説明

折り畳み可能な照明装置

【課題】折り畳み可能でありながら、外部から目立たないように発光部への給電を行うことが出来、しかもパネルのつなぎ目が目立ちにくい折り畳み可能な照明装置を提供する。
【解決手段】隣接するパネル10の発光層11同士の間にスキマがあった場合に、つなぎ目の部分の光量が低下する恐れがあるが、出射光の一部が発光面14aで反射して透明板14の端面14bから出射した後に、フレキシブルプリント基板FPCで反射することで、かかる光量の低下を補い、これによりパネル10発光時に、つなぎ目が目立たないようにできる。これにより小面積のパネル10を組み合わせて、違和感の少ない大面積の照明をおこなうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光面から出射した光により照明を行う折り畳み可能な照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、照明光源の多様化が進み、種々の照明装置が提案されている。ここで、インテリアデザインを向上する観点からは、例えば壁面等に取り付けて面発光させたいという要求がある。しかるに、例えば将来の光源として有望視されている有機EL等においては、現状では、大面積で発光するものは製造が難しいという問題がある。そこで、小サイズの有機ELを組み合わせて、大面積の照明装置を構成しようとする試みがある。
【0003】
ここで、大面積の照明装置は、収容時に嵩張り、また運搬が厄介であるという問題がある。又、円柱などの周囲に設ける場合には、照明装置を円柱状に曲げなくてはならないが、そのような照明装置の製造は一般的に困難である。
【0004】
これに対し、特許文献1,2には、複数個の面発光部をヒンジで連結し、折り曲げ可能に構成したものが開示されている。特許文献3には、発光面をV字状に連結した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−84555号公報
【特許文献2】特開2006−147262号公報
【特許文献3】特開2007−5228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、特許文献1〜3の技術によれば、パネル状の照明装置を折り畳むことで、収容や運搬は容易になるが、ヒンジ等の連結部自体は発光しないので影の部分として残り、連続した1つの照明として用いることができず、照明デザイン上問題となっている。又、発光部への給電をどのように行うかという問題もある。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、折り畳み可能でありながら、外部から目立たないように発光部への給電を行うことが出来、しかもパネルのつなぎ目が目立ちにくい折り畳み可能な照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の折り畳み可能な照明装置は、外部から給電されることで発光する発光部と、前記発光部から発光した光を外部に出射する発光面とを備えた複数のパネルと、
前記複数のパネルを連結する可撓性のある連結部とを有し、
前記連結部は、前記複数のパネルの発光部に電気的に接続する可撓性のある配線を含むことを特徴とする折り畳み可能な照明装置。
【0009】
本発明によれば、前記複数のパネルを可撓性のある連結部により連結することで、折り畳み可能とでき、収納や運搬が容易となる。更に、前記連結部が、前記複数のパネルの発光部に電気的に接続する可撓性のある配線を含むので、別個に配線を設けることなく、連結された前記複数のパネルの発光部全てに給電を行うことが可能となり、しかも配線が目立たないという利点がある。配線は、板状であると好ましい。
【0010】
請求項2に記載の折り畳み可能な照明装置は、請求項1に記載の発明において、前記連結部は、前記配線のみを含むことを特徴とする。これにより、前記連結部の折り曲げが容易になる。
【0011】
請求項3に記載の折り畳み可能な照明装置は、請求項2に記載の発明において、各パネルにおいて、前記発光部が前記発光面に対して裏面側に設けられており、少なくとも2枚の前記パネルの発光面が互いに外側を向くように折り畳まれることを特徴とする。隣接する2枚の前記パネルを、その発光面が互いに外側を向くように折り畳む場合には、前記発光部同士が近接するので、比較的小さな曲率で前記連結部を折り曲げなくてはならない。そこで、前記連結部が前記配線のみを含むようにすることで、小さな曲率で折り曲げることが可能になる。
【0012】
請求項4に記載の折り畳み可能な照明装置は、請求項2に記載の発明において、各パネルにおいて、各パネルにおいて、前記発光部が前記発光面に対して裏面側に設けられており、少なくとも2枚の前記パネルの発光面が互いに内側を向くように折り畳まれ、前記少なくとも2枚のパネル間の連結部の長さは、前記パネルの厚さの2倍以上であることを特徴とする。2枚の前記パネルを、その発光面が互いに内側を向くように折り畳む場合には、前記発光部同士がパネルを挟んで遠ざかるので、比較的大きな曲率で前記連結部を折り曲げることができるが、前記連結部自体を長くする必要がある。そこで、前記少なくとも2枚のパネル間の連結部の長さを、前記パネルの厚さの2倍以上にすることで、例えば180度折り曲げることができるようにしている。
【0013】
請求項5に記載の折り畳み可能な照明装置は、請求項2〜4のいずれかに記載の発明において、前記配線は、白色に着色されており、前記パネルの端面から出射した光を反射することを特徴とする。前記パネルの端面から出射した光を、露出した前記配線で反射することで、前記パネル間のつなぎ目を目立たなくさせることができ、これは特に前記連結部を長くする場合に有効である。尚、配線を鏡面化したり、或いは銀色等で着色しても良い。
【0014】
請求項6に記載の折り畳み可能な照明装置は、請求項2〜5のいずれかに記載の発明において、前記パネルの端面は、斜めに切断されていることを特徴とする。これにより前記連結部の折り曲げに殆ど支障なく、前記配線が極力見えなくなるように前記パネルの端部で覆うことができるとともに、前記パネルの端部から出射する光を用いることで、前記パネル間のつなぎ目を目立たなくさせることができる。
【0015】
請求項7に記載の折り畳み可能な照明装置は、請求項1に記載の発明において、前記連結部は、前記配線に加え、前記配線を覆う可撓部材を含むことを特徴とする。これにより、隣接するパネル同士を隔置しても、配線を目立たなくできる。
【0016】
請求項8に記載の折り畳み可能な照明装置は、請求項7に記載の発明において、前記可撓部材は光透過性の素材からなり、前記パネルの端面から出射した光を透過することを特徴とする。前記パネルの端面から出射した光を、光透過性の素材を介して透過することで、前記パネル間のつなぎ目を目立たなくさせることができる。
【0017】
請求項9に記載の折り畳み可能な照明装置は、請求項1〜8に記載の発明において、前記配線とはフレキシブルプリント基板であることを特徴とする。これにより繰り返しの折り畳みに対する耐久性を備えることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、折り畳み可能でありながら、外部から目立たないように発光部への給電を行うことが出来、しかもパネルのつなぎ目が目立ちにくい折り畳み可能な照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施の形態にかかる折り畳み可能な照明装置の拡大断面図である。
【図2】第1の実施の形態にかかる照明装置を折り畳んだ状態で示す斜視図である。
【図3】第1の実施の形態にかかる照明装置を折り畳んだ状態で示す拡大断面である。
【図4】パネルの構造を模式的に示す斜視図である。
【図5】本実施の形態の変形例にかかる折り畳み可能な照明装置の拡大断面図である。
【図6】第2の実施の形態にかかる折り畳み可能な照明装置の拡大断面図である。
【図7】第2の実施の形態にかかる照明装置を折り畳んだ状態で示す斜視図である。
【図8】第2の実施の形態にかかる照明装置を折り畳んだ状態で示す拡大断面である。
【図9】本実施の形態の照明装置を凸状の曲面CPに取り付けた状態で示す断面図である。
【図10】本実施の形態の照明装置を凹状の曲面CPに取り付けた状態で示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施の形態)
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる折り畳み可能な照明装置の拡大断面図である。図2は、第1の実施の形態にかかる照明装置を折り畳んだ状態で示す斜視図である。図3は、第1の実施の形態にかかる照明装置を折り畳んだ状態で示す拡大断面である。図4は、パネルの構造を模式的に示す斜視図である。
【0021】
図4において、各パネル10は、共通の有機EL構造を有し、具体的にはパネル10全体にわたって延在する発光層11と、発光層11を挟む陰極層12及び透明な陽極層13と、発光層11、陰極層12及び陽極層13の周囲を覆って密封するガラス又は樹脂の透明板14とを有する。又、図4では不図示のフレキシブルプリント基板FPCに接続された端子15を介して陰極層12及び陽極層13に給電可能となっている。
【0022】
本実施の形態では、図1に示すように、透明板14は、発光層11とは反対側に位置する発光面14aと、垂直にカットされた端面14bとを有する。隣接するパネル10は、その端面14b同士を対向させるようにして、フレキシブルプリント基板FPCの一部により連結されている。フレキシブルプリント基板FPCにおいて、露出している部分Aは白色に着色されている。パネル10間の連結部となる、露出している部分Aの長さΔは、両パネル10の厚さtの和以上(Δ≧2t)である。
【0023】
通常のフレキシブルプリント基板FPCは茶色いカバーレイで絶縁することが多いが、ソルダーレジストでの絶縁方法も考慮し、一部または全体の絶縁をソルダーレジストで行い、その色を白色にする。但し、外から入り込んだ自然光を発光色に合わせて反射させたい場合には、任意の色とすることもできる。これは通常の工程でソルダーレジストの色を変更することにより、発光色に合わせた所望の色(緑、赤、青、黄、白、黒など)に対応できる。尚、隣接するパネル10間のフレキシブルプリント基板FPCだけを着色するのではなく、パネル10の下にも着色部を多少延ばしたり、場合によっては全部着色することで、反射効果を一層高めることができる。
【0024】
フレキシブルプリント基板FPCは、隣接するパネル10同士を折り曲げ可能に連結する機能と、パネル10間にまたがって給電する機能とを有する。
【0025】
フレキシブルプリント基板FPCを介して外部(最も端にあるパネル10に外部給電用のプラグを設ける等)より各パネル10に給電され、発光層11に陰極層12及び陽極層13から電圧を印加すると、それぞれプラスとマイナスの電荷を持つ正孔、電子が発生する。両層が発光層11で結合すると、発光物である有機物は一旦、励起と呼ばれる高エネルギー状態になり、これが元の安定状態に戻る際に発光が行われる。
【0026】
発光層11が発光すると、その出射光の殆どは、透明な陽極層13及び透明板14を通過して、発光面14aから発光する。ここで、隣接するパネル10の発光層11同士の間にスキマがあった場合に、つなぎ目の部分の照明光量が低下する恐れがあるが、図1に示すように、出射光の一部が発光面14aで反射して透明板14の端面14bから出射した後に、フレキシブルプリント基板FPCで反射することで、かかる光量の低下を補い、これによりパネル10発光時に、つなぎ目が目立たないようにできる。従って小面積のパネル10を組み合わせて、違和感の少ない大面積の照明を行うことができる。又、パネル10が配線を含んでおり、比較的薄い照明装置を提供できる。
【0027】
更に、フレキシブルプリント基板FPCは可撓性を有するので、図2、3に示すように折り畳むことができ、収容や運搬が容易である。このとき、図3(a)に示すように、パネル10の発光面を外側に向けるように折り畳むこともできる。この場合、隣接するパネル10の内側に位置するフレキシブルプリント基板FPCを、比較的小さい半径で180度折り曲げることができる。また、図3(b)に示すように、パネル10の発光面を内側に向けるように180度折り畳むこともできるが、隣接するパネル10の外側に位置するフレキシブルプリント基板FPCは、比較的大きい半径で折り曲げられる。尚、図3(a)の折り曲げ態様においては、フレキシブルプリント基板FPCの露出している部分Aの長さΔは、両パネル10の厚さtの和より小さくても良い。
【0028】
図5は、本実施の形態の変形例にかかる折り畳み可能な照明装置の拡大断面図である。本変形例によれば、発光面14a側から見えるようにパネル10の端面14b’を斜めに切断しており、隣接するパネル10の端面14b’の尖った先端同士は接しているか、僅かな間隔をあけて離れている。
【0029】
かかる変形例によれば、発光面14aを外側にして、隣接するパネル10間のフレキシブルプリント基板FPCで折り畳むことができるにも関わらず、隣接するパネル10間のフレキシブルプリント基板FPCは、端面14b’に覆われて発光面側では殆ど露出しないので、パネル10発光時に、つなぎ目が目立たないようにできる。
【0030】
(第2の実施の形態)
図6は、第2の実施の形態にかかる折り畳み可能な照明装置の拡大断面図である。図7は、第2の実施の形態にかかる照明装置を折り畳んだ状態で示す斜視図である。図8は、第2の実施の形態にかかる照明装置を折り畳んだ状態で示す拡大断面である。
【0031】
本実施の形態においては、連結部としては、フレキシブルプリント基板FPCに加え、可撓性があり且つ透明な素材にてフレキシブルプリント基板FPCを覆う可撓部材FLからなる。フレキシブルプリント基板FPCの配線は、直接、陰極層12及び陽極層13の端部に接続される。フレキシブルプリント基板FPCの代わりにコードなどでも良い。可撓部材FLはパネル10より薄く、その両端はパネル10の端面14bに接着されていると好ましい。
【0032】
本実施の形態によれば、パネル10の発光時に、出射光の一部が透明板14の端面14bから出射した後に、可撓部材FL内を透過しながら出射するので、連結部に発光層がない場合でも、出射光量の低下を補い、これによりパネル10のつなぎ目が目立たないようにできる。パネル10間のフレキシブルプリント基板FPCを、上述の実施の形態と同様に白色等に着色することで、反射効果を持たせることもできる。
【0033】
更に、フレキシブルプリント基板FPCと可撓部材FLは可撓性を有するので、図7,8に示すように折り畳むことができる。このとき、図8に示すように折り畳んだ状態で、フレキシブルプリント基板FPCが外部に露出することがなく、可撓部材FLにより保護されているので、不測の外力が付与された場合でも、配線の切断等を回避できる。加えて、本実施の形態は、上述した実施の形態に比べて照明装置を広げた時の可撓性の連結部の段差が少なく、連結部が目立たないという利点がある。
【0034】
本発明の照明装置は、平面上に設置できるほか、図9、10に示すように曲面CP上にも配置でき、更には滑らかに凹凸のある壁面にも配置できる。但し、図10に示すように、凹状の曲面CPに取り付けるときは、図5に示す端面14b’が斜めに切断された変形例のパネル10を用いるのが好ましい。又、パネルとしては有機ELではなく、例えばLEDと導光板とを組み合わせて用いても良い。本発明の照明装置は、電池を電源とすれば屋外など電源供給が困難な場所でも使用可能である。
【符号の説明】
【0035】
10 パネル
11 発光層
12 陰極層
13 陽極層
14 透明板
14a 発光面
14b、14b’ 端面
CP 曲面
FL 可撓部材
FPC フレキシブルプリント基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から給電されることで発光する発光部と、前記発光部から発光した光を外部に出射する発光面とを備えた複数のパネルと、
前記複数のパネルを連結する可撓性のある連結部とを有し、
前記連結部は、前記複数のパネルの発光部に電気的に接続する可撓性のある配線を含むことを特徴とする折り畳み可能な照明装置。
【請求項2】
前記連結部は、前記配線のみを含むことを特徴とする請求項1に記載の折り畳み可能な照明装置。
【請求項3】
各パネルにおいて、前記発光部が前記発光面に対して裏面側に設けられており、少なくとも2枚の前記パネルの発光面が互いに外側を向くように折り畳まれることを特徴とする請求項2に記載の折り畳み可能な照明装置。
【請求項4】
各パネルにおいて、前記発光部が前記発光面に対して裏面側に設けられており、少なくとも2枚の前記パネルの発光面が互いに内側を向くように折り畳まれ、前記少なくとも2枚のパネル間の連結部の長さは、前記パネルの厚さの2倍以上であることを特徴とする請求項2に記載の折り畳み可能な照明装置。
【請求項5】
前記配線は、白色に着色されており、前記パネルの端面から出射した光を反射することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の折り畳み可能な照明装置。
【請求項6】
前記パネルの端面は、斜めに切断されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の折り畳み可能な照明装置。
【請求項7】
前記連結部は、前記配線に加え、前記配線を覆う可撓部材を含むことを特徴とする請求項1に記載の折り畳み可能な照明装置。
【請求項8】
前記可撓部材は光透過性の素材からなり、前記パネルの端面から出射した光を透過することを特徴とする請求項7に記載の折り畳み可能な照明装置。
【請求項9】
前記配線とはフレキシブルプリント基板であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の折り畳み可能な照明装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−199066(P2012−199066A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62356(P2011−62356)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)