.3mg/mlであり、酢酸の濃度は約0.18mg/mlであり、そしてスクロースの濃度は約70mg/mlである。本発明の一実施形態において、処方物は、さらなる治療剤(例えば、
【0009】
【化7】

【0010】
【化8】

および下記の「さらなる治療剤および手順」において述べる任意の他の薬剤からなる群より選択されるメンバー)と組み合わされる。一実施形態において、処方物は、配列番号8〜配列番号14のアミノ酸20〜128からなる群より選択される軽鎖可変領域および/もしくは配列番号15〜配列番号17のアミノ酸20〜137からなる群より選択される重鎖可変領域を含む、単離された抗体(例えば、モノクローナル抗体)もしくはその抗原結合フラグメント;酢酸塩;酢酸ならびにスクロースを、pH約5.5で、さらなる治療剤と一緒に単一の組成物中に含む。
【0011】
本発明は、(a)配列番号8〜配列番号14のアミノ酸20〜128からなる群より選択される軽鎖可変領域および/もしくは配列番号15〜配列番号17のアミノ酸20〜137からなる群より選択される重鎖可変領域を含む、20mg/ml(もしくは本発明の一実施形態においては、任意の濃度)の単離された抗体(例えば、モノクローナル抗体)もしくはその抗原結合フラグメント(例えば、成熟LCFおよび成熟HCA);(b)2.3mg/mlの酢酸ナトリウム三水和物 USP;(c)0.18mg/mlの氷酢酸 USP/Ph.Eur;(d)70mg/mlのスクロース NF,Ph.Eur,BP;および(e)水を含む、pH5.5の、薬学的処方物を提供する。
【0012】
本発明は、再構築された場合に(a)配列番号8〜配列番号14のアミノ酸20〜128からなる群より選択される軽鎖可変領域および/もしくは配列番号15〜配列番号17のアミノ酸20〜137からなる群より選択される重鎖可変領域を含む、20mg/ml(もしくは本発明の一実施形態においては、任意の濃度)の単離された抗体(例えば、モノクローナル抗体)もしくはその抗原結合フラグメント(例えば、成熟LCFおよび成熟HCA);(b)2.3mg/mlの酢酸ナトリウム三水和物 USP;(c)0.18mg/mlの氷酢酸 USP/Ph.Eur;(d)70mg/mlのスクロース NF,Ph.Eur,BP;および(e)水を含む、pH5.5の凍結乾燥された薬学的処方物を提供する。
【0013】
本発明は、本明細書中で述べる処方物のうちのいずれかを含む容器(例えば、ガラス製のバイアル)を提供する。
【0014】
本発明は、本明細書中で述べる処方物のうちのいずれかを含む注入デバイス(例えば、皮下針および注射器)を提供する。
【0015】
本発明は、(a)容器もしくは注入デバイス中の本発明の処方物のうちのいずれか;ならびに(b)薬物動態、薬力学、臨床研究、効能パラメーター、適応症および用法についての指示、禁忌、警告、注意事項、有害反応、過用量、適切な用量および投与、どのように供給されるか、適切な保存条件、参考文献ならびに特許の情報からなる群より選択される前述の処方物に関連する1つ以上の情報項目を含むパッケージ挿入物を備えるキットを提供する。
【0016】
本発明はまた、IGF1R、IGF−1および/もしくはIGF−2によって媒介される医学的障害を被験体(例えば、ヒト)において処置もしくは予防するための方法を提供し、この方法は、治療上有効な量の本明細書中に述べるいずれかの処方物を被験体に投与する工程を包含する。本発明の一実施形態において、この医学的障害は、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、小児癌、先端巨大症、卵巣癌、膵臓癌、良性前立腺肥大症、乳癌、前立腺癌、骨癌、肺癌、結腸直腸癌、頚部癌、滑膜肉腫、膀胱癌、胃癌、ウィルムス癌、卵巣癌、良性前立腺肥大症(BPH)、転移性カルチノイドおよび血管作動性腸管ペプチド分泌腫瘍に関連する下痢、ビポーマ、ウェルナー−モリソン症候群、腎臓癌、腎細胞癌、移行上皮癌、ユーイング肉腫、白血病、急性リンパ芽球性白血病、脳の癌、膠芽腫、非膠芽腫の脳の癌、髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、未分化神経外胚葉性腫瘍、髄芽腫、星状細胞腫、乏突起膠腫、脳室上衣腫、脈絡叢乳頭腫、巨人症、乾癬、アテローム性動脈硬化症、血管の平滑筋再狭窄、不適切な微小血管増殖、先端巨大症、巨人症、乾癬、アテローム性動脈硬化症、血管の平滑筋再狭窄もしくは不適切な微小血管増殖、グレーヴズ病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、自己免疫性甲状腺炎ならびにベーチェット病(Bechet’s disease)からなる群より選択される。本発明の実施形態において、被験体は、この処方物と組み合わせてさらなる治療剤を投与される。本発明の処方物において、このさらなる治療剤は、
【0017】
【化9】

【0018】
【化10】

【0019】
【化11】

および下記の「さらなる治療剤および手順」において述べる1つ以上の他の薬剤)からなる群より選択される。一実施形態において、処方物は、被験体に非経口(例えば、静脈内、筋肉内、腫瘍内、鞘内、動脈内、皮下)で投与される。本発明の一実施形態において、処方物は、pH約5.5であり、そして(a)配列番号8〜配列番号14のアミノ酸20〜128からなる群より選択される軽鎖可変領域および/もしくは配列番号15〜配列番号17のアミノ酸20〜137からなる群より選択される重鎖可変領域を含む、20mg/mlの単離された抗体(例えば、モノクローナル抗体)もしくはその抗原結合フラグメント;(b)2.3mg/mlの酢酸ナトリウム三水和物 USP;(c)0.18mg/mlの氷酢酸 USP/Ph.Eur;(d)70mg/mlのスクロース NF,Ph.Eur,BP;および(e)水を含む。
【0020】
本発明は、配列番号8〜配列番号14のアミノ酸20〜128からなる群より選択される軽鎖可変領域および/もしくは配列番号15〜配列番号17のアミノ酸20〜137からなる群より選択される重鎖可変領域を含む単離された抗体(例えば、モノクローナル抗体)もしくはその抗原結合フラグメントを安定化させるための方法を提供し;この方法は、前述の抗体と酢酸塩;酢酸およびスクロースを、必要に応じてpH約5.5で合わせる工程を包含する。本発明の一実施形態において、抗体の濃度は、約20mg/mlである。本発明の一実施形態において、酢酸塩の濃度は約2.3mg/mlであり、酢酸の濃度は約0.18mg/mlであり、そしてスクロースの濃度は約70mg/mlである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
本発明の処方物中の抗体は、優れた安定性を示す。本発明の処方物は、その中に含まれる抗体を、数ヶ月の室温(例えば、25℃)での貯蔵の後でもインタクトな状態に保つことを許容する。このような高い安定性は、例えば、この処方物が、この処方物を所有する臨床医、患者もしくは薬局が室温もしくは冷蔵下で保存することを便宜的に選択することを許容するので、本発明の処方物を特に有用にする。さらに、高い安定性は、抗体がそれらの生物学的活性を時間がたっても保持することを確実にし、その有用性を保持することをも確実にする(例えば、癌のような状態を処置するために使用される場合)。本発明の処方物の特有の利点は、室温での保存なし(例えば、4℃での冷蔵下)でさえも実現され得る。4℃で貯蔵された場合、この処方物は、いくぶんより高い安定性を示す。
【0022】
本発明はとりわけ、任意の抗IGF1R抗体、緩衝剤(例えば、酢酸塩/酢酸緩衝剤)およびスクロースを、pH約5.5〜約6.0(例えば、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0;本発明の一実施形態においては、pHは、約5.3もしくは5.4である)で含む薬学的処方物を提供する。本発明の処方物は、例えば、IGF1Rの上昇した発現もしくは活性によって、またはそのリガンド(例えば、IGF−IもしくはIGF−II)の上昇した発現によって媒介される任意の医学的障害を処置もしくは予防するために患者に投与するのに有用であり、この医学的障害は、IGF1Rリガンドの結合、活性もしくは発現を調節することによって処置もしくは予防され得る。本発明の一実施形態において、疾患もしくは状態は、IGF1R、IGF−IもしくはIGF−IIの上昇したレベルによって媒介され、そしてIGF1Rリガンドの結合、活性(例えば、自己リン酸化活性)もしくは発現を減少させることによって処置もしくは予防される。
【0023】
本発明の一実施形態において、本発明の処方物は、以下に述べるとおりである:
本発明の一実施形態において、本発明の処方物は、以下に述べるとおりである:
【0024】
【化12】

処方物に関する一般的な情報に関しては、例えば、Gilmanら(編)(1990)、The Pharmacological Bases of Therapeutics、8th Ed、Pergamon Press;A. Gennaro(編)、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版(1990)、Mack Publishing Co.、Easton、Pennsylvania;Avisら(編)(1993) Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications Dekker、New York; Liebermanら(編)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets Dekker、New York;およびLiebermanら、(編)(1990)、Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems Dekker、New York、Kenneth A. Walters(編)(2002)Dermatological and Transdermal Formulations(Drugs and the Pharmaceutical Sciences)Vol 119、Marcel Dekkerを参照されたい。
【0025】
用語「被験体」もしくは「患者」は、あらゆる生物体、例えば、哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウマ、ウサギ、サル、類人猿、霊長類、チンパンジー、トリもしくはウシ)(例えば、ヒト(その小児の被験体(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17もしくは18歳の年齢)およびその老人の被験体(例えば、60、65、70、75、80、85、90歳もしくはそれ以上の年齢)を含む)を包含する。
【0026】
(抗体)
本発明は、抗IGF1R抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む薬学的組成物を含む。用語「抗IGF1R」抗体は、例えば、15H12/19D12 HC(重鎖)、HCAもしくはHCBおよび/または15H12/19D12 LC(軽鎖)、LCA、LCB、LCC、LCD、LCEもしくはLCF(もしくはそれらの任意の成熟フラグメント)(例えば、LCFおよびHCA)を含むあらゆる抗体を包含する。本発明の一実施形態において、抗IGF1R抗体もしくはその抗原結合フラグメントとしては、IGF1Rもしくはその任意のフラグメント(例えば、sIGF1R)に特異的に結合する抗体およびフラグメントが挙げられる。本発明の一実施形態において、抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト化された抗体、キメラ抗体、抗イディオタイプ抗体および二重特異性抗体が挙げられ、そしてフラグメントとしては、Fab抗体フラグメント、F(ab)抗体フラグメント、Fv抗体フラグメント(例えば、VもしくはV)、単鎖Fv抗体フラグメントおよびdsFv抗体フラグメントが挙げられる。さらに、本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R抗体は、完全にヒト抗体である。本発明の一実施形態において、抗IGF1R抗体はモノクローナルで、完全なヒト抗体である。本発明の一実施形態において、抗IGF1R抗体は、アミノ酸およびヌクレオチドの配列を本明細書中に述べる、可変領域および/もしくはCDRのうちの1つ以上を含む
【0027】
【化13】

本発明の範囲は、定常領域(例えば、κ鎖)に結合した軽鎖可変領域および/もしくは定常領域(例えば、γ1、γ2、γ3もしくはγ4の定常領域)に結合した重鎖可変領域を含む抗IGF1R抗体を含む薬学的処方物を含む。
【0028】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R抗体は、ヒトIGF1Rおよび/もしくはsIGF1R(IGF1Rの任意の可溶性フラグメント)を認識する;しかしながら、本発明は、異なる種(例えば、哺乳動物(例えば、ラット、ネズミ、ウサギ、ヒツジもしくはイヌ))からのIGF1Rを認識する抗体を含む。
【0029】
本発明の一実施形態において、IGF1R(例えば、ヒトIGF1R)に「特異的に」結合する抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、約10−8Mもしくは10−7Mあるいはそれより低い数値のKdで結合するか;または本発明の一実施形態において、Biacore測定による約1.28×10−10Mもしくはそれより低い数値のKdで結合するか;またはKinExA測定による約2.05×10−12もしくはそれより低い数値のKdで結合する。本発明の別の実施形態において、ヒトIGF1Rに「特異的に」結合する抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、ヒトIGF1Rにもっぱら結合し、他のタンパク質には有意なレベルでは結合しない。
【0030】
一実施形態において、本発明の抗IGF1R抗体、特にIGF1Rに「特異的に」結合する抗IGF1R抗体は、以下の特性のうちの1つ以上を含む:
(a)IGF1Rに約86×10−11もしくはそれより低い数値のKdで結合する;
(b)IGF1Rに対して約6.50×10−5もしくはそれより低い数値の解離速度(off rate)(Koff)を有する;
(c)IGF1Rに対して約0.7×10もしくはそれより高い数値の結合速度(on rate)(Kon)を有する;
(d)IGF1Rへの結合について、IGF1と競合する;
(e)IGF1Rの自己リン酸化を阻害する;および
(f)IGF1Rを発現する細胞の足場非依存性増殖を阻害する。
【0031】
「Koff」は、抗体/抗原複合体から抗体が解離する解離速度定数をいう。
【0032】
「Kon」は、抗体が抗原と会合する速度をいう。
【0033】
「K」は、特定の抗体/抗原相互作用の解離定数をいう。K=Koff/Kon
【0034】
用語「モノクローナル抗体」は、本明細書中で使用される場合、実質的に均一な抗体集団から獲得される抗体を含む(すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量存在し得る起こり得る自然発生の変異を除いて同一である)。モノクローナル抗体は、単一の抗原部位に対するものであり、その部位に対して高度に特異的である。モノクローナル抗体は、それらが他の免疫グロブリンによって本質的に汚染されていないハイブリドーマ培地によって合成され得るということにおいて有利である。修飾語「モノクローナル」は、とりわけ実質的に均一な抗体集団という抗体の特性を示すのであって、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするとは解釈されるべきではない。上記で示したように、本発明に関連して使用されるモノクローナル抗体は、Kohlerら(1975)Nature 256:495によって最初に記載されたハイブリドーマ方法もしくは当該分野において公知な他の方法によって作製され得る。
【0035】
ポリクローナル抗体は、1つ以上の他の非同一抗体の中で、もしくは1つ以上の他の非同一抗体の存在下で産生された抗体である。一般的に、ポリクローナル抗体は、あるBリンパ球から、非同一抗体を産生するいくつかの他のBリンパ球の存在下で産生される。通常、ポリクローナル抗体は、免疫された動物から直接獲得される。
【0036】
二重特異性もしくは二機能性の抗体は、2つの異なる重/軽鎖の対および2つの異なる結合部位を有する人工のハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、種々の方法(ハイブリドーマの融合もしくはFab’フラグメントの結合を含む)によって産生され得る。例えば、Songsivilaiら(1990) Clin. Exp. Immunol. 79:315−321、Kostelnyら(1992) J Immunol. 148:1547−1553を参照されたい。さらに、二重特異性抗体は、「ダイアボディ(diabody)」として形成され得るか(Holligerら、(1993) PNAS USA 90:6444−6448)、もしくは「Janusins」として形成され得る(Trauneckerら、(1991) EMBO J. 10:3655−3659およびTrauneckerら、(1992) Int. J. Cancer Suppl. 7:51−52)。
【0037】
用語「完全にヒトの抗体」は、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列のみを含む抗体をいう。完全にヒトの抗体は、マウス内で、マウス細胞内で、もしくはマウス細胞から誘導されたハイブリドーマ内で産生された場合、ネズミの糖鎖を含み得る。同様に、「マウス抗体」は、マウス免疫グロブリンの配列のみを含む抗体をいう。
【0038】
本発明は、別の種(例えば、マウス、ウマ、ウサギ、イヌ、ウシ、ニワトリ)からの抗体領域(例えば、定常領域)と融合もしくはキメラ化された1種の可変領域を含む抗体である「キメラ抗体」を含む。これらの抗体は、非ヒト種でのIGF1Rの発現もしくは活性を調節するために使用され得る。
【0039】
「単鎖Fv」もしくは「sFv」抗体フラグメントは、抗体のVドメインおよびVドメインを有し、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖中に存在する。一般的に、sFvポリペプチドはさらに、VドメインとVドメインとの間にポリペプチドのリンカーを含み、これは、sFvが、抗原結合のために望ましい構造を形成することを可能にする。単鎖抗体の産生に関して記載された技術(米国特許第5,476,786号;同第5,132,405号および同第4,946,778号)は、抗IGF1R特異性の単鎖抗体を産生するのに適合され得る。sFvの概説に関しては、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、vol.113、RosenburgおよびMoore(編)、Springer−Verlag、N.Y.、pp.269−315(1994)を参照されたい。
【0040】
「ジスルフィド安定化Fvフラグメント」および「dsFv」は、ジスルフィド架橋によって結合された可変重鎖(V)および可変軽鎖(V)を含む抗体分子をいう。
【0041】
本発明の範囲内の処方物中で使用するための抗体フラグメントとしてはまた、IgGの酵素的切断によって(例えば、ペプシンによって)産生され得るF(ab)フラグメントが挙げられる。Fabフラグメントは、例えば、ジチオトレイトールもしくはメルカプトエチルアミンでのF(ab)の還元によって産生され得る。Fabフラグメントは、V−CH1鎖にジスルフィド架橋によって付属しているV−C鎖である。F(ab)フラグメントは、2つのFabフラグメントであり、これらは次に2つのジスルフィド架橋によって付属している。F(ab)分子のFab部分は、F領域の部分を含み、その間にジスルフィド架橋が位置している。
【0042】
フラグメントは、V領域もしくはV領域である。
【0043】
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に依存して、免疫グロブリンは、種々のクラスに割り当てられ得る。少なくとも5つの主要なクラスの免疫グロブリン:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、そしてこれらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG−1、IgG−2、IgG−3およびIgG−4;IgA−1およびIgA−2)にさらに細分され得る。
【0044】
本発明の処方物の抗IGF1R抗体もまた、化学的部分と結合され得る。この化学的部分はとりわけ、ポリマー、放射性核種もしくは細胞毒性因子であり得る。本発明の一実施形態において、この化学的部分は、被験体の体内での抗体分子の半減期を長くするポリマーである。適切なポリマーとしては、ポリエチレングリコール(PEG)(例えば、2kDa、5kDa、10kDa、12kDa、20kDa、30kDaもしくは40kDaの分子量を有するPEG)、デキストランおよびモノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)が挙げられるが、これらに限定されない。Leeら(1999)(Bioconj.Chem.10:973−981)は、PEGに結合した単鎖抗体を開示している。Wenら(2001)(Bioconj.Chem.12:545−553)は、放射性金属のキレーター(例えば、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA))に結合したPEGと結合した抗体を開示している。
【0045】
本発明の処方物の抗体および抗体フラグメントはまた、標識(例えば、99Tc、90Y、111In、32P、14C、125I、H、131I、11C、15O、13N、18F、35S、51Cr、57To、226Ra、60Co、59Fe、57Se、152Eu、67CU、217Ci、211At、212Pb、47Sc、109Pd、234Thおよび40K、157Gd、55Mn、52Trおよび56Fe)と結合され得る。
【0046】
本発明の処方物の抗体および抗体フラグメントはまた、蛍光標識もしくは化学発光標識(発蛍光団(例えば、希土類キレート、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、イソチオシアネート、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルアルデヒド、フルオレサミン、152Eu、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェリン、ルミナール標識、イソルミナール標識、芳香族アクリジニウムエステル(acridinium ester)標識、イミダゾール標識、アクリジミウム(acridimium)塩標識、シュウ酸エステル標識、エクオリン標識、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、ビオチン/アビジン、スピン標識ならびに安定したフリーラジカル)が挙げられる)と結合され得る。
【0047】
本発明の処方物の抗体および抗体フラグメントはまた、細胞毒性因子(例えば、ジフテリア(diptheria)毒素、Pseudomonas aeruginosa体外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシン(modeccin)A鎖、αサルシン(α−sarcin)、Aleurites fordiiのタンパク質および化合物(例えば、脂肪酸)、ジアンチン(dianthin)タンパク質、Phytoiacca americanaのタンパク質 PAPI、PAPIIおよびPAP−S、momordica charantiaインヒビター、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、saponaria officinalisインヒビター、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)およびエノマイシン(enomycin))と結合され得る。
【0048】
本発明の処方物の抗体および抗体フラグメントを種々の部分に結合させるための、当該分野において公知な任意の方法が使用され得、この方法としては、Hunterら(1962) Nature 144:945;Davidら(1974) Biochemistry 13:1014;Painら(1981) J.Immunol.Meth. 40:219;およびNygren,J.(1982) Histochem. and Cytochem. 30:407によって記載されている方法が挙げられる。抗体を結合させるための方法は、従来のものであり、当該分野においておおいに周知である。
【0049】
一実施形態において、15H12/19D12 LC、LCA、LCB、LCC、LCD、LCEもしくはLCFは、任意の他の免疫グロブリン重鎖(例えば、本明細書中に述べる任意の免疫グロブリン重鎖)と二量体化される。同様に、一実施形態において、15H12/19D12 HC、HCAもしくはHCBは、任意の軽鎖(例えば、本明細書中に述べる任意の軽鎖)と二量体化される。例えば、15H12/19D12 HCAもしくはHCBは、15H12/19D12 LCC、LCD、LCEもしくはLCFと二量体化され得る。一実施形態において、本発明の抗IGF1R抗体の軽免疫グロブリン鎖および/もしくは重免疫グロブリン鎖は、成熟鎖である。
【0050】
抗体鎖は以下に示される。点線の下線が引かれた活字は、シグナルペプチドをコードしている。実線の下線が引かれた活字は、CDRをコードしている。何もない活字は、フレームワーク領域をコードしている。抗体鎖は、シグナルペプチドを欠く成熟フラグメントである。
【0051】
【化14】

【0052】
【化15】

【0053】
【化16】

【0054】
【化17】

【0055】
【化18】

上記に参照される抗体鎖をコードするプラスミドを含む細胞株を、以下のようにAmerican Type Culture Collectionに寄託した:
【0056】
【化19】

HCAは重鎖Aであり;HCBは重鎖Bであり、LCCは軽鎖Cであり;LCDは軽鎖Dであり;LCEは軽鎖Eであり、そしてLCFは軽鎖Fである。
【0057】
上記で同定されたプラスミドは、ブタペスト条約の下で、2003年5月21日に、American Type Culture Colletcion(ATCC);10801 University Boulevard;Manassas、Virginia 20110−2209に寄託された。ATCC内に寄託されたプラスミドへのアクセスの全ての制限は、特許が付与されると取り除かれる(公開された米国特許出願第2004/0018191号を参照せよ)。
【0058】
本願は、本明細書中に述べるとおりの処方物およびそれらの使用の方法を含み、これらは、抗体およびその抗原結合フラグメントを含み、この免疫グロブリン鎖(例えば、その成熟鎖)例えば、重鎖もしくは軽鎖は、上記のとおりのATCCに寄託された細胞株中のプラスミド内の挿入物によってコードされる。上記に示されたものとは異なる定常領域を含むプラスミドによってコードされた免疫グロブリンを含む処方物もまた、その使用方法(例えば、本明細書中に述べるとおり)とともに本発明の範囲内にある。
【0059】
(さらなる治療剤および手順)
本発明の一実施形態において、さらなる化学治療剤が、本発明の抗IGF1R処方物と組み合わせて提供および/もしくは投与される。一実施形態において、さらなる化学治療剤は、白金ベースの化合物、シグナル伝達インヒビター、細胞周期インヒビター、IGF/IGF1R系調節因子(例えば、インヒビターもしくは活性化剤)、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ(FPT)インヒビター、上皮増殖因子レセプター(EGFR)インヒビター、HER2インヒビター、脈管上皮増殖因子(VEGF)レセプターインヒビター、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼインヒビター、MEKインヒビター、AKTインヒビター、mTORインヒビター、pI3キナーゼインヒビター、Rafインヒビター、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)インヒビター、微小管安定剤(microtubule stabilizer)、微小管インヒビター、SERM/抗エストロゲン、アロマターゼインヒビター、アントラサイクリン、プロテアソームインヒビター、もしくはインスリン様増殖因子(IGF)産生を阻害する因子である。
【0060】
本発明の組成物および方法は、抗IGF1R処方物を、1つ以上のさらなる治療剤もしくは手順と「組み合わせて」含む。用語「組み合わせて」は、複数の成分(例えば、パクリタキセルに加えて抗IGF1R抗体)が、同時送達のために単一の組成物中に処方され得ることか、もしくは2つ以上の組成物中に別々に処方され得ること(例えば、キット)を示す。さらに、各成分は、他の成分が投与される時間とは異なる時間において被験体に投与され得る;例えば、各投与は、同時ではなく(例えば、別々にもしくは逐次的に)、所定の期間にわたっていくつかの間隔をおいてなされ得る。さらに、別々の成分は、同じかもしくは異なる経路で被験体に投与され得る(例えば、抗IGF1R抗体処方物が非経口で投与され、ゲフィチニブが経口投与される)。
【0061】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物は、三環式アミド化合物を含むファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ(FPT)インヒビター(例えば、米国特許第5,719,148号もしくは同第5,874,442号中に開示されているもののうちの任意のもの)と組み合わせて提供および/もしくは投与される。一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物は、以下の式:
【0062】
【化20】

で表される任意の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物と組み合わせて提供され、ここで:a、b、cおよびdのうちの1個がNもしくはNRを表し、ここで、Rは、O、−CHもしくは−(CHCOHであり、ここで、nは、1〜3であり、そして残りのa、b、cおよびdの基は、CRもしくはCRを表すか;またはa、b、cおよびdのそれぞれは、CRもしくはCRから独立して選択され;各Rおよび各Rは、H、ハロ、−CF、−OR10、−COR10、−SR10、−S(O)11(ここで、tは、0、1もしくは2である)、−SCN、−N(R10、−NO、−OC(O)R10、−CO10、−OCO11、−CN、−NHC(O)R10、−NHSO10、−CONHR10、−CONHCHCHOH、−NR10COOR11、−SR11C(O)OR11
【0063】
【化21】

、−SR11N(R75(ここで、各R75は、Hおよび−C(O)OR11より独立して選択される)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ、テトラゾール−5−イルチオ、もしくは置換テトラゾール−5−イルチオ、アルキニル、アルケニル、またはアルキル(このアルキル基もしくはアルケニル基は、ハロ、−OR10もしくは−CO10で必要に応じて置換される)から独立して選択され;RおよびRは、同じかもしくは異なっており、そしてそれぞれは、H、RおよびRの置換基のうちの任意のものを独立して表すか、またはRおよびRは、一緒になって、飽和もしくは不飽和のC−Cの縮合環〜ベンゼン環を表し;R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、H、−CF、−COR10、アルキルもしくはアリール(このアルキルもしくはアリールは、−OR10、−SR10、−S(O)11、−NR10COOR11、−N(R10、−NO、−COR10、−OCOR10、−OCO11、−CO10、OPO10で必要に応じて置換される)を表すか、またはR、R、RおよびRのうちの1個が、以下に定義するようなR40と組み合わされて−(CH−を表し得、ここで、rは1〜4であり、これは、低級アルキル、低級アルコキシ、−CFもしくはアリールで置換され得るか、またはRは、Rと一緒になって、=Oもしくは=Sを表し、そして/またはRは、Rと一緒になって、=Oもしくは=Sを表し;R10は、H、アルキル、アリールもしくはアラルキルを表し;R11は、アルキルもしくはアリールを表し;Xは、N、CHもしくはCを表し、このCは、炭素原子11への必要に応じた二重結合(点線で表される)を含み得;炭素原子5と炭素原子6との間の点線は、必要に応じた二重結合を表し、その結果、二重結合が存在する場合、AおよびBは独立して、−R10、ハロ、−OR11、−OCO11もしくは−OC(O)R10を表し、そして炭素原子5と炭素原子6との間に二重結合が存在しない場合、AおよびBはそれぞれ独立して、H、−(OR11;Hおよびハロ、ジハロ、アルキルおよびH、(アルキル)、−Hおよび−OC(O)R10、Hおよび−OR10、=O、アリールおよびH、=NOR10もしくは−O−(CH−O−を表し、ここで、pは、2、3もしくは4であり;Rは、以下で定義するようなR40、R42、R44もしくはR54を表し;R40は、H、アリール、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニルもしくは−Dを表し、ここで−Dは、
【0064】
【化22】

を表し、ここで、RおよびRは、前述で定義したとおりであり、そしてWは、O、SもしくはNR10であり、ここでR10は上記で定義したとおりであり;前述のR40のシクロアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、ハロ、−CON(R10、アリール、−CO10、−OR12、−SR12、−N(R10、−N(R10)CO11、−COR12、−NOもしくはDから選択される1〜3個の基で必要に応じて置換され、ここで−D、R10およびR11は、上記で定義したとおりであり、そしてR12は、R10、−(CHOR10もしくは−(CHCO10を表し、ここでR10は前述で定義したとおりであり、mは1〜4であり、qは0〜4であり;前述のアルケニルおよびアルキニルであるR40基は、それぞれ二重結合もしくは三重結合を含む炭素上に−OH、−SHもしくは−N(R10のいずれをも含まず;またはR40は、−SONH、−NHSOCH、−SONHCH、−SOCH、−SOCH、−SCHもしくは−NHSOCFから選択される基で置換されたフェニル(好ましくは、この基はフェニル環のパラ位に位置する)を表すか;またはR40は、
【0065】
【化23】

から選択される基を表し;
42は、
【0066】
【化24】

を表し、
ここで、R20、R21およびR46はそれぞれ以下からなる群より独立して選択される:
(1)H;
(2)qが1〜3である、−(CHSC(O)CH
(3)qが1〜3である、−(CHOSOCH
(4)−OH;
(5)−CS(CH(置換フェニル)(ここで、wは1〜3であり、この置換フェニル基上の置換基は、この置換フェニルに関して以下で述べた置換基と同じ置換基である);
(6)−NH
(7)−NHCBZ;
(8)−NHC(O)OR22(ここで、R22は、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基であるか、もしくはR22は、1〜3個のアルキル基で置換されたフェニルを表す);
(9)アルキル;
(10)kが1〜6である、−(CHフェニル;
(11)フェニル;
(12)置換フェニル(ここで、置換基は、ハロ、NO、−OH、−OCH、−NH、−NHR22、−N(R22、アルキル、−O(CHフェニル(ここで、tは1〜3である)および−O(CH置換フェニル(ここで、tは1〜3である)からなる群より選択される);
(13)ナフチル;
(14)置換基が上記の置換フェニルで定義したとおりである、置換ナフチル;
(15)5〜10個の炭素原子を有する架橋多環式炭化水素;
(16)5〜7個の炭素原子を有するシクロアルキル;
(17)ヘテロアリール;
(18)ヒドロキシアルキル;
(19)置換ピリジルもしくは置換ピリジルN−酸化物(ここで、置換基は、メチルピリジル、モルホリニル、イミダゾリル、1−ピペリジニル、1−(4−メチルピペラジニル)、−S(O)11、もしくは上記の置換フェニルに関して上記で示された置換基のうちの任意のものから選択され、そしてこの置換基は、前述の炭素に結合している水素を置き換えることによって環炭素に結合する);
【0067】
【化25】

(23)−NHC(O)−(CH−フェニルもしくは−NH(O)−(CH−置換フェニル(ここで、このkは、上記で定義したとおりである);
(24)ピペリジン環V:
【0068】
【化26】

(ここで、R50は、H、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、ハロアルキルもしくは−C(O)NH(R10)を表し、ここで、R10は、Hもしくはアルキルであり;;環Vとしては、
【0069】
【化27】

が挙げられ、環Vの例としては:
【0070】
【化28】

が挙げられる)
(25)−NHC(O)CHもしくは−NHC(O)CH置換C
(26)−NHC(O)OC
【0071】
【化29】

(30)−OC(O)−ヘテロアリール、例えば、
【0072】
【化30】

(31)−O−アルキル(例えば、−OCH);および
(32)−CF
(33)−CN;
(34)式
【0073】
【化31】

のヘテロシクロアルキル基;ならびに
(35)式
【0074】
【化32】

のピペリジニル基、ここで、R85は、H、アルキルまたは−OHもしくは−SCHによって置換されたアルキルであるか;またはR20およびR21は一緒になって、=O基を形成し、そして残りのR46は、上記で定義したとおりであるか;
またはR20、R21およびR46のうちの2つが一緒になって、ピペリジン環V
【0075】
【化33】

を形成し、ここで、R50は、H、アルキル(例えば、メチル)、アルキルカルボニル(例えば、CH3C(O)−)、アルキルオキシカルボニル(例えば、−C(O)O−t−C4H9、−C(O)OC2H5および−C(O)OCH3)、ハロアルキル(例えば、トリフルオロ−メチル)もしくは−C(O)NH(R10)を表し、ここで、R10は、Hもしくはアルキルであり;環Vとしては、
【0076】
【化34】

が挙げられ、環Vの例としては:
【0077】
【化35】

が挙げられ、但し、R46、R20およびR21は、それらが結合している炭素原子が1個より多いヘテロ原子を含まない(すなわち、R46、R20およびR21は、それらが結合している炭素原子が0個もしくは1個のヘテロ原子を含むように選択される)ように選択され;R44は、
【0078】
【化36】

を表し、ここで、R25は、ヘテロアリール、N−メチルピペリジニルもしくはアリールを表し;そしてR48は、Hもしくはアルキルを表し;R54は、式(i)、(ii)、(iii)もしくは(iv):
【0079】
【化37】

のN−酸化物複素環式基を表し、ここで、R56、R58およびR60は、同じであるか、もしくは異なっており、それぞれは、H、ハロ、−CF、−OR10、−C(O)R10、−SR10、−S(O)11(ここで、eは1もしくは2である)、−N(R10、−NO、−CO10、−OCO11、−OCOR10、アルキル、アリール、アルケニルもしくはアルキニルから独立して選択され、このアルキルは、−OR10、−SR10もしくは−N(R10で置換され得、そしてこのアルケニルは、OR11もしくはSR11で置換され得るか;またはR54は、式(ia)、(iia)、(iiia)もしくは(iva):
【0080】
【化38】

のN−酸化物複素環式基を表し、ここで、Yは、N−Oを表し、EはNを表すか;または
54は、前述のN酸化物複素環式基(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(ia)、(iia)、(iiia)もしくは(iva)のうちの1個で置換されたアルキル基を表し;Zは、Rが、上記で定義したようなR、R、RもしくはRと組み合わされ得るようにOもしくはSを表すか、またはRは、R40、R42、R44もしくはR54を表す。上記の式のR20、R21およびR46の例としては、
【0081】
【化39】

が挙げられる。
【0082】
R25基の例としては:
【0083】
【化40】

が挙げられ、ここで、Yは、NもしくはNOを表し、R28は:C1〜C4のアルキル、ハロ、ヒドロキシ、NO2、アミノ(−NH2)、−NHR30および−N(R30)2からなる群より選択され、ここで、R30は、C1〜C6のアルキルを表す。
【0084】
一つの実施形態において、以下の三環式アミドが、本発明の抗IGF1R処方物と組み合わせて提供および/もしくは投与される:
【0085】
【化41】

。別の実施形態において、以下のFPTインヒビターのうちの1つが、本発明の抗IGF1R処方物:
【0086】
【化42】

と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0087】
一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物と組み合わせて提供および/もしくは投与されるFPTインヒビターとしては、以下が挙げられる:BMS−214662(
【0088】
【化43】

;Huntら、J.Med.Chem. 43(20):3587−95(2000);Danceyら、Curr.Pharm.Des. 8:2259−2267(2002);(R)−7−シアノ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)−3−(フェニルメチル)−4−(2−チエニルスルホニル)−1H−1,4−ベンゾジアゼピン))およびR155777(ティピファルニブ(tipifarnib);Garnerら、Drug Metab.Dispos. 30(7):823−30(2002);Danceyら、Curr.Pharm.Des. 8:2259−2267(2002);(B)−6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−メチル]−4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン];
【0089】
【化44】

ZarnestraTMとして販売されている;Johnson & Johnson;New Brunswick、NJ)。
【0090】
一実施形態において、EGFレセプターもしくはHER2の作用に拮抗するインヒビターが、本発明の抗IGF1R処方物と組み合わせて提供および/もしくは投与される:例えば、HuMax−CD20(Genmab;Copenhagen、Denmarkによって販売されている);Campath−1H(登録商標)(Riechmannら、Nature 332:323(1988));HuMax−EGFr(Genmab;Copenhagen、Denmarkによって販売されている);ペルツズマブ(pertuzumab)(OmnitargTM、2C4;Genentech;San Francisco、CA);ベバシツマブ(Prestaら、Cancer Res 57:4593−9(1997);Avastin(登録商標)としてGenentech;San Francisco,CAによって販売されている);イブリツモマブチウキセタン(Ibritumomab tiuxetan)(Zevalin(登録商標)としてBiogen Idec;Cambridge、MAによって販売されている);トシツモマブ(Tositumomab)およびヨウ素I131(Bexxar(登録商標)としてCorixa Corp.;Seattle、WAおよびGlaxosmithkline;Philadelphia、PAによって販売されている);ゲムツズマブオゾガマイシン(gemtuzumab ozogamicin)(Mylotarg(登録商標)としてWyeth Ayerst;Madison、NJによって販売されている)もしくはMDX−010(Medarex;Princeton、NJ);トラスツズマブ(Herceptin(登録商標)として販売されている;Genentech,Inc.;S.San Francisco、CA);
【0091】
【化45】

【0092】
【化46】


【0093】
本発明の一実施形態において、EGFRを阻害するのに有用であると説明された非常に多くの他の低分子のうちの1つ以上が、本発明の抗IGF1R処方物と組み合わせて提供および/もしくは投与される。例えば、米国特許第5,656,655号は、EGFRを阻害するスチリル置換のヘテロアリール化合物を開示している。米国特許第5,646,153号は、EGFRおよび/もしくはPDGFRを阻害する、ビス単環式および/もしくは二環式のアリールヘテロアリールの炭素環式およびヘテロ炭素環式化合物を開示している。米国特許第5,679,683号は、EGFRを阻害する三環式ピリミジン化合物を開示している。米国特許第5,616,582号は、レセプターチロシンキナーゼ阻害活性を有するキナゾリン誘導体を開示している。Fryら、Science 265 1093−1095(1994)は、EGFRを阻害する構造を有する化合物を開示している(Fryらの図1を参照されたい)。米国特許第5,196,446号は、EGFRを阻害する、ヘテロアリールエテンジイル化合物もしくはヘテロアリールエテンジイルアリール化合物を開示している。Panekら、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 283、1433−1444(1997)は、レセプターのEGFRファミリー、PDGFRファミリーおよびFGFRファミリーを阻害する、PD166285と識別される化合物を開示している。PD166285は、6−(2,6−ジクロロフェニル)−2−(4−(2−ジエチルアミノエトキシ)フェニルアミノ)−8−メチル−8H−ピリド(2,3−d)ピリミジン−7−オン(6−(2,6−dichlorophenyl)−2−(4−(2−diethylaminoethoxy)phenylarnino)−8−methyl−8H−pyrido(2,3−d)pyrimidin−7−one)として識別されている。
【0094】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物は、LHRH(黄体形成ホルモン放出ホルモン)アゴニスト(例えば、
【0095】
【化47】

)と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0096】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物は、
【0097】
【化48】

と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0098】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物は、
【0099】
【化49】

と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0100】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物は、
【0101】
【化50】

と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0102】
本発明の一実施形態において、白金ベースの抗癌化合物(例えば、
【0103】
【化51】

)は、本発明の抗IGF1R処方物と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0104】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物は、DES(ジエスチルスチルベストロール;
【0105】
【化52】

と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0106】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物は、
【0107】
【化53】

【0108】
【化54】

と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0109】
本発明の一実施形態において、VEGFレセプターインヒビター(例えば、PTK787/ZK 222584(Thomasら、Semin Oncol. 30(3 Suppl 6):32−8(2003))もしくはヒト化抗VEGF抗体であるベバシツマブ(ブランド名AvastinTMとして販売されている;Genentech,Inc.;South San Francisco、CA)は、本発明の抗IGF1R処方物と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0110】
本発明の一実施形態において、MAPキナーゼインヒビター(例えば、VX−745(Haddad、Curr Opin. Investig. Drugs 2(8):1070−6(2001)))は、本発明の抗IGF1R処方物と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0111】
本発明の一実施形態において、MAPキナーゼキナーゼ(MEK)インヒビター(例えば、PD 184352(Sebolt−Leopoldら、Nature Med. 5:810−816(1999)))は、本発明の抗IGF1R処方物と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0112】
本発明の一実施形態において、mTORインヒビター(例えば、ラパマイシンもしくはCCI−779(Sehgalら、Med. Res. Rev.、14:1−22(1994);Elit、Curr. Opin. Investig. Drugs 3(8):1249−53(2002)))は、本発明の抗IGF1R処方物と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0113】
本発明の一実施形態において、pI3キナーゼインヒビター(例えば、LY294002、LY292223、LY292696、LY293684、LY293646(Vlahosら、J. Biol. Chem. 269(7):5241−5248(1994))もしくはウォルトマンニン)は、本発明の抗IGF1R処方物と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0114】
本発明の一実施形態において、Rafインヒビター(例えば、BAY−43−9006
【0115】
【化55】

;Wilhelmら、Curr. Pharm. Des. 8:2255−2257(2002))、ZM336372、L−779,450もしくはLowingerら、Curr. Pharm Des. 8:2269−2278(2002)中に開示されている任意の他のRafインヒビター)は、本発明の抗IGF1R処方物と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0116】
本発明の一実施形態において、サイクリン依存性キナーゼインヒビター(例えば、フラボピリドール(flavopiridol)(L86−8275/HMR 1275;Senderowicz、Oncogene 19(56):6600−6606(2000))もしくはUCN−01(7−ヒドロキシスタウロスポリン;Senderowicz、Oncogene 19(56):6600−6606(2000)))は、本発明の抗IGF1R処方物と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0117】
本発明の一実施形態において、IGF/IGFRインヒビター(例えば、IGF阻害ペプチド(例えば、米国特許出願公開第2003/0092631号A1;PCT国際公開第03/27246号A2;同第02/72780号を参照されたい)もしくは任意の4−アミノ−5−フェニル−7−シクロブチル−ピロロ[2,3−d]ピリミジン誘導体(例えば、PCT国際公開第02/92599号中に開示されているもの(例えば、
【0118】
【化56】

)もしくは任意のフラボノイドグリコン(例えば、ケルセチン(例えば、PCT国際公開第03/39538を参照されたい)))は、本発明の抗IGF1R処方物と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0119】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物は、
【0120】
【化57】

と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0121】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物は、プロゲステロン因子(例えば、
【0122】
【化58】

)と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0123】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物は、
【0124】
【化59】

と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0125】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物と組み合わせて提供および/もしくは投与される、IGF生成を阻害する因子としては、
【0126】
【化60】

が挙げられる。
【0127】
本発明の一実施形態において、プロテアソームインヒビター(例えば、ボルテゾミブ(
【0128】
【化61】

);[(1R)−3−メチル−1−[[(2S)−1−オキソ−3−フェニル−2−[(ピラジニルカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]ブチル]ボロン酸;VelcadeTMとして販売されている;Millennium Pharm., Inc.;Cambridge、MA))は、本発明の抗IGF1R処方物と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0129】
本発明の一実施形態において、微小管安定剤もしくは微小管解重合剤/インヒビター(例えば、
【0130】
【化62】

【0131】
【化63】

)は、本発明の抗IGF1R処方物と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0132】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物は、米国特許第5,260,291号中に述べられる任意の1つ以上の化合物のうちのいずれかと組み合わせて提供される。例えば、本発明の一実施形態において、この化合物は、構造式:
【0133】
【化64】

で表される[H−イミダゾ−5,1−d]−1,2,3,5−テトラジン−4−オン誘導体であり、
ここで、Rは、水素原子、または6個までの炭素原子を含む直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基(例えば、−CH)、アルケニル基もしくはアルキニル基を表し、このような基のそれぞれは、非置換であるか、もしくはハロゲン(すなわち、臭素、ヨウ素または好ましくは、塩素もしくはフッ素)原子、4個までの炭素原子を含む直鎖状もしくは分枝鎖状のアルコキシ基(例えば、メトキシ)、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル(alkylsullihinyl)基およびアルキルスルホニル基、ならびに必要に応じて置換されたフェニル基から選択される1〜3個の置換基によって置換されるか、またはRは、シクロアルキル基を表し、そしてRは、窒素原子上に、直鎖状および分枝鎖状のアルキル基およびアルケニル基(それぞれは、4個までの炭素原子を含む)ならびにシクロアルキル基から選択される1個もしくは2個の基を有し得るカルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル基もしくはジメチルカルバモイル基)を表す。
【0134】
記号Rが、2個もしくは3個のハロゲン原子によって置換されたアルキル基、アルケニル基もしくはアルキニル基を表す場合、このハロゲン原子は同じであってもよいし異なっていてもよい。記号Rが、1個、2個もしくは3個の必要に応じて置換されたフェニル基によって置換されたアルキル基、アルケニル基もしくはアルキニル基を表す場合、フェニルラジカル上の必要に応じた置換基は、例えば、4個までの炭素原子を含む、アルコキシ基およびアルキル基(例えば、メトキシ基および/もしくはメチル基)ならびにニトロ基から選択され得;記号Rは、例えば、ベンジル基もしくはp−メトキシベンジル基を表し得る。記号RおよびRの定義内のシクロアルキル基は、3〜8個(好ましくは、6個)の炭素原子を含む。
【0135】
一実施形態において、構造式
【0136】
【化65】

のテトラジン誘導体は、Rが、1個もしくは2個のハロゲン(好ましくは、塩素、フッ素もしくは臭素)原子によって、もしくは1〜4個の炭素原子を含むアルコキシ基(好ましくは、メトキシ)によって、もしくはフェニル基(1〜4個の炭素原子を含む1個もしくは2個のアルコキシ基(好ましくは、メトキシ)によって必要に応じて置換される)によって必要に応じて置換された1〜6個の炭素原子を含む、直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基を表すか、またはRが、2〜6個の炭素原子を含むアルケニル基(好ましくは、アリル)もしくはシクロヘキシル基を表すものである。
【0137】
一実施形態において、テトラジン誘導体は、構造式
【0138】
【化66】

のものであり、ここで、Rは、1〜6個の炭素原子(さらに特に1〜3個の炭素原子)を含む、非置換であるかもしくはハロゲン(好ましくは、塩素もしくはフッ素)原子によって置換された、直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基を表す。一実施形態において、Rは、メチルもしくは2−ハロアルキル(例えば、2−フルオロエチル、もしくは好ましくは、2−クロロエチル)基を表す。
【0139】
一実施形態において、Rは、カルバモイル基もしくはモノアルキルカルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル基)またはモノアルケニルカルバモイル基を表す。
【0140】
テモゾロミド(
【0141】
【化67】

;Schering Corp.;Kenilworth、NJよりTemodar(登録商標)として販売されている);8−カルバモイル−3−メチル−[3H]−イミダゾ[5,1−d]−1,2,3,5−テトラジン−4−オン;
8−カルバモイル−3−n−プロピル−[3H]−イミダゾ[5,1−d]−1,2,3,5−テトラジン−4−オン;
8−カルバモイル−3−(2−クロロエチル)−[3H]−イミダゾ−[5,1−d]−1,2,3,5−テトラジン−4−オン;
3−(2−クロロエチル)−8−メチルカルバモイル−[3H]−イミダゾ[5,1−d]−1,2,3,5−テトラジン−4−オン;
8−カルバモイル−3−(3−クロロプロピル)−[3H]−イミダゾ−[5,1−d]−1,2,3,5−テトラジン−4−オン;
8−カルバモイル−3−(2,3−ジクロロプロピル)−[3H]−イミダゾ[5,1−d]−1,2,3,5−テトラジン−4−オン;
3−アリル−8−カルバモイル−[3H]−イミダゾ[5,1−d]−1,2,3,5−テトラジン−4−オン;
3−(2−クロロエチル)−8−ジメチルカルバモイル−[3H]−イミダゾ[5,1−dl−1,2,3,5−テトラジン−4−オン;3−(2−ブロモエチル)−8−カルバモイル−[3H]−イミダゾ−5,1−d]−1,2,3,5−テトラジン−4−オン;3−ベンジル−8−カルバモイル−[3H]−イミダゾ[5,1−d]−1,2,3,5−テトラジン−4−オン;
8−カルバモイル−3−(2−メトキシエチル)−[3H]−イミダゾ[5,1−d]−1,2,3,5−テトラジン−4−オン;
8−カルバモイル−3−シクロヘキシル−[3H]−イミダゾ[5,1−d]−1,2,3,5−テトラジン−4−オン;
もしくは8−カルバモイル−3−(Wメトキシベンジル)−[3H]イミダゾ[5,1−d]−1,2,3,5−テトラジン−4−オンは、本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物と組み合わせて投与および/もしくは提供される。
【0142】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物と組み合わせて提供および/もしくは投与されるアントラサイクリンとしては、
【0143】
【化68】

が挙げられる。
【0144】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物は、抗アンドロゲン(
【0145】
【化69】

が挙げられるが、これらに限定されない)と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0146】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物は、
【0147】
【化70】

【0148】
【化71】

と組み合わせて提供される。
【0149】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物は、
【0150】
【化72】

と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0151】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物は、
【0152】
【化73】

と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0153】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物と組み合わせて投与および/もしくは提供される抗エストロゲンおよび選択的エストロゲンレセプターモジュレータ(SERM)としては、
【0154】
【化74】

【0155】
【化75】

【0156】
【化76】

が挙げられる。
【0157】
本発明の抗IGF1R処方物に含まれ得るアロマターゼインヒビターとしては、
【0158】
【化77】

が挙げられる。
【0159】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物は、13−シス−レチノイン酸(
【0160】
【化78】

)を伴うゲミシタビンHCl(
【0161】
【化79】

)と、またはMitsiadesら、Cancer Cell 5:221−230(2004);Garcia−Echeverriaら、Cancer Cell 5:231−239、2004;国際公開第2004/030627号もしくは国際公開第2004/030625号のうちのいずれかに述べられるもののうちの任意のIGFRインヒビターと組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0162】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物は、
【0163】
【化80】

【0164】
【化81】

と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0165】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物は、PEG化もしくは非PEG化インターフェロンα−2a、PEG化もしくは非PEG化インターフェロンα−2b、PEG化もしくは非PEG化インターフェロンα−2c、PEG化もしくは非PEG化インターフェロンα n−1、PEG化もしくは非PEG化インターフェロンα n−3およびPEG化、非PEG化コンセンサスインターフェロンまたはアルブミン−インターフェロン−αのうちのいずれかの1つ以上と組み合わせて提供および/もしくは投与される。
【0166】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物と組み合わせて提供および/もしくは投与されるトポイソメラーゼインヒビターとしては、
【0167】
【化82】

が挙げられる。
【0168】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物と組み合わせて提供および/もしくは投与されるIGF1R1阻害因子としては、AEW−541(NVP−AEW−541;NVP−AEW−541−NX−7):
【0169】
【化83】

が挙げられる。
【0170】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物は、国際公開第2004/030627号もしくは同第2004/030625号中に述べられる任意のキナーゼインヒビター化合物と組み合わせて提供および/もしくは投与される。一実施形態において、このキナーゼインヒビターは、(±)−4−[2−(3−クロロ−4−フルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチルアミノ]−3−[6−(イミダゾール−1−イル)−4−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−ピリジン−2−オン:
【0171】
【化84】

である。
【0172】
IGF1R、IGF−1もしくはIGF−2の遺伝子のmRNAに相補的であるアンチセンスオリゴヌクレオチドが生成され得、そしてこれはこれらの遺伝子の転写もしくは翻訳を阻害するために使用され得る。治療上の使用に有効なアンチセンスオリゴヌクレオチドの生成は、当該分野において周知である。アンチセンスオリゴヌクレオチドはしばしば、半減期もしくはバイオアベイラビリティーを向上させるために、誘導もしくは改変されたヌクレオチドを使用して生成される。IGF1R、IGF−1もしくはIGF−2の遺伝子の一次配列もまた、リボザイムを設計するために使用され得る。ほとんどの合成リボザイムは一般的に、ハンマー型、テトラヒメナおよびヘアピン型(haripin)のリボザイムである。特定のRNA種を切断するためのリボザイムを設計および使用する方法は、当該分野において周知である。本発明の一実施形態において、本発明の抗IGF1R処方物は、アンチセンスIGF1Rの核酸ATL−1101(Antisense Therapeutics Ltd;Australia)と組み合わせて提供および/もしくは投与される。一実施形態において、IGF1Rのアンチセンス核酸は、以下のヌクレオチド配列のうちのいずれかを含む:5’−ATCTCTCCGCTTCCTTTC−3’(配列番号18)、5’−ATCTCTCCGCTTCCTTTC−3’(配列番号19)、5’−ATCTCTCCGCTTCCTTTC−3’(配列番号20)もしくは、米国特許出願公開第2003/0096769号;国際公開第2003/100059号 Fogartyら、Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 2002年12月;12(6):369−77;Whiteら、J Invest Dermatol. 2002年6月;118(6):1003−7;Whiteら、Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 2000年6月;10(3):195−203;もしくはWraightら、Nat Biotechnol. 2000年5月;18(5):521−6のいずれかに述べる任意のIGFRアンチセンス核酸。
【0173】
前述の因子の多くに関する化学構造および他の有用な情報は、Physicians’Desk Reference、第57版、2003;Thompson PDR;Montvale、NJ中に見出され得る。
【0174】
個々の因子を個々のクラス(例えば、FPTインヒビターもしくは微小管安定剤)に分類することは、記述目的のためのみに行われるのであって、本発明を限定することを決して意味すべきではない。
【0175】
本発明の範囲はまた、1つ以上の他の化学治療剤(例えば、本明細書中に記載のとおり)と組み合わせて、および1つ以上の制吐薬(パロノセトロン(palonosetron)(AloxiとしてMGI Pharmaより販売)、アプレピタント(aprepitant)(EmendとしてMerck and Co.;Rahway、NJより販売)、ジフェンヒドラミン(Benadryl(登録商標)としてPfizer;New York、NYより販売)、ヒドロキシジン(Atarax(登録商標)としてPfizer;New York、NYより販売)、メトクロプラミド(Reglan(登録商標)としてAH Robins Co,;Richmond、VAより販売)、ロラゼパム(Ativan(登録商標)としてWyeth;Madison、NJより販売)、アルプラゾラム(Xanax(登録商標)としてPfizer;New York、NYより販売)、ハロペリドール(Haldol(登録商標)としてOrtho−McNeil;Raritan、NJより販売)、ドロペリドール(Inapsine(登録商標))、ドロナビノール(dronabinol)(Marinol(登録商標)としてSolvay Pharmaceuticals, Inc.;Marietta、GAより販売)、デキサメタゾン(Decadron(登録商標)としてMerck and Co.;Rahway、NJより販売)、メチルプレドニゾロン(Medrol(登録商標)としてPfizer;New York、NYより販売)、プロクロルペラジン(Compazine(登録商標)としてGlaxosmithkline;Research Triangle Park、NCより販売)、グラニセトロン(Kytril(登録商標)としてHoffmann−La Roche Inc.;Nutley、NJより販売)、オンダンセトロン(Zofran(登録商標)としてGlaxosmithkline;Research Triangle Park、NCより販売)、ドラセトロン(dolasetron)(Anzemet(登録商標)としてSanofi−Aventis;New York、NYより販売)もしくはトロピセトロン(Navoban(登録商標)としてNovartis;East Hanover、NJより販売)が挙げられるが、これらに限定されない)と組み合わせて本発明の抗IGF1R処方物を含む組成物を含む。
【0176】
本発明の範囲は、本発明の抗IGF1R処方物を、前述の化学治療剤またはその任意の塩、水和物、異性体、処方物、溶媒和物もしくはプロドラッグのうちの1つ以上と合わせて含む組成物および方法を含む。
【0177】
本発明の範囲はまた、本発明の抗IGF1R処方物を、任意の抗癌の手順(外科的腫瘍切除(tumorectomy)もしくは抗癌放射線治療が挙げられるが、これらに限定されない)と組み合わせて投与することを含む。
【0178】
(投薬量および投与)
本発明の方法は、癌またはIGF1R、IGF−1および/もしくはIGF−2によって媒介される任意の医学的障害を処置もしくは予防するための、(必要に応じて、さらなる治療剤と組み合わせた)本明細書中に述べる薬学的処方物中のIGF1R抗体もしくはその薬学的組成物の提供および/もしくは投与を含む。通常、このようなさらなる薬剤の投与および投薬は、可能であれば、承認された薬剤の製品の情報シート、Physicians’Desk Reference 2003(Physicians’Desk Reference、第57版);Medical Economics Company;ISBN:1563634457;第57版(2002年11月)ならびに当該分野において周知である治療プロトコールに記載されているスケジュールにしたがって実施される。
【0179】
一実施形態において、本発明の処方物は、被験体に(例えば、静脈内、鞘内、皮下、筋肉内、腫瘍内もしくは動脈内注入によって)非経口投与される。一実施形態において、処方物は、経口もしくは吸入によって投与される。本発明の一実施形態において、本発明の単鎖抗IGF1R抗体を含有する本発明の処方物は、吸入によって肺に投与される。
【0180】
用語「癌」は、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、あらゆる小児癌、先端巨大症、卵巣癌、膵臓癌、良性前立腺肥大症、乳癌、前立腺癌、骨癌、肺癌、胃癌、結腸直腸癌、頚部癌、滑膜肉腫、膀胱癌、ウィルムス癌、卵巣癌、良性前立腺肥大症(BPH)、転移性カルチノイドおよび血管作動性腸管ペプチド分泌腫瘍に関連する下痢(例えば、ビポーマもしくはウェルナー−モリソン症候群)、腎臓癌(例えば、腎細胞癌もしくは移行上皮癌)、ユーイング肉腫、白血病(例えば、急性リンパ芽球性白血病)もしくは髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、未分化神経外胚葉性腫瘍、髄芽腫、星状細胞腫、乏突起膠腫、脳室上衣腫および脈絡叢乳頭腫を含む脳の癌(例えば、膠芽腫もしくは非膠芽腫)、ならびにそれらのあらゆる転移性腫瘍を包含するが、これらに限定されない。先端巨大症もまた、本発明の組成物で処置され得る。先端肥大症の処置に関して、IGF−Iの拮抗作用が報告されている(Drakeら(2001)Trends Endocrin. Metab. 12:408−413)。本発明の処方物の投与によってまた被験体において処置され得る他の非悪性の医学的状態としては、巨人症、乾癬、アテローム性動脈硬化症、血管の平滑筋再狭窄もしくは不適切な微小血管増殖(例えば、糖尿病、特に眼のリウマチ様動脈炎、グレーヴズ病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、自己免疫性甲状腺炎ならびにベーチェット病の合併症として見出されるようなもの)が挙げられる。
【0181】
用語「治療上有効な量」もしくは「治療上有効な投薬量」は、投与者(例えば、研究者、医師もしくは獣医師)によって求められる細胞、系、被験体もしくは宿主の生物学的応答もしくは医学的応答を惹起する本発明の組成物(例えば、本発明の処方物中の抗IGF1R抗体)の量もしくは投薬量を意味し、この生物学的応答もしくは医学的応答は、医学的障害の進行を任意の程度まで予防、遅延もしくは停止することを含む、医学的障害(例えば、癌(例えば、腫瘍の成長および/もしくは転移))の徴候、症状および/もしくは臨床的しるしのあらゆる測定可能な軽減を含む。例えば、一実施形態において、任意の抗IGF1R抗体(例えば、成熟LCC、LCD、LCEもしくはLCFの軽鎖および/または成熟HCAもしくはHCBの重鎖を含む抗IGF1R抗体)の「治療上有効な投薬量」は、体重1kgあたり約0.3mg〜20mg(例えば、体重1kgあたり約0.3mg、体重1kgあたり約0.6mg、体重1kgあたり約0.9mg、体重1kgあたり約1mg、体重1kgあたり約2mg、体重1kgあたり約3mg、体重1kgあたり約4mg、体重1kgあたり約5mg、体重1kgあたり約6mg、体重1kgあたり約7mg、体重1kgあたり約8mg、体重1kgあたり約9mg、体重1kgあたり約10mg、体重1kgあたり約11mg、体重1kgあたり約12mg、体重1kgあたり約13mg、体重1kgあたり約14mg、体重1kgあたり約15mg、体重1kgあたり約16mg、体重1kgあたり約17mg、体重1kgあたり約18mg、体重1kgあたり約19mg、体重1kgあたり約20mg)で、1週間に約1回〜3週ごとに約1回(例えば、1週間に約1回もしくは2週ごとに1回もしくは3週ごとに1回)である。上記で述べたように、さらなる治療剤の治療上有効な投薬量は、可能であれば、Physicians’Desk Referenceに述べるとおりである。
【0182】
投薬レジメンは、最適な所望する応答(例えば、治療学的応答)を提供するために調節され得る。例えば、単一の用量が投与され得るか、もしくはいくつかに細分された用量が時間をかけて投与され得るか、または用量は、治療状態の緊急性によって示された場合に相対的に減少もしくは増加され得る。例えば、投薬量は、患者の年齢、体重、身長、過去の病歴、現在の投薬ならびに交叉反応、アレルギー、感受性および有害な副作用の可能性にしたがって、当業者(例えば、医師もしくは獣医師)によって決定もしくは調節され得る。投与を容易にし、そして投薬量を均一にするために、非経口組成物を投薬単位形態に処方することは特に有利である。
【0183】
当該分野における通常の技術を有する医師もしくは獣医師は、必要な薬学的組成物の有効量を容易に決定および処方し得る。例えば、医師もしくは獣医師は、薬学的組成物中で使用される本発明の抗体もしくは抗原結合フラグメントの用量を、所望する治療効果を達成するに必要なレベルより低いレベルから開始し得、そして所望する効果が達成されるまで投薬量を徐々に増加させ得る。本発明の抗体もしくは組み合わせの所定の用量または処置レジメンの有効度は、例えば、被験体内の処置される腫瘍が縮んだかもしくは成長が停止したかを決定することによって決定され得る。腫瘍のサイズおよび進行は、例えば、X線、磁気共鳴画像法(MRI)によって、もしくは外科的手順において視覚的に、容易に決定され得る。一般的に、腫瘍のサイズおよび増殖は、チミジンPETスキャンの使用によって測定され得る(例えば、Wellsら、Clin. Oncol. 8:7−14(1996)を参照されたい)。一般的に、チミジンPETスキャンは、放射性トレーサー(例えば、[2−11C]−チミジン)の注入、続いて患者の体のPETスキャンを含む(Vander Borghtら、Gastroenterology 101:794−799、1991;Vander Borghtら、J. Radiat. Appl. Instrum. Part A、42:103−104(1991))。使用され得る他のトレーサーとしては、[18F]−FDG(18−フルオロデオキシグルコース)、[124I]IUdR(5−[124I]ヨード−2’−デオキシウリジン)、[76Br]BrdUrd(ブロモデオキシウリジン)、[18F]FLT(3’−デオキシ−3’フルオロチミジン)もしくは[11C]FMAU(2’−フルオロ−5−メチル−1−β−D−アラビノフラノシルウラシル)が挙げられる。
【0184】
例えば、神経芽細胞腫の進行は、種々の方法によって医師もしくは獣医師によってモニタリングされ得、投薬レジメンは、適宜変更され得る。神経芽細胞腫をモニタリングする方法としては、例えば、CTスキャン(例えば、腫瘍サイズをモニタリングするため)、MRIスキャン(例えば、腫瘍サイズをモニタリングするため)、胸部X線(例えば、腫瘍サイズをモニタリングするため)、骨のスキャン、骨髄生検(例えば、骨髄への転移をチェックするため)、ホルモン検査(エピネフリンのようなホルモンのレベル)、完全血球検査(CBC)(例えば、貧血もしくは他の異常を検査するため)、尿もしくは血液中のカテコールアミン(神経芽細胞腫の腫瘍マーカー)の検査、ホモバニリン酸(HMA)もしくはバニリルマンデル酸(VMA)のレベル(神経芽細胞腫のマーカー)をチェックするための24時間の尿検査およびMIBGスキャン(注入されたI123標識メタヨードベータグアニジンについてのスキャン;例えば、副腎腫瘍をモニタリングするため)が挙げられる。
【0185】
例えば、横紋筋肉腫の進行は、種々の方法によって医師もしくは獣医師によってモニタリングされ得、投薬レジメンは、適宜変更され得る。横紋筋肉腫をモニタリングする方法としては、例えば、腫瘍生検、CTスキャン(例えば、腫瘍サイズをモニタリングするため)、MRIスキャン(例えば、腫瘍サイズをモニタリングするため)、胸部のCTスキャン(例えば、転移をモニタリングするため)、骨のスキャン(例えば、転移をモニタリングするため)、骨髄生検(例えば、転移をモニタリングするため)、脊椎穿刺(例えば、脳への転移をチェックするため)および徹底的な身体検査が挙げられる。
【0186】
例えば、骨肉腫の進行は、種々の方法によって医師もしくは獣医師によってモニタリングされ得、投薬レジメンは、適宜変更され得る。骨肉腫をモニタリングする方法としては、例えば、疾患部分もしくは胸部のX線(例えば、肺への広がりをチェックするため)、疾患部分のCTスキャン、血液検査(例えば、アルカリホスファターゼのレベルを測定するため)、癌が肺に広がっていないかを見るための胸部のCTスキャン、直視下生検もしくは癌が他の骨に広がっていないかを見るための骨のスキャンが挙げられる。
【0187】
例えば、膵臓癌の進行は、種々の方法によって医師もしくは獣医師によってモニタリングされ得、投薬レジメンは、適宜変更され得る。膵臓癌をモニタリングする方法としては、腫瘍マーカーCA 19−9および/もしくは癌胎児抗原(CEA)をチェックするための血液検査、上部消化管造影(例えば、食道造影)、内視鏡超音波検査;内視鏡的逆行性胆道膵管造影(膵管および胆管のX線);経皮経肝胆管造影(胆管のX線)、腹部の超音波画像化もしくは腹部のCTスキャンが挙げられる。
【0188】
例えば、膀胱癌の進行は、種々の方法によって医師もしくは獣医師によってモニタリングされ得、投薬レジメンは、適宜変更され得る。膀胱癌をモニタリングする方法としては、尿中の腫瘍マーカー(例えば、核マトリックスタンパク(NMP22))の上昇したレベルを検出するための尿検査、顕微血尿を検出するための尿検査、排尿の際に膀胱から流れ出る細胞を検査することによって癌細胞を検出するための尿細胞診断、膀胱の膀胱鏡検査、経静脈的尿路造影(IVP)、逆行性腎盂造影、転移を検出するための胸部X線、コンピュータ連動断層撮影(CT)、骨のスキャン、MRIスキャン、PETスキャンもしくは生検が挙げられる。
【0189】
例えば、乳癌の進行は、種々の方法によって医師もしくは獣医師によってモニタリングされ得、投薬レジメンは、適宜変更され得る。乳癌をモニタリングする方法としては、マンモグラフィー、吸引生検もしくは針生検または触診が挙げられる。
【0190】
例えば、肺癌の進行は、種々の方法によって医師もしくは獣医師によってモニタリングされ得、投薬レジメンは、適宜変更され得る。肺癌をモニタリングする方法としては、胸部X線、CTスキャン、低用量のらせんCTスキャン(もしくはスパイラルCTスキャン)、MRIスキャン、PETスキャン、骨のスキャン、痰の細胞診断、気管支鏡検査、縦隔鏡検査、生検(例えば、針もしくは外科的)、胸腔穿刺、またはPTH(副甲状腺ホルモン)、CEA(癌胎児抗原)もしくはCYFRA21−1(サイトケラチンフラグメント19)を検出するための血液検査が挙げられる。
【0191】
例えば、前立腺癌の進行は、種々の方法によって医師もしくは獣医師によってモニタリングされ得、投薬レジメンは、適宜変更され得る。前立腺癌をモニタリングする方法としては、指での直腸検査、経腸的超音波、前立腺特異抗原(PSA)および前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)のレベルをチェックするために行なわれる血液検査、生検、骨のスキャンならびにCTスキャンが挙げられる。
【0192】
例えば、結腸直腸もしくは結腸の癌の進行は、種々の方法によって医師もしくは獣医師によってモニタリングされ得、投薬レジメンは、適宜変更され得る。結腸直腸もしくは結腸の癌をモニタリングする方法としては、CTスキャン、MRIスキャン、胸部X線、PETスキャン、糞便の潜血検査(FOBT)、軟性直腸S状結腸鏡検査、全結腸鏡検査(total colonscopy)およびバリウム注腸が挙げられる。
【0193】
例えば、頚部癌の進行は、種々の方法によって医師もしくは獣医師によってモニタリングされ得、投薬レジメンは、適宜変更され得る。頚部癌をモニタリングする方法としては、パパニコラウスミア、骨盤検査、拡大膣鏡診、円錐生検(cone biopsy)、頚管内掻爬、X線、CTスキャン、膀胱鏡検査および直腸鏡検査が挙げられる。
【0194】
例えば、胃癌の進行は、種々の方法によって医師もしくは獣医師によってモニタリングされ得、投薬レジメンは、適宜変更され得る。胃癌をモニタリングする方法としては、食道胃十二指腸鏡検査(EGD)、二重食道造影、内視鏡生検、コンピュータ連動断層撮影(CT)スキャン、磁気共鳴画像法(MRI)もしくは内視鏡超音波検査(EUS)が挙げられる。
【0195】
例えば、ウィルムス癌の進行は、種々の方法によって医師もしくは獣医師によってモニタリングされ得、投薬レジメンは、適宜変更され得る。ウィルムス癌をモニタリングする方法としては、腹部のコンピュータ連動断層撮影スキャン(CT)、腹部の超音波、腎機能および肝機能を評価するための血液検査および尿検査、転移をチェックするための胸部X線、磁気共鳴画像法(MRI)、腎機能をアッセイするための血液検査および尿検査ならびに生検が挙げられる。
【0196】
本発明の一実施形態において、腫瘍細胞がIGF1Rを発現する癌に罹っている任意の患者が、本発明の処方物での処置のために選択される。本発明の一実施形態において、腫瘍が以下の特性のうちのいずれかを示す患者が、本発明の処方物での処置のために選択される:チロシン896上のIRS−1リン酸化;(ii)チロシン612上のIRS−1リン酸化;(iii)任意のチロシン上のIRS−1リン酸化;(iv)IGF−II;および/もしくは(v)任意のチロシン上のIGF1Rリン酸化。このような特性は、当該分野において一般的に公知であるいくつかの方法のうちの任意の方法(例えば、ELISAもしくはウェスタンブロット)によって腫瘍細胞内で同定され得る。
【0197】
(キット)
本発明のキットはまた、本発明の抗IGF1R抗体処方物を、(例えば、パッケージ挿入物の形態の)情報(キット内の薬学的組成物および投薬形態に関する情報を含む)と一緒に含む。一般的に、このような情報は、患者および医師が同封されている薬学的組成物および投薬形態を効果的かつ安全に使用することを促進する。例えば、処方物に関する以下の情報が挿入物中に供給され得る:薬物動態学、薬力学、臨床研究、効能パラメーター、適応症および用法、禁忌、警告、注意事項、有害反応、過用量、適切な用量および投与、どのように供給されるか、適切な保存条件、参考文献ならびに特許の情報。処方物が乾燥/凍結乾燥された形態で提供される本発明の一実施形態において、キットは、処方物を液体形態に再構築するために無菌の水もしくは食塩水を含む。
【0198】
本発明のキットの実施形態において、本発明の抗IGF1R抗体は、容器(例えば、内部が無菌の容器)中に供給される。本発明の一実施形態において、処方物は液体形態にあり、本発明の別の実施形態において、処方物は乾燥/凍結乾燥された形態にある。容器は任意の形態(ガラス(例えば、焼結ガラス)もしくはプラスチックのバイアルもしくはアンプル)を含むが、これらに限定されない)をとり得る。例えば、本発明の一実施形態において、ガラスは透明であるが、本発明の別の実施形態において、光が処方物に接触することを防ぐためにガラスは着色されている(例えば、琥珀色)。本発明の一実施形態において、処方物は、窒素もしくは不活性ガス(例えば、アルゴン)とともに散布される。一実施形態において、処方物は、窒素もしくは何らかの不活性ガスの雰囲気下で封をした気密容器内に詰められる。一実施形態において、処方物は、真空下で気密容器内に詰められる。一実施形態において、処方物を含む容器は、再び封をすることが可能なストッパー(例えば、ゴム)を含み、このストッパーは処方物の取り出しのために針が挿入され得る。
【0199】
本発明の一実施形態において、本発明の処方物は、注入可能なデバイス(例えば、注射器/皮下針)で提供される。一実施形態において、注射器は、本発明の処方物が予め充填されている(例えば、液体もしくは乾燥/凍結乾燥された形態で)。
【0200】
一実施形態において、本発明の処方物は、被験体の体への静脈内注入が意図された容器内に存在する。例えば、本発明の一実施形態において、容器は、プラスチック(例えば、ポリ塩化ビニルもしくはポリエチレン)の注入バッグである。
【実施例】
【0201】
以下の情報は、本発明をより明確に説明するために提供されるのであって、本発明を限定するとは解釈されるべきではない。以下に説明する組成物および方法のいずれもそして全ては、本発明の範囲内に入る。
【0202】
(実施例1:抗IGF1R抗体の処方物および分析)
本実施例において、成熟軽鎖LCF(配列番号14のアミノ酸20〜128)、成熟重鎖HCA(配列番号16のアミノ酸20〜137)および定常領域(重鎖γ1、軽鎖κ)を含む抗体を記載のように処方し、そして優れた安定性の特性を示す(例えば、室温で数ヶ月間にわたって安定性を示す)ことが決定された。
【0203】
(製造方法)
(材料)
1.酢酸ナトリウム三水和物 USP:1Lのバッチあたり2.30g
2.氷酢酸 USP/Ph.Eur:1Lのバッチあたり0.18g
3.スクロース エクストラピュア NF,Ph.Eur,BP:1Lのバッチあたり70.0g
4.抗体:1Lのバッチあたり20.0g
5.注射用水 USP/Ph.Eur:1Lの体積に充分な量
注意:抗IGF1R抗体は、発泡および振とうによって凝集し得る。製造、ろ過および充填中の過剰な発泡は避けられたい。
【0204】
(方法)
(調合)
バッチ体積のおおよそ70%の注射用水中の、酢酸ナトリウム三水和物、酢酸およびスクロースを、攪拌器を備えたステンレス鋼のタンク内に室温でいれ、溶解させた。この溶液に対して、必要な量の薬剤物質(抗体)をステンレス鋼の容器に入れ、そして少なくとも20分攪拌した。20分間攪拌した後、このバッチを注射用水で最終体積にして、そしてさらに20分攪拌した。この溶液のpHをチェックした。この溶液を滅菌フィルタ(0.22μm)にとおして無菌ろ過し、滅菌されたステンレス鋼の容器中に入れた。洗浄および滅菌されたバイアル中に無菌充填した。バイアルをアルミニウム封で封をしてそしてクリンプ(crimp)した。
【0205】
(安定性のテスト)
調合の節に記載されているプロセスにしたがって2つのバッチを製造した。
【0206】
基本形のバッチ(バッチA)からの封をしたバイアルを、安定性ステーション(stability station)に、以下の条件で設置した:4(4±2℃;60%±5%RH)、25H(25±2℃;60%±5%RH)および40(40±2℃、周囲のRH)で3ヶ月間。最初のサンプルおよび各時点の最後に採取したサンプルを、分析の前に4℃で保存した。
【0207】
2番目のバッチ(バッチB)からの封をしたバイアルを、バッチAと同じ安定性ステーションに、上向き(upright)および下向き(inverted)両方の位置で6ヶ月間設置した。最初のサンプルおよび各時点の最後に採取したサンプルを、分析の前に4℃で保存した。
【0208】
【表1−1】

【0209】
【表1−2】

【0210】
【表1−3】

【0211】
【表1−4】

(データ分析および報告)
(バッチA)
記述:
記述は、4週間までのサンプルまでの、透明な溶液は粒子を含む、から、3週間のサンプルについての乳白色の溶液は粒子を含むというものまで変動した。
【0212】
pH:
pHは、5.3と5.4との範囲であった。
【0213】
UV濃度:
得られた最初のUV濃度は、22.34mg/mLであった。UVアッセイによって決定された他の時点での濃度は、最初の値の90〜110%以内で一定のままだった。観察された差異は、本アッセイの標準的な変動性の内にある。
【0214】
HPSEC:
HPSECアッセイによって評価された純度は、基本形の処方物に関しては、4℃および25℃で12週間まではモノマー含量の百分率が99%より高いことを示唆した。40℃では、モノマー含量の百分率は、2週間後および4週間後では、それぞれ98.93および98.47まで減少した。
【0215】
SDS−PAGE:
SDS PAGEの結果は、非還元条件下で典型的な非還元抗体のプロフィールと一致する典型的なバンドのパターンを示唆し、全ての時点に関して、還元条件下で重鎖および軽鎖の検出が報告された。
【0216】
バイオアッセイ:
バイオアッセイは、4週間の結果と12週間の結果との間に有意な変動性を示した。本アッセイで得られた濃度は、21.4mg/mLという最初の濃度に比べると、4℃で2週間後に14.0mg/mLまで減少した。他方で、4℃で12週間後では、基本形の処方物1について得られた濃度は23.3mg/mLであった。観察された差異は、本アッセイの標準的な変動性の内にある。
【0217】
HIAC:
全てのサンプルに関して、粒子のデータは、USP<788>の仕様を満たした(光遮蔽型粒子計数(Light obscuration test particle count):≧10μm−容器あたり6000個、≧25μm−容器あたり600個)。
【0218】
粒子のサイズ測定
全てのサンプルに関して、サンプルの粒子サイズは、11.05nm〜14.92nmの範囲であった。粒子サイズについて観察された差異は、本アッセイの標準的な変動性の内にある。
【0219】
(バッチB)
記述:
記述は、最初の透明な溶液が粒子を含む、から、その後のサンプルについての、乳白色の溶液が粒子を含むまで変動した。
【0220】
pH:
pHは、5.3と5.5との範囲であった。
【0221】
UV濃度:
得られた最初のUV濃度は、19.72mg/mLであった。UVアッセイによって決定された他の時点での濃度は、最初の値の90〜110%以内で一定のままだった。観察された差異は、本アッセイの標準的な変動性の内にある。
【0222】
HPSEC:
HPSECアッセイによって評価された純度は、基本形の処方物に関しては、4℃および25℃で6ヶ月間まではモノマー含量の百分率が98%より高いことを示唆した。40℃では、モノマー含量の百分率は、6ヶ月後では、95%まで減少した。
【0223】
SDS−PAGE:
還元条件および非還元条件の両方の定量SDS PAGEの結果は、4℃および25℃で6ヶ月間まで、比較的一定のままの(本アッセイの変動内の)総不純物のレベルを示し、40℃で6ヶ月にわたって、レベルの上昇を示した。
【0224】
バイオアッセイ:
バイオアッセイは、3ヶ月にわたって示した有意な変動性を温度もしくは時間のいずれについても明白な傾向を有さなかった。観察された差異は、本アッセイの標準的な変動内にある。
【0225】
HIAC:
全てのサンプルに関して、粒子のデータは、USP<788>の仕様を満たした(光遮蔽型粒子計数:≧10μm−容器あたり6000個、≧25μm−容器あたり600個)。
【0226】
等電点電気泳動(IEF):
等電点電気泳動は、抗体分子内の電荷の変動を測定する。最初および1ヶ月目に報告されたバンドのパターンの記述が3ヶ月目および6ヶ月目に報告された記述と等しいので、全ての温度において6ヶ月の間ずっと結果は一定のままである。
【0227】
(実施例2:抗IGF1R処方物の安定性の研究)
これらの研究で使用された抗IGF1R抗体は、実施例1で使用されたものと同じであった。これらの研究を基にして、以下が決定された:
・抗IGF1R抗体は、テストされた全ての緩衝液中で主にβシートの二次構造を示した。
・抗IGF1R抗体は、5および6のpH範囲で高いT開始温度を示した。
・抗IGF1R抗体は、pH5.5の酢酸緩衝液中で、最も高い開始温度を示した。
・塩化ナトリウムの添加は、テストされた全ての緩衝液に関して熱変性の開始を低減した。
・スクロースの添加は、テストされた全ての緩衝液に関して熱変性の開始を増進した。
・抗IGF1R抗体は、7%w/vスクロースを有する20mM酢酸緩衝液(pH5.5)の処方では、4℃および25℃で28日間安定していた。
【0228】
(材料)
5mM酢酸緩衝液(pH5.2)中の抗IGF1R抗体(28.36mg/ml)のストック溶液を使用して、pH4〜9の種々の緩衝液の希釈液を調製した。
【0229】
【表2】

(方法)
(構造研究)
円偏光二色法(CD)を使用して構造研究を行なった。遠紫外円偏光二色法(FUV)および近紫外円偏光二色法(NUV)を使用して、それぞれ2次構造および3次構造を研究した。
【0230】
(熱変性の研究)
サンプルを一定の速度で熱した際に、示差走査熱分析(DSC)、遠紫外円偏光二色分光法(FUV CD)、近紫外円偏光二色分光法(NUV CD)、トリプトファン蛍光分光法(TRP FL)、および光散乱による粒子サイズ(PS)を使用してタンパク質の構造変化をモニタリングした。
【0231】
(短期間の安定性の研究)
抗体のリアルタイム安定性を、スクロースを有する20mM酢酸緩衝液(pH5.5)中で研究した。使用した安定性の条件は、4℃、25℃および40℃であり、サンプルを1ヶ月間維持した。モノマー含量の百分率を、HPSECアッセイを使用して分析した。
【0232】
(結果および検討)
pH5の酢酸緩衝液中での遠紫外(FUV)円偏光二色法のスキャン。217nmの最小値および235nmでの肩は、βシートの2次構造の主な存在を示す。202nmでの最大値は、βターンの2次構造の存在によるものである(図1(a)を参照されたい)。
【0233】
pH5の酢酸緩衝液中での近紫外(NUV)円偏光二色法のスキャン。近紫外CDスペクトルは、3つの異なる領域を示す:
250〜270nm:フェニルアラニン残基、
270〜290nm:チロシン残基、
280〜300nm:トリプトファン残基(図1(b)を参照されたい)。
【0234】
種々の緩衝液中での遠紫外(FUV)円偏光二色法のスキャン。図2(a)に示されるように、pHでの楕円率の変化は、217nm、235nmおよび202nmで観察された。βシートの2次構造に対応する楕円率の最小値は、pH5とpH6との間で観察された。
【0235】
pHの関数としての楕円率の変化。6より高いpHでは、楕円率は増加し、このことは、βシートの2次構造での構造変化を示す(図2(b))。同様の傾向が235nmで観察された(図2(c))。202nmでの楕円率は、pH6より上で増加し、これは、βターンの2次構造の増加を示唆する(図2(d))。
【0236】
種々の緩衝液中での近紫外(NUV)円偏光二色法のスキャン。3次構造での感知できるほどの変化は観察されなかった(図3を参照されたい)。
【0237】
熱研究。20℃〜63℃でサンプルを加熱した際、抗IGF1R抗体のCDシグナルにおいて何の変化も見られず、いずれの緩衝液中でも2次構造の変化を示さなかった。T開始(64.1℃、pH4)で、2次構造のほぐれおよび変化によるCDシグナルの減少が見られた。楕円率は、温度が上昇すると、おそらく凝集体内の分子間のβシートの2次構造の形成によってさらに増加した。pH7のリン酸緩衝液中の抗IGF1R抗体は、68.3℃のT開始を示した。80℃において、おそらく溶解した抗IGF1R抗体の沈殿および喪失による楕円率の減少が観察された。pH5.5における酢酸緩衝液は、他の緩衝液と比べて最も高い開始温度を示した。図4を参照されたい。
【0238】
抗IGF1R抗体サンプルを20℃〜60℃で加熱した際、NUV CDによる楕円率は、294nmで一定のままだった(図5(a))。61℃において、楕円率の増加が見られ得、続いて楕円率が減少した。これはタンパク質のほぐれによるトリプトファン環境内の局所的変化を示す。pH5.5および6での酢酸緩衝液のT開始温度は、他の緩衝液でみられたT開始温度よりも高かった(図5(b))。
【0239】
DSCサーモグラムは、2つの遷移温度、Tm1およびTm2を示した(図6(a))。これらは、タンパク質の構造変化による最大のエンタルピー変化が起こる温度である。最も高いT開始温度は、pH5.5の酢酸緩衝液中で観察された(図6(b))。pH6での酢酸緩衝液は、69.9℃で最も高いTm1を示したが(図6(c))、pH5.5および6.0での酢酸緩衝液は、それぞれ82.2℃および82.3℃で最も高いTm2を示した(図示されていない)。
【0240】
粒子サイズ/凝集の研究。図7(a)は、抗IGF1R抗体についての得られた粒子サイズの分布を示す。全てのテストされた緩衝液中の抗IGF1R抗体の平均サイズは、11.05nmであった。図7(b)は、種々の温度における抗IGF1R抗体のサイズ分布の変化を示す。温度が上昇すると、凝集形成によるサイズの増大が観察され得る。
【0241】
pH5でのリン酸緩衝液は、76℃で凝集の最も高いT開始を示した。pH5、5.5および6の酢酸緩衝液は、74℃で凝集のT開始を示したが、残りの緩衝液は、70℃で凝集を示した(図8(a)を参照されたい)。pH4の酢酸緩衝液中では、凝集のT開始は観察されなかった(図8(b)を参照されたい)。
【0242】
【表3】

抗IGF1R抗体は、5および6のpH領域においてより高いT開始およびTを示した。ほとんどの技術が、pH5.5の酢酸緩衝液中でより高いT開始およびTを示した。
【0243】
開始に対するNaClもしくはスクロースの影響。塩化ナトリウムの添加は、FUV CDのT開始温度を減少させた。これは、タンパク質のほぐれがより低い温度で起こることを示す。抗IGF1R抗体に対する塩化ナトリウムの影響をNUV CD、TRP FL、PSおよびDSCを使用して研究したところ、同様の傾向が見られた。図9を参照されたい。
【0244】
スクロースの添加は、FUV CDのT開始温度を上昇させた。これは、タンパク質のほぐれがより高い温度で起こることを示す。抗IGF1R抗体に対するスクロースの影響をNUV CD、TRP FL、PSおよびDSCを使用して研究したところ、同様の傾向が見られた。図10を参照されたい。
【0245】
これらの実験は、スクロースが、抗IGF1R抗体に対して安定化させる効果を有することを証明した。
【0246】
7%スクロースでかつpH5.5の酢酸緩衝液中の抗IGF1R抗体の安定性の研究。pH5.5で7%w/vスクロースを有する20mM酢酸緩衝液中の抗IGF1R抗体(15mg/ml)を、安定した状態で4℃、25℃および40℃で設置した。12日後、40℃についてのモノマー含量は99%まで減少した。4℃および25℃のモノマー含量は、最初と匹敵した。21日後および28日後には、40℃についてのサンプルのモノマー含量は、それぞれ98.7%および98.5%まで減少した。4℃および25℃では、モノマー含量は、最初のものと比較するとわずかに(おおよそ0.2%)減少した。図11を参照されたい。
【0247】
本発明は、本明細書中に記載されている特定の実施形態によって範囲を限定されるべきではない。実際は、前述の説明より、本明細書中に記載されているものに加えて本発明の種々の改変が当業者に明らかとなる。このような改変は、添付する特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図される。
【0248】
特許、特許出願、刊行物、製品の説明書およびプロトコールは、本出願の全体にわたって引用されており、これらの開示は、本明細書中に全ての目的において参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0249】
【図1A】pH5の酢酸緩衝液中の抗IGF1R抗体の典型的なFUV CDスキャン。
【図1B】pH5の酢酸緩衝液中の抗IGF1R抗体の典型的なNUV CDスキャン。
【図2A】種々の緩衝液中の抗IGF1R抗体の典型的な遠紫外CDスペクトル。
【図2B】217nmでのpHの関数としての楕円率の変化。
【図2C】235nmでのpHの関数としての楕円率の変化。
【図2D】235nmでのpHの関数としての楕円率の変化。
【図3】種々の緩衝液中の抗IGF1R抗体の近紫外CDスペクトル。
【図4A】抗IGF1R抗体のFUV CD熱融解データ。
【図4B】pHの関数としてのT開始(FUV CDデータより)。
【図5A】抗IGF1R抗体のNUV CD熱融解データ。
【図5B】pHの関数としてのT開始(NUV CDデータより)。
【図6A】抗IGF1R抗体のDSCサーモグラム。
【図6B】pHの関数としてのT開始(DSCデータより)。
【図6C】pHの関数としてのTm1(DSCデータより)。
【図7A】抗IGF1R抗体の粒子サイズ分布。
【図7B】種々の温度における抗IGF1R抗体(pH7のリン酸緩衝液中の)のサイズ分布の変化。
【図8A】抗IGF1R抗体の凝集のT開始のデータ。
【図8B】pHの関数としての凝集のT開始
【図9】(FUV CDデータからのT開始):T開始に対する塩化ナトリウムの影響。
【図10】(FUV CDデータからのT開始):T開始に対するスクロースの影響。
【図11】7%w/vスクロースを有するpH5.5の酢酸緩衝液中の抗IGF1R抗体の安定性。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IGF1Rに特異的に結合する単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメント、緩衝剤およびスクロースを含む、薬学的処方物。
【請求項2】
前記緩衝剤が、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤、グリシン緩衝剤もしくは酢酸緩衝剤である、請求項1に記載の処方物。
【請求項3】
IGF1Rに特異的に結合する抗体もしくはその抗原結合フラグメント、緩衝剤およびスクロースをpH約5.5〜約6.0で含む、請求項1に記載の薬学的処方物。
【請求項4】
前記緩衝剤が、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤、グリシン緩衝剤もしくは酢酸緩衝剤である、請求項1に記載の処方物。
【請求項5】
前記抗体もしくはフラグメントが、配列番号1〜配列番号3からなる群より選択される1つ以上の軽鎖相補性決定領域;および/もしくは配列番号4〜配列番号7からなる群より選択される1つ以上の重鎖相補性決定領域を含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項6】
配列番号8〜配列番号14のアミノ酸20〜128からなる群より選択される軽鎖可変領域:および/もしくは配列番号15〜配列番号17のアミノ酸20〜137からなる群より選択される重鎖可変領域を含む、抗体もしくはその抗原結合フラグメント;緩衝剤ならびにスクロースをpH約5.5〜約6.0で含む、請求項1に記載の薬学的処方物。
【請求項7】
凍結乾燥された、請求項1に記載の処方物。
【請求項8】
無菌である、請求項1に記載の処方物。
【請求項9】
前記抗体もしくはフラグメントが、γ1、γ2、γ3およびγ4からなる群より選択される重鎖定常領域もしくはκ軽鎖定常領域を含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項10】
水溶液状である、請求項1に記載の処方物。
【請求項11】
前記抗体もしくはフラグメントの濃度が、約20mg/mlである、請求項1に記載の処方物。
【請求項12】
緩衝剤の濃度が、約1mM〜約20mMである、請求項1に記載の処方物。
【請求項13】
スクロースの濃度が、約5mg/ml〜約70mg/mlである、請求項1に記載の処方物。
【請求項14】
さらなる治療剤と組み合わせた、請求項1に記載の処方物。
【請求項15】
前記さらなる治療剤が、
【化1】

【化2】

【化3】

からなる群より選択される1つ以上のメンバーである、請求項1に記載の処方物。
【請求項16】
配列番号8〜配列番号14のアミノ酸20〜128からなる群より選択される軽鎖可変領域および/もしくは配列番号15〜配列番号17のアミノ酸20〜137からなる群より選択される重鎖可変領域を含む、前記抗体もしくはフラグメント;酢酸塩;酢酸ならびにスクロースをpH約5.5で、さらなる治療剤と組み合わせて単一の組成物中に含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項17】
(a)配列番号8〜配列番号14のアミノ酸20〜128からなる群より選択される軽鎖可変領域および/もしくは配列番号15〜配列番号17のアミノ酸20〜137からなる群より選択される重鎖可変領域を含む、20mg/mlの抗体もしくはその抗原結合フラグメント;
(b)2.3mg/mlの酢酸ナトリウム三水和物;
(c)0.18mg/mlの氷酢酸;
(d)70mg/mlのスクロース;ならびに
(e)水
を含む、pH5.5の、請求項1に記載の薬学的処方物。
【請求項18】
pH5.5の凍結乾燥された薬学的処方物であって、再構築された場合、該薬学的処方物は:
(a)アミノ酸20〜128からなる群より選択される軽鎖可変領域および/もしくは配列番号15〜配列番号17のアミノ酸20〜137からなる群より選択される重鎖可変領域を含む、20mg/mlの治療上有効な量の抗体もしくはその抗原結合フラグメント;
(b)2.3mg/mlの酢酸ナトリウム三水和物;
(c)0.18mg/mlの氷酢酸;および
(d)70mg/mlのスクロース;ならびに
(e)水
を含む、薬学的処方物。
【請求項19】
請求項1に記載の処方物を含む、容器。
【請求項20】
ガラス製のバイアルである、請求項19に記載の容器。
【請求項21】
請求項1に記載の処方物を含む、注入デバイス。
【請求項22】
皮下針および注射器である、請求項21に記載の注入デバイス。
【請求項23】
(a)容器もしくは注入デバイス中の請求項1に記載の処方物;ならびに
(b)薬物動態、薬力学、臨床研究、効能パラメーター、適応症および用法、禁忌、警告、注意事項、有害反応、過用量、適切な用量および投与、どのように供給されるか、適切な保存条件、参考文献ならびに特許の情報からなる群より選択される該処方物に関連する1つ以上の情報項目を含むパッケージ挿入物を備える、キット。
【請求項24】
IGF1R、IGF−1および/もしくはIGF−2によって媒介される医学的障害を被験体において処置もしくは予防するための方法であって、該方法は、治療上有効な量の請求項1に記載の処方物を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項25】
前記医学的障害が、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、小児癌、先端巨大症、卵巣癌、膵臓癌、良性前立腺肥大症、乳癌、前立腺癌、骨癌、肺癌、結腸直腸癌、頚部癌、滑膜肉腫、膀胱癌、胃癌、ウィルムス癌、卵巣癌、良性前立腺肥大症(BPH)、転移性カルチノイドおよび血管作動性腸管ペプチド分泌腫瘍に関連する下痢、ビポーマ、ウェルナー−モリソン症候群、腎臓癌、腎細胞癌、移行上皮癌、ユーイング肉腫、白血病、急性リンパ芽球性白血病、脳の癌、膠芽腫、非膠芽腫の脳の癌、髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、未分化神経外胚葉性腫瘍、髄芽腫、星状細胞腫、乏突起膠腫、脳室上衣腫、脈絡叢乳頭腫、巨人症、乾癬、アテローム性動脈硬化症、血管の平滑筋再狭窄、不適切な微小血管増殖、先端巨大症、巨人症、乾癬、アテローム性動脈硬化症、血管の平滑筋再狭窄もしくは不適切な微小血管増殖、グレーヴズ病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、自己免疫性甲状腺炎ならびにベーチェット病からなる群より選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記被験体が、前記処方物と組み合わせてさらなる治療剤を投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記さらなる治療剤が、
【化4】

【化5】

【化6】

からなる群より選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記被験体がヒトである、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記処方物が、前記被験体に非経口で投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記処方物が、pH約5.5であり、そして:
(a)配列番号8〜配列番号14のアミノ酸20〜128からなる群より選択される軽鎖可変領域および/もしくは配列番号15〜配列番号17のアミノ酸20〜137からなる群より選択される重鎖可変領域を含む、20mg/mlの治療上有効な量の抗体もしくはその抗原結合フラグメント;
(b)2.3mg/mlの酢酸ナトリウム三水和物;
(c)0.18mg/mlの氷酢酸;
(d)70mg/mlのスクロース;ならびに
(e)水
を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
配列番号20〜配列番号128のアミノ酸20〜128からなる群より選択される軽鎖可変領域および/もしくは配列番号15〜配列番号17のアミノ酸20〜137からなる群より選択される重鎖可変領域を含む抗体もしくはその抗原結合フラグメントを安定化させるための方法であって;該方法は、該抗体もしくはフラグメントと酢酸塩;酢酸およびスクロースを、必要に応じてpH約5.5で合わせる工程を包含する、方法。
【請求項32】
前記抗体もしくはフラグメントの濃度が約20mg/mlである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
酢酸塩の濃度が約2.3mg/mlであり、酢酸の濃度が約0.18mg/mlであり、そしてスクロースの濃度が約70mg/mlである、請求項31に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2008−546699(P2008−546699A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517021(P2008−517021)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/022995
【国際公開番号】WO2006/138315
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】