説明

折りたたみ式通い箱

【課題】容易に折りたため、かつ、外部からの衝撃に強く、積載時の安定性に優れた折りたたみ式通い箱を提供すること。
【解決手段】本発明の折りたたみ式通い箱は、正方形ないし長方形の底面部11と、底面部11の各辺に対応した前後および左右の側壁部12,12,13,13と、後の側壁部12の上辺から延設された蓋部14と、底面部11を補強する補強板15とを備える。補強板15は、後の側壁部12の下辺に回動自在に取り付けられている。側壁部12,12,13,13、蓋部14および補強板15は、シート材に板材を内包して形成されている。底面部11の中央部を引き上げると左右の側壁部13,13は内側に折り曲げ可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品等の輸送に用いられる箱であって、製品等を目的地に輸送した後、その空箱は輸送元に返送され、繰り返し使用される通い箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から製品等の輸送に用いられている紙段ボールは、通常、使い捨てであることから、プラスチック製の通い箱が使用されている。輸送コストの面から、製品等を輸送した後は、通い箱を折りたたんでコンパクト化することが望まれているが、プラスチック製の場合、ヒンジなどの部品が必要となる上に、さらなるコンパクト化が望まれている。
【0003】
そこで、底面部および蓋部を布で形成し、側面部四面を、内外二重の布の間にプラスチック板を挟み込んで形成した折りたたみ式の通い箱が提案されている(特許文献1)。しかし、底面部および蓋部を布で形成されているため、特に、中身が軽い場合、外部からの衝撃によって箱が変形して、中身が破損するおそれがある。また、この通い箱を積載した場合、安定性が悪く、荷崩れを起こすおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−162255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、容易に折りたため、かつ、外部からの衝撃に強く、積載時の安定性に優れた折りたたみ式通い箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の折りたたみ式通い箱は、正方形ないし長方形の底面部と、底面部の各辺に対応した前後および左右の側壁部と、後の側壁部の上辺から延設された蓋部と、底面部を補強する補強板とを備える箱本体を備え、前記補強板は、前または後の側壁部の下辺に回動自在に取り付けられ、前記側壁部、蓋部および補強板は、シート材に板材を内包して形成され、前記底面部の中央部を引き上げると前記左右の側壁部は内側に折り曲げ可能とされている。
【0007】
好ましい実施形態においては、上記底面部の中央部と上記補強板とを連結する連結部材を備える。
【0008】
好ましい実施形態においては、上記底面部の中央部に取っ手が設けられている。
【0009】
好ましい実施形態においては、折りたたんだ状態の上記箱本体を包囲するカバーを備える。
【0010】
好ましい実施形態においては、上記箱本体に上記カバーを収容する収容部が設けられている。
【0011】
好ましい実施形態においては、上記板材がプラスチック段ボール板である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の折りたたみ式通い箱は、非常に簡易な作業でコンパクトに折りたたむことができ、かつ、外部からの衝撃に強く、積載時の安定性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の好ましい実施形態による折りたたみ式通い箱を前方から見た斜視図である。
【図2】図1の折りたたみ式通い箱の蓋部を閉じた状態を後方から見た斜視図である。
【図3】図1におけるA−A断面図である。
【図4】図1の折りたたみ式通い箱のカバーを示す図である。
【図5】図1の折りたたみ式通い箱の折りたたみ方を説明する図である。
【図6】本発明の別の好ましい実施形態による折りたたみ式通い箱の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれらの具体的な実施形態には限定されない。
【0015】
図1は、本発明の好ましい実施形態による折りたたみ式通い箱を前方から見た斜視図であり、図2は、その折りたたみ式通い箱の蓋部を閉じた状態を後方から見た斜視図であり、図3は、図1におけるA−A断面図であり、図4は、図1の折りたたみ式通い箱のカバーを示す図であり、図5は、図1の折りたたみ式通い箱の折りたたみ方を説明する図である。この折りたたみ式通い箱100は、箱本体10と折りたたんだ状態の箱本体10を包囲するカバー20とを備える。箱本体10は、底面部11と、前後の側壁部12,12および左右の側壁部13,13と、蓋部14と、底面部11に対応する形状を有する補強板15とを備えて構成され、底面部11が補強板15で補強された状態で、箱本体10に製品等を収納する。
【0016】
底面部11は、正方形ないし長方形とされ、図示例では、底面部11は長方形状とされている。蓋部14は、底面部11と略同一形状とされる。したがって、図示例では、蓋部14は、長方形状とされている。蓋部14は、後の側壁部13の上辺から延設され、この上辺を回動軸として回動し、箱本体10の開口部は開閉自在とされている。前後の側壁部12,12および左右の側壁部13,13は、底面部11の各辺に対応して正方形ないし長方形とされている。
【0017】
底面部11は、折りたたみ時に変形自在なシート材で形成されている。側壁部12,12,13,13、蓋部14および補強板15は、シート材に板材を内包して形成されている。このような構成により、箱本体の中身を外部の衝撃から守り、かつ、安定して輸送することができる。また、板材をシート材で内包して構成することにより、箱本体は外観に優れ、板材は汚れたり溶けたりすることがなく良好にリサイクル(マテリアルまたはケミカル)される。さらに、板材に傷(例えば、縫い目)をつけることがないので、リユースしやすい。なお、シート材に染色や印刷を行うことも可能である。
【0018】
シート材としては、好ましくは、織布または不織布が用いられる。助燃材などへのマテリアルリサイクルが可能だからである。織布または不織布を構成する繊維としては、例えば、ポリエステル繊維が挙げられる。また、シート材としては、レジャーシートに用いられるようなポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンシート、農業用シートに用いられるような塩化ビニルシート、ナイロンシート、ポリウレタンシート、生分解性樹脂シート等も好ましく用いられる。防水性に優れ、油汚れなどを拭き取ることができるからである。シート材は、表面に撥水処理や帯電防止処理が施されていてもよい。板材としては、箱本体に収納される製品等の重量に応じて、任意の適切な板材が用いられる。好ましくは、プラスチック板が用いられ、特に好ましくは、プラスチック段ボール板が用いられる。軽量であるからである。中身の重量が重い場合は、合板や平板等が好ましく用いられる。また、箱本体10を構成する材料としては、難燃性、不燃性、防水性、防湿性、断熱性(保冷)等の機能を備え得る。
【0019】
図3に示すように、側壁部12,12,13,13は、シート材に各側壁部を構成する板材を内包し、前後の側壁部と左右の側壁部との間でシート材が縫合されている。左右の側壁部13,13は、2枚の分割板13a,13aが所定の間隔をあけて横に並んだ状態でシート材に内包され、2枚の分割板13a,13aの間でシート材が縫合されている。この2枚の分割板の間の分割線13bに沿って折り曲げ可能であり、左右の側壁部13,13は、箱本体内側に折り曲げ可能な構成とされている。
【0020】
左右の側壁部13,13の外側には、それぞれ、帯状の持ち手3が設けられている。持ち手3は、分割線13bを跨ぐように、その両端がシート材に縫着されている。前の側壁部12には、透明なポケット4が設けられている。この透明なポケット4には、伝票を入れたりシールを貼着したりして使用する他、トレーサビリティを目的として使用することもできる。
【0021】
底面部11は、上述のとおり、一枚のシート材で構成され、その周縁は縁取りテープ5で縁取られている。そして、この縁取りテープ5を介して、底面部11のシート材と側壁部とが縫合されている。なお、側壁部の上端も縁取りテープ5で縁取られている。
【0022】
底面部11の中央部には取っ手11aが設けられている。この取っ手11aで変形自在な底面部11を引き上げると、連設される左右の側壁部13,13は、分割板13a,13aどうしが重なるようにして内側に折り曲げられ、箱本体10が折りたたまれる。このように、容易に折りたたむことができ、作業性が向上する。また、底面部11を引き上げて箱本体10を折りたたむので、折りたたんだ状態では、底面部11は前後の側壁部12から外方に延出せずに、コンパクトに折りたたまれる。
【0023】
補強板15は前の側壁部12の下辺に回動自在に取り付けられており、図5に示すように、補強板15を前の側壁12に重ね合わせて、箱本体10が折りたたまれる。補強板15の上面には、取っ手15aが設けられており、この取っ手15aで補強板15を回動させる。補強板15(底面部11)は、前後の側壁部12と略同一形状もしくは前後の側壁部12よりも小さく設計されており、折りたたみ時には箱本体10内に収納される。補強板15は、そのシート材の端部が前の側壁部12を構成するシート材および/または底面部11のシート材と縫合されている。
【0024】
別の実施形態においては、図6に示すように、底面部11の中央部と補強板15とを連結する連結部材11bが設けられている。連結部材11bは、補強板15の下面中央部と底面部11の中央部とを連結している。本実施形態では、補強板15を上方に回動させると同時に、底面部11が引き上げられて、左右の側壁部13,13は内側に折り曲げられる。このように、ワンタッチで箱本体10が折りたたまれ、作業性がさらに向上する。また、箱本体10を折りたたんだ状態では、底面部11は補強板15に引っ張られて前後の側壁部12から外方に延出することがないので、確実に、箱本体をコンパクトに折りたたむことができる。連結部材11bは、例えば、ポリプロピレン製等のベルトやゴムバンドで構成され、その両端が底面部11および補強板15に縫着されている。連結部材11bは、例えば、面ファスナーを用いて、取り換え可能に設けられていてもよい。連結部材が劣化した場合(例えば、ゴムが伸びきった場合)、新しい連結部材に取り換えることができる。
【0025】
蓋部14には、その3つの端辺から延び出た延出部14a,14b,14aが折り曲げ可能に設けられ、これらの延出部は、帯状のシート材で構成されている。延出部14a,14b,14aの内面には、面ファスナー6aが縫着されている。この面ファスナー6aに対応する面ファスナー6bは、側壁部の上端部に縫着されている。図示例では、蓋部と側壁部との係着手段として、延出部が設けられ、面ファスナーが採用されているが、これに限らず、例えば、スナップ、ホック、ファスナー等が用いられる。このように、係着手段を設けることにより、密閉性に優れ、ほこりや水等の箱本体内への浸入を防止することができる。
【0026】
蓋部14の上面には、面ファスナー7が縫着されている。この面ファスナー7に対応する面ファスナー(図示せず)は、底面部11の下面に縫着されており、箱本体10を積載した際に、通い箱どうしを固定させることができ、荷崩れを確実に防止することができる。
【0027】
蓋部14前端部、前の側壁部12の上端部および蓋部14の前辺に形成された延出部14bには、それぞれ、ピンホール8が形成されている。これらのピンホール8には、例えば、南京錠やピンが挿通され、盗難防止などを目的として用いられる。
【0028】
カバー20は、紛失を防ぐため、箱本体10から外れないように、箱本体10の開口部(側壁部の上端)に付設されている。図示例では、後の側壁部13の上辺中央部に、幅広のゴム9を介して付設されている。カバー20は、図4に示すように、シート材で形成されたキャップ部21と、キャップ部21の開口に設けられたギャザー部22とを備える。ギャザー部22は、キャップ部21の開口に伸縮自在に縫着されたゴム紐で形成されている。図5に示すように、カバー20は、折りたたんだ状態の箱本体10全体を覆う構成でなくてもよい。箱本体10には、カバー20を収容する収容部16が設けられている。図示例では、蓋部14の内面に設けられている。
【0029】
図示しないが、箱本体の内面に、納品書などを収容可能なポケットが設けられていてもよい。また、食品などを輸送する場合は、好ましくは、蓄冷剤や保冷剤用のポケットが箱本体内面に設けられていてもよい。
【0030】
製品等の輸送に際し、製品等を箱本体10内に収納し、箱本体10開口部を蓋部14で閉じ、蓋部の延出部14a,14bの面ファスナー6aを側壁部の面ファスナー6bに係着する。そして、製品等を収納した箱本体10を持ち手3,3により持ち上げる等して搬送する。なお、箱本体10の中身が重量物である場合、箱本体10を引きずって持ち運んでも底面部11が破れないように、底面部11の下面やその縁に、補強手段を設けてもよい。
【0031】
輸送後、図5に示すように、空箱となった箱本体10の蓋部14を後方に回動させて、後の側壁部12に重ね合わせる。また、補強板15を上方に回動させて、前の側壁部12に重ね合わせる。次に、底面部11の取っ手11aを引き上げ、左右の側壁部13,13を内側に折り曲げて箱本体10を折りたたむ。そして、折りたたんだ箱本体10をカバー20で包囲する。カバー20を用いることで、箱本体10が汚れるのを防止することができる。また、左右の側壁部13,13が広がらず、蓋部14が回動しないように保持するので、コンパクト化に寄与し得る。このように、非常に簡易な作業で箱本体10をコンパクトに折りたたむことができ、輸送効率の向上につながる。
【0032】
なお、本発明の折りたたみ式通い箱は、上記実施形態の構成に限らず、適宜、変更可能である。例えば、カバー、カバーの収容部、持ち手、ポケット、ピンホール等の位置は適宜変更可能である。持ち手、ポケット、ピンホール等の数は適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の折りたたみ式通い箱は、製品等の輸送に、好適に用いられる。
【符号の説明】
【0034】
10 箱本体
11 底面部
12 前後の側壁部
13 左右の側壁部
14 蓋部
15 補強板
16 収容部
20 カバー
21 キャップ部
22 ギャザー部
100 折りたたみ式通い箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正方形ないし長方形の底面部と、底面部の各辺に対応した前後および左右の側壁部と、後の側壁部の上辺から延設された蓋部と、底面部を補強する補強板とを備える箱本体を備え、
前記補強板は、前または後の側壁部の下辺に回動自在に取り付けられ、
前記側壁部、蓋部および補強板は、シート材に板材を内包して形成され、
前記底面部の中央部を引き上げると前記左右の側壁部は内側に折り曲げ可能とされている、
折りたたみ式通い箱。
【請求項2】
前記底面部の中央部と前記補強板とを連結する連結部材を備える、請求項1に記載の折りたたみ式通い箱。
【請求項3】
前記底面部の中央部に取っ手が設けられている、請求項1または2に記載の折りたたみ式通い箱。
【請求項4】
折りたたんだ状態の前記箱本体を包囲するカバーを備える、請求項1から3のいずれかに記載の折りたたみ式通い箱。
【請求項5】
前記箱本体に前記カバーを収容する収容部が設けられている、請求項4に記載の折りたたみ式通い箱。
【請求項6】
前記板材がプラスチック段ボール板である、請求項1から5のいずれかに記載の折りたたみ式通い箱。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−136717(P2011−136717A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296641(P2009−296641)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(506303845)エコビズ株式会社 (2)
【出願人】(503436786)五十嵐貿易株式会社 (1)
【Fターム(参考)】