説明

折り畳み式電子機器及び折り畳み式電子機器の筐体突き当て構造

【課題】
部品点数の削減を図ることができる折り畳み式電子機器を提供すること。
【解決手段】
本発明に係る折り畳み式電子機器は、操作部202を有する第1の筐体200と、第1の筐体200に対して折り畳まれるように回動部104、203を介して取り付けられ、表示部101を有する第2の筐体100とを有する折り畳み式電子機器であって、第2の筐体100において、回動部104とは反対側の端部近傍であって、折り畳み状態において第1の筐体200に対向する対向面上に設けられた音声出力部105と、第2の筐体100に他の部材を固定する固定部材22と、固定部材22を覆う衝撃吸収部材103とを有し、衝撃吸収部材103は音声出力部105を囲うように形成された一の部材からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は折り畳み式電子機器の筐体突き当て構造に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やノート型パソコン等の携帯式の電子機器において、携帯性の向上と非使用時の誤操作を防止するため、非使用時に操作キーが内側に位置する折り畳み式が普及している。このような折り畳み式電子機器は、筐体を折り畳んだ際に重なる面の間に空間を設けるための突き当て構造を有していることが多い。従来の筐体突き当て構造について図面を参照して説明する。図4は従来技術に係る折り畳み式電子機器の開状態の斜視図である。図4に示す折り畳み式電子機器は本体表示部1と本体キーボード部5とを有する。本体表示部1は表示部2、筐体3及び螺子隠し4を有する。本体キーボード部5は筐体6、突き当て7及びキー部8を有する。
【0003】
図5は図4に示す折り畳み式電子機器の閉状態の側面図、図6は図5のB−B切断線における断面図である。図5及び図6に示すように、当該折り畳み式電子機器の閉状態においては、突き当て7が螺子隠し4に当接することによって表示部2とキー部8との間に空間9が生じる。当該空間9が存在することにより、外部から表示部2若しくはキー部8へ向けて外力が加わった際、表示部2の破損やキー部8の誤動作を最小限に抑制することができる。
【0004】
また、先行文献1には、前面にダイアルキーを有する携帯電話機において、当該ダイアルキーを覆うためのカバーを有する携帯電話機の例が開示されている。当該カバーはダイアルキーの設けられた筐体に対して、枢軸を始点に回動可能に枢支されている。当該カバーが閉じた状態において携帯電話機のダイアルキーと当該カバーとの間に空間が形成されるように、当該カバーには突起が形成されている。このような構成により、カバーが閉じた状態でカバーに対して外力が加わった場合でも、突起がスペーサとしての役割を果たし、ダイアルキーの誤操作を防止することができる。
【特許文献1】特開2000−101262
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯電話機に代表される折り畳み式電子機器には、原価、日程、組立等の製品立ち上げに必要な要素への影響のため、部品点数の削減が求められている。それに対し、従来の折り畳み電子機器のように突き当て7を本体キーボード部5の筐体6に配置する場合、突き当て7とは別に本体表示部1の表示部2と筐体3とを固定する螺子を隠すための螺子隠し4が必要となり、部品点数が増加してしまう。
【0006】
また、突き当て7を配置するためのスペースを本体キーボード部5の筐体6に確保する必要があり、突き当て7の形状によっては筐体6のデザイン上の拘束条件が増えてしまう。それに伴い、筐体6を形成するための金型構成が複雑になる可能性がある。更に、多種多様な機能を1台の折り畳み式電子機器で実現するために表示部2の大画面化が必要であるため、耳当て部の面積が縮小され耳当りが悪化してしまう。
【0007】
尚、先行文献1では、ダイアルキーを覆うカバーとダイアルキーが設けられた面とのスペースを確保することを意図しており、折り畳み式電子機器を前提とする本発明とは異なる。
【0008】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、部品点数の削減が可能な折り畳み式電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る折り畳み式電子機器は、操作部を有する第1の筐体(例えば、本発明の実施の形態における本体キーボード部200)と、当該第1の筐体に対して折り畳まれるように回動部(例えば、本発明の実施の形態における枢支部104及び枢支部203)を介して取り付けられ、表示部を有する第2の筐体(例えば、本発明の実施の形態における本体表示部100)とを有する折り畳み式電子機器であって、前記第2の筐体において、回動部とは反対側の端部近傍であって、折り畳み状態において前記第1の筐体に対向する対向面上に設けられた音声出力部と、前記第2の筐体に他の部材を固定する固定部材と、前記固定部材を覆う衝撃吸収部材(例えば、本発明の実施の形態における突き当て構造体103)とを有し、前記衝撃吸収部材は前記音声出力部を囲うように形成された一の部材からなる。これにより、部品点数の削減を図り、本発明の折り畳み式電子機器を例えば携帯電話に適用した際に受話部の耳当りを良好にすることができる。
【0010】
ここで、前記衝撃吸収部材は折り畳み状態において前記第1の筐体に当接することが好ましい。これにより、折り畳み状態における第1の筐体と第2の筐体との間のスペースを確保し、表示部の破損や操作部のご操作を低減することができる。
【0011】
また、前記第2の筐体において前記衝撃吸収部材が前記対向面よりも突出していることが好ましい。これにより、表示面の破損をより確実に防止することができる。
【0012】
更に、前記衝撃吸収部材は前記表示部の端部から前記第1の筐体の端部に亘って形成されていることが好ましい。これにより、本発明の折り畳み式電子機器を例えば携帯電話に適用した際に、受話部の耳当りを更に確実に良くすることができる。
【0013】
更にまた、前記衝撃吸収部材は前記音声出力部を露出させるための開口穴を有することが好ましい。これにより、本発明の折り畳み式電子機器を例えば携帯電話に適用した際に、受話部と耳とのフィットを更に向上することができ、例えば通話時の音漏れを防止することができる。
【0014】
より好適には、前記衝撃吸収部材はエラストマーにより形成される。これにより、衝撃吸収部材として有すべき弾性及び剛性を実現することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、部品点数の削減が可能な折り畳み式電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の筐体突き当て構造について図面を参照して説明する。図1は本発明に係る折り畳み式電子機器の開状態の斜視図である。図1に示す通り、本発明に係る折り畳み式電子機器は本体表示部100と本体キーボード部200とを有する。本体表示部100は表示部101、筐体102、突き当て構造体103、枢支部104及び音声出力部105を有する。本体キーボード部200は筐体201、キー部202、枢支部203及び音声入力部204を有する。本体表示部100と本体キーボード部200とは、夫々が有する枢支部104及び203において、図示しない枢軸によってお互いが固定され、当該枢軸を支点に回動可能である。
【0017】
表示部101は視覚的なインターフェースであり、当該折り畳み式電子機器内部の情報を視覚的に表示する。表示部101の表示面には、例えば液晶パネルや有機ELパネル等が用いられる。ここで、表示部101は表示面のみで構成される必要はなく、表示面と筐体とが組み合わされて構成されるものでも良い。表示部101は固定部材22によって筐体102に固定される。固定部材22には例えば螺子が用いられる。表示部101と筐体102との固定方法については後述する。筐体102は本体表示部100を形作るベースであり、当該折り畳み式電子機器に必要な回路基板等が保持される。音声出力部105は、本実施形態が適用される折り畳み式電子機器が例えばノートパソコンであればスピーカ、携帯電話機であれば受話部等の音声を出力する手段である。
【0018】
突き当て構造体103は、表示部101を筐体102に固定する固定部材22を覆うように配置され、表示部101の表示面より突出して形成される。即ち、突き当て構造体103は、固定部材22を隠す役割と、当該折り畳み式電子機器の閉状態における突き当ての役割を果たす。即ち、従来技術における螺子隠しの部品と突き当ての部品との2つの部品の役割を、突き当て構造体103が1つの部品で果たしているため、従来に比べて部品点数を削減することができ、組立工程数の低減及び原価の低減を図ることができる。部品点数削減の目的においては、突き当て構造体103は一部材で形成されることが好ましい。
【0019】
また、上記の螺子止め部分には音声出力部105も設けられている。音声出力部105は本体表示部100の表示部101側の表示面において、枢支部104とは反対側の端部近傍に形成される。突き当て構造体103は当該音声出力部105の周囲を囲うように形成される。更には、突き当て構造体103は筐体102において、枢支部104とは反対側の端部から、表示部101の枢支部104とは反対側の端部に亘る全体に形成されても良い。突き当て構造体103の材質は弾性力があり、剛性も適度に保持し、加飾の自由度もある材料が好ましい。突き当て構造体103の材料としては、例えばエラストマー等が挙げられる。
【0020】
上記のように、突き当て構造体103は音声出力部105を囲うように形成されるため、開口部31を有する。ここで、図1においては、音声出力部105は完全に周囲を囲まれているがこれに限定されない。例えば開口部31が突き当て構造体103の外周と連結し、切り欠きが形成されていても良い。開口部31は音声出力部105から出力される音声を突き当て構造体103が遮ることのないように設けられる。当該折り畳み式電子機器が携帯電話として用いられる場合は、突き当て構造体103の部分に耳を当てることとなる。ユーザが音声出力部105近傍に耳を当てた際、突き当て構造体103は自身の弾性により変形し、耳当たりが良くなるため受話感度の向上や長時間通話による耳部の痛みの低減を図ることができる。
【0021】
筐体201は本体キーボード部200を形作るベースであり、当該折り畳み式電子機器に必要な回路基板、特にキー部202に必要な回路基板が筐体201内部に保持される。キー部202はユーザが折り畳み式電子機器を操作するインターフェースである。キー部202の例としてはボタン、キーボード及びホイール等が挙げられる。音声入力部204は例えばマイク等の折り畳み式電子機器に音声を入力する手段である。
【0022】
従来であれば、筐体201のキー部202が設けられた面上、特に音声入力部204近傍に突き当てが形成されていたが、本実施例においては上記のように突き当て構造体103が本体表示部100側に形成されているため、本体キーボード部200側には突き当てを設ける必要がない。従って、筐体201のデザイン自由度が向上し、商品性の向上を期待することができる。また、従来に比べて筐体201の形状が簡素化されるため、筐体201を形成するための金型構成を簡素化することも出来る。
【0023】
次に図2及び図3を用いて本発明に係る折り畳み式電子機器の閉状態について説明する。図2は本発明に係る折り畳み式電子機器の閉状態における側面図、図3は図2におけるA−A切断線における断面図である。本来であれば、筐体102及び筐体201内部には回路基板等の内部構成が存在するが、説明の明瞭化のため図3においては省略する。図2及び図3に示すように、当該折り畳み式電子機器の閉状態においては、突き当て構造体103が筐体201に当接することによって表示部101とキー部202との間に空間300が生じる。
【0024】
ここで、図2に示されるように、キー部202が筐体201から突出して形成される場合は、キー部202の突出高さは突き当て構造体103の表示面からの高さよりも低く形成される。当該空間300が存在することにより、外部から表示部101若しくはキー部202へ向けて外力が加わった場合でも、表示部101とキー部202若しくは筐体201との接触を避け、表示部101の破損やキー部202の誤動作を最小限に抑制することができる。
【0025】
図3に示されるように、筐体102は固定部材22を受けるための固定受け部21を有する。また、固定部材22は係止部221と軸部222を有する。表示部101と筐体102との固定部分において、表示部101は図3に示されるような窪み及び開口穴を有し、固定部材22の係止部221が当該窪みに収納される。軸部222は表示部101の開口穴を貫通し、固定受け部21に挿入されることによって表示部101と筐体102とが固定される。係止部221の上に突き当て構造体103が設けられることにより、係止部221が隠れる。
【0026】
突き当て構造体103が有する開口部31は、図に示されるように表示部101との接触面においては、少なくとも音声出力部105が露出するだけの大きさであり、突き当て構造体103の表面側では音声出力部105の大きさよりも広がるように形成される。これにより、音声出力部105からの音声の伝達を向上すると共に、本実施例に係る折り畳み式電子機器を携帯電話に適用した場合には、突き当て構造体103と耳とがより好適にフィットするため、外部への音漏れや長時間通話による耳部の痛みを軽減することができる。
【0027】
以上説明したように、本発明に係る折り畳み式電子機器では、部品点数の削減を図ることができ、以って組立工程数の低減、原価の低減を図ることができる。
【0028】
また、本実施例の他の効果として、本実施例に係る折り畳み式電子機器を携帯電話に適用した場合には、受話部周辺を覆う突き当て構造体103が、自身が有する弾性により耳が当たった際に変形し、耳当たりが良くなるため受話感度の向上や長時間通話による耳部の痛みの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係る折り畳み式電子機器の開状態での斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る折り畳み式電子機器の閉状態での側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る折り畳み式電子機器の閉状態での断面図である。
【図4】従来技術に係る折り畳み式電子機器の開状態での斜視図である。
【図5】従来技術に係る折り畳み式電子機器の閉状態での側面図である。
【図6】従来技術に係る折り畳み式電子機器の閉状態での断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 本体表示部、2 表示部、3 筐体、4 螺子隠し、5 本体キーボード部、
6 筐体、7 突き当て、8 キー部、9 空間、21固定受け部、22固定部材、
31 開口部、100 本体表示部、101 表示部、102 筐体、
103 突き当て構造体、104 枢支部、105 音声出力部、
200 本体キーボード部、201 筐体、202 キー部、203 枢支部、
204 音声入力部、221 係支部、222 軸部、300 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部を有する第1の筐体と、当該第1の筐体に対して折り畳まれるように回動部を介して取り付けられ、表示部を有する第2の筐体とを有する折り畳み式電子機器であって、
前記第2の筐体において、回動部とは反対側の端部近傍であって、折り畳み状態において前記第1の筐体に対向する対向面上に設けられた音声出力部と、
前記第2の筐体に他の部材を固定する固定部材と、
前記固定部材を覆う衝撃吸収部材とを有し、
前記衝撃吸収部材は前記音声出力部を囲うように形成された一の部材からなる折り畳み式電子機器。
【請求項2】
前記衝撃吸収部材は折り畳み状態において前記第1の筐体に当接することを特徴とする請求項1に記載の折り畳み式電子機器。
【請求項3】
前記第2の筐体において前記衝撃吸収部材が前記対向面よりも突出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の折り畳み式電子機器。
【請求項4】
前記衝撃吸収部材は前記表示部の端部から前記第1の筐体の端部に亘って形成されていることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の折り畳み式電子機器。
【請求項5】
前記衝撃吸収部材は前記音声出力部を露出させるための開口穴を有することを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の折り畳み式電子機器。
【請求項6】
前記衝撃吸収部材がエラストマーにより形成されたことを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の折り畳み式電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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