説明

折り畳み可能な支持体を備えたトレー

【課題】加速時の物品の落下を防止するトレーを提供すること。
【解決手段】搬送装置上で搬送品、特に飲料パックを搬送するためのトレーである。このトレーは、搬送品のための支持面を備えた基本要素を有し、この基本要素には、搬送品を支持するための折り畳み可能な支持体が取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ベルトコンベヤ、ローラコンベヤなどの搬送装置上で搬送品を搬送するためのトレーに関する。
【背景技術】
【0002】
トレーは容器又はコンベヤ手段であり、物品を搬送する際に使用し、物品の輸送特性をベルトコンベヤなどコンベヤ装置の輸送特性から独立させる。従来技術では、トレーは主に平坦状に設計され、搬送物が滑り落ちないように縁を備える。トレーの応用分野は、例えば、飲料業界では飲料パックなどの搬送を含むが、空港で物品をコンベヤベルト上で搬送しながらX線検査装置に通過させて検査する応用例をも含む。
【0003】
従来技術のトレーに関する典型的な問題が生じるのは、重心が高い位置にある物品を搬送する場合である。このような物品は、加速する、又は急な動きで搬送すると、倒れたりトレーから落ちたりし易く、これにより搬送過程が妨害される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の基礎を成す目的は、この問題を解決すると同時に、例えば、トレー収納時の省スペース化のような、トレーの有利な特性を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は請求項1に記載のトレーによって達成される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項に開示される。
【0006】
支持体が、トレーの基本要素に折り畳み可能に固定される。支持体の高さは、搬送物の特性に応じて選択することができる。
【0007】
折り畳み可能な支持体により、その支持面上に位置する搬送品を支持することができる。これにより、例えば、加速、又は急な動きの場合に、搬送品を安定させることができる。したがって、搬送品が倒れたり、トレーから落下したりすることによる搬送過程における多くの問題を回避することができる。折り畳み可能な支持体の対象となるのは、主に高い重心を有する搬送品の場合であり、折り畳み可能な支持体を広げた(unfold)状態での高さが、重心の高さに達するか、重心より高くすることができるからである。よって、この支持体は、高い重心を有する搬送品を安定させることも可能である。この支持体は、搬送後折り畳むことができるので、収納時の、高い支持体によって起きる不都合を回避することができる。
【0008】
トレーを必要としないとき、支持体が折り畳み可能であることで、本発明によるトレーの省スペース収納が容易に、又は可能になる。支持体を折り畳んだ状態のトレーは、多くの場合、支持体のないトレーより大きな収納スペースを必要としない。したがって、同様のトレー複数個を積み重ねることも可能になる。
【0009】
基本要素という用語は、支持体、又は他の必須でない部品を備えないトレーの基本要素を指し、基本要素は、搬送装置又は支持装置の上にその片面が載置され、搬送装置又は支持装置と反対側に搬送品が載置される面を有し、この面を支持面と称する。
【0010】
好ましい実施形態では、支持面は支持体の方向に傾斜するように構成される。この傾斜によって、搬送品の特殊な特性、搬送装置又は搬送路による必要条件、及び/又は、積み降ろしにおける必要条件を考慮に入れることができる。使用されるトレーにおいて、支持面の傾斜を、典型的な搬送物の必要条件に合わせて構成することができる。支持面は、0°より極わずかに大きい角度、又は、10°、20°、30°、40°の値のうちの1つの下限と、10°、20°、30°、40°及び45°の値のうちの1つの上限との間の値の範囲内で傾斜角度を有することができる。異なる種類の搬送物用に異なるように傾斜する支持面を備えた利用可能なトレーを考えてもよい。搬送品は、支持体と反対方向への傾斜によって安定させることもできる。例えば、搬送品が不安定な場合、傾斜によって支持体の方向に移動し、支持体と接触する位置に達するとすぐに、その位置で安定する。
【0011】
別の好ましい実施形態では、複数の、開口部及び/又は穴部及び/又は陥没部が支持体に形成されている。これらは、支持体の方向からでも積み降ろし用の装置を使用することが可能となることで、トレーの積み降ろしを容易にすることができる。
【0012】
一実施形態では、支持体は、支持面との角度が、45°〜135°、又は60°〜120°、又は75°〜105°、又は約90°であるように、支持体を設けることができる。例えば、飲料パックのような搬送品は側面端と載置面との角度が約90°を有し、約90°の角度で最適に支持することができる。側面が約90°以外の角度を有する他の搬送物については、支持体を異なる角度に、適宜、選択することができる。
【0013】
別の実施形態では、トレーは、基本要素の上部面に、1つ、2つ、3つ、4つ又はそれ以上の面又は点、及び基本要素の底部面に、これらの面又はこれらの点に対応する面又は点を備える。これらの面又は点は、ここでは支持面又は支持点としての役割を果たすので、同様に設計された複数のトレーを積み重ねることを容易にすることができる。ここでは、上部面の面又は点が、対応する底部面の面又は点と接触する。
【0014】
また別の実施形態では、基本要素の上部面の1つ、2つ、3つ、4つ又はそれ以上の面又は点に、少なくとも1つの凸部、又は凹部を取り付けるか設ける。トレーの各々に対応する底部面には、各々の凸部又は凹部に対して1つの適応する凹部又は凸部を、凸部又は凹部の相対物として設ける。よって、本発明による、同様のトレー複数個を積み重ねた時に、凸部が凹部に位置することで、積み重ねた状態を安定させることができる。したがって、このトレーでは、積み重ねた状態から滑り落ちることを防ぐか、少なくとも、凸部/凹部のない実施形態と比べると滑り落ちる可能性は低い。トレーの底部面に複数の凸部を構成する場合、これらの凸部は、一部のコンベヤ装置の上でトレーを安定した静置状態に保つ補完的な役割を果たす。別の状況において、トレーの上部面に凸部を設けることで、別のコンベヤ装置上のトレーの安定性を高めることに有利となり得る。
【0015】
別の好ましい実施形態では、トレーの底部面に窪み部を構成する。同様のトレー複数個を積み重ねる場合、この窪み部は、折り畳んだ状態のトレーの基本要素の上部外面を越えて突出する部分を受け取るために使用され得る。これ以降に記載する、基本要素の上部外面という用語は、作動位置での水平のコンベヤ装置又は支持装置に載置する時、積み重ねを安定させるための存在し得る凸部を無視して、基本要素の最も高い点を通って延びる架空の水平面として理解される。上部外面は、上から垂直に見て、トレーが覆う装置の面に対応し、トレーが静置する面領域を含む。
【0016】
別の実施形態では、支持体の一部又は全体が上部外面の下に位置するように、折り畳んだ状態の支持体が基本要素の上に位置するようになるようにトレーが設計される。支持体が基本要素の上部外面の下に完全に位置する場合には、これにより、トレーの底部面に深い窪み部をさらに必要とせずに、本発明による複数のトレーの積み重ねが可能になる。支持体が基本要素の上部外面の下に一部だけが位置する場合には、ここでは上部外面の上に位置する突出する部分のみを、トレーの底部面の窪み部で受け取らなければならないので、これにより、同様のトレー複数個を容易に積み重ねることができる。よって、トレーの底部面のこの窪み部はより小さくすることができる。これにより、とりわけ、トレーの安定性を高めることにもなる。
【0017】
別の実施形態では、基本要素は2つの部分で設計されている。ここでは、基本要素の2つの部分は、基本要素の2つの部分が軸を中心に互いに相対して動くことを可能にするヒンジ、又は類似の手段で接続されることで、コンベヤ装置又は支持装置上に載置される基本要素の部分に関連して、支持面を傾斜することができる。これにより、例えば、支持面を水平位置にすることができるので、積み降ろしが容易になり得る。しかし、また更に、傾斜を利用して各工程で積み降ろしを補完することもできる。この一例として、支持面を傾斜させて搬送品を滑らせ、トレーから降ろす工程が挙げられる。
【0018】
別の実施形態では、支持面の1つ、2つ又は3つの縁では、側部面が平坦状である。ここでの、一辺での支持面の側部面とは、横方向に支持面が終端し、トレーの末端縁まで延びる領域を指す。側部面が平坦状に設計される場合、この側部面は支持面の一部ともみなされ得る。
【0019】
支持面の1つ、2つ又は複数の側部面が平坦状であることは、特に、トレーの1つ、2つ又は複数の端部に、支持面に隣接して、この方向から及びこの方向に向かって搬送品を押すことによる積み降ろしを妨げうる盛り上がり縁を設けないことを含む。これにより、一方又は複数の方向から及び方向に向かっての積み降ろしが容易になり得る。例えば、トレーの両側の縁が平坦状であれば、これによりトレー上に搬送品を押すことが特に可能になる。これにより可能となる別の例の工程として、一方から積み、他方から対応して降ろす工程が挙げられる。
【0020】
別の好ましい実施形態では、複数の機械用の刻み部、ハンドル、フック、又は他の作用点を基本要素に設けることにより、搬送装置又は別の支持装置から及び搬送装置又は支持装置へ、自動及び/又は手動にてトレーを搬送することを容易にし、及び/又は、支持面を手動又は自動で傾斜することが可能になる。
【0021】
支持面を傾斜するためには、2つの部分で構成された基本要素の、支持面の傾斜用の上部分に、複数の機械用の刻み部、ハンドル、フック、又は他の作用点を有利に配置することができる。しかし、基本要素の最下部分全体が搬送装置に載置される必要がないので、複数の機械用の刻み部、ハンドル、フック、又は他の作用点を設けた1つの部分で構成された基本要素の支持面も傾斜が可能になる。
【0022】
別の実施形態では、支持体を折り畳んだ位置、及び/又は広げた位置で固定できる。例えば、留め具などと合わせて、フック、クランプ、ヒンジなどにより、この固定が達成できる。支持体は、容易に素早く固定でき、同様に、容易に素早く固定を外すことができるのが好ましい。
【0023】
別の実施形態では、支持体が広がった状態で、基本要素よって搬送品に対向する面で、支持体を少なくとも部分的に支持するように、支持体を基本要素に取り付ける。これにより、荷重がより均一に分配できるため、支持体の安定性が高まる。更に、これにより、支持体が搬送品と反対側の方向に折れることも回避できる。
【0024】
別の実施形態では、折り畳み可能な支持体よって固定されていない、トレーの1つ、2つ又は3つの端部に、支持面に対して盛り上がり縁が設けられ、この盛り上がり縁は、搬送品がこの方向に滑り落ちないようにしている。この盛り上がり縁によって、折り畳み可能な支持体と同じ方向でない方向にも滑り落ちないようにできるため、搬送物の安定性を更に高めることができる。
【0025】
一実施形態では、トレーの基本要素は、適したプラスチックで作られる。プラスチックは、安価で、容易に任意の形状に形成でき、軽量で、特に飲料パックのような物品の搬送にも十分な安定性があるので、このことは有利で有り得る。支持体もまた、適したプラスチックから作られ得る。更に、プラスチック製の支持体を備えたプラスチック製のトレーは、水濡れによる破損がし難いという利点もこのことは有する。
【0026】
実施可能な実施形態のさらなる態様は、図を参照することで明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)〜(d)は本発明の一実施形態を示す図である。
【図2】(a)及び(b)は本発明の他の一実施形態を示す図である。
【図3】(a)及び(b)は本発明の一実施形態によって設計された同様のトレー複数個を積み重ねた状態を示す図である。
【図4】(a)及び(b)は本発明の他の実施可能な一実施形態を示す図である。
【図5】(a)〜(d)は本発明によるトレーの実施可能な一使用形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1の(a)〜(c)は、本発明の一実施形態を示す。
【0029】
図1の(a)は、本発明の第1の実施形態によるトレーを示す。図示されたトレーは、この実施形態において傾斜するように構成された支持面2を備えた基本要素1を有する。この基本要素は、折り畳み可能な支持体3を含み、折り畳み可能な支持体をここでは折り畳んだ状態で示す。ここに示すように、本発明による支持体3が部分的に基本要素1の上部外面の下に位置するように、基本要素1の上に載置することができる。更に、例としてトレーはここでは、同様のトレー複数個を積み重ねる場合、更に別の同様のトレーの支持体3の突出する部分を受け取るために、トレーの底部面に窪み部5を備える。この実施形態では、トレーの上部面及び底部面には、本発明による複数のトレーの積み重ねが可能になるように、面4a、4b、4a’、4b’を水平に構成しているのがわかる。この場合、2つの面4a、4bは、ここでは上部面に構成されており、この対応する2つの面4a’、4b’は、底部面に構成されている。他の参照番号で示す面又は点も、本発明によるトレーに構成することができる(ここでは図示せず)。
【0030】
図1の(a)からわかるように、本発明によるトレーは、トレーの両側に垂直面V、V’を備えることができることによって、トレーの境界部がすっきりし、同様のトレー複数個を積み重ねた時に垂直で滑らかな壁面を形成するので、トレー複数個を積み重ねた際の省スペース化に寄与することもできる。
【0031】
更に、実施可能な実施形態において、図1に例示されるように、支持面2の傾斜は、トレーの底部面の窪み部5内の、面Pの傾斜に(ほぼ)一致するように選択することができ、ここで支持面2は窪み部5の面Pに平行に延びる。これにより、搬送装置6と窪み部の傾斜との間の角度αと、搬送装置に平行の架空面Eと支持面2との間の角度α’は等しくなる。支持面2の傾斜が窪み部5の傾斜と違っていても実施可能であり(ここでは図示せず)、同様のトレー複数個を積み重ねる場合、支持体3の実施形態によって有利になることもある。
【0032】
本発明によるトレーの他のいずれの実施形態とも同様に、トレーは、例えば、プラスチック射出成形によって作られ、したがって非常に軽くすることが可能になる。図1に示すこの実施形態では、広げた状態の支持体3によって制限されない支持面の複数の端部は、例として平坦状に設計されており、このため3方向からの積み降ろしが可能となる。図1の(a)に示す実施形態では、折り畳み可能な支持体がヒンジ7で取り付けられる。支持体3と支持面2との間で、軸を中心に相対する動きが可能になるような任意の他の接続手段を使用してもよい(ここでは図示せず)。
【0033】
図1に示される状況で、例えば、コンベヤベルト又はローラコンベヤセクションなどの搬送装置6の上にトレーが載せられる。
【0034】
図1の(b)は、支持体3が広げた状態である図1の(a)のトレーを示し、支持体は、広げた状態で支持面2との角度が90°である。選択された例において、支持面2が支持体3の方向に傾斜していることがここで容易に分かる。例えば、ここで搬送品を支持面2に置くと、支持面2の傾斜により、搬送品は支持体3の方向に滑り、安定した状態になる。別の複数の実施形態では、支持面2が傾斜のない状態で配置されてもよい(図1の(b)に図示せず)。
【0035】
この例のように、広げた支持体3は、搬送品と反対側に位置する基本要素の一部8によって同時に支持され得る。この一部8は、支持面2にほぼ垂直に配置されてもよく、これによって、広げた位置の支持体3がほぼ垂直に配置されることになる。支持面2と支持体3との間の角度を変えた支持体3の配置も選択可能である(ここでは図示せず)。
【0036】
図1の(c)は、本発明の別の一実施形態を示し、この実施形態において広げた支持体3に、複数の開口部9を設けている。これら開口部9は、例えば積み降ろしの際に補助となり得るものであり、この理由は、これらの開口部は、さもなければ支持体3によりアクセスが妨げられる方向からも、積み降ろし用のロッド又は他の装置を介して搬送品にアクセスすることを可能にするからである。搬送物、又は積み降ろし用の装置による必要条件に応じて、開口部9の形状及び寸法を構成することができる。
【0037】
図1の(d)は、本発明のまた別の実施形態によるトレーを示す。ここでのトレーは、水平の支持面2を備え、支持体3に対向する端部で盛り上がり縁10により支持面2を制限し、盛り上がり縁10は、この方向に搬送品が滑り落ちないようにしている。同時に、支持面2の残り2つの側面を平坦状に設計することで、搬送品を片側から押すことにより、これらの方向からの積み降ろしが可能になる。別の実施形態では、支持体3に対向する、支持面2の端部も平坦状に設計してもよく、及び/又は、支持面の残り2つの側面に縁を設ける構成にしてもよい(図示せず)。折り畳み可能な支持体は、ヒンジ7によって基本要素と接続する。ヒンジは別の手段を代用してもよく、この別の手段は、支持体3が軸を中心に支持面2と相対して動くことができ、及び/又は、停止可能であり得る手段である(ここでは図示せず)。
【0038】
図2は、基本要素1が2つの部分で構成されている、本発明の別の実施形態を示す。2つの部分1a、1bは、ここでは、例としてヒンジ11によって接続される。ヒンジ11の代わりに、軸を中心に基本要素の2つの部分1a、1bが互いに相対して動くようにする別の接続を使用してもよい(ここでは図示せず)。更に、ここに図示するように、基本要素の上部分1aに向けてテーパ状にした基本要素の下部分1bの一部の上に、ヒンジ11を取り付けてもよい。これにより、ヒンジ軸を中心に傾斜することが容易になり得る。
【0039】
図2でわかるように、この実施形態ではヒンジ11によって接続される側に対向して平行に延びるトレー側の2つの基本要素1a、1bの間に、基本要素の上部分1aの広面B(2つの部分を接続するヒンジ又は対応する回転軸に対して横断方向に測定して、広面Bは基本部分の長さの10%を超えるか、又は20%の長さを有する)が存在してもよく、この広面は基本要素の下部分1b上に載置し、トレーの基本位置での搬送中に、基本要素の下部分1bの面B’、更には構成要素の下部分1b、及びコンベヤ装置の上にも、荷重が可能な限り均一に分配されることを可能にする。2つの面B及びB’を水平に配置するのが好ましい。
【0040】
2つの部分で構成された基本要素1の場合、支持面2と窪み部5の表面Pとを平行に配置してもよい。好ましい実施形態では、支持面2と窪み部5の表面Pとは平行に配置されず、この理由は、基本要素の2つの部分1a、1bによって基本要素間に境界部も存在し、この境界部は、基本要素の2つの部分1a、1bが互いに適切な状態で合わさるようになるように、空間として延びなければならないためである。
【0041】
図2の(a)に示す実施可能な実施形態では、支持面2と面P’とは平行に配置され、この配置は基本要素の上部分2aの外面を示す。また、図2の(a)に例示するように、基本要素の下部分1bの面の一部P”と下部の基本要素の窪み部5の面Pとはほぼ平行に延びることができる。ここで、他の実施形態と同様に、面のP’の傾斜は、面P”の傾斜以上であることが好ましく、そのため、2つの面P’とP”は互いに合わさることがなく一定の距離を有するか、又は完全に一致して互いに合わさり、不安定になり得る距離は基本要素の2つの部分1a、1bの間には存在しない。前述の配置により、面B及びB’を介して、上部の基本要素から下部の基本要素1bへ、部分的に重量移動が行なわれ得る。
【0042】
本発明の実施形態には、面2、P、P’及びP”の2つ、3つ又は4つの傾斜が平行でないものがある。面P’の傾斜は面P”の傾斜より大きいことが好ましく、このためこれらの2つの面が互いに合わさることがなく、一定の距離を有するか、又は、2つの面が完全に一致して互いに合わさり、基本要素の2つの部分1a、1bの間には距離が存在しない。これによって、上部の基本要素1aから下部の基本要素1bへの重量移動は、面B及びB’を介して部分的に行なわれ得る。しかし、面P”の傾斜が面P”の傾斜より大きい場合でも、トレーの安定性が維持されるようないくつかの実施形態もまた可能である。
【0043】
図2の(a)では、2つの部分で構成された基本要素1a、1bを備えたトレーが、搬送中にとられ基本要素の上部分1aにいかなる力も作用しない限り維持される基本位置にあることがわかる。
【0044】
図2の(b)は、基本要素の上部分1aが傾斜した位置にある時のトレーを示す。ここでは、支持面2を基本位置に関連して傾斜させ、この実施形態では、水平の位置にされている。トレーの上に搬送品を水平に押すことが可能になるので、この位置はトレーへ積む時に有利であり得る。
【0045】
図3は、本発明の図1及び図2の実施形態による、複数のトレーを積み重ねた状態を示す。
【0046】
ここで、図3の(a)は、図1の(a)及び図1の(b)で説明したトレー複数個を積み重ねた状態を示す。各トレーの底部面の窪み部5が、各々の基本位置にある支持体3の上部外面を越えて突出する部分を受け取ることができる。更に、この実施形態では、支持体3の各部もまた、基本要素1の上部外面の下に位置するようになることが分かる。更に、対応する面が、各トレーの上部面及び底部面4a、4b、4a’、4b’に、ここでは水平に構成されていることが分かり、これは積み重ねを容易にする。
【0047】
図3の(b)は、図2で説明したトレー複数個を積み重ねた状態を示す。図2は、トレーの上部面及び底部面の面4a、4b、4a’、4b’の利点も示し、これらの面はここでは水平に構成されている。
【0048】
図4の(a)は、支持面に対して垂直方向にトレーを通る垂直断面を示す。この場合、同様のトレー複数個が更に安定して積み重なるようにトレーが製造されている。この場合には、トレーの底部面に凹部12aを構成する一方、トレーの上部外面上の面には、凹部に嵌合する凸部12bを構成し、したがって同様のトレー複数個を安定して積み重ねられる。
【0049】
図4の(b)は、コンベヤ又は支持装置から及びコンベヤ又は支持装置への手動によるトレーの搬送を容易にするハンドルとして適した刻み部13a、13bを備えた実施可能な実施形態を示す。即ち、刻み部13a及び、反対側に設けた対応する刻み部13bにより、コンベヤ又は支持装置から及びコンベヤ又は支持装置への手動によるトレーの搬送のための作用点を、トレーは有する。刻み部の代わりに、複数の機械用の別種のハンドル、フック又は他の作用点をこのために使用してもよい(図示せず)。
【0050】
図5は、本発明によるトレーを使用した、搬送過程の例示的なステップを示す。
【0051】
ここで、図5の(a)は、第1のステップとして、支持体3の広げ方を示す。
【0052】
図5の(b)では、第2のステップとして、準備された搬送品14をトレー上へ移し、それから搬送装置6に載ったトレー上で搬送することができる。積み中に支持面を傾斜させることで積むことが容易になる(ここでは図示せず)。
【0053】
図5の(c)は、トレーからの降ろしのステップを示す。ここでも、実施可能な支持面の傾斜は図示しない。
【0054】
図5の(d)では、支持体3を折り畳む、次のステップを示す。
【0055】
続いて、例えば、図3の(a)に示すように、本発明による個々のトレーが次々に積み重ねられて収納される。
【符号の説明】
【0056】
1 基本要素
1a 基本要素の上部分
1b 基本要素の下部分
2 支持面
3 折り畳み可能な支持体
4a 上部面
4a’上部面
4b 底部面
4b’底部面
5 窪み部
6 搬送装置
7 ヒンジ
8 基本要素の一部(搬送品と反対側に位置する)
9 開口部
10 盛り上がり縁
11 ヒンジ
12a 凹部
12b 凸部
13a 刻み部
13b 刻み部
14 搬送品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置(6)上で搬送品(14)、特に飲料パックを搬送するためのトレーであって、前記搬送品(14)のための支持面(2)を備えた基本要素(1)を有するトレーにおいて、前記搬送品(14)を支持するための折り畳み可能な支持体(3)が、前記基本要素(1)に取り付けられていることを特徴とする、トレー。
【請求項2】
前記支持面(2)が、前記支持体(3)の方向に傾斜するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のトレー。
【請求項3】
前記支持体(3)に、複数の開口部(9)、複数の穴部及び複数の陥没部のいずれか又はこれらの組み合わせが形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のトレー。
【請求項4】
前記支持体は、前記支持面との角度が45°〜135°、60°〜120°、75°〜105°又は約90°であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のトレー。
【請求項5】
前記トレーの上部面(4a、4b)に、1つ、2つ、3つ、4つ又はそれ以上の面又は点が構成され、且つ、底部面(4a’、4b’)に、対応する面又は点が構成されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のトレー。
【請求項6】
前記基本要素(1)の前記上部面(4a、4b)の1つ、2つ、3つ、4つ又はそれ以上の面又は点に、少なくとも1つの凸部(12b)又は凹部が設けられ、且つ、前記基本要素の前記底部面(4a’、4b’)の、前記対応する(1つ又は複数の)面又は(1つ又は複数の)点に、適合する凹部(12a)又は凸部が各々の前記凸部(12b)又は凹部の相対物として設けられることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のトレー。
【請求項7】
前記トレーの前記底部面に、窪み部(5)が形成されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のトレー。
【請求項8】
前記折り畳んだ状態の支持体(3)又はその一部が、前記基本要素(1)の上部外面の下に位置するように、前記折り畳んだ状態の支持体(3)が前記基本要素(1)の上に位置するようになることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のトレー。
【請求項9】
前記基本要素(1)が2つの部分で構成され、前記2つの部分(1a、1b)は、前記基本要素の前記2つの部分が軸を中心に動くことを可能にするヒンジ(11)又は手段によって接続されることで、前記搬送装置(6)又は他の支持面上に位置する前記基本要素の前記部分(1b)に関連して、前記支持面(2)が傾斜できることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のトレー。
【請求項10】
前記トレーの1つ、2つ又は3つの外縁にて、縁面が平坦状に構成されることにより、前記1つないし3つの外縁を経て積み降ろしが可能になることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のトレー。
【請求項11】
複数の機械用のハンドル、刻み部、フック、又は作用点を前記基本要素(1)に設けることにより、前記支持面(2)を手動又は自動で傾斜させること、或いは、前記搬送装置又は他の支持装置から及び前記搬送装置又は他の支持装置へ、前記トレーを手動又は自動にて搬送することを容易にすることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のトレー。
【請求項12】
前記支持体(3)が、折り畳んだ位置及び/又は広げた位置で固定できることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のトレー。
【請求項13】
前記折り畳み可能な支持体(3)は、前記支持体(3)が前記基本要素(1)によって前記搬送品(14)に対向する面で、少なくとも部分的に支持されるように、前記基本要素(1)に取り付けられることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載のトレー。
【請求項14】
前記搬送品(14)が前記折り畳み可能な支持体によって支持されない方向にある前記トレーの1つ、2つ又は3つの端部に、前記搬送品(14)がこれらの方向に滑り落ちないように、盛り上がり縁(10)が設けられることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のトレー。
【請求項15】
前記基本要素(1)がプラスチックから作られることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載のトレー。

【公開番号】特開2012−188169(P2012−188169A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−48055(P2012−48055)
【出願日】平成24年3月5日(2012.3.5)
【出願人】(506040652)クロネス アクティェンゲゼルシャフト (55)
【Fターム(参考)】