説明

折り畳み式台

【課題】 簡単な構造のみにより、組立方法を直感的に理解でき、簡易迅速に組立が可能で、かつ、十分な強度や剛性が得られ。
【解決手段】 中空板材からなる一枚の矩形状のパネルが折り畳まれることで形成される折り畳み式台1で、パネル中心でパネルを長手方向に沿って谷折りに折り重ね可能とし折り重ねられたパネルが台の梁部2を形成する中央谷折り線部と、中央谷折り線部の両側においてパネルを長手方向に沿って山折りに折り曲げ可能とし折り曲げられたパネルが台の天面部3を形成する一対の長手方向山折り線部と、パネル両端側において中央谷折り線部と直交してパネルを山折りに折り曲げ可能とし折り曲げられたパネルが台の脚部4,5を形成する一対のパネル両端山折り線部と、中央谷折り線部で折り重ねられ長手方向山折り線部で折り曲げられたパネルの両端をパネル両端山折り線部において山折り可能とするパネル切り欠き部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル材を折り畳むことによってテーブルや椅子,ベンチ,棚等として使用可能な折り畳み式の台に関し、特に、合成樹脂製の中空板材からなる一枚の矩形状のパネルが折り畳まれることで、簡易迅速に組立及び分解が可能な折り畳み式台に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建物内や屋外等において、段ボールや板材,パネル等を折り曲げて組み立てることができる、簡易式の机やテーブル,椅子等が使用されることがある。
このような簡易折り畳み式の机やテーブル等は、通常の机やテーブル等と比較して、組み立てや設置が簡単に行え、非使用時には段ボールやパネル材を平面状に分解・展開して保管や搬送,撤去等も容易に行えるものであり、特に一時的,応急的な使用に利用されている。
例えば、屋外での行事やレジャー等において一時的に設置される机やテーブル、被災地等に緊急的に設置される椅子やベンチ、被災者が公共の施設(体育館,講堂,公民館等)に避難した場合に使用するテーブルや椅子など、一時的,応急的な使用に好適に利用される。
【0003】
ここで、このような従来の簡易折り畳み式の机や椅子,テーブル等に関するものとしては、例えば特許文献1〜3に開示されているようなものがある。
特許文献1には、段ボールシート,厚紙シート等を折り曲げて組み立てることで形成される折り畳み自在の机が提案されている。
特許文献2には、一枚の紙製部材(段ボール)を折り畳んで組み立てることができる簡易組立式の椅子が提案されている。
また、特許文献3には、段ボール紙や合成樹脂板を折り畳んで形成されるテーブルが提案されている。
このような簡易式の机や椅子,テーブル等は、一枚の段ボール等の板材を折り畳んで組み立てるだけで机や椅子,テーブル等を形成することができ、非使用時には一枚のシート状に分解・展開して保管や搬送等も簡便に行えることから、特に一時的,緊急的な机や椅子として好適に使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭63−35643号公報
【特許文献2】特開平11−32862号公報
【特許文献3】特開2001−299456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、以上のような従来の簡易組立式の机や椅子等は、組立が容易であるとはいえ、机や椅子等の形に完成させるには、複雑な折り曲げ構造や折り曲げ部同士の嵌合や固定等の作業が必要であった。
このため、例えば組立を初めて行う者や不慣れな者にとっては、組立方法や折り畳み方法がわかりにくかったり、組立作業を簡単に行えない可能性があった。
【0006】
また、段ボールや厚紙製のシート,合成樹脂シートは、シート自体には十分な強度がないことから、机や椅子にかかる荷重を支持するためには、複雑な組立・折り曲げ構造や嵌合構造等を取る必要があった。
このため、特に机や椅子への荷重が加わる脚部の構造が複雑となり、また、そのような構造を得るための補助的な部品等も必要となり、組立方法や組立作業も煩雑でわかりにくいものとなる傾向があった。
このように、特許文献1〜3に提案されているような従来の組立式の机や椅子等では、簡易組立式でありながら、必ずしも組立・分解作業等が容易とは言えないという問題があった。
【0007】
また、段ボールや厚紙製,樹脂製のシート材は、容易に折り曲がってしまい、本来の折り曲げ箇所以外の部分が折り曲げられてしまうおそれもあり、また、組立・分解作業が繰り返されると、シート材の端部や嵌合部分等が劣化や破損するおそれがあり、特に段ボール製や厚紙製のシート材は、耐久性に欠け繰り返しの使用は困難であった。
さらに、段ボールや厚紙製のシート材は、耐水性,防水性にも乏しく、水に濡れると使用が困難乃至不可能になってしまい、降雨時や水辺での使用等、水に濡れる可能性のある使用・用途への対応が困難であるという問題もあった。
【0008】
そこで、本発明者は以上のような従来技術の課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、一般に気泡ボードと称される樹脂製の中空板に着目し、かかる気泡ボードを用いて単一のパネルのみによって簡易組立式の机や椅子,テーブル等として使用可能な折り畳み式の台を構成することにより、誰にでも容易に組立・分解作業が行え、シンプルな構造でありながら机や椅子等としての強度や剛性が十分に得られ、耐久性や耐水性,防水性にも優れた折り畳み式の机や椅子,テーブル等を実現できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
すなわち、本発明は、上述した従来の問題を解決するために提案されたものであり、きわめて簡単な構造のみによって、組立方法を直感的に理解でき、簡易迅速に組立・分解が行え、複雑な構造や補助具等を必要とすることなく台としての十分な強度や剛性が得られ、繰り返しの使用にも耐え得る耐久性もあり、耐水性,防水性等にも優れた折り畳み式台の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明の折り畳み式台は、中空構造をなすための立体加工が施されたコア材の表裏両面に平板状の外装材を積層した合成樹脂製の中空板材からなる一枚の矩形状のパネルが折り畳まれることで形成される折り畳み式の台であって、パネル中心でパネルを長手方向に沿って谷折りに折り重ね可能とし、折り重ねられたパネルが台の梁部を形成する中央谷折り線部と、中央谷折り線部の両側において、当該中央谷折り線部と平行してパネルを長手方向に沿って山折りに折り曲げ可能とし、折り曲げられたパネルが台の天面部を形成する一対の長手方向山折り線部と、パネル両端側において、中央谷折り線部と直交してパネルを山折りに折り曲げ可能とし、折り曲げられたパネルが台の脚部を形成する一対のパネル両端山折り線部と、中央谷折り線部で折り重ねられ、一対の長手方向山折り線部で折り曲げられたパネルの両端を、一対のパネル両端山折り線部において山折り可能とするパネル切り欠き部と、を備えた構成としてある。
【0011】
このような構成からなる本発明の折り畳み式台によれば、矩形状の中空板材からなるパネルに、中央谷折り線部,長手方向山折り線部,パネル両端山折り線部の3種類の折り線部を形成し、この3種の折り線部に沿ってパネルを折り曲げるだけで折り畳み式台を形成することができる。すなわち、3回の折り曲げ作業・折り曲げ動作によって、一枚のパネル材をテーブルや椅子,机等として使用可能な台として形成することができる。
このため、パネルの折り畳み作業、折り畳み式台の組立作業はきわめて簡単で、経験のない者や不慣れな者等であっても、組立方法を直感的に理解でき、折り畳み式台の組立作業を容易に行うことが可能となる。
【0012】
また、本発明の折り畳み式台は、所定の厚みを有する中空板材からなるパネルを使用して、折り曲げたパネル同士の厚みのある縁部端面を当接させることでパネルの折り曲げ位置を規制して台としての形状を確定できるようにしてある。
これによって、補助的な部品等を必要とすることなく、パネルを折り曲げるだけで台としての形状を、容易かつ確実に誤りなく形成し、かつ、堅固に維持・固定することができる。
さらに、合成樹脂製の中空板材からなるパネルは、軽量かつ柔軟で、非使用時のパネルの保管や運搬等も容易に行えるとともに、耐久性や耐水性,防水性等にも優れ、折り曲げ折り畳みを繰り返してもパネルが劣化したり破損することがなく、水に濡れるような場所での使用にも対応でき、折り畳み式台として繰り返し使用することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明の折り畳み式台によれば、きわめて簡単な構造のみによって、組立方法を直感的に理解でき、簡易迅速に組立・分解が可能となり、複雑な構造や補助具等を必要とすることなく十分な強度や剛性が得られる。
また、中空板材からなるパネルは繰り返しの使用にも耐え得る耐久性もあり、耐水性,防水性等にも優れている。
従って、本発明によれば、簡易折り畳み式の机や椅子,テーブル,棚などに好適に使用することができる折り畳み式台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る折り畳み式台の組立完成状態の外観を示す斜視図であり、(a)は台を平面側から見た状態、(b)は同じく底面側から見た状態を示している。
【図2】図1に示す折り畳み式台の(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
【図3】図1に示す折り畳み式台を形成するパネルの組立前の状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る折り畳み式台を形成するパネルを構成する中空板材を示す要部斜視図であり、(a)は三層構成の気泡ボードを示しており、(b)は(a)に示す気泡ボードの端部(縁部)を封止材で封止した場合を示している。
【図5】本発明の一実施形態に係る折り畳み式台を形成するパネルに備えられる折り線部(折り部)の一例を示す説明図であり、切り込み(ハーフカット)加工された折り部が形成されたパネルの要部平面を示している。
【図6】本発明の一実施形態に係る折り畳み式台を形成するパネルに備えられる折り線部(折り部)の一例を示す説明図であり、折り部が切り込み(ハーフカット)加工された図7のA−A断面を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る折り畳み式台を形成するパネルに備えられる折り線部(折り部)の一例を示す説明図であり、折り部が切り込み(ハーフカット)加工された図7のB−B断面を示す断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る折り畳み式台を形成するパネルに備えられる折り線部(折り部)の一例を示す説明図であり、折り部がV字加工されている場合を示している。
【図9】図3に示すパネルを折り畳んで図1に示す折り畳み式台を組み立てる途中の状態を示す図であり、(a)は平面側から見た状態、(b)は同じく底面側から見た状態を示している。
【図10】図9に引き続いて、図3に示すパネルを折り畳んで図1に示す折り畳み式台を組み立てる途中の状態を示す図であり、(a)は平面側から見た状態、(b)は同じく底面側から見た状態を示している。
【図11】図9〜10に示す組立途中の折り畳み式台1の正面図であり、(a)は脚部の折り畳み前の状態、(b)は同じく折り畳み途中の状態、(c)は同じく折り畳みが完成した状態をそれぞれ示している。
【図12】本発明の他の実施形態に係る折り畳み式台を形成するパネルの組立前の状態を示す平面図であり、(a)は図3に示す折り畳み式台と比較して脚部を長く形成する場合、(b)は同じく脚部を短く形成する場合を示している。
【図13】本発明の他の実施形態に係る折り畳み式台を形成するパネルの組立前の状態を示す平面図であり、(a)は図3に示す折り畳み式台と比較して台の天面部を広く形成する場合、(b)は同じく天面部を狭く形成する場合を示している。
【図14】本発明の他の実施形態に係る折り畳み式台を示す図であり、(a)は図3に示す折り畳み式台に支柱挿入用切り欠き部を形成したパネルの組立前の平面図、(b)は(a)に示すパネルを組み立てて支柱を挿入した状態の斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る折り畳み式台の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る折り畳み式台の組立完成状態の外観を示す斜視図であり、(a)は台を平面側から見た状態、(b)は同じく底面側から見た状態を示している。
また、図2は、図1に示す本実施形態に係る折り畳み式台の(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
さらに、図3は、図1に示す本実施形態に係る折り畳み式台を形成するパネルの組立前の状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【0016】
[折り畳み式台]
これらの図に示すように、本実施形態の折り畳み式台1は、中空構造をなすための立体加工が施されたコア材の表裏両面に平板状の外装材を積層した合成樹脂製の中空板材からなる一枚の矩形状のパネルが折り畳まれることで、机やテーブル,椅子,ベンチ,棚,ベッド等として使用可能な台状に形成される折り畳み式の台である。
組み立てられた折り畳み式台1は、建物内や屋外等の任意の設置場所に設置・立設されて使用することができる。
【0017】
具体的には、本実施形態に係る折り畳み式台1は、一枚のパネルが折り畳まれることにより、図1〜2に示すように、梁部2(2a,2b),天面部3(3a,3b),一対の脚部4(4a,4b),5(5a,5b)とを備えた台として形成されるようになっている。
そして、この折り畳み式台1を形成するパネルは、図3に示すように、長方形状の一枚のパネル材からなり、パネル材の所定箇所に折れ線加工及び切り欠き加工が形成されており、その折れ線加工部及び切り欠き加工部によって一枚のパネルが台を構成する形状に折り曲げて組み立てられるようになっている。
【0018】
図3に示すように、折り畳み式台1を形成するためのパネルには、中央谷折り線部11,長手方向山折り線部12(12a,12b),パネル両端山折り線部13(13a,13b)の3種類の折れ線加工が形成されている。
また、パネルには、パネル両端側にそれぞれパネル切り欠き部15(15a,15b),16(16a,16b)が形成されている。
なお、以下に説明する中央谷折り線部11,長手方向山折り線部12,パネル両端山折り線部13の折れ線加工は、後述するように切り込み加工やV字加工により、パネルが所望の方向に向かって谷折り又は山折りに折り曲げ可能となるように形成される(後述する図5〜図8参照)。
【0019】
中央谷折り線部11は、パネル中心でパネルを長手方向に沿って谷折りに折り重ね可能となる折れ線加工部である。中央谷折り線部11で折り重ねられることで、パネルは長手方向に沿って二つ折りにされることになる。
そして、この中央谷折り線部11において谷折りに折り重ねられたパネルが、台の梁部2(2a,2b)を形成することになる(図1〜2参照)。
【0020】
長手方向山折り線部12(12a,12b)は、中央谷折り線部11の両側において、中央谷折り線部11と平行してパネルを長手方向に沿って山折りに折り曲げ可能とする2本一対の折れ線加工部である。
具体的には、長手方向山折り線部12a,12bは、中央谷折り線部11で2つに仕切られたパネルの各領域のそれぞれにおいて、各パネル領域の中心で中央谷折り線部11と平行してパネルを長手方向に折り曲げられるようにしている。
この一対の長手方向山折り線部12a,12bにおいて山折りに折り曲げられたパネルが、台の天面部3(3a,3b)を形成することになる(図1〜2参照)。従って、パネルは、長手方向山折り線部12において少なくとも90度折り曲げられるようになっており、梁部2を形成するパネルに対して、天面部3を形成するパネルが90度の角度になるようになっている。
【0021】
なお、長手方向山折り線部12a,12bの位置は、本実施形態では、中央谷折り線部11で2つに仕切られたパネルの各領域のそれぞれ中心としてあるが、この位置は変更することができる。
長手方向山折り線部12a,12bの形成位置を、中央谷折り線部11で2つに仕切られたパネル領域において中央谷折り線部11と平行して変更・移動させることで、組み立てられた台の天面部3a,3b及び脚部4a,4b,5a,5bの幅を変えることができる。
従って、例えば折り畳み式台1の大きさや用途等に応じて、長手方向山折り線部12a,12bの形成位置を調整することで、天面部3を広く、あるいは狭くすることができる(後述する図13も参照)。
【0022】
パネル両端山折り線部13(13a,13b)は、パネル両端側において、中央谷折り線部11と直交してパネルを山折りに折り曲げ可能とする2本一対の折れ線加工部である。
そして、この一対のパネル両端山折り線部13a,13bにおいて山折りに折り曲げられたパネルが台の脚部4(4a,4b),5(5a,5b)を形成することになる(図1〜2参照)。従って、パネルは、パネル両端山折り線部13において少なくとも90度折り曲げられるようになっており、天面部3を形成するパネルに対して、脚部4,5を形成するパネルが90度の角度となるようになっている。
このように、パネル両端山折り線部13a,13bは、中央谷折り線部11と交差(直交)してパネル両端の領域をそれぞれ同一の一定幅に仕切るようになっており、パネル両端山折り線部13a,13bで仕切られたパネル両端の幅が、組み立てられた台の脚部4,5の長さ(高さ)となる。また、パネル両端山折り線部13a,13bで仕切られたパネル中間領域の長さが、組み立てられた台の天面部3の長さ(横幅)となる。
従って、パネル両端山折り線部13a,13bの形成位置を変更することにより、組み立てられる台の高さ、台の天面の広さ(横幅)が変更されることになる(後述する図12も参照)。
【0023】
パネル切り欠き部15(15a,15b),16(16a,16b)は、中央谷折り線部11で折り重ねられ、一対の長手方向山折り線部12a,12bで折り曲げられたパネルの両端を、一対のパネル両端山折り線部13a,13bにおいて山折り可能とするための切り欠き加工部である。
このパネル切り欠き部15,16が備えられることにより、脚部4,5を形成するためのパネル両端部が、先に折り曲げられて形成されている梁部2と干渉することなく、パネル両端山折り線部13a,13bにおいて台内側に向かって折り曲げられるようになる。
【0024】
具体的には、パネル切り欠き部15,16は、一対の脚部4,5に対応してパネル長手方向の両端にそれぞれ形成される一対の切り欠き加工部となっている。
本実施形態では、パネル切り欠き部15,16は、図3に示すように、一対の長手方向山折り線部12a,12bのパネル内側領域において、中央谷折り線部11と一対のパネル両端山折り線部13a,13bとの各交点を対称点とする対称位置に形成された2個一組の対称形状の開口からなっている。この2個一組の対称開口が、パネル両端の対応する位置に形成されて、一対のパネル切り欠き部15,16を構成するようになっている。
【0025】
より具体的には、本実施形態のパネル切り欠き部15,16は、2個一組の対称開口の各開口部が同形同大の正方形状に形成されている。そして、各開口を構成する正方形は、正方形の3辺が、中央谷折り線部11、長手方向山折り線部12a又は12b、及びパネル両端山折り線部13a又は13bの各線に接するとともに、中央谷折り線部11とパネル両端山折り線部13a又は13bとの交点で連続(連通)する同形同大の正方形状に形成されている。
このような2個一組の対称開口からなるパネル切り欠き部15,16を備えることで、中央谷折り線部11で折り重ねられ、一対の長手方向山折り線部12a,12bで折り曲げられたパネルの両端が、一対のパネル両端山折り線部13a,13bにおいて山折りに折り曲げられることにより、各対称開口の内縁と折り曲げられたパネル縁部が当接して、パネルの折り曲げ位置が確定して脚部4,5が形成されることになる(図1,図2(b)参照)。
【0026】
そして、これによって、脚部4,5と梁部2の端面同士が当接して位置決めされ、脚部4,5が天面部3に対して90度折り曲げられた状態で、かつ、天面部3が梁部2に対して90度折り曲げられた状態で、折り畳み式台1は、その形状が確定・保持されることになる(図2(b)参照)。
従って、折り畳み式台1の折り曲げ・組立作業は、中央谷折り線部11,長手方向山折り線部12,パネル両端山折り線部13の3つの折り線部においてパネルを折り曲げるだけで、折り畳み式台1を形成することができ、3回の折り曲げ作業・折り曲げ動作によって、梁部2に対して90度折り曲げられた天面部3、天面部3に対して90度折り曲げられた脚部4,5の形状を確定・維持することできる。これにより、折り畳み式台1の折り曲げ・組立作業は、誰が行っても直感的に理解でき、確実に完了できる、きわめて容易なものとなる。
なお、以上のようなパネル切り欠き部15,16は、上述したパネル両端山折り線部13a,13bの形成位置が変更・移動された場合には、それに伴ってパネル切り欠き部15,16の形成位置も変更・移動されることになる(後述する図12参照)。
【0027】
また、以上のようにして組み立てられる折り畳み式台1を構成するパネルには、図示はしていないが、組み立てられた折り畳み式台1の形状を保持・固定するための保持手段,固定手段を備えることができる。
具体的には、パネルの折り重ねられる部分の所定箇所、例えば折り重ねられた梁部2a,2bや、この梁部2a,2bに当接する脚部4a,4b,5a,5bの重ねられた部分に、接合部品を挿入可能な貫通孔を形成しておき、折り重ねられたパネルが面接触した状態で、貫通孔に接合部品が挿入されることで、パネル同士が接合されて、組み立てられた折り畳み式台1の形状を保持・固定することができる。
【0028】
ここで、このような接合部品用の貫通孔は、折り重ねられたパネルを一体的に貫通できる箇所であれば、貫通孔の位置や数は特に限定されるものではなく、パネルの大きさや厚み等に応じて設定することができる。
また、パネルに形成する貫通孔は、使用する接合部品に対応した大きさ・形状に形成される。
貫通孔に挿通して使用する接合部品としては、例えば一般的なボルト・ナットや、段ボール留め具(所謂Pジョイント),リベットなどを使用することができ、パネルに形成する貫通孔は、それら接合部品に適合した大きさ、形状に形成される。
また、接合部品を用いずに、パネルの重なり部分を粘着材,粘着シート等を用いて接合・接着させることもできる。この場合、分解・組立が繰り返せるように、接着及び剥離が繰り返し可能な粘着度の低い粘着材,粘着シートを用いることが好ましい。
【0029】
[気泡ボード]
次に、以上のような本実施形態の折り畳み式台1となるパネルを構成する中空板材について説明する。
図4は、本実施形態に係る折り畳み式台1を構成するパネルとなる中空板材を示す要部斜視図であり、(a)は三層構成の気泡ボードを示しており、(b)は(a)に示す気泡ボードの端部(縁部)を封止材で封止した場合を示している。
【0030】
本実施形態に係る折り畳み式台1を構成するパネルは、図4(a)に示す中空構造をなすための立体加工が施されたコア材の表裏両面に平板状の外装材を積層してなる合成樹脂製の中空板材からなっている。このような中空板材としては、一般に、気泡ボート、プラスチック段ボールなどと称されるものが知られているが、独立した多数の気泡内に空気が封入され、より断熱性に優れていることから、図4(a)に示すような気泡ボード100を用いるのが好ましい。
図4(a)に示す気泡ボード100は、中空状に膨出する多数の突起103が成形されたコア材としてのキャップシート102と、突起103内に空気を封入して気泡を形成する一方の外装材としてのバックシート101と、突起103の頂面側に積層された他方の外装材としてのライナーシート104とを備えている。
【0031】
このような気泡ボード100は、例えば、図示しない多数のキャビティ孔が設けられた成形ロールの外周面に、シート状に連続して繰り出される溶融樹脂を接触させて中空状に膨出する多数の突起103を真空成形することによってキャップシート102を形成しつつ、このキャップシート102を、突起103の開口側に供給されたバックシート101と、突起103の頂面側に供給されたライナーシート104とで挟み込み、これらを熱融着により積層一体化し、しかる後に所定の形状に切り出すことによって製造することができる。
なお、上記のようにして気泡ボード100を製造するにあたり、バックシート101、キャップシート102、ライナーシート104のそれぞれの厚みは、気泡ボード100に要求される強度、剛性などを考慮して適宜調整することができる。通常は、例えば100μm〜1.5mm程度とすることができる。
【0032】
所定の形状に切り出された気泡ボード100の端縁には、必要に応じて、図4(b)に示すように、帯状の封止材105を熱融着などによって取り付けるようにしてもよい。このようにすることで、気泡ボード100の内部に異物が侵入してしまうのを防止するとともに、それぞれの気泡103の間にも空気が封入されるようにして、さらなる断熱性の向上を図ることもできる。
また、以上のような気泡ボード(中空板材)100の材料樹脂としては、例えば、ポリプロピレン,ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂などを挙げることができる。但し、これらに限定はされない。
【0033】
[折り部]
以上のような気泡ボード100に対して、所定の折れ線加工を施すことにより、上述した中央谷折り線部11,長手方向山折り線部12,パネル両端山折り線部13の3種類の折れ線部が形成され、また、パネルを裁断・切り取り加工を施すことで一対のパネル切り欠き部15,16が形成される。
以下、所定の折れ線加工により形成される中央谷折り線部11,長手方向山折り線部12,パネル両端山折り線部13となる折り部200について、図5〜図8を参照しつつ説明する。
【0034】
中央谷折り線部11,長手方向山折り線部12,パネル両端山折り線部13となる折り部200は、所定の形状・大きさに形成されたパネル(気泡ボード100)の所定箇所に切り込み(ハーフカット)加工を入れて形成することができ、これによって折り部200に沿ってパネルを所望の方向に折り曲げ可能に構成することができる。
折り部200を形成する際に切り込み(ハーフカット)を入れるのは、気泡ボード100のバックシート101側、ライナーシート104側のいずれであってもよいが、図5〜7示す例では、気泡ボード100のバックシート101側に切り込み201を入れることによって折り部200を形成している。これによって、気泡ボード100は切り込み201を入れたバックシート101側からライナーシート104側に折り曲げ可能となる。従って、パネル(気泡ボード100)の底面側に切り込み201を形成することで当該部分を谷折りに、パネル平面側に切り込み201を形成することで山折りに折り曲げることができるようになる。
よって、中央谷折り線部11はパネル底面側に切り込み201を入れて形成し、長手方向山折り線部12及びパネル両端山折り線部13はパネル平面側に切り込み201を入れることで形成することができる。
【0035】
ここで、図5は、図4に示す気泡ボード100をバックシート側から見た拡大図であり、図5のA−A断面図を図6(a)に示し、当該部位を折り部200で折り曲げた状態を図6(b)に示す。同様に、図5のB−B断面図を図7(a)に示し、当該部位を折り部200で折り曲げた状態を図7(b)に示す。
これらの図に示すように、突起103がない部位では、キャップシート102とバックシート101との融着部を切断するように切り込み201を入れ(図6(a)参照)、ライナーシート104のみが屈曲して折り部200が形成されるようになる(図6(b)参照)。
これに対して、突起103がある部位では、バックシート101と突起103の側壁部とを切断するように切り込み201を入れ(図7(a)参照)、ライナーシート104に突起103の頂面が融着された部分が屈曲して折り部200が形成されるようになる(図7(b)参照)。
【0036】
これにより、折り部200は、ライナーシート104のみからなる部分と、ライナーシート104に突起103の頂面が融着されて二重構造となっている部分とが交互に配置されて形成されることになる。したがって、気泡ボード100に切り込み201を入れて形成された折り部200は、ライナーシート104に突起103の頂面が融着された二重構造となっている部分によって部分的に補強されて、折り部200の曲げ易さを損なわない程度に強度が高められている。すなわち、折り部200を補強するために、例えば、折り部200を形成しようとする部位にシート材を積層して二重構造としただけでは、折り部200が折り曲げにくくなって、パネルの折り曲げ性,組み立て性に支障をきたすおそれがあるが、本実施形態にあっては、折り部200が部分的に二重構造となるために、その曲げ易さを損なうことなく適度に折り部200が補強されることになる。
【0037】
また、曲げ易さを損なうことなく折り部200の強度をさらに高めるために、例えば、ポリエチレン系樹脂フィルムなどのような柔軟なフィルム材を気泡ボード100に積層することもできる。
このとき、バックシート101側に切り込み201を入れて折り部200を形成するのであれば、ライナーシート104側の面、すなわち、切り込み201を入れる側とは反対側の面に、必要に応じて接着剤を介するなどして当該フィルム材を積層することができる。
【0038】
なお、特に図示しないが、気泡ボード100のライナーシート104側から切り込み201を入れて折り部200を形成する場合、突起103がない部位では、ライナーシート104を切断するように切り込み201を入れ、キャップシート102とバックシート101との融着部が屈曲して折り部200を形成することになる。一方、突起103がある部位では、ライナーシート104に突起103の頂面が融着された部分と突起103の側壁部とを切断するように切り込み201を入れ、バックシート101が屈曲して折り部200を形成することになる。
いずれにしても、形成された折り部200は、バックシート101のみからなる部分と、バックシート101にキャップシート102が融着されて二重構造となっている部分とが交互に配置されて形成されることになり、折り部200が部分的に二重構造となって、その曲げ易さを損なうことなく適度に折り部200が補強されることになる。
【0039】
また、以上のような切り込み加工による折り部200以外にも、例えば図8に示すようなV字加工を施すことによりパネルに折り部200を形成することができる。
図8は、上述した図6に対応する気泡ボード100(パネル)の断面図であり、図6で示した切り込み201に換えてV字加工部202を形成したものである。
同図に示すV字加工部202は、気泡ボード100には、加熱鏝を当てるなどして断面V字状に溶融して形成するものであり、このV字加工部202を設けることによって、図8(b)に示すように、気泡ボード100はV字加工部202が設けられた側に折り曲げられるようになる。従って、この場合には、中央谷折り線部11はパネル平面側にV字加工部202を設けて形成し、長手方向山折り線部12及びパネル両端山折り線部13はパネル底面側にV字加工部202を設けることで形成することができる。
なお、このような溶融加工して形成されるV字加工部202は、気泡ボード100の一部が線状に押し潰された状態となっており、V字加工部202で囲まれた範囲には空気が封入されるようになる。このため、気泡ボード100の端縁に封止材105(図4(b)参照)を取り付けなくとも、当該範囲における気泡に空気が封入され、これによって気泡ボード100(パネル)の断熱性を向上させることができる。
【0040】
[折り畳み式台の組立方法]
次に、以上のような構成からなる本実施形態の折り畳み式台1を組み立てる手順(組立方法)について図9〜11を参照して説明する。
図9は、図3で示した平面上のパネルを折り畳んで図1に示すような折り畳み式台1を組み立てる途中の状態を示す図であり、(a)は平面側から見た状態、(b)は同じく底面側から見た状態を示している。
図10も、図9に引き続いて、折り畳み式台1を組み立てる途中の状態を示す図であり、(a)は平面側から見た状態、(b)は同じく底面側から見た状態を示している。
図11は、図9〜10に示す組立途中の折り畳み式台1の正面図であり、(a)は脚部の折り畳み前の状態、(b)は同じく折り畳み途中の状態、(c)は同じく折り畳みが完成した状態をそれぞれ示している。
【0041】
まず、図3に示した平面状に展開された状態のパネルを、図9〜10に示すように、パネル中心の中央谷折り線部11において谷折りに折り曲げ、パネルを2つ折りの状態となるように折り重ねていく。
この折り重ねが完了した後、あるいは、この折り重ねと並行して、図9〜10に示すように、一対の長手方向山折り線部12a,12bにおいて、天面部3a,3bを形成するパネルを山折りに折り曲げる。このとき、天面部3a,3bを形成するパネルが、梁部2を形成する中央谷折り線部11で折り重ねられたパネルに対して、最終的に90度折り曲げられるようにする。このとき、パネルを正面から見ると図11(a)に示すような状態となる。
【0042】
また、この天面部3を形成するパネルの折り曲げが完了した後、あるいは、この折り曲げと並行して、図9〜10に示すように、一対のパネル両端山折り線部13a,13bにおいて、脚部4a,4b,5a,5bを形成するパネルを山折りに折り曲げる。このとき、脚部4a,4b,5a,5bを形成するパネルが、天面部3a,3bを形成するパネルに対して、最終的に90度折り曲げられるようにする。
このとき、図9〜10に示すように、パネル両端に形成された一対のパネル切り欠き部15,16を構成する各2個一組の対称開口が展開して、中央谷折り線部11で折り重ねられ、一対の長手方向山折り線部12a,12bで折り曲げられたパネルの両端が、一対のパネル両端山折り線部13a,13bにおいて山折りに折り曲げ可能となる(図11(b)参照)。
そして、一対のパネル両端山折り線部13a,13bにおいてパネルが90度山折りに折り曲げられると、パネル切り欠き部15,16の各対称開口の内縁と折り曲げられたパネル縁部が当接して、パネルの折り曲げ位置が確定して脚部4,5が形成されることになる(図1,図2(b)に示す状態)。このとき、パネルを正面から見ると図11(c)に示すような状態となる。
【0043】
以上のようなパネルの折り曲げ・組み立ての際の、パネル切り欠き部15,16の対称開口の内縁と折り曲げられたパネル縁部が当接する状態を、図11(a)〜(c)を参照しつつ説明する。
まず、図11(a)に示す状態では、パネルは、中央谷折り線部11で折り重ねられるとともに、一対の長手方向山折り線部12a,12bで折り曲げられ、梁部2及び天面部3が形成された状態で、パネル両端山折り線部13a,13bにおいて折り曲げられていない。
この状態から、図11(b)に示すように、パネル両端を一対のパネル両端山折り線部13a,13bにおいて山折りに折り曲げていく。このとき、パネル切り欠き部15,16の対称開口内に、折り曲げられたパネル縁部が入り込んでいく。
【0044】
具体的には、図11(b)に示すように、パネル正面側からみると、梁部2bを形成するパネル縁部がパネル切り欠き部15b内に、また、脚部4bを形成するパネル縁部がパネル切り欠き部16b内に入り込んでいく。
同様に、図示は省略するが、パネル背面側からみると、梁部2aを形成するパネル縁部がパネル切り欠き部16a内に、また、脚部5aを形成するパネル縁部がパネル切り欠き部15a内に入り込んでいく。
これにより、パネル縁部同士が干渉・衝突することなく、パネルはパネル両端山折り線部13a,13bにおいて折り曲げられることになる。
【0045】
そして、一対のパネル両端山折り線部13a,13bにおいてパネルが90度山折りに折り曲げられると、図11(c)に示す状態となり、パネル切り欠き部15,16の各対称開口の内縁と折り曲げられたパネル縁部が当接する。
これによって、パネルの折り曲げ位置が確定して、90度に折り曲げられた脚部4,5が位置決めされて形成されることになる。
以上により、脚部4,5と梁部2の端面同士が当接して位置決めされ、脚部4,5が天面部3に対して90度折り曲げられた状態で、かつ、天面部3が梁部2に対して90度折り曲げられた状態で、折り畳み式台1は、その形状が確定・保持されることになる(図11(c),図2(b)参照)。
【0046】
このようにして、折り畳み式台1の折り曲げ・組立作業は完成する。
なお、以上のようなパネルの折り重ね・折り曲げ作業に先立ち、中央谷折り線部11,長手方向山折り線部12,パネル両端山折り線部13の各折り線部を、それぞれ予め仮に折り曲げておき、各折り線部においてパネルを折り曲げし易くしておくことができる。
また、この組立完成状態において、パネルの折り重ねられた部分、例えば折り重ねられた梁部2a,2bや、この梁部2a,2bに当接している脚部4a,4b,5a,5bの天面下側のパネルが重なる部分に、図示しない接合部品を挿入・貫通させて、あるいは粘着材や接着シート等を用いて、折り重ねられたパネルが面接触した状態でパネル同士を接合する。これによって、組み立てられた折り畳み式台1の形状を保持・固定することができる。
【0047】
以上のようにして、折り畳み式台1の折り曲げ・組立作業は、中央谷折り線部11,長手方向山折り線部12,パネル両端山折り線部13の3つの折り線部においてパネルを折り曲げるだけで、折り畳み式台1を形成することができ、3回の折り曲げ作業・折り曲げ動作によって、梁部2に対して90度折り曲げられた天面部3、天面部3に対して90度折り曲げられた脚部4,5の形状を確定・維持することできる。
これにより、折り畳み式台1の折り曲げ・組立作業は、誰が行っても直感的に理解でき、確実に完了できる、きわめて容易なものとなる。
【0048】
[変更実施形態]
次に、以上のような本実施形態に係る折り畳み式台1の変更実施形態の一例を図12〜図14を参照して説明する。
図12は、上述した折り畳み式台1の変更実施形態を示す、パネルの組立前の状態を示す平面図であり、(a)は図3に示す折り畳み式台と比較して脚部を長く形成する場合、(b)は同じく脚部を短く形成する場合を示している。
同図に示すように、折り畳み式台1を形成するパネルは、パネル両端山折り線部13(13a,13b)と、これに接するパネル切り欠き部15,16の位置を、パネル長手方向(図面左右方向)に沿って移動・変更することができる。これによって、組み立てられる台の高さ、台の天面の広さ(横幅)を変更することが可能となる。
【0049】
図12(a)に示す例では、パネル両端山折り線部13(13a,13b)及びパネル切り欠き部15,16を、図3に示したパネルよりもパネル内側に形成してあり、対向するパネル両端山折り線部13aと13b、パネル切り欠き部15と16の間隔が狭くなるようになっている。このようにすると、パネルが組み立てられた状態で、折り畳み式台1は、上述した図3の場合と比較して、脚部4を長く形成することができ、折り畳み式台1の高さをより高く、天面部3をより狭くすることができる。従って、折り畳み式台1を例えば高椅子などに使用する場合には、このように構成することが好ましい。
一方、図12(b)に示す例では、パネル両端山折り線部13(13a,13b)及びパネル切り欠き部15,16を、図3に示したパネルよりもパネル外側に形成してあり、対向するパネル両端山折り線部13aと13b、パネル切り欠き部15と16の間隔が広くなるようになっている。このようにすると、パネルが組み立てられた状態で、折り畳み式台1は、上述した図3の場合と比較して、脚部4を短く形成することができ、折り畳み式台1の高さをより低く、天面部3をより広くすることができる。従って、折り畳み式台1を例えばテーブルや長椅子,縁台などに使用する場合には、このように構成することが好ましい。
【0050】
図13は、上述した折り畳み式台1の他の変更実施形態を示す、パネルの組立前の状態を示す平面図であり、(a)は図3に示す折り畳み式台と比較して台の天面部を広く形成する場合、(b)は同じく天面部を狭く形成する場合を示している。
同図に示すように、折り畳み式台1を形成するパネルは、台の天面部3(3a,3b)を形成する部分の面積を、パネル縁部をパネル長手方向と平行な方向(図面上下方向)に沿って移動・変更することで拡張又は縮小することができ、これによって折り畳み式台1の天面部の面積を変更することができる。
また、この場合、台の脚部4を形成するパネル両端部は、天面部3を形成するパネル縁部の移動に伴って、パネル外側又は内側に傾斜させるようにすることが好ましい。このようにすると、特に天面部3の面積を拡張させる場合に、脚部4よりも外側に突出する天面部3を、傾斜する脚部4によって支持させることができ、天面部3の強度を保持することができる。
【0051】
図13(a)に示す例では、天面部3を形成するパネルの縁部を、図3に示したパネルよりもパネル外側に移動して、パネルの面積を拡張させている。また、このパネル縁部に連続する脚部4を形成するパネルは、パネル外側に傾斜するように形成される。このようにすると、折り畳み式台1の天面部3を、図3の場合と比較して、より広くすることができ、大きなテーブルや寝台,手術台などに好適に使用することができる。
一方、図13(b)に示す例では、天面部3を形成するパネルの縁部を、図3に示したパネルよりもパネル内側に移動して、パネルの面積を縮小させている。また、このパネル縁部に連続する脚部4を形成するパネルは、パネル内側に傾斜するように形成される。このようにすると、折り畳み式台1の天面部3を、図3の場合と比較して、より狭くすることができ、一人用のテーブルや長椅子などとして好適に使用できるようになる。また、この場合、脚部4の底面幅が天面部3の横幅より大きくなることから台の設置安定性をより向上させることができる効果もある。
【0052】
図14は、上述した折り畳み式台1の更に他の変更実施形態を示す図であり、(a)は図3に示す折り畳み式台に支柱挿入用切り欠き部を形成したパネルの組立前の平面図、(b)は(a)に示すパネルを組み立てて支柱を挿入した状態の斜視図を示している。
同図に示すように、折り畳み式台1を形成するパネルは、梁部2a,2bを形成する部分のいずれか一方に、任意の箇所に切り欠き部(支柱挿入用切り欠き部17)を形成することができる。
このような切り欠き部17を形成することで、パネルが組み立てられた状態において、天面部3a,3bの間に、パネルの折り部の厚み分のスリットができ、このスリットに台上方から板状部材(支柱)を挿入することができる。そして、挿入された板状部材は、図14(b)に示すように、天面部3の下から台底面側に貫通・突出することになる。このとき、梁部2a,2bを形成するパネルのうち切り欠き部17を形成していないパネルに対して、台底面側に突出している板状部材を、例えばボルトや固着具,接着手段等を用いて固定することができる。
【0053】
従って、このような切り欠き部17が形成するスリットに挿入可能な板状部材を支柱として、例えば間仕切り用のパーテーションや日よけ用の傘、宣伝広告用の看板など、支柱に取り付けて支持可能な任意の部材を折り畳み式台1に取り付けることができる。
図14に示す例では、切り欠き部17を、梁部2b側のパネルの台中央位置一箇所に形成してある。そして、切り欠き部17が形成するスリットに挿入可能な板状部材を支柱としてパーテーションを取り付けており、これによって、折り畳み式台1を天面中心から両側に仕切ることができ、例えば複数の使用者によって使用されるテーブルなどにおいて、各使用者同士を仕切ることができるようになる。
また、図示しないが、支柱に日よけ用の傘を取り付けることで、例えば野外で使用されるテーブルなどにおいて、日よけや雨よけとすることができ、バーベキューや海水浴等の野外での使用に好適に用いることができる。
なお、このような支柱挿入用の切り欠き部17は、図14に示した台の中央部一箇所に設ける場合に限定されることはなく、任意の複数箇所に設けることができ、梁部2a,2bを形成する双方のパネルに対して形成することもできる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態に係る折り畳み式台1によれば、矩形状の中空板材からなるパネルに、中央谷折り線部11,長手方向山折り線部12,パネル両端山折り線部13の3種類の折り線部を形成し、この3種の折り線部に沿ってパネルを折り曲げるだけで折り畳み式台1を形成することができる。すなわち、3回の折り曲げ作業・折り曲げ動作によって、一枚のパネル材をテーブルや椅子,机等として使用可能な台として形成することができる。
このため、パネルの折り畳み作業、折り畳み式台の組立作業はきわめて簡単で、経験のない者や不慣れな者等であっても、組立方法を直感的に理解でき、折り畳み式台1の組立作業を容易に行うことが可能となる。
【0055】
また、本実施形態に係る折り畳み式台1は、所定の厚みを有する中空板材からなるパネル(気泡ボード100)を使用して、折り曲げたパネル同士の厚みのある縁部端面を当接させることでパネルの折り曲げ位置を規制・確定できるようにしてある。
これによって、折り畳み式台1の脚部4,5と梁部2を、折り曲げた状態でパネル端面同士を当接させて位置を固定することができる。従って、補助的な部品や器具等を必要とすることなく、パネル自体を折り曲げるだけで、台としての形状を容易かつ確実に形成し、かつ、堅固に維持・固定することができる。
さらに、合成樹脂製の中空板材である気泡ボード100からなるパネルは、軽量かつ柔軟で、非使用時のパネルの保管や運搬等も容易に行えるとともに、耐久性や耐水性,防水性等にも優れ、折り曲げ折り畳みを繰り返してもパネルが劣化したり破損することがなくなる。従って、例えば水に濡れるような場所でも使用にも対応でき、汚れた場合にも水洗い等により洗浄が可能であり、折り畳み式台として繰り返し使用することが可能となる。
【0056】
以上のように、本実施形態に係る折り畳み式台1によれば、きわめて簡単な構造のみによって、組立方法を直感的に理解でき、簡易迅速に組立・分解が可能となり、複雑な構造や補助具等を必要とすることなく十分な強度や剛性が得られる。
また、中空板材からなるパネルは繰り返しの使用にも耐え得る耐久性もあり、耐水性,防水性等にも優れている。
従って、本実施形態に係る折り畳み式台1によれば、簡易折り畳み式の机や椅子,テーブル,棚などに好適に使用することができる台を提供することができる。
【0057】
以上、本発明の折り畳み式台について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明の折り畳み式台は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、本発明に係る折り畳み式台を形成するための中空板材として、コア材として多数のキャップを有するキャップシートを備えた気泡ボードを例にとって説明したが、本発明の折り畳み式台を形成するための中空板材としては、気泡ボードに限られず、その他の中空板材,中空パネル等を使用することができる。例えば、気泡ボードに代えて、コア材がハニカム構造により形成された中空板材、コア材が段ボール状に形成された中空板材(所謂プラ段)などを使用することもできる。
【0058】
また、上述した実施形態では、コア材となるキャップシートを一層のみ備えているが、キャップシートは複数層備えるようにすることもできる。例えば二層のキャップシートを積層してコア材とすることができる。
その場合、各キャップシートは、突起頂面側同士を対向させて配置することが好ましい。このようにすると、二層のキャップシートの突起を、バックシート及びライナーシートによってそれぞれ封止・密封することができ、二層のキャップシートの突起をそれぞれ気泡として機能させることができるようになる。
また、バックシート及びライナーシートからなる外装材についても、それぞれ複数層設けることも可能である。また、外装材を金属板により形成したり、外装材の表面に樹脂層等を積層して外装材をコーティングすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、建物内や屋外等において一枚のパネル材を折り畳むことによってテーブルや椅子,ベンチ,棚等として使用可能な折り畳み式の台として利用可能であり、特に、組み立てや設置が簡単に行え、保管や搬送,撤去等も容易な折り畳み式台として好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 折り畳み式台
2(2a,2b) 梁部
3(3a,3b) 天面部
4(4a,4b) 脚部
5(5a,5b) 脚部
11 中央谷折り線部
12(12a,12b) 長手方向山折り線部
13(13a,13b) パネル両端山折り線部
15(15a,15b) パネル切り欠き部
16(16a,16b) パネル切り欠き部
17 支柱挿入用切り欠き部
100 気泡ボード突起
101 バックシート
102 キャップシート
103 突起
104 ライナーシート
105 封止材
200 折り部
201 切り込み
202 V字加工

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空構造をなすための立体加工が施されたコア材の表裏両面に平板状の外装材を積層した合成樹脂製の中空板材からなる一枚の矩形状のパネルが折り畳まれることで形成される折り畳み式の台であって、
パネル中心でパネルを長手方向に沿って谷折りに折り重ね可能とし、折り重ねられたパネルが台の梁部を形成する中央谷折り線部と、
前記中央谷折り線部の両側において、当該中央谷折り線部と平行してパネルを長手方向に沿って山折りに折り曲げ可能とし、折り曲げられたパネルが台の天面部を形成する一対の長手方向山折り線部と、
パネル両端側において、前記中央谷折り線部と直交してパネルを山折りに折り曲げ可能とし、折り曲げられたパネルが台の脚部を形成する一対のパネル両端山折り線部と、
前記中央谷折り線部で折り重ねられ、前記一対の長手方向山折り線部で折り曲げられたパネルの両端を、前記一対のパネル両端山折り線部において山折り可能とするパネル切り欠き部と、
を備えたことを特徴とする折り畳み式台。
【請求項2】
前記パネル切り欠き部が、前記一対の長手方向山折り線部のパネル内側領域において、前記中央谷折り線部と一対のパネル両端山折り線部との交点を対称点とする対称位置に形成された一対の対称開口からなり、
前記中央谷折り線部で折り重ねられ、前記一対の長手方向山折り線部で折り曲げられたパネルの両端が、前記一対のパネル両端山折り線部において山折りに折り曲げられることにより、前記各対称開口の内縁と折り曲げられたパネル縁部が当接して、当該パネルの折り曲げ位置が確定して前記脚部が形成される請求項1記載の折り畳み式台。
【請求項3】
前記一対の対称開口の各開口部が、3辺が、前記中央谷折り線部、一対の長手方向山折り線部、及び一対のパネル両端山折り線部の各線に接するとともに、前記中央谷折り線部とパネル両端山折り線部との交点で連続する同形同大の正方形状に形成される請求項2記載の折り畳み式台。
【請求項4】
前記中空板材が、中空状に膨出する多数の突起が形成されたキャップシートと、前記突起の開口側に積層されたバックシートと、前記突起の頂面側に積層されたライナーシートとを備え、これらを熱融着により積層一体化した樹脂製の気泡ボートからなる請求項1乃至3のいずれか一項記載の折り畳み式台。
【請求項5】
前記中央谷折り線部、一対の長手方向山折り線部、及び一対のパネル両端山折り線部が、前記気泡ボードのバックシート側又はライナーシート側に切り込みを入れることによってパネルを折り曲げ可能とする折り部からなる請求項4記載の折り畳み式台。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2013−59378(P2013−59378A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198156(P2011−198156)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000199979)川上産業株式会社 (203)