説明

折板屋根用取付保持具およびその取付保持具を用いて構築された二重の折板屋根構造体

【課題】下折板屋根に確実に固定でき、かつ上折板屋根を長期にわたり安定して支承できる取付保持具と、それを用いた二重の折板屋根構造体を提供する。
【解決手段】下折板屋根1と上折板屋根3との間に配置され、上折板屋根3および下折板屋根1をハゼ締め部2を介して相互に連結して二重の折板屋根を葺き上げる折板屋根用取付保持具において、取付保持具5を、下折板屋根1のハゼ締め部2を両側から挟み込む少なくとも2つ合わせになる挟持体5A、5Bと、この挟持体5A、5Bに断熱部材5Cを介して設置固定され、上折板屋根3に連係する吊子5Dとを備えたもので構成する。そして、挟持体の少なくとも一方の前面板5A、5Bに、下折板屋根1のハゼ締め部2の頭部2aを挿入せしめる区画凹所6と、先端部をハゼ締め部2の頚部2bに当接させて対向するもう一方の前面板との間で挟持する凸部7を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハゼ締めタイプの折板屋根に用いて好適な取付保持具と、その取付保持具により構築された二重の折板屋根構造体に関するものである。
【0002】
下ハゼと上ハゼを重ね併せて締め込むことにより屋根板同士を連結するハゼ締めタイプの折板屋根は、一般住宅やガレージ、校舎、体育館、集会場、工場、倉庫等の屋根等に広く採用されている。
【0003】
上記の折板屋根は、亜鉛系めっき鋼板やその上に塗装を施したカラー鋼板等の金属板が使用されているが、長期にわたる使用によりそれが老朽化した場合には、古い屋根板を撤去する労力や費用の軽減を図る観点から、該屋根板を残したままで、その上に新たな折板屋根を葺き上げて、二重の折板屋根とすることがある。
【0004】
また、近年では、熱エネルギーの削減を図るために、建設当初から、二重構造の折板屋根として葺き上げ、その間に断熱材を挿入して断熱性を高める試みもなされている。
【0005】
上記二重構造の折板屋根は、古い折板屋根あるいは下側に位置する折板屋根(以下、「下折板屋根」と記す)のハゼ締め部に、取付保持具を固定し、該取付保持具に設けられた吊子に、新たな折板屋根(以下、これを「上折板屋根」と記す)の折板縁部(下ハゼ、上ハゼ)を嵌合、連係することにより構築するのが普通である。
【0006】
かかる取付保持具に要求される性能としては、台風等の強風や積雪等によって大きな引張り荷重や圧縮荷重が加えられても、その自身が簡単に変形することがないこと(耐変形性)、また、下折板屋根の上で上折板屋根を確実に保持することが可能であり、しかも、比較的簡単な作業のもとで二重の折板屋根が構築できること(作業性)がとくに重要となる。
【0007】
この点に関する従来技術として、特許文献1には、葺替えと断熱金具を構成する挟着片の縦状挟着支持部と首挟着部の左側端部および右側端部を、夫々、下方端縁部の一部又は全部が下方載置部に載置状態に屈曲させるとともに、それを延設せしめて補強部を形成し、縦状挟着支持部と補強部の間に、はぜ締め部の嵌挿部と連接する挿入部を形成した構造の金具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002―167909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記特許文献1に開示されている金具は、縦状挟着支持部の下端に設けられた偏平な板状体からなる首挟着部によって、はぜ締め部の首部を挟み込んで固定するが、折板屋根に引張力が作用した場合、該首挟着部が変形し、屋根の固定が不十分になるおそれがあった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、下折板屋根と上折板屋根とを相互につなぐ取付保持具につき、該取付保持具を、下折板屋根のハゼ締め部に確実に固定して上折板屋根を長期にわたり安定的に支承できる取付保持具を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、下折板屋根と上折板屋根との間に配置され、該上折板屋根および下折板屋根をハゼ締め部を介して相互に連結して二重の折板屋根を葺き上げる折板屋根用取付保持具であって、前記下折板屋根のハゼ締め部を両側から挟み込む少なくとも2つ合わせになる挟持体と、この挟持体に断熱部材を介して設置固定され、前記上折板屋根に連係する吊子とを備え、前記挟持体は、起立姿勢を保持して合わせ面を形成する前面板と、この前面板の上端に設けられ、前記上折板屋根を支承する天面板と、該前面板の下端に設けられ、前記下折板屋根に対する載置部を形成する底板と、前記前面板、前記天面板、前記底板の相互間に介在する側板からなり、前記挟持体の少なくとも一方の前面板に、前記下折板屋根のハゼ締め部頭部を挿入せしめる区画凹所と、先端部を該ハゼ締め部の頚部に当接させて対向するもう一方の前面板との間で挟持する凸部を設けたことを特徴とする折板屋根用取付保持具である。
【0012】
上記の構成からなる折板屋根用取付保持具においては、
(1)前記凸部が、前記前面板に一体的につながっており、その先端部が、該前面板の面(つら)と同等もしくは該面よりも突出する切り起こし舌片であること、
(2)前記挟持体は、前記前面板、前記天面板、前記側板との3面が相互に接合する角部に、貫通開孔を有すること、
(3)前記挟持体が、金属部材であり、前記断熱部材が、合成樹脂であること、
が、課題解決のための具体的手段として好ましい。
【0013】
また、本発明は、上記のいずれかに記載した折板屋根用取付保持具を、下折屋根のハゼ締め部に固定保持し、この取付保持具の上端部に上折屋根を支承して二重構造の折板屋根を構築したことを特徴とする二重の折板屋根構造体である。
【発明の効果】
【0014】
上記の構成からなる折板屋根用取付保持具によれば、二重の折板屋根を葺き上げる折板屋根用取付保持を、下折板屋根のハゼ締め部を両側から挟み込む少なくとも2つ合わせになる挟持体と、この挟持体に断熱部材を介して設置固定され、上折板屋根に連係する吊子とを備えたもので構成し、このうち、挟持体については、起立姿勢を保持して合わせ面を形成する前面板と、この前面板の上端に設けられ、前記上折板屋根を支承する天面板と、該前面板の下端に設けられ、前記下折板屋根に対する載置部を形成する底板と、前記前面板、前記天面板、前記底板の相互間に介在する側板からなるものとして、該挟持体の少なくとも一方の前面板に、前記下折板屋根のハゼ締め部頭部を挿入せしめる区画凹所と、先端部を該ハゼ締め部の頚部に当接させて対向するもう一方の前面板との間で挟持する凸部を設けることとしたため、引張力、圧縮力に対して高い強度を得ることができると共に、該凸部により十分な保持力を確保することが可能となる。
【0015】
また、本発明にかかる折板屋根用取付保持具によれば、前記凸部を、前面板に一体的につながり、その先端部が、該前面板の面(つら)と同等もしくは該面よりも突出する切り起こし舌片としたため、部品点数を増加させることなしに下折板屋根のハゼ締め部の頚部に確実に固定することができる。
【0016】
また、本発明による折板折板屋根用取付保持具によれば、前記前面板、前記天面板、前記側板との3面が相互に接合する角部に、貫通開孔を設けるようにしたため、挟持体を絞り加工あるいはプレス加工等によって成形する場合に、該貫通開孔が、余計な材料の逃がし部位として機能することとなり、皺が発生する等の成形不良を回避し得る。
【0017】
なお、本発明によれば、前記挟持体を、金属部材で構成し、前記断熱部材を、合成樹脂で構成するようにしたため、引張り、圧縮に対する十分な強度を確保しつつ、断熱効果を高めることができる。
【0018】
さらに、上記のいずれかに記載した折板屋根用取付保持具を、下折屋根のハゼ締め部に固定保持し、この取付保持具の上端部に上折屋根を支承することにより、簡便な作業のもとで効率的に二重構造の折板屋根を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に従う折板屋根用取付保持具の実施の形態を示した図である。
【図2】図1に示した折板屋根用取付保持具の左背面を示した図である。
【図3】図1に示した折板屋根用取付保持具の右背面を示した図である。
【図4】図1のX―X断面を示した図である。
【図5】図1〜3に示した折板屋根用取付保持具の分解状態を示した外観斜視図である。
【図6】本発明に従う折板屋根用取付保持具の他の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
図1は、折板屋根用取付保持具を、下折板屋根のハゼ締め部に固定すると共に、その上に上折板屋根を支承して二重の折板屋根構造体を構築した例をその側面について示した図である。
【0021】
また、図2は、図1に示した折板屋根用取付保持具の左背面を示した図であり、図3は、図1に示した折板屋根用取付保持具の右背面を示した図であり、さらに、図4は、図1のX―X断面を示した図であり、図5は、図1〜3に示した折板屋根用取付保持具の分解状態を示した外観斜視図である。
【0022】
上記の折板屋根用取付保持具は、基本的には、下折板屋根のハゼ締め部に沿い、間隔をあけて複数個所に設置されるものであるが、ここでは、1つの取付保持具についてのみ表示する。
【0023】
図1における符号1は、既存の構築物を構成するタイトフレームFに設置された下折板屋根、2は、下折板屋根1を構成する屋根材同士をその縁部で連結したハゼ締め部である。このハゼ締め部2は、屋根材の縁部に設けられた下ハゼと上ハゼを重ね合わせてハゼ締めすることにより形成される。
【0024】
また、3は、下折板屋根1の上部に設けられた上折板屋根、4は、上折板屋根3のハゼ締め部である。
【0025】
また、図1〜5における符号5は、下折板屋根1と上折板屋根2との間に配置され、それらを相互に連結して二重の折板屋根を葺き上げる折板屋根用取付保持具である。
【0026】
折板屋根用取付保持具5は、下折板屋根1のハゼ締め部2を両側から挟み込む少なくとも2つ合わせの挟持体(亜鉛めっき鋼板等の金属部材が適用される)5A、5B(以下、挟持体5Aを「ハゼ係合金物5A」と記し、挟持体5Bを「吊子取付金物5B」と記すこととする)と、この挟持体5A、5Bに断熱部材(プラスチック等の合成樹脂で構成される)5Cを介して設置固定され、上折板屋根3に連係する吊子5Dとを備えている。
【0027】
上記折板屋根用取付保持具5のハゼ係合金物5Aは、起立姿勢を保持して右金物5Bとの合わせ面を形成する前面板5Aと、この前面板5Aの上部に設けられ、上折板屋根3を支承する天面板5Aと、前面板5Aの下部に設けられ、下折板屋根1に対する載置部を形成する底板5Aと、該前面板5A、天面板5A、底板5Aの相互間に介在して補強部材として機能する左側板5A、右側板5Aから構成される。
【0028】
ここに、上記天面板5A、底板5A、左側板5A、右側板5Aは、それぞれ、その一端が前面板5Aの縁部に一体連結しており、それらを、前面板5Aとの連結部位で屈曲(曲げ加工)させた単一部材からなる。
【0029】
なお、天面板5Aは、吊子取付金物5Bとの締結に際して段差Dを形成して断熱部材5C、吊子5Dの位置決めを簡便に行い得る傾斜壁部5A′を有する。また、左側板5A、右側板5Aの後端部には、引張力が作用した際の補強のために屈曲部が形成されている。
【0030】
また、吊子取付金物5Bは、起立姿勢を保持してハゼ係合金物5Aとの合わせ面を形成する前面板5Bと、この前面板5Bの上端に設けられ、上折板屋根3を支承する天面板5Bと、前面板5Bの下部に設けられ、下折板屋根1に対する載置部を形成する底板5Bと、該前面板5B、天面板5B、底板5Bの相互間に介在して補強部材として機能する左側板5B、右側板5Bから構成される。
【0031】
吊子取付金物5Bについても、上記天面板5B、底板5B、左側板5B、右側板5Bは、それぞれ、その一端が前面板5Bの端部に一体連結しており、そのうち、左側板5B、右側板5Bについては絞り加工あるいはプレス加工等により成形されており、底板5Bは、前面板5Bとの連結部位で屈曲(曲げ加工)させた単一部材からなる。
【0032】
また、断熱部材5Cは、下折板屋根1と上折板屋根3との相互間における熱の伝導を阻止するものであって、この例では、ハゼ係合金物5Aと吊子取付金物5Bとの間で形成された段差Dに適合する断面形状を有する屈曲プレートを適用した場合について示してある。
【0033】
上記断熱部材5Cは、ハゼ係合金物5Aの天面板5Aを貫通する開口に嵌合するビスの如き締結手段にて、該天面板5Aに固定されている(固定手段はとくに限定されない)。
【0034】
また、吊子5Dは、上折板屋根1を構成する屋根材の縁部に設けられた下ハゼ、上ハゼを嵌合させて該屋根材同士を相互につなぎ合わせると共に、該上折板屋根1を取付保持具5に連係させる鈎状の連係子5Dと、この連係子5Dに一体的につながり、該連係子5Dを、吊子取付金物5Bの天面板5Bに固定するベース5Dから構成される。
【0035】
ベース5Dは、ここでは、吊子取付金物5Bの天面板5Bにボルトを介して固定する場合を例として示してあり、該ボルトに羅合するナットを収納することができるように、上方へ向けて開放された凹部を有する溝型部材が適用される。そして、その溝型部材の上縁部には、横向きのフランジeが設けられており、該フランジeを受け座として、上折板屋根3を支承することができるようになっている。
【0036】
6は、ハゼ係合金物5Aの前面板5Aの下部に設けられた区画凹所である。この区画凹所6は、この例では、吊子取付金物5bに向けて開放された横向きのU字断面形状をなすものとして示してあり、この部位に下折板屋根1のハゼ締め部2の頭部2aを挿入する(図1参照)。
【0037】
また、7は、区画凹所6を形成する底壁の部分において切り起こされた切り起こし舌片の例で示した凸部である。
【0038】
上記凸部7は、その先端が、該前面板の面(つら)と同等もしくは該面よりも突出しており、該先端部7aをハゼ締め部2の頚部2bに当接させて対向する吊子取付金物5Bの前面板5Bとの間で挟持することで取付保持具5そのものを下折板屋根1に強固に固定する。
【0039】
8は、ハゼ係合金物5Aの前面板5Aで、区画凹所6の直上に設けられた角孔、9は、吊子取付金物5Bの前面板5Bに設けられ、窓孔8に連通する角孔、10は、窓孔8、窓孔9を通して挿入され、ハゼ係合金物5Aおよび吊子取付金物5Bを相互につなぎ止める連結ボルト、11は、ボルト10に螺合するナットである。
【0040】
連結ボルト10の頚部10aは、四角形状をなしており(図5参照)、この頚部10aが、上記角孔8、9に適合することにより、ナット11を締め付ける際の連結ボルト10の空転を阻止して容易な取付け作業を実現する。
【0041】
12は、吊子5Dに設けられた角孔、13は、断熱部材5Cに設けられ、角孔12に連通する角孔、14は、吊子取付金物5Bの天面板5Bに設けられ、角孔12、13に連通する角孔、15は、角孔12〜14を通して挿入され、吊子5D、断熱部5Cを吊子取付金物5Bの天面板5Bに固定保持する連結ボルト、そして、16は、ボトル15に羅合するナットである。
【0042】
連結ボルト15の頚部15aは、四角形状をなしており、この頚部15aが、上記角孔12〜14に適合することにより、ナット16を締め付ける際の連結ボルト10の空転、落下を阻止して容易な取付け作業を実現する。
【0043】
さらに、図における符号17は、吊子取付金物5Bの天面板5B、左側板5B、右側板5Bの3面が相互に接合した角部に設けられた貫通開孔である(図1、図5参照)。貫通開孔17は、吊子取付金物5Bを絞り成形、あるいはプレス成形によって成形する際に、余計な材料を逃がして皺等が生じるのを防止する。
【0044】
貫通開孔17は、この例では、円形状のものを示したが、余計な材料を逃がすことができるものであれば、形状はとくに限定されない。
【0045】
また、符号18は、吊子5Dのベース5Dの底壁、側壁の接合部に設けられた上記貫通開孔17と同様の機能を有する貫通開孔である。なお、貫通開孔17、18は、あってもよいし、なくてもよい。
【0046】
吊子5Dを、絞り成形やプレス成形にて加工する場合に、該貫通開孔18を設けておくことにより、余分な材料を該貫通開孔18に逃がすことが可能であり、これにより、絞り成形あるいはプレス成形の際に皺の発生等の成形不良を回避することができる。
【0047】
上記の取付保持具5を用いて二重の折板屋根構造体を構築するには、ハゼ係合金物5A、吊子取付金物5Bの前面板5A、5Bを向かい合わせにして下折板屋根1のハゼ締め部2の頭部2aを区画凹所6に挿入すると共に、角孔8、9にボルト10を通し、該ボルト10およびナット11により、該ハゼ係合金物5A、吊子取付金物5Bを相互に締結する。
【0048】
これにより、ハゼ締め部2の頚部2bは、図1に示す如く、凸部7と吊子取付金物5Bの前面板5Bに強固に挟持されることとなる。
【0049】
次いで、ハゼ係合金物5A、吊子取付金物5Bの天面板5A、5Bに断熱部材5Cを配置し、該断熱部材5Cの上に吊子5Dを載置したのち、角孔12〜14にボルト15を通してナット16を締め込み、さらに、この吊子5Dの上に上折板屋根3を構成する屋根材を配置してその縁部に設けられた下ハゼ、上ハゼを連係子5Dに嵌合させてハゼ締めする。
【0050】
図6は、ハゼ係合金物5Aの前面板5Aの上部に突起19を設け、ハゼ係合金物5A、吊子取付金物5Bの締結に際して、該突起19を吊子取付金物5Bの前面板5Bに当接させた構造のものである。
【0051】
かかる構造の取付保持具5においては、該取付保持具5を下折板屋根1のハゼ締め部に強固に固定することができるだけでなく、前面板5A、5Bの間に形成される隙間を、ボルト10の締め代として活用して、締結力をより一層高めることができると共に、前面板の弾性的な変位を誘発することによりナットの緩みを向上させる得る利点がある。
【0052】
なお、突起19は、吊子取付金物5Bの前面板5Bの上部に設けることも可能であり、また、ハゼ係合金物5Aあるいは吊子取付金物5Bの一部分を隆起させることにより突起19を形成してもよく、この点については限定されない。
【0053】
切起こし舌片で例示した凸部7については、ハゼ係合金物5Aに設けた場合について図示したが、該凸部7は吊子取付金物5Bに設けてもよいし、その両方に設けても勿論よい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、下折板屋根における固定が確実であり、上折板屋根を長期にわたり安定して支承可能な取付保持具が提供できる。
【0055】
また、本発明によれば、簡便かつ効率的な作業のもとで二重の折板屋根構造体を構築することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 下折板屋根
2 ハゼ締め部
2a 頭部
2b 頚部
3 上折板屋根
4 ハゼ締め部
5 取付保持部
5A 挟持体(ハゼ係合金物)
5A 前面板
5A 天面板
5A 底板
5A 左側板
5A 右側板
5B 挟持体(吊子取付金物)
5B 前面板
5B 天面板
5B 底板
5B 左側板
5B 右側板
5C 断熱部材
5D 吊子
5D 連係子
5D ベース
6 区画凹所
7 凸部
7a 先端部
8 角孔
9 角孔
10 連結ボルト
10a 頚部
11 ナット
12 角孔
13 角孔
14 連結ボルト
14a 頚部
15 連結ボルト
15a 頚部
16 ナット
17 貫通開孔
18 貫通開孔
19 突起
D 段差
e フランジ
F タイトフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下折板屋根と上折板屋根との間に配置され、該上折板屋根および下折板屋根をハゼ締め部を介して相互に連結して二重の折板屋根を葺き上げる折板屋根用取付保持具であって、
前記下折板屋根のハゼ締め部を両側から挟み込む少なくとも2つ合わせの挟持体と、この挟持体に断熱部材を介して設置固定され、前記上折板屋根に連係する吊子とを備え、
前記挟持体は、起立姿勢を保持して合わせ面を形成する前面板と、この前面板の上部に設けられ、前記上折板屋根を支承する天面板と、該前面板の下部に設けられ、前記下折板屋根に対する載置部を形成する底板と、前記前面板、前記天面板、前記底板の相互間に介在する側板からなり、
前記挟持体の少なくとも一方の前面板に、前記下折板屋根のハゼ締め部の頭部を挿入せしめる区画凹所と、先端部を該ハゼ締め部の頚部に当接させて対向するもう一方の前面板との間で挟持する凸部を設けたことを特徴とする折板屋根用取付保持具。
【請求項2】
前記凸部が、前記前面板に一体的につながり、その先端部が、該前面板の面と同等もしくは該面よりも突出する切り起こし舌片であることを特徴とする請求項1に記載した折板屋根用取付保持具。
【請求項3】
前記挟持体は、前記前面板、前記天面板、前記側板との3面が相互に接合する角部に、貫通開孔を有することを特徴とする請求項1または2に記載した折板屋根用取付保持具。
【請求項4】
前記挟持体が、金属部材であり、前記断熱部材が、合成樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載した折板屋根用取付保持具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載した折板屋根用取付保持具を、下折屋根のハゼ締め部に固定保持し、この取付保持具の上端部に上折屋根を支承して二重構造の折板屋根を構築したことを特徴とする二重の折板屋根構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−44153(P2013−44153A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182471(P2011−182471)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000200323)JFE鋼板株式会社 (77)
【Fターム(参考)】