説明

折畳式収納箱

【課題】内折りヒンジを有する第1側壁と、底板を折畳可能に連結した第2側壁とを屈曲自在に連結した折畳式収納箱の改良に関する。
【解決手段】第1側壁2に、その内側に重なって固着され、前記一対のコーナーヒンジH2と重ならない個所で一方から前記内折りヒンジH1を超えて中途位置まで延びる長手支承板3と、他方から前記内折りヒンジを超えず箱組立時に前記長手支承板の端部と整合する位置まで延びる短手支承板4とを有しており、対向する第1側壁に設けられる前記長手支承板と短手支承板との配置が逆に設定されており、組立時に前記長手支承板と短手支承板の下部が、水平に展開された前記底板8の側端面と衝合して保持されていることを特徴とする折畳式収納箱1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内折りヒンジを有する第1側壁と、底板を折畳可能に連結した第2側壁とを屈曲自在に連結した合成樹脂製中空体シートからなる折畳式収納箱の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器の一方の方向に相対向して延在する側壁を中央で内側に折りたためるようにした折りたたみ可能な容器として、例えば特開平6−321233号では、中央部のヒンジにて縦方向に伸びる直線方向にて内側へ折り曲げ可能な第1の側壁と、両端部にて内側へ曲げた形状の断面がコの字状をなし、その下端の三つの辺に一体に結合した底部を有する第2の側壁とを夫々二つを交互に接続し、更に折り曲げ線により互いに接続されている一つの台形部分とその両側の三角形状分とよりなる二つの薄板状の底板を前記台形状部分が第2の側壁の底部の一辺にて又三角形状部分が第1の側壁の下端部にて折り曲げ可能に接続して一体にして底板を構成し、両底板が互いに接するようにして前記第1,第2の側壁と底板とで箱本体を構成し、前記第2の側壁の下部にその一辺を折り曲げ可能に取り付けた補強用底板を設け、吸収部を形成した構成が知られている。
しかし、上記構成では、一対の第1の側壁には容器の内向きに折れ曲がる中央部のヒンジを有しているため、組立時に平面状に展開した第1の側壁に外部から内向きに強い力が加わった場合には中央部のヒンジが内向きに折れ曲がる虞れがあり、そのため底板を台形状部分と台形状部分の斜辺に夫々接続する三角形状部分からなる互いに1辺にて接する二つの部分に分け、これら底板が側壁下端および台形状部分と三角形状部分の接続部より折れ曲がり内側へ折りたたまれる構成とする必要があり、構造が複雑化するという問題点がある。
また、特開平7−309338号では、前記断面コ字状となる第1の側壁側に内向きに折れ曲がる中央部のヒンジを設けることで、容器を折り畳んだときの容器の第2の側壁を含む横方向の全長が、同容器を組み立てたときの当該容器の第2の側壁を含む横方向の全長より小さくなるようする構成を採っている。
この場合、対向する第1の側壁にそれぞれ形成される中央部のヒンジは同一面状に揃っているので、第1の側壁の突部を底壁の両側端と衝合させて掛け止めており、底壁は2分割されて第1の側壁に折畳可能に連結されているので、底面中央で係止する必要があり、構造が複雑化すると共に、外部から大きな力が加わると掛止が外れて組立姿勢が崩れるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−321233号公報
【特許文献2】特開平7−309338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は上記問題点を解決するために、対向する第1側壁で同一面上に揃う内向きヒンジに対して長手支承板と短手支承板とで内向きヒンジ位置を覆うことで組立姿勢を保持する安定性に優れた折畳式収納箱を提供することを課題とするものである。
この発明の別の課題は、組立時に、水平に展開される底板を補助底壁で下から支えて底板の強度を高めることができる折畳式収納箱を提供することにある。
また、第2側壁を、第2側壁本体と第2補強側壁部とで形成し、該第2補強側壁部の下方に底板を連接することで、二重構造で強度に優れた折畳式収納箱を提供することができる。
更に、第2補強側壁部の上方に上蓋片を連接することで、箱の上部開口を塞ぐことができる折畳式収納箱を提供することができる。
また、前記補助底壁の下面に嵌合用突面部を設ければ、スタッキング可能な折畳式収納箱を提供しうる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決するために、請求項1の発明では、
断面四角形の縦又は横方向のいずれか一方に対向して設けられる一対の第1側壁と、縦又は横方向のいずれか他方に対向して設けられた第2側壁と、コーナー部近傍の第1側壁に設けられて前記第1側壁と第2側壁とを屈曲自在に連結する高さ方向に延びるコーナーヒンジと、前記第2側壁の下端に下部ヒンジを介して折曲可能に連設された底板とを有する合成樹脂製中空体の箱からなり、前記第1側壁が中央で高さ方向に延びる内折りヒンジを有しており、該内折りヒンジとコーナーヒンジとを介して第1側壁を箱内方へ折曲げ可能とした合成樹脂製中空体シートからなる折畳式収納箱において、
各第1側壁に、その内側に重なって固着され、前記一対のコーナーヒンジと重ならない個所で一方から前記内折りヒンジを超えて中途位置まで延びる長手支承板と、他方から前記内折りヒンジを超えず箱組立時に前記長手支承板の端部と整合する位置まで延びる短手支承板とを有しており、
組立時に前記長手支承板と短手支承板の下部が、水平に展開された前記底板の側端面と衝合して同一面状に保持されていることを特徴とする。
請求項2の発明では、
前記一対の第2側壁が、それぞれ第2側壁本体と、該第2側壁本体の内側に沿って固着された第2補強側壁部とからなっており、
前記第2補助側壁部の下方に、水平に延びる下部ヒンジを介して底板を折畳可能に連設しており、
第2側壁本体が、両端のコーナー部から隣接する前記第1側壁本体のコーナーヒンジまで延びる連設片と一体に折畳乃至展開可能に形成されていることを特徴とする。
請求項3の発明では、
前記第2側壁本体は、該第2側壁本体の下端と、隣接する連設片の下端とで囲まれた矩形領域を塞ぐ補助底壁を一体に有しており、
該補助底壁は、底板を略水平に展開した際に前記底板の裏面と衝合する位置に配置されていることを特徴とする。
請求項4の発明では、
前記第2補強側壁部の上方に、水平に延びる第2上部ヒンジを介して組立時の箱の上部開口を塞ぐ上蓋片を折畳可能に連設していることを特徴とする。
請求項5の発明では、
前記底板が、一方の第2補強側壁部の下方に折畳可能に連接された単一の底板、または一対の第2補強側壁部の下方にそれぞれ折畳可能に連接された一対の底板構成片からなっていることを特徴とする。
請求項6の発明では、
前記補助底壁の下面に、下方に配置した別の折畳式収納箱の第2側壁の上端の内周面に嵌合可能な嵌合用突面部が形成されており、折畳式収納箱を上下にスタッキング可能としたことを特徴とする。
請求項7の発明では、
対向する第1側壁に設けられる前記長手支承板と短手支承板との配置が逆向きに配置定されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明では、以下の特有の効果を奏することができる。
(1)一対の第1側壁の内側に長手支承板と短手支承板とを設け底板の側端部と衝合させることで第1側壁を二重構造として強度を高めると共に、対向する第1側壁の中央に形成される内折りヒンジの折曲げ線と、前記長手支承板と短手支承板の分離線とが異なるので、前記折曲線にかかる負荷を分散することができ、強度と安定性の向上を図ることができる。さらに、内折りヒンジの折り曲げ線が高さ方向に延びているため、上からの押圧に強く、内折りヒンジが屈曲するようなことがない。
(2)第2側壁が、第2側壁本体と第2補強側壁部とからなっており、前記第1側壁本体はコーナーヒンジを介して第2側壁本体と連接し、前記第2補強側壁部には底板を連接するので、折畳時には第2側壁本体とその両側に形成された第1側壁本体の連設片とで囲まれた空間内に底板を収納することができる。
(3)第2側壁本体の下端に補助底壁を設けることで、略水平に展開した底板の裏面を補助底壁で下から支持することができるので、耐荷重を増大しうる。
(4)第2補強側壁部に上蓋片を折畳自在に連接することで、組み立てられた箱の上部開口を上蓋片で覆って塞ぐことができる。
この上蓋片は、長手支承板や短手支承板に連接された上蓋支持片部によって、
上蓋片裏面を上蓋支持片部によって下から支持するので、上蓋片の姿勢が崩れることがない。
(5)上蓋片を一対の上蓋構成片に分割し、また上蓋支持片を上蓋支持構成片に分割することで、荷重を分散することができる。
(6)上蓋構成片の先端に差込片を設け、一対の上蓋支持構成片の間に差込片を挿入する隙間を設けることで、上蓋構成片を展開した際に水平姿勢を保持して、蓋が不用意に開くことがない。
(7)差込片を挿入する隙間は、一方の上蓋支持構成片を切り欠くことで容易に成形することができる。
(8)底板は、一体ものでも、二分割した底板構成片であってもよく、折畳式収納箱の寸法や形状、用途に合わせて、適宜形成することができる。
(9)補助底壁の下面に嵌合用突面部を設けたので、組み立てられた折畳式収納箱を上下に積み重ねる際に、上段の折畳式収納箱の嵌合用突面部が下段の折畳式収納箱の上部開口に嵌合し掛け止められるので、容易にスタッキングできる。
(10)長手支承板または短手支承板の少なくとも一方の下端に下部折曲部を形成しておくことで、展開した底板を支持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1の折畳式収納箱の組立(展開)状態を示す斜視図である。
【図2】第1側壁を正面側とした中央縦断面図である。
【図3】折畳式収納箱の組立状態を示す平面図である。
【図4】折畳式収納箱の折畳状態を示すもので、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【図5】折畳と組立の途中の状態を下から見た斜視図である。
【図6(a)】折畳式収納箱の底板の展開前の組立状態を示すもので、下から見た斜視図である。
【図6(b)】折畳式収納箱の底板の展開前の組立状態を示すもので、上から見た斜視図である。
【図7】折畳式収納箱の底板の展開途中を示す斜視図である。
【図8(a)】底板が二分割された実施例2の折畳式収納箱を示す断面図である。
【図8(b)】図8(a)を下から見た図である。
【図8(c)】底板が二分割された実施例2の折畳式収納箱を示す断面図である。
【図9】底板が中途位置に折曲げヒンジを有する実施例3の折畳式収納箱を示す断面図である。
【図10】上蓋片を開いた状態の実施例4の折畳式収納箱の斜視図である。
【図11】上蓋片を閉じた状態の実施例4の折畳式収納箱の斜視図である。
【図12】上蓋片を開いた状態の実施例4の折畳式収納箱の断面図である。
【図13】上蓋片を閉じた状態の実施例4の折畳式収納箱の断面図である。
【図14】上蓋片を設けた実施例5の折畳式収納箱の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
第1側壁の内面に内折りヒンジからずれた位置で分離される長手支承板と短手支承板を設け、組立時に略水平に展開される底板の側端部を衝合させることで、折畳式収納箱の強度と安定性の向上を実現した。
以下に、この発明の折畳式収納箱の好適実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0009】
[折畳式収納箱]
本実施例の折畳式収納箱1の展開した組立状態を図1から図3に示し、折畳状態を図4に示す。
この折畳式収納箱1は、プラスチック製中空体シートからなっている。
ここで、プラスチック製中空体シートとしては、一回の押し出しで一体として吐出・成型されたプラスチック製段ボールを用いているが、2枚のライナーの間に中芯を有するプラスチック製段ボールや、その他の中空構造の合成樹脂シートなど熱曲げ加工できる合成樹脂シートを用いることができる。
【0010】
前記折畳式収納箱1は、断面長方形の短手方向に沿って延び対向して設けられる一対の第1側壁2と、長手方向に沿って延び対向して設けられる一対の第2側壁5と、該第2側壁5の下端に下部ヒンジH3を介して折曲可能に連設された底板8とを有している。
なお、この発明では、折畳式収納箱1の横断面形状は長方形に限らず正方形であってもよいし、第1側壁2と第2側壁5とは任意の方向に定めることができる。
【0011】
[ヒンジ]
折畳式収納箱1の第1側壁2の中央には高さ方向に延びて折畳時に谷折り方向に屈曲する内折りヒンジH1が形成されている。
また、折畳式収納箱1の4個所のコーナー部C近傍には、前記第1側壁2と第2側壁5とを折畳時に山折り方向に屈曲させる、高さ方向に延びたコーナーヒンジH2が形成されている。
このコーナーヒンジH2は、図示例の場合、第1側壁2を両側から挟む一対のコーナー部Cから第1側壁2の内折りヒンジH1寄りに偏った位置に一対設けられている。
更に、前記第2側壁5の下部には、水平方向に延びて折畳時に谷折り方向に屈曲する下部ヒンジH3を介して折畳自在に底板8が連設されている。
本実施例では、上記各ヒンジH1からH3は熱罫線により形成された断面V字又はU字状の溝からなっている。
【0012】
[第1側壁]
第1側壁2は、中央に前記内折りヒンジH1を設けた第1側壁本体20と、内折りヒンジH1により二分された一方の第1側壁本体21に固着され内折りヒンジH1を超えて延びる長手支承板3と、内折りヒンジH1により二分された他方の第1側壁本体22に固着され内折りヒンジH1を超えず前記長手支承板3の先端と接し又は近接する先端を有する短手支承板4とからなっている。
【0013】
第1側壁本体20は、前述のようにコーナー部Cの近傍にコーナー部Cと平行に形成されて縦に延びる一対のコーナーヒンジH2を有しており、該コーナーヒンジH2からコーナー部Cまで延びる連設片6bと、該連設片6bから直角に折れ曲がってコーナー部Cを形成し、第2側壁本体6の両端に一体に固着される貼付片6cとを設けた断面コ字状からなっている。
長手支承板3は、一方の第1側壁本体21の内壁面に沿って基端から内折りヒンジH1対応個所まで固着されて一体となっており、内折りヒンジH1を超えた部分はいずれの第1側壁本体21、22にも固着されずにフリーとなっている。
短手支承板4は、他方の第1側壁本体22の内壁面に基端から先端までが固着されて一体となっている。
【0014】
そして、折畳式収納箱1の組立時に、長手支承板3の先端と短手支承板4の先端とが分離線Lを介して略隙間無く接して一連となり、第1側壁本体20の内面を二重に覆うようになっている。
対向する一対の第1側壁2に設けられる長手支承板3と短手支承板4とは、対峙するように左右対称に配置されてもよいが、図示例では逆向き、即ち、一方の第1側壁2の長手支承板3に他方の第1側壁2の短手支承板4が対峙し、一方の第1側壁2の短手支承板4に他方の第1側壁2の長手支承板4が対峙するように配置されている。
【0015】
従って、一方の第1側壁2に形成される長手支承板3と短手支承板4の先端間の分離線Lと他方の第1側壁2に形成される長手支承板3と短手支承板4の先端間の分離線(説明の便宜上、L’とする)とが、対向する内折りヒンジH1を結ぶ面とはそれぞれ別方向にずれた位置に配置される。
これによって、対向する第1側壁本体20の内折りヒンジH1が中央で対峙する位置にあっても、組立時に長手支承板3が内折りヒンジH1の内側に重なることにより、組立時における第1側壁本体20の内折りヒンジH1に対応する個所の折曲がりを防ぐことができる。
【0016】
[第2側壁]
本実施例では、第2側壁5は、薄肉の合成樹脂製中空体シートで直線状に延びる第2側壁本体6と、該第2側壁本体6の内壁面6aに沿って固着され厚肉の合成樹脂製中空体シートで形成された第2補強側壁部7とからなっている。
【0017】
そして、一方の第2側壁5の第2補強側壁部7の下部に沿って水平に延びる下部ヒンジH3が形成されており、該下部ヒンジH3を介して同じ肉厚の底板8が折畳可能に連設されている。
また、前記第2側壁本体6の下端には、第2側壁本体6と連設片6bとで囲まれた矩形領域を塞ぐ補助底壁11を一体に有している。
【0018】
本実施例で第2側壁本体6は扁平な合成樹脂製中空体シートに第1側壁本体20を形成するための扁平な合成樹脂製中空体シートを組み合わせて、以下のように形成される。
まず、第1側壁本体20を形成するための扁平な合成樹脂製中空体シート(図示例では流れ目が横)の中央に熱罫線で内折りヒンジH1を形成し、その左右両端から所定長さだけ中央に寄ったところで前記内折りヒンジH1と平行に左右一対のコーナーヒンジH2を有している。
【0019】
そして、該コーナーヒンジH2から所定の長さだけ離間した外側の部分を連設片6bとし、熱曲げ加工などで直角に折曲げて延びる部分を貼付片6cとし、角部を収納箱のコーナー部Cとする。
このコーナー部Cより先端側の貼付片6cを、第2側壁本体6を形成する扁平な合成樹脂製中空体シート(図示例では流れ目が縦)の両端に重ねて圧縮し一体に固着することで、折畳乃至展開時に連設片6bを第2側壁本体6と一体に連動可能となるように形成する。
【0020】
前記第2側壁本体6は扁平な前記合成樹脂製中空体シートからなっているので、その下端を熱曲げ加工などで内向きに直角に折曲げて、前記第2側壁本体6及び連設片6bの下端で囲まれた領域内でコーナーヒンジH2の屈曲を妨げないように矩形状に延出させて補助底壁11を形成する。
補助底壁11は、収納箱を折り畳んだ際に、対向する第2側壁本体6側の補助底壁11と先端が整合する形状が好ましく、対向する補助底壁11の先端相互が凹凸係合するように中途位置に段差を設けた凹凸形状としてもよいが、この発明では形状は特に限定されないし、その長さはコーナーヒンジH2まで延びていなくてもよい。
【0021】
前記第2側壁本体6の内壁面6aには、上端を第2側壁本体6の上端より所定の長さだけ低く設定した第2補強側壁部7が固着されている。
本実施例では、一方の第2側壁本体6に固着される第2補強側壁部7が底板8と連設しており、1つの厚肉の合成樹脂製中空体シート(図示例では流れ目が縦)から形成されている。
即ち、厚肉の合成樹脂製中空体シートの中途位置で横断する熱罫線を形成して下部ヒンジH3としているので、下部ヒンジH3の上方を一方の第2補強側壁部7として第2側壁本体6の広面6aの内壁に固着し、下方を屈曲自在な底板8としている(図2参照)。
【0022】
他方の第2側壁本体6に固着される第2補強側壁部(説明の便宜上7’とする)は、その第2側壁本体6の下端まで延びている。
これにより、前記底板8を図6(b)の起立姿勢から図7に示すように傾倒して水平に展開(図2参照)すると、底板8の下面は前記一対の補助底壁11によって支持され、同時に底板8の先端は対向する第2側壁の第2補強側壁部7’の下部と衝合し挟圧されるので、底板8を強固に組み立てることができる。
【0023】
この折畳式収納箱1は、前記底板8を裏面の補助底壁11間の開口から押し上げ下部ヒンジH3を介して第2補強側壁部7と重なる起立位置に折畳んで第1側壁2の拘束を解放し、図5に示すように前記一対の内折りヒンジH1を箱内方へ押し込むことで、二つ折りされた第1側壁本体と、一対の連設片6b及び第2側壁本体6とで形成された空間内に、第2補強側壁部7と折畳まれた底板8及び他方の第2補強側壁部7’及び長手支承板3及び短手支承板4を平行に収納して、図4に示すようにコンパクトに折り畳むことができる。
【0024】
[嵌合用突部]
また、前記補助底壁11の下面には、第2側壁本体6の各面の厚み分だけ内側に寄った位置に、矩形状の嵌合用突部12が固着されている。
この嵌合用突部12は、組み立てられた折畳式収納箱1を上下にスタッキングする際の掛け止め用のガイドとして用いることができる(図2参照)。
そのため、前述のように第2補強側壁部7の上端は第2側壁本体6の上端より前記嵌合用突部12を嵌合しうる長さだけ短くなっている。
【実施例2】
【0025】
図8に示す折畳式収納箱1は、底板が2分割された構成の異なる実施例を示す。
各第2補強側壁部7の下端に底板相当部分の1/2の長さに設定された底板構成片8aが下部ヒンジH3を介して折畳自在に連結されている。
また底板構成片8aの下に掛止片8cが固着されており、水平に展開した際に一方の底板構成片8aの先端下部側が他方の掛止片8cの先端上部に係止できるようになっている(図8a参照)。
また、前記掛止片は底板構成片と一体に形成されていてもよく、図8(c)に示す底板構成片8aには、その先端に掛止部8bが形成されており、水平に展開した際に一対の底板構成片8aの左右の側縁部側が係止できるようになっている。
【0026】
また、本実施例では、長手支承板3および短手支承板4の下端に、箱の底面側に略直角に折曲げた下部折曲部3b、4bを形成してあるので、略水平に展開した一対の底板構成片8aの裏面と衝合させて底板構成片8aを支持することができる。
図示例では、補助底壁11を設けているので、下部折曲部3b、4bはその上面が補助底壁11の上面と同一面となるように設定することが好ましい。
また、下部折曲部3b、4bを設けた場合は、補助底壁11を省略してもよい。
その他の構成は前記実施例と同様であるので、その説明を省略する。
【実施例3】
【0027】
図9に示す折畳式収納箱1は、底板8がその中途位置で折畳可能となるよう中間ヒンジH4が形成されている。
この中間ヒンジH4は、水平に展開した際に下向きに折れ曲がらないように、開口が上向きのV溝からなっている。また、外側のライナーを残して、半切りにしてもよい。
この場合、平行に折り畳んだ際に、厚みは前記実施例の2倍となるが、底板8が長い場合には好適である。
その他の構成は前記実施例と同様であるので、その説明を省略する。
上記各実施例では、第1側壁2や第2側壁5を二重構造としたが、1枚のプラスチック製中空体シートで成形しても良い。
【実施例4】
【0028】
図10から図13に示す実施例4の折畳式収納箱1は、その上部開口を塞ぐ上蓋片を設けた構造を示す。
この折畳式収納箱1は、前記実施例と同様に、断面長方形の短手方向に沿って延び略中央に対向して設けられる一対の第1側壁2と、長手方向に沿って延び対向して設けられる一対の第2側壁5と、該第2側壁5に折曲可能に連設された底板8とを有している。
【0029】
第1側壁2は、前記実施例と同様に中央に内折りヒンジH1を設けた第1側壁本体20と、内折りヒンジH1により二分された一方の第1側壁本体21に固着された長手支承板3と、他方の第1側壁本体22に固着された短手支承板4とからなっている。
そして、一対の第1側壁2において、長手支承板3と短手支承板4とは相互に対峙するように同じ向きに配置されている。
【0030】
また、前記第2側壁5は、前記実施例と同様に第2側壁本体6と、該第2側壁本体6の内側に沿って固着された第2補強側壁部7とからなっている。
各第2補強側壁部7には、その上方に、水平に延びる第2上部ヒンジH6を介して組立時の箱の上部開口を塞ぐ上蓋片30を構成する二分割された上蓋構成片30a、30bがそれぞれ折畳可能に連設している。
また各第2補強側壁部7には、実施例2と同様に、第2補強側壁部7の下端に下部ヒンジH3を介して底板構成片8aが折畳自在に連結されているが、底板8の構造は実施例1や3などと同様でもよい。
【0031】
また、長手支承板3および短手支承板4の上方には、水平に延びる第1上部ヒンジH5を介して組立時の箱の上部開口内側に略直角に折曲がる上蓋支持片部3a、4aを設けている
該上蓋支持片部3a、4aは、その折曲げ時に、水平に展開された前記上蓋構成片30a、30bの裏面と衝合して上蓋構成片30a、30bを支持する位置に設定されている(図11、図12参照)。
また、長手支承板3および短手支承板4の下部には、下部折曲部3b、4bが形成されており、展開した底板構成片8aを支持するようになっている(図12参照)。
【0032】
本実施例の上蓋構成片30a、30bは、その先端縁を略直角に折曲げた差込片31を形成している。
そして、隣接する上蓋支持構成片3a、4aの間には、前記差込片31を挿入するための所定の長さに設定された隙間Sが形成されている。
【0033】
従って、前記上蓋構成片30a、30bの長さは、前記隙間Sに差込片31が挿入され、対向する差込片31、31間が略隙間無く接する長さに設定されている。
この隙間Sは、一方の上蓋支持構成片3a又は4aを切り欠いて形成するもの、あるいは双方の上蓋支持構成片3a及び4aを切り欠いて形成するものでもよいが、図示例では、一方の上蓋支持構成片3aの先端を切り欠いて形成している。
【0034】
本実施例では、隙間Sの位置に合わせて、上蓋構成片の長さを設定したので、各上蓋構成片30a,30bの長さが異なる場合を示したが、同一の長さであっても良い。
その場合は、長手支承板3の上蓋支持片部3aの中途位置に隙間Sを形成すればよい。
【実施例5】
【0035】
図14には、上蓋片30が一つの構成を示す実施例5の折畳式収納箱1を示す。
本実施例では一方の第2補強側壁部7に第2上部ヒンジH6を介して上蓋片30を連接しており、他方の第2補強側壁部7には上蓋片を設けていない。
そして上記上蓋片30には、中央位置に二つ折り用の上蓋折畳ヒンジH7を設けておけば、不使用時に上蓋片30を図中点線で示すように折り畳んでコンパクトに収納することができる。
なお、上蓋片30が長い場合には2つ以上に折畳めるように複数のヒンジを上蓋片30の中途位置に設けてもよい。
【0036】
また、本実施例では、上蓋片30の先端に差込片31が形成されるので、該差込片31が挿入される隙間Sは、他方の第2補強側壁部7と隣接する長手支承板3又は短手支承板4(図示例では長手支承板3)と他方の第2補強側壁部7との間の空間となるので、上蓋支持片部3a又は4aを切り欠く必要がない。
また、底板8などの構造は実施例3と同様であるので、その説明を省略する。
【0037】
なお、上蓋片を設けた実施例4、5ではスタッキング用の嵌合用突部は設けていない。
この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、各実施例の構成を適宜組み合わせた構成、その他、要するにこの発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 折畳式収納箱
2 第1側壁
3 長手支承板
3a 上蓋支持片部
3b 下部折曲部
4 短手支承板
4a 上蓋支持片部
4b 下部折曲部
5 第2側壁
6 第2側壁本体
6a 広面
6b 連設片
7 第2補強側壁部
8 底板
8a 底板構成片
11 補助底壁
12 嵌合用突面部
20 第1側壁本体
21 一方の第1側壁本体
22 他方の第1側壁本体
30 上蓋片
30a、30b 上蓋構成片
31 差込片
H1 内折りヒンジ
H2 コーナーヒンジ
H3 下部ヒンジ
H4 中間ヒンジ
H5 第1上部ヒンジ
H6 第2上部ヒンジ
H7 上蓋折畳ヒンジ
L、L’分離線
S 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面四角形の縦又は横方向のいずれか一方に対向して設けられる一対の第1側壁と、縦又は横方向のいずれか他方に対向して設けられた第2側壁と、コーナー部近傍の第1側壁に設けられて前記第1側壁と第2側壁とを屈曲自在に連結する高さ方向に延びるコーナーヒンジと、前記第2側壁の下端に下部ヒンジを介して折曲可能に連設された底板とを有する合成樹脂製中空体の箱からなり、前記第1側壁が中央で高さ方向に延びる内折りヒンジを有しており、該内折りヒンジとコーナーヒンジとを介して第1側壁を箱内方へ折曲げ可能とした合成樹脂製中空体シートからなる折畳式収納箱において、
各第1側壁に、その内側に重なって固着され、前記一対のコーナーヒンジと重ならない個所で一方から前記内折りヒンジを超えて中途位置まで延びる長手支承板と、他方から前記内折りヒンジを超えず箱組立時に前記長手支承板の端部と整合する位置まで延びる短手支承板とを有しており、
組立時に前記長手支承板と短手支承板の下部が、水平に展開された前記底板の側端面と衝合して同一面状に保持されていることを特徴とする折畳式収納箱。
【請求項2】
一対の第2側壁が、それぞれ第2側壁本体と、該第2側壁本体の内側に沿って固着された第2補強側壁部とからなっており、
前記第2補助側壁部の下方に、水平に延びる下部ヒンジを介して底板を折畳可能に連設しており、
第2側壁本体が、両端のコーナー部から隣接する前記第1側壁本体のコーナーヒンジまで延びる連設片と一体に折畳乃至展開可能に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の折畳式収納箱。
【請求項3】
第2側壁本体は、該第2側壁本体の下端と、隣接する連設片の下端とで囲まれた矩形領域を塞ぐ補助底壁を一体に有しており、
該補助底壁は、底板を略水平に展開した際に前記底板の裏面と衝合する位置に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の折畳式収納箱。
【請求項4】
第2補強側壁部の上方に、水平に延びる第2上部ヒンジを介して組立時の箱の上部開口を塞ぐ上蓋片を折畳可能に連設していることを特徴とする請求項2または3に記載の折畳式収納箱。
【請求項5】
底板が、一方の第2補強側壁部の下方に折畳可能に連接された単一の底板、または一対の第2補強側壁部の下方にそれぞれ折畳可能に連接された一対の底板構成片からなっていることを特徴とする請求項2に記載の折畳式収納箱。
【請求項6】
補助底壁の下面に、下方に配置した別の折畳式収納箱の第2側壁の上端の内周面に嵌合可能な嵌合用突面部が形成されており、折畳式収納箱を上下にスタッキング可能としたことを特徴とする請求項3に記載の折畳式収納箱。
【請求項7】
対向する第1側壁に設けられる前記長手支承板と短手支承板との配置が逆向きに配置定されてなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の折畳式収納箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図7】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図8(c)】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−86862(P2013−86862A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231193(P2011−231193)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000223193)東罐興業株式会社 (90)
【Fターム(参考)】