説明

折り返しモノポールアンテナ

【課題】簡単な構造でデュアルバンド化に対応できる折り返しモノポールアンテナを提供する。
【解決手段】折り返しモノポールアンテナ100は、アンテナ素子10、アンテナ素子20、入出力端子101、接地端子102を備え、アンテナ素子10は、入出力端子101からX軸方向に延び、さらにY軸方向に延びて折り返し部13に接続される入出力側エレメント11と、折り返し部13から入出力側エレメント11と平行に延びて接地端子102に接続される接地側エレメント12とを有し、アンテナ素子20は、入出力端子101からY軸方向に延び、さらにX軸方向に延びて折り返し部23に接続される入出力側エレメント21と、折り返し部23から入出力側エレメント21と平行に延びて接地端子102に接続される接地側エレメント22とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、携帯電話や、無線通信が可能な電子機器等に内蔵される、デュアルバンド対応の折り返しモノポールアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器等に搭載されるアンテナとしては、これまで広く採用されてきたホイップ型アンテナに代わり内蔵型アンテナが主流となっている。内蔵型アンテナを採用すれば、筐体内にアンテナ素子が内蔵されるため、ホイップ型アンテナより使用時および収納時の取り扱いが容易となり、筐体デザインの自由度が増す等の利点が得られる。
【0003】
しかしながら、内蔵型アンテナを搭載した電子機器は、筐体の小型化により、アンテナ素子と、基板に実装された周辺回路等の金属部分とが近接して配置されるためにアンテナの入力インピーダンスが低下し、送受信回路との間でインピーダンス不整合が生じて性能の低下を招く場合があった。
【0004】
そこで、内蔵型アンテナの入力インピーダンスの低下を防止するための手段として、折り返しモノポールアンテナが用いられている。折り返しモノポールアンテナは、例えば、送受信する電波の1/2波長の導体を折り曲げて、2つの1/4波長モノポールアンテナ素子を互いに平行に設けたものである。
【0005】
この折り返しモノポールアンテナは、折り返さない通常のモノポールアンテナと比較すると、アンテナの入力インピーダンスが4倍になることから送受信回路との間でインピーダンス整合が容易になり、また近接部品の影響を受け難いという特徴を有する。
【0006】
ところで、無線通信によって提供されるサービスの多様化に伴い、複数の周波数帯域の信号を扱えるアンテナが要求されている。例えば、無線LANの通信規格IEEE802.11では、2.4GHz帯および5GHz帯の2つの周波数帯域が規定されており、これらの周波数帯域に対応可能な構成(デュアルバンド化)の要求がある。
【0007】
従来、デュアルバンド化に対応し、折り返しモノポールアンテナ素子を有するアンテナとしては、特許文献1に開示されたものが知られている。
【0008】
特許文献1に開示されたアンテナは、折り返しモノポールアンテナ素子からなる第1アンテナ素子と、折り返さない通常のモノポールアンテナ素子からなる第2アンテナ素子とを備えている。
【0009】
第1アンテナ素子は、給電点を始端とし、折り返し点において折り返され、接地点において接地されている。第1アンテナ素子の給電点から折り返し点までの1箇所と、折り返し点から接地点までの1箇所との間には、両者間を電気的に短絡する短絡箇所が設けてある。
【0010】
第2アンテナ素子は、給電点(第1アンテナ素子と共有)と短絡箇所との間に位置する分岐点において、第1アンテナ素子から分岐し、先端が解放されている。
【0011】
前述の構成において、第1アンテナ素子については、給電点から折り返し点を経て接地点までの長さが、第1アンテナ素子の共振周波数の1/2波長とされている。
【0012】
また、第2アンテナ素子については、給電点から分岐点を経て先端までの長さが、第2アンテナ素子の共振周波数の1/4波長とされ、給電点から分岐点および短絡箇所を経て接地点までの長さが、第2アンテナ素子の共振周波数の1/2波長とされている。
【0013】
以上の構成により、特許文献1に開示されたアンテナは、デュアルバンド化に対応することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許3775795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献1に開示されたアンテナは、分岐点および短絡箇所を有し、これらの点を基準として第1アンテナ素子および第2アンテナ素子の共振周波数を設定する構成となっているので、構造が複雑になるという課題があった。
【0016】
したがって、本発明の目的は、簡単な構造でデュアルバンド化に対応できる折り返しモノポールアンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の折り返しモノポールアンテナは、高周波信号を入出力する入出力端子と、接地される接地端子と、前記入出力端子から前記接地端子までを第1および第2の折り返し部をそれぞれ介して接続する第1および第2のアンテナ素子とを備え、前記第1のアンテナ素子は、前記入出力端子から第1の方向および前記第1の方向に同一平面上で直交する第2の方向に順次延びて前記第1の折り返し部に接続される板状の第1の入出力側エレメントと、前記第1の折り返し部から前記第1の入出力側エレメントと平行に延びて前記接地端子に接続される板状の第1の接地側エレメントとを有し、前記第2のアンテナ素子は、前記入出力端子から前記第2の方向および前記第1の方向に順次延びて前記第2の折り返し部に接続される板状の第2の入出力側エレメントと、前記第2の折り返し部から前記第2の入出力側エレメントと平行に延びて前記接地端子に接続される板状の第2の接地側エレメントとを有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、簡単な構造でデュアルバンド化に対応できるという効果を有する折り返しモノポールアンテナを提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る折り返しモノポールアンテナの第1実施形態における斜視図である。
【図2】本発明に係る折り返しモノポールアンテナの第1実施形態における斜視図である。
【図3】本発明に係る折り返しモノポールアンテナの第1実施形態において、特性を確認するために作製した試作品の寸法である。
【図4】本発明に係る折り返しモノポールアンテナの第1実施形態において、特性を確認するために作製した試作品のVSWR特性を示す図である。
【図5】本発明に係る折り返しモノポールアンテナの第1実施形態の変形例を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る折り返しモノポールアンテナの第2実施形態における斜視図である。
【図7】本発明に係る折り返しモノポールアンテナの第2実施形態における側面図および正面図である。
【図8】本発明に係る折り返しモノポールアンテナの第2実施形態におけるハウジングの斜視図である。
【図9】本発明に係る折り返しモノポールアンテナの第3実施形態における斜視図である。
【図10】本発明に係る折り返しモノポールアンテナの第4実施形態における平面図、断面図および底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
図1および図2に示すように、本実施形態における折り返しモノポールアンテナ100は、アンテナ素子10、アンテナ素子20、入出力端子101、接地端子102を備え、外形形状がほぼ直方体の形状である。アンテナ素子10およびアンテナ素子20は、それぞれ、本発明に係る第1および第2のアンテナ素子を構成する。なお、図1および図2において、3次元座標軸(X軸、Y軸、Z軸)を図中に示している。
【0021】
アンテナ素子10は、入出力側エレメント11と、接地側エレメント12と、折り返し部13とを有する。入出力側エレメント11は、折り返し部13に接続される辺11aと、入出力端子101に接続される辺11bとを有する。同様に、接地側エレメント12は、折り返し部13に接続される辺12aと、接地端子102に接続される辺12bとを有する。なお、折り返し部13は、本発明に係る第1の折り返し部を構成する。
【0022】
入出力側エレメント11は、入出力端子101からX軸方向に延び、さらにY軸方向に延びて折り返し部13に接続される略L字形状の平面導体で構成されている。この入出力側エレメント11は、本発明に係る第1の入出力側エレメントを構成する。
【0023】
接地側エレメント12は、折り返し部13から入出力側エレメント11と平行に延びて接地端子102に接続される略L字形状の平面導体で構成されている。この接地側エレメント12は、本発明に係る第1の接地側エレメントを構成する。
【0024】
アンテナ素子20は、入出力側エレメント21と、接地側エレメント22と、折り返し部23とを有する。入出力側エレメント21は、折り返し部23に接続される辺21aと、この辺21aに直交する辺21bとを有する。同様に、接地側エレメント22は、折り返し部23に接続される辺22aと、この辺22aに直交する辺22bとを有する。なお、折り返し部23は、本発明に係る第2の折り返し部を構成する。
【0025】
アンテナ素子10において、入出力端子101から接地端子102までの長さが、例えば周波数2.4GHzのほぼ1/2波長であり、入出力端子101または接地端子102から折り返し部13までの長さが周波数のほぼ1/4波長である。
【0026】
入出力側エレメント21は、入出力端子101からY軸方向に延び、さらにX軸方向に延びて折り返し部23に接続される略L字形状の平面導体で構成されている。この入出力側エレメント21は、本発明に係る第2の入出力側エレメントを構成する。
【0027】
接地側エレメント22は、折り返し部23から入出力側エレメント21と平行に延びて接地端子102に接続される略L字形状の平面導体で構成されている。この接地側エレメント22は、本発明に係る第2の接地側エレメントを構成する。
【0028】
アンテナ素子20において、入出力端子101から接地端子102までの長さが、例えば周波数5GHzのほぼ1/2波長であり、入出力端子101または接地端子102から折り返し部23までの長さが周波数のほぼ1/4波長である。
【0029】
入出力端子101は、プリント基板(図示せず)に設けられた入出力信号パタンに半田付けされる半田付け部101aを有する。この入出力信号パタンは、図示しない送受信回路に接続されている。同様に、接地端子102は、プリント基板のグランドパタンに半田付けされる半田付け部102aを有する。
【0030】
入出力側エレメント11には、支持端子103が一体に形成されている。この支持端子103は、入出力端子101および接地端子102とともに、折り返しモノポールアンテナ100をプリント基板上に支持するようになっている。支持端子103には、プリント基板上の部品のいずれとも接続されない非接続パタンに半田付けされる半田付け部103aが形成されている。
【0031】
図1および図2に示したように、折り返しモノポールアンテナ100は、アンテナ素子10および20が、展開された状態において、折り返し部13および23を挟んでほぼ対称な単純形状である。したがって、折り返しモノポールアンテナ100は、一枚の金属板(例えば隣青銅板)をプレス加工により打ち抜いて、折り曲げることにより、容易に形成することができる。
【0032】
次に、本実施形態における折り返しモノポールアンテナ100の主要寸法について具体例を図3に示す。図3に示した寸法(単位:ミリメートル)は、折り返しモノポールアンテナ100の特性を確認するために作製した試作品の寸法である。この試作品は、無線LANの通信規格IEEE802.11bで定められている2.4GHz帯と、IEEE802.11aで定められている5GHz帯のそれぞれに共振周波数を有するようデュアルバンド化を図ったものである。ここで、2.4GHz帯は2.4GHzから2.48GHzまでの周波数帯域、5GHz帯は5.15GHzから5.35GHzまでの周波数帯域である。
【0033】
以下、図1〜図3を参照しながら説明する。アンテナ素子10および20は、それぞれ、2.4GHz帯および5GHz帯の使用周波数帯域の波長に基づいて決定されている。具体的には、アンテナ素子10の長さ(入出力端子101から接地端子102までの長さ)が周波数2.4GHzの波長の1/2程度となるよう、入出力側エレメント11、接地側エレメント12および折り返し部13の各寸法が決められている。
【0034】
一方、アンテナ素子20の長さが周波数5GHzの波長の1/2程度となるよう、入出力側エレメント21、接地側エレメント22および折り返し部23の各寸法が決められている。
【0035】
アンテナ素子10の共振周波数を所望値に設定する場合は、折り返し部13の形状を変更することによって可能である。折り返し部13は、端面13aおよび13bを有しており、端面13aまたは13bの位置を変更すればアンテナ素子10の長さが変化し、それに応じた共振周波数が得られる。例えば、端面13aの位置を入出力端子101側に近づけた場合は、アンテナ素子10の長さが短くなって共振周波数が高くなる。端面13bの位置を入出力端子101側に近づけても同様になるが、端面13aの位置を変更した場合の方が変化が大きい。
【0036】
同様に、アンテナ素子20の共振周波数を所望値に設定する場合は、折り返し部23の端面23aまたは23bの位置を変更すればよい。
【0037】
前述のように、アンテナ素子10および20は、その共振周波数を容易に設計変更することができるので、所望の2つの周波数に容易に共振させることができる。
【0038】
次に、本実施形態における折り返しモノポールアンテナ100の試作品の特性について測定結果を説明する。
【0039】
図4は、図3に示した寸法における折り返しモノポールアンテナ100のVSWR(Voltage Standing Wave Ratio:電圧定在波比)特性の測定結果を示すグラフである。図中の△印の符号1及び2は、それぞれ、2.4GHzおよび2.48GHzの周波数を示し、ともに2.4GHz帯の周波数である。また、図中の△印の符号3および4は、それぞれ、5.00GHzおよび5.35GHzの周波数を示し、ともに5GHz帯の周波数である。
【0040】
図4に示すように、折り返しモノポールアンテナ100の試作品は、2.4GHz帯および5GHz帯においてそれぞれ共振点を有し、VSWR特性の実用的な値である3以下の特性が得られている。
【0041】
一般に、2つのアンテナ素子が導体の一部を共有する構造において、一方のアンテナ素子の共振周波数が他方のアンテナ素子の共振周波数のほぼ偶数倍である場合は、デュアルバンド化を図るのが困難である。その理由は、周波数2.4GHzおよび5GHzを例に挙げると、周波数2.4GHzの信号電流が例えばピークのとき、周波数5GHzの信号電流がほぼゼロとなるからである。
【0042】
しかしながら、本実施形態における折り返しモノポールアンテナ100は、図4に示した構成を有することにより、2.4GHz帯および5GHz帯において実用レベルのVSWR特性を得ることができた。
【0043】
以上のように、本実施形態における折り返しモノポールアンテナ100は、アンテナ素子10および20が、それぞれ、折り返し部13および23を挟んでほぼ対称となっているので、簡単な構造でデュアルバンド化に対応できる。
【0044】
(第1実施形態の変形例)
前述した第1実施形態に代えて、図5に示す構成とすることもできる。第1実施形態では、入出力側エレメント11の辺11aと接地側エレメント12の辺12aとの間を折り返し部13で接続していた(図1、図2参照)。図5に示した例では、辺11aに直交する辺11bと、辺12aに直交する辺12bとの間を折り返し部14で接続した構成である。同様に、折り返し部24は、入出力側エレメント21の辺21bと、接地側エレメント22の辺22bとの間を接続している。なお、折り返し部14は、例えば、レーザー溶接、スポット溶接、かしめ等により、辺11bと12bとの間に金属板を接合することにより形成することができる。折り返し部24の形成も同様である。
【0045】
(第2実施形態)
図6に示すように、本実施形態における折り返しモノポールアンテナ200は、第1実施形態の折り返しモノポールアンテナ100(図1、図2参照)を支持するハウジング30を備えている。以下の説明において、第1実施形態の要素と同一の要素には、同一の符号を付している。
【0046】
ハウジング30は、入出力側エレメント11および21を搭載し、プリント基板(図示せず)側から支持する搭載部31と、搭載部31から立ち上がった壁部32とを有する。また、ハウジング30は、入出力端子101に形成された貫通孔101bに挿入される凸部33と、接地端子102に形成された貫通孔102bに挿入される凸部34とを有する。
【0047】
以下、図6に加え、図7および図8を参照しながら、ハウジング30の構成をさらに詳細に説明する。図7(a)は図6におけるa矢視の側面図であり、図7(b)は図6におけるb矢視の正面図である。また、図8は、ハウジング30の斜視図である。
【0048】
図6〜図8に示すように、ハウジング30の搭載部31には、溝が形成された突起31a、31bおよび31cが形成されている。突起31aおよび31bの溝には、入出力側エレメント11の辺11a側が挟み込まれ、突起31cの溝には、入出力側エレメント21の辺21a側が挟み込まれるようになっている。
【0049】
また、搭載部31は、図示しないプリント基板に配置される凸部31dを有する。この凸部31dは、入出力端子101、接地端子102および支持端子103とともに、折り返しモノポールアンテナ100をプリント基板上に支持するようになっている。
【0050】
壁部32には、支持部32a、32bおよび32cが形成されている。支持部32aは、入出力側エレメント11と接地側エレメント12との間を支持するようになっている。支持部32bは、入出力側エレメント11と接地側エレメント12との間に加えて、入出力側エレメント21と接地側エレメント22との間も支持するようになっている。支持部32cは、入出力側エレメント21と接地側エレメント22との間を支持するようになっている。支持部32bには、接地側エレメント12の一辺に押し当てられる突起32dが形成されている。なお、支持部32aおよび32bは、本発明に係る第1の支持部を構成する。また、支持部32bおよび32cは、本発明に係る第2の支持部を構成する。
【0051】
前述のように、本実施形態における折り返しモノポールアンテナ200は、ハウジング30により支持される構成となっているので、外的な力による変形を防止することができる。また、この構成により、折り返しモノポールアンテナ200は、変形し難い構造となるので、プリント基板上に自動実装機により自動実装することも可能となる。
【0052】
(第3実施形態)
図9に示すように、本実施形態における折り返しモノポールアンテナ300は、フレキシブルプリント基板(以下「FPC」という。)40と、固定部50とを備えている。
【0053】
FPC40は、電気絶縁性を有するベース材上に銅箔で形成されたプリントパタン41および42を備えている。プリントパタン41および42は、それぞれ、第1実施形態(図1、図2参照)におけるアンテナ素子10および20に相当し、本発明に係る第1および第2のアンテナ素子を構成する。
【0054】
具体的には、FPC40は、アンテナ素子10の接地側エレメント12に相当するプリントパタン41aと、アンテナ素子10の折り返し部13に相当するプリントパタン41bと、アンテナ素子10の入出力側エレメント11に相当するプリントパタン(図示せず)とを有する。なお、プリントパタン41aは、本発明に係る第1の接地側エレメントを構成する。また、プリントパタン41bは、本発明に係る第1の折り返し部を構成する。
【0055】
また、FPC40は、アンテナ素子20の接地側エレメント22に相当するプリントパタン42aと、アンテナ素子20の折り返し部23に相当するプリントパタン42bと、アンテナ素子20の入出力側エレメント21に相当するプリントパタン(図示せず)とを有する。なお、プリントパタン42aは、本発明に係る第2の接地側エレメントを構成する。また、プリントパタン42bは、本発明に係る第2の折り返し部を構成する。
【0056】
さらに、FPC40は、第1実施形態における入出力端子101および接地端子102にそれぞれ相当するランドパタン43および44を有する。なお、ランドパタン43および44は、それぞれ、本発明に係る入出力端子および接地端子を構成する。
【0057】
固定部50は、例えば粘着剤によりFPC40が貼り付けられるFPC貼付部51と、ランドパタン43および44が形成されたFPC端子が貼り付けられる端子貼付部52と、プリント基板に固定される基板固定部53とを有する。
【0058】
以上のように、本実施形態における折り返しモノポールアンテナ300は、FPC40のプリントパタン41および42により2つのアンテナ素子が形成されているので、簡単な構造でデュアルバンド化に対応できる。
【0059】
(第4実施形態)
図10に示すように、本実施形態における無線ユニット400は、無線モジュール401と、折り返しモノポールアンテナ500とを備える。折り返しモノポールアンテナ500は、誘電体で形成されたプリント基板60上に、プリントパタンにより形成されたアンテナ素子70および80を有する。アンテナ素子70および80は、それぞれ、第1実施形態(図1、図2参照)におけるアンテナ素子10および20に相当する。なお、プリント基板60は、本発明に係る誘電体基板を構成する。
【0060】
具体的には、アンテナ素子70は、第1実施形態の入出力側エレメント11に相当するプリントパタン71と、第1実施形態の接地側エレメント12に相当するプリントパタン72と、第1実施形態の折り返し部13に相当するスルホール73とを有する。なお、プリントパタン71は、本発明に係る第1の入出力側導体パタンを構成する。また、プリントパタン72は、本発明に係る第1の接地側導体パタンを構成する。また、スルホール73は、本発明に係る第1の折り返しスルホールを構成する。
【0061】
また、アンテナ素子80は、第1実施形態の入出力側エレメント21に相当するプリントパタン81と、第1実施形態の接地側エレメント22に相当するプリントパタン82と、第1実施形態の折り返し部23に相当するスルホール83とを有する。なお、プリントパタン81は、本発明に係る第2の入出力側導体パタンを構成する。また、プリントパタン82は、本発明に係る第2の接地側導体パタンを構成する。また、スルホール83は、本発明に係る第2の折り返しスルホールを構成する。
【0062】
さらに、プリント基板60には、第1実施形態の出力端子101および接地端子102にそれぞれ相当するプリントパタン91および92が形成されている。なお、プリントパタン91および92は、それぞれ、本発明に係る入出力導体パタンおよび接地導体パタンを構成する。
【0063】
プリントパタン91は、スルホール93およびプリントパタン94を介して無線モジュール401の入出力端子(図示せず)に接続されている。プリントパタン92は、無線モジュール401のグランド端子(図示せず)に接続されている。
【0064】
以上のように、本実施形態における無線ユニット400は、プリント基板60上のプリントパタンにより形成されたアンテナ素子70および80を有するので、簡単な構造でデュアルバンド化に対応できる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明に係る折り返しモノポールアンテナは、簡単な構造でデュアルバンド化に対応できるという効果を有し、携帯電話や、無線通信が可能な電子機器等に内蔵される、デュアルバンド対応の折り返しモノポールアンテナとして有用である。
【符号の説明】
【0066】
10、70 アンテナ素子(第1のアンテナ素子)
11 入出力側エレメント(第1の入出力側エレメント)
12 接地側エレメント(第1の接地側エレメント)
13、14 折り返し部(第1の折り返し部)
23、24 折り返し部(第2の折り返し部)
20、80 アンテナ素子(第2のアンテナ素子)
21 入出力側エレメント(第2の入出力側エレメント)
22 接地側エレメント(第2の接地側エレメント)
30 ハウジング
32a 支持部(第1の支持部)
32b 支持部(第1、第2の支持部)
32c 支持部(第2の支持部)
40 FPC
41 プリントパタン(第1のアンテナ素子)
41a プリントパタン(第1の接地側エレメント)
41b プリントパタン(第1の折り返し部)
42 プリントパタン(第2のアンテナ素子)
42a プリントパタン(第2の接地側エレメント)
42b プリントパタン(第2の折り返し部)
43 ランドパタン(入出力端子)
44 ランドパタン(接地端子)
60 プリント基板(誘電体基板)
71 プリントパタン(第1の入出力側導体パタン)
72 プリントパタン(第1の接地側導体パタン)
73 スルホール(第1の折り返しスルホール)
81 プリントパタン(第2の入出力側導体パタン)
82 プリントパタン(第2の接地側導体パタン)
83 スルホール(第2の折り返しスルホール)
91 プリントパタン(入出力導体パタン)
92 プリントパタン(接地導体パタン)
93 スルホール
94 プリントパタン
100、200、300、500 折り返しモノポールアンテナ
101 入出力端子
101a、102a、103a 半田付け部
102 接地端子
103 支持端子
401 無線モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波信号を入出力する入出力端子と、
接地される接地端子と、
前記入出力端子から前記接地端子までを第1および第2の折り返し部をそれぞれ介して接続する第1および第2のアンテナ素子とを備え、
前記第1のアンテナ素子は、前記入出力端子から第1の方向および前記第1の方向に同一平面上で直交する第2の方向に順次延びて前記第1の折り返し部に接続される板状の第1の入出力側エレメントと、前記第1の折り返し部から前記第1の入出力側エレメントと平行に延びて前記接地端子に接続される板状の第1の接地側エレメントとを有し、
前記第2のアンテナ素子は、前記入出力端子から前記第2の方向および前記第1の方向に順次延びて前記第2の折り返し部に接続される板状の第2の入出力側エレメントと、前記第2の折り返し部から前記第2の入出力側エレメントと平行に延びて前記接地端子に接続される板状の第2の接地側エレメントとを有する折り返しモノポールアンテナ。
【請求項2】
前記第1および前記第2のアンテナ素子は、展開された状態において、前記第1および前記第2の折り返し部を挟んで対称に形成されている請求項1に記載の折り返しモノポールアンテナ。
【請求項3】
前記第1のアンテナ素子の共振周波数は、前記第2のアンテナ素子の共振周波数の1/2である請求項1または請求項2に記載の折り返しモノポールアンテナ。
【請求項4】
第1の基板面および前記第1の基板面の裏面側である第2の基板面を有する誘電体基板をさらに備え、
前記第1の基板面には、前記入出力端子としての入出力導体パタンと、前記第1の入出力側エレメントとしての第1の入出力側導体パタンと、前記第2の入出力側エレメントとしての第2の入出力側導体パタンとが形成され、
前記第2の基板面には、前記接地端子としての接地導体パタンと、前記第1の接地側エレメントとしての第1の接地側導体パタンと、前記第2の接地側エレメントとしての第2の接地側導体パタンとが形成され、
前記第1の入出力側導体パタンと前記第1の接地側導体パタンとの間の誘電体基板には、前記第1の折り返し部としての第1の折り返しスルホールが形成され、
前記第2の入出力側導体パタンと前記第2の接地側導体パタンとの間の誘電体基板には、前記第2の折り返し部としての第2の折り返しスルホールが形成されている請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の折り返しモノポールアンテナ。
【請求項5】
前記第1および前記第2の入出力側エレメントを搭載する搭載部と、前記第1の入出力側エレメントと前記第1の接地側エレメントとの間を支持する第1の支持部と、前記第2の入出力側エレメントと前記第2の接地側エレメントとの間を支持する第2の支持部とを有するハウジングをさらに備えた請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の折り返しモノポールアンテナ。
【請求項6】
前記第1および前記第2のアンテナ素子は、フレキシブルプリント基板の導体パタンで形成されている請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の折り返しモノポールアンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−199757(P2012−199757A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62263(P2011−62263)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)