説明

折板屋根用吊り金具

【課題】地震等が起こった場合にも、被吊持物の揺動を極力低減させることができる折板屋根用吊り金具を提供する。
【解決手段】本発明は、タイトフレーム2の凸部21の傾斜面23に設けられた係止部24に、折板材3の谷部31の両側に設けられた被係止部41を係止することで折板屋根1が形成され、この折板屋根1から被吊持物9を吊り下げるために用いられる吊り金具である。吊り金具本体50に、折板材3の谷部31の両側の被係止部41にそれぞれ係合する係合部51が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折板屋根用吊り金具に関する。
【背景技術】
【0002】
横架材上にタイトフレームを取り付け、このタイトフレームに折板材を固定することで、折板屋根が形成される(例えば特許文献1参照)。従来、この折板屋根の下方に天井等の被吊持物を取り付ける場合、図10に示すように、折板屋根103に吊り金具100を固定し、この吊り金具100を介して、被吊持物を吊り下げる。
【0003】
この種の吊り金具100は、図9に示されるように、薄板状の金属材により主体が構成されている。吊り金具100は、上端が屈曲しており、下端に被吊持物を吊り下げるための吊りボルト104が取り付けられる。吊り金具100は、図10に示されるように、屈曲した上端101を、折板屋根103のはぜ継ぎ固定部102に巻き込むようにして取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−16374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところでこの吊り金具100は、その上端101を折板屋根103のはぜ継ぎ固定部102に巻き込んで固定しただけである。このためこの構造は、地震等により被吊持物が揺動した場合、はぜ継ぎ固定部102の長手方向(吊り金具100の鉛直面に沿った方向)への揺れに対してはそれなりに抵抗力を有するものの、吊り金具100の鉛直面とは直交する方向への揺れに対してはほとんど抵抗力を有さなかった。従ってこの従来の吊り金具100が用いられた構造では、地震等が起こった場合、被吊持物が大きく揺動することがあった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、地震等が起こった場合にも、被吊持物の揺動を極力低減させることができる折板屋根用吊り金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の折板屋根用吊り金具は、タイトフレームの凸部の傾斜面に設けられた係止部に、折板材の谷部の両側に設けられた被係止部を係止することで折板屋根が形成され、この折板屋根から被吊持物を吊り下げるために用いられる吊り金具であって、吊り金具本体に、折板材の谷部の両側の被係止部にそれぞれ係合する係合部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
またこの折板屋根用吊り金具において、前記吊り金具本体は、第1の金具と第2の金具とが着脱自在に連結されており、第1の金具に、折板材の谷部の一方側の被係止部に係合する第1の係合部が設けられ、第2の金具に、折板材の谷部の他方側の被係止部に係合する第2の係合部が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の折板屋根用吊り金具によれば、地震等が起こった場合にも、被吊持物の揺動を極力低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態の折板屋根用吊り金具の斜視図である。
【図2】本実施形態の折板屋根用吊り金具を折板屋根に取り付けた状態の正面図である。
【図3】本実施形態の第1の金具の図であり(a)は平面図であり(b)は正面図であり(c)は側面図である。
【図4】本実施形態の第2の金具の図であり(a)は平面図であり(b)は正面図であり(c)は側面図である。
【図5】本実施形態の折板屋根用吊り金具を取り付ける折板屋根の断面図である。
【図6】上記折板屋根のタイトフレームの一部破断した斜視図である。
【図7】上記折板屋根の折板材の斜視図である。
【図8】本実施形態の被吊持物の取付構造を示す斜視図である。
【図9】従来例の吊り金具の斜視図である。
【図10】従来の吊り金具の取り付け状態の参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0012】
本実施形態の折板屋根用吊り金具(以下、吊り金具5という)は、図2,5に示されるように、タイトフレーム2の凸部21の傾斜面23に設けられた係止部24に、折板材3の谷部31の両側に設けられた被係止部41を係止することで形成された折板屋根1に取り付けられるものである。
【0013】
タイトフレーム2は、母屋等の横架材(図示せず)に載設され、折板材3を固定する。タイトフレーム2は、帯状鋼板等の金属板を曲げ加工することで形成される。タイトフレーム2は、図6に示されるように、正面視逆U字状の凸部21と、この凸部21の両側の下端からその長手方向に向けて延設された固定部22とを備えている。本実施形態のタイトフレーム2は、横架材上に固定部22が載置され、この状態で横架材と固定部22とを溶接等して固定される。
【0014】
凸部21は、略水平板状の頂部25と、当該頂部25の両端部から外側斜め下方に向けて延設された脚部26とを備えている。各脚部26は傾斜しており、その傾斜面23には係止部24が設けられている。係止部24は、脚部26の傾斜面23から、斜め下方に向けて突出している。係止部24は、例えば、脚部26の一部を切り起こして形成される。本実施形態の係止部24は、脚部26の上下方向の中央よりも上側に設けられた第1の係止部241と、脚部26の上下方向の中央よりも下側に設けられた第2の係止部242とを備えている。
【0015】
タイトフレーム2は、横架材の長手方向に沿って略直線状に複数個が隣接配置されると共に、この長手方向とは直角な方向に離間して複数個が並設されている。横架材の長手方向とは直交する方向に離設されたタイトフレーム2同士は、互いに略平行となるよう配置される。これにより、タイトフレーム2の凸部21は、横架材の長手方向と平行な方向に、略同一直線上に配置され、横架材の長手方向とは直角な方向に、離間した状態で略同一直線上に並ぶ。なお、このタイトフレーム2の並設方向(つまり横架材の長手方向に直角な方向)が屋根勾配方向となる。
【0016】
タイトフレーム2については、複数のタイトフレーム2を直線状に並べて凸部21を並設してもよいし、複数の凸部21を有する一つのタイトフレーム2を配置してもよい。
【0017】
なお横架材は、建物の母屋や梁(小梁を含む)等が上げられる。横架材は、例えば、H型綱やC型綱やリップ溝形綱などにより構成される。
【0018】
折板材3は、塗装鋼板や亜鉛めっき鋼板などの金属板を曲げ加工することで形成される。折板材3は、屋根勾配方向(流れ方向)に長尺に形成されている。折板材3は、図7に示されるように、断面略U字状に形成されており、平坦な谷部31と、その両方の側端部(屋根勾配方向に直角な方向の両端部)からそれぞれ斜め上方に向けて突出する山部半体33,37とを備えている。谷部31には、一対の段部32が、曲げ加工により折板材3の長手方向の略全長に亘って形成されている。
【0019】
一方の山部半体33(図7中右側)は、谷部31の一方の側端から外側方(谷部31とは反対側)の斜め上方に向かって突出する傾斜部34と、この傾斜部34の上端から外側方(谷部31とは反対側)に向かって略水平に突出する頂部35と、この頂部35の端部から上方に向かって突出する断面略逆U字状の嵌合部36とを備えている。
【0020】
他方の山部半体37(図7中左側)は、谷部31の一方の側端から外側方(谷部31とは反対側)の斜め上方に向かって突出する傾斜部38と、この傾斜部38の上端から外側方(谷部31とは反対側)に向かって略水平に突出する頂部39と、この頂部39の端部から上方に向かって突出する断面略倒L字状の被嵌合部40とを備えている。
【0021】
山部半体33,37の傾斜部34,38は、それぞれ被係止部41,41を有している。被係止部41,41は、傾斜部34,38の一部が、裏面側に突出するよう段状に折り曲げられて形成される。被係止部41は、傾斜部34,38の上下方向の中央よりも上側に形成された第1の被係止部401と、傾斜部34,38の上下方向の中央よりも下側に形成された第2の被係止部402とを備えている。被係止部41は、折板材3の長手方向の全長に亘って形成されている。
【0022】
折板屋根1は、例えば、次のようにして葺設される。
【0023】
施工者は、まず、複数個のタイトフレーム2を建物の横架材の上に固定する。このとき、タイトフレーム2の固定部22を横架材上に載せ、固定部22を溶接などにより接合する。施工者は、タイトフレーム2を横架材の長手方向に並べて複数個取り付け、横架材の長手方向(屋根勾配方向とは直交する方向)の略全長に亘ってタイトフレーム2を並設する。このようにして施工者は、順次、タイトフレーム2を複数の横架材上に取り付ける。
【0024】
次に、施工者は、屋根勾配方向に離設された複数のタイトフレーム2上に、一枚の折板材3を架設する。このとき、タイトフレーム2に折板材3を上側から被せるように配置し、当該タイトフレーム2の隣り合う凸部21間に、折板材3の谷部31を位置させる。
【0025】
次に、折板材3の一方の山部半体33とこれに近接する一方の凸部21とを連結すると共に、折板材3の他方の山部半体37とこれに近接する他方の凸部21とを連結する(図5参照)。このとき、山部半体33,37に設けられた第1の被係止部401を、凸部21に設けられた第1の係止部241の先端(下端)に係止する。また山部半体33,37に設けられた第2の被係止部402を、凸部21に設けられた第2の係止部242の先端(下端)に係止する。
【0026】
これにより、折板材3の両側の山部半体33,37がタイトフレーム2に保持される。このとき、折板材3の山部半体33,37の頂部35,39は、凸部21の頂部25の上側に配置される。
【0027】
次いで施工者は、同じようにして、隣接する他の折板材3を配置する。このとき、既に配置した折板材3の被嵌合部36に、隣接する他の折板材3の嵌合部40を覆い被せるよう配置する。そして施工者は、屋根勾配方向とは直角な方向に重なる折板材3の嵌合部40と被嵌合部36とをはぜ継ぎ固定する。
【0028】
なお、本実施形態のタイトフレーム2は吊子が設けられていないが、タイトフレーム2に吊子が取り付けられていてもよい。この場合、嵌合部40及び被嵌合部36は、吊子と一緒にはぜ締めされる。
【0029】
この後、屋根勾配方向とは直角な方向に、順次、同じようにして折板材3を固定する。この作業を屋根面全面に亘って繰り返し行い、これにより断面角波状の折板屋根1が形成される。
【0030】
なお折板材3は、はぜ締めにより接合されていなくてもよく、例えば、ボルト留めや嵌合方式により固定されてもよい。
【0031】
このような構成の折板屋根1に、当該折板屋根1から被吊持物9を吊り下げるために、吊り金具5が取り付けられる。
【0032】
吊り金具5は、図2に示されるように、折板材3の谷部31の両側に位置する被係止部41に、両側から挟んだ状態で係止することで、折板屋根1に取り付けられる。吊り金具5は、第1の金具6及び第2の金具7により構成された吊り具本体50と、吊り具本体50の長手方向の両端にそれぞれ設けられた係合部51と、吊り具本体50に設けられ且つ被吊持物9を吊り下げるための吊体8が取り付けられる吊体取付部69,79とを備えている。
【0033】
係合部51は、第1の金具6と第2の金具7とにそれぞれ設けられている。以下、第1の金具6に設けられた係合部51を第1の係合部67とし、第2の金具7に設けられた係合部51を第2の係合部77とする。
【0034】
吊り具本体50は、図1に示されるように、上方が開口した断面略コ字状をしており、金属板を曲げ加工することで形成されている。吊り具本体50は、第1の金具6と第2の金具7とに分割されており、第1の金具6と第2の金具7とを着脱自在に連結することで構成されている。
【0035】
第1の金具6は、図3に示されるように、平面視長矩形状の下面部61と、下面部61の幅方向両端からそれぞれ立設された側面部62とを備えている。第1の金具6は、長手方向の一方の端部に、第2の金具7に接続される第1の接続部63を有している。第1の接続部63は、側面部62の長手方向の端部から外方に向けて突設された一対の接続片64を有している。接続片64には固着具挿通孔65が穿設されている。下面部61には、吊体8が取り付けられる吊体取付部69が設けられている。本実施形態の吊体取付部69は、上下方向に貫通する貫通孔691と、この貫通孔691に連通するよう下面部61の上面に固着されたナット692とを備えている。
【0036】
第1の金具6は、長手方向の他方の端部に第1の係合部67が設けられている。第1の係合部67は、折板材3の一方側の山部半体33の第2の被係止部402に係止される。第1の係合部67は、折板材3の山部半体33の傾斜部34の基端部42に当接する第1の当接部66と、第1の当接部66の上端に設けられた第1の係止爪68とを備えている。第1の当接部66は、折板材3の傾斜部34の基端部42に沿うよう傾斜している。第1の係合部67は、離設された一対の側面部62の端部により構成されており、これにより一定の幅を有している。
【0037】
第2の金具7は、図4に示されるように、平面視長矩形状の下面部71と、下面部71の幅方向両端からそれぞれ立設された側面部72とを備えている。第2の金具7は、長手方向の一方の端部に、第1の金具6の第1の接続部63に接続される第2の接続部73を有している。第2の接続部73は、側面部72の長手方向の端部から外方に向けて突設された一対の接続片74を有している。接続片74には固着具挿通孔75が穿設されている。下面部71には、吊体8が取り付けられる吊体取付部79が設けられている。本実施形態の吊体取付部79は、第1の金具6と同様、上下方向に貫通する貫通孔791と、この貫通孔791に連通するよう下面部71の上面に固着されたナット792とを備えている。
【0038】
第2の金具7は、長手方向の他方の端部に第2の係合部77が設けられている。第2の係合部77は、折板材3の他方側の山部半体37の第2の被係止部402に係止される。第2の係合部77は、折板材3の山部半体37の傾斜部38の基端部42に当接する第2の当接部76と、第2の当接部76の上端に設けられた第2の係止爪78とを備えている。第2の当接部76は、折板材3の傾斜部34の基端部42に沿うよう傾斜している。第2の係合部77は、離設された一対の側面部72の端部により構成されており、これにより一定の幅を有している。
【0039】
このような構成の吊り金具5は、第1の金具6の接続片64と、第2の金具7の接続片74とを互いに当接又は対向させた状態で、両方の固着具挿通孔65,75にボルトを挿入し、ナットを螺合することで、第1の金具6と第2の金具7とが連結される。吊り金具5は、第1の係止爪68と第2の係止爪78との間の対向間の寸法L1が、折板材3の両側の被係止部41の表面側への突先端の裏面間の寸法L2と略同寸法となるよう(又はそれよりもやや短くなるよう)形成されている。
【0040】
なお、この吊り金具5は、第1の係止爪68と第2の係止爪78との間の対向間の寸法L1は、固着具挿通孔65,75に挿入されたボルト・ナットの螺合具合により調整可能となっている。言い換えると、ボルト・ナットが、第1の係止爪68と第2の係止爪78との間の対向間の寸法L1の長さ調整手段を構成する。
【0041】
吊り金具5を上記構成の折板屋根1に取り付けるには、次のように施工する。
【0042】
まず施工者は、第1の金具6を把持し、その第1の係合部67の第1の係止爪68を、折板材3の一方の山部半体33の傾斜部34の第2の被係止部402に引掛けた状態で保持する。この後施工者は、第2の金具7を把持して、その第2の係合部77の第2の係止爪78を、折板材3の他方の山部半体37の傾斜部38の第2の被係止部402に引掛けて、第2の金具7の接続片74を第1の金具6の接続片64に対向させる。この後、固着具挿通孔65,75にボルト(固着具)を挿入して第1の金具6と第2の金具7とを連結する。
【0043】
この後、吊り金具5のいずれかの吊体取付部69(79)に吊体8を取り付ける。本実施形態の吊体8は、吊りボルト81により構成されており、吊り金具5の吊体取付部69(79)に下方から螺合することで取り付けられる。この吊りボルト81には、図8に示されるように、被吊持物9が取り付けられる。
【0044】
被吊持物9は、例えば、天井材91や空気調和機,ダクト配管,配線ダクト等により構成される。なお、被吊持物9としては、これらのいずれか一つであってもよいし、複数種類を組み合わせたものであってもよい。以下、被吊持物9として天井材91が用いられた場合につき説明する。
【0045】
天井材91は、図8に示されるように、天井面板92と、天井面板92の上面に互いに平行するよう複数並設された野縁93と、野縁93の上面に当該野縁93の長手方向とは直角な方向に架設された野縁受け94とを備えている。野縁93と野縁受け94とは、例えば溝形鋼(いわゆるチャンネル)により構成されており、互いに固定されている。
【0046】
野縁受け94には、図8に示されるように、逆L字状のハンガー95が取り付けられている。このハンガー95は、下部に設けられて当該ハンガー95を野縁受け94に固定する固着部96と、上部に設けられて吊体8の下端部に連結される接続部97とを備えている。
【0047】
また天井材91は、天井面板92の揺れを防ぐためのブレス材98を有している。ブレス材98は、一方向に長尺な補強部材により構成される。ブレス材98は、上方側に位置する端部が、吊りボルト81の上端部(吊り金具5の直ぐ下方)に固定され、下方側に位置する端部が野縁受け94に固定される。このブレス材98は、例えば溝形鋼(いわゆるチャンネル)や等辺山形鋼(いわゆるアングル)により構成される。
【0048】
このような天井上構造において、地震等が発生し、天井面板92が水平方向に揺れると、この水平方向の揺れは、野縁受け94とブレス材98と吊りボルト81とにより規制される。このときこの揺れの力は、吊りボルト81を介して吊り金具5に伝達する。
【0049】
本実施形態の吊り金具5は、折板材3の谷部31の両側の被係止部41,41に両外側から挟むようにして係合部51が係止されて、これにより強固に取り付けられている。このため、従来の吊り金具100のように吊り金具100自体が揺動してしまうことを防ぐことができ、したがって天井材91の揺れを規制することができる。
【0050】
また本実施形態の吊り金具5は、第1の金具6と第2の金具7とが着脱自在に連結されているため、施工者が、一対の係合部51,51を折板材3の両側の被係止部41に外側から係止するよう取り付けるのが容易となる。
【0051】
しかも本実施形態の吊り金具5は、第1の金具6の第1の当接部66と折板材3の一方の山部半体33の基端部42とが当接し、且つ第2の金具7の第2の当接部76と折板材3の他方の山部半体37の基端部42とが当接しているため、より安定して強固に取り付けられている。
【0052】
また本実施形態の吊り金具5は、タイトフレーム2の凸部21の傾斜面23に設けられた係止部24に、折板材3の谷部31の両側に設けられた被係止部41を係止することで形成された折板屋根1において、この被係止部41を利用して取り付けることができるものである。このため、本実施形態の吊り金具5は、既存の折板屋根1に後付け的に設置することも容易である。
【0053】
なお、本実施形態の吊体取付部69,79は、予めナット692,792が溶接されたものであったが、このナット692,792は溶接されていなくてもよい。また吊体8の固定については、ナットを用いたものでなくてもよい。
【0054】
また本実施形態の折板屋根用吊り金具は、第1の金具6と第2の金具7とが、ボルト・ナットにより連結されていたが、本発明において第1の金具と第2の金具との連結手段は、ボルト・ナットに限定されない。例えば、第1の金具の接続片に貫通孔を設け、第2の金具の接続片に雌ネジ孔を設け、ボルトにより両者を連結するものであってもよい。また、第1の金具と第2の金具とをカシメにより連結したり、溶接により連結したりしてもよい。
【0055】
また、第1の金具と第2の金具との間に別の部材を介して、第1の金具と第2の金具とを連結したものであってもよい。また吊り金具を一部材で構成し、折板屋根又は吊り金具の一部を弾性変形させて装着するようなものであってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 折板屋根
2 タイトフレーム
21 凸部
22 固定部
23 傾斜面
24 係止部
241 第1の係止部
242 第2の係止部
3 折板材
31 谷部
33 山部半体
34 傾斜部
37 山部半体
38 傾斜部
41 被係止部
401 第1の被係止部
402 第2の被係止部
5 吊り金具
50 吊り具本体
51 係合部
6 第1の金具
67 第1の係合部
69 吊体取付部
7 第2の金具
77 第2の係合部
8 吊体
81 吊りボルト
9 被吊持物
91 天井材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイトフレームの凸部の傾斜面に設けられた係止部に、折板材の谷部の両側に設けられた被係止部を係止することで折板屋根が形成され、
この折板屋根から被吊持物を吊り下げるために用いられる吊り金具であって、
吊り金具本体に、折板材の谷部の両側の被係止部にそれぞれ係合する一対の係合部が設けられている
ことを特徴とする折板屋根用吊り金具。
【請求項2】
前記吊り金具本体は、第1の金具と第2の金具とが着脱自在に連結されており、
第1の金具に、折板材の谷部の一方側の被係止部に係合する第1の係合部が設けられ、
第2の金具に、折板材の谷部の他方側の被係止部に係合する第2の係合部が設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の折板屋根用吊り金具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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