折畳み式携帯端末
【課題】大型化や複雑化、突起形状を招くことなく通信対象のカード型記録媒体を保持し得る保持機構を有する折畳み式携帯端末を提供する。
【解決手段】カード読取部24は、カード側端子41aに接触することで当該接触式ICカード41と通信する端末側端子43を備えている。このように通信対象が接触式ICカード41であっても挟持部42の適所に端末側端子43を配置することで、挟持部42による挟持時にカード側端子41aおよび端末側端子43が接触するので、保持された接触式ICカード41と円滑に通信することができる。
【解決手段】カード読取部24は、カード側端子41aに接触することで当該接触式ICカード41と通信する端末側端子43を備えている。このように通信対象が接触式ICカード41であっても挟持部42の適所に端末側端子43を配置することで、挟持部42による挟持時にカード側端子41aおよび端末側端子43が接触するので、保持された接触式ICカード41と円滑に通信することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード型記録媒体と通信可能な折畳み式の携帯端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カード型記録媒体と通信可能な携帯端末に関する技術として、下記特許文献1に示す携帯電話が知られている。この携帯電話は、カバーを裏面側に引き出すことで開口したカード挿入口に対し、両側がカードガイド部で支持されたICカードを挿入してコネクタ部にICカードのメモリ部を接触させることで、当該ICカードから情報を読み出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−060760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に示すような構成の携帯電話では、ICカードなどのカード型記録媒体の読み取り中でも着信可能であるため、電波の受信やその受信に応じた振動の発生等により携帯電話またはカード型記録媒体の故障の原因となる可能性がある。また、上述のような構成を有する携帯端末では、カード読取中でも当該携帯端末の操作が可能である場合には、このような操作も故障の原因となる可能性がある。上述のような故障をなくすために、携帯端末に、カード型記録媒体との通信時に当該カード型記録媒体を挟み込むように保持しこの保持中に所定の処理を制限する保持装置を設けると、処理が複雑になるだけでなく携帯端末の小型化が困難になる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、大型化や複雑化、突起形状を招くことなく通信対象のカード型記録媒体を保持し得る保持機構を有する折畳み式携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の折畳み式携帯端末では、第1筐体および第2筐体が折畳み可能に連結され、カード型記録媒体と通信するための通信手段を備える折畳み式携帯端末であって、折畳み状態時に互いに対向する前記第1筐体の第1対向面と前記第2筐体の第2対向面との少なくとも一方には操作部が設けられ、前記第1対向面および前記第2対向面の外縁には、折畳み状態時にこれら両対向面間に挿入された前記カード型記録媒体を挟持する挟持部が、前記両対向面の少なくとも一方に形成される溝部により構成されて配置され、前記挟持部には、前記通信手段が配置されることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の折畳み式携帯端末において、前記溝部は、前記カード型記録媒体を前記通信手段に対して位置決めするための段部を有することを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の折畳み式携帯端末において、前記カード型記録媒体は、磁気ストライプを有する磁気カードであり、前記通信手段は、スライドする前記磁気ストライプに接触することで前記磁気カードと通信する磁気ヘッドを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1または2に記載の折畳み式携帯端末において、前記カード型記録媒体は、カード側端子を有する接触式ICカードであり、前記通信手段は、前記カード側端子に接触することで前記接触式ICカードと通信する端末側端子を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1または2に記載の折畳み式携帯端末において、前記カード型記録媒体は、非接触式ICカードであり、前記通信手段は、前記非接触式ICカードと通信する送受信アンテナを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の折畳み式携帯端末において、前記通信手段は、複数種類のカード型記録媒体と通信するためにこれら各カード型記録媒体にそれぞれ対応する通信部を複数備えることを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の折畳み式携帯端末において、前記第1対向面と前記第2対向面とが離間する開状態時に前記通信手段を保護する保護部材を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の折畳み式携帯端末において、前記第1対向面および前記第2対向面が対向する折畳み状態と離間する開状態とのいずれかの状態を検知する検知手段を備え、前記通信手段は、前記検知手段により前記開状態から前記折畳み状態への変化が検知されると、前記カード型記録媒体に対して通信可能状態になることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明では、第1筐体の第1対向面および第2筐体の第2対向面の外縁には、折畳み状態時にこれら両対向面間に挿入されたカード型記録媒体を挟持する挟持部が、両対向面の少なくとも一方に形成される溝部により構成されて配置される。そして、この挟持部には、カード型記録媒体と通信するための通信手段が配置される。
【0015】
このように、折畳み状態時に溝部によって構成される挟持部によりカード型記録媒体が挟持されるため、通信時にカード型記録媒体を保持するスリット等の保持機構を別途設ける必要がなく、対向面の外縁の適所に上記溝部を形成すればよいので、上記挟持部を設けることによる当該携帯端末の大型化を抑制することができる。さらに、カード型記録媒体と通信する場合には両対向面を折畳む必要があるので、特別な処理や機構を設けることなく、カード型記録媒体との通信時に対向面の操作部が操作されることを防止することができる。
したがって、大型化や複雑化等を招くことなく通信対象のカード型記録媒体を保持することができる。
【0016】
請求項2の発明では、溝部には、カード型記録媒体を通信手段に対して位置決めするための段部が設けられるので、挟持部による挟持状態のカード型記録媒体を段部に接触等させることで、当該カード型記録媒体を通信手段に対して確実に位置決めすることができる。
【0017】
請求項3の発明では、カード型記録媒体は、磁気ストライプを有する磁気カードであり、通信手段は、スライドする磁気ストライプに接触することで当該磁気カードと通信する磁気ヘッドを備えている。このように通信対象が磁気カードであっても挟持部の適所に磁気ヘッドを配置することで、挟持部にて挟持されながらスライドする磁気カードの磁気ストライプと磁気ヘッドとが接触するので、保持された磁気カードと円滑に通信することができる。
【0018】
請求項4の発明では、カード型記録媒体は、カード側端子を有する接触式ICカードであり、通信手段は、カード側端子に接触することで当該接触式ICカードと通信する端末側端子を備えている。このように通信対象が接触式ICカードであっても挟持部の適所に端末側端子を配置することで、挟持部による挟持時にカード側端子および端末側端子が接触するので、保持された接触式ICカードと円滑に通信することができる。
【0019】
請求項5の発明では、カード型記録媒体は、非接触式ICカードであり、通信手段は、当該非接触式ICカードと通信する送受信アンテナを備えている。このように通信対象が非接触式ICカードであっても、挟持部による挟持時に送受信アンテナを介して当該非接触式ICカードと通信することで、保持された非接触式ICカードと円滑に通信することができる。
【0020】
請求項6の発明では、通信手段は、例えば、磁気カードや接触式ICカードおよび非接触式ICカードのように複数種類のカード型記録媒体と通信するために、これら各カード型記録媒体にそれぞれ対応する通信部、例えば、上述した磁気ヘッドや端末側端子および送受信アンテナ等を複数備えている。これにより、1つの端末で複数種類のカード型記録媒体と通信する場合であっても、通信対象のカード型記録媒体を挟持部により保持することができる。
【0021】
請求項7の発明では、第1対向面と第2対向面とが離間する開状態時に通信手段を保護する保護部材が設けられている。これにより、操作部の操作時等に第1対向面と第2対向面とを離間させる場合であっても、保護部材により通信手段を確実に保護することができる。
【0022】
請求項8の発明では、第1対向面および第2対向面が対向する折畳み状態と離間する開状態とのいずれかの状態を検知する検知手段が設けられており、通信手段は、検知手段により開状態から折畳み状態への変化が検知されると、カード型記録媒体に対して通信可能状態になる。
【0023】
カード型記録媒体に対して通信が必要になる場合は、主に、両対向面を離間させた開状態にて操作手段に対して所定の操作がなされた後である。そのため、検知手段による開状態から折畳み状態への変化の検知により、操作手段に対して所定の操作がなされたことが推定されてカード型記録媒体に対して通信可能状態になることで、常に通信可能状態に待機する場合と比較して、消費電力の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本第1実施形態に係る携帯端末を示す正面図である。
【図2】図2(A)は、携帯端末の折畳み状態を示す斜視図であり、図2(B)は、携帯端末の開状態を示す斜視図である。
【図3】携帯端末の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【図4】磁気ストライプと磁気ヘッドとの接触時における挟持部による挟持状態を示す一部断面図である。
【図5】磁気カードとの通信時の状態を示す斜視図である。
【図6】本第2実施形態に係る携帯端末を示す正面図である。
【図7】カード側端子と端末側端子との接触時における挟持部による挟持状態を示す一部断面図である。
【図8】接触式ICカードとの通信時の状態を示す斜視図である。
【図9】本第3実施形態に係る携帯端末を示す正面図である。
【図10】非接触式ICカードとの通信時における挟持部による挟持状態を示す一部断面図である。
【図11】非接触式ICカードとの通信時の状態を示す斜視図である。
【図12】本第4実施形態に係る携帯端末の要部を示す正面図である。
【図13】本第5実施形態に係る携帯端末の要部を示す説明であり、図13(A)は折畳み状態を示し、図13(B)は折畳み状態から開状態へ変化する状態を示し、図13(C)は保護状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1実施形態]
以下、本発明の折畳み式の携帯端末を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本第1実施形態に係る携帯端末10は、飲食店などで顧客からのオーダをテーブルにて受付可能なオーダ端末であり、かつ、カード型記録媒体として磁気カード31によるカード決済が可能な決済端末として使用されるものである。当該携帯端末10は、図1および図2に示すように、第1筐体11と第2筐体12とがヒンジ13により折畳み可能に連結されることで、折畳み式携帯端末として構成されている。なお、図2では、便宜上、表示部23等の構成部品の一部を省略して示している。
【0026】
第1筐体11および第2筐体12は、折畳み状態時に第1対向面11aおよび第2対向面12aにて互いに対向する。これら第1対向面11aおよび第2対向面12aには、オーダ受付時などに所定の情報を入力するための操作部22を構成する複数のキーが配置されており、特に、第1対向面11aには、オーダに関する情報などを表示する液晶画面等の表示部23が配置されている。
【0027】
また、第2対向面12aの外縁近傍には、段部14bにより、複数のキーが配置される面よりも低く形成される溝部14aが形成されている。この溝部14aは、第1対向面11aとにより、両対向面11a,12aの折畳み状態時にこれら両対向面11a,12a間に挿入された磁気カード31をスライド可能に挟持する挟持部14として機能する。ここで、溝部14aの深さ(段部14bの高さ)は、両対向面11a,12a間に挿入された磁気カード31がスライドする場合でも当該磁気カード31を挟持可能な寸法に設定されている。
【0028】
また、図3に示すように、携帯端末10は、第1筐体11および第2筐体12の内部に回路部20とこの回路部20を構成する各種電気部品の電源として機能する電源装置28とが収容されてなるものである。回路部20は、全体的制御を司る制御部21と、上記操作部22および表示部23と、カード読取部24と、通信部25と、検知スイッチ26とを備えている。
【0029】
制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インターフェース等を有し、メモリ27とともに情報処理装置として機能する。メモリ27は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当し、オーダに関する処理等を実行可能な所定のプログラムや、表示部23およびカード読取部24等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラムなどが予め格納されている。
【0030】
カード読取部24は、スライドする磁気カード31の磁気ストライプ31aに接触することで当該磁気カード31と通信可能な磁気ヘッド24aを備えている。この磁気ヘッド24aは、挟持部14に挿入した磁気カード31を段部14bに接触させた状態でスライドさせるときに、磁気ストライプ31aに接触するように溝部14aに配置されている(図1参照)。なお、カード読取部24および磁気ヘッド24aは、特許請求の範囲に記載の「通信手段」の一例に相当し得る。
【0031】
通信部25は、外部機器と無線通信を行なうための無線通信手段として機能するもので、店内のオーダ情報を集計して処理するサーバーや、決済関連情報を集計して処理するサーバー等に対して、オーダ情報や決済関連情報等を無線通信可能に構成されている。
【0032】
検知スイッチ26は、第1対向面11aおよび第2対向面12aが対向する折畳み状態と、両対向面11a,12aが離間する開状態とのいずれかの状態を検知する検知手段として機能するものである。この検知スイッチ26は、第2対向面12aに形成される貫通穴から突出する突起26aが第1対向面11aにより押圧されるか否かを検出することで、折畳み状態および開状態のいずれかの状態を検知するように構成されている。この検知スイッチ26により、制御部21に対して、折畳み状態では折畳み信号が出力され、開状態では開信号が出力されることとなる。なお、検知スイッチ26は、特許請求の範囲に記載の「検知手段」の一例に相当し得る。
【0033】
次に、本第1実施形態に係る携帯端末10の作用効果について説明する。ここで、図4は、磁気ストライプ31aと磁気ヘッド24aとの接触時における挟持部14による挟持状態を示す一部断面図である。また、図5は、磁気カード31との通信時の状態を示す斜視図である。
【0034】
テーブルでのオーダの注文時には、店員である使用者が第1対向面11aおよび第2対向面12aを開状態にして、顧客が要求するオーダに対応する操作が操作部22に対して実施される。これにより、オーダ情報が、制御部21により制御されて通信部25を介して所定のサーバーに無線送信される。このとき、オーダ情報等が表示部23に表示されてもよい。
【0035】
また、テーブルにて顧客が所有する磁気カード31を使用した決済を希望する場合には、使用者が第1対向面11aおよび第2対向面12aを開状態にして、決済対象を確定するための操作が操作部22に対して実施される。そして、使用者が第1対向面11aおよび第2対向面12aを折畳み状態にすると、カード読取部24が通信可能状態になる。これは、本第1実施形態では、検知スイッチ26により制御部21に対して出力される信号が開信号から折畳み信号に変化する状態、すなわち、開状態から折畳み状態への変化が検知されると、カード読取部24が自動的に通信可能状態になるからである。
【0036】
折畳み状態では、第2対向面12aの溝部14aと第1対向面11aとにより挟持部14が構成される。図4および図5に示すように、この挟持部14に決済用の磁気カード31を段部14bに接触するまで挿入することで、当該磁気カード31が挟持部14により挟持された状態で磁気ストライプ31aが磁気ヘッド24aに接触する。この状態で、図5に示すように、矢印α1方向に、磁気カード31を挟持部14に対してスライドさせることで、磁気ストライプ31aがスライドしながら磁気ヘッド24aに接触する。これにより、磁気カード31の決済関連情報が取得されて、この決済関連情報が支払い情報とともに制御部21により制御されて通信部25を介して所定のサーバーに無線送信される。そして、このサーバーから通信部25を介して決済済み情報が受信されると、決済処理が完了する。
【0037】
以上説明したように、本第1実施形態に係る携帯端末10では、カード決済を行なうカード型記録媒体として磁気カード31を通信対象としている。第1筐体11の第1対向面11aおよび第2筐体12の第2対向面12aの外縁には、折畳み状態時にこれら両対向面11a,12a間に挿入された磁気カード31を挟持する挟持部14が、第2対向面12aの溝部14aと第1対向面11aとにより構成されて配置される。そして、この挟持部14には、スライドする磁気ストライプ31aに接触することで磁気カード31と通信する磁気ヘッド24aが配置されている。
【0038】
このように、折畳み状態時に構成される挟持部14により磁気カード31が挟持されるため、通信時に磁気カード31を保持するスリット等の保持機構を別途設ける必要がなく、第2対向面12aの外縁の適所に上記溝部14aを形成すればよいので、上記挟持部14を設けることによる当該携帯端末10の大型化を抑制することができる。さらに、磁気カード31と通信する場合には両対向面11a,12aを折畳む必要があるので、特別な処理や機構を設けることなく、磁気カード31との通信時に操作部22が操作されることを防止することができる。
したがって、大型化や複雑化等を招くことなく通信対象の磁気カード31を保持することができる。
【0039】
また、本第1実施形態に係る携帯端末10では、溝部14aには、磁気カード31の磁気ストライプ31aを磁気ヘッド24aに対して位置決めするための段部14bが設けられている。これにより、挟持部14による挟持状態の磁気カード31を段部14bに接触させるまで挿入することで、当該磁気カード31の磁気ストライプ31aを磁気ヘッド24aに対して確実に位置決めすることができる。
【0040】
さらに、本第1実施形態に係る携帯端末10では、折畳み状態および開状態とのいずれかの状態を検知する検知スイッチ26が設けられており、カード読取部24は、検知スイッチ26により開状態から折畳み状態への変化が検知されると、磁気カード31に対して通信可能状態になる。
【0041】
磁気カード31に対して通信が必要になる場合は、主に、両対向面11a,12aを離間させた開状態にて操作部22に対して所定の操作がなされた後である。そのため、検知スイッチ26による開状態から折畳み状態への変化の検知により、操作部22に対して所定の操作がなされたことが推定されて磁気カード31に対して通信可能状態になることで、常に通信可能状態に待機する場合と比較して、消費電力の低減を図ることができる。
【0042】
[第2実施形態]
次に、本発明の折畳み式の携帯端末を具現化した第2実施形態について、図6〜図8を参照して説明する。図6は、本第2実施形態に係る携帯端末10aを示す正面図である。図7は、カード側端子41aと端末側端子43との接触時における挟持部42による挟持状態を示す一部断面図である。図8は、接触式ICカード41との通信時の状態を示す斜視図である。
【0043】
本第2実施形態に係る携帯端末10aは、カード決済を行なうカード型記録媒体として接触式ICカード41が通信対象であり、挟持部14および磁気ヘッド24aに代えて挟持部42および端末側端子43を採用する点が、上記第1実施形態に係る携帯端末と異なる。したがって、上述した第1実施形態の携帯端末と実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0044】
図6に示すように、第2対向面12aの外縁近傍には、段部42bにより、複数のキーが配置される面よりも低く形成される溝部42aが形成されている。この溝部42aは、第1対向面11aとにより、両対向面11a,12aの折畳み状態時にこれら両対向面11a,12a間に挿入された接触式ICカード41を挟持する挟持部42として機能する。ここで、溝部42aの深さ(段部42bの高さ)は、両対向面11a,12a間に挿入された接触式ICカード41を挟持可能な寸法に設定されている。
【0045】
カード読取部24は、接触式ICカード41のカード側端子41aに接触することで当該接触式ICカード41と通信可能な端末側端子43を備えている。この端末側端子43は、挟持部42に挿入した接触式ICカード41を段部42bに接触させるときに、カード側端子41aに接触するように溝部42aに配置されている。なお、カード読取部24および端末側端子43は、特許請求の範囲に記載の「通信手段」の一例に相当し得る。
【0046】
次に、本第2実施形態に係る携帯端末10aの作用効果について説明する。
テーブルにて顧客が所有する接触式ICカード41を使用した決済を希望する場合には、使用者が第1対向面11aおよび第2対向面12aを開状態にして、決済対象を確定するための操作が操作部22に対して実施される。そして、使用者が第1対向面11aおよび第2対向面12aを折畳み状態にすると、上記第1実施形態と同様に、カード読取部24が通信可能状態になる。
【0047】
折畳み状態では、第2対向面12aの溝部42aと第1対向面11aとにより挟持部42が構成される。この挟持部42に決済用の接触式ICカード41を、図8の矢印α2方向へ段部42bに接触するまで挿入することで、図7および図8に示すように、当該接触式ICカード41が挟持部42により挟持された状態でカード側端子41aが端末側端子43に接触する。これにより、接触式ICカード41の決済関連情報が取得されて、この決済関連情報が支払い情報とともに制御部21により制御されて通信部25を介して所定のサーバーに無線送信される。そして、このサーバーから通信部25を介して決済済み情報が受信されると、決済処理が完了する。
【0048】
以上説明したように、本第2実施形態に係る携帯端末10aでは、カード型記録媒体は、カード側端子41aを有する接触式ICカード41であり、カード読取部24は、カード側端子41aに接触することで当該接触式ICカード41と通信する端末側端子43を備えている。このように通信対象が接触式ICカード41であっても挟持部42の適所に端末側端子43を配置することで、挟持部42による挟持時にカード側端子41aおよび端末側端子43が接触するので、保持された接触式ICカード41と円滑に通信することができる。
【0049】
[第3実施形態]
次に、本発明の折畳み式の携帯端末を具現化した第3実施形態について、図9〜図11を参照して説明する。図9は、本第3実施形態に係る携帯端末10bを示す正面図である。図10は、非接触式ICカード51との通信時における挟持部14による挟持状態を示す一部断面図である。図11は、非接触式ICカード51との通信時の状態を示す斜視図である。
【0050】
本第3実施形態に係る携帯端末10bは、カード決済を行なうカード型記録媒体として非接触式ICカード51が通信対象であり、磁気ヘッド24aに代えて送受信アンテナ52を採用する点が、上記第1実施形態に係る携帯端末と異なる。したがって、上述した第1実施形態の携帯端末と実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0051】
カード読取部24は、非接触式ICカード51の送受信アンテナ51aを介して当該非接触式ICカード51と無線通信可能な送受信アンテナ52を備えている。この送受信アンテナ52は、図9および図10に示すように、挟持部14に挿入して挟持された非接触式ICカード51と無線通信可能に、溝部14a近傍の第2筐体12内に配置されている。なお、カード読取部24および送受信アンテナ52は、特許請求の範囲に記載の「通信手段」の一例に相当し得る。
【0052】
次に、本第3実施形態に係る携帯端末10bの作用効果について説明する。
テーブルにて顧客が所有する非接触式ICカード51を使用した決済を希望する場合には、使用者が第1対向面11aおよび第2対向面12aを開状態にして、決済対象を確定するための操作が操作部22に対して実施される。そして、使用者が第1対向面11aおよび第2対向面12aを折畳み状態にすると、上記第1実施形態と同様に、カード読取部24が通信可能状態になる。
【0053】
折畳み状態では、第2対向面12aの溝部42aと第1対向面11aとにより挟持部14が構成される。この挟持部14に決済用の非接触式ICカード51を、図11の矢印α3方向へ段部14bに接触するまで挿入することで、図10および図11に示すように、当該非接触式ICカード51が挟持部42により挟持される。この挟持状態で、送受信アンテナ51aおよび送受信アンテナ52を介して、非接触式ICカード51と無線通信がなされる。これにより、非接触式ICカード51の決済関連情報が取得されて、この決済関連情報が支払い情報とともに制御部21により制御されて通信部25を介して所定のサーバーに無線送信される。そして、このサーバーから通信部25を介して決済済み情報が受信されると、決済処理が完了する。
【0054】
以上説明したように、本第3実施形態に係る携帯端末10bでは、カード型記録媒体は、非接触式ICカード51であり、カード読取部24は、当該非接触式ICカード51と通信する送受信アンテナ52を備えている。このように通信対象が非接触式ICカード51であっても、挟持部14による挟持時に送受信アンテナ52を介して当該非接触式ICカード51と通信することで、保持された非接触式ICカード51と円滑に通信することができる。
【0055】
[第4実施形態]
次に、本発明の折畳み式の携帯端末を具現化した第4実施形態について、図12を参照して説明する。図12は、本第4実施形態に係る携帯端末10cの要部を示す正面図である。
本第4実施形態に係る携帯端末10cは、カード決済を行なうカード型記録媒体として上記各実施形態にて述べた磁気カード31、接触式ICカード41および非接触式ICカード51が通信対象である。当該携帯端末10cは、図12に示すように、磁気ヘッド24aに加えて上述した端末側端子43および送受信アンテナ52を新たに採用するとともに、溝部14aに代えて上述した段部14bおよび段部42b等からなる溝部60が形成される点が、上記第1実施形態に係る携帯端末と異なる。
【0056】
溝部60には、上記各実施形態に対応する位置にて、磁気ヘッド24a、端末側端子43および送受信アンテナ52が配置されている。これにより、1つの端末で上記3種類のカード型記録媒体と通信する場合であっても、通信対象のカード型記録媒体を溝部60および第1対向面11aにより構成される挟持部により保持することができる。
【0057】
[第5実施形態]
次に、本発明の折畳み式の携帯端末を具現化した第5実施形態について、図13を参照して説明する。図13は、本第5実施形態に係る携帯端末10dの要部を示す説明であり、図13(A)は折畳み状態を示し、図13(B)は折畳み状態から開状態へ変化する状態を示し、図13(C)はカバーによる保護状態を示す。
本第5実施形態に係る携帯端末10dは、カバー70を新たに採用する点が、上記第1実施形態に係る携帯端末と異なる。したがって、上述した第1実施形態の携帯端末と実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0058】
カバー70は、開状態での磁気ヘッド24aを保護する保護部材として機能するもので連結部71と保護部72とを備えている。連結部71は、一側端部にて保護部72に連結されるとともに他側端部にて第1筐体11のヒンジ13近傍の端面に固定されており、図13(A)に示すように折畳み状態では、一側端部を除く部位が第2筐体12内に収容されている。そして、連結部71は、図13(B),(C)に示すように、第1対向面11aと第2対向面12aとが離間する開状態になると、第1筐体11に押し込まれるように一側端部をも第2筐体12内に収容されることとなる。
【0059】
また、保護部72は、図13(A)に示すように折畳み状態では、溝部14a近傍の第2筐体12内に収容されている。そして、保護部72は、図13(B),(C)に示すように、第1対向面11aと第2対向面12aとが離間する開状態になると、上述のように第2筐体12内に押し込まれた連結部71の押し込み量に応じて押し出されるようにして、磁気ヘッド24aを保護するように溝部14a内に露出する。
【0060】
このように、第1対向面11aと第2対向面12aとが離間する開状態時に磁気ヘッド24aを保護するカバー70が設けられているので、操作部22の操作時等に第1対向面11aと第2対向面12aとを離間させる場合であっても、カバー70により磁気ヘッド24aを確実に保護することができる。
【0061】
また、カバー70により開状態時に磁気ヘッド24aを保護することに限らず、開状態時に機構的または電子制御的に磁気ヘッド24aを保護する保護部材を設けてもよい。なお、この保護部材または上記カバー70により、上述した端末側端子43をも保護しても、同様の効果を奏する。
【0062】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記各実施形態と同等の作用・効果が得られる。
(1)挟持部14は、溝部14aが第2対向面12aに形成されることでこの溝部14aと第1対向面11aとにより構成されることに限らず、溝部14aが第1対向面11aに形成されることでこの溝部14aと第2対向面12aとにより構成されてもよいし、両対向面11a,12aの双方に形成される溝部により構成されてもよい。挟持部42などの他の挟持部についても同様である。
【0063】
(2)磁気ヘッド24aは、溝部14aに配置されることに限らず、挟持部14を構成する第1対向面11aの部位に配置されてもよい。また、端末側端子43は、溝部42aに配置されることに限らず、挟持部42を構成する第1対向面11aの部位に配置されてもよい。また、送受信アンテナ52は、溝部14a近傍の第2筐体12内に配置されることに限らず、挟持部14を構成する第1対向面11a近傍の第1筐体11内に配置されてもよい。
【0064】
(3)本発明は、磁気カード31や接触式ICカード41、非接触式ICカード51を通信対象とする携帯端末に適用されることに限らず、他のカード型記録媒体を通信対象とする携帯端末に適用されてもよい。
【0065】
(4)検知スイッチ26は、突起26aに作用する押圧力により折畳み状態および開状態のいずれかの状態を検知することに限らず、例えば、接触センサ等を用いることで、折畳み状態および開状態のいずれかの状態を検知してもよい。
【0066】
(5)検知スイッチ26により開状態から折畳み状態への変化が検知されることにより、カード読取部24を自動的に通信可能状態にすることに限らず、例えば、専用のスイッチを設けこのスイッチの操作に応じてカード読取部24を通信可能状態してもよい。また、使用状況に応じて、カード読取部24を、常時通信可能状態にしてもよい。
【0067】
(6)操作部22の複数のキーは、第1対向面11aおよび第2対向面12aの双方に設けられることに限らず、どちらか一方の対向面に配置されてもよい。また、操作部22は、複数のキーから構成されることに限らず、例えば、表示部23をタッチパネルとすることで構成されてもよい。
【符号の説明】
【0068】
10,10a,10b,10c,10d…携帯端末(折畳み式携帯端末)
11…第1筐体
11a…第1対向面
12…第2筐体
12a…第2対向面
14,42,…挟持部
14a,42a,60…溝部
14b,42b…段部
22…操作部
24…カード読取部(通信手段)
24a…磁気ヘッド(通信手段)
26…検知スイッチ(検知手段)
31…磁気カード(カード型記録媒体)
31a…磁気ストライプ
41…接触式ICカード(カード型記録媒体)
41a…カード側端子
43…端末側端子(通信手段)
51…非接触式ICカード(カード型記録媒体)
52…送受信アンテナ(通信手段)
70…カバー(保護部材)
71…連結部
72…保護部
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード型記録媒体と通信可能な折畳み式の携帯端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カード型記録媒体と通信可能な携帯端末に関する技術として、下記特許文献1に示す携帯電話が知られている。この携帯電話は、カバーを裏面側に引き出すことで開口したカード挿入口に対し、両側がカードガイド部で支持されたICカードを挿入してコネクタ部にICカードのメモリ部を接触させることで、当該ICカードから情報を読み出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−060760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に示すような構成の携帯電話では、ICカードなどのカード型記録媒体の読み取り中でも着信可能であるため、電波の受信やその受信に応じた振動の発生等により携帯電話またはカード型記録媒体の故障の原因となる可能性がある。また、上述のような構成を有する携帯端末では、カード読取中でも当該携帯端末の操作が可能である場合には、このような操作も故障の原因となる可能性がある。上述のような故障をなくすために、携帯端末に、カード型記録媒体との通信時に当該カード型記録媒体を挟み込むように保持しこの保持中に所定の処理を制限する保持装置を設けると、処理が複雑になるだけでなく携帯端末の小型化が困難になる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、大型化や複雑化、突起形状を招くことなく通信対象のカード型記録媒体を保持し得る保持機構を有する折畳み式携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の折畳み式携帯端末では、第1筐体および第2筐体が折畳み可能に連結され、カード型記録媒体と通信するための通信手段を備える折畳み式携帯端末であって、折畳み状態時に互いに対向する前記第1筐体の第1対向面と前記第2筐体の第2対向面との少なくとも一方には操作部が設けられ、前記第1対向面および前記第2対向面の外縁には、折畳み状態時にこれら両対向面間に挿入された前記カード型記録媒体を挟持する挟持部が、前記両対向面の少なくとも一方に形成される溝部により構成されて配置され、前記挟持部には、前記通信手段が配置されることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の折畳み式携帯端末において、前記溝部は、前記カード型記録媒体を前記通信手段に対して位置決めするための段部を有することを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の折畳み式携帯端末において、前記カード型記録媒体は、磁気ストライプを有する磁気カードであり、前記通信手段は、スライドする前記磁気ストライプに接触することで前記磁気カードと通信する磁気ヘッドを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1または2に記載の折畳み式携帯端末において、前記カード型記録媒体は、カード側端子を有する接触式ICカードであり、前記通信手段は、前記カード側端子に接触することで前記接触式ICカードと通信する端末側端子を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1または2に記載の折畳み式携帯端末において、前記カード型記録媒体は、非接触式ICカードであり、前記通信手段は、前記非接触式ICカードと通信する送受信アンテナを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の折畳み式携帯端末において、前記通信手段は、複数種類のカード型記録媒体と通信するためにこれら各カード型記録媒体にそれぞれ対応する通信部を複数備えることを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の折畳み式携帯端末において、前記第1対向面と前記第2対向面とが離間する開状態時に前記通信手段を保護する保護部材を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の折畳み式携帯端末において、前記第1対向面および前記第2対向面が対向する折畳み状態と離間する開状態とのいずれかの状態を検知する検知手段を備え、前記通信手段は、前記検知手段により前記開状態から前記折畳み状態への変化が検知されると、前記カード型記録媒体に対して通信可能状態になることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明では、第1筐体の第1対向面および第2筐体の第2対向面の外縁には、折畳み状態時にこれら両対向面間に挿入されたカード型記録媒体を挟持する挟持部が、両対向面の少なくとも一方に形成される溝部により構成されて配置される。そして、この挟持部には、カード型記録媒体と通信するための通信手段が配置される。
【0015】
このように、折畳み状態時に溝部によって構成される挟持部によりカード型記録媒体が挟持されるため、通信時にカード型記録媒体を保持するスリット等の保持機構を別途設ける必要がなく、対向面の外縁の適所に上記溝部を形成すればよいので、上記挟持部を設けることによる当該携帯端末の大型化を抑制することができる。さらに、カード型記録媒体と通信する場合には両対向面を折畳む必要があるので、特別な処理や機構を設けることなく、カード型記録媒体との通信時に対向面の操作部が操作されることを防止することができる。
したがって、大型化や複雑化等を招くことなく通信対象のカード型記録媒体を保持することができる。
【0016】
請求項2の発明では、溝部には、カード型記録媒体を通信手段に対して位置決めするための段部が設けられるので、挟持部による挟持状態のカード型記録媒体を段部に接触等させることで、当該カード型記録媒体を通信手段に対して確実に位置決めすることができる。
【0017】
請求項3の発明では、カード型記録媒体は、磁気ストライプを有する磁気カードであり、通信手段は、スライドする磁気ストライプに接触することで当該磁気カードと通信する磁気ヘッドを備えている。このように通信対象が磁気カードであっても挟持部の適所に磁気ヘッドを配置することで、挟持部にて挟持されながらスライドする磁気カードの磁気ストライプと磁気ヘッドとが接触するので、保持された磁気カードと円滑に通信することができる。
【0018】
請求項4の発明では、カード型記録媒体は、カード側端子を有する接触式ICカードであり、通信手段は、カード側端子に接触することで当該接触式ICカードと通信する端末側端子を備えている。このように通信対象が接触式ICカードであっても挟持部の適所に端末側端子を配置することで、挟持部による挟持時にカード側端子および端末側端子が接触するので、保持された接触式ICカードと円滑に通信することができる。
【0019】
請求項5の発明では、カード型記録媒体は、非接触式ICカードであり、通信手段は、当該非接触式ICカードと通信する送受信アンテナを備えている。このように通信対象が非接触式ICカードであっても、挟持部による挟持時に送受信アンテナを介して当該非接触式ICカードと通信することで、保持された非接触式ICカードと円滑に通信することができる。
【0020】
請求項6の発明では、通信手段は、例えば、磁気カードや接触式ICカードおよび非接触式ICカードのように複数種類のカード型記録媒体と通信するために、これら各カード型記録媒体にそれぞれ対応する通信部、例えば、上述した磁気ヘッドや端末側端子および送受信アンテナ等を複数備えている。これにより、1つの端末で複数種類のカード型記録媒体と通信する場合であっても、通信対象のカード型記録媒体を挟持部により保持することができる。
【0021】
請求項7の発明では、第1対向面と第2対向面とが離間する開状態時に通信手段を保護する保護部材が設けられている。これにより、操作部の操作時等に第1対向面と第2対向面とを離間させる場合であっても、保護部材により通信手段を確実に保護することができる。
【0022】
請求項8の発明では、第1対向面および第2対向面が対向する折畳み状態と離間する開状態とのいずれかの状態を検知する検知手段が設けられており、通信手段は、検知手段により開状態から折畳み状態への変化が検知されると、カード型記録媒体に対して通信可能状態になる。
【0023】
カード型記録媒体に対して通信が必要になる場合は、主に、両対向面を離間させた開状態にて操作手段に対して所定の操作がなされた後である。そのため、検知手段による開状態から折畳み状態への変化の検知により、操作手段に対して所定の操作がなされたことが推定されてカード型記録媒体に対して通信可能状態になることで、常に通信可能状態に待機する場合と比較して、消費電力の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本第1実施形態に係る携帯端末を示す正面図である。
【図2】図2(A)は、携帯端末の折畳み状態を示す斜視図であり、図2(B)は、携帯端末の開状態を示す斜視図である。
【図3】携帯端末の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【図4】磁気ストライプと磁気ヘッドとの接触時における挟持部による挟持状態を示す一部断面図である。
【図5】磁気カードとの通信時の状態を示す斜視図である。
【図6】本第2実施形態に係る携帯端末を示す正面図である。
【図7】カード側端子と端末側端子との接触時における挟持部による挟持状態を示す一部断面図である。
【図8】接触式ICカードとの通信時の状態を示す斜視図である。
【図9】本第3実施形態に係る携帯端末を示す正面図である。
【図10】非接触式ICカードとの通信時における挟持部による挟持状態を示す一部断面図である。
【図11】非接触式ICカードとの通信時の状態を示す斜視図である。
【図12】本第4実施形態に係る携帯端末の要部を示す正面図である。
【図13】本第5実施形態に係る携帯端末の要部を示す説明であり、図13(A)は折畳み状態を示し、図13(B)は折畳み状態から開状態へ変化する状態を示し、図13(C)は保護状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1実施形態]
以下、本発明の折畳み式の携帯端末を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本第1実施形態に係る携帯端末10は、飲食店などで顧客からのオーダをテーブルにて受付可能なオーダ端末であり、かつ、カード型記録媒体として磁気カード31によるカード決済が可能な決済端末として使用されるものである。当該携帯端末10は、図1および図2に示すように、第1筐体11と第2筐体12とがヒンジ13により折畳み可能に連結されることで、折畳み式携帯端末として構成されている。なお、図2では、便宜上、表示部23等の構成部品の一部を省略して示している。
【0026】
第1筐体11および第2筐体12は、折畳み状態時に第1対向面11aおよび第2対向面12aにて互いに対向する。これら第1対向面11aおよび第2対向面12aには、オーダ受付時などに所定の情報を入力するための操作部22を構成する複数のキーが配置されており、特に、第1対向面11aには、オーダに関する情報などを表示する液晶画面等の表示部23が配置されている。
【0027】
また、第2対向面12aの外縁近傍には、段部14bにより、複数のキーが配置される面よりも低く形成される溝部14aが形成されている。この溝部14aは、第1対向面11aとにより、両対向面11a,12aの折畳み状態時にこれら両対向面11a,12a間に挿入された磁気カード31をスライド可能に挟持する挟持部14として機能する。ここで、溝部14aの深さ(段部14bの高さ)は、両対向面11a,12a間に挿入された磁気カード31がスライドする場合でも当該磁気カード31を挟持可能な寸法に設定されている。
【0028】
また、図3に示すように、携帯端末10は、第1筐体11および第2筐体12の内部に回路部20とこの回路部20を構成する各種電気部品の電源として機能する電源装置28とが収容されてなるものである。回路部20は、全体的制御を司る制御部21と、上記操作部22および表示部23と、カード読取部24と、通信部25と、検知スイッチ26とを備えている。
【0029】
制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インターフェース等を有し、メモリ27とともに情報処理装置として機能する。メモリ27は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当し、オーダに関する処理等を実行可能な所定のプログラムや、表示部23およびカード読取部24等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラムなどが予め格納されている。
【0030】
カード読取部24は、スライドする磁気カード31の磁気ストライプ31aに接触することで当該磁気カード31と通信可能な磁気ヘッド24aを備えている。この磁気ヘッド24aは、挟持部14に挿入した磁気カード31を段部14bに接触させた状態でスライドさせるときに、磁気ストライプ31aに接触するように溝部14aに配置されている(図1参照)。なお、カード読取部24および磁気ヘッド24aは、特許請求の範囲に記載の「通信手段」の一例に相当し得る。
【0031】
通信部25は、外部機器と無線通信を行なうための無線通信手段として機能するもので、店内のオーダ情報を集計して処理するサーバーや、決済関連情報を集計して処理するサーバー等に対して、オーダ情報や決済関連情報等を無線通信可能に構成されている。
【0032】
検知スイッチ26は、第1対向面11aおよび第2対向面12aが対向する折畳み状態と、両対向面11a,12aが離間する開状態とのいずれかの状態を検知する検知手段として機能するものである。この検知スイッチ26は、第2対向面12aに形成される貫通穴から突出する突起26aが第1対向面11aにより押圧されるか否かを検出することで、折畳み状態および開状態のいずれかの状態を検知するように構成されている。この検知スイッチ26により、制御部21に対して、折畳み状態では折畳み信号が出力され、開状態では開信号が出力されることとなる。なお、検知スイッチ26は、特許請求の範囲に記載の「検知手段」の一例に相当し得る。
【0033】
次に、本第1実施形態に係る携帯端末10の作用効果について説明する。ここで、図4は、磁気ストライプ31aと磁気ヘッド24aとの接触時における挟持部14による挟持状態を示す一部断面図である。また、図5は、磁気カード31との通信時の状態を示す斜視図である。
【0034】
テーブルでのオーダの注文時には、店員である使用者が第1対向面11aおよび第2対向面12aを開状態にして、顧客が要求するオーダに対応する操作が操作部22に対して実施される。これにより、オーダ情報が、制御部21により制御されて通信部25を介して所定のサーバーに無線送信される。このとき、オーダ情報等が表示部23に表示されてもよい。
【0035】
また、テーブルにて顧客が所有する磁気カード31を使用した決済を希望する場合には、使用者が第1対向面11aおよび第2対向面12aを開状態にして、決済対象を確定するための操作が操作部22に対して実施される。そして、使用者が第1対向面11aおよび第2対向面12aを折畳み状態にすると、カード読取部24が通信可能状態になる。これは、本第1実施形態では、検知スイッチ26により制御部21に対して出力される信号が開信号から折畳み信号に変化する状態、すなわち、開状態から折畳み状態への変化が検知されると、カード読取部24が自動的に通信可能状態になるからである。
【0036】
折畳み状態では、第2対向面12aの溝部14aと第1対向面11aとにより挟持部14が構成される。図4および図5に示すように、この挟持部14に決済用の磁気カード31を段部14bに接触するまで挿入することで、当該磁気カード31が挟持部14により挟持された状態で磁気ストライプ31aが磁気ヘッド24aに接触する。この状態で、図5に示すように、矢印α1方向に、磁気カード31を挟持部14に対してスライドさせることで、磁気ストライプ31aがスライドしながら磁気ヘッド24aに接触する。これにより、磁気カード31の決済関連情報が取得されて、この決済関連情報が支払い情報とともに制御部21により制御されて通信部25を介して所定のサーバーに無線送信される。そして、このサーバーから通信部25を介して決済済み情報が受信されると、決済処理が完了する。
【0037】
以上説明したように、本第1実施形態に係る携帯端末10では、カード決済を行なうカード型記録媒体として磁気カード31を通信対象としている。第1筐体11の第1対向面11aおよび第2筐体12の第2対向面12aの外縁には、折畳み状態時にこれら両対向面11a,12a間に挿入された磁気カード31を挟持する挟持部14が、第2対向面12aの溝部14aと第1対向面11aとにより構成されて配置される。そして、この挟持部14には、スライドする磁気ストライプ31aに接触することで磁気カード31と通信する磁気ヘッド24aが配置されている。
【0038】
このように、折畳み状態時に構成される挟持部14により磁気カード31が挟持されるため、通信時に磁気カード31を保持するスリット等の保持機構を別途設ける必要がなく、第2対向面12aの外縁の適所に上記溝部14aを形成すればよいので、上記挟持部14を設けることによる当該携帯端末10の大型化を抑制することができる。さらに、磁気カード31と通信する場合には両対向面11a,12aを折畳む必要があるので、特別な処理や機構を設けることなく、磁気カード31との通信時に操作部22が操作されることを防止することができる。
したがって、大型化や複雑化等を招くことなく通信対象の磁気カード31を保持することができる。
【0039】
また、本第1実施形態に係る携帯端末10では、溝部14aには、磁気カード31の磁気ストライプ31aを磁気ヘッド24aに対して位置決めするための段部14bが設けられている。これにより、挟持部14による挟持状態の磁気カード31を段部14bに接触させるまで挿入することで、当該磁気カード31の磁気ストライプ31aを磁気ヘッド24aに対して確実に位置決めすることができる。
【0040】
さらに、本第1実施形態に係る携帯端末10では、折畳み状態および開状態とのいずれかの状態を検知する検知スイッチ26が設けられており、カード読取部24は、検知スイッチ26により開状態から折畳み状態への変化が検知されると、磁気カード31に対して通信可能状態になる。
【0041】
磁気カード31に対して通信が必要になる場合は、主に、両対向面11a,12aを離間させた開状態にて操作部22に対して所定の操作がなされた後である。そのため、検知スイッチ26による開状態から折畳み状態への変化の検知により、操作部22に対して所定の操作がなされたことが推定されて磁気カード31に対して通信可能状態になることで、常に通信可能状態に待機する場合と比較して、消費電力の低減を図ることができる。
【0042】
[第2実施形態]
次に、本発明の折畳み式の携帯端末を具現化した第2実施形態について、図6〜図8を参照して説明する。図6は、本第2実施形態に係る携帯端末10aを示す正面図である。図7は、カード側端子41aと端末側端子43との接触時における挟持部42による挟持状態を示す一部断面図である。図8は、接触式ICカード41との通信時の状態を示す斜視図である。
【0043】
本第2実施形態に係る携帯端末10aは、カード決済を行なうカード型記録媒体として接触式ICカード41が通信対象であり、挟持部14および磁気ヘッド24aに代えて挟持部42および端末側端子43を採用する点が、上記第1実施形態に係る携帯端末と異なる。したがって、上述した第1実施形態の携帯端末と実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0044】
図6に示すように、第2対向面12aの外縁近傍には、段部42bにより、複数のキーが配置される面よりも低く形成される溝部42aが形成されている。この溝部42aは、第1対向面11aとにより、両対向面11a,12aの折畳み状態時にこれら両対向面11a,12a間に挿入された接触式ICカード41を挟持する挟持部42として機能する。ここで、溝部42aの深さ(段部42bの高さ)は、両対向面11a,12a間に挿入された接触式ICカード41を挟持可能な寸法に設定されている。
【0045】
カード読取部24は、接触式ICカード41のカード側端子41aに接触することで当該接触式ICカード41と通信可能な端末側端子43を備えている。この端末側端子43は、挟持部42に挿入した接触式ICカード41を段部42bに接触させるときに、カード側端子41aに接触するように溝部42aに配置されている。なお、カード読取部24および端末側端子43は、特許請求の範囲に記載の「通信手段」の一例に相当し得る。
【0046】
次に、本第2実施形態に係る携帯端末10aの作用効果について説明する。
テーブルにて顧客が所有する接触式ICカード41を使用した決済を希望する場合には、使用者が第1対向面11aおよび第2対向面12aを開状態にして、決済対象を確定するための操作が操作部22に対して実施される。そして、使用者が第1対向面11aおよび第2対向面12aを折畳み状態にすると、上記第1実施形態と同様に、カード読取部24が通信可能状態になる。
【0047】
折畳み状態では、第2対向面12aの溝部42aと第1対向面11aとにより挟持部42が構成される。この挟持部42に決済用の接触式ICカード41を、図8の矢印α2方向へ段部42bに接触するまで挿入することで、図7および図8に示すように、当該接触式ICカード41が挟持部42により挟持された状態でカード側端子41aが端末側端子43に接触する。これにより、接触式ICカード41の決済関連情報が取得されて、この決済関連情報が支払い情報とともに制御部21により制御されて通信部25を介して所定のサーバーに無線送信される。そして、このサーバーから通信部25を介して決済済み情報が受信されると、決済処理が完了する。
【0048】
以上説明したように、本第2実施形態に係る携帯端末10aでは、カード型記録媒体は、カード側端子41aを有する接触式ICカード41であり、カード読取部24は、カード側端子41aに接触することで当該接触式ICカード41と通信する端末側端子43を備えている。このように通信対象が接触式ICカード41であっても挟持部42の適所に端末側端子43を配置することで、挟持部42による挟持時にカード側端子41aおよび端末側端子43が接触するので、保持された接触式ICカード41と円滑に通信することができる。
【0049】
[第3実施形態]
次に、本発明の折畳み式の携帯端末を具現化した第3実施形態について、図9〜図11を参照して説明する。図9は、本第3実施形態に係る携帯端末10bを示す正面図である。図10は、非接触式ICカード51との通信時における挟持部14による挟持状態を示す一部断面図である。図11は、非接触式ICカード51との通信時の状態を示す斜視図である。
【0050】
本第3実施形態に係る携帯端末10bは、カード決済を行なうカード型記録媒体として非接触式ICカード51が通信対象であり、磁気ヘッド24aに代えて送受信アンテナ52を採用する点が、上記第1実施形態に係る携帯端末と異なる。したがって、上述した第1実施形態の携帯端末と実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0051】
カード読取部24は、非接触式ICカード51の送受信アンテナ51aを介して当該非接触式ICカード51と無線通信可能な送受信アンテナ52を備えている。この送受信アンテナ52は、図9および図10に示すように、挟持部14に挿入して挟持された非接触式ICカード51と無線通信可能に、溝部14a近傍の第2筐体12内に配置されている。なお、カード読取部24および送受信アンテナ52は、特許請求の範囲に記載の「通信手段」の一例に相当し得る。
【0052】
次に、本第3実施形態に係る携帯端末10bの作用効果について説明する。
テーブルにて顧客が所有する非接触式ICカード51を使用した決済を希望する場合には、使用者が第1対向面11aおよび第2対向面12aを開状態にして、決済対象を確定するための操作が操作部22に対して実施される。そして、使用者が第1対向面11aおよび第2対向面12aを折畳み状態にすると、上記第1実施形態と同様に、カード読取部24が通信可能状態になる。
【0053】
折畳み状態では、第2対向面12aの溝部42aと第1対向面11aとにより挟持部14が構成される。この挟持部14に決済用の非接触式ICカード51を、図11の矢印α3方向へ段部14bに接触するまで挿入することで、図10および図11に示すように、当該非接触式ICカード51が挟持部42により挟持される。この挟持状態で、送受信アンテナ51aおよび送受信アンテナ52を介して、非接触式ICカード51と無線通信がなされる。これにより、非接触式ICカード51の決済関連情報が取得されて、この決済関連情報が支払い情報とともに制御部21により制御されて通信部25を介して所定のサーバーに無線送信される。そして、このサーバーから通信部25を介して決済済み情報が受信されると、決済処理が完了する。
【0054】
以上説明したように、本第3実施形態に係る携帯端末10bでは、カード型記録媒体は、非接触式ICカード51であり、カード読取部24は、当該非接触式ICカード51と通信する送受信アンテナ52を備えている。このように通信対象が非接触式ICカード51であっても、挟持部14による挟持時に送受信アンテナ52を介して当該非接触式ICカード51と通信することで、保持された非接触式ICカード51と円滑に通信することができる。
【0055】
[第4実施形態]
次に、本発明の折畳み式の携帯端末を具現化した第4実施形態について、図12を参照して説明する。図12は、本第4実施形態に係る携帯端末10cの要部を示す正面図である。
本第4実施形態に係る携帯端末10cは、カード決済を行なうカード型記録媒体として上記各実施形態にて述べた磁気カード31、接触式ICカード41および非接触式ICカード51が通信対象である。当該携帯端末10cは、図12に示すように、磁気ヘッド24aに加えて上述した端末側端子43および送受信アンテナ52を新たに採用するとともに、溝部14aに代えて上述した段部14bおよび段部42b等からなる溝部60が形成される点が、上記第1実施形態に係る携帯端末と異なる。
【0056】
溝部60には、上記各実施形態に対応する位置にて、磁気ヘッド24a、端末側端子43および送受信アンテナ52が配置されている。これにより、1つの端末で上記3種類のカード型記録媒体と通信する場合であっても、通信対象のカード型記録媒体を溝部60および第1対向面11aにより構成される挟持部により保持することができる。
【0057】
[第5実施形態]
次に、本発明の折畳み式の携帯端末を具現化した第5実施形態について、図13を参照して説明する。図13は、本第5実施形態に係る携帯端末10dの要部を示す説明であり、図13(A)は折畳み状態を示し、図13(B)は折畳み状態から開状態へ変化する状態を示し、図13(C)はカバーによる保護状態を示す。
本第5実施形態に係る携帯端末10dは、カバー70を新たに採用する点が、上記第1実施形態に係る携帯端末と異なる。したがって、上述した第1実施形態の携帯端末と実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0058】
カバー70は、開状態での磁気ヘッド24aを保護する保護部材として機能するもので連結部71と保護部72とを備えている。連結部71は、一側端部にて保護部72に連結されるとともに他側端部にて第1筐体11のヒンジ13近傍の端面に固定されており、図13(A)に示すように折畳み状態では、一側端部を除く部位が第2筐体12内に収容されている。そして、連結部71は、図13(B),(C)に示すように、第1対向面11aと第2対向面12aとが離間する開状態になると、第1筐体11に押し込まれるように一側端部をも第2筐体12内に収容されることとなる。
【0059】
また、保護部72は、図13(A)に示すように折畳み状態では、溝部14a近傍の第2筐体12内に収容されている。そして、保護部72は、図13(B),(C)に示すように、第1対向面11aと第2対向面12aとが離間する開状態になると、上述のように第2筐体12内に押し込まれた連結部71の押し込み量に応じて押し出されるようにして、磁気ヘッド24aを保護するように溝部14a内に露出する。
【0060】
このように、第1対向面11aと第2対向面12aとが離間する開状態時に磁気ヘッド24aを保護するカバー70が設けられているので、操作部22の操作時等に第1対向面11aと第2対向面12aとを離間させる場合であっても、カバー70により磁気ヘッド24aを確実に保護することができる。
【0061】
また、カバー70により開状態時に磁気ヘッド24aを保護することに限らず、開状態時に機構的または電子制御的に磁気ヘッド24aを保護する保護部材を設けてもよい。なお、この保護部材または上記カバー70により、上述した端末側端子43をも保護しても、同様の効果を奏する。
【0062】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記各実施形態と同等の作用・効果が得られる。
(1)挟持部14は、溝部14aが第2対向面12aに形成されることでこの溝部14aと第1対向面11aとにより構成されることに限らず、溝部14aが第1対向面11aに形成されることでこの溝部14aと第2対向面12aとにより構成されてもよいし、両対向面11a,12aの双方に形成される溝部により構成されてもよい。挟持部42などの他の挟持部についても同様である。
【0063】
(2)磁気ヘッド24aは、溝部14aに配置されることに限らず、挟持部14を構成する第1対向面11aの部位に配置されてもよい。また、端末側端子43は、溝部42aに配置されることに限らず、挟持部42を構成する第1対向面11aの部位に配置されてもよい。また、送受信アンテナ52は、溝部14a近傍の第2筐体12内に配置されることに限らず、挟持部14を構成する第1対向面11a近傍の第1筐体11内に配置されてもよい。
【0064】
(3)本発明は、磁気カード31や接触式ICカード41、非接触式ICカード51を通信対象とする携帯端末に適用されることに限らず、他のカード型記録媒体を通信対象とする携帯端末に適用されてもよい。
【0065】
(4)検知スイッチ26は、突起26aに作用する押圧力により折畳み状態および開状態のいずれかの状態を検知することに限らず、例えば、接触センサ等を用いることで、折畳み状態および開状態のいずれかの状態を検知してもよい。
【0066】
(5)検知スイッチ26により開状態から折畳み状態への変化が検知されることにより、カード読取部24を自動的に通信可能状態にすることに限らず、例えば、専用のスイッチを設けこのスイッチの操作に応じてカード読取部24を通信可能状態してもよい。また、使用状況に応じて、カード読取部24を、常時通信可能状態にしてもよい。
【0067】
(6)操作部22の複数のキーは、第1対向面11aおよび第2対向面12aの双方に設けられることに限らず、どちらか一方の対向面に配置されてもよい。また、操作部22は、複数のキーから構成されることに限らず、例えば、表示部23をタッチパネルとすることで構成されてもよい。
【符号の説明】
【0068】
10,10a,10b,10c,10d…携帯端末(折畳み式携帯端末)
11…第1筐体
11a…第1対向面
12…第2筐体
12a…第2対向面
14,42,…挟持部
14a,42a,60…溝部
14b,42b…段部
22…操作部
24…カード読取部(通信手段)
24a…磁気ヘッド(通信手段)
26…検知スイッチ(検知手段)
31…磁気カード(カード型記録媒体)
31a…磁気ストライプ
41…接触式ICカード(カード型記録媒体)
41a…カード側端子
43…端末側端子(通信手段)
51…非接触式ICカード(カード型記録媒体)
52…送受信アンテナ(通信手段)
70…カバー(保護部材)
71…連結部
72…保護部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体および第2筐体が折畳み可能に連結され、カード型記録媒体と通信するための通信手段を備える折畳み式携帯端末であって、
折畳み状態時に互いに対向する前記第1筐体の第1対向面と前記第2筐体の第2対向面との少なくとも一方には操作部が設けられ、
前記第1対向面および前記第2対向面の外縁には、折畳み状態時にこれら両対向面間に挿入された前記カード型記録媒体を挟持する挟持部が、前記両対向面の少なくとも一方に形成される溝部により構成されて配置され、
前記挟持部には、前記通信手段が配置されることを特徴とする折畳み式携帯端末。
【請求項2】
前記溝部は、前記カード型記録媒体を前記通信手段に対して位置決めするための段部を有することを特徴とする請求項1に記載の折畳み式携帯端末。
【請求項3】
前記カード型記録媒体は、磁気ストライプを有する磁気カードであり、
前記通信手段は、スライドする前記磁気ストライプに接触することで前記磁気カードと通信する磁気ヘッドを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の折畳み式携帯端末。
【請求項4】
前記カード型記録媒体は、カード側端子を有する接触式ICカードであり、
前記通信手段は、前記カード側端子に接触することで前記接触式ICカードと通信する端末側端子を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の折畳み式携帯端末。
【請求項5】
前記カード型記録媒体は、非接触式ICカードであり、
前記通信手段は、前記非接触式ICカードと通信する送受信アンテナを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の折畳み式携帯端末。
【請求項6】
前記通信手段は、複数種類のカード型記録媒体と通信するためにこれら各カード型記録媒体にそれぞれ対応する通信部を複数備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の折畳み式携帯端末。
【請求項7】
前記第1対向面と前記第2対向面とが離間する開状態時に前記通信手段を保護する保護部材を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の折畳み式携帯端末。
【請求項8】
前記第1対向面および前記第2対向面が対向する折畳み状態と離間する開状態とのいずれかの状態を検知する検知手段を備え、
前記通信手段は、前記検知手段により前記開状態から前記折畳み状態への変化が検知されると、前記カード型記録媒体に対して通信可能状態になることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の折畳み式携帯端末。
【請求項1】
第1筐体および第2筐体が折畳み可能に連結され、カード型記録媒体と通信するための通信手段を備える折畳み式携帯端末であって、
折畳み状態時に互いに対向する前記第1筐体の第1対向面と前記第2筐体の第2対向面との少なくとも一方には操作部が設けられ、
前記第1対向面および前記第2対向面の外縁には、折畳み状態時にこれら両対向面間に挿入された前記カード型記録媒体を挟持する挟持部が、前記両対向面の少なくとも一方に形成される溝部により構成されて配置され、
前記挟持部には、前記通信手段が配置されることを特徴とする折畳み式携帯端末。
【請求項2】
前記溝部は、前記カード型記録媒体を前記通信手段に対して位置決めするための段部を有することを特徴とする請求項1に記載の折畳み式携帯端末。
【請求項3】
前記カード型記録媒体は、磁気ストライプを有する磁気カードであり、
前記通信手段は、スライドする前記磁気ストライプに接触することで前記磁気カードと通信する磁気ヘッドを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の折畳み式携帯端末。
【請求項4】
前記カード型記録媒体は、カード側端子を有する接触式ICカードであり、
前記通信手段は、前記カード側端子に接触することで前記接触式ICカードと通信する端末側端子を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の折畳み式携帯端末。
【請求項5】
前記カード型記録媒体は、非接触式ICカードであり、
前記通信手段は、前記非接触式ICカードと通信する送受信アンテナを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の折畳み式携帯端末。
【請求項6】
前記通信手段は、複数種類のカード型記録媒体と通信するためにこれら各カード型記録媒体にそれぞれ対応する通信部を複数備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の折畳み式携帯端末。
【請求項7】
前記第1対向面と前記第2対向面とが離間する開状態時に前記通信手段を保護する保護部材を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の折畳み式携帯端末。
【請求項8】
前記第1対向面および前記第2対向面が対向する折畳み状態と離間する開状態とのいずれかの状態を検知する検知手段を備え、
前記通信手段は、前記検知手段により前記開状態から前記折畳み状態への変化が検知されると、前記カード型記録媒体に対して通信可能状態になることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の折畳み式携帯端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−166275(P2011−166275A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24202(P2010−24202)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
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