説明

折り畳み式リヤゲート装置

【課題】シリンダ手段のみを用いて、二つのゲート部材の折り畳み作動と展開・伸長作動を確実に且つ安定的に行ない得るようにした、構造の簡単な折り畳み式リヤゲート装置を提供すること。
【解決手段】荷台の後端部に二つのゲート部材12、14を折り畳み作動及び展開・伸長作動可能に構成して設けられた折り畳み式リヤゲート装置10において、軸方向に往復動可能に保持されたスライドロッド18と、かかるスライドロッド18の往復動による引張/押出操作によって二つのゲート12、14を直線的に展開した形態又は折り畳まれてなる形態とするリンク機構20と、収縮/伸長作動によってスライドロッド18を往復動せしめるシリンダ手段22とを、設けて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み式リヤゲート装置及びそれを備えた車両運搬車に係り、特に、荷台の後端部に取り付けられて、自動車やフォークリフト、オートバイ等の車両を乗降させるための乗降スロープを、荷台と地面との間に形成するリヤゲート装置の改良された構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車やフォークリフト、オートバイ、建機等の車両を、目的地まで輸送する等のために、かかる車両を荷台に積載して、移動する車両運搬車が、用いられてきている。そして、そのような車両運搬車においては、荷台への車両の乗降のために、荷台の後端部と後方の地面との間に下方に傾斜した乗降スロープを形成し得るリヤゲート装置が、設けられているのである。また、この種のリヤゲート装置は、一般に、回動可能に連結してなる二つのゲート部材を折り畳み可能に構成してなる基本的構造を有しており、それら二つのゲート部材の展開、接地作動によって、下方に傾斜した乗降スロープが形成されるようになっている一方、更に、荷台との取付部における回動によって、二つのゲート部材を折り畳んで、上下方向に直立せしめてなる格納形態において、保持され得るようにした構造が採用されている。
【0003】
具体的には、特開平10−100774号公報においては、リヤゲート装置を構成する前踏板と後踏板とが、油圧シリンダとチェーンとを組み合わせて、下方に拡開されつつ、直線的に展開させられたり、或いは折り畳んで、直立形態において格納せしめられ得るような構造とされているのであり、同様に、特開平10−129331号公報においては、主登坂板をシリンダにて回動せしめる一方、副登坂板をチェーンにて回動せしめて、それら登坂板の展開状態と直立した折り畳み状態とが選択され得るようになっている。また、特開2003−80996号公報においては、伸展用ワイヤと昇降用ワイヤとを用いて、道板体の基端側半部と先端側半部とを伸展させたり、昇降させたりする構造が、明らかにされている。
【0004】
しかしながら、それら従来から提案されている折り畳み構造のリヤゲート装置にあっては、何れも、二つのゲート部材を折り畳んで格納したり、下方に拡開しつつ、直線的に伸展させて、車両等が自走するための乗降通路としたりするために、それぞれのゲート部材が、別個に、シリンダやチェーン或はワイヤにて回動せしめられるような構成となっているところから、シリンダとチェーンとの連動機構に工夫を加える必要が生じる他、チェーンやワイヤの弛みの問題があり、そのために、その折り畳み・伸長作動の信頼性乃至は安定性においても問題があり、また直立形態の折り畳み状態から下方に拡開するように展開させるものであるところから、荷台後方に存在する障害物によって、その展開作動を確実に行ない得なくなる問題も内在するものでもあったのであり、加えて、重量のある大型の折り畳み式リヤゲート装置への適用にも、困難を伴なうものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−100774号公報
【特許文献2】特開平10−129331号公報
【特許文献3】特開2003−80996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、シリンダ手段のみを用いて、二つのゲート部材の折り畳み作動と展開・伸長作動を確実に且つ安定的に行ない得るようにした、構造の簡単な折り畳み式リヤゲート装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、本発明にあっては、かくの如き課題を解決するために、荷台の後端部に回動可能に取り付けられる第一ゲートと、該第一ゲートの後端部に回動可能に取り付けられた、該第一ゲートよりも前後方向の長さが短い第二ゲートとを有し、かかる第二ゲートが回動させられて、その上面が前記第一ゲートの上面に対向するように折り畳まれ、更に該第一ゲートの回動により、それら折り畳まれる第一ゲートと第二ゲートとが前記荷台の後端部の両側に立設されたコーナポストに上下方向に直立した形態において保持されるようにする一方、それら第一ゲートと第二ゲートを前記とは逆方向に回動させて、直線的に展開した形態において、前記荷台と地面との間に下方に傾斜した乗降スロープが形成されるように構成したリヤゲート装置において、(a)前記第一ゲートに対して前後方向に位置するように取り付けられて、軸方向に往復動可能に保持されたスライドロッドと、(b)該スライドロッドの後端部と前記第二ゲートの前端部とを連結し、該スライドロッドの往復動による引張/押出操作によって、該第二ゲートを前記第一ゲートに対して回動せしめて、それら第一ゲートと第二ゲートとを直線的に展開した形態又は折り畳まれてなる形態とするリンク機構と、(c)該スライドロッドの前端部と前記荷台後端部とを連結するように配設され、収縮作動によって、該スライドロッドを引張せしめて、前記第一ゲートと前記第二ゲートとを展開させる一方、伸長作動によって、該スライドロッドを押し出して、前記第一ゲートと前記第二ゲートを折り畳んで上下方向に直立形態とするシリンダ手段とを、設けてなることを特徴とする折り畳み式リヤゲート装置を、その基本的構成とするものである。
【0008】
なお、このような本発明に従う折り畳み式リヤゲート装置の望ましい態様の一つによれば、前記第一ゲートの後端側部位に対して、補助脚が回動可能に取り付けられ、該第一ゲートと前記第二ゲートの展開作動に連動して、かかる第一ゲートから、該補助脚が垂下せしめられて、接地し得るように構成され、該第一ゲートに加わる荷重が、該補助脚にて分担支持されるようになっている。
【0009】
また、本発明にあっては、好ましくは、前記第一ゲートと前記第二ゲートとが折り畳まれて、直立形態にあるときに、前記補助脚を格納状態に保持する保持機構と、それら第一ゲートと第二ゲートの展開作動時に、該保持機構による該補助脚の保持を解除して、該補助脚の自由な回動を許容する解除機構とを、更に有している。
【0010】
さらに、本発明にあっては、前記折り畳まれた第一ゲートと第二ゲートの直立形態を保持して固定し得る、解除可能なゲートロック装置が、更に設けられていることが、望ましいのである。
【0011】
加えて、本発明に従う折り畳み式リヤゲート装置の有利な態様の一つによれば、前記スライドロッドと前記リンク機構と前記シリンダ手段とからなる折り畳み・展開手段が、前記第一ゲート及び第二ゲートの両側部位に、それぞれ配設されている。
【0012】
また、本発明に従う折り畳み式リヤゲート装置の望ましい態様の他の一つによれば、前記第一ゲートの前記荷台後端部との回動軸よりも下方で且つ後方に偏倚して、前記シリンダ手段の前記荷台後端部に対する回動可能な取付軸が、設けられている。
【0013】
そして、本発明にあっては、上述の如き折り畳み式リヤゲート装置が荷台の後端部に配備されている車両運搬車が、その有利な対象の一つとされているのである。
【発明の効果】
【0014】
このように、本発明に従う折り畳み式リヤゲート装置にあっては、その第一ゲートと第二ゲートとの回動による折り畳み作動及び展開・伸長作動が、一つのシリンダ手段の伸長作動や収縮作動に基づくところの、スライドロッドの軸方向の往復動による引張/押出操作によって、リンク機構を介して、実現され得るものであるところから、かかるシリンダ手段における伸長作動や収縮作動が、スライドロッド及びリンク機構を介して、確実に伝達され得ることとなって、第一ゲートや第二ゲートが確実に回動せしめられ得ることとなるのであり、これによって、大型のリヤゲート装置においても、簡単な構造にて、第一ゲートと第二ゲートとの折り畳みや展開・伸長を、信頼性よく、安定的に行なうことが出来るのである。
【0015】
しかも、本発明に従う折り畳み式リヤゲート装置にあっては、第一ゲートが先ず回動されて、接地せしめられた後、第二ゲートが回動させられるために、第一ゲートと第二ゲートとが上方に拡開される形態において展開せしめられるようになるものであるところから、荷台後方の地面上に或る程度の高さの障害物が存在していても、その上で展開作動して、直線的に伸長せしめられ得ることとなるのであり、その展開作動が阻害されることがない利点がある。
【0016】
また、本発明に従う折り畳み式リヤゲート装置において、補助脚を設けて、第一ゲートと第二ゲートの展開作動に連動して垂下せしめて、接地するように構成し、この補助脚にて、荷重の分担支持が行なわれるように構成することにより、リヤゲート装置を介して乗降せしめられる車両等の大きな荷重の支持を、効果的に行ない得ることとなる。特に、そのような補助脚を、その保持機構と解除機構によって、第一ゲートと第二ゲートの折り畳みや展開・伸長作動に連動せしめることにより、かかる補助脚の格納及び接地形態に自動的に移行せしめることが出来る特徴を発揮する。
【0017】
さらに、本発明に従うスライドロッドとリンク機構とシリンダ手段とからなる折り畳み・展開手段の一対を用いて、それらが、第一ゲート及び第二ゲートの両側部位にそれぞれ配設されてなる構造を採用するようにすれば、それら第一ゲート及び第二ゲートの回動、ひいては折り畳み作動や展開・伸長作動を、よりスムーズに且つ確実に行なうことが出来る利点を生じる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に従う折り畳み式リヤゲート装置の一例を車両運搬車の荷台の後端部に配設してなる形態を示す側面説明図である。
【図2】図1に示されるリヤゲート装置の展開・伸長作動において、第一ゲートを回動せしめて、補助脚を接地せしめた形態を示す側面説明図である。
【図3】図2に示される展開・伸長形態から、更に第二ゲートを回動せしめて、直線的に展開した形態を示す側面説明図である。
【図4】図1におけるA方向矢視半截説明図である。
【図5】図3において第一ゲートが展開せしめられてなる形態の要部を示すものであって、(a)は、その側面部分説明図であり、(b)は、(a)におけるV−V断面部分説明図である。
【図6】図5(b)における部分拡大説明図であって、(a)は、D部の拡大説明図であり、(b)は、E部の拡大説明図である。
【図7】本発明に従うリヤゲート装置におけるスライドロッドのガイドの一例を示すものであって、(a)は、図3におけるVIIa−VIIa断面に相当する拡大説明図であり、(b)は、図3におけるVIIb−VIIb断面に相当する拡大説明図である。
【図8】スライドロッドの引張移動に伴なう第二ゲートの回動形態を順次示す側面説明図であって、(a)は、第一ゲート上に第二ゲートが折り畳まれてなる形態を示し、(b)及び(c)は、(a)の状態から第二ゲートが順次回動せしめられる途中の形態をそれぞれ示し、更に(d)は、第二ゲートの回動が終了して、第一ゲートと第二ゲートとが直線的に展開・伸長せしめられてなる形態を示している。
【図9】荷台の後端部に立設されたコーナポストの上端部位の構造を示す斜視説明図である。
【図10】図4におけるC部の拡大説明図である。
【図11】本発明に従うリヤゲート装置に設けられた補助脚の格納状態から、第一ゲートと第二ゲートの展開に連動して、補助脚の保持が解除される形態を示す側面説明図である。
【図12】図1におけるB部の拡大説明図であって、(a)は、ゲートロック装置による第一ゲートのロック状態を示すものであり、(b)は、そのロック解除状態を示すものである。
【図13】第一ゲートと第二ゲートの連結回動機構の他の例を示す、側面概略部分説明図であって、(a)は、第一ゲートの回動終了形態を示し、(b)は、第二ゲートの回動途中の形態を示し、(c)は、第二ゲートの回動終了形態を示す説明図である。
【図14】補助脚を回動せしめて垂下させるための他の一つの例を示す側面概略図であって、(a)は、補助脚の格納状態を示し、(b)は、補助脚の回動途中の形態を示す説明図である。
【図15】本発明に従うリヤゲート装置における補助脚の格納及び垂下の連動機構の他の異なる例を示す側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0020】
先ず、図1には、本発明に従う折り畳み式のリヤゲート装置10が、第一ゲート12と第二ゲート14とを折り畳んで、上下方向に直立させた形態において、フォークリフト運搬用トレーラの如き車両運搬車における荷台Pの後端部に立設されたコーナポスト16に対して、固定、保持せしめられてなる状態で、示されている。そこにおいて、それら第一ゲート12と第二ゲート14とは、スライドロッド18と、リンク機構としての折り畳み・展開リンク20と、シリンダ手段としての複動式の油圧シリンダ22とからなる折り畳み・展開手段にて、第一ゲート12の上面と第二ゲート14の上面とが相対向するように折り畳まれて、図1の如く、上下方向に直立した形態とされたり、図2に示される形態を経て、図3に示される如く、直線的に展開・伸長せしめられて、荷台Pと地面との間に、荷台Pから下方に傾斜した乗降スロープが形成され得るようになっている。なお、ここでは、コーナポスト16は、荷台Pの後端部の両側部にそれぞれ立設されていると共に、スライドロッド18と折り畳み・展開リンク20と油圧シリンダ22とからなる折り畳み・展開手段の二つが、第一ゲート12や第二ゲート14の両側部にそれぞれ位置するように配設されて、それら第一ゲート12と第二ゲート14の折り畳み・展開作動を容易に行ない得るようになっている。
【0021】
ところで、このようなリヤゲート装置10において、第一ゲート12や第二ゲート14は、それぞれ、従来と同様な基本的構造を有するものであって、ここでは、例えば図4や図5に示される如く、大小の角チューブを組み合わせて、縦フレーム24や横フレーム26として用いて構成された矩形枠体上に、全面に亘って、エキスパンドメタル28を溶接固定してなる踏板構造を呈するものである。そして、そのような第一ゲート12は、図1〜図3より明らかなように、その前端部において、荷台Pの後端部、具体的にはコーナポスト16に対して、適当なブラケットを介して、支軸30により、上下方向に回動可能に取り付けられている。また、第一ゲート12の後端部と第二ゲート14の前端部とが、適当なブラケットを介して、回動軸32により、図3に示される如く、上下方向に回動可能に取り付けられている。なお、上記のように、第二ゲート14は、回動軸32回りの回動によって、第一ゲート12上に重ね合わされるように折り畳まれた状態とされるものであるところから、図1〜図3より明らかな如く、荷台Pの前後方向に対応する、第一ゲート12と第二ゲート14とが直線的に展開して延びる方向となる前後方向の長さにおいて、第二ゲート14は、第一ゲート12よりも短い長さとされているのである。
【0022】
また、図1〜図3や図5、図6等から明らかなように、スライドロッド18は、第一ゲート12の側面、具体的にはその最外側に位置する縦フレーム24の側面に対して、前後方向に位置するように取り付けられて、軸方向に往復動可能に保持されており、そしてこのスライドロッド18の後端部と、第二ゲート14の前端部とが、折り畳み・展開リンク20にて、上下方向に回動可能に連結されている。具体的には、スライドロッド18の後端部と第二ゲート14の前端部とが、連結材34を用いて、その両端の回動軸33、33において回動可能に連結されて、折り畳み・展開リンク20が構成され、スライドロッド18の軸方向の往復動によって、折り畳み・展開リンク20に引張作用/押圧作用を加え、これによって、第二ゲート14の回動軸32回りの回動作動が行なわれ得るようになっているのである。なお、かかる折り畳み・展開リンク20は、図5(b)及び図6(a)より明らかな如く、第一ゲート12と第二ゲート14とを相互に回動可能となるように連結する回動軸32よりも側方で、外側に位置するように、配設されている。
【0023】
さらに、図1〜図3等から明らかなように、スライドロッド18の前端部に対しては、油圧シリンダ22の伸縮ロッド22aの先端部が、ピン36を介して、上下方向に回動可能に取り付けられている一方、油圧シリンダ22のシリンダ部22bの前端部が、支軸38により、コーナポスト16に固定されたブラケットを介して取り付けられ、従って、荷台Pの後端部に対して上下方向に回動可能に連結されている。なお、かかる油圧シリンダ22のシリンダ部22bとコーナポスト16との連結は、図5(b)及び図6(b)より明らかな如く、主ポスト16aとしての角管と補助ポスト16bとしての角管とが一体的に溶接固定されてなる角管構造のコーナポスト16における補助ポスト16bを用いて、行なわれている。即ち、その連結部が、第一ゲート12の回動軸となる支軸30よりも側方の外側に位置するように、コーナポスト16の側面に一体的に固設された、角管形態の補助ポスト16bに設けられたブラケットを介して、支軸38にて回動可能に構成されているのである。
【0024】
なお、かかる油圧シリンダ22の前端部と荷台Pの後端部とを回動可能に連結する支軸38は、図1〜図3や図5、図6より明らかな如く、第一ゲート12を荷台P後端部に対して回動可能に取り付ける支軸30よりも、上下方向において、所定距離:y、下方に位置し、且つ水平方向においては、所定距離:x、後方に突出せしめてなる形態において配設されており、これによって、第一ゲート12と第二ゲート14との折り畳み・展開作動が容易となるように、構成されている。また、そのような支軸38の支軸30に対する上下方向及び水平方向の離隔距離:x、yは、それら第一ゲート12と第二ゲート14との折り畳み・展開作動を考慮して、適宜に設定されることとなる。
【0025】
そして、それら油圧シリンダ22の伸縮ロッド22aの先端部と、折り畳み・展開リンク20の連結材34とを連結するスライドロッド18は、図3や図5、図7(a)、(b)より明らかなように、矩形の角管形状を呈する本体18aと、その上下の面に固設された補強プレート18b、18bとから構成され、第一ゲート12の側面、換言すれば最外側の縦フレーム24の側面に、所定間隔を隔てて固設された、前側ロッドガイド40aと後側ロッドガイド40bにて、軸方向(前後方向)に往復動可能に保持され得るようになっている。そこにおいて、前側ロッドガイド40aは、図7(a)に示される如く、縦フレーム24の外側側面に、上下の保持部材42a、42bが、所定距離を隔てて、L字型ブラケット42cと共に、溶接固定されていると共に、上下の保持部材42a、42bの間の空間内に、コ字型の金具44が収容保持され、更に、このコ字型金具44の上下の内面に、潤滑性の樹脂プレート46、46が位置固定に保持されている。そして、この樹脂プレート46、46に対して、スライドロッド18の上下面に固設された補強プレート18b、18bが容易に摺動可能とされて、スライドロッド18が、前側ロッドガイド40a内を軸方向に容易に摺動し得るようにして、ガイド機能を奏し得るようになっている。なお、48は、上下の保持部材42a、42bの側方開口部を閉塞する蓋板であって、かかる空間内に収容されるコ字型金具44や上下の樹脂プレート46、46の側方への抜け出しを阻止するようになっている。
【0026】
また、後側ロッドガイド40bにあっても、図7(b)に示される如く、上記した前側ロッドガイド40aと同様に、最外側に位置する縦フレーム24の外側側面に対して、L字型ブラケット42cと共に溶接固定された、上下の保持部材42a、42bの間に形成される空間内に、コ字型金具44が固定保持されている一方、ここでは、そのような空間内に、スライドロッド18が、上下の樹脂プレート46、46と共に、摺動せしめられ得るようになっているのである。即ち、スライドロッド18の上下の補強板18b、18bに対して、上下の樹脂プレート46、46が、それぞれピン47、47にて固定されて、一体とされることにより、スライドロッド18は、それら一体とされた上下の樹脂板46、46とコ字型金具44の上下の内面との間で摺動することとなり、これにより、スライドロッド18のガイドとして機能するようになっている。要するに、後側ロッドガイド40bにおいては、スライドロッド18の軸方向の往復動が、上下の樹脂板46、46の移動を伴なって、コ字型金具44との間で行なわれることとなるのであり、これによって、図5、図6に示される如く、第二ゲート14が最大限に回動されて、展開・伸長された状態において、後側ロッドガイド40b内に進入するようになる連結材34と樹脂プレート46との干渉が回避され得るようになっているのである。なお、ここでも、上下の保持部材42a、42bの間の空間の側方が、蓋板48にて閉塞せしめられて、スライドロッド18の軸方向への摺動に際して、上下の樹脂プレート46、46と共に、側方への抜け出しが阻止され得るようになっている。
【0027】
従って、上述のような構造のリヤゲート装置10において、図1に示される如き、第一ゲート12と第二ゲート14とを折り畳んで上下方向に直立せしめてなる形態から、それら第一ゲート12と第二ゲート14を展開・伸長させるに際しては、複動式の油圧シリンダ22を収縮作動せしめて、その伸縮ロッド22aを引き込むことにより、スライドロッド18は、油圧シリンダ22側に軸方向に引張されることとなり、これによって、図2に示される如く、第一ゲート12が支軸30回りに下方に回動せしめられて、補助脚56が接地され、そして、更に、油圧シリンダ22によるスライドロッド18の引張操作を続けることによって、第二ゲート14が折り畳み・展開リンク20を介して引っ張られることにより、回動軸32を介して下方に回動せしめられて、図3に示されるように、荷台Pと地面との間に、かかる荷台Pから下方に傾斜した乗降スロープが、確実に且つ安定的に形成されることとなるのである。図8の(a)〜(d)には、第一ゲート12の回動が終了して、補助脚56が接地した後における第二ゲート14の回動の様子が、示されている。そこでは、油圧シリンダ22の収縮作動に基づくスライドロッド18の引込み作動が、リンク20により、第二ゲート14の回動軸32回りの回動作用として伝達され、これにより、第二ゲート14が第一ゲート12と直線的に展開されるまで回動せしめられるのである。
【0028】
また、一方、それら第一ゲート12と第二ゲート14の折り畳み作動は、複動式である油圧シリンダ22の伸長作動によって、伸縮ロッド22aを突き出し、以てスライドロッド18を、その軸方向に移動せしめて、後側ロッドガイド40bから押し出すようにすることにより、先ず、図3の展開形態から、図2に示される如く、第二ゲート14を第一ゲート12上に重ね合わせるように折り畳み、そして、更にスライドロッド18が軸方向に押し出されるようにすることにより、第一ゲート12が、その荷台Pの後端部に対する取付軸である支軸30回りに回動せしめられて、図1に示される如き直立状態となされるのであって、このような折り畳み作動にあっても、その操作は、一つの油圧シリンダ22の作動によって、確実に且つ安定的に行なわれ得るようになっているのである。
【0029】
なお、上例のリヤゲート装置10においては、図1〜図3及び図9に明らかにされている如く、矩形角管形状のコーナポスト16の上端部には、三角山型形状のストッパ50が溶接固定されて、その後方側の面に、クッションシート52が貼付されている。そして、このクッションシート52に対して、リヤゲート装置10の第一ゲート12と第二ゲート14とが折り畳まれて、直立形態とされたときに、その折り畳まれた第二ゲート14の先端部が、当接するように構成することによって、支軸30回りの、それ以上の回動を阻止して、荷台Pの後端部において、リヤゲート装置10が折り畳まれた形態において上下方向に直立した状態で確実に保持され得るようになっている。また、そのようなコーナポスト16の上端部には、図9から明らかな如く、L字型ブラケット54が固設されて、その後方に面する平坦面54aを利用して、図2〜図5に示される補助脚56の自動的な格納・垂下のための連動機構が、設けられている。
【0030】
すなわち、図4や図5、更には図9〜図11に示される如く、補助脚格納装置60は、リヤゲート装置10の格納状態を検知して、作動せしめるセンサ・作動部62と、補助脚56を係止して、格納状態に保持する補助脚保持部材64と、それらセンサ・作動部62と補助脚保持部材64とを連結する作動ロッド66とから構成され、かかる補助脚保持部材64にて保持機構が構成されている一方、センサ・作動部62と作動ロッド66とから解除機構が構成されているのである。
【0031】
そして、そのような補助脚格納装置60は、第一ゲート12の最外側の縦フレーム24の内側に位置するように、回動軸58にて回動可能とされた補助脚56と共に、配設されている。具体的には、センサ・作動部62は、回動軸68回りに回動せしめられるレバー70の一端側に、コロ72が自由回転可能に設けられてなる構成を有し、このコロ72が、コーナポスト16の上端部に取り付けられたL字型ブラケット54の平坦面54aに当接し得るように、構成されている。一方、かかるレバー70の他端部には、作動ロッド66が回動可能に取り付けられていると共に、そのようなレバー70を回動軸68回りに回動せしめて、コロ72がL字型ブラケット54の平坦面54aに当接せしめられるように付勢するコイルばね74が、配設されている。また、補助脚保持部材64は、第一ゲート12に設けられたブラケット76に回動可能に取り付けられている一方、更にそれに取り付けられた作動ロッド66の押し込み作動によって回動せしめられて、補助脚56の下端部に係止して、かかる補助脚56を格納状態に保持し得るようになっている。
【0032】
そして、そのような補助脚格納装置60においては、図11に示される如く、リヤゲート装置10が折り畳まれて、上下方向に直立した状態においては、コーナポスト16の上端部に設けたL字型ブラケット54の平坦面54aにコロ72が当接することによって、回動軸68回りに、レバー70が、コイルばね74の付勢力に抗して回動せしめられ、以て作動ロッド66に上方への押出力(突き出し力)が生じさせられることにより、補助脚保持部材64が補助脚56の下端部を係止して保持する形態とされることとなる。一方、かかるリヤゲート装置10の展開・伸長作動のために、第一ゲート12が、その下端部の支軸30の回りに下方に回動せしめられて、図示の如く傾斜するようになると、センサ・作動部62におけるレバー70の先端部に設けたコロ72が、コーナポスト16の上端部に設けられたL字型ブラケット54の平坦面54aとの接触が解除され、これによって、かかるレバー70は、回動軸68回りにコイルばね74の付勢力によって回動せしめられるようになり、作動ロッド66には、センサ・作動部62側への引張力が作用することとなる。このため、補助脚保持部材64は、ブラケット76との取付軸回りに下方に回動せしめられるようになるのであり、それによって、かかる補助脚保持部材64による、補助脚56の係止が、解除されることとなる。そして、更に、第一ゲート12が支軸30回りに回動せしめられることにより、補助脚56の下端部が地面に接地して、それ以上の第一ゲート12の回動が阻止されるようになっているのである。
【0033】
なお、これとは逆に、リヤゲート装置10を折り畳んで、上下方向に直立した形態において保持する場合には、上記とは逆の作動が行なわれることとなる。即ち、リヤゲート装置10を展開・伸長した形態から、第二ゲート14を第一ゲート12上に折り畳み、そして第一ゲート12を支軸30回りに上方に回動せしめて、直立状態と為す際に、補助脚格納装置60におけるセンサ・作動部62のレバー70の端部に取り付けたコロ72が、コーナポスト16の上端部に設けたL字型ブラケット54の平坦面54aに接触するようになると、コイルばね74の付勢力に抗して、レバー70が回動軸68回りに回動せしめられることにより、作動ロッド66が上方に突き出されて、補助脚保持部材64を回動せしめることにより、補助脚56の下端部が、補助脚保持部材64にて、係止されるようになるのである。
【0034】
さらに、かくの如きリヤゲート装置10においては、その折り畳み状態における上下方向の直立した形態を確実に保持して、その倒れや揺れ等の問題を回避すべく、図1や図12等に示されるようなゲートロック装置80が、コーナポスト16と第一ゲート12との間に設けられている。このゲートロック装置80は、図12に拡大して示されているように、コーナポスト16の上部に設けたブラケットにて支持される回動軸82回りに回動可能に取り付けられたロックバーフック84を有し、このロックバーフック84が第一ゲート12に固設されたロックバー86に係止することによって、第一ゲート12、ひいてはリヤゲート装置10が、コーナポスト16に対して固定せしめられ得るようになっているのである。なお、ロックバーフック84は、L字型ブラケット54との間に設けられた引張ばね88による引張力によって、ロックバー86に対する係止が解除せしめられる方向に付勢されている。そして、そのようなロックバーフック84のロックバー86への係止状態を固定するために、固定装置90が設けられているのである。この固定装置90は、所謂海老金と称されるものであって、そのハンドル92の上下方向への回動操作によって、そのリング状先端部94を上下方向に移動せしめて、ロックバーフック84の中間部に固定された海老金用フック96に対して係止され、或いは、その係止が解除せしめられ得るようになっている。
【0035】
因みに、図12(b)に示されるゲートロック装置80の解除状態は、図12(a)に示されるロックバーフック84がロックバー86に係止せしめられてなるロック状態から、固定装置90のハンドル92を、図10に示される如く、上方に回動せしめることによって、海老金用フック96からリング状先端部94を外すようにすれば、引張ばね88の引張力によって、ロックバーフック84が回動せしめられることにより、ロックバー86との係止状態が解除せしめられることとなるのであり、この状態において、リヤゲート装置10の展開・伸長作動が開始されることとなる。
【0036】
以上、本発明の代表的な実施形態ついて詳述してきたが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
【0037】
例えば、前述の実施形態においては、第一ゲート12と第二ゲート14とが、シングルヒンジ構造において、回動軸32回りに回動せしめられて折り畳まれたり、展開・伸長せしめられたりするようになっているが、これに代えて、図13に示される如く、二つの回動軸32a、32bを用いて、連結部材100にて、第一ゲート12と第二ゲート14とを回動可能に連結せしめてなる、ダブルヒンジ構造を採用することも可能である。図13においては、(a)にて示される、第一ゲート12と第二ゲート14との折り畳み形態から、スライドロッド18が引張せしめられることによって、折り畳み・展開リンク20を介して、ダブルヒンジ構造により、第二ゲート14が第一ゲート12に対して回動せしめられ、そして(b)に示される半展開状態から、(c)に示される全展開・伸長形態となるように更に回動せしめられて、傾斜した乗降スロープが、形成されるようになっている。
【0038】
また、リヤゲート装置10の折り畳み・展開作動に連動した補助脚56の格納・垂下機構にあっても、公知の各種の機構を採用することが可能であり、例えば図14に示されるように、小型の油圧シリンダ102を用いて、リヤゲート装置10の折り畳み・展開作動に連動して、かかる油圧シリンダ102の作動制御を行なうようにすることにより、(a)に示される格納状態から、(b)に示されるように、油圧シリンダ102の伸長作動により、補助脚56を、その回動軸58回りに回動せしめて、垂下させるようにすることも可能である。
【0039】
更には、図15に示されるように、補助脚56とコーナポスト16の如き荷台後端部との間を、作用ロッド104にて、回動可能に連結せしめ、リヤゲート装置10、具体的には第一ゲート12の上下方向の回動に伴なって、補助脚56を格納せしめたり、或いは、垂下せしめたりする構成を採用することも可能である。
【0040】
また、例示の実施形態においては、スライドロッド18と折り畳み・展開リンク20と油圧シリンダ22とからなる折り畳み・展開手段の一対が、第一ゲート12及び第二ゲート14の両側部にそれぞれ配設されているが、これに代えて、そのような折り畳み・展開手段の一つを、荷台Pやそれらゲート12、14の幅方向中央部位に配設して、それらゲート12、14の回動を行なわしめるようにすることも、可能である。
【0041】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そして、そのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
【符号の説明】
【0042】
10 リヤゲート装置 12 第一ゲート
14 第二ゲート 16 コーナポスト
18 スライドロッド 20 折り畳み・展開リンク
22 油圧シリンダ 22a 伸縮ロッド
22b シリンダ部 30 支軸
32 回転軸 34 連結材
38 支軸 40a 前側ロッドガイド
40b 後側ロッドガイド 54 L字型ブラケット
54a 平坦面 60 補助脚格納装置
64 補助脚保持部材 72 コロ
80 ゲートロック装置 84 ロックバーフック
86 ロックバー 90 固定装置
92 ハンドル 100 連結部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台の後端部に回動可能に取り付けられる第一ゲートと、該第一ゲートの後端部に回動可能に取り付けられた、該第一ゲートよりも前後方向の長さが短い第二ゲートとを有し、かかる第二ゲートが回動させられて、その上面が前記第一ゲートの上面に対向するように折り畳まれ、更に該第一ゲートの回動により、それら折り畳まれる第一ゲートと第二ゲートとが前記荷台の後端部の両側に立設されたコーナポストに上下方向に直立した形態において保持されるようにする一方、それら第一ゲートと第二ゲートを前記とは逆方向に回動させて、直線的に展開した形態において、前記荷台と地面との間に下方に傾斜した乗降スロープが形成されるように構成したリヤゲート装置にして、
前記第一ゲートに対して前後方向に位置するように取り付けられて、軸方向に往復動可能に保持されたスライドロッドと、
該スライドロッドの後端部と前記第二ゲートの前端部とを連結し、該スライドロッドの往復動による引張/押出操作によって、該第二ゲートを前記第一ゲートに対して回動せしめて、それら第一ゲートと第二ゲートとを直線的に展開した形態又は折り畳まれてなる形態とするリンク機構と、
該スライドロッドの前端部と前記荷台後端部とを連結するように配設され、収縮作動によって、該スライドロッドを引張せしめて、前記第一ゲートと前記第二ゲートとを展開させる一方、伸長作動によって、該スライドロッドを押し出して、前記第一ゲートと前記第二ゲートを折り畳んで上下方向に直立形態とするシリンダ手段とを、
設けてなることを特徴とする折り畳み式リヤゲート装置。
【請求項2】
前記第一ゲートの後端側部位に対して、補助脚が回動可能に取り付けられ、該第一ゲートと前記第二ゲートの展開に連動して、かかる第一ゲートから、該補助脚が垂下せしめられて、接地し得るように構成され、該第一ゲートに加わる荷重が、該補助脚にて分担支持されるようになっている請求項1に記載の折り畳み式リヤゲート装置。
【請求項3】
前記第一ゲートと前記第二ゲートとが折り畳まれて、直立形態にあるときに、前記補助脚を格納状態に保持する保持機構と、それら第一ゲートと第二ゲートの展開時に、該保持機構による該補助脚の保持を解除して、該補助脚の自由な回動を許容する解除機構とを、更に有している請求項2に記載の折り畳み式リヤゲート装置。
【請求項4】
前記折り畳まれた第一ゲートと第二ゲートの直立形態を保持して固定し得る解除可能なゲートロック装置が、更に設けられている請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の折り畳み式リヤゲート装置。
【請求項5】
前記スライドロッドと前記リンク機構と前記シリンダ手段とからなる折り畳み・展開手段が、前記第一ゲート及び第二ゲートの両側部位にそれぞれ配設されている請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の折り畳み式リヤゲート装置。
【請求項6】
前記第一ゲートの前記荷台後端部との回動軸よりも下方で且つ後方に偏倚して、前記シリンダ手段の前記荷台後端部に対する回動可能な取付軸が、設けられている請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の折り畳み式リヤゲート装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のうちの何れか1項に記載の折り畳み式リヤゲート装置が、荷台の後端部に配備されている車両運搬車。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−240561(P2012−240561A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113131(P2011−113131)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000229900)日本フルハーフ株式会社 (93)