説明

折り畳み式電子機器

【課題】パネル体を着脱可能とした折り畳み式電子機器を提供する。
【解決手段】第1筐体10と、第2筐体20と、両筐体を開閉可能に連繋するヒンジ機構30と、両筐体の開状態にて第1筐体と第2筐体を相対的にスライド可能に連結するスライド機構40と、両筐体が閉状態で対向する面の少なくとも一方に装着されるパネル体60と、を具え、第1筐体及び/又は第2筐体には、パネル体を装着する取付スペース50が凹設されており、取付スペースは、両筐体の開状態にて他方の筐体との対向側が開放しており、パネル体及び取付スペースには、一方にパネル体を取付スペースに装着した時に係合する係止部65、67が形成され、他方に係止部が嵌合する被係止部55、57が形成されており、被係止部に併設して、係止部が通過し、係止部と被係止部との嵌合を解除する通過部52を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の筐体をヒンジ機構により互いに開閉可能に連結してなる折り畳み式電子機器に関し、より具体的には筐体に表示パネル等のパネル体を具える折り畳み式電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
折り畳み式電子機器として、互いに平行な2つのヒンジ軸を有する平行2軸ヒンジにより、一対の筐体を連結した電子機器が提案されている(例えば特許文献1)。
特許文献1によれば、各筺体をヒンジ軸を中心として回転させることで、筺体どうしを相対的に開閉可能としている。
【0003】
筐体には、閉状態で対向する面に、表示パネルスクリーンやタッチパネル、取付用フレーム等を一体化してなるパネル体が装着される。例えば、両筐体に夫々パネル体を装着することで、筐体どうしを相対的に開いた開状態としたときに、両パネル体を略同一平面として使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−249209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パネル体を筐体に取り付ける方法として、フレームの左右から外向きに爪片を突設し、筐体に爪片の嵌まる溝を設け、パネル体を筐体に押し込むことで、爪片と溝を嵌合させ、離脱不能とする構成がある。
【0006】
しかし、このような構造では、一旦パネル体を筐体に取り付けてしまうと、修理等で筐体からパネル体を取り外す際に、パネル体を破壊する必要がある。この場合、破壊されたパネル体は再利用できない。
【0007】
本発明の目的は、パネル体を着脱可能とした折り畳み式電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る折り畳み式電子機器においては、
第1筐体と、
第2筐体と、
前記第1筐体と第2筐体とを開閉可能に連繋するヒンジ機構と、
両筐体の開状態にて前記第1筐体と第2筐体を相対的にスライド可能に連結するスライド機構と、
前記第1筐体と第2筐体が閉状態で対向する面の少なくとも一方に装着されるパネル体と、
を具える折り畳み式電子機器において、
前記第1筐体及び/又は第2筐体には、前記パネル体を装着する取付スペースが凹設されており、該取付スペースは、前記第1筐体と第2筐体の開状態にて他方の筐体との対向側が開放しており、
前記パネル体及び前記取付スペースには、一方に前記パネル体を前記取付スペースに装着した時に係合する係止部が形成され、他方に該係止部が嵌合する被係止部が形成されており、
該被係止部に併設して、前記係止部が通過し、該係止部と前記被係止部との嵌合を解除する通過部を有している。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る折り畳み式電子機器によれば、パネル体を筐体に装着するには、両筐体の開状態にて、筐体の取付スペースに向けてパネル体を押し込み、パネル体の係止部を取付スペースの対応する位置に形成される被係止部と嵌合させればよい。
【0010】
パネル体を筐体から取り外すには、両筐体の開状態にて、パネル体を他方の筐体に向けてスライドさせ、係止部を被係止部の近傍にある通過部と対向する位置にまでずらすことで、係止部が通過部を通過し、係止部と被係止部の嵌合が解除されて、パネル体を筐体から取り外すことができる。
従って、パネル体を破壊することなく取り外すことができ、取外し後もパネル体を再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一実施形態の折り畳み式電子機器の閉状態を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態の折り畳み式電子機器の開状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、図2の折り畳み式電子機器の引離し状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、図3の引離し状態にて第2筐体のパネル体を第1筐体側にずらした状態を示す斜視図である。
【図5】図5は、開状態の折り畳み式電子機器を裏返し、第2筐体を分解した状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、第2筐体からバックキャビネットを取り外した状態を示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態のヒンジ機構の斜視図である。
【図8】図8(a)は、スライド部材に対する第2筐体の取り付け状態を説明し、図8(b)は、スライド部材に対する第2筐体の付勢状態を説明する図である。
【図9】図9は、図4のずらし状態からパネル体を取り外し、分解した状態を示す斜視図である。
【図10】図10は、開状態の折り畳み式電子機器の第2筐体にパネル体を装着する工程を示す斜視図である。
【図11】図11は、係止部の被係止部への嵌合前の状態を示す図である。
【図12】図12は、係止部の被係止部への嵌合中の状態を示す図である。
【図13】図13は、係止部と被係止部が嵌合している状態を示す図である。
【図14】図14は、係止部を被係止部から通過部までずらしたずらし状態を示す図である。
【図15】図15は、係止部を通過部に沿って持ち上げた状態を示す図である。
【図16】図16は、図3の引離し状態における第2筐体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明の一実施形態である折り畳み式電子機器(1)は、図1及び図2に示す如く、第1筐体(10)と第2筐体(20)とを相対的に揺動可能に連結して構成され、図1に示す閉状態と図2に示す開状態との間で開閉が可能であり、且つ、図3に示すように開状態にて第1筐体(10)と第2筐体(20)とを相対的にスライドさせる引離し状態を採ることができる。
【0013】
以下の記載では、「開状態」とは、両筐体(10)(20)を相対的に開いて、両筐体(10)(20)に装着されるパネル体(60)(60)を同一方向へ向けて略同一平面上で並べた状態(図2参照)、「閉状態」とは、両筐体(10)(20)を互いにパネル体が接近する方向に閉じて、パネル体どうしを対向させた状態を意味する(図1参照)。
また、「引離し状態」とは、「開状態」から両筐体(10)(20)を相対的にスライドして引き離した状態(図3参照)、「ずらし状態」とは、「引離し状態」にて一方の筐体のパネル体を他方の筐体に向けてずらした状態を意味する(図4参照)。
【0014】
開状態でパネル体(60)(60)が視聴者側に向く方向を「前」、逆向きを「背面」とする。上下方向は、特に断らない限り、開状態で第2筐体(20)の側縁から第2筐体(20)の反対側に位置する第1筐体(10)の側縁に向かう方向を指すものとする。左右方向は、各筐体(10)(20)の長手方向と一致する。
【0015】
又、図5及び図6に示す如く、第1筐体(10)は、フロントキャビネット(11)とバックキャビネット(12)とを互いに接合して構成され、第2筐体(20)は、フロントキャビネット(21)とバックキャビネット(22)(図6には示さず)とを互いに接合して構成されている。
【0016】
図1及び図2に示す如く、第1筐体(10)と第2筐体(20)は、ヒンジ機構(30)により連結される。ヒンジ機構(30)は、筐体(10)(20)どうしが連結する端部側の左右に夫々配備された平行2軸ヒンジ(34)(35)により構成することができる。
【0017】
本実施形態では、図7に詳細に示すように、平行2軸ヒンジ(34)と平行2軸ヒンジ(35)を、連結杆(36)によって連結して構成し、両平行2軸ヒンジ(34)(35)の相対的な角度がずれないようにしている。平行2軸ヒンジ(34)(35)と連結杆(36)は、溶接、ネジ止め、接着等の要領で連結することができ、平行2軸ヒンジ(34)(35)と連結杆(36)を一体に形成することもできる。
【0018】
なお、平行2軸ヒンジ(34)(35)及び連結杆(36)に強度を具備するために、平行2軸ヒンジ(34)(35)及び連結杆(36)は金属製とすることができる。
【0019】
平行2軸ヒンジ(34)(35)は、図7に示すように、夫々内向きに第1ヒンジ軸(31)及び第2ヒンジ軸(32)が平行2軸ヒンジ(34)(35)に対して回動可能に突設されており、第1ヒンジ軸(31)は第1筐体(10)に、第2ヒンジ軸(32)は第2筐体(20)に夫々固定されている。なお、平行2軸ヒンジ(34)(35)にヒンジ軸(31)(32)を固定して、ヒンジ軸(31)(32)を筐体(10)(20)に対して回動可能となるように配備することもできる。
【0020】
第1ヒンジ軸(31)どうし、第2ヒンジ軸(32)どうしを夫々結ぶ軸線A1、A2は互いに平行である。
【0021】
第1ヒンジ軸(31)と第2ヒンジ軸(32)は、カム等(図示せず)により連繋し、筺体(10)(20)の相対的な回転角度に拘わらず、連結杆(36)が両筺体(10)(20)の開き角度に対して中間の角度を維持できるようにしてもよい。
【0022】
両筐体(10)(20)は夫々、図7に示す第1ヒンジ軸(31)(軸線A1)及び第2ヒンジ軸(32)(軸線A2)周りに回転する。第1ヒンジ軸(31)(軸線A1)と第2ヒンジ軸(32)(軸線A2)は、回転時に筐体(10)(20)の厚さによって側縁どうしが接触しないように互いに離間している。
【0023】
このため、筺体(10)(20)を開状態としたときに、筐体(10)(20)どうしが離間してしまう。そこで、筺体(10)(20)どうしを接近させるために、図5及び図6に示す如く、一方のヒンジ軸(図示及び以下では第2筺体(20)に連結される第2ヒンジ軸(32))に対して、筺体(図示及び以下では第2筺体(20))は、スライド機構(40)を介してスライド可能に接続されている。
【0024】
図8に示すように、スライド機構(40)は、一端が第2ヒンジ軸(32)に嵌装され、長手方向に伸び、他端近傍に第2ヒンジ軸(32)と平行な軸部材(42)を突設してなる左右一対のスライド部材(41)を含む。
スライド部材(41)は、図5及び図6に示すように、第2筺体(20)の両側に形成された溝(23)にスライド可能に嵌まっており、第2筺体(20)に対して前記第2ヒンジ軸(32)方向に往復移動可能となっている。
また、前記軸部材(42)は、溝(23)の側面に形成された長孔状の軸受け(29)に係合し、スライド部材(41)は、第2筐体(20)に対して軸部材(42)回りの回転を許容されている。
【0025】
図5及び図6の如く、スライド部材(41)(41)間は帯板部材(45)により連結されており、該帯板部材(45)には、スライド部材(41)(41)の突出方向へ左右一対の舌片(46)(46)が突設されている。両舌片(46)(46)と第2筐体(20)のフロントキャビネット(21)との間には、それぞれトーションバネからなる左右一対の第1スプリング(43)((43a)(43b))が介在している。
なお、図5及び図6では、第1スプリング(43)の自由状態(43a)と、第1スプリング(43)が帯板部材(45)の舌片(46)と第2筐体(20)のフロントキャビネット(21)との間に圧縮されて介在している圧縮状態(43b)とを、それぞれ実線で描いている。
【0026】
また、図5、図6及び図8の如く第2筐体(20)のフロントキャビネット(21)には、左右一対のコイルバネからなる第2スプリング(44)(44)が設置され、各第2スプリング(44)の一方の端部が第2筐体(20)のフロントキャビネット(21)に連結されると共に、各第2スプリング(44)の他方の端部が各スライド部材(41)に連結されている。
【0027】
この結果、図8(a)、図8(b)に模式的に示すように、第1スプリング(43)と第2スプリング(44)が第2筐体(20)をスライド部材(41)に対して付勢し、第1スプリング(43)によって、軸A3回りに第2筐体(20)の開き方向と同じ回転方向(時計方向)に回転させる付勢力Tが得られると共に、第2スプリング(44)によって第2筐体(20)をヒンジ軸(32)(軸線A2)に接近させる方向の付勢力Fが得られる。
【0028】
従って、図8(a)に示す開状態から、第2筐体(20)を軸A3回りに閉じ方向に回転させると、図8(b)の如くスライド部材(41)に対して第2筐体(20)をヒンジ軸(32)(軸線A2)から離間すると共に、第1スプリング(43)と第2スプリング(44)が弾性変形し、第1スプリング(43)の付勢力Tと第2スプリング(44)の付勢力Fによって、第2筐体(20)は、第1筐体(10)側に移動する。
【0029】
上記折り畳み式電子機器(1)においては、図1に示すような閉状態においては、第2筐体(20)の内面を第1筐体(10)の内面と僅かな隙間をおいて対向させると共に、第2筐体(20)をヒンジ機構(30)に対して最接近させた閉状態が設定される一方、図2に示すような開状態では、第1筐体(10)の内面と第2筐体(20)の内面を同一平面上に揃えると共に、第2筐体(20)をヒンジ機構(30)に対して最接近させた開状態が設定される。
【0030】
従って、図1に示す閉状態では、第2筐体(20)を第1筐体(10)上に正確に重ね合わせることができ、図2に示す開状態では、第1筐体(10)と第2筐体(20)とを僅かな間隔Gをおいて接近させて、両筐体(10)(20)の閉状態で対向する面どうしを略同一平面とすることができる。
【0031】
なお、図2に示す開状態で第1筐体(10)と第2筐体(20)とが接近している状態から、矢印Bの力を加えて両筐体(10)(20)を相対的にスライドして引き離すことで、図3に示した引離し状態に至らせることができる。
【0032】
次に、本実施形態の折り畳み式電子機器(1)に装着されるパネル体(60)について説明する。
【0033】
パネル体(60)は、図9に示す如く、スクリーン(61)と、スクリーン(61)の背面側に接着されるタッチパネル(62)と、スクリーン(61)及びタッチパネル(62)を搭載するフレーム(63)とを接着等により一体化して構成することができる。
【0034】
以下、第2筐体(20)に取り付けられるパネル体(60)及びその取付構造について説明するが、第1筐体(10)も同様とすることができる。
又、第1筐体(10)又は第2筐体(20)の一方に本構造を採用することもできる。
勿論、パネル体(60)は、スクリーン(61)を具えていないタッチパネルや、タッチパネル(62)を具えていない表示パネル等とすることもできる。
【0035】
第2筐体(20)に取り付けられるべきフレーム(63)は、図9に示すように、上下方向に延びる左右の縁(66)(66)に夫々1又は複数の第1係止片(65)を有し、両筺体(10)(20)の開状態にて第1筐体(10)と対向する側とは反対側にて左右方向に延びる縁(68)に1又は複数の第2係止片(67)を有する。
係止片(65)(67)は、図示の如く外向きに突設された爪片(65a)(67a)とすることができ、パネル体(60)を第2筐体(20)に取り付ける係止部として機能する。
【0036】
パネル体(60)は、第2筐体(20)に設けられた取付スペース(50)に取り付けられる。
第2筐体(20)は、図9及び図10に示す如く、閉状態で第1筐体(10)に対向する面に、パネル体(60)が装着される取付スペース(50)が凹設されている。取付スペース(50)は、開状態にて第1筐体(10)と対向する側が開放されている。その反対側にて左右方向に延びる端面(54)には、フレーム(63)の第2係止片(67)(67)と嵌合可能な第2係止溝(57)(57)が凹設されている。
【0037】
取付スペース(50)の上下方向に延びる左右の端面(53)(53)には、図9に示すように、第1係止片(65)の嵌合可能な第1係止溝(55)が、開状態にて第1筐体(10)と対向する開放端から端面(54)の近傍まで上下方向に延びるように凹設されている。
なお、第1係止溝(55)は、図11に示すように、第1係止片(65)の爪片(65a)の突出量Lよりも深く形成される。
【0038】
これら係止溝(55)(57)は、パネル体(60)の係止部である係止片(65)(67)が嵌る被係止部として機能し、係止溝(55)(57)に係止片(65)(67)を嵌合させることで、係止片(65)(67)を前方に脱離不能とすることができる。
【0039】
第1係止溝(55)(55)は、図13及び図14に示すように、第1係止片(65)が嵌合する位置(図13)から、前記嵌合を解除できる位置(図14)まで移動可能となっている。又、第1筐体(10)の側に、第1係止片(65)の幅Wよりも長くなるよう前方に向けて開口する通過部(52)が形成されている。
該通過部(52)は、取付スペース(50)の端面(53)(53)の一部を切り欠いて形成されている。
【0040】
該通過部(52)は、係止片(65)の爪片(65a)を通過させることができる深さdを有している。即ち、深さdは爪片(65a)の突出量Lよりも長く形成される。また、通過部(52)は、第1係止溝(55)に到達している。
【0041】
パネル体(60)を取付スペース(50)に取り付けるには、図10及び図11に示す如く、両筺体(10)(20)の開状態において第2筐体(20)の前側から、矢印Aの力を加えてパネル体(60)を取付スペース(50)に対して押し込む。
【0042】
これにより、図12に示すように、第1係止片(65)が、矢印Aの方向に第1係止溝(55)の縁に対して押し込まれて内向きに撓むように変形する。この状態から更にパネル体(60)を矢印Aの方向に押し込むと、図13に示すように、第1係止片(65)の変形が解除されて第1係止片(65)の爪片(65a)が第1係止溝(55)に嵌まる。第2係止片(67)と第2係止溝(57)についても同様である。
上記により、パネル体(60)は図2に示すように第2筐体(20)に係合して、外れてしまうことはない。
【0043】
なお、パネル体(60)が第2筐体(20)に対してスライドしてしまうことを防止するために、係止片(65)(67)と係止溝(55)(57)とのクリアランスを小さくしたり、別途、ネジやシール等で係止することが望ましい。
【0044】
開状態での使用において、スライド部材(41)によって第1筐体(10)と第2筐体(20)とが僅かな間隔Gをおいて接近するので、両スクリーン(61)(61)に跨って1つの大きな画像を表示したときの画像の連続性を良好なものとすることができる。
【0045】
パネル体(60)を取り外すときは、先ず、図2に示す両筺体(10)(20)の開状態とする。
【0046】
前述のように、本実施形態の折り畳み式電子機器は、図8(a)に示す第2スプリング(44)の収縮によって、図2に示す開状態では、両筐体(10)(20)を互いに最接近させることができる構造となっている。
このため、図2に示す開状態から矢印Bの力を加えて、第2スプリング(44)を伸長させることにより、図3に示す如く、第2筐体(20)をスライド部材(41)を介して第1筐体(10)から離れる方向にスライドさせながら、間隔G’をおいた引離し状態とすることができる。
【0047】
治具等を用いて、この引離し状態を保ちながら、パネル体(60)に第1筐体(10)へ向かう矢印Cの力を加える。これにより、図4に示す如く、パネル体(60)は、第2筐体(20)の取付スペース(50)内で、第1筐体(10)へ向けてずらすことができる。
【0048】
より詳細には、図3に示す引離し状態で矢印Cの力を加えると、パネル体(60)は、図13と図14、図16に示す如く幅Wを有する第1係止片(65)が第1係止溝(55)(55)に嵌合したまま第1係止溝(55)に沿ってずれ、Sだけスライドする。
このずれSは、第1係止片(65)の幅W及び第2係止片(67)の爪片(67a)の奥行Lよりも大きく、且つ筐体(10)(20)間の間隔G’よりも小さくなるように設定することができる。
パネル体(60)をずれSだけずらすことで、第2係止片(67)は第2係止溝(57)から外れる。
【0049】
第1係止片(65)と第1係止溝(55)については、図3に示す引離し状態で、図13に示すように第1係止片(65)が第1係止溝(55)に嵌合した状態から、パネル体(60)を矢印Cの力によって、ずれSだけ第1筐体(10)へ向けてずらすことで、第1係止片(65)が、図14に示すように、幅Wよりも長く開口する通過部(52)と対向することとなる。
【0050】
第1係止片(65)が通過部(52)と対向する位置にまでずれたずらし状態において、図15に示すように前方側(矢印D)の方向にパネル体(60)を引き上げることで、第1係止片(65)は通過部(52)を通過する。
これにより、パネル体(60)の取付スペース(50)への係合が全て解かれて、パネル体(60)を取り外すことができる。
【0051】
上記によれば、修理等で筐体(10)(20)からパネル体(60)を取り外す際、パネル体(60)を破壊することなく取り外すことができる。
【0052】
なお、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、第1筐体(10)と第2筐体(20)とを入れ替えた構成、即ち第1筐体(10)にスライド部材(41)を連結した構成に本発明を実施することも可能である。
また、パネル体(60)に係止溝(55)(57)及び通過部(52)を形成し、各筐体(10)(20)に係止片(65)(67)を具えるような構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、パネル体を着脱可能とした折畳み式電子機器として有用である。
【符号の説明】
【0054】
(1) 折り畳み式電子機器
(10) 第1筐体
(20) 第2筐体
(30) ヒンジ機構
(41) スライド部材
(50) 取付スペース
(52) 通過部
(55) 第1係止溝
(57) 第2係止溝
(60) パネル体
(61) スクリーン
(62) タッチパネル
(63) フレーム
(65) 第1係止片
(67) 第2係止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と、
第2筐体と、
前記第1筐体と第2筐体とを開閉可能に連繋するヒンジ機構と、
両筐体の開状態にて前記第1筐体と第2筐体を相対的にスライド可能に連結するスライド機構と、
前記第1筐体と第2筐体が閉状態で対向する面の少なくとも一方に装着されるパネル体と、
を具える折り畳み式電子機器において、
前記第1筐体及び/又は第2筐体には、前記パネル体を装着する取付スペースが凹設されており、該取付スペースは、前記第1筐体と第2筐体の開状態にて他方の筐体との対向側が開放しており、
前記パネル体及び前記取付スペースには、一方に前記パネル体を前記取付スペースに装着した時に係合する係止部が形成され、他方に該係止部が嵌合する被係止部が形成されており、
該被係止部に併設して、前記係止部が通過し、該係止部と前記被係止部との嵌合を解除する通過部を有していることを特徴とする折り畳み式電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−105830(P2013−105830A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247431(P2011−247431)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】