説明

折戸の開閉構造

【課題】大きな装置を用いずに簡単な構造によるもので、戸板を単に押すだけで手前に開閉できる折戸を提供することを目的とする。
【解決手段】2枚の戸板の内側端部同士を開閉自在に蝶番で連結すると共に、一方側戸板の内側端部に設けられ伸縮部、収納部、ロック機構、弾性部材を必須構成とする受部と、他方側戸板の内側端部に設けられ前記受部と係止状態で固定される係止片を有する係止部とからなる固定装置を設けた折戸において、折戸が閉状態の時はロック機構により伸縮部が収納部に収納状態で固定されると共に、係止片が伸縮部の係止受部に係止され2枚の戸板の内側端部同士が固定されており、係止部側戸板の内側部分を奥側へ押すことにより係止片が係止受部から外れると共に、突押部Bが突押部Aを押して伸縮部が収納部へ押し込まれロック機構が解除され、伸縮部が弾性部材の付勢力で収納部から押し出されると共に突押部Aが突押部Bを押すことで2枚の戸板の内側端部を手前側にしてくの字に折れ曲がり折戸が開放される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クローゼットや押入等の収納部に用いることができる折戸に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、クローゼットや押入等の収納部の扉として、開口間口が大きくとれると共に開閉時に大きなスペースをとらないために、折戸が広く用いられており、収納スペースが十分に活用できるよう折戸は手前に引き出すように取り付けられている。
【0003】
しかし、両手に荷物を持った状態で折戸を開閉する際には、ドアの把手を手前に引いて開閉しなければならないので、荷物を床に置いてからドアを開閉し、再度荷物を持たなければならず手間である。また、荷物が衣服や食品等の場合は、床に直接置くことは汚れが付いたり衛生上の問題で避けたいものである。
【0004】
この問題に対しては、自動式の折戸であれば、スイッチを押すだけで開閉操作ができるので、荷物を持ちながら肘や腕等でスイッチを押すことができる。一例として、特許文献1、2に開示されている。
【特許文献1】実公平4−43583公報
【特許文献2】特開平9−144425公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、自動式折戸ではドアを開閉するための装置の設置スペースが必要であるので、クローゼットや押入等に用いると収納量が少なくなると共に、設置及びランニング、メンテナンスに多額の費用がかかるので家庭用としては普及していない。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みなされたものであり、大きな装置を用いずに簡単な構造によるもので、単に押すだけで手前に開閉できる折戸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決するために、請求項1の発明は、2枚の戸板の内側端部同士を開閉自在に蝶番で連結すると共に、一方側戸板の内側端部に設けられ伸縮部、収納部、ロック機構、弾性部材を必須構成とする受部と、他方側戸板の内側端部に設けられ前記受部と係止状態で固定される係止片を有する係止部とからなる固定装置を設けた折戸において、折戸が閉状態の時はロック機構により伸縮部が収納部に収納状態で固定されると共に係止片が伸縮部の係止受部に係止され2枚の戸板の内側端部同士が固定されており、係止部側戸板の内側部分を奥側へ押すことによって係止片が係止受部から外れると共に突押部Bが突押部Aを押して伸縮部が収納部へ押し込まれロック機構が解除されることにより、伸縮部が弾性部材の付勢力で収納部から押し出されると共に突押部Aが突押部Bを押すことで、2枚の戸板の内側端部を手前側にしてくの字に折れ曲がり折戸が開放されることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、弾性部材がバネであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、2枚の戸板の内側端部同士を開閉自在に蝶番で連結すると共に、一方側戸板の内側端部に設けられ伸縮部、収納部、ロック機構、弾性部材を必須構成とする受部と、他方側戸板の内側端部に設けられ前記受部と係止状態で固定される係止片を有する係止部とからなる固定装置を設けた折戸において、折戸が閉状態の時はロック機構により伸縮部が収納部に収納状態で固定されると共に、係止片が伸縮部の係止受部に係止され2枚の戸板の内側端部同士が固定されているので、折戸を閉じた状態では、ロック機構と固定装置の2種類によって2枚の戸板が確実に固定されがたつくことがない。
【0010】
また、係止部側戸板の内側部分を奥側へ押すことによって係止片が係止受部から外れると共に、突押部Bが突押部Aを押して伸縮部が収納部へ押し込まれロック機構が解除されることにより、伸縮部が弾性部材の付勢力で収納部から押し出されると共に突押部Aが突押部Bを押すことで、2枚の戸板の内側端部を手前側にしてくの字に折れ曲がり折戸が開放される構造になっているので、両手に荷物を持っていても肘、腕、足等によって戸板を少し押し込むだけで折戸を手前側に開けることができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、弾性部材としてバネを用いているので、固定装置の構造が簡単であり安価に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための実施形態を図面に基づき説明する。もちろん本発明は本実施形態の記載内容に限られるものではない。
【0013】
図1は折戸Eの開閉時の動きを示した図である。折戸Eは受部側戸板Aと係止部側戸板Bと両者を開閉自在に連結する蝶番Dとから構成され、図1(a)に示すように固定装置Cで閉状態に固定されている。係止部側戸板Bの端部を押すと蝶番を中心に折戸Eがくの字に折れて固定装置Cの固定状態が解除されると共に、係止部側戸板Bの端部に設けられた係止部200が受部側戸板Aの端部に設けられた伸縮自在の受部100(伸縮部110)を押し込むことでロック機構が解除され(図1(b))、内蔵する弾性部材(バネ)140の付勢力によって受部100が押し出され係止部200を押すことで折戸Eが蝶番を中心に逆方向に折り曲がる(図1(c))。このように途中まで開いた折戸Eに対して、係止部側戸板Bをさらに押すことで折戸Eを完全に開くことができる。
【0014】
ロック機構の具体例を挙げて詳しく説明する。図2は閉状態(図1(a))において固定装置Cの内部の機構を示す横断面図であり、図3〜図5はそれぞれ図1の(a)〜(c)各状態に該当する固定装置Cの内部の機構、特にロック機構130の動きを示す縦断面図である。
【0015】
折戸Eの固定装置Cは受部100と係止部200から構成され、受部100は収納部120、伸縮部110、ロック機構130、バネ140からなり、係止部200には受部100に係止される係止片210が設けられる。
【0016】
折戸Eは閉状態では、伸縮部110が収納部120に大部分が収納され、係止片210が伸縮部110の先端に設けられたL字状の係止突部111に係止される一方、図3に示すように収納部120後部内面に、一端を回転自在に軸支された針金状のロック片131がロック片固定部132にバネ140を収縮した状態でのバネの付勢力により固定されている。
【0017】

係止部側戸板Bの端部を押すと蝶番を中心に折戸Eがくの字に折れると共に係止片210が係止突部111から外れ、係止部200の突押部B220が係止突部111の外面に設けられた突押部A112を押すことにより、伸縮部110は収納部120内に押し込まれて、図4に示すようにロック片131がロック片固定部132から前方に移動し解除片135に衝突して下方に移動しロックは解除される。
【0018】

ロックが解除されると伸縮部110は収縮していたバネ140の付勢力によって、図5に示すように収納部120から前方に押し出され、突押部A112が突押部B220を押すことで、蝶番Dを中心に折戸Eが逆方向にくの字に折れ曲がり途中まで少し開放されるので、腕や体で係止部側戸板Bをさらに押して折り畳むことで荷物を持ったまま折戸Eを開放することができる。
【0019】
折戸を閉じる場合は、逆に折り畳まれた折戸Eを開くことにより、係止部側戸板Bの突押部B220が受部側戸板Aの突押部A112を押すことで伸縮部110が収納部120に押し込まれることにより、ロック片131の先端が導入部133を通って移動し導入片134に衝突してロック片固定部132の傾斜面に沿って下方へ移動し係止されると共に係止片210が係止突部111に係止され折戸Eは閉状態に固定される。
【0020】
なお、折戸Eの構造として、受部100と係止部200は逆方向に設けられていても良い。すなわち、図1で左側にある受部100が右側にあり係止部200が左側にあっても良い。また、弾性部材140としてはバネ(特にコイルバネ)が構造が簡単で安価なため好ましいが、その他のバネやオイルダンパー、ゴム等、収縮状態から伸びることで付勢力を発現できるものであれば使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の折戸の開閉構造は、大きな装置を用いずに簡単な構造によって、両手に荷物を持った状態で折戸を開閉することができるので、クローゼットや押入等の収納部に用いるだけでなく家具等にも応用でき、極めて有用で産業上の利用可能性が高い。

【図面の簡単な説明】
【0022】

【図1】本発明の折戸の開閉時の動きを示す平面図。
【図2】本発明の図1(a)に該当する固定装置の内部の機構を示す横断面図。
【図3】本発明の図1(a)に該当する固定装置の内部の機構を示す縦断面図。
【図4】本発明の図1(b)に該当する固定装置の内部の機構を示す縦断面図。
【図5】本発明の図1(c)に該当する固定装置の内部の機構を示す縦断面図。
【符号の説明】
【0023】
A 受部側戸板(一方側)
B 係止部側戸板(他方側)
C 固定装置
D 蝶番
E 折戸
100 受部
110 伸縮部
111 係止突部
112 突押部A
120 収納部
130 ロック機構
131 ロック片
140 弾性部材(バネ)
200 係止部
210 係止片
211 係止片固定部
220 突押部B

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の戸板の内側端部同士を開閉自在に蝶番で連結すると共に、一方側戸板の内側端部に設けられ伸縮部、収納部、ロック機構、弾性部材を必須構成とする受部と、他方側戸板の内側端部に設けられ前記受部と係止状態で固定される係止片を有する係止部とからなる固定装置を設けた折戸において、折戸が閉状態の時はロック機構により伸縮部が収納部に収納状態で固定されると共に係止片が伸縮部の係止受部に係止され2枚の戸板の内側端部同士が固定されており、係止部側戸板の内側部分を奥側へ押すことによって係止片が係止受部から外れると共に突押部Bが突押部Aを押して伸縮部が収納部へ押し込まれロック機構が解除されることにより、伸縮部が弾性部材の付勢力で収納部から押し出されると共に突押部Aが突押部Bを押すことで、2枚の戸板の内側端部を手前側にしてくの字に折れ曲がり折戸が開放されることを特徴とする折戸の開閉構造。
【請求項2】
弾性部材がバネであることを特徴とする請求項1に記載の折戸の開閉構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−191508(P2009−191508A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32621(P2008−32621)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】