説明

抗T細胞および自己免疫疾患の自己抗原治療

本発明は、新たに発症した哺乳動物のI型糖尿病または前I型糖尿病性の哺乳動物の新しい治療方法であって、(a)前記哺乳動物に抗T細胞治療剤を投与し、(b)自己抗原および任意の粘膜抗原を含む組成物を投与することを含み、(a)と(b)の投与を同時または逐次に行う治療方法に関する。抗CD3抗体、グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)自己抗原、免疫調整性サイトカインからなる混合物を用いた治療が例示されている。イヌのGAD配列も示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は哺乳動物の自己免疫疾患の治療に関する。より具体的には、本発明は、哺乳動物の新たに発症したI型糖尿病に関する新たな治療方法および診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
I型糖尿病またはインシュリン依存性糖尿病(IDDM)は、主としてグルコース代謝の自己免疫障害である。糖尿病合併症は、寿命を縮め生活の質を低下させる。この例としては、アテローム性心疾患、壊疽、脳梗塞や、糖尿病性網膜障害、神経障害および腎症が挙げられる。糖尿病性神経障害の症状は、末梢の感覚欠損(ピンや針/手根管症候群)から、膀胱や腸の機能障害にいたる自律性の神経障害におよぶ。I型糖尿病はまた、糖尿病性の末期腎臓病の結果である腎臓透析の患者の多くに関連している。心筋梗塞、アンギナや脳梗塞の罹患率は、非糖尿病性患者より2〜3倍高く、I型糖尿病性の患者の寿命は短い。
【0003】
I型糖尿病は、実は臨床的な発症以前に始まっている。膵臓のβ細胞の破壊が繰り返されるとこの糖尿病が始まる。この細胞は通常、インシュリンを生産する。グルコースに対するインシュリン応答の低下がこの時期に観測されるが、この時、ランゲルハンス島のβ細胞が大量に(>90%)破壊されている。この疾病の早期やそれ以降では、I型糖尿病は、特徴的にマクロファージやリンパ球(ヘルパーおよびキラー)による膵島の浸潤を引き起こす。このマクロファージ浸潤は、小リンパ球の浸潤を引き起こすと考えられている。疾患初期のマクロファージの関与を抑える薬の可能性については医師の理解があるものの、今のところ安全な治療法は見つかっていない。現在の治療には、日々頻繁にインシュリン注射を行うことが含まれる。しかし、これも低血糖性ショックなどの副作用を引き起こす場合がある。糖尿病の治療においては、血糖レベルをコントロールし通常のレベルに維持することが重要である。
【0004】
真性糖尿病はヒトに限られるのでなく、イヌやネコで最も多く見られる内分泌障害の一つで、その罹患率や死亡率も高い。糖尿病の動物は、感染感受性の上昇や創傷治癒の低下などヒトの糖尿病について述べたものと同じ問題を抱えている。また、ヒトI型糖尿病と同様なインシュリン生産の低下は、脂肪分解を促進して中程度の高脂質血症を引き起こし、最終的にはアテローム性動脈硬化症を引き起こす。糖尿病合併症のいくつかは動物に特異的なようで、たとえばイヌでは急速に白内障匙が悪化し盲目となるが、ネコでは神経障害が早く進み、下肢の脱力および歩行障害の問題を引き起こす。
【0005】
ヒトと動物の両方で血糖の管理が重要となるが、血糖の管理には頻繁な検査やインシュリン投与が必要で、ヒトを衰弱させるとともに、コンパニオン動物では現実的ではない。その結果、 糖尿病の動物の場合、インシュリン投与中でも血糖管理は行われず、このため病気の動物の死亡率も高い(非特許文献1)。現在動物にとりうる治療法としては、毎日のインシュリン投与と膵島の移植ぐらいである。後者の成功率は変動し、毎日免疫抑制が必要でコストがかさみ、またそれ自体毒性がある(非特許文献2)。 糖尿病のイヌを、ウシまたはブタのインシュリンで長期間治療するとかなり大きな反応を引き起こして抗体が相同インシュリンと交差反応することとなり、この結果糖尿病の管理が難しくなる(非特許文献3)。
【0006】
イヌの糖尿病性疾患の免疫病原もまたヒトのI型糖尿病とよく似ており、たとえば、障害は主に自己反応性のリンパ球により引き起こされている。自発性真性糖尿病のイヌの膵臓の組織病理学的・免疫細胞化学的研究の結果、膵臓の大きな損傷、インシュリン産生β細胞が大幅に減少または欠損していることが明らかとなったが、α細胞とδ細胞は維持されていた。また、インスリン炎障害部位には、浸潤性の単核球、主にリンパ球が見られたが、膵島に対する液性自己免疫の証拠は見出されなかった(非特許文献4)。またヒト疾患と同様に、T細胞の応答は、GAD、インシュリンおよびIA−2などの自己抗原に向けられているようである。ウイルス感染に暴露した場合に起こる自己免疫が膵島のβ細胞を攻撃するようにさせる分子模倣の可能性については多くの推測がなされている。ロタウイルスなどのウイルスによるT細胞の活性化や食事タンパクが、IA−2によるロタウイルス−GADへの分子模倣により、β−細胞の自己免疫を引き起こしたり悪化させたりすることがある(非特許文献5)。GADやIA−2、インシュリンなどに対するいろいろな糖尿病自己抗原の抗体を用いて、罹患性の高い動物をスクリーニングで特定できる可能性がある。
【0007】
I型糖尿病の進行を逆転するために、いろいろな治療法が開発されている。一過性のT細胞欠乏およびCD3/T細胞レセプター複合体の抗原的な変調による免疫応答を抑えるために、抗CD3モノクロナール抗体(mAb)が使用されている。本格的に糖尿病が発症した後7日以内に、抗CD3・mAbを成人NOD雌マウス(I型糖尿病のモデル)に投与したところ、ほとんどのマウスにおいて、4ヶ月を超える疾患の緩解期が得られた。この免疫抑制は、β−細胞関連抗原に特異的であった(非特許文献6)。しかし、治療後のマウスの糖尿病発症が、4ヶ月かけて徐々に増加しており、4ヶ月以降の完全な分析も行なわれていない。数週間の治療の後にインスリン炎が再発することがあり、抗CD3抗体による保護のみでは、疾患の治療または逆転に不十分であったようである。また、ヒトの試験において、非活性化抗CD3・mAbを用いた治療により、治療群の12人の患者のうち9人で、1年後にインシュリン生産の維持または改良が見られた。しかし、最大の効果、たとえばインシュリン要求性の低下と糖化ヘモグロビンレベルの低下は、12ヶ月ではなく6ヶ月で観察された。また、12人の患者のうち1年以上持続して応答を示したのは、たった二人であり(P=0.01)、治療の追加が必要であることが示された。(非特許文献7)。
【0008】
経口免疫寛容とは、タンパク抗原の経口投与が、その抗原が全身を攻撃してもそれに対する末梢の免疫応答を消失させるプロセスである。哺乳動物におけるこのような調整システムの基礎は、病原体に対する保護的な粘膜抗体の応答と新たに遭遇する食品タンパクに対する潜在的に有害なアレルギー反応とのバランスをとることである。経口免疫寛容はまた、グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)のような誘発性自己抗原が見出されて以来、糖尿病などの自己免疫疾患の予防や治療において有望な治療方法であると考えられている。
【0009】
植物を、臨床で使用する哺乳動物抗原タンパクの生産における発現システムまたは「バイオリアクター」として利用することは、スケールアップによる生産能力の増強がほとんど無限に可能であるなど、いろいろ特徴のある長所を有する。植物は真核生物であるため、機能的な遺伝子組換タンパクの生産に必要な、ジスルフィド結合や折りたたみの形成などの転写後や翻訳後の改変が可能となる。タンパクの単離はコストがかさみ、いかなる生産システムも経済的に成り立たなくなる。遺伝子組換植物を経口寛容に用いる実用的な利点として、この植物発現システムが、タンパクを徹底的に精製することなく効果的に供給できるシステムとなりうることがあげられる。このような植物組成物は、免疫応答を変え経口寛容を増強する可能性のある他の化合物、タンパク、レクチンおよび他の成分を含んでいる。また、植物生産ワクチンに対する免疫応答の増強は、植物発現遺伝子組換タンパクの胃腸での分解に対する安定性の増加を示しているようであり、これらの特徴をあわせると、植物が経口免疫寛容の理想的な発現・供給システムとなる。
【0010】
特許文献1には、遺伝子組換植物において製造した糖尿病関連β細胞自己抗原を利用した経口免疫寛容方法が開示されている。このような遺伝子組換植物組織を投与することで、非肥満性糖尿病(NOD)のマウスを糖尿病から守ることが可能である。
【0011】
要約すると、I型糖尿病のメカニズムの理解に関して、この30年間に大幅な進歩が見られたが、この疾患を治療し逆転させる新しいかつ効果の高い治療法の開発が、ヒトおよび動物の両方において、今なお求められている。
【特許文献1】米国特許第6,338,850号明細書
【非特許文献1】Bennett N.Monitoring techniques for diabetes mellitus in the dog and the cat.Clin Tech Small Anim Pract 2002 May;17(2):65−9
【非特許文献2】Salgado D、Reusch C、Spiess B、Diabetic cartaracts:Different incidence between dogs and cats.Schweiz Arch Tierheilkd 2000 Jun;142:349−53
【非特許文献3】Davison U、Ristic JM、Herrtage ME、Ramsey IK、Catchpole B、Anti−insulin antibodies in dogs with naturally ocurring diabetes mellitus、Vet Immunol Immunopathol 2003 Jan 10;91(l):53−60
【非特許文献4】Alejandro R、Feldman EC、Shienvold FL、Mintz DH.Advances in canine mellitus research:etiopathology and results of islet transplantation、J Am Vet Med Assoc 1988 Nov l;193:1050−5
【非特許文献5】Honeyman MC、Stone NL、Harrison LC、T−Cell epitope in type 1 diabetes auttoantigen tyrosine phosphatase IA−2:potensial for mimicry with rotavirus and other environmetnal agents、Mol Med 1998 4:231−9
【非特許文献6】Chatenoud L、Thervet E、Primo J、Bach JF、Anti−CD3 antibody induces long−term remission of overt autoimmunity in non−obese diabetic mice、Proc Natl Acad Sci USA 1994 91:123−7
【非特許文献7】Herold KC、Hagopian W、Auger JA、Poumian−Ruiz E、Taylor L、Donaldson D、Gitelman SE、Harlan DM、Xu D、Zivin RA、Bluestone JA、Anti−CD3 monoclonal antibody in new−onset type1 diabetes mellitus. N Engl J Med 2002 May 30;346:1692−8
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の概要)
本発明は、抗T細胞治療と経口免疫寛容とを組み合わせると、単独で行う治療より、自己免疫疾患の治療、特にI型糖尿病の治療において効果が増すという発見に基づいている。
本発明のある側面においては、I型糖尿病などの自己免疫疾患を発症した哺乳動物に治療効果のある治療法、また現在行われている治療法の欠点の一部を克服することのできる治療法が提供される。本発明の他の側面において、改良されたI型糖尿病の代替治療法や治療方法が提供される。これらのまたこれ以外の目的は、新たに発症したI型糖尿病の治療方法、あるいはI型糖尿病を発症する差し迫ったリスクを有するヒトの新しい予防治療方法である本発明により達成される。
【0013】
本方法は、抗T細胞治療と免疫寛容を複合したもので、I型糖尿病を発症する差し迫ったリスクをもつ(すなわち、前糖尿病状態の)哺乳動物、または新たにI型糖尿病を発症した哺乳動物に投与するためのものである。本発明の実施様態において、本方法を同時にまたは逐次に行うことができる。逐次治療では、哺乳動物はまず抗T細胞治療を施され、次いで症状のない状態を維持するため、免疫寛容治療を施される。本発明の方法は、他の既知の糖尿病治療法のいずれと組み合わせて使用してもよい。
【0014】
本発明はまた、哺乳動物の新たに発症したI型糖尿病の診断方法に関する。このような診断は、たとえばグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)に対する抗体をI型糖尿病発症の指標として検出する。したがって、いろいろな形態のGAD抗体を、本方法で用いることができる。あるいは、たとえば、それだけに限定するものではないが、GAD65などの新たな形のGADに対する新しい遺伝子配列や新しい抗体を、本発明で用いてもよい。さらに、上記のGAD65が、イヌのGAD65や、イヌGAD65をコードする植物コドン最適化遺伝子であってもよい。
【0015】
本発明の一側面は、I型糖尿病の治療方法であり、この方法では、抗T細胞抗体と、一つ以上の自己抗原と一つ以上の免疫調整性サイトカインを含む組成物を哺乳動物に投与する。投与は同時でも逐次でもよい。この治療方法は、他の既知のI型糖尿病治療法と併用してもよい。また、この治療方法を、I型糖尿病を発症する差し迫ったリスクを持つ哺乳動物に用いてもよい。
【0016】
本発明の方法は、抗T細胞治療を自己抗原と一緒に用いることを含む。しかし、本発明の他の側面においては、この自己抗原部分の治療は単独で行ってもよく、免疫調整性サイトカインなどの粘膜抗原とともに行ってもよい。
【0017】
本発明のいずれの側面においても、抗T細胞治療と自己抗原の併用を同時に行ってもよいし逐次に行ってもよい。当業者にとって、同時治療とは、抗T細胞治療剤の投与と自己抗原の投与の併用、あるいは、抗T細胞治療剤の投与と自己抗原の投与の併用とそれに続く更なる自己抗原の投与を意味する。当業者には公知のように、同時型の投与は、異なる投与期間であってもよく、さらに自己抗原治療剤の投与を、異なる期間実施してもよい。
【0018】
本発明の一側面は、哺乳動物のI型糖尿病、またはI型糖尿病を発症する差し迫ったリスクを持つ哺乳動物の治療法であり、抗T細胞治療と自己抗原治療を併用する。このような場合、両治療は同時でも逐次でもよく、また、異なる間隔でこれらを併用してもよい。
【0019】
本発明のある側面は、哺乳動物のI型糖尿病、またはI型糖尿病を発症する差し迫ったリスクを持つ哺乳動物の治療方法であって、
(a)前記哺乳動物に抗T細胞治療剤を投与することと、
(b)有効免疫抑制量の少なくとも一つの自己抗原を含む組成物を投与することと
を含み、(a)と(b)の投与が同時にまたは逐次に行われる治療法である。
本発明のいくつかの側面において、必要に応じて(b)の投与をさらに数日、数週間、数ヶ月、または数年、継続することもできる。
【0020】
本発明の他の一つの側面は、哺乳動物のI型糖尿病、またはI型糖尿病を発症する差し迫ったリスクを持つ哺乳動物の治療方法であって、
(a) 前記哺乳動物に抗T細胞治療剤を投与することと、
(b)有効免疫抑制量の少なくとも一つの自己抗原を含む組成物を投与することと
を含み、(a)と(b)の投与が同時にまたは逐次に行い、あるいは(a)の投与を(b)に先立って行い、あるいは(a)と(b)の投与を同時に行い次いで(b)の投与を長期間行う治療方法である。
【0021】
本発明の他の側面は、哺乳動物のI型糖尿病、またはI型糖尿病を発症する差し迫ったリスクを持つ哺乳動物の治療方法であって、
(a) 前記哺乳動物に抗T細胞治療剤を投与することと、
(b) 有効免疫抑制量の少なくとも一つの自己抗原と少なくとも一つの粘膜抗原とを含む組成物を投与することと
を含み、上記の(a)と(b)の投与が同時または逐次に行われる治療方法である。
【0022】
いくつかの側面において、(a)と(b)の投与が同時にまたは逐次に行われ、あるいは(a)の投与が(b)に先立って行われ、あるいは(a)と(b)の投与が同時に行われ次いで(b)の投与がさらに実施される。
【0023】
本発明のさらに他の側面は、哺乳動物のI型糖尿病、またはI型糖尿病を発症する差し迫ったリスクを持つ哺乳動物の治療方法であって、
(a)有効免疫抑制量の抗T細胞抗体を上記哺乳動物に投与することと、
(b)有効免疫抑制量の少なくとも一つの自己抗原と少なくとも一つの免疫調整性サイトカインを投与することと
を含み、上記の(a)と(b)の投与が同時または逐次に行われる治療方法である。
【0024】
いくつかの側面において、(a)と(b)の投与が同時にまたは逐次に行われ、あるいは(a)の投与が(b)に先立って行われ、あるいは(a)と(b)の投与が同時に行われ、次いで(b)の投与がさらに実施される。
【0025】
本発明の他の側面は、哺乳動物のI型糖尿病、またはI型糖尿病を発症する差し迫ったリスクを持つ哺乳動物の治療方法であって、
(a)有効免疫抑制量の抗T細胞抗体を上記哺乳動物に投与することと、
(b)有効免疫抑制量の、少なくとも一つの自己抗原と一つの免疫調整性サイトカインを含む遺伝子組換植物材料を上記哺乳動物に投与することと
を含み、上記の(a)と(b)の投与が同時に行われる治療方法である。
いくつかの側面において、(b)をさらに投与してもよい。
【0026】
本発明の他の側面は、哺乳動物のI型糖尿病、またはI型糖尿病を発症する差し迫ったリスクを持つ哺乳動物の治療方法であって、
(a)有効免疫抑制量の抗T細胞抗体を上記哺乳動物に投与することと、
(b)有効免疫抑制量の、少なくとも一つの自己抗原と一つの免疫調整性サイトカインを含む遺伝子組換植物材料を上記哺乳動物に投与することと
を含み、上記の(a)の投与をまず行い、ついで(b)の投与を行う治療方法である。
【0027】
本発明の他の側面は、哺乳動物のI型糖尿病、またはI型糖尿病を発症する差し迫ったリスクを持つ哺乳動物の治療方法であって、
(a)有効免疫抑制量の抗CD3モノクロナール抗体を上記哺乳動物に投与することと、
(b)有効免疫抑制量の、GADアイソフォームとIL−4とを両方を含む遺伝子組換植物材料を上記哺乳動物に投与することと
を含み、上記(a)と(b)の投与が同時に行われる治療方法である。
【0028】
本発明の他の側面は、哺乳動物のI型糖尿病の治療方法であって、
(a)有効免疫抑制量の抗CD3モノクロナール抗体を上記哺乳動物に投与することと、
(b)有効免疫抑制量の、GADアイソフォームとIL−4とを両方を含む遺伝子組換植物材料を上記哺乳動物に投与することと
を含み、上記の(a)の投与をまず行い、ついで(b)の投与を行う治療方法である。
【0029】
本発明の他の側面は、ヒトまたは動物のI型糖尿病の逆転方法であって、
−治療有効量の抗CD3モノクロナール抗体を上記ヒトまたは動物に投与することと、
−治療有効量の、一つ以上のGAD自己抗原とIL−4とを含む遺伝子組換植物材料を投与することと
を含み、上記モノクロナール抗体が、まず上記のヒトまたは動物に投与される治療法である。
【0030】
本発明の他の側面は、ヒトまたは動物のI型糖尿病の逆転方法であって、
−治療有効量の抗CDSモノクロナール抗体を上記ヒトまたは動物に投与することと、
−治療有効量の、一つ以上のGAD自己抗原とIL−4を含む遺伝子組換植物材料を投与することと
を含み、上記モノクロナール抗体と上記遺伝子組換植物材料が、同時に上記ヒトまたは動物に投与される治療方法である。
【0031】
本発明のさらに他の側面は、抗CD3抗体と、少なくとも一つの自己抗原と一つの免疫調整性サイトカインを含む製剤との混合物からなる組成物である。
【0032】
本発明のさらに他の側面は、抗CD3抗体と少なくとも一つの自己抗原と一つの免疫調整性サイトカインを含む遺伝子組換植物材料の混合物からなる組成物である。
【0033】
本発明のさらに他の側面は、上記の哺乳動物からのサンプル中の抗GAD抗体を検出する哺乳動物のI型糖尿病の診断方法である。この検出は、哺乳動物のI型糖尿病の発症あるいは発症リスクの指標となる。本発明のいくつかの側面において、本方法にイヌのGAD65を使用してもよい。
【0034】
本発明のさらに他の側面は、新規のGAD65配列であり、この配列は植物の形質転換に用いることができる。いくつかの側面において、この配列は、配列番号4に示されるイヌGAD65配列である。さらにいくつかの側面において、この配列は、配列番号5に示される最適化されたGAD65配列である。
【0035】
本発明のさらに他の側面は、新しいIL4配列で、この配列は植物の形質転換に用いることができる。いくつかの側面において、この配列は植物での発現に最適化されたイヌIL4配列であり、配列番号2や配列番号7で示される。
【0036】
本発明の他の側面は、植物細胞の形質転換用のベクターである。いくつかの側面において、これらのベクターは、配列番号1、配列番号3および配列番号6なる群より選択される配列を有する。
【0037】
本発明のさらに他の側面は、抗T細胞抗体、自己抗原および任意の粘膜抗原を含む組成物の、哺乳動物のI型糖尿病治療用の医薬の製造における使用である。
【0038】
本発明の他の特徴や利点は、下記の詳細な説明で明らかとなろう。本発明の実施様態を示す詳細な説明や特定の実施例を以下に説明のために提供するが、この詳細な説明により、当業者には本発明の精神や範囲内での多くの修正や変更が明らかになるであろう。
【0039】
本発明は、本明細書および添付図面により明確に理解されるが、これらは単に説明のために提供されるものであり、本発明の請求範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明は、自己免疫疾患の新しい治療方法に関し、特に哺乳動物のI型糖尿病の治療方法に関する。本方法は、抗T細胞治療と哺乳動物の免疫寛容とが組み合わされた併用療法である。この併用療法は、同時または逐次に実施してもよい。抗T細胞治療と免疫寛容の組み合わせは、それぞれ単独の治療に比べ効果に優り、特にI型糖尿病の治療に適する。本発明の方法を用いれば、長期間糖尿病の再発がなかったため、本方法が糖尿病の長期治療に有効であり、また症状を逆転することも可能であることがわかった。
【0041】
本発明の方法は、哺乳動物の新たに発症したI型糖尿病の治療に有用である。本発明の方法はまた、I型糖尿病を発症する差し迫ったリスクを有する哺乳動物、たとえば自己免疫により膵島細胞機能の低下した哺乳動物でインシュリン治療を必要としないものの治療に有用である。この点で、このような哺乳動物は、前糖尿病状態と考えられる。本方法を哺乳動物のI型糖尿病の治療に用いてもよい。
【0042】
本発明の方法と他のI型糖尿病の治療方法とを併用してもよいことは、当業者の理解するところである。
【0043】
定義
本明細書に記載のように、I型糖尿病は一般に自己免疫性疾患とされ、文献中では、I型DMや、インシュリン依存性糖尿病、IDD、インシュリン依存性真性糖尿病、IDDM、小児糖尿病、小児真性糖尿病、小児発症性糖尿病、小児発症性真性糖尿病、小児期糖尿病、小児期真性糖尿病、若年発症性糖尿病、若年発症性真性糖尿病、自己免疫性真性糖尿病などと表記されている。
【0044】
本明細書において、自己抗原とは、いくつかの個体において免疫応答を刺激する天然のタンパクまたはペプチドをいう。このような個体に自己抗原を投与すると、この自己抗原は、免疫寛容を引き起こすか、このタンパクまたはペプチドへの哺乳動物の免疫応答を抑制する。
【0045】
本明細書において、粘膜アジュバントとは、粘膜経由あるいは粘膜表面、または腸に関連するリンパ組織で作用して抗原性応答を高める免疫性物質である。本明細書に記載の粘膜アジュバントは、免疫系の細胞より放出され、免疫性応答を表すにあたり細胞内メディエーターとして作用する、サイトカインやインターロイキンなどの調整タンパク類のいくつかである免疫調整性サイトカインであってもよい。サイトカインは、リンパ球、他の免疫性細胞または実質細胞が活性化されて放出され、単一のあるいは複数の特定抗原に対する危険な自己免疫応答を、変更・減衰・消去させるものであってもよい。
【0046】
本明細書のGAD(グルタミン酸脱炭酸酵素)には、各種のGADアイソフォーム、自己抗体により認識される一個以上のGADエピトープ(抗原決定基)を有するGADポリペプチドが含まれる。
【0047】
本明細書において使用する用語「遺伝子組換植物材料」は、植物が発現する自己抗原および粘膜アジュバントを含有する遺伝子組換植物材料ならいずれでもよい。この植物材料としては、植物組織、植物の一部(たとえば、葉、塊茎、茎など)、植物細胞培養物(たとえば植物懸濁培養物や植物カルス培養物)、植物抽出物、植物スラリーや、これらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。この植物材料は、「生」で供給されてもよいし、所望の遺伝子組換タンパクが含まれるなら何らかの加工後に供給されてもよい。本発明の用途に合致する植物材料の加工方法の例は、たとえばWO2002083072、WO2004098530、およびWO2004098533に記載されている(これらの開示内容は引用によりここに援用される)。
【0048】
本明細書において、「哺乳動物」とは乳腺を有する温血動物をいう。好ましい哺乳動物のグループはヒトおよびそのコンパニオン動物からなるグループである。たとえば、このグループにはヒトやイヌ、ネコ、ウマが含まれる。好ましくはイヌとネコであり、より好ましくはヒトである。
【0049】
抗T細胞治療
本方法においては、哺乳動物にT細胞欠乏を引き起こすために、抗T細胞治療が実施される。この抗T細胞治療では、T細胞を標的とする何らかの免疫抑制剤を使用する。いくつかの側面においては、たとえばT細胞の表面抗原を標的とするモノクロナール抗体およびポリクローナル抗体、あるいはその代替としてシクロスポリン、メトトレキセート、アザチオプリンなどの薬剤が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0050】
本発明のいくつかの側面においては、当業者によく理解されているように、適当な抗体が、抗CD3、抗CD2、抗CD4、抗CD7、抗CD8、抗CD25、抗CD28、α4β1インテグリン、α4β7インテグリンおよび他のT細胞表面抗原から選択されるが、これらに限定されるわけではない。上記の抗体などの選ばれたT細胞除去剤を、それを必要とする哺乳動物に投与する。この抗体を用いる治療は、最大で10日間実施される。当業者によって理解されるように、この治療期間は変更可能である。たとえば、この期間を約5〜7日としてもよい。
【0051】
このT細胞除去剤を、静脈注射により投与し、投与量を体重1kg当たり約10μg/kg〜約100μg/kgとしてもよい。投与量は、この範囲中のどの範囲であってもよく、たとえば、体重1kg当たり10μg/kg〜約20μg/kg;体重1kg当たり20μg/kg〜約30μg/kg;体重1kg当たり30μg/kg〜約40μg/kg;体重1kg当たり40μg/kg〜約50μg/kg;体重1kg当たり50μg/kg〜約60μg/kg;体重1kg当たり60μg/kg〜約70μg/kg;体重1kg当たり70μg/kg〜約80μg/kg;体重1kg当たり80μg/kg〜約90μg/kg;あるいは体重1kg当たり90μg/kg〜約100μg/kgでもよいが、これらに限定されるわけではない。また当業者によって理解されるように、投与範囲が上記範囲から外れていてもよく、哺乳動物の種類によってはこの範囲に限定されるわけではなく、末梢血で測定して循環T細胞が実質的になくなる投与量とする。好ましいT細胞除去剤の投与量は、循環T細胞表面のモノクロナール抗体を検出してから決定される。抗体治療への応答は、血糖レベルを測定して決定する。コントロールされたレベルや正常の範囲の血糖値を示す哺乳動物は、治療に応答していると考えられる。
【0052】
本発明のある代表的な実施様態においては、抗T細胞治療は、抗CD3モノクロナール抗体の約5日〜約7日間の投与によって効果的に達成されるが、これに限定されるわけではない。
【0053】
免疫寛容
本発明の方法は、免疫寛容も含んでいる。哺乳動物に一つ以上の自己抗原を投与して、また任意によりさらに一つ以上の粘膜アジュバントを投与して、免疫寛容を達成する。粘膜アジュバントを用いる場合、この自己抗原と任意の粘膜アジュバントを一緒に投与してもよい。免疫寛容は、抗T細胞治療と同時に実施しても、抗T細胞治療後に実施してもよい。また、抗T細胞治療と経口寛容治療を同時に実施した後に、免疫寛容治療を行ってもよい。すなわち、上記自己抗原や任意の粘膜抗原は、必要に応じた時期に投与することができる。したがって、抗T細胞治療の施与期間を大幅に超える長期間、治療を必要とする哺乳動物に自己抗原を投与してもよい。いくつかの側面において、継続投与が必要な場合、投与期間がその哺乳動物の寿命に相当することもある。
【0054】
抗T細胞治療終了後に投与する場合、経口での免疫寛容治療を最大約4週間延期してもよい。本発明のいくつかの側面において、この免疫寛容は、粘膜免疫寛容であり、自己抗原と粘膜アジュバントは粘膜表面から同時に投与される。本発明のいくつかの側面において、この好ましい粘膜免疫寛容は、経口により引き起こされる。
【0055】
選ばれる自己抗原は、自己免疫疾患をになうトリガ抗原である。I型糖尿病の場合、自己抗原は、種特異性あるいは種非特異性のGAD(グルタミン酸脱炭酸酵素)アイソフォームおよびGADポリペプチドからなる群より選択される。GADアイソフォームは当業者に周知であり、たとえばGAD65やGAD67であるが、これらに限定されるわけではない。他の自己抗原として、インシュリンおよび有害な自己免疫応答を引き起こしうるβ細胞タンパクからなる群より選択してもよい。利用可能な自己抗原の投与量は、約7〜8μg/25gmマウスであることがわかった。したがって、本発明の方法に用いる自己抗原の量は、哺乳動物では、最大約300μg/kgであり、この範囲内ならいずれでもよい。したがって、適当な量としては、たとえば約1μg/kg〜1000μg/kg;10μg/kg〜800μg/kg;約50μg/kg〜700μg/kg;約100μg/kg〜500μg/kg;または約200μg/kg〜400μg/kgであるが、これに限定されるわけではない。なお、当業者が理解するように、投与量は哺乳動物に応じて変更してもよい。
【0056】
また当業者が理解するように、本発明において用いるGAD配列は、たとえばヒト、ネコ、イヌの配列のいずれかであるが、これらに限定されるわけではない。ヒトの配列は、Buet al.,1992,Two human glutamate decarbozylases、65−kDa GAD and 67−dDa GAD are each encoded by a single gene、Proc Natl Acad Sci USA 89:2115−2119に開示されている(これらの開示内容はすべて、引用によりここに援用される)。ネコのGAD配列は、Kobayashi et al.,1987、Glutamic acid decarboxylase cDNA:nucleotide sequence encoding an enzymatically active fusion protein.J Neurosci 7:2768−2772に開示されている(これらの開示内容はすべて、引用によりここに援用される)。本発明に使用するイヌの配列は、天然のイヌGAD65配列(配列番号4)および植物での発現のために最適化されたポリヒスチジン精製用タグを有するイヌGAD65配列(配列番号5)を含んでいてもよい。
【0057】
本発明において用いられるGADペプチド配列は、自動装置を用いた化学合成で、あるいは当業者に周知のDNA組換技術を用いたペプチド合成機を使用して核酸配列を発現させて得ることができる。本発明のGADペプチドは、タンパク化学において周知の技術を用いる化学合成、たとえば固相合成(Merrifield、J Am Chem Assoc 85:2149−2154(1964))または均一溶液合成(Houbenweyl、Methods of Chemistry(1987)、(Ed. E.Wansch) Vol 15、pts.I and II、Thieme、Stuttgart)を用いて合成できる。遺伝子組換発現のよるタンパクの生産技術は当業者に周知であり、たとえば、Sambrook等、(1989)またはその最新版に記載されている。
【0058】
本発明に係わるイヌのGAD核酸配列には、変異体をコードする配列やそれに相当する配列に対して相補的な配列や抗補的な配列も含まれる。当業者にとって、このような相補的核酸配列や抗補的核酸配列を決めることは容易なことである。緊縮条件下で記核酸分子の一つとハイブリダイズする拡散配列も、本発明の一部となる。本明細書中の「緊縮条件」とは、当業者になじみのある変数であり、このような変数は、たとえば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、J Sambrook、et al.,eds、Cold Spring harbor Laboratory Press、Cold Spring harbor、New York、または Current Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubel、et al.,eds.、John Wiley & Sons Inc.、New Yorkの最新版に開示されている。当業者なら、本発明に係わるBCSPペプチドをコードする核酸の相同体を容易に見つけることとなろう。これらの分子の発現を、細胞やライブラリー中でスクリーニングして、その関連する核酸分子を単離してその配列を決定する。
【0059】
本明細書中の核酸分子は、縮退した核酸も含んでいる場合があることに注意を要する。遺伝暗号の縮退のため、異なるDNA配列でも同一ペプチドの翻訳という結果となる。いろいろなヌクレオチドをうまく選択することで、本発明のペプチドまたはその機能的な類似体の産生を支配する配列を得ることができると考えられている。したがって、退行性のヌクレオチド置換も、本発明の範囲に含まれる。
【0060】
遺伝暗号の縮退や置換の保存あるいは半保存を許容するなら、配列番号2、4、5、および7のヌクレオチドと同じヌクレオチドを、約40%〜約80%、さらに好ましくは約80%〜約90%、さらに好ましくは約90%〜約99%の量で含む配列は、「実質的に配列番号2、4、5、および7に記載の」配列に含まれる。配列番号2、4、5、および7に記載の配列と実質的に同一の配列とは、機能的には、標準的なあるいは厳密度の低いハイブリダイゼーション条件において配列番号2、4、5、および7の補体を含む核酸セグメントとハイブリッド形成できる配列と定義してもよい。好ましい標準的なハイブリダイゼーション条件は、当業者に周知であろう。
【0061】
当業者に明らかなように、本発明の核酸分子は、一本鎖および二本鎖の核酸、プラスミド(類)、ウイルス性核酸(類)、プラスミド(類)、バクテリアDNA、裸の/自由DNAおよびRNAを含む。本発明のペプチドを少なくとも一つコードする核酸配列を含むウイルス性核酸を、ウイルス性ベクターと呼んでよい。
【0062】
本発明はまた、内部に配列番号2、4、5、および7の本発明の核酸配列やその機能的類似体を含む発現ベクターを含んでいる。原核性または真核性の宿主細胞内に存在する、本発明のペプチドをコードする核酸配列を運搬し発現できる発現ベクターおよびその機能的類似体、たとえばポックスウイルス、アデノウイルス、アルファウイルスやレンチウイルスなどの遺伝子組換えウイルスのいずれをも使用可能である。本発明はまた、本発明のペプチドまたはその機能的類似体を発現するためにこのようなベクターで形質転換、形質移入、または感染された宿主細胞を含む。このような宿主細胞としては、本発明の核酸が導入および/または移入可能な活性細胞ならどのようなものも含む。
【0063】
任意により自己抗原とともに用いる粘膜アジュバントは、免疫調整性サイトカイン、たとえばインターロイキン類(IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−12、IL−13、IL−15およびIL−18)から選ばれるが、これに限定されるわけではない。当業者により理解されるように、活性化によりリンパ球、他の免疫性細胞または実質細胞から放出され、複数の特定抗原に対する有害な自己免疫応答を、変化・減少・排除できるサイトカインはいずれも、本発明において使用可能である。本発明のいくつかの側面において使用されるサイトカインは、いろいろな種を起源とするIL4であってよく、たとえばヒト(Yokota et al.,1986、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:5894−5898、これらの開示内容はすべて、引用によりここに援用される)、およびイヌ(Lee et al.,1986 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:2061−2065、これらの開示内容はすべて、引用によりここに援用される)であってよいが、これに限定されるわけではない。このような側面に適するイヌのIL−4配列を、配列番号2および配列番号7に示す。いずれも、植物での発現のために最適化されている。上述のGADのように、本明細書のIL−4配列は、いろいろな形態を含み、細胞への移入のためにいろいろなコンストラクトに導入してもよい。本発明において用いられるサイトカイの量としては、マウスの場合、約1〜2μg/25gmが適当である。したがって、哺乳動物の場合、本方法での使用量は、最大で約500μg/kgであり、この範囲内なら、たとえば約0.5μg/kg〜約500μg/kg;約1.0μg/kg〜約250μg/kg;および 約10.0 μg/kg〜約100μg/kgのいずれでもよい。当業者なら、本発明において使用する投与量を容易に決めることができるだろう。
【0064】
この自己抗原と任意に使用される粘膜アジュバントは、組成物として一緒に投与することができる。この組成物は、単独で投与してもよくまた少なくとも一つの他の薬剤、たとえば安定化化合物とともに投与してもよく、また、生体適合性の医薬品担体、たとえば生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロースや水と混合して投与してもよい。この組成物は、そのまま対象に投与してもよく、他の試薬や薬剤とともに投与してもよい。本発明の医薬組成物を、複数のルートを経由して投与してもよい。経口投与を行う場合、当技術分野で周知の薬学的に許容される担体を用いて、経口投与および粘膜投与用の医薬組成物を製剤してもよい。このような担体を使用することで、この医薬組成物を患者が飲みこめるような錠剤、丸薬、糖衣丸、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などに製剤することができる。経口用途の製剤は、活性化合物を固形の賦形剤と混合し、任意選択によりその混合物を粉砕し、必要なら適当な助剤を添加後、その粒状混合物を処理して、錠剤または糖衣丸コアとすることで製造される。好ましい賦形剤は、炭水化物またはタンパクの賦形剤であり、その例としては、乳糖、スクロース、マンニトール、またはソルビトールなどの糖類;トウモロコシデンプン、コムギ、コメ、ジャガイモなど;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース類;アラビアゴムおよびトラガタントゴムなどのガム類;およびゼラチンやコラーゲンなどのタンパク類が挙げられる。必要なら、崩壊剤または溶解剤を加えてもよく、その例としては、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸、アルギン酸、またはこれらのナトリウム塩などの塩が挙げられる。
【0065】
経口で使用可能な製剤としては、ゼラチン製のカプセル、ゼラチン製の軟質密閉カプセル、グリセロールまたはソルビトールなどの塗布剤が挙げられる。このようなカプセルは、有効成分とともに、賦形剤、乳糖やデンプンなどの結合剤、タルクやステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、必要に応じて安定化剤を含んでいてもよい。軟質カプセルの場合、活性化合物を安定化剤とともにあるいは安定化剤なしで、脂肪油、液体または液体ポリエチレングリコールなどの適当な液体に、溶解・分散してもよい。
【0066】
非経口投与(静脈内および筋肉内)に適した製剤は水溶液であってもよく、好ましくは、生理学的に好ましい緩衝剤、たとえばハンクス液、リンゲル液、または生理学的な緩衝生理食塩水などの溶液である。注射用水性懸濁液には、懸濁液の粘度を上げる物質を添加してもよく、たとえば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、または デキストランが挙げられる。また、活性化合物懸濁液は、適当な油性の注射用懸濁液として製造してもよい。好ましい親油性溶媒や媒体としては、ゴマ油などの脂肪油、オレイン酸エチルやトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル類やリポソームが挙げられる。非脂質性のポリカチオン性アミノポリマーを薬剤放出のために用いてもよい。高濃度溶液の調整のために、任意選択により、この懸濁液に適当な安定化剤または化合物の溶解度を上昇させる薬品を加えてもよい。局所投与や経鼻投与のために、対象のバリアに適した浸透剤を製剤に添加してもよい。このような浸透剤は当技術分野で周知である。
【0067】
本発明の医薬組成物は、当技術分野で周知の方法で、たとえば、従来の混合、溶解、粒状化、糖衣丸製造、湿式粉砕、乳化、カプセル化、封入、または凍結乾燥工程により製造される。この医薬組成物は塩として提供されてもよく、いろいろな酸、たとえば、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などで製造されるが、これらの酸に限定されるわけではない。塩は、フリーの塩基型に比べ、水溶液や他のプロトン性溶媒中での溶解性が高い。
【0068】
本医薬組成物は、生分解性マイクロスフェアーとして提供されてもよい(Sinha etal.,Journal of Controlled Release 90(2003)261−280、これらの開示内容は、引用によりここに援用される)。
【0069】
本発明のある実施様態において、免疫寛容を、経口免疫寛容法で行ってもよく、その際自己抗原や粘膜アジュバントは食用植物材料に含めて投与される。このような材料は、植物内で発現し植物中でタンパク生産する必要な配列を有する遺伝子組換植物により製造される。植物中でのGAD自己抗原の発現は、US6,338,850に開示されている(これらの開示内容はすべて、引用によりここに援用される)。自己抗原や粘膜アジュバントは、下記文献に記載のように、遺伝子組換植物で生産可能である。Ma S、Huang Y、Yin Z、 Menassa R、Brandle JE、Jevnikar AM、Induction of oral torerance to prevent diabets with transgenic plants requires glutamic acid deoxylase(GAD)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2004 Apr 13; 101(15): 5680−5、およびMa SW、Zhao DL、Yin ZQ、Mukherjee R、Singh B、Qin HY、Stiller CR、Jevnikar AM、Transgenic plants expressing autoantigens fed to mice to induce oral immune tolerance、Nat. Med. 1997 Jul; 3(7):793−6(これらの開示内容はすべて、引用によりここに援用される)。
【0070】
本明細書においては、代表例として、自己抗原を発現する遺伝子組換植物は、たとえばヒトGADなどのある選ばれた自己抗原をコードするcDNAを発現ベクターに導入し、アグロバクテリウム媒介での移入により遺伝子組換植物を作成するが、これに限定されるわけではない(実施例A)。この例の場合、ジャガイモの植物を使用する。遺伝子組換デンプン塊茎が、異種のタンパク生産のためのバイオマスの安価な供給源となるためである。所望の抗原を発現する遺伝子組換植物は、植物抽出物をウエスタンブロット法で調べ、既知の方法により、発現した抗原を適当な特定の抗体を用いて検出して、同定することができる。寛容が望ましい抗原が異種の二量体構造をとる場合、植物組織を、それぞれあるタンパク鎖と異なるマーカー遺伝子に対応するDNAを持つ二種のベクターで連続して転換し、その植物が成熟した抗原を生成させるか、あるいは各分子鎖の対応するDNAを別々の植物に導入し、これらの「単一鎖」植物の他花受粉法により、成熟した抗原を産生する雑種を作ってもよい。
【0071】
発現した抗原を含む遺伝子組換植物材料は、対象に対して有効量を経口的にあるいは経腸的に投与してもよい。遺伝子組換操作のための植物は食用植物でも非食用植物でもよい。非食用植物種を哺乳動物の抗原の生産に用いる場合、その抗原を植物組織から抽出し、標準的な方法で精製した後、経口あるいは経腸で投与する。
【0072】
必要に応じてこの遺伝子組換植物材料を哺乳動物に投与してもよい。対象を特定の哺乳動物の抗原に対する経口寛容に導くために、上述のように、発現した抗原を含む遺伝子組換植物組織を、有効量、経口または経腸で投与してもよい。一方、非食用遺伝子組換植物を哺乳動物の抗原の生産に用いる場合、その抗原を植物組織から抽出し、標準的な方法で精製した後、経口または経腸で投与する。この場合、単一回投与、複数回投与、または寿命期間内連続投与であってもよい。本発明で用いられる植物の好ましい例としては、ジャガイモ、トマト、アルファルファ、カノーラ、コメ、タバコ、トウモロコシ、藻類、サフラワー,コケ、蘚苔植物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0073】
治療効果を出すために、発現された自己抗原と粘膜アジュバントを併用する場合、その量は、使用する植物により異なるが、重量基準で、最大約1mg/kgから、最大約1000mg/kg以上の範囲である。ある場合には、この量は最大約1mg/kgから最大約100mg/kgである。当業者が理解するように、発現される自己抗原や粘膜アジュバントの量は変動する。このため、この量は、上記の1mg/kg〜約1000mg/kgの範囲内の小範囲、たとえば(特に限定されないが)1mg/kg〜500 mg/kg;1mg/kg〜250mg/kg;1mg/kg〜200mg/kg;1mg/kg〜150mg/kg;1mg/kg〜75mg/kg;1mg/kg〜50mg/kg;および1mg/kg〜25mg/kgから選ばれ、また、これらの範囲内の小範囲であってもよい。もちろん、この量は1000mg/kgを超えてもよく、また逆に1mg/kg未満でもよい。当業者が理解するように、本発明においてこの量は種特異的である。
【0074】
様々な方法で植物中の自己抗原やサイトカインの生産を検出することが可能であり、
たとえば、ヒトや他の種の交差反応性モノクロナール抗体を用いてフローサイトメトリーによるウエスタンブロット分析やELISA分析を行うことができる(Pedersen LG、Castelruiz Y、Jacobsen S、Aasted B、Identification of monoclonal antibodies that cross−react with cytokines from different animal spcies、Vet Immunol Immunopathol.2002 88:111−22)。
【0075】
本発明はまた、T細胞免疫抑制剤、少なくとも一つの自己抗原、および任意選択による少なくとも一つの粘膜アジュバントを含む混合物からなる治療用組成物を含む。たとえば本発明において、GADアイソフォーム、抗CD3モノクロナール抗体、およびIL−4を含む組成物が挙げられるが、これに限定されるわけではない。同様に本発明において、GAD65および/またはGAD67、抗CD3モノクロナール抗体、およびIL−4および/またはIL−10を含む組成物が挙げられるが、これに限定されるわけではない。このような組成物は経口または非経口投与用に製剤化してもよい。
【0076】
また当業者が理解するように、いろいろな実施様態で説明した本発明の方法を、I型糖尿病の公知の治療方法や現在使用されている治療方法とともに使用してもよい。このような治療としてインシュリン治療が挙げられるが、これに限定されるわけではない。
【0077】
本発明はまた、I型糖尿病の早期検出に抗GAD65抗体を使用する。この点で、哺乳動物の血清中の抗GAD65抗体の存在量を測定して糖尿病のリスクの指標としてもよく、I型糖尿病の初期段階での診断に用いてもよい。さらなるいくつかの側面において、これらの方法を非糖尿病性動物の糖尿病の早期リスクアセスメントに用いてもよい。これらの側面において、様々なタイプの抗GAD65抗体、たとえば新規のイヌ抗体を使用することができる。
【0078】
以上、本発明を一般的に説明した。以下具体的な実施例をもとに、本発明を詳細に説明する。なお、これらの実施例は、本発明を説明するためのものであって、その範囲を限定するものではない。状況に応じて形態を変化させたり等価物で置き換えたりすることも可能である。具体的な用語が使用されているが、これらの用語は説明を目的とするものであり、限定を目的とするものではない。
【実施例】
【0079】
(実施例A)
糖尿病性雌NODマウスの血中グルコースレベルに及ぼすコントロール植物の給餌とGAD/IL−4植物の給餌の効果
糖尿病性雌NODマウスは、尿グルコース陽性と血液検査により同定した。血中グルコースが二日間連続して16mmol/lを超えるマウスを選択し、抗体治療に用いた。これらのマウスには毎日インシュリンを投与し、血中グルコースレベルが約14mmol/l未満となるようにした。マウスのいくつかは、毎日二回、インシュリンを投与した。マウスを安定化させた後、特定の抗CD3・mAb(5μg)IVを尾静脈注射により6日間(d1−6)投与した。3週間以内に血糖値が20mmol/l未満(連続二日間)とならないマウスは除いた。85%を超えるマウスがこの条件を満たした。抗CD3・mAb治療の後2〜3週間、マウスに、特定のコントロール植物性飼料(ベクターなし、LNタバコ)またはGAD−IL4植物性飼料を与え、その血糖値を毎日調べた。すべてのマウスにおいて、インシュリン投与を3週間までに停止した。各治療群には10匹のマウスを割り当てた。表示の値は、グルコース(mmol/l)対試験日(図1)である。初日は、抗CD3治療の開始日である。一匹のGAD/IL4マウスは、後期に一過性の過血糖症を示した。一匹のGAD/IL−4マウスは、技術的な問題の結果、死亡した(インシュリンODのよる低血糖症)。
【0080】
糖尿病性雌NODマウスの過血糖症に至る時間を示すカプラン・マイヤー(Kaplan Meier)生存率分析
図1の糖尿病性雌NODマウスを血液検査により追跡した。これらのマウスには、比較用植物性飼料(ベクターなし、LNタバコ)またはGAD−IL4植物性飼料を与えた。一匹のGAD/IL−4マウスは技術的問題のため死亡した(インシュリンODによる 低血糖症)が、治療不良とはみなさなかった(削除)。生存とは、過血糖症(二日間連続してグルコース>12mmol/l)に至るまでの時間が40日以上であることをさす。
40日を選んだのは、ほとんどのマウスで、この期間中に初期の血中グルコースレベルの変動(図1)が収まるためである。分析結果を図2に示す。
【0081】
給餌後の血中グルコースレベル
抗CD3治療後、その効果を特定の間隔で比較するため、ベースラインのマウス血中グルコースレベル、40日目および60日目の血中グルコースレベルを測定した(図3)。40日目のグルコースレベルに差があるものの(p=003)、60日目と同様に、その差は有意であるとは言えなかった(p=01)。ただし、ベースラインのマウスはインシュリンで処理されていたが、抗CD3抗体で治療を始めるときには、ベースラインに関係なく、比較群とGAD−IL4群間に差はない。40日目と60日目に設定したのは、両方の群を評価するにあたり、十分なマウスが存在していたためである(ベースラインおよび40日目ではn=10、60日目ではn=6〜7)。
【0082】
自己抗原を発現する遺伝子組換植物の産生
ジャガイモ中でのヒトGADの発現:5配列または3配列を表す、ヒトGADの一部をコードしている二種のcDNAクローンを用いた。これら二つのクローンの重複配列は70nt以下である。完全なヒトGAD配列は、一連のDNA操作により産生した。PCRによりヒトGADのN端末を改変して、NcoI(CCATGG)制限酵素認識位置を翻訳開始位置の一部として含むようにした。ポリA尾部を含む天然の3’非翻訳配列は、完全に除去した。改変したヒトGAD配列を、GUS遺伝子に代えてプラスミドベクターPTRL−GUSに導入した。このプラスミドPTRL−GU3は、5’非翻訳TEVリーダー配列、GUS遺伝子およびNOS−ターミネーターに結合したダブルエンハンサ配列(Ehn−35S)を有するCaMV−35Sプロモーターからなる。この5−Ehn35S−TEV5非翻訳リーダーヒトGAD−NOSターミネーターからなる新たな発現カセットは、HindIIIで切断され、バイナリーベクターのpBIN19に挿入される。得られたコンストラクトpSM215は、はアグロバクテリウムに移され、ジャガイモへの転換は、リーフディスク法で行った(Horsch et al、(1985)、Science、vol.227、pp.1229−1231)。形質転換したリーフディスクの新植物への再生は、Horschらの方法により行った。形質転換物の一次スクリーニングは、カナマイシンを含むMSO培地上でのカルス成形により行った。
【0083】
植物内での自己抗原の発現を試験する方法は、詳細にMa S、Huang Y、Yin Z、Menassa R、Brandle JE、Jevnikar AM、Induction of oral torerance to prevent diabets with transgenic plants requires glutamic acid deoxylase(GAD)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2004 Apr 13;101(15):5680−5、およびMa SW、Zhao DL、Yin ZQ、Mukherjee R、Singh B、Qin HY、Stiller CR、Jevnikar AMに開示されている(これらの開示内容はすべて、引用によりここに援用される)。当業者はこれらの方法で本発明を実施することが可能である。
【0084】
(実施例B)
抗CD3効果を示すNODマウスモデルへの抗CD3とGAD/IL−4の連続供給、およびTh1/Th2・T細胞サブセットへのGAD/IL−4の連続供給
複数の雌NODマウスに糖尿病を自発的に発症させ、インシュリンで血糖の管理を行った。マウスには毎日、抗CD3・mAb(5μg)を6日間投与し、血糖が正常になればインシュリン投与は中止した。マウスには、経口的にGAD/IL−4、植物コントロール飼料、または通常のマウス飼料を4週間与えた(n=3)。マウスを安楽死させ、その血清中の抗GAD・IgG1を、Th2活性の指標として測定した。GAD/IL−4マウスが最も高いレベルの抗GAD・IgG1抗体(p=01)を示し、抗CD3・mAbとGAD/IL−4の併用の効果がTヘルパー細胞サブセットのTh2ゆがみ(skewing)と関連することを示唆した。
【0085】
【表1】

抗CD3と逐次GAD/IL−4投与の糖尿病の養子免疫伝達を防止する効果
複数の雌NODマウスに糖尿病を自発的に発症させ、インシュリンで血糖の管理を行った。マウスには毎日、CD3・mAb(5μg)を6日間投与し、血糖が正常になればインシュリン投与は中止した。マウスには、経口的にGAD/IL−4、植物コントロース飼料、または通常のマウス飼料を4週間与えた(n=3)。また、これらのマウスは、図1のマウスとおなじである。マウスを安楽死させ、各グループのマウスから脾臓細胞を取り出し、糖尿病性NODマウスから最近取り出した糖尿病誘発性の脾臓細胞と混合した。飼育マウスの細胞(1×10)と糖尿病誘発性の脾臓細胞(1×10)を混合し、NOD−scidマウスに静脈注射した。注射を受けたマウスの糖尿病発症状況を尿検査で追跡し、血清検査で確認し (>14mmol/l、2日間)、試験を終了した。経口的にGAD/IL−4を摂取したマウスでは、植物コントロールと比べ、糖尿病発症への平均時間が長くなり(p=0.1)、抗CD3・mAbと逐次GAD/IL−4投与の効果が調節Th2ヘルパー細胞サブセットの誘導と関連することを示唆した(図5)。
【0086】
【表2】

GAD65抗体の増加とヒト以外の糖尿病またはマウスの糖尿病との関連性
最近インシュリン依存性自己免疫糖尿病を発症したイヌの血清中の抗GAD65(総)抗体の存在を、ELISAを用いて分析した。その結果、非糖尿病性の通常のイヌでは抗体が検出されなかったため、抗GAD抗体の存在は糖尿病と強い関連があるといえる(図6)。このデータは、イヌ糖尿病におけるGAD65の関連を示唆し、また、非糖尿病性イヌ中の抗GAD65抗体の早期検出が糖尿病のリスクを予測し、TH2サブセットの揺らぎ(skewing)をモニターするのに使えることを示す。
【0087】
イヌGAD65の遺伝子組換タバコ植物中での発現
カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターとノパリン合成酵素遺伝子からのポリアデニル化シグナルの管理下にあるイヌGAD65配列全体をコードする配列を持つ植物発現ベクターを作成し、アグロバクテリウム媒介の転換法によりタバコ植物に導入した。転換と選択の結果、遺伝子組換タバコ植物を得た。イヌGAD65・DNAのタバコの核ゲノムへの導入は、イヌGAD65に特異的なプライマー(非表示)を用いてPCR(ポリマラーゼ連鎖反応)により行った。導入されたイヌGAD65のタンパクレベルでの発現は、ウエスタンブロット分析により決定した。図7に示すように、イヌGAD65で形質転換したタバコ植物から得た全葉抽出物をウエスタンブロットした際、抗GAD抗体は、予想された分子量(65kDa)を持つ独自のバンドを与えた。一方、ベクター陰性のイヌGADで形質転換したタバコ植物の葉の抽出物をウエスタンブロット分析したところ、同じバンドは検出されなかった。マウスGAD67は、サイズコントロールで示され、抗GAD抗体で検出される。
【0088】
植物細胞培養物由来の遺伝子組換えイヌIL−4の生物活性
植物由来rcIL−4の生物活性は、cIL−4依存性の細胞系(図8A、8B)のTF−1を用いた生体外バイオアッセイにより決定した。TF−1細胞は、イヌIL−4に応答して増殖する因子依存性ヒト赤白血症細胞系である。アッセイを行うにあたり、6×ヒスチジン・タグ付きrcIL−4を、遺伝子組換タバコの葉の組織より、Ni−NTAアガロースを用いたクロマトグラフィーにより精製して、TF−1細胞の増殖を誘起するのに用いた。なお、その作用を市販のrcIL−4標準試薬と比較した。その結果、植物由来のrcIL−4は、TF−1細胞を投与量依存的に培地(RPMI1640)上で増殖させ、その作用はrcIL−4標準試薬とほぼ同等であった。また、植物rcIL−4を抗cIL−4・mAbとともに共培養すると、TF−1細胞の増殖を刺激する能力が低下した。これらの結果を総合すると、この植物由来のrcIL−4が生物的機能的な信頼性を有するといえる。
【0089】
(実施例C)
懸濁培養でのイヌGAD65とイヌIL−4の発現
タバコ細胞中での発現のための双子葉植物バイナリーコンストラクト
アグロバクテリウム媒介の植物形質転換用の双子葉植物バイナリーベクター、pDAB2457(配列番号1)を、プラスミドpDAB771、pDAB773およびpDAB2407をもとに作成した。pDAB771(図9A)は、ニコチナ・タバカム(Nicotiana tabacum)オスモチン遺伝子の5UTR (Plant Mol. Bio. 19: 577−588 (1992);特許出願US2005102713)とニコチナ・タバカム(Nicotiana tabacum)オスモチン遺伝子の3UTRs からなるキメラ3非翻訳領域 (Plant Mol. Bio. 19:577−588 (1992);特許出願US2005102713 )と、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)プラスミドTi 15955 ORF24(ジーンバンク受入番号 X00493)とに融合したWO97/48819に記載のキャッサバ葉脈モザイクウイルスプロモーター(CsVMV)を含んでいる。CsVMVプロモーターとORF24の3UTRの間には、目的遺伝子を挿入するのに使われる特有の部位NcoIおよびSacIが存在する。pDAB773(図9B)は、RB7マトリックス付着領域(MAR)(US5,773,689;US5,773,695;US6,239,328、WO94/07902、およびWO97/27207)と転写ユニットを有し、この中で、植物選択マーカーであるホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ(PAT)(米国特許5,879,903;5,637,489;5,276,268;および5,273,894)が、AtUbi10プロモーターにより転写開始され (Plant J. 1997 11(5):1017; Plant Mol. Biol. 1993 21(5):895; Genetics 1995 139(2):921)、下流のAtuORF1の3UTRにより終了される(US5428147;Plant Molecular Biology 1983 2:335;ジーンバンク受入番号 X00493)。RB7・MAR遺伝子と植物AtUbi10プロモーター間に存在する独自のNotI部位は、CsVMVプロモーター、目的遺伝子、およびORF24の3UTRを含む遺伝子断片をクローニングするのに使用される。 塩基性バイナリーベクターpDAB2407(図9C)は、目的遺伝子とアグロバクテリウムのバイナリーベクターのT−DNA境界間の選択可能なマーカー発現カセットとのAge1/AgeIライゲーションを可能とする。
【0090】
IL−4双子葉植物バイナリーベクターpDAB2457(図9D)は、小胞体(ER)を標的とする(天然の)ER保持シグナルを有するイヌ・インターロイキン−4タンパクをコードしている(配列番号2、表B)。より具体的には、この植物転写ユニットは、T−DNA境界B/RB7 MAR v3/CsVMV プロモーターv2− Nt Osm 5UTR v3/IL−4 v2−KDEL/Nt Osm 3UTR v3−Atu ORF24 3UTR v2::AtUbi10プロモーター v2/PAT v3/AtuORF1 3UTR v3::T−DNA境界Aを有する。DASPICO13中に含まれるこの化学合成によるIL−4遺伝子は、Stratagene社のブルースクリプトベクター中のPICOSCRIPTより得た。PCRにより遺伝子を改変した。改変した遺伝子には、6ヒスチジンタグのついたIL−4遺伝子とER保持シグナル(KDEL)が含まれている。次いで、NcoI/SacIフラグメントをpDAB771プラスミドに、NcoIおよびSacI部位で導入し、中間体ベクターpDAB2455(図9E)を得た。IL4 v2−KDEL/ORF24 3UTRを含むCsVMVプロモーター発現カセットをNotIでpDAB2455より除去し、pDAB773のNotI部位であり、RB7 MARv3遺伝子の下流でかつ中間体ベクターpDAB2456中に植物転写ユニット(PTU)を形成するAtUbi10プロモーターv2/PAT v3/AtuORF1 3’UTR選択可能なマーカーカセットの上流に連結した(図9F)。AgeI消化により、このPTU成分をpDAB2456より切り取り、pDAB2407のAgeI部位に逆向きに連結した。この結果、PTUカセットがT−DNA境界AおよびBにより区切られた最終の双子葉植物バイナリーベクターpDAB2457を得た。
【0091】
GatewayTM双子葉植物バイナリーコンストラクト
InvitrogenのGatewayTMTechnologyを用いて、タバコ細胞中でcGAD65を発現するベクターを作成した。デスチネーションベクターとドナーベクターは共に、以下のInvitrogenのGatewayTMTechnologyプロトコルにしたがって作成した。デスチネーションベクターpDAB3736(図9G)とドナーベクターpDAB3741(図8)を、cGAD65バイナリーコンストラクトの作成に用いた。
【0092】
デスチネーションベクターpDAB3736は、pDAB2407に由来し、attR部位を含み、これは、エントリークローンとLRクロナーゼ反応で再結合して発現クローンを生成する(Invitrogen Gateway Technology)。また、これはバイナリーベクターの境界Aと境界Bのコピーを複数個有している。境界領域内には、RB7マトリックス付着領域(MAR)とGatewayTMクローニング部位のattR1とattR2とが存在する。エントリーベクターpDAB3731(図9H)はattL部位をもち、これは部位を持たない遺伝子断片をクローニングして、エントリークローンを作成するのに用いられる(Invitrogen Gateway Technology)。pDAB3931は、CsVMV v2プロモーターとORF24 3’UTR v1カセットを含む。プロモーターとUTRの間には、NcoI部位およびSacI部位があり、ここで目的の遺伝子が挿入される。このカセットは、GatewayTMクローニング部位のattL1とattL2で連結される。
【0093】
GatewayTMGAD65バイナリーベクター、pDAB3748(図9;配列番号3 表C)は、PTU カセット: T−DNA 境界B::RB7 MAR v3::CsVMV プロモーター v2/cGAD v2/Atu ORF24 3’UTR v2::AtUbi10プロモーターv2/PAT v3/Atu ORF1 3’UTR v3::複数のT−DNA境界Aを持つ。この植物での発現に最適化された化学合成cGAD65遺伝子(天然cGAD65:配列番号4;改変cGAD65:配列番号5)は、NcoIとSacIとを用いてpDASPICO27から切除した。このcGAD65フラグメントをpDAB3931のNcoI/SacI部位に挿入して、エントリークローンpDAB3741を得た。pDAB3741は、LRクロナーゼを用いてpDAB3736に導入し、pDAB3748を得た。
【0094】
コメ細胞での発現のための単子葉植物コンストラクト
コメの形質転換は、精製したDNA断片を用いて行った。ベクター主鎖から発現カセットの精製ができるように、発現カセットをFspI部位で連結した。pDAB2453中の発現カセット(図9K;配列番号6、表F)は、NcoI部位を取り除いたトウモロコシユビキチン遺伝子のプロモーター(ZmUbi1 v2; Plant Mol Biol 1994 26(3) 1007; 米国特許第5,614,399号)とトウモロコシパーオキシダーゼ遺伝子の3UTR領域(ZmPer5 3UTR v2; 米国特許第6,699,984号)からなる。pDAB2453中の選択可能なマーカー遺伝子カセットは、コメ・アクチン遺伝子プロモーター(OsAct1 v2; Mol Gen Genet 1991 231:150; ジーンバンク受入番号S44221およびX63830)を連結したPAT遺伝子(上述)であり、トウモロコシリパーゼ遺伝子(ZmLip 3UTR v2; ジーンバンク受入番号L35913)から、Sad部位と3UTRを除くように修飾されている。この化学的に合成されたIL−4遺伝子は、DASPICO13に含まれ、Stratagene社のブルースクリプトベクター中のPICOSCRIPTから得られる。遺伝子をPCRで改変し、6ヒスチジンタグの連結したIL−4遺伝子を得た(配列番号7、表6)。ついで、PCR産生物からのNcoI/SacIフラグメントを、pDAB4005(図9L)にNcoIおよびSacI部位で挿入し、中間体ベクターpDAB2451(図9M)を得た。IL4 v2−KDEL/ZmPer5 3UTRを含むZmUbi1プロモーター発現カセットをNotIでpDAB2451から除き、pDAB8504のNotI部位(図9N)でOsAct1 プロモーター v2/PAT v3/ZmLip 3UTR v2 選択可能マーカーカセットの上流で貼り付け、pDAB2453中に植物転写ユニット(PTU)を形成した。FseI消化を用いてPTU成分をpDAB2453から切り取り、コメ形質転換試験用に精製した。
【0095】
cIL−4遺伝子を含むpDAB2453で形質転換したT−309コメの懸濁液の産生
コメの形質転換に用いた出発材料は、液体AA培地中のT309コメ懸濁液細胞(AA Custom Mix PhytoTechnology Laboratories LLC、カタログ番号:CM024)であり、体積8mlの沈降した細胞と28mlの順化培地(懸濁培養より回収した培地)と80mlの新鮮なAA細胞培地とを、3.5日ごとに500mlのフラスコで植え継いだものである。このフラスコは、ロータリーシェーカー上で28℃、125rpmに維持した。ホイスカーTM試験は、体積9mlの沈降した細胞と27mlの順化培地とを80mlの新鮮なAA液体培地に投入して開始した。二個の500mlフラスコをロータリーシェーカーで125rpm、28℃で24時間振盪した後に処理に用いた。
【0096】
処理の日に、順化培地を抜き取って、0.25Mのソルビトールと0.25Mのマンニトールを含む72mlのAA液体培地に交換して30分間、細胞に浸透圧前処理を行った。浸透圧処理の後、二個のフラスコを、滅菌した250mlのIEC遠心ボトル(Fisher Scientific カタログ番号:05−433B)に投入した。細胞が沈降した後、浸透圧培地を除き、ボトルの底に約50mlの沈降細胞および培地を残した。浸透圧培地は保存し、後述の回収の際に利用した。
【0097】
8100μlの新たに調整した5%ホイスカー懸濁液(Silar SC−9、Advanced Composite Materials Corp、Greer、SC)と170μgのプラスミドDNAのpDAS2453を添加して、ホイスカリングを行った。このボトルを、改良型塗料ミキサー(Red Devil Equipment Co.,ミネアポリス、MN)に入れ、高速で10秒間攪拌した。その後、細胞を順化培地とともに1Lのフラスコに入れ、208mlの新鮮なAA液体培地を追加した。細胞をロータリーシェーカー上で125rpm、28℃で2時間回復させた。
【0098】
回収の後、細胞懸濁液を1mlずつ、滅菌した55mmのNo.4円形ろ紙(Watman Internatinonal Ltd.)上に、均等に塗布し、半固形AA培地 (AAカスタムミックス、PhytoTechnology Laboratories カタログ番号:CM024、および2.5g/Lのゲルライト、Sigma−Aldrich カタログ番号:G1910)の入った60×20mmのペトリ皿に入れ、暗所にて28℃で3日間培養した。三日後、細胞の付着したろ紙を、新鮮な半固形D2[−]P培地(N6塩、カタログ番号:C1416、PhytoTechnology Laboratories、MS/N6ビタミン、1g/Lのトリプトファン、30g/Lのスクロース、5mg/Lの2,4−D、25g/Lのゲルライト、Sigma−Aldrich カタログ番号:G1910、および30mg/Lのハービエース、Meiji、東京、日本)に移し、暗所にて28℃で2週間培養した。ろ紙は、分離株が見えるようになるまで、二週間ごとに新鮮なD2[−]P培地に移しかえた。カルスは、5mg/Lのハービエースを含む半固形AA培地に移し、2週間ごとに植え継いだ。選択した事象に関する発現の分析を行った。
【0099】
cIL−4遺伝子を含むpDAB2457で形質転換した遺伝子組換ニコチナ・タバカム(Nicotiana tabacum)の産生
形質転換に先立つ4日前に、2mlのNT−1培養物または1mlの沈降細胞を40mlのNT−1 B培地に添加して、1週齢のNT−1培養物を、新鮮な培地に植え継いだ。植え継いだ懸濁液は、暗所で25±1℃に維持し、シェーカーにて125rpmで攪拌した。
【0100】
【表3】

目的の発現ベクターを有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)の50%グリセロール株を用い、直接20〜500μlのバクテリアを50mg/Lのスペクチノマイシンを含む30mlのYEP液体に添加して、液体培養を開始した。バクテリア培養物は、28℃の暗所内の培養シェーカー中で150〜200rpmにて培養した。
【0101】
【表4】

4ミリリットルのタバコ懸濁液を、10枚の100×25mmのペトリ皿に移した。100μlのOD600が15±02のアグロバクテリウム懸濁液を9枚の皿に入れ、一枚の皿を未処理のコントロールとした。これらの皿を、振り混ぜ、パラフィルムで覆い、暗所で25±1℃で振盪せずに培養した。
【0102】
この共培養の後、液体をすべて除き、細胞を8mlのNTC培地(500mg/Lのカルベニシリンを含むNT−1培地、オートクレーブ滅菌後に添加)に再分散させた。1ミリリットルの懸濁液を、NTC+B10培地(10mg/lのビアラホスを添加した8g/lのTC寒天で固化したNTC培地、オートクレーブ滅菌後に添加)を含む8枚のペトリ皿(100×25mm)にそれぞれに添加した。選択用のペトリ皿は、パラフィルムで覆われたもの覆われてないもののいずれも、暗所で28℃に維持した。覆う前に濡れのひどいペトリ皿中の液体は除去した。2〜6週間後、死んだ形質転換していない細胞からなる面上に、形質転換物と思われるものが、小さなカルス塊として出現した。これらを集め、新鮮なNTC+B10培地に移した。これらの皿は、覆いを除いたまま、暗所で28±1℃で培養した。形質転換物と思われるもの一部は分析用に用いた。
【0103】
カルスサンプルの抽出
ウエスタン分析のために、カルスサンプルを直接、SDS−PAGEゲル塗布用緩衝剤で抽出した。200マイクロリットルの2×レムリ(Laemmli)サンプル緩衝剤(DTTを還元剤とする)を200μlのカルス組織に添加した。各チューブに 二個のスチール製BB(デージー、4.5mm)を加え、そのチューブを2分間、クレスコ組織粉砕機で処理した。95℃で5〜10分間加熱後、このチューブを微小遠心機で10分間遠心分離した。このサンプルをウエスタン分析用ゲルに塗布した。
【0104】
遺伝子組換カルスのウエスタン分析
SDS−PAGE用サンプルは、上述のように、細胞抽出物として、または塗布用緩衝剤(4× Laemlli サンプル緩衝剤、DTT入り)を加え5分間加熱(90〜100℃)して得た。ゲル(Invitrogen NuPAGE 4〜12%ビス−トリスゲル)の泳動は、MES展開緩衝剤(Invitrogen、カタログ番号:NP0002−02)を用いて行った。複数の分子量標準物(それぞれ、シーブルー・プラス2、マジックマークXPシーブルー・プラス2;カタログ番号:それぞれLC5925およびLC5602)と適当な量のサンプルを塗布した。ゲルの泳動は、200Vで30〜45分間行った。膜(0.2μmのニトロセルロース膜;Invitrogen、カタログ番号:LC2000)とパッドは、10〜30分間、10%メタノールトランスファーバッファー(NuPAGEトランスファーバッファー、カタログ番号:NP0006)に浸漬した。
【0105】
メーカーの指示通りにブロットモジュールを組み立て、ブロットを30Vで約1時間、転写した。転写後、膜は水洗し、ブロック溶液(ウエスタンブリーズブロッカー/希釈剤、Invitrogenカタログ番号:WB7050)中で少なくとも30分間室温で攪拌して、ブロックした。このブロットを、少なくとも1時間、ブロック溶液中で一次抗体とともに培養した。この膜を三回、それぞれ5分間、洗浄液(ウエスタンブリーズ洗浄液、カタログ番号:WB7003)中で洗浄した。二次抗体での処理も同様に行った。ただし、培養は少なくとも30分間行った。この膜を三度それぞれ5分間、洗浄液で洗浄し、さらに水で二度2分間、洗浄してから、基質を添加した。
【0106】
IL−4のウエスタンブロットでは、標準試薬が、遺伝子組換えイヌIL−4(R&Dシステム、カタログ番号:754−CL);一次抗体(1μg/mlに希釈)が、抗−イヌIL−4抗体(R&Dシステム、カタログ番号:AF754);二次抗体が、HRP共役ウサギ抗−ヤギIgG(Sigma、カタログ番号:A5420)1:5000希釈、であった。ウエスタン免疫検出は、ウエスタンブリーズ・キット(Invitrogen、カタログ番号:WB7050)と、検出用のピアス・スーパーシグナル・ウエスト・ピコ・ルミノール・エンハンサおよび安定酸化物等量混合物溶液(Pierce、カタログ番号:34080)を用いて行った。遺伝子組換カルス中のIL−4の発現を調べるために、ブロットをX線フィルムに露出した。
【0107】
GAD65のウエスタンブロットでは、標準として、rhGAD65(Diamyd Diagnostics、カタログ番号:10−65702−01);一次抗体として、抗GAD65(Sigma、カタログ番号:G1166)1:2000希釈;二次抗体として、ヤギ抗マウスIgG AP(KPL、カタログ番号:075−1806)1:1000希釈を用いた。ウエスタン免疫検出は、ウエスタンブリーズ・キット(Invitrogen、カタログ番号:WB7050)と、検出用のNBT/BCIPホスファターゼ基質(KPL、カタログ番号:50−81−08)を用いて行った。遺伝子組換カルス中でのGAD65の発現を調べるため、ブロットと基質とを5〜10分間接触させた。
【0108】
ウエスタン分析の結果、イヌcIL−4が、コメとタバコ細胞の両方で発現されることが明らかとなった(図10および図11)。この遺伝子組換cIL−4は、cIL−4参照用タンパクと比べ大きな分子量を有するため、 翻訳後に修飾されたようである。細胞質を標的とするイヌGAD6は、タバコ細胞で発現される(図12)。この遺伝子組換タンパクの分子量は、参照用cGAD65とほぼ同じか大きかった。ウエスタンブロットには、分解産品も見られた。
【0109】
cIL−4のキャラクタリゼーション
遺伝子組換タバコカルスからタンパクを抽出して、遺伝子組換cIL−4のキャラクタリゼーションを行った。組織を液体窒素中で破砕し、約10体積/重量(ml/g組織)の2×PBST(Sigma P3563)、1Mの尿素、10%のグリセロール、2mMのイミダゾール,1mMのPMSF、および1%のロテアーゼカクテル阻害剤(SigmaP9599)を加えた。懸濁液は4℃で30分間攪拌した。遠心分離と濾過での清澄化の後、この溶液をハイトラップニッケルカラム(GE Healthcare 17−5247−01)にかけ、約2時間25mL/minで循環させた。このカラムを、2×PBST、40mMのイミダゾール溶液(pH8.4)で洗浄し、吸着されたタンパクを、20mMのNaHPO、500mMのNaCl、および500mMのイミダゾール(pH7.4)で溶出した。ウエスタンブロット分析におけるcIL−4を含むフラクションを混合し、100mlのスペローズ6の16/50サイジングカラム(GE Healthcare 17−0489−01)にかけた。タンパクをPBS(pH7.4)で溶出し、インビトロIL−4活性アッセイで分析した。フラクション中のサンプルをSDS−PAGEで分離し、溶出した主なタンパクバンドは、MALDI−TOFで分析して、IL−4であるかどうか確認した(データ非表示)。
【0110】
遺伝子組換タバコカルスで作られたcIL−4は、上記のように精製した。ハイトラップニッケルカラムのクロマト図を図13に示す。なお、これらの画分はさらに精製するために保持した。スペローズ6カラムから溶出したこれらの画分のSDS−PAGE分析の結果、cIL−4に相当する大きなタンパクバンド(矢印)が、ウエスタンブロットおよびMALDI−TOF分析により、検出された。
【0111】
以上、本発明の好ましい実施様態を詳細に記載したが、当業者であれば、本発明の精神および添付クレームの範囲から逸脱せずに変更可能であることを理解されるであろう。
【0112】
【表5】

【0113】
【表6】

【0114】
【表7】

【0115】
【表8】

【0116】
【表9】

【0117】
【表10】

【0118】
【表11】

【0119】
【表12】

【0120】
【表13】

【0121】
【表14】

【0122】
【表15】

【0123】
【表16】

【0124】
【表17】

【0125】
【表18】

【0126】
【表19】

【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】図1は、糖尿病性雌NODマウスの血中グルコースレベルに及ぼす、コントロール植物とGAD/IL−4植物の給餌の影響を示す。
【図2】図2は、図1の糖尿病性雌NODマウスの過血糖症発症までの時間を示すカプラン・マイヤー(Kaplan Meier)生存率分析の結果を示す。
【図3】図3は、ベースラインと抗CD3治療の40日目および60日目との給餌後血中グルコースレベルを示す。
【図4】図4は、GAD/IL−4給餌マウスとコントロール給餌マウスとで比較した抗GAD・IgG1のレベルを示す。
【図5】図5は、GAD/IL−4給餌マウスとコントロール給餌マウスとで比較した糖尿病発症の平均遅延時間を示す。
【図6】図6は、健康なイヌと抗GAD・ELISAにより新たに糖尿病と診断されたイヌとの血清抗GAD65抗体のレベルを示す。
【図7】図7は、遺伝子組換タバコ植物中でのイヌGAD65タンパクの発現のウエスタンブロット分析を示す図である。遺伝子組換タバコ葉組織由来の全タンパク抽出物(40μg/レーン)をドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)で分画し、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)膜にブロットし、抗GAD抗体で検出した。1〜5レーンがイヌGAD65遺伝子組換タバコライン;WT、野生型タバコ;GAD67、ポジティブコントロールとして使用。左の数字は、タンパク分子量マーカーの位置を示す。
【図8A】図8Aは、植物rcIL−4が容量依存的に、TF−1細胞による3H−チミジンの吸収を刺激することを示す。植物rcIL−4を抗イヌIL−4抗体(Ab)とともに前培養すると、増殖中のTF−1細胞を刺激する能力が減少する。
【図8B】図8Bは、市販のrcIL−4標準サンプルを用いて与えた刺激に応答するTF−1細胞による3H−チミジンの吸収を示す。
【図9−1】図9A〜図9Nは、細胞形質転換に用いた各種のプラスミドコンストラクトである。図9A、pDAB771;図9B、pDAB773。
【図9−2】図9A〜図9Nは、細胞形質転換に用いた各種のプラスミドコンストラクトである。図9C、pDAB2407;図9D、pDAB2457。
【図9−3】図9A〜図9Nは、細胞形質転換に用いた各種のプラスミドコンストラクトである。図9E、pDAB2455;図9F、pDAB2456。
【図9−4】図9A〜図9Nは、細胞形質転換に用いた各種のプラスミドコンストラクトである。図9G、pDAB3736;図9H、pDAB3741。
【図9−5】図9A〜図9Nは、細胞形質転換に用いた各種のプラスミドコンストラクトである。図9I、pDAB3731;図9J、pDAB3748。
【図9−6】図9A〜図9Nは、細胞形質転換に用いた各種のプラスミドコンストラクトである。図9K、pDAB2453;図9L、pDAB4005。
【図9−7】図9A〜図9Nは、細胞形質転換に用いた各種のプラスミドコンストラクトである。図9M、pDAB2451;図9N、pDAB8504。
【図10】図10は、遺伝子組換タバコ中でのIL−4の発現のウエスタンブロットの図である。カルスは、SDSゲル塗布用の溶液で抽出し、95℃で加熱した。ゲルおよびウエスタンブロットは、実施例の章に記載のように実施した。
【図11】図11は、遺伝子組換コメ中でのIL−4の発現のウエスタンブロットを示す。カルスは、SDSゲル塗布用の溶液で抽出し、95℃で加熱した。ゲルおよびウエスタンブロットは、実施例の章に記載のように実施した。
【図12】図12は、NT−1カルス内で発現されたcGAD65サンプルのウエスタン分析を示す。カルスは、SDSゲル塗布用の溶液で抽出し、95℃で加熱した。矢印は、遺伝子組換え標準サンプルrhGAD65を示す。1レーン、分子量マーカー;2レーン、rhGAD65標準;3レーン、非遺伝子組換カルス;4〜13レーン、それぞれcGAD65遺伝子組換体。
【図13】図13は、IL−4の精製を示す。遺伝子組換タバコカルス中に生成したcIL−4は、上述のように精製した。ハイトラップニッケルカラムでのクロマト図を示した。この画分は、さらに精製するため保持した。スペローズ6カラムから溶離したこの画分をSDS−PAGE分析したところ、大きなタンパクバンド(矢印)が認められ、これはウエスタンブロットとMALDI−TOF分析によればcIL−4に相当する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物における新たに発症したI型糖尿病または前I型糖尿病性の哺乳動物の治療方法であって、
(a)該哺乳動物に抗T細胞治療剤を投与することと、
(b)任意の粘膜抗原を含む自己抗原組成物を投与することと
を含み、(a)と(b)とが同時または逐次に投与される、方法。
【請求項2】
前記抗T細胞治療剤がT細胞を標的とする免疫抑制剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記免疫抑制剤が、T細胞表面抗原を標的とするモノクロナール抗体、T細胞表面抗原を標的とするポリクローナル抗体、シクロスポリン、メトトレキセート、アザチオプリンおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記免疫抑制剤が、抗CD3、抗CD2、抗CD4、抗CD7、抗CD8、抗CD25、抗CD28、抗α4β1インテグリン、抗α4β7インテグリン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるモノクロナール抗体である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記免疫抑制剤が、抗CD3モノクロナール抗体である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記自己抗原が、GADアイソフォーム、GADポリペプチド、インシュリン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記自己抗原が、GAD65、GAD67、およびこれらの混合物からなる群より選択されるGADアイソフォームである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記粘膜抗原が免疫調整性サイトカインである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記免疫調整性サイトカインがインターロイキンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記インターロイキンが、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−12、IL−13、IL−15、IL−18およびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記インターロイキンがIL−4である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記インターロイキンがIL−10である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記免疫抑制剤が、静脈注射により前記哺乳動物に最大約10日間投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記免疫抑制剤が、静脈注射により前記哺乳動物に最大約5〜7日間投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記免疫抑制剤が、体重1kg当たり最大約10μg/kg〜最大約100μg/kg量で投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記自己抗原および任意の粘膜抗原組成物が、経口的に、粘膜表面に、または非経口的に投与される、請求項1または10に記載の方法。
【請求項17】
前記自己抗原および任意の粘膜抗原組成物が、遺伝子組換植物材料中で提供される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記遺伝子組換植物材料が、ジャガイモ、トマト、アルファルファ、キャノーラ、コメ、タバコ、トウモロコシ、藻類、サフラワー、コケ、および蘚苔植物からなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記遺伝子組換植物材料が、植物組織、植物葉、植物塊茎、植物茎、植物抽出物、植物スラリー、植物細胞培養物、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物が経口的に投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記自己抗原および任意の粘膜抗原が、最大約1mg/kg〜最大約1000mg/kgの量で投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記自己抗原および任意の粘膜抗原が、約1000mg/kgを超える量で投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記自己抗原および任意の粘膜抗原が、最大約1mg/kg〜最大約100mg/kgの量で投与される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
(a)と(b)とが同時に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
(a)と(b)とが逐次的に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
(a)と(b)とが同時に投与され、さらに(b)が投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記更なる(b)の投与が長期間行われる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記長期間が最長で前記哺乳動物のほぼ一生に及ぶ、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記哺乳動物がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記哺乳動物が、イヌ、ネコ、およびウマからなる群より選択されるコンパニオン動物である、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記ヒトが新たに発症したI型糖尿病を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記ヒトが前I型糖尿病である、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
哺乳動物におけるI型糖尿病の治療方法、または前I型糖尿病性の哺乳動物の治療方法であって、
(a)有効投与量の抗T細胞抗体を該哺乳動物に投与することと、
(b)有効投与量の自己抗原を該哺乳動物に投与することと
を含み、(a)および(b)が同時もしくは逐次に有効な期間投与されるか、または(a)および(b)が同時に投与され、さらに(b)が長期間継続して投与される、方法。
【請求項34】
ヒトにおけるI型糖尿病の治療方法または前I型糖尿病性のヒトの治療方法であって、
(a)有効免疫抑制量の抗T細胞抗体を該ヒトに投与することと、
(b)免疫有効量の遺伝子組換植物材料を該哺乳動物に投与することと
を含み、該遺伝子組換植物材料が、少なくとも一つの自己抗原および任意の少なくとも一つの免疫調整性サイトカインを含有し、(a)および(b)の該投与を同時にまたは逐次に行う、方法。
【請求項35】
前記抗T細胞抗体がポリクローナル抗体である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記抗T細胞抗体がモノクロナール抗体である、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記モノクロナール抗体が、抗CD3、抗CD2、抗CD4、抗CD7、抗CD8、抗CD25、抗CD28、抗α4β1インテグリン、抗α4β7インテグリン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記モノクロナール抗体が、抗CD3モノクロナール抗体である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記自己抗原が、GADアイソフォーム、GADポリペプチド、インシュリン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記自己抗原が、GAD65、GAD67、およびこれらの混合物からなる群より選択されるGADアイソフォームである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記免疫調整性サイトカインがインターロイキンである、請求項34、37、または39に記載の方法。
【請求項42】
前記インターロイキンが、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−12、IL−13、IL−15、IL−18およびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記インターロイキンがIL−4である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記インターロイキンがIL−10である、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記遺伝子組換植物材料が経口的にまたは粘膜の表面に投与される、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記遺伝子組換植物材料が、体重1kg当たり最大約10μg/kg〜最大約100μg/kgの前記抗T細胞抗体が供給されるように投与される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記遺伝子組換植物材料が、最大約1mg/kg〜最大約1000mg/kgの自己抗原および任意の免疫調整性サイトカインを供給する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
(a)と(b)とが同時に投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項49】
(a)と(b)とが逐次的に投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項50】
(a)と(b)とが同時に投与され、さらに(b)の投与が行われる、請求項34に記載の方法。
【請求項51】
前記さらなる(b)の投与が長時間行われる、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記長期間が最長でその哺乳動物のほぼ一生に及ぶ、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
ヒトまたはコンパニオン動物のI型糖尿病の逆転方法であって、
(a)治療有効量の抗CD3モノクロナール抗体を該ヒトまたは動物に投与することと、
(b)治療有効量の一つ以上のGAD自己抗原を含む遺伝子組換植物材料をIL−4とともに投与することと
を含み、(a)が最初に該ヒトまたは動物に対して投与される、方法。
【請求項54】
(a)と(b)とが、同時に投与される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
(b)がさらに長時間投与される、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
植物での発現に最適化されたIL−4ヌクレオチド配列。
【請求項57】
前記最適化がヒスチジンタグの付加である、請求項56に記載の配列。
【請求項58】
前記最適化が、ER保持シグナルおよびヒスチジンタグの付加である、請求項56に記載の配列。
【請求項59】
前記ヌクレオチド配列が、配列番号2と配列番号7からなる群より選択される、請求項56に記載の配列。
【請求項60】
前記配列がイヌの配列である、請求項56に記載の配列。
【請求項61】
配列番号4のイヌGAD65ヌクレオチド配列。
【請求項62】
前記配列がさらに植物での発現に最適化されている、請求項61に記載のヌクレオチド配列。
【請求項63】
前記最適化配列が配列番号5で表される、請求項62に記載のヌクレオチド配列。
【請求項64】
配列番号1、配列番号3および配列番号6からなる群より選択される、細胞形質転換用のベクター。
【請求項65】
pDAB771、pDAB773、PDAB2407、pDAB2457、pDAB2455、pDAB2456、pDAB3736、pDAB3741、pDAB3731、pDAB3748、pDAB2453、pDAB4005、pDAB2451およびpDAB8504からなる群より選択される、ベクター。
【請求項66】
抗CD3抗体と、少なくとも一つの自己抗原および一つの免疫調整性サイトカインを含む製剤との混合物を含む、組成物。
【請求項67】
抗CD3抗体と、少なくとも一つの自己抗原および一つの免疫調整性サイトカインを含む遺伝子組換植物材料との混合物を含む、組成物。
【請求項68】
抗T細胞抗体、自己抗原、および任意の粘膜抗原を含む組成物の、哺乳動物におけるI型糖尿病治療のための医薬の製造における、使用。
【請求項69】
哺乳動物のI型糖尿病の診断方法であって、該哺乳動物からのサンプル中の抗GAD抗体の存在を検出する工程を包含し、そのような検出が、哺乳動物におえkるI型糖尿病の発症または発症のリスクの早期指標である、方法。
【請求項70】
前記抗GAD抗体がイヌの抗体である、請求項69に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9−1】
image rotate

【図9−2】
image rotate

【図9−3】
image rotate

【図9−4】
image rotate

【図9−5】
image rotate

【図9−6】
image rotate

【図9−7】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公表番号】特表2008−528043(P2008−528043A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553424(P2007−553424)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【国際出願番号】PCT/CA2006/000144
【国際公開番号】WO2006/081669
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(398052944)ダウ・アグロサイエンシーズ・エルエルシー (3)
【出願人】(507263885)プランティジェン インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】