説明

折畳式情報端末の筐体傷付き防止構造、保護部品及び折畳式情報端末

【課題】 組み立て作業の作業効率の低下やコストの増加を防止できるとともに、筐体への傷付きを確実に防止できるようにする。
【解決手段】 折畳式携帯電話機100は、操作部側筐体3の外部接続部に、弾性体材料を用いて作製された外部接続用コネクタカバー5が取り付けられている。また、外部接続用コネクタカバー5には、突起部5aが一体成形されている。突起部5aによって、折畳式携帯電話機100を閉じる際の衝撃を吸収し、折畳式携帯電話機100を閉じた状態で表示部側筐体1と操作部側筐体3とが直接接触しないようにできる。また、突起部5aを外部接続用コネクタカバー5と一体成形することによって、部品点数の増加を防止し、組み立て作業の作業効率の低下やコストの増加を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折畳式情報端末を折り畳む際の筐体への傷付きを防止する折畳式情報端末の筐体傷付き防止構造及び保護部品に関する。また、筐体傷付き防止構造を備えた折畳式情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
折畳式携帯電話機等の折畳式情報端末では、表示部側筐体を操作部側筐体の側に閉じて折り畳む際に、表示部側筐体と操作部側筐体とが接触して傷が付かないように、弾性体から成る突起部が設けられている。この突起部は、例えば、折畳式情報端末の表示部側筐体又は操作部側筐体のいずれかの筐体面に設けられる。また、例えば、突起部は、筐体を固定するためのネジ隠しと一体的に形成される。また、例えば、突起部は、傷付きクッションと呼ばれる単体の部品として作製され筐体に取り付けられる。
【0003】
また、例えば、特許文献1や特許文献2には、複数のキーボタン部が形成されるキーベースと呼ばれる弾性体シートに、突起部を一体形成した折畳み型携帯通信装置が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−264617号公報(段落0021−0025、図3)
【特許文献2】特開2003−308753号公報(段落0009−0015、図1−3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
突起部を単体の部品である傷付き防止クッションとして作製すると、折畳式情報端末の部品点数が増加する。また、傷付き防止クッションを表示部側筐体又は操作部側筐体に貼り付けるという作業が発生する。そのため、折畳式情報端末を組み立てる際の作業効率が低下し、折畳式情報端末の製作コストが増加する。また、傷付き防止クッションを筐体面に貼付しているにすぎないので、傷付き防止クッションが剥がれてしまうと筐体の傷付きを防止できなくなる。
【0006】
特許文献1や特許文献2に記載された折畳み型携帯通信装置では、突起部をキーベースに一体形成するので、部品点数の増加を防止し、作業効率の低下を防止することができる。しかし、一度折畳式情報端末を組み立ててしまうと、キーベースを容易に取り替えることができない。そのため、情報端末の組み立て後に突起部が損傷してしまった場合には、筐体への傷付きを防止できなくなる可能性がある。
【0007】
また、キーベースは情報端末の操作部の機能を実現するための重要部品であり、キーベースに用いる弾性体材料の硬度は、操作部のキーボタンの操作性を確保するため最適な値となるように定められる。弾性体材料の硬度を操作性を基準に決定しなければならないので、折畳式情報端末を折り畳む際の衝撃を吸収するために最適な硬度となるように突起部を形成できるとは限らない。そのため、突起部をキーベースに一体形成すると、筐体への傷付きを十分に防止できない可能性がある。
【0008】
そこで、本発明は、組み立て作業の作業効率の低下やコストの増加を防止できるとともに、筐体への傷付きを確実に防止できる折畳式情報端末の筐体傷付き防止構造、折畳式情報端末の保護部品、及び折畳式情報端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による折畳式情報端末の傷付き防止構造は、第1の筐体部(例えば、操作部側筐体3)と第2の筐体部(例えば、表示部側筐体1)とが回動可能に接続された折畳式情報端末(例えば、折畳式携帯電話機100)における、筐体への傷付きを防止するための傷付き防止構造であって、第1の筐体部は、第2の筐体部に接続される側面と対向する側面に、外部装置(例えば、ケーブルのプラグ10や充電器)に接続するための接続部(例えば、外部接続用コネクタ9を含む外部接続部)を含み、接続部には、弾性体材料(例えば、合成ゴム等のエラストマ)を用いて作製された、接続部を保護するための保護部品(例えば、外部接続用コネクタカバー5)が取り付けられ、保護部品には、折畳式情報端末を折り畳んだ状態で第2の筐体部の筐体面に接することによって、第1の筐体部の筐体面と第2の筐体部の筐体面との間に隙間を生じさせる突起部が設けられ、保護部品と突起部とは一体成形されていることを特徴とする。
【0010】
また、折畳式情報端末の傷付き防止構造において、突起部は、第1の筐体部の長手方向の中心線に対して略対称な形状となるように保護部品と一体成形されているものであってもよい。そのような構成によれば、第1の筐体部と第2の筐体部との間の隙間を一定に保つことができ、より確実に筐体への傷付きを防止することができる。
【0011】
また、折畳式情報端末の傷付き防止構造において、保護部品は、第1の筐体部に固定するための固定部と、第1の筐体部の接続部を覆う蓋部とを有し、第1の筐体部の接続部に保護部品が取り付けられた状態で、保護部品の蓋部が開閉可能に形成されているものであってもよい。
【0012】
また、折畳式情報端末の傷付き防止構造は、第1の筐体部の接続部に保護部品が取り付けられた状態で、保護部品の固定部と蓋部との境界部(例えば、角部5d)と、第1の筐体部との間に空洞部(例えば、クリアランス5e)が形成され、境界部を押下すると、保護部品が空洞部側に押圧され変形されることにより発生する弾性力によって、蓋部が開くものであってもよい。そのような構成によれば、保護部品の蓋部を容易に開くことができ、折畳式情報端末を外部装置に外部接続する際の使い勝手を向上させることができる。
【0013】
また、折畳式情報端末の傷付き防止構造において、保護部品には、突起部とともに、折畳式情報端末の構成部品のうち、弾性体材料を用いて作製される保護部品以外の構成部品(例えば、キーシート8やネジキャップ、イヤホンジャック)が一体成形されているものであってもよい。そのような構成によれば、保護部品に突起部を一体成形する場合と比較して、より部品点数の増加を防止でき、折畳式情報端末を組み立てる際の作業効率の低下やコストの増加を防止することができる。
【0014】
また、折畳式情報端末の傷付き防止構造において、保護部品には、突起部とともに、折畳式情報端末の各キーボタン部が形成されるキーシート、ネジキャップ、又はイヤホンジャックカバーのうちの1つ又は複数が一体成形されているものであってもよい。
【0015】
また、折畳式情報端末の傷付き防止構造において、保護部品は、第1の筐体部のコネクタ部を保護するためのコネクタカバーであってもよい。
【0016】
また、折畳式情報端末の傷付き防止構造において、折畳式情報端末は、第1の筐体部と第2の筐体部とが回動可能に接続された折畳式携帯電話機であってもよい。
【0017】
本発明による折畳式情報端末の保護部品は、第1の筐体部と第2の筐体部とが回動可能に接続された折畳式情報端末の保護部品であって、弾性体材料を用いて作製され、第1の筐体部の第2の筐体部に接続される側面と対向する側面に含まれる、外部装置に接続するための接続部に取り付けられ、折畳式情報端末を折り畳んだ状態で第2の筐体部の筐体面に接するように突起部が一体成形されていることを特徴とする。
【0018】
本発明による折畳式情報端末は、第1の筐体部と第2の筐体部とが回動可能に接続された折畳式情報端末であって、第1の筐体部は、第2の筐体部に接続される側面と対向する側面に、外部装置に接続するための接続部を含み、接続部には、弾性体材料を用いて作製された、接続部を保護するための保護部品が取り付けられ、保護部品には、折畳式情報端末を折り畳んだ状態で第2の筐体部の筐体面に接することによって、第1の筐体部の筐体面と第2の筐体部の筐体面との間に隙間を生じさせる突起部が設けられ、保護部品と突起部とは一体成形されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、第1の筐体部の接続部に保護部品が取り付けられ、保護部品には突起部が一体成形されている。突起部が弾性体材料を用いて作製されているので、折畳式情報端末を閉じる際の衝撃を吸収できる。また、第1の筐体部の筐体面と第2の筐体部の筐体面との間に隙間が生じるので、第1の筐体部と第2の筐体部とが直接接触しないようにできる。また、突起部を保護部品に一体成形するので、突起部を単体の部品として作製する場合と比較して部品点数の増加を防止でき、折畳式情報端末を組み立てる際の作業効率の低下や製作コストの増加を防止することができる。また、突起部を保護部品に一体成形するので、他の部品と一体成形する場合と比較して、より確実に筐体への傷付きを防止できる。従って、組み立て作業の作業効率の低下やコストの増加を防止できるとともに、筐体への傷付きを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
実施の形態1.
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明による傷付き防止構造を備えた折畳式情報端末の一例を示す斜視図である。図1に示すように、本実施の形態では、折畳式情報端末が携帯電話機100である場合を例に説明する。また、図1は、折畳式携帯電話機100を開いた状態に相当する。なお、折畳式情報端末は、携帯電話機に限らず、例えば、表示部側筐体と操作部側筐体との折り畳み構造を備えたPDA等であってもよい。
【0021】
図1に示すように、折畳式携帯電話機100は、表示部2を含む表示部側筐体1と、複数のキーボタンを有する操作部4を含む操作部側筐体3とを含む。表示部側筐体1及び操作部側筐体3は、例えば、合成樹脂等を用いた剛性体によって作製される。また、表示部側筐体1と操作部側筐体3とは、開閉軸を有するヒンジ部11で回動可能に接続されている。なお、「回動」とは、ある軸に対して正逆方向に円運動できることをいう。本実施の形態では、折畳式携帯電話機100において、ヒンジ部11を軸として、例えば、表示部側筐体1を操作部側筐体3の側に閉じたり、開いたりすることができる。
【0022】
操作部側筐体3は、ヒンジ部11を介して表示部側筐体1に接続される側面と対向する側面に、ケーブルのプラグや充電器等の外部機器を接続するための外部接続部を含む。また、図1に示すように、操作部側筐体3の外部接続部には、外部接続部を保護するための外部接続用コネクタカバー5が取り付けられている。なお、本実施の形態では、操作部側筐体3の各面のうち、操作部4が含まれる側の面を表面といい、表面に対向する面を裏面という。
【0023】
図2は、携帯電話機100の構成の例を示すブロック図である。図2に示すように、携帯電話機100は、電波の送受信を行うアンテナ120と、制御部121と、記憶部122と、無線通信部123と、操作部4と、表示部2と、カメラユニット(以下、「カメラ」という。)126と、リンガー発生器127と、リンガー駆動部128と、音声出力用のスピーカ129と、音声入力用のマイクロフォン130とを備えている。
【0024】
制御部121は、例えばCPU(中央処理装置)と、図示しない各種の周辺回路とで構成され、携帯電話機100が備える各部の制御を行う機能を有する。
【0025】
記憶部122は、例えばRAM等の記憶媒体によって構成され、制御部121が実行する制御プログラム等の各種のデータが格納される。なお、記憶部122の一部がROMによって構成されていてもよく、ROM部分に制御プログラムが格納されていてもよい。
【0026】
無線通信部123は、所定の通信プロトコルに従って信号の変復調を行う機能を有する。具体的には、無線通信部123は、無線信号を、アンテナ120を介して受信して復調する処理を行う。また、無線通信部123は、制御部121から出力された信号を変調し、アンテナ120を介して無線信号を送信する処理を行う。
【0027】
操作部4は、例えば、電話番号の入力等を行うためのキーボタンによって構成される。操作部4は、ユーザの操作に応じた入力信号を制御部121に出力する機能を有する。
【0028】
表示部2は、例えばLCD(Liquid Cristal Display:液晶表示装置)によって構成され、携帯電話機100の折畳時に筐体の内側となる位置に配設される。表示部2には、例えば待ち受け画面や機能設定画面等が表示される。
【0029】
カメラ126は、例えばディジタルカメラが備える各種の機能を有し、被写体を撮像するCCD等の撮像素子や、撮像によって得た画像データを制御部121に出力する回路等を備えている。
【0030】
リンガー駆動部128は、制御部121の制御に従ってリンガー発生器127に駆動信号を出力する機能を有する。
【0031】
リンガー発生器127は、リンガー駆動部128からの駆動信号に従って、着信音を出力する機能を有する。
【0032】
図3は、図1に示す折畳式携帯電話機100の操作部側筐体3の外部接続部周辺を拡大して示した説明図である。図3に示すように、操作部側筐体3は、エラストマ等の弾性体材料を用いて作製された外部接続用コネクタカバー5が取り付けられている。例えば、操作部側筐体3は、弾性体材料として合成ゴムを用いて作製された外部接続用コネクタカバー5が取り付けられている。
【0033】
図4は、外部接続用コネクタカバー5単体の外観を示す斜視図である。本実施の形態では、外部接続用コネクタカバー5のうち、操作部側筐体3に取り付けられた状態で、操作部側筐体3の側に面することによって外観上見えなくなる側を裏側いい、外部に露出する側を表側という。
【0034】
図4に示すように、外部接続用コネクタカバー5は、操作部側筐体3に固定するための固定部5iと、操作部側筐体3に取り付けられた状態で外部接続部を覆う蓋部5jとを含む。図4に示すように、固定部5iは、操作部側筐体3に圧入固定するための2つのフック部5bを含む。図4に示すように、2つのフック部5bは、固定部5iの1つの側面側に形成されている。また、図4に示すように、固定部5iと蓋部5jとの境界部(以下、角部ともいう)5dの裏側には凹部5kが形成されている。外部接続用コネクタカバー5は、凹部5kで折れ曲がることによって、操作部側筐体3に取り付けられた状態で蓋部5jが開閉可能となるように形成されている。
【0035】
図3及び図4に示すように、外部接続用コネクタカバー5は、固定部5iの表側に筐体への傷付きを防止するための突起部5aを含む。本実施の形態では、外部接続用コネクタカバー5を作製する際に、突起部5aが外部接続用コネクタカバー5に一体成形される。また、図3及び図4に示すように、突起部5aは、外部接続用コネクタカバー5の各面のうちの表面側(外部接続用コネクタカバー5を操作部側筐体3に取り付けた状態で、操作部側筐体3の操作部4がある面と同じ面側)に形成される。
【0036】
また、図3及び図4に示すように、突起部5aは、操作部側筐体3の長手方向の中心線(図3に示す波線B。以下、単に中心線という)に対して、左右略対称となるように形成されている。なお、図3及び図4に示す例では、操作部側筐体3の中心線に対して左右略対称な形状の1つの突起部5aが外部接続用コネクタカバー5に一体形成されている場合を示しているが、例えば、操作部側筐体3の中心線に対して左右略対称となるように、複数の突起部が外部接続用コネクタカバー5に形成されていてもよい。
【0037】
また、外部接続用コネクタカバー5には、蓋部5jに外部接続用コネクタカバー5を開く際に爪を引っ掛けて開きやすくするための爪引っ掛け部5cが形成されている。
【0038】
次に、操作部側筐体3に外部接続用コネクタカバー5を取り付ける取付方法を説明する。外部接続用コネクタカバー5の操作部側筐体3への取付作業は、例えば作業員によって行われる。
【0039】
図5及び図6は、外部接続用コネクタカバー5の取り付け手順の例を示す説明図である。図5は、図3に示す操作部側筐体3の外部接続部周辺を、表面側から見た平面図に相当する。図5(a)は、操作部側筐体3に外部接続用コネクタカバー5を取り付ける前の状態を示す。また、図5(b)は、操作部側筐体3に外部接続用コネクタカバー5を取り付けている途中の状態を示す。また、図5(c)は、外部接続用コネクタカバー5の取り付けを完了した状態を示す。
【0040】
図6は、図3に示す操作部側筐体3の外部接続部周辺を、操作部側筐体3の中心線が通る面(図3に示すA−A面)で切断した断面図に相当する。また、図6は、図5に示す取り付け手順を断面側から見た図に相当する。図6(a)は、操作部側筐体3に外部接続用コネクタカバー5を取り付ける前の状態を示す。また、図6(b)は、操作部側筐体3に外部接続用コネクタカバー5を取り付けている途中の状態を示す。また、図6(c)は、外部接続用コネクタカバー5の取り付けを完了した状態を示す。
【0041】
図6に示すように、折畳式携帯電話機100の操作部側筐体3には、外部接続用コネクタカバー5のフック部5bを挿入するための切り欠き部3aが設けられている。また、操作部側筐体3の内部には、外部接続用コネクタカバー5のフック部5bが圧入固定される2つの被固定部3bが設けられている。また、図5に示すように、外部接続用コネクタカバー5のフック部5bは、先端部に傾斜部51を含む。また、フック部5bは、操作部側筐体3の被固定部3bに引っ掛けるための引っ掛け部52を含む。
【0042】
図5(a)及び図6(a)に示すように、外部接続用コネクタカバー5のフック部5bを、操作部側筐体3の切り欠き部3aに挿入(圧入)すると、傾斜部51が操作部側筐体3内部の被固定部3bに摺接する。すると、図5(b)及び図6(b)に示すように、傾斜部51が被固定部3bに摺接することによって、フック部5bが内側に縮むように変形され2つの被固定部3bの間を通過する。なお、「摺接」とは、傾斜部51が固定部3bに滑る状態で接していることをいう。
【0043】
フック部5bが2つの被固定部3bの間を通過すると、図5(c)に示すように、フック部5bは、弾性力によって変形前の状態に戻る。すると、図5(c)に示すように、フック部5bの引っ掛け部52が操作部側筐体3の被固定部3bに引っ掛かった状態となり、外部接続用コネクタカバー5が操作部側筐体3に圧入固定される。
【0044】
また、図6に示すように、操作部側筐体3の外部接続部には、凹部3cが設けられている。また、図6に示すように、外部接続用コネクタカバー5の蓋部5jには、外部接続用コネクタカバー5が操作部側筐体3に取り付けられた状態で外部接続部の凹部3cに接する部分に凸部5fが形成されている。
【0045】
外部接続用コネクタカバー5が操作部側筐体3に圧入固定されると、図6(c)に示すように、外部接続用コネクタカバー5の凸部5fを操作部側筐体3の凹部3cに嵌め込むことによって、外部接続用コネクタカバー5の取り付けが完了する。また、凸部5fを凹部3cに嵌め込むことによって、図6(c)に示すように、外部接続部の外部接続用コネクタ9が蓋部5jで覆われた状態となり、外部接続用コネクタカバー5が不用意に開かないようにすることができる。
【0046】
以上の手順に従って、外部接続用コネクタカバー5が操作部側筐体3に取り付けられる。また、外部接続用コネクタカバー5を圧入固定によって容易に取り付けられるので、折畳式携帯電話機100の組み立て後に外部接続用コネクタカバー5が損傷した場合であっても容易に交換できる。
【0047】
なお、外部接続部の外部接続用コネクタ9にプラグ等を接続する場合には、爪引っ掛け部5cを爪で引っ掛けて蓋部5jを表面側に持ち上げることによって、外部接続用コネクタカバー5が凹部5kで折れ曲がり蓋部5jを開くことができる。
【0048】
図7は、折畳式携帯電話機100を閉じた状態を示す断面図である。図7は、折畳式携帯電話機100を閉じた状態で、操作部側筐体3の中心線が通る面で切断したA−A断面図に相当する。
【0049】
本実施の形態では、外部接続用コネクタカバー5に突起部5aが設けられているので、表示部側筐体1をヒンジ部11を軸として操作部側筐体3の側に閉じる動作を行うと、表示部側筐体1の表示部2がある面が突起部5aに接する。本実施の形態では、外部接続用コネクタカバー5が弾性体材料を用いて成形されているので、表示部側筐体1が突起部5aにあたったときに、折畳式携帯電話機100を閉じる際の衝撃を突起部5aで吸収することができる。
【0050】
また、図7に示すように、突起部5aが操作部側筐体3の操作部4のある面から所定の高さ分突起しているので、折畳式携帯電話機100を閉じた状態で表示部側筐体1と操作部側筐体3との間に一定の隙間12ができる。そのため、折畳式携帯電話機100を閉じる動作を行ったときに、表示部側筐体1の表示部2がある面と操作部側筐体3の操作部4がある面とが直接接触しないようにすることができる。従って、突起部5aを設けることによって、筐体への傷付きを防止することができる。
【0051】
以上のように、本実施の形態によれば、操作部側筐体3の外部接続部に外部接続用コネクタカバー5が取り付けられ、外部接続用コネクタカバー5には突起部5aが一体成形されている。突起部5aが弾性体材料を用いて作製されているので、折畳式携帯電話機100を閉じる際の衝撃を突起部5aで吸収することができる。また、突起部5aによって、折畳式携帯電話機100を折り畳んだ状態で表示部側筐体1と操作部側筐体3との間に隙間12が生じるので、表示部側筐体1と操作部側筐体3とが直接接触しないようにできる。
【0052】
また、本実施の形態では、突起部5aを外部接続用コネクタカバー5に一体成形するので、突起部を単体の部品として作製する場合と比較して部品点数の増加を防止でき、折畳式携帯電話機100を組み立てる際の作業効率の低下や製作コストの増加を防止することができる。また、突起部5aを外部接続用コネクタカバー5に一体成形することによって、突起部が筐体面から剥がれて脱落するのを防止できる。従って、組み立て作業の作業効率の低下や製作コストの増加を防止できるとともに、筐体への傷付きを防止することができる。
【0053】
また、傷付き防止用の突起部をキーボタン部が形成されるキーシートに一体形成することも考えられるが、一般に折畳式携帯電話機100を一度組み立ててしまうと、キーシートを容易に交換することができない。そのため、折畳式携帯電話機100の組み立て後に、突起部が損傷してしまった場合には筐体部への傷付きを防止できなくなる可能性がある。本実施の形態では、キーシートと比較して部品交換が容易な外部接続用コネクタカバー5に突起部5aを形成している。そのため、突起部5aが損傷してしまった場合であっても、外部接続用コネクタカバー5を交換することによって容易に突起部5aを修復できる。よって、突起部をキーシートに一体形成する場合と比較して、より確実に筐体への傷付きを防止することができる。
【0054】
また、一般に、キーシートは、操作部の操作性確保のため、作製に用いる弾性体材料の硬度が制約されてしまう。外部接続用コネクタカバー5は、操作部側筐体3の外部接続部を覆って保護することを目的とするにすぎないので、一般に作製に用いる弾性体材料の硬度の制約がない。そのため、折畳式携帯電話機100を折り畳む際の衝撃を吸収するために最適な硬度をもつ弾性体材料を選択して、外部接続用コネクタカバー5を作製することができる。
【0055】
例えば、キーシートは、キーボタン部の操作性を確保するため硬度が柔らかめの弾性体材料を用いて作製されることが多い。しかし、突起部の硬度が柔らかすぎると、折畳式携帯電話機100を閉じる動作を行った場合の衝撃によって突起部が損傷しやすくなる。そのため、突起部をキーシートに一体形成すると、突起部が損傷しやすく筐体への傷付きを防止できなくなる可能性がある。
【0056】
これに対して、外部接続用コネクタカバー5では硬度の制約がないので、例えば、キーシートよりも硬度が硬めの弾性体材料を用いて、突起部5aを一体成形した外部接続用コネクタカバー5を作製することができる。そのため、キーシートと比較して突起部が損傷しにくく筐体への傷付きをより確実に防止することができる。従って、突起部をキーシートに一体形成する場合と比較して、組み立て作業の作業効率の低下や製作コストの増加を防止できるとともに、筐体への傷付きをより確実に防止することができる。
【0057】
また、本実施の形態では、突起部5aを外部接続用コネクタカバー5に形成している。そのため、操作部側筐体3のうちのヒンジ部11から離れた場所に突起部5aを形成することができる。また、本実施の形態では、外部接続用コネクタカバー5に、操作部側筐体3の中心線に対して略対称となるように突起部5aを形成している。そのため、表示部側筐体1と操作部側筐体3との間の隙間12が、操作部側筐体3の中心線に対して左右対称となるようにできる。従って、表示部側筐体1と操作部側筐体3との間の隙間12を一定に保つことができ、より確実に筐体への傷付きを防止することができる。
【0058】
実施の形態2.
次に、本発明の第2の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、本実施の形態において、折畳式携帯電話機100の構成や機能は第1の実施の形態で示した構成や機能と同様である。また、本実施の形態において、操作部側筐体3に外部接続用コネクタカバー5を取り付ける取付方法は、第1の実施の形態で示した取付方法と同様である。本実施の形態では、操作部側筐体3に取り付けられた状態で、外部接続用コネクタカバー5を開く際の開け方が、第1の実施の形態と異なる。
【0059】
図8は、本実施の形態における外部接続用コネクタカバー5を取り付けた操作部側筐体3の外部接続部周辺を、操作部側筐体3の中心線が通る面で切断した断面図である。図8に示すように、本実施の形態では、外部接続用コネクタカバー5が操作部側筐体3に取り付けられた状態で、外部接続用コネクタカバー5と操作部側筐体3との間に所定の大きさの空洞5eが形成されている。本実施の形態では、図8に示すように、外部接続用コネクタカバー5のうちの角部5dの裏側に空洞5eができる。以下、角部5dの裏側にできる空洞5eをクリアランスという。
【0060】
次に、外部接続用コネクタカバー5を操作部側筐体3に取り付けた状態で、外部接続用コネクタカバー5を開く手順を説明する。図9は、外部接続用コネクタカバー5の開け方の手順の例を示す説明図である。図9(a)は、外部接続用コネクタカバー5を開く前の状態を示す。図9(b)は、外部接続用コネクタカバー5を開いている途中の状態を示す。図9(c)は、外部接続用コネクタカバー5を開け終わった状態を示す。なお、図9は、外部接続用コネクタカバー5を取り付けた操作部側筐体3の外部接続部周辺を、操作部側筐体3の中心線が通る面で切断した断面図に相当する。
【0061】
まず、図9(a)に示すように、外部接続用コネクタカバー5の角部5dを押す。すると、図9(b)に示すように、角部5dがクリアランス5e側に押圧され、角部5dが撓んで変形する。角部5dが変形すると、外部接続用コネクタカバー5が変形されたことにより発生する弾性力によって、外部接続用コネクタカバー5の蓋部5jに対して垂直方向(図9(b)に示すY方向)に力が加わる。外部接続用コネクタカバー5が変形されたことによる弾性力によって、外部接続用コネクタカバー5の凸部5fが操作部側筐体3の凹部3cから外れ、外部接続用コネクタカバー5が開いた状態となる。そして、図9(c)に示すように、操作部側筐体3の外部接続用コネクタ9にプラグ10を差し込むことができる。
【0062】
以上のように、本実施の形態によれば、操作部側筐体3と外部接続用コネクタカバー5の境界部5dとの間にクリアランス5eが形成されている。そして、境界部5dを押下すると、外部接続用コネクタカバー5がクリアランス5e側に押圧され変形されることにより発生する弾性力によって、外部接続用コネクタカバー5の蓋部5jが開く。
【0063】
外部接続用コネクタカバー5の境界部5dを外部から押すだけで蓋部5jが開くので、爪引っ掛け部5cに爪を引っ掛けて開く場合と比較して、外部接続用コネクタカバー5の蓋部5jを容易に開くことができる。従って、外部接続用コネクタカバー5を容易に開くことができ、折畳式携帯電話機100をプラグ10等に外部接続する際の使い勝手を向上させることができる。
【0064】
実施の形態3.
次に、本発明の第3の実施の形態を図面を参照して説明する。図10は、傷付き防止構造を備えた折畳式携帯電話機の他の例を示す断面図である。図10は、外部接続用コネクタカバー5を取り付けた操作部側筐体3の外部接続部周辺を、操作部側筐体3の中心線が通る面で切断した断面図に相当する。
【0065】
第1の実施の形態及び第2の実施の形態では外部接続用コネクタカバー5に突起部5aを一体成形する場合を説明したが、図10に示すように、本実施の形態では、キーボタン部を含む弾性体シートであるキーシート8、外部接続用コネクタカバー8b及び筐体傷付き防止突起部8aを1つの弾性体部品として一体成形する。
【0066】
以上のように、本実施の形態によれば、外部接続用コネクタカバー8b及び筐体傷付き防止突起部8aに加えて、更にキーシート8を一体成形する。そのため、外部接続用コネクタカバー5に突起部5aを一体成形する場合と比較して、より部品点数の増加を防止でき、折畳式携帯電話機100を組み立てる際の作業効率の低下やコストの増加を防止することができる。
【0067】
なお、キーシート8、筐体傷付き防止突起部8a及び外部接続用コネクタカバー8bを一体形成する場合に限らず、他の弾性体部品を一体形成してもよい。例えば、筐体傷付き防止突起部8a及び外部接続用コネクタカバー8bに加えて、ネジキャップやイヤホンジャック等の弾性体部品を一体成形してもよい。また、例えば、筐体傷付き防止突起部8a及び外部接続用コネクタカバー8bに加えて、ネジキャップ、イヤホンジャック又はキーシート8のいずれか2つ以上を組み合わせて一体成形してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、折畳式携帯電話機をはじめとした折り畳み構造を有する折畳式情報端末に適用できる。特に、本発明を用いることにより、折畳式情報端末の筐体への傷付きを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明による傷付き防止構造を備えた折畳式情報端末の一例を示す斜視図である。
【図2】携帯電話機100の構成の例を示すブロック図である。
【図3】図1に示す折畳式携帯電話機100の操作部側筐体3の外部接続部周辺を拡大して示した説明図である。
【図4】外部接続用コネクタカバー5単体の外観を示す斜視図である。
【図5】外部接続用コネクタカバー5の取り付け手順の例を示す説明図である。
【図6】図5に示す取付手順をA−A面で切断して示した断面図である。
【図7】折畳式携帯電話機100を閉じた状態を示す断面図である。
【図8】本実施の形態における外部接続用コネクタカバー5を取り付けた操作部側筐体3の外部接続部周辺を、操作部側筐体3の中心線が通る面で切断した断面図である。
【図9】外部接続用コネクタカバー5の開き方の手順の例を示す説明図である。
【図10】傷付き防止構造を備えた折畳式携帯電話機の他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 表示部側筐体
2 表示部
3 操作部側筐体
3a 切り欠き部
3b 被固定部
3c 凹部
4 操作部
5 外部接続用コネクタカバー
5a 突起部
5b フック部
5c 爪引っ掛け部
5d 角部
5f 凸部
5i 固定部
5j 蓋部
100 折畳式携帯電話機
120 アンテナ
121 制御部
122 記憶部
123 無線通信部
126 カメラ
127 リンガー発生器
128 リンガー駆動部
129 スピーカ
130 マイクロフォン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体部と第2の筐体部とが回動可能に接続された折畳式情報端末における、筐体への傷付きを防止するための傷付き防止構造であって、
前記第1の筐体部は、前記第2の筐体部に接続される側面と対向する側面に、外部装置に接続するための接続部を含み、
前記接続部には、弾性体材料を用いて作製された、当該接続部を保護するための保護部品が取り付けられ、
前記保護部品には、折畳式情報端末を折り畳んだ状態で前記第2の筐体部の筐体面に接することによって、前記第1の筐体部の筐体面と前記第2の筐体部の筐体面との間に隙間を生じさせる突起部が設けられ、
前記保護部品と前記突起部とは一体成形されている
ことを特徴とする折畳式情報端末の傷付き防止構造。
【請求項2】
突起部は、第1の筐体部の長手方向の中心線に対して略対称な形状となるように保護部品と一体成形されている請求項1記載の折畳式情報端末の傷付き防止構造。
【請求項3】
保護部品は、第1の筐体部に固定するための固定部と、第1の筐体部の接続部を覆う蓋部とを有し、
前記第1の筐体部の接続部に前記保護部品が取り付けられた状態で、前記保護部品の蓋部が開閉可能に形成されている
請求項1又は請求項2記載の折畳式情報端末の傷付き防止構造。
【請求項4】
第1の筐体部の接続部に保護部品が取り付けられた状態で、前記保護部品の固定部と蓋部との境界部と、前記第1の筐体部との間に空洞部が形成され、
前記境界部を押下すると、前記保護部品が前記空洞部側に押圧され変形されることにより発生する弾性力によって、前記蓋部が開く
請求項3記載の折畳式情報端末の傷付き防止構造。
【請求項5】
保護部品には、突起部とともに、折畳式情報端末の構成部品のうち、弾性体材料を用いて作製される当該保護部品以外の構成部品が一体成形されている請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の折畳式情報端末の傷付き防止構造。
【請求項6】
保護部品には、突起部とともに、折畳式情報端末の各キーボタン部が形成されるキーシート、ネジキャップ、又はイヤホンジャックカバーのうちの1つ又は複数が一体成形されている請求項5記載の折畳式情報端末の傷付き防止構造。
【請求項7】
保護部品は、第1の筐体部のコネクタ部を保護するためのコネクタカバーである請求項1から請求項6のうちのいずれか1項に記載の折畳式情報端末の傷付き防止構造。
【請求項8】
折畳式情報端末は、第1の筐体部と第2の筐体部とが回動可能に接続された折畳式携帯電話機である請求項1から請求項7のうちのいずれか1項に記載の折畳式情報端末の傷付き防止構造。
【請求項9】
第1の筐体部と第2の筐体部とが回動可能に接続された折畳式情報端末の保護部品であって、
弾性体材料を用いて作製され、
前記第1の筐体部の前記第2の筐体部に接続される側面と対向する側面に含まれる、外部装置に接続するための接続部に取り付けられ、
折畳式情報端末を折り畳んだ状態で前記第2の筐体部の筐体面に接するように突起部が一体成形されている
ことを特徴とする折畳式情報端末の保護部品。
【請求項10】
第1の筐体部と第2の筐体部とが回動可能に接続された折畳式情報端末であって、
前記第1の筐体部は、前記第2の筐体部に接続される側面と対向する側面に、外部装置に接続するための接続部を含み、
前記接続部には、弾性体材料を用いて作製された、当該接続部を保護するための保護部品が取り付けられ、
前記保護部品には、折畳式情報端末を折り畳んだ状態で前記第2の筐体部の筐体面に接することによって、前記第1の筐体部の筐体面と前記第2の筐体部の筐体面との間に隙間を生じさせる突起部が設けられ、
前記保護部品と前記突起部とは一体成形されている
ことを特徴とする折畳式情報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−115163(P2006−115163A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−299957(P2004−299957)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】