説明

折り畳みシート体

【課題】意外性や娯楽性に富み、商品の拡販目的や幼児の知育目的あるいは遊び道具等として使用でき、かつ安価に製造できる折り畳みシート体を提供する。
【解決手段】横長矩形状シート体の左右両側の面をそれぞれ中央シート面より狭幅にカットして左シート面及び右シート面を形成し、前記中央シート面の前記左シート面側における幅方向に前記右シート面の先端部が挿通可能な左スリットを刻設する一方、該中央シート面の前記右シート面側における幅方向に前記シート面の先端部が挿通可能な2本の右スリットを間をあけて刻設し、前記中央シート面の一側端に突出片を内側に折り畳み可能に延設し、かつ該突出片の前記中央シート面側に、スリット及び該スリットに接続する折り目を刻設し、さらに該折り目に頂点が接続するノッチを前記中央シート面の一側端に設けて折り畳みシート本体を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳みシート体に関し、さらに詳細には、折り畳みシート本体の左右の各先端部をそれぞれ外側に引っ張ることにより中央シート面が山型に盛り上がり、同時にこの山型の内部より突出片が幅方向に突出するように構成された折り畳みシート体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、折り畳みシート体として、例えば、写真、切手、シール等の紙片を添付するためのもの、あるいは、内面や外面に文字や図形等を印刷してパンフレットや地図として使用するようにしたものが公知である。しかしながら、これらの折り畳みシート体は、実用性の面ではともかく、折り畳まれたシート体を拡げたときの意外性や娯楽性に乏しく、このため、かかる折り畳みシート体を例えば書籍等の商品の拡販目的や幼児の知育目的あるいは遊び道具等の面で役立てることは不可能であった。
【0003】
これに対し、例えば特許文献1には、子供向けの絵本や月刊誌の付録等に使用し、鑑賞用の置物や子供の遊び道具としての使用を目的とした組み立て式用紙が提案されている。なお、この発明は組み立てた立体の底面用紙部にホログラムを設け、外部からのぞき見るようにしたものである。
【0004】
しかしながら、この組み立て式用紙に係る発明は、組み立てられた組立体そのものを操作して楽しむものではなく、やはり依然として上述した意外性や娯楽性に乏しく、このため商品の拡販目的や幼児の知育目的あるいは遊び道具等として使用面では満足できるものではなかった。
【0005】
そこで、従来、立体的に組み立てられた組立体の操作体を操作して楽しむようにした一種の折り畳みシート体が特許文献2で「立体物素材」として知られている。この「立体物素材」とは、グリーティングカードや絵本等に使用されるもので、本体の一部、例えば猫の胴体に組み付けられた操作体である尻尾部分を外側に引っ張ることにより、眠っていた猫が顔を持ち上げるように構成されたものである。しかしながら、この立体物素材は、顔部を含む本体、尻尾部分の操作体、腹体等をそれぞれ別個にシート材から形成し、これらを接着剤等を用いて組み立て、この組立体を台体上に固定して使用するようにしたものであるので、構造が複雑でかつ製造工数が多いことから製造コストが高くなる欠点があった。
【特許文献1】特開2005−287852号公報
【特許文献2】特開平10−324080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述したような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、意外性や娯楽性に富み、商品の拡販目的や幼児の知育目的あるいは遊び道具等として使用でき、かつ安価に製造できる折り畳みシート体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、折り畳みシート体に係り、本発明の上記目的は、横長矩形状シート体の左右両側の面をそれぞれ中央シート面より狭幅にカットして左シート面及び右シート面を形成し、前記中央シート面の前記左シート面側における幅方向に前記右シート面の先端部が挿通可能な左スリットを刻設する一方、該中央シート面の前記右シート面側における幅方向に前記シート面の先端部が挿通可能な2本の右スリットを間をあけて刻設し、前記中央シート面の一側端に突出片を内側に折り畳み可能に延設し、かつ該突出片の前記中央シート面側に、スリット及び該スリットに接続する折り目を刻設し、さらに該折り目に頂点が接続するノッチを前記中央シート面の一側端に設けて折り畳みシート本体を形成し、該折り畳みシート本体の前記突出片を内側に折り畳んでから、前記2本の右スリットの内側に位置する右スリットを折り線として前記右シート面を内側に折り畳んで該右シート面の先端部を前記左スリットに挿通し、しかる後前記左シート面の先端部を前記2本の右スリットのそれぞれに挿通して成り、前記左右シート面の各先端部をそれぞれ外側に引っ張ることにより前記中央シート面が山型に盛り上がり、同時に該山型の内部より前記突出片が前記中央シート面の一側端と対向する幅方向に突出するように構成したことを特徴とする折り畳みシート体を提供することにより達成される。
【0008】
また、本発明の上記目的は、前記中央シート面の略中央部に曲線状及び/又は直線状のスリットによりシート片が刻設されており、前記左右シート面の各先端部をそれぞれ外側に引っ張ることにより前記シート片が前記中央シート面の山型の頂部に形成されるように構成されていることを特徴とする折り畳みシート体を提供することにより、効果的に達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る折り畳みシート体によれば、左右の先端部をそれぞれ外側に引っ張ることにより中央シート面が山型に盛り上がり、同時にこの山型の内部より突出片が幅方向に突出するように構成されているので、使用者、とくに幼児等は意外な驚きをもって楽しむことができる。
【0010】
とくに、前記左右シート面の各先端部をそれぞれ外側に引っ張ることにより曲線状及び/又は直線状のスリットに形成されたシート片が出現するように構成された折り畳みシート体によれば、上述の意外性及び娯楽性を一層顕著なものとすることができる。
【0011】
また、前記折り畳みシート本体の少なくとも前記突出片の表面に絵柄又は文字から成るデザインが施された折り畳みシート体によれば、このデザインを宣伝広告用とすることにより商品の拡販を図ることができ、またデザインをキャラクター等の絵柄あるいは簡単な文字や数字とすることにより幼児の知育目的や遊び道具として適用することができる。
【0012】
さらにまた、本折り畳みシート体は、一枚のシート体を用いプレス加工のみで製造でき、組立も容易にできるので、安価な製品を提供することができる。
【0013】
以下、本発明に係る折り畳みシート体について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は必ずしも以下の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲において、その構成を適宜に変更できることはいうまでもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明に係る折り畳みシート体(以下、「本折り畳みシート体」という)10の展開背面図、図2〜図4は、図1に示す本折り畳みシート体10の組み立て方法を順に示す説明図である。
【0015】
本折り畳みシート体10は、横長矩形状シート体11の左右両側の面を中央シート面12より狭幅にカットしてそれぞれ左シート面13及び右シート面14を形成し、前記中央シート面12の左シート面13側における幅方向に右シート面14の先端部14Aが挿通可能な左スリット15を刻設する一方、中央シート面12の右シート面14側における幅方向に左シート面13の先端部13Aが挿通可能な2本の右スリット16A、16Bを間Wをあけて刻設し、中央シート面12の一側端(図1の下方端)12Aに突出片17を折り目の谷折線18Aから内側に折り畳み可能に延設し、この突出片17の中央シート面12側に台形状のスリット19A及びこのスリット19Aに一側端12Aから接続する傾斜状の山折線20Aと幅方向に直線状の山折線20Bを刻設し、かつ山折線20Aにそれぞれ頂点が接続する2つの三角形状のノッチ23を中央シート面12の一側端12Aに設けて折り畳みシート本体10Aが構成されている。なお、左シート面13を中央シート面12より狭幅にカットする際には、両シート面の境界両端部に先端形状が山型状のストッパ12Sが形成される。このストッパ12Sは、後述するように左シート面13及び右シート面14の引っ張り範囲を限定する機能を有している。
【0016】
本実施形態では突出片17の表面に図1で示すようなパンダの顔を象ったデザイン21が印刷によって施されており、また中央シート面12の略中央部には左右(長手方向)に対称な円弧状のスリット19B及びこのスリット19Bに直線状に接続する谷折線18B、18Cが刻設されている。この円弧状のスリット19Bによって形成される円板状のシート22内には、必要に応じ、文字あるいは絵柄等から成るデザインが施される。
【0017】
このように構成された折り畳みシート本体10Aにおいて、図2に示すように、先ず突出片17を谷折線18Aから内側に折り畳み、その後、図3に示すように、右シート面14を右スリット16A及びこの右スリット16Aに接続して幅方向に刻設された谷折線18Dから内側に折り畳んで右シート面14の先端部14Aを左スリット15に挿通し、そして最後に、図4に示すように、左シート面13の先端部13Aを他の右スリット16Bに挿通することにより本折り畳みシート体10が組み立てられる。
【0018】
ここに、上述した折り畳みシート本体10Aは、シート材を公知のプレス加工装置によって簡単に形
成することができ、所定形状に形成された折り畳みシート本体10Aは公知の折込み加工装置によって所望の折り畳みシート体10に簡単に組み立てることができる。このため、本折り畳みシート体10は安価に製造することができる。
【0019】
次に、図5〜図7を用いて上述のとおり組み立てられた本折り畳みシート体10の使用方法を説明する。
【0020】
図5は、図4に背面図で示される本折り畳みシート体10の正面図で、使用者側から見た図である。図示する本折り畳みシート体10は、図4に示されるものと左右が逆になっており、右スリット16Aからは左シート面13の先端部13Aが露出し、左スリット15からは右シート面14の先端部14Aが露出した状態となっている。
【0021】
この状態において、左シート面13の先端部13A及び右シート面14の先端部を14Aをそれぞれ指先で持って矢印Y1で示す左右方向に同時に引っ張ると、この引っ張り力により中央シート面12が左スリット15及び右スリット16Aを基部として立ち上げられ山型に隆起する。この中央シート面12の隆起作用に連動して山折線20A及び山折線20Bが内側に折り込まれ、これにより突出片17の谷折線18A部が上方に押し上げられて突出片17がこの山型に隆起した中央シート面12の中から矢印Y2で示すように幅方向に突出し始める。
【0022】
この状態からさらに先端部及13A及び先端部14Aを矢印Y1方向に引っ張ると、中央シート面12はさらに隆起した山型となり、最終的には、図8に図7の背面図で示すように、ストッパ12Sの山型に形成された先端部が右スリット16Bに係止されて引っ張り範囲が限定される。この最終時点には、隆起した山型の中から突出片17の頭部が完全に外に突出し、これに伴い、突出片17に施されたデザイン21が出現する。
【0023】
図9は、図7に示す本折り畳みシート体10の斜視図である。図示するように、この最終状態における、すなわち立体的に組み立てられた中央シート面12は正面から見ると山の頂部に円板のシート片22を載せた形となっており、また、この中央シート面12の内部からデザイン21が施された突出片17が完全に突出されているので、使用者、とくに幼児等はこの組立体を見て楽しむことができる。
【0024】
以上、本発明の内容を一実施形態に基づき説明したが、本発明は必ずしもこの実施形態に限定されるものでないことは前述したとおりである。
【0025】
例えば、前記実施形態では中央シート面12の中央部に円弧状のスリット19Bを刻設し、最終段階で円板のシート片22が形成されるようにしたが、この形状は円板に限られるものではなく、曲線状及び/又は直線状のスリットを刻設することにより、例えばクリスマスツリーを象ったものとする等、種々の形状のシート片22を形成することが可能である。なお、格別な目的がなければ、かかるスリットは不要である。
【0026】
なお、本発明の内容をより明確にするために、本発明に係る折り畳みシートの見本を撮影した写真を図11〜図25に添付する。
【0027】
以上のとおり構成された本発明に係る折り畳みシート体によれば、例えば図10に示すように、左シート面13の端部表面に数字の「10」を印刷したラベル24Aを、中央の円板状のシート片22の表面に「÷」印を印刷したラベル24Bを、右シート面の14の端部表面に数字の「2」を印刷したラベル24Cを、10割る2はいくつとの質問に対する答え、すなわち数字の「5」を印刷したラベル24Dを突出片17の表面にそれぞれ貼着しておくことにより、子供の算数教育を楽しみながらできる。なお、このラベルやデザインを種々なものに代えることにより、また、突出片17の形状を種々なものとすることにより、その他多くの目的に役立てることができる。
【0028】
また、本発明に係る折り畳みシート体は折り畳んだ状態では薄い一枚のシートであるので、書籍を始め、各種の商品の付録として添付することも十分に可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る折り畳みシート体の展開背面図である。
【図2】上記折り畳みシート体の組立て方法説明図で、突出片を折り畳んだ状態を示す図ある。
【図3】上記折り畳みシート体の組立て方法説明図で、右シート面を折り畳んだ状態を示す図である。
【図4】上記折り畳みシート体の組立て方法説明図で、左シート面を折り畳み、折り畳みシート体が最終的に組み立てられた状態を示す図である。
【図5】図4に背面図で示される折り畳みシート体の正面図で、使用開始時の状態(閉じた状態)を示す図である。
【図6】図5に示される折り畳みシート体の使用途中(開き始め時)の状態を示す図である。
【図7】図5に示される折り畳みシート体の使用最終時(開き終わり時)の状態を示す図である。
【図8】図7に示される使用最終時における折り畳みシート体の背面図である。
【図9】図7に示される使用最終時における折り畳みシート体の斜視図である。
【図10】本発明に係る折り畳みシート体の他の使用例を示す正面図である。
【図11】本発明の実施形態に係る折り畳みシート体の使用開始前の状態(閉じた状態)を写真で示す正面図である。
【図12】上記写真で示す折り畳みシート体の背面図である。
【図13】上記写真で示す折り畳みシート体の平面図である。
【図14】上記写真で示す折り畳みシート体の底面図である。
【図15】上記写真で示す折り畳みシート体の左側面図である。
【図16】上記写真で示す折り畳みシート体の右側面図である。
【図17】本発明の実施形態に係る折り畳みシート体の使用時の状態(完全に開いた状態)を写真で示す正面図である。
【図18】上記写真で示す折り畳みシート体の背面図である。
【図19】上記写真で示す折り畳みシート体の平面図である。
【図20】上記写真で示す折り畳みシート体の底面図である。
【図21】上記写真で示す折り畳みシート体の左側面図である。
【図22】上記写真で示す折り畳みシート体の右側面図である。
【図23】本発明の実施形態に係る折り畳みシート体の使用開始時の状態(閉じた状態から開き始める状態)を写真で示す参考図である。
【図24】上記写真で示す折り畳みシート体の使用途中の参考図である。
【図25】上記写真で示す折り畳みシート体の使用時の状態(完全に開いた状態)の参考図である。
【符号の説明】
【0030】
10 本発明に係る折り畳みシート体
10A 折り畳みシート本体
11 横長矩形状シート体
12 中央シート面
12A (中央シート面の)一側端
12S ストッパ
13 左シート面
14 右シート面
15 左スリット
16A、16B 右スリット
17 突出片
19B (円弧状の)スリット
21 デザイン
22 シート片
23 ノッチ
24A〜24D ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横長矩形状シート体の左右両側の面をそれぞれ中央シート面より狭幅にカットして左シート面及び右シート面を形成し、前記中央シート面の前記左シート面側における幅方向に前記右シート面の先端部が挿通可能な左スリットを刻設する一方、該中央シート面の前記右シート面側における幅方向に前記シート面の先端部が挿通可能な2本の右スリットを間をあけて刻設し、前記中央シート面の一側端に突出片を内側に折り畳み可能に延設し、かつ該突出片の前記中央シート面側に、スリット及び該スリットに接続する折り目を刻設し、さらに該折り目に頂点が接続するノッチを前記中央シート面の一側端に設けて折り畳みシート本体を形成し、該折り畳みシート本体の前記突出片を内側に折り畳んでから、前記2本の右スリットの内側に位置する右スリットを折り線として前記右シート面を内側に折り畳んで該右シート面の先端部を前記左スリットに挿通し、しかる後前記左シート面の先端部を前記2本の右スリットのそれぞれに挿通して成り、前記左右シート面の各先端部をそれぞれ外側に引っ張ることにより前記中央シート面が山型に盛り上がり、同時に該山型の内部より前記突出片が前記中央シート面の一側端と対向する幅方向に突出するように構成したことを特徴とする折り畳みシート体。
【請求項2】
前記中央シート面の略中央部に曲線状及び/又は直線状のスリットによりシート片が刻設されており、前記左右シート面の各先端部をそれぞれ外側に引っ張ることにより前記シート片が前記中央シート面の山型の頂部に形成されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の折り畳みシート体。

























【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−113298(P2009−113298A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287797(P2007−287797)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【特許番号】特許第4179565号(P4179565)
【特許公報発行日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】